計測装置および計測プログラム
【課題】表示画面に図面データを表示した際、当該図面データの縮尺に応じて、可変のルーラー(定規)を表示し、どのような縮尺で図面データを表示しても、距離、寸法の計測が可能なルーラーを表示する計測装置を提供すること。
【解決手段】表示しているルーラー150への指またはペンでのタッチが1箇所であった場合、ルーラー150は、指またはペンの指示(動き)に従って、表示画面51内を上下方向、または左右方向に平行移動する。ルーラー150を左右方向に平行移動させ、計測したい部分に当てて、ルーラー150の値を目視で読み取ることができる。
【解決手段】表示しているルーラー150への指またはペンでのタッチが1箇所であった場合、ルーラー150は、指またはペンの指示(動き)に従って、表示画面51内を上下方向、または左右方向に平行移動する。ルーラー150を左右方向に平行移動させ、計測したい部分に当てて、ルーラー150の値を目視で読み取ることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タブレット型端末装置の表示画面に、所定の縮尺で表示された設計図面などの図面データで、寸法、距離を計測する計測装置および計測プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建築現場や土木工事の現場等では、紙面に印刷された図面を用いて、ユーザが修正箇所への加筆や寸法計測を行っていた。ただし、上記現場では、使用する図面が膨大な枚数となる場合や図面に筆記具で加筆するための机やスペースが無いような場合もあるので、紙面に印刷された図面の持ち運び/その図面を用いた作業はユーザの負担が大きかった。
そこで、図面データベース等に管理された、紙面印刷用の図面データを、手軽に持ち運び出来るタブレット型端末装置等の端末装置で利用することが注目されている。
図1には、タブレット型端末装置50の表示画面51に図面データ(設計図面)を表示したところを示している。このようなタブレット型端末装置に図面データを表示することで、上記現場でも、ユーザは簡単に図面の閲覧、確認および加筆・修正を行うことができる。そのため、紙面に印刷された図面を用いた場合に比して、ユーザの利便性は大いに向上している。
【0003】
特許文献1記載の発明では、CADのシステムにおいて、ディスプレイの表示画面上に目盛り付きスケールを表示し、このスケールを動かすことで、スケールに沿って、描線をしたり、寸法を計測したりする装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−259295号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、図面データベース等で管理されたデジタル図面自体が、いくら実寸に準拠した縮尺データを保持していても、端末装置の表示画面(モニタ)に表示させると、その表示画面の属性(ピクセル数やその密度など)次第で、実寸に準拠した縮尺と異なる縮尺で表示されてしまうという問題があった。例えば、現場でユーザが三角スケール等の計測器具を用いて、端末装置の表示画面に表示された図面から直接寸法計測を行おうとしても、正確な寸法が得ることができなかった。これは、紙面に印刷された図面を用いた場合に比して、不便な点であった。また、上記の端末装置では、指等の操作で自由に図面データのサイズを拡大縮小できるが、寸法、距離の計測も三角スケール等の計測器具を用いずに、当該端末装置自体の機能として行えれば、ユーザの利便性は大いに向上する。
そこで、本発明の第1の目的は、表示画面に図面データを表示した際、当該図面データの縮尺に応じて、目盛りが可変のルーラー(定規)を表示し、どのような縮尺で図面データを表示しても、距離、寸法の計測が可能なルーラーを表示する計測装置および計測プログラムを提供することである。
本発明の第2の目的は、表示画面に図面データを表示した際、2点を指定することで、2点間の実測寸法、距離を表示する計測装置および計測プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明では、デジタル図面の図面データを表示画面に表示する計測装置であって、前記図面データを実寸印刷する際の縮尺データを備えたデジタル図面を受信するデジタル図面受信手段と、前記表示画面の表示密度に関するデータを記憶する表示密度データ記憶手段と、前記デジタル図面受信手段で受信したデジタル図面から縮尺データを抽出する縮尺データ抽出手段と、前記表示画面に表示するための縮尺である表示要求縮尺の設定を受け付ける表示要求縮尺受付手段と、前記表示密度データ記憶手段に記憶された表示密度データと、前記縮尺データ抽出手段で抽出した縮尺データと、前記表示要求縮尺受付手段で受け付けた表示要求縮尺とから演算処理を行い、前記表示画面にデジタル図面の図面データを表示する表示手段と、前記表示手段で表示された図面データを計測するためのルーラーを表示するルーラー表示手段と、を備え、前記ルーラー表示手段で表示されるルーラーの目盛りを、前記表示手段で行った演算処理で求められた値に基づいて設定することを特徴とする計測装置を提供することにより、前記第1の目的を達成する。
請求項2記載の発明では、請求項1記載の発明において、前記表示手段で表示された図面データの指定を受け付ける図面データ指定受付手段と、前記図面データ指定受付手段で受け付けた図面データを、受けた指示に基づいて、表示画面内を移動させる図面データ移動受付手段と、を備えたことを特徴とする。
請求項3記載の発明では、請求項1または請求項2記載の発明において、前記ルーラー表示手段で表示されたルーラーの指定を受け付けるルーラー指定受付手段と、前記ルーラー指定受付手段で受け付けたルーラーが受けた指示に基づいて、表示画面内を移動させるルーラー移動受付手段と、を備えたことを特徴とする。
請求項4記載の発明では、請求項3記載の発明において、前記ルーラー指定受付手段でルーラーの指定を受け付けた際、当該ルーラーの2点での指示を検出した場合、前記ルーラー移動受付手段が、ルーラーが受けた指示に基づいて、表示画面内を移動させる際、2点で指示された角度に基づいてルーラーを移動させることを特徴とする。
請求項5記載の発明では、デジタル図面の図面データを表示画面に表示する計測装置であって、前記図面データを実寸印刷する際の縮尺データを備えたデジタル図面を受信するデジタル図面受信手段と、前記表示画面の表示密度に関するデータを記憶する表示密度データ記憶手段と、前記デジタル図面受信手段で受信したデジタル図面から縮尺データを抽出する縮尺データ抽出手段と、前記表示画面に表示するための縮尺である表示要求縮尺の設定を受け付ける表示要求縮尺受付手段と、前記表示密度データ記憶手段に記憶された表示密度データと、前記縮尺データ抽出手段で抽出した縮尺データと、前記表示要求縮尺受付手段で受け付けた表示要求縮尺とから演算処理を行い、前記表示画面にデジタル図面の図面データを表示する表示手段と、前記表示手段で表示された図面データの2箇所の指定を受け付ける計測箇所指定受付手段と、前記計測箇所指定受付手段で指定を受け付けた2箇所間の距離を前記表示手段で行った演算処理で求められた値に基づいて算出する距離算出手段と、前記距離算出手段で算出された値を実際の距離で表示する距離表示手段と、を備えたことを特徴とする計測装置を提供することで、前記第2の目的を達成する。
請求項6記載の発明では、請求項5記載の発明において、前記計測箇所指定受付手段で2箇所の指定を受け付ける際、図面データの1点を指示するためのポインタの表示要求を受け付けるポインタ表示要求受付手段と、前記ポインタ表示要求受付手段でポインタの表示要求を受け付けた際、表示画面の指定された箇所にポインタを表示するポインタ表示手段と、備えたことを特徴とする。
請求項7記載の発明では、請求項5または請求項6記載の発明において、前記計測箇所指定受付手段で2箇所の指定を受け付ける際、図面データの部分的な拡大要求を受け付ける拡大要求受付手段を備え、前記表示手段は、前記拡大要求受付手段の要求に従って、図面データを部分的に拡大して表示することを特徴とする。
請求項8記載の発明では、デジタル図面の図面データを表示画面に表示する計測装置であって、前記表示画面の表示密度に関するデータを記憶する表示密度データ記憶手段を備えた計測装置において、前記図面データを実寸印刷する際の縮尺データを備えたデジタル図面を受信するデジタル図面受信機能と、前記デジタル図面受信機能で受信したデジタル図面から縮尺データを抽出する縮尺データ抽出機能と、前記表示画面に表示するための縮尺である表示要求縮尺の設定を受け付ける表示要求縮尺受付機能と、前記表示密度データ記憶手段に記憶された表示密度データと、前記縮尺データ抽出機能で抽出した縮尺データと、前記表示要求縮尺受付機能で受け付けた表示要求縮尺とから演算処理を行い、前記表示画面にデジタル図面の図面データを表示する表示機能と、前記表示機能で表示された図面データを計測するためのルーラーを表示するルーラー表示機能と、を備え、前記ルーラー表示機能で表示されるルーラーの目盛りを、前記表示機能で行った演算処理で求められた値に基づいて設定することをコンピュータに実行させる計測プログラムを提供することで、前記第1の目的を達成する。
請求項9記載の発明では、デジタル図面の図面データを表示画面に表示する計測装置であって、前記表示画面の表示密度に関するデータを記憶する表示密度データ記憶手段を備えた計測装置において、前記図面データを実寸印刷する際の縮尺データを備えたデジタル図面を受信するデジタル図面受信機能と、前記デジタル図面受信機能で受信したデジタル図面から縮尺データを抽出する縮尺データ抽出機能と、前記表示画面に表示するための縮尺である表示要求縮尺の設定を受け付ける表示要求縮尺受付機能と、前記表示密度データ記憶手段に記憶された表示密度データと、前記縮尺データ抽出機能で抽出した縮尺データと、前記表示要求縮尺受付機能で受け付けた表示要求縮尺とから演算処理を行い、前記表示画面にデジタル図面の図面データを表示する表示機能と、前記表示機能で表示された図面データの2箇所の指定を受け付ける計測箇所指定受付機能と、前記計測箇所指定受付機能で指定を受け付けた2箇所間の距離を前記表示機能で行った演算処理で求められた値に基づいて算出する距離算出機能と、前記距離算出機能で算出された値を実際の距離で表示する距離表示機能と、をコンピュータに実行させる計測プログラムを提供することで、前記第2の目的を達成する。
【発明の効果】
【0007】
請求項1から請求項4および請求項8記載の発明によれば、表示画面にどのような縮尺で、図面データを表示しても、併せて、表示されたルーラー(定規)を用いて簡単に実際の寸法、距離を計測できる。
また、請求項5から請求項7および請求項9記載の発明によれば、2点間の実測寸法をデジタルで表示するので、容易に実際の寸法を把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施形態に係る可変ルーラーを表示する計測装置の概略を説明する図である。
【図2】本実施形態に係る可変ルーラーを表示する計測装置の例を示した図である。
【図3】本実施形態で用いる図面サーバの構成を示したブロック図である。
【図4】計測装置で用いるタブレット型端末装置の構成を示した図である。
【図5】本実施形態に係るタブレット型端末装置の表示画面に所定の固定縮尺で図面データを表示した例を示した図である(表示モード)。
【図6】本実施形態に係るタブレット型端末装置の表示画面に所定の固定縮尺で図面データを表示した例を示した図である。
【図7】本実施形態に係るタブレット型端末装置の表示画面において選択された固定縮尺で図面データを表示したところを示した図である。
【図8】本実施形態の処理手順を示したフローチャートである。
【図9】本実施形態における「表示モード」での計測を説明する図である。
【図10】本実施形態における「表示モード」での計測を説明する図である。
【図11】本実施形態における「計測モード」でのルーラーを平行移動させての計測を説明する図である。
【図12】本実施形態における「計測モード」でのルーラーを斜め方向に移動させての計測を説明する図である。
【図13】本実施形態における「デジタル計測モード」での計測を説明する図である。
【図14】本実施形態における「デジタル計測モード」でポインタを表示したところを示した図である。
【図15】本実施形態における「デジタル計測モード」で、図面データの一部を拡大したところを示した図である。
【図16】本実施形態の処理手順を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態に係るタブレット型端末装置の表示画面に表示された図面データ内の寸法、距離の計測を行える計測装置を図1ないし図16を参照して詳細に説明する。
(1)実施形態の概要
図1のタブレット型端末装置を用いたシステムの概略に示すように、タブレット型端末装置50は、設計図面のデジタル図面を指定された縮尺で表示するよう指示を受けると、図面サーバ20に保管された設計図面のデジタル図面を取得して、表示画面51に紙面印刷時の設計図面と同様に、実寸に準拠した縮尺で当該デジタル図面に基づく設計図面、建築図面、土木図面などの図面データを表示する。
つまり、タブレット型端末装置50は、デジタル図面の縮尺データと、タブレット型端末装置の表示画面の表示密度データから、実寸に準拠した縮尺で、タブレット型端末装置50の表示画面51に設計図面を正確に表示できるようになっている。
同時に、計測装置100は、選択されている縮尺に合致したルーラー150を表示画面51に表示する。このルーラー150は、選択されている縮尺に応じて目盛りが変化するようになっており、どのような表示縮尺にも対応できるようになっている。
ユーザは、表示されたルーラー150を参照することで、当該図面内の凡その寸法を把握でき、且つ当該ルーラー150または図面自体を表示画面51内で移動させて、計測箇所に当該ルーラー150を当てることで、正確な計測を行うことができる。従って、ユーザは、三角スケールを用いて、紙に記載された図面を計測するのと同様に距離、寸法を計測することができる。
【0010】
(2)実施形態の詳細
まず、図1を参照して、本実施形態に係る計測装置100を説明する。
この実施形態で、デジタル図面とは、図面データとその図面データの付属情報を含んだものをいう。また、付属情報とは、当該図面データを実寸印刷する際の縮尺データ、当該図面データの解像度などを含んだものをいう。
図面データの実寸印刷とは、縮尺データに応じた印刷をすると、実際にその縮尺データの縮尺通り正確な寸法で印刷されることをいう。縮尺データ50分の1の図面データを実寸印刷すれば50分の1のサイズで図面が印刷される。
なお、本実施形態における計測端末100として、タブレットPC等のタブレット型端末装置を例に説明するが、ノート型パソコンや携帯電話機等の表示画面上に画像を表示する機能を備えた各種の携帯端末へ適宜に応用できる。
【0011】
設計図面などのデジタル図面の図面データを表示するためのタブレット型端末装置50は、インターネット等のネットワークを介して図面サーバ20と各種のデータの送受信が可能となっている。このタブレット型端末装置50は、薄型で比較的軽量であるため、携帯に適しており、例えば、建築現場、土木の作業現場、測量の現場などに持ち込むのに特に便利である。
【0012】
図2は、表示画面51にルーラー150を表示した状態を示している。このタブレット型端末装置50は、表示画面51の例えば右下部に表示画面51の横方向のサイズの約半分サイズのルーラー(定規)150を表示する。
本実施形態で用いるルーラー150は、(原寸)以外の尺度で描かれている図面の寸法を実際のサイズで計測するための定規である。例えば、縮尺が1/20の図面の場合、1/20に対応した目盛りを表示し、その寸法を読み取れば、その値がそのまま実測値となる。従って、このタブレット型端末装置50のユーザは、何らの換算等の面倒な計算をしないで簡単に実測値を得ることができる。
【0013】
次いで、図3および図4を参照して、図面サーバ20とタブレット型端末装置50の構成について説明する。
図3は図面サーバ20の構成を示した図である。
この図面サーバ20は、CPU(中央演算処理装置)22、ROM(リード・オンリ・メモリ)24、通信装置26、表示装置28、RAM(ランダム・アクセス・メモリ)30、入力装置32、記憶装置34を備えている。
CPU22は、各種プログラムに従って、情報処理を行ったり、図面サーバ20の各部を制御したりする。
ROM24は、図面サーバ20が動作するための基本プログラムやパラメータを記憶した読み取り専用メモリである。
通信装置26は、図面サーバ20をインターネットなどのネットワークに接続するための接続インターフェイスである。図面サーバ20は、この通信装置26を介して図面データをタブレット型端末装置50へ送信する。
表示装置28は、液晶ディスプレイなどの表示デバイスを備えており、記憶された設計図面などを表示できるようになっている。
RAM30は、CPU22が図面の管理処理などを行う際に、ワーキングメモリを提供する読み書き可能なメモリである。
入力装置31は、各種データを入力する働きをする。
記憶装置34は、例えばハードディスクなどの大容量記憶媒体を備えており、図面データの管理を行う図面管理プログラム36、図面DB(データベース)38などを記憶している。
【0014】
図3は、計測装置100で用いるタブレット型端末装置50の構成を示した図である。
このタブレット型端末装置50は、CPU52、ROM54、通信装置56、表示装置58、RAM62、画像入力装置64、記憶装置66を備えている。
CPU52は、本実施形態における図面表示プログラム等の各種プログラムに従った情報処理を実行することで、タブレット型端末装置50の各部を統括的に制御する。
ROM54は、CPU52が実行するための各種プログラムや当該プログラムの実行に必要なパラメータ等を記憶した読み取り専用メモリである。
表示画面51は、液晶ディスプレイなどの表示デバイスであり、所定の縮尺で設計図面などの図面データを表示できるようになっている。この表示画面51の「表示画面のピクセル数/表示画面の実際の表示領域の実寸」で表される数値である表示画面52の表示密度データは、後述する表示密度記憶部69に記憶されている。
通信装置56は、インターネットなどのネットワークに接続するための通信用インターフェイスである。この通信装置56を介して図面サーバ20からデジタル図面を受信するようになっている。
この通信装置56は、デジタル図面取得手段として機能するが、デジタル図面は他の方法で取得してもよい。例えば、USB(Universal Serial Bus)等の半導体メモリを介して取得するようにしてもよい。さらに、タブレット型端末装置50の記憶装置66から直接取得するようにしてもよい。この場合、記憶装置66は、予めデジタル図面の図面データを記憶している。
また、デジタル図面の図面データを記憶しているPCに有線接続または無線接続することで、PCから取得するようにしてもよい。
【0015】
RAM62は、CPU52が図面の管理処理などを行う際に、ワーキングメモリを提供する読み書き可能なメモリである。
画像入力装置64は、タッチパネルのことで、表示画面51に表示された「選択キー」の選択や、ユーザの指等による図面データの拡大、縮小の指示を検出する。
記憶装置66は、例えばハードディスクやEEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)などの大容量記憶媒体を備えており、図面データを拡大・縮小して表示する図面表示プログラム68などを記憶している。
CPU52が、この図面表示プログラム68を実行することで、受信したデジタル図面に含まれる属性情報を参照し、表示画面51の表示密度と比較して、選択された固定縮尺での設計図面を表示画面51に表示する。また、表示画面51に、指定された縮尺に応じてデジタル図面の図面データを拡大・縮小表示する。
また、記憶装置66は、表示密度記憶部69を備えており、上述した表示密度を記憶している。
表示密度はppiという単位で表示されることもある。ppiは1インチにどれだけの画素(ピクセル)が含まれるかを表した値であり、dpi(1インチあたりのドット数)で表示される場合もあり、表示画面の解像度とも呼ばれる。
さらに、記憶装置66は、ルーラーデータ記憶部70を備えており、各表示要求縮尺、例えば、「1/25」、「1/50」、「1/100」、「1/150」、「1/200」、「1/250」、「1/300」といった固定した値に対応したルーラー150の目盛りを記憶している。
【0016】
次に、本実施形態で用いるデジタル図面について説明する。
図面サーバ20の図面DB(データベース)38に保管されているデジタル図面は、図面そのものを表示するための図面データと、この図面データの属性を表す属性情報を構成要素としている。
属性情報としては、例えばデジタル図面を紙面に実寸印刷した際の縮尺を表す縮尺データ(つまり、何分の一という縮尺の数値からなるデータ)、縦と横の解像度(ラスタ形式の図面データの場合)等が含まれる。
ここで、解像度とは、ビットマップの密度のことであり、dpiという単位で表示される。dpiとは、1インチにどれだけのドット(ビットマップ)が含まれているかを表した値であり、このdpiの値が大きいほど、図面(画像)を細かい階調でより美麗に表現できる。
【0017】
デジタル図面の図面データは、ベクタ形式のデータで構成されていても、ラスタ形式(ビットマップ形式)のデータで構成されていてもよい。
ここで、ベクタ形式のデータとは、コンピュータ内で処理する図面(図形)のデータを全て数値で管理する方式である。このベクタ方式では、図面(図形)を各頂点などの座標データとして保持しており、表示されるごとに輪郭となる線の情報を演算処理することで表現する。そのため、図面(図形)のサイズの変更や変形を施せば、それに応じた図面(図形)を表示できる。従って、修正・変形などを多々行う設計図面などに適した方式である。また、拡大・縮小表示を頻繁に行うタブレット型端末装置で用いるのにも適した方式である。
一方、ラスタ形式のデータとは、画像をビットマップで構成する方式である。
【0018】
デジタル図面のデータがベクタ形式であり、紙面印刷時の縮尺が50分の1であった場合、縮尺データは、「1/50」である。
一方、図面データがラスタ形式の場合は、縦横方向それぞれの図面解像度も属性情報として保持する。
タブレット型端末装置50の表示画面51では、縦と横の表示密度が異なっている装置がある。例えば、縦150dpi、横100dpiで表示する装置が存在する。
そのため、縦横比の違いを縦横各々の表示密度を使って演算して、図面データを表示画面51に表示する必要がある。
また、ラスタ形式の図面データ(ビットマップデータ)の場合、属性情報として縮尺データに加え、縦方向の図面解像度と横方向の解像度の両者を保持し、管理する必要がある。
【0019】
従来のように、図面サーバ20より送信されたデジタル図面の図面データをそのまま表示画面51上に表示しても、必ずしも実寸に準拠した縮尺で表示することはできなかった。これは、表示画面の密度が各々の機器で相違し、この相違を考慮しないで、表示を行っていたためである。従って、例えば「実寸表示」とされているものでも、表示画面の密度を考慮していないので、正確な「実寸表示」ではなく、概ねの表示に過ぎなかった。
そこで、本実施形態では、表示画面51の表示密度を考慮してデジタル図面の図面データを表示画面に応じたスケールに置き換えた上で、要求された縮尺のデジタル図面の図面データを生成する。すると、実寸印刷時の縮尺データに準拠したデジタル図面の図面データが表示できる。
ところで、表示密度とは、「表示画面のピクセル数/表示画面の実際の表示領域の実寸」で表される数値のことであり、所定の単位あたりのピクセル数(ドット数)の縦横それぞれを表示密度記憶部69に記憶されている。
【0020】
次に、本実施形態を具体的数値を示して説明する。
ここで、公称密度とは、当該表示画面に1インチ当たりいくつのピクセル(ドット)が存在するかを当該表示画面のメーカーが公表した値である。
表示要求縮尺とは、ユーザがデジタル図面の図面データを表示する際に要求する縮尺のことであり、例えば、50分の1の表示要求縮尺がユーザからあった場合、この実施形態では、表示画面51に、実際の紙に印刷される50分の1の図面と左右とも全く同一のサイズで表示される。
【0021】
本実施形態に係るタブレット型端末装置50では、表示画面51の縦横それぞれの表示密度を保持する。即ち、この表示密度は、記憶装置66の表示密度記憶部69に記憶されている。
例えば、あるタブレット型端末装置50の表示画面51では、その縦方向の表示領域に対して、ピクセル数が768ピクセルで、実際の寸法が約148mm、横方向の表示領域に対して、1024ピクセル、約197mm、公称密度は132ppi(ピクセル・パー・インチ)である場合の「表示密度」は132となる。
ここで、本実施形態で用いる座標換算値について、説明する。
座標換算値とは、「(縮尺データ/表示要求縮尺)×表示密度」(式1)で表される値をいう。なお、以下、この式を(式1)という。この座標換算値を正確に求め、その値をベクタ形式の図面データの座標値に乗ずることで、表示画面51上に、正確に実寸に準拠した縮尺で図面データが表示される。この場合の図面データの座標値の単位は、表示画面の座標値の単位と同じインチとする。
なお、本実施形態では、座標換算値が縦横同値の場合について説明するが、異なる場合も存在する。この場合には、縦座標換算値、横座標換算値を個別に算出する。
【0022】
まず、図面データが、ベクタ形式であった場合について説明する。
表示する図面データの付属情報として、縮尺データ50分の1を保持しているとする。
このタブレット型端末装置50で最初に図面データを表示する場合、座標換算値は、「(縮尺データ/表示要求縮尺)×表示密度」(式1)から、縦・横方向とも次の値になる。
座標換算値=((1/50)/(1/50))×132=132
そして、このタブレット型端末装置50が、ベクタデータ形式の図面データの座標値に、算出した座標換算値132を乗じる演算処理を行い、デジタル図面の図面データを表示画面51に表示する。
【0023】
また、タブレット型端末装置50で選択された表示要求縮尺が100分の1である場合の座標換算値は、縦・横方向ともに上記(式1)から次の値になる。
座標換算値=((1/50)/(1/100))×132=66
そして、このタブレット型端末装置50が、ベクタデータ形式の図面データの座標値に、算出した座標換算値66を乗じる演算処理を行い、デジタル図面の図面データを表示画面51に表示する。
【0024】
次に、図面データが、ラスタ形式であった場合について説明する。
この場合も表示する図面データの付属情報として、縮尺データ50分の1に加えて、縦横の解像度として600dpiを保持しているものとする。
一方この表示画面51の表示密度が132ppi(ピクセル・パー・インチ)であったものとする。
ここで、タブレット型端末装置50分の1の表示要求縮尺の選択をユーザから受けると、図面データがラスタ形式であった場合、座標換算値は、「(縮尺データ/表示要求縮尺)×表示密度」(式1)を図面解像度で除した値となることから、縦・横方向と50/50×132/600=0.22となる。
【0025】
そして、このタブレット型端末装置50が、ラスタデータのピクセル座標値に0.22を乗じる演算処理を行い、デジタル図面の図面データを表示画面51に表示する。
また、タブレット型端末装置50から100分の1の表示要求縮尺の選択をユーザから受けると、座標換算値は、「(縮尺データ/表示要求縮尺)×表示密度」(式1)から、縦・横方向とも50/100×132/600=0.11となる。
そして、このタブレット型端末装置50が、ラスタデータのピクセル座標値に0.11を乗じる演算処理を行い、デジタル図面の図面データを表示画面51に表示する。
【0026】
次に、本実施形態に係るタブレット型端末装置50における、表示画面51への図面データとルーラー150の表示の具体例をあげて説明する。
図5は、図面サーバ20から受信したデジタル図面の図面データ(設計図面)を、表示画面51に表示したところを示した図である。この例では、縮尺データとして100分の1を保持していたため、最初に図面データを表示する場合の表示要求縮尺のデフォルト値として、図面データの縮尺データ1/100を用いて表示している。
この表示している縮尺を明示するため、表示画面51の左上に縮尺表示「1/100」を表示している。なお、この縮尺表示はユーザの選択により、非表示にすることも可能である。
この例では、最初の表示を受信したデジタル図面の付属情報である縮尺データに応じた表示としたが、本実施形態はこれに限られない。例えば、一律に決まった縮尺で表示するようにしてもよいし、その都度、事前にユーザからの設定を受け付けるようにしてもよい。
この表示画面51に表示された図面データ(設計図面)は、この図面データを実寸印刷したときと全く同一のサイズである。
【0027】
ここで、タブレット型端末装置50は、表示画面51の右下のコーナーに縦横それぞれの方向に、画面サイズの2分の1程度の長さのルーラー150を表示する。このルーラー150には、「1/100」に対応した目盛りが付してあり、このルーラー150の目盛り読み取ることで、表示画面51に表示されている図面データの実際の寸法・距離を計測することができる。
なお、このルーラー150に付されている目盛りは、三角スケールの、表示縮尺「1/100」に対応する目盛りと全く同寸である。
従って、この表示画面51に直接三画スケールの「1/100」に対応した目盛りを読み取ることでも、実際の寸法、距離を計測できる。
タブレット型端末装置50によるルーラー150の表示は、ユーザからユーザの選択を受けて行うようになっている。具体的には、表示画面51上の「表示モード」ボタン300の押下を検知した後、ルーラー150を表示するようにする。また、図面データを表示する際、一律にルーラー150を表示する設定としてもよい。
なお、タブレット型端末装置50は、表示するルーラーの目盛りを、表示要求縮尺に対応した目盛りをルーラーデータ記憶部70から取得して、表示している。
【0028】
この例で表示されているルーラー150は、概ね表示画面51の横方向の1/2の長さであるが、3/4程度の長さとしてもよい。また、ルーラー150を下面、右面全体に表示するようにしてもよい。
ここで、以後、図5に示すような、ルーラー150が表示されているが、図面データが拡大、縮小が可能な状態を「表示モード」、ルーラー150が表示されて、且つ図面データが拡大、縮小が不可能となり、計測を行う状態を「計測モード」とよぶこととする。
【0029】
次に、図6、図7を参照して、表示する図面データの縮尺を変更し、同時にルーラー150の目盛りを変更する手順を説明する。
本実施形態に係るタブレット型端末装置50では、表示画面51に、紙図面で一般に使用される固定縮尺で実寸表示要求を出すことができる。図6に示した例では、表示画面51の左上の縮尺表示に示すように、「1/100」で図面データを表示している。これを2倍に拡大し、「1/50」で表示する場合について説明する。
ユーザが、表示画面51の左上に表示されている縮尺表示「1/100」(図5参照)を選択すると、タブレット型端末装置50は、図6に示すように、複数の固定縮尺を表示した固定縮尺メニュー200をプルダウンメニュー表示する。
このように、タブレット型端末装置50が固定縮尺メニュー200を表示することで、ユーザは次に表示したい所望の縮尺を簡単に選択することができる。
この固定縮尺メニュー200には、例えば、1/20、1/50、1/100、1/200、といった、三角スケールでの計測で一般的に用いられている数値に対応して表示されている。
【0030】
ここで、ユーザから、固定縮尺メニュー200の「1/50」縮尺の選択を受け付けたとする。この値が「表示要求縮尺」となる。
タブレット型端末装置50は、選択された表示要求縮尺と、デジタル図面の属性情報(縮尺データ「1/100」)、および表示画面51の表示密度とから、座標換算値を算出し、表示画面51に図面データを実寸表示する。
具体的には、上記したタブレット型端末装置50の例で、ベクタ形式の図面データを表示する場合、座標換算値は、式1の「(縮尺データ/表示要求縮尺)×表示密度」から、縦・横方向ともに((1/100)/(1/50))×132=264となる。
そして、このタブレット型端末装置50が、ベクタ形式の図面データの各座標値に座標換算値264を乗じる演算処理を行い、デジタル図面の図面データを表示画面51に表示する。
【0031】
図7は、ユーザの選択に従って、縮尺「1/50」で図面データを表示したところを示した図である。
この図7に示されるように、選択前の図5に比べて図面データは縦横共に2倍の大きさで表示されている。
その際、表示画面51の左上には、図7に示すように、縮尺表示として、現在ユーザによって選択されている固定縮尺(「1/50」)が明示される。
ここで、表示画面51の右下のコーナーに縦横それぞれの方向に、表示されていたルーラー150は、それ自体の長さに変更はないが、付されている目盛りが、「1/100」に対応した目盛りから「1/50」に対応したものに変更表示されている。
このルーラー150に付されている目盛りは、三角スケールの、表示縮尺「1/50」に対応する目盛りと全く同寸である。
【0032】
次に、タブレット型端末装置50によるデジタル図面の固定縮尺による表示と処理の手順について、図8のフローチャートを参照して説明する。
この固定縮尺による表示処理は、CPU52が図面表示プログラム68を実行することで行われる。
まず、CPU52は、ユーザからタブレット型端末装置50に表示する設計図面の指定要求を受け付けると、ネットワークを介して図面サーバ20にアクセスする。このとき、必要に応じて、ユーザの指定情報(ユーザIDやパスワード)を図面サーバ20に送信する。
その後、ユーザが所望のデジタル図面の図面番号等を選択、または入力すると、CPU52は、図面サーバ20に、図面番号等を送信してデジタル図面を要求する。
この要求に対して、図面サーバ20から当該指定された図面番号等に該当するデジタル図面が送信されると、CPU52は通信装置56を介してデジタル図面を受信する(ステップ10)。以下、デジタル図面の図面データは、ベクタ形式である場合を例に説明する。
次に、CPU52は、ステップ10で受信したデジタル図面から属性情報を抽出する(ステップ11)。具体的には、図面データがベクタ形式なので、縮尺データを抽出する。なお、図面データがラスタ形式である場合には、さらに解像度も抽出する。
【0033】
次に、CPU52は、表示密度記憶部69に記憶されている表示画面51の表示密度を取得し、この表示密度と属性情報として取得した縮尺データを用いて、表示画面51に図面データを表示する(ステップ12)。
すなわちCPU52は、式1に基づき座標換算値を演算処理する際、図面データの縮尺データをデフォルトの表示要求縮尺として用いる。そしてCPU52は、図面データの各座標値に、演算処理で求めた座標換算値を乗じることで、図6に示すように、図面データ(設計図面)を表示画面51に表示する。このとき、同時に、表示画面51の左上に縮尺表示「1/100」の表示を行う。
【0034】
次に、CPU52は、ユーザからルーラー150の表示要求があるか否かを判断する(ステップ13)。具体的には、表示画面51に表示した「表示モード」ボタン300の押下を検出するか否かを判断する。
その結果、CPU52が、「表示モード」ボタン300の押下を検出した場合(ステップ13;Y)、表示画面51の右下コーナーから縦方向と、横方向に2本のルーラー150を表示する(ステップ14)。このときの、ルーラー150の目盛りは、CPU52が、ルーラーデータ記憶部70から、「表示要求縮尺」、「1/100」に対応した目盛りのデータを取得し、表示する。
一方、CPU52が、「表示モード」ボタン300の押下を検出しない場合(ステップ13;N)、ルーラー150の表示は行わない。
【0035】
次に、CPU52は、ユーザから表示する縮尺を変更するための固定縮尺メニュー200の表示要求を受けると(ステップ15;Y)、CPU52は、図7に示すように、表示画面51の左上に複数の固定縮尺が記載された固定縮尺メニュー200を表示する(ステップ16)。
次に、CPU52は、ユーザより、表示画面51に表示した固定縮尺メニュー200から、特定の固定縮尺の選択を受け付ける(ステップ17)。
【0036】
次に、CPU52は、ステップ17にて固定縮尺の選択を受け付けると、受け付けた固定縮尺を表示要求縮尺として、ステップ12で行った演算処理と同様の演算処理を行う。即ち、縮尺データと表示密度に変更はないので、CPU52は選択された固定縮尺「1/50」を「表示要求縮尺」をとして、式1に基づいて座標換算値を演算し、求めた座標換算値を用いて、図7に示すように、図面データを表示画面51に表示する。このとき、CPU52は、同時にルーラーデータ記憶部170から「表示要求縮尺」、「1/50」に対応した目盛りのデータを取得し、目盛りを変更して表示する(ステップ18)。
このときCPU52は、図7に示すように、図面データ(設計図面)とともに、選択された固定縮尺の値「1/50」縮尺表示として表示画面51の左上に表示する。
【0037】
その後、CPU52は、ユーザからの他の固定縮尺値による表示要求(固定縮尺の選択)があるか否かを判断し(ステップ19)、あると判断した場合(ステップ19;Y)、ステップ16以降の処理を継続する。
一方、CPU52は、ユーザからの他の固定縮尺値による表示要求がないと判断した場合(ステップ19;N)、本フローチャートに係る処理を終了する。
なお、「表示モード」から「計測モード」移る処理は、後に説明する。
【0038】
次に、図9、図10を参照して、「表示モード」での計測を説明する。この「表示モード」とは、ルーラー150が表示されているが、図面データの拡大、縮小が可能な表示画面51の状態をいう。
この「表示モード」では、ルーラー150は、可動させることはできない設定となっているため、被計測対象である図面データをルーラー150の方へ移動させることで、計測を行う。図9は、この「表示モード」を示している。
図面データの移動は、ユーザの指で図面データを指定し、且つタッチパネルとなっている画像入力装置64から検知する指を、表示画面51上を沿って動かすことで行う。図10は、図面データをルーラー150に接するまで移動したところを示している。こうすることで、「表示モード」でも計測を行うことができる。
【0039】
図9、図10に示す例では、表示要求縮尺が「1/123」である。上記で説明した座標換算値は、(式1)の「(縮尺データ/表示要求縮尺)×表示密度」で求められる。このうち、「縮尺データ」と「表示密度」が不変であるため、「表示要求縮尺」を「1/123」として、座標換算値を求める。そして、このタブレット型端末装置50が、ベクタデータ形式の図面データの座標値に、算出した座標換算値を乗じる演算処理を行い、デジタル図面の図面データを表示画面51に表示する。
従って、本実施形態では、表示要求縮尺が、「1/25」、「1/50」、「1/100」、「1/150」、「1/200」、「1/250」、「1/300」といった固定した値でなくても対応可能である。
【0040】
次に、タッチパネルとなっている画像入力装置64からの入力により、表示画面51に表示されている図面データの拡大、縮小について説明する。
本実施形態では、タブレット型端末装置50が、ユーザの指の動きを検知して、その検知した指の動きの大きさに対応した図面データの拡大、縮小表示を行う。これは、検知した指の動きで、上記表示要求縮尺を変化させていることとなる。こうすることで、例えば、表示要求縮尺を「1/122」から「1/123」、そして「1/124」へと変化させ、また、「1/123」と戻すことで、微妙に図面データの拡大、縮小を行うことができる。
【0041】
次に、ルーラー150の目盛りについて説明する。
ユーザの表示要求縮尺が、ルーラーデータ記憶部70に記憶されている、例えば、「1/25」、「1/50」、「1/100」、「1/150」、「1/200」、「1/250」、「1/300」といった固定した値であれば、タブレット型端末装置50は、記憶してあるルーラー150の目盛りを表示画面51の所定位置に表示すればよい。
また、ユーザの表示要求縮尺が変化した場合、前記した座標変換値を基に、ルーラー150の目盛りの間隔を広げたり、狭めたりする調整を行えばよい。
但し、ユーザの表示要求縮尺が大きく変化した場合、基準となるルーラー150の目盛りを換えた方がユーザにとって使いやすいことがある。
具体的には、最初の表示要求縮尺が「1/100」で、これが徐々に拡大し、「1/50」になったとする。当初は、「1/100」の目盛りの間隔を徐々に広げていけばよいが、例えば中間点の「1/75」を越えた段階で「1/50」の目盛りを基準に換え、「1/50」の目盛りの間隔を狭めたルーラー150を表示する。
この表示するルーラー150の基準となる目盛りを変更する段階は、中間点に限らず、適宜決定することができる。
【0042】
次に、図11、図12を参照して、「計測モード」における計測について説明する。
タブレット型端末装置50が、ユーザからの計測モードボタン400の押下を検知すると、表示画面51は、「表示モード」から「計測モード」へ移行する。この「計測モード」へ移行すると以後、図面データの拡大、縮小ができなくなる。
ここで、タブレット型端末装置50が、タッチパネルとなっている画像入力装置64からの入力により、表示しているルーラー150への指またはペンでのタッチを検出したとする。
この検出が1箇所であった場合、ルーラー150は、指またはペンの指示(動き)に従って、表示画面51内を上下方向、または左右方向に平行移動する。図11に示す例では、ルーラー150を左右方向に平行移動させ、計測したい部分に当てて、ルーラー150の値を目視で読み取ることができる。即ち、ルーラー150は、三角スケールと同じ役割を果たすこととなる。
【0043】
タブレット型端末装置50が、表示しているルーラー150への指またはペンによるタッチを2箇所で検出した場合、ルーラー150は、2箇所で示される角度に沿って移動する。図12に示す例では、ルーラー150を斜め方向に移動させ、図面データの対角線方向の寸法を計測している。
この例では、ルーラー150をデジタル図面内の任意の方向に置いて、値を目視で読み取ることができる。
【0044】
次に、2点間の寸法、距離を数値で表示する「デジタル計測モード」について説明する。
図13は、2点間の距離を正確に、デジタル表示する「デジタル計測モード」の例を示した図である。この例では、ユーザは、ルーラー150を使っての目視で読み取るのではなく、デジタル的に表示された数値を読み取る。
タブレット型端末装置50が、「計測モード」で、ユーザからの計測モードボタン400の押下をさらに検知すると、「デジタル計測モード」に移行する。
タブレット型端末装置50が、タッチパネルとなっている画像入力装置64からの入力により、表示画面51の図面データへの指またはペンでのタッチを順に2箇所検出したとする。ここで、タブレット型端末装置50は、検出した2箇所の座標データを取得し、上記した座標変換値を用いて演算処理し、現実世界での寸法を求める。
図13に示す例では、実際の数値である「12,345mm」が、表示画面51に表示されている。
図14は、「デジタル計測モード」において、計測したい2点間をより正確に計測するための「ポインタの表示とオフセット機能」を使用する例を示した図である。
表示画面51上で、指で操作をする場合、指が邪魔をして、正確な位置を指すことが難しい場合がある。タブレット型端末装置50がユーザからの「ポインタ」ボタン500の押下を検知すると、表示画面51は、例えば指の左上各10mmずらした位置にポインタ510を表示する。このポインタ510は、指の動きに連動して移動するようになっているので、正確な位置決めが可能となる。
【0045】
図15は、「デジタル計測モード」において、計測したい2点間をより正確に計測するために図面データを部分的に拡大する例を示した図である。
図15に示した例では、タブレット型端末装置50が、ユーザからの指の長押しを検知すると、表示画面51に表示されている図面データを、指もしくはポインタ510付近を中心として、縦横方向それぞれ2倍に拡大表示する。さらに長押しを続けると、図面データは、さらに縦横方向それぞれ2倍(計4倍)に拡大表示する。
ここで、タブレット型端末装置50が、ユーザの指が表示画面51から離れたことを検知すると、表示画面51上の図面データを、計測開始時の縮尺に戻す(縮小する)。この操作を専用ペンで受け付けるようにしてもよい。
【0046】
また、他の方法として、タブレット型端末装置50が、1本の指を離さず、さらにもう1本の指を適当な間隔を開けて、表示画面51へのワンタッチを検出すると、図面データを、指もしくはポインタ付近を中心として、縦横方向それぞれ2倍に拡大表示する。タブレット型端末装置50が、さらにもう一度、ワンタッチを検知すると、図面はさらに縦横方向それぞれ2倍(計4倍)に拡大表示する。
ここで、タブレット型端末装置50が、最初の指を表示画面51から離すことを検知すると、表示画面51上の図面データを、計測開始時の縮尺に戻す(縮小する)。
この実施形態によれば、ルーラー150や三角スケールなどを使わなくても、正確な2点間の寸法が現実の寸法で表示される。
【0047】
続いて、本実施形態の「計測モード」における処理手順を図16のフローチャートを参照して説明する。この処理は、CPU52が図面表示プログラム68を実行することで行われる。
図16に示すように、まず、「表示モード」が設定されている状態で、(ステップ30)、CPU52が、計測モードボタン400の押下を検知すると(ステップ31;Y)、表示画面51を、「表示モード」から「計測モード」へ移行させる。この「計測モード」へ移行すると以後、図面データの拡大、縮小ができなくなる(ステップ32)。
ここで、CPU52が、表示しているルーラー150への指またはペンでのタッチを1箇所検出すると(ステップ33;Y)、ルーラー150を指またはペンでの操作に従い、上下、左右に平行移動可能な状態にする(ステップ34)。
また、CPU52が、表示しているルーラー150への指またはペンでのタッチを2箇所検出すると(ステップ35;Y)、2点で示す角度に従って、ルーラー150を斜め方向に移動可能な状態にする(ステップ36)。
【0048】
次に、CPU52が、さらに、「計測モード」ボタン400の押下を検知すると(ステップ37;Y)、表示画面51を「デジタル計測モード」へ移行させる(ステップ38)。
この「デジタル計測モード」は、2点間の寸法、距離を正確に計測し、その計測値を換算した実測の数値で表示する。そのため、2点の指定を正確に受け付ける必要がある。
そこで、CPU52は、ポインタボタン500の押下を検知すると、指の付近にポインタ510を表示する。また、CPU52は、指の長押し、または1本の指を離さず、さらにもう1本の指を適当な間隔を開けて、表示画面51へのワンタッチを検出すると、指もしくはポインタ510付近を中心として、縦横方向それぞれ2倍に拡大表示する。さらに長押し、またはさらにもう一度、ワンタッチを検知すると、図面データは、さらに縦横方向それぞれ2倍(計4倍)に拡大表示する。このようにして、正確に位置を検出できるようにしている。
【0049】
CPU52が、表示画面51上で2点の指示を検出すると(ステップ39;Y)、2点の座標データを取得し、座標換算値を用いて、演算処理を行うことで2点間の実際の寸法、距離を求める(ステップ40)。
そして、CPU52は、求めた実際の数値で寸法、距離を表示する(ステップ41)。
その後、「デジタル計測モード」から「計測モード」へ戻る要求があると(ステップ42;Y)、ステップ32へ戻り、「計測モード」に戻る要求がなければ(ステップ42;N)、「計測モード」での処理を終了し、本フローチャートに係る処理を終了する。
【0050】
以上説明した本実施形態や変形例では、設計図面を中心に説明したが、本発明は、これに限定されることなく、例えば、地図の表示などにも応用することができる。
また、本実施形態は、実物を縮小して表示する図面データだけでなく、実物を実寸で表示する図面データにも対応できる。紙の図面と比較して、携帯に便利であり、また、表示画面51上で、通常の定規を使って、寸法を計測することもできる。
さらに、本実施形態では、実物を拡大して表示することも可能である。微細なものの図面データを表示画面51に拡大して表示することで、内容を詳細に把握したり、正確に計測したりすることができる。
例えば実寸の10倍スケールのルーラー150、20倍スケールのルーラー150等を用意すれば、換算が不要となる。
本実施の形態では、デジタル図面の解像度とタブレット型端末装置50の表示画面51の表示密度を使って、デジタル図面の図面データを実縮尺で表示する例を説明したが、本発明はこれに限られない。デジタル図面で表示する図面データと表示するルーラー150とが厳密に対応していれば、正確な計測は可能である。従って、表示画面51の表示密度を厳格に管理しなくても、計測の正確さには影響を及ぼさない。
【符号の説明】
【0051】
20 図面サーバ
50 タブレット型端末装置
51 表示画面
68 図面表示プログラム
69 表示密度記憶部
70 ルーラーデータ記憶部
100 計測装置
300 「表示モード」ボタン
400 「計測モード」ボタン
500 ポインタボタン
510 ポインタ
【技術分野】
【0001】
本発明は、タブレット型端末装置の表示画面に、所定の縮尺で表示された設計図面などの図面データで、寸法、距離を計測する計測装置および計測プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建築現場や土木工事の現場等では、紙面に印刷された図面を用いて、ユーザが修正箇所への加筆や寸法計測を行っていた。ただし、上記現場では、使用する図面が膨大な枚数となる場合や図面に筆記具で加筆するための机やスペースが無いような場合もあるので、紙面に印刷された図面の持ち運び/その図面を用いた作業はユーザの負担が大きかった。
そこで、図面データベース等に管理された、紙面印刷用の図面データを、手軽に持ち運び出来るタブレット型端末装置等の端末装置で利用することが注目されている。
図1には、タブレット型端末装置50の表示画面51に図面データ(設計図面)を表示したところを示している。このようなタブレット型端末装置に図面データを表示することで、上記現場でも、ユーザは簡単に図面の閲覧、確認および加筆・修正を行うことができる。そのため、紙面に印刷された図面を用いた場合に比して、ユーザの利便性は大いに向上している。
【0003】
特許文献1記載の発明では、CADのシステムにおいて、ディスプレイの表示画面上に目盛り付きスケールを表示し、このスケールを動かすことで、スケールに沿って、描線をしたり、寸法を計測したりする装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−259295号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、図面データベース等で管理されたデジタル図面自体が、いくら実寸に準拠した縮尺データを保持していても、端末装置の表示画面(モニタ)に表示させると、その表示画面の属性(ピクセル数やその密度など)次第で、実寸に準拠した縮尺と異なる縮尺で表示されてしまうという問題があった。例えば、現場でユーザが三角スケール等の計測器具を用いて、端末装置の表示画面に表示された図面から直接寸法計測を行おうとしても、正確な寸法が得ることができなかった。これは、紙面に印刷された図面を用いた場合に比して、不便な点であった。また、上記の端末装置では、指等の操作で自由に図面データのサイズを拡大縮小できるが、寸法、距離の計測も三角スケール等の計測器具を用いずに、当該端末装置自体の機能として行えれば、ユーザの利便性は大いに向上する。
そこで、本発明の第1の目的は、表示画面に図面データを表示した際、当該図面データの縮尺に応じて、目盛りが可変のルーラー(定規)を表示し、どのような縮尺で図面データを表示しても、距離、寸法の計測が可能なルーラーを表示する計測装置および計測プログラムを提供することである。
本発明の第2の目的は、表示画面に図面データを表示した際、2点を指定することで、2点間の実測寸法、距離を表示する計測装置および計測プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明では、デジタル図面の図面データを表示画面に表示する計測装置であって、前記図面データを実寸印刷する際の縮尺データを備えたデジタル図面を受信するデジタル図面受信手段と、前記表示画面の表示密度に関するデータを記憶する表示密度データ記憶手段と、前記デジタル図面受信手段で受信したデジタル図面から縮尺データを抽出する縮尺データ抽出手段と、前記表示画面に表示するための縮尺である表示要求縮尺の設定を受け付ける表示要求縮尺受付手段と、前記表示密度データ記憶手段に記憶された表示密度データと、前記縮尺データ抽出手段で抽出した縮尺データと、前記表示要求縮尺受付手段で受け付けた表示要求縮尺とから演算処理を行い、前記表示画面にデジタル図面の図面データを表示する表示手段と、前記表示手段で表示された図面データを計測するためのルーラーを表示するルーラー表示手段と、を備え、前記ルーラー表示手段で表示されるルーラーの目盛りを、前記表示手段で行った演算処理で求められた値に基づいて設定することを特徴とする計測装置を提供することにより、前記第1の目的を達成する。
請求項2記載の発明では、請求項1記載の発明において、前記表示手段で表示された図面データの指定を受け付ける図面データ指定受付手段と、前記図面データ指定受付手段で受け付けた図面データを、受けた指示に基づいて、表示画面内を移動させる図面データ移動受付手段と、を備えたことを特徴とする。
請求項3記載の発明では、請求項1または請求項2記載の発明において、前記ルーラー表示手段で表示されたルーラーの指定を受け付けるルーラー指定受付手段と、前記ルーラー指定受付手段で受け付けたルーラーが受けた指示に基づいて、表示画面内を移動させるルーラー移動受付手段と、を備えたことを特徴とする。
請求項4記載の発明では、請求項3記載の発明において、前記ルーラー指定受付手段でルーラーの指定を受け付けた際、当該ルーラーの2点での指示を検出した場合、前記ルーラー移動受付手段が、ルーラーが受けた指示に基づいて、表示画面内を移動させる際、2点で指示された角度に基づいてルーラーを移動させることを特徴とする。
請求項5記載の発明では、デジタル図面の図面データを表示画面に表示する計測装置であって、前記図面データを実寸印刷する際の縮尺データを備えたデジタル図面を受信するデジタル図面受信手段と、前記表示画面の表示密度に関するデータを記憶する表示密度データ記憶手段と、前記デジタル図面受信手段で受信したデジタル図面から縮尺データを抽出する縮尺データ抽出手段と、前記表示画面に表示するための縮尺である表示要求縮尺の設定を受け付ける表示要求縮尺受付手段と、前記表示密度データ記憶手段に記憶された表示密度データと、前記縮尺データ抽出手段で抽出した縮尺データと、前記表示要求縮尺受付手段で受け付けた表示要求縮尺とから演算処理を行い、前記表示画面にデジタル図面の図面データを表示する表示手段と、前記表示手段で表示された図面データの2箇所の指定を受け付ける計測箇所指定受付手段と、前記計測箇所指定受付手段で指定を受け付けた2箇所間の距離を前記表示手段で行った演算処理で求められた値に基づいて算出する距離算出手段と、前記距離算出手段で算出された値を実際の距離で表示する距離表示手段と、を備えたことを特徴とする計測装置を提供することで、前記第2の目的を達成する。
請求項6記載の発明では、請求項5記載の発明において、前記計測箇所指定受付手段で2箇所の指定を受け付ける際、図面データの1点を指示するためのポインタの表示要求を受け付けるポインタ表示要求受付手段と、前記ポインタ表示要求受付手段でポインタの表示要求を受け付けた際、表示画面の指定された箇所にポインタを表示するポインタ表示手段と、備えたことを特徴とする。
請求項7記載の発明では、請求項5または請求項6記載の発明において、前記計測箇所指定受付手段で2箇所の指定を受け付ける際、図面データの部分的な拡大要求を受け付ける拡大要求受付手段を備え、前記表示手段は、前記拡大要求受付手段の要求に従って、図面データを部分的に拡大して表示することを特徴とする。
請求項8記載の発明では、デジタル図面の図面データを表示画面に表示する計測装置であって、前記表示画面の表示密度に関するデータを記憶する表示密度データ記憶手段を備えた計測装置において、前記図面データを実寸印刷する際の縮尺データを備えたデジタル図面を受信するデジタル図面受信機能と、前記デジタル図面受信機能で受信したデジタル図面から縮尺データを抽出する縮尺データ抽出機能と、前記表示画面に表示するための縮尺である表示要求縮尺の設定を受け付ける表示要求縮尺受付機能と、前記表示密度データ記憶手段に記憶された表示密度データと、前記縮尺データ抽出機能で抽出した縮尺データと、前記表示要求縮尺受付機能で受け付けた表示要求縮尺とから演算処理を行い、前記表示画面にデジタル図面の図面データを表示する表示機能と、前記表示機能で表示された図面データを計測するためのルーラーを表示するルーラー表示機能と、を備え、前記ルーラー表示機能で表示されるルーラーの目盛りを、前記表示機能で行った演算処理で求められた値に基づいて設定することをコンピュータに実行させる計測プログラムを提供することで、前記第1の目的を達成する。
請求項9記載の発明では、デジタル図面の図面データを表示画面に表示する計測装置であって、前記表示画面の表示密度に関するデータを記憶する表示密度データ記憶手段を備えた計測装置において、前記図面データを実寸印刷する際の縮尺データを備えたデジタル図面を受信するデジタル図面受信機能と、前記デジタル図面受信機能で受信したデジタル図面から縮尺データを抽出する縮尺データ抽出機能と、前記表示画面に表示するための縮尺である表示要求縮尺の設定を受け付ける表示要求縮尺受付機能と、前記表示密度データ記憶手段に記憶された表示密度データと、前記縮尺データ抽出機能で抽出した縮尺データと、前記表示要求縮尺受付機能で受け付けた表示要求縮尺とから演算処理を行い、前記表示画面にデジタル図面の図面データを表示する表示機能と、前記表示機能で表示された図面データの2箇所の指定を受け付ける計測箇所指定受付機能と、前記計測箇所指定受付機能で指定を受け付けた2箇所間の距離を前記表示機能で行った演算処理で求められた値に基づいて算出する距離算出機能と、前記距離算出機能で算出された値を実際の距離で表示する距離表示機能と、をコンピュータに実行させる計測プログラムを提供することで、前記第2の目的を達成する。
【発明の効果】
【0007】
請求項1から請求項4および請求項8記載の発明によれば、表示画面にどのような縮尺で、図面データを表示しても、併せて、表示されたルーラー(定規)を用いて簡単に実際の寸法、距離を計測できる。
また、請求項5から請求項7および請求項9記載の発明によれば、2点間の実測寸法をデジタルで表示するので、容易に実際の寸法を把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施形態に係る可変ルーラーを表示する計測装置の概略を説明する図である。
【図2】本実施形態に係る可変ルーラーを表示する計測装置の例を示した図である。
【図3】本実施形態で用いる図面サーバの構成を示したブロック図である。
【図4】計測装置で用いるタブレット型端末装置の構成を示した図である。
【図5】本実施形態に係るタブレット型端末装置の表示画面に所定の固定縮尺で図面データを表示した例を示した図である(表示モード)。
【図6】本実施形態に係るタブレット型端末装置の表示画面に所定の固定縮尺で図面データを表示した例を示した図である。
【図7】本実施形態に係るタブレット型端末装置の表示画面において選択された固定縮尺で図面データを表示したところを示した図である。
【図8】本実施形態の処理手順を示したフローチャートである。
【図9】本実施形態における「表示モード」での計測を説明する図である。
【図10】本実施形態における「表示モード」での計測を説明する図である。
【図11】本実施形態における「計測モード」でのルーラーを平行移動させての計測を説明する図である。
【図12】本実施形態における「計測モード」でのルーラーを斜め方向に移動させての計測を説明する図である。
【図13】本実施形態における「デジタル計測モード」での計測を説明する図である。
【図14】本実施形態における「デジタル計測モード」でポインタを表示したところを示した図である。
【図15】本実施形態における「デジタル計測モード」で、図面データの一部を拡大したところを示した図である。
【図16】本実施形態の処理手順を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態に係るタブレット型端末装置の表示画面に表示された図面データ内の寸法、距離の計測を行える計測装置を図1ないし図16を参照して詳細に説明する。
(1)実施形態の概要
図1のタブレット型端末装置を用いたシステムの概略に示すように、タブレット型端末装置50は、設計図面のデジタル図面を指定された縮尺で表示するよう指示を受けると、図面サーバ20に保管された設計図面のデジタル図面を取得して、表示画面51に紙面印刷時の設計図面と同様に、実寸に準拠した縮尺で当該デジタル図面に基づく設計図面、建築図面、土木図面などの図面データを表示する。
つまり、タブレット型端末装置50は、デジタル図面の縮尺データと、タブレット型端末装置の表示画面の表示密度データから、実寸に準拠した縮尺で、タブレット型端末装置50の表示画面51に設計図面を正確に表示できるようになっている。
同時に、計測装置100は、選択されている縮尺に合致したルーラー150を表示画面51に表示する。このルーラー150は、選択されている縮尺に応じて目盛りが変化するようになっており、どのような表示縮尺にも対応できるようになっている。
ユーザは、表示されたルーラー150を参照することで、当該図面内の凡その寸法を把握でき、且つ当該ルーラー150または図面自体を表示画面51内で移動させて、計測箇所に当該ルーラー150を当てることで、正確な計測を行うことができる。従って、ユーザは、三角スケールを用いて、紙に記載された図面を計測するのと同様に距離、寸法を計測することができる。
【0010】
(2)実施形態の詳細
まず、図1を参照して、本実施形態に係る計測装置100を説明する。
この実施形態で、デジタル図面とは、図面データとその図面データの付属情報を含んだものをいう。また、付属情報とは、当該図面データを実寸印刷する際の縮尺データ、当該図面データの解像度などを含んだものをいう。
図面データの実寸印刷とは、縮尺データに応じた印刷をすると、実際にその縮尺データの縮尺通り正確な寸法で印刷されることをいう。縮尺データ50分の1の図面データを実寸印刷すれば50分の1のサイズで図面が印刷される。
なお、本実施形態における計測端末100として、タブレットPC等のタブレット型端末装置を例に説明するが、ノート型パソコンや携帯電話機等の表示画面上に画像を表示する機能を備えた各種の携帯端末へ適宜に応用できる。
【0011】
設計図面などのデジタル図面の図面データを表示するためのタブレット型端末装置50は、インターネット等のネットワークを介して図面サーバ20と各種のデータの送受信が可能となっている。このタブレット型端末装置50は、薄型で比較的軽量であるため、携帯に適しており、例えば、建築現場、土木の作業現場、測量の現場などに持ち込むのに特に便利である。
【0012】
図2は、表示画面51にルーラー150を表示した状態を示している。このタブレット型端末装置50は、表示画面51の例えば右下部に表示画面51の横方向のサイズの約半分サイズのルーラー(定規)150を表示する。
本実施形態で用いるルーラー150は、(原寸)以外の尺度で描かれている図面の寸法を実際のサイズで計測するための定規である。例えば、縮尺が1/20の図面の場合、1/20に対応した目盛りを表示し、その寸法を読み取れば、その値がそのまま実測値となる。従って、このタブレット型端末装置50のユーザは、何らの換算等の面倒な計算をしないで簡単に実測値を得ることができる。
【0013】
次いで、図3および図4を参照して、図面サーバ20とタブレット型端末装置50の構成について説明する。
図3は図面サーバ20の構成を示した図である。
この図面サーバ20は、CPU(中央演算処理装置)22、ROM(リード・オンリ・メモリ)24、通信装置26、表示装置28、RAM(ランダム・アクセス・メモリ)30、入力装置32、記憶装置34を備えている。
CPU22は、各種プログラムに従って、情報処理を行ったり、図面サーバ20の各部を制御したりする。
ROM24は、図面サーバ20が動作するための基本プログラムやパラメータを記憶した読み取り専用メモリである。
通信装置26は、図面サーバ20をインターネットなどのネットワークに接続するための接続インターフェイスである。図面サーバ20は、この通信装置26を介して図面データをタブレット型端末装置50へ送信する。
表示装置28は、液晶ディスプレイなどの表示デバイスを備えており、記憶された設計図面などを表示できるようになっている。
RAM30は、CPU22が図面の管理処理などを行う際に、ワーキングメモリを提供する読み書き可能なメモリである。
入力装置31は、各種データを入力する働きをする。
記憶装置34は、例えばハードディスクなどの大容量記憶媒体を備えており、図面データの管理を行う図面管理プログラム36、図面DB(データベース)38などを記憶している。
【0014】
図3は、計測装置100で用いるタブレット型端末装置50の構成を示した図である。
このタブレット型端末装置50は、CPU52、ROM54、通信装置56、表示装置58、RAM62、画像入力装置64、記憶装置66を備えている。
CPU52は、本実施形態における図面表示プログラム等の各種プログラムに従った情報処理を実行することで、タブレット型端末装置50の各部を統括的に制御する。
ROM54は、CPU52が実行するための各種プログラムや当該プログラムの実行に必要なパラメータ等を記憶した読み取り専用メモリである。
表示画面51は、液晶ディスプレイなどの表示デバイスであり、所定の縮尺で設計図面などの図面データを表示できるようになっている。この表示画面51の「表示画面のピクセル数/表示画面の実際の表示領域の実寸」で表される数値である表示画面52の表示密度データは、後述する表示密度記憶部69に記憶されている。
通信装置56は、インターネットなどのネットワークに接続するための通信用インターフェイスである。この通信装置56を介して図面サーバ20からデジタル図面を受信するようになっている。
この通信装置56は、デジタル図面取得手段として機能するが、デジタル図面は他の方法で取得してもよい。例えば、USB(Universal Serial Bus)等の半導体メモリを介して取得するようにしてもよい。さらに、タブレット型端末装置50の記憶装置66から直接取得するようにしてもよい。この場合、記憶装置66は、予めデジタル図面の図面データを記憶している。
また、デジタル図面の図面データを記憶しているPCに有線接続または無線接続することで、PCから取得するようにしてもよい。
【0015】
RAM62は、CPU52が図面の管理処理などを行う際に、ワーキングメモリを提供する読み書き可能なメモリである。
画像入力装置64は、タッチパネルのことで、表示画面51に表示された「選択キー」の選択や、ユーザの指等による図面データの拡大、縮小の指示を検出する。
記憶装置66は、例えばハードディスクやEEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)などの大容量記憶媒体を備えており、図面データを拡大・縮小して表示する図面表示プログラム68などを記憶している。
CPU52が、この図面表示プログラム68を実行することで、受信したデジタル図面に含まれる属性情報を参照し、表示画面51の表示密度と比較して、選択された固定縮尺での設計図面を表示画面51に表示する。また、表示画面51に、指定された縮尺に応じてデジタル図面の図面データを拡大・縮小表示する。
また、記憶装置66は、表示密度記憶部69を備えており、上述した表示密度を記憶している。
表示密度はppiという単位で表示されることもある。ppiは1インチにどれだけの画素(ピクセル)が含まれるかを表した値であり、dpi(1インチあたりのドット数)で表示される場合もあり、表示画面の解像度とも呼ばれる。
さらに、記憶装置66は、ルーラーデータ記憶部70を備えており、各表示要求縮尺、例えば、「1/25」、「1/50」、「1/100」、「1/150」、「1/200」、「1/250」、「1/300」といった固定した値に対応したルーラー150の目盛りを記憶している。
【0016】
次に、本実施形態で用いるデジタル図面について説明する。
図面サーバ20の図面DB(データベース)38に保管されているデジタル図面は、図面そのものを表示するための図面データと、この図面データの属性を表す属性情報を構成要素としている。
属性情報としては、例えばデジタル図面を紙面に実寸印刷した際の縮尺を表す縮尺データ(つまり、何分の一という縮尺の数値からなるデータ)、縦と横の解像度(ラスタ形式の図面データの場合)等が含まれる。
ここで、解像度とは、ビットマップの密度のことであり、dpiという単位で表示される。dpiとは、1インチにどれだけのドット(ビットマップ)が含まれているかを表した値であり、このdpiの値が大きいほど、図面(画像)を細かい階調でより美麗に表現できる。
【0017】
デジタル図面の図面データは、ベクタ形式のデータで構成されていても、ラスタ形式(ビットマップ形式)のデータで構成されていてもよい。
ここで、ベクタ形式のデータとは、コンピュータ内で処理する図面(図形)のデータを全て数値で管理する方式である。このベクタ方式では、図面(図形)を各頂点などの座標データとして保持しており、表示されるごとに輪郭となる線の情報を演算処理することで表現する。そのため、図面(図形)のサイズの変更や変形を施せば、それに応じた図面(図形)を表示できる。従って、修正・変形などを多々行う設計図面などに適した方式である。また、拡大・縮小表示を頻繁に行うタブレット型端末装置で用いるのにも適した方式である。
一方、ラスタ形式のデータとは、画像をビットマップで構成する方式である。
【0018】
デジタル図面のデータがベクタ形式であり、紙面印刷時の縮尺が50分の1であった場合、縮尺データは、「1/50」である。
一方、図面データがラスタ形式の場合は、縦横方向それぞれの図面解像度も属性情報として保持する。
タブレット型端末装置50の表示画面51では、縦と横の表示密度が異なっている装置がある。例えば、縦150dpi、横100dpiで表示する装置が存在する。
そのため、縦横比の違いを縦横各々の表示密度を使って演算して、図面データを表示画面51に表示する必要がある。
また、ラスタ形式の図面データ(ビットマップデータ)の場合、属性情報として縮尺データに加え、縦方向の図面解像度と横方向の解像度の両者を保持し、管理する必要がある。
【0019】
従来のように、図面サーバ20より送信されたデジタル図面の図面データをそのまま表示画面51上に表示しても、必ずしも実寸に準拠した縮尺で表示することはできなかった。これは、表示画面の密度が各々の機器で相違し、この相違を考慮しないで、表示を行っていたためである。従って、例えば「実寸表示」とされているものでも、表示画面の密度を考慮していないので、正確な「実寸表示」ではなく、概ねの表示に過ぎなかった。
そこで、本実施形態では、表示画面51の表示密度を考慮してデジタル図面の図面データを表示画面に応じたスケールに置き換えた上で、要求された縮尺のデジタル図面の図面データを生成する。すると、実寸印刷時の縮尺データに準拠したデジタル図面の図面データが表示できる。
ところで、表示密度とは、「表示画面のピクセル数/表示画面の実際の表示領域の実寸」で表される数値のことであり、所定の単位あたりのピクセル数(ドット数)の縦横それぞれを表示密度記憶部69に記憶されている。
【0020】
次に、本実施形態を具体的数値を示して説明する。
ここで、公称密度とは、当該表示画面に1インチ当たりいくつのピクセル(ドット)が存在するかを当該表示画面のメーカーが公表した値である。
表示要求縮尺とは、ユーザがデジタル図面の図面データを表示する際に要求する縮尺のことであり、例えば、50分の1の表示要求縮尺がユーザからあった場合、この実施形態では、表示画面51に、実際の紙に印刷される50分の1の図面と左右とも全く同一のサイズで表示される。
【0021】
本実施形態に係るタブレット型端末装置50では、表示画面51の縦横それぞれの表示密度を保持する。即ち、この表示密度は、記憶装置66の表示密度記憶部69に記憶されている。
例えば、あるタブレット型端末装置50の表示画面51では、その縦方向の表示領域に対して、ピクセル数が768ピクセルで、実際の寸法が約148mm、横方向の表示領域に対して、1024ピクセル、約197mm、公称密度は132ppi(ピクセル・パー・インチ)である場合の「表示密度」は132となる。
ここで、本実施形態で用いる座標換算値について、説明する。
座標換算値とは、「(縮尺データ/表示要求縮尺)×表示密度」(式1)で表される値をいう。なお、以下、この式を(式1)という。この座標換算値を正確に求め、その値をベクタ形式の図面データの座標値に乗ずることで、表示画面51上に、正確に実寸に準拠した縮尺で図面データが表示される。この場合の図面データの座標値の単位は、表示画面の座標値の単位と同じインチとする。
なお、本実施形態では、座標換算値が縦横同値の場合について説明するが、異なる場合も存在する。この場合には、縦座標換算値、横座標換算値を個別に算出する。
【0022】
まず、図面データが、ベクタ形式であった場合について説明する。
表示する図面データの付属情報として、縮尺データ50分の1を保持しているとする。
このタブレット型端末装置50で最初に図面データを表示する場合、座標換算値は、「(縮尺データ/表示要求縮尺)×表示密度」(式1)から、縦・横方向とも次の値になる。
座標換算値=((1/50)/(1/50))×132=132
そして、このタブレット型端末装置50が、ベクタデータ形式の図面データの座標値に、算出した座標換算値132を乗じる演算処理を行い、デジタル図面の図面データを表示画面51に表示する。
【0023】
また、タブレット型端末装置50で選択された表示要求縮尺が100分の1である場合の座標換算値は、縦・横方向ともに上記(式1)から次の値になる。
座標換算値=((1/50)/(1/100))×132=66
そして、このタブレット型端末装置50が、ベクタデータ形式の図面データの座標値に、算出した座標換算値66を乗じる演算処理を行い、デジタル図面の図面データを表示画面51に表示する。
【0024】
次に、図面データが、ラスタ形式であった場合について説明する。
この場合も表示する図面データの付属情報として、縮尺データ50分の1に加えて、縦横の解像度として600dpiを保持しているものとする。
一方この表示画面51の表示密度が132ppi(ピクセル・パー・インチ)であったものとする。
ここで、タブレット型端末装置50分の1の表示要求縮尺の選択をユーザから受けると、図面データがラスタ形式であった場合、座標換算値は、「(縮尺データ/表示要求縮尺)×表示密度」(式1)を図面解像度で除した値となることから、縦・横方向と50/50×132/600=0.22となる。
【0025】
そして、このタブレット型端末装置50が、ラスタデータのピクセル座標値に0.22を乗じる演算処理を行い、デジタル図面の図面データを表示画面51に表示する。
また、タブレット型端末装置50から100分の1の表示要求縮尺の選択をユーザから受けると、座標換算値は、「(縮尺データ/表示要求縮尺)×表示密度」(式1)から、縦・横方向とも50/100×132/600=0.11となる。
そして、このタブレット型端末装置50が、ラスタデータのピクセル座標値に0.11を乗じる演算処理を行い、デジタル図面の図面データを表示画面51に表示する。
【0026】
次に、本実施形態に係るタブレット型端末装置50における、表示画面51への図面データとルーラー150の表示の具体例をあげて説明する。
図5は、図面サーバ20から受信したデジタル図面の図面データ(設計図面)を、表示画面51に表示したところを示した図である。この例では、縮尺データとして100分の1を保持していたため、最初に図面データを表示する場合の表示要求縮尺のデフォルト値として、図面データの縮尺データ1/100を用いて表示している。
この表示している縮尺を明示するため、表示画面51の左上に縮尺表示「1/100」を表示している。なお、この縮尺表示はユーザの選択により、非表示にすることも可能である。
この例では、最初の表示を受信したデジタル図面の付属情報である縮尺データに応じた表示としたが、本実施形態はこれに限られない。例えば、一律に決まった縮尺で表示するようにしてもよいし、その都度、事前にユーザからの設定を受け付けるようにしてもよい。
この表示画面51に表示された図面データ(設計図面)は、この図面データを実寸印刷したときと全く同一のサイズである。
【0027】
ここで、タブレット型端末装置50は、表示画面51の右下のコーナーに縦横それぞれの方向に、画面サイズの2分の1程度の長さのルーラー150を表示する。このルーラー150には、「1/100」に対応した目盛りが付してあり、このルーラー150の目盛り読み取ることで、表示画面51に表示されている図面データの実際の寸法・距離を計測することができる。
なお、このルーラー150に付されている目盛りは、三角スケールの、表示縮尺「1/100」に対応する目盛りと全く同寸である。
従って、この表示画面51に直接三画スケールの「1/100」に対応した目盛りを読み取ることでも、実際の寸法、距離を計測できる。
タブレット型端末装置50によるルーラー150の表示は、ユーザからユーザの選択を受けて行うようになっている。具体的には、表示画面51上の「表示モード」ボタン300の押下を検知した後、ルーラー150を表示するようにする。また、図面データを表示する際、一律にルーラー150を表示する設定としてもよい。
なお、タブレット型端末装置50は、表示するルーラーの目盛りを、表示要求縮尺に対応した目盛りをルーラーデータ記憶部70から取得して、表示している。
【0028】
この例で表示されているルーラー150は、概ね表示画面51の横方向の1/2の長さであるが、3/4程度の長さとしてもよい。また、ルーラー150を下面、右面全体に表示するようにしてもよい。
ここで、以後、図5に示すような、ルーラー150が表示されているが、図面データが拡大、縮小が可能な状態を「表示モード」、ルーラー150が表示されて、且つ図面データが拡大、縮小が不可能となり、計測を行う状態を「計測モード」とよぶこととする。
【0029】
次に、図6、図7を参照して、表示する図面データの縮尺を変更し、同時にルーラー150の目盛りを変更する手順を説明する。
本実施形態に係るタブレット型端末装置50では、表示画面51に、紙図面で一般に使用される固定縮尺で実寸表示要求を出すことができる。図6に示した例では、表示画面51の左上の縮尺表示に示すように、「1/100」で図面データを表示している。これを2倍に拡大し、「1/50」で表示する場合について説明する。
ユーザが、表示画面51の左上に表示されている縮尺表示「1/100」(図5参照)を選択すると、タブレット型端末装置50は、図6に示すように、複数の固定縮尺を表示した固定縮尺メニュー200をプルダウンメニュー表示する。
このように、タブレット型端末装置50が固定縮尺メニュー200を表示することで、ユーザは次に表示したい所望の縮尺を簡単に選択することができる。
この固定縮尺メニュー200には、例えば、1/20、1/50、1/100、1/200、といった、三角スケールでの計測で一般的に用いられている数値に対応して表示されている。
【0030】
ここで、ユーザから、固定縮尺メニュー200の「1/50」縮尺の選択を受け付けたとする。この値が「表示要求縮尺」となる。
タブレット型端末装置50は、選択された表示要求縮尺と、デジタル図面の属性情報(縮尺データ「1/100」)、および表示画面51の表示密度とから、座標換算値を算出し、表示画面51に図面データを実寸表示する。
具体的には、上記したタブレット型端末装置50の例で、ベクタ形式の図面データを表示する場合、座標換算値は、式1の「(縮尺データ/表示要求縮尺)×表示密度」から、縦・横方向ともに((1/100)/(1/50))×132=264となる。
そして、このタブレット型端末装置50が、ベクタ形式の図面データの各座標値に座標換算値264を乗じる演算処理を行い、デジタル図面の図面データを表示画面51に表示する。
【0031】
図7は、ユーザの選択に従って、縮尺「1/50」で図面データを表示したところを示した図である。
この図7に示されるように、選択前の図5に比べて図面データは縦横共に2倍の大きさで表示されている。
その際、表示画面51の左上には、図7に示すように、縮尺表示として、現在ユーザによって選択されている固定縮尺(「1/50」)が明示される。
ここで、表示画面51の右下のコーナーに縦横それぞれの方向に、表示されていたルーラー150は、それ自体の長さに変更はないが、付されている目盛りが、「1/100」に対応した目盛りから「1/50」に対応したものに変更表示されている。
このルーラー150に付されている目盛りは、三角スケールの、表示縮尺「1/50」に対応する目盛りと全く同寸である。
【0032】
次に、タブレット型端末装置50によるデジタル図面の固定縮尺による表示と処理の手順について、図8のフローチャートを参照して説明する。
この固定縮尺による表示処理は、CPU52が図面表示プログラム68を実行することで行われる。
まず、CPU52は、ユーザからタブレット型端末装置50に表示する設計図面の指定要求を受け付けると、ネットワークを介して図面サーバ20にアクセスする。このとき、必要に応じて、ユーザの指定情報(ユーザIDやパスワード)を図面サーバ20に送信する。
その後、ユーザが所望のデジタル図面の図面番号等を選択、または入力すると、CPU52は、図面サーバ20に、図面番号等を送信してデジタル図面を要求する。
この要求に対して、図面サーバ20から当該指定された図面番号等に該当するデジタル図面が送信されると、CPU52は通信装置56を介してデジタル図面を受信する(ステップ10)。以下、デジタル図面の図面データは、ベクタ形式である場合を例に説明する。
次に、CPU52は、ステップ10で受信したデジタル図面から属性情報を抽出する(ステップ11)。具体的には、図面データがベクタ形式なので、縮尺データを抽出する。なお、図面データがラスタ形式である場合には、さらに解像度も抽出する。
【0033】
次に、CPU52は、表示密度記憶部69に記憶されている表示画面51の表示密度を取得し、この表示密度と属性情報として取得した縮尺データを用いて、表示画面51に図面データを表示する(ステップ12)。
すなわちCPU52は、式1に基づき座標換算値を演算処理する際、図面データの縮尺データをデフォルトの表示要求縮尺として用いる。そしてCPU52は、図面データの各座標値に、演算処理で求めた座標換算値を乗じることで、図6に示すように、図面データ(設計図面)を表示画面51に表示する。このとき、同時に、表示画面51の左上に縮尺表示「1/100」の表示を行う。
【0034】
次に、CPU52は、ユーザからルーラー150の表示要求があるか否かを判断する(ステップ13)。具体的には、表示画面51に表示した「表示モード」ボタン300の押下を検出するか否かを判断する。
その結果、CPU52が、「表示モード」ボタン300の押下を検出した場合(ステップ13;Y)、表示画面51の右下コーナーから縦方向と、横方向に2本のルーラー150を表示する(ステップ14)。このときの、ルーラー150の目盛りは、CPU52が、ルーラーデータ記憶部70から、「表示要求縮尺」、「1/100」に対応した目盛りのデータを取得し、表示する。
一方、CPU52が、「表示モード」ボタン300の押下を検出しない場合(ステップ13;N)、ルーラー150の表示は行わない。
【0035】
次に、CPU52は、ユーザから表示する縮尺を変更するための固定縮尺メニュー200の表示要求を受けると(ステップ15;Y)、CPU52は、図7に示すように、表示画面51の左上に複数の固定縮尺が記載された固定縮尺メニュー200を表示する(ステップ16)。
次に、CPU52は、ユーザより、表示画面51に表示した固定縮尺メニュー200から、特定の固定縮尺の選択を受け付ける(ステップ17)。
【0036】
次に、CPU52は、ステップ17にて固定縮尺の選択を受け付けると、受け付けた固定縮尺を表示要求縮尺として、ステップ12で行った演算処理と同様の演算処理を行う。即ち、縮尺データと表示密度に変更はないので、CPU52は選択された固定縮尺「1/50」を「表示要求縮尺」をとして、式1に基づいて座標換算値を演算し、求めた座標換算値を用いて、図7に示すように、図面データを表示画面51に表示する。このとき、CPU52は、同時にルーラーデータ記憶部170から「表示要求縮尺」、「1/50」に対応した目盛りのデータを取得し、目盛りを変更して表示する(ステップ18)。
このときCPU52は、図7に示すように、図面データ(設計図面)とともに、選択された固定縮尺の値「1/50」縮尺表示として表示画面51の左上に表示する。
【0037】
その後、CPU52は、ユーザからの他の固定縮尺値による表示要求(固定縮尺の選択)があるか否かを判断し(ステップ19)、あると判断した場合(ステップ19;Y)、ステップ16以降の処理を継続する。
一方、CPU52は、ユーザからの他の固定縮尺値による表示要求がないと判断した場合(ステップ19;N)、本フローチャートに係る処理を終了する。
なお、「表示モード」から「計測モード」移る処理は、後に説明する。
【0038】
次に、図9、図10を参照して、「表示モード」での計測を説明する。この「表示モード」とは、ルーラー150が表示されているが、図面データの拡大、縮小が可能な表示画面51の状態をいう。
この「表示モード」では、ルーラー150は、可動させることはできない設定となっているため、被計測対象である図面データをルーラー150の方へ移動させることで、計測を行う。図9は、この「表示モード」を示している。
図面データの移動は、ユーザの指で図面データを指定し、且つタッチパネルとなっている画像入力装置64から検知する指を、表示画面51上を沿って動かすことで行う。図10は、図面データをルーラー150に接するまで移動したところを示している。こうすることで、「表示モード」でも計測を行うことができる。
【0039】
図9、図10に示す例では、表示要求縮尺が「1/123」である。上記で説明した座標換算値は、(式1)の「(縮尺データ/表示要求縮尺)×表示密度」で求められる。このうち、「縮尺データ」と「表示密度」が不変であるため、「表示要求縮尺」を「1/123」として、座標換算値を求める。そして、このタブレット型端末装置50が、ベクタデータ形式の図面データの座標値に、算出した座標換算値を乗じる演算処理を行い、デジタル図面の図面データを表示画面51に表示する。
従って、本実施形態では、表示要求縮尺が、「1/25」、「1/50」、「1/100」、「1/150」、「1/200」、「1/250」、「1/300」といった固定した値でなくても対応可能である。
【0040】
次に、タッチパネルとなっている画像入力装置64からの入力により、表示画面51に表示されている図面データの拡大、縮小について説明する。
本実施形態では、タブレット型端末装置50が、ユーザの指の動きを検知して、その検知した指の動きの大きさに対応した図面データの拡大、縮小表示を行う。これは、検知した指の動きで、上記表示要求縮尺を変化させていることとなる。こうすることで、例えば、表示要求縮尺を「1/122」から「1/123」、そして「1/124」へと変化させ、また、「1/123」と戻すことで、微妙に図面データの拡大、縮小を行うことができる。
【0041】
次に、ルーラー150の目盛りについて説明する。
ユーザの表示要求縮尺が、ルーラーデータ記憶部70に記憶されている、例えば、「1/25」、「1/50」、「1/100」、「1/150」、「1/200」、「1/250」、「1/300」といった固定した値であれば、タブレット型端末装置50は、記憶してあるルーラー150の目盛りを表示画面51の所定位置に表示すればよい。
また、ユーザの表示要求縮尺が変化した場合、前記した座標変換値を基に、ルーラー150の目盛りの間隔を広げたり、狭めたりする調整を行えばよい。
但し、ユーザの表示要求縮尺が大きく変化した場合、基準となるルーラー150の目盛りを換えた方がユーザにとって使いやすいことがある。
具体的には、最初の表示要求縮尺が「1/100」で、これが徐々に拡大し、「1/50」になったとする。当初は、「1/100」の目盛りの間隔を徐々に広げていけばよいが、例えば中間点の「1/75」を越えた段階で「1/50」の目盛りを基準に換え、「1/50」の目盛りの間隔を狭めたルーラー150を表示する。
この表示するルーラー150の基準となる目盛りを変更する段階は、中間点に限らず、適宜決定することができる。
【0042】
次に、図11、図12を参照して、「計測モード」における計測について説明する。
タブレット型端末装置50が、ユーザからの計測モードボタン400の押下を検知すると、表示画面51は、「表示モード」から「計測モード」へ移行する。この「計測モード」へ移行すると以後、図面データの拡大、縮小ができなくなる。
ここで、タブレット型端末装置50が、タッチパネルとなっている画像入力装置64からの入力により、表示しているルーラー150への指またはペンでのタッチを検出したとする。
この検出が1箇所であった場合、ルーラー150は、指またはペンの指示(動き)に従って、表示画面51内を上下方向、または左右方向に平行移動する。図11に示す例では、ルーラー150を左右方向に平行移動させ、計測したい部分に当てて、ルーラー150の値を目視で読み取ることができる。即ち、ルーラー150は、三角スケールと同じ役割を果たすこととなる。
【0043】
タブレット型端末装置50が、表示しているルーラー150への指またはペンによるタッチを2箇所で検出した場合、ルーラー150は、2箇所で示される角度に沿って移動する。図12に示す例では、ルーラー150を斜め方向に移動させ、図面データの対角線方向の寸法を計測している。
この例では、ルーラー150をデジタル図面内の任意の方向に置いて、値を目視で読み取ることができる。
【0044】
次に、2点間の寸法、距離を数値で表示する「デジタル計測モード」について説明する。
図13は、2点間の距離を正確に、デジタル表示する「デジタル計測モード」の例を示した図である。この例では、ユーザは、ルーラー150を使っての目視で読み取るのではなく、デジタル的に表示された数値を読み取る。
タブレット型端末装置50が、「計測モード」で、ユーザからの計測モードボタン400の押下をさらに検知すると、「デジタル計測モード」に移行する。
タブレット型端末装置50が、タッチパネルとなっている画像入力装置64からの入力により、表示画面51の図面データへの指またはペンでのタッチを順に2箇所検出したとする。ここで、タブレット型端末装置50は、検出した2箇所の座標データを取得し、上記した座標変換値を用いて演算処理し、現実世界での寸法を求める。
図13に示す例では、実際の数値である「12,345mm」が、表示画面51に表示されている。
図14は、「デジタル計測モード」において、計測したい2点間をより正確に計測するための「ポインタの表示とオフセット機能」を使用する例を示した図である。
表示画面51上で、指で操作をする場合、指が邪魔をして、正確な位置を指すことが難しい場合がある。タブレット型端末装置50がユーザからの「ポインタ」ボタン500の押下を検知すると、表示画面51は、例えば指の左上各10mmずらした位置にポインタ510を表示する。このポインタ510は、指の動きに連動して移動するようになっているので、正確な位置決めが可能となる。
【0045】
図15は、「デジタル計測モード」において、計測したい2点間をより正確に計測するために図面データを部分的に拡大する例を示した図である。
図15に示した例では、タブレット型端末装置50が、ユーザからの指の長押しを検知すると、表示画面51に表示されている図面データを、指もしくはポインタ510付近を中心として、縦横方向それぞれ2倍に拡大表示する。さらに長押しを続けると、図面データは、さらに縦横方向それぞれ2倍(計4倍)に拡大表示する。
ここで、タブレット型端末装置50が、ユーザの指が表示画面51から離れたことを検知すると、表示画面51上の図面データを、計測開始時の縮尺に戻す(縮小する)。この操作を専用ペンで受け付けるようにしてもよい。
【0046】
また、他の方法として、タブレット型端末装置50が、1本の指を離さず、さらにもう1本の指を適当な間隔を開けて、表示画面51へのワンタッチを検出すると、図面データを、指もしくはポインタ付近を中心として、縦横方向それぞれ2倍に拡大表示する。タブレット型端末装置50が、さらにもう一度、ワンタッチを検知すると、図面はさらに縦横方向それぞれ2倍(計4倍)に拡大表示する。
ここで、タブレット型端末装置50が、最初の指を表示画面51から離すことを検知すると、表示画面51上の図面データを、計測開始時の縮尺に戻す(縮小する)。
この実施形態によれば、ルーラー150や三角スケールなどを使わなくても、正確な2点間の寸法が現実の寸法で表示される。
【0047】
続いて、本実施形態の「計測モード」における処理手順を図16のフローチャートを参照して説明する。この処理は、CPU52が図面表示プログラム68を実行することで行われる。
図16に示すように、まず、「表示モード」が設定されている状態で、(ステップ30)、CPU52が、計測モードボタン400の押下を検知すると(ステップ31;Y)、表示画面51を、「表示モード」から「計測モード」へ移行させる。この「計測モード」へ移行すると以後、図面データの拡大、縮小ができなくなる(ステップ32)。
ここで、CPU52が、表示しているルーラー150への指またはペンでのタッチを1箇所検出すると(ステップ33;Y)、ルーラー150を指またはペンでの操作に従い、上下、左右に平行移動可能な状態にする(ステップ34)。
また、CPU52が、表示しているルーラー150への指またはペンでのタッチを2箇所検出すると(ステップ35;Y)、2点で示す角度に従って、ルーラー150を斜め方向に移動可能な状態にする(ステップ36)。
【0048】
次に、CPU52が、さらに、「計測モード」ボタン400の押下を検知すると(ステップ37;Y)、表示画面51を「デジタル計測モード」へ移行させる(ステップ38)。
この「デジタル計測モード」は、2点間の寸法、距離を正確に計測し、その計測値を換算した実測の数値で表示する。そのため、2点の指定を正確に受け付ける必要がある。
そこで、CPU52は、ポインタボタン500の押下を検知すると、指の付近にポインタ510を表示する。また、CPU52は、指の長押し、または1本の指を離さず、さらにもう1本の指を適当な間隔を開けて、表示画面51へのワンタッチを検出すると、指もしくはポインタ510付近を中心として、縦横方向それぞれ2倍に拡大表示する。さらに長押し、またはさらにもう一度、ワンタッチを検知すると、図面データは、さらに縦横方向それぞれ2倍(計4倍)に拡大表示する。このようにして、正確に位置を検出できるようにしている。
【0049】
CPU52が、表示画面51上で2点の指示を検出すると(ステップ39;Y)、2点の座標データを取得し、座標換算値を用いて、演算処理を行うことで2点間の実際の寸法、距離を求める(ステップ40)。
そして、CPU52は、求めた実際の数値で寸法、距離を表示する(ステップ41)。
その後、「デジタル計測モード」から「計測モード」へ戻る要求があると(ステップ42;Y)、ステップ32へ戻り、「計測モード」に戻る要求がなければ(ステップ42;N)、「計測モード」での処理を終了し、本フローチャートに係る処理を終了する。
【0050】
以上説明した本実施形態や変形例では、設計図面を中心に説明したが、本発明は、これに限定されることなく、例えば、地図の表示などにも応用することができる。
また、本実施形態は、実物を縮小して表示する図面データだけでなく、実物を実寸で表示する図面データにも対応できる。紙の図面と比較して、携帯に便利であり、また、表示画面51上で、通常の定規を使って、寸法を計測することもできる。
さらに、本実施形態では、実物を拡大して表示することも可能である。微細なものの図面データを表示画面51に拡大して表示することで、内容を詳細に把握したり、正確に計測したりすることができる。
例えば実寸の10倍スケールのルーラー150、20倍スケールのルーラー150等を用意すれば、換算が不要となる。
本実施の形態では、デジタル図面の解像度とタブレット型端末装置50の表示画面51の表示密度を使って、デジタル図面の図面データを実縮尺で表示する例を説明したが、本発明はこれに限られない。デジタル図面で表示する図面データと表示するルーラー150とが厳密に対応していれば、正確な計測は可能である。従って、表示画面51の表示密度を厳格に管理しなくても、計測の正確さには影響を及ぼさない。
【符号の説明】
【0051】
20 図面サーバ
50 タブレット型端末装置
51 表示画面
68 図面表示プログラム
69 表示密度記憶部
70 ルーラーデータ記憶部
100 計測装置
300 「表示モード」ボタン
400 「計測モード」ボタン
500 ポインタボタン
510 ポインタ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル図面の図面データを表示画面に表示する計測装置であって、
前記図面データを実寸印刷する際の縮尺データを備えたデジタル図面を受信するデジタル図面受信手段と、
前記表示画面の表示密度に関するデータを記憶する表示密度データ記憶手段と、
前記デジタル図面受信手段で受信したデジタル図面から縮尺データを抽出する縮尺データ抽出手段と、
前記表示画面に表示するための縮尺である表示要求縮尺の設定を受け付ける表示要求縮尺受付手段と、
前記表示密度データ記憶手段に記憶された表示密度データと、前記縮尺データ抽出手段で抽出した縮尺データと、前記表示要求縮尺受付手段で受け付けた表示要求縮尺とから演算処理を行い、前記表示画面にデジタル図面の図面データを表示する表示手段と、
前記表示手段で表示された図面データを計測するためのルーラーを表示するルーラー表示手段と、を備え、
前記ルーラー表示手段で表示されるルーラーの目盛りを、前記表示手段で行った演算処理で求められた値に基づいて設定することを特徴とする計測装置。
【請求項2】
前記表示手段で表示された図面データの指定を受け付ける図面データ指定受付手段と、
前記図面データ指定受付手段で受け付けた図面データを、受けた指示に基づいて、表示画面内を移動させる図面データ移動受付手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1記載の計測装置。
【請求項3】
前記ルーラー表示手段で表示されたルーラーの指定を受け付けるルーラー指定受付手段と、
前記ルーラー指定受付手段で受け付けたルーラーが受けた指示に基づいて、表示画面内を移動させるルーラー移動受付手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の計測装置。
【請求項4】
前記ルーラー指定受付手段でルーラーの指定を受け付けた際、当該ルーラーの2点での指示を検出した場合、
前記ルーラー移動受付手段が、ルーラーが受けた指示に基づいて、表示画面内を移動させる際、2点で指示された角度に基づいてルーラーを移動させることを特徴とする請求項3記載の計測装置。
【請求項5】
デジタル図面の図面データを表示画面に表示する計測装置であって、
前記図面データを実寸印刷する際の縮尺データを備えたデジタル図面を受信するデジタル図面受信手段と、
前記表示画面の表示密度に関するデータを記憶する表示密度データ記憶手段と、
前記デジタル図面受信手段で受信したデジタル図面から縮尺データを抽出する縮尺データ抽出手段と、
前記表示画面に表示するための縮尺である表示要求縮尺の設定を受け付ける表示要求縮尺受付手段と、
前記表示データ密度記憶手段に記憶された表示密度データと、前記縮尺データ抽出手段で抽出した縮尺データと、前記表示要求縮尺受付手段で受け付けた表示要求縮尺とから演算処理を行い、前記表示画面にデジタル図面の図面データを表示する表示手段と、
前記表示手段で表示された図面データの2箇所の指定を受け付ける計測箇所指定受付手段と、
前記計測箇所指定受付手段で指定を受け付けた2箇所間の距離を前記表示手段で行った演算処理で求められた値に基づいて算出する距離算出手段と、
前記距離算出手段で算出された値を実際の距離で表示する距離表示手段と、
を備えたことを特徴とする計測装置。
【請求項6】
前記計測箇所指定受付手段で2箇所の指定を受け付ける際、図面データの1点を指示するためのポインタの表示要求を受け付けるポインタ表示要求受付手段と、
前記ポインタ表示要求受付手段でポインタの表示要求を受け付けた際、表示画面の指定された箇所にポインタを表示するポインタ表示手段と、
を備えたことを特徴とする請求項5記載の計測装置。
【請求項7】
前記計測箇所指定受付手段で2箇所の指定を受け付ける際、図面データの部分的な拡大要求を受け付ける拡大要求受付手段を備え、
前記表示手段は、前記拡大要求受付手段の要求に従って、図面データを部分的に拡大して表示することを特徴とする請求項5または請求項6記載の計測装置。
【請求項8】
デジタル図面の図面データを表示画面に表示する計測装置であって、前記表示画面の表示密度に関するデータを記憶する表示密度データ記憶手段を備えた計測装置において、
前記図面データを実寸印刷する際の縮尺データを備えたデジタル図面を受信するデジタル図面受信機能と、
前記デジタル図面受信機能で受信したデジタル図面から縮尺データを抽出する縮尺データ抽出機能と、
前記表示画面に表示するための縮尺である表示要求縮尺の設定を受け付ける表示要求縮尺受付機能と、
前記表示密度データ記憶手段に記憶された表示密度データと、前記縮尺データ抽出機能で抽出した縮尺データと、前記表示要求縮尺受付機能で受け付けた表示要求縮尺とから演算処理を行い、前記表示画面にデジタル図面の図面データを表示する表示機能と、
前記表示機能で表示された図面データを計測するためのルーラーを表示するルーラー表示機能と、を備え、
前記ルーラー表示機能で表示されるルーラーの目盛りを、前記表示機能で行った演算処理で求められた値に基づいて設定することをコンピュータに実行させる計測プログラム。
【請求項9】
デジタル図面の図面データを表示画面に表示する計測装置であって、前記表示画面の表示密度に関するデータを記憶する表示密度データ記憶手段を備えた計測装置において、
前記図面データを実寸印刷する際の縮尺データを備えたデジタル図面を受信するデジタル図面受信機能と、
前記デジタル図面受信機能で受信したデジタル図面から縮尺データを抽出する縮尺データ抽出機能と、
前記表示画面に表示するための縮尺である表示要求縮尺の設定を受け付ける表示要求縮尺受付機能と、
前記表示データ密度記憶手段に記憶された表示密度データと、前記縮尺データ抽出機能で抽出した縮尺データと、前記表示要求縮尺受付機能で受け付けた表示要求縮尺とから演算処理を行い、前記表示画面にデジタル図面の図面データを表示する表示機能と、
前記表示機能で表示された図面データの2箇所の指定を受け付ける計測箇所指定受付機能と、
前記計測箇所指定受付機能で指定を受け付けた2箇所間の距離を前記表示機能で行った演算処理で求められた値に基づいて算出する距離算出機能と、
前記距離算出機能で算出された値を実際の距離で表示する距離表示機能と、
をコンピュータに実行させる計測プログラム。
【請求項1】
デジタル図面の図面データを表示画面に表示する計測装置であって、
前記図面データを実寸印刷する際の縮尺データを備えたデジタル図面を受信するデジタル図面受信手段と、
前記表示画面の表示密度に関するデータを記憶する表示密度データ記憶手段と、
前記デジタル図面受信手段で受信したデジタル図面から縮尺データを抽出する縮尺データ抽出手段と、
前記表示画面に表示するための縮尺である表示要求縮尺の設定を受け付ける表示要求縮尺受付手段と、
前記表示密度データ記憶手段に記憶された表示密度データと、前記縮尺データ抽出手段で抽出した縮尺データと、前記表示要求縮尺受付手段で受け付けた表示要求縮尺とから演算処理を行い、前記表示画面にデジタル図面の図面データを表示する表示手段と、
前記表示手段で表示された図面データを計測するためのルーラーを表示するルーラー表示手段と、を備え、
前記ルーラー表示手段で表示されるルーラーの目盛りを、前記表示手段で行った演算処理で求められた値に基づいて設定することを特徴とする計測装置。
【請求項2】
前記表示手段で表示された図面データの指定を受け付ける図面データ指定受付手段と、
前記図面データ指定受付手段で受け付けた図面データを、受けた指示に基づいて、表示画面内を移動させる図面データ移動受付手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1記載の計測装置。
【請求項3】
前記ルーラー表示手段で表示されたルーラーの指定を受け付けるルーラー指定受付手段と、
前記ルーラー指定受付手段で受け付けたルーラーが受けた指示に基づいて、表示画面内を移動させるルーラー移動受付手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の計測装置。
【請求項4】
前記ルーラー指定受付手段でルーラーの指定を受け付けた際、当該ルーラーの2点での指示を検出した場合、
前記ルーラー移動受付手段が、ルーラーが受けた指示に基づいて、表示画面内を移動させる際、2点で指示された角度に基づいてルーラーを移動させることを特徴とする請求項3記載の計測装置。
【請求項5】
デジタル図面の図面データを表示画面に表示する計測装置であって、
前記図面データを実寸印刷する際の縮尺データを備えたデジタル図面を受信するデジタル図面受信手段と、
前記表示画面の表示密度に関するデータを記憶する表示密度データ記憶手段と、
前記デジタル図面受信手段で受信したデジタル図面から縮尺データを抽出する縮尺データ抽出手段と、
前記表示画面に表示するための縮尺である表示要求縮尺の設定を受け付ける表示要求縮尺受付手段と、
前記表示データ密度記憶手段に記憶された表示密度データと、前記縮尺データ抽出手段で抽出した縮尺データと、前記表示要求縮尺受付手段で受け付けた表示要求縮尺とから演算処理を行い、前記表示画面にデジタル図面の図面データを表示する表示手段と、
前記表示手段で表示された図面データの2箇所の指定を受け付ける計測箇所指定受付手段と、
前記計測箇所指定受付手段で指定を受け付けた2箇所間の距離を前記表示手段で行った演算処理で求められた値に基づいて算出する距離算出手段と、
前記距離算出手段で算出された値を実際の距離で表示する距離表示手段と、
を備えたことを特徴とする計測装置。
【請求項6】
前記計測箇所指定受付手段で2箇所の指定を受け付ける際、図面データの1点を指示するためのポインタの表示要求を受け付けるポインタ表示要求受付手段と、
前記ポインタ表示要求受付手段でポインタの表示要求を受け付けた際、表示画面の指定された箇所にポインタを表示するポインタ表示手段と、
を備えたことを特徴とする請求項5記載の計測装置。
【請求項7】
前記計測箇所指定受付手段で2箇所の指定を受け付ける際、図面データの部分的な拡大要求を受け付ける拡大要求受付手段を備え、
前記表示手段は、前記拡大要求受付手段の要求に従って、図面データを部分的に拡大して表示することを特徴とする請求項5または請求項6記載の計測装置。
【請求項8】
デジタル図面の図面データを表示画面に表示する計測装置であって、前記表示画面の表示密度に関するデータを記憶する表示密度データ記憶手段を備えた計測装置において、
前記図面データを実寸印刷する際の縮尺データを備えたデジタル図面を受信するデジタル図面受信機能と、
前記デジタル図面受信機能で受信したデジタル図面から縮尺データを抽出する縮尺データ抽出機能と、
前記表示画面に表示するための縮尺である表示要求縮尺の設定を受け付ける表示要求縮尺受付機能と、
前記表示密度データ記憶手段に記憶された表示密度データと、前記縮尺データ抽出機能で抽出した縮尺データと、前記表示要求縮尺受付機能で受け付けた表示要求縮尺とから演算処理を行い、前記表示画面にデジタル図面の図面データを表示する表示機能と、
前記表示機能で表示された図面データを計測するためのルーラーを表示するルーラー表示機能と、を備え、
前記ルーラー表示機能で表示されるルーラーの目盛りを、前記表示機能で行った演算処理で求められた値に基づいて設定することをコンピュータに実行させる計測プログラム。
【請求項9】
デジタル図面の図面データを表示画面に表示する計測装置であって、前記表示画面の表示密度に関するデータを記憶する表示密度データ記憶手段を備えた計測装置において、
前記図面データを実寸印刷する際の縮尺データを備えたデジタル図面を受信するデジタル図面受信機能と、
前記デジタル図面受信機能で受信したデジタル図面から縮尺データを抽出する縮尺データ抽出機能と、
前記表示画面に表示するための縮尺である表示要求縮尺の設定を受け付ける表示要求縮尺受付機能と、
前記表示データ密度記憶手段に記憶された表示密度データと、前記縮尺データ抽出機能で抽出した縮尺データと、前記表示要求縮尺受付機能で受け付けた表示要求縮尺とから演算処理を行い、前記表示画面にデジタル図面の図面データを表示する表示機能と、
前記表示機能で表示された図面データの2箇所の指定を受け付ける計測箇所指定受付機能と、
前記計測箇所指定受付機能で指定を受け付けた2箇所間の距離を前記表示機能で行った演算処理で求められた値に基づいて算出する距離算出機能と、
前記距離算出機能で算出された値を実際の距離で表示する距離表示機能と、
をコンピュータに実行させる計測プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2013−73604(P2013−73604A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−214718(P2011−214718)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(395003187)株式会社セイコーアイ・インフォテック (173)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(395003187)株式会社セイコーアイ・インフォテック (173)
【Fターム(参考)】
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