説明

計量振出キャップ

【課題】使用時にばね部材収納室内へ入り込んだ容器体内容物をほぼ完全に除去することが可能な計量振出キャップを提供する。
【解決手段】容器体の倒立で容器体内容物が連通孔(17)を介して計量室(33)内へ流入可能に設け、さらに、操作部材(30)の押込みで連通孔(17)と容器体内との連通が遮断されると共に、計量室と横筒の振出孔(19)とが連通して容器体内容物が振出し可能に設けた計量振出キャップにおいて、横筒(16)の閉塞面の周縁部に排出窓部(39)を設けて、前記横筒内に浸入した容器体内容物を前記操作部材(30)の押込み時に前記排出窓部(39)を介して排出可能に設けると共に、洗浄時における洗浄水が前記排出窓部から排出可能に設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は容器体内容物を定量振出し可能な計量振出キャップに関する。
【背景技術】
【0002】
容器体の口頸部に装着したキャップ本体と、キャップ本体に設けた横筒内に外方付勢状態で摺動押込み可能に装着するとともに、上下端を開口した計量空間を縦設してなる操作部材とを備え、横筒底部に容器体内と連通する連通孔を、横筒頂部に振出孔をそれぞれ穿設し、操作部材の最外方係止位置で計量空間の上端を横筒により閉塞するとともに、計量空間と連通孔が連通し、操作部材の外方付勢力に抗する押込みにより計量空間の下端開口を横筒により閉塞するとともに、計量空間と振出孔とが連通可能に設け、さらに、横筒他端を閉塞する閉塞壁の中央部に水抜き用の窓孔を穿設した計量振出キャップが従来技術として知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−126213号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら従来技術では、横筒内を操作部材が摺動する際に、横筒内面と操作部材外面との隙間から操作部材付勢用のばねが収納されたばね収納室内へ容器体内容物が入り込んで堆積すると、ばねの弾性力に悪影響が生じるおそれがあるため、水抜き用窓孔を設けて分解洗浄可能な構造を採用しているが、完全に除去することはできなかった。
【0005】
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、使用時にばね部材収納室内へ入り込んだ容器体内容物をほぼ完全に除去することが可能な計量振出キャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は、容器体1の口頸部3に装着したキャップ本体10と、
該キャップ本体10に設けた一端開口の横筒16内に、外方付勢状態で摺動押込み可能に、かつ着脱可能に装着するとともに、上下両端を開口した計量空間33が縦設された操作部材30とを備え、
前記横筒16底部に容器体1内と連通する連通孔17を、前記横筒16頂部に振出孔19をそれぞれ穿設し、
前記容器体の倒立で容器体内容物が前記連通孔17を介して前記計量室33内へ流入可能に設け、さらに、前記操作部材30の押込みで前記連通孔17と前記容器体内との連通が遮断されると共に、前記計量室と前記横筒の振出孔19とが連通して容器体内容物が振出し可能に設けた計量振出キャップにおいて、
前記横筒16の閉塞面の周縁部に排出窓部39を設けて、前記横筒内に浸入した容器体内容物を前記操作部材30の押込み時に前記排出窓部39を介して排出可能に設けると共に、洗浄時における洗浄水が前記排出窓部から排出可能に設けたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、前記キャップ本体10が、容器体口頸部3へ嵌合させた装着筒11の上端面を閉塞する底壁13周縁部より起立した周壁14に一端を開口して底壁13上を横断する横筒16を横設して形成され、
前記操作部材30が、一端部を横筒16外方へ突出した状態で横筒16内に摺動可能に嵌合させた両端開口の摺動筒31を備えるとともに、該摺動筒31の所定位置に縦貫設した計量筒部31aの内部を計量室33として画成し、
前記操作部材30の外方付勢が、計量室33と横筒16の閉塞面との間に介在させたコイルばね36による外方付勢であることを特徴とする。
【0008】
さらに、本発明は、前記横筒16を縦断面矩形状に形成して、該横筒16の閉塞面の少なくとも上下両端部に排出窓部39を設けたことを特徴とする。
【0009】
さらに、本発明は、前記横筒16を縦断面矩形状に形成して、該横筒16の閉塞面に一対の補強リブ40を対角線状に設け、かつ、該一対の補強リブ間に排出窓部39を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、横筒16の閉塞面の周縁部に排出窓部39を設けたので、押込み操作時における摺動筒31の摺動で、横筒16内へ入り込んだ容器体内容物が排出窓部39から排出されるため、分解による洗浄でも完全には除去しきれなかった堆積物も排出されることになり、したがって、容器体内容物が横筒16内へ堆積することによる悪影響を回避することができると共に、洗浄水の排出も容易となる。
【0011】
また、本発明は、横筒16の閉塞面の少なくとも上下両端部に排出窓部39を設けたので、容器体内容物をより効果的に排出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る計量振出キャップの一部側断面図である。
【図2】図1の横断面図である。
【図3】計量振出キャップの一部正面断面図である。
【図4】図3の平面図である。
【図5】計量振出キャップの排出窓部を示す要部詳細図である。
【図6】他の実施形態を示す図5相当図である。
【図7】さらなる他の実施形態を示す図5相当図である。
【図8】計量時の作用説明図である。
【図9】振出し時の作用説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
1は容器体で、胴部上端から肩部を介して口頸部3を起立し、該口頸部3の下部外面にフランジを付設すると共に、該口頸部3の上部に雄ネジ部を形成している。
【0015】
10はキャップ本体で、容器体口頸部3へ装着された装着筒11を備えている。装着筒11は口頸部3外面へ螺合させた嵌着筒上端からフランジを介して下方大径のテーパ状筒部12を起立させている。その際、該テーパ状筒部12の軸線を容器体1の軸線より図面において左方向へ偏心させる。さらに、テーパ状筒部12の上端面から外向きフランジ状の底壁13を介して上部がテーパ状に拡径された周壁14を起立すると共に、周壁14内に縦断面矩形状の横筒16を横設して、その一端部を周壁14から突出させている。横筒16の底部は底壁13と共用させる。
【0016】
横筒16の下部にテーパ状筒部12を介して容器体1内へ連通する連通孔17を設けると共に、横筒16の上部に振出孔19を設けて、振出孔19の周縁から短筒を起立させる。なお、テーパ状筒部12の外周面と外向きフランジ状の底壁13下面との間隙に補強板20を放射状に配列する。
【0017】
30は操作部材で、横筒16内へ摺動自在に密接嵌合させた縦断面矩形状の摺動筒31内に計量筒部31aを設けて、その内部に計量室33を形成すると共に、計量室33の上面に上面開口34を、かつ下面に下面開口35を、それぞれ設け、さらに、一端部を横筒16から突出させると共に、計量室33と横筒16の閉塞面との間のばね収納室37に、摺動筒31を外方へ付勢するコイルばね36を設けている。なお、横筒16から突出する摺動筒31の一端部は折り返して内外二重筒に形成し、該内外二重筒内へ横筒16の先端部を摺動自在に嵌合させる。
【0018】
横筒16の閉塞面中央部から縦断面円形状の突部38を突設して、該突部38へコイルばね36の一端部を嵌合させると共に、ばね部材36の他端部を摺動筒31内へ嵌合させて計量室33へ係合させる。
【0019】
横筒16の閉塞面の上下両端部には、図5に示すように、横筒16内に浸入した紛状物等の容器体内容物を排出させるための排出窓部39を形成する。該排出窓部39からは洗浄時における洗浄水が排出可能である。
【0020】
排出窓部39としては前記の態様に限らず、例えば、図6に示すように、横筒16の閉塞面に一対の補強リブ40を対角線状に形成して、横筒16の閉塞面の上下両端部における一対の補強リブ40、40間に設けることもできる。あるいは図7に示すように一対の補強リブ40、40間であって横筒16の閉塞面の上下両端部および左右両端部に設けることもできる。
【0021】
50はキャップ本体10の周壁14の開口部を閉蓋するための蓋である。
【0022】
次に作用について説明する。
不使用状態では、図1に示すように、計量室33の下面開口35は横筒16の連通孔17と連通状態にあるが、上面開口34は横筒16により閉塞されている。計量するには、図8に示すように、蓋50を取外した後、容器体1を倒立させればよく、すると容器体内容物が連通孔17を介して計量室33内へ流入する。計量後、振出すには、図9に示すように、操作部材30をコイルばね36の付勢力に抗して押し込めばよく、すると摺動筒31が移動して連通孔17が閉塞されると共に、計量室33の上面開口34が振出孔19と連通するため、計量室33内の容器体内容物が振出孔19から流出する。振出後、操作部材30から手を離すと、摺動筒31がコイルばね36の付勢力で移動して元の位置に復帰する。
【0023】
摺動筒31の摺動時、容器体内容物が横筒16内面と摺動筒31外面との隙間を介してばね収納室37内へ入り込んだ場合、図9に示すように、摺動筒31の押し込みで内容物Dが排出窓部39から排出される。
【0024】
一方、洗浄を行う場合には、容器体口頸部3からキャップ本体10を螺脱させた後、横筒16内から摺動筒31を抜き出すと共に、コイルばね36を取り出す。次いで、横筒16内へ水を注入するなり、あるいは水の中に浸漬することで洗浄を行う。洗浄後、横筒16内の水の一部は排出窓部39から排出される。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明は容器体内容物を定量振出し可能な計量振出キャップの分野に利用することができる。
【符号の説明】
【0026】
10 キャップ本体
11 装着筒
13 底壁
14 周壁
16 横筒
17 連通孔
19 振出孔
30 操作部材
31 摺動筒
33 計量室
34 上面開口
35 下面開口
36 コイルばね
38 突部
39 排出窓部

















【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器体(1)の口頸部(3)に装着したキャップ本体(10)と、
該キャップ本体(10)に設けた一端開口の横筒(16)内に、外方付勢状態で摺動押込み可能に、かつ着脱可能に装着するとともに、上下両端を開口した計量空間(33)が縦設された操作部材(30)とを備え、
前記横筒(16)底部に容器体(1)内と連通する連通孔(17)を、前記横筒(16)頂部に振出孔(19)を、それぞれ穿設し、
前記容器体の倒立で容器体内容物が前記連通孔(17)を介して前記計量室(33)内へ流入可能に設け、さらに、前記操作部材(30)の押込みで前記連通孔(17)と前記容器体内との連通が遮断されると共に、前記計量室と前記横筒の振出孔(19)とが連通して容器体内容物が振出し可能に設けた計量振出キャップにおいて、
前記横筒(16)の閉塞面の周縁部に排出窓部(39)を設けて、前記横筒内に浸入した容器体内容物を前記操作部材(30)の押込み時に前記排出窓部(39)を介して排出可能に設けると共に、洗浄時における洗浄水が前記排出窓部から排出可能に設けた
ことを特徴とする計量振出キャップ。
【請求項2】
前記キャップ本体(10)が、容器体口頸部(3)へ嵌合させた装着筒(11)上端面を閉塞する底壁(13)周縁部より起立した周壁(14)に一端を開口して底壁(13)上を横断する横筒(16)を横設して形成され、
前記操作部材(30)が、一端部を横筒(16)外方へ突出した状態で横筒(16)内に摺動可能に嵌合させた両端開口の摺動筒(31)を備えるとともに、該摺動筒(31)の所定位置に縦貫設した計量筒部(31a)の内部を計量室(33)として画成し、
前記操作部材(30)の外方付勢が、前記計量室(33)と横筒(16)の閉塞面との間に介在させたコイルばね(36)による外方付勢であることを特徴とする請求項1記載の計量振出キャップ。
【請求項3】
前記横筒(16)を縦断面矩形状に形成して、該横筒(16) の閉塞面の少なくとも上下両端部に排出窓部(39)を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の計量振出キャップ。
【請求項4】
前記横筒(16)を縦断面矩形状に形成して、該横筒(16) の閉塞面に一対の補強リブ(40)を対角線状に設け、かつ、該一対の補強リブ間に排出窓部(39)を設けたことを特徴とする請求項3記載の計量振出キャップ。







































【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−176769(P2012−176769A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−40480(P2011−40480)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】