説明

記録システム

【課題】 記録した通話内容を短時間で正確に確認し得る記録システムを提供する。
【解決手段】
第1の通話者と第2の通話者との通話内容を記録する記録システム10において、通話内容を示す音声データを生成する音声データ生成手段422と、音声データに基づいて文字コード化を行い、文字データを生成する文字データ生成手段423と、生成した文字データを記録する文字データ記録手段425と、記録確認指示を受けると、指示された文字データの検索を行う文字データ検索手段43と、検索して読み出した文字データに基づいて、表示を行う表示手段41と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通話者間の通話内容を記録する記録システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば顧客やオペレータ間の通話内容を記録する記録システムは、第1の通話者としての顧客の端末と第2の通話者としてのオペレータの端末とが通信回線を介して接続されており、通話者間の通話内容を通話蓄積サーバに蓄積している。
記録システムは、特許文献1に示されているように、通話内容を音声データとして通話蓄積サーバに記録する。
【0003】
ところで、従来の記録システムでは、通話者が記録確認指示を行うと、指示された音声データを通話蓄積サーバから読出し再生が行われる。これにより、通話者は再生される音声を聴覚で確認して、通話内容を把握することができる。
【特許文献1】特開2003−46646号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の記録システムは、通話者が音声データに基づく音声再生を聴覚で確認することにより、聴覚での確認は一過性であるため、聞き漏らす虞があった。従って、聞き漏らした内容の把握には、記録されている音声データを再度再生する必要があり、この非効率な確認作業が問題となっていた。
【0005】
従って、本発明の目的は、記録した通話内容を短時間で正確に確認し得る記録システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以上の点を解決するために、次の構成を採用する。
〈構成1〉
第1の通話者と第2の通話者との通話内容を記録する記録システムにおいて、通話内容を示す音声データを生成する音声データ生成手段と、音声データに基づいて文字コード化を行い、文字データを生成する文字データ生成手段と、生成した文字データを記録する文字データ記録手段と、記録確認指示を受けると、指示された文字データの検索を行う文字データ検索手段と、検索して読み出した文字データに基づいて、表示を行う表示手段と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の記録システムによれば、通話内容を記録すべく、通話内容を示す音声データに基づいて文字コード化を行って生成した文字データを記録する。通話者が通話内容を確認するとき、記録している文字データから確認指示された文字データを検索し、該文字データを表示手段により表示することから、通話者は表示された内容を十分に把握するまで視覚でもって確認することができ、一過性の聴覚による確認と異なり確認作業を繰返す必要がなく、結果的に通話内容を短時間で正確に確認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の実施形態について、図を用いて詳細に説明する。
【実施例1】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図を用いて詳細に説明する。
実施例1の記録システム10は、図1に示すように、顧客(第1の通話者)側の装置と、金融機関側の装置とが公衆電話網20を介して接続されている。顧客側の装置には、電話11が備えられており、金融機関側としてのコールセンタ30に顧客との通話を管理するためのシステムが構築されている。
【0010】
コールセンタ30におけるシステムにより、顧客と金融機関のオペレータとの通話内容が蓄積管理されており、管理される内容としては、例えば、金融取引に関する問合わせや相談、具体的には投資信託などに関する相談などである。
【0011】
ところで、実際の運用では顧客毎に電話11が配設されているが、以降の説明を簡便に行うべく、図1に示すように1台の電話11がコールセンタ30に接続され、当該電話11を扱う顧客と金融機関のオペレータとの通話内容を記録する例で説明を行う。
電話11は、顧客が通信したい相手の電話番号へ呼を発するとともに顧客が発する音声を音声信号に変換する。該音声信号は、公衆電話網20を介し前記呼に基づいて接続されたコールセンタ30に送られる。
【0012】
コールセンタ30には、IPプロトコルに則り通信可能なローカルエリアネットワーク(以後、LANと略称する)32が構築されている。LAN32には、公衆電話網20を介して顧客の電話11と通信するためのSIP(Session Initiation Protocol)サーバ31と、オペレータA(第2の通話者)が操作する端末A33と、オペレータB(第3の通話者)が操作する端末B34と、文字データを蓄積する文字データ蓄積サーバ35と、コールセンタにおける使用禁止語句を蓄積する使用禁止語句蓄積サーバ36とが接続されており、前記各装置がLAN32を介して通信可能に接続されている。
【0013】
ところで、LAN32に接続されている各装置には、通信先を識別するためのIPアドレスが付与されており、希望の相手先に付与されたIPアドレスで相手先を指定し、当該通信相手先と通信することができる。
【0014】
SIPサーバ31は、ゲートウェイ機能、即ち、公衆電話網20からの音声信号を音声パケットに変換してLAN32に送り、LAN32からの音声パケットを音声信号に変換し公衆電話網20に送る。さらに、LAN32内の通信のために、LAN32に接続されている端末に付与されたIPアドレスを管理し、LAN32に接続されている端末が公衆電話網20を介して通信するために付与された電話番号を管理しており、具体的には該端末に付与された電話番号と付与されたIPアドレスとを対応付けたアドレスマップで管理している。
【0015】
具体的には、SIPサーバ31は、電話11から公衆電話網20を介して端末A33への呼を受けると、該呼に示された電話番号に基づいて端末A33に付与されたIPアドレスをアドレスマップから検索し、該検索したIPアドレスに基づいて顧客の電話11と端末A33との通信接続を行う着呼処理を行う。または、各端末に共通の代表電話番号を用意しておき、適宜空いている端末に呼を振り分けるような制御を行うこともできる。
【0016】
また、SIPサーバ31は、端末A33から電話11に対するパケットによる呼を受けると、該呼に示された電話番号に基づいて発呼を行う。この発呼により、端末A33と電話11とが公衆電話網20を介して回線接続され、端末A33と電話11との間で通話を行うことができる。
【0017】
文字データ蓄積サーバ35は、図2に示すように、端末A33または端末B34において生成される文字デ―タを検索キーワードに対応付けて蓄積する。
ところで、検索キーワードには、電話11を操作する顧客の名前、顧客を管理するための顧客ID、口座番号、問合わせ番号、電話番号、オペレータの識別情報(オペレータID)、通話の用件および通話日時などが示されている。
ところで、文字データ蓄積サーバ35における具体的なデータ管理は、図7に示すように、例えば顧客ID、顧客氏名、住所、電話番号、年齢、性別および誕生日などが示された顧客管理情報に、顧客ID、口座番号、日付、取引内容および金額などが示された口座管理情報と、顧客ID、オペレータID、通話日時および用件などが示された通話記録管理情報とを対応付けて管理しており、顧客毎に該通話記録管理情報に文字データを対応付けて管理している。
【0018】
使用禁止語句蓄積サーバ36は、コールセンタ30において使用が禁止されている語句を使用禁止語句として蓄積する。
【0019】
次に、端末A33および端末B34を説明する。
ところで、端末A33および端末B34は、その構成内容が同じであることから、以降端末A33を例に説明を行う。
【0020】
端末A33は、オペレータAからの操作入力を受けるとともに、操作内容に応じた表示を行う表示手段41と、音声データに基づいて文字コード変換を行なって文字データを生成するデータ生成手段42と、文字データ蓄積サーバ35に蓄積されている文字データを検索する文字データ検索手段43と、文字データを他の端末に転送するための制御を行う転送処理部44と、顧客と通話を行うための通話手段45と、LAN32に接続する各装置とLAN通信するための制御を行うLANインタフェース46とを備える。
【0021】
LANインタフェース46は、LAN32に接続されている装置、即ち、SIPサーバ31と、端末B34と、文字データ蓄積サーバ35と、使用禁止語句蓄積サーバ36とLAN通信するための制御を行う。
【0022】
表示手段41は、オペレータAからの入力を受ける操作入力部411と、入力内容に応じた表示を行う表示部413とを備える。操作入力部411はオペレータAから通信相手先の電話番号の入力、記録確認指示および検索キーワードの入力および端末Bへの転送指示などの入力を受けており、表示部413は例えば検索キーワードに基づいて検索される文字データに基づく表示などを行う。
【0023】
ところで、操作入力部411は、記録確認指示の入力を受けると、記録確認指示を文字データ検索手段43に通知する。通知を受けた文字データ検索手段43は、検索キーワードに基づいて文字データの検索を行う。また、操作入力部411は、転送指示の入力をうけると、転送指示を転送処理部44に通知する。通知を受けた転送処理部44は、指示された端末に指示されたデータを転送する。
【0024】
操作入力部411は、オペレータAが文字データにおいて強調したい語句を強調語句として任意に指定するための強調語句指定入力部412を備えており、該強調語句指定入力部412で指定された強調語句が表示部413で顕著化表示される。例えば、オペレータAは表示部413の通話内容を示す文字データに基づく表示において、強調したい語句をマウス等で範囲指定し、アイコンクリック等により強調語句として指示を行う。これにより、文字データ中に顕著化表示を意味するタグ文字列が埋め込まれる。
【0025】
表示部413は、文字データ表示部414および文字データ候補表示部415を備える。文字データ表示部414は、図3に示すような文字データに基づく表示を行っている。文字データ表示部414は、オペレータAが当該表示において、強調したい語句を強調語句指定入力部412で指定すると、指定された語句、例えば、「月に一万ずつ投資信託を行いたい」などの語句を強調語句として顕著化表示する。
【0026】
文字データ候補表示部415は、文字データの候補一覧の表示を行っており、検索キーワードに基づいて検索された文字データの候補一覧、例えば、通話日を検索キーワードとして検索すると、検索した通話日における全ての文字データの候補一覧を表示する。また、例えば、顧客名を検索キーワードとして検索すると、検索した顧客名における全ての文字データの候補一覧を表示する。
尚、オペレータAが一覧表示されている文字データ候補を任意に指定すると、この指定に対応する文字データに基づく表示が文字データ表示部414で行なわれる。
【0027】
通話手段45は、音声を電気信号に変換して音声信号を生成する送受話器(図示せず)と、送受話器から出力された音声信号に基づいて音声データを生成し、該音声データに基づいて音声パケットを生成するAD変換部451と、LANインタフェース46から音声パケットを受けると、該音声パケットに基づく音声データを生成し、該音声データに基づいて音声信号を生成するDA変換部452とを備える。
【0028】
送受話器は、オペレータAの音声に基づいて生成した音声信号をAD変換部451に出力すると共に、データ生成手段42にも出力する。また、送受話部は、DA変換部452で生成される音声信号に基づく音声を出力する。
【0029】
AD変換部451は、送受話器からの音声信号を受けると、該音声信号に基づいて符号化処理(AD変換)を行って音声データを生成し、該音声データをパケット化して複数の音声パケットを生成する。尚、生成された音声パケットは、LANインタフェース46を介してSIPサーバ31に出力される。
【0030】
また、DA変換部452は、電話11からの複数の音声パケットをLANインタフェース46を介して受けると、受けた複数の音声パケットの順序制御を行って音声データを生成すると、該音声データに基づいて復号化処理(DA変換)を行って音声信号を生成する。尚、生成された音声信号は、データ生成手段42に出力される。
【0031】
データ生成手段42は、音声信号が供給されるラインに基づいて通話者を特定する通話者識別部421と、顧客とオペレータAとの通話内容を示す音声データを生成する音声データ生成部422と、音声データに基づいて文字コード化を行い、文字データを生成する文字データ生成部423と、文字データの顕著化補正を行う文字データ補正部424と、生成された文字データを検索キーワードに対応付けて文字データ蓄積サーバ35に記録する文字データ記録部425とを備える。
【0032】
通話者識別部421は、2系統のラインから音声信号が入力されており、一方は通話手段45の送受話器からのラインであり、他方はDA変換部452からのラインである。通話者識別部421は、送受話器からのラインを介して音声信号を受けると、オペレータAを通話者として判断し、該判断結果を文字データ生成部423へ通知する。また、通話者識別部421は、AD/DA変換部451からのラインを介して音声信号を受けると、顧客を通話者として判断し、該判断結果を識別情報として文字データ生成部423へ通知する。
【0033】
また、通話者識別部421は、音声信号が入力されるラインの系統の違いで通話者を識別する他に、例えば、各通話者の音声信号は通話者固有の周波数スペクトルで示すことができ、該各周波数スペクトルに基づいて通話者を識別してもよい。また、単に周波数スペクトルで識別する他に、例えば「○○銀行 お客様窓口です」などのオペレータ固有の常套語句を検出し、検出した常套語句における周波数スペクトルによりオペレータを識別してもよい。
【0034】
音声データ生成部422は、DA変換部452からの顧客の音声に基づく音声信号または通話手段45の送受話器からのオペレータAの音声に基づく音声信号を受けると、受けた音声信号を符号化して音声データをそれぞれ生成する。この音声データは、顧客とオペレータAとの通話内容を示しており、当該音声データは文字データ生成部423へ出力される。尚、音声データ生成部422が生成する音声データには、通話者識別部421からの識別情報が対応付けられており、識別情報に基づいて音声データにおける通話者を識別することができる。
【0035】
文字データ生成部423は、音声データ生成部422からの音声データを受けると、該音声データに基づいて文字コード化を行い、文字データを生成する。
【0036】
ところで、生成された文字データには、通話者を識別するための識別情報が付与されていおり、識別情報に基づいて音声データにおける通話者を識別することができる。
尚、生成された文字データは、表示手段41に通知され、該表示手段41で文字データに基づく表示が行なわれる。また、生成された文字データは、文字データ検索手段43に通知され、該文字データ検索手段43で文字データに含まれる使用禁止語句の検索が行なわれる。
【0037】
文字データ補正部424は、文字データ検索手段43で使用禁止語句が検出されると、表示において使用禁止語句の顕著化を図るために文字データの補正を行う。
【0038】
例えば、図8に示すように、使用禁止語句として「儲かります」が使用禁止語句蓄積サーバ36に登録されており、検索対象の文字データの一部に「大丈夫です、絶対儲かります。」と示されている文字データを使用禁止語句検索部432が取得すると、該使用禁止語句検索部432は、登録されている使用禁止語句に基づいて文字データが含んでいる使用禁止語句を検索し、該検索結果を文字データ補正部424に通知する。
【0039】
ところで、文字データ補正部424は、使用禁止語句として「儲かります」を検出したことを示す検索結果を受けると、文字データに含まれる「儲かります」を表示において顕著化すべく、「大丈夫です、絶対<FONT color=red><B>儲かります</B></FONT>」と補正し、即ち、顕著化表示のためのタグ文字列を文字データ中に挿入する。補正した文字データを文字データ表示部414および文字データ記録部425に出力する。即ち補正された文字データを受けた文字データ表示部414は、補正された文字データに基づいて、「儲かります」を赤色で顕著化表示する。尚、文字データ記録部425は、補正された文字データを文字データ蓄積サーバ35に蓄積する。
【0040】
また、文字データ補正部424は、文字データに基づく表示において、オペレータAが強調語句を指定入力すると、指定された強調語句の顕著化を図るために文字データの補正を行う。例えば、オペレータAが、図8に示すように、文字データ「月に一万ずつ投資信託を行いたい」の中の「一万ずつ投資信託」を強調語句指定入力部412で強調語句として指定入力すると、文字データにおける「一万ずつ投資信託」を表示において顕著化すべく、「月に<FONT color=blue><i>一万ずつ投資信託</i></FONT>を行いたい」と補正する。即ち、顕著化表示のためのタグ文字列を文字データ中に挿入する。これにより、文字データ表示部414で、補正された文字データに基づいて、「一万ずつ投資信託」が青色で顕著化表示される。
【0041】
文字データ記録部425は、文字データ補正部424から文字データを受けると、図2に示すように、文字データを検索キーワードに対応付けて文字データ蓄積サーバに記録する。
【0042】
文字データ検索手段43は、文字データ蓄積サーバ35に蓄積されている文字データを検索キーワードに基づいて検索する文字データ検索部431と、文字データに使用禁止語句が含まれているか否かを検索する使用禁止語句検索部432とを備える。
【0043】
文字データ検索部431は、顧客名、口座番号、問合わせ番号、顧客の電話番号および通話日などを検索キーワードとして文字データ蓄積サーバ35に蓄積されている文字データを検索する。
【0044】
また、文字データ検索部431は、操作入力部411から記録確認指示入力を受けると、上記した検索キーワードに基づいて文字データの候補を検索し、該文字データ候補を文字データ候補表示部415に出力する。ところで、文字データの候補検索は、文字データが格納されている格納先アドレスを取得しても良く、文字データ候補の格納先アドレスを取得することで、後述する転送処理において、データ量の多い文字データを直接転送しなくても、データ量の少ないアドレスを転送することができ、通信トラフィック量の低減を図ることができる。
【0045】
使用禁止語句検索部432は、コールセンタ30で使用が禁止されている使用禁止語句が文字データに含まれていないかを検索する。使用禁止語句検索部432は、例えば、顧客にとってリスクを伴う語句「儲かります」や営業上好ましくない語句「損をかけます」などを使用禁止語句として検索する。
【0046】
転送処理部44は、端末Bとの間でデータを送受信すべく、端末B34の転送処理部44へデータを通知する転送データ通知部441と端末B34の転送処理部44からのデータを取得する転送データ取得部442とを備える。
ところで、転送データ通知部441は、文字データ、または文字データ蓄積サーバ35における文字データの格納先アドレスを端末B34に通知する。ところで、端末B34は、転送データ取得部442と同様の機能を有する図示しない転送データ取得部を備えており、転送データ取得部で端末A33の転送データ通知部441から出力される文字データや文字データの格納先アドレスを取得する。
【0047】
尚、端末B34は、取得した文字データ、または格納先アドレスに基づく表示を行う。具体的には、取得した文字データまたは格納先アドレスが示す文字データを表示する。また、格納先アドレスに基づく表示では、格納先アドレスと共に送られている例えば通話日時の一覧がともに表示され、オペレータBが一覧表示された通話日時から所望の通話日時を指定すると、当該通話日時に対応付けられた格納先アドレスに基づいて文字データの検索が行なわれ、検索して得た文字データに基づく表示が行なわれる。尚、このとき、前述した顕著化表示も端末Aと同様に行なわれる。
【0048】
ところで、顕著化表示される個所、即ち前記タグ文字列が挿入されている個所のみをもとめて表示するようにすれば、確認作業の効率が向上する。例えば、顕著化表示される個所と文字データ中の位置を抽出して顕著化表示個所リストを生成し、文字データの表示と別に、顕著化表示の文字列を別ウィンドウに表示する。そして、別ウィンドウに表示された文字列を選択することにより、対応する顕著化表示される個所が中心になるように文字データの表示を切替える。
【0049】
実施例1の記録システムの動作を説明する。
尚、本発明の記録システムの動作を、文字データの蓄積処理、記録確認処理、転送処理の3つの動作を中心に説明する。
【0050】
先ず、文字データの蓄積処理の動作を図4のフローチャートに沿って説明する。
端末A33のデータ生成手段42は、通話手段45から顧客の音声に基づく音声信号やオペレータAの音声に基づく音声信号を受けると、各音声信号を符号化して音声データをそれぞれ生成する(ステップS401)。音声データ生成部422で生成される音声データには、識別情報が対応付けられており、識別情報に基づいて通話者を識別することができる。生成された音声データは、文字データ生成部423に送られる。
【0051】
音声データを受けた文字データ生成部423は、音声データに基づいて文字コード化を行い、文字データを生成する(ステップS402)。
生成された文字データは、文字データ検索手段43に通知され、使用禁止語句検索部432で該文字データに含まれている使用禁止語句が検索される。
【0052】
文字データ補正部424は、使用禁止語句検索部432で使用禁止語句が検出されると、表示部413での表示において使用禁止語句の顕著化を図るべく、文字データを補正する(ステップS403)。
尚、文字データ補正部424は、オペレータAにより強調語句が指定されると、指定された強調語句を表示部413での表示において顕著化を図るべく、文字データの補正を行う。
必要に応じて補正された文字データは、文字データ記録部425に出力される。
【0053】
文字データ記録部425は、文字データ補正部424から文字データを受けると、文字データを検索キーワードに対応付けて文字データ蓄積サーバに記録する(ステップS404)。
【0054】
次に、オペレータから記録確認指示を受けたときの動作を図5に沿って説明する。
操作入力部411で記録確認指示の入力を受けると(ステップS501)、入力された内容が文字データ検索部431に通知される。通知を受けた文字データ検索部431は、検索キーワードに基づいて文字データ検索し(ステップS502)、該文字データを文字データ表示部414に出力する。文字データを取得した文字データ表示部414は、当該文字データに基づいて表示を行う(ステップS503)。
【0055】
ところで、前記した文字データに基づく表示に先立ち、文字データ候補表示部415で例えば通話日などの検索キーワードに基づいて検索される文字データの格納先アドレスに対応する通話日時の一覧表示が行われ、前記した一覧表示において、オペレータAが任意に指定した通話時刻に対応付けられた文字データの格納先アドレスに基づいて再度検索が行なわれ、再検索により取得する文字データに基づく表示が文字データ表示部414で行なわれる。
【0056】
次に、転送処理の動作を図6のフローチャートに沿って説明する。
オペレータAからの転送指示を端末A33の操作入力部411で受ける(ステップS601)と、操作入力部411は転送指示を文字データ検索部431に通知する。通知を受けた文字データ検索部431は、転送指示の内容に基づいて検索する。
【0057】
ところで、転送指示の内容として、例えば顧客IDおよび通話日が入力されると、文字データ検索部431は顧客IDおよび通話日に基づいて文字データ蓄積サーバ35で蓄積している文字データを検索し、当該文字データの格納先アドレスを取得する。尚、このとき、通話日時も取得される。取得された文字データの格納先アドレスおよび通話日時は転送処理部44の転送データ通知部441により、端末B34の図示しない転送データ取得部へ転送される(ステップS602)。
【0058】
文字データの格納先アドレスおよび通話日時を受けた端末B34の転送データ取得部は、格納先アドレスおよび通話日時を端末Bの表示部に出力する。格納先アドレスおよび通話日時を受けた端末Bの表示部は、格納先アドレスおよび通話日時に基づいて当該通話内容を示す文字データを表示するとともに当該顧客の過去の通話日時の一覧を文字データ候補一覧として表示する。
【0059】
オペレータBが端末Bの操作入力部から表示された文字データ候補一覧の中から確認したい通話日時を指定すると、端末Bの文字データ検索部は指定された通話日時に対応する格納先アドレスに基づいて文字データ蓄積サーバ35を検索する。尚、端末Bの表示部は、検索により取得された文字データに基づいて表示を行う(ステップS603)。
【0060】
本発明の記録システム10によれば、音声データ生成部422で顧客とオペレータAとの通話内容を示す音声データを生成し、文字データ生成部423で音声データに基づいて文字コード化を行って生成し、生成した文字データを文字データ記録部425で文字データ蓄積サーバ35に蓄積する。また、オペレータAが文字データ蓄積サーバ35に蓄積された通話内容を確認するとき、文字データ検索手段43は、操作入力部411で入力される検索キーワードに基づいて文字データ蓄積サーバ35を検索して文字データを取得し、該文字データに基づく表示を表示部413で行うことから、オペレータAは視覚により、表示内容を確認することができ、一過性の聴覚による確認と異なり、表示内容の把握が困難な確認作業を繰返す必要がなく、短時間で正確に確認することができる。
【0061】
また、本発明の記録システム10によれば、文字データ表示部414における文字データに基づく表示において、使用禁止語句や強調語句に対する顕著化表示を行うことから、顕著化された内容をオペレータAが容易に把握することができる。
【0062】
さらに、本発明の記録システム10によれば、オペレータAが通話内容をオペレータBに引継ぐとき、通話内容を示す文字データの格納先アドレスをオペレータBの端末B34に転送し、端末Bにおいて転送された格納先アドレスに基づいて文字データを検索して取得し、取得した文字データに基づく表示を行う。これにより、本発明の記録システム10によれば、オペレータBは、オペレータAが顧客と交わした通話内容を、オペレータAに確認したり、通話内容の録音データを参照することなく、簡単に引継ぐことができる。
【0063】
オペレータAが顧客と交わした通話内容のうちオペレータAが重要と判断した個所や問題があると判断した個所を顕著化表示することから、該顕著化表示を参照するオペレータBによる確認作業は効率が上がる。また、当該通話内容に加えて、当該顧客の過去の通話一覧が表示されることから、オペレータBは過去の他の通話内容を確認できるので、顧客へ適切な対応を行うことができる。
【0064】
コールセンタ30内において文字データを直接転送することなく、文字データと比較してデータ量の少ない当該文字データの格納先アドレスを転送することから、コールセンタ30内における通信トラフィック量の低減を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
前記した実施例では、単に公衆電話網20を介してコールセンタ30と通信する電話11を例に説明したが、電話11はVoIPを応用したIP電話であってもよく、その際公衆電話回線20の一部においてIPネットワークを介して通信可能にネットワーク構築の形態を適宜変更してもよい。
【0066】
さらに、文字データ蓄積サーバ35および使用禁止語句蓄積サーバ36は、別個の装置を設置した例で説明したが、蓄積する内容を一つのデータ蓄積サーバに集約して、コスト削減を図るようにシステム構成を適宜変更してもよい。
【0067】
また、文字データを蓄積する例を説明したが、文字データに対応付け音声データも蓄積してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の記録システムの構成図である。
【図2】本発明の文字データ蓄積サーバにおける文字データの格納例である。
【図3】通話内容を示す文字データの表示例である。
【図4】文字データの蓄積処理を示すフローチャートである。
【図5】記録確認指示を受けたときの動作を示すフローチャートである。
【図6】文字データの転送処理を示すフローチャートである。
【図7】文字データ蓄積サーバにおける情報管理を示す図である。
【図8】文字データの補正例を示す図である。
【符号の説明】
【0069】
10 記録システム
11 電話
20 電話網
30 コールセンタ
31 SIPサーバ
32 LAN
33 端末A
34 端末B
35 文字データ蓄積サーバ
36 使用禁止語句蓄積サーバ
41 表示手段
411 操作入力部
412 強調語句指定入力部
413 表示部
414 文字データ表示部
415 文字データ候補表示部
42 データ生成手段
421 通話者識別部
422 音声データ生成部
423 文字データ生成部
424 文字データ補正部
425 文字データ記録部
43 文字データ検索手段
431 文字データ検索部
432 使用禁止語句検索部
44 転送処理手段
441 転送データ通知部
442 転送データ取得部
45 通話手段
451 AD変換部
452 DA変換部
46 LANインタフェース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の通話者と第2の通話者との通話内容を記録する記録システムにおいて、
前記通話内容を示す音声データを生成する音声データ生成手段と、
前記音声データに基づいて文字コード化を行い、文字データを生成する文字データ生成手段と、
生成した文字データを記録する文字データ記録手段と、
記録確認指示を受けると、指示された文字データの検索を行う文字データ検索手段と、
検索して読み出した文字データに基づいて、表示を行う表示手段と、
を備えることを特徴とする記録システム。
【請求項2】
前記通話内容に基づいて通話者を判定する通話者識別手段を備えており、
前記文字データ生成手段は、通話者判定結果に基づいて、通話者を識別可能に文字データを生成することを特徴とする請求項1記載の記録システム。
【請求項3】
前記各通話者による通話内容を伝送する各通話ライン入力に基づいて通話者を判定する通話者識別手段を備えており、
前記文字データ生成手段は、通話者判定結果に基づいて、通話者を識別可能に文字データを生成することを特徴とする請求項1記載の記録システム。
【請求項4】
前記文字データ記録手段は、前記文字データを検索するための検索キーワードを対応づけて記録することを特徴とする請求項1記載の記録システム。
【請求項5】
前記検索キーワードは、少なくとも顧客名、顧客識別番号、問合わせ番号、顧客の電話番号および通話日時の何れか一つが示されることを特徴とすることを特徴とする請求項4記載の記録システム。
【請求項6】
前記文字データ検索手段は、前記検索キーワードに基づいて文字データを検索することを特徴とする請求項5に記載の記録システム。
【請求項7】
前記第2の通話者の端末は、
転送指示を受けると、指示された第3の通話者の端末に指示された文字データを転送する転送処理手段を備えており、
前記第3の通話者の端末は、
転送される前記文字データに基づく表示を行う表示手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の記録システム。
【請求項8】
前記文字データ記録手段は、格納先に付与された格納先アドレスで前記文字データを管理しており、
前記転送処理手段は、指示された文字データを転送すべく、指示された文字データの格納先アドレスを前記第3の通話者の端末に通知し、
前記第3の通話者の端末は、
通知された格納先アドレスに基づいて文字データを検索する文字データ検索手段を備え、
前記第3の通話者の端末の表示手段は、検索して得た文字データに基づく表示を行うことを特徴とする請求項7に記載の記録システム。
【請求項9】
前記第2の通話者の端末は、
前記検索キーワードに基づく検索を行って文字データ候補を取得する文字データ検索手段と、
取得した文字データ候補の一覧表示を行い、一覧表示において記録確認指示された文字データに基づく表示を行う表示手段と、
を備えることを特徴とする請求項8記載の記録システム。
【請求項10】
前記転送処理手段は、取得した文字データ候補を前記第3の通話者の端末に通知し、
前記第3の通話者の端末の表示手段は、通知される文字データ候補の一覧表示を行い、一覧表示において記録確認指示される文字データに基づく表示を行うことを特徴とする請求項9記載の記録システム。
【請求項11】
前記文字データ検索手段は、使用禁止語句を蓄積する使用禁止語句蓄積手段から使用禁止語句を取得し、該使用禁止語句に基づいて前記文字データ生成手段で生成される文字データにおける検索を行っており、
検索された使用禁止語句に対して前記表示手段において顕著化を図るべく、文字データの顕著化補正を行う文字データ補正手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の記録システム。
【請求項12】
前記表示手段における表示において、通話者が強調したい語句を指定するための強調語句指定入力手段と、
指定された強調語句の顕著化を前記表示手段において図るべく、文字データの顕著化補正を行う文字データ補正手段と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の記録システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−68044(P2007−68044A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−253964(P2005−253964)
【出願日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】