計算機システム
【課題】複数の計算機モジュールを積み上げて接続するスタック方式のバスシステムにおいて、クロックや割込みなどのバス資源を自動的に整合して割り振ることができる計算機システムを提供する。
【解決手段】一つのシステムモジュールとn個の周辺モジュールからなる計算機システムにおいて、各周辺モジュール20は、割込み選択部21、クロック選択部22、調停信号選択部23、資源決定部24、位置認識部25を有する。位置認識部25は、システムモジュールに存在する位置設定部14と連携し、自モジュールのシステム内における位置を認識し、自律的にモジュールが使用するバス資源を決定する。各周辺モジュール20は、決定したバス資源を割込み選択部21、クロック選択部22および調停信号選択部23にて選択して使用することで、バス資源をシステム内で整合して設定することができる。
【解決手段】一つのシステムモジュールとn個の周辺モジュールからなる計算機システムにおいて、各周辺モジュール20は、割込み選択部21、クロック選択部22、調停信号選択部23、資源決定部24、位置認識部25を有する。位置認識部25は、システムモジュールに存在する位置設定部14と連携し、自モジュールのシステム内における位置を認識し、自律的にモジュールが使用するバス資源を決定する。各周辺モジュール20は、決定したバス資源を割込み選択部21、クロック選択部22および調停信号選択部23にて選択して使用することで、バス資源をシステム内で整合して設定することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バスを介して接続される複数の計算機モジュールから構成される計算機システムに関し、特に、バスのクロックや割込みなどのバス資源を調整する方式と装置構成に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、バスを介して計算機モジュールを接続する方式に関して、非特許文献1に開示されるバス技術が例として挙げられる。すなわち、複数の計算機モジュールや入出力モジュール(以下計算機モジュール類と称する)を、スタック(積み上げ)方式のコネクタを介して接続するPC/104−Plus(以下公知例1と称する)である。
【0003】
この公知例1は、バスプロトコルとして非特許文献2に示されるPeripheral Component Interconnect(PCI)バスを採用し、電気的な信号線はPCIバス仕様に準拠している。
【0004】
バスを管理運用するために必要な信号を、本明細書ではバス資源と称する。バス資源として、たとえばバスに接続されるデバイスが同期して動作するためのクロック信号や、バスの使用権を調停するバス調停(バスリクエスト/バスグラント)信号、デバイス間でイベントを通知するためのバス割込み信号、デバイスのコンフィギュレーション時にデバイスを指定するIDSEL信号などが挙げられる。
【0005】
前記公知例1においては、バス資源を一箇所のモジュールで管理し、他のモジュールではバス資源を排他的に接続することが求められている。その方式として、スイッチやジャンパ線などによりモジュールの物理位置に応じて設定する例が、公知例1では示されている。
【0006】
一方、バス調停信号を管理するバス調停装置を複数用意し、そのうち一つを有効化する技術が特許文献1(以下公知例2と称する)に開示されている。
【0007】
この公知例2では、バス調停装置を有する同一構成のデータ処理装置は、バス信号が予め配線されるバックプレーンに接続される。バス調停信号を受け付けて処理するバス調停装置は、バスシステム上に一つだけ活性化されなければならない。その目的を達成するため、公知例2では複数のバス調停装置の内、一つだけのバス調停装置が活性化される技術が開示されている。
【特許文献1】特開2000−347991号公報
【非特許文献1】PC/104 Embedded Consortium「PC/104−Plus Specification Version 2.0」
【非特許文献2】PCI SIG 「PCI Local Bus Specification Rev 2.3」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述の公知例では以下に述べる点で課題がある。
【0009】
すなわち、公知例1の方式では、排他的に割り振る必要のあるバス資源について、計算機モジュール類を組み立てる際に手作業で設定する必要がある。公知例1では、スタック方式のバスコネクタを採用しているため、全ての計算機モジュールに同一の信号セットが供給される。計算機モジュール自身は、取得すべきバス資源を動的に知る手段がない。そのため、計算機モジュール類は、信号セットから、自身のモジュールが必要とするバス資源を自律的に選択することができない。ゆえに、手作業でバス資源を設定する必要がある。
【0010】
手作業でバス資源を設定する際に適切な設定ができないと、バス稼動時にバス上でデバイスの出力が衝突する。場合によっては、デバイスの破壊にまで至る可能性がある。
【0011】
また、公知例2の方式では、複数のデータ処理装置を接続するバックプレーンが必要である。公知例2では、各データ処理装置が入出力するバス調停信号は、バックプレーンを利用することで適切な行き先に配線される。一方、PC/104−Plusなどのスタック方式のバスでは、前述の通り、全ての計算機モジュール類に同一の信号セットが配線される。そのため、例えば同一回路構成のデータ処理装置であれば、同一のバス調停信号への入出力を行ってしまうため、信号が衝突する。クロック信号や他のバス資源についても同様の問題が生ずる。
【0012】
そこで、以上の問題点を鑑みた本発明の目的は、複数の計算機モジュールを積み上げて接続するスタック方式のバスシステムにおいて、クロックや割込みなどのバス資源を自動的に整合して割り振ることができる計算機システムを提供することにある。
【0013】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0015】
本発明は、割込みやクロックなどのバス資源を有するシステムバスを介して、複数の計算機モジュールが結合して構成される計算機システムに適用され、以下のような特徴を有するものである。
【0016】
(1)第一の計算機モジュールは、位置設定情報を出力する位置設定手段と、バス資源管理手段とを有する。第二の計算機モジュールは、当該モジュールの位置を認識して位置情報を出力する位置認識手段と、位置情報から当該モジュールの使用するバス資源を決定して資源選択情報を出力する資源決定手段と、資源選択情報からバス資源を選択する資源選択手段とを有する。そして、第二の計算機モジュールは、バス資源管理手段が管理するバス資源について、第一の計算機モジュールが設定する位置設定情報を受領し、第二の計算機モジュール自身の位置に応じてバス資源を選択して使用する。
【0017】
(2)第一の計算機モジュールは、バス資源管理手段を有する。第二の計算機モジュールは、当該モジュールの位置を認識して位置情報を出力する位置認識手段と、位置情報から当該モジュールの使用するバス資源を決定して資源選択情報を出力する資源決定手段と、資源選択情報からバス資源を選択する資源選択手段とを有する。そして、第二の計算機モジュールは、バス資源管理手段が管理するバス資源について、第二の計算機モジュール自身の位置に応じてバス資源を選択して使用する。
【0018】
(3)第一の計算機モジュールは、位置設定情報を出力する位置設定手段と、クロック管理手段とを有する。第二の計算機モジュールは、当該モジュールの位置を認識して位置情報を出力する位置認識手段と、位置情報から当該モジュールの使用するバス資源を決定して資源選択情報を出力する資源決定手段と、資源選択情報からバス資源を選択あるいは管理する資源選択管理手段とを有する。そして、第二の計算機モジュールは、クロック管理手段あるいは資源選択管理手段が管理するバス資源について、第一の計算機モジュールが設定する位置設定情報を受領し、第二の計算機モジュール自身の位置に応じてバス資源を選択して使用する。
【0019】
(4)第一の計算機モジュールは、クロック管理手段を有する。第二の計算機モジュールは、当該モジュールの位置を認識して位置情報を出力する位置認識手段と、位置情報から当該モジュールの使用するバス資源を決定して資源選択情報を出力する資源決定手段と、資源選択情報からバス資源を選択あるいは管理する資源選択管理手段とを有する。そして、第二の計算機モジュールは、クロック管理手段あるいは資源選択管理手段が管理するバス資源について、第二の計算機モジュール自身の位置に応じてバス資源を選択して使用する。
【0020】
(5)第二の計算機モジュールは、当該モジュールの位置を認識して位置情報を出力する位置認識手段と、位置情報から当該モジュールの使用するバス資源を決定して資源選択情報を出力する資源決定手段と、資源選択情報からバス資源を選択あるいは管理する資源選択管理手段とを有する。そして、第二の計算機モジュールは、資源選択管理手段が管理するバス資源について、計算機モジュール自身の位置に応じてバス資源を選択して使用する。
【0021】
(6)前記(1)〜(5)において、資源決定手段は、資源設定スイッチと、手動有効スイッチとを有する。そして、手動有効スイッチにより手動設定を有効とする場合に、資源設定スイッチにより資源選択情報を出力するように構成しても良い。
【0022】
(7)前記(1)〜(6)において、第二の計算機モジュールは、複数からなり、それぞれ、位置認識手段に接続された一対の位置情報用のコネクタを有する。そして、複数の第二の計算機モジュールのそれぞれは、積み上げの物理的な位置に依存することなく、一対の位置情報用のコネクタを介してスタック方式で接続されるように構成しても良い。
【発明の効果】
【0023】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0024】
本発明によれば、複数の計算機モジュールによって構成される計算機システムにおいて、各計算機モジュールは、自身が使用するクロックや割込み信号などのバス資源を、自律的に選択することが可能となるため、従来の手作業による誤設定を排除することができ、デバイスの故障を防ぐことが可能となる。また、積み上げの物理的な位置に依存することがないので、計算機モジュールの組み立ての自由度が向上するため、計算機システムの構成に費やす時間やコストを軽減する効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0026】
(本発明の実施の形態の概念)
本発明は、複数の計算機モジュールを積み上げて接続するスタック方式のバスシステムに関するものであり、各計算機モジュールにおいてバス資源を自動的に整合して取得するものである。
【0027】
(第一の実施の形態)
図1は、本発明による第一の実施の形態における計算機システムの構成の一例を示す図である。本実施の形態による計算機システムは、複数の計算機モジュールとしての、一つのシステムモジュール10とn個(1≦n≦N)の周辺モジュール20(個数に応じた添え字を付して20−1〜20−nと表記する)からなる。ここでNは、計算機システムで規定される最大の周辺モジュール接続数である。
【0028】
システムモジュール10と周辺モジュール20−1〜20−nとの接続に関する物理的な接続の一例を図2に示す。システムモジュール10と周辺モジュール20は、バスコネクタ15とバスコネクタ31とで結合し、加えて、位置情報コネクタ16と位置情報コネクタ33とで結合する。また、周辺モジュール20同士は、バスコネクタ30とバスコネクタ31とで結合し、加えて、位置情報コネクタ32と位置情報コネクタ33とで結合する。
【0029】
なお、図2では、バスコネクタ15と位置情報コネクタ16とを別のコネクタとして図示しているが、これらのコネクタが一体となり構成されていても、本発明の効果を失うものではない。他のコネクタ同士の組み合わせについても同様である。
【0030】
次に、計算機システムの構成を、図1を元に説明する。システムモジュール10は、割込み管理部11と、クロック生成部12と、アービタ13と、位置設定部14を有し、各バス資源信号(br1〜brM、bg1〜bgM、ck1〜ckN、ir1〜irL)、位置認識信号(posX)が入力または出力される。この構成において、割込み管理部11、クロック生成部12およびアービタ13はバス資源管理手段として機能し、また、位置設定部14は位置設定手段として機能する。
【0031】
なお、図1中の各バス資源信号、位置認識信号における矢印やひし形は、信号の論理的な方向をコネクタ接続部において示したもので、理解を補助するためのものであり、電気的には単に接続するものである。
【0032】
また、本明細書において、信号を有効な電位へ駆動することをアサート、信号を無効な電位に駆動することをネゲートと称する。例えば、負論理の信号をアサートするということは低電位(Lowあるいは“0”と表記)に信号を駆動することであり、ネゲートするということは高電位(Highあるいは“1”と表記)に信号を駆動することである。
【0033】
割り込み管理部11は、バス上に報告される割込み信号ir1〜irLを処理する機能を有する。割込み信号の本数Lは任意であり、必ずしも計算機システムで規定する最大の周辺モジュール数Nと一致しなくても良い。例えば、複数のバス上のデバイスで割込み信号を共有する技術が前述した非特許文献2にて開示されている。割込み管理部11では、バス上の割込み信号がアサートされていることを検知すると、割込みが発生していることを当該モジュール上のプロセッサ(図示せず)へ通知する。一般にプロセッサは、割込み発生要因を特定し、割込み要因に応じた処理を行う。
【0034】
クロック生成部12は、バスに接続されるデバイス間でデータ転送の同期を取るためのクロックを生成し、バス上のクロック信号を決められた精度で駆動する。例えばPCIバスにおいては、デバイス毎に個別にクロックを配線し、その位相差はバスクロック周波数33MHzの場合に2ns以内にする必要がある。そのため、周辺デバイスへの距離に応じて配線されたクロックを、各周辺デバイスでは選択して使用する必要がある。本実施の形態のクロック生成部12は、各周辺モジュール20上に存在するデバイス(図示せず)へクロックを配るため、その最大個数と等しいN本の信号ck1〜ckNを出力する。
【0035】
アービタ13は、バスの使用権を管理するための機能を有する。アービタ13は、バスリクエスト信号br1〜brMを受け付け、唯一のバスグラント信号bg1〜bgMを有効化する。
【0036】
ここで、バスリクエスト/バスグラント信号の本数Mについて、0≦M≦Nとする。すなわち、デバイスが周辺モジュール毎に1つの場合、バスに接続可能な最大の周辺モジュール数Nより、バスの使用権を要求するバスマスタの数Mは少なくても良い。
【0037】
バスを使用してデータ転送を開始できるデバイスを一つとするために、アービタ13は唯一のデバイスにのみバス使用権を与える。バスを使用したいデバイスは、バスリクエスト信号を用いてアービタ13へバス使用要求を発行する。するとアービタ13は、バスを要求するデバイス間で優先順位を決定し、最も優先順位の高いデバイスのバスグラント信号をアサートする。優先順位を決定するアルゴリズムとして、ラウンドロビン方式や固定優先度方式などが挙げられる。
【0038】
位置設定部14は、システムモジュール10からの物理的な位置を周辺モジュール20に通知する機能を有する。位置設定部14からの位置認識信号posXによって、周辺モジュール20は自身の物理的な位置を知ることが可能である。位置設定部14あるいは周辺モジュール20の位置認識部25は、クロックを決定する前に動作する必要があるので、これらはバスのクロックによらずに動作する。位置設定部14の詳細については後述する。
【0039】
次に、周辺モジュール20の構成について説明する。周辺モジュール20は、割込み選択部21と、クロック選択部22と、調停信号選択部23と、資源決定部24と、位置認識部25を有する。この構成において、割込み選択部21、クロック選択部22および調停信号選択部23は資源選択手段として機能し、また、資源決定部24は資源決定手段、位置認識部25は位置認識手段としてそれぞれ機能する。これらの各部位について、詳細な構成は後述する。ここでは、各部位の機能と関係を簡潔に説明する。
【0040】
位置認識部25は、位置認識信号posXからの入力を元に、自身が存在するモジュールの物理位置を認識し、位置情報27を出力する。資源決定部24は、位置情報27に応じて資源選択信号26を出力する機能を有する。
【0041】
割込み選択部21は、周辺モジュール20上で発生した割り込み信号irSを、資源選択信号26に応じて、バス上の割込み信号ir1からirLのいずれかに出力する機能を有する。
【0042】
クロック選択部22は、資源選択信号26に応じて、バス上のクロック信号ck1〜ckNから選択して、自モジュール上のデバイス(図示なし)が使用するクロック信号ckSへ出力する機能を有する。
【0043】
調停信号選択部23は、資源選択信号26に応じて、自モジュール上のデバイスからのバスリクエスト信号brSをバス上のバスリクエスト信号br1からbrMのいずれかに出力し、バス上のバスグラント信号bg1からbgMの一つを選択して自モジュール上のデバイスへのバスグラント信号bgSへ出力する機能を有する。
【0044】
次に、各部位の動作について、図1を用いて説明する。システムモジュール10とn個の周辺モジュール20−1〜20−nは、図2に示すように予め組み立てられているものとする。
【0045】
これらの計算機モジュール類は、起動するとまず、位置設定部14と各周辺モジュール20に含まれる位置認識部25が連携し、各周辺モジュール20内の資源決定部24へ、位置情報27が通知される。位置情報27は、各周辺モジュール20の実装位置に応じた情報であるので、周辺モジュール20毎に排他的に決定される。資源決定部24は、位置情報27に応じて、割込み選択部21とクロック選択部22、調停信号選択部23へ、資源選択信号26を通知する。特に、各周辺モジュール20内に実装されるバスデバイスは、クロックckSが与えられないと動作ができない。そのため、クロック選択部22によるクロックckSの決定までは、クロックckSに依存することなく決定できるよう構成される。割込み選択部21とクロック選択部22、調停信号選択部23は、資源選択信号26に応じて、バス上の信号線と自モジュール内の信号線とを接続する。以上のようにすることで、各周辺モジュール20はシステムモジュール10からの位置に応じて、モジュール内で使用するバス資源(割込み、クロック、バス調停信号)を自律的に決定する。
【0046】
以上より、本実施の形態によれば、各周辺モジュール20が同一回路構成であっても、システムモジュール10からの位置に応じて、バス資源を排他的に決定することが可能となる。そのため、手作業によりバス資源を設定する場合に起こりうる、重複設定や取り得ない設定などの誤設定を避けることができる。また、本実施の形態は、積み重ねるバス方式で自動設定を可能とするため、拡張性と利便性を維持しつつ必要最小限の大きさで計算機システムを構築可能である。また、本実施の形態によれば、手作業による設定作業を削減できるため、計算機システムを組み立てる際のコストを低減することが可能となる。
【0047】
図3(a)は、本実施の形態における計算機システムにおいて、信号の選択部を構成する基本回路の一例を示す図である。
【0048】
一例として図3(a)は、1本の入出力信号yを、4本の入出力信号x[4:1]のいずれか1本を選択して接続するための回路を示す。本明細書では、以降では説明の便宜上、最大の周辺モジュール接続数N=4として説明するが、これは発明の摘要上限を示すものではない。なお、“x[4:1]”という表記は、x[4]、x[3]、x[2]、x[1]という信号と順序を一括して表すこととする。
【0049】
選択基本回路50は、選択信号sel[1:0]と、入出力信号y、入出力信号x[4:1]、デコード素子51−1〜51−4、スイッチング素子52−1〜52−4を有する。スイッチング素子52は、例えば半導体のスイッチ素子やトランスファゲートにより実現される。ここでは、ゲート端子にLow入力を印加すると、ソースとドレイン間が導通するMOSスイッチによる回路を例示する。また、スイッチング素子のソースとドレインは対称であり、信号は双方向に入出力できる素子を摘要する。
【0050】
選択基本回路50は、選択信号sel[1:0]の信号の取る値の組み合わせにより、入出力信号yがどの入出力信号x[4:1]と接続されるか決定する。その機能を図3(b)に示す。例えば、選択信号sel[1:0]が共に0であった場合、入出力信号yと入出力信号x[1]の間のスイッチング素子52−1のみが導通する。この時、他のスイッチング素子52−2〜52−4は非導通となり、入出力信号x[4:2]は高抵抗状態(Hi−Z)となることを意味する。
【0051】
図4は、図3で示した選択基本回路50を用いて実現した、各選択部の構成の一例を示す図である。図4(a)は割込み選択部21を表し、図4(b)はクロック選択部22、図4(c)は調停信号選択部23を表す。
【0052】
割込み選択部21は、図4(a)の構成とすることで、資源選択信号26を“00”から“11”の範囲で入力すると、割込み信号irSが、割込み信号ir1〜ir4のいずれかに選択されて出力される。同様に、クロック選択部22は、図4(b)の構成とすることで、クロック信号ck1〜ck4から1本が選択されて、クロック信号ckSへ出力される。また、調停信号選択部23は、図4(c)の構成とすることで、バスリクエスト信号brSが、バスリクエスト信号br1〜br4のいずれかに選択されて出力され、バスグラント信号bg1〜bg4から1本が選択されて、バスグラント信号bgSへ出力される。
【0053】
以上の構成により、割込み選択部21、クロック選択部22、調停信号選択部23では、資源選択信号26を用いて、バス資源(割込み、クロック、バス調停信号)の対応する信号を、周辺モジュール内の資源と接続することが可能となる。
【0054】
図5は、本実施の形態における計算機システムにおいて、資源決定部の構成と機能の一例を示す図である。図5(a)は、資源決定部24の内部構成について示したものである。資源決定部24は、スイッチ選択部60と、選択信号生成部62、プルアップ抵抗64−1〜64−3を有する。63−1〜63−2は選択信号生成部62の出力信号、65はスイッチ無効信号である。スイッチ選択部60は、スイッチ61−1〜61−3を有する。図5(b)は、選択信号生成部62の入出力論理を表す真理値表である。
【0055】
図5(a)は、従来との互換性を考慮して、手作業で設定するためのスイッチ選択部60を含めた場合でも、本発明が実施できることを示す。なお、本発明の実施にはスイッチ選択部60の存在は必須ではなく、スイッチ選択部60を除去したものであっても本発明は有効である。
【0056】
本実施の形態では、スイッチ無効信号65がHighの場合や、スイッチ選択部60が存在しない場合には、選択信号生成部62が資源選択信号26の状態を決定する。スイッチ無効信号65がLowの場合、スイッチ選択部60が資源選択信号26の状態を決定する。選択信号生成部62やスイッチ選択部60から、資源選択信号26の駆動は、オープンドレイン方式による駆動が好適である。選択信号生成部62やスイッチ選択部60から信号線の駆動がない場合には、資源選択信号26はプルアップ抵抗64によってHigh状態となる。
【0057】
図5(a)と(b)を用いて、資源決定部24の動作を説明する。資源選択信号26は、プルアップ抵抗64−1〜64−2によってVcc(電源電圧)に予め設定されている。そのため、選択信号生成部62が出力信号63−1〜63−2を駆動していない場合、すなわち高抵抗状態であった場合には、資源選択信号26は二進数で“11”を示す。
【0058】
選択信号生成部62は、位置情報27とスイッチ無効信号65を用いて、出力信号63−1〜63−2の状態を決定する。選択信号生成部62の入出力信号の真理値表は図5(b)に示すとおりである。図5(b)に示す値は、全て二進数で表現される。“Hi−Z”とは、選択信号生成部62による資源選択信号26の駆動がない状態である。この時、資源選択信号26は、プルアップ抵抗64により結果的に値1を取る。なお、GNDは低電位(値0)を、Vccは高電位(値1)を意味する。
【0059】
例えば、スイッチ無効信号65がHigh(“1”)であり、位置情報27が“0010”であった場合、選択信号生成部62はオープンドレインバッファ(図示なし)によって、出力信号63−1をLow(“0”)と駆動し、出力信号63−2をHi−Z(オープンドレインバッファにより駆動しない)に設定する。また、スイッチ無効信号65がLowであった場合、位置情報27の値に関わらず、選択信号生成部62は出力信号63−1〜63−2を駆動しない。この時、資源選択信号26は、スイッチ選択部60の出力によってのみ決定される。
【0060】
以上により、資源決定部24は、位置情報27によって資源選択信号26を自動的に決定することが可能となる。また、スイッチ選択部60のような手作業による設定手段を、共存させることも可能である。
【0061】
図6は、本実施の形態における計算機システムにおいて、位置設定部14と位置認識部25に関する構成の一例を示す図である。
【0062】
位置設定部14は、システムモジュール10が有する機能部であり、位置情報コネクタ16を介して伝達される位置認識信号posXを設定する機能を有する。図6では、位置認識信号posXの1本をHighに設定し、他の信号をLowに設定する例を示す。
【0063】
位置設定部14の構成として、他にシステムモジュール10内のプロセッサ(図示なし)から設定可能なレジスタを設け、このレジスタの設定情報をposXへ出力する構成としても良い。この場合、システムモジュール10からposXの出力を変更できるため、周辺モジュール20へ割り当てるバス資源を意図的に変更することが可能となる。
【0064】
位置認識部25は、前段のモジュールから出力される位置認識信号posXを位置認識信号posYで受けて入力し、位置認識信号posXを出力する機能を有する。また、位置認識部25は、位置レジスタ66を有し、位置認識信号posYを用いて位置情報27を設定する機能を有する。位置レジスタ66は、当該周辺モジュール20の実装されている物理位置に関する情報が反映されている。例えば、周辺モジュール20に実装されるプロセッサ(図示なし)が、位置レジスタ66を参照することで、物理位置に応じたソフトウェア処理を実行可能となる。
【0065】
なお、本明細書において、前段の周辺モジュールとは、位置情報コネクタ33を介して接続される周辺モジュールを意味する。次段の周辺モジュールとは、位置情報コネクタ32を介して接続される周辺モジュールを意味する。
【0066】
図6を用いて、位置認識部25の動作を説明する。本実施の形態では、位置認識部25は、前段のモジュールから入力される位置認識信号posXを信号posYで受ける。位置認識信号posYは、その信号の値を位置レジスタ66に反映させる。また同時に、位置認識信号posYは位置情報27を設定する。
【0067】
本実施の形態では、位置認識信号posYの値を、ローテーションして位置認識信号posXとして出力する回路例を示す。すなわち、信号posY−1を信号posX−2へ、信号posY−2を信号posX−3へ、信号posY−3を信号posX−4へ、そして信号posY−4を信号posX−1へと変換している。このようにすることで、同一回路構成の周辺モジュール20をスタックしても、各周辺モジュール20における位置情報27は異なる値をとることが可能となる。
【0068】
例えば、周辺モジュール20−1における位置レジスタ66の下4ビットの値は0001(二進数)であり、位置情報27の値も同様である。一方、周辺モジュール20−2における位置情報27は0010(二進数)となる。
【0069】
本実施の形態では、位置認識信号posY,posXが4本の構成を示したが、本発明はそれに限定されるものではなく、周辺モジュール数に応じて信号線数を拡張することが可能である。
【0070】
この他に、本発明者らによる位置情報を得るための手段が特開2004−326342号の明細書に開示されている。この公知技術やその組み合わせを用いて、位置情報を周辺モジュール20にて得ることは、本発明の効果を制限するものではない。
【0071】
本実施の形態によれば、複数の周辺モジュール20から構成される計算機システムにおいて、各周辺モジュール20が自身の物理的な位置を把握することが可能となる。各周辺モジュール20がそれぞれに位置情報を利用してバス資源(割込み、クロック、バス調停信号)を自律的に設定するため、手作業でバス資源を設定する必要がなくなる。そのため、本実施の形態により、設定作業やそれに付随するコストを軽減することが可能となる。また、誤った設定を防ぐことが可能となる。
【0072】
また、本実施の形態によれば、システムモジュール10は、位置認識と資源決定のアルゴリズムを予め知ることで、周辺モジュール20の物理的な配置とそれに関連するバス資源の割り当てを知ることが可能となる。よって、システムモジュール10は、例えば割込み管理部11において、割込み信号ir1からirLのそれぞれが、どの周辺モジュールからの割り込みであるかを一意に知ることが可能となる。
【0073】
本実施の形態では、バス資源としてクロックと割込み、バス調停信号を取り上げて説明したが、本発明の適用はこれらのバス資源に限定されるものではない。例えばPCIバスにおけるIDSEL信号に関しても、本発明による資源選択機能を適用することで、各周辺モジュールにおいて自律的にバス資源を使用することが可能となる。
【0074】
(第二の実施の形態)
図7は、本発明による第二の実施の形態における計算機システムの構成の一例を示す図である。本実施の形態に使用する符号は、特に断りのない限り、前記第一の実施の形態で説明した機能や要素などと同一であることを意味する。
【0075】
本実施の形態による計算機システムは、一つのクロックモジュール70とn個(1≦n≦N)の周辺モジュール80(個数に応じた添え字を付して80−1〜80−nと表記する)からなる。ここでNは、計算機システムで規定される最大の周辺モジュール接続数である。
【0076】
本実施の形態の特徴は、割込みの処理機能とバス調停信号の処理機能とを、新たな周辺モジュール80へ統合したことにある。周辺モジュール80にて割込み処理を行うプロセッサやオペレーティングシステム(図示なし)を具備することで、前記第一の実施の形態におけるシステムモジュール10の存在に制約されること無く、周辺モジュールを拡張可能となる。
【0077】
本実施の形態における計算機システムの物理的な接続の構成は、システムモジュール10の代わりにクロックモジュール70が存在する点を除いて、図2と同様である。
【0078】
クロックモジュール70は、クロック生成部12と位置設定部14とを有する。これらの機能は、前記第一の実施の形態におけるそれと同様である。
【0079】
新たな周辺モジュール80は、割込み選択・処理部81と、クロック選択部22と、調停信号選択・処理部82と、資源決定部24と、位置認識部25を有する。クロック選択部22と資源決定部24、位置認識部25は、前記第一の実施の形態におけるそれと同様である。
【0080】
割込み選択・処理部81は、資源選択信号26に応じて、割込み信号の入力と出力を制御する。すなわち、割込み信号irSをバス上のいずれの割込み信号に出力するか、あるいは、バス上の割込み信号を引き込んで割込みの処理をするか、資源選択信号26に応じて動作する。詳細な構成については後述する。
【0081】
調停信号選択・処理部82は、資源選択信号26に応じて、調停信号の入力と出力を制御する。すなわち、バス上のいずれのバスリクエストとバスグラントとを周辺モジュール80のデバイス(図示なし)のバスリクエストbrSとバスグラントbgSとに接続するか、あるいは、バス上のバスリクエストとバスグラントとを引き込んでバス使用権の調停を行うか、資源選択信号26に応じて動作する。詳細な構成については後述する。
【0082】
各部位の動作について、図7を用いて説明する。これらの計算機モジュール類が起動すると、前記第一の実施の形態と同様に、位置設定部14と位置認識部25が連携して資源選択信号26を出力する。割込み選択・処理部81とクロック選択部22、調停信号選択・処理部82は、資源選択信号26に応じて、バス上の信号線と自モジュール内の信号線とを接続する、あるいは、バス上の信号線を引き込んで処理する。以上のようにすることで、各周辺モジュール80はクロックモジュール70からの位置に応じて、モジュール内で使用するバス資源(割込み、クロック、バス調停信号)を自律的に決定する。
【0083】
本実施の形態によれば、前記第一の実施の形態の効果に加え、第一の実施の形態のシステムモジュール10から割込み処理機能とアービタを省いたクロックモジュール70により、クロックモジュール70を簡素に構成することが可能となる。よって、クロックモジュール70を単独で構成することも、あるいは、計算機システム中の任意のモジュール(例えば電源モジュール)に組み入れることが可能となる。特に、周辺モジュール80毎にプロセッサを有するマルチプロセッサ構成の場合、割込み処理機能を周辺モジュール80へ分散させることが容易であるため、本実施の形態を容易に構成可能である。
【0084】
図8(a)は、本実施の形態における計算機システムにおいて、割込み選択・処理部81の構成の一例を示す図である。
【0085】
割込み選択・処理部81は、割込み信号irSをバス上の割込み信号に出力する選択基本回路50と、割込み処理機能を活性化するか否か選択する割込み処理活性部90と、バス上の割込み信号を入力あるいは出力するためのバッファ91と、割込み処理を行う割込み管理部92を有する。
【0086】
割込み処理活性部90は、資源選択信号26の入力を受けて、割込み処理92を活性化するか否かを決定する。割込み処理活性部90の構成の一例を図8(b)に示す。図8(b)では、資源選択信号26であるsel[1:0]が“00”(二進数)である場合に、enableがHighとなる回路例を示す。本実施の形態による計算機システムにおいて、割り込み処理活性部90の機能は、唯一の周辺モジュール80上の割込み管理部92を活性化させることである。その機能を満足させる限りは、図8(b)のNORゲート94によらない構成としても良い。
【0087】
バッファ91の構成の一例を図8(c)に示す。図では、イネーブル端子enにHighが与えられると、入力端子x[i]と出力端子y[i](i=1〜4)が導通する構成を示す。図は三状態バッファ95−1〜95−4により構成する例を示すが、イネーブル端子により入力端子と出力端子との接続を制御できる機能があれば三状態バッファによらずに、例えばトランスファゲートによる構成であっても良い。
【0088】
図8(a)に従い、割込み選択・処理部81の動作について説明する。本実施の形態において、割込み選択・処理部81は、資源選択信号26が“00”(二進数)であるか否かによって動作が大きく変わる。
【0089】
資源選択信号26が“00”(二進数)である場合には、割込み選択・処理部81は割込み管理部92を活性化させ、バスからの割込み信号を受け入れる。このとき、割込み処理活性部90により、バッファ91のイネーブル端子enにはHighが与えられる。割込み管理部92は、割込み処理活性部90から『割込み処理活性』の指示がイネーブル端子enへ与えられ、バスからの割込み信号を引き込み、割込み処理を実施する。一般に割込み処理は、割込み信号が活性化しているかの検出を行い、活性化している割込みがあった場合、プロセッサ(図示なし)による割込み要因の特定と割込み要因に応じた処理とを実施するものである。
【0090】
一方、資源選択信号26が“00”(二進数)以外である場合には、割込み選択・処理部81は割込み管理部92を活性化させないで、バス上に割込み信号を出力する。このとき、割込み処理活性部90により、バッファ91のイネーブル端子enにはLowが与えられる。周辺モジュール上のデバイスからの割込み信号irSを出力する先である、バス上の割込み信号は、資源選択信号26により定まる。
【0091】
資源選択信号26は、前述の通り、周辺モジュール80が同一回路構成であっても、計算機システム内で唯一の値を取ることを保証できる。よって、割込み選択・処理部81は、同一回路構成の周辺モジュール80であっても、計算機システム内で実装される位置に応じて、割込み処理をするか否か選択的に動作することが可能となる。
【0092】
図9は、本実施の形態における計算機システムにおいて、調停信号選択・処理部82の構成の一例を示す図である。
【0093】
調停信号選択・処理部82は、バスリクエストbrSの接続先をバス上のバスリクエスト信号から選ぶための選択基本回路50−1と、バスグラント信号bgSの接続先をバス上のバスグラント信号から選ぶための選択基本回路50−2と、バッファ91−1〜91−2と、バス調停処理(アービタ)機能を活性化するか否か選択する調停処理活性部96と、アービタ機能部97を有する。
【0094】
本実施の形態による計算機システムにおいて、調停処理活性部96の機能は、唯一の周辺モジュール80上のアービタ機能部97を活性化させることである。そのため、調停処理活性部96の構成は、例えば図8(b)に示すような回路構成としても良い。本実施の形態では調停処理活性部96を図8(b)に示す回路構成を前提として、説明を行う。
【0095】
アービタ機能部97は、前記第一の実施の形態におけるアービタ13の機能を有する。アービタ機能部97は、アービタ13の機能に加えて、アービタ機能を活性化するか否かを指示するイネーブル端子enを有することを特徴とする。アービタ機能部97は、イネーブル端子enにHighが与えられると、バスの調停機能を活性化して、バスリクエスト信号をアサートするデバイスから一つを選び、バスグラント信号を出力する機能を有する。
【0096】
図9に従い、調停信号選択・処理部82の動作を説明する。本実施の形態において、調停信号選択・処理部82は、割込み選択・処理部81と同様に、資源選択信号26が“00”(二進数)であるか否かによって動作が大きく変わる。
【0097】
資源選択信号26が“00”(二進数)である場合には、調停信号選択・処理部82はアービタ機能部97を活性化させ、バスからのバスリクエスト信号を受け入れる。このとき、調停処理活性部96により、バッファ91−1〜91−2のイネーブル端子enにはHighが与えられる。アービタ機能部97は、調停処理活性部96から『アービタ活性』の指示がイネーブル端子enへ与えられ、バスからのバスリクエスト信号を引き込み、アービタ処理を実施する。アービタ機能部97は、所定のアルゴリズムによりバス権を与えるデバイスを決定すると、該当するバスグラント信号を1本選びアサートする。
【0098】
一方、資源選択信号26が“00”(二進数)以外である場合には、調停信号選択・処理部82はアービタ機能部97を活性化させないで、バス上にバスリクエスト信号を出力し、バス上からバスグラント信号を入力する。このとき、調停処理活性部96により、バッファ91−1〜91−2のイネーブル端子enにはLowが与えられる。周辺モジュール上のデバイスからのバスリクエスト信号brSを出力する先である、バス上のバスリクエスト信号は、資源選択信号26により定まる。バスグラント信号についても同様である。
【0099】
以上により、調停信号選択・処理部82は、同一回路構成の周辺モジュール80であっても、計算機システム内で実装される位置に応じて、バス権調停処理をするか否か選択的に動作することが可能となる。
【0100】
本実施の形態において、割込み管理部92やアービタ機能部97の、イネーブル端子以外の入出力信号はバス上からの信号として説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。一般に、バスコネクタを構成するピンやバス資源は無駄なく活用することが望ましい。例えば、当該周辺モジュール80上デバイスからの割込みをバス上に一旦出力してから引き込むのではなく、割込み管理部92の入力を適切に構成することで、割込み管理部92へ直接入力することも可能となる。この場合、バス上の割込み信号を最大限利用することが可能となる。
【0101】
(第三の実施の形態)
図10は、本発明による第三の実施の形態における計算機システムの構成の一例を示す図である。本実施の形態に使用する符号は、特に断りのない限り、前記第一の実施の形態や第二の実施の形態で説明した機能や要素などと同一であることを意味する。
【0102】
本実施の形態による計算機システムは、n個(1≦n≦N)の周辺モジュール100(個数に応じた添え字を付して100−1〜100−nと表記する)からなる。ここでNは、計算機システムで規定される最大の周辺モジュール接続数である。
【0103】
本実施の形態の特徴は、全てのバス資源の処理機能を、新たな周辺モジュール100へ統合したことにある。周辺モジュール100にて割込み処理を行うプロセッサやオペレーティングシステム(図示なし)、クロック生成部を具備することで、前記第一の実施の形態におけるシステムモジュール10や前記第二の実施の形態におけるクロックモジュール70の存在に制約されること無く、周辺モジュールを拡張可能となる。
【0104】
本実施の形態における計算機システムの物理的な接続の構成は、システムモジュール10が存在しない点を除いて、図2と同様である。
【0105】
新たな周辺モジュール100は、割込み選択・処理部81と、クロック選択・生成部102と、調停信号選択・処理部82と、資源決定部24と、位置認識部101を有する。資源決定部24は、前記第一の実施の形態におけるそれと同様である。また、割込み選択・処理部81と調停信号選択・処理部82は、前記第二の実施の形態におけるそれと同様である。
【0106】
位置認識部101は、前記第一の実施の形態における位置認識部25と同様の機能を有する。位置認識部101は、新たに、位置設定部14が存在しなくとも、自分自身の位置を認識できる特徴を有する。詳細な構成については後述する。
【0107】
クロック選択・生成部102は、資源選択信号26に応じて、クロック信号の入力と出力を制御する。すなわち、クロック信号ckSをバス上のいずれのクロック信号ck1〜ckNと接続するか、あるいは、バス上のクロック信号を駆動するか、資源選択信号26に応じて動作する。詳細な構成については後述する。
【0108】
各部位の動作について、図10を用いて説明する。周辺モジュール100で構成される計算機システムが起動すると、位置認識部101が他の位置認識部と連携して資源選択信号26を出力する。割込み選択・処理部81と調停信号選択・処理部82、クロック選択・生成部102は、資源選択信号26に応じて、バス上の信号線と自モジュール内の信号線とを接続する、あるいは、バス上の信号線を引き込んで処理する。以上のようにすることで、各周辺モジュール100は、計算機システム内の物理的な位置に応じて、モジュール内で使用するバス資源(割込み、クロック、バス調停信号)を自律的に決定できる。
【0109】
本実施の形態によれば、前記第一の実施の形態と前記第二の実施の形態の効果に加え、同一の周辺モジュールを組み合わせるだけで計算機システムを構築することが可能となる。よって、周辺モジュールとシステムモジュール、あるいはクロックモジュールといった、異なるモジュールを用意することなく、拡張性を確保したまま計算機システムを構成することが可能となる。一般に、システムモジュールやクロックモジュールは計算機システムに一つだけあればよいが、周辺モジュールは複数導入する。本実施の形態によれば、周辺モジュールだけで計算機システムを構成できるため、モジュール製造時の量産効果が期待できる。
【0110】
図11(a)は、本実施の形態における計算機システムにおいて、位置認識部101の構成の一例を示す図である。位置認識部101は、位置レジスタ66と、位置情報生成部110と、抵抗部111を有する。位置認識部101は、位置認識信号posYを受け、位置情報27と位置認識信号posXを出力する機能を有する。
【0111】
抵抗部111は、位置認識信号posYが駆動されていない場合に、信号を規定の状態に保つためのものである。本実施の形態では、位置認識信号posYの全てをプルダウン抵抗を介してGNDに接続している。よって、位置認識信号posYが前段の周辺モジュールによって設定されていない場合、全てのposYはLowの値をとる。
【0112】
位置認識部101は、位置認識信号posYの値から、自身の位置を位置レジスタ66へ出力すると共に、次段の周辺モジュールに通知する位置認識信号posXを駆動する。
【0113】
位置認識部101の機能の一例を図11(b)に示す。例えば、入力posY[4:1]が“0001”(二進数)であった場合、出力posX[4:1]には“0010”(二進数)を出力する。前段に接続モジュールが存在しない場合、入力のposY[4:1]は“0000”(二進数)となるため、出力のposX[4:1]は“0001”(二進数)となる。
【0114】
ところで、これまでは、posY、posXともに、“1”の存在する位置で有効な値を表現してきたが、二進数のコードで表現することも可能である。この場合の、位置認識部101の機能の一例を図11(c)に示す。図11(c)では、二進数のコードで周辺モジュールの位置を表現している。このように構成することで、より少ない本数の位置認識信号の組で位置情報を通知できるようになる。この場合、資源決定部24における選択信号生成部62の生成論理も適合させる必要がある。
【0115】
図12は、本実施の形態における計算機システムにおいて、クロック選択・生成部102の構成の一例を示す図である。
【0116】
クロック選択・生成部102は、モジュールで使用するクロックckSの接続先を、バス上のクロック信号から選ぶための選択基本回路50と、クロックを生成するクロックドライバ121と、クロックドライバを活性化するか否か選択するクロック活性部120と、クロックを出力するためのバッファ91を有する。
【0117】
選択基本回路50、バッファ91に関しては、前述の機能と同様である。クロック活性部120は、資源選択信号26の入力を受けて、クロックドライバ121を活性化するか否かを決定する。例えば資源選択信号26が“00”(二進数)のときにクロックドライバ121を活性化させるためには、クロック活性部120は図8(b)と同様にして構成することができる。
【0118】
クロックドライバ121は、イネーブル端子enを有する。イネーブル端子enにHighが与えられると、クロックドライバはクロック信号を出力する。
【0119】
図12に従い、クロック選択・生成部102の動作について説明する。本実施の形態において、クロック選択・生成部102は、資源選択信号26が“00”(二進数)であるか否かによって動作が大きく変わる。
【0120】
資源選択信号26が“00”(二進数)である場合には、クロック選択・生成部102はクロックドライバ121を活性化させ、バスのクロック信号を駆動する。このとき、クロック活性部120により、バッファ91のイネーブル端子enにはHighが与えられる。クロックドライバ121は、クロック活性部120から『クロック駆動活性』の指示がイネーブル端子enへ与えられ、バス上のクロックを駆動する。周辺モジュール100上のデバイスが使用するクロックckSは、資源選択信号26に従い、バス上に出力されたクロックから選択されて接続される。
【0121】
一方、資源選択信号26が“00”(二進数)以外である場合には、クロック選択・生成部102はクロックドライバ121を活性化させないで、バス上のクロック信号を入力する。周辺モジュール上のデバイスが使用するクロックckSは、資源選択信号26によりバス上のクロックから選択されて接続される。
【0122】
なお、本実施の形態では、クロックckSは、常にバス上クロック信号から選択されて接続される。バス上に接続する周辺モジュールの数を増やすためにも、クロックドライバ121が活性化される場合には、クロックckSへ割り当てるクロック信号に関しては、クロックドライバからバス上に引き出さずに、直接クロックckSへ配線しても良い。この場合、バスに引き出す他のクロック信号の配線遅延と同等になるように、直接配線の引き回しを考慮する必要があることは言うまでも無い。以上のようにすることで、バス上に引き出すクロック信号は、全て他の周辺モジュールへのクロックとすることとなり、バス上の信号を有効に活用できる。同時に、バス上のクロック信号数までの周辺モジュールを接続可能となる。
【0123】
本実施の形態で説明した位置認識部101は、本実施の形態に限定されるものではなく、例えば前記第一の実施の形態や前記第二の実施の形態における位置認識部25へも適用可能である。この場合、システムモジュール10やクロックモジュール70における位置設定部14を削減することが可能となる。
【0124】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0125】
本発明は、バスを介して接続される複数の計算機モジュールから構成される計算機システムに関し、特に、システムモジュールやクロックモジュール、周辺モジュールを積み上げて接続するスタック方式のバスシステムにおいて、バスのクロックや割込みなどのバス資源を調整する方式と装置構成に適用して有効である。
【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】本発明による第一の実施の形態における計算機システムの構成の一例を示す図である。
【図2】本発明による第一の実施の形態における計算機システムの物理的な接続の一例を示す図である。
【図3】本発明による第一の実施の形態における計算機システムにおいて、信号の選択部を構成する基本回路(a)とその機能(b)の一例を示す図である。
【図4】本発明による第一の実施の形態における計算機システムにおいて、割込み選択部(a)、クロック選択部(b)、調停信号選択部(c)の構成の一例を示す図である。
【図5】本発明による第一の実施の形態における計算機システムにおいて、資源決定部の構成(a)と機能(b)の一例を示す図である。
【図6】本発明による第一の実施の形態における計算機システムにおいて、位置設定部と位置認識部に関する構成の一例を示す図である。
【図7】本発明による第二の実施の形態における計算機システムの構成の一例を示す図である。
【図8】本発明による第二の実施の形態における計算機システムにおいて、割込み選択・処理部(a)と、それを構成する割込み処理活性部(b)、バッファ(c)の構成の一例を示す図である。
【図9】本発明による第二の実施の形態における計算機システムにおいて、調停信号選択・処理部の構成の一例を示す図である。
【図10】本発明による第三の実施の形態における計算機システムの構成の一例を示す図である。
【図11】本発明による第三の実施の形態における計算機システムにおいて、位置認識部の構成(a)とその機能(b)(c)の一例を示す図である。
【図12】本発明による第三の実施の形態における計算機システムにおいて、クロック選択・生成部の構成の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0127】
10…システムモジュール、11…割込み管理部、12…クロック生成部、13…アービタ、14…位置設定部、15,30,31…バスコネクタ、16,32,33…位置情報コネクタ、20,80,100…周辺モジュール、21…割込み選択部、22…クロック選択部、23…調停信号選択部、24…資源決定部、25,101…位置認識部、50…選択基本回路、51…デコード素子、52…スイッチング素子、60…スイッチ選択部、62…選択信号生成部、64…プルアップ抵抗、66…位置レジスタ、70…クロックモジュール、81…割込み選択・処理部、82…調停信号選択・処理部、90…割込み処理活性部、91…バッファ、92…割込み管理部、94…NORゲート、95…三状態バッファ、96…調停処理活性部、97…アービタ機能部、102…クロック選択・生成部、110…位置情報生成部、111…抵抗部、120…クロック活性部、121…クロックドライバ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、バスを介して接続される複数の計算機モジュールから構成される計算機システムに関し、特に、バスのクロックや割込みなどのバス資源を調整する方式と装置構成に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、バスを介して計算機モジュールを接続する方式に関して、非特許文献1に開示されるバス技術が例として挙げられる。すなわち、複数の計算機モジュールや入出力モジュール(以下計算機モジュール類と称する)を、スタック(積み上げ)方式のコネクタを介して接続するPC/104−Plus(以下公知例1と称する)である。
【0003】
この公知例1は、バスプロトコルとして非特許文献2に示されるPeripheral Component Interconnect(PCI)バスを採用し、電気的な信号線はPCIバス仕様に準拠している。
【0004】
バスを管理運用するために必要な信号を、本明細書ではバス資源と称する。バス資源として、たとえばバスに接続されるデバイスが同期して動作するためのクロック信号や、バスの使用権を調停するバス調停(バスリクエスト/バスグラント)信号、デバイス間でイベントを通知するためのバス割込み信号、デバイスのコンフィギュレーション時にデバイスを指定するIDSEL信号などが挙げられる。
【0005】
前記公知例1においては、バス資源を一箇所のモジュールで管理し、他のモジュールではバス資源を排他的に接続することが求められている。その方式として、スイッチやジャンパ線などによりモジュールの物理位置に応じて設定する例が、公知例1では示されている。
【0006】
一方、バス調停信号を管理するバス調停装置を複数用意し、そのうち一つを有効化する技術が特許文献1(以下公知例2と称する)に開示されている。
【0007】
この公知例2では、バス調停装置を有する同一構成のデータ処理装置は、バス信号が予め配線されるバックプレーンに接続される。バス調停信号を受け付けて処理するバス調停装置は、バスシステム上に一つだけ活性化されなければならない。その目的を達成するため、公知例2では複数のバス調停装置の内、一つだけのバス調停装置が活性化される技術が開示されている。
【特許文献1】特開2000−347991号公報
【非特許文献1】PC/104 Embedded Consortium「PC/104−Plus Specification Version 2.0」
【非特許文献2】PCI SIG 「PCI Local Bus Specification Rev 2.3」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述の公知例では以下に述べる点で課題がある。
【0009】
すなわち、公知例1の方式では、排他的に割り振る必要のあるバス資源について、計算機モジュール類を組み立てる際に手作業で設定する必要がある。公知例1では、スタック方式のバスコネクタを採用しているため、全ての計算機モジュールに同一の信号セットが供給される。計算機モジュール自身は、取得すべきバス資源を動的に知る手段がない。そのため、計算機モジュール類は、信号セットから、自身のモジュールが必要とするバス資源を自律的に選択することができない。ゆえに、手作業でバス資源を設定する必要がある。
【0010】
手作業でバス資源を設定する際に適切な設定ができないと、バス稼動時にバス上でデバイスの出力が衝突する。場合によっては、デバイスの破壊にまで至る可能性がある。
【0011】
また、公知例2の方式では、複数のデータ処理装置を接続するバックプレーンが必要である。公知例2では、各データ処理装置が入出力するバス調停信号は、バックプレーンを利用することで適切な行き先に配線される。一方、PC/104−Plusなどのスタック方式のバスでは、前述の通り、全ての計算機モジュール類に同一の信号セットが配線される。そのため、例えば同一回路構成のデータ処理装置であれば、同一のバス調停信号への入出力を行ってしまうため、信号が衝突する。クロック信号や他のバス資源についても同様の問題が生ずる。
【0012】
そこで、以上の問題点を鑑みた本発明の目的は、複数の計算機モジュールを積み上げて接続するスタック方式のバスシステムにおいて、クロックや割込みなどのバス資源を自動的に整合して割り振ることができる計算機システムを提供することにある。
【0013】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0015】
本発明は、割込みやクロックなどのバス資源を有するシステムバスを介して、複数の計算機モジュールが結合して構成される計算機システムに適用され、以下のような特徴を有するものである。
【0016】
(1)第一の計算機モジュールは、位置設定情報を出力する位置設定手段と、バス資源管理手段とを有する。第二の計算機モジュールは、当該モジュールの位置を認識して位置情報を出力する位置認識手段と、位置情報から当該モジュールの使用するバス資源を決定して資源選択情報を出力する資源決定手段と、資源選択情報からバス資源を選択する資源選択手段とを有する。そして、第二の計算機モジュールは、バス資源管理手段が管理するバス資源について、第一の計算機モジュールが設定する位置設定情報を受領し、第二の計算機モジュール自身の位置に応じてバス資源を選択して使用する。
【0017】
(2)第一の計算機モジュールは、バス資源管理手段を有する。第二の計算機モジュールは、当該モジュールの位置を認識して位置情報を出力する位置認識手段と、位置情報から当該モジュールの使用するバス資源を決定して資源選択情報を出力する資源決定手段と、資源選択情報からバス資源を選択する資源選択手段とを有する。そして、第二の計算機モジュールは、バス資源管理手段が管理するバス資源について、第二の計算機モジュール自身の位置に応じてバス資源を選択して使用する。
【0018】
(3)第一の計算機モジュールは、位置設定情報を出力する位置設定手段と、クロック管理手段とを有する。第二の計算機モジュールは、当該モジュールの位置を認識して位置情報を出力する位置認識手段と、位置情報から当該モジュールの使用するバス資源を決定して資源選択情報を出力する資源決定手段と、資源選択情報からバス資源を選択あるいは管理する資源選択管理手段とを有する。そして、第二の計算機モジュールは、クロック管理手段あるいは資源選択管理手段が管理するバス資源について、第一の計算機モジュールが設定する位置設定情報を受領し、第二の計算機モジュール自身の位置に応じてバス資源を選択して使用する。
【0019】
(4)第一の計算機モジュールは、クロック管理手段を有する。第二の計算機モジュールは、当該モジュールの位置を認識して位置情報を出力する位置認識手段と、位置情報から当該モジュールの使用するバス資源を決定して資源選択情報を出力する資源決定手段と、資源選択情報からバス資源を選択あるいは管理する資源選択管理手段とを有する。そして、第二の計算機モジュールは、クロック管理手段あるいは資源選択管理手段が管理するバス資源について、第二の計算機モジュール自身の位置に応じてバス資源を選択して使用する。
【0020】
(5)第二の計算機モジュールは、当該モジュールの位置を認識して位置情報を出力する位置認識手段と、位置情報から当該モジュールの使用するバス資源を決定して資源選択情報を出力する資源決定手段と、資源選択情報からバス資源を選択あるいは管理する資源選択管理手段とを有する。そして、第二の計算機モジュールは、資源選択管理手段が管理するバス資源について、計算機モジュール自身の位置に応じてバス資源を選択して使用する。
【0021】
(6)前記(1)〜(5)において、資源決定手段は、資源設定スイッチと、手動有効スイッチとを有する。そして、手動有効スイッチにより手動設定を有効とする場合に、資源設定スイッチにより資源選択情報を出力するように構成しても良い。
【0022】
(7)前記(1)〜(6)において、第二の計算機モジュールは、複数からなり、それぞれ、位置認識手段に接続された一対の位置情報用のコネクタを有する。そして、複数の第二の計算機モジュールのそれぞれは、積み上げの物理的な位置に依存することなく、一対の位置情報用のコネクタを介してスタック方式で接続されるように構成しても良い。
【発明の効果】
【0023】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0024】
本発明によれば、複数の計算機モジュールによって構成される計算機システムにおいて、各計算機モジュールは、自身が使用するクロックや割込み信号などのバス資源を、自律的に選択することが可能となるため、従来の手作業による誤設定を排除することができ、デバイスの故障を防ぐことが可能となる。また、積み上げの物理的な位置に依存することがないので、計算機モジュールの組み立ての自由度が向上するため、計算機システムの構成に費やす時間やコストを軽減する効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0026】
(本発明の実施の形態の概念)
本発明は、複数の計算機モジュールを積み上げて接続するスタック方式のバスシステムに関するものであり、各計算機モジュールにおいてバス資源を自動的に整合して取得するものである。
【0027】
(第一の実施の形態)
図1は、本発明による第一の実施の形態における計算機システムの構成の一例を示す図である。本実施の形態による計算機システムは、複数の計算機モジュールとしての、一つのシステムモジュール10とn個(1≦n≦N)の周辺モジュール20(個数に応じた添え字を付して20−1〜20−nと表記する)からなる。ここでNは、計算機システムで規定される最大の周辺モジュール接続数である。
【0028】
システムモジュール10と周辺モジュール20−1〜20−nとの接続に関する物理的な接続の一例を図2に示す。システムモジュール10と周辺モジュール20は、バスコネクタ15とバスコネクタ31とで結合し、加えて、位置情報コネクタ16と位置情報コネクタ33とで結合する。また、周辺モジュール20同士は、バスコネクタ30とバスコネクタ31とで結合し、加えて、位置情報コネクタ32と位置情報コネクタ33とで結合する。
【0029】
なお、図2では、バスコネクタ15と位置情報コネクタ16とを別のコネクタとして図示しているが、これらのコネクタが一体となり構成されていても、本発明の効果を失うものではない。他のコネクタ同士の組み合わせについても同様である。
【0030】
次に、計算機システムの構成を、図1を元に説明する。システムモジュール10は、割込み管理部11と、クロック生成部12と、アービタ13と、位置設定部14を有し、各バス資源信号(br1〜brM、bg1〜bgM、ck1〜ckN、ir1〜irL)、位置認識信号(posX)が入力または出力される。この構成において、割込み管理部11、クロック生成部12およびアービタ13はバス資源管理手段として機能し、また、位置設定部14は位置設定手段として機能する。
【0031】
なお、図1中の各バス資源信号、位置認識信号における矢印やひし形は、信号の論理的な方向をコネクタ接続部において示したもので、理解を補助するためのものであり、電気的には単に接続するものである。
【0032】
また、本明細書において、信号を有効な電位へ駆動することをアサート、信号を無効な電位に駆動することをネゲートと称する。例えば、負論理の信号をアサートするということは低電位(Lowあるいは“0”と表記)に信号を駆動することであり、ネゲートするということは高電位(Highあるいは“1”と表記)に信号を駆動することである。
【0033】
割り込み管理部11は、バス上に報告される割込み信号ir1〜irLを処理する機能を有する。割込み信号の本数Lは任意であり、必ずしも計算機システムで規定する最大の周辺モジュール数Nと一致しなくても良い。例えば、複数のバス上のデバイスで割込み信号を共有する技術が前述した非特許文献2にて開示されている。割込み管理部11では、バス上の割込み信号がアサートされていることを検知すると、割込みが発生していることを当該モジュール上のプロセッサ(図示せず)へ通知する。一般にプロセッサは、割込み発生要因を特定し、割込み要因に応じた処理を行う。
【0034】
クロック生成部12は、バスに接続されるデバイス間でデータ転送の同期を取るためのクロックを生成し、バス上のクロック信号を決められた精度で駆動する。例えばPCIバスにおいては、デバイス毎に個別にクロックを配線し、その位相差はバスクロック周波数33MHzの場合に2ns以内にする必要がある。そのため、周辺デバイスへの距離に応じて配線されたクロックを、各周辺デバイスでは選択して使用する必要がある。本実施の形態のクロック生成部12は、各周辺モジュール20上に存在するデバイス(図示せず)へクロックを配るため、その最大個数と等しいN本の信号ck1〜ckNを出力する。
【0035】
アービタ13は、バスの使用権を管理するための機能を有する。アービタ13は、バスリクエスト信号br1〜brMを受け付け、唯一のバスグラント信号bg1〜bgMを有効化する。
【0036】
ここで、バスリクエスト/バスグラント信号の本数Mについて、0≦M≦Nとする。すなわち、デバイスが周辺モジュール毎に1つの場合、バスに接続可能な最大の周辺モジュール数Nより、バスの使用権を要求するバスマスタの数Mは少なくても良い。
【0037】
バスを使用してデータ転送を開始できるデバイスを一つとするために、アービタ13は唯一のデバイスにのみバス使用権を与える。バスを使用したいデバイスは、バスリクエスト信号を用いてアービタ13へバス使用要求を発行する。するとアービタ13は、バスを要求するデバイス間で優先順位を決定し、最も優先順位の高いデバイスのバスグラント信号をアサートする。優先順位を決定するアルゴリズムとして、ラウンドロビン方式や固定優先度方式などが挙げられる。
【0038】
位置設定部14は、システムモジュール10からの物理的な位置を周辺モジュール20に通知する機能を有する。位置設定部14からの位置認識信号posXによって、周辺モジュール20は自身の物理的な位置を知ることが可能である。位置設定部14あるいは周辺モジュール20の位置認識部25は、クロックを決定する前に動作する必要があるので、これらはバスのクロックによらずに動作する。位置設定部14の詳細については後述する。
【0039】
次に、周辺モジュール20の構成について説明する。周辺モジュール20は、割込み選択部21と、クロック選択部22と、調停信号選択部23と、資源決定部24と、位置認識部25を有する。この構成において、割込み選択部21、クロック選択部22および調停信号選択部23は資源選択手段として機能し、また、資源決定部24は資源決定手段、位置認識部25は位置認識手段としてそれぞれ機能する。これらの各部位について、詳細な構成は後述する。ここでは、各部位の機能と関係を簡潔に説明する。
【0040】
位置認識部25は、位置認識信号posXからの入力を元に、自身が存在するモジュールの物理位置を認識し、位置情報27を出力する。資源決定部24は、位置情報27に応じて資源選択信号26を出力する機能を有する。
【0041】
割込み選択部21は、周辺モジュール20上で発生した割り込み信号irSを、資源選択信号26に応じて、バス上の割込み信号ir1からirLのいずれかに出力する機能を有する。
【0042】
クロック選択部22は、資源選択信号26に応じて、バス上のクロック信号ck1〜ckNから選択して、自モジュール上のデバイス(図示なし)が使用するクロック信号ckSへ出力する機能を有する。
【0043】
調停信号選択部23は、資源選択信号26に応じて、自モジュール上のデバイスからのバスリクエスト信号brSをバス上のバスリクエスト信号br1からbrMのいずれかに出力し、バス上のバスグラント信号bg1からbgMの一つを選択して自モジュール上のデバイスへのバスグラント信号bgSへ出力する機能を有する。
【0044】
次に、各部位の動作について、図1を用いて説明する。システムモジュール10とn個の周辺モジュール20−1〜20−nは、図2に示すように予め組み立てられているものとする。
【0045】
これらの計算機モジュール類は、起動するとまず、位置設定部14と各周辺モジュール20に含まれる位置認識部25が連携し、各周辺モジュール20内の資源決定部24へ、位置情報27が通知される。位置情報27は、各周辺モジュール20の実装位置に応じた情報であるので、周辺モジュール20毎に排他的に決定される。資源決定部24は、位置情報27に応じて、割込み選択部21とクロック選択部22、調停信号選択部23へ、資源選択信号26を通知する。特に、各周辺モジュール20内に実装されるバスデバイスは、クロックckSが与えられないと動作ができない。そのため、クロック選択部22によるクロックckSの決定までは、クロックckSに依存することなく決定できるよう構成される。割込み選択部21とクロック選択部22、調停信号選択部23は、資源選択信号26に応じて、バス上の信号線と自モジュール内の信号線とを接続する。以上のようにすることで、各周辺モジュール20はシステムモジュール10からの位置に応じて、モジュール内で使用するバス資源(割込み、クロック、バス調停信号)を自律的に決定する。
【0046】
以上より、本実施の形態によれば、各周辺モジュール20が同一回路構成であっても、システムモジュール10からの位置に応じて、バス資源を排他的に決定することが可能となる。そのため、手作業によりバス資源を設定する場合に起こりうる、重複設定や取り得ない設定などの誤設定を避けることができる。また、本実施の形態は、積み重ねるバス方式で自動設定を可能とするため、拡張性と利便性を維持しつつ必要最小限の大きさで計算機システムを構築可能である。また、本実施の形態によれば、手作業による設定作業を削減できるため、計算機システムを組み立てる際のコストを低減することが可能となる。
【0047】
図3(a)は、本実施の形態における計算機システムにおいて、信号の選択部を構成する基本回路の一例を示す図である。
【0048】
一例として図3(a)は、1本の入出力信号yを、4本の入出力信号x[4:1]のいずれか1本を選択して接続するための回路を示す。本明細書では、以降では説明の便宜上、最大の周辺モジュール接続数N=4として説明するが、これは発明の摘要上限を示すものではない。なお、“x[4:1]”という表記は、x[4]、x[3]、x[2]、x[1]という信号と順序を一括して表すこととする。
【0049】
選択基本回路50は、選択信号sel[1:0]と、入出力信号y、入出力信号x[4:1]、デコード素子51−1〜51−4、スイッチング素子52−1〜52−4を有する。スイッチング素子52は、例えば半導体のスイッチ素子やトランスファゲートにより実現される。ここでは、ゲート端子にLow入力を印加すると、ソースとドレイン間が導通するMOSスイッチによる回路を例示する。また、スイッチング素子のソースとドレインは対称であり、信号は双方向に入出力できる素子を摘要する。
【0050】
選択基本回路50は、選択信号sel[1:0]の信号の取る値の組み合わせにより、入出力信号yがどの入出力信号x[4:1]と接続されるか決定する。その機能を図3(b)に示す。例えば、選択信号sel[1:0]が共に0であった場合、入出力信号yと入出力信号x[1]の間のスイッチング素子52−1のみが導通する。この時、他のスイッチング素子52−2〜52−4は非導通となり、入出力信号x[4:2]は高抵抗状態(Hi−Z)となることを意味する。
【0051】
図4は、図3で示した選択基本回路50を用いて実現した、各選択部の構成の一例を示す図である。図4(a)は割込み選択部21を表し、図4(b)はクロック選択部22、図4(c)は調停信号選択部23を表す。
【0052】
割込み選択部21は、図4(a)の構成とすることで、資源選択信号26を“00”から“11”の範囲で入力すると、割込み信号irSが、割込み信号ir1〜ir4のいずれかに選択されて出力される。同様に、クロック選択部22は、図4(b)の構成とすることで、クロック信号ck1〜ck4から1本が選択されて、クロック信号ckSへ出力される。また、調停信号選択部23は、図4(c)の構成とすることで、バスリクエスト信号brSが、バスリクエスト信号br1〜br4のいずれかに選択されて出力され、バスグラント信号bg1〜bg4から1本が選択されて、バスグラント信号bgSへ出力される。
【0053】
以上の構成により、割込み選択部21、クロック選択部22、調停信号選択部23では、資源選択信号26を用いて、バス資源(割込み、クロック、バス調停信号)の対応する信号を、周辺モジュール内の資源と接続することが可能となる。
【0054】
図5は、本実施の形態における計算機システムにおいて、資源決定部の構成と機能の一例を示す図である。図5(a)は、資源決定部24の内部構成について示したものである。資源決定部24は、スイッチ選択部60と、選択信号生成部62、プルアップ抵抗64−1〜64−3を有する。63−1〜63−2は選択信号生成部62の出力信号、65はスイッチ無効信号である。スイッチ選択部60は、スイッチ61−1〜61−3を有する。図5(b)は、選択信号生成部62の入出力論理を表す真理値表である。
【0055】
図5(a)は、従来との互換性を考慮して、手作業で設定するためのスイッチ選択部60を含めた場合でも、本発明が実施できることを示す。なお、本発明の実施にはスイッチ選択部60の存在は必須ではなく、スイッチ選択部60を除去したものであっても本発明は有効である。
【0056】
本実施の形態では、スイッチ無効信号65がHighの場合や、スイッチ選択部60が存在しない場合には、選択信号生成部62が資源選択信号26の状態を決定する。スイッチ無効信号65がLowの場合、スイッチ選択部60が資源選択信号26の状態を決定する。選択信号生成部62やスイッチ選択部60から、資源選択信号26の駆動は、オープンドレイン方式による駆動が好適である。選択信号生成部62やスイッチ選択部60から信号線の駆動がない場合には、資源選択信号26はプルアップ抵抗64によってHigh状態となる。
【0057】
図5(a)と(b)を用いて、資源決定部24の動作を説明する。資源選択信号26は、プルアップ抵抗64−1〜64−2によってVcc(電源電圧)に予め設定されている。そのため、選択信号生成部62が出力信号63−1〜63−2を駆動していない場合、すなわち高抵抗状態であった場合には、資源選択信号26は二進数で“11”を示す。
【0058】
選択信号生成部62は、位置情報27とスイッチ無効信号65を用いて、出力信号63−1〜63−2の状態を決定する。選択信号生成部62の入出力信号の真理値表は図5(b)に示すとおりである。図5(b)に示す値は、全て二進数で表現される。“Hi−Z”とは、選択信号生成部62による資源選択信号26の駆動がない状態である。この時、資源選択信号26は、プルアップ抵抗64により結果的に値1を取る。なお、GNDは低電位(値0)を、Vccは高電位(値1)を意味する。
【0059】
例えば、スイッチ無効信号65がHigh(“1”)であり、位置情報27が“0010”であった場合、選択信号生成部62はオープンドレインバッファ(図示なし)によって、出力信号63−1をLow(“0”)と駆動し、出力信号63−2をHi−Z(オープンドレインバッファにより駆動しない)に設定する。また、スイッチ無効信号65がLowであった場合、位置情報27の値に関わらず、選択信号生成部62は出力信号63−1〜63−2を駆動しない。この時、資源選択信号26は、スイッチ選択部60の出力によってのみ決定される。
【0060】
以上により、資源決定部24は、位置情報27によって資源選択信号26を自動的に決定することが可能となる。また、スイッチ選択部60のような手作業による設定手段を、共存させることも可能である。
【0061】
図6は、本実施の形態における計算機システムにおいて、位置設定部14と位置認識部25に関する構成の一例を示す図である。
【0062】
位置設定部14は、システムモジュール10が有する機能部であり、位置情報コネクタ16を介して伝達される位置認識信号posXを設定する機能を有する。図6では、位置認識信号posXの1本をHighに設定し、他の信号をLowに設定する例を示す。
【0063】
位置設定部14の構成として、他にシステムモジュール10内のプロセッサ(図示なし)から設定可能なレジスタを設け、このレジスタの設定情報をposXへ出力する構成としても良い。この場合、システムモジュール10からposXの出力を変更できるため、周辺モジュール20へ割り当てるバス資源を意図的に変更することが可能となる。
【0064】
位置認識部25は、前段のモジュールから出力される位置認識信号posXを位置認識信号posYで受けて入力し、位置認識信号posXを出力する機能を有する。また、位置認識部25は、位置レジスタ66を有し、位置認識信号posYを用いて位置情報27を設定する機能を有する。位置レジスタ66は、当該周辺モジュール20の実装されている物理位置に関する情報が反映されている。例えば、周辺モジュール20に実装されるプロセッサ(図示なし)が、位置レジスタ66を参照することで、物理位置に応じたソフトウェア処理を実行可能となる。
【0065】
なお、本明細書において、前段の周辺モジュールとは、位置情報コネクタ33を介して接続される周辺モジュールを意味する。次段の周辺モジュールとは、位置情報コネクタ32を介して接続される周辺モジュールを意味する。
【0066】
図6を用いて、位置認識部25の動作を説明する。本実施の形態では、位置認識部25は、前段のモジュールから入力される位置認識信号posXを信号posYで受ける。位置認識信号posYは、その信号の値を位置レジスタ66に反映させる。また同時に、位置認識信号posYは位置情報27を設定する。
【0067】
本実施の形態では、位置認識信号posYの値を、ローテーションして位置認識信号posXとして出力する回路例を示す。すなわち、信号posY−1を信号posX−2へ、信号posY−2を信号posX−3へ、信号posY−3を信号posX−4へ、そして信号posY−4を信号posX−1へと変換している。このようにすることで、同一回路構成の周辺モジュール20をスタックしても、各周辺モジュール20における位置情報27は異なる値をとることが可能となる。
【0068】
例えば、周辺モジュール20−1における位置レジスタ66の下4ビットの値は0001(二進数)であり、位置情報27の値も同様である。一方、周辺モジュール20−2における位置情報27は0010(二進数)となる。
【0069】
本実施の形態では、位置認識信号posY,posXが4本の構成を示したが、本発明はそれに限定されるものではなく、周辺モジュール数に応じて信号線数を拡張することが可能である。
【0070】
この他に、本発明者らによる位置情報を得るための手段が特開2004−326342号の明細書に開示されている。この公知技術やその組み合わせを用いて、位置情報を周辺モジュール20にて得ることは、本発明の効果を制限するものではない。
【0071】
本実施の形態によれば、複数の周辺モジュール20から構成される計算機システムにおいて、各周辺モジュール20が自身の物理的な位置を把握することが可能となる。各周辺モジュール20がそれぞれに位置情報を利用してバス資源(割込み、クロック、バス調停信号)を自律的に設定するため、手作業でバス資源を設定する必要がなくなる。そのため、本実施の形態により、設定作業やそれに付随するコストを軽減することが可能となる。また、誤った設定を防ぐことが可能となる。
【0072】
また、本実施の形態によれば、システムモジュール10は、位置認識と資源決定のアルゴリズムを予め知ることで、周辺モジュール20の物理的な配置とそれに関連するバス資源の割り当てを知ることが可能となる。よって、システムモジュール10は、例えば割込み管理部11において、割込み信号ir1からirLのそれぞれが、どの周辺モジュールからの割り込みであるかを一意に知ることが可能となる。
【0073】
本実施の形態では、バス資源としてクロックと割込み、バス調停信号を取り上げて説明したが、本発明の適用はこれらのバス資源に限定されるものではない。例えばPCIバスにおけるIDSEL信号に関しても、本発明による資源選択機能を適用することで、各周辺モジュールにおいて自律的にバス資源を使用することが可能となる。
【0074】
(第二の実施の形態)
図7は、本発明による第二の実施の形態における計算機システムの構成の一例を示す図である。本実施の形態に使用する符号は、特に断りのない限り、前記第一の実施の形態で説明した機能や要素などと同一であることを意味する。
【0075】
本実施の形態による計算機システムは、一つのクロックモジュール70とn個(1≦n≦N)の周辺モジュール80(個数に応じた添え字を付して80−1〜80−nと表記する)からなる。ここでNは、計算機システムで規定される最大の周辺モジュール接続数である。
【0076】
本実施の形態の特徴は、割込みの処理機能とバス調停信号の処理機能とを、新たな周辺モジュール80へ統合したことにある。周辺モジュール80にて割込み処理を行うプロセッサやオペレーティングシステム(図示なし)を具備することで、前記第一の実施の形態におけるシステムモジュール10の存在に制約されること無く、周辺モジュールを拡張可能となる。
【0077】
本実施の形態における計算機システムの物理的な接続の構成は、システムモジュール10の代わりにクロックモジュール70が存在する点を除いて、図2と同様である。
【0078】
クロックモジュール70は、クロック生成部12と位置設定部14とを有する。これらの機能は、前記第一の実施の形態におけるそれと同様である。
【0079】
新たな周辺モジュール80は、割込み選択・処理部81と、クロック選択部22と、調停信号選択・処理部82と、資源決定部24と、位置認識部25を有する。クロック選択部22と資源決定部24、位置認識部25は、前記第一の実施の形態におけるそれと同様である。
【0080】
割込み選択・処理部81は、資源選択信号26に応じて、割込み信号の入力と出力を制御する。すなわち、割込み信号irSをバス上のいずれの割込み信号に出力するか、あるいは、バス上の割込み信号を引き込んで割込みの処理をするか、資源選択信号26に応じて動作する。詳細な構成については後述する。
【0081】
調停信号選択・処理部82は、資源選択信号26に応じて、調停信号の入力と出力を制御する。すなわち、バス上のいずれのバスリクエストとバスグラントとを周辺モジュール80のデバイス(図示なし)のバスリクエストbrSとバスグラントbgSとに接続するか、あるいは、バス上のバスリクエストとバスグラントとを引き込んでバス使用権の調停を行うか、資源選択信号26に応じて動作する。詳細な構成については後述する。
【0082】
各部位の動作について、図7を用いて説明する。これらの計算機モジュール類が起動すると、前記第一の実施の形態と同様に、位置設定部14と位置認識部25が連携して資源選択信号26を出力する。割込み選択・処理部81とクロック選択部22、調停信号選択・処理部82は、資源選択信号26に応じて、バス上の信号線と自モジュール内の信号線とを接続する、あるいは、バス上の信号線を引き込んで処理する。以上のようにすることで、各周辺モジュール80はクロックモジュール70からの位置に応じて、モジュール内で使用するバス資源(割込み、クロック、バス調停信号)を自律的に決定する。
【0083】
本実施の形態によれば、前記第一の実施の形態の効果に加え、第一の実施の形態のシステムモジュール10から割込み処理機能とアービタを省いたクロックモジュール70により、クロックモジュール70を簡素に構成することが可能となる。よって、クロックモジュール70を単独で構成することも、あるいは、計算機システム中の任意のモジュール(例えば電源モジュール)に組み入れることが可能となる。特に、周辺モジュール80毎にプロセッサを有するマルチプロセッサ構成の場合、割込み処理機能を周辺モジュール80へ分散させることが容易であるため、本実施の形態を容易に構成可能である。
【0084】
図8(a)は、本実施の形態における計算機システムにおいて、割込み選択・処理部81の構成の一例を示す図である。
【0085】
割込み選択・処理部81は、割込み信号irSをバス上の割込み信号に出力する選択基本回路50と、割込み処理機能を活性化するか否か選択する割込み処理活性部90と、バス上の割込み信号を入力あるいは出力するためのバッファ91と、割込み処理を行う割込み管理部92を有する。
【0086】
割込み処理活性部90は、資源選択信号26の入力を受けて、割込み処理92を活性化するか否かを決定する。割込み処理活性部90の構成の一例を図8(b)に示す。図8(b)では、資源選択信号26であるsel[1:0]が“00”(二進数)である場合に、enableがHighとなる回路例を示す。本実施の形態による計算機システムにおいて、割り込み処理活性部90の機能は、唯一の周辺モジュール80上の割込み管理部92を活性化させることである。その機能を満足させる限りは、図8(b)のNORゲート94によらない構成としても良い。
【0087】
バッファ91の構成の一例を図8(c)に示す。図では、イネーブル端子enにHighが与えられると、入力端子x[i]と出力端子y[i](i=1〜4)が導通する構成を示す。図は三状態バッファ95−1〜95−4により構成する例を示すが、イネーブル端子により入力端子と出力端子との接続を制御できる機能があれば三状態バッファによらずに、例えばトランスファゲートによる構成であっても良い。
【0088】
図8(a)に従い、割込み選択・処理部81の動作について説明する。本実施の形態において、割込み選択・処理部81は、資源選択信号26が“00”(二進数)であるか否かによって動作が大きく変わる。
【0089】
資源選択信号26が“00”(二進数)である場合には、割込み選択・処理部81は割込み管理部92を活性化させ、バスからの割込み信号を受け入れる。このとき、割込み処理活性部90により、バッファ91のイネーブル端子enにはHighが与えられる。割込み管理部92は、割込み処理活性部90から『割込み処理活性』の指示がイネーブル端子enへ与えられ、バスからの割込み信号を引き込み、割込み処理を実施する。一般に割込み処理は、割込み信号が活性化しているかの検出を行い、活性化している割込みがあった場合、プロセッサ(図示なし)による割込み要因の特定と割込み要因に応じた処理とを実施するものである。
【0090】
一方、資源選択信号26が“00”(二進数)以外である場合には、割込み選択・処理部81は割込み管理部92を活性化させないで、バス上に割込み信号を出力する。このとき、割込み処理活性部90により、バッファ91のイネーブル端子enにはLowが与えられる。周辺モジュール上のデバイスからの割込み信号irSを出力する先である、バス上の割込み信号は、資源選択信号26により定まる。
【0091】
資源選択信号26は、前述の通り、周辺モジュール80が同一回路構成であっても、計算機システム内で唯一の値を取ることを保証できる。よって、割込み選択・処理部81は、同一回路構成の周辺モジュール80であっても、計算機システム内で実装される位置に応じて、割込み処理をするか否か選択的に動作することが可能となる。
【0092】
図9は、本実施の形態における計算機システムにおいて、調停信号選択・処理部82の構成の一例を示す図である。
【0093】
調停信号選択・処理部82は、バスリクエストbrSの接続先をバス上のバスリクエスト信号から選ぶための選択基本回路50−1と、バスグラント信号bgSの接続先をバス上のバスグラント信号から選ぶための選択基本回路50−2と、バッファ91−1〜91−2と、バス調停処理(アービタ)機能を活性化するか否か選択する調停処理活性部96と、アービタ機能部97を有する。
【0094】
本実施の形態による計算機システムにおいて、調停処理活性部96の機能は、唯一の周辺モジュール80上のアービタ機能部97を活性化させることである。そのため、調停処理活性部96の構成は、例えば図8(b)に示すような回路構成としても良い。本実施の形態では調停処理活性部96を図8(b)に示す回路構成を前提として、説明を行う。
【0095】
アービタ機能部97は、前記第一の実施の形態におけるアービタ13の機能を有する。アービタ機能部97は、アービタ13の機能に加えて、アービタ機能を活性化するか否かを指示するイネーブル端子enを有することを特徴とする。アービタ機能部97は、イネーブル端子enにHighが与えられると、バスの調停機能を活性化して、バスリクエスト信号をアサートするデバイスから一つを選び、バスグラント信号を出力する機能を有する。
【0096】
図9に従い、調停信号選択・処理部82の動作を説明する。本実施の形態において、調停信号選択・処理部82は、割込み選択・処理部81と同様に、資源選択信号26が“00”(二進数)であるか否かによって動作が大きく変わる。
【0097】
資源選択信号26が“00”(二進数)である場合には、調停信号選択・処理部82はアービタ機能部97を活性化させ、バスからのバスリクエスト信号を受け入れる。このとき、調停処理活性部96により、バッファ91−1〜91−2のイネーブル端子enにはHighが与えられる。アービタ機能部97は、調停処理活性部96から『アービタ活性』の指示がイネーブル端子enへ与えられ、バスからのバスリクエスト信号を引き込み、アービタ処理を実施する。アービタ機能部97は、所定のアルゴリズムによりバス権を与えるデバイスを決定すると、該当するバスグラント信号を1本選びアサートする。
【0098】
一方、資源選択信号26が“00”(二進数)以外である場合には、調停信号選択・処理部82はアービタ機能部97を活性化させないで、バス上にバスリクエスト信号を出力し、バス上からバスグラント信号を入力する。このとき、調停処理活性部96により、バッファ91−1〜91−2のイネーブル端子enにはLowが与えられる。周辺モジュール上のデバイスからのバスリクエスト信号brSを出力する先である、バス上のバスリクエスト信号は、資源選択信号26により定まる。バスグラント信号についても同様である。
【0099】
以上により、調停信号選択・処理部82は、同一回路構成の周辺モジュール80であっても、計算機システム内で実装される位置に応じて、バス権調停処理をするか否か選択的に動作することが可能となる。
【0100】
本実施の形態において、割込み管理部92やアービタ機能部97の、イネーブル端子以外の入出力信号はバス上からの信号として説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。一般に、バスコネクタを構成するピンやバス資源は無駄なく活用することが望ましい。例えば、当該周辺モジュール80上デバイスからの割込みをバス上に一旦出力してから引き込むのではなく、割込み管理部92の入力を適切に構成することで、割込み管理部92へ直接入力することも可能となる。この場合、バス上の割込み信号を最大限利用することが可能となる。
【0101】
(第三の実施の形態)
図10は、本発明による第三の実施の形態における計算機システムの構成の一例を示す図である。本実施の形態に使用する符号は、特に断りのない限り、前記第一の実施の形態や第二の実施の形態で説明した機能や要素などと同一であることを意味する。
【0102】
本実施の形態による計算機システムは、n個(1≦n≦N)の周辺モジュール100(個数に応じた添え字を付して100−1〜100−nと表記する)からなる。ここでNは、計算機システムで規定される最大の周辺モジュール接続数である。
【0103】
本実施の形態の特徴は、全てのバス資源の処理機能を、新たな周辺モジュール100へ統合したことにある。周辺モジュール100にて割込み処理を行うプロセッサやオペレーティングシステム(図示なし)、クロック生成部を具備することで、前記第一の実施の形態におけるシステムモジュール10や前記第二の実施の形態におけるクロックモジュール70の存在に制約されること無く、周辺モジュールを拡張可能となる。
【0104】
本実施の形態における計算機システムの物理的な接続の構成は、システムモジュール10が存在しない点を除いて、図2と同様である。
【0105】
新たな周辺モジュール100は、割込み選択・処理部81と、クロック選択・生成部102と、調停信号選択・処理部82と、資源決定部24と、位置認識部101を有する。資源決定部24は、前記第一の実施の形態におけるそれと同様である。また、割込み選択・処理部81と調停信号選択・処理部82は、前記第二の実施の形態におけるそれと同様である。
【0106】
位置認識部101は、前記第一の実施の形態における位置認識部25と同様の機能を有する。位置認識部101は、新たに、位置設定部14が存在しなくとも、自分自身の位置を認識できる特徴を有する。詳細な構成については後述する。
【0107】
クロック選択・生成部102は、資源選択信号26に応じて、クロック信号の入力と出力を制御する。すなわち、クロック信号ckSをバス上のいずれのクロック信号ck1〜ckNと接続するか、あるいは、バス上のクロック信号を駆動するか、資源選択信号26に応じて動作する。詳細な構成については後述する。
【0108】
各部位の動作について、図10を用いて説明する。周辺モジュール100で構成される計算機システムが起動すると、位置認識部101が他の位置認識部と連携して資源選択信号26を出力する。割込み選択・処理部81と調停信号選択・処理部82、クロック選択・生成部102は、資源選択信号26に応じて、バス上の信号線と自モジュール内の信号線とを接続する、あるいは、バス上の信号線を引き込んで処理する。以上のようにすることで、各周辺モジュール100は、計算機システム内の物理的な位置に応じて、モジュール内で使用するバス資源(割込み、クロック、バス調停信号)を自律的に決定できる。
【0109】
本実施の形態によれば、前記第一の実施の形態と前記第二の実施の形態の効果に加え、同一の周辺モジュールを組み合わせるだけで計算機システムを構築することが可能となる。よって、周辺モジュールとシステムモジュール、あるいはクロックモジュールといった、異なるモジュールを用意することなく、拡張性を確保したまま計算機システムを構成することが可能となる。一般に、システムモジュールやクロックモジュールは計算機システムに一つだけあればよいが、周辺モジュールは複数導入する。本実施の形態によれば、周辺モジュールだけで計算機システムを構成できるため、モジュール製造時の量産効果が期待できる。
【0110】
図11(a)は、本実施の形態における計算機システムにおいて、位置認識部101の構成の一例を示す図である。位置認識部101は、位置レジスタ66と、位置情報生成部110と、抵抗部111を有する。位置認識部101は、位置認識信号posYを受け、位置情報27と位置認識信号posXを出力する機能を有する。
【0111】
抵抗部111は、位置認識信号posYが駆動されていない場合に、信号を規定の状態に保つためのものである。本実施の形態では、位置認識信号posYの全てをプルダウン抵抗を介してGNDに接続している。よって、位置認識信号posYが前段の周辺モジュールによって設定されていない場合、全てのposYはLowの値をとる。
【0112】
位置認識部101は、位置認識信号posYの値から、自身の位置を位置レジスタ66へ出力すると共に、次段の周辺モジュールに通知する位置認識信号posXを駆動する。
【0113】
位置認識部101の機能の一例を図11(b)に示す。例えば、入力posY[4:1]が“0001”(二進数)であった場合、出力posX[4:1]には“0010”(二進数)を出力する。前段に接続モジュールが存在しない場合、入力のposY[4:1]は“0000”(二進数)となるため、出力のposX[4:1]は“0001”(二進数)となる。
【0114】
ところで、これまでは、posY、posXともに、“1”の存在する位置で有効な値を表現してきたが、二進数のコードで表現することも可能である。この場合の、位置認識部101の機能の一例を図11(c)に示す。図11(c)では、二進数のコードで周辺モジュールの位置を表現している。このように構成することで、より少ない本数の位置認識信号の組で位置情報を通知できるようになる。この場合、資源決定部24における選択信号生成部62の生成論理も適合させる必要がある。
【0115】
図12は、本実施の形態における計算機システムにおいて、クロック選択・生成部102の構成の一例を示す図である。
【0116】
クロック選択・生成部102は、モジュールで使用するクロックckSの接続先を、バス上のクロック信号から選ぶための選択基本回路50と、クロックを生成するクロックドライバ121と、クロックドライバを活性化するか否か選択するクロック活性部120と、クロックを出力するためのバッファ91を有する。
【0117】
選択基本回路50、バッファ91に関しては、前述の機能と同様である。クロック活性部120は、資源選択信号26の入力を受けて、クロックドライバ121を活性化するか否かを決定する。例えば資源選択信号26が“00”(二進数)のときにクロックドライバ121を活性化させるためには、クロック活性部120は図8(b)と同様にして構成することができる。
【0118】
クロックドライバ121は、イネーブル端子enを有する。イネーブル端子enにHighが与えられると、クロックドライバはクロック信号を出力する。
【0119】
図12に従い、クロック選択・生成部102の動作について説明する。本実施の形態において、クロック選択・生成部102は、資源選択信号26が“00”(二進数)であるか否かによって動作が大きく変わる。
【0120】
資源選択信号26が“00”(二進数)である場合には、クロック選択・生成部102はクロックドライバ121を活性化させ、バスのクロック信号を駆動する。このとき、クロック活性部120により、バッファ91のイネーブル端子enにはHighが与えられる。クロックドライバ121は、クロック活性部120から『クロック駆動活性』の指示がイネーブル端子enへ与えられ、バス上のクロックを駆動する。周辺モジュール100上のデバイスが使用するクロックckSは、資源選択信号26に従い、バス上に出力されたクロックから選択されて接続される。
【0121】
一方、資源選択信号26が“00”(二進数)以外である場合には、クロック選択・生成部102はクロックドライバ121を活性化させないで、バス上のクロック信号を入力する。周辺モジュール上のデバイスが使用するクロックckSは、資源選択信号26によりバス上のクロックから選択されて接続される。
【0122】
なお、本実施の形態では、クロックckSは、常にバス上クロック信号から選択されて接続される。バス上に接続する周辺モジュールの数を増やすためにも、クロックドライバ121が活性化される場合には、クロックckSへ割り当てるクロック信号に関しては、クロックドライバからバス上に引き出さずに、直接クロックckSへ配線しても良い。この場合、バスに引き出す他のクロック信号の配線遅延と同等になるように、直接配線の引き回しを考慮する必要があることは言うまでも無い。以上のようにすることで、バス上に引き出すクロック信号は、全て他の周辺モジュールへのクロックとすることとなり、バス上の信号を有効に活用できる。同時に、バス上のクロック信号数までの周辺モジュールを接続可能となる。
【0123】
本実施の形態で説明した位置認識部101は、本実施の形態に限定されるものではなく、例えば前記第一の実施の形態や前記第二の実施の形態における位置認識部25へも適用可能である。この場合、システムモジュール10やクロックモジュール70における位置設定部14を削減することが可能となる。
【0124】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0125】
本発明は、バスを介して接続される複数の計算機モジュールから構成される計算機システムに関し、特に、システムモジュールやクロックモジュール、周辺モジュールを積み上げて接続するスタック方式のバスシステムにおいて、バスのクロックや割込みなどのバス資源を調整する方式と装置構成に適用して有効である。
【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】本発明による第一の実施の形態における計算機システムの構成の一例を示す図である。
【図2】本発明による第一の実施の形態における計算機システムの物理的な接続の一例を示す図である。
【図3】本発明による第一の実施の形態における計算機システムにおいて、信号の選択部を構成する基本回路(a)とその機能(b)の一例を示す図である。
【図4】本発明による第一の実施の形態における計算機システムにおいて、割込み選択部(a)、クロック選択部(b)、調停信号選択部(c)の構成の一例を示す図である。
【図5】本発明による第一の実施の形態における計算機システムにおいて、資源決定部の構成(a)と機能(b)の一例を示す図である。
【図6】本発明による第一の実施の形態における計算機システムにおいて、位置設定部と位置認識部に関する構成の一例を示す図である。
【図7】本発明による第二の実施の形態における計算機システムの構成の一例を示す図である。
【図8】本発明による第二の実施の形態における計算機システムにおいて、割込み選択・処理部(a)と、それを構成する割込み処理活性部(b)、バッファ(c)の構成の一例を示す図である。
【図9】本発明による第二の実施の形態における計算機システムにおいて、調停信号選択・処理部の構成の一例を示す図である。
【図10】本発明による第三の実施の形態における計算機システムの構成の一例を示す図である。
【図11】本発明による第三の実施の形態における計算機システムにおいて、位置認識部の構成(a)とその機能(b)(c)の一例を示す図である。
【図12】本発明による第三の実施の形態における計算機システムにおいて、クロック選択・生成部の構成の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0127】
10…システムモジュール、11…割込み管理部、12…クロック生成部、13…アービタ、14…位置設定部、15,30,31…バスコネクタ、16,32,33…位置情報コネクタ、20,80,100…周辺モジュール、21…割込み選択部、22…クロック選択部、23…調停信号選択部、24…資源決定部、25,101…位置認識部、50…選択基本回路、51…デコード素子、52…スイッチング素子、60…スイッチ選択部、62…選択信号生成部、64…プルアップ抵抗、66…位置レジスタ、70…クロックモジュール、81…割込み選択・処理部、82…調停信号選択・処理部、90…割込み処理活性部、91…バッファ、92…割込み管理部、94…NORゲート、95…三状態バッファ、96…調停処理活性部、97…アービタ機能部、102…クロック選択・生成部、110…位置情報生成部、111…抵抗部、120…クロック活性部、121…クロックドライバ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
割込みやクロックなどのバス資源を有するシステムバスを介して、複数の計算機モジュールが結合して構成される計算機システムであって、
第一の計算機モジュールは、位置設定情報を出力する位置設定手段と、バス資源管理手段とを有し、
第二の計算機モジュールは、当該第二の計算機モジュールの位置を認識して位置情報を出力する位置認識手段と、前記位置情報から当該第二の計算機モジュールの使用する前記バス資源を決定して資源選択情報を出力する資源決定手段と、前記資源選択情報から前記バス資源を選択する資源選択手段とを有し、
前記第二の計算機モジュールは、前記バス資源管理手段が管理する前記バス資源について、前記第一の計算機モジュールが設定する前記位置設定情報を受領し、前記第二の計算機モジュール自身の位置に応じて前記バス資源を選択して使用することを特徴とする計算機システム。
【請求項2】
割込みやクロックなどのバス資源を有するシステムバスを介して、複数の計算機モジュールが結合して構成される計算機システムであって、
第一の計算機モジュールは、バス資源管理手段を有し、
第二の計算機モジュールは、当該第二の計算機モジュールの位置を認識して位置情報を出力する位置認識手段と、前記位置情報から当該第二の計算機モジュールの使用する前記バス資源を決定して資源選択情報を出力する資源決定手段と、前記資源選択情報から前記バス資源を選択する資源選択手段とを有し、
前記第二の計算機モジュールは、前記バス資源管理手段が管理する前記バス資源について、前記第二の計算機モジュール自身の位置に応じて前記バス資源を選択して使用することを特徴とする計算機システム。
【請求項3】
割込みやクロックなどのバス資源を有するシステムバスを介して、複数の計算機モジュールが結合して構成される計算機システムであって、
第一の計算機モジュールは、位置設定情報を出力する位置設定手段と、クロック管理手段とを有し、
第二の計算機モジュールは、当該第二の計算機モジュールの位置を認識して位置情報を出力する位置認識手段と、前記位置情報から当該第二の計算機モジュールの使用する前記バス資源を決定して資源選択情報を出力する資源決定手段と、前記資源選択情報から前記バス資源を選択あるいは管理する資源選択管理手段とを有し、
前記第二の計算機モジュールは、前記クロック管理手段あるいは前記資源選択管理手段が管理する前記バス資源について、前記第一の計算機モジュールが設定する前記位置設定情報を受領し、前記第二の計算機モジュール自身の位置に応じて前記バス資源を選択して使用することを特徴とする計算機システム。
【請求項4】
割込みやクロックなどのバス資源を有するシステムバスを介して、複数の計算機モジュールが結合して構成される計算機システムであって、
第一の計算機モジュールは、クロック管理手段を有し、
第二の計算機モジュールは、当該第二の計算機モジュールの位置を認識して位置情報を出力する位置認識手段と、前記位置情報から当該第二の計算機モジュールの使用する前記バス資源を決定して資源選択情報を出力する資源決定手段と、前記資源選択情報から前記バス資源を選択あるいは管理する資源選択管理手段とを有し、
前記第二の計算機モジュールは、前記クロック管理手段あるいは前記資源選択管理手段が管理する前記バス資源について、前記第二の計算機モジュール自身の位置に応じて前記バス資源を選択して使用することを特徴とする計算機システム。
【請求項5】
割込みやクロックなどのバス資源を有するシステムバスを介して、複数の計算機モジュールが結合して構成される計算機システムであって、
第二の計算機モジュールは、当該第二の計算機モジュールの位置を認識して位置情報を出力する位置認識手段と、前記位置情報から当該第二の計算機モジュールの使用する前記バス資源を決定して資源選択情報を出力する資源決定手段と、前記資源選択情報から前記バス資源を選択あるいは管理する資源選択管理手段とを有し、
前記第二の計算機モジュールは、前記資源選択管理手段が管理する前記バス資源について、前記第二の計算機モジュール自身の位置に応じて前記バス資源を選択して使用することを特徴とする計算機システム。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の計算機システムにおいて、
前記資源決定手段は、資源設定スイッチと、手動有効スイッチとを有し、
前記手動有効スイッチにより手動設定を有効とする場合に、前記資源設定スイッチにより前記資源選択情報を出力することを特徴とする計算機システム。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の計算機システムにおいて、
前記第二の計算機モジュールは、複数からなり、それぞれ、前記位置認識手段に接続された一対の位置情報用のコネクタを有し、
前記複数の第二の計算機モジュールのそれぞれは、積み上げの物理的な位置に依存することなく、前記一対の位置情報用のコネクタを介してスタック方式で接続されることを特徴とする計算機システム。
【請求項1】
割込みやクロックなどのバス資源を有するシステムバスを介して、複数の計算機モジュールが結合して構成される計算機システムであって、
第一の計算機モジュールは、位置設定情報を出力する位置設定手段と、バス資源管理手段とを有し、
第二の計算機モジュールは、当該第二の計算機モジュールの位置を認識して位置情報を出力する位置認識手段と、前記位置情報から当該第二の計算機モジュールの使用する前記バス資源を決定して資源選択情報を出力する資源決定手段と、前記資源選択情報から前記バス資源を選択する資源選択手段とを有し、
前記第二の計算機モジュールは、前記バス資源管理手段が管理する前記バス資源について、前記第一の計算機モジュールが設定する前記位置設定情報を受領し、前記第二の計算機モジュール自身の位置に応じて前記バス資源を選択して使用することを特徴とする計算機システム。
【請求項2】
割込みやクロックなどのバス資源を有するシステムバスを介して、複数の計算機モジュールが結合して構成される計算機システムであって、
第一の計算機モジュールは、バス資源管理手段を有し、
第二の計算機モジュールは、当該第二の計算機モジュールの位置を認識して位置情報を出力する位置認識手段と、前記位置情報から当該第二の計算機モジュールの使用する前記バス資源を決定して資源選択情報を出力する資源決定手段と、前記資源選択情報から前記バス資源を選択する資源選択手段とを有し、
前記第二の計算機モジュールは、前記バス資源管理手段が管理する前記バス資源について、前記第二の計算機モジュール自身の位置に応じて前記バス資源を選択して使用することを特徴とする計算機システム。
【請求項3】
割込みやクロックなどのバス資源を有するシステムバスを介して、複数の計算機モジュールが結合して構成される計算機システムであって、
第一の計算機モジュールは、位置設定情報を出力する位置設定手段と、クロック管理手段とを有し、
第二の計算機モジュールは、当該第二の計算機モジュールの位置を認識して位置情報を出力する位置認識手段と、前記位置情報から当該第二の計算機モジュールの使用する前記バス資源を決定して資源選択情報を出力する資源決定手段と、前記資源選択情報から前記バス資源を選択あるいは管理する資源選択管理手段とを有し、
前記第二の計算機モジュールは、前記クロック管理手段あるいは前記資源選択管理手段が管理する前記バス資源について、前記第一の計算機モジュールが設定する前記位置設定情報を受領し、前記第二の計算機モジュール自身の位置に応じて前記バス資源を選択して使用することを特徴とする計算機システム。
【請求項4】
割込みやクロックなどのバス資源を有するシステムバスを介して、複数の計算機モジュールが結合して構成される計算機システムであって、
第一の計算機モジュールは、クロック管理手段を有し、
第二の計算機モジュールは、当該第二の計算機モジュールの位置を認識して位置情報を出力する位置認識手段と、前記位置情報から当該第二の計算機モジュールの使用する前記バス資源を決定して資源選択情報を出力する資源決定手段と、前記資源選択情報から前記バス資源を選択あるいは管理する資源選択管理手段とを有し、
前記第二の計算機モジュールは、前記クロック管理手段あるいは前記資源選択管理手段が管理する前記バス資源について、前記第二の計算機モジュール自身の位置に応じて前記バス資源を選択して使用することを特徴とする計算機システム。
【請求項5】
割込みやクロックなどのバス資源を有するシステムバスを介して、複数の計算機モジュールが結合して構成される計算機システムであって、
第二の計算機モジュールは、当該第二の計算機モジュールの位置を認識して位置情報を出力する位置認識手段と、前記位置情報から当該第二の計算機モジュールの使用する前記バス資源を決定して資源選択情報を出力する資源決定手段と、前記資源選択情報から前記バス資源を選択あるいは管理する資源選択管理手段とを有し、
前記第二の計算機モジュールは、前記資源選択管理手段が管理する前記バス資源について、前記第二の計算機モジュール自身の位置に応じて前記バス資源を選択して使用することを特徴とする計算機システム。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の計算機システムにおいて、
前記資源決定手段は、資源設定スイッチと、手動有効スイッチとを有し、
前記手動有効スイッチにより手動設定を有効とする場合に、前記資源設定スイッチにより前記資源選択情報を出力することを特徴とする計算機システム。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の計算機システムにおいて、
前記第二の計算機モジュールは、複数からなり、それぞれ、前記位置認識手段に接続された一対の位置情報用のコネクタを有し、
前記複数の第二の計算機モジュールのそれぞれは、積み上げの物理的な位置に依存することなく、前記一対の位置情報用のコネクタを介してスタック方式で接続されることを特徴とする計算機システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−140627(P2007−140627A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−329703(P2005−329703)
【出願日】平成17年11月15日(2005.11.15)
【出願人】(502129933)株式会社日立産機システム (1,140)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月15日(2005.11.15)
【出願人】(502129933)株式会社日立産機システム (1,140)
【Fターム(参考)】
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