説明

記録システム、該システムに用いられるインクジェット記録装置および該装置で用いられる記録ヘッドの吐出回復処理方法

【課題】リストバンドなど帯状記録媒体への記録を行うインクジェット記録装置において、紙面予備吐出による吐出回復処理を採用して記録のスループットの低下を抑制するとともに、誤認識の原因となり得る記録品位の低下を防止する。
【解決手段】リストバンドは、一端部から順に、留め穴が設けられる部分と、情報を記録する記録領域となる部分と、巻きつけ径の調節が可能な調節用留め穴が複数設けられた部分との3つから構成される。調節用留め穴形成部分のすべてを利用して情報を記録してしまうと、被装着部位の太さによっては、調節用留め穴形成部分が設けられた端部側の一部が余剰分としてリストバンドの他端部の下に重なって隠れてしまうので、そのような部分は記録無効領域として扱われる。そこで、その領域に紙面予備吐出を行うようにするとともに、被装着部位のサイズに基いて記録無効領域を適切に設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録システム、該システムに用いられるインクジェット記録装置および該装置で用いられる記録ヘッドの吐出回復処理方法に関する。特に本発明は、リストバンドなど、端部同士を重ねて環状に巻かれた状態で使用される帯状記録媒体への記録を行う構成に適用して好適なものである。なお、吐出回復処理とは、記録ヘッドのインク吐出性能を良好な状態に回復または維持するために行われる処理を言う。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置では、所望の記録品位を確保するために、記録枚数や記録デューティなどに依存する印刷量や、記録ヘッドの大気中への暴露時間、使用環境などに応じて、インク吐出口内方のインクの増粘や固化が生じることがある。例えば、記録データによっては記録ヘッドに設けられる吐出口の全てが使用されるとは限らず、特定の吐出口が長時間全く使用されないという場合もある。そのような吐出口では、その内方のインク溶剤が蒸発してインク粘度が上昇する。このような状態では、インクを吐出するために利用されるエネルギを発生する素子に駆動信号が印加されてもインクが正常に吐出されず、吐出方向のよれや吐出量の不足、また甚だしい場合には不吐出などが生じる(以下、これらを吐出不良という)ことがある。このような吐出不良があると、所望の記録が行われなくなってしまう恐れがある。
【0003】
そのため、インクジェット記録装置には、記録ヘッドの吐出口形成面をキャッピングするキャップを含む吐出回復ユニットが設けられ、吐出回復処理が行われる。吐出回復処理には、吐出口からキャップ内にインクを強制排出させる動作や、画像の記録には寄与しないインクの吐出(予備吐出)を行う動作などが含まれる。
【0004】
従来のインクジェット記録装置では、様々な要因によって決定されるこの吐出回復処理の実行タイミングになると、記録動作を一時中断して吐出回復処理を実行するようにしている(例えば特許文献1)。
【0005】
しかし記録動作の中断はスループットの低下等をもたらすため、中断を生じずに、もしくは中断の回数を極力減らすために、吐出回復処理の一形態として、記録データとは別に定期的に記録媒体上にインクを予備吐出する処理も知られている(例えば特許文献2)。なお、かかる予備吐出は、一般的な記録装置では用紙を記録媒体として用いるため、紙面予備吐出と称されることがあり、本明細書でも便宜上その用語を用いるものとする。
【0006】
一方、インクジェット記録装置は、オフィスや家庭などにおいて文書や画像を一般的な用紙に記録するだけでなく、様々な分野に幅広く適用されるようになってきており、医療分野におけるリストバンドへの記録もその適用例の一つである(特許文献3参照)。
【0007】
【特許文献1】特開平07−246711号公報
【特許文献2】特開2006−76247号公報
【特許文献3】特開2006−58805号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
吐出回復ユニットのみを用いる吐出回復処理では、上述のように印刷中断が不可欠であるために印刷のスループットが低下する。特に、記録媒体の幅方向に吐出口を配列してなる記録ヘッドを用い、この記録ヘッドに対して記録媒体を搬送しながら記録を行う所謂ラインプリンタ形態のインクジェット記録装置では、記録ヘッドと吐出回復ユニットとの相対的な移動量が大となる。従って、吐出回復処理の開始から終了までの時間も長くなるため、かかるスループットの低下は一層顕著となる。
【0009】
また、特にロール紙やファンフォールド紙などの連続紙形態の記録媒体を搬送しながら記録を行うインクジェット記録装置では、吐出回復処理のために記録中断を指示しても搬送が直ちに停止しない。このために生じる記録媒体の無駄をなくすために、記録再開に先立って、特許文献1に記載されたようなバックフィード(白紙戻し)と呼ばれる処理が行われることがあり、記録のスループットはさらに低下することになる。
【0010】
上述したリストバンドの形態として、ロール状に巻かれたウェブを巻き出しながら記録動作を行い、その記録動作後にミシン目等から分離されて、リストバンドとして利用できるようにしたものがある。かかるロール状のウェブ(以下、リストバンドウェブと称する)を記録媒体として用いる場合にも、記録のスループットの低下が問題となる。
【0011】
また、特許文献2開示の技術では、画像データの有無とは無関係に記録媒体の全領域を対象として紙面予備吐出を行うものであり、記録品位を低下させてしまう恐れがある。かかる記録品位の低下は、単に美観上の問題にとどまらない。記録媒体に重要な情報(文字,バーコードその他)を担持させる場合、それらの情報に重ねて、またはその近傍に紙面予備吐出が行われると、誤った認識が行われる恐れがあるからである。特に医療用のリストバンドでそのような誤認識が生じると、重大な医療事故につながる恐れもある。
【0012】
本発明は、以上の問題に鑑み、リストバンドなど帯状記録媒体への記録を行うインクジェット記録装置において、紙面予備吐出による吐出回復処理を採用して記録のスループットの低下を抑制し、かつ記録品位の低下を防止できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
そのために、本発明は、一端部を他端部以外の位置に合わせて留めた環状の状態で対象の被装着部位に装着される帯状の記録媒体に対し、インクを吐出する吐出口を有する記録ヘッドを用いて情報の記録を行うとともに、前記記録媒体に対し、前記情報の記録に関わらない予備吐出を前記記録ヘッドに行わせることが可能なインクジェット記録装置と、該インクジェット記録装置に対し、前記記録に係る情報を入力するための情報入力装置と、を具える記録システムであって、
前記帯状の記録媒体を前記環状の状態としたときに、前記被装着部位の大きさに応じて生じる記録無効領域を決定する決定部と、
当該決定された記録無効領域に対して、前記予備吐出が行われるように前記インクジェット記録装置を制御する制御部と、
を具えたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、一端部を他端部以外の位置に合わせて留めた環状の状態で対象の被装着部位に装着される帯状の記録媒体に対し、インクを吐出する吐出口を有する記録ヘッドを用いて情報の記録を行うとともに、前記記録媒体に対し、前記情報の記録に関わらない予備吐出を前記記録ヘッドに行わせることが可能なインクジェット記録装置であって、
前記帯状の記録媒体を前記環状の状態としたときに、前記被装着部位の大きさに応じて生じる記録無効領域を決定する決定部と、
当該決定された記録無効領域に対して、前記予備吐出が行われるように前記インクジェット記録装置を制御する制御部と、
を具えたことを特徴とする。
【0015】
さらに、本発明は、一端部を他端部以外の位置に合わせて留めた環状の状態で対象の被装着部位に装着される帯状の記録媒体に対し、インクを吐出する吐出口を有する記録ヘッドを用いて情報の記録を行うインクジェット記録装置に適用され、前記記録媒体に対し、前記情報の記録に関わらない予備吐出を前記記録ヘッドに行わせる吐出回復処理方法であって、
前記帯状の記録媒体を前記環状の状態としたときに、前記被装着部位の大きさに応じて生じる記録無効領域を決定する決定工程と、
当該決定された記録無効領域に対して、前記予備吐出が行われるように前記インクジェット記録装置を制御する工程と、
を具えたことを特徴とする。
【0016】
加えて、本発明は、上記決定工程を、前記インクジェット記録装置に対し前記情報を供給するべく接続されたコンピュータに実施させるための制御プログラムに存する。
【0017】
また、本発明は、上記吐出回復処理方法をインクジェット記録装置に実施させるための制御プログラムに存する。
さらに加えて、本発明は、上記のいずれかの制御プログラムを記憶した記憶媒体に存する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、余剰分として他端部の下に重なって隠れてしまう帯状記録媒体(リストバンドなど)の部分、あるいは切り取られてしまう部分を記録無効領域として扱う。そして、この記録無効領域に紙面予備吐出を行うようにすることで、記録のスループットおよび記録品位の低下が防止される。また、この際、被装着部位のサイズに基いて、余剰分となる記録無効領域を適切に設定し、記録無効領域以外には紙面予備吐出が行われないようにすることで、記録品位の低下を一層有効に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。
【0020】
(本発明の前提)
端部同士を重ねて環状とされた状態で使用される帯状記録媒体、例えばリストバンドは、一端部から順に、留め穴が設けられる部分と、情報を記録する記録領域となる部分と、巻きつけ径の調節が可能な調節用留め穴が複数設けられた部分との3つから構成される。このようなリストバンドに対して、特許文献3には、記録領域には一般情報の記録を、調節用留め穴の形成部分には識別用のカラー情報を記録することが開示されている。
【0021】
ここで、調節用留め穴形成部分のすべてを利用して識別用のカラー情報を記録してしまうと、リストバンドの装着者によっては、識別情報が視認できなくなる恐れがある。すなわち、被装着部位(手首等)のサイズには個人差があり、使用する留め穴の位置も当然異なっている。このため、被装着部位が細い場合には、調節用留め穴形成部分が設けられた端部側の一部が余剰分としてリストバンドの他端部側の下に重なって隠れてしまうか、あるいは切り取られてしまうからである。従って、本発明では、まず余剰分となる可能性がある部分は記録無効領域として扱う。
【0022】
そして本発明は、リストバンドの一端部を他端部以外の位置にあわせて環状とすることで余剰分となる部分に着目し、ここに紙面予備吐出を行うようにすることで、記録のスループットおよび記録品位の低下を防止するようにする。また、この際、装着者の個人差による被装着部位のサイズに基いて、余剰分となる記録無効領域のを適切に設定し、記録無効領域以外には紙面予備吐出が行われないようにすることで、記録品位の低下を一層有効に防止するようにする。
【0023】
(記録装置の構成)
図1は、本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置形態の記録装置の構成を説明するための模式的側面図である。また、図2および図3はそのインクジェット記録装置の記録ヘッド周辺の構成を説明するための模式的側面図、図4はその模式的上面図である。
【0024】
全体を符号で示すインクジェット記録装置101の筐体上には、ロール状に巻かれたリストバンドウェブ102がセットされ、そのセット位置から巻き出されたリストバンドウェブは、ローラ107を介して装置内に連続的に搬送される。そして、記録ヘッド103K、103C、103Mおよび103Yと対向する記録位置を通過した後、装置外に排出される。リストバンドウェブ102には、記録動作後にリストバンドとして利用できるようにするために、1枚ずつ分離し易くするためのミシン目が設けられている。またリストバンド(ページ)の境界部を記録装置が認識できるよう、被記録面とは反対側の面のミシン目近傍には予めマークが印刷されている。記録装置は、マーク検知センサ108によりこのマークを検知することで、各記録ヘッドによりリストバンドの適正な位置に記録を行うことができる。
【0025】
本例の装置には、記録媒体であるリストバンドウェブ102に対してフルカラー記録を行うべく、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)およびイエロー(Y)のインクを吐出する記録ヘッド103K、103C、103Mおよび103Yが設けられる。なお、特定しない場合には、記録ヘッドを符号103で総括的に参照する。
【0026】
記録ヘッド103K、103C、103Mおよび103Yは記録ユニット201に設けられ、図4に示すように、印刷方向(リストバンドウェブ102の搬送方向)に並置される。そして、各記録ヘッド103は、搬送方向に交差する方向に、使用され得るリストバンドウェブ102の被記録幅に対応した範囲に所定密度で配列されたインクの吐出口を有する。例えば、各記録ヘッド103は、600dpi(ドット/インチ;参考値)の密度で616個の吐出口が配列され、約1インチ幅を記録できるものとすることができる。リストバンドは、記録後にウェブから切り離されて使用され、この際被装着部位の寸法(例えば傷病者などの手首の太さ)に合わせて長さが調節される。図4における802および803は留め穴であり、留め穴802についてはリストバンドの一端部から中央に向けて複数設けられ、留め穴803については他端部に1つ設けられている。そして、被装着部位に巻き付け、その寸法(手首の太さ)に合わせて複数の留め穴802のいずれかと留め穴803との位置合わせを行い、それらに留め具を挿通することで調節を行うことができる。なお、複数の留め穴802の両側には所要の情報が記録される領域800があり、例えば情報の種類に応じて背景色を適宜記録することができる。
【0027】
記録ヘッド103は保持部202により保持されるとともに、保持部202とともに鉛直方向に昇降可能である。また、各記録ヘッド103に対応するキャップ207aを有した回復ユニット207は水平方向に移動可能に保持されている。
【0028】
図2は、保管状態もしくは記録待機中など非記録時の状態であり、各記録ヘッド103の吐出口形成面にキャップ207aが接合している。非記録時に記録ヘッドの吐出口形成面が大気に曝されていると、吐出口付近のインクの溶剤が蒸発してインクの増粘・固化が生じたり、塵埃が付着したりして吐出不良が生じる恐れがある。これを防ぐために、非記録時には吐出口形成面にキャッピングが施されるようにしている。また、インクを吐出する記録ヘッドはその特性上、安定したインク吐出状態が継続して得られるようにするために、吐出回復処理を行うことが望ましい。図2は回復ユニット207によるそのような回復処理を可能とする状態でもある。吐出回復処理には、記録ヘッドへのインク供給系を加圧してインクを循環させたり、インクを吐出口からキャップ内に強制排出させたりする加圧回復動作や、記録前にキャップに向けて記録ヘッドに予備的な吐出動作を行わせる予備吐出動作が含まれる。また、ゴム等の弾性部材でなるワイパーブレードで記録ヘッドの吐出口形成面をワイピングすることで清浄化する動作も含まれる。回復ユニット207は、これらの動作が行われるようにするための部分を有している。
【0029】
図2の状態から記録動作が可能な状態に移行する場合には、保持部202を一旦上昇させてから回復ユニット207を左方に退避させ、さらに回復ユニット207のキャップ207a間に設けた開口に各記録ヘッド103が対向するようにする。そして保持部202を下降させ、図3に示すように、回復ユニット207の開口から記録ヘッド103を下方に突出させ、リストバンドウェブ102と所定の間隙をもって対向する位置に設定することで、記録動作(インク吐出)が可能な状態となる。この状態から非記録時の状態に設定する場合は、逆の動作を行えばよい。
【0030】
(記録システムの構成例)
図5は、記録すべき情報に対応したデータの供給源をなす外部装置であるパーソナルコンピュータ(PC)形態のホスト装置501と、上述したインクジェット記録装置形態の記録装置101とを具えた記録システムの一実施形態を示すブロック図である。ユーザがホスト装置501に対して入力したデータは、ホスト装置501において適宜圧縮処理等が施され、例えばUSBケーブル503を介して記録装置101に送信される。
【0031】
図6は、図5に示した記録システムの、特に記録装置の詳細な構成例を示すブロック図である。
【0032】
記録装置101の制御部301は、USB制御部302、CPU303、イメージメモリ304、モータドライバ305、ROM309、RAM310およびASIC320を具える。
【0033】
CPU303は、RAM310を作業用に用いながら、ROM309に格納されている制御プログラムに対応した処理を実行し、記録データの受信および記録動作等全般の制御を掌る。また、CPU303は、記録装置101の状態をユーザに報知するべく、LCDなどの表示器に表示を行わせる。操作パネル330は、その表示器のほか、ユーザが直接記録装置に指示を与えるキーなどが配置される。
【0034】
ホスト装置501からUSB制御部302を介して受信したコマンドおよび圧縮データはイメージメモリ304に格納され、ASIC320に転送される。ASIC320は、CPU303の指示に応じ、転送データをビットマップ展開しながらイメージメモリ304に再保存するとともに、保存データを適宜読み出しながら記録ヘッド103に転送する。またASIC320は、記録の際に搬送系のエンコーダ(図示しない)やマーク検知センサ108を含むセンサ部306の状態を確認しながら、モータドライバ305を介して各種モータ307を制御する。各種モータとは、記録ヘッド103および吐出回復ユニット207の移動を行わせるためのモータ、インク供給系内でのインク循環やインクの強制排出を行わせるポンプ等の駆動源をなすモータ、およびリストバンドウェブ102の搬送駆動源をなすモータ等である。
【0035】
なお、記録ユニット201には、各色の記録ヘッド103と、対応する色のインクを収納するインクタンク311とが設けられる。インクタンク311および記録ヘッド103は、それぞれ、EEPROMなどの不揮発性メモリ312および313が取り付けられている。これらのメモリには、取り付け対象のシリアルナンバや、インクの色・種類などを示すIDを格納しておくことができる。また、インクタンク311に取り付けられる不揮発性メモリ312には、収納するインクの残量を管理するためのカウンタ等を設けることができる。CPU303ないしASIC320は、これらの不揮発性メモリに格納された情報に基き、各色データの転送先を認識したり、またインク残量に基く記録の可否などを認識したりすることができる。
【0036】
図7は、図5に示したホスト装置501におけるリストバンド記録システムの概略を示す概念図であり、これは例えばPCで稼動するプリンタドライバの機能の一部として実現することができる。リストバンド記録システムは、リストバンド装着者情報データベース402を保持する記憶部401と、リストバンド記録データ生成部403と、本実施形態の主要部に係るリストバンド余剰領域算出部404とを備える。
【0037】
リストバンド記録データ生成部403は、リストバンド装着者データベース402から取得したリストバンド装着者情報に対応してリストバンド記録データを生成する。リストバンド余剰領域算出部404は、リストバンド装着者データベース402から取得したリストバンド装着者情報に基いて、リストバンドを装着した際の余剰分の領域を算出する。余剰分とは、リストバンドの調節の結果生じる、一端部(留め穴802が設けられた端部)側の一部であり、これは他端部(留め穴803が設けられた端部)の下に重なって隠れてしまうか、あるいは切り取られてしまう部分である。そして本実施形態では、この余剰分を記録無効領域として処理する。リストバンド記録データおよび余剰領域情報は、USBケーブル503を介して記録装置101へ転送され、記録される。なお、本発明の決定部をなすリストバンド余剰領域算出部404の詳細動作については後述する。
【0038】
図8は、リストバンド装着者情報データベース402の内容の一例を示す。図示のデータベースには、リストバンド装着者の住所、氏名、年齢および性別などリストバンドへ表示する情報群502を含めることができる。また、そのほか、手首や足首など被装着部位の寸法(太さ)、身体情報(身長,体重など)、およびリストバンドを実際に装着する際に使用される調節用留め穴802の位置などの、リストバンド径推測情報群503が含まれる。
【0039】
リストバンドへ表示する情報群502は、リストバンド記録データ生成部403において記録データを生成する際に使用される。一方、リストバンド径推測情報群502は、リストバンド余剰領域算出部404において余剰分の領域を算出する際に使用されるデータである。なお、データベースに含まれる個々の情報は、上記二つの情報群のいずれかに分類される必然性があるのではなく、両方の情報群に含まれていてもよい。すなわち、身長や体重などは、リストバンドに表示すべき情報として扱われ、かつ径推測にも使用される情報として扱われることができる。また、両方の情報群に含まれない情報があってもよい。すなわち、住所など、リストバンドに表示すべき情報としても径推測に使用される情報としても扱われない個人情報があってもよい。
【0040】
また、データベースに登録される情報としては、図8に示したものに限らず、血液型、傷病の種類、アレルギー情報、治療等に使用される薬剤など、適宜の情報を含めることができ、これらを必要に応じてリストバンドに表示するようにすることができる。
【0041】
(リストバンド余剰領域の決定)
次に、本実施形態におけるリストバンド余剰領域算出部404の動作について具体的に説明する。
【0042】
図9は、本実施形態に係る記録システムで行われる記録制御手順の一例を示すフローチャートである。
【0043】
記録開始の指示があると(ステップS60)、まず初めにリストバンド装着者情報が記憶されているデータベース502にアクセスし、図8で説明したような装着者情報を取得する(ステップS61)。次に、当該取得情報に基いて、記録データ作成(ステップS62)とリストバンド余剰領域算出(ステップS63)とを実行する。続いて、リストバンド余剰領域に対する紙面予備吐出の実施の要否を定める実施条件を決定する(ステップS64)。これは、例えば、前回の記録やクリーニングからの経過時間、大気への記録ヘッドの曝露時間、温湿度などの環境条件、および累積記録(吐出)量などのパラメータを勘案して決定することができる。そして、作成された記録データおよび実施条件に基いて記録および紙面予備吐出制御を実行する(ステップS65)。
【0044】
リストバンド余剰領域算出処理(ステップS63)では、装着者データ取得処理(ステップS61)で取得した図8のリストバンド径推測情報群502の中から、後述の優先順位に従い1つの径推測情報を取得する。径推測情報の優先順位は、例えば実際に運用した際の精度が高い順に定めるのが良い。例えば、「従来使用していた穴の位置の情報」(実物は穴同士で留めるため)、「手首あるいは足首の周囲長」(実測値であるため)、次いで「身長と体重から推測した結果」(推測値のため)という順で優先順位をつけることが望ましい。
【0045】
図10は、リストバンド装着者データ情報取得処理(ステップS61)における、上記優先順位の例を踏まえた装着者情報受信処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0046】
まず、径推測情報のうち使用していた穴位置情報の有無を確認する(ステップS71)。穴位置情報があったときは、その情報を取得し(ステップS72)、情報取得を完了する。
【0047】
一方、穴位置情報が無かったときは、次に優先順位の高い手首もしくは足首径情報の有無を確認する(ステップS73)。これらの情報が存在したときは、その情報を取得し(ステップS74)、情報取得を完了する。
【0048】
上記二つの情報がいずれも存在しない場合は、身体情報の有無を確認する(ステップS75)。身体情報が存在したときは、その情報を取得し(ステップS76)、情報取得を完了する。
【0049】
以上のすべての径推測情報が存在しなかったとき、本例のシステムはユーザ(医師、看護士その他の医療技術者など、システムの操作者である)へ情報の入力要求を行う(ステップS77)。このとき、ユーザが情報を入力したかを確認し(ステップS78)、入力がされていたらその情報を取得し(ステップS79)、情報取得を完了する。しかしユーザが情報入力要求を拒否した場合は、以降の記録データ変更などは行わず、従来の記録シーケンスでリストバンドを出力する(ステップS70)。
【0050】
以上の手順に従うと、例えば図8のリストバンド装着者情報データベース402から個々の装着者の径推測情報を取得するときは、次のような結果となる。すなわち、データベース内の1番目にある氏名「AAAA bbb」の者が選択された際は、穴情報を取得する。2番目にある氏名「CCCC ddd」が選択されたときは、穴位置情報が無いため、手首径の情報を取得する。また、5番目にある氏名「IIII jjj」が選択されたときは、全ての径推測情報が存在しないので、ユーザへ情報入力を要求する。
【0051】
取得した装着者のリストバンド径推測情報はその種類によって単位が違うため、リストバンド余剰領域算出処理(ステップS63)において「使用する径調節用穴の位置」に換算し、リストバンド余剰領域を決定することができる。
【0052】
図11は、リストバンド余剰領域算出処理(ステップS63)における余剰領域の詳細な決定処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0053】
まず、取得した径推測情報が穴位置情報であるかを確認し(ステップS81)、穴位置情報であった場合は情報をそのまま保持する。取得した情報が穴位置ではなかった場合は、手首または足首の径であるかを確認し(ステップS82)、肯定判定であった場合は手首または足首の径から、この径に見合うリストバンド径を得る調節用留め穴802の位置を算出する(ステップS83)。さらに、取得した情報が手首および足首の径情報のいずれでもなかった場合は、この情報は身体情報に相当する。そこで、身体情報としての身長−体重のデータを、使用するリストバンドの穴位置を予測する例えば図12に示すようなリストバンド径テーブルを用いてリストバンド径(本例では穴の位置)に変換し、穴の位置を決定する(ステップS84)。
【0054】
以上のようにして、最終的に求められた穴位置に基いて、リストバンド余剰領域を決定する(ステップS85)。
【0055】
図13は、リストバンドとして使用する際に選択された留め穴と余剰領域との関係を示したものである。
【0056】
リストバンド1001は、ウェブ102から切り離されて使用され、この際被装着部位の寸法(例えば装着者の手首などの太さ)に合わせて長さが調節される。その調節位置では複数の調節用留め穴802のいずれかと留め穴803とが合わされ、これらに留め具が挿通されることで、環状となった状態で留められる。
【0057】
留め穴802および803がない領域1003には、例えば装着者に関する文字情報(氏名、性別など)や、管理用のバーコードなどを記録することができる。複数の留め穴802が存在する領域1002の両側(複数の留め穴80のの上側および下側)にも、所要の情報を適宜記録することができる。医療用のリストバンドであれば、例えば、血液型の記録部分、アレルギー情報の記録部分、治療等に使用される薬剤の記録部分などを帯状に配することができ、必要に応じてこれらの部分には適宜の背景色を記録することもできる(図4参照)。なお、これらの情報の種類および配置は単なる例示であることは言うまでもない。
【0058】
領域1002のうち、上述した方法により決定した使用する留め穴の位置1005から留め穴803が位置する端部までの領域1006を、リストバンドの全長から除いた部分が、リストバンド余剰領域1007である。この領域1007は、手首などにリストバンドを装着した際、留め穴803が設けられた端部側の下に重なって隠れてしまうことで視認が困難となるか、あるいは切り取られてしまうことで視認が不能となる部分、すなわち、記録が無効となる領域である。従って、この領域には記録を行わず、紙面予備吐出の対象とする。なお、例えば上述した背景色などのように、帯状の記録部分として情報の一貫性が保たれる(情報の欠落が生じない)場合には、そのような背景色を記録することもできる。しかし、この領域1007は情報の視認が困難または不能な部分であるので、インクの消費を抑える観点からは情報の記録対象とせず、紙面予備吐出のみの対象とすることが好ましい。
【0059】
リストバンドウェブ102ないしリストバンド1001への記録動作において、余剰領域であるか否かの判定は、マーク検知センサ108(図1参照)の検出に基いて行うことができる。すなわち上述したように、リストバンドウェブ102の被記録面とは反対側の面には、リストバンドとして使用するべく切り離しを行うためのミシン目近傍に所定のマークが形成され、各頁(リストバンド)の適正な位置に記録が行われるようにしている。従って、そのマークを検出してからの経過時間や、リストバンドウェブ102の搬送速度などに基いて余剰領域を認識することができる。
【0060】
(リストバンドへの紙面予備吐出)
本実施形態によれば、記録が無効となる領域すなわちリストバンド余剰領域1007に対して紙面予備吐出が行われる。すなわち、この領域1007は情報の視認が困難または不能な部分であるために、必要ないしは有効な情報は記録されず、従って紙面予備吐出をどのように行うかについて実質的な制限がない。つまり、図13において破線で示した領域1007を任意所望に利用して紙面予備吐出を行うことができる。
【0061】
これに対し、リストバンド余剰領域1007を利用して紙面予備吐出を行わない場合には、誤認識等を防止するために有効な情報を適切に避けて紙面予備吐出を行うことが必要でとなる。
【0062】
図14および図15を用いてこれを説明する。
【0063】
図14は、記録ヘッド103の各吐出口から、記録媒体1100上の有効な情報が記録される領域(例えば図13における領域1006)に対して、記録のための吐出および紙面予備吐出を行う態様の一例を示している。記録ヘッド103は、600dpiの密度で616個の吐出口が配列され、1インチ超の幅を記録できるものとする。また、図示の例では、記録ヘッド103は記録時に記録媒体1100に対して固定された位置に設定されるが、その設定誤差などを考慮して、幅方向(図の左右方向)のレジストレーションを調整する調整領域1104を左右端部に設けている。図14の例では、それぞれ2吐出口分(左右2ドット分)である。しかし例えば左右16ドット分ずつ設けるなど、記録ヘッド103の設定誤差や搬送時におけるリストバンドウェブ102の幅方向の搬送誤差などを考慮し、適切な大きさの調整領域とすることができる。これらの点については、本実施形態に対しても同様に適用が可能である。
【0064】
画像領域1105,1106の黒丸部分は記録ヘッド103の吐出口からインクが吐出されてドットが形成されたことを意味し、白丸部分はインクが吐出されずに空白となっていることを意味する。これらは、ホストコンピュータ等の外部装置から送信された画像データに基づくものであり、通常の印刷においては、黒丸で示すドット形成部分と、白丸で示す空白部分とで画像が形成される。
【0065】
1107〜1110は、紙面予備吐出の吐出パターンである。このように図示の例では、横1ラインに1ドットずつ、有効画像領域1105,1106には関係なく、かつ目立たないように吐出することで、紙面予備吐出を実現する。
【0066】
予備吐出は、画像に影響を与えなければ、画像領域1105,1106に重なるように行うこともできる。しかしこれによって画像に影響を与えることが懸念される場合には、予備吐出ドットが画像領域1105,1106に重ならないように予備吐出パターンを形成することが強く望ましいものとなる。
【0067】
また、この紙面予備吐出パターンが規則的になってしまうと人間の目に視認し易くなることがあるので、これを避けるために、1頁毎に、各ラインに対してランダムに予備吐出を行うことも可能である。しかしランダムに予備吐出を行うと予備吐出ドットが画像領域1105,1106に重なることもあり、これによって画像に影響を与えることが懸念される場合には、画像領域1105,1106以外の領域においてランダムに予備吐出が行われるようにする。
【0068】
図15は、有効な情報を適切に避けて紙面予備吐出を行う態様の他の例を示している紙面予備吐出パターンを説明する為の図である。
【0069】
同図(a)に示す紙面予備吐出パターン1201は、図14で説明した例と同様に、1ラインに1ドットだけ予備吐出を行った場合の例である。この場合、1ラインに1つの予備吐出ドットが形成されるようにしているので、例えば記録ヘッド103の有効吐出口数(全吐出口数から端部にある調整用吐出口の数を減じたもの)対応した612ドットを形成するには、612インが必要となる。
【0070】
これに対し、同図(b)に示す紙面予備吐出パターン1202は、1ラインに2ドットずつ予備吐出を行った場合の例である。この場合、1ラインに2つの予備吐出ドットが形成されるので、記録ヘッド103の有効吐出口数に対応した612ドットを形成するために306ラインで足りることになる。このように、1ラインに複数ドットの予備吐出を行うことで予備吐出範囲を小さくすることができる。しかしながら、1ラインに複数の予備吐出ドットが形成された場合、これらが目立ち易くなる。また、隣接する2ライン間で縦方向(記録媒体搬送方向)でドットが連続もしくは近接する可能性も高くなり、そのような場合には一層目立ち易くなる。従って、これらを考慮して1ラインあたりの予備吐出ドット数を定めることが望ましい。
【0071】
これらのように、有効な情報を適切に避けて紙面予備吐出を行う場合には、美観の低下や誤認識を防止するために、繊細な予備吐出パターンを設定する複雑な制御が必要となる。
【0072】
これに対して、本実施形態では、上述した手順により適切に設定した余剰領域を利用して紙面予備吐出を行うようにしているので、紙面予備吐出パターンについて実質的な制約がなく、これを任意所望に定めることが可能となる。例えば1ラインに対し、有効吐出口のすべてに紙面予備吐出を行わせるような、極端に目立つパターンが用いられてもよい。また、余剰領域1007のサイズに応じて、予備吐出パターンを適宜変更することも可能である。
【0073】
なお、調節用の留め穴802の位置に対して予備吐出を行うと、記録位置に関してリストバンドウェブを裏面から支持するプラテン、あるいは支持搬送を行う搬送ベルト等を汚す恐れがある。これを避けるためには、余剰領域1107における規定の穴位置を認識し、これを避けて予備吐出を行うようにすればよい。しかしそのような懸念がなければ、例えば無端の搬送ベルトを用いる場合にあって、記録媒体の支持を行う領域から外れた部位において搬送ベルト表面を清浄化する手段が設けられるのであれば、穴の存否に拘らず紙面予備吐出を行うようにしてもよい。
【0074】
(その他)
上述の実施形態では、記録データの作成および余剰領域の決定(図7,図9)をPC形態のホスト装置501で実施するものとした。この場合、それらの機能を実現するソフトウェアまたはプリンタドライバのプログラムコードを、通信あるいは記憶媒体を介してホスト装置にインストールし、そのプログラムコードによって様々なデバイスを作動させることにより上述のような実施形態の機能を実現するようにする手段も、本発明の範囲に含まれる。
【0075】
また、この場合、プログラムコード自体が本発明の新規な機能を実現することになり、そのプログラムコード自体、および記憶媒体などプログラムコードをコンピュータに供給する手段も、本発明の範囲に含まれる。プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスクやCD−ROMのほか、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−R、DVD、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどを用いることができる。
【0076】
さらに、記録装置101自体それらの機能を実現可能に構成されていてもよい。この場合、それらの機能を実現するプログラムコードは、あらかじめ記録装置101のROM309に格納されたものでも、不揮発性メモリ等にインストールされるものでもよい。
【0077】
また、この場合データの供給源をなす情報入力手段は適宜のものを採用できる。PC等に接続される場合には、記録データとともに、リストバンド装着者の情報を受け取るようにすればよい。さらに、情報入力手段としては記録装置に直接接続されたスキャナやキーボード、オペレーショパネルなどであってもよい。例えば、本発明を医療用のリストバンドの作成に使用する場合を考慮すると、かかる使用は整った環境下で行われるとは限らない。このため、記録装置101は簡便な入力手段の接続が可能であることが好ましい。簡便な入力手段としては、入力パッドであってもよいし、文字・数字・記号などのキャラクタキーを配列したキーボードであってもよい。特に、キーボードは汎用性が高く、現在では相当数の者が操作に習熟しているため、例えば災害現場などにおいて多数の傷病者に関する情報を緊急に入力しなければならないような場合に使用されて好適なものである。その意味で、キーボードインターフェースを記録装置に具えることは有効である。キーボードがUSBに対応したものであれば、USB制御部302に対して接続を行うこともできる。
【0078】
加えて、上述の実施形態では、環状に巻かれた状態で対象の所定部位に装着される帯状記録媒体であるリストバンドに本発明を適用した場合について説明した。しかしそのような帯状記録媒体としては、必ずしもリスト(手首)に装着されるものに限られない。例えば足首に装着されるものでもよいし、必要に応じ首、胴その他の部位に装着されるものでもよい。また、装着対象は、「ヒト」に限らず、動物でもよいし、物品でもよい。また、医療用途だけでなく、様々な用途のリストバンドにも適用可能である。例えば、特定の場所に立ち入りできる特定者(劇場、遊園地またはその一部に入場できる正当な権利者、あるいは、感染症蔓延地域に立ち入りできる予防注射済みの者または免疫保持者)に装着させるリストバンドを作成する場合にも適用することもできる。
【0079】
また、上例では、記録装置はY,M,CおよびKの4色のインクを用いるものとしたが、用いる色調(色,濃度)の種類や数はこれらに限られない。
【0080】
さらに、上例では所謂ラインプリンタ形態の印刷装置に本発明を適用した場合について説明した。しかし本発明は、記録媒体搬送方向に対して直交する方向に記録ヘッドをスキャンさせる所謂シリアルプリンタ形態の印刷装置に適用してもよい。
【0081】
また、リストバンドとしても、切り離し前にウェブ状の形態を有するものでなくてもよい。毎葉紙形態のリストバンド媒体であってもよいし、あるいは例えば長辺部分で連結されたシート状の形態を有するものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置形態の記録装置の構成を説明するための模式的側面図である。
【図2】図1の記録装置の記録ヘッド周辺の構成を説明するための模式的側面図であり、非記録時の状態を示している。
【図3】図1の記録装置の記録ヘッド周辺の構成を説明するための模式的側面図であり、記録動作が可能な状態を示している。
【図4】図1の記録装置の記録ヘッド周辺の構成を説明するための模式的上面図である。
【図5】記録装置を用いる記録システムの構成例を示すブロック図である。
【図6】図5に示した記録システムの、特に記録装置の詳細な構成例を示すブロック図である。
【図7】図5に示したホスト装置におけるリストバンド記録システムの概略を示す概念図ある。
【図8】図7のリストバンド記録システムで用いるリストバンド装着者情報データベースの内容の一例を示す説明図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る記録システムで行われる記録制御手順の一例を示すフローチャートである。
【図10】図9の手順のうち、リストバンド装着者データ情報取得処理で行われる詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図11】図9の手順のうち、リストバンド余剰領域算出処理で行われる詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図12】図11の手順で用いられるリストバンドの穴位置を予測するためのテーブルの内容の一例を示す説明図である。
【図13】、リストバンドとして使用する際に選択された留め穴と余剰領域との関係を説明するための説明図である。
【図14】本発明とは異なり、リストバンド余剰領域を利用した紙面予備吐出を行わない場合に行われる紙面予備吐出の態様の一例を示す説明図である。
【図15】(a)および(b)は、リストバンド余剰領域を利用した紙面予備吐出を行わない場合に行われる紙面予備吐出の態様のさらに他の二例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0083】
101 記録装置
103、103K、103C、103M、103Y 記録ヘッド
102 リストバンドウェブ
108 マーク検知センサ
402 リストバンド装着者情報データベース
403 リストバンド記録データ生成部
404 リストバンド余剰領域算出部
501 ホスト装置
802、803 リストバンド穴
1001 リストバンド
1005 使用される留め穴
1007 リストバンド余剰領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端部を他端部以外の位置に合わせて留めた環状の状態で対象の被装着部位に装着される帯状の記録媒体に対し、インクを吐出する吐出口を有する記録ヘッドを用いて情報の記録を行うとともに、前記記録媒体に対し、前記情報の記録に関わらない予備吐出を前記記録ヘッドに行わせることが可能なインクジェット記録装置と、該インクジェット記録装置に対し、前記記録に係る情報を入力するための情報入力装置と、を具える記録システムであって、
前記帯状の記録媒体を前記環状の状態としたときに、前記被装着部位の大きさに応じて生じる記録無効領域を決定する決定部と、
当該決定された記録無効領域に対して、前記予備吐出が行われるように前記インクジェット記録装置を制御する制御部と、
を具えたことを特徴とする記録システム。
【請求項2】
前記記録無効領域は、余剰分として前記他端部側の下に重なって隠れてしまう部分または切り取られてしまう部分であることを特徴とする請求項1に記載の記録システム。
【請求項3】
前記帯状の記録媒体はリストバンドであり、前記決定部は、前記装着の対象となるリストバンド装着者情報に基いて前記余剰分を算出する算出部を有することを特徴とする請求項2に記載の記録システム。
【請求項4】
前記リストバンド装着者情報は身体情報を含むことを特徴とする請求項3に記載の記録システム。
【請求項5】
前記リストバンド装着者情報は前記被装着部位の寸法の情報を含むことを特徴とする請求項4に記載の記録システム。
【請求項6】
前記リストバンドは、一端部から順に、留め穴が設けられる部分と、前記情報を記録する記録領域となる部分と、巻きつけ径の調節が可能な調節用留め穴が複数設けられた部分とを有し、前記リストバンド装着者情報は前記被装着部位の寸法のに応じた前記調節用留め穴の位置の情報を含むことを特徴とする請求項5に記載の記録システム。
【請求項7】
前記決定部は、前記調節用留め穴の位置の情報、前記被装着部位の寸法の情報および前記身体情報の順に優先順位を定め、当該優先順位が高い情報が存在しなかった場合に次に優先順位の高い情報を利用して前記余剰分の算出を行うことを特徴とする請求項6に記載の記録システム。
【請求項8】
前記決定部は、前記調節用留め穴の位置の情報、前記被装着部位の寸法の情報および前記身体情報のいずれも存在しなかった場合に、前記記録システムの操作者によって入力される前記リストバンド装着者情報に基いて前記余剰分の算出を行うことを特徴とする請求項7に記載の記録システム。
【請求項9】
前記決定部は、前記リストバンドの全長と、前記リストバンド装着者情報を前記リストバンドの径に変換するリストバンド径テーブルを用いて得られるリストバンド径とから、前記余剰分となる前記記録無効領域のサイズを算出することを特徴とする請求項3ないし請求項8のいずれかに記載の記録システム。
【請求項10】
前記リストバンド装着者情報は、前記リストバンド装着者の個人情報をさらに含むことを特徴とする請求項3ないし請求項9のいずれかに記載の記録システム。
【請求項11】
前記決定部は前記情報入力装置に備えられることを特徴とする3ないし請求項10のいずれかに記載の記録システム。
【請求項12】
一端部を他端部以外の位置に合わせて留めた環状の状態で対象の被装着部位に装着される帯状の記録媒体に対し、インクを吐出する吐出口を有する記録ヘッドを用いて情報の記録を行うとともに、前記記録媒体に対し、前記情報の記録に関わらない予備吐出を前記記録ヘッドに行わせることが可能なインクジェット記録装置であって、
前記帯状の記録媒体を前記環状の状態としたときに、前記被装着部位の大きさに応じて生じる記録無効領域を決定する決定部と、
当該決定された記録無効領域に対して、前記予備吐出が行われるように前記インクジェット記録装置を制御する制御部と、
を具えたことを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項13】
一端部を他端部以外の位置に合わせて留めた環状の状態で対象の被装着部位に装着される帯状の記録媒体に対し、インクを吐出する吐出口を有する記録ヘッドを用いて情報の記録を行うインクジェット記録装置に適用され、前記記録媒体に対し、前記情報の記録に関わらない予備吐出を前記記録ヘッドに行わせる吐出回復処理方法であって、
前記帯状の記録媒体を前記環状の状態としたときに、前記被装着部位の大きさに応じて生じる記録無効領域を決定する決定工程と、
当該決定された記録無効領域に対して、前記予備吐出が行われるように前記インクジェット記録装置を制御する工程と、
を具えたことを特徴とする吐出回復処理方法。
【請求項14】
請求項13に記載の決定工程を、前記インクジェット記録装置に対し前記情報を供給するべく接続されたコンピュータに実施させるための制御プログラム。
【請求項15】
請求項13に記載の吐出回復処理方法をインクジェット記録装置に実施させるための制御プログラム。
【請求項16】
請求項14または請求項15に記載の制御プログラムを記憶した記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−89464(P2010−89464A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−264306(P2008−264306)
【出願日】平成20年10月10日(2008.10.10)
【出願人】(000208743)キヤノンファインテック株式会社 (1,218)
【Fターム(参考)】