説明

計測装置、走行距離管理装置およびコンピュータプログラム

【目的】 営業車両の走行距離データを、容易に読み取り、管理可能な計測装置を提供する。
【構成】 走行距離データを管理可能な走行距離管理装置10と、それに接続可能で且つ車両の走行距離メータをスキャニング可能な計測装置30である。計測装置30は、アナログ表示された走行距離データの数値を読み取り可能な走査手段を搭載したイメージスキャナ31と、このイメージスキャナ31の本体内部に備えられて、走査手段にてスキャニングした走行距離データを記憶する記憶手段35とを備える。計測装置30の一部がUSBコネクタ36として形成されており、記憶手段35に記憶された走行距離データを走行距離管理装置10に出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の走行距離を測定する測定技術に関する。特に、車両の走行距離を停車時に測定する際および測定後の管理に関する利便性に配慮した情報処理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
企業などに在籍する営業マンは、日々の営業成果や実際に訪問した見込み客及びクライアント名などを営業日誌等に記録して管理することが、社内的に求められている。一般的には、この営業マンの上司は、営業マンの管理日誌などを確認することで部下の管理を行う場合が多い。
【0003】
このような営業マン等の社員を把握・管理するためのシステムとしては、以下のような発明が考案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の技術では、会社のビルのメインゲート、ビル内の従業員(社員)の入退場ゲート、会議室の出入口、マシンルームなどに無線サーバを設置し、管理室に設置したメインサーバと、各社員が使用する複数のクライアントとをLANを介して接続して構成しており、メインサーバには、社員の従業員Noを記憶した従業員テーブル、無線サーバNoを記憶した無線サーバテーブル、無線サーバが、社員が携帯する携帯端末より取得した情報を基に生成し、所在情報を位置情報テーブルに記憶している。そして、メインサーバは、クライアントよりアクセスしてきた社員に対して所望の社員の所在情報を公開するシステムである。このシステムによれば、社内において、社員のプライバシーを保護しつつ効率よく社員の所在管理を実現することができる。
【0004】
【特許文献1】特開2003−219453号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
さて、移動の便から営業マンが車両を利用して営業するスタイルの場合は多い。例えば、車両自体を商品とするカーディーラーなどや、サンプル品などがある程度の大きさの場合には、車両利用が必須の業態となる。
この場合、社内的な車両の移動経路や走行距離に関する管理は、本人の申告のみに依存することが多く、上司等にとっては客観的な事実を把握することが困難となっていた。
【0006】
現在では情報処理技術の発達により、GPS(全地球測位システム)などが開発されている。このGPSを携帯に搭載したGPS携帯を営業マンに所持させることで、現在位置を把握するなどとして管理する方法もある。
現在位置の把握が直接サービスに結びつくタクシー業界などでは、普及しつつあるが、一般の営業職の場合には初期コストや維持コストの面での負担が大きい。
【0007】
一方、社内的な管理要求だけではなく、社外的な管理の必要性も高まってきた。環境問題を重視するため、ISO14000などにおいて、営業車の走行距離を管理し、走行距離と営業成績とを関連づけて管理しつつ、最終的には二酸化炭素排出量をも抑制する、といったことが目標とされているのである。
【0008】
しかしながら、管理項目が増えることが、一人一人の営業マンあるいはその管理者にとって過度な負担になっては本末転倒である。
また、GPS携帯を用いてシステム構築をしたとすれば、ハードウェア負担が大きくなるとともに、これらの負担は各営業マンにとっても管理者にとっても多大なものとなる。これでは、当該システムの利益向上効果は薄くなってしまう。
【0009】
したがって、営業車両の走行状況を容易に把握管理可能であるとともに、コストパフォーマンスにも優れた技術の登場が望まれていた。
【0010】
請求項1から請求項3記載の発明の目的は、営業車両の走行距離データを容易に読み取り可能な計測装置を提供することにある。
請求項4から請求項7記載の発明の目的は、営業車両の走行距離データを容易に把握管理可能であるとともに、コストパフォーマンスにも優れた走行距離管理装置を提供することにある。
請求項8から請求項11記載の発明の目的は、営業車両の走行距離データを容易に把握管理可能であるとともに、コストパフォーマンスにも優れたコンピュータプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(請求項1)
請求項1記載の発明は、車両の走行距離メータを計測した走行距離データを管理可能な走行距離管理装置に接続可能な計測装置を提供する。
すなわち、アナログ表示された走行距離データの数値を読み取り可能な走査手段を搭載したイメージスキャナと、前記イメージスキャナの本体内部に備えられて、前記走査手段にてスキャニングした走行距離データを記憶する記憶手段と、を備え、前記計測装置は、その一部がUSBコネクタとして形成され、前記記憶手段に記憶された走行距離データを出力可能としたことを特徴とする。
【0012】
(作用)
計測装置は、イメージスキャナで形成されている。このイメージスキャナをアナログ表示された走行距離メータの数値をスライドさせると、走行距離メータを読み取ることができる。ここで読み取った走行距離データは、スキャナ本体内部の記憶手段に記憶される。すなわち、操作者は、走行距離メータの数値をスライドさせるだけという非常に簡易な手段で走行距離データを読み取り記憶することができる。
【0013】
また、計測装置の一部がUSBコネクタとして形成されているため、計測装置を走行距離管理装置のUSBポートに接続すれば、記憶手段に記憶されている走行距離データを管理することができる。したがって、営業車両の走行距離データを容易に把握管理可能であるとともに、コストパフォーマンスにも優れた走行距離管理装置を提供することが可能となる。
なお、走行距離メータにはアナログメータとデジタルメータとがあるが、『アナログ表示された走行距離メータ』とは、前者のアナログメータに対して行うという意図ではなく両者に対応可能である。
【0014】
(請求項2)
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の計測装置を限定したものである。
すなわち、前記走査手段が読み取った走行距離データを表示可能な表示手段と、その表示手段に出力された走行距離データを確かめた操作者が操作した場合に前記記憶手段に走行距離データを記憶させるための操作ボタンと、を備えたことを特徴とする。
【0015】
(作用)
走行距離データを読み取ると、計測装置の表示手段にその走行距離データに係る数値が表示される。読み取った走行距離データを表示するので、読み取りが完全か否かを判断できる。読み取りが問題ない場合に操作ボタンを押すと、読み取った走行距離データを記憶手段に記憶する。
読み取りが問題である場合には、再度、走行距離データを読み取る。
【0016】
(請求項3)
請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2のいずれかに記載の計測装置を限定したものである。
すなわち、車両のエンジンキーのホルダとなるキーホルダー機能を備えたことを特徴とする。
【0017】
(作用)
キーホルダー機能とは、例えば、計測装置の一部に設けられたリング孔とそのリング孔に挿入されたキーリングとで形成されている。そしてこのキーリングに車両のエンジンキーを接続することで、両者を一体型として持ち運ぶことができる。すなわち、このような形態とすることで、計測装置の携帯性が向上するので、走行距離データの計測を行うという操作を忘れにくくすることに寄与する。
【0018】
(請求項4)
請求項4記載の発明は、車両の走行距離メータを計測可能な計測装置が計測した走行距離を管理可能な走行距離管理装置を提供する。
すなわち、前記計測装置が計測して取得した走行距離メータの数値を入力可能な走行距離データ入力手段と、その入力した走行距離データを記憶するための走行距離記憶手段と、 一車両が所定期間においてどの程度走行したかを把握するための走行距離基準値を設定する走行距離基準値設定手段と、 その設定した走行距離基準値に対し、各車両における走行距離データを比較する走行距離比較手段と、 その走行距離比較手段が比較した結果、走行距離基準値に満たない車両を抽出する改善用車両データ抽出手段と、 その改善用車両データ抽出手段が抽出した改善用車両データをリスト化して出力する改善用車両データ出力手段と、を備えたことを特徴とする。
【0019】
(用語説明)
「計測装置」とは、他の請求項でも特定するが、電子的に計測可能なスキャナのことである。
「走行距離データ入力手段」とは、計測した走行距離を何らかの形態によって走行距離管理装置内に入力するための手段である。これには、USBポートなどの物理的な形態による入力手段のほか、インターネット等のネットワーク経由によって入力されることも可能である。
「走行距離基準値」とは、『100km/日』などのように、予め基準となる走行距離を設定しておくことである。
「リスト化」とは、抽出した改善用車両データに関連する車両データのことであり、スプレッドシートなどに出力することが可能である。なお、この車両リストに営業マンの氏名、営業成績情報、営業エリア情報などを関連付けすることも可能である。
【0020】
(作用)
測定員が計測装置を用いて該当する車両の走行距離メータを計測する。計測装置は、イメージスキャナ等で形成されているので、走行距離メータの数値部分をスライドまたはかざすことで読み取りが可能となっている。
ここで計測した走行距離は、走行距離管理装置の走行距離データ入力手段から入力する。
入力された走行距離データは走行距離記憶手段に記憶される。
また、予め走行距離基準値を設定しておく。これは、一車両が所定期間においてどの程度走行したかを把握するための数値であり、営業マン一人当たりのノルマが『100km/日』などである。
続いて、走行距離比較手段が走行距離基準値とイメージスキャナ等で計測して記憶した走行距離データとを比較する。つまり、実際に走行した距離を判別するのである。
走行距離比較手段によって比較した結果、走行距離基準値に満たない車両を、改善用車両データとして抽出していく。 ここで、記憶手段に記憶された走行距離が一定以上超過している場合や、異常に少ない場合などをチェックして抽出する。 改善用車両データ出力手段が改善用車両データをリスト化して出力する。
【0021】
すなわち、出力された改善用車両データを閲覧することで、ノルマに満たない車両を運転する営業マンのみを抽出し、その走行記録を把握することができる。また、非常に簡易な手段で車両の走行距離を把握できるので、別途専用の管理者などを登用することもなく、人件費などのコスト低減にも寄与する。
さらに、営業車の走行距離を管理していくことで、二酸化炭素排出量の環境問題にも配慮することができ、社外的あるいは広報的な要望にも適応することができる。
【0022】
(請求項5)
請求項5記載の発明は、請求項4記載の走行距離管理装置を限定したものである。
すなわち、前記走行距離比較手段は、設定した走行距離基準値をクリアした基準値クリア車両を抽出することを特徴とする。
【0023】
(作用)
走行距離基準値を予め設定しておく(例:『100km/日』)。この走行距離基準値をクリアした車両を基準値クリア車両として抽出する。 この基準値クリア車両は、走行距離基準値をクリアしているので、真面目に就業している営業マンであることが数値上からは判断することができる。
【0024】
(請求項6)
請求項6記載の発明は、請求項4または請求項5のいずれかに記載の走行距離管理装置を限定したものである。
すなわち、前記走行距離記憶手段は、全車両のデータおよびその車両に係るスタッフデータがリスト化されたデータベースであることを特徴とする。
【0025】
(作用)
走行距離記憶手段がデータベースで構築されており、このデータベースに全車両のデータおよびその車両に係るスタッフデータがリスト化されている。
なお、請求項1においても記載しているように、データベースに記憶させた車両リストに、営業マンの氏名、営業成績情報、営業エリア情報などを関連付けておく。このようにすることで、走行距離基準値と営業成績との対応関係など、各データを一目に閲覧することができる。このデータを用いて、賞罰を実施することなども考えられる。
【0026】
(請求項7)
請求項7記載の発明は、請求項4から請求項6のいずれかに記載の走行距離管理装置を限定したものである。
すなわち、前記走行距離データ入力手段は、USBポートであることを特徴とする。
【0027】
(作用)
USBポートなどの汎用的な入力手段を用いると、初期導入時における簡便さおよび操作性の容易性に寄与する。
【0028】
(請求項8)
請求項8記載の発明は、車両の走行距離メータを計測可能な計測装置が計測した走行距離を管理可能なコンピュータプログラムを提供する。
そのプログラムは、前記計測装置が計測して取得した走行距離メータの数値を受信可能な走行距離データ受信手順と、 その受信した走行距離データを走行距離記憶手段に記憶する走行距離データ記憶手順と、 一車両が所定期間においてどの程度走行したかを把握するための走行距離基準値を設定する走行距離基準値設定手順と、 その設定した走行距離基準値に対し、各車両における走行距離データを比較する走行距離比較手順と、 その走行距離比較手順が比較した結果、走行距離基準値に満たない車両を抽出する改善用車両データ抽出手順と、 その改善用車両データ抽出手順が抽出した改善用車両データをリスト化して出力する改善用車両データ出力手順と、をコンピュータに実行させることとしたことを特徴とする。
【0029】
(請求項9)
請求項9記載の発明は、請求項8記載のコンピュータプログラムを限定したものである。
すなわち、前記走行距離比較手順は、設定した走行距離基準値をクリアした基準値クリア車両を抽出することを特徴とする。
【0030】
(請求項10)
請求項10記載の発明は、請求項8または請求項9に記載のコンピュータプログラムを限定したものである。
すなわち、前記走行距離記憶手順には、全車両のデータおよびその車両に係るスタッフデータがリスト化されたデータベースであることを特徴とする。
【0031】
(請求項11)
請求項11記載の発明は、請求項8から請求項10に記載のコンピュータプログラムを限定したものである。
すなわち、前記走行距離データ受信手順が、インターネットを用いて受信することを特徴とする。
【0032】
(作用)
走行距離データを受信する方法としては、請求項7に記載したUSBポート経由のほか、ネットワーク経由でも良い。ネットワーク経由の場合には、インターネット、イントラネット及び電子メールなどの通信ネットワークを用いることが可能である。なお、汎用的な面を考慮した場合に好ましいのはインターネット経由であり、セキュリティ面を考慮した場合に好ましいのは、イントラネット経由である。
【0033】
請求項8から請求項11に係るコンピュータプログラムを、記録媒体へ記憶させて提供することもできる。ここで、「記録媒体」とは、それ自身では空間を占有し得ないプログラムを担持することができる媒体であり、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD−R、MO(光磁気ディスク)、DVD−R、フラッシュメモリ(前述したイメージスキャナのメモリ)などである。
また、これらの発明に係るプログラムを格納したコンピュータから、通信回線を通じて他のコンピュータへ伝送することも可能である。
【発明の効果】
【0034】
請求項1から請求項4記載の発明によれば、営業車両の走行距離データを容易に読み取り可能な計測装置を提供することができた。
請求項5から請求項7記載の発明によれば、営業車両の走行距離データを容易に把握管理可能であるとともに、コストパフォーマンスにも優れた走行距離管理装置を提供することができた。
請求項8から請求項11記載の発明によれば、営業車両の走行距離データを容易に把握管理可能であるとともに、コストパフォーマンスにも優れたコンピュータプログラムを提供することができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
本発明の実施の形態について、図面を参照させながら説明する。ここで使用する図面は、図1から図6である。
【0036】
(全体構成)
図1に示すのは走行距離管理システムの概念図であり、走行距離管理装置10、モバイルスキャナ30(計測装置)および車両100との関係を示したものである。
走行距離管理システムは、図に示す営業車両の運転者(営業マン)がモバイルスキャナ30を用いて車両100の走行距離メータをスキャニングすることで、モバイルスキャナ30の内部メモリに走行距離データが格納される。スキャニングは、同じ営業車両を同じ営業マンが使用するのであれば、二度目からは運転終了時のみ行う。営業車両と営業マンがバラバラである場合や、最初の運転時には、運転開始時と運転終了時に二度、スキャニングを行う。
運転終了後、営業マンは当該モバイルスキャナ30を持って走行距離管理装置10の稼働している場所に赴き、当該モバイルスキャナ30を走行距離管理装置10のUSBポート70(走行距離データ入力手段)に接続する。すると、モバイルスキャナ30の内部メモリに格納された走行距離データが、データベース(走行距離記憶手段)50に記憶される。
データベース50に記憶された走行距離データは、予め設定された走行距離基準値と比較し、その走行距離基準値よりを超過しているか否かを判別する。走行距離基準値に満たない車両については、改善用車両データとして記憶し、走行距離基準値をクリアした車両については、基準値クリア車両として記憶することで、営業車両の走行距離から営業マンの行動状況を自己申告以外の部分で管理するシステムとなっている。
【0037】
(走行距離管理装置)
図2は、走行距離管理装置10の構成を示したブロック図である。
走行距離管理装置10は、当該管理装置10全体の制御を行うとともに、各種演算処理を行うCPU11、各種データを書き込む際に、それらのデータを一時的に展開するRAM(メモリ)12、各種データが記憶される記憶部13、各種データが入力され、そのデータをCPUに入力する入力部14、設定データ等を表示する表示部15、インターネットやイントラネットなどの電気通信回線に接続可能な通信部16、各種データを出力可能な出力部17、各種データの入出力部である入出力ポート18を備えて構成されている。
【0038】
入力部14は、モバイルスキャナ30が計測した走行距離メータのデータを入力可能なUSBポートを搭載している。このUSBポートには後述するイメージスキャナのUSBコネクタが接続され、走行距離データが転送されることになる。
記憶部13には、全車両のデータおよびその車両に係る営業マンのデータなどがデータベースとして記憶されている。営業マンデータとしては、利用車両、営業マンの氏名、営業成績情報、営業エリア情報などがある。このように、各データを関連付けておくことで、走行距離基準値と営業成績との対応関係などを一目に閲覧することができるようにし、このデータを用いて、管理や賞罰を実施することも可能となっている。
【0039】
(モバイルスキャナ)
図3及び図4は、モバイルスキャナ30の構成を模式的に示した概念図である。
モバイルスキャナ30は、測定員が片手でも操作可能な大きさ(横幅約10センチメートル)で形成されたモバイル型ハンディスキャナである。このモバイルスキャナ30は、アナログ表示された走行距離データの数値を読み取り可能な走査手段を搭載したイメージスキャナ部31と、車両100の走行距離メータに対して照射光を照射する照射手段32と、その照射された走行距離メータから反射された反射光をデジタルデータとして読み取るCCDセンサ33と、イメージスキャナ31の制御を行うスキャナ制御部34と、CCDセンサ33で読み取った走行距離メータを記憶するメモリ(記憶手段)35と、そのメモリ35に記憶されたデータを走行距離管理装置10に転送するためのUSBコネクタ36と、車両のエンジンキーのホルダとなるキーホルダー機能として、リング孔37とそのリング孔37に挿入されたキーリング37bと、CCDセンサ33が読み取った走行距離データを表示可能なディスプレイ38(表示手段)と、そのディスプレイ38に出力された走行距離データを確かめた操作者が操作した場合にメモリ35に走行距離データを記憶させるための操作ボタン39とを少なくとも備えて構成されている。また、図示は省略するが、インターネットやイントラネットに接続可能な通信機能を併せて備えている。
【0040】
モバイルスキャナ30を用いて車両の走行距離データを読み取ると、モバイルスキャナのディスプレイ38にその走行距離データに係る数値が表示される。そして、操作ボタン39を押すと、その読み取った走行距離データがメモリ35に記憶される。
【0041】
キーホルダー機能は、キーリング37bに車両のエンジンキーを接続することで、両者を一体型として持ち運ぶことができる。すなわち、このような形態とすることで、モバイルスキャナ30の携帯性が向上するので、車両を降りる際に走行距離データの計測(スキャニング)を行うという動作を忘れにくくし、習慣化することに寄与する。
【0042】
(車両)
車両100は、乗用車などの一般的な営業用車両である。走行距離メータは、基本的には車内の運転席の前方部に設置されており、これには、アナログメータとデジタルメータとがある。いずれの場合であっても、モバイルスキャナ30のCCDセンサ32を、走行距離メータにかざすことでメータの数値を読み取ることができる。
【0043】
(作用)
図5は、車両の走行距離メータの計測からデータ出力までの一連の流れについて示したフローチャートである。
まず、測定員がモバイルスキャナ30を用いて該当する車両の走行距離メータをスキャニングして測定する(S101)。読み取り方法としては、モバイルスキャナ30を走行距離メータの数値部分をスライドまたはかざすことで読み取ることができる。
ここで測定した走行距離は、メモリ34に記憶され、走行距離管理装置10の入力手段であるUSBポートにUSBコネクタ35を接続して走行距離データを送信する(S102)。
走行距離管理装置10では、USBポートから入力された走行距離データを受信し(S103)、その受信した走行距離データを記憶部13に記憶する(S104)。
【0044】
また、走行距離管理装置10の管理者(上司などでも良い)は、予め走行距離基準値を設定しておく(S105)。この走行距離基準値とは、一車両が所定期間においてどの程度走行したかを把握するための数値のことである。ここでは、営業マン一人当たりのノルマを『100km/日』と設定したとする。
続いて、走行距離基準値とモバイルスキャナ30で測定した走行距離データとを比較する(S106)。これは、車両が実際に走行した距離を判別する処理である。
走行距離比較手段によって比較した結果、走行距離基準値に満たない車両を、改善用車両データとして抽出していく。
【0045】
ここで、記憶部13に記憶された走行距離データが走行距離基準値よりも多いか否かを判別し(S107)、走行距離基準値よりも少ない場合には、それに該当する車両を改善用車両データとして記憶部13に記憶する(S108)。そして、その改善用車両データをリスト化して出力する(S109)。ここでリスト化された改善用車両データには、当該改善用車両データを利用する営業マンの氏名、営業成績情報、営業エリア情報などが関連付けられている。
また、リスト化された改善用車両データは、スプレッドシートなどに出力可能であり、別途社内データベースや管理システムと相互利用することなどが可能となる。
【0046】
すなわち、営業マンの上司は、出力された改善用車両データを閲覧することで、ノルマに満たない車両を運転する営業マンのみを抽出し、その走行記録を把握することができる。また、非常に簡易な手段で車両の走行距離を把握できるので、別途専用の管理者などを登用することもなく、人件費などのコスト低減にも寄与する。
【0047】
一方、記憶部13に記憶された走行距離データが走行距離基準値よりも多いか否かを判別した結果(S107)、走行距離基準値をクリアした場合には、基準値クリア車両データとして抽出する(S110)。抽出された基準値クリア車両データは、善用車両データ同様にリスト化されて出力される(S109)。
すなわち、『100km/日』を走行した車両は、設定された走行距離基準値をクリアしているので、真面目に就業している営業マンであることが数値上からは判断することができる。
【0048】
また、このように営業車の走行距離を管理していくことは、近年増加が著しい二酸化炭素排出量の環境問題にも配慮することになる。このため、環境保全および社外的な対応にも適応することが可能となる。
【0049】
(ネットワーク処理)
図6は、インターネットを介して走行距離管理装置10に走行距離データを送信した形態について示したフローチャートであり、モバイルスキャナ30に通信機能を搭載している。
まず、測定員がモバイルスキャナ30を用いて該当する車両の走行距離メータをスキャニングして測定する(S201)。
ここで測定した走行距離は、メモリ34に記憶され、モバイルスキャナ30の通信部が走行距離管理装置10に対して走行距離データを送信する(S102)。なお、通信形態としてはインターネットのほか、イントラネットでも良い。
走行距離管理装置10は走行距離データを受信し(S203)、その受信した走行距離データを記憶部13に記憶する(S204)。
【0050】
また、走行距離管理装置10の管理者(上司などでも良い)は、予め走行距離基準値を設定しておく(S205)。この走行距離基準値とは、一車両が所定期間においてどの程度走行したかを把握するための数値のことである。ここでは、営業マン一人当たりのノルマを『100km/日』と設定したとする。
続いて、走行距離基準値とモバイルスキャナ30で測定した走行距離データとを比較する(S206)。
走行距離比較手段によって比較した結果、走行距離基準値に満たない車両を、改善用車両データとして抽出していく。
【0051】
ここで、記憶部13に記憶された走行距離データが走行距離基準値よりも多いか否かを判別し(S207)、走行距離基準値よりも少ない場合には、それに該当する車両を改善用車両データとして記憶部13に記憶する(S208)。そして、その改善用車両データをリスト化して出力する(S209)。
【0052】
すなわち、営業マンの上司は、出力された改善用車両データを閲覧することで、ノルマに満たない車両を運転する営業マンのみを抽出し、その走行記録を把握することができる。また、非常に簡易な手段で車両の走行距離を把握できるので、別途専用の管理者などを登用することもなく、人件費などのコスト低減にも寄与する。
さらに、走行距離データをモバイルスキャナ30からインターネットを用いて送信することで、物理的な接続形態を用いることなくデータの送信が可能となる。
【0053】
一方、記憶部13に記憶された走行距離データが走行距離基準値よりも多いか否かを判別した結果(S207)、走行距離基準値をクリアした場合には、基準値クリア車両データとして抽出する(S210)。抽出された基準値クリア車両データは、善用車両データ同様にリスト化されて出力される(S209)。
すなわち、『100km/日』を走行した車両は、設定された走行距離基準値をクリアしているので、真面目に就業している営業マンであることが数値上からは判断することができる。
【0054】
なお、モバイルスキャナ30としては、前述したハンディスキャナのほか、携帯電話などの携帯端末であっても良い。すなわち、携帯電話にスキャナ機能と通信機能が搭載されている。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】走行距離管理システムの概念図である。
【図2】走行距離管理装置の構成を示したブロック図である。
【図3】計測装置の構成を模式的に示した概念図である。
【図4】計測装置の外観構成を示した概念図である。
【図5】車両の走行距離メータの計測をUSB接続で送信し、データ出力までの一連の流れについて示したフローチャートである。
【図6】車両の走行距離メータの計測をインターネットで送信し、データ出力までの一連の流れについて示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0056】
10 走行距離管理装置
11 CPU 12 RAM
13 記憶部 14 入力部
15 表示部 16 通信部
17 出力部 18 入出力ポート
30 モバイルスキャナ
31 イメージスキャナ 32 照射手段
33 CCDセンサ 34 スキャナ制御部
35 メモリ 36 USBコネクタ
37 リング孔 37b キーリング
38 ディスプレイ 39 操作ボタン
100 車両

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の走行距離メータを計測した走行距離データを管理可能な走行距離管理装置に接続可能な計測装置であって、
アナログ表示された走行距離データの数値を読み取り可能な走査手段を搭載したイメージスキャナと、
前記イメージスキャナの本体内部に備えられて、前記走査手段にてスキャニングした走行距離データを記憶する記憶手段と、
を備え、
前記計測装置は、その一部がUSBコネクタとして形成され、前記記憶手段に記憶された走行距離データを出力可能としたことを特徴とする計測装置。
【請求項2】
前記計測装置は、前記走査手段が読み取った走行距離データを表示可能な表示手段と、その表示手段に出力された走行距離データを確かめた操作者が操作した場合に前記記憶手段に走行距離データを記憶させるための操作ボタンと、を備えたことを特徴とする請求項1記載の計測装置。
【請求項3】
車両のエンジンキーのホルダとなるキーホルダー機能を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の計測装置。
【請求項4】
車両の走行距離メータを計測可能な計測装置が計測した走行距離を管理可能な走行距離管理装置であって、
前記計測装置が計測して取得した走行距離メータの数値を入力可能な走行距離データ入力手段と、
その入力した走行距離データを記憶するための走行距離記憶手段と、
一車両が所定期間においてどの程度走行したかを把握するための走行距離基準値を設定する走行距離基準値設定手段と、
その設定した走行距離基準値に対し、各車両における走行距離データを比較する走行距離比較手段と、
その走行距離比較手段が比較した結果、走行距離基準値に満たない車両を抽出する改善用車両データ抽出手段と、
その改善用車両データ抽出手段が抽出した改善用車両データをリスト化して出力する改善用車両データ出力手段と
を備えたことを特徴とする走行距離管理装置。
【請求項5】
前記走行距離比較手段は、設定した走行距離基準値をクリアした基準値クリア車両を抽出することを特徴とする請求項4記載の走行距離管理装置。
【請求項6】
前記走行距離記憶手段は、全車両のデータおよびその車両に係るスタッフデータがリスト化されたデータベースであることを特徴とする請求項4または請求項5のいずれかに記載の走行距離管理装置。
【請求項7】
前記走行距離データ入力手段は、USBポートであることを特徴とする請求項4から請求項6のいずれかに記載の走行距離管理装置。
【請求項8】
車両の走行距離メータを計測可能な計測装置が計測した走行距離を管理可能なコンピュータプログラムであって、
そのプログラムは、前記計測装置が計測して取得した走行距離メータの数値を受信可能な走行距離データ受信手順と、
その受信した走行距離データを走行距離記憶手段に記憶する走行距離データ記憶手順と、
一車両が所定期間においてどの程度走行したかを把握するための走行距離基準値を設定する走行距離基準値設定手順と、
その設定した走行距離基準値に対し、各車両における走行距離データを比較する走行距離比較手順と、
その走行距離比較手順が比較した結果、走行距離基準値に満たない車両を抽出する改善用車両データ抽出手順と、
その改善用車両データ抽出手順が抽出した改善用車両データをリスト化して出力する改善用車両データ出力手順と、
をコンピュータに実行させることとしたことを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項9】
前記走行距離比較手順は、設定した走行距離基準値をクリアした基準値クリア車両を抽出することを特徴とする請求項8記載のコンピュータプログラム。
【請求項10】
前記走行距離記憶手順には、全車両のデータおよびその車両に係るスタッフデータがリスト化されたデータベースであることを特徴とする請求項8または請求項9のいずれかに記載の走行距離管理装置。
【請求項11】
前記走行距離データ受信手順が、インターネットを用いて受信することを特徴とする請求項8から請求項10のいずれかに記載のコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−31846(P2009−31846A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−192210(P2007−192210)
【出願日】平成19年7月24日(2007.7.24)
【出願人】(506148590)三生総合設備株式会社 (2)
【Fターム(参考)】