説明

記録シート

【課題】本発明は、インクの吸収性と発色性に優れた高画質な記録が可能であり、塗膜耐水性に優れ、高温高湿環境下や野外などに展示した場合においても経時での非記録部の変色が少なく、かつ、ホルムアルデヒドの発生を抑制した記録シートを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る記録シートは、少なくとも非晶質シリカ、水溶性高分子接着剤、非水溶性高分子接着剤及び前記水溶性高分子接着剤の親水基と架橋する架橋剤を含有するインク受容層を基材上に設けた記録シートであって、前記架橋剤が酢酸ジルコニル若しくは塩化ジルコニルのいずれか一方又は両方である。そして、前記水溶性高分子接着剤、前記非水溶性高分子接着剤、前記架橋剤のそれぞれの配合量を所定量とすることで、前記目的を達成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録方式に適した記録材料に関する。より詳細には、インクジェット記録方式において、画像濃度が高く、発色性に優れた高画質な記録が可能であり、かつ、塗膜耐水性及び非記録部の変色性に優れ、シックハウスの原因物質であるホルムアルデヒドの発生を抑制した記録シートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、インクジェットプリンターの性能、特にプリント速度、解像度、彩度などの向上によるインクジェットプリンターの用途拡大に伴い、従来の書類などのモノクロのオフィス文書からカラーを主に用いた広告物、特に購買宣伝広告としての用途が広まっている。インクジェット記録は、オフセット印刷などと違い、製版する必要がないため、少量での印刷が可能であり、コストも安くなるというメリットがある。
【0003】
被記録材に対しても吸収速度向上、吸収容量増加など、より高度な特性が要求されるようになり、インク受容層を表面に設けた塗工紙タイプの記録シートが開発されている。しかし、屋外用途での宣伝広告用としては実用上の耐水性に問題があった。例えば、フィルムの様な耐水性に優れた基材を使用しても、従来の方法で基材上にインク受容層を設けた場合、水滴などで濡れたインク受容層表面を指、ペン、鉛筆などで擦ると、基材との界面からインク受容層が剥がれるという塗膜耐水性不良が発生する。また、大判のPOPアート、製図用途に使用されることも多くなってきている。インクジェット記録方式は、高鮮鋭性で、色彩性も優れていることから大判のポスターにも利用され、フルカラー記録においてはドットのコントラストを際だたせるために、記録面の白色度を高くすることによって宣伝効果が大きいものとなる。これらへの適用は、パーソナルコンピュータレベルで、鮮鋭性や色彩性といった画像再現性や色再現性に優れた画像を簡単に得ることが可能であるためであり、記録シートを多用する理由ともなっているが、インク受容層の耐水性を得る為に架橋剤を添加した場合、温度、湿度、紫外線などの条件で非記録部が変色し白色性が劣るという問題があった。
【0004】
水溶性高分子を用いた塗膜の耐水性を改善する方法として、ポリビニルアルコールとポリエチレンイミンの組み合わせの方法(例えば、特許文献1を参照。)、また、ポリビニルアルコールと尿素・グリオキザール・アクリルアミド重縮合物との組み合わせの方法(例えば、特許文献2を参照。)がある。さらに、ポリビニルアルコールと金属系化合物であるチタンビスラクテートの組み合わせの方法(例えば、特許文献3を参照。)がある。
【0005】
また、近年、その簡便なインクジェットの記録方式と大判フルカラーの記録が可能となったことから、ショールーム、展示ブースなどへの壁紙用途の広がりを見せている。この場合、加工工程において従来の壁紙と同じ工程を経ることもある。その場合、インク受容層の耐水性を得る目的で添加した架橋剤がシックハウスの原因となるホルムアルデヒドの発生源となる。例えば、水溶性高分子の耐水性を得る方法として変性ポリアミドの組み合わせがある(例えば、特許文献4を参照。)。
【特許文献1】特開2006−7642号公報(明細書の段落0006、0007、0024、0027)
【特許文献2】特開2003−182208号公報(明細書の段落0063〜0065、0099)
【特許文献3】特開2003−285549号公報(明細書の段落0008、0009)
【特許文献4】特開平11−78219号公報(明細書の段落0010〜0011、0020)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1又は2で提案された技術では、高温高湿下などの環境条件によっては著しく変色が発生するという課題があった。また、特許文献3で提案された技術では、紫外線による変色が著しく、屋外用途に対する課題があった。さらに、特許文献4で提案された技術では、変性ポリアミドとの組み合わせは、各種環境条件での変色が比較的良好であるものの、変性ポリアミドから放散されるホルムアルデヒドによって壁紙加工工程では使用することができないという課題があった。そこで、前記課題を解決するため本発明は、インクの吸収性と発色性に優れた高画質な記録が可能であり、塗膜耐水性に優れ、高温高湿環境下や野外などに展示した場合においても経時での非記録部の変色が少なく、かつ、ホルムアルデヒドの発生を抑制した記録シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、前記の課題を解決するために鋭意研究を行った結果、少なくとも非晶質シリカ、水溶性高分子接着剤、非水溶性高分子接着剤及び前記水溶性高分子接着剤の親水基と架橋する架橋剤を含有するインク受容層を基材上に設けることで、インクの吸収性と発色性に優れた高画質な記録が可能であり、かつ、塗膜耐水性に優れ、高温高湿環境下や野外などに展示した場合においても経時での非記録部の変色が少なく、かつ、ホルムアルデヒドの発生を抑制した記録シートを得ることに成功した。
【0008】
具体的には、本発明に係る記録シートは、少なくとも非晶質シリカ、水溶性高分子接着剤、非水溶性高分子接着剤及び前記水溶性高分子接着剤の親水基と架橋する架橋剤を含有するインク受容層を基材上に設けた記録シートであって、前記架橋剤が酢酸ジルコニル若しくは塩化ジルコニルのいずれか一方又は両方であり、前記水溶性高分子接着剤、前記非水溶性高分子接着剤、前記架橋剤のそれぞれの配合量を前記インク受容層に占める割合としてa、b、cと表したとき、a、b、cがそれぞれ5(質量%)≦a≦25(質量%)、3(質量%)≦b≦15(質量%)及び0.5(質量%)≦c≦10(質量%)の関係を有することを特徴とする。なお、a、b、cの割合である質量%は乾燥後の固形分換算での数値である。
【0009】
本発明に係る記録シートでは、JIS A 6921:2003「壁紙」によるホルムアルデヒドの放散量が0.20mg/L以下であることが好ましい。シックハウスを防止でき、壁紙として利用できる。
【0010】
本発明に係る記録シートでは、前記水溶性高分子接着剤がポリビニルアルコールであることが好ましい。製造コストを低減することができ、インクジェットの記録方式に適した記録シートとすることができる。
【0011】
本発明に係る記録シートでは、前記ポリビニルアルコールの鹸化度が90モル%以上であることが好ましい。通常の塗工装置の作業性を向上することができる。
【0012】
本発明に係る記録シートでは、前記基材上に架橋剤を含有するアンダーコート層を設け、該アンダーコート層の上に前記インク受容層を形成することが好ましい。インク受容層と基材の間に密着性、塗布均一性、耐水性などの物性向上があり、表面改質の効果が得られる。
【0013】
本発明に係る記録シートでは、前記基材がプラスチックフィルム、合成紙又は合成繊維からなるシートの場合が含まれる。これらの場合、基材の耐水性が得られる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る記録シートは、このような構成によってインクジェット方式によるプリンターを用いてインクの吸収性と発色性に優れた高画質な記録が可能であり、しかも塗膜耐水性に優れ、高温高湿環境下や野外などに展示した場合においても経時での非記録部の変色が少なく、かつ、壁紙用途でのシックハウス対策としてホルムアルデヒドの発生を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
【0016】
本発明の記録シートにおいて、インク受容層のインクジェット方式による発色性及び塗膜耐水性、また高温高湿環境下や紫外線による経時での非記録部の変色適性、更にJIS A 6921:2003「壁紙」によるホルムアルデヒドの放散量が0.20mg/L以下を満たすには主成分となる薬品の選択と配合量が重要であり、非晶質シリカ、水溶性高分子接着剤、非水溶性高分子接着剤及び水溶性高分子接着剤の親水基と架橋する架橋剤としてジルコニル化合物を組み合わせることがそれら条件を満たすものである。
【0017】
本実施形態に係る記録シートは、少なくとも非晶質シリカ、水溶性高分子接着剤、非水溶性高分子接着剤及び前記水溶性高分子接着剤の親水基と架橋する架橋剤を含有するインク受容層を基材上に設けた記録シートであって、前記架橋剤が酢酸ジルコニル若しくは塩化ジルコニルのいずれか一方又は両方であり、前記水溶性高分子接着剤、前記非水溶性高分子接着剤、前記架橋剤のそれぞれの配合量を前記インク受容層に占める割合としてa、b、cと表したとき、a、b、cがそれぞれ5(質量%)≦a≦25(質量%)、3(質量%)≦b≦15(質量%)及び0.5(質量%)≦c≦10(質量%)の関係を有する。
【0018】
本実施形態に係る記録シートに使用する水溶性高分子接着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、澱粉、ゼラチン、カゼイン、ポリビニルピロリドン又はそれらの各種変性体が挙げられる。インクジェット適性及び価格の面からポリビニルアルコールが好ましい。鹸化度90モル%未満のいわゆる部分鹸化タイプのポリビニルアルコールは、親水性が強く、塗膜耐水性に劣る他、非常に泡立ち易く、通常の塗工装置では連続して美麗な塗工面を得難いことから鹸化度として90モル%以上のポリビニルアルコールが好ましい。水溶性高分子接着剤の配合量としては、インク受容層に占める割合として5〜25質量%、好ましくは8〜22質量%、さらに好ましくは9〜20質量%である。5質量%未満の場合には、インクジェット方式による印字のインク吸収性は良好となるものの、塗膜強度が著しく低下する。また、25質量%を超える場合には、逆にインクの吸収性を阻害し印字適性が劣り、塗膜の耐水性としても不十分となる。
【0019】
非水溶性高分子接着剤に適用可能なものとしては、例えば、スチレン‐ブタジエン共重合体やメチルメタクリレート‐ブタジエン共重合体などの共役ジエン系重合体ラテックス、アクリル酸エステルの重合体若しくはその共重合体やメタクリル酸エステルの重合体若しくはその共重合体などのアクリル系重合体ラテックス、エチレン‐酢酸ビニル共重合体などのビニル系重合体ラテックス、これらの各種重合体のカルボキシル基やカチオン性基などの官能基含有変性重合体ラテックス又はこれらのラテックスの併用がある。非水溶性高分子接着剤の配合量としては、インク受容層に占める割合として3〜15質量%、好ましくは5〜12質量%、さらに好ましくは6.5〜10質量%である。3質量%未満の場合には、塗膜の強度が不十分であり、15質量%を超える場合には非水溶性であるが故に、インクジェット方式に多く用いられる水性インクの吸収性を著しく阻害する。
【0020】
本実施形態に係る記録シートに用いる水溶性高分子接着剤の架橋剤は、酢酸ジルコニル若しくは塩化ジルコニルのいずれか一方又は両方である。ジルコニル系化合物には、他に硝酸ジルコニル、炭酸ジルコニルアンモニウム等が挙げられるが印字の発色性や環境条件による非印字部の変色の点で劣る。また、ジルコニル系以外にもチタン化合物、アルデヒド系化合物、変性ポリアミド樹脂などが架橋剤として挙げられるが、塗膜の強度、耐水性、非記録部の耐変色性及びホルムアルデヒド発生の抑制を兼ね備えるには不十分であった。従って、架橋剤は酢酸ジルコニル又は塩化ジルコニルが好ましい。また、両方を併用してもよい。架橋剤の配合量としてはインク受容層に占める割合として0.5〜10質量%、好ましくは1〜7質量%、さらに好ましくは1.5〜6質量%である。0.5質量%未満の場合には、水溶性高分子接着剤の耐水性を得るのに不十分であり、10質量%を超える場合には塗液のポットライフに劣る。また、10質量%を超えて配合しても、画像のぼけが発生し、また耐水性をより効果的に得られるわけでもなくコスト面の負担が増すだけである。
【0021】
本実施形態に係る記録シートでは、基材上にインク受容層を形成し記録シートを得るが、インク受容層と基材の間に密着性、塗布均一性、耐水性などの種々の物性を向上させるための表面改質を目的にアンダーコート層を設けることが好ましい。なお、基材には固有の表面処理がされている場合があり、アンダーコート層と基材との間にこのような表面処理層が介在しても良い。この場合、表面処理層と適合するアンダーコート層とすることが好ましい。アンダーコート層は、樹脂及び粒子を主体として構成される層である。アンダーコート層に含有させる樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、澱粉、ポリビニルピロリドン又はその各種変性体、或いは、スチレン‐ブタジエン共重合体やメチルメタクリレート‐ブタジエン共重合体などの共役ジエン系重合体ラテックス、アクリル酸エステルの重合体若しくはその共重合体やメタクリル酸エステルの重合体若しくはその共重合体などのアクリル系重合体ラテックス、エチレン‐酢酸ビニル共重合体などのビニル系重合体ラテックス又はこれらのラテックスの併用がある。また、アンダーコート層に含有させる粒子として無機系微粒子や有機系微粒子を用いることができる。無機系微粒子は、例えば、非晶質シリカ、カオリン、タルク、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、ゼオライト、アルミナ、硫酸バリウム、カーボンブラック、酸化亜鉛、硫酸亜鉛、炭酸亜鉛、二酸化チタン、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム又は水酸化マグネシウムである。有機系微粒子は、例えば、アクリル又はメタクリル系、塩化ビニル系、酢酸ビニル系、ナイロン系、スチレン‐アクリル系、スチレン‐ブタジエン系、ポリスチレン‐アクリル系、ポリスチレン系、ウレタン系又はポリエステル系である。なお、粒子はこれらに限定されるものではなく、一般に紙塗工に用いられている微粒子が、必要とされる特性によって使用できる。
【0022】
アンダーコート層には必要に応じて、架橋剤が含有されていることが好ましい。架橋剤は、例えば、ジルコニウム化合物である。架橋剤がアンダーコート層に占める割合としては1〜10質量%とすることが好ましい。なお、必要に応じて、助剤を発明の効果を損なわない範囲で添加することができる。助剤は、例えば、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、分散剤、離型剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、酸化防止剤、防腐剤又はpH調整剤である。
【0023】
基材としては、特に限定されるものではなく、例えば、天然紙、プラスチックフィルム、合成紙、不織布、布、木材又は金属薄膜が挙げられ、用途に応じて選定される。用途によって基材にも耐水性を求める場合には、基材はプラスチックフィルム又は合成繊維からなる合成紙や不織布シートが好ましい。プラスチックフィルムは、例えば、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ナイロンフィルム、ビニロンフィルム又はアクリルフィルムである。また、これらのフィルムを貼り合わせたラミネートフィルムを用いることができる。プラスチックフィルムは、強度の点から一軸乃至二軸延伸されていることが好ましい。不織布としては、ポリエチレン繊維をシート状に散布し、熱圧着させてシート状に形成したものなどが挙げられる。
【0024】
本発明において、プラスチックフィルムには空洞や無機顔料粒子によって不透明化されたフィルムを用いることができる。無機顔料粒子は、例えば、シリカ微粒子、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、ゼオライト、アルミナ、カーボンブラック、酸化亜鉛又は酸化チタンである。
【0025】
インク受容層に含有させる非晶質シリカとしては、一般的に沈降法シリカ又はゲル法シリカが挙げられ、多孔性でインクの吸収性が高く、かつ、鮮明な発色を可能とする。非晶質シリカは、高吸油量で、かつ、高比表面積を有し、その平均粒子径は1〜20μmであることが好ましく、より好ましくは3〜15μmである。非晶質シリカは、その平均粒子径が1μmよりも小さい場合には、インク受容層強度が大きく低下する他、受容層中に十分な空隙が得られ難く、逆に20μmよりも大きい場合には、印字を行ったときにフェザリングという滲みを生じやすい他、インク受容層表面に突起が発生し易くなり、用途によっては、印字後の加工で表面にラミネート処理を行うときにインク受容層とラミネートフィルムとの間に空隙が生じるなどのトラブル発生の原因になる。また、シートの使用目的、プリンターの要求性能に応じて非晶質シリカ以外の微粒子も併用することが可能である。併用しうる微粒子としては一般に紙塗工に用いられている無機系微粒子や有機系微粒子が挙げられる。無機系微粒子は、例えば、カオリナイト、タルク、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、ゼオライト、アルミナ、硫酸バリウム、カーボンブラック、酸化亜鉛、硫酸亜鉛、炭酸亜鉛、二酸化チタン、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム又は水酸化マグネシウムである。有機系微粒子は、例えば、アクリル又はメタアクリル系、塩化ビニル系、酢酸ビニル系、ナイロン系、スチレン‐アクリル系、スチレン‐ブタジエン系、ポリスチレン‐アクリル系、ポリスチレン系、ウレタン系又はポリエステル系である。また、これら非晶質シリカ以外の微粒子を適宜組み合わせて併用しても差し支えない。
【0026】
インク受容層には必要に応じて、助剤を発明の効果を損なわない範囲で添加することができる。助剤は、例えば、アニオン染料インク定着用のカチオン性樹脂、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、分散剤、離型剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、酸化防止剤、防腐剤又はpH調整剤である。
【0027】
基材上乃至アンダーコート層上にインク受容層を設ける方法としては、特に限定されるものではない。従来公知の方法は、例えば、グラビアコート方式、キスコート方式、ディップ方式、スプレイコート方式、カーテンコート方式、エアナイフコート方式、ブレードコート方式、リバースロールコート方式又はバーコート方式である。このような方法の塗工機によってインク受容層を設けることができる。インク受容層の塗工量は、用途によって決定され、インク吸収性、記録特性、保存性、不透明度などを満足させるかぎり不必要に多くする必要はなく、好ましくは5〜35g/m、より好ましくは8〜30g/mの範囲から適宜選択して用いられる。インク受容層の塗工量が5g/m未満ではインク吸収量及びインク吸収速度が不足し、画像が流れ出したり、画像がぼけたりすることがある。また、インクの乾燥が遅いためインクジェット方式の印刷機、プリンターのロールにインクが付着し汚れる恐れもある。一方、塗工量35g/mを超えるとインク受容層が厚いため基材との密着性が弱くなり、インク受容層の層間が生じる上、経済的理由からも実用的ではない。
【0028】
インク受容層形成後に、水溶性高分子の水酸基と架橋剤との反応を促進する目的でエージング処理を行ってもよい。エージング処理によって、より短時間でインク受容層の耐水性を得ることが可能である。エージング処理条件としては、25〜60℃環境下であり、好ましくは30〜50℃環境下である。25℃未満では常温環境下と変わらず促進効果が得られない。また、60℃を超えると熱源、冷却の時間などコスト面の負担が増すため、経済的理由からも実用的ではない。
【0029】
本実施形態の記録シートは、基材上に少なくとも非晶質シリカ、水溶性高分子接着剤及び非水溶性高分子接着剤を含有し、さらに水溶性高分子接着剤の架橋剤として酢酸ジルコニル、塩化ジルコニルのいずれか、もしくは両方を含有するインク受容層を設けることで、インク受容層のインクジェット方式による発色性及び塗膜耐水性に優れ、また高温高湿環境下や野外などに展示した場合の紫外線による経時での非記録部の変色が少なく、更にJIS A 6921:2003「壁紙」によるホルムアルデヒドの放散量が0.20mg/L以下に抑制することができる。なお、基材、水溶性高分子接着剤及び非水溶性高分子接着剤には、ホルムアルデヒドの発生源となる薬剤の使用は避けることが好ましい。
【実施例】
【0030】
次に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお、次において部及び%とあるのは質量部及び質量%であり、また、実施例、比較例の質量部及び質量%とあるのは、すべて乾燥後の固形分換算での数値で示すものとする。
【0031】
(実施例1)
空洞及び酸化チタン含有のポリプロピレンフィルム(南亜製PI−80)基材上に次に示す組成のインク受容層を乾燥質量で20g/mとなるように塗工し、乾燥させて記録シートを作製し、実施例1とした。
非晶質シリカ(グレースデビソン製74X5500/グレースデビソン製P−412=7/3) 65質量%
ポリビニルアルコール(クラレ製エクセバールRS2117) 15質量%
エチレン‐酢酸ビニル共重合体(昭和高分子製ポリゾールAD−10) 10質量%
酢酸ジルコニル(第一稀元素製ジルコゾールZA−30) 5質量%
カチオン性樹脂(センカ製CP−103) 5質量%
【0032】
(実施例2)
基材上に形成するインク受容層として次に示す組成のインク受容層を乾燥質量で20g/mとなるように塗工し、乾燥させた以外は実施例1と同様にして実施例2の記録シートを得た。
非晶質シリカ(グレースデビソン製74X5500/グレースデビソン製P−412=7/3) 65質量%
ポリビニルアルコール(クラレ製エクセバールRS2117) 15質量%
エチレン‐酢酸ビニル共重合体(昭和高分子製ポリゾールAD−10) 10質量%
塩化ジルコニル(マツモト交商製オルガチックスZB−126) 5質量%
カチオン性樹脂(センカ製CP−103) 5質量%
【0033】
(実施例3)
基材をJIS P 8135:1998「紙及び板紙‐湿潤引張強さ試験方法」による湿潤引張強さが0.65kN/m(MD)の紙基材とした以外は実施例1と同様にして実施例3の記録シートを得た。
【0034】
(実施例4)
酢酸ジルコニルを0.5質量%、エチレン‐酢酸ビニル共重合体を14.5質量%とした以外は実施例1と同様にして実施例4の記録シートを得た。
【0035】
(実施例5)
エチレン‐酢酸ビニル共重合体を5質量%、酢酸ジルコニルを10質量%とした以外は実施例1と同様にして実施例5の記録シートを得た。
【0036】
(実施例6)
非晶質シリカを70質量%、ポリビニルアルコールを5質量%、エチレン‐酢酸ビニル共重合体を15質量%とした以外は実施例1と同様にして実施例6の記録シートを得た。
【0037】
(実施例7)
非晶質シリカを60質量%、ポリビニルアルコールを25質量%、エチレン‐酢酸ビニル共重合体を5質量%とした以外は実施例1と同様にして実施例7の記録シートを得た。
【0038】
(実施例8)
ポリビニルアルコールを17質量%、エチレン‐酢酸ビニル共重合体を3質量%とした以外は実施例5と同様にして実施例8の記録シートを得た。
【0039】
(実施例9)
ポリビニルアルコールを10質量%、エチレン‐酢酸ビニル共重合体を15質量%とした以外は実施例1と同様にして実施例9の記録シートを得た。
【0040】
(実施例10)
基材に白色ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績製:K2323)を用いた以外は実施例1と同様にして実施例10の記録シートを得た。
【0041】
(実施例11)
基材にポリエチレン繊維からなる不織布(旭デュポン製AR1082)を用いた以外は実施例1と同様にして実施例11の記録シートを得た。
【0042】
(実施例12)
基材とインク受容層の間に次に示す組成のアンダーコート層を乾燥後の質量として2g/m設けた以外は実施例1と同様にして実施例12の記録シートを得た。
非晶質シリカ(グレースデビソン製74x5500) 10質量%
ポリビニルアルコール(クラレ製エクセバールRS2117) 35質量%
エチレン‐酢酸ビニル共重合体(昭和高分子製ポリゾールAD−10) 45質量%
酢酸ジルコニル(第一稀元素製ジルコゾールZA−30) 3質量%
助剤(蛍光染料(日本化薬製カヤホールPAS Qリキッド) 1.5質量%助剤(増粘剤(アデカ製アデカノール541VF) 5.5質量%
【0043】
(実施例13)
基材とインク受容層の間に次に示す組成のアンダーコート層を乾燥後の質量として1g/m設けた以外は実施例1と同様にして実施例13の記録シートを得た。
有機粒子ベンゾグアナミン樹脂(日本触媒化学工業製エポスターMS) 30質量%
ポリビニルアルコール(クラレ製エクセバールRS2117) 20質量%
エチレン‐酢酸ビニル共重合体(昭和高分子製ポリゾールAD−10) 40質量%
酢酸ジルコニル(第一稀元素製ジルコゾールZA−30) 3質量%
助剤(蛍光染料(日本化薬製カヤホールPAS Qリキッド) 1.5質量%助剤(増粘剤(アデカ製アデカノール541VF) 5.5質量%
【0044】
(実施例14)
基材とインク受容層の間に次に示す組成のアンダーコート層を乾燥後の質量として1g/m設けた以外は実施例1と同様にして実施例14の記録シートを得た。
吸水性変性ポリエステル樹脂(御国色素製CW−11) 30質量%
ポリビニルアルコール(クラレ製エクセバールRS2117) 20質量%
エチレン‐酢酸ビニル共重合体(昭和高分子製ポリゾールAD−10) 40質量%
酢酸ジルコニル(第一稀元素製ジルコゾールZA−30) 3質量%
助剤(蛍光染料(日本化薬製カヤホールPAS Qリキッド) 1.5質量%助剤(増粘剤(アデカ製アデカノール541VF) 5.5質量%
【0045】
(実施例15)
酢酸ジルコニルを5質量%添加する代わりに、酢酸ジルコニルを2.5質量%及び塩化ジルコニルを2.5質量%を併用して添加した以外は実施例1と同様にして実施例15の記録シートを得た。
【0046】
(比較例1)
ポリビニルアルコールを20質量%とし、酢酸ジルコニル添加しなかった以外は実施例1と同様にして比較例1の記録シートを得た。
【0047】
(比較例2)
ポリビニルアルコールを5質量%、塩化ジルコニルを15質量%とした以外は実施例2と同様にして比較例2の記録シートを得た。
【0048】
(比較例3)
インク受容層を次に示す配合に変更した以外は実施例1と同様にして比較例3の記録シートを得た。
非晶質シリカ(グレースデビソン製74X5500/グレースデビソン製P−412=7/3) 65質量%
エチレン‐酢酸ビニル共重合体(昭和高分子製ポリゾールAD−10) 15質量%
酢酸ジルコニル(第一稀元素製ジルコゾールZA−30) 10質量%
カチオン性樹脂(センカ製CP−103) 10質量%
【0049】
(比較例4)
非晶質シリカを50質量%、ポリビニルアルコールを30質量%とした以外は実施例1と同様にして比較例4の記録シート得た。
【0050】
(比較例5)
エチレン‐酢酸ビニル共重合体を添加せず、ポリビニルアルコールを25質量%とした以外は実施例1と同様にして比較例5の記録シートを得た。
【0051】
(比較例6)
非晶質シリカを55質量%、エチレン‐酢酸ビニル共重合体を20質量%とした以外は実施例1と同様にして比較例6の記録シート得た。
【0052】
(比較例7)
酢酸ジルコニルを炭酸ジルコニルアンモニウム(第一稀元素製ジルコゾールAZ−20)とした以外は実施例5と同様にして比較例7の記録シートを得た。
【0053】
(比較例8)
酢酸ジルコニルを硝酸ジルコニル(第一稀元素製ジルコゾールZN)とした以外は実施例5と同様にして比較例8の記録シートを得た。
【0054】
(比較例9)
酢酸ジルコニルをポリエチレンイミン(星光PMC製CP−8994)とした以外は実施例5と同様にして比較例9の記録シートを得た。
【0055】
(比較例10)
酢酸ジルコニルを尿素・グリオキザール・アクリルアミド重縮合物(住友化学製5004)とした以外は実施例5と同様にして比較例10の記録シートを得た。
【0056】
(比較例11)
酢酸ジルコニルをチタンビスラクテート(マツモト交商製オルガチックスTC−310)とした以外は実施例5と同様にして比較例11の記録シートを得た。
【0057】
(比較例12)
酢酸ジルコニルをグリオキザール(日本合成化学製、グリオキザールGX)とした以外は実施例5と同様にして比較例12の記録シートを得た。
【0058】
(比較例13)
酢酸ジルコニルをメラミン樹脂(大日本インキ製M−3)とした以外は実施例5と同様にして比較例13の記録シートを得た。
【0059】
(比較例14)
酢酸ジルコニルを変性ポリアミド樹脂(星光PMC製SI−6400)とした以外は実施例5と同様にして比較例14の記録シートを得た。
【0060】
各実施例及び各比較例の記録シートについて、以下に示す物性についての評価を行ない、結果を表1にまとめた。
(1)発色性
水性顔料インクを使用したプリンター(ローランド製、Hi−Fi Jet−Pro FJ−400)を用い、得られた記録シートにブラック、シアン、マゼンタ、イエローの画像を出力し、発色性を評価した。発色性に優れるものを◎、実使用に問題ないものを○、発色性が低く、実使用できないものを△、発色性が非常に低く、実使用できないものを×として示した。
【0061】
(2)吸収性
前記ローランド製、Hi−Fi Jet−Pro FJ−400プリンターを用い、得られた記録シートに白抜きの文字画像を出力し、インク吸収性を評価した。白抜き文字の潰れが無く、鮮明でインク吸収性に優れるものを◎、実使用に問題ないものを○、実使用できないものを△、吸収性が劣り白抜き文字の潰れが酷く、実使用できないものを×として示した。
【0062】
(3)塗膜耐水性
得られた記録シートを前記ローランド製、Hi−Fi Jet−Pro FJ−400プリンターを用い、黒ベタ画像を出力し、水に5分間浸漬後、塗工層表面を指で擦り、塗工層が剥がれるかどうかを評価した。塗工層が殆ど剥がれず耐水性に優れるものを◎、塗工層が僅かに剥がれるが実用上問題ないものを○、塗工層が剥がれ、実使用できないものを△、剥がれがひどく実使用できないものを×で示した。
【0063】
(4)変色性(耐湿性)
得られた記録シートについて、温度30℃相対湿度80%環境下で96時間放置した。記録シートの放置前後の色をコニカミノルタ製色彩色差計CR−300で測定し、放置前後の色差ΔE*abを求めた。色差は、JIS Z 8730:2002「色の表示方法‐物体色の色差」のL*a*b*表色系(CIE1976)に従って放置前後のサンプルの色を測定した結果を基に、次に示す数1で規定することができる。色差が大きいほど、変色がひどく色劣化が生じていることを示し、色差ΔE*abが2.0以下であれば実用上問題ないレベルと判断できる。
【0064】
(数1)
ΔE*ab={(ΔL*)+(Δa*)+(Δb*)1/2
ここで、ΔE*abは色差、ΔL*、Δa*、Δb*は、各々放置前後のL*、a*、b*の差である。
【0065】
(5)変色性(耐熱性)
得られた記録シートについて、温度60℃環境下で96時間放置した。記録シートの放置前後の色をコニカミノルタ製色彩色差計CR−300で測定し、放置前後の色差ΔE*abを求めた。色差は、JIS Z 8730:2002「色の表示方法‐物体色の色差」のL*a*b*表色系(CIE1976)に従って放置前後のサンプルの色を測定した結果を基に、数1で規定することができる。色差が大きいほど、変色がひどく色劣化が生じていることを示し、色差ΔE*abが2.0以下であれば実用上問題ないレベルと判断できる。
【0066】
(6)変色性(耐光性)
得られた記録シートについて、アトラス社製(国内代理店 東洋精機製作所)ウエザオメーターCi4000を用い、ブラックパネル温度40℃、相対湿度50%の環境下でキセノンランプ340nm 0.5W/m条件下で24時間の光照射を行った。光照射前後の色をコニカミノルタ製色彩色差計CR−300で測定し、光照射前後の色差ΔE*abを求めた。色差は、JIS Z 8730:2002「色の表示方法‐物体色の色差」のL*a*b*表色系(CIE1976)に従って光照射前後のサンプルの色を測定した結果を基に、数1で規定することができる。色差が大きいほど、変色がひどく色劣化が生じていることを示し、色差ΔE*abが2.0以下であれば実用上問題ないレベルと判断できる。
【0067】
(7)ホルムアルデヒド放散量
得られた記録シートについて、JIS A 6921:2003「壁紙」に準じた試験を行い、ホルムアルデヒドの放散量を測定した。0.20mg/L以下であればJIS A 6921:2003「壁紙」の基準を満たしている。
【0068】
(8)塗液の安定性
実施例及び比較例で使用した塗液を温度30℃環境下で12時間放置し、塗液の安定性を官能評価した。放置後も粘度の上昇又は着色が無いものを○、粘度の上昇又は着色が見られ、実使用できないものを△、粘度の上昇、着色又は粕の発生が明らかに見られ、かつ、基材上に塗工ができないものを×とした。
【0069】
以下に、実施例1の記録シートの各評価結果について説明する。発色性についての結果は、発色性に優れていた。吸収性についての結果は、白抜き文字の潰れが無く、鮮明でインク吸収性に優れていた。塗膜耐水性についての結果は、塗工層が僅かに剥がれるが実用上問題なかった。変色性(耐湿性)についての結果は、ΔE*ab=0.40であり、実用上問題ないレベルと判断できた。変色性(耐熱性)についての結果は、ΔE*ab=0.65であり、実用上問題ないレベルと判断できた。変色性(耐光性)についての結果は、ΔE*ab=1.40であり、実用上問題ないレベルと判断できた。ホルムアルデヒド放散量についての結果は、検出下限以下でありJIS A 6921:2003「壁紙」の基準を満たしていた。塗液の安定性についての結果は、放置後も粘度の上昇又は着色が無かった。
【0070】
【表1】

【0071】
表1から判るように実施例2〜15で得られた記録シートは、実施例1と同様に発色性、吸収性及び塗膜耐水性が良好であり、高温多湿条件下及び紫外線による経時での変色が少なく、かつホルムアルデヒドの発生を抑制した記録シートであった。
【0072】
一方、インク受容層に架橋剤を用いなかった比較例1の記録シートは、変色については少ないものの、塗膜耐水性の結果、剥がれがひどく実使用できなかった。インク受容層に架橋剤を多く含む比較例2の記録シートは、発色性が低く、実使用できなかった。インク受容層に水溶性高分子接着剤を用いなかった比較例3の記録シートは、発色性が低く、実使用に不安があり、吸収性についても実使用できなかった。比較例4と実施例1との比較によれば、インク受容層に水溶性高分子接着剤を多く含む比較例4の記録シートは、発色性が低く、実使用に不安があり、吸収性が劣り白抜き文字の潰れが酷く、実使用できず、塗工層が剥がれ、実使用できなかった。比較例5と実施例7との比較によれば、インク受容層に非水溶性高分子接着剤を用いなかった比較例5の記録シートは、塗工層が剥がれ、実使用できなかった。比較例6と実施例1との比較によれば、インク受容層に非水溶性高分子接着剤を多く含む比較例6の記録シートは、発色性が低く、実使用に不安があり、吸収性が劣り白抜き文字の潰れが酷く、実使用できなかった。また、インク受容層の架橋剤に酢酸ジルコニル及び塩化ジルコニルの両方を用いた実施例15の記録シートは、発色性、吸収性及び塗膜耐水性が良好であり、高温多湿条件下及び紫外線による経時での変色が少なく、かつホルムアルデヒドの発生が抑制されていた。一方、インク受容層の架橋剤に酢酸ジルコニル、塩化ジルコニル以外のものを用いた比較例7〜14の記録シートは、発色性、耐水性及び変色性に劣り、ホルムアルデヒドの発生抑制を満たすものが得られなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも非晶質シリカ、水溶性高分子接着剤、非水溶性高分子接着剤及び前記水溶性高分子接着剤の親水基と架橋する架橋剤を含有するインク受容層を基材上に設けた記録シートであって、
前記架橋剤が酢酸ジルコニル若しくは塩化ジルコニルのいずれか一方又は両方であり、前記水溶性高分子接着剤、前記非水溶性高分子接着剤、前記架橋剤のそれぞれの配合量を前記インク受容層に占める割合としてa、b、cと表したとき、a、b、cがそれぞれ
5(質量%)≦a≦25(質量%)、
3(質量%)≦b≦15(質量%)及び
0.5(質量%)≦c≦10(質量%)
の関係を有することを特徴とする記録シート。
【請求項2】
JIS A 6921:2003「壁紙」によるホルムアルデヒドの放散量が0.20mg/L以下であることを特徴とする請求項1に記載の記録シート。
【請求項3】
前記水溶性高分子接着剤がポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項1又は2に記載の記録シート。
【請求項4】
前記ポリビニルアルコールの鹸化度が90モル%以上であることを特徴とする請求項3に記載の記録シート。
【請求項5】
前記基材上に架橋剤を含有するアンダーコート層を設け、該アンダーコート層の上に前記インク受容層を形成したことを特徴とする請求項1、2、3又は4に記載の記録シート。
【請求項6】
前記基材がプラスチックフィルム、合成紙又は合成繊維からなるシートであることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の記録シート。

【公開番号】特開2008−296465(P2008−296465A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−145342(P2007−145342)
【出願日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(000241810)北越製紙株式会社 (196)
【Fターム(参考)】