説明

記憶媒体、記憶再生システム、記憶再生方法

【課題】試し視聴とアップグレード視聴に用いる記憶媒体を提供する。
【解決手段】
主コンテンツ(210)のデータと、副コンテンツ(215)のデータと、再生制御プログラム(260)とを、記憶媒体(20)に備える。PC(10)のコンテンツ再生プログラム(125)は、試供視聴時には、主コンテンツ(210)のデータを用いて再生制御プログラム(260)により低解像度画像再生用にレンダリングして、副コンテンツ(215)のデータと同時に表示する。アップグレード視聴時には、主コンテンツ(210)のデータのみを用いて高精細画像再生用にレンダリングする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は記憶媒体、記憶再生システム、記憶再生方法に関し、特に試供視聴とアップグレード視聴に用いる記憶媒体、記憶再生システム、記憶再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、記憶媒体の高容量化が進んでいる。光記憶媒体に関しても、一層25GB(ギガバイト)、二層で50GBの容量を備えたBlu−rayディスク(BD)が普及してきている。
Blu−rayディスクは1920×1080ドット等のHDTV(高精細テレビジョン放送)解像度の画像データを記憶して表示することができる。また、音声についても、マルチチャンネルの音声を、従来のDVDよりも圧縮せずに記憶することが可能である。
このように、Blu−rayディスクは、従来よりも解像度が高く鮮明な画像と音声を視聴可能である。
ところが、現在のところ、Blu−rayディスクのディスク本体や記録するデータの製造には、従来のDVDよりも手間がかかる。このため、Blu−rayディスクの購入価格、レンタルの金額は、DVDに比べ高額である。
このため、現状では、Blu−rayディスクの普及が供給者の思うように進んでいないという問題がある。
【0003】
ここで、特許文献1を参照すると、従来の再生システムとして、2つの映像データであるメインストリームとサブストリームを、主表示画面と副表示画面として合成してコンテンツを再生するシステムが記載されている(以下、従来技術1とする。)。
この従来技術1は、メインストリームに対するサブストリームの大きさの比率、サブストリームのオリジナルの画像の大きさに対する縮小率、副表示画面を構成する画素が、縦横それぞれ何画素で構成されているかを示す情報などをデータを記憶することができる。
これにより、ピクチャ・イン・ピクチャによりサブストリームを任意の大きさで合成することができる。
これにより、解像度が高く鮮明な画像と音声に加えて、ピクチャ・イン・ピクチャ表示における副表示画面の大きさと表示位置は、再生装置の仕様に依存することなく、コンテンツの製作者、または、コンテンツの配給元が、適宜定めることができる。
これにより、多彩なディスク再生の付加価値を用いて、Blu−rayディスクの消費者への遡及力を高めることができる。
【0004】
ここで、Blu−rayディスクの機能的な魅力を一般的な消費者に伝えるためには、実際にBlu−rayディスクを再生して、価値を認めた上で購入するという方法が考えられる。
すなわち、視聴者としては、低価格で購入又はレンタルして、試供品のように視聴する「試供視聴」(「お試し」視聴)をしたいという欲求が存在する。その上で、気に入ったら「アップグレード視聴」として支払いを行って、高画質・高音質のコンテンツを視聴するようなシステムが求められている。
【0005】
【特許文献1】特開2003−187524号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来技術1は、メインストリームとサブストリームとを、試供視聴とアップグレード視聴により切り換える機能については開示されていなかった。
このため、記憶媒体上に、試供視聴用の画像データサブストリームを記憶し、アップグレード視聴用の画像データをメインストリームを記憶しても、これらを切り換えて再生することはできなかった。
【0007】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、上述の課題を解消することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の記憶媒体は、主コンテンツのデータと、副コンテンツのデータと、前記主コンテンツのデータをスケールダウン表示して空いている領域に副コンテンツのデータを表示するよう制御し、又は前記主コンテンツのデータのみを表示するよう制御する再生制御プログラムとを備えることを特徴とする。
本発明の記憶媒体は、前記主コンテンツのデータを所定の大きさで表示するための差分データを更に備えることを特徴とする。
本発明の記憶媒体は、前記再生制御プログラムは、前記主コンテンツのデータをスケールダウン表示する際に、前記副コンテンツのデータを同時に表示するよう制御することを特徴とする。
本発明の記憶媒体は、前記主コンテンツのデータは、試供視聴用のコンテンツのデータであり、前記差分データは、アップグレード視聴用のデータであり、前記差分データと主コンテンツのデータとは発行される視聴キーを用いて復号化されるように暗号化されており、前記再生制御プログラムは、前記アップブレード視聴時に前記視聴キーを用いて、前記差分データを復号化して所定の大きさで表示するよう制御することを特徴とする。
本発明の記憶再生システムは、前記記憶媒体と、前記記憶媒体に記憶されたデータを再生する端末と、前記視聴キーを発行するサーバとを備えることを特徴とする。
本発明の記憶再生システムは、前記副コンテンツのデータには広告IDを含み、前記広告ID毎の視聴期限を記憶する広告制御情報記憶手段を備え、前記端末は、前記広告制御情報記憶手段に記憶された視聴期限を過ぎていた場合には、新しい広告コンテンツのデータを前記サーバからダウンロードして再生することを特徴とする。
本発明の記憶再生方法は、記憶媒体に、主コンテンツのデータと、副コンテンツのデータと、再生制御プログラムとを記憶し、試供視聴時に、前記主コンテンツのデータを用いてスケールダウン表示して空いている領域に副コンテンツのデータを表示するよう制御し、アップグレード視聴時に、前記主コンテンツのデータと前記副コンテンツのデータとを用いて所定の大きさで表示するよう制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複数の画像データを記憶して、該画像データを再生時に再生制御プログラムにより切り換えてデコードすることで所定の解像度と音声出力を得ることができ、試供視聴とアップグレード視聴に対応した再生方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
<第1の実施の形態>
〔記憶再生システムXのシステム構成〕
まず、図1を参照して、本発明の実施の形態に係る記憶再生システムXのシステム構成について説明する。
記憶再生システムXは、主に端末1とサーバ3とが、ネットワーク5で接続されているように構成される。
【0011】
端末1は、PC10と、記憶媒体20と、映像音声出力部40と、入力部60とを含んで構成される、コンテンツを再生する端末である。
PC10は、一般的なPC/AT互換機やMAC規格機等であるPC(Personal Computer)、ノート型PC、BD(Blu−ray Disk)プレーヤー/レコーダー、セットトップボックス、ネットワーク映像配信端末、ビデオゲーム機、携帯電話、PDA(パーソナル・データ・アシスタント)、BDカメラ装置等である。PC10は、BDドライブ等を備えて記憶媒体20のコンテンツを再生可能であり、通信網であるネットワーク5を介し、サーバ3と接続している。以下では、PC10がPC/AT互換機の例について説明する。
記憶媒体20は、映画や放送番組等の映像・音声コンテンツを記憶している記憶媒体である。
映像音声出力部40は、液晶ディスプレイ、PDP(プラズマ・ディスプレイ・パネル)、有機/無機ELディスプレイ、FED(フィールド・エミッション・ディスプレイ)等である表示手段と、アンプ(アンプリファイアー)とスピーカー等である音声出力手段を備えたテレビジョン装置等である。
入力部60は、リモコン、マウス、加速度センサ、音声センサ、光学サインセンサ等のポインティングデバイスやキーボード等である。入力部60は、USB(ユニバーサル・シリアル・バス)やi−linkのような有線接続、Bluetooth(登録商標)、赤外線等でPC10と接続している。
なお、端末1は、同様の構成の端末1が複数存在する。
【0012】
サーバ3は、ゲートウェイサーバ31と、コンテンツサーバ32と、ユーザー認証サーバ33とから構成され、例えばWindows(登録商標)サーバ2008やLinux(登録商標)を備えて複数のユーザーがアクセスできるサーバである。このサーバ3は、通常は記憶媒体20の販売元やレンタル元が用意する。
また、サーバ3は、専用のサービス(デーモン)を備えていて、ユーザー情報を送受信し、試供視聴とアップグレード視聴により再生の制御を行う。そして、後述するダウンロードによるコンテンツの販売にも対応する。
【0013】
ゲートウェイサーバ31は、PC/AT互換機や専用機等であるサーバであり、ネットワーク5と接続するゲートウェイ(ルータ)となるサーバである。ゲートウェイサーバ31は、IPマスカレード、ロードバランシング、ファイアーウォール等の機能を備えている。さらに、ゲートウェイサーバ31は、WWWウェブサーバやFTPサーバのようなサービス(デーモン)を実行しており、コンテンツサーバ32にアクセスするためのポータルサイトのホームページ等のデータ、コンテンツのファイル等をPC10へ送信することができる。
【0014】
コンテンツサーバ32は、専用機やPC/AT互換機等であるサーバであり、映画や音楽のコンテンツのファイル等のデータが記憶されているサーバである。
コンテンツサーバ32は、コンテンツのファイルや種別を示すデータ等を含むデータベースであるコンテンツデータベース320と、後述するアスペクト比が異なる箇所に入れ込むための広告を記憶する広告データベース325とを備えている。
コンテンツデータベース320に記憶しているコンテンツとしては、試供視聴用のコンテンツのファイル、又はアップグレード視聴用のコンテンツのファイルを両方含むことができる。
広告データベース325に記憶している広告のデータとしては、新作の映画のクリップ等の画像データや、販売元やレンタル元と提携した広告主の画像データ、その他の販売中のコンテンツの画像データ等と、これに関する文字情報やウェブサイトのURL(ユニフォーム・リソース・ロケーター)等を記憶することができる。
【0015】
ユーザー認証サーバ33は、専用機やPC/AT互換機等であるサーバであり、コンテンツ販売のためのユーザー認証を行うサーバである。このため、ユーザー認証サーバ33は、ユーザー認証を行って、コンテンツの再生制御を行うユーザーデータベース330を備えている。
また、ユーザーデータベース330には、アップグレード視聴用のコンテンツの視聴を可能にするための複合化鍵である視聴キー335を備えている。なお、この視聴キー335は、記憶媒体20のID等を元にして、ユーザー認証サーバ33が作成(発行)する。
【0016】
コンテンツデータベース320、広告データベース325、及びユーザーデータベース330は、MySQLやPostgreSQLのようなSQLデータベースエンジン等を用いており、ゲートウェイサーバ31からのみアクセスできる。
【0017】
ネットワーク5は無線LAN、有線LAN、光ファイバー網、携帯電話網、PHS網、WiMAX、cLink、電灯線ネットワーク、専用線、その他のネットワーク網であり、端末1とサーバ3とを接続する。
【0018】
〔PC10と記憶媒体20の制御構成〕
次に、図2を更に参照して、本発明の実施の形態に係る端末1のPC10と記憶媒体20の制御構成について詳しく説明する。
PC10は、主に制御部100(制御手段)と、主記憶部110と、補助記憶部120と、ビデオカード140と、チップセット150と、I/Oチップ160と、ドライブ部190とを含んで構成される。
制御部100は、CPU(中央処理装置)、MPU(マイクロ・プロセッシング・ユニット)、DSP(デジタル・シグナル・プロセッサ)等であり、補助記憶部120や記憶媒体20に記憶されているプログラム等を実行する。また、制御部100は、BD−Java(登録商標)高速化用チップを内蔵してもよい。
主記憶部110は、DRAM(ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ)やSRAM(スタティック・ランダム・アクセス・メモリ)等である。主記憶部110は、補助記憶部120や記憶媒体20から読み出されたプログラムと各種の一時データ等を記憶する。
補助記憶部120は、HDDやフラッシュメモリやSRAM(スタティック・ラム)やROM(リード・オンリー・メモリー)等の不揮発性の記憶部であり、BD−Live等に対応するために、数GB(ギガガバイト)以上の容量を備えていることが好適である。
ネットワーク接続部130は、ネットワーク5に接続するためのネットワークカードやPHY(フィジカル・レイヤー)等である。ギガビット級のLANの場合には、高速性が要求されるために、ネットワーク接続部130は、チップセット150と接続している。ネットワーク接続部130は、サーバ3とネットワーク5を介して認証データや再生キー等の各種データを送受信し、コンテンツと広告をダウンロード可能である。
ビデオカード140は、拡張基板(カード又はボード)形式で提供され、PCI−ExpressやAGP等の高速なバスインターフェースでチップセット150と接続される、PC10の表示用に用いられる部位である。ビデオカード140は、GPU(グラフィック・プロセッシング・ユニット)と、GPU専用のDRAM等のローカルメモリを備えている。さらに、GPUでは、映像/音声コーデックをデコード/エンコードするアクセレレータを内蔵しており、MPEG2/MPEG4/H.264/VC−1/MP3/AAC等の各種ビデオ/オーディオコーデックの再生支援を行うことができる。そして、ビデオカード140は、HDMI、DVI、アナログRGB、コンポーネント信号等により映像音声出力部40と接続する。なお、ビデオカード140と同等の機能が、オンボードのビデオチップとして、チップセット150に統合されていることもある。
チップセット150は、制御部100と主記憶部110との間でメモリ記憶内容のリード/ライトを行うためのやり取りをするメモリコントローラと、PC10上の各部位を高速なI/Oで接続するための機能を備えた集積回路であり、ノースブリッジやMCH(メモリ/メディア・コントローラ・ハブ)等と呼ばれるチップセットである。なお、インテル社のCore i7(登録商標)プロセッサやAMD社製のプロセッサ等の場合は、CPUにメモリコントローラを内蔵している。すなわち、チップセット150のノースブリッジの機能を制御部100に備えることも可能である。
I/Oチップ160は、チップセット150よりも低速なI/Oのコントロールを機能を備えており、サウスブリッジやICH(I/O・コントローラ・ハブ)等とも呼ばれる集積回路である。I/Oチップ160は、入力部60からの信号をUSB等の信号で受信する。また、I/Oチップ160は補助記憶部120と接続しており、チップセット150を介して他の構成部位からアクセスすることができる。なお、チップセット150とI/Oチップ160を1つのLSIにまとめることも当然可能である。
ドライブ部190は、記憶媒体20を読み出し/書き込み可能な、一般的なBDドライブやDVD−Multiドライブ等の光学ドライブである。また、記憶媒体20の種類により、各種の記憶媒体の読み出し/書き込み用の装置(ドライブ)を用いることができる。
【0019】
補助記憶部120について更に詳しく説明する。補助記憶部120には、BDの視聴に係わる、視聴制限情報記憶部121と、広告制御情報記憶部123(広告制御情報記憶手段)と、コンテンツ再生プログラム125とを備えている。
視聴制限情報記憶部121は、各記憶媒体20における、上述の試供視聴とアップグレード視聴のような視聴制限に関する情報を記憶する部位である。この視聴制限情報記憶部121は、各記憶媒体20につき、記憶媒体20のID255(アイデンティフィケーション)と、視聴キー335(図1に示す)をダウンロードして暗号化して用いることができる。また、視聴制限情報記憶部121には、記憶媒体20のID255を送信するための公開鍵も備えている。この視聴制限情報記憶部121は、補助記憶部120のうち、ユーザーが直接アクセスできず、コンテンツ再生プログラム125や再生制御プログラム260を介してしかアクセスできないような部位に備えられていることが好適である。
広告制御情報記憶部123は、後述する副コンテンツ215の視聴期限等を記憶している。また、広告のID毎の視聴期限についても、サーバ3のコンテンツサーバ32の広告データベース325からダウンロードして記憶する。
コンテンツ再生プログラム125は、本発明の実施の形態に係る記憶再生システムX用のプレーヤーソフトウェアであり、主記憶部110にロードされて制御部100により実行される。
なお、この視聴制限情報記憶部121と広告制御情報記憶部123の一部または全部を、図2の記憶媒体20の再生制御情報250に備えるような構成も可能である。
【0020】
記憶媒体20は、Blu−rayディスクやDVDやCD等の一般的な記憶媒体である。
記憶媒体20が光学記憶媒体の場合は、読み込みオンリー(ROM)又は読み込み/書き込みが可能な(R、±RW、RAM、RE等)各種の光記憶媒体を用いることができる。以下では、記憶媒体20が、例えば、BD−ROM(追記不可能なBlu−rayディスク)である場合について記載する。
なお、記憶媒体20は、ディスク状の記憶媒体でなくてもよく、安価に製造でき、ドライブ部190等で読み取られるものであれば何でもよい。すなわち、ホログラムディスク媒体、磁気記憶媒体、光磁気記憶媒体、メモリカード媒体、原子間力カンチレバー方式の記憶媒体、カード型の多層ホログラム記憶媒体、印刷物の記憶媒体等、あらゆる記憶媒体を用いることもできる。
【0021】
記憶媒体20には、主に、主コンテンツ210と、副コンテンツ215と、差分コンテンツ220と、再生制御情報250と、ID255と、再生制御プログラム260とが記憶されている。
主コンテンツ210は、例えば、4:3のアスペクト比の1440×1080ドットの画像データを含み、音声はステレオ又は音声多重の2CH(チャンネル)音声のみ備えることができる。
この主コンテンツ210は、後述するように、試供視聴の際には、解像度をSD解像度(720×480pixel)等の低解像度に表示するようにスケール変更(スケールダウン表示)して、副コンテンツ215と同時に表示する。すなわち、このスケールダウン表示により、主コンテンツの持っていた解像度が低下する、つまり「ダウングレード」表示を行うことができる。
なお、主コンテンツ210には最初からSD解像度の画像データを記憶しておく構成も可能である。この場合は、後述する差分コンテンツ220にHD解像度の画像データを記憶する、又はHD解像度とSD解像度との差分データを記憶する、ような構成も可能である。
【0022】
副コンテンツ215は、広告のための画像やインターネットのURL(ユニフォーム・リソース・ロケーター)を備えたコンテンツであり、コマーシャル画像(CM)や新作の映画やテレビジョン放送等の紹介クリップ画像を記憶している。
また、この副コンテンツ215には、広告のタイムスタンプや、副コンテンツ215そのもののIDである広告ID等も記憶されている。そして、後述するように、広告を再生する際に、広告制御情報記憶部123の内容に従って、この副コンテンツ215を再生せずに、サーバ3の広告データベース325(図1に示す)からダウンロードした広告のデータに差し替えて再生することもできる。
【0023】
差分コンテンツ220は、例えば、16:9やシネスコサイズ等のアスペクト比(縦横比)で、主コンテンツ210を、コンテンツの提供者が期待する所定の大きさで表示するためのデータである。すなわち、差分コンテンツ220は、映画等のアップグレード視聴時に再生するコンテンツのデータである。差分コンテンツ220は、例えば、所定の大きさとして、HD解像度(1920×1080ドット)等の高精細画像データと、8CH(チャンネル)サラウンド音声等を含むマルチ音声データが記憶された、高精細なコンテンツのデータの例について説明する。
この差分コンテンツ220は、通常のAACS等の暗号化よりも高度に暗号化されて記憶されており、再生制御プログラム260と、視聴キー335(図1に示す)とを用いてデコードして再生される。
また、差分コンテンツ220は、例えば4:3のアスペクト比の画像と16:9の高解像度画像との差分画像データを記憶しておくこともでき、この場合は記憶容量を少なくできるために好適である。
以下では、記憶媒体20が、このような差分画像データを記憶しているものとして説明する。
【0024】
再生制御情報250は、再生制御を行うための情報である。この再生制御情報としては、記憶媒体20の種類について記憶している。すなわち、レンタル用のメディアか、安価に購入された試供視聴用のメディアか、雑誌等の付録となる宣伝用のメディアか等について記憶している。
さらに、再生制御情報250は、様々なケースの再生時の制御についての属性情報を記憶している。この属性情報としては、例えば、記憶媒体20がレンタル用のメディアであった場合は視聴期限や試聴可能回数等、購入されたメディアであった場合は広告の有無等、雑誌等の付録の宣伝用メディアの場合であった場合は販売時にコンテンツを買うように促すための販売時期等を記憶することができる。
【0025】
ID255は、メディア固有のIDと、コンテンツの種類のID等を備えたID(アイデンティフィケーション)の情報である。後述するユーザー認証の際には、このIDと再生制御情報250の情報を用いる。
再生制御プログラム260は、再生時に、試供視聴かアップグレード視聴時かにより、コンテンツの再生方法を変更して主コンテンツ210と差分コンテンツ220とを出力するためのBD−J(Bru−ray Java(登録商標))等の記憶媒体20に標準のプログラム言語で記載されたプログラムである。このように、BD−J等を用いることで、通常のPCやBDプレーヤー/レコーダー等で、記憶媒体20を再生することが可能である。また、再生制御プログラム260は、ビデオカード140やチップセット150のグラフィック・アクセレレーション機能を用いて、高速に映像のレンダリングを行い、音声のミックスダウンやマルチチャンネル再生を行うことができる。このように、再生制御プログラム260を用いることで、再生時にコンテンツのデータの大きさを変更して主コンテンツ210と副コンテンツ215と差分コンテンツ220とを表示することができる。
なお、この再生制御プログラムを、制御部100の機械語やビデオカード140のシェーダー言語等を用いて記載することも可能である。この場合は、記憶媒体20は、端末1のPC10専用の記憶媒体として配布する。
【0026】
ここで、主コンテンツ210、副コンテンツ215、及び差分コンテンツ220は、記憶媒体20において、時間的に離れた位置や、物理的に離れた位置に記憶しないようにすることができる。これは、記憶媒体20のファイルシステム内に記憶されたTS(トランスポート・ストリーム)ファイルに、異なるPID(パケット識別子)を用いて、それぞれのコンテンツの画像データを交互に入れ込むようにすることで実現可能である。
このようなTSファイルを用いることで、光学ディスクやHDDのような、シーケンシャル(連続的な)読み出しが高速な記憶媒体の再生時に再生ヘッドをあまり動かす必要がなくなるために、安定して読み出しが可能になる。
よって、ドライブ部190の消耗を抑えることができ、コストを削減できるという効果が得られる。
【0027】
なお、主コンテンツ210は、最初からSD解像度にて記憶することもできる。また、音声信号については、高音質な8CH音声を主コンテンツ210に記憶しておいて、再生時にダウングレードして2CH音声として再生することもできる。
また、差分コンテンツ220は、記憶媒体20上には記憶せずにダウンロードを行うような構成も可能である。この構成は、雑誌等の付録としてBDではなく安価なDVDで大量に配布する宣伝用のメディア等に好適である。また、主コンテンツ210や副コンテンツ215をダウンロードするような構成にすることもできる。
また、再生制御プログラム260は、BD−Jに限らず、さらに次世代ディスクのインタラクティブ機能のためのスクリプト、プログラム等やPC10で実行可能なプログラム等を用いることも当然可能である。
また、OSやコンテンツ再生プログラム125を、記憶媒体20に直接記憶して備えるような構成も可能である。
この場合は、PC10のドライブ部190に記憶媒体20を挿入して起動した場合に、OSが起動し、コンテンツ再生プログラム125が起動して、PC10は記憶媒体20のプレーヤーとして直接機能する。
また、記憶媒体20がBD−RやBD−RE等の追記可能な記憶媒体である場合は、PC10にて、サーバ3から主コンテンツ210、副コンテンツ215、差分コンテンツ220、再生制御情報250、再生制御プログラム260のいずれかをダウンロードして、記憶媒体20に記憶して用いるダウンロード光メディアとすることもできる。
【0028】
〔記憶再生システムXの再生処理〕
ここで、本発明の第1の実施の形態に係る記憶再生システムXの再生処理について、図3〜図6を参照して説明する。
本発明の実施の形態に係る記憶再生システムXにおいては、再生制御情報に従って、試供視聴なのかアップグレード視聴なのかを判断する。
試供視聴の場合は、主コンテンツ210を、再生時にBD−J等の再生制御プログラムでリアルタイムに画像を加工して、低解像度画像として再生する。この際に、副コンテンツ215を、端の方にオーバーレイ表示する。また、動的にオーバーレイ表示の位置を変化させてゆくことができる。試供視聴の際には、アップグレード視聴を促すようにして、プレーヤーの画面上から購入処理をすることもできる。
アップグレード視聴の際には、BD−Jを用いて、この主コンテンツ210に、高精細の画像データや音声データの差分データである差分コンテンツ220を合成して再生する。
このような再生処理においては、まずは端末1のPC10の電源が投入され、OSが起動して、記憶媒体20がドライブ部190に挿入される。すると、PC10の制御部100は、補助記憶部120に記憶されたコンテンツ再生プログラムが主記憶部110にロードして実行する。これにより、再生処理がスタートする。
以下で、図3のフローチャートを参照して、再生処理の流れについて詳しく説明する。
【0029】
(ステップS101)
まず、端末1のPC10の制御部100は、再生チェック処理を行う。
この処理において、制御部100は、記憶媒体20の再生制御情報250をチェックする。
ここでは、制御部100は、再生制御情報250により、記憶媒体20の種類についてチェックする。そして、記憶媒体20が、レンタル用のメディアか、試供視聴用のメディアか、宣伝用のメディアか等について判断する。そして、メディアの種類毎の属性情報をチェックして、これに関連する補助記憶部120の視聴制限情報を参照する。これにより、制御部100は、視聴条件を示す情報である視聴条件情報を主記憶部110に作成する。本発明の実施の形態に係る記憶再生システムXにおいては、上述のように視聴条件としては、試供視聴の状態(試供視聴モード)で再生するのか、アップグレード視聴の状態(アップグレード視聴モード)で再生するのかという視聴条件について説明する。
具体的には、例えば、安価にBDソフトを購入した場合やレンタル直後の場合においては、記憶媒体20がレンタル用のメディアや試供視聴のためのメディアであると再生制御情報250に記憶している。そして、視聴制限情報記憶部121には、視聴キー335を記憶していない。このため、制御部100は、視聴条件情報を「試供視聴モード」とする。
また、制御部100は、再生制御情報250に記憶された記憶媒体20の種類が、宣伝用のメディアであった場合には、差分コンテンツ220が補助記憶部120に記憶されていないかチェックする。そして、差分コンテンツ220が記憶されていない場合は、視聴条件情報を「試供視聴モード」とすることができる。
逆に、視聴制限情報記憶部121に視聴キー335が記憶されている場合には、既にユーザーがアップグレード視聴のための購入処理を行ったとして、制御部100は、視聴条件情報を「アップグレード視聴モード」とする。
【0030】
(タイミングT301)
ここで、制御部100は、認証データの送信を行う。
具体的には、制御部100は、この視聴条件情報と、後述する広告の視聴状況のログ等である視聴状況状況と、記憶媒体20のID255とを用いて、ユーザー認証処理ための認証データを作成する。これは、PC10を始めとするBDプレーヤーにはネットワークへの接続機能があり、ユーザー認証において、視聴条件や視聴状況をサーバへ通知することができるためである。
制御部100は、視聴制限情報記憶部121の公開鍵にて認証データを暗号化して、ネットワーク接続部130からネットワーク5を介してサーバ3に送信する。
【0031】
(ステップS201)
次に、サーバ3のユーザー認証サーバ33は、ユーザー認証処理を行う。
まず、サーバ3のゲートウェイサーバ31は、端末1のPC10からの認証データを受信する。
この上で、ゲートウェイサーバ31は、ユーザー認証サーバ33に認証データを送信する。
ユーザー認証サーバ33は、認証データのID255を秘密鍵にて復号化して、ユーザーデータベース330を参照する。そして、ID255と、視聴条件と、視聴状況から、記憶媒体20が不正な記憶媒体でないかをチェックする。記憶媒体20が不正な記憶媒体である場合としては、ID255が異常だった場合、視聴状況と視聴条件とがID255と結びつけられず、偽造されたものである場合等が考えられる。また、再生制御情報250に視聴期限が記憶されていて、ユーザーが追加視聴のための購入処理をしていない場合には、不正な記憶媒体とすることができる。
【0032】
(タイミングT302)
ここで、ユーザー認証サーバ33は、このチェック結果を、ゲートウェイサーバ31から、ネットワーク5を介して、端末1に送信する。また、視聴状況については、ユーザーデータベース330に記憶する。
端末1のPC10の制御部100は、ネットワーク接続部130からこのチェック結果を受信する。そして、制御部100は、もし、チェック結果において記憶媒体20が不正な記憶媒体であった場合には、再生処理を停止して、記憶媒体20をドライブ部190からイジェクトする。
【0033】
(ステップS102)
次に、端末1のPC10の制御部100は、高精細画像再生が可能か判定する。
ここでは、制御部100は、再生チェック処理で取得した視聴条件情報を基にして判定を行う。高精細画像再生は、上述の所定の大きさで再生することをいう。
制御部100は、視聴条件情報が「アップグレード視聴モード」の場合は、高精細画像を再生可能、すなわちYesと判定する。逆に、制御部100は視聴条件情報が「試供視聴モード」であった場合は、高精細画像をこの時点では再生不可能、すなわちNoと判定する。
Yesの場合は、制御部100は、ステップS107に処理を進める。
Noの場合は、制御部100は、ステップS103に処理を進める。
【0034】
(ステップS103)
端末1のPC10の制御部100は、購買チェック処理を行う。
図4を参照すると、して具体的に説明すると、制御部100は、「試供視聴モード」の場合には、ユーザーがより高画質なアップグレード視聴を行うように促すことができる。
まず、制御部100は、再生制御プログラム260のBD−Jのサブルーチン(プログラム)を呼び出して、GUI(グラフィカル・ユーザー・インターフェイス)を用いて、コンテンツのタイトルを表示する。その上で、「アップグレード視聴のための購入をしますか?」といったダイアログボックスを表示して、ユーザーの高画質での視聴の意向を尋ねる。そこで、ユーザーが入力部60を用いてアップグレード視聴を行うという指示を行う。
ユーザーがアップグレード視聴の指示を出したことを検知した場合、制御部100は、コンテンツのタイトルの脇に、図4の視聴設定画面420を表示する。
ユーザーは、入力部60を用いて、アップグレードにより高精細画像での視聴を希望する場合は、上記の視聴設定画面420で購入(追加購入)のための情報を入力して、支払いを行うことができる。この購入のための情報としては、名前、電話番号、クレジットカード番号、ネットワーク課金のための番号、現金振込み、振り込みの確認の要求等を用いることができる。ここで、課金のための番号等の他に、名前や電話番号を入力することで、ユーザーを特定することができ、著作権保護や、許可された者以外による不正利用を防止することができる。
【0035】
なお、購入チェック処理は、試供視聴用の低解像度画像再生を行った後に同様の処理を実行することもできる。
また、GUIとして、BD−Jに加えて、コンテンツ再生プログラム125により、直接支払いのためのサブルーチンを実行して通信してもよい。
また、アップグレード視聴の他にも、試供視聴モードにより低解像度画像を表示できる期間が再生制御情報250に記憶されている場合には、継続視聴とアップグレード視聴のためのコンテンツ購入を同様に実行することができる。
もし、ユーザーがアップグレード視聴のための購入を行わなかった場合は、サーバ3は、その記憶媒体20の再生を禁止する。すなわち、ユーザー認証処理で不正な記憶媒体と認識して、購入を求める表示のみを行うような処理を行うことができる。
【0036】
(タイミングT303)
ここで、ユーザーが支払いを行った場合、制御部100は、購入情報を送信する。
制御部100は、ユーザーが視聴設定画面420に入力したことを検知すると、ID255と、再生制御情報250の情報と、上述の購入のための情報とを、視聴制限情報記憶部121の公開鍵にて暗号化する。この情報を購入情報とよぶ。
そして、制御部100は、この購入情報を、サーバ3にネットワーク接続部130からネットワーク5を介して送信する。
【0037】
(ステップS202)
購入情報を受信した場合、サーバ3は、視聴キー発行処理を行う。
まず、ゲートウェイサーバ31は、購入情報を受信すると、秘密鍵で複合化した上で、ユーザー認証サーバ33に送信する。
ユーザー認証サーバ33は、購入情報から、ユーザーのアカウントを作成して、購入情報をユーザーデータベース330に記憶する。そして、各種の決済処理を行う。
決済処理が正常に終了すると、ユーザー認証サーバ33は、各記憶媒体20について視聴キー335を発行してユーザーデータベース330に記憶する。同時に、ユーザー認証サーバ33は、視聴キー335をゲートウェイサーバ31に送信する。
【0038】
(タイミングT304)
ここで、ゲートウェイサーバ31は、視聴キー335を、ネットワーク5を介して、端末1に送信する。
端末1のPC10の制御部100は、購入が正常に行われた場合には、ネットワーク接続部130を介して視聴キー335を受信し、視聴制限情報記憶部121に記憶する。また、視聴許可番号により、視聴キー335を同様に視聴制限情報記憶部121に記憶する。
なお、記憶媒体20が追記可能な記憶媒体である場合は、再生制御情報250に、視聴キー335を書き込むことも可能である。この場合には、直接、視聴キー335をユーザーが読み取ることができないようにすることで、セキュリティを向上させることができる。
【0039】
また、同様に、記憶媒体20が追記可能な記憶媒体である場合は、タイミングT304にて、コンテンツのデータそのものを送信することもできる。
この場合は、コンテンツサーバ32が、コンテンツデータベース320から、差分コンテンツ220や主コンテンツ210そのものを読み出して暗号化し、ゲートウェイサーバ31を介してネットワーク5から端末1に送信する。これにより、記憶媒体20は単なるダウンロードのための認証手段として用いることができ、セキュリティが向上する。
また、差分コンテンツ220のみをダウンロードして、主コンテンツ210を記憶媒体20に記憶するような構成の場合は、ダウンロードするためのサーバ3やネットワーク5の負担を抑えるダウンロード記憶媒体を構成できるという効果が得られる。
【0040】
また、ユーザーによっては、PC10をネットワーク5に接続できない場合も考えられる。
この場合は、電話や郵便による通知により、上述のアップグレード視聴の指示を行うことが可能である。
すなわち、ユーザーは、別途、電話や郵便等を用いて、販売元やレンタル元に支払いを行う。すると、販売元やレンタル元から、アップグレード視聴のためのキーデータとして、10桁程度の英数字列である視聴許可番号が通知される。
図4をまた参照すると、ユーザーは、この視聴許可番号を視聴設定画面420に入力することができる。制御部100は、その英数字列を検知すると、ハッシュ関数等で確認した上で、視聴キー335として視聴制限情報記憶部121に記憶することができる。
これによりアップグレード視聴により高精細視聴が可能となる。
【0041】
(ステップS104)
次に、端末1のPC10の制御部100は、ユーザーがアップグレード視聴のための購入を行ったかについて判定する。
ここでは、ユーザーが購入を行ったことにより、視聴制限情報記憶部121に、アップグレード視聴のための視聴キー335が記憶されており、差分コンテンツ220が復号可能であることを判定する。
Yesの場合は、制御部100は、処理をステップS107に進める。
Noの場合は、制御部100は、処理をステップS105に進める。
【0042】
(ステップS105)
制御部100は、広告チェック処理を行う。
ここで、記憶媒体20の販売元やレンタル元としては、将来発売予定のコンテンツの広告を配信したいという要求がある。
このため、制御部100は、副コンテンツ215の広告IDを読み出して、広告制御情報記憶部123の広告ID毎の視聴期限をチェックする。視聴期限のチェックとしては、図示しないタイマーと視聴期限の日等を比較する。
広告制御情報記憶部123に、記憶媒体20の副コンテンツ215の広告IDに関する視聴期限が記憶されていない場合には、制御部100は、サーバ3にリクエストを行う。すると、サーバ3のゲートウェイサーバ31を介して、コンテンツサーバ32は、広告データベース325を参照して、好適な視聴期限をネットワーク5へ送信する。制御部100は、ネットワーク接続部130にてこの視聴期限を受信して、広告制御情報記憶部123に記憶して、視聴期限をチェックする。
【0043】
(タイミングT305)
ここで、視聴期限のチェックの結果、副コンテンツ215の広告IDの視聴期限が超過している場合には、制御部100は、サーバ3に副コンテンツ215のリクエストを行う。
それ以外の場合には、ステップS106に処理を進める。
【0044】
(ステップS203)
サーバ3は、端末1から副コンテンツ215のリクエストがあった場合には、広告コンテンツ選択処理を行う。
リクエストを受け取ったサーバ3のゲートウェイサーバ31は、リクエストをコンテンツサーバ32に送信する。
コンテンツサーバ32は、広告データベース325を参照して、販売元やレンタル元の要求を満たす広告コンテンツを選択する。
この販売元やレンタル元の要求を満たす広告コンテンツとしては、記憶媒体20に記憶された副コンテンツ215が期限切れになった場合は、新作の映画のクリップ画像等を用いることができる。また、映画等とは関係ない、販売元やレンタル元が広告を請け負った会社等が提供する広告等の画像を用いることもできる。
【0045】
(タイミングT306)
ここで、コンテンツサーバ32は、選択された広告コンテンツ(以下、新しい広告コンテンツとする。)のデータを、ゲートウェイサーバ31を介して、ネットワーク5から送信する。
端末1のPC10の制御部100は、ネットワーク接続部130から、この新しい広告コンテンツのデータを受信すると、補助記憶部120に記憶する。
なお、記憶媒体20が追記可能な記憶媒体である場合には、新しい広告コンテンツのデータを、記憶媒体20の副コンテンツ215に上書きすることもできる。この場合は、一旦、補助記憶部120に新しい広告コンテンツのデータを書き出して、主コンテンツ210や差分コンテンツ220と一緒にPIDによりTSファイルとして作り直してから記憶することもできる。この際に、セキュリティを高めるために、差分コンテンツ220を別の公開鍵で再度暗号化することも可能である。
【0046】
(ステップS106)
ここで、端末1のPC10の制御部100は、試供視聴モードでの再生処理である、低解像度画像再生処理を行う。
図5の映像音声出力部40に表示される低解像度画像表示の画面例を参照して説明すると、制御部100は、再生制御プログラム260を用いて、主コンテンツ210をダウングレードして低解像度画面510として表示する。このダウングレードの方法としては、各フレーム毎にリアルタイムで、例えば、縮小(スケール変更)し、SD解像度等に解像度を下げて表示する。なお、主コンテンツ210が16:9のようなワイド画面のコンテンツのデータを備えていた場合には、アスペクト比が4:3になるようにスケール変更することも可能である。そして、制御部100は、8CH等のマルチCHの音声をダウンミックスして、たとえば2チャンネルステレオにて再生する。再生制御プログラム260は、BD−JのようなJava(登録商標)言語等で記載されており、十分に高速であるので、再生時にリアルタイムでのレンダリング等の処理が可能である。
この状態で、制御部100は更に、再生制御プログラム260を用いて、副コンテンツ215を、広告画面520に表示する。この広告画面520は、アスペクト比を変更した端の方にオーバーレイ表示することも、ポップアップ画面のように表示することも、ウィジェット風に表示することもできる。また、副コンテンツ215内に記載されたスクリプト等の指示により、位置を可変にすることもできる。さらに、ユーザーの入力部60の指示により、拡大したり、位置を動かしたり、直接、広告のリンク先をWebブラウザーで参照したりすることもできる。すなわち、ユーザーは、「ながら視聴」で広告を見ながら視聴することができる。
なお、広告画面520には、主コンテンツ210の関連づけされた広告や、コマーシャル(CM)映像を優先的に表示可能である。また、映画のコンテンツの場合は、その再生の時間的に最初の方で、他の映画タイトルのプレビューを流して、視聴中はその他の商品の広告映像を再生するといった制御も可能である。
また、補助記憶部120に副コンテンツ215が記憶されている場合には、HDD等は高速なので、複数の映像ストリームのような画像データを同時に表示することができる。
【0047】
(ステップS107)
端末1のPC10の制御部100は、アップグレード視聴モードでの再生処理である、高精細画像再生処理を行う。
ここで、図6の画面例を参照すると、制御部100は、主コンテンツ210と差分である差分コンテンツ220のように、複数の画像のストリームと、視聴キー335の複合化鍵を用いて、再生時にリアルタイムに描画する画像の大きさを変化させて表示する。ここでは、HD等の高解像度でビットレートの高い画像で、8CH等のマルチチャンネルの音声にて、市販のBDディスクと同様の映像と音声の再生を行う。
これにより、ユーザーは高精細・高音質でコンテンツの視聴を楽しむことができる。
なお、上述のように、販売元やレンタル元としては、将来発売予定のコンテンツの広告を配信したいという要求がある。
このため、高解像度視聴のためのアップグレード視聴モードの再生許可を与えた後でも、ランダムまたは定期的に、将来発売予定のコンテンツの紹介ビデオクリップを再生するように再生制御情報250にスクリプト等を記憶することができる。このようなスクリプトが存在する場合には、再生前または再生時に、制御部100は、サーバ3に副コンテンツ215のリクエストを行って再生する。このような処理のために、BD−Liveの機能を用いてもよい。
【0048】
以上のように構成することで、以下のような効果を得ることができる。
まず、従来技術1のシステムでは、試供視聴とアップグレード視聴のような、販売に関する追加コンテンツの取得により、再生する映像ストリームを切り換えることはできなかった。
【0049】
これに対して、本発明の実施の形態に係る記憶再生システムXでは、記憶媒体20の主コンテンツ210、副コンテンツ215、差分コンテンツ220を、再生制御プログラム260が視聴キー335を用いてリアルタイムに再生する映像を加工して表示する。
そして、ユーザーによる購入前で視聴キー335がない場合には、試供視聴用の画像を表示する。また、購入後に視聴キー335を得た場合にはアップグレード用の高画質・高音質のコンテンツのストリームの視聴を再生する。
これにより、追加コンテンツの購入による、試供視聴とアップグレード視聴を切り替えることが可能になり、ユーザーの購入の手間を減らして利便性を向上させ、購入を促進することができる。加えて、販売元やレンタル元の、販売経費を削減することができる。
また、再生制御情報250により、販売レンタル等の様々な形態での流通に対応した視聴制限を行うことができる。
【0050】
また、従来のレンタル用のDVD等では、ディスク再生開始時に広告のクリップがいつでも勝手に再生されてしまうが、これをアップデートすることはできなかった。
これに対して、本発明の実施の形態に係る記憶再生システムXでは、広告制御情報記憶部123には、現在の日付や時刻との比較による再生条件設定も組み込めるので、既に発売済みなったような副コンテンツ215が再生されないようにすることもできる。
【0051】
また、現代では、テレビは16:9の画面比率の解像度が一般的になってきている。
しかし、映画等のコンテンツにおいては、従来の4:3テレビのSD解像度に合わせて左右をカットしても大丈夫なように製作されていることが多い。
また、映画は、シネスコサイズとビスタサイズ等、16:9テレビにおいても上下に黒帯のような隙間ができてしまうような解像度で記憶されていることも多い。
そこで、この隙間に副コンテンツ215を再生することで、ユーザーが無理なく視聴可能な記憶媒体20を提供することができる。
そして、アップグレード視聴により、セルソフトのような16:9のような迫力ある画質で映画等のコンテンツを視聴可能である。
【0052】
なお、本発明の実施の形態に係る記憶再生システムXにおいては、記憶媒体20を、主にセルメディアやレンタル用のメディアとして説明した。
しかし、記憶媒体20を、EPG等を備えた、通常のデジタル放送の録画/再生のシステムに用いることができる。
この場合は、主コンテンツ210は、通常の放送用のコンテンツであり、差分コンテンツ220は、追加のための高精細の差分コンテンツを用いることができる。
通常、デジタル放送の場合は、包装用のコンテンツはHD解像度で送信されている。しかし、ビットレートが低いことが多く、また、放送用に4:3解像度にトリミングして、左右に黒帯を付して送信していることがある。さらに、各放送局のウォーターマークのようなロゴを付している。さらに、音声については、AAC(アドバンスド・オーディオ・コーデック)等の圧縮音声で、あまりビットレートが高くないことが多い。このため、これらの画質や音質を劣化させる部位のデータを上書きして、高精細で高品位に再生するような、差分コンテンツのデータを差分コンテンツ220として提供する。
なお、主コンテンツ210を、高度に圧縮されたワンセグ放送のデータのような低解像度データとして提供することも可能である。
【0053】
録画時に記憶媒体20では、放送用のコンテンツのデータと、文字放送データとCM画像データとを記憶する。このCM画像は、文字放送内のスクリプト等によりタイムコードにより分離され、放送用のコンテンツのデータを主コンテンツ210として記憶し、CM画像と文字放送のデータのうち広告に関するものとCM画像とを副コンテンツ215として記憶する。この分離の際には、いったん、補助記憶部120に記憶しておき、上述のようにPID(パケット識別子)によりTSファイル内に混在させることが可能である。そして、録画終了時時に、PC10の補助記憶部120に記憶した再生制御プログラム260を、記憶媒体20に記憶する。
【0054】
その後、ユーザーが追加コンテンツの購入を行うと、差分となる差分コンテンツ220をネットワーク5よりダウンロードする。また、メディアの表面に印刷するためのジャケット画像等もダウンロード可能である。
これにより、録画した追記可能な記憶媒体20である、例えばBD−REやBD−Rディスクにおいて、市販の販売用の記憶媒体と同様な画像を視聴することができる。その際には、再生制御プログラム260により、CM画像を再生しないように再生することができる。また、差分コンテンツ220は、B−CAS(BS Conditional Access System)カードにより復号化して再生することもできる。この場合は、視聴キー335は、登録した個人のB−CASカード内に記憶された契約されたカード番号等による復号化を用いることもできる。
【0055】
このように構成することで、ユーザーは、録画して視聴したテレビ番組について、パッケージを別のショップ等で買う手間がなく、保存用により良い画質で取得することができる。また、放送とダウンロード記憶媒体を、あまり意識することなく同様に扱うことができる。よって、ユーザーの利便性が高まるという効果が得られる。
また、上述の通り、当初は録画用の画像として放送により主コンテンツ210が送信されるために、ダウンロードのためのサーバ3とネットワーク5の負担を軽減できるため、コストを削減できるという効果が得られる。
【0056】
また、記憶媒体20(ディスク媒体、光メディア)等に、RFIDやフラッシュメモリのチップ等を備えて、このチップに視聴キー335を記憶して、復号化を行うように構成してもよい。
これにより、主コンテンツ210と、差分コンテンツ220により高精細な画像データを抜き出される可能性を抑えることが可能になり、セキュリティを向上させることができる。
【0057】
なお、上記実施の形態の構成及び動作は例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して実行することができることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の実施の形態に係る記憶再生システムXのシステム構成図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る端末1の制御構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る記憶再生システムXの再生処理のフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態に係る記憶再生システムXのアップグレード視聴のための購入画面例である。
【図5】本発明の実施の形態に係る記憶再生システムXの試供視聴モードの画面例である。
【図6】本発明の実施の形態に係る記憶再生システムXのアップグレード視聴モードの画面例である。
【符号の説明】
【0059】
1 端末
3 サーバ
5 ネットワーク
10 PC
20 記憶媒体
31 ゲートウェイサーバ
32 コンテンツサーバ
33 ユーザー認証サーバ
40 映像音声出力部
60 入力部
100 制御部
110 主記憶部
120 補助記憶部
121 視聴制限情報記憶部
123 広告制御情報記憶部
125 コンテンツ再生プログラム
130 ネットワーク接続部
140 ビデオカード
150 チップセット
160 I/Oチップ
190 ドライブ部
210 主コンテンツ
215 副コンテンツ
220 差分コンテンツ
250 再生制御情報
255 ID
260 再生制御プログラム
320 コンテンツデータベース
325 広告データベース
330 ユーザーデータベース
335 視聴キー
420 視聴設定画面
510 低解像度画面
520 広告画面
X 記憶再生システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主コンテンツのデータと、副コンテンツのデータと、
前記主コンテンツのデータをスケールダウン表示して空いている領域に副コンテンツのデータを表示するよう制御し、又は前記主コンテンツのデータのみを表示するよう制御する再生制御プログラムとを備える
ことを特徴とする記憶媒体。
【請求項2】
前記主コンテンツのデータを所定の大きさで表示するための差分データを更に備える
ことを特徴とする請求項1に記載の記憶媒体。
【請求項3】
前記再生制御プログラムは、前記主コンテンツのデータをスケールダウン表示する際に、前記副コンテンツのデータを同時に表示するよう制御する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の記憶媒体。
【請求項4】
前記主コンテンツのデータは、試供視聴用のコンテンツのデータであり、
前記差分データは、アップグレード視聴用のデータであり、
前記差分データと主コンテンツのデータとは発行される視聴キーを用いて復号化されるように暗号化されており、
前記再生制御プログラムは、前記アップブレード視聴時に前記視聴キーを用いて、前記差分データを復号化して所定の大きさで表示するよう制御する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の記憶媒体。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の記憶媒体と、
前記記憶媒体に記憶されたデータを再生する端末と、
前記視聴キーを発行するサーバとを備える
ことを特徴とする記憶再生システム。
【請求項6】
前記副コンテンツのデータには広告IDを含み、
前記広告ID毎の視聴期限を記憶する広告制御情報記憶手段を備え、
前記端末は、前記広告制御情報記憶手段に記憶された視聴期限を過ぎていた場合には、新しい広告コンテンツのデータを前記サーバからダウンロードして再生する
ことを特徴とする請求項5に記載の記憶再生システム。
【請求項7】
記憶媒体に、主コンテンツのデータと、副コンテンツのデータと、再生制御プログラムとを記憶し、
試供視聴時に、前記主コンテンツのデータを用いてスケールダウン表示して空いている領域に副コンテンツのデータを表示するよう制御し、
アップグレード視聴時に、前記主コンテンツのデータと前記副コンテンツのデータとを用いて所定の大きさで表示するよう制御する
ことを特徴とする記憶再生方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2010−81163(P2010−81163A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−245453(P2008−245453)
【出願日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】