説明

計測装置、リソグラフィ装置及びデバイスの製造方法。

【課題】 ステージの位置を高精度に計測するために有用な技術を提供する。
【解決手段】被測定物の位置を計測する計測装置は、前記被測定物に向けて光を射出し、前記被測定物で反射した光を検出する干渉計と、前記干渉計から射出された光と前記被測定物で反射した光の光路へ気体を吹き出す気体吹き出し部と、第1部材および第2部材を含み、前記光路が前記第1部材と前記第2部材の間にあり、前記気体吹き出し部により吹き出される気体を前記被測定物に向けて整流する構造体と、を備える。前記第1部材は、前記被測定物に取り付けられ、前記第2部材は、前記被測定物との間に隙間ができるように配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計測装置、リソグラフィ装置及びデバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ナノスケールの微細パターンを形成し、磁気記憶媒体や半導体デバイスの量産向けリソグラフィ工程を可能にする技術として、インプリント技術や露光技術が実用化されている。これらの半導体製造装置には移動体(ステージ)の高い位置決め精度が要求されるため、ステージの位置計測にレーザー干渉計が広く用いられている。レーザー干渉計は、測長光路中の気体の温度、湿度、圧力、密度の変化に起因する屈折率の変化である揺らぎに影響されやすい。そのため、温度が制御された気体を装置内に流して、装置構成体の温度を一定に保つ工夫がされている。
【0003】
しかし、装置内にはモーター等の発熱体が存在するため、これらに触れて暖められた気体がレーザー干渉計の光路に混入すると、温度の揺らぎによる計測誤差が生じてしまう。図8を用いて、ステージの位置を計測する従来の計測装置の概要を説明する。図8の(a)は従来の計測装置を上面から見た図である。計測装置は、ステージ定盤2の上面に沿ってXY方向に移動するステージ3の位置を計測する。計測装置は、ステージ3に向けて気体を吹き出す気体吹き出し部4と、ステージ3のY方向及びX方向の位置をそれぞれ計測する干渉計5,5’と、干渉計5,5’から射出されるレーザービームを干渉計5,5’へ反射する反射ミラー7,7’とを有する。
【0004】
計測装置は、干渉計5からステージ3の反射ミラー7にレーザービームを射出し、反射ミラー7で反射されたレーザービームを受けてステージ3のY軸方向の位置を計測する。同様に、計測装置は、干渉計5’からステージ3の反射ミラー7’にレーザービームを射出し、反射ミラー7’で反射されたレーザービームを受けてステージ3のX軸方向の位置を計測する。ステージ3を駆動するために不図示のリニアモータが用いられている。また、ステージ3はエアベアリング構造でステージ定盤2上を移動する。一般的に、ステージ3の移動速度は気体吹き出し部4から吹き出される気体の風速よりも速い。
【0005】
図8の(b)〜(d)は、ステージ3と干渉計5の光路9とを側面から見た図である。(b)に示すように、ステージ3が気体吹き出し部4へ近づく方向へ移動するとき、ステージ定盤2近傍の気体を巻き上げる気体流が発生して光路9にステージ定盤2近傍の気体が混入する。また、(c)に示すように、ステージ3が気体吹き出し部4から離れる方向へ移動するとき、ステージ3上やその近傍の気体が吸い込まれる気体流が発生し、光路9にステージ3近傍の気体が混入する。さらに、(d)に示すように、ステージ3が移動しないときには、気体吹き出し部4から吹き出された気体流はステージ3に当たって変化し、ステージ3近傍に渦が生じる。この渦によってステージ3近傍の気体が置換されにくくなるため、光路9にこの淀んだ空気が混入する。そこで、特許文献1、2には、干渉計の光路にカバーを設けて光路内の気体の屈折率の安定化を図った計測装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3089802号公報
【特許文献2】特開平08−082509号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来の計測装置では、図8の(e)に示されるように、干渉計5の光路9をカバーする構造体8の一端部全体でステージ3との間に隙間が存在するため、ステージ3が気体吹き出し部4へ近づく方向へ移動したときにこの隙間を通過する流れが形成される。その結果、光路9に構造体8外部の気体が混入するので、光路9内の気体の屈折率は安定化されない。また、インプリント装置や露光装置の内部において空気以外の気体を使用する場合、空気以外の気体が干渉計の光路中に混入すると測長誤差となる課題があった。
【0008】
本発明は、ステージの位置を高精度に計測するために有用な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、被測定物で反射した光を検出することで被測定物の位置を計測する計測装置であって、前記被測定物に向けて光を射出し、前記被測定物で反射した光を検出する干渉計と、前記干渉計から射出された光と前記被測定物で反射した光の光路へ気体を吹き出す気体吹き出し部と、第1部材および第2部材を含み、前記光路が前記第1部材と前記第2部材の間にあり、前記気体吹き出し部により吹き出される気体を前記被測定物に向けて整流する構造体と、を備え、前記第1部材は、前記被測定物に取り付けられ、前記第2部材は、前記被測定物との間に隙間ができるように配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ステージの位置を高精度に計測するために有用な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1実施形態の計測装置を示した図である。
【図2】第1実施形態のインプリント装置を示した図である。
【図3】第1実施形態の計測装置における気体流の様子を示した図である。
【図4】第1実施形態の計測装置を示した図である。
【図5】第1実施形態の計測装置の変形例を示した図である。
【図6】第2実施形態の計測装置を示した図である。
【図7】第3実施形態の計測装置を示した図である。
【図8】従来の計測装置を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
【0013】
〔第1実施形態〕
第1実施形態の計測装置を図1に示す。図1の(a)は第1実施形態の計測装置及びステージの断面図、(b)はそれらの斜視図である。第1実施形態におけるステージは、基板を保持する基板ステージであるが、原版を保持する原版ステージであってもよい。第1実施形態における計測装置は、気体吹き出し部4によりステージ3に向けて吹き出される気体を干渉計5の光路9へ整流して導く構造体8を備えている。第1実施形態の構造体は2枚の整流板8A、8Bである。そのうちの上側に位置する整流板8Aは、反射ミラー7が設置されたステージ3に取り付けられている。整流板8A、8Bは、ステージ3が移動するときステージ3に追従して移動する。第1実施形態では、整流板8A、8Bは、干渉計5の光路9の上下を覆うように平行に配置された平板である。整流板8A、8Bは、干渉計5の光路9の少なくとも一部を覆うように配置されていればよい。光路9のすべてを覆うように配置しても良い。
【0014】
上側の整流板8Aはステージ3に取り付けられるので、ステージ3との間には隙間がない。第1実施形態では、上側の整流板8Aは、ステージ3に取り付けられた第1部材を構成している。下側の整流板8Bは、ステージ3との間に隙間を保持しながらステージ3に追従して移動する第2部材を構成している。本実施形態では、整流板8Bのステージ3とは反対側の端部は、整流板8Aよりもより気体吹き出し部4側に近づくように構成され、その構造によって、気体吹き出し部4からの気体を光路9に効果的に導く。もし、気体吹き出し部4からの気体流が水平よりも上昇するような気体流であるなら、整流板8Aの気体吹き出し部4側の端部を整流板8Bより長くなるように構成すれば良い。気体吹き出し部4は2枚の整流板8A、8Bの間に方向付けて気体を送風する構成としてもよい。整流板8Aはステージ3から着脱可能な構成としても良い。干渉計(レーザー干渉計)5は、ステージ3の端部に設けられた反射ミラー7に向けて光を射出し、反射ミラー7で反射された光と参照光との干渉光を受けてステージ3の位置を検出する。
【0015】
図2を用いて本発明に係る計測装置が適用されるリソグラフィ装置を説明する。本実施形態では、リソグラフィ装置としてインプリント装置を説明するが、露光装置を使用してもよい。インプリント装置20は、パターン面を有するモールド(型、原版ともいう)21を保持するモールドチャック22を備えている。モールドチャック22は、構造体23に取り付けられ、不図示の駆動機構と制御部によって基板24とモールド21が近づいたり離れたりする方向に駆動される。インプリント装置20は、感光性材料であるインプリント材を光硬化させるために、光源25および照明光学系26を含む照射系を備えている。本実施形態のインプリント材は紫外線が照射されることで硬化する樹脂とする。インプリント装置は、モールドに形成されたパターンと基板上に供給されたインプリント材とを接触させた状態で光を照射する。光の照射によって硬化したインプリント材とモールドとを引き離すことによって、モールドのパターンが反転したパターンを形成(転写)することができる。
【0016】
ステージ定盤2上を駆動するステージ(基板ステージ)3は基板24を保持する。基板24にインプリント材(樹脂)を供給(塗布)するために、インプリント装置20は、内部に塗布装置28を備えている。塗布装置28は樹脂27を吐出するノズルを持ち、ステージ3を駆動して基板24をノズル下に移動させて樹脂27を塗布する。樹脂27が塗布された所望の部分をモールド21の下へ移動させるために、ステージ3を駆動する。このとき、レーザー干渉計5を用いてステージ3の位置を計測する。不図示の制御部とアライメント機構によって数ナノメートル以下の精度でステージ3の位置合わせ制御をおこなうことも可能である。
【0017】
レーザー干渉計5の測長誤差を低減させるため、装置全体を筺体40で仕切り、気体吹き出し部4によって温度が制御された気体をステージ空間に特にステージ3に向けて吹き出す。モールドチャック22を駆動させて、基板24上の樹脂にモールド21のパターン面を押し付けた状態で紫外線を照射して樹脂を硬化させる。このとき、樹脂の周囲に酸素が存在することで硬化のための重合反応が起こりづらくなるため、周囲の空気を窒素やヘリウムなどと置換するガスを供給ノズル30から供給する。なお、熱で樹脂を硬化させるためにモールドチャック22にヒーターなどの熱源を構成しているインプリント装置もある。これら一連の動作により、基板24にモールド21のパターンをインプリントする。
【0018】
このように樹脂の塗布動作とインプリント動作を繰り返すとき、ステージ3が移動するたびにステージ定盤2近傍の空気を巻き上げたり、窒素やヘリウムなどの空気以外の気体を拡散させたりする。気体吹き出し部4から吹き出された空気とそれ以外の気体が干渉計5の光路9に混入すると、干渉計5の測長誤差となりパターン欠陥が発生することがある。本実施形態では、図2に示すように、光路9の上側に配置される整流板8Aを基板ステージ3と隙間なく配置し、光路9の下側に配置される整流板8Bをステージ3との間に隙間を保持しながらステージに追従して移動するように配置している。
【0019】
図3に示すように整流板8A、8Bを配置した場合、気体吹き出し部4から吹き出された空気は、2枚の整流板8A、8Bの間を整流された状態で通った後、下側の整流板8Bとステージ3との隙間を通じて構造体8の外部に流れる一方向の気体流が形成される。ステージ3が停止している場合でも、気体吹き出し部4の方向へ向かって移動する場合でも、上述の一方向の気体流が得られる。この気体流により、干渉計5の光路9には気体吹き出し部4から吹き出され温度が制御された気体(空気)のみが整流された状態で存在し、かつ、光路9周囲の気体が光路9内に混入するのが防止される。例えば、ステージ3が気体吹き出し部4に向かって移動する場合、従来の構成ではステージ3の移動に伴ってステージ定盤2近傍の空気が巻き上げられて光路9内に侵入してくる。しかし、本実施形態の構成によれば、ステージ3の近傍で巻き上げに対抗する下向きの気体流が生じているため、光路9内に気体が侵入してこない。さらに、ステージ3上のインプリント部から漏出してくるヘリウム等のガスは、上側の整流板8Aとステージ3との間に隙間がないため、干渉計5の光路9内に侵入してこない。もちろん、ステージ3が移動していない場合においても、光路9には一方向の気体流が生じ、ステージ3と整流板8Bとの隙間からは周囲の気体が混入してこない。
【0020】
図4を用いてステージ3に対して斜め向きに送風する気体吹き出し部4を用いる例について説明する。Y方向干渉計5及びX方向干渉計5’のそれぞれの光路9,9’に対して2つの気体吹き出し部4から空気を吹き出しても良い。しかし、図4の例では、1つの気体吹き出し部4が、Y方向干渉計5の光路9とX方向干渉計5’の光路9’との間からステージ3に対して斜めに送風し、2つの光路9,9’の両方に気体を吹き出す。2つの光路9,9’の上下には、整流板8A、8Bがそれぞれ配置される。空気を斜めに送風する方法としては、気体吹き出し部4自体を斜めに配置しても良いし、送風される風の向きを制御する導風板を設けても良い。ステージ3に対して斜め方向に送風された空気は、ステージ3に当たるとステージ3の側面に沿って流れ、光路9,9’から遠ざかる方向に流れ去るような気体流となる。従って、2枚の整流板8A、8Bと組み合わせることで、さらに気体流の停滞や空気以外の気体の混入の可能性を少なくすることができる。
【0021】
以上、計測装置をインプリント装置に適用した場合について説明してきたが、計測装置を露光装置に適用した場合にも同様な効果が得られる。特に、投影光学系の最終レンズと基板との間を空気以外のガスで置換して露光する露光装置においては、本発明に係る計測装置は良好な計測を提供する。
【0022】
図1〜3では、上側の整流板8Aとステージ3との隙間をなくし、下側の整流板8Bとステージ3との間に隙間を設けるように構成した。しかし、下側の整流板8Bとステージ3との間の隙間をなくし、上側の整流板8Aとステージ3との間に隙間を設ける構成としても良い。特にインプリント動作や露光動作において空気以外のガスを用いない例などで好適である。また、2枚の整流板8A、8Bは、それらが平行に配置される形態に限定されない。2枚の整流板8A、8Bは、例えば、相互に傾きをもって配置されていてもよい。さらに、図5に示すように、整流板8A又は整流板8Bが側面8C,8Dを有するコの字形状の部材としても良い。構造体8で形状は、直方体形状だけでなく、円筒形、楕円筒形などでも良く、形状に制限されない。また、光路9の下面又は上面に隙間を設けることに限定されず、側面に隙間ないしは開口を設けて光路9が一方向の流れを形成する構成としてもよい。一方向に気体流が形成されるならば、気体吹き出し部4から吹き出される空気が流出する開口は複数あっても良い。
【0023】
本実施形態の計測装置は、被測定物としてステージを用いて説明した。上述した計測装置は、移動して気体流が発生する恐れのある被測定物の位置を計測する場合に用いることができる。本実施形態の計測装置は、干渉計5の光路9へ温度が制御された空気を良好に供給し、かつ、周囲からの気体が光路9内へ混入することを防ぐ。その結果、干渉計5の計測誤差が低減され、ステージ3の位置を高精度に計測することができる。また、この計測装置を適用して、良好な転写パターンを得るリソグラフィ装置を提供することができる。
【0024】
〔第2実施形態〕
高精度に位置決めを行うために、大きな駆動範囲をもつ粗動ステージと、その粗動ステージに搭載され支持されて微小な駆動範囲で高精度に位置決め制御を行う微動ステージとから構成されるステージが存在する。そのようなステージでは、粗動ステージが大きなストロークと推力でXY平面上を高速度で移動し、粗動ステージ上で微動ステージは微小なストロークのXY方向、傾き方向、回転方向などの高精度の位置決め駆動を行う。粗動ステージと微動ステージそれぞれに位置の計測装置と駆動機構を備えうる。また、微動ステージはその制御性を高めるために軽量であることが好ましく、さらに振動などの外乱が入らない構造とする必要がある。一方、粗動ステージは、高推力化が容易であり、外乱が入って位置決め精度が低下しても、微動ステージにおける位置決めで解消できる。
【0025】
図6の(a)に示すように、本実施形態におけるステージ3は、粗動ステージ31と微動ステージ32からなる。整流板8A(第1部材)は、微動ステージ32との間に隙間を設けずに微動ステージ32に取り付けられている。整流板8B(第2部材)は、ステージ3との間に隙間をおいて粗動ステージ31に取り付けられている。また、整流板8Aのステージ側とは反対側の端部から光路9に平行な方向に沿って配置されるように整流板8C(第3部材)が粗動ステージ31に取り付けられている。整流板8Aと整流板8Cとの間には、ステージ3と整流板8Bとの隙間よりも小さい隙間が存在するが、この隙間は極めて微小であり、気体が通過して気体流が変化する影響は少ない。しかし、気体流に対する影響を低減するために、整流板8Aと整流板8Cとの間の隙間を不図示のシール構造体によって覆うことができる。シール構造体の例としては、ゴムやスポンジ等の弾性材料によるシールや、隙間を気体が通過する流路の幅を狭く、距離を長くして圧力損失を得る構造などがある。
【0026】
図6の(a)には、整流板8B、8Cを、支持部材33を介して粗動ステージ31に取り付けた例を示した。整流板8B、8Cを粗動ステージ31に取り付けることで、整流板8B,8Cを微動ステージ32に取り付けることによる重量増や重心ずれによる位置決め制御精度の低下を防ぐことができる。また、整流板8B、8Cの振動による外乱を微動ステージ32に伝達させないため、外乱による位置決め制御精度の低下を防ぐことができる。
【0027】
図6の(b)に示すように、基板24を保持するステージ3と同期して移動するステージ(第2ステージ)6を別途設け、このステージ6に2枚の整流板8B,8Cを取り付けてもよい。ステージ6はステージ3と同期して移動するので、ステージ6と整流板8Bとの間の隙間は一定の大きさに維持される。図6の(b)では、整流板8Cは支持部材61を介してステージ6に支持されている。本実施形態で示す計測装置は、ステージの位置決め制御特性を良好に保ったまま、ステージ3(微動ステージ32)の位置を高精度に計測することができる。
【0028】
〔第3実施形態〕
次に、図7を用いて第3実施形態の計測装置を説明する。第3実施形態における計測装置は、気体吹き出し部4を粗動ステージ31に支持される整流板8B(第2部材)と一体に形成されている。この場合、例えば上側の整流板8Aを気体吹き出し部4の気体吹き出し面と兼ねる構成にしても良い。本実施形態によれば、複数のステージ3がステージ定盤2上を移動しても気体吹き出し部4からステージ3までの距離が大きくなることがない。また、ステージ3の位置によって干渉計5の光軸を切り替えたりする場合でも、2枚の整流板8A,8Bの間に良好に空気を供給できる。
【0029】
〔デバイスの製造方法〕
次に、デバイス(半導体デバイス、液晶表示デバイス等)の製造方法について説明する。ここでは、半導体デバイスの製造方法を例に説明する。半導体デバイスは、ウエハに集積回路を作る前工程と、前工程で作られたウエハ上の集積回路チップを製品として完成させる後工程を経ることにより製造される。前工程は、露光装置やインプリント装置を使用して感光剤または光硬化性樹脂が塗布されたウエハ(基板)を露光またはインプリントする工程と、ウエハを現像または残膜を除去する等加工する工程を含む。後工程は、アッセンブリ工程(ダイシング、ボンディング)と、パッケージング工程(封入)を含む。なお、液晶表示デバイスは、透明電極を形成する工程を経ることにより製造される。
【0030】
透明電極を形成する工程は、透明導電膜が蒸着されたガラス基板に光硬化性樹脂を塗布する工程と、インプリント装置を使用して光硬化性樹脂が塗布されたガラス基板をインプリントする工程と、ガラス基板を残膜処理する工程とを含みうる。或いは、透明電極を形成する工程は、透明導電膜が蒸着されたガラス基板に感光剤を塗布する工程と、露光装置を使用して感光剤が塗布されたガラス基板を露光する工程と、ガラス基板を現像する工程を含みうる。本実施形態のデバイス製造方法によれば、従来よりも高品位のデバイスを製造することができる。
【0031】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形および変更が可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定物で反射した光を検出することで被測定物の位置を計測する計測装置であって、
前記被測定物に向けて光を射出し、前記被測定物で反射した光を検出する干渉計と、
前記干渉計から射出された光と前記被測定物で反射した光の光路へ気体を吹き出す気体吹き出し部と、
第1部材および第2部材を含み、前記光路が前記第1部材と前記第2部材の間にあり、前記気体吹き出し部により吹き出される気体を前記被測定物に向けて整流する構造体と、
を備え、
前記第1部材は、前記被測定物に取り付けられ、
前記第2部材は、前記被測定物との間に隙間ができるように配置されている
ことを特徴とする計測装置。
【請求項2】
前記第2部材は、前記気体吹き出し部から前記第1部材と前記第2部材との間を通り前記隙間を通じて前記構造体の外部に流れる気体流が生じるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の計測装置。
【請求項3】
前記第1部材および前記第2部材は、平板である、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の計測装置。
【請求項4】
前記被測定物はステージであり、
前記ステージと同期して移動する第2ステージをさらに備え、
前記第2部材は、前記第2ステージにより支持されている、ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の計測装置。
【請求項5】
前記被測定物はステージであり
前記ステージは、粗動ステージと該粗動ステージにより支持されている微動ステージとを含み、
前記第1部材は前記微動ステージに取り付けられ、前記第2部材は前記粗動ステージにより支持されている、ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の計測装置。
【請求項6】
前記被測定物はステージであり、
前記構造体は、第3部材をさらに含み、
前記第3部材は、前記第1部材の前記ステージ側とは反対側の端部から前記光路に沿って延び、かつ、前記ステージが移動するとき該ステージに追従して移動し、
前記第3部材の前記ステージ側の端部と前記第1部材の前記ステージ側とは反対側の端部との隙間は、前記第2部材と前記ステージとの隙間より小さい、
ことを特徴とする請求項1に記載の計測装置。
【請求項7】
前記ステージと同期して移動する第2ステージをさらに備え、
前記第2部材および前記第3部材は、前記第2ステージにより支持されている、ことを特徴とする請求項6に記載の計測装置。
【請求項8】
前記ステージは、粗動ステージと該粗動ステージにより支持されている微動ステージとを含み、
前記第1部材は前記微動ステージに取り付けられ、前記第2部材および前記第3部材は前記粗動ステージにより支持されている、ことを特徴とする請求項6に記載の計測装置。
【請求項9】
前記気体吹き出し部は、前記第2部材と一体に形成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の計測装置。
【請求項10】
基板に塗布された感光性材料に原版のパターンを転写するリソグラフィ装置であって、
前記原版を保持する原版ステージと、
前記基板を保持する基板ステージと、
請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の計測装置と、
を備え、
前記計測装置は、前記原版ステージおよび前記基板ステージの少なくともいずれかの位置を計測する、
ことを特徴とするリソグラフィ装置。
【請求項11】
請求項10記載のリソグラフィ装置を用いてパターンを基板に形成する工程と、
前記工程で前記パタ−ンを形成された基板を加工する工程と、
を含むことを特徴とするデバイスの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−209401(P2012−209401A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−73415(P2011−73415)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】