説明

討論支援装置、討論記憶装置および討論評価装置

【課題】 インターネット上での討論を活発化させることが可能な討論支援装置を提供する。
【解決手段】 討論支援装置となるサーバ1は、インターネットのVOIPを利用した討論を支援する。討論の参加希望者は討論テーマに関する討論ルール(禁止用語や制限時間など)のメニューから自己が希望するルールを選択して、サーバ1に送信する。討論ルール決定手段7は、この選択された討論ルールに基づいて討論ルールを決定する。討論ルール決定後、インターネット上で討論がされ、討論中、各参加者の発言は討論ルール違反判断手段9により上記予め決められた討論ルールに違反するか判断される。違反判断がされた場合に判断手段9は、違反した参加者の端末に警告文を送信したり等の処理をする。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばインターネットのようなネットワークを利用する討論支援装置、討論記憶装置および討論評価装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来からインターネット上のチャットや掲示板などを利用した討論があり、これらにおいて、討論に参加する者は討論したいテーマを選択し、同じテーマを選択した他の参加者との間で討論がされる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】さて、インターネット上の討論は誰でも参加可能であり、様々な人が「期待と不安」を抱いて討論に参加している。この「期待と不安」は参加者により異なることがある。例えば、非常に刺激的な言葉のやり取りは、ある参加者にとっては「期待」であり、別の参加者にとっては「不安」であり、全く逆になる。よって、たとえテーマは同じでも、上記異なりがあしかせとなり討論が活発化しないことがあった。
【0004】本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたもので、討論を活発化させることが可能な討論支援装置並びにこの装置を適用可能な討論記憶装置および討論評価装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明に係る討論支援装置は、ネットワークを利用して討論するときにその参加者が遵守する討論ルールを予め決定する決定手段と、決定手段による討論ルールの決定後にネットワークを経由して送られる討論を受信する受信手段と、受信手段で受信された討論が決定手段で決定された討論ルールに違反するか否かを判断する判断手段と、を備えたことを特徴とする。
【0006】本発明に係る討論支援装置によれば、予め討論ルールを決定し、討論がこのルールに違反するか否かが判断される。このため、討論の参加者に討論ルールの遵守を促すことができる。
【0007】本発明に係る討論支援装置は、更に、参加者がCG表示されるようにすると共に参加者の発言の音声を変える変換手段を備えることができる。これによれば、討論での匿名性を確保できるので、参加者はためらいなく発言でき、活発な討論が可能となる。また、これによれば、討論に娯楽性が加わることにより、討論の参加者が増加するので、討論で得られる情報や知識を増やすことが可能となる。
【0008】本発明に係る討論支援装置の変換手段は、参加者の討論中の感情をCGおよび変換された音声に反映させる機能を有するようにすることができる。これによれば、匿名性を確保しつつ臨場感を出すことができるので、討論をさらに活発化させることができると共に娯楽性をさらに向上させることが可能となる。
【0009】本発明に係る討論記憶装置は、ネットワークを利用して討論するときにその参加者が遵守する討論ルールを予め決定する決定手段と、決定手段による討論ルールの決定後にネットワークを経由して送られる討論を受信する受信手段と、受信手段で受信された討論を記憶する記憶手段と、を備えたことを特徴とする。
【0010】本発明に係る討論記憶装置によれば、予め決定された討論ルールの下で行われる討論を記憶している。これにより、活発化した討論に含まれる情報や知識などを得ることができる。
【0011】本発明に係る討論評価装置は、ネットワークを利用して討論するときにその参加者が遵守する討論ルールを予め決定する決定手段と、決定手段による討論ルールの決定後にネットワークを経由して送られる討論を受信する受信手段と、受信手段で受信された討論の内容を評価する評価手段と、を備えたことを特徴とする。
【0012】本発明に係る討論評価装置によれば、予め決定された討論ルールの下で行われることによる活発化した討論の内容を評価することができる。
【0013】本発明に係る討論評価装置は、ネットワークを利用して討論するときにその参加者が遵守する討論ルールを予め決定する決定手段と、決定手段による討論ルールの決定後にネットワークを経由して送られる討論を受信する受信手段と、受信手段で受信された討論の参加者を評価する評価手段と、を備えたことを特徴とする。
【0014】本発明に係る討論評価装置によれば、予め決定された討論ルールの下で行われることによる活発化した討論に参加した者の評価をすることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて本発明の一実施形態(以下、本実施形態という)について説明する。図1は本実施形態に係る討論支援装置、討論記憶装置および討論評価装置を含むサーバ1の構成を示すブロック図の一例である。まず、図1を用いて本実施形態の概要を説明する。
【0016】サーバ1は、インターネットのVOIP(Voice Over Internet Protocol)を利用した討論の際に討論支援などの各種サービスを提供する。サーバ1は、まず、同じ討論テーマを選択した各参加者の端末に、そのテーマに関する討論ルール(禁止用語や制限時間など)のメニューを送信する。各参加者はそのメニューに表示された討論ルールの中から自己が希望するルールを選択して、サーバ1に送信する。サーバ1の討論ルール決定手段7は、この選択された討論ルールに基づいて討論ルールを決定する。具体的には、例えば、同じテーマを選択した者のうち同じ討論ルールを希望する者を抽出したり、各参加者が選択した討論ルールを調整したりすることにより、討論ルールは決定される。
【0017】討論ルール決定後、討論が開始される。参加者の発言は自己の端末からサーバ1に送られ、サーバ1がその発言を他の参加者の端末に配信することにより、インターネット上で討論がされる。討論中、各参加者の発言は討論ルール違反判断手段9により上記予め決められた討論ルールに違反するか判断される。違反判断がされた場合に判断手段9は、違反した参加者の端末に警告文を送信したり等の処理をする。このような対応は予め討論ルールに含めることができる。また、討論中、変換手段11により、各参加者が端末上でCG(Computer Graphics)表示されるようにすると共に各参加者の発言の音声を変える処理をすることができる。これも予め討論ルールの選択時に選択可能である。そして、参加者の討論(参加者の発言内容のみならず、発言中の声の抑揚、参加者の感情を反映したCGなど討論で得られた参加者に関するデータ)が討論記憶手段15に記憶される。
【0018】以上のように、本実施形態によれば、予め決定された討論ルールの下で討論を進行させ、討論がこのルールに違反するか否かが判断される。そして、違反した参加者に対しては警告文を送信するなどの処理をしている。このため、討論の参加者に討論ルールの遵守を促すことにより、各参加者が抱く討論への「期待と不安」を共通化できるので、活発な討論が実現できる。そして、その討論を基にした情報収集、知識化、参加者評価などを行うこともできる。
【0019】また、本実施形態によれば、各参加者の端末上でCGが参加者の音声を変えた声で発言した形式で討論がされるので、各参加者の匿名性が確保される。したがって、各参加者はためらいなく発言できるので、討論がより活発化する。また、討論に娯楽性が加わることにより、参加者の増加が期待できるので、討論で得られる情報や知識を増やすことが可能となる。
【0020】次に、本実施形態に係るサーバ1の構成について図1を用いて詳細に説明する。サーバ1は、討論の参加者の端末などとサーバ1がネットワークを利用して通信するための通信手段3と、サーバ1のサイトで討論されるテーマを提供する討論テーマ提供手段5と、このサイトで討論するときの討論ルールを予め決定する討論ルール決定手段7と、討論が討論ルールに違反するか否かを判断する討論ルール違反判断手段9と、討論での発言をCGが音声で行うように変換する変換手段11と、討論の際に司会や審判の機能などを提供する討論進行手段と13と、討論を記憶する討論記憶手段15と、討論を基にした情報、知識、後で説明する評価手段21で得られた討論内容評価および評価手段22で得られた参加者能力評価などが格納されたデータベース17と、討論を参加者や観客などに配信する討論配信手段19と、参加者のID(属性や能力を含む)を管理するID管理手段20と、討論の内容を分析評価する評価手段21、討論に参加した者の能力を分析評価する評価手段22と、を備える。
【0021】図2は、サーバ1が接続されたネットワークの一例を示す図である。サーバ1はインターネット23を経由して参加者の端末25と接続されている。インターネット以外に専用線や電話網などをネットワークとしてもよい。
【0022】なお、図1に示すサーバ1において、討論記憶装置15やデータベース17の機能は情報を記憶することができるもの、例えばハードディスク、EEPROMのような半導体メモリにより実現することができる。これら以外の手段の機能は、例えば各種プロセッサ(CPU、MPU)やASICと所定のプログラムとにより実現することができる。
【0023】本発明に係る討論支援装置の決定手段は討論ルール決定手段7、受信手段は通信手段3、判断手段は討論ルール違反判断手段9と対応している。本発明に係る討論記憶装置の決定手段は討論ルール決定手段7、受信手段は通信手段3、記憶手段は討論記憶手段15と対応している。また、本発明に係る討論評価装置の討論の内容を評価する評価手段は評価手段21と対応し、討論に参加した者の評価をする評価手段は評価手段22と対応する。
【0024】次に、本実施形態に係るサーバ1の動作について図1から図4を用いて説明する。図3および図4はこれを説明するためのフローチャートである。本実施形態は、VOIPを利用しているが、その他のネットワークシステムにも適用可能である。VOIPは通話料がかからないので、純粋に本実施形態で提供されるサービスの利用料金だけを課金できる。
【0025】まず、図3に示すように、討論に参加したい者は自己の端末25からサーバ1にアクセスする(ステップS1)。これにより、サーバ1のサイトのホームページが通信手段3から端末25に送信される。この機能は一般的なものなので、図1においてこの機能ブロック図は省略されている。なお、サーバ1と端末25との通信は一般のインターネットと同様に、端末25の通信手段(図示せず)、インターネット23およびサーバ1の通信手段3により実現される。
【0026】そして、ホームページ中にリンクされた討論ロビーを開ける(ステップS3)。このロビーにおいて討論テーマやルールが決定される。討論ロビーの説明の前に討論についての一般的な説明をする。
【0027】討論(議論を含む)は漠然と一括にされているが、例えば、(1)事実を検証するための事実論、(2)お互いの見方・考え方についての論争、つまり言い争い、(3)ディベート、などに分類することができる。
【0028】よって、討論に人が興味を持つ理由も様々で、例えば、(1)事実の探究心、(2)知識希求、(3)単に自分の意見を述べたい、(4)自分の意見を他者に認められたい、(5)自分の意見を公にしたい、(6)相手をやりこめたり困らせたりしたい、(7)人と話がしたい、等が考えられる。そして、討論には、相手などお構いなしのものからハイレベルな相手を望むものまで、あるいは、その進め方にまったく取り決めのないもの(何でも有りの言い争い)から厳格なルールを必要とするもの(知的ゲーム)まで様々である。
【0029】故に、本実施形態では、討論のルールやテーマが異なれば、全く別な討論場(この場合、ゲームと言い換えても良い)と考え、現行の「ネット対戦型ゲームのロビー」を模したものを、以下に説明する討論ロビーで実現するようにする。
【0030】討論ロビーの説明に戻る。討論ロビーにおいて、まず、討論テーマを決定する(ステップS5)。詳しく説明すると、討論テーマ提供手段5は討論の参加希望者の端末25に討論テーマのリストを送信する。討論テーマとしては、型(○○について、△△の是非、××は可能か、…等)、項目(時事問題、提案、主張、…等)とも種々ある。参加希望者はリストの中から自己が討論したいものを選択して、サーバ1に送信する。これにより、討論テーマが決定される。なお、参加者が希望すれば討論テーマ提供手段5が複数の討論テーマの中からランダムに討論テーマを参加希望者に割り当てるようにしてもよい。
【0031】次に、討論ロビーにおいて、決定した討論テーマでの討論ルールを決定する(ステップS7)。詳しく説明すると、討論ルール決定手段7は討論テーマが決定した参加希望者の端末25に討論ルールのメニューを送信する。
【0032】討論ルールとしては、(1)討論の基本形式/方法(つまり、事実論、論争、ディベートなどのうちどれで討論するか)、(2)禁止用語、(3)制限時間、(4)討論人数、(5)相手の属性(性別、年齢、出身地、職業、学歴、趣味など)、能力制限(相手がコンピュータならレベル指定)やライセンス提示、(6)相手の選抜方法(指名、ランダム割り振り)、(7)自己属性をどこまで相手へ提示するレベル、(8)討論での発言をCGが音声で行うように変換させる場合は使用キャラクター、(9)許容反則回数、(10)反則の罰則(反則が所定回数になったら即失格、つまり回線切断等)、(11)討論を観客に公開してよいか、観客が討論に途中参入してもよいか、(12)持ちこみ(事前準備)資料、などがある。
【0033】参加希望者はこれらの中から自己が希望するものを選択して討論ルール決定手段7に送る。なお、これ以外に自己が希望するルールがあれば参加希望者は討論ルール決定手段7に送る。
【0034】討論ルール決定手段7は、送られた自己が希望する討論ルールを基にして、討論ルールを決定する。詳細には、討論ルールが一致する者のみに参加を許諾することや、各参加希望者が選択した討論ルールを調整することにより、討論ルールは決定される。討論の相手はサーバ1の提供するコンピュータ人間にすることもできる。なお、参加者が希望すれば、討論ルール決定手段7が討論ルールをランダムに参加希望者に割り当てるようにしてもよい。本実施形態では、討論テーマを確定してから討論ルールを決定しているが、討論ルールを決めてから討論テーマを確定してもよい。なお、確定前の相手との交渉で、更に細かい取り決めを行うこともできる。課金は、相手が確定した時点で済ませることにする。また、参加者の討論テーマやルール選択余地を制限した討論場を用意すれば、そのような不測の場での参加者の能力を測ることが出来る。
【0035】討論ルール決定により討論の相手が確定すると、次に討論の参加者がIDを提示したか否か判断される(ステップS9)。IDは参加者が自己の端末25にIDを入力し、サーバ1に送信することにより提示される。
【0036】ID提示により、討論を開始する(ステップS11)。なお、ステップS9によりIDが提示されない場合、討論ルールにID提示が必須か否か判断される(ステップS13)。必須の場合はステップS7に戻り、討論ルールを改めて決定する。必須でない場合はステップS11の討論開始に進む。
【0037】討論中、討論ルール違反判断手段9により、各参加者の討論が上記予め決められた討論ルールに違反しているか否かが判断される(ステップS15)。討論ルールに違反すれば、違反者に警告したり退場させたりする処理をする。また、討論中、討論過程を確認して、水掛け論、話の堂々めぐり、過去の議論の繰り返しなどがあるか否かが判断される(ステップS17)。あればこの討論過程のデータを取得して(ステップS19)、討論記憶手段15に格納する。討論が終了するまで違反の監視および討論過程の確認は続けられる(ステップS21)さて、本実施形態では討論ルール違反判断による討論支援のほか、討論中に以下の討論支援をする。
(1)匿名性支援参加者がCG(Computer Graphics)表示されるようにすると共に参加者の音声を変える処理を変換手段11で行っている。これにより、参加者の身元はもちろんのこと、顔、声が相手の参加者や観客が識別できないようにしている。サーバ1はID(または過去のIPとそのIPの割付期間を基にした討論識別ID)で参加者を識別する。参加者の識別IDや、参加者が過去に関わった討論識別IDが公示されない場合は、相手参加者や観客には、その参加者を特定できる手がかりはない。しかしながら、その参加者の固有の言動パターンや主張内容から推測するのは勝手である。また、討論ルールで決められた参加者の持ちこみCGキャラクターはID番号のかわりになる。
(2)対コンピュータ討論支援討論相手がサーバ1の討論進行手段13が提供するコンピュータの場合、討論進行手段13はレベル、タイプ等をいくつか用意する。
(3)勝敗支援勝敗支援は、ディベート形式固有であり、サーバ1の討論進行手段13で勝敗が判断される。この判断は参加者の評価の基準の1つとなる。
(4)展開図表ディスプレイ支援討論進行手段13により、討論過程の進行チャート、論理展開などを定期的に図表で参加者や観客に提示することにより、討論を支援する。
(5)資料携帯支援電子討論場に、作成資料、過去の議論からの発言引用などをフォルダに入れて持ちこみ可能である。ただし、討論ルールによっては不可能な場合や資料等の数や容量の制限がある。討論進行手段13はこれらの支援をする。
(6)司会、審判機能支援討論進行手段13は、司会や審判機能がある。この機能はディベート形式固有である。反則チェックを行うだけでなく、討論を円滑に行うために、討論の参加者には討論ルール上禁じられていることも行う権限があるが、それらは全て事前にルールで取決めておく。討論進行手段13は、司会や審判のレベル、タイプ等をいくつか用意する。
(7)娯楽性支援■画像変換および音声変換参加者がCG表示されるようにすると共に参加者の音声を変える処理をするための画像変換および音声変換は変換手段11により実現される。なお、端末25でこれらの変換も可能である。
【0038】この変換を詳しく説明する。カメラで撮影した本人動画を端末25から変換手段11に送られ、リアルタイムでCG画像に変換すると共に同時に音声も変換する。これにより参加者が特定不可能になり、参加者の匿名性を確保するとともに、ショーアップ可能とする。CG画像のキャラクターは、討論進行手段13が提供するものを選択可能とするとともに、参加者が所定の画像データを任意形式で討論進行手段13に入力することによる「独自キャラ持ちこみ」を可能とする。この場合、独自キャラをIDで管理すれば、匿名性を保ちつつ参加者同士の識別が可能となる。
【0039】■音声等によるCGキャラ操作&デフォルメしたオーバーアクション等変換手段11は、参加者の声の具合(具体的には声の高さ大きさ、調子、抑揚等)により、前述したCG画像キャラの表情、音声(の調子)、動作を操作可能とする。この場合は、前記したカメラによる表情撮影がなくてよい。操作ルールには、自動設定と参加者によるマニュアル設定を設ける。例えば、声が大きくなると、キャラが口角沫を飛ばす、机をひっくり返すといったようなオーバーアクションをし、抑揚のない冷静な口調で話すと、突如メガネをかけた顔になりメガネを指で上げる特有の動作を取りながら話す、所定期間音声を発しないと(あるいは相槌を打たないと)ソッポを向いて上の空でいるといった具合である。CGキャラ同様に音声もデフォルメさせる。また、音声操作でなく、ディスプレイ表示されたアイコンを選択したり(例えば、所定のキャラのデフォルメ動作毎にアイコンを用意すればよい)、手持ちのコントローラを操作したりすることにより、かようなキャラ動作を相手に表示可能としてもよい。この場合は、リアルタイムで自分の意思に従ってコントロールすることが可能となるが、既存の格闘ゲームのような熟練度を必要とする。
【0040】また、測定した音声の調子を討論過程とあわせて記録することにより、どの部分で声高になったかとか、どの部分で言葉に詰まったかといった行動(言動)パターン分析結果を通達可能とする。これらは評価手段22による参加者の能力分析評価の材料とされる。
【0041】■身体情報センシングこれは端末25側でセンシングされ討論進行手段13に送られる。参加者の脈拍、鼓動、体温などを測定して、討論進行手段13に入力可能とし、これらの信号により前記のCGキャラを操作可能とする。例えば、脈拍、鼓動があがるとデフォルメした興奮状態を表すといった具合である。また、測定したこれらの信号を議論過程とあわせて記録することにより、どの部分で脈拍があがったとか、鼓動が高まったといった、討論過程での身体反応パターンを分析し、結果を通達可能とする。これらは評価手段22による参加者の能力分析評価の材料とされる。以上が討論支援である。
【0042】図3のフローチャートの説明に戻る。本実施形態により支援された討論は討論記憶手段15に記憶される。記憶されるものは、参加者の発言内容のみならず、発言中の声の抑揚、参加者の感情を反映したCGなど討論で得られた参加者に関するデータである。
【0043】ステップS21で討論の終了が判断される。討論の時間制限がある場合は討論延長の意思を確認してから自動的に討論を終了させる。討論が終了すると、討論からの情報や知識が自動的に収集にされる。これらのデータはデータベース17に格納される。これらの収集の処理についてはシステムインする際に、参加者から同意を取り付ける。情報/知識収集は以下の内容である。
(1)討論結果あるいは過程から得られる知識、導き出される知識を蓄積しデータベース化する。これにより新たなアイディア、知的財産が得られる。
(2)所定の属性を有した複数の参加者(サンプル)内の情報(嗜好、価値観等)を抜き出すことにより、間接的な(隠然とした)消費者モニタリングを行う。会話から消費者の本音情報を取得する。サクラによる間接的インタビューも可能である。
(3)負の暗黙知(誤解、偏見、風評、噂)を収集する。
(4)対話の仕方、コミュニケートの取り方に関する実データを収集する。これを人工的なコミュニケートシステム、対話可能な人工知能に活用する。無論、本実施形態の提示するコンピュータ討論にフィードバック可能である。
【0044】また、ステップS21で討論が終了すると、討論内容や参加者能力の分析評価を自動的にすることができる。これらのデータはデータベース17に格納される。これらの分析の処理についてはシステムインする際に、参加者から同意を取り付ける。以下、分析評価について説明する。ステップS23で評価の取得を希望する場合、討論記憶手段15などに格納されたデータを基にして、評価手段21により討論内容の分析評価がなされ、評価手段22により参加者の能力が分析評価される。これらにより評価データを取得することができる(ステップS25)。評価データは端末25を介して参加者に通知することができる。参加者の評価は以下の通りである。
(1)討論能力評価数値化して通知(絶対評価)する。
(2)人物評価(対話を通しての)
数値化して通知(絶対評価)する。
(3)属性による評価参加者が所定の本人属性を入力することにより、種々の属性別に討論能力評価、人物評価を行い通知する(相対評価)。属性とは性別、年齢、出身地、職業、学歴、趣味などである。これらの属性は希望すればサーバ1に登録が可能である。
(4)思考パターン/言動パターン参加者の定型的パターンを割り出して通知する。
(5)討論過程評価各討論場に、討論内容、過程を分析評価する。これにより、水掛け論、話の堂々めぐり、過去の議論の繰り返しになっていることなども確認できるし、今までにない新たな内容であることも確認できる。個人の評価にも反映するが、討論自体に評価がつけられる。
【0045】なお、討論内容は上記情報/知識収集の(1)から(4)や、参加者評価の(1)から(5)を基にして評価が下される。
【0046】さて、参加者が評価データ(討論内容やその参加者の評価データ)の取得を希望する場合のフローについて図4を用いて説明する。まず、ステップS1およびS3(図3)により討論ロビーを端末25に読み出す。そして、参加者のID、または過去のIPとそのIPの割付期間を基にした討論識別IDを入力する(ステップS27)。
【0047】参加者は取得したい評価項目を選択して(ステップS29)、評価データを自己の端末25上で取得する(ステップS31)。他に取得したい評価項目があればステップS29に戻り、なければ終了となる。
【0048】なお、本実施形態は、上記匿名性支援や娯楽性支援から分かるように、匿名性保持が基本なので、参加者は本実施形態を使用する際に個人を特定可能な登録なく割り振られる任意のID番号(に類するもの。パスワードと組み合わせでも良い)により識別される。これにより、参加者は評価データをいつでも入手可能となるので、自分の討論の後にサンプル集団の推移でかわる相対評価や、複数回数の討論を通じての積分評価などを匿名で受けとることができる。
【0049】また、サーバ1側に同一IDで評価されることを拒否したい場合には、「サーバ1利用期間とその際のIPアドレス(利用履歴)」により識別を行う。この場合は、参加者側も何らかの記録メディア(メモリーカード、ICカード、DVD、HD)により利用履歴を記録することになる。ID識別の場合と異なり、サーバ1側は「利用履歴のつながり」に関する情報をもたない。同様に、任意の討論結果にも識別IDを割り振り、その評価を管理する。逆に属性を提示してID登録することも可能とする。
【0050】なお、識別IDまたは利用履歴が記録されたメディアは、参加者の評価レベルを保証するライセンスになる。ライセンスで評価レベルを提示しないと利用できない(参加できない)討論場を設定可能である。もちろん、あるレベル以上の参加者を求める場合にも有効である。
【0051】最後に、本実施形態によれば、討論を閲覧することができる。各討論は、既存のネットワークゲーム同様に、無料または有料で観客に閲覧(観戦)可能とする。前記した討論ロビーに観戦入り口を設ける。リアルタイムで閲覧する場合は、討論配信手段19は参加者に配信する討論を閲覧希望者(観客)に配信する。
【0052】一方、過去の討論データは、評価等属性情報ともども討論記憶手段15やデータベース17で蓄積管理されている。固有の検索エンジンにより、討論日時、ルール、テーマ、討論評価、(参加者の明示許可がある場合)参加者の属性、レベルなどから検索閲覧可能とする。あるいは、専用プラウザで簡便に閲覧可能とする。既存の掲示板等の過去ログ閲覧は無料だが、本システムは閲覧レベル(段階的に閲覧可能とするのであり、無料の閲覧レベルもある)に従い課金を行う。これは、前述した娯楽性支援によるエンターテインメント性や次に説明する知識化や参加者評価により、単なる「ボイスチャット」以上の付加価値を有しているためである。
【0053】
【発明の効果】以上述べたように、本発明に係る討論支援装置によれば、討論の参加者に討論ルールの遵守を促すことにより、各参加者が抱く討論への「期待と不安」を共通化できるので、討論を活発化させることができる。
【0054】また、本発明に係る討論記憶装置によれば、活発化した討論に含まれる情報や知識を収集したり、討論の参加者を評価したりすることが可能となる。
【0055】また、本発明に係る討論評価装置によれば、予め決定された討論ルールの下で行われることによる活発化した討論の内容評価やその討論に参加した者を評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施形態に係る討論支援装置、討論記憶装置および討論評価装置を含むサーバの構成の一例を示すブロック図である。
【図2】 本実施形態に係るサーバが接続されたネットワークの一例を示す図である。
【図3】 本実施形態に係るサーバの動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】 本実施形態に係るサーバの動作を説明するためのフローチャート(事後に評価データのみを取得する場合)である。
【符号の説明】
1・・・サーバ
3・・・通信手段
5・・・討論テーマ提供手段
7・・・討論ルール決定手段
9・・・討論ルール違反判断手段
11・・・変換手段
13・・・討論進行手段
15・・・討論記憶手段
17・・・データベース
19・・・討論配信手段
20・・・ID管理手段
21・・・討論内容分析評価手段
22・・・参加者能力分析評価手段
23・・・インターネット
25・・・端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】 ネットワークを利用して討論するときにその参加者が遵守する討論ルールを予め決定する決定手段と、前記決定手段による討論ルールの決定後に前記ネットワークを経由して送られる討論を受信する受信手段と、前記受信手段で受信された討論が前記決定手段で決定された討論ルールに違反するか否かを判断する判断手段と、を備えたことを特徴とする討論支援装置。
【請求項2】 前記参加者がCG表示されるようにすると共に前記参加者の発言の音声を変える変換手段を更に備えた請求項1記載の討論支援装置。
【請求項3】 前記変換手段は、前記参加者の討論中の感情を前記CGおよび前記変換された音声に反映させる機能を有する請求項2記載の討論支援装置。
【請求項4】 ネットワークを利用して討論するときにその参加者が遵守する討論ルールを予め決定する決定手段と、前記決定手段による討論ルールの決定後に前記ネットワークを経由して送られる討論を受信する受信手段と、前記受信手段で受信された討論を記憶する記憶手段と、を備えたことを特徴とする討論記憶装置。
【請求項5】 ネットワークを利用して討論するときにその参加者が遵守する討論ルールを予め決定する決定手段と、前記決定手段による討論ルールの決定後に前記ネットワークを経由して送られる討論を受信する受信手段と、前記受信手段で受信された討論の内容を評価する評価手段と、を備えたことを特徴とする討論評価装置。
【請求項6】 ネットワークを利用して討論するときにその参加者が遵守する討論ルールを予め決定する決定手段と、前記決定手段による討論ルールの決定後に前記ネットワークを経由して送られる討論を受信する受信手段と、前記受信手段で受信された討論の参加者を評価する評価手段と、を備えたことを特徴とする討論評価装置。

【図2】
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【図1】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2003−281067(P2003−281067A)
【公開日】平成15年10月3日(2003.10.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−80454(P2002−80454)
【出願日】平成14年3月22日(2002.3.22)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】