説明

記番号製品の整理仕上装置

【課題】 証券類、債券、宝くじ等の連続する番号を備えた紙葉類を、連続番号順に積層して小帯結束された把とし、さらに複数把を積載したものを結束して束とした製品に含まれる一部の紙葉類を差替えた場合に、差替え後における紙葉類の番号の連続性を保証し、結束して束とする記番号製品の整理仕上装置を提供する。
【解決手段】 同じ記号と連続番号が印刷された所定枚数を1束とした記番号製品の一部の把を開封して差替えた製品において、把を開封した小帯結束されていない記番号製品は1枚ずつ記番号を読取り、記番号製品が連続番号順で決められた方向及び表裏で積載されていることを検査してから把とする小帯結束を行う共に、未開封の小帯結束されている把の記番号製品は、把の最上紙の記番号を読取り、合せて1,000枚の記番号製品が連続番号となるよう把を10把積載し、大帯結束して束とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記番号製品の整理仕上装置に関する。特に、証券類、債券及び宝くじ等の連続番号を備えた紙葉類の記番号製品を番号順に積載して小帯により帯掛け結束(以下、小帯により帯掛け結束した紙葉類を「把」という。)し、把を更に複数積載して大帯により帯掛け結束した製品(以下、大帯により帯掛け結束した把を「束」という。)に含まれる一部の紙葉類を差替える場合に、結束帯を開封して差替えした後、紙葉類の番号の連続性を検査及び保証し、再度結束する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、連続番号が保証された記番号製品の製造工程において、記番号製品の外形寸法や印刷品質を検査し、計数し、所定の枚数を連続番号順に把とし、さらに、複数の把を番号順に積載して縦帯及び横帯を掛けて十文字結束により束とし、大帯上の所定の位置に記番号表示票を貼付して仕上げる処理方法がある。
【0003】
このような場合、束の一部に異常製品が発生すると、異常製品と同じ記番号の正規の状態に刷り直した製品(以下「補刷製品」という。)を直ちに用意できないため、作業者は、一時的な措置として、異常製品を含む把から異常製品を除いた状態で小帯により帯掛けし、把を複数積載して大帯で帯掛けして束に仕上げるというやり方をしていた。この時、仕上げられた束は、異常製品を取り除いた不足枚数の差替え把と、連続番号順で正常枚数の正常把とが混在した状態となっている。補刷製品が完成した時に、作業者により仕上げられた束の大帯が開封され、差替え把を抽出して小帯を開封し、異常製品が取り除かれた位置を、その前後の記番号から確認して補刷製品の挿入作業を行う。
【0004】
また、欠番のない連続番号順に積載された記番号製品を千枚投入すると、千枚束に仕上げる紙葉類処理装置(例えば、特許文献1参照)により製造する場合には、異常製品が検知された時、一時的な計数保証措置として、作業者は異常製品の代わりに記番号製品と同寸法のダミーとなる券を差替えて投入して仕上げている。この時、仕上げられた束は、ダミーを含む差替え把と連続番号順の正常把とが混在した状態となっている。補刷製品が完成した時に、仕上げられた束の大帯が開封され、差替え把を抽出してその小帯が開封され、補刷製品とダミーとの差替え等の差替え作業を行う。
【0005】
【特許文献1】特許第2573185号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のように、差替え作業に装置を使えず、手作業で連続番号順に積載された記番号製品千枚を仕上げる場合において、差替え把及び正常把の積載順番、方向及び表裏の確認を目視で行い、大帯による帯掛け、記番号に対応した記番号表示票を手作業で大帯の十字結束部に貼り付けるまでの差替え後の工程がすべて人による作業であるため、検査装置を介さず、補刷製品の挿入位置の確認、番号順の確認及び差替え後の計数確認等、ミスの許されない作業であるため作業員の精神的負担となっており、また、手間もかかり不効率であった。
【0007】
また、特許文献1のような装置は、記番号製品を一枚ずつ給紙し、設定枚数ごとに帯掛けを行い把とし、さらに設定把数を積載し、帯掛けを行い束とする紙葉類処理装置であり、束の大帯を開封後、すべての把の小帯を開封し、投入部に積載して投入し、記番号製品を1枚ずつ搬送ベルトにより給紙するため、例えば、正常把の開封時の手作業において記番号製品に破れ及び汚れを与える可能性がある。また、再度搬送ベルト等による汚れを与えてしまうため、新たに異常製品を発生してしまう問題があった。さらに、すべての把の小帯を開封するため、小帯を余分に使用することとなると共に、差替え後の紙葉類を処理した分だけ作業量を減産せざるを得ず、不効率な作業となるという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、以上の問題点を解決するために創案されたものであり、差替え把のみに対して一時的に帯掛けを開封し、一枚ずつ通紙して帯掛けされた把とし、また差替えのない正常把は帯掛けのまま搬送され、差替え後の紙葉類の記番号が連続番号となるよう帯掛けされた把を積載することで番号の連続性を保証し、結束して束とする記番号製品の整理仕上装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するために、規則性を持って変化する連続番号を含む記番号が印刷された紙葉類を、連続番号順に所定枚数積載して小帯結束された複数の把とし、さらに複数の把を連続番号順に大帯結束した束に対して、紙葉類の一部に異常製品を含む場合において、束を一度開封し、異常製品を含む把だけ小帯も開封し、異常製品と同一の番号が印刷された補刷製品と差替えた後に、補刷製品を含む把を再度小帯結束した差替え把とすると共に、差替え把と未開封の複数の把を連続番号順に大帯結束するための装置であって、連続番号順に積載された紙葉類から成る差替え把から、紙葉類を1枚ごとに繰り出す差替え把供給部と、記番号の連続性が保証されて積載された紙葉類が帯び掛けされている少なくとも一つ以上の正常把を、一つごとに繰り出す正常把供給部から成る供給手段と、差替え把の記番号に異常がないか確認する第1の記番号読取部と、差替え把及び正常把から成る複数の把の積載順を確認する第2の記番号読取部と、第1の記番号読取部及び第2の記番号読取部の読取結果に異常があれば停止し、正常であれば記番号順に積載された束となるように搬送及び集積を指示する判定部から成る読取手段と、第1の記番号読取部で確認した後の差替え把を帯び掛けする小帯帯掛け部と、小帯帯掛け部により帯掛けされた差替え把及び複数の正常把を帯掛けして束に仕上げる大帯帯掛け部から成る帯掛け手段と、供給手段、読取手段及び帯掛け手段の間において、紙葉類の搬送を行う搬送手段とを少なくとも備えた記番号製品の整理仕上装置である。
【0010】
また、本発明の記番号製品の整理仕上装置は、大帯帯掛け部と第2の記番号読取部の間に、第2の記番号読取部の読取結果を元に、小帯により結束されている複数の把を記番号順に積載するエレベータ部を備えたものである。
【0011】
また、本発明の記番号製品の整理仕上装置は、エレベータ部が、複数の把を大帯帯掛け部へ記番号順に搬送するため、小帯により結束されている複数の把の各最上紙の記番号に対応した番地を指定し、複数の把の中から1把ずつ格納するセルと、そのセルを上下させて大帯帯掛け部へ搬送するための昇降手段とを備えたものである。
【0012】
また、本発明の記番号製品の整理仕上装置は、差替え把供給部が、1把分の枚数の紙葉類を一つだけ投入できる複数のポケットを備えたものである。
【0013】
また、本発明の記番号製品の整理仕上装置は、搬送手段が、第1の記番号読取部において紙葉類が2枚以上重ねられて搬送されることにより適正な読取が行えないことを防止するため、第1の記番号読取部より前に、重ね取りの有無及び/又は搬送ピッチを検査する検査部を備えたものである。
【0014】
また、本発明の記番号製品の整理仕上装置は、大帯帯掛け部が、結束された大帯の所定の位置に、束として結束された紙葉類の記番号の中から代表する記番号を印字した表示票を貼付するための表示票貼付部を備えたものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、差替え把のみの帯掛けを開封し、差替えを行った一枚ずつの製品を通紙して帯掛けされた把とし、また差替えのない正常把は帯掛けのまま搬送され、差替え後の紙葉類の記番号が連続番号となるよう帯掛けされた把を積載することで、番号の連続性を保証して結束したので、新たな異常製品の発生を抑制することができる。また、差替え把と正常把の積載順を確実に保証することも可能である。
【0016】
また、差替えを行う束を通常の仕上工程と異なる装置により行うことで、仕上工程の作業を停滞させることなく、効率的な差替え作業が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の記番号製品の整理仕上装置にかかわる実施の形態について図を用いて説明する。
本実施の形態において、記番号とは、印刷物の連続番号を含む記号及び番号をいい、使用される記番号製品とは、連続番号を印刷された紙葉類であって、少なくとも一方の面に対して一箇所以上所定の位置に記番号が印刷された紙葉類である。
【0018】
本実施の形態においては、連続番号を印刷された紙葉類として、図1に示すような記番号が左上と右下に、三つの記号(アルファベット)と6桁の番号が印刷されている記番号製品1を、記番号順に100枚ずつ小帯で施封して把とし、さらに、その10把を大帯で結束(施封)して束とする処理方法を例に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載される技術的思想の範囲内であれば、その他の形態が実施可能である。
【0019】
記番号製品1が連続番号順に1,000枚積載される場合、三つの記号が同一記号(ABC)で、最下紙の番号の下1桁から4桁がn001(nは0〜9の数字)となり、その上に積載された番号が1番ずつ増加し、最上紙の番号の下1桁から下4桁は(n+1)000となる。
【0020】
例えば、図2に示すように、1,000枚の記番号製品1は、最下紙がAB000001Cで、1,000枚目の最上紙がAB001000Cとなる。
【0021】
図3は、特許文献1に記載されるような紙葉類処理装置によって、紙葉類を連続番号順に、かつ、あらかじめ決められた番号の通り100枚ずつ施封して把4とし、さらに10把(1,000枚)を結束して1束としたものであり、結束された一つの把4の中に異常製品7が含まれている束2を示す図である。
【0022】
なお、結束形態としては、下段側から把4を五つ同じ方向で積載し、180度反転して残りの把4を五つ同じ方向に積載し、大帯5により十文字結束し、大帯5に束2を表す代表の記番号(例えば最下紙の記番号)が印刷された表示票6を貼付したものである。把4の最下紙における下3桁の番号はn01(nは0〜9の数字)で、その上に順次積載される記番号製品1の番号が1番ずつ増加し、最上紙の下3桁の番号は(n+1)00である。
【0023】
前述のような状態で結束されている製品に対して、まず大帯5を開封し、異常製品7と補刷製品を差替えて、本実施の形態の記番号製品の整理仕上装置に投入するまでの事前の工程を図4のフロー図で説明する。
【0024】
作業者は、図3に示す束2に含まれている異常製品7と、正規の記番号が印刷された補刷製品とを差替えるため、束2の大帯5を開封し(S1)、その後、図5に示す異常製品7が含まれている差替え把8と、図6に示すような差替える必要がない正常把9とに分類する(S2)。作業者は、差替え把8の小帯3を開封し(S3)、異常製品7と補刷製品の差替え作業を行い(S4)、記番号製品1を記番号順に積載して小帯結束されていない差替え把13を作成しておく(S5)。
【0025】
異常製品と補刷製品の差替え作業が完了し、差替え把13と正常把9の準備が整ったところで、本発明である記番号製品の整理仕上装置を用いて、再度記番号順に積載した状態で小帯による結束及び大帯による結束を行い、1束を作製することとなる。そこで、本発明における記番号製品の整理仕上装置について、図を用いて詳細に説明する。
【0026】
図9は、記番号製品の整理仕上装置のブロック図であり、供給手段35、読取手段36、帯掛け手段37及び搬送手段38を少なくとも備えている。供給手段35は、小帯による結束がされていない差替え把13を投入する差替え把供給部17と、既に小帯による結束がされたままの正常把9を投入する正常把供給部22から成る。また、読取手段36は、差替え把13の記番号が正規の記番号か否かを確認する第1の記番号読取部19、小帯による結束がされている把24の積載順を確認する第2の記番号読取部25、第1の記番号読取部19及び第2の記番号読取部25の読取結果に異常があれば停止し、正常であれば記番号順に積載して大帯により束となるように、搬送及び集積を指示する判定部39から成る。また、帯掛け手段37は、確認後の差替え把13を帯び掛けする小帯掛け部20と、差替え把13及び正常把9から成る把24を10把で束に仕上げる大帯び掛け部33から成る。さらに、搬送手段38は、供給手段35、読取手段36及び帯び掛け部37の間において紙葉類の搬送を行っている。なお、大帯び掛け部33には、第2の記番号読取部25の読取結果を元に、記番号順に積載するエレベータ部28及び積載する向きを変える把回転部26を備えてもよい。
【0027】
次に、記番号製品の整理仕上装置の詳細構造について、図7を用いて説明する。
記番号製品の整理仕上装置10の供給手段35には、小帯による結束がされていない差替え把13を投入する差替え把受入口11と、小帯で結束された正常把9を一括して投入する正常把受入口12が設けられている。
【0028】
差替え把受入口11から集積部16までの搬送経路において、差替え把供給部17、搬送部18及び第1の記番号読取部19が配置されている。集積部16近傍には、小帯帯掛け部20と、その小帯帯掛け部20により結束された把を載せる把受け部21が配置されている。
【0029】
正常把受入口12からエレベータ部28までの搬送経路においては、正常把供給部22、把搬送部23及び第2の記番号読取部25が配置されている。また、エレベータ部28近傍には、把回転部26、エレベータ投入部27及び積載部30が配置されている。
【0030】
積載部30から束排出口14までの搬送経路においては、束搬送部31、突き揃え部32、大帯帯び掛け部33及び表示票貼付部34が配置されている。
【0031】
差替え把供給部17は、差替え把受入口11に投入された差替え把13から記番号製品1を1枚ずつ取出すものである。搬送部18は、ベルトにより相互対向面で記番号製品1を挟持して1枚ずつ集積部16まで搬送する。なお、本実施の形態ではベルトを用いた搬送としているが、これに限ることはなく、記番号製品1を1枚ずつ搬送可能な機構であれば良い。搬送部18には、記番号製品1の枚数を計数する計数装置(図示せず)を配置し、搬送される記番号製品1の枚数を計数し、所定枚数の記番号製品1が集積部16まで搬送されたことを確認する。
【0032】
なお、搬送部18には、差替え把供給部17と第1の記番号読取部19との間に、記番号製品1の重ね取りの有無又は搬送ピッチ(搬送される紙葉類の距離)を検査する検査部(図示せず)を配置してもよい。これらの検査部によって、記番号製品1の重ね取り等により、第1の記番号読取部19で記番号の読取ができない状態が検知された場合、差替え把給紙部17からの記番号製品1の取出しを自動停止し、警報等で作業者に知らせることとなる。
【0033】
第1の記番号読取部19は、搬送中の記番号製品1の左上及び右下の記番号の読取を行う。記番号製品1の左上及び右下の6桁の番号が連続番号で、かつ、それぞれの記番号製品1の左上及び右下の記番号の同一性を照合する判定部(図示せず)を備えている。また、この時に、定められた位置に記番号がないことから記番号を読取れなければ、記番号製品1が決められた方向及び表裏となっていないことを発見できる。判定結果が正常の記番号製品1は集積部16に集積され、小帯帯掛け部20により小帯帯掛けされて把受け部21に送り込まれる。
【0034】
差替え把13が2把以上ある場合は、作業員が差替え把13の1把目を投入し、その1把が把搬送部23に搬送されてから2把目を投入するようになっているので、次の差替え把13を投入できないようになっている。又は、差替え把受入口11に、図示しない1把しか投入できないポケットを複数備える機構としてもよく、差替え把13を2把以上処理するときは、各ポケットに差替え把13を1把ずつ投入し、一つ目のポケットに入れられた差替え把13の小帯掛けまでが終わり、その1把が把搬送部に搬送されたことをトリガーにして、次のポケットの差替え把13が差替え把供給部17に移動し、順次処理する装置としてもよい。
【0035】
把受け部21は、差替え把13の判定結果が異常の場合、差替え把供給部17からの記番号製品1の供給を自動停止し、警報等で作業者に知らせ、判定結果が正常であれば把搬送部23へ排出する。
【0036】
正常把供給部22は、正常把受入口12に投入された正常把9を把搬送部23に1把ごとに取出すものである。把搬送部23は、1把ごとに取出された正常把9である把24と把受け部21から排出された差し替え把13から成る把24とを第2の記番号読取部25に搬送する。
【0037】
第2の記番号読取部25は、把24の最上紙の左上記番号を全桁読取り、下2桁の番号が00で、記号3桁と番号の上2桁が同一であることを確認する。つまり、「AB00nn00C」(nは、0〜9の数字)となる。また、下3桁目の数字が「0」から「9」まで一つずつあること、下3桁目の数字が「0」のとき、下4桁目が一つ繰り上がった数字となっていることも確認する。また、下3桁目の数字が「0」のときに、下4桁目が「9」であったら、下5桁目が一つ繰り上がった数字となり、さらに、下4桁目と下5桁目が両方「9」であったら、下6桁目が一つ繰り上がった数字となっていることも確認する。
【0038】
なお、記番号製品の整理仕上装置10の作業効率を上げる方法として、第1の記番号読取部19において、最上紙の番号下3桁の数字が読み取られた把24は、第2の記番号読取部25において記番号の読取を行わず、直接把回転部26に搬送することができるようにしても良い。その場合、第1の記番号読取部19で読み取られた記番号データを、第2の記番号読取部25の読取データの代わりとする。
【0039】
記番号の検査結果が正常であれば、把搬送部23は、把24を把回転部26に搬送する。この把回転部26は、把24を10把積載して束に結束する時に、印刷模様等による積載時の不均一な状態を解消して積載形状を均一にするため、上5把を同一方向に積載し、それとは反転させて下5把を積載して束にするためのものである。具体的には、下5把となる把24はそのままエレベータ投入部27に搬送し、上5把となる把24のみを平面方向へ180°回転させた後、把24をエレベータ投入部27に搬送する。検査結果に異常があれば、正常把供給部22からの正常把9の取り出しを自動停止し、警報等で作業者に知らせる。なお、この把回転部26については、前述のように印刷模様等による積載時の形状に影響を及ぼす製品に対して設けることが好ましいが、必ずしも本装置に設ける必要はない。
【0040】
次に、エレベータ部28は、把24を一つだけ格納できるセル29を縦方向に一列で10個を配列し、10個のセル29は、エレベータ昇降機構(図示せず)により昇降する。それぞれのセル29は番地が指定され、最下部の番地は「1」で、番地は上方に向かって一つずつ増加し、最上部の番地は「0」となる。エレベータ部28は、エレベータ投入部27にある把24の最上紙の番号下3桁目の数字と、セル29の番地が一致するよう昇降し、エレベータ投入部27にある把24の最上紙の番号下3桁目の数字と当該のセル29が一致した時、エレベータ投入部27の把24を当該セル29に送り込む。
【0041】
なお、本実施の形態では、10把を結束して束とするため、セル29の数も縦方向に10個配列しているが、必ずしも1束を構成する把の数とセル29の数を同一とする必要はない。例えば、セル29が縦方向に15個配列されている場合でも、セル29が設けられているエレベータ部の次の工程の積載部30において、1束を構成するのに必要な10把がセル29から記番号順に積載された段階で、搬送手段により大帯帯掛け部33に搬送することでも良い。
【0042】
エレベータ部28の各セル29に収納された10把の各把24は、エレベータ昇降仕組みにより積載部30に送り込まれる。積載部30において、エレベータ部28の各セル29に収納された10個の把24を一括して取出すことで、連続番号として整列した状態で積載される。束搬送部31は、積載部30において連続番号に整列し、積載された10把合計1,000枚の記番号製品1を、突き揃え部32、大帯帯掛け部33及び表示票貼付部34へ順次搬送する。
【0043】
突き揃え部32は、積載された10把の把24の長辺方向及び短辺方向を突き揃える。大帯帯掛け部33は、揃った10把の把24に十文字の大帯結束を施す。表示票貼付部34は、大帯5の所定の位置に束の代表の記番号を印字した表示票を貼付する。代表の記番号として、特に限定されるものではないが、束に結束されている記番号製品の記番号が「AB000001C」から「AB001000C」であれば、最下紙の記番号である「AB000001C」を印字する等、束に含まれる記番号製品の記番号が推測できるものが好ましい。表示票貼付部34までの仕上工程を経て仕上げられた束15は、束排出口14から排紙される。
【0044】
次に、本発明における記番号製品の整理仕上装置によって、異常製品を補刷製品と差し替えた差替え把13と小帯結束されたままの正常把9を、束として仕上げるまでの流れを、図8のフローチャートを用いて説明する。
【0045】
まず、差替え把13を、小帯による帯掛けをせずに記番号順に積載したまま差替え把投入口11へ投入し(S11)、小帯による帯掛けがされたままの正常把9は、九つの把をまとめて正常把投入口12へ投入する(S12)。差替え把受入口11から投入した差替え把13は、差替え把供給部17によって1枚ずつ記番号製品1を取出し(S13)、集積部16へ搬送する(S14)。
【0046】
次に、差替え把13から1枚ずつ取り出された記番号製品1に対し、第1の記番号読取部19で左上及び右下の記番号を読み取る。読み取った記番号が連続番号で、かつ、左上と右下の記番号の同一性を検査し(S15)、差替え把13の記番号製品1の検査結果が正常の場合、集積部16に集積し、1把分の搬送が終わったら、小帯帯掛けし(S16)、把受け部21に送り込む。
【0047】
なお、差替え把13の検査結果が異常の場合は、差替え把供給部17からの記番号製品1の供給を自動停止し、警報等により作業者に知らせる(S17)。
【0048】
一方、正常把受入口12から投入された九つの正常把9は、正常把供給部22により把搬送部23に1把ごと取出す(S18)。把搬送部23は、1把ごと取出した正常把9中の把24と、把受け部21から排出された差し替え把13から成る把24とを第2の記番号読取部25に搬送し(S19)、第2の記番号読取部25は、把24の最上紙の左上記番号を全桁読取り、連続番号順となる10把の把24であることを確認する(S20)。記番号の検査結果が正常であれば、把搬送部23は把24を把回転部26に搬送し、束を構成する上5把となる把24のみを把回転部26で平面方向へ180°回転させ、下5把となる把24は反転せずにそのままエレベータ部27に搬送し、把24をエレベータ投入部27に搬送する(S21)。
【0049】
この時、検査結果に異常があれば、正常把供給部22からの正常把9の取出しを自動停止し、警報等で作業者に知らせる(S22)。
【0050】
次に、エレベータ投入部27にある把24の最上紙の番号下3桁目の数字と、セル29の番地が一致するよう各把24をエレベータ部28によって昇降し、エレベータ投入部27にある把24の最上紙の番号下3桁目の数字と当該のセル29が一致した時、エレベータ投入部27の把24を、当該セル29に送り込む(S23)。
【0051】
エレベータ部28の各セル29に収納された10把の把24は、エレベータ昇降仕組みにより積載部30に送り込まれ、積載部30においてエレベータ部28の各セル29に収納された10把の把24を一括して取出し、連続番号に整列した状態で積載される(S24)。
【0052】
積載された10把の把24の長辺方向及び短辺方向を突き揃え(S25)、揃った10把の把24に十文字の大帯帯掛けを施す(S26)。大帯5の所定の位置に束の代表の記番号を印字した表示票を貼付し(S27)、表示票を貼付された束15は、束排出口14から排紙される(S28)。
【0053】
以上のように、記番号製品の整理仕上装置10の差替え把受入口11と正常把受入口12に分けて投入された1束分の記番号製品1は、連続番号順が保証された束15となって記番号製品の整理仕上装置10の束排出口14から排出される。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本実施の形態に係わる記番号製品の概略図である。
【図2】連続番号順に1,000枚を積載した記番号製品の概略図である。
【図3】連続番号で積載された束の完成品図である。
【図4】異常製品を含む束を本実施の形態に係わる装置に投入するまでの作業を示すフロー図である。
【図5】異常製品を含む差替え把1把の概略図である。
【図6】差替える必要がない正常把9把の積載図である。
【図7】本実施の形態にかかわる記番号製品の整理仕上装置の内部構成の概略図である。
【図8】本実施の形態にかかわる記番号製品の整理仕上装置の動作フロー図である。
【図9】本発明における記番号製品の整理仕上装置を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0055】
1 記番号製品
1a 最下紙の記番号製品
1b 最上紙の記番号製品
2 異常製品を含む束
3 小帯
4 把
5 大帯
6 表示票
7 異常製品
8 差替え把(差替え前、異常製品有り)
9 正常把
10 記番号製品の整理仕上装置
11 差替え把受入口
12 正常把受入口
13 差替え束(差替え済み、異常製品無し)
14 束排出口
15 連続番号順が保証された束
16 集積部
17 差替え把供給部
18 搬送部
19 第1の記番号読取部
20 小帯帯掛け部
21 把受け部
22 正常把供給部
23 把搬送部
24 把
25 第2の記番号読取部
26 把回転部
27 エレベータ投入部
28 エレベータ部
29 セル
30 積載部
31 束搬送部
32 突き揃え部
33 大帯帯掛け部
34 表示票貼付部
35 供給手段
36 読取手段
37 帯掛け手段
38 搬送手段
39 判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
規則性を持って変化する連続番号を含む記番号が印刷された紙葉類を、連続番号順に所定枚数積載して小帯結束された複数の把とし、さらに前記複数の把を連続番号順に大帯結束した束に対して、前記紙葉類の少なくとも一部に異常製品を含む場合において、前記束を一度開封し、前記異常製品を含む把だけを小帯も開封し、前記異常製品と同一の番号が印刷された補刷製品と差替えた後に、前記補刷製品を含む把を再度小帯結束して差替え把とすると共に、前記差替え把と前記未開封の複数の把を連続番号順に大帯結束するための装置であって、
連続番号順に積載された紙葉類から成る前記差替え把から、前記紙葉類を1枚ごとに繰り出す差替え把供給部と、記番号の連続性が保証されて積載された前記紙葉類が帯び掛けされている少なくとも一つ以上の正常把を、一つごとに繰り出す正常把供給部から成る供給手段と、
前記差替え把の記番号に異常がないか確認する第1の記番号読取部と、前記差替え把及び前記正常把から成る複数の把の積載順を確認する第2の記番号読取部と、前記第1の記番号読取部及び前記第2の記番号読取部の読取結果に異常があれば停止し、正常であれば記番号順に積載された束となるように搬送及び集積を指示する判定部から成る読取手段と、
前記第1の記番号読取部で確認した後の前記差替え把を帯掛けする小帯帯掛け部と、前記小帯帯掛け部により帯掛けされた差替え把及び前記複数の正常把を帯掛けして束に仕上げる大帯帯掛け部から成る帯掛け手段と、
前記供給手段、前記読取手段及び前記帯掛け手段の間において、前記紙葉類の搬送を行う搬送手段とを少なくとも備えた記番号製品の整理仕上装置。
【請求項2】
前記大帯帯掛け部と前記第2の記番号読取部の間に、前記第2の記番号読取部の読取結果を元に、小帯により結束されている複数の把を記番号順に積載するエレベータ部を備えた請求項1記載の記番号製品の整理仕上装置。
【請求項3】
前記エレベータ部は、前記複数の把を前記大帯帯掛け部へ記番号順に搬送するため、小帯により結束されている前記複数の把の各最上紙の記番号に対応した番地を指定し、前記複数の把の中から1把ずつ格納するセルと、前記セルを上下させて前記大帯帯掛け部へ搬送するための昇降手段とを備えた請求項2記載の記番号製品の整理仕上装置。
【請求項4】
前記差替え把供給部は、1把分の枚数の前記紙葉類を一つだけ投入できる複数のポケットを備えた請求項1、2又は3記載の記番号製品の整理仕上装置。
【請求項5】
前記搬送手段は、前記第1の記番号読取部において、前記紙葉類が2枚以上重ねられて搬送されることにより適正な読取が行えないことを防止するため、前記第1の記番号読取部より前に、重ね取りの有無及び/又は搬送ピッチを検査する検査部を備えた請求項1、2、3又は4記載の記番号製品の整理仕上装置。
【請求項6】
前記大帯帯掛け部は、結束された大帯の所定の位置に、束として結束された前記紙葉類の記番号の中から代表する記番号を印字した表示票を貼付するための表示票貼付部を備えた請求項1、2、3、4又は5記載の記番号製品の整理仕上装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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