説明

計量装置及びそれを備えた切断装置

【課題】被測定物の密度が不明な場合でも所望の重量に対応する切断箇所を容易に求めることができるとともに、小型化により製造コストの削減を図ることが可能な計量装置及びそれを備えた切断装置を提供する。
【解決手段】計量装置1aは、重量センサー2aを介して上面3aに水槽4が載置される基台3と、基台3に立設されるネジ棹5,5と、ネジ棹5,5を回転可能に支持する支柱6,6と、チェーンベルト7を介してネジ棹5,5を回転駆動するモーター8と、ネジ棹5の回転量を検出するロータリーエンコーダからなる位置センサー2bと、支柱6,6の上部を固定するヨーク9と、ネジ棹5,5にナット部10,10を介して水平に設置されるクロスヘッド11と、クロスヘッド11に自在継手12を介して取り付けられるチャック部13を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棒状野菜等を切断する際に用いられる計量装置及びそれを備えた切断装置に係り、特に、被測定物について所望の重量毎の切断を可能とする計量装置及びそれを備えた切断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自然薯やゴボウなどの棒状野菜は、収穫後、所定の長さに切断される。このとき、切断対象物の断面積が一定でないと、切断する長さを同じにしても重量までそろえることはできない。そこで、このような課題を解決するべく、従来、断面積が不ぞろいの棒状野菜を所望の重量ごとに切断する技術について、様々な研究や開発が行われている。そして、それに関して既に幾つかの発明や考案が開示されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、「棒状野菜類の定量こま切れ機」という名称で、ごぼうなどの棒状野菜類について一定重量ごとの切断を可能とする装置に関する発明が開示されている。
特許文献1に開示された発明は、断面がV字をなし,横方向に架設される樋状のごぼう支持案内体と、このごぼう支持案内体に平行に架設されたレールに抜け止めされた状態で移動自在に係合されるスライダーと、下端がごぼう支持案内体の内側に適合するV字状に形成され上記スライダーに腕片を介して垂直に突設するように吊持される当て体を有するものである。そして、ごぼう支持案内体の先端に,ピストン装置により進退自在にカッターを取り付け、ピストン装置のピストンロッドにごぼう押え体を上下動可能に連結するとともに、ごぼう押え体の下降位置に基づいてごぼうの太さを検知するセンサーと、レール,スライダー,当て体,カッター及びごぼう押え体の動作を制御する制御装置を備えたことを特徴とする。
【0004】
このような構造のこま切れ機においては、ごぼう支持案内体の内部にごぼうを設置した後、スライダーを作動させると、当て体によりごぼうが前方へ送り出される。そして、ごぼうの先端がごぼう押え体の真下に来たとき、ごぼう押え体を下降させ、このごぼう押え体によりごぼうを固定する。次に、制御装置がセンサーによって検知されたごぼうの太さに基づいて予め決められた重量となるような長さを演算し、この長さ分だけごぼうの先端がごぼう支持案内体の先端から突出するようにスライダーを作動させ,ごぼうを送り出す。その後、カッターを作動させて、ごぼうを切断する。以下、この工程を繰り返すことにより、ごぼうがこま切れにされる。すなわち、本発明によれば、所定の重量ごとにごぼうをこま切れすることができる。その際、切断作業を始めから終わりまで一貫して行うことができるため、作業性に差が生じない。
【0005】
特許文献2には、「魚肉計量切断装置」という名称で、魚肉を所望の重量ごとに無駄なく、かつ正確に切断することを可能とする装置に関する発明が開示されている。
特許文献2に開示された発明は、底部が連結され,水平な基台上に設けられて内部に水が満たされた魚肉挿入用水槽及び浮力測定用水槽と、上部に浮力測定用ロードセルを有し,基台に立設される柱と、浮力測定用ロードセルに連結され,浮力測定用水槽内に設置される浮き子と、魚肉挿入用水槽の水中に挿入された部分の魚肉の重量を,浮力測定用ロードセルが感知した浮力から算出する計量装置と、魚肉挿入用水槽の水の中へ魚肉を徐々に挿入可能に保持する腕を備えるものである。そして、水面下の魚肉の重量と腕の位置が記憶される魚肉挿入装置と、腕の移動方向に沿って魚肉を所望の位置で切断可能にカッターが取り付けられたことを特徴としている。
【0006】
このような構造によれば、浮力測定用ロードセルが感知した浮力に基づいて水面下の魚肉の重量が算出されるため、切断された部分が所望の重量となるような魚肉の切断箇所が自動的に決定されるという作用を有する。これにより、従来、手作業で行っていた魚肉の切断を正確に効率良く行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9−173035号公報
【特許文献2】特開平6−46744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述の従来技術である特許文献1に開示された発明においては、被測定物が正確な円柱形でない場合、センサーによってごぼう押え体の下降位置からごぼうの太さが検知される際に誤差が生じるため、予め決められた重量となるような長さを正確に算出することができないという課題があった。また、本発明では、太さと長さから求められる体積を重量に変換する演算において被測定物の密度を使用する構成となっているため、密度が不明なものには適用できないという課題があった。
【0009】
また、特許文献2に開示された発明においては、魚肉挿入用水槽と浮力測定用水槽を設けなければならず、装置が複雑な構造になってしまう。また、浮き子が連結された浮力測定用ロードセルを支持するための柱を、魚肉を保持する腕を有する魚肉挿入装置とは別個に設ける必要があるため、装置の構造が大掛かりなものとなる。従って、製造コストが高くなるという課題があった。なお、明細書や図面には浮力測定用水槽を設けない例が記載されている。しかし、このような構造であっても魚肉の横に浮き子を設置するスペースを設けなければならないため、水槽を小型化することは困難である。さらに、検出された浮力から求められた魚肉の水中に浸漬された部分の体積に基づいて、その重量を演算する構成となっているため、密度が不明な魚肉に対しては適用できないという課題があった。
【0010】
本発明はこのような従来の事情に対処してなされたものであり、被測定物の密度が不明な場合でも所望の重量に対応する切断箇所を求めて、その箇所で正確に切断することができるとともに、小型化により製造コストの削減を図ることが可能な計量装置及びそれを備えた切断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、被測定物を保持する保持部と、この保持部を昇降自在に支持する支持部と、被測定物の浸漬に伴って液位が上昇するように,上方に空間が形成された状態で液体が貯留される液槽と、この液槽の重量を検出する重量センサーと、支持部を駆動して被測定物を液槽内へ浸漬可能に保持部を昇降させる駆動手段と、保持部の高さを検出する位置センサーと、この位置センサーの検出値に基づいて被測定物の液面下の長さを算出するとともに,液槽の重量変化から求められる被測定物に対する浮力に基づいて被測定物の液面下の重量を算出する演算部と、を備えたことを特徴とするものである。
【0012】
このような構造によれば、被測定物が保持部によって保持された状態で、駆動手段を作動させて支持部を下降させると、保持部とともに被測定物が下降する。そして、被測定物が液槽内に貯留された液体に浸漬されると、被測定物に対する浮力が発生する。また、この状態で支持部を上昇させると、被測定物が保持部とともに上昇する。そして、被測定物の一部が液体から引き上げられると、被測定物の液面下の体積が小さくなるため、浮力も小さくなる。なお、被測定物に作用する浮力は液槽の底面に対しても同様に作用する。従って、本発明の計量装置においては、支持部を昇降させることで被測定物の液面下の体積が変化し、それに応じて変化する浮力の大きさが重量センサーによって検出されるという作用を有する。また、保持部によって保持せずに被測定物のみを液槽内に沈めた場合、被測定物の全重量が重量センサーによって検出され、同時に被測定物の全体積が算出されるという作用を有する。これにより、被測定物の密度が算出される。さらに、被測定物に作用する浮力は、被測定物の液面下の部分の体積と,液体の密度と、重力加速度の積で表わされることから、本発明の計量装置においては、重量センサーによって検出される浮力の大きさに基づいて、被測定物の液面下の体積が算出されるとともに、この体積に被測定物の密度を乗じることにより、被測定物の液面下の重量が算出されるという作用を有する。
【0013】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の計量装置において、重量センサーは、液槽の重量の代わりにあるいは加えて被測定物の重量を検出可能に保持部に取り付けられることを特徴とするものである。
このような構造の計量装置においては、請求項1記載の発明の作用に加えて、被測定物の液面下の体積に応じて変化する浮力の大きさが保持部に取り付けられた重量センサーによって検出されるという作用を有する。また、被測定物の全重量が重量センサーによって検出されるという作用を有する。さらに、液槽の重量に加えて被測定物の重量が重量センサーによって検出される場合には、演算部による演算精度が高まるという作用を有する。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の計量装置において、重量センサー及び位置センサーの検出結果と,演算部による演算結果が保存されるメモリを備えたことを特徴とするものである。
このような構造の計量装置においては、液槽や被測定物の重量及び保持部の現在位置とともに、被測定物の液面下の重量に関するデータが他の装置で利用可能になるという作用を有する。
【0015】
請求項4に記載の発明である切断装置は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の計量装置と、被測定物が設置されるガイド溝が長手方向に沿って上面に設けられたガイド部と、このガイド部の長手方向へ前進してガイド溝内の被測定物を押動可能に設置されるガイド体と、このガイド体を駆動してガイド部の長手方向へ前進又は後退させるガイド体駆動部と、ガイド体の上方に昇降自在に設置されて被測定物を上方から押圧して固定する固定具と、この固定具を駆動して昇降させる固定具駆動部と、ガイド体から露出した被測定物の一部を切断可能に設置されるカッターと、このカッターを駆動してガイド体の長手方向に対して垂直に移動させるカッター駆動部と、ガイド体駆動部の動作を制御するガイド体制御部と、被測定物の切断長さの設定値が入力される入力部と、を備え、ガイド体制御部は、この入力部の設定値に従ってガイド体を被測定物の切断長さ分だけ前進させ、設定値は、計量装置の演算部によって算出される被測定物の液面下の長さと重量の関係に基づいて決定されることを特徴とするものである。
このような構造の切断装置においては、ガイド溝内に設置される被測定物の端部をカッターによる切断可能個所に一致させ、固定具による被測定物の固定を解除した状態で本装置を作動させると、被測定物はその切断予定個所が上記カッターの切断可能個所に一致するまでガイド体によって押動され、切断予定個所がカッターで切断されるという作用を有する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の請求項1に記載の計量装置によれば、被測定物の密度が不明な場合でも、長手方向に垂直な所望の断面から端部までの部分の重量と、その部分の長手方向に沿った長さとの関係を求めることが可能である。従って、被測定物を所望の重量ごとに切断する際に,その切断個所を正確に求めることができる。
【0017】
本発明の請求項2に記載の計量装置は、請求項1に記載の発明の効果に加えて、重量センサーの取り付けや取り外しを容易に行うことができるという効果を奏する。また、請求項1に記載の発明のように重量センサーの上面に水槽を載置する必要がないため、水槽の底面や重量センサーの形状を任意に選択できる。さらに、被測定物の重量に応じて適切な重量センサーを選択できるため、材料費を抑えて製造コストの削減を図ることが可能である。さらに、液槽の重量変化に加えて被測定物の重量が重量センサーによって検出される場合には、演算部による演算精度が高まるため、被測定物を所望の重量ごとに切断する際に,その切断個所を正確に求めることができるという請求項1記載の発明の効果がより一層発揮される。
【0018】
本発明の請求項3に記載の計量装置によれば、請求項1又は請求項2に記載された発明の効果に加えて、メモリに保存されたデータを切断装置等に直接入力できるという効果を奏する。これにより、被測定物の切断作業の精度と効率が向上する。
【0019】
本発明の請求項4に記載の切断装置によれば、被測定物の密度が不明な場合であっても所望の重量ごとに正確に切断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】(a)は本発明の実施の形態に係る計量装置の実施例1の正面図であり、(b)はその計量装置を構成する制御部の動作を説明するためのブロック図である。
【図2】実施例1の計量装置の正面図の部分拡大図である。
【図3】実施例1の計量装置の操作手順を示すフローチャートである。
【図4】(a)及び(b)はいずれも図1(a)の部分拡大図である。
【図5】(a)はクロスヘッドの現在位置と自然薯の水面下の部分の重量との関係を示した図であり、(b)及び(c)はそれぞれ本発明の実施の形態に係る切断装置の実施例の正面図及び側面図である。
【図6】実施例1の計量装置の正面図の部分拡大図である。
【図7】(a)は本発明の実施の形態に係る計量装置の実施例2の正面図であり、(b)はその計量装置を構成する制御部の動作を説明するためのブロック図である。
【図8】実施例2の計量装置の操作手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の計量装置及びそれを備えた切断装置は断面積が一定でない棒状体の切断に際して用いられるものである。以下、そのような形状の被切断物として自然薯を例にとって、本発明の構造及びその作用や効果について具体的に説明する。
【実施例1】
【0022】
本実施例の計量装置及びそれを備えた切断装置について図1乃至図6を用いて説明する(特に、請求項1,3,4に対応)。なお、図1(a)では、図1(b)に示す演算部、制御部、メモリ及び信号線や電源ケーブルの図示を省略している。
図1(a)に示すように、計量装置1aは、重量センサー2aを介して上面3aに水槽4が載置される基台3と、基台3に立設されるネジ棹5,5と、ネジ棹5,5を回転可能に支持する支柱6,6と、チェーンベルト7を介してネジ棹5,5を回転駆動するモーター8と、ネジ棹5の回転量を検出するロータリーエンコーダからなる位置センサー2bと、支柱6,6の上部を固定するヨーク9と、ネジ棹5,5にナット部10,10を介して水平に設置されるクロスヘッド11と、クロスヘッド11に自在継手12を介して取り付けられるチャック部13を備えている。
【0023】
計量装置1aにおいて、モーター8を作動させると、その駆動力がチェーンベルト7によってネジ棹5,5に伝達されるため、ネジ棹5,5は同期して回転する。その結果、チャック部13が取り付けられたクロスヘッド11がネジ棹5,5の軸心方向に移動(昇降)する。すなわち、ネジ棹5,5と、ナット部10,10と、クロスヘッド11はチャック部13を昇降自在に支持する支持部を構成し、チェーンベルト7とモーター8は、支持部を駆動してチャック部13を昇降させる駆動手段を構成している。従って、図1(a)に示すように、チャック部13によって自然薯14が保持された状態でモーター8を作動させると、自然薯14はクロスヘッド11の昇降に伴って上下方向に移動し、水槽4に満たされた水15に浸漬され、あるいは水槽4の水15から引き上げられる。
【0024】
図1(b)に示すように、メモリ16、演算部17及びモーター8は制御部18によって動作を制御されている。そして、重量センサー2aの検出値Aと,ネジ棹5の回転量を表す位置センサー2bの検出値Bは演算部17に送られる。演算部17は制御部18の指令信号18aに従って、検出値A,Bからクロスヘッド11の現在位置B及び自然薯14の水面下の重量Wを算出する。なお、検出値Aは、後述するように自然薯14の水面下の体積に比例して変化する。
【0025】
検出値A,B、クロスヘッド11の現在位置B、自然薯14の水面下の重量Wはメモリ16に送られる。そして、メモリ16は制御部18の指令信号18bに従って、これらのデータを時系列的に保存する。なお、自然薯14の水面下の部分の重量Wはクロスヘッド11の現在位置Bと関連付けられた状態で保存される。
ここで、クロスヘッド11の移動量はネジ棹5の回転量によって決まり、ネジ棹5はモーター8によって回転駆動されている。また、モーター8の動作は制御部18から送られる指令信号18cによって制御されている。すなわち、計量装置1aでは、制御部8を介してクロスヘッド11の移動量を調整できる構造となっている。
【0026】
水槽4の水15に浸漬された部分の自然薯14の体積と、重量センサー2aによって検出される重量との関係について、図2を用いて説明する。
図2は図1(a)を部分的に拡大した図である。なお、図中の破線は自然薯14を浸漬させる前の水面15aを示している。また、基台3、ネジ棹5、支柱6、チェーンベルト7、モーター8、ヨーク9、ナット部10、クロスヘッド11及び自在継手12については図示を省略し、図1に示した構成要素については同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0027】
図2に示すように、チャック部13に保持された状態の自然薯14を水槽4の水15へ浸漬させた場合、自然薯14は水15から浮力を受ける。水15に浸漬している部分の自然薯14の体積をV(cm)、水15の密度をρ(g/cm)、重力加速度をg(cm/s)とおくと、この浮力はρVg(gf)となる。従って、自然薯14全体の重量をW(gf)とおくと、チャック部13の保持力F(gf)は次の式(1)で表わされる。
【数1】

【0028】
なお、浮力ρVgは重量センサー2aに対しても同様に作用するため、水槽4と水15の合計重量をW(gf)とおくと、重量センサー2aの検出値Aは次の式(2)で表わされる。
【数2】

【0029】
一方、水15に浸漬している部分の自然薯14の重量W(gf)は、自然薯14の密度をρ(g/cm)とおくと、ρVgとなる。これに式(2)から求めたVを代入すると、水面下の部分の自然薯14の重量Wは次の式(3)で表わされる。
【数3】

【0030】
次に、計量装置1aの動作について、図3及び図4を用いて説明する。
図3は計量装置1aの操作手順を示すフローチャートであり、図4(a)及び図4(b)はそれぞれ水槽4の水15に自然薯14のみを完全に浸漬させた場合及びチャック部13の上下方向の位置を調節して自然薯14の下端14aを水槽4の水面15aに略一致させた状態を示しており、これらの図はいずれも図2に対応している。従って、図2に示した構成要素については同一の符号を付して、その説明を省略する。また、図4(a)の破線は水槽4の水15に自然薯14を浸漬させる前の水面15aを示している。
【0031】
図3に示すように、まず、ステップS1において、自然薯14を水15に浸漬させる前に重量センサー2aの検出値Aを読み取り、ステップS2において、自然薯14のみを水15に完全に浸漬させた状態で重量センサー2aの検出値Aを読み取る。これは、図2においてチャック部13の保持力Fが無い状態に相当する。従って、自然薯14の全体積及び全重量をそれぞれV(cm),W(gf)とおくと、図4(a)に示すように自然薯14には浮力ρVgが作用し、重量センサー2aにはWに加えてWが作用する。ここで、ステップS1,S2における重量センサー2aの検出値をそれぞれA,Aとおくと、これらは次の式(4)及び式(5)で表わされる。
【数4】

【数5】

【0032】
ステップS3では、自然薯14をチャック部13で保持した状態で、自然薯14の全体が水15に完全に浸漬されるまでクロスヘッド11を下降させる。このときの重量センサー2aの検出値をAとおくと、式(2)から検出値Aについて次の式(6)が成り立つことがわかる。なお、水15に浸漬させた部分のチャック部13の体積の影響は無視できるものとする。
【数6】

【0033】
式(4)〜式(6)を変形すると、自然薯14の密度ρは次の式(7)で表わされ、水面下の部分の自然薯14の重量Wを表す式(3)は式(8)のように変形できる。すなわち、自然薯14をチャック部13ごと水15に浸漬させた際のチャック部13に対する浮力の影響を無視できる場合には、式(7)及び式(8)に基づいて、自然薯14の密度及び水面下の自然薯14の重量Wがそれぞれ容易に算出される。
【数7】

【数8】

【0034】
ステップS4では、自然薯14の全体が水15の外に出るまでクロスヘッド11を所定の速度で上昇させる。このとき、重量センサー2aの検出値Aと式(8)から、水面下の部分の自然薯14の重量Wが演算部17によって逐次算出され、前述したようにクロスヘッド11の現在位置Bとともにメモリ16に保存される。ステップS5では、図4(b)に示すように、自然薯14の全体が水15の外に出て、下端14aが水面15aに一致した時点でクロスヘッド11の上昇動作を停止する。なお、上述の自然薯14を水15に浸漬させた状態におけるクロスヘッド11の現在位置Bは、図4(b)に示した状態におけるクロスヘッド11の位置を基準とし、その位置からクロスヘッド11を下降させた距離を表している(図2参照)。すなわち、Bの値は、下端14aが水面15aに一致した時点から自然薯14が下降した距離を表している。
【0035】
既に述べたように、メモリ16に保存されたクロスヘッド11の現在位置Bと、それに対応する自然薯14の水面下の重量Wは、メモリ16に保存されている。これらのデータをメモリ16から読み出して、横軸にBをとり、縦軸にWをとってプロットすると、例えば、図5(a)のようなグラフが得られる。なお、自然薯14は長手方向が上下方向に一致するように、チャック部13によって保持されているため、水面15aは自然薯14の長手方向に垂直となっている。従って、自然薯14の浸漬に伴う水面15aの変位が僅かであり,その影響を無視できる場合には、水15に浸漬された状態の自然薯14に対し、水面15aを切断面と考えることができる。この場合、Bの値は自然薯14の長手方向に垂直な切断面から下端14aまでの長さを表し、自然薯14の水面下の重量Wは自然薯14が切断される部分の重量を表すことになる。
【0036】
とWの関係が図5(a)で示される場合、自然薯14を下端14aから40cm、71cm、120cmの個所で切断すると、切断された部分の各重量はいずれも400gとなる。このように、計量装置1aによれば、自然薯14を切断する際に、その密度が不明であっても切断された部分の各重量が等しくなるような切断個所を容易に求めることができる。なお、切断された個所の各重量が所定の範囲内となるように予め規定されている場合があるが、そのときには次のようにして、切断された余りが最も少なくなるような切断方法を選択することができる。例えば、切断された個所の各重量が500〜600gの範囲内となるように規定されており、自然薯14の全体重量が1300gである場合には、500gごとに2回切断すると300g余るのに対し、600gごとに2回切断すると100gしか余らないことから、後者の切断方法を選択すれば良い。また、自然薯14の全体重量が1600gの場合には、500gごとに3回切断すると100gしか余らないのに対し、600gごとに2回切断すると400gも余ってしまうことから、前者の切断方法を選択すれば良い。このように、計量装置1aによれば、切断個所とその個所で切断された場合の重量の関係に基づいて、切断された余りが最も少なくなるような切断個所と切断回数を選択することができる。従って、自然薯14を所望の重量ごとに効率良く切断することが可能である。
【0037】
次に、自然薯14を切断する装置について説明する。
図5(b)及び図5(c)はそれぞれ自然薯14の切断装置19の正面図及び側面図である。なお、図1に示した構成要素については同一の符号を付して、その説明を省略する。
図5(b)及び図5(c)に示すように、切断装置19は、自然薯14が設置される断面V字状のガイド溝20aが長手方向に設けられるとともに,この長手方向に直交するスリット20bが形成された長尺状のガイド部20と、ガイド溝20aに沿って自然薯14を押動可能に設置されるガイド体21と、自然薯14がガイド溝20a内で摺動しないように上方から押圧して固定する固定具22と、スリット20b内を上下に移動し,自然薯14のスリット20bに架け渡された個所を切断自在に設置されるカッター23と、ガイド体21を駆動してガイド溝20a内を長手方向に沿って前進又は後退させる駆動部24aと、固定具22を駆動して上下方向に移動させる駆動部24bと、カッター23を駆動して上下方向に移動させる駆動部24cと、駆動部24a〜24cの動作を制御する制御部25と、制御部25に対してガイド体21の移動距離を指示する入力部26を備えている。
【0038】
このような構造によれば、スリット20bの個所に下端14aが位置するように自然薯14がガイド溝20aに設置された状態で切断装置19を作動させると、まず、ガイド体21は制御部25からの指令信号25aを受けた駆動部24aによって駆動され、前進する。その結果、自然薯14はガイド体21によって押動され、入力部26から入力されたガイド体21の移動距離に対応する長さだけ、下端14aがスリット20bから前方へ突出する。次に、制御部25からの指令信号25bを受けて固定具22が下降し、自然薯14を上方から押圧して固定する。その後、制御部25の指令信号25cを受けて下降するカッター23により、自然薯14がスリット20bの位置で切断される。このように、切断装置19によれば、被測定物を所望の重量ごとに正確に切断することができる。
【0039】
切断装置19は、入力部26に加えて、ガイド体21の移動距離を示す複数のデータを保存可能なメモリを備え、このメモリから読み出されたデータが入力部26に順次入力される構造とすることもできる。このような構造によれば、計量装置1aによって求められた自然薯14の切断個所に関するデータを切断装置19のメモリに保存することで、自然薯14を所望の重量ごとに、必要な回数分連続して切断することが可能となる。これにより、自然薯14の切断作業の精度と効率が向上する。なお、計量装置1aのメモリ16を切断装置19のメモリとして兼用する構造としても良い。また、切断装置19のガイド部20に設けられるガイド溝20aの断面はV字状に限らず、U字状などであっても良い。さらに、固定具22の駆動部24bやカッター23の駆動部24cは必ずしも制御部25によって、その動作を制御される構成とする必要はない。例えば、ガイド体21の駆動部24aのみが制御部25によって動作を制御される構成とすることもできる。
【0040】
以上の説明では、自然薯14の浸漬に伴う水面15aの変位の影響を無視できる場合を想定していたが、水面15aの上記影響を無視できない場合には、「水面15aから水面15bまでの高さh(図2参照)」を求める必要がある。本実施例では円筒状の側壁を有する水槽4を用いているため、内部に貯留された水15の所望の高さにおける水平断面は円形をなし、水槽4の底面の形状と常に一致する。従って、自然薯14の水面下の部分の体積を水槽4の底面積で除することにより、「水面15aから水面15bまでの高さh」が容易に算出される。このとき、水面15bから自然薯14の下端14aまでの部分の長さは、図2に示すようにBにhを加えたものとなる。すなわち、計量装置1aによれば、自然薯14の浸漬に伴う水面15aの変位の影響を無視できない場合でも、長手方向に垂直な所望の断面から下端14aまでの部分の自然薯14の重量と、その部分の長手方向に沿った長さとの関係を正確に求めることが可能である。
【0041】
さらに、自然薯14とともに水槽14の水15に浸漬されるチャック部13の影響を無視できない場合について、図6を用いて説明する。なお、図6は図2に対応するものであるため、図2に示した構成要素については同一の符号を付して、その説明を省略する。
図6に示すように、チャック部13の一部が自然薯14とともに水槽4の水15へ浸漬されている場合、チャック部13も自然薯14と同様に水15から浮力を受ける。チャック部13の水面下の体積をV(cm)とおくと、この浮力はρVgと表わされるため、式(2)において右辺に体積Vに対する浮力ρVgが加わることになり、重量センサー2aの検出値Aは次の式(9)で表わされる。同様に、式(6)における重量センサー2aの検出値Aは式(10)で表わされる。なお、式(10)では、自然薯14の全体を水15に浸漬させた際のチャック部13の水面下の部分の体積をVCTとしている。
【数9】

【数10】

【0042】
また、水面下の体積がV又はVCTとそれぞれ等しくなるように、チャック部13のみを水15に浸漬させた場合の重量センサー2aの検出値A,AC3は、それぞれ次の式(11)及び式(12)で表わされる。
【数11】

【数12】

【0043】
式(4)、式(5)、式(10)及び式(12)を変形すると、自然薯14の密度ρは式(7)の代わりに式(13)で表わされる。そして、式(9)、式(11)及び式(13)を変形すると、自然薯14の水面下の重量Wは、式(8)の代わりに式(14)で表わされる。すなわち、チャック部13を水15に浸漬させた深さと、式(11)及び式(12)で表わされる重量センサー2aの検出値A,AC3の関係を予め求めておけば、自然薯14とともに水槽14の水15に浸漬されるチャック部13の影響を無視できない場合であっても、式(13)及び式(14)に基づいて、自然薯14の密度ρ及び水面下の自然薯14の重量Wがそれぞれ容易に算出される。
【数13】

【数14】

【0044】
以上説明したように、本発明の計量装置によれば、水槽内にセンサー等を設置する必要がないため、水槽を簡単な形状とすることができる。この場合、自然薯の浸漬に伴う水面の変位量の計算が容易であるため、長手方向に垂直な所望の断面から端部までの部分の自然薯の重量と、その部分の長手方向に沿った長さとの関係を正確に求めることが可能である。これにより、自然薯を切断する際に、所望の重量に対応する切断個所を容易に求めることができる。なお、大型の水槽を用いれば、自然薯を浸漬した場合でも水面が僅かしか変位しないため、その影響をある程度無視することが可能である。しかし、この場合には、装置の製造コストが高くなってしまう。これに対し、本発明の計量装置によれば、小型の水槽を用いることが可能であり、水面の位置を検出するセンサーを別個に設置する必要もないことから、安価に製造することができる。
【0045】
なお、本発明の計量装置は本実施例に示したものに限定されるものではない。例えば、水が貯留された水槽の代わりに、水以外の液体が貯留された液槽を用いて、この液体に自然薯を浸漬させる構造であっても良い。また、自在継手は、チャック部で自然薯を保持する場合に自然薯の長手方向が上下方向(チャック部の移動方向)に略一致するように、自然薯の姿勢を修正する機能を有するが、自然薯の比重が1に略等しいか、1よりも小さく、自然薯を水に浸漬させる際にチャック部で保持する代わりに,下方へ押し込む必要がある場合には、上記機能が発揮されないおそれがある。従って、このような場合には自在継手を設置しない構造としても良い。さらに、本実施例では自然薯を保持するためにチャック部を用いているが、自然薯の保持部はこのような構造に限定されるものではない。例えば、保持部は自然薯にピンを突き刺して保持するような構造であっても良い。また、内部に貯留された水の所望の高さにおける水平断面が一様な形状となるのであれば、水槽は必ずしも側壁が円筒状をなすような形状でなくとも良い。
【実施例2】
【0046】
本実施例の計量装置について図7及び図8を用いて説明する(特に、請求項2に対応)。なお、図7(a)及び図7(b)は図1(a)及び図1(b)にそれぞれ対応する。また、図1乃至図5に示した構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
図7(a)に示すように、本実施例の計量装置1bは実施例1の計量装置1aにおいて、重量センサー2aの代わりに、チャック部13の保持力F(以下、検出値Fという。)を検出する重量センサー2cを備えたことを特徴とする。なお、重量センサー2cは引張力だけでなく、圧縮力も測定可能な構造となっている。また、図7(b)に示すように、重量センサー2cの検出値Fは演算部17に送られた後、演算部17において、検出値F,Bからクロスヘッド11の現在位置B及び、水面下にある自然薯14の重量Wが算出される。そして、検出値F,B、クロスヘッド11の現在位置B、自然薯14の水面下の部分の重量Wは、メモリ16に時系列的に保存される。なお、自然薯14の水面下の部分の重量Wはクロスヘッド11の現在位置Bと関連付けられた状態で保存される。
【0047】
チャック部13に保持された状態で自然薯14を水槽4の水15へ浸漬させた場合、重量センサー2cの検出値Fは前述の式(1)で表わされる。従って、水面下の自然薯14の重量Wは次の式(15)で表わされる。
【数15】

【0048】
次に、計量装置1bの動作について、図8を用いて説明する。なお、図8は計量装置1bの操作手順を示すフローチャートであり、図3に対応している。
図8に示すように、まず、ステップS1において、自然薯14をチャック部13で保持し、水15に浸漬させない状態で重量センサー2cの検出値Fを読み取る。次に、ステップS2において、自然薯14をチャック部13で保持した後、自然薯14の全体が水15の中に浸漬されるまでクロスヘッド11を下降させる。なお、チャック部13の体積の影響を無視できる場合、ステップS1,S2における重量センサー2cの検出値をF,Fとおくと、F,Fはそれぞれ次の式(16)及び式(17)で表わされる。
【数16】

【数17】

【0049】
式(16)及び式(17)より、自然薯14の密度ρは式(18)で表わされるため、式(15)は式(19)のように変形できる。すなわち、自然薯14をチャック部13ごと水15に浸漬させた際のチャック部13に対する浮力の影響を無視できる場合には、式(18)及び式(19)に基づいて、自然薯14の密度及び水面下の自然薯14の重量Wがそれぞれ容易に算出される。
【数18】

【数19】

【0050】
ステップS3では、自然薯14の全体が水15の外に出るまでクロスヘッド11を所定の速度で上昇させる。このとき、重量センサー2cの検出値F及び式(17)から、水面下の自然薯14の重量Wが演算部17によって逐次算出され、クロスヘッド11の現在位置Bとともにメモリ16に保存される。ステップS4では、図4(b)に示した場合と同様に、自然薯14の全体が水15の外に出て、下端14aが水面15aに一致した時点でクロスヘッド11の上昇動作を停止する。そして、このときのクロスヘッド11の現在位置Bがメモリ16に保存される。従って、自然薯14の浸漬に伴う水面15aの変位が僅かであり、その影響を無視できる場合には、本実施例の計量装置1bにおいても実施例1の計量装置1aと同様に、密度が不明な自然薯14について、長手方向に垂直な所望の断面から下端14aまでの部分の自然薯14の重量と、その部分の長手方向に沿った長さとの関係を求めることが可能である。
【0051】
なお、本実施例の計量装置1bにおいては、自然薯14の浸漬に伴う水面15aの変位の影響を無視できないときでも、実施例1の場合と同様に、自然薯14の水面下の体積を水槽4の底面積で除することにより、「水面15aから水面15bまでの高さh(図2参照)」が容易に算出される。すなわち、計量装置1bによれば、自然薯14の浸漬に伴う水面15aの変位の影響を無視できない場合でも、長手方向に垂直な所望の断面から下端14aまでの部分の自然薯14の重量と、その部分の長手方向に沿った長さとの関係を正確に求めることが可能である。
【0052】
次に、自然薯14とともに水槽4の水15に浸漬されるチャック部13の影響を無視できない場合について説明する。まず、前述のチャック部13の体積VCT(cm)に相当する重量に対する重量センサー2cの検出値をFとすると、式(16)及び式(17)はそれぞれ式(20)及び式(21)で表わされる。
【数20】

【数21】

【0053】
また、水面下の体積がV又はVCTとそれぞれ等しくなるように、チャック部13のみを水15の中に浸漬させた場合の重量センサー2cの検出値F,FC2は、それぞれ次の式(22)及び式(23)で表わされる。
【数22】

【数23】

【0054】
式(20)、(21)及び式(23)より、自然薯14の密度ρは、式(18)の代わりに式(24)で表わされ、式(1)は式(25)で表わされる。従って、式(22),(24)及び式(25)より、水面下の自然薯14の重量Wは、式(19)の代わりに式(26)で表わされる。すなわち、チャック部13を水15に浸漬させた深さと、式(22)及び式(23)で表わされる重量センサー2cの検出値F,FC2の関係を予め求めておけば、自然薯14とともに水槽14の水15に浸漬されるチャック部13の影響を無視できない場合あっても、式(24)及び式(26)に基づいて、自然薯14の密度ρ及び水面下の自然薯14の重量Wがそれぞれ容易に算出される。
【数24】

【数25】

【数26】

【0055】
上記構造の計量装置1bにおいては、自然薯14自体の重量とともに,自然薯14の水面下の体積に応じて変化する浮力の大きさがチャック部13に設置された重量センサー2cによって検出されるという作用を有する。そして、重量センサー2cの検出値F及び位置センサー2bの検出値Bから演算部17によってクロスヘッド11の現在位置B及び自然薯14の水面下の重量Wが算出され、メモリ16に保存される構成となっているため、実施例1の計量装置1aと同様に、これらのデータに基づいて、長手方向に垂直な所望の断面から下端14aまでの部分の自然薯14の重量と、その部分の長手方向に沿った長さとの関係を正確に求めることが可能である。また、重量センサー2cのチャック部13に対する取り付けや取り外しが容易である。さらに、実施例1の計量装置1aのように重量センサー2aの上面に水槽4を載置する必要がないため、水槽4の下面や重量センサー2cの形状を任意に選択することができる。加えて、重量センサー2cは自然薯14の重量に応じて種類を選択できるため、材料費を抑えて製造コストの削減を図ることが可能である。
【0056】
なお、図2及び図6においてチャック部13による保持力Fを上向きに示しているが、既に述べたように、自然薯14を水15に浸漬させる途中で保持力Fの向きが反転して下向きになる場合がある。しかし、保持力Fが下向きの場合は、式(1)でFを負の値とすれば良い。また、重量センサー2cは引張力と圧縮力のいずれも測定可能な構成であるため、保持力Fの作用する向きが途中で反転した場合でも重量センサー2cにより保持力Fが正確に検出される。すなわち、本実施例の計量装置1bにおいては、保持力Fの作用する向きが上向きと下向きのいずれであっても、上述の作用・効果が同様に発揮される。さらに、計量装置1bは、重量センサー2cに加えて実施例1で説明した重量センサー2aを備えた構造とすることもできる。この場合、自然薯14の水面下の長さとその重量が演算部17により2種類の方法で算出されるため、演算精度が高まるという作用を有する。これにより、自然薯14を切断する際に,その切断個所を正確に求めることができるという効果がより一層発揮される。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明の請求項1乃至請求項4に記載された発明は、自然薯等の棒状野菜に限らず、各種の棒状体を所望の重量ごとに切断する場合に適用可能である。
【符号の説明】
【0058】
1a,1b…計量装置 2a,2c…重量センサー 2b…位置センサー 3…基台 3a…上面 4…水槽 5…ネジ棹 6…支柱 7…チェーンベルト 8…モーター 9…ヨーク 10…ナット部 11…クロスヘッド 12…自在継手 13…チャック部 14…自然薯 14a…下端 15…水 15a,15b…水面 16…メモリ 17…演算部 18…制御部 18a〜18c…指令信号 19…切断装置 20…ガイド部 20a…ガイド溝 20b…スリット 21…ガイド体 22…固定具 23…カッター 24a〜24c…駆動部 25…制御部 25a〜25c…指令信号 26…入力部 A,B…検出値 B…現在位置 F…検出値(保持力) W…重量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定物を保持する保持部と、
この保持部を昇降自在に支持する支持部と、
前記被測定物の浸漬に伴って液位が上昇するように,上方に空間が形成された状態で液体が貯留される液槽と、
この液槽の重量を検出する重量センサーと、
前記支持部を駆動して前記被測定物を前記液槽内へ浸漬可能に前記保持部を昇降させる駆動手段と、
前記保持部の高さを検出する位置センサーと、
この位置センサーの検出値に基づいて前記被測定物の液面下の長さを算出するとともに,前記液槽の重量変化から求められる前記被測定物に対する浮力に基づいて前記被測定物の液面下の重量を算出する演算部と、
を備えたことを特徴とする計量装置。
【請求項2】
前記重量センサーは、前記液槽の重量の代わりにあるいは加えて前記被測定物の重量を検出可能に前記保持部に取り付けられることを特徴とする請求項1記載の計量装置。
【請求項3】
前記重量センサー及び前記位置センサーの検出結果と,前記演算部による演算結果が保存されるメモリを備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の計量装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の計量装置と、
前記被測定物が設置されるガイド溝が長手方向に沿って上面に設けられたガイド部と、
このガイド部の長手方向へ前進して前記ガイド溝内の前記被測定物を押動可能に設置されるガイド体と、
このガイド体を駆動して前記ガイド部の長手方向へ前進又は後退させるガイド体駆動部と、
前記ガイド体の上方に昇降自在に設置されて前記被測定物を上方から押圧して固定する固定具と、
この固定具を駆動して昇降させる固定具駆動部と、
前記ガイド体から露出した前記被測定物の一部を切断可能に設置されるカッターと、
このカッターを駆動して前記ガイド体の長手方向に対して垂直に移動させるカッター駆動部と、
前記ガイド体駆動部の動作を制御するガイド体制御部と、
前記被測定物の切断長さの設定値が入力される入力部と、
を備え、
前記ガイド体制御部は、この入力部の設定値に従って前記ガイド体を前記被測定物の切断長さ分だけ前進させ、
前記設定値は、前記計量装置の前記演算部によって算出される前記被測定物の液面下の長さと重量の関係に基づいて決定されることを特徴とする切断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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