説明

計量キャップ

【課題】計量がより正確に行える計量キャップを提供する。
【解決手段】流入口14と流出口15を備えた、閉蓋可能なキャップ本体10を容器体の口部へ装着させると共に、前記キャップ本体10内へ前後動自在に嵌合させた操作筒11内に、前記流出口15と流入口14とのそれぞれへ上面開口25と下面開口26とを介して連通可能な上下両面開口の計量室24を設け、前記容器体の倒立で前記計量室24内へ容器体内容物が流入可能に、かつ前記操作筒20の押し込みで前記流入口14が閉鎖されて前記流出口15が開口することで、前記計量室24内の前記容器体内容物が前記流出口15から流出可能に設けた計量キャップにおいて、前記操作筒20の押し込みにより前記流入口14が閉鎖される以前において前記計量室24の上面開口25と前記流出口15との重なり合う部分Pを閉鎖可能な連通阻止部30を前記計量室24に設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は容器体内容物を定量的に取り出すために用いられる計量キャップに関する。
【背景技術】
【0002】
容器体の口頸部へ嵌合させたキャップ本体に流入孔と流出孔を設けると共に、操作筒をキャップ本体内へ摺動自在に嵌合させ、さらに操作筒内に上下両面開口の計量室を設け、該開口を介して計量室を流入孔と流出孔とに連通可能に設け、容器体の倒立で計量室内へ容器体内容物が流入可能に、操作筒の押し込みで流入孔が閉鎖されて流出孔が開口することで、計量室内の容器体内容物が流出孔から流出可能に設けた計量キャップが従来技術として知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−166959号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術は、操作筒の押し込みにより流入孔が閉鎖される直前に、流入孔と計量室と流出孔とが連通するため、計量の正確性に欠けるおそれがあった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、計量がより正確に行える計量キャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、流入口14と流出口15を備えた、閉蓋可能なキャップ本体10を容器体の口部へ装着させると共に、前記キャップ本体10内へ前後動自在に嵌合させた操作筒20内に、前記流入口14と流出口15とのそれぞれへ下面開口26と上面開口25とを介して連通可能な上下両面開口の計量室24を設け、前記容器体の倒立でキャップ本体10の流入口14と計量室24の下面開口26を介して前記計量室24内へ容器体内容物が流入可能に、かつ前記操作筒20の押し込みで前記計量室24の下面開口26が閉鎖されて前記計量室24の上面開口25がキャップ本体10の流出口15へ連通することで、前記計量室24内の前記容器体内容物が前記流出口15から流出可能に設けた計量キャップにおいて、
前記操作筒20の押し込みにより前記計量室24の下面開口26が閉鎖される以前において前記計量室24の上面開口25と前記流出口15との重なり合う部分Pを閉鎖可能な連通阻止部30を前記計量室24に設けたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、前記連通阻止部30を前記計量室24の前面上端部の左右方向への突条で構成したことを特徴とする。
【0008】
さらに、本発明は、前記連通阻止部30を構成する突条後面を斜め上後方へ傾斜させたことを特徴とする。
【0009】
さらに、本発明は、前記連通阻止部30を構成する突条に左右方向への溝部31を設けることで、該溝部より後方の突条部分を薄肉部32に形成し、前記容器体内容物の流出時に前記薄肉部32が屈曲して前記計量室24の上面開口25の開口面積を増大可能に設けたことを特徴とする。
【0010】
さらに、本発明は、前記キャップ本体10の上面周縁から外筒17を、また前記流出口15周縁から内筒18を、それぞれ起立させると共に、前記キャップ本体10を閉蓋可能な蓋体50の頂板51周縁から嵌合外筒52を、頂板中央部から嵌合内筒53を、それぞれ垂下させ、前記蓋体50の嵌合外筒52を前記キャップ本体10の外筒17へ、かつ前記嵌合内筒53を前記内筒18へそれぞれ着脱自在に嵌合させたことを特徴とする。
【0011】
さらに、本発明は、前記計量室24は、前記操作筒20内に設けられた、該操作筒軸線と直交する前後一対の仕切板23間に設けられていることを特徴とする。
【0012】
さらに、本発明は、前記操作筒20を、前記計量室24前面と前記キャップ本体10前面との間に設けたバネ材40で後方へ弾発付勢したことを特徴とする。
【0013】
さらに、本発明は、前記バネ材40は、前記計量室24前面から前方へ一体に突出して前記キャップ本体10前面へ当接する波形状の板バネからなることを特徴とする。
【0014】
さらに、本発明は、前記キャップ本体10は前記容器体の口頸部へ装着筒11を嵌合させると共に、該装着筒上面に前面閉塞かつ後面開口の筐体部12を設けて、該筐体部下面に前記流入口14を、上面に前記流出口15を、それぞれ形成させたことを特徴とする。
【0015】
さらに、本発明は、前記操作筒20の後面を、筒本体21と一体または別体の閉塞壁で閉塞させたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、流入口14が閉鎖される以前において計量室24の上面開口25と流出口15との重なり合う部分Pを閉鎖可能な連通阻止部30を設けたので、計量室24の下面開口26が完全に閉鎖される前に計量室24から容器体内容物が流出口15を介して流出することを防止でき、したがって、計量を正確にすることができる
【0017】
また、本発明は、連通阻止部30を構成する突条後面を斜め上後方へ傾斜させたので、計量室からの容器体内容物の流出が円滑に行える。
【0018】
さらに、本発明は、連通阻止部30の突条に溝部31を設けることで、該溝部より後方の突条部分を薄肉部32に形成したので、計量室から容器体内容物が流出する際に薄肉部を変形させることが可能であり、したがって、連通阻止部を設けたにもかかわらず流出口の元の大きさを殆ど維持することができる。
【0019】
さらに、本発明は、キャップ本体へ着脱自在に嵌合可能な蓋体50を設けたので、容器体内容物を不用意に流出させることを防止できる。
【0020】
さらに、本発明は、バネ材40を計量室24から一体に突出させたので、部品点数を減少させることができる。
【0021】
さらに、本発明は、操作筒20の後面を閉塞壁28で閉塞させたので、操作筒の押し込み操作が容易であると共に、閉塞壁を操作筒本体と一体に構成することで部品点数の低減化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】(a)本発明に係る計量キャップの図1(b)X−X線に沿う断面図である。 (b)計量キャップを左右方向から見た断面図である。
【図2】(a)図1(b)の平面図である。 (b)図1(a)Y−Y線に沿う半断面図である。
【図3】キャップ本体の流入口が閉塞される前の状態を示す作用説明図である。
【図4】キャップ本体の流入口が閉塞される直前の状態を示す作用説明図である。
【図5】(a)計量キャップの流出口が完全に閉鎖されて、流出口から容器体内容物が流出可能な状態を示す断面図である。(b)図5(a)の下面図である。
【図6】操作筒の変形例を示す断面図である。
【図7】バネ材の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、説明の便宜上、図1の左右方向を前後方向とする。
【0024】
1は容器体で、胴部上端から肩部を介して口頸部を起立する。
【0025】
10はキャップ本体で、容器体1の口頸部へ装着筒11を螺合させると共に、装着筒11上面の左右方向中間部に筐体部12を設けて、筐体部12の下面を形成する底壁と装着筒11の上面を形成する頂壁とを共用壁13で共用させる。
【0026】
筐体部12の下面には左右方向へ長い流入口14を、また上面には左右方向へ長い流出口15を、それぞれ前後方向へ位置をずらして形成し、また筐体部12の後面を開口させると共に、前面の中央部から前側バネ受け筒16を後方へ突設し、さらに筐体部12上面の周縁から外筒17を、また流出口15周縁から内筒18を、それぞれ起立させる。本実施形態では筐体部12の横断面形状を矩形状とする。
【0027】
20は操作筒で、筒本体21の前後両面開口の周壁22を筐体部12内へ前後動自在に密に嵌合させており、周壁22内に、該周壁22の軸線と直交する一対の仕切板23を前後方向へ所定の間隔をおいて配置して、該一対の仕切板23間に計量室24を形成すると共に、一対の仕切板間の周壁22部分の一部を切除して、上面開口25と下面開口26との上下一対の開口を形成することで計量室24の上下両面を開口させており、上面開口25は筐体部12の流出口15へ、下面開口26は流入口14へ、それぞれ連通可能に構成させ、さらに計量室24の前側外面中央部から後側バネ受け筒27を前方へ突設させる。
【0028】
なお、周壁22の後面は蓋部28を嵌合させることで閉塞させてもよく、または図6に示すように蓋部28を周壁22後端へ一体成形することで閉塞させてもよい。よって別体または一体の蓋部28は操作筒20の後面を閉塞する閉塞壁を構成する。
【0029】
30は連通阻止部で、計量室24の前側内面の上端部に形成した左右方向への突条、すなわち上面開口25の前縁に沿うように形成した突条から構成されている。かかる突条から形成される連通阻止部30の後面は斜め上後方へ傾斜させることが好ましく、また連通阻止部30に上面開口の左右方向へのV字状溝31を設けることで、該溝31より後方の突条部分を薄肉部32に形成し、容器体内容物が流出時に薄肉部32を前方へ屈曲させて計量室24の上面開口25の開口面積を増大させるようにする。
【0030】
40はバネ材で、コイルバネの前端を前側バネ受け筒16へ、かつ後端を後側バネ受け筒27へ、それぞれ嵌合させることで操作筒20を後方へ弾発付勢させている。バネ材としてはコイルバネに限定されることなく、例えば、図7に示すように波形状の板バネを計量室24の前側外面から前方へ一体に突出させて、その前端を筐体部12の前面へ当接させてもよい。この場合には前側バネ受け筒16と後側バネ受け筒27を省略する。
【0031】
50は蓋体で、頂板51周縁から嵌合外筒52を、頂板51中央部から嵌合内筒53を、それぞれ垂下させて、嵌合外筒52を筐体部12の外筒17へ、かつ嵌合内筒53を内筒18へ、それぞれ着脱自在に嵌合させる。
【0032】
次に、本実施形態の作用について説明する。
不使用時は、図1に示すように、蓋体50は閉蓋状態にあり、また操作筒20は後部がキャップ本体10から後方へ突出し、計量室24の下面開口26はキャップ本体10の流入口14と連通しているが、計量室24の上面開口25はキャップ本体10の流出口15とは連通していない。
【0033】
容器体内容物を定量取り出すためには、図1の状態から容器体1を倒立させればよい。すると容器体内容物が流入口14を介して計量室24内へ流入する。次いで容器体倒立状態で操作筒20を押し込むと、図5に示すように流入口14が閉塞されると共に、計量室24の上面開口25が流出口15と連通するため、計量室24内の容器体内容物が流出口15を介して流出する。
【0034】
ところで、押し込み途中において操作筒20が図3、4に示す位置にある場合に、仮に連通阻止部30が設けられていないとすると、計量室24を介して流入口14と流出口15とが連通した状態で、計量室24の上面開口25と流出口15との重なり合う部分Pから容器体内容物が流出するため、正確に計量できないことになる。
【0035】
本発明では、連通阻止部30を設けて、計量室24の上面開口25と流出口15との重なり合う部分Pを閉鎖させるため、流入口14が完全に閉鎖される前に、上面開口25と流出口15との重なり合う部分Pから容器体内容物が流出することを防止でき、したがって、バネ材40による所要のバネ力の確保、計量室24の所要容積の確保、容器のコンパクト化の要請に応じつつ計量を正確に行うことができる。
【0036】
なお、本実施形態では、図4に示すように計量室24の下面開口26の後縁がキャップ本体10の流入口14の前縁に達した時点で、連通阻止部30の後縁がキャップ本体10の流出口15の後縁に達するように寸法設定する。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、容器体内容物を定量的に取り出すために用いられる計量キャップの分野に利用することができる。
【符号の説明】
【0038】
10 キャップ本体
11 装着筒
12 筐体部
14 流入口
15 流出口
17 外筒
18 内筒
20 操作筒
23 仕切板
24 計量室
25 上面開口
26 下面開口
28 蓋部(閉塞壁)
30 連通阻止部
31 溝部
32 薄肉部
50 蓋体
51 頂板
52 嵌合外筒
53 嵌合内筒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流入口14と流出口15を備えた、閉蓋可能なキャップ本体10を容器体の口部へ装着させると共に、前記キャップ本体10内へ前後動自在に嵌合させた操作筒20内に、前記流入口14と流出口15とのそれぞれへ下面開口26と上面開口25とを介して連通可能な上下両面開口の計量室24を設け、前記容器体の倒立でキャップ本体10の流入口14と計量室24の下面開口26を介して前記計量室24内へ容器体内容物が流入可能に、かつ前記操作筒20の押し込みで前記計量室24の下面開口26が閉鎖されて前記計量室24の上面開口25がキャップ本体10の流出口15へ連通することで、前記計量室24内の前記容器体内容物が前記流出口15から流出可能に設けた計量キャップにおいて、
前記操作筒20の押し込みにより前記計量室24の下面開口26が閉鎖される以前において前記計量室24の上面開口25と前記流出口15との重なり合う部分Pを閉鎖可能な連通阻止部30を前記計量室24に設けた
ことを特徴とする計量キャップ。
【請求項2】
前記連通阻止部30を前記計量室24の前面上端部の左右方向への突条で構成したことを特徴とする請求項1記載の計量キャップ。
【請求項3】
前記連通阻止部30を構成する突条後面を斜め上後方へ傾斜させたことを特徴とする請求項2記載の計量キャップ。
【請求項4】
前記連通阻止部30を構成する突条に左右方向への溝部31を設けることで、該溝部より後方の突条部分を薄肉部32に形成し、前記容器体内容物の流出時に前記薄肉部32が屈曲して前記計量室24の上面開口25の開口面積を増大可能に設けたことを特徴とする請求項2又は3記載の計量キャップ。
【請求項5】
前記キャップ本体10の上面周縁から外筒17を、また前記流出口15周縁から内筒18を、それぞれ起立させると共に、前記キャップ本体10を閉蓋可能な蓋体50の頂板51周縁から嵌合外筒52を、頂板中央部から嵌合内筒53を、それぞれ垂下させ、前記蓋体50の嵌合外筒52を前記キャップ本体10の外筒17へ、かつ前記嵌合内筒53を前記内筒18へそれぞれ着脱自在に嵌合させたことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の計量キャップ。
【請求項6】
前記計量室24は、前記操作筒20内に設けられた、該操作筒軸線と直交する前後一対の仕切板23間に設けられていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の計量キャップ。
【請求項7】
前記操作筒20を、前記計量室24前面と前記キャップ本体10前面との間に設けたバネ材40で後方へ弾発付勢したことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項記載の計量キャップ。
【請求項8】
前記バネ材40は、前記計量室24前面から前方へ一体に突出して前記キャップ本体10前面へ当接する波形状の板バネからなることを特徴とする請求項7記載の計量キャップ。
【請求項9】
前記キャップ本体10は前記容器体の口頸部へ装着筒11を嵌合させると共に、該装着筒上面に前面閉塞かつ後面開口の筐体部12を設けて、該筐体部下面に前記流入口14を、上面に前記流出口15を、それぞれ形成させたことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項記載の計量キャップ。
【請求項10】
前記操作筒20の後面を、筒本体21と一体または別体の閉塞壁で閉塞させたことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項記載の計量キャップ。






















【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−251690(P2011−251690A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−124562(P2010−124562)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】