説明

記録再生装置およびパラメータ測定方法

【課題】記録可能領域の減少を招くことなく記録ヘッドおよび再生ヘッドについての所定のパラメータを測定する。
【解決手段】データトラックパターンおよびサーボパターンが凹凸パターン11t,11sで形成された磁気ディスク10と、信号を書き込む記録ヘッド2wと、書き込まれた信号を読み出す再生ヘッド2rと、磁気ディスク10に対する測定用信号の書き込みおよび読み出しを実行して両ヘッド2w,2rについての所定のパラメータを測定する制御部とを備え、制御部は、所定のパラメータを測定する際に、サーボパターン領域As内の各凸部11aのうちの磁気ディスク10の径方向に沿って連続的に形成された第1の凸部(プリアンブルパターン領域Ap内の各凸部11a)に記録ヘッド2wを介して測定用信号を書き込むと共に再生ヘッド2rを介して測定用信号を読み出し、その読出し結果に基づいて所定のパラメータを測定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録領域と非記録領域とを有するパターンによってデータトラックパターンとサーボパターンとが形成された磁気記録媒体、記録ヘッド、および再生ヘッドを有する記録再生装置に関するものである。また、記録再生装置に搭載されている記録ヘッドおよび再生ヘッドについての所定のパラメータを測定するパラメータ測定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のパラメータ測定方法によって記録ヘッドおよび再生ヘッドについての所定のパラメータを測定可能な記録再生装置として、オフセット量測定機能を有するハードディスクドライブ装置(磁気記録装置)が特開2005−166115号公報に開示されている。このハードディスクドライブ装置は、ディスクリート領域(データトラックパターン領域)における各トラック間に非磁性領域が形成されたディスクリートトラック型のハードディスク(磁気記録媒体)と、記録ヘッドおよび再生ヘッドを有する複合型の磁気ヘッドと、ハードディスク上における内周部と外周部との間において磁気ヘッドを移動させる駆動機構部と、ハードディスクドライブ装置を総括的に制御する制御部とを備えている。また、上記のハードディスクは、記録データを記録するためのディスクリート領域(データトラックパターン領域)と、サーボデータが記録されたサーボ領域(サーボパターン領域)との間に、オフセット量測定処理を実行するためのオフセット量測定領域が設けられている。この場合、オフセット量測定領域は、領域内に非磁性領域が形成されることなく全域が磁性体で構成されている。
【0003】
このハードディスクドライブ装置によるオフセット量の測定処理に際しては、記録データの記録が行われていないハードディスクにおけるオフセット量測定領域を初期化した状態において、オフセット量測定領域にオフセット量測定用の信号(測定パターン:以下、「測定用信号」ともいう)を書き込む。具体的には、例えば最内周のトラックに再生ヘッドをオントラックさせた状態において、記録ヘッドを介してオフセット量測定領域に測定用信号を書き込む。この際に、この種のハードディスクドライブ装置では、ハードディスクの内周または外周に磁気ヘッドを移動させたときに、記録ヘッドにおける幅方向の中心と再生ヘッドにおける幅方向の中心とを結んだ線分(一例として、アームの延在方向と平行な線分)に対してトラックの中心線が交差する状態(スキュー角が生じた状態)となる。したがって、再生ヘッドをオントラックさせたとき(再生ヘッドにおける幅方向の中心をトラックにおける幅方向の中心に一致させたとき)には、記録ヘッドにおける幅方向の中心がトラックの中心から外れて記録ヘッドがオフトラックした状態となる。このため、記録ヘッドのオフトラック量に応じた分だけトラックの中心線から外れた部位に測定用信号が記録される。
【0004】
次いで、再生ヘッドを介して測定用信号を読み出すことにより、測定用信号が書き込まれた領域の径方向における中心、すなわち、測定用信号の書き込み時における記録ヘッドの幅方向における中心と一致していた位置を特定する。具体的には、再生ヘッドをハードディスクの径方向に所定量ずつ移動させつつ、オフセット量測定領域から測定用信号を読み出す。この際に、測定用信号の書込み領域に対して再生ヘッドが内周側または外周側に外れた状態では、読み出した測定用信号についての再生信号の振幅値が小さくなる。これに対して、測定用信号の書込み領域における径方向の中心と再生ヘッドにおける幅方向(径方向)の中心とが一致する状態では、読み出した測定用信号についての再生信号の振幅値が極大値なる。したがって、制御部は、測定用信号についての再生信号の振幅値が極大値となったときの再生ヘッドの中心位置を測定用信号が書き込まれた領域の径方向における中心として特定し、特定した中心と、測定用信号の書き込み時における再生ヘッドの中心(すなわち、トラックの中心)との間の距離を再生ヘッドに対する記録ヘッドのオフセット量として取り込み、この測定処理を終了する。
【特許文献1】特開2005−166115号公報(第7−18頁、第1−26図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、従来のハードディスクドライブ装置によるオフセット量の測定処理には、以下の問題点がある。すなわち、このハードディスクドライブ装置では、ディスクリート領域およびサーボ領域の間にオフセット量測定領域を設けてオフセット量測定用の測定用信号を書き込む構成が採用されている。この場合、オフセット量測定領域は、測定用信号の書き込みを可能とするために、領域内に非磁性領域が形成されることなく、全域が磁性体で形成されている。このため、オフセット量測定領域への記録データの記録や、サーボデータの記録(磁性体で形成された記録領域と、上記の非磁性領域とを有するパターンによるサーボパターンの形成)ができなくなっている。したがって、従来のハードディスクドライブには、オフセット量の測定以外の用途がないオフセット量測定領域によってハードディスク上の貴重な領域が占有されていることに起因して、ハードディスクの記録可能容量が減少しているという問題点がある。
【0006】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、記録可能領域の減少を招くことなく記録ヘッドおよび再生ヘッドについての所定のパラメータを測定し得る記録再生装置およびパラメータ測定方法を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成すべく本発明に係る記録再生装置は、記録領域と非記録領域とを有するパターンによってデータトラックパターン領域にデータトラックパターンが形成されると共に当該記録領域と当該非記録領域とを有する当該パターンによってサーボパターン領域にサーボパターンが形成された磁気記録媒体と、当該磁気記録媒体に信号を書き込む記録ヘッドと、前記磁気記録媒体に書き込まれた信号を読み出す再生ヘッドと、前記記録ヘッドによる前記信号の書き込みおよび前記再生ヘッドによる前記信号の読み出しを制御すると共に前記磁気記録媒体に対する測定用信号の書き込みおよび読み出しを実行して当該両ヘッドについての所定のパラメータを測定する制御部とを備え、前記制御部は、前記所定のパラメータを測定する際に、前記サーボパターン領域に形成された複数の前記記録領域のうちの前記磁気記録媒体の径方向に沿って連続的に形成された第1の記録領域に前記記録ヘッドを介して前記測定用信号を書き込むと共に前記再生ヘッドを介して当該測定用信号を読み出し、その読出し結果に基づいて当該所定のパラメータを測定する。
【0008】
なお、本明細書における記録領域とは、記録された磁気的信号を読み出し可能に保持するように構成された領域(つまり磁気的信号を読み出し可能に保持する能力を有するように構成された領域)を意味する。また、本明細書における非記録領域とは、磁気的信号を読み出し可能に保持する上記の能力が記録領域の能力よりも低くなるように構成された領域、または、その能力を実質的に有しないように構成された領域を意味する。具体的には、本明細書における非記録領域とは、磁気的信号を記録した状態において、その領域から発生する磁界が記録領域よりも小さい領域、または、その領域から発生する磁界が実質的には存在しない領域を意味する。さらに、本明細書における「記録領域」とは、例えば、磁気記録媒体の内周部や外周部等において複数の記録領域が繋がって恰も1つの記録領域であるかのように形成されている構成については、周方向において非記録領域を介して分離されている各記録領域の各々を意味する。
【0009】
また、本発明に係る記録再生装置は、前記所定のパラメータの測定として、前記制御部が前記記録ヘッドにおける前記磁気記録媒体の径方向に対応する長さの中心と前記再生ヘッドにおける当該径方向に対応する長さの中心との間の当該径方向に沿った離間距離を測定する。
【0010】
さらに、本発明に係る記録再生装置は、前記所定のパラメータの測定として、前記制御部が前記記録ヘッドの磁気的書込み幅と前記再生ヘッドの磁気的読出し幅との少なくとも一方を測定する。
【0011】
また、本発明に係る記録再生装置は、前記所定のパラメータを測定する際に、前記サーボパターン領域内に形成された前記各第1の記録領域のうちの予め規定された一部の第1の記録領域にのみ前記測定用信号を書き込む。
【0012】
さらに、本発明に係る記録再生装置は、前記所定のパラメータを測定する際に、前記測定用信号を書き込んだ前記各第1の記録領域が形成されている前記サーボパターン領域に対して前記磁気記録媒体の周方向において隣接しないサーボパターン領域内に形成された前記各第1の記録領域に当該測定用信号を書き込む。
【0013】
また、本発明に係るパラメータ測定方法は、記録領域と非記録領域とを有するパターンによってデータトラックパターン領域にデータトラックパターンが形成されると共に当該記録領域と当該非記録領域とを有する当該パターンによってサーボパターン領域にサーボパターンが形成された磁気記録媒体と、当該磁気記録媒体に信号を書き込む記録ヘッドと、前記磁気記録媒体に書き込まれた信号を読み出す再生ヘッドとを備えた記録再生装置における前記磁気記録媒体に対する測定用信号の書き込みおよび読み出しを実行して当該両ヘッドについての所定のパラメータを測定する際に、前記サーボパターン領域に形成された複数の前記記録領域のうちの前記磁気記録媒体の径方向に沿って連続的に形成された第1の記録領域に前記記録ヘッドを介して前記測定用信号を書き込むと共に前記再生ヘッドを介して当該測定用信号を読み出し、その読出し結果に基づいて当該所定のパラメータを測定する。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る記録再生装置およびパラメータ測定方法によれば、サーボパターン領域に形成された複数の記録領域のうちの径方向に沿って連続的に形成された第1の記録領域に記録ヘッドを介して測定用信号を書き込んで所定のパラメータを測定することにより、所定のパラメータについての測定処理が完了した後に測定処理時に利用した各第1の記録領域をDC着磁することで、その第1の記録領域を通常のサーボパターンとして使用することができる。したがって、記録データの記録やサーボパターンの記録ができない測定処理専用の領域を設けることなく、記録ヘッドおよび再生ヘッドについての所定のパラメータを測定することができる。この結果、記録可能領域の減少を招くことなく記録ヘッドおよび再生ヘッドについての所定のパラメータを測定し得る記録再生装置およびパラメータ測定方法を提供することができる。
【0015】
また、本発明に係る記録再生装置によれば、所定のパラメータの測定として、記録ヘッドの中心と再生ヘッドの中心との間の径方向に沿った離間距離を測定することにより、製造誤差や各部品の個体差などに起因して記録ヘッドおよび再生ヘッドの相互間の位置関係等が相違する各種の記録再生装置について、磁気記録媒体の内周部から外周部までの全域についての上記の離間距離(オフセット量)を正確に測定することができる結果、記録ヘッドおよび再生ヘッドの双方を磁気記録媒体上の各トラックに対して確実にオントラックさせることができる。
【0016】
さらに、本発明に係る記録再生装置によれば、所定のパラメータの測定として、記録ヘッドの磁気的書込み幅と再生ヘッドの磁気的読出し幅との少なくとも一方を測定することにより、各記録再生装置に実際に搭載された磁気記録媒体と記録ヘッドおよび再生ヘッドとの組み合わせにおける磁気的書込み幅や磁気的読出し幅を正確に測定することができる。これにより、測定した磁気的書込み幅や磁気的読出し幅に基づいてトラッキングサーボ制御用の各種の制御パラメータを各記録再生装置毎に実機に合わせて微調整することができる。また、測定した磁気的書込み幅に基づく書き込み電流値の微調整や、測定した磁気的読出し幅に基づくゲイン調整などを実行することができる。したがって、磁気記録媒体の内周部から外周部までの全域について、記録データを確実に記録することができると共に、記録データやサーボデータを確実に読み出すことができる記録再生装置を提供することができる。
【0017】
また、本発明に係る記録再生装置によれば、サーボパターン領域内に形成された各第1の記録領域のうちの予め規定された一部の第1の記録領域にのみ測定用信号を書き込むことにより、測定処理に際して測定用信号を書き込まなかった各第1の記録領域を通常のサーボパターン用の記録領域として用いて、測定処理時に正確なトラッキングサーボ制御を実行することができる。したがって、測定処理による測定結果の確度を十分に高めることができる。
【0018】
さらに、本発明に係る記録再生装置によれば、所定のパラメータを測定する際に、測定用信号を書き込んだ各第1の記録領域が形成されているサーボパターン領域に対して周方向において隣接しないサーボパターン領域内の各第1の記録領域に測定用信号を書き込むことにより、測定処理に際して第1の記録領域に測定用信号を書き込まなかったサーボパターン領域内の各記録領域を通常のサーボパターン用の記録領域として用いて、測定処理時に正確なトラッキングサーボ制御を実行することができる。したがって、測定処理による測定結果の確度を十分に高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る記録再生装置およびパラメータ測定方法の最良の形態について説明する。
【0020】
最初に、本発明に係る記録再生装置の構成について、図面を参照して説明する。
【0021】
図1に示すハードディスクドライブ1は、本発明に係る記録再生装置の一例であって、磁気ヘッド2、アーム3、アクチュエータ4、コントローラ5、モータ6、制御部7、記憶部8および磁気ディスク10を備えている。この場合、磁気ディスク10は、ディスクリートトラック型の磁気記録媒体であって、図2に示すように、各データトラックパターン領域Atの間にサーボパターン領域Asが設けられてデータトラックパターン領域Atおよびサーボパターン領域Asが磁気ディスク10の回転方向(矢印Tの向き)において交互に並ぶように規定されている。なお、本明細書では、回転方向において並ぶ2つのデータトラックパターン領域Atによって挟まれた領域(1つのデータトラックパターン領域Atにおける回転方向に対して下流側の端部から、他の1つのデータトラックパターン領域Atにおける回転方向に対して上流側の端部までの間の領域)をサーボパターン領域Asとする。
【0022】
また、図3に示すように、データトラックパターン領域Atには、所定の配列ピッチで互いに分割された同心円状の数多くのデータ記録用トラックを構成する複数の凸部11aと、ガードバンド部を構成する複数の凹部11bとを有する凹凸パターン11(凹凸パターン11t:本発明における「記録領域と非記録領域とを有するパターン」)で構成された磁性層が形成されている。なお、この磁気ディスク10では、凸部11aの形成領域が「記録領域」に相当し、凹部11bの形成領域が「非記録領域」に相当する。また、同図、および後に参照する図6〜11,17では、凸部11aの形成部位を斜線で塗り潰して図示すると共に、凹部11bの形成部位を白色で図示している。この場合、データトラックパターン領域Atに形成されている各凸部11aは、少なくともその突端部(一例として、その基端部から突端部までのほぼ全体)が上記の磁性層を構成する磁性材料で形成され、磁気ディスク10の周方向(回転方向)に沿って連続的に形成されて周方向に長い帯状に形成されている。また、データトラックパターン領域At内の各凸部11aおよび各凹部11bは、一例として、その径方向の長さが互いにほぼ等しくなるように規定されると共に、凸部11aの形成ピッチ(すなわち、データ記録トラックのトラックピッチ)や、径方向の長さ(すなわち、データ記録トラックやガードバンド部の径方向の長さ)が磁気ディスク10の内周部Aiから外周部Aoまでの全域において互いにほぼ等しくなるように形成されている。
【0023】
さらに、図3に示すように、サーボパターン領域Asには、トラッキングサーボ制御用の各種サーボパターンを構成する複数の凸部11aおよび複数の凹部11bを有する凹凸パターン11(凹凸パターン11s:本発明における「記録領域と非記録領域とを有するパターン」)で構成された磁性層が形成されている。具体的には、サーボパターン領域As内には、凹凸パターン11sによってプリアンブルパターンが形成されたプリアンブルパターン領域Apと、凹凸パターン11sによってアドレスパターンが形成されたアドレスパターン形成領域と(図示せず)、凹凸パターン11sによってバーストパターンが形成されたバーストパターン領域Abとが規定されている。また、バーストパターン領域Ab内には、バーストパターンにおける各信号領域に対応する領域Ab1〜Ab4の4つの領域(同図では領域Ab1,Ab4のみを図示する)が規定されている。この場合、このハードディスクドライブ1では、磁気ディスク10を角速度一定で回転させた状態においてサーボパターン領域Asからトラッキングサーボ制御用のサーボ信号が読み取られる。このため、図2に示すように、この磁気ディスク10では、サーボパターン領域Asの周方向の長さが内周部Aiから外周部Aoに向かって徐々に長くなるように規定され、これに伴い、プリアンブルパターン領域Ap、アドレスパターン領域およびバーストパターン領域Ab等の各領域における周方向の長さも内周部Aiから外周部Aoに向かって徐々に長くなるように規定されている。
【0024】
また、サーボパターン領域Asにおけるプリアンブルパターン領域Apに形成されている各凸部11aは、少なくともその突端部(一例として、その基端部から突端部までのほぼ全体)が上記の磁性層を構成する磁性材料で形成され、磁気ディスク10の径方向に沿って連続的に形成されて径方向に長い帯状に形成されている。このプリアンブルパターン領域Ap内に形成されている各凸部11aは、本発明における第1の記録領域の一例であって、その径方向の長さが磁気ディスク10の内周部Aiから外周部Aoまでの長さとほぼ等しくなるように形成されている。また、プリアンブルパターン領域Ap内に形成されている各凸部11aは、その周方向の長さが内周部Aiから外周部Aoに向かって徐々に長くなるように形成されている。なお、プリアンブルパターン領域Ap内に形成されている各凹部11bは、その径方向の長さが凸部11aの径方向の長さとほぼ等しく、かつ、その周方向の長さが同一半径位置における凸部11aの周方向の長さとほぼ等しくなるように形成されている。また、この磁気ディスク10では、一例として、30本程度の凸部11aがプリアンブルパターン領域Ap内に形成されている。
【0025】
さらに、サーボパターン領域Asにおけるアドレスパターン形成領域には、上記のプリアンブルパターン領域Ap内に形成された各凸部11aと同様にして、少なくともその突端部(一例として、その基端部から突端部までのほぼ全体)が上記の磁性層を構成する磁性材料で形成され、径方向に沿って長い複数の凸部11a(本発明における第1の記録領域の他の一例)がセクタアドレスパターン用の凸部として形成されている(図示せず)。また、サーボパターン領域Asにおけるバーストパターン領域Abの各領域Ab1〜Ab4に形成されている各凸部11aは、バーストパターンにおける単位バースト領域を構成する凸部であって、少なくともその突端部(一例として、その基端部から突端部までのほぼ全体)が上記の磁性層を構成する磁性材料で形成され、一例として、その径方向の長さが1トラックピッチに対応する長さで、その周方向の長さがプリアンブルパターン領域Ap内の各凸部11aにおける同一半径位置の周方向の長さとほぼ等しくなるように形成されている。
【0026】
一方、図2に示すように、磁気ヘッド2は、記録ヘッド2wと再生ヘッド2rとがスライダー2sの底面に配設された複合型の磁気ヘッドであって、アーム3を介してアクチュエータ4に取り付けられている。この場合、この磁気ヘッド2では、一例として、スライダー2sにおける先端部側に記録ヘッド2wが設けられると共に、スライダー2sにおける基端部側(アーム3側)に再生ヘッド2rが設けられている。また、この磁気ヘッド2では、図4に示すように、再生ヘッド2rの中心Cr(径方向に対応する長さの中心:シーク動作方向に沿った長さの中心)に対して、記録ヘッド2wの中心Cw(径方向に対応する長さの中心:シーク動作方向に沿った長さの中心)が距離L1だけ離間するように再生ヘッド2rおよび記録ヘッド2wが形成されている。なお、同図、および後に参照する図5〜11では、本発明についての理解を容易とするために、再生ヘッド2rおよび記録ヘッド2wにおける各部の長さや、再生ヘッド2rおよび記録ヘッド2w間の距離などを実際とは相違する長さや距離で図示している。また、同図に示す一点鎖線Xは、アーム3の延在方向、すなわち、アクチュエータ4における回動軸が存在する方向を示す仮想線であって、以下の説明においては、磁気ヘッド2における各部の長さのうちの一点鎖線Xと交差する向きの長さを幅ともいう。さらに、本明細書では、再生ヘッド2rの中心Crと記録ヘッド2wの中心Cwとの間のアーム3の延在方向(一点鎖線X)に沿った向きの距離L1については、再生ヘッド2rの中心Crを基点とし、かつアーム3の基端部から先端部に向かう向き(矢印Aの向き)の距離を「+の距離」とする。
【0027】
この場合、再生ヘッド2rの中心Crと記録ヘッド2wの中心Cwとが磁気ヘッド2の幅方向において離間することなく、両中心Cr,Cwが例えば一点鎖線X上に位置するように再生ヘッド2rおよび記録ヘッド2wが形成されているのが好ましい。しかしながら、この種の磁気ヘッドでは、その製造誤差に起因して、再生ヘッド2rの中心Crと記録ヘッド2wの中心Cwとが磁気ヘッド2の幅方向において距離L2だけ離間した状態となることがある。なお、本明細書では、再生ヘッド2rの中心Crと記録ヘッド2wの中心Cwとの間の幅方向の距離L2については、再生ヘッド2rの中心Crを基点とし、かつ磁気ヘッド2を磁気ディスク10上に配置した状態において磁気ディスク10の内周部Aiから外周部Aoに向かう向き(矢印Bの向き)の距離を「+の距離」とする。一方、単一の回転軸(アクチュエータ4)を中心として磁気ヘッド2(アーム3)がシーク動作するハードディスクドライブ1では、例えば、磁気ディスク10の内周部Aiや外周部Aoに磁気ヘッド2が位置させられたときに、同図に示すように、磁気ヘッド2の位置に応じた角度のスキュー角θが生じる。なお、同図、および後に参照する図6〜8では、本発明についての理解を容易とするために、スキュー角θを実際の角度とは相違する角度で図示している。また、本明細書では、上記のスキュー角θについては、矢印Cで示す向きの角度、すなわち、トラック中心Ctと平行な線分を基準として外周部Ao側に生じた角度を「+の角度」とし、内周部Ai側に生じた角度を「−の角度」とする。
【0028】
この場合、前述したように、記録ヘッド2wが再生ヘッド2rに対して距離L1だけ離間しているため、図4に示すように、スキュー角θが生じている状態では、例えば、再生ヘッド2rの中心Crをトラック中心Ctに一致させたとき(再生ヘッド2rをオントラックさせたとき)に、記録ヘッド2wの中心Cwがトラック中心Ctから離れた位置に位置する(記録ヘッド2wがオフトラックする)こととなる。この記録ヘッド2wのオフトラック量、すなわち、スキュー角θが生じた状態における再生ヘッド2rの中心Crと記録ヘッド2wの中心Cwとの間の径方向に沿った離間距離(距離L3)は、スキュー角θの大きさに応じて相違する。具体的には、「距離L3=距離L1×sinθ+距離L2×cosθ」となる。したがって、再生ヘッド2rによるサーボデータおよび記録データの読み出し時と、記録ヘッド2wによる記録データの記録時との双方において、再生ヘッド2rおよび記録ヘッド2wを所望のトラックにオントラックさせるようにトラッキング制御するには、磁気ディスク10の内周部Aiから外周部Aoまでの全域において、上記の距離L3、すなわち、再生ヘッド2rの中心Crと記録ヘッド2wの中心Cwとのオフセット量OW(本発明における所定のパラメータの一例)を測定し、その測定結果を各トラックに関連付けてオフセットデータDoとして記憶しておく必要がある。なお、本明細書では、再生ヘッド2rの中心Crと記録ヘッド2wの中心Cwとの間のオフセット量OWについては、再生ヘッド2rの中心Crを基点とし、かつ磁気ディスク10の半径方向において内周部Aiから外周部Aoに向かう向き(矢印Dの向き)の距離を「+の距離」とする。
【0029】
また、図5に示すように、この磁気ヘッド2では、記録ヘッド2wが再生ヘッド2rよりも幅広となるように形成されている。したがって、この磁気ヘッド2では、再生ヘッド2rによる磁気的読出し幅MRWよりも記録ヘッド2wによる磁気的書込み幅MWWの方が幅広となっている。この場合、磁気ディスク10の全域において、再生ヘッド2rによるサーボデータおよび記録データの確実な読み出しと、記録ヘッド2wによる記録データの確実な記録を行うためには、上記の磁気的書込み幅MWWおよび磁気的読出し幅MRW(本発明における所定のパラメータの他の一例)を測定し、その測定結果を書込み幅データDwおよび読出し幅データDrとして記憶し、記憶した両データDw,Drに基づいてトラッキングサーボ制御用の各種の制御パラメータを実機に合わせて微調整するのが好ましい。このため、このハードディスクドライブ1では、後述するように、その内周部Aiから外周部Aoまでの全域について上記のオフセット量OWを測定する測定処理を実行して各トラック毎のオフセットデータDoを記憶部8に記憶させると共に、例えば中周部Acにおいて磁気的書込み幅MWWおよび磁気的読出し幅MRWを測定する測定処理を実行して書込み幅データDwおよび読出し幅データDrを記憶部8に記憶させるように構成されている。
【0030】
一方、アクチュエータ4は、コントローラ5の制御に従ってアーム3を図2に示す矢印Sの方向に回動(シーク)させる。コントローラ5は、制御部7の制御に従い、アクチュエータ4を制御してアーム3を回動させることにより、磁気ヘッド2を磁気ディスク10上の所望のトラックにオントラックさせる。モータ6は、制御部7の制御に従い、一例として、磁気ディスク10を5400rpmの回転速度で定速回転させる。制御部7は、ハードディスクドライブ1を総括的に制御する。具体的には、制御部7は、コントローラ5を制御してアクチュエータ4を駆動させることで磁気ヘッド2を磁気ディスク10上の所望のトラックにオントラックさせると共に、記録ヘッド2wによる記録データの書き込みや、再生ヘッド2rよるサーボデータおよび記録データの読み出しを制御する。また、制御部7は、本発明におけるパラメータ測定方法に従い、オフセット量OW、磁気的書込み幅MWWおよび磁気的読出し幅MRWを測定する測定処理を実行する。記憶部8は、制御部7が実行する上記の各測定処理についての測定処理プログラムDpを記憶すると共に、各測定処理によって生成したオフセットデータDo、書込み幅データDwおよび読出し幅データDr等を記憶する。
【0031】
次に、ハードディスクドライブ1によるオフセット量OWの測定処理について、図面を参照して説明する。なお、ハードディスクドライブ1に搭載されている磁気ディスク10は、ハードディスクドライブ1の筐体(図示せず)に組み込まれる以前に、各データトラックパターン領域Atおよび各サーボパターン領域Asの全域がDC着磁されているものとする。
【0032】
このハードディスクドライブ1では、例えば、電源が供給されている状態において外部装置から測定処理開始を指示する制御信号が出力されたときに、制御部7が、オフセット量OWを測定する測定処理を開始する。この際に、制御部7は、まず、コントローラ5を制御して磁気ヘッド2を磁気ディスク10の内周部Aiに移動させると共に、磁気ヘッド2を外周部Aoに向けて移動させつつ、各データトラックパターン領域Atのすべての凸部11a、および各サーボパターン領域Asのうちの所定のサーボパターン領域Asにおけるプリアンブルパターン領域Ap内の各凸部11aに対するACイレース処理を実行する。具体的には、データトラックパターン領域At内の各データ記録トラックに対する記録データの記録時に用いる信号の周波数よりも高い周波数の信号をデータトラックパターン領域Atのすべての凸部11a、および所定のサーボパターン領域Asにおけるプリアンブルパターン領域Ap内の凸部11aに対して記録ヘッド2wを介して書き込ませる。この際には、一例として、周方向において隣接するサーボパターン領域As,Asの双方に対してACイレース処理を実行することなく、少なくとも1つおき(一例として、3つおき)のサーボパターン領域Asに対してACイレース処理を実行する。また、ACイレース処理を実行するサーボパターン領域Asに対しては、一例として、プリアンブルパターン領域Ap内の30本の凸部11aのうちのデータトラックパターン領域At側の15本の凸部11a(本発明における「予め規定された一部の第1の記録領域」の一例)を対象とするACイレース処理を実行する。これにより、各データトラックパターン領域Atについての初期化処理が完了すると共に、各サーボパターン領域Asのうちの一部のサーボパターン領域Asにおけるプリアンブルパターン領域Ap内の15本の凸部11aに対する測定用信号の書き込みが可能な状態となる。なお、ACイレース処理を実行しなかったサーボパターン領域Asにおける凹凸パターン11sについては、以下の処理において通常のサーボパターン用の凹凸パターンとして利用されてトラッキングサーボ制御が実行される。
【0033】
次いで、図6に示すように、制御部7は、コントローラ5を制御して再生ヘッド2rを測定対象のトラック(一例として、外周部Ao側の所定のトラック)にオントラックさせた状態において(再生ヘッド2rの中心Crをトラック中心Ctに一致させた状態において)、上記のイレース処理が完了したプリアンブルパターン領域Ap内の15本の凸部11aに対してオフセット量測定用の測定用信号を書き込む。具体的には、プリアンブルパターン領域Ap内の15本の凸部11aに対して記録ヘッド2wを介してDC着磁処理を実行する。この場合、前述したように、磁気ディスク10における内周部Aiや外周部Aoにおいてスキュー角θが生じている状態では、再生ヘッド2rをオントラックさせた状態において記録ヘッド2wが距離L3だけオフトラックした状態となる。したがって、同図に示すように、記録ヘッド2wを介してオフセット量測定用の測定用信号を書き込んだ際には(DC着磁処理した際には)、測定用信号が書き込まれた(DC着磁された)領域Awにおける径方向の中心がトラック中心Ctから外れた状態となる。
【0034】
続いて、制御部7は、プリアンブルパターン領域Ap内の各凸部11aに書き込んだ測定用信号を読み出し、その読み出し結果に基づいて上記のオフセット量OWを測定する。具体的には、制御部7は、コントローラ5を制御して再生ヘッド2rを予め規定された測定位置(測定対象のトラック中心Ctに対して所定量だけ径方向にオフセットした位置)に移動させた状態において、各サーボパターン領域As内のプリアンブルパターン領域Apから上記の測定用信号を読み出させる。この際に、測定用信号の書き込みによってプリアンブルパターン領域Ap内の15本の凸部11aにおける周方向全域がDC着磁されているため、再生ヘッド2rを介してプリアンブルパターン領域Apから読み出された再生信号は、プリアンブルパターン領域Ap内の凸部11aの形成ピッチに応じたパルス波形となる。次いで、制御部7は、再生ヘッド2rを予め規定された所定量(一例として、1トラックピッチに対する1/20程度)だけ径方向に移動させた状態において、各サーボパターン領域As内のプリアンブルパターン領域Apから上記の測定用信号を読み出させる。
【0035】
この場合、図7,8に示すように、DC着磁されている領域Awに対して再生ヘッド2rが幅方向において殆ど重なる状態では、プリアンブルパターン領域Apから読み出した再生信号の振幅値が比較的大きくなる(大きな出力値の再生信号が得られる)。これに対して、再生ヘッド2rの幅方向の一部のみが領域Awと重なる状態(図示せず)では、プリアンブルパターン領域Apから読み出した再生信号の振幅値が小さくなる。このため、再生ヘッド2rを移動させる都度、再生信号の振幅値を取り込んで比較することにより、領域Awに対して再生ヘッド2rが殆ど重なった状態の再生ヘッド2rの位置を特定でき、これにより、領域Awの径方向の長さを特定することができる。したがって、特定した結果に基づいて領域Awの径方向における中心、すなわち、測定用信号を書き込んだ際の記録ヘッド2wの中心Cwに対応する位置を特定することができる。具体的には、制御部7は、再生ヘッド2rを介して読み出した再生信号の振幅値が極大値となる再生ヘッド2rのヘッド位置、または、振幅値が極大値の再生信号が読み出される再生ヘッド2rの移動範囲の中心を領域Awの径方向における中心として特定する。次いで、制御部7は、特定した中心と、その領域Awに対して測定用信号を書き込んだ際に再生ヘッド2rをオントラックさせたトラックのトラック中心Ctとの間の距離をオフセット量OWとして演算し、演算結果をそのトラックについてのオフセットデータDoとして記憶部8に記憶させる。
【0036】
この後、制御部7は、磁気ディスク10の外周部Aoから内周部Aiまでの全域に対して数百トラックおきに、上記の測定用信号の測定用信号の書き込み処理、測定用信号の読み出し処理、およびオフセット量OWの演算処理を順次実行する。また、磁気ディスク10の全域に対する数百トラックおきの上記の各処理が完了したときには、制御部7は、演算結果(記憶部8に記憶させた各オフセットデータDo)に基づき、測定用信号の書き込みおよび読み出し等の各処理を実行していないトラックについてのオフセット量OWを補間処理によって求める。これにより、記憶部8には、磁気ディスク10の全域についてのオフセットデータDoが各トラックに対応して記憶される。
【0037】
次いで、ハードディスクドライブ1によるヘッド幅の測定処理について、図面を参照して説明する。
【0038】
制御部7は、上記のオフセット量OWについての測定処理が完了した際に、前述した磁気的書込み幅MWWおよび磁気的読出し幅MRWの測定処理を開始する。この測定処理では、制御部7は、まず、上記のオフセット量OWの測定処理時に測定用信号を書き込んだ各サーボパターン領域As内のプリアンブルパターン領域Ap内における各凸部11aに対して磁気ディスク10の内周部Aiから外周部Aoの全域に亘ってACイレース処理を実行する。次いで、図9に示すように、例えば、磁気ディスク10における中周部Acの所定のトラックに記録ヘッド2wをオントラックさせた状態において(記録ヘッド2wの中心Cwをトラック中心Ctに一致させた状態において)、一例として、上記のオフセット量OWの測定処理時に測定用信号を書き込んだ各サーボパターン領域As内のプリアンブルパターン領域Ap内における30本の凸部11aのうちのデータトラックパターン領域At側の15本の凸部11a(本発明における「予め規定された一部の第1の記録領域」の一例)に対してヘッド幅測定用の測定用信号を書き込む(DC着磁処理する)。
【0039】
次いで、制御部7は、プリアンブルパターン領域Ap内の各凸部11aに書き込んだ測定用信号を読み出し、その読み出し結果に基づいて上記の磁気的書込み幅MWWを取り込む。具体的には、制御部7は、コントローラ5を制御して再生ヘッド2rを予め規定された測定位置(測定対象のトラック中心Ctに対して所定量だけ径方向に移動させた位置)に移動させた状態において、各サーボパターン領域As内のプリアンブルパターン領域Apから上記の測定用信号を読み出させる。次いで、制御部7は、再生ヘッド2rを予め規定された所定量(一例として、1トラックピッチに対する1/20程度)だけ径方向に移動させた後に、各サーボパターン領域As内のプリアンブルパターン領域Apから上記の測定用信号を読み出させる。この際に、前述したオフセット量OWの測定処理時と同様にして、測定用信号の書き込みによってDC着磁された領域Aw1に対して再生ヘッド2rが幅方向において殆ど重なる状態では、プリアンブルパターン領域Apから読み出した再生信号の振幅値が比較的大きくなる(大きな出力値の再生信号が得られる)。これに対して、再生ヘッド2rの幅方向の一部のみが領域Aw1と重なる状態では、プリアンブルパターン領域Apから読み出した再生信号の振幅値が小さくなる。
【0040】
したがって、再生ヘッド2rを移動させる都度、再生信号の振幅値を取り込んで比較することにより、その振幅値と読み出される再生ヘッド2rのヘッド位置とに基づき、領域Aw1の径方向における長さ、すなわち、磁気的書込み幅MWWを演算することができる。具体的には、一例として、再生ヘッド2rのヘッド位置と振幅値とのプロファイルにおける極大値の半値幅を磁気的書込み幅MWWとする。次いで、制御部7は、演算した磁気的書込み幅MWWを書込み幅データDwとして記憶部8に記憶させる。以上で、磁気的書込み幅MWWの測定処理が完了する。なお、磁気ディスク10の中周部Acにおいて磁気的書込み幅MWWの測定処理を実行する構成について説明したが、磁気ディスク10の内周部Aiから外周部Aoまでの全域に対して上記の測定処理を実行する構成を採用することもできる。この際に、前述したオフセット量OWについての測定処理と同様にして、数百トラックおきに磁気的書込み幅MWWの測定処理を実行すると共に、測定処理を実行していないトラックについての磁気的書込み幅MWWを補間処理によって求める構成を採用することもできる。
【0041】
次いで、制御部7は、磁気的読出し幅MRWの測定処理を開始する。この磁気的読出し幅MRWの測定処理に際しては、図10に示すように、制御部7は、まず、磁気的書込み幅MWWの測定処理時にプリアンブルパターン領域Ap内の15本の凸部11aに対して測定用の測定用信号を書き込んだ(DC着磁処理した)各領域Aw1に対して、その径方向における内周側の1/3の領域Aeと、径方向における外周側の1/3の領域AeとをACイレース処理することで、領域Aw1の径方向に沿った長さ(この例では、磁気的書込み幅MWW)に対して径方向の幅Wが1/3の長さの領域Aw2のみがDC着磁された状態にする(測定しようとしている磁気的読出し幅MRWよりも、領域Aw2における径方向の幅Wの方が狭くなるようにする)。次いで、制御部7は、再生ヘッド2rを径方向に移動させつつ、各領域Aw2から再生ヘッド2rを介して測定用信号を読み出し、その読み出し結果に基づいて上記の磁気的読出し幅MRWを取り込む。この場合、図11に示すように、DC着磁されている領域Aw2における径方向の全域が再生ヘッド2rにおける磁気的読出し幅MRWの範囲内に位置している状態では、プリアンブルパターン領域Apから読み出した再生信号の振幅値が比較的大きくなる(大きな出力値の再生信号が得られる)。これに対して、DC着磁されている領域Aw2における径方向の一部のみが再生ヘッド2rにおける磁気的読出し幅MRWの範囲内に位置している状態では、プリアンブルパターン領域Apから読み出した再生信号の振幅値が小さくなる。
【0042】
したがって、再生ヘッド2rを移動させる都度、再生信号の振幅値を取り込んで比較することにより、その振幅値と読み出される再生ヘッド2rのヘッド位置とに基づき、再生ヘッド2rの磁気的読出し幅MRWを演算することができる。具体的には、一例として、再生ヘッド2rのヘッド位置と振幅値とのプロファイルにおける極大値の半値幅を磁気的読出し幅MRWとする。次いで、制御部7は、演算した磁気的読出し幅MRWを読出し幅データDrとして記憶部8に記憶させる。なお、磁気ディスク10の中周部Acにおいて磁気的読出し幅MRWの測定処理を実行する構成のみならず、磁気ディスク10の内周部Aiから外周部Aoまでの全域に対して上記の測定処理を実行する構成を採用することもできる。この際に、前述したオフセット量OWについての測定処理と同様にして、数百トラックおきに磁気的読出し幅MRWの測定処理を実行すると共に、測定処理を実行していないトラックについての磁気的読出し幅MRWを補間処理によって求める構成を採用することもできる。以上で、磁気的読出し幅MRWの測定処理が完了する。この後、制御部7は、記録ヘッド2wを用いて、上記の各測定処理において利用したすべてのプリアンブルパターン領域Apに対するDC着磁処理を実行する。これにより、各サーボパターン領域As内のプリアンブルパターン領域Apに形成された30本の凸部11aのすべてをプリアンブルパターン用の凸部として使用することができる状態となる。
【0043】
このように、このハードディスクドライブ1によれば、サーボパターン領域Asに形成された各凸部11aのうちの径方向に沿って連続的に形成された第1の記録領域(例えば、プリアンブルパターン領域Ap内に形成されたプリアンブルパターン用の凸部11a)に記録ヘッド2wを介して測定用信号を書き込んで本発明における所定のパラメータを測定することにより、オフセット量OWの測定処理や、磁気的書込み幅MWWおよび磁気的読出し幅MRWの測定処理が完了した後に測定処理時に利用した各第1の記録領域(各凸部11a)をDC着磁することで、その第1の記録領域(凸部11a)を通常のサーボパターン(この例では、プリアンブルパターン)として使用することができる。したがって、記録データの記録やサーボパターンの記録ができない測定処理専用の領域を設けることなく、磁気ヘッド2についての所定のパラメータを測定することができる。この結果、記録可能領域の減少を招くことなく記録ヘッド2wおよび再生ヘッド2rについての所定のパラメータを測定し得るハードディスクドライブ1を提供することができる。
【0044】
また、このハードディスクドライブ1によれば、本発明における所定のパラメータの測定として、記録ヘッド2wの中心Cwと再生ヘッド2rの中心Crとの間の径方向に沿った離間距離(オフセット量OW)を測定することにより、製造誤差や各部品の個体差などに起因して記録ヘッド2wおよび再生ヘッド2rの相互間の位置関係等が相違する各ハードディスクドライブ1について、磁気ディスク10の内周部Aiから外周部Aoまでの全域についてのオフセット量OWを正確に測定することができる結果、記録ヘッド2wおよび再生ヘッド2rの双方を各トラックに対して確実にオントラックさせることができる。
【0045】
さらに、このハードディスクドライブ1によれば、本発明における所定のパラメータの測定として、記録ヘッド2wの磁気的書込み幅MWWと再生ヘッド2rの磁気的読出し幅MRWとを測定することにより、各ハードディスクドライブ1に実際に搭載された磁気ディスク10と磁気ヘッド2(記録ヘッド2wおよび再生ヘッド2r)との組み合わせた状態における磁気的書込み幅MWWや磁気的読出し幅MRWを正確に測定することができる。これにより、測定した磁気的書込み幅MWWや磁気的読出し幅MRWに基づいてトラッキングサーボ制御用の各種の制御パラメータを各ハードディスクドライブ1毎に実機に合わせて微調整することができる。また、測定した磁気的書込み幅MWWに基づく書き込み電流値の微調整や、測定した磁気的読出し幅MRWに基づくゲイン調整などを実行することができる。したがって、磁気ディスク10の内周部Aiから外周部Aoまでの全域について、記録データを確実に記録することができると共に、記録データやサーボデータを確実に読み出すことができるハードディスクドライブ1を提供することができる。
【0046】
また、このハードディスクドライブ1によれば、本発明における所定のパラメータを測定する際に、測定用信号を書き込んだ各第1の記録領域(凸部11a)が形成されているサーボパターン領域Asに対して周方向において隣接しないサーボパターン領域As内の各第1の記録領域(凸部11a)に測定用信号を書き込むことにより、測定処理に際して第1の記録領域(凸部11a)に測定用信号を書き込まなかった(DC着磁しなかった)サーボパターン領域As内の凹凸パターン11sを通常のサーボパターン用の凹凸パターンとして用いて、測定処理時に正確なトラッキングサーボ制御を実行することができる。したがって、測定処理による測定結果の確度を十分に高めることができる。
【0047】
なお、本発明は、上記の構成および方法に限定されない。例えば、上記の磁気ディスク10では、図12に示すように、隣り合う凸部11a,11aの間に形成された凹部11b(磁性材料が存在しない空間)によって本発明における「非記録領域」を構成しているが、本発明における「非記録領域」の構成はこれに限定されない。具体的には、例えば、図13に示す磁気ディスク10Aのように、磁気的信号を読み出し可能に保持する能力が上記の磁性層22を構成する磁性材料よりも低い各種の材料、または、上記の能力を実質的に有していない各種の材料(一例として、酸化シリコンや非磁性樹脂材料等の非磁性材料23)を各凹部11bに埋め込み、これにより、磁気的信号を読み出し可能に保持する能力が上記の記録領域(凸部11aの形成領域)よりも低い、または、その能力を実質的に有していない非記録領域を構成することもできる。この構成を採用することにより、磁気ディスク10Aの表面が平坦化される結果、磁気ディスク10Aの全域において磁気ヘッド2のヘッド浮上量を均一化することができる。
【0048】
なお、図12,13に示す磁気ディスク10,10Aでは、基材21の上に磁性層22を直接形成している状態を図示しているが、実際には、基材21および磁性層22の間に軟磁性層や中間層等の各種機能層が必要に応じて形成されている。また、磁性層22(凸部11a)の上や、凹部11bに埋め込まれた非磁性材料23の上には、磁気ディスク10,10Aの傷付きを回避するための保護層が形成されている。以下、本発明についての理解を容易とするために、これらの層の図示および説明を省略する。また、図13に示す磁気ディスク10A、および後に説明する磁気ディスク10B〜10Eにおいて、上記の磁気ディスク10と同一の機能を有する構成要素については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0049】
また、上記の磁気ディスク10,10Aでは、その基端部から突端部までのほぼ全体が磁性材料(磁性層22)で形成された凸部11aによって本発明における「記録領域」を構成しているが、本発明における「記録領域と非記録領域とを有するパターン」の構成はこれに限定されない。具体的には、例えば、図14に示す磁気ディスク10Bのように、基材21に形成した凹凸パターン(凹凸パターン11と凹凸の位置関係が同様の凹凸パターン)を覆うようにして薄厚の磁性層22を形成することにより、その表面が磁性材料で形成された複数の凸部11a(記録領域)と、底面が磁性材料で形成された複数の凹部11b(非記録領域)とによって本発明における「記録領域と非記録領域とを有するパターン」に相当する凹凸パターン11を構成することができる。また、図15に示す磁気ディスク10Cのように、磁気ディスク10,10Aにおける凹凸パターン11の凸部11aの突端部のみを磁性層22で形成して基端部側を非磁性材料または軟磁性材料等(この例では、基材21)で形成した複数の凸部11a(記録領域)を備えて本発明における「記録領域と非記録領域とを有するパターン」に相当する凹凸パターン11を構成することもできる。
【0050】
さらに、図16に示す磁気ディスク10Dのように、凸部11a(記録領域)だけではなく凹部11b(非記録領域)の底部を含めて磁性層22で形成して本発明における「記録領域と非記録領域とを有するパターン」に相当する凹凸パターン11を構成することもできる。このように、本発明における磁気記録媒体の記録領域を凸部で構成するときには、凸部の少なくとも突端部を磁性材料で形成することで、磁気的信号を読み出し可能に保持する能力を非記録領域よりも十分に高くすることができる。
【0051】
また、本発明における磁気記録媒体は、凸部で構成された記録領域と凹部で構成された非記録領域とを有するパターンを備えたものに限定されない。具体的には、磁気的信号を読み出し可能に保持する能力が低い各種の材料、または、その能力を実質的に有しない各種の材料(一例として、非磁性材料)で形成した層に、上記の凹凸パターン11とは凹凸位置関係を反転させた凹凸パターン(凸部が非磁性材料等で構成された凹凸パターン)を形成し、この凹凸パターンの凹部内に磁気的信号を読み出し可能に保持する能力が高い各種の材料(一例として、磁性材料)を埋め込むことで、磁性材料が埋め込まれた凹部で構成された記録領域と、凸部で構成された非記録領域とを有するパターンを備えて本発明における磁気記録媒体を構成することができる(図示せず)。さらに、基材上に形成した連続磁性層の磁気的特性をイオン照射等によって部分的に変化させることで本発明における非記録領域を連続磁性層に形成し、これにより、本発明における「記録領域と非記録領域とを有するパターン」を形成して磁気記録媒体を構成することができる(図示せず)。
【0052】
また、プリアンブルパターン領域Ap内に形成された凸部11aを本発明における第1の記録領域として用いて測定用信号を書き込んだ例について説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば、アドレスパターン領域に形成されたセクタアドレスパターン用の凸部11aを第1の記録領域として用いて上記の各測定処理を実行する構成を採用することができる。また、例えば、図17に示す磁気ディスク10Eのように、周方向に沿ってジグザグ状となる複数の凸部11a(記録領域)および複数の凹部11b(非記録領域)を径方向に並べた凹凸パターン11(本発明における「記録領域と非記録領域とを有するパターン」の他の一例)によってバーストパターン領域Ab内にバーストパターンを形成した場合には、このバーストパターン用の凸部11aを本発明における第1の記録領域として用いて上記の各測定処理を実行する構成を採用することができる。この磁気ディスク10Eにおけるバーストパターン領域Ab内の凸部11aでは、同図に示す矢印Eの部位が径方向沿って連続的に形成されている。
【0053】
なお、同図に示すように、本発明における「径方向沿って連続的に形成されている」との状態には、周方向(同図に示す矢印Tの向き)に対して直交する向きに沿って連続的に形成されている状態のみならず、径方向に対して鋭角に交差する向きに沿って連続的に形成されている状態が含まれる。これらの構成を採用した場合であっても、測定処理の完了後に、測定用信号を書き込んだ凸部11aをDC着磁処理することで通常のサーボパターンとして用いることができるため、記録可能領域の減少を招くことなく記録ヘッド2wおよび再生ヘッド2rについての所定のパラメータを測定し得るハードディスクドライブ1を提供することができる。この場合、本発明における第1の記録領域として測定用信号を書き込む凸部は、前述したオフセット量OWの測定処理や、磁気的書込み幅MWWおよび磁気的読出し幅MRWの測定処理を確実に実行可能とするために、その径方向の長さが少なくとも20トラックピッチ以上の長さの凸部であるのが好ましい。
【0054】
また、磁気ディスク10における内周部Aiから外周部Aoまでの全域について数百トラックおきにオフセット量OWを測定してオフセットデータDoを求めると共に、残りのトラックについては、補間処理によってオフセットデータDoを求める構成について説明したが、本発明はこれに限定されず、磁気ディスク10における内周部Aiから外周部Aoまでの全トラックに対して上記の測定処理を実行する構成を採用することができる。同様にして、磁気的書込み幅MWWおよび磁気的読出し幅MRWの測定処理についても、磁気ディスク10における中周部Acのみ、または、磁気ディスク10における内周部Aiから外周部Aoまでの全域について数百トラックおきに測定する構成のみならず、磁気ディスク10における内周部Aiから外周部Aoまでの全トラックに対して上記の測定処理を実行する構成を採用することができる。加えて、本発明における所定のパラメータを測定する処理を所定トラックおきに実行する構成を採用する場合には、1トラックおき以上の任意のトラック数おきに測定処理を実行することができる。この場合、磁気ディスク10における内周部Aiから外周部Aoまでの間における任意の2トラックにおいて測定処理を実行し、得られた測定結果(演算結果)と、測定処理を実行した両トラックにおけるスキュー角θとに基づき、前述した「距離L3=距離L1×sinθ+距離L2×cosθ」との式における距離L1,L2を求めることで、測定処理を実行していない各トラックについての距離L3をそのトラックのスキュー角θに基づいて演算する構成を採用することもできる。この構成を採用することにより、例えばすべてのトラックに対して測定処理を実行する構成と比較して、オフセット量OW等を短時間で測定することができる。
【0055】
また、各測定処理に際して回転方向において並ぶ各サーボパターン領域Asのうちの一部に対して測定用信号を書き込む場合においては、そのプリアンブルパターン領域Ap内の30本の凸部11aのすべてに測定用信号を書き込む構成を採用することもできる。さらに、本発明における所定のパラメータの測定に際して、周方向において隣接する各サーボパターン領域Asのうちの一部(この例では、3つおき)に対して測定用信号を書き込み、残りのサーボパターン領域As内の各凸部11aを通常のサーボパターン用の凸部11aとして用いる構成について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、正確なトラッキングサーボ制御が実行できる場合においては、周方向において連続する3つのサーボパターン領域Asのうち、連続する2つのサーボパターン領域As内におけるプリアンブルパターン領域Ap内の各凸部11aに対して測定用信号を書き込むと共に、残りの1つのサーボパターン領域As内のサーボパターンをトラッキング制御に用いて測定処理を実行する構成を採用することができる。また、周方向において隣接する各サーボパターン領域Asのうちの任意の1つのサーボパターン領域As内に測定用信号を書き込んで(磁気ディスク10の1回転当りに1つのサーボパターン領域As内に測定用信号を書き込んで)本発明における所定のパラメータを測定する構成を採用することもできる。
【0056】
さらに、例えば、上記の各測定処理の実行時に、すべてのサーボパターン領域Asについて、そのプリアンブルパターン領域Ap内に形成された30本の凸部11aうちの例えばデータトラックパターン領域At側の15本の凸部11a(本発明における「予め規定された一部の第1の記録領域」の一例)を用いて測定用信号を書き込み、測定用信号を書き込まなかった残りの15本の凸部11aからの読み出しによって得られたサーボ信号を用いてトラッキングサーボ制御しつつ、測定処理を実行する構成を採用することができる。このように、本発明における所定のパラメータを測定する際に、サーボパターン領域As内に形成された各凸部(第1の記録領域)11aのうちの予め規定された一部の凸部(第1の記録領域)11a(この例では、プリアンブルパターン領域Ap内に形成された30本の凸部11aのうちの15本)にのみ測定用信号を書き込むことにより、測定処理に際して測定用信号を書き込まなかった(DC着磁しなかった)各凸部11aを通常のサーボパターン(この例では、プリアンブルパターン)用の凸部11aとして用いて、測定処理時に正確なトラッキングサーボ制御を実行することができる。したがって、測定処理による測定結果の確度を十分に高めることができる。なお、プリアンブルパターン領域Ap内の各凸部11aのうちの何本の凸部11aに対して測定用信号を書き込むかについては、測定用信号を書き込まない残りの凸部11aによって正確なトラッキングサーボ制御が実行できる範囲において任意に規定することができる。
【0057】
また、測定処理に際して、本発明における第1の記録領域をACイレース処理した後に測定用信号を書き込むことでDC着磁し、DC着磁された領域Aw(または、領域Aw1,Aw2)についての再生信号に基づいてオフセット量OW、磁気的書込み幅MWWおよび磁気的読出し幅MRWを測定する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、本発明における各第1の記録領域のすべてについて、その全域をDC着磁した状態において、前述した各測定処理時にDC着磁した各領域Aw,Aw1,Aw2に対応する領域に対して記録ヘッド2wを介してACイレース処理を実行し(測定用信号の書き込みの他の一例)、この領域についての再生信号に基づいて、オフセット量OW、磁気的書込み幅MWWおよび磁気的読出し幅MRWを測定する構成を採用することができる。なお、この場合、磁気的読出し幅MRWの測定処理に際しては、ACイレース処理を実行した領域Aw1における半径方向の両側(前述した領域Aeに対応する領域)をDC着磁することで、領域Aw2に対応する領域のみがACイレースされた状態にして測定用信号を読み出す。このように、ACイレース処理によって測定用信号を書き込む測定方法では、前述した測定処理時に振幅値が大きい再生信号が得られたヘッド位置において振幅値が小さい再生信号が得られ、かつ振幅値が小さい再生信号が得られたヘッド位置において振幅値が大きい再生信号が得られる。したがって、例えばオフセット量OWの測定時には、再生信号の振幅値が極小値となる再生ヘッド2rのヘッド位置、または、振幅値が極小値の再生信号が読み出されるヘッド位置範囲の中心を領域Awの径方向における中心として特定する。これにより、前述した測定処理時と同様にして、オフセット量OWを測定することができる。
【0058】
また、測定用信号の書き込みによって凸部11aにおける径方向の全域をDC着磁した例について説明したが、本発明はこれに限定されず、凸部11aの形成ピッチよりも波長が短い測定用信号(例えば、プリアンブルパターンについての再生信号の周波数よりも高い周波数の測定用信号)を第1の記録領域に書き込み、書き込んだ測定用信号を読み出すことでオフセット量OW、磁気的書込み幅MWWおよび磁気的読出し幅MRWを測定する構成を採用することもできる。この場合、大きい出力値の再生信号を得るために、1つの凸部11aに対して少なくとも1周期分の測定用信号を記録するのが好ましい。したがって、例えばプリアンブルパターン領域Ap内の各凸部11aを第1の記録領域として用いる場合には、プリアンブルパターンの形成ピッチに対する1/2倍以下の波長の測定用信号を記録するのが好ましい。なお、測定用信号の書き込み方法としては、書込み対象の第1の記録領域における全域をACイレースした状態において所定周波数の測定用信号を書き込み対象の第1の記録領域に書き込む方法と、書込み対象の第1の記録領域における全域をDC着磁した状態において所定周波数の測定用信号を書き込み対象の第1の記録領域に書き込む方法とのいずれかを採用することができる。
【0059】
さらに、本発明における磁気記録媒体は、上記の磁気ディスク10等のように複数の同心円状または螺旋状の凸部11a(記録領域)を有する凹凸パターン11によってデータ記録領域Atにデータトラックパターン(凹凸パターン11t)が形成されたものに限定されず、データトラックパターンにおけるデータ記録トラックを構成する記録領域(一例として、凸部11a)が磁気記録媒体の周方向において非記録領域(一例として、凹部11b)を挟むようにして互いに分離させられているパターンド媒体に適用することができる。また、本発明における磁気記録媒体は、垂直記録方式の磁気記録媒体、および面内記録方式の磁気記録媒体の双方に適用することができる。加えて、ハードディスクドライブ1の制御部7が各測定処理を実行する構成について説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば、ハードディスクドライブ1に検査装置(図示せず)を接続して、検査装置の制御部が上記の各測定処理を実行する構成を採用することができる。この構成では、ハードディスクドライブ1と検査装置とが相俟って本発明に係る記録再生装置を構成する。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】ハードディスクドライブ1の構成を示すブロック図である。
【図2】磁気ディスク10の平面図である。
【図3】磁気ディスク10におけるデータトラックパターン領域Atおよびサーボパターン領域Asの平面図である。
【図4】磁気ヘッド2における記録ヘッド2wおよび再生ヘッド2rの各サイズについて説明するための説明図である。
【図5】磁気ヘッド2における記録ヘッド2wの磁気的書込み幅MWWおよび再生ヘッド2rの磁気的読出し幅MRWについて説明するための説明図である。
【図6】再生ヘッド2rをオントラックさせた状態においてプリアンブルパターン領域Ap内の凸部11aに測定用信号を書き込んでいる状態の磁気ディスク10および磁気ヘッド2の平面図である。
【図7】プリアンブルパターン領域Ap内の凸部11aから測定用信号を読み込んでいる状態の磁気ディスク10および磁気ヘッド2の平面図である。
【図8】プリアンブルパターン領域Ap内の凸部11aから測定用信号を読み込んでいる状態の磁気ディスク10および磁気ヘッド2の他の平面図である。
【図9】記録ヘッド2wをオントラックさせた状態においてプリアンブルパターン領域Ap内の凸部11aに測定用信号を書き込んでいる状態の磁気ディスク10および磁気ヘッド2の平面図である。
【図10】測定用信号を書き込んだ領域Aw1における外周側の領域Aeおよび内周側の領域Aeに対してACイレース処理を実行した状態の磁気ディスク10および磁気ヘッド2の平面図である。
【図11】ACイレース処理を完了した状態のプリアンブルパターン領域Ap内における凸部11aから測定用信号を読み込んでいる状態の磁気ディスク10および磁気ヘッド2の平面図である。
【図12】磁気ディスク10の断面図である。
【図13】磁気ディスク10Aの断面図である。
【図14】磁気ディスク10Bの断面図である。
【図15】磁気ディスク10Cの断面図である。
【図16】磁気ディスク10Dの断面図である。
【図17】磁気ディスク10Eにおけるバーストパターン領域Abの平面図である。
【符号の説明】
【0061】
1 ハードディスクドライブ
2 磁気ヘッド
2r 再生ヘッド
2s スライダー
2w 記録ヘッド
7 制御部
10,10A〜10E 磁気ディスク
11,11s,11t 凹凸パターン
11a 凸部
11b 凹部
21 基材
22 磁性層
23 非磁性材料
Ap プリアンブルパターン領域
As サーボパターン領域
At データトラックパターン領域
Cr,Cw 中心
Do オフセットデータ
Dp 測定処理プログラム
Dr 読出し幅データ
Dw 書込み幅データ
L1〜L3 距離
MRW 磁気的読出し幅
MWW 磁気的書込み幅
OW オフセット量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録領域と非記録領域とを有するパターンによってデータトラックパターン領域にデータトラックパターンが形成されると共に当該記録領域と当該非記録領域とを有する当該パターンによってサーボパターン領域にサーボパターンが形成された磁気記録媒体と、当該磁気記録媒体に信号を書き込む記録ヘッドと、前記磁気記録媒体に書き込まれた信号を読み出す再生ヘッドと、前記記録ヘッドによる前記信号の書き込みおよび前記再生ヘッドによる前記信号の読み出しを制御すると共に前記磁気記録媒体に対する測定用信号の書き込みおよび読み出しを実行して当該両ヘッドについての所定のパラメータを測定する制御部とを備え、
前記制御部は、前記所定のパラメータを測定する際に、前記サーボパターン領域に形成された複数の前記記録領域のうちの前記磁気記録媒体の径方向に沿って連続的に形成された第1の記録領域に前記記録ヘッドを介して前記測定用信号を書き込むと共に前記再生ヘッドを介して当該測定用信号を読み出し、その読出し結果に基づいて当該所定のパラメータを測定する記録再生装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記所定のパラメータの測定として、前記記録ヘッドにおける前記磁気記録媒体の径方向に対応する長さの中心と前記再生ヘッドにおける当該径方向に対応する長さの中心との間の当該径方向に沿った離間距離を測定する請求項1記載の記録再生装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記所定のパラメータの測定として、前記記録ヘッドの磁気的書込み幅と前記再生ヘッドの磁気的読出し幅との少なくとも一方を測定する請求項1または2記載の記録再生装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記所定のパラメータを測定する際に、前記サーボパターン領域内に形成された前記各第1の記録領域のうちの予め規定された一部の第1の記録領域にのみ前記測定用信号を書き込む請求項1から3のいずれかに記載の記録再生装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記所定のパラメータを測定する際に、前記測定用信号を書き込んだ前記各第1の記録領域が形成されている前記サーボパターン領域に対して前記磁気記録媒体の周方向において隣接しないサーボパターン領域内に形成された前記各第1の記録領域に当該測定用信号を書き込む請求項1から4のいずれかに記載の記録再生装置。
【請求項6】
記録領域と非記録領域とを有するパターンによってデータトラックパターン領域にデータトラックパターンが形成されると共に当該記録領域と当該非記録領域とを有する当該パターンによってサーボパターン領域にサーボパターンが形成された磁気記録媒体と、当該磁気記録媒体に信号を書き込む記録ヘッドと、前記磁気記録媒体に書き込まれた信号を読み出す再生ヘッドとを備えた記録再生装置における前記磁気記録媒体に対する測定用信号の書き込みおよび読み出しを実行して当該両ヘッドについての所定のパラメータを測定する際に、前記サーボパターン領域に形成された複数の前記記録領域のうちの前記磁気記録媒体の径方向に沿って連続的に形成された第1の記録領域に前記記録ヘッドを介して前記測定用信号を書き込むと共に前記再生ヘッドを介して当該測定用信号を読み出し、その読出し結果に基づいて当該所定のパラメータを測定するパラメータ測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2007−164958(P2007−164958A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−205856(P2006−205856)
【出願日】平成18年7月28日(2006.7.28)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】