説明

記録再生装置及び記録再生方法、並びにコンピュータ・プログラム

【課題】デモデータや地図データなどの非撮影データを、撮影データとともに好適に記録再生する。
【解決手段】記録メディア上の非公開領域にデモデータなどの非撮影系のコンテンツ類を格納し、デジタルカメラがデモンストレーション・モードとして動作する場合など、必要があるときのみ、当該非公開領域へのアクセスを許可する。言い換えれば、撮影モードなどデジタルカメラの通常動作時には、デモデータを格納する領域は「非公開」であり、ユーザからはその存在が不可視であるとともに、動画像や静止画などの撮影データの記録に用いられることもない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばデジタルビデオカメラで撮影された静止画や動画、音声若しくは音楽などの各種データを記録メディアに記録再生する記録再生装置及び記録再生方法、並びにコンピュータ・プログラムに係り、特に、デジタルビデオカメラに対しマニュアル・データやデモデータ、地図データといった比較的大容量となる非撮影系コンテンツのデータを内蔵して提供する記録再生装置及び記録再生方法、並びにコンピュータ・プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
情報処理や情報通信など情報技術の発達とともに、過去に作成・編集した情報を再利用する必要が生じてきており、このために情報蓄積技術はますます重要となってきている。これまで、磁気テープや磁気ディスクなどさまざまなメディアを利用した情報記録装置が開発され普及している。このうち、ハード・ディスクなどのディスク型の記録メディアは、基本的には、回転するディスクの記録面上で読み書きヘッドが半径方向にシークする動作によって、ランダム・アクセスが可能である。
【0003】
ハード・ディスクは既に広汎に普及している。例えば、パーソナル・コンピュータ用の標準的なローカル記録装置として、コンピュータを起動するために必要なオペレーティング・システム(OS)やアプリケーションなど、さまざまなソフトウェアをインストールしたり、作成・編集したファイルを保存したりするためにハード・ディスクが利用されている。この種のランダム・アクセスが可能となる記録メディアに対しては、FAT(File Allocation Table)などのファイルシステム経由で各種データをファイルとして記録再生することができる。
【0004】
さらに、デジタルカメラのように大容量のデータを扱う情報機器にも、ローカル記録装置、若しくは外付けの記録装置としてハード・ディスクが利用されるようになっている。デジタルカメラは、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの固体撮像素子により被写体を撮影した画像データをデジタル・データとして処理するが、近年のデジタル処理の高速化と記録メディアの大容量化に伴って広範に普及している。デジタルビデオカメラの記録機器にハード・ディスクを用いる場合、多数の高画質画像データのデジタル記録や、記録データへのランダム・アクセスが可能である。また、カメラ本体をコンピュータにUSB(Universal Serial Bus)接続して、ハード・ディスク上のファイルをコンピュータ側から操作したり画像編集を行なったりすることができる。また、記録メディアの着脱機構を必要としないため、着脱可能な磁気テープや光ディスクを用いる場合に比べて、装置の重量や体積、コストを小さくすることが可能である。加えて、記録メディアの大きさや着脱部のレイアウトに制限されないので、より小型なデジタルビデオカメラを実現でき、デザインの自由度が高くなる(例えば、特許文献1、特許文献2を参照のこと)。
【0005】
ところで、最近のデジタルビデオカメラでは、マニュアル・データやデモデータ、地図データといった非撮影データを電子化して内蔵するものが増えてきている。例えば、デモ用ディスクを装填するとデモモードとして動作する記録再生装置について提案がなされている(例えば、特許文献3を参照のこと)。また、バッテリではなくACアダプタから電力が供給されているときにデモンストレーション画像を出力する携帯型再生装置について提案がなされており(例えば、特許文献4を参照のこと)、店舗に陳列され元電源を入れるだけでデモンストレーション画像が出力される。また、カメラがデモモードに設定されているときに、表示部にカメラの特徴や使い方を示す画像を表示させるカメラについて提案がなされている(例えば、特許文献5を参照のこと)。また、撮像部により得られる撮像画像について画像認識処理を行ない、その認識結果に基づいて複数のデモンストレーション・モードを切り替えて実行するデジタルビデオカメラについて提案がなされている(例えば、特許文献6を参照のこと)。また、実際の機構駆動によるデモンストレーション用動作を行なう機構駆動デモモードと、実際の機構駆動によるデモンストレーション用動作を行わず表示部にデモンストレーション用動作を映像として表示するプレゼンテーションデモモードとを含むデジタルビデオカメラについて提案がなされている(例えば、特許文献7を参照のこと)。また、デモンストレーション専用のクレードルに接続するだけで、自動的にデモンストレーションが実施されるデジタルビデオカメラについて提案がなされている(例えば、特許文献8を参照のこと)。
【0006】
デジタルビデオカメラのファインダ画面を通じてデモデータなどの非撮影データを再生出力することにより、音声及びテキスト、図形やビデオなどでユーザに理解し易く出力することができる。しかしながら、多くの場合、デモデータなどの非撮影データの供給元は、撮影データを格納するハード・ディスク・ドライブとは別の記録メディアになっており、パーツの追加などコスト増大を招来する要因となっている。
【0007】
【特許文献1】特開平8−140027号公報
【特許文献2】特開平9−168109号公報
【特許文献3】特開2001−203963号公報
【特許文献4】特開2006−155748号公報
【特許文献5】特開2007−134895号公報
【特許文献6】特開2005−203906号公報
【特許文献7】特開2004−32227号公報
【特許文献8】特開2003−271117号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、デジタルビデオカメラで撮影された静止画や動画、音声若しくは音楽などの各種データを、ハード・ディスクのようなディスク型のランダム・アクセスが可能となる記録メディアに好適に記録再生することができる、優れた記録再生装置及び記録再生方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することにある。
【0009】
本発明のさらなる目的は、デジタルビデオカメラに対しマニュアル・データやデモデータ、地図データといった比較的大容量となる非撮影系コンテンツのデータを内蔵し、ユーザに対し好適に提供することができる、優れた記録再生装置及び記録再生方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することにある。
【0010】
本発明のさらなる目的は、パーツの追加やコスト増大を招くことなく、非撮影系コンテンツのデータを機器内の記録メディアに格納することができる、優れた記録再生装置及び記録再生方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記課題を参酌してなされたものであり、その第1の側面は、
ランダム・アクセスが可能な記録メディアと、
前記記録メディア上に設けられた公開領域と、
前記記録メディア上の前記公開領域以降に設けられた非公開領域と、
前記記録メディアに対するアクセスを要求するアクセス要求手段と、
前記アクセス要求手段からのアクセス要求に応じて、前記公開領域及び非公開領域へのアクセス動作を制御するアクセス制御手段と、
を具備することを特徴とする記録再生装置である。
【0012】
ハード・ディスクなどのランダム・アクセスが可能な記録メディアが広範に普及しており、パーソナル・コンピュータなどの計算機システム以外に、デジタルビデオカメラなどの情報機器にも利用されている。
【0013】
他方、ファインダ画面を通じてデモデータなどの非撮影データを再生出力する機能が多くのデジタルビデオカメラに搭載されているが、撮影データとは異なる記録メディアをこの種の非撮影データの供給元とした場合には、パーツの追加などコスト増大を招来する要因となるなど不便である。
【0014】
本発明に係る記録再生装置は、例えばデジタルビデオカメラに適用することができるが、マニュアルやデモデータなどの非撮影コンテンツ系のデータを、撮影データとともに同一の大容量記録メディア上で撮影データとともに記録し、その再生動作を好適に制御するようになっている。
【0015】
例えば、記録メディア上にユーザへ公開していない領域、すなわち、当該記録メディアを搭載したデジタルビデオカメラなどの製品仕様として公開されていない領域が存在する場合には、かかる非公開領域にデモデータ(さらには、地図データや取扱説明書データ)などの非撮影系のコンテンツ類を格納しておく。そして、デジタルビデオカメラがデモンストレーション・モードとして動作する場合など、必要があるときのみ、当該非公開領域へのアクセスを許可するように記録メディアへのアクセス動作を制御する。
【0016】
言い換えれば、撮影モードなどデジタルビデオカメラの通常動作時には、デモデータを格納する領域は「非公開」であり、ユーザからはその存在が不可視であるとともに、動画像や静止画などの撮影データの記録に用いられることもない。
【0017】
本発明に係る記録再生装置において、アクセス制御手段は、記録メディアに対するデータの記録や再生などのアクセスを要求するアクセス要求手段からの要求に応じて、FATなどのファイルシステム経由でアクセス動作を制御する。また、記録メディアに対するアドレス指定方式としてLBA(Logical Block Addressing:論理ブロック・アドレス)方式を採用することができる。
【0018】
このような場合、記録メディアの先頭セクタ(LBA=0)には、従来通りのマスタ・ブート・レコード(MBR)を配置する。ここで、撮影データなどのユーザ・データを記録する「公開領域」としての第1のパーティションと、デモデータといった非撮影系のコンテンツ類を格納する「非公開領域」として第2のパーティションという2つのパーティションを設けるとした場合、そのMBR中のパーティション・テーブルからは、各パーティション・テーブルの開始セクタのLBAを指す。また、マスタ・ブート・レコード内のパーティション・テーブルには、パーティション毎にパーティション・ブート・レコード(PBR)が位置する。ここでは、第1のパーティションの先頭には第1のパーティション・ブート・レコード(PBR1)が配置されるとともに、第2のパーティションの先頭には第2のパーティション・ブート・レコード(PBR2)が配置され、これらのパーティション・ブート・レコードに関する情報がパーティション・テーブル内にそれぞれ格納される。そして、第1のパーティション及び第2のパーティションの直前には、陰のマスタ・ブート・レコードとなる、第1のマスタ・ブート・レコード及び第2のマスタ・ブート・レコードをそれぞれ配置する。
【0019】
以上のようにして、第1及び第2のパーティションをそれぞれ配置しておくと、LBA=0に配置されている従来通りのMBRから見えるパーティションは第1のパーティション及び第2のパーティションの双方であるが、第1のマスタ・ブート・レコードから見えるパーティションは第1のパーティションのみ、第2のマスタ・ブート・レコードから見えるパーティションは第2のパーティションのみとなる。
【0020】
そして、アクセス制御手段は、アクセス要求手段からの要求内容に応じて、第1又は第2のマスタ・ブート・レコードが配置されているLBAを仮想的にLBA=0とするオフセット処理を行ない、且つ、記録メディア全体のサイズとしてパーティションのサイズを算出して提示する。これによって、アクセス要求手段からは、第1のマスタ・ブート・レコードから見える第1のパーティションのみ、又は、第2のマスタ・ブート・レコードから見える第2のパーティションのみが、記録メディアとして見えることになる。
【0021】
すなわち、本発明によれば、従来の機器との接続互換性が維持された形態で、第1のパーティション及び第2のパーティションの双方、第1のパーティションのみ、第2のパーティションのみという具合に、3種類の接続形態を実現することができる。ここで言う接続形態とは、ファイルシステム経由で記録メディアにアクセスを行なう上位アプリケーションに対する記録メディアの「見せ方」に相当する。
【0022】
例えば、第1のパーティションを公開領域、第2のパーティションを非公開領域として用いることができる。アクセス制御手段は、例えば記録メディアの最大アドレスが第1のパーティションの最終アドレスとなるように容量クリップすると、所定の手順にて容量復元を行なわない限り、上位アプリケーションに対して第2のパーティションの存在を隠蔽することができる(言い換えれば、記録メディアへの撮影データの記録を行なう上位アプリケーションは、公開領域としての第1のパーティションにのみ記録を行なう)。
【0023】
ユーザに非公開の第2のパーティションにデモデータなどの再生専用となるデータを格納しておけば、記録メディアは未使用の状態としてユーザに提示することができ、また追記によるデータ破壊から保護することができる。これに対し、撮影データなどのユーザ・データの記録再生に用いるのと同じパーティション上にデモデータなどの非撮影系コンテンツのデータを格納した場合には、機器の出荷直後で動画や静止画などの撮影データを未記録の状態であっても、使用開始直後の記録メディアが既に幾らかの容量が使用済みとしてユーザに見えてしまう不具合がある。
【0024】
また、本発明の第2の側面は、公開領域及び前記公開領域以降に設けられた非公開領域が設けられた記録メディアへのアクセス動作を制御するための処理をコンピュータ上で実行するようにコンピュータ可読形式で記述されたコンピュータ・プログラムであって、前記コンピュータを、
前記記録メディアに対するアクセスを要求するアクセス要求手段、
前記アクセス要求手段からのアクセス要求に応じて、前記公開領域及び非公開領域へのアクセス動作を制御するアクセス制御手段、
として機能させるためのコンピュータ・プログラムである。
【0025】
本発明の第2の側面に係るコンピュータ・プログラムは、コンピュータ上で所定の処理を実現するようにコンピュータ可読形式で記述されたコンピュータ・プログラムを定義したものである。換言すれば、本発明の第2の側面に係るコンピュータ・プログラムをコンピュータにインストールすることによって、コンピュータ上では協働的作用が発揮され、本発明の第1の側面に係る記録再生装置と同様の作用効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、デジタルビデオカメラに対しマニュアル・データやデモデータ、地図データといった比較的大容量となる非撮影系コンテンツのデータを内蔵し、ユーザに対し好適に提供することができる、優れた記録再生装置及び記録再生方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することができる。
【0027】
また、本発明によれば、パーツの追加やコスト増大を招くことなく、非撮影系コンテンツのデータを機器内の記録メディアに格納することができる、優れた記録再生装置及び記録再生方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することができる。
【0028】
また、本発明によれば、マニュアルやデモデータなどの非撮影コンテンツ系のデータを、撮影データとともに同一の大容量記録メディア上で撮影データとともに記録し、その再生動作を好適に制御することができる、優れた記録再生装置及び記録再生方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することにある。
【0029】
本発明を例えばハード・ディスク・ドライブ内蔵のデジタルビデオカメラに適用した場合、新たなパーツを追加することなく、且つ、ユーザに公開している記録可能サイズ(製品仕様として公開している記録可能サイズ)を削減することなく、デモデータなどの比較的大容量の非撮影データを低コストで格納することが可能である。
【0030】
本発明のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する本発明の実施形態や添付する図面に基づくより詳細な説明によって明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳解する。
【0032】
図1には、本発明を適用した記録再生装置として動作することができる装置の一例として、デジタルビデオカメラの構成を模式的に示している。
【0033】
図示のデジタルビデオカメラ100は、光学レンズ部111と、光電変換部112、カメラ機能制御部102と、画像信号処理部113と、画像入出力部114と、液晶ディスプレイ(ファインダ)115と、音声入出力部116と、音声信号処理部117と、通信部131と、制御部101と、内蔵メモリ(RAM)118と、内蔵メモリ(ROM)119と、操作入力部120と、記録メディアに対するドライブ132と、GPS(Global Positioning System)や加速度センサなどのセンサ150と、上記の各構成部に対する電力供給を行なう電源141を備えている。
【0034】
制御部101は、CPU(Central Processing Unit)などで構成されるが、ROM(read Only Memory)119に格納された各種の処理プログラムに従って処理を実行する。RAM(Random Access Memory)118は、各処理において途中結果を一時記録するなど、主に作業領域として用いられる。
【0035】
操作入力部120は、動画撮影モード、静止画撮影モード、VTRモードなどの動作モードを切り換えるモード切り換えキー、静止画の撮影のためのシャッターキー、動画を撮影するための撮影開始キー、録画キー、再生キー、停止キー、早送りキー、早戻しキーなどの種々の操作キーや機能キーなどを備え、ユーザからの操作入力を受け付けて、受け付けた操作入力に応じた電気信号を制御部101に供給する。
【0036】
制御部101は、ユーザからの操作入力に応じて、目的とする処理を行なうためのプログラムをROM119から読み出して実行し、各部を制御することによって、ユーザからの指示に応じた処理の制御を行なう。
【0037】
デジタルビデオカメラ100は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリなどの各種の記録メディアを装着可能であり、これらの記録メディアに対してドライブ132を介して各種の情報を記録し、また、これらの記録メディアに記録された情報を再生する。
【0038】
ここで言う記録メディアには、いわゆるハード・ディスクが含まれる。ハード・ディスクの記録領域はFAT(File Allocation Table)などのファイルシステムによって管理されており、アプリケーションやオペレーティング・システムなどの上位層プログラムはファイルシステムを介してハード・ディスク内の記録領域にアクセスすることができる。また、ハード・ディスクは専用のデバイス・ドライバによって駆動制御され、ファイルシステムはデバイス・ドライバに対し書き込みコマンドや読み出しコマンドなどのホスト・コマンドを発行する。本実施形態では、ハード・ディスクの記録領域は、ユーザに公開された(すなわち製品仕様として公開されている)「公開領域」と、ユーザには公開されていない「非公開領域」に大別されるものとする(後述)。
【0039】
デジタルビデオカメラ100は、画像を撮像して得た画像データを、ドライブ132を介して磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリ(例えば、「メモリスティック(登録商標)」など)といった各種記録メディアに記録する「撮像モード」と、画像入出力部114や音声入出力部116あるいは通信部131を通じて供給を受けたデータを記録メディアに記録したり、記録メディアに記録されているデータを再生したりする「VTRモード」、並びに、カメラの特徴や使い方を示す画像を液晶ディスプレイ115に表示させる「デモンストレーション・モード」などを備えている。
【0040】
撮像モード下では、動画を撮像するとともに、これと同時に収音するようにした音声とを記録メディアに記録する動画撮像モードと、静止画を撮像する静止画撮像モードを備えている。また、VTRモード下では、記録ボタン・スイッチなどによって構成される操作入力部120を操作することによって供給されるデータの記録が行なわれ、また、再生ボタン・スイッチを操作することにより記録メディアに記録されている目的とするデータを再生することができる。また、デモンストレーション・モードでは、音声及びテキスト、図形やビデオなどを通じて、カメラの特徴や使い方をユーザに理解し易く出力することができる。
【0041】
また、図2には、本発明を適用した記録再生装置として動作することができる装置の他の例として、パーソナル・コンピュータの構成を模式的に示している。
【0042】
CPU201は、オペレーティング・システム(OS)が提供するプログラム実行環境下で、ROM201やハード・ディスク・ドライブ211に格納されているプログラムを実行する。
【0043】
ROM(Read Only Memory)202は、POST(Power On Self Test)やBIOS(Basic Input Output SYstem)などのプログラム・コードを恒久的に格納する。RAM203は、ROM202やHDD211に格納されているプログラムをCPU201が実行する際にロードしたり、実行中のプログラムの作業データを一時的に保持したりするために使用される。これらはCPU201のローカル・ピンに直結されたローカル・バス204により相互に接続されている。
【0044】
ローカル・バス204は、ブリッジ205を介して、PCI(Peripheral Component Interconnect)バスなどの入出力バス206に接続されている。
【0045】
キーボード208と、マウスなどのポインティング・デバイス209は、ユーザにより操作される入力デバイスである。ディスプレイ210は、LCD(Liquid Crystal Display)又はCRT(Cathode Ray Tube)などから成り、各種情報をテキストやイメージで表示する。
【0046】
HDD211は、記録メディアとしてのハード・ディスクを内蔵し、ハード・ディスクを駆動する。ハード・ディスクには、オペレーティング・システムや各種アプリケーションなどCPU210が実行するプログラムをインストールしたり、動画像や静止画像などのメディア・ファイルや、データ・ファイルなど、各種のローカル・ファイルを保存したりするために使用される。
【0047】
HDD211の記録領域はFATなどのファイルシステムによって管理されており、アプリケーションやオペレーティング・システムなどの上位層プログラムはファイルシステムを介してハード・ディスク内の記録領域にアクセスすることができる。また、ハード・ディスクは専用のデバイス・ドライバによって駆動制御され、ファイルシステムはデバイス・ドライバに対し書き込みコマンドや読み出しコマンドなどのホスト・コマンドを発行する。本実施形態では、ハード・ディスクの記録領域は、ユーザに公開された(すなわち製品仕様として公開されている)「公開領域」と、ユーザには公開されていない「非公開領域」に大別されるものとする(後述)。
【0048】
ドライブ212は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、又は半導体メモリ(例えば、「メモリスティック(登録商標)」など)といったリムーバブル記録メディア221に記録されているデータ又はプログラムを読み出して、入出力インターフェース207、入出力バス206、ブリッジ205、及びローカル・バス204を介して接続されているRAM503に供給する。
【0049】
接続ポート214は、外部接続機器222を接続するポートであり、USBやIEEE1394などの接続インターフェースを持つ。接続ポート214は、インターフェース207、及び入出力バス206、ブリッジ205、ローカル・バス204を介してCPU201に接続されている。通信部215は、ネットワークに接続され、その他の情報処理装置(図示しない)との通信を実行する。
【0050】
上述したデジタルビデオカメラ100では、光学レンズ部111や光電変換部112などからなるカメラ部を通じて撮像することにより得た静止画データや動画データ、あるいは、画像入出力部114を通じて外部機器から供給を受けた静止画データや動画データ、さらには、通信部131を介して供給を受けた静止画データや動画データなどをハード・ディスクに記録することができる。また、パーソナル・コンピュータ200などの情報機器においても、編集データや、接続ポート214や通信部215を介して供給を受けた静止画データや動画データなどをハード・ディスクの公開領域に記録することができる。
【0051】
続いて、デジタルビデオカメラ100やパーソナル・コンピュータ200などの情報機器において、FATファイルシステムを利用して記録メディアに対するデータの記録並びに再生を行なうための動作について説明する。但し、以下で言う「記録メディア」とは、図1に示したデジタルビデオカメラがドライブ132として搭載するハード・ディスクや、図2に示したコンピュータが内蔵するHDD211などに相当するが、FATファイルシステムに組み込むことができるその他のさまざまな記録メディアを含めることができる、ということを理解されたい。
【0052】
記録メディアの記録空間を管理するファイルシステムは、ハード・ディスクなど記録メディア毎のデバイス・ドライバに対して書き込みや読み出しなどを要求するホスト・コマンドを発行することで、データの書き込みや読み出しを行なう(前述)。図3には、記録メディアにアクセスしてデータの記録並びに再生を行なうための処理階層を模式的に示している。
【0053】
最上位層のアプリケーション・プログラムは、ユーザからの処理要求を受け付けるとともに処理結果を返すユーザ・インターフェース(UI)となる。アプリケーション・プログラムの直近下層には記録メディア上のファイルを管理するファイル管理プログラムとしてのファイルシステムが存在する。さらにその下層のデバイス・ドライバは、ファイルシステムからの情報に基づいて、記録メディアを制御する。
【0054】
アプリケーションとファイルシステム間では、ファイルを単位としてアクセス要求及び応答がなされる。また、ファイルシステムとデバイス・ドライバ間では、クラスタを単位としてアクセス要求及び応答がなされる。また、デバイス・ドライバと記録メディア間では、セクタを単位としてアクセス要求及び応答がなされる。アプリケーション、ファイルシステム、並びにデバイス・ドライバは、制御部101やCPU201で実行するソフトウェア・プログラムである。
【0055】
記録メディアに対してデータを記録し、又は記録メディアからデータを再生する場合、例えばアプリケーション・プログラムを介する要求がファイルシステム、デバイス・ドライバの順に伝えられ、ファイルシステム並びにデバイス・ドライバの機能によりデータの書き込み又は再生が実行される。
【0056】
図4には、図3に示した処理階層のうち、ファイルシステムをさらに詳細にして示している。図示の例では、2つの記録メディアA341及び記録メディアB342が装備されており、デバイス・ドライバ330としてそれぞれに対応するデバイス・ドライバA332及びデバイス・ドライバB333がインストールされている。
【0057】
アプリケーション310、ファイルシステム320、及びデバイス・ドライバ330は、それぞれの処理に必要なプログラムやパラメータの格納、データ処理におけるワーク領域としてRAM350を利用する。
【0058】
アプリケーション310には、各記録メディアに対するデータ記録処理を実行する記録アプリケーション311や、各記録メディアに記録されたデータの再生処理を実行する再生アプリケーション312、接続機器による処理を実行するUSB接続アプリケーション313など、処理に応じたアプリケーションが含まれる。ユーザはこれらのアプリケーション311〜313を選択してさまざまな処理を実行することになる。記録アプリケーション311並びに再生アプリケーション312はファイルシステム経由でデバイス・ドライバ330にアクセスし、USB接続アプリケーション313はデバイス・ドライバ330に直接アクセスするものとする。
【0059】
ファイルシステム320は、記録メディアの種別やフォーマット情報などを含む各記憶メディア対応のマウントドライブ情報321、322を保持し、これらマウントドライブ情報に従って、ハード・ディスクなどの記録メディアを適用したデータ記録並びに再生制御を実行する。ファイルシステム320は、データ記録再生制御を実行する記録再生制御部323と、メディア制御を実行するメディア制御部324を有する。記録再生制御部323の実行する処理はメディア非依存型のメディア共通の処理であり、メディア制御部324の実行する処理はメディア依存型の処理である。
【0060】
記録再生制御部323は、ファイル・アロケーション・テーブル(FAT)の記録や参照処理を実行するFAT制御部323Aと、データ記録位置情報としてのクラスタの決定処理やクラスタ番号に基づく再生位置決定処理を実行するクラスタ制御部323Bと、ファイルに対応する情報を格納したディレクトリ・エントリ(後述)を生成し、又は参照する処理を実行するディレクトリ・エントリ制御部324Cを有する。ディレクトリ・エントリ制御部324Cは、アプリケーション301からの記憶手段やファイル指定情報に基づいて特定のファイルに対応するディレクトリ・エントリを取得し、例えばファイル再生の場合は、ディレクトリ・エントリから先頭クラスタ番号を取得し、クラスタ制御部324Bに提供する。
【0061】
メディア制御部324は、位置算出部324Aを有する。位置算出部324Aは、クラスタ制御部322が決定するクラスタ情報やFATのクラスタ連鎖情報に基づいて、クラスタ番号によってデータ記録又はデータ再生を実行する記録メディア上のアクセス位置を決定し、その位置情報に従ってデバイス・ドライバ330を制御し、デバイス・ドライバ330を介して記録メディアに対するデータ記録、又は当該記録メディアからのデータ再生を実行する。
【0062】
続いて、ファイルシステムを用いた一般的な記録メディアの管理方法について説明する。
【0063】
ハード・ディスクのようなディスク型の記録メディアに対するアドレス指定方式として、シリンダ(Cylinder)、ヘッド(Head)、セクタ(Sector)の3つのパラメータを1組として用いてアドレスを指定するCHS(Cylinder/Head/Sector)方式と、記録領域上のアクセス可能な各単位ブロック(例えば、1セクタ単位)に0番から順番に数字(ブロック・アドレス(論理アドレス))を割り当てるLBA(Logical Block Addressing:論理ブロック・アドレス)方式を挙げることができる。CHS方式は、ハード・ディスクの物理的構造をそのまま流用したアドレス指定方式であり、シリンダ、ヘッド、セクタというアドレス指定のためのパラメータが3つあることから、ソフトウェア的な処理が複雑である。これに対し、LBA方式は、ブロック・アドレスという単一のパラメータで指定するので、アクセス時のアドレス指定が極めて簡単である。現在、ハード・ディスクのアドレス指定方式としてはLBA方式が主流である。ちなみに、LBA方式は、例えばメモリカードなどのリムーバブル・メディアやその他の記録メディアにも広く適用されている。以下では、LBA方式を用いて説明することにする。
【0064】
また、ハード・ディスクの記録空間は、FAT(File Allocation Table)などのファイルシステムによって管理される。この種のファイルシステムは、記録メディアに対して記録される各ファイルについての記録位置情報、記録位置連鎖情報といったファイルシステムの管理情報を管理する。例えば、図1に示したデジタルビデオカメラでは、静止画像、動画像、音声(又は音楽)といった各種データ(撮影データ)は、ファイルシステムを介してファイルとしてハード・ディスクなどの記録メディアに記録される。1つの記録メディアは1又は2以上のパーティションに区画される。FATには、FAT16やFAT32が挙げられる。FAT方式でフォーマットされたパーティションは、セクタと称される所定容量(例えば、512バイト)毎の区画に分割され、各セクタにはセクタ・アドレスが付与される。セクタは区画の最小単位であるが、実際には複数のセクタをまとめたクラスタを単位にしてデータの記録・再生を行なうことが多い。
【0065】
クラスタは、FATがパーティション内のデータ領域を管理できる最小単位であり、1ファイル当たりの最小記録単位に相当する。1つのクラスタは、記録メディアの最小単位であるセクタ(ハード・ディスクの場合、セクタ・サイズ=512バイト)をn個(n=1,2,4,…,64,128)集めた構成になる。セクタはファイルを管理する単位としては小さ過ぎるので、複数のセクタをまとめたクラスタという単位を用いることによって、ファイルの管理が容易となる。クラスタの具体的な大きさは、例えばFAT32の場合には4キロバイトである。
【0066】
ファイルシステムは、記録メディア上のファイルを管理するための仕組み、すなわち、ユーザが論理的に扱うファイルやディレクトリを実際の物理的なディスク上に対応させてファイルやディレクトリ自体を構成する体系であり、ディレクトリ・エントリとFATという情報を管理する。
【0067】
ファイルは、クラスタを単位として構成されているが、クラスタの記録メディア上の物理的な位置はファイル毎に常に連続している訳ではない。FATは、ファイルを構成するクラスタ同士のつながりを管理するためのテーブルであり、FATの各エントリは記録メディアの各クラスタと1対1に対応している。また、ファイルの開始クラスタはディレクトリ・エントリに記録され、その次のクラスタを指しているのは最初のクラスタに対応するFATの次のエントリの内容である。記録メディア内のパーティション内にファイルが記録されたとき、ファイル名や記録日時といったファイルの詳細情報を管理するためのディレクトリ・エントリが形成される。
【0068】
図5には、記録メディアに記録される各ファイルに設定されるディレクトリ・エントリの情報構造を模式的に示している。図示のように、各ファイルに対応するディレクトリ・エントリは、ファイル名欄、拡張名欄、属性欄、予約欄、作成時刻欄、作成日欄、最終アクセス日付欄、先頭クラスタ番号の指示情報(High)欄、記録時刻欄、記録日付欄、先頭クラスタ番号の指示情報(Low)欄、ファイル・サイズ欄を備え、それぞれ対応する情報、すなわち、ファイル名、拡張名、属性、作成時刻、作成日、最終アクセス日付、先頭クラスタ番号(High)、記録時刻、記録日付、先頭クラスタ番号(Low)、ファイル・サイズを格納する。このディレクトリ・エントリの情報を用いることにより、ファイル名によって特定されるファイルは、(1)どのような属性のものであり、(2)開始クラスタはどこで、(3)どの位の大きさのファイルであり、(4)いつ作成され、(5)最終アクセスはいつで、(6)データの記録はいつ行なわれたかなどを管理することができる。先頭クラスタ番号は、パーティションをクラスタ単位に区画したデータ領域の内の何番目のクラスタから当該ファイルのデータの記録が行なわれたかを示すものであり、ディレクトリ・エントリ内では、同図に示すように、先頭クラスタ番号を上位側(high側)の2バイトと下位側(Low側)の2バイトに分けて管理される。
【0069】
また、ファイル・アロケーション・テーブル(FAT)は、記録メディアに対して記録されるデータ・ファイル各々についての記録位置情報、記録位置連鎖情報を管理するテーブルである。図6には、ファイル・アロケーション・テーブルのデータ構成例を示している。各ファイルの構成データは、1つ以上のクラスタに分散されて記録メディアに記録される。ファイル・アロケーション・テーブルは、各ファイルの構成データを格納したクラスタのクラスタ番号の連鎖情報を格納している。同図中の2重線で示す項目は、インデックスであり、データ・エントリとして、以下のクラスタ番号を示している。なお、同図に示すテーブルでは[0×]を省略しているが、上記[0×]は後続の8桁の0〜Fの数値で示されるクラスタ番号が16進数表記であることを示している。
【0070】
[0×00000000]〜[0×0000000F]
[0×00000010]〜[0×0000010F]
[0×00000020]〜[0×0000020F]
[0×00000030]〜[0×0000030F]
【0071】
各ファイルの構成データを格納したクラスタ番号の位置に、ファイル構成データの次のデータを格納したクラスタ番号が記録され、最終クラスタ番号の位置にはEOF(エンドオブファイル)を示すコード[0×0FFFFFFF]が記録される。先頭クラスタ番号は、各ファイルのディレクトリ・エントリ(図5を参照のこと)に記録されている(前述)。
【0072】
例えば、ディレクトリ・エントリに記録された第1のファイルの先頭クラスタ番号を0×00000007とし、第2のファイルの先頭クラスタ番号を0×0000000Aとし、第3のファイルの先頭クラスタ番号を0×0000001Bとし、第4のファイルの先頭クラスタ番号を0×0000002Cとする。
【0073】
第1ファイルの先頭クラスタ番号は、[0×00000007]であるので、まず、クラスタ番号[0×00000007]のクラスタを読み取ることで、第1ファイルの最初のデータが取得できる。第1ファイルの次の構成データの記録されたクラスタ番号は、図6に示すFATのクラスタ番号[0×00000007]の位置の記録情報に基づいて知ることができる。図6に示すFATのクラスタ番号[0×00000007]の位置にはクラスタ番号[0×00000008]が記録され、第1ファイルの次の構成データの記録されたクラスタ番号は[0×00000008]であることが判明し、クラスタ番号[0×00000008]のクラスタからデータを読み取ることができる。
【0074】
さらに、第1ファイルの次の構成データの記録されたクラスタ番号は、図6に示すFATのクラスタ番号[0×00000008]の位置に記録されている。図6に示すFATのクラスタ番号[0×00000008]の位置にはクラスタ番号[0×00000009]が記録され、第1ファイルの次の構成データの記録されたクラスタ番号は[0×00000009]であることが判明し、クラスタ番号[0×00000009]のクラスタからデータを読み取ることができる。さらに、次の構成データの記録されたクラスタ番号を取得するため、FATのクラスタ番号[0×00000009の位置の記録情報を参照すると、EOF(エンドオブファイル)の対応コード[0×0FFFFFFF]が記録されており、後続データはないことが判明する。
【0075】
結果として、第1のファイルは、クラスタ番号:[0×00000007]→[0×00000008]→[0×00000009]によって指定されるクラスタに格納されていることが判明する。
【0076】
同様に、第2のファイルはクラスタ番号:[0×0000000A]→[0×0000001F]→[0×0000025]→[0×00000031]→[0×00000030]によって指定されるクラスタに格納され、第3のファイルはクラスタ番号:[0×000001B]→[0×0000011]→[0×0000012]→[0×0000013]→[0×0000014]→[0×0000003]によって指定されるクラスタに格納され、第4のファイルはクラスタ番号:[0×000002C]→[0×000002D]→[0×000002E]→[0×000002F]→[0×0000038]→[0×0000039]→[0×000003A]→[0×000003B]によって指定されるクラスタに格納されていることが判明し、これらのクラスタからデータを取得することが可能となる。
【0077】
なお、図6に示したFATは、FAT32に対応するデータ構成例である。FAT32では、EOF(エンドオブファイル)の対応コードは[0×0FFFFFFF]であるが、FAT16では、EOF(エンドオブファイル)の対応コードは[0×FFFF]である。EOF(エンドオブファイル)の対応コードを検出することで、ファイル構成データが終了することを判別することができる。
【0078】
このように、記録メディアに記録される各ファイルは、以下の3要素を有し、これらが記録メディア上に記録され、ディレクトリ・エントリとFATに基づいて各ファイルの構成クラスタを識別して、データを読み取ることができる。
【0079】
(a)ファイル名や作成日時、ファイル・サイズなどを保持する「ディレクトリ・エントリ」
(b)クラスタの連鎖情報を保持する「FAT」
(c)クラスタ単位で記録されている「データ(ファイルの実体)」
【0080】
また、ハード・ディスクなどの記録メディアを1以上のパーティションに区切り、指定したパーティションに対してフォーマット処理を施すことによって、そのパーティションはFATファイルシステムに組み込まれる。
【0081】
FAT16のデータ構造は、図7Aに示すように、先頭セクタ(LBA=0)にマスタ・ブート・レコード(MBR)が記録され、以降はパーティション毎に、パーティション・ブート・レコード(PBR)、ファイル・アロケーション・テーブル1(FAT1)、ファイル・アロケーション・テーブル2(FAT2)が記録され、さらにルート・ディレクトリ・エントリ、並びにデータ領域が続く。データ領域は複数のクラスタに区画される。
【0082】
また、図7Bには、ハード・ディスクにパーティションを設け、FAT32でフォーマットした場合のデータ構造を示している。図示のように、FAT32のデータ構造は、先頭セクタ(LBA=0)にマスタ・ブート・レコード(MBR)が記録され、以降はパーティション毎に、パーティション・ブート・レコード(PBR)、ファイルシステム情報(FSinfo)、ファイル・アロケーション・テーブル1(FAT1)、ファイル・アロケーション・テーブル2(FAT2)が記録され、その後はデータ領域が続く。データ領域は複数のクラスタに区画される。ファイル・アロケーション・テーブル2(FAT2)は、ファイル・アロケーション・テーブル1(FAT1)のコピーであり、予備データとして利用される。
【0083】
なお、説明の簡素化のため、図7には、ハード・ディスク内にパーティションを1つだけ設けた場合のFAT32のそれぞれのデータ構造を示したが、記録領域を複数のパーティションに区切って管理することが可能である。
【0084】
図8には、マスタ・ブート・レコードの構成を模式的に示している。マスタ・ブート・レコードは、起動時に最初に読み込まれるセクタに相当し、主に起動情報とパーティション情報を保持している。起動情報は、起動コード領域に格納される、「ブート・ストラップ・ローダ」とも呼ばれる起動コードである。また、パーティション情報は、各パーティションの開始アドレスとサイズ情報を含むパーティション・テーブルを保持している。記録領域を複数のパーティションに区切った場合、パーティション毎のパーティション・テーブルが設定される。
【0085】
マスタ・ブート・レコード内には複数個のパーティション・テーブル(図7に示した例では4個)を設けることができる。各パーティション・テーブルは、上述したように、例えばハード・ディスクの記録領域を分割して形成される各パーティション領域の位置(開始アドレス)と大きさ(パーティション・サイズ)を示す情報を保持する。なお、パーティション・テーブル領域に続く2バイト(0E,0F)には、パーティション・テーブルに対する署名(ブート・シグニチャ)が付与される。
【0086】
図9には、16バイト(128ビット)データ長からなるパーティション・テーブルのデータ構造を示している。0バイト目から7バイト目までの8バイト分のエリアがCHS(Cylinder/Head/Sector)方式でアドレスを指定する場合に用いる情報の格納エリアであり、8バイト目から15バイト目までの8バイト分のエリアがLBA(Logical Block Addressing:論理ブロック・アドレス)方式でアドレスを指定する場合に用いる情報の格納エリアである。
【0087】
パーティション・テーブルのうちCHS方式でアクセスする場合に用いる情報の格納エリアは、0バイト目のアクティブ・フラグ情報(以下、単に「フラグ情報」という)の格納エリア、1バイト目から3バイト目までの3バイト分のCHS方式でアクセスする場合に用いる開始セクタ情報の格納アリア、4バイト目のパーティション・タイプ情報(以下、単に「タイプ情報」という)の格納エリア、及び、5バイト目から7バイト目までの3バイト分のCHS方式でアクセスする場合に用いる終了セクタ情報の格納エリアである。
【0088】
また、パーティション・テーブルのうちLBA方式でアクセスする場合に用いる情報の格納エリアは、8バイト目から11バイト目までの4バイト分のLBA方式で用いられる開始セクタ情報の格納エリアと、12バイト目から15バイト目までの4バイト分のLBA方式で用いられるパーティション・サイズの格納エリアである。
【0089】
起動時には、まず、マスタ・ブート・レコードの起動コード領域から、「ブート・ストラップ・ローダ」とも呼ばれる起動コード(プログラム)が読み出される。読み出された起動コードは、起動コードの直後に形成されるパーティション・テーブル領域のパーティション・テーブルを参照し、目的とするパーティションの開始セクタのアドレスを取得すると、そこからパーティション・ブート・セクタ(PBR)の情報を読み出す。そして、このブート・セクタのコード(プログラム)によって、このパーティションに置かれたオペレーティング・システム(OS)が起動される。
【0090】
なお、FAT16/32の詳細については、例えば、“Microsoft Extensible Firmware Initiative FAT32 File System Specification”を参照されたい。
【0091】
「背景技術」の欄でも既に述べたように、ファインダ画面を通じてデモデータなどの非撮影データを再生出力する機能が多くのデジタルビデオカメラに搭載されており、音声及びテキスト、図形やビデオなどでユーザに理解し易くデモンストレーションを実施することができる。
【0092】
ところが、撮影データとは異なる記録メディアをこの種の非撮影コンテンツ系データの供給元とした場合(すなわち、撮影データを記録するハード・ディスクとは別に、非撮影コンテンツ用の記録メディアを機器に装備した場合)には、パーツの追加などコスト増大を招来する要因となるなど不便である。
【0093】
そこで、本実施形態では、デモデータなどの非撮影データを、撮影データとともに同一のハード・ディスク上に記録し、その再生動作を好適に制御するようになっている。
【0094】
また、本実施形態では、デジタルビデオカメラ100あるいはパーソナル・コンピュータ200に搭載されるハード・ディスクの記録領域は、ユーザに公開された「公開領域」と、ユーザには公開されていない「非公開領域」に大別されることを想定している。そして、非公開領域にデモデータ(さらには、地図データや取扱説明書データ)などの非撮影系のコンテンツ類を格納しておき、デジタルビデオカメラがデモンストレーション・モードとして動作する場合など、必要があるときのみ、当該非公開領域へのアクセスを許可するように記録メディアへのアクセス動作を制御するようにしている。
【0095】
撮影モードなどデジタルビデオカメラの通常動作時には、デモデータを格納する領域は「非公開」であり、ユーザからはその存在が不可視であるとともに、動画像や静止画などの撮影データの記録に用いられることもない。
【0096】
ハード・ディスクの記録領域に非公開領域を配設することは、例えば図10(A)に示すように、デジタルビデオカメラの製造業者がハード・ディスク・ドライブのベンダから仕入れる際の純粋ディスク容量(Native Max Address)が40GBであるのに対し、製造時において当該ディスク容量の一部をクリップして、製品仕様としての見かけ上のディスク容量(Max Address)は30GBとして出荷することに相当する。図10(B)において斜線で示す非公開領域は、ユーザからアクセス不可能となる。具体的には、図10(C)に示すように、斜線以外の領域のみFATフォーマット処理を行なうことで、当該領域はFATによりアクセス可能な公開領域となる一方、斜線部分はFATによりアクセスすることができない非公開領域となる。
【0097】
ハード・ディスクなどの記録メディアを1以上のパーティションに区切り、指定したパーティションに対してフォーマット処理を施すことによって、各々のパーティションはFATファイルシステムに組み込まれる(前述)。ここで、撮影データなどのユーザ・データを記録する「公開領域」としての第1のパーティションと、デモデータといった非撮影系のコンテンツ類を格納する「非公開領域」として第2のパーティションという2つのパーティションを設けるとした場合、そのMBR中のパーティション・テーブルからは、各パーティション・テーブルの開始セクタのLBAを指す。FATファイルシステムであれば、マスタ・ブート・レコード内のパーティション・テーブルには、パーティション毎にパーティション・ブート・レコード(PBR)が位置する。ここでは、第1のパーティションの先頭には第1のパーティション・ブート・レコード(PBR1)が配置され、第2のパーティションの先頭には第2のパーティション・ブート・レコード(PBR2)が配置され、これらのパーティション・ブート・レコードに関する情報がパーティション・テーブル内にそれぞれ格納される。そして、第1のパーティション及び第2のパーティションの直前には、陰のマスタ・ブート・レコードとなる、第1のマスタ・ブート・レコード(MBR1)及び第2のマスタ・ブート・レコード(MBR2)がそれぞれ配置される。
【0098】
以上のようにして、ハード・ディスク上に第1及び第2のパーティションをそれぞれ配置しておくと、従来通りのMBRから見えるパーティションはMBR1及びMBR2の双方であるが、MBR1から見えるパーティションは第1のパーティションのみ、MBR2から見えるパーティションは第2のパーティションのみという具合に、従来の機器との接続互換性が維持された形態で、3種類の接続形態を実現することができる。ここで言う接続形態とは、ファイルシステム経由で記録メディアにアクセスを行なう上位アプリケーションに対する記録メディアの「見せ方」に相当する。
【0099】
例えば、記録メディアの最大アドレスが第1のパーティションの最終アドレスとなるように容量クリップすると、所定の手順にて容量復元を行なわない限り、上位アプリケーションに対して第2のパーティションの存在を隠蔽することができる(言い換えれば、記録メディアへの撮影データの記録を行なう上位アプリケーションは、公開領域としての第1のパーティションにのみ記録を行なう)。
【0100】
このように、ユーザに非公開の第2のパーティションにデモデータを格納しておけば、記録メディアは未使用の状態としてユーザに提示することができる。(これに対し、第1のパーティション上にデモデータなどの非撮影系コンテンツのデータを格納した場合には、動画や静止画などの撮影データを未記録だとしても、使用開始直後の記録メディアが既に幾らかの容量が使用済みの状態としてユーザに見えてしまう。)
【0101】
ハード・ディスクの記録領域の変遷について、図11を参照しながら説明する。
【0102】
図11Aには、製造時(若しくは、機器のメーカがハード・ディスクを納入した直後)の記録領域を示している。
【0103】
ここで、記録領域のLBA=X〜E1の区画を第1のパーティションに区切るとともに、LBA=Y〜E2の区画を第2のパーティションに区切り、データ記録再生できるように各々のパーティションに対しフォーマッティングを施すと、先頭セクタ(LBA=0)にマスタ・ブート・レコード(MBR)が記録され、また、第1のパーティションの先頭(LBA=X)には第1のパーティション・ブート・レコード(PBR1)が配置されるとともに、第2のパーティションの先頭(LBA=Y)には第2のパーティション・ブート・レコード(PBR2)が配置され、これらのパーティション・ブート・レコードに関する情報がパーティション・テーブル内にそれぞれ格納される。さらに、本実施形態では、PBR1の直前(LBA=X−1)に陰のマスタ・ブート・レコードとなる第1のマスタ・ブート・レコード(MBR1)が配置されるとともに、PBR2の直前(LBA=Y−1)に第2のマスタ・ブート・レコード(MBR2)が配置される(図11Bを参照のこと)。
【0104】
従来通りのMBRから見えるパーティションはMBR1及びMBR2の双方であるが、MBR1から見えるパーティションは第1のパーティションのみ、MBR2から見えるパーティションは第2のパーティションのみとなる。
【0105】
さらに、図11Cに示すように、記録メディアの最大アドレスが第1のパーティションの最終アドレス(LBA=E1)となるように容量クリップすることにより、上位アプリケーションに対して第2のパーティションの存在を隠蔽する。第2のパーティションは、上位アプリケーションからアクセス不能になるが、ユーザ・アクセスから保護されると言うこともできる。
【0106】
デジタルビデオカメラなどの機器を出荷する時点で、Max Address=E1となるようにハード・ディスクの容量をクリップして出荷する。この隠された第2のパーティションの中に、デモデータや、取扱説明書データ、地図データなどの非撮影系コンテンツのデータを格納しておく。例えば、純粋容量が40GBのハード・ディスクを容量クリップし、ディスク容量が30GBのモデルとして発売する。ユーザから隠された10GBのパーティションの中に上記の非撮影系コンテンツが格納されているが、ユーザに対し記録可能サイズとして提供する30GBのパーティションは消費されずに済む。
【0107】
そして、デモンストレーション・モードの起動などにより第2のパーティションにアクセスしたいときには、Set Max Address(Ext)などの所定の手順にて、Max Addressを元の純粋最大アドレス(Native Max Address)に戻し、容量復元を行なうようにする(図11Dを参照のこと)。
【0108】
記録領域の先頭の論理アドレス(LBA=0(0x00000000))に設定されるMBRは、各パーティションの開始アドレスを保持しており、MBRを参照すれば2つのパーティションの開始アドレスを得ることができる。図12Aには、図11に示した記録領域の先頭の論理アドレス(LBA=0(0x00000000))に設定されるマスタ・ブート・レコード(MBR)のデータ構成例を示している。図示の例では、第1のパーティションに対応するパーティション・テーブル1011と、第2のパーティションに対応するパーティション・テーブル1021がMBR中に記録されている。
【0109】
各パーティション・テーブル1011、1021には、図9を参照しながら説明したように、8バイト目から11バイト目までの4バイト分がLBA方式で用いられる開始セクタ情報の格納エリア、12バイト目から15バイト目までの4バイト分がLBA方式で用いられるパーティション・サイズが、それぞれ格納されている。したがって、図12Bに示すように、MBRの第1のパーティションに対応するパーティション・テーブル1011の第1パーティションの開始セクタ(LBA)記録領域1012、パーティション・サイズ記録領域1013、並びに第2のパーティションに対応するパーティション・テーブル1021の第2のパーティションの開始セクタ(LBA)記録領域1022、パーティション・サイズ記録領域1023から下記のパーティション構成情報を取得することができる。
【0110】
第1のパーティションの開始LBA: X=0x0000003F
第1のパーティションのサイズ: A=0x3456789A
第2のパーティションの開始LBA: Y=0x456789AB
第2のパーティションのサイズ: B=0x01234567
【0111】
また、FATでは、各パーティションの開始アドレスには、それぞれに対応する起動コードを含むパーティション・ブート・レコード(PBR)が配置される。すなわち、第1のパーティションの開始LBAであるXの位置には第1のパーティションに対応するPBR1が設定され、第2のパーティションの開始LBAであるYの位置には、第2のパーティション対応のPBR2が設定されている。
【0112】
さらに、PBR1の直前の位置(LBA=X−1)には第1のパーティション専用となるマスタ・ブート・レコードMBR1が配置されるとともに、PBR2の直前の位置(LBA=Y−1)には第2のパーティション専用となるマスタ・ブート・レコードMBR2が配置される。なお、第1のパーティションと第2のパーティションの間は、1セクタ以上の隙間が設けられる。
【0113】
図13Aには、第1のパーティション専用のマスタ・ブート・レコードMBR1のデータ構成例を示している。図示のように、MBR1中には、第1のパーティションに対応するパーティション・テーブル2011のみが記録され、第2のパーティションに対応するパーティション・テーブルは記録されていない。
【0114】
また、パーティション・テーブル2011には、図9を参照しながら説明したように、8バイト目から11バイト目までの4バイト分がLBA方式で用いられる開始セクタ情報の格納エリア、12バイト目から15バイト目までの4バイト分がLBA方式で用いられるパーティション・サイズが、それぞれ格納されている。したがって、図13Bに示すように、MBR1の第1のパーティションに対応するパーティション・テーブル2011の第1のパーティションの開始セクタ(LBA)記録領域2012、パーティション・サイズ記録領域2013から、下記のパーティション構成情報を取得することができる。
【0115】
第1のパーティションの開始LBA: X=0x0000003F
第1のパーティションのサイズ: A=0x3456789A
【0116】
このように、論理アドレス(LBA)=X−1に設定される第1のパーティション対応のマスタ・ブート・レコードMBR1を参照すれば第1のパーティションの開始アドレスとサイズを得ることができ、第1のパーティションに対するアクセスのみが可能となる。但し、第2パーティションについての情報は得られないため、第2パーティションに対するアクセスはできない。
【0117】
図14Aには、第2のパーティション専用のマスタ・ブート・レコードMBR2のデータ構成例を示している。図示のように、MBR2中には、第2のパーティションに対応するパーティション・テーブル2021のみが記録され、第1のパーティションに対応するパーティション・テーブルは記録されていない。
【0118】
また、パーティション・テーブル2021には、図9を参照しながら説明したように、8バイト目から11バイト目までの4バイト分がLBA方式で用いられる開始セクタ情報の格納エリア、12バイト目から15バイト目までの4バイト分がLBA方式で用いられるパーティション・サイズが、それぞれ格納されている。したがって、図14Bに示すように、MBR2の第2のパーティションに対応するパーティション・テーブル2021の第2のパーティションの開始セクタ(LBA)記録領域2022、パーティション・サイズ記録領域2023から、下記のパーティション構成情報を取得することができる。
【0119】
第2のパーティションの開始LBA: Y=0x456789AB
第2のパーティションのサイズ: B=0x01234567
【0120】
このように、論理アドレス(LBA)=Y−1に設定される第2のパーティション対応のマスタ・ブート・レコードMBR2を参照すれば第2のパーティションの開始アドレスとサイズを得ることができ、第2のパーティションに対するアクセスのみが可能となる。但し、第1パーティションについての情報は得られないため、第2パーティションに対するアクセスはできない。
【0121】
上述したように、図11に示したフォーマット・データには、記録領域内のすべてのパーティションに対応するパーティション・テーブルを格納したMBRと、パーティション毎に対応するパーティション・テーブルのみを格納したパーティション対応のMBRが配置された構成を持つ。このような場合、下記のように、従来の機器との接続互換性が維持された形態で、3種類の接続形態(上位アプリケーション(ソフトウェア)への見せ方)を実現することが可能となる。
【0122】
(a)MBRから見えるパーティションは2つのパーティション(第1のパーティションと第2のパーティション)
(b)MBR1から見えるパーティションは1つ(第1のパーティションのみ)
(c)MBR2から見えるパーティションは1つ(第2のパーティションのみ)
【0123】
ハード・ディスクに対するアクセスを実行する上位ソフトウェアであるアプリケーションの種類に応じて、MBR、MBR1、MBR2を選択的にアクセス可能な設定とする。例えば、デジタルビデオカメラにおいて、ユーザの利用可能なデータ記録アプリケーションに対してはMBR1のみを読み込み可能として、第1のパーティションのみを利用してデータの記録再生を実行させることができる。また、ユーザの利用可能なデータ再生アプリケーションに対しては、MBRを読み込み可能、あるいはMBR1、MBR2を選択的に読み込み可能な設定として、第1のパーティション、並びに第2のパーティションに記録されたデータを読み取り再生することを可能とすることができる。
【0124】
具体的には、第2のパーティションに、マニュアル、プログラム、サンプル・データといった、非撮影系コンテンツのデータ、若しくは消去すべきでないデータをあらかじめ記録しておく。第2パーティションの記録データは、再生アプリケーションによってのみアクセス可能となることから、記録アプリケーションの処理によって誤ったデータ(撮影データなど)の追記などによるデータ消去が行なわれることを防止することができる。
【0125】
本実施形態では、MBR、MBR1、MBR2を選択的にアクセス可能にするために、「仮想ディスク」の仕組みを導入している。LBA=0にあるMBRから見える領域はハード・ディスク全体であるのに対し、MBR1、MBR2から見える領域は第1のパーティション、又は、第2のパーティションのみであり、これらのパーティションをそれぞれ仮想的なディスクとして扱う。仮想ディスクの仕組みは、ハード・ディスク・ドライブ駆動用のデバイス・ドライバ内に組み込むことができ、かかる機能を実装するために、ファイルシステムやアプリケーションなどの上位層のソフトウェアを改変する必要はない。
【0126】
デバイス・ドライバ330内のアクセス制御部331は、メディア全体(MBR以降)ではなく、MBR1以降又はMBR2以降のいずれか一方を限定的に公開する場合には、MBR1又はMBR2が配置されている実際のLBAを仮想的にLBA=0とするオフセット処理を行ない、且つ、メディア全体のサイズとしてパーティションのサイズを算出して、これらの情報を上位ソフトウェアに提示する。
【0127】
デバイス・ドライバ330は、上位ソフトウェアから指示されたデバイス名がハード・ディスク全体を指す場合には、オフセット処理を行なわずに、実際のLBA=0にあるMBRを用いてディスクのマウント処理を行なう。これに対し、いずれかの仮想ディスクが指示されたときには、MBR1又はMBR2が配置されている実際のLBAを仮想的にLBA=0とするオフセット処理を行なって、仮想ディスクのマウント処理を行なう。非公開領域のパーティションに相当する仮想ディスクをマウント処理することにより、当該パーティションは「公開」された状態となる。かかる仮想ディスクをアンマウント処理する際には、「非公開」の状態に戻す処理が必要となる。なお、仮想ディスクのマウント処理並びにアンマウント処理の詳細については、後述に譲る。
【0128】
デバイス・ドライバ330は、LBAのオフセット処理のために、図15に示すような、第1のパーティションの開始LBA及び各パーティションのサイズを記載したパーティション・レイアウト情報を、例えば不揮発メモリ上の所定の領域に記録して管理するようにしている。
【0129】
ここで、第2のパーティションの開始LBA「Y」は、計算式Y=X+A+N+1により算出可能であり、第2のパーティションの終端LBA「E2」は、計算式E2=Y+B−1により算出可能である。第3並びに第4のパーティションの開始LBA及び終端LBAも同様の手順で算出することができる。
【0130】
なお、パーティション・レイアウト情報の変形例として、パーティションを構成する各ゾーンの開始LBAとサイズではなく、開始セクタと終了セクタを記録するようにしてもよい。
【0131】
仮想ディスクの仕組みについて、図16を参照しながら説明する。
【0132】
メディア全体をアクセス可能とする設定では、従来通りのアクセス手順にて(すなわち、LBAのオフセット処理を行なわず)、LBA=0に記録されているMBRを読み出して、ハード・ディスクのマウント処理を行なう。図12Aに示したように、第1のパーティションに対応するパーティション・テーブルと、第2のパーティションに対応するパーティション・テーブルがMBR中に記録されているので、それらの内容に基づいて、本来のディスク(/dev/hdd)全体すなわち第1のパーティション及び第2のパーティションのいずれへもアクセス可能となる(図16(a)を参照のこと)。
【0133】
これに対し、第1のパーティションのみをアクセス可能とする設定では、デバイス・ドライバ330内のアクセス制御部331は、図15に示したパーティション・レイアウト情報を基にLBAのオフセット処理を行ない、LBA=X−1に記録されているMBR1を読み出して、仮想ディスクのマウント処理を行なう。図13Aに示したように、第1のパーティションに対応するパーティション・テーブルのみがMBR1中に記録されているので、それらの内容に基づいて、第1のパーティションに相当する第1の仮想ディスク(/dev/hdd1)のみアクセス可能となる(図16(b)を参照のこと)。この設定により、上位ソフトウェアからは仮想的に第1のパーティションがハード・ディスクとして見え、第2のパーティションの存在を隠すことが可能となる。
【0134】
また、第2のパーティションのみをアクセス可能とする設定では、デバイス・ドライバ330内のアクセス制御部331は、図15に示したパーティション・レイアウト情報を基にLBAのオフセット処理を行ない、LBA=Y−1に記録されているMBR1を読み出して、仮想ディスクのマウント処理を行なう。図14Aに示したように、第2のパーティションに対応するパーティション・テーブルのみがMBR2中に記録されているので、それらの内容に基づいて、第2のパーティションに相当する第2の仮想ディスク(/dev/hdd2)にのみアクセス可能となる(図16(c)を参照のこと)。この設定により、上位ソフトウェアからは仮想的に第2のパーティションがハード・ディスクとして見え、第1のパーティションの存在を隠すことが可能となる。
【0135】
続いて、デジタルビデオカメラを例にとって、ユーザ・インターフェースを介した、上位ソフトウェアから記録メディアの各パーティション(公開領域並びに非公開領域)へのアクセス制御例について説明する。
【0136】
上位ソフトウェアとしてのアプリケーション310には、各記録メディアに対するデータ記録処理を実行する記録アプリケーション311や、各記録メディアに記録されたデータの再生処理を実行する再生アプリケーション312、パーソナル・コンピュータなどの外部接続機器による処理を実行するUSB接続アプリケーション313などが挙げられる(前述)。以下の説明では、記録アプリケーション311は、動画、静止画、音声又は音楽といった、撮影データなどのユーザ・データの記録を、記録メディアの公開領域、若しくはその他の着脱式メディアへ行なうものとする。また、再生アプリケーション312は、VTRモード下で公開領域に記録された動画、静止画、音声又は音楽などのユーザ・データの再生処理、あるいは、デモンストレーション・モード下などで、非公開領域に記録されているマニュアルやデモデータ、地図データなどの再生処理を行なうものとする。また、USB接続アプリケーション313は、接続中のパーソナル・コンピュータからの要求に応じて、公開領域に記録された動画、静止画、音声又は音楽などのユーザ・データの再生処理、あるいは、非公開領域に記録されているマニュアルやデモデータ、地図データなどの再生処理を行なうものとする。
【0137】
デジタルビデオカメラは、記録メディアとして、ハード・ディスク(HDD)と、メモリスティック(登録商標)(MS)のような着脱式メディアを備えているものとする。また、デジタルビデオカメラがパソコン接続されている状態では、USB接続アプリケーション313が起動して、ハード・ディスクを利用する動作モードとして、動画、静止画、音楽(若しくは音声)データを公開領域としての第1のパーティションに記録又は再生する動作と、マニュアルなどの非撮影系コンテンツのデータを非公開領域としての第2のパーティションから再生する動作を備えている。このような場合、液晶ディスプレイ115上には、図17に示すように、記録メディア種別(HDD又はMS)とHDD選択時にさらに動作モード(「動画・静止画・音楽」又は「マニュアル」)を指定するボタンが配設されたユーザ・インターフェース画面が表示される。
【0138】
ここで、図18に示すように、「動画・静止画・音楽」が選択されると、公開領域としての第1のパーティションが指定されたことを意味する。このような場合、デバイス・ドライバ330内のアクセス制御部331は、USB接続アプリケーション313からのアクセス要求に応じて、図15に示したパーティション・レイアウト情報を基にLBAのオフセット処理を行ない、LBA=X−1に記録されているMBR1を読み出して、第1の仮想ディスク(/dev/hdd1)のマウント処理を行なうことによって、上位ソフトウェアに対して第1のパーティションに相当するのみを見せる。
【0139】
これに対し、図19に示すように、「マニュアル」が選択されると、非公開領域としての第2のパーティションが指定されたことを意味する。このような場合、デバイス・ドライバ330内のアクセス制御部331は、USB接続アプリケーション313からの要求に応じて、図15に示したパーティション・レイアウト情報を基にLBAのオフセット処理を行ない、LBA=Y−1に記録されているMBR2を読み出して、第2の仮想ディスク(/dev/hdd2)のマウント処理を行なうことによって、上位ソフトウェアに対して第2のパーティションのみを見せる。この場合、第2のパーティションは、「非公開」から「公開」の状態に切り換えられたことになる。
【0140】
また、他のアクセス制御例として、記録アプリケーション311による記録メディアへの撮影データなどの記録動作が挙げられる。この場合、データ記録先のデバイスを選択する必要があり、液晶ディスプレイ115上には、図20に示すように、記録先として記録メディア種別(HDD又はMS)を指定するボタンが配設されたユーザ・インターフェース画面が表示される。
【0141】
ここで、図21に示すように、「HDD」が記録先に選択されると、公開領域としての第1のパーティションが指定されたことを意味する。このような場合、デバイス・ドライバ330内のアクセス制御部331は、記録アプリケーション311からのアクセス要求に応じて、図15に示したパーティション・レイアウト情報を基にLBAのオフセット処理を行なって、LBA=X−1に記録されているMBR1を読み出して、第1の仮想ディスク(/dev/hdd1)のマウント処理を行なうことによって、上位ソフトウェアに対して第1のパーティションのみを見せる。記録先として第2の仮想ディスク(/dev/hdd2)が選択されることはなく、マニュアルなどの非撮影系コンテンツはデータの追記などによる破壊から保護されている。
【0142】
また、他のアクセス制御例として、再生アプリケーション312によるVTRモード下での撮影データの再生処理や、デモンストレーション・モード下でのマニュアルやデモデータ、地図データなどの再生動作が挙げられる。この場合、データ再生元のデバイスを選択する必要があり、液晶ディスプレイ115上には、図22に示すように、再生元としてHDD内の「動画・静止画・音楽」、「マニュアル」、「デモ」、又はMS内のデータを指定するボタンが配設されたユーザ・インターフェース画面が表示される。
【0143】
ここで、図23に示すように、再生元として「動画・静止画・音楽」が選択されると、公開領域としての第1のパーティションが指定されたことを意味する。このような場合、デバイス・ドライバ330内のアクセス制御部331は、再生アプリケーション312からのアクセス要求に応じて、図15に示したパーティション・レイアウト情報を基にLBAのオフセット処理を行ない、LBA=X−1に記録されているMBR1を読み出して、第1の仮想ディスク(/dev/hdd1)のマウント処理を行なって、上位ソフトウェアに対して第1のパーティションのみを見せる。
【0144】
これに対し、図24に示すように、再生元として「デモ」が選択されると、非公開領域としての第2のパーティションが指定されたことを意味する。このような場合、デバイス・ドライバ330内のアクセス制御部331は、再生アプリケーション312からのアクセス要求に応じて、図15に示したパーティション・レイアウト情報を基にLBAのオフセット処理を行なって、LBA=Y−1に記録されているMBR2を読み出して、第2の仮想ディスク(/dev/hdd2)のマウント処理を行なって、上位ソフトウェアに対して第2のパーティションのみを見せる。この場合、第2のパーティションは、「非公開」から「公開」の状態に切り換えられたことになる。「マニュアル」が選択された場合も同様である。
【0145】
続いて、記録メディアへのアクセス動作に際して、デジタルビデオカメラやパーソナル・コンピュータなどの機器内で行なう処理シーケンスについて説明する。
【0146】
図25並びに図26には、記録メディアをマウントするための処理手順をフローチャートの形式で示している。ここで言うメディアのマウント処理は、ハード・ディスクなどの記録メディアを利用したデータ記録又は再生の前処理に相当する。すなわち、メディアのマウント処理は、メディア非依存部であるファイルシステムがアプリケーションからのメディア指定情報の入力に基づいて起動して、記録メディアを認識してアクセスに必要な情報を取得する。
【0147】
ファイルシステムのメディア依存部324は、上位アプリケーションから指示されたデバイス名にて、デバイスのオープンを試みる(ステップS1)。そして、デバイスのオープンに成功したときには(ステップS2)、当該デバイスから必要な情報を読み出すことにより、マウントを実行する(ステップS3)。
【0148】
一方、デバイス・ドライバ側では、上記のステップS1において、ファイルシステムから指定されたデバイス名に応じたマウント処理を実行する。
【0149】
デバイス・ドライバは、上位プログラムから指定されたデバイス名を判断し(ステップS11)、デバイス名が本来のハード・ディスク“dev/hdd”であれば、必要に応じてSet Max Address(Ext)などの所定の手順にて、Max Addressを元の純粋最大アドレス(Native Max Address)に戻してから(ステップS12)、上位プログラムへ見せる開始LBA=0×0000000として実際の開始LBA=0をセットする(ステップS13)。
【0150】
また、デバイス・ドライバは、上位プログラムから指定されたデバイス名を判断し(ステップS11)、デバイス名が第1のパーティションに相当する“dev/hdd1”であれば、必要に応じてSet Max Address(Ext)などの所定の手順を実行してから(ステップS14)、MBRの開始LBAのオフセット処理を行なう。図15に示したパーティション・レイアウト情報からなる場合、上位プログラムへ見せる開始LBA=0×0000000として、実際の開始LBA=X−1をセットする(ステップS15)。この結果、第1パーティションが仮想ディスク“dev/hdd1”としてマウントされる(図18、図21、図23を参照のこと)。
【0151】
また、デバイス・ドライバは、上位プログラムから指定されたデバイス名を判断し(ステップS11)、デバイス名が第2のパーティションに相当する“dev/hdd2”であれば、必要に応じてSet Max Address(Ext)などの所定の手順を実行してから(ステップS16)、MBRの開始LBAのオフセット処理を行なう。図15に示したパーティション・レイアウト情報からなる場合、上位プログラムへ見せる開始LBA=0×0000000として、実際の開始LBA=Y−1をセットする(ステップS17)。この結果、第2パーティションが仮想ディスク“dev/hdd2”としてマウントされる(図19、図22、図24を参照のこと)。
【0152】
また、上述したように、本実施形態では、ハード・ディスクの最大アドレスを第1のパーティションの最終アドレスとなるように容量クリップすることにより、第2のパーティションを隠蔽し(すなわち非公開)、ハード・ディスクの最大アドレスをハード・ディスクの純粋最大アドレス(Native Max Address)に戻し、容量復元を行なうことで、第2のパーティションを公開に切り換えることができ。
【0153】
図27には、非公開のパーティションを公開に切り換えた上でマウントするための処理手順をフローチャートの形式で示している。ここでは、図28に示すような、パーティション毎の隠蔽状態を示したフラグを使用するものとする。
【0154】
まず、フラグを確認し(ステップS21)、処理対象のパーティションが隠蔽されているかどうかをチェックする(ステップS22)。
【0155】
そして、当該パーティションが隠蔽されているときには(ステップS23のYes)、ハード・ディスクの純粋最大容量(Native Max Address)を読み出し、Set Max Address(Ext)手順により最大アドレス(Max Address)を変更してから、ハード・ディスクを再起動する(ステップS24)。
【0156】
図29には、ファイルシステム320内のメディア依存部324がハード・ディスクに対して読み出し/書き込み処理を行なうための処理手順をフローチャートの形式で示している。
【0157】
まず、上位アプリケーションから指定されたデバイス名(記憶媒体指定情報)を確認する(ステップS31)。記録、再生、USB接続の各アプリケーション311〜313には、あらかじめ指定可能なデバイス(記憶媒体指定情報)が設定されている。
【0158】
アプリケーションからの指定デバイス名が“/dev/hdd”であるときは、ステップS32に進み、アクセスするLBAを、上位アプリケーションからの指定LBAの値そのまま利用してアクセスを実行する。この場合、図16(a)に示す実際のメディア全体がアプリケーションに提示されており、アプリケーションの指定するLBAをそのまま実際のLBAとして利用したアクセスを行なって指定されたアドレスのデータの読み取り、又は指定アドレスに対するデータ書き込みを実行する(ステップS35)。
【0159】
また、アプリケーションからの指定デバイス名が“/dev/hdd1”であるときは、ステップS33に進み、上位アプリケーションからの指定LBAから算出する。この場合、図16(b)に示した第1のパーティションのみからなる仮想ディスクがアプリケーションに提示されており、アクセスLBA=(アプリ指定LBA)+X−1として算出して、算出したアクセスLBAを利用してアクセスを実行行なって指定されたアドレスのデータの読み取り、又は指定アドレスに対するデータ書き込みを実行する(ステップS35)。
【0160】
また、アプリケーションからの指定デバイス名が“/dev/hdd2”であるときは、ステップS34に進み、上位アプリケーションからの指定LBAから算出する。この場合、図16(c)に示した第2のパーティションのみからなる仮想ディスクがアプリケーションに提示されており、アクセスLBA=(アプリ指定LBA)+Y−1として算出して、算出したアクセスLBAを利用してアクセスを実行行なって指定されたアドレスのデータの読み取り、又は指定アドレスに対するデータ書き込みを実行する(ステップS35)。
【0161】
図30には、ファイルシステム320のメディア依存部324による起動処理の手順をフローチャートの形式で示している。
【0162】
まず、初期化処理1として、例えばメディアの装着されたメディアの種類の判別、判別したメディアのフォーマット情報の取得処理を実行する(ステップS41)。
【0163】
次いで、パーティション・レイアウト情報(図15を参照のこと)を不揮発性メモリから読み出し、ワーク領域メモリとしてのRAMに保持する(ステップS42)。
【0164】
次いで、情報更新フラグをクリアする(ステップS43)。この情報更新フラグは、不揮発性メモリに保持されているパーティション・レイアウト情報が現在の装着メディアのパーティション・レイアウト情報に一致するものであることが確認された場合にクリアされ、更新中である場合はセットされた状態とされる。
【0165】
最後に、初期化処理2として、上位アプリケーションからのコマンド入力待機状態への最終的な処理を実行する(ステップS44)。
【0166】
この後、アプリケーションからのコマンドが入力され、入力に従った処理が実行可能となる。
【0167】
図11Bなどには2つのパーティションの設定されたフォーマット例を示したが、例えば再フォーマット処理を実行することでパーティションのレイアウトを変更することが可能である。具体的には、3つのパーティションを設定するといった処理が可能である。図31には、ファイルシステム320のメディア依存部324によるパーティション・レイアウト情報の変更処理の手順をフローチャートの形式で示している。
【0168】
まず、ワークメモリとしてのRAMに保持されているパーティション・レイアウト情報(図15を参照のこと)を、上位アプリケーションから指定された値に変更する(ステップS51)。なお、このアプリケーションは、パーティションの設定等を実行するアプリケーションであり、記録、再生、USB接続の各アプリケーション311〜313とは異なるアプリケーションである。
【0169】
次いで、情報更新フラグをセットする(ステップS52)。この後、実際のメディアに対するフォーマット処理としてのパーティション設定処理が実行されることになる。
【0170】
図32には、ファイルシステム320のメディア依存部324による終了処理の手順をフローチャートの形式で示している。
【0171】
まず、終了処理1を実行する(ステップS62)。この処理は、メディアに対するフォーマット処理完了の確認処理である。
【0172】
次いで、情報更新フラグがセットされているか否かを確認する(ステップS62)。前述したように、不揮発性メモリに保持されているパーティション・レイアウト情報が現在の装着メディアのパーティション・レイアウト情報に一致するものであることが確認された場合にクリアされ、更新中である場合はセットされた状態とされる。
【0173】
情報更新フラグがセットされている場合には(ステップS62のYes)、更新後のパーティション・レイアウト情報を不揮発性メモリに記録し(ステップS63)、情報更新フラグをクリアしてから(ステップS64)、終了処理2、すなわちすべてのフォーマット処理の完了確認を実行して次の処理に移行可能な状態へのセット処理を行ない(ステップS65)、本処理を終了する。
【0174】
図33には、ファイルシステム320のメディア非依存部323によるディスクのアンマウント処理の手順をフローチャートの形式で示している。
【0175】
ファイルシステム320の非メディア依存部323は、メディア依存部324に対してディスクのアンマウント処理を依頼し、これに対し、メディア依存部324は、別途定義済みのアンマウント処理を実行する(ステップS71)。そして、メディア非依存部323は、当該デバイスをクローズして(ステップS72)、本処理を終了する。
【0176】
また 、図34には、図33に示したフローチャート中のステップS71において、ファイルシステム320のメディア依存部324が行なうディスクのアンマウント処理の手順をフローチャートの形式で示している。メディアをアンマウントする際、第2のパーティションが「公開」に切り換えられているときには、「非公開」に戻す必要がある。
【0177】
まず、隠蔽フラグ情報を検索し、隠蔽しないパーティションの中で、最大パーティション番号をチェックする(ステップS81)。
【0178】
次いで、パーティション・レイアウト情報(図15を参照のこと)より、そのパーティションの終端LBA「EX」を算出する(ステップS82)。
【0179】
そして、ハード・ディスクの純粋最大容量(Native Max Address)を読み出し、Set Max Address(Ext)手順により最大アドレス(Max Address)を「EX」に変更してから、ハード・ディスクを再起動する(ステップS83)。
【産業上の利用可能性】
【0180】
以上、特定の実施形態を参照しながら、本発明について詳解してきた。しかしながら、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が該実施形態の修正や代用を成し得ることは自明である。
【0181】
本発明に係る記録再生方法は、デジタルビデオカメラやデジタルスチルカメラなどの情報機器や、パーソナル・コンピュータなどの計算機システムを始めとして、記録領域にファイルシステムに応じたフォーマット処理を行なってから使用が開始される記録メディアを利用するさまざまな装置に適用することができる。
【0182】
本明細書では、記録メディアとして主にハード・ディスクを採り上げて説明したが、本発明の要旨はこれに限定されるものではなく他の記録メディアに対しても適用することができる。また、記録メディアは、機器内蔵又は着脱可能の区別を問わない。
【0183】
また、本明細書ではファイルシステムとしてFATを採り上げたが、本発明の要旨はこれに限定されるものではなく、さまざまなファイルシステムを適用対象とする。
【0184】
図10に示したように、ハード・ディスク・ドライブのベンダから仕入れる際のディスク容量の一部をクリップしてハード・ディスク搭載機器を出荷することは、当業界において散見される。本発明は、ハード・ディスク・ドライブの記録領域にデモデータなどの非撮影データを格納するための非公開領域を設けるものであるが、他の側面では、元のディスク容量の一部をクリップした未使用料域を有効活用するものであると言うこともできる。
【0185】
要するに、例示という形態で本発明を開示してきたのであり、本明細書の記載内容を限定的に解釈するべきではない。本発明の要旨を判断するためには、特許請求の範囲を参酌すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0186】
【図1】図1は、デジタルビデオカメラの構成を模式的に示した図である。
【図2】図2は、パーソナル・コンピュータの構成を模式的に示した図である。
【図3】図3は、記録メディアにアクセスしてデータの記録並びに再生を行なうための処理階層を模式的に示した図である。
【図4】図4は、図3に示した処理階層のうちファイルシステムをさらに詳細にして示した図である。
【図5】図5は、記録メディアに記録される各ファイルに設定されるディレクトリ・エントリの情報構造を模式的に示した図である。
【図6】図6は、ファイル・アロケーション・テーブルのデータ構成例を示した図である。
【図7A】図7Aは、ハード・ディスクに設けられたパーティションをFAT16でフォーマットした場合のデータ構造を示した図である。
【図7B】図7Bは、ハード・ディスクに設けられたパーティションをFAT32でフォーマットした場合のデータ構造を示した図である。
【図8】図8は、マスタ・ブート・レコードの構成を模式的に示した図である。
【図9】図9は、16バイト(128ビット)データ長からなるパーティション・テーブルのデータ構造を示した図である。
【図10】図10は、ハード・ディスクの記録領域に非公開領域を配設した様子を示した図である。
【図11A】図11Aは、ハード・ディスクの記録領域の変遷を説明するための図であり、具体的には、製造時(若しくは、機器のメーカがハード・ディスクを納入した直後)の記録領域を示した図である。
【図11B】図11Bは、ハード・ディスクの記録領域の変遷を説明するための図であり、具体的には、第1及び第2のパーティションに区切るとともにFATフォーマットした様子を示した図である。
【図11C】図11Cは、ハード・ディスクの記録領域の変遷を説明するための図であり、具体的には、記録メディアの最大アドレスが第1のパーティションの最終アドレス(LBA=E1)となるように容量クリップした様子を示した図である。
【図11D】図11Dは、ハード・ディスクの記録領域の変遷を説明するための図であり、具体的には、Max Addressを元の純粋最大アドレス(Native Max Address)に戻した様子を示した図である。
【図12A】図12Aは、図11に示したマスタ・ブート・レコード(MBR)の構成例を示した図である。
【図12B】図12Bは、図12Aに示したマスタ・ブート・レコード(MBR)から取得することができるパーティション構成情報を示した図である。
【図13A】図13Aは、第1のパーティション専用のマスタ・ブート・レコードMBR1の構成例を示した図である。
【図13B】図13Bは、図13Aに示したマスタ・ブート・レコード(MBR1)から取得することができるパーティション構成情報を示した図である。
【図14A】図14Aは、第2のパーティション専用のマスタ・ブート・レコードMBR1の構成例を示した図である。
【図14B】図14Bは、図14Aに示したマスタ・ブート・レコード(MBR2)から取得することができるパーティション構成情報を示した図である。
【図15】図15は、パーティション・レイアウト情報の構成例を示した図である。
【図16】図16は、仮想ディスクの仕組みを説明するための図である。
【図17】図17は、ユーザ・インターフェースを介した、ハード・ディスクの各パーティション(公開領域並びに非公開領域)へのアクセス制御例を説明するための図であり、具体的には、動作モードを指定するユーザ・インターフェース画面を示した図である。
【図18】図18は、ユーザ・インターフェースを介した、ハード・ディスクの各パーティションへのアクセス制御例を説明するための図であり、具体的には、ユーザ・インターフェース画面上で「動画・静止画・音楽」が選択され、上位ソフトウェアに対して第1のパーティションに相当する第1の仮想ディスク(/dev/hdd1)のみを見せる様子を示した図である。
【図19】図19は、ユーザ・インターフェースを介した、ハード・ディスクの各パーティションへのアクセス制御例を説明するための図であり、具体的には、ユーザ・インターフェース画面上で「マニュアル」が選択され、上位ソフトウェアに対して第2のパーティションに相当する第2の仮想ディスク(/dev/hdd2)のみを見せる様子を示した図である。
【図20】図20は、ユーザ・インターフェースを介した、ハード・ディスクの各パーティションへのアクセス制御例を説明するための図であり、具体的には、記録先メディアを選択するユーザ・インターフェース画面を示した図である。
【図21】図21は、ユーザ・インターフェースを介した、ハード・ディスクの各パーティションへのアクセス制御例を説明するための図であり、具体的には、ユーザ・インターフェース画面上で「HDD」が記録先に選択され、上位ソフトウェアに対して第1のパーティションに相当する第1の仮想ディスク(/dev/hdd1)のみを見せる様子を示した図である。
【図22】図22は、ユーザ・インターフェースを介した、ハード・ディスクの各パーティションへのアクセス制御例を説明するための図であり、具体的には、再生元を選択するユーザ・インターフェース画面を示した図である。
【図23】図23は、ユーザ・インターフェースを介した、ハード・ディスクの各パーティションへのアクセス制御例を説明するための図であり、具体的には、ユーザ・インターフェース画面上で「動画・静止画・音楽」が再生元に選択され、上位ソフトウェアに対して第1のパーティションに相当する第1の仮想ディスク(/dev/hdd1)のみを見せる様子を示した図である。
【図24】図24は、ユーザ・インターフェースを介した、ハード・ディスクの各パーティションへのアクセス制御例を説明するための図であり、具体的には、ユーザ・インターフェース画面上で「デモ」が再生元に選択され、上位ソフトウェアに対して第2のパーティションに相当する第2の仮想ディスク(/dev/hdd2)のみを見せる様子を示した図である。
【図25】図25は、記録メディアをマウントするための処理手順を示したフローチャートである。
【図26】図26は、記録メディアをマウントするための処理手順を示したフローチャートである。
【図27】図27は、非公開のパーティションを公開に切り換えた上でマウントするための処理手順をフローチャートである。
【図28】図28は、フラグのフォーマットを示した図である。
【図29】図29は、ファイルシステム320内のメディア依存部324がハード・ディスクに対して読み出し/書き込み処理を行なうための処理手順を示したフローチャートである。
【図30】図30は、ファイルシステム320のメディア依存部324による起動処理の手順を示したフローチャートである。
【図31】図31は、ファイルシステム320のメディア依存部324によるパーティション・レイアウト情報の変更処理の手順を示したフローチャートである。
【図32】図32は、ファイルシステム320のメディア依存部324による終了処理の手順を示したフローチャートである。
【図33】図33は、ファイルシステム320のメディア非依存部323によるディスクのアンマウント処理の手順を示したフローチャートである。
【図34】図34は、図33に示したフローチャート中のステップS71において、ファイルシステム320のメディア依存部324が行なうディスクのアンマウント処理の手順を示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0187】
100…デジタルビデオカメラ
101…制御部(CPU)
102…カメラ機能部
111…光学レンズ部
112…光電変換部
113…画像信号処理部
114…画像入出力部
115…液晶ディスプレイ
116…音声入出力部
117…音声信号処理部
118…内蔵メモリ(RAM)
119…内蔵メモリ(ROM)
120…操作入力部
131…通信部
132…ドライブ
141…電源
150…センサ
201…CPU
202…ROM
203…RAM
204…ローカル・バス
205…ブリッジ
206…入出力バス
207…入出力インターフェース
208…キーボード
209…ポインティング・デバイス(マウス)
210…ディスプレイ
211…HDD
214…接続ポート
221…リムーバブル記録メディア
222…外部接続機器
310…アプリケーション
311…記録アプリケーション
312…再生アプリケーション
313…USB接続アプリケーション
320…ファイルシステム
321、322…マウントドライブ情報
323…記録再生制御部
323A…FAT制御部
323B…クラスタ制御部
323C…ディレクトリ・エントリ制御部
324…メディア制御部
324A…位置制御部
330…デバイス・ドライバ
331…アクセス制御部
332…デバイス・ドライバA
333…デバイス・ドライバB
341…記録メディアA
342…記録メディアB
350…RAM(ワーク領域)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランダム・アクセスが可能な記録メディアと、
前記記録メディア上に設けられた公開領域と、
前記記録メディア上の前記公開領域以降に設けられた非公開領域と、
前記記録メディアに対するアクセスを要求するアクセス要求手段と、
前記アクセス要求手段からのアクセス要求に応じて、前記公開領域及び非公開領域へのアクセス動作を制御するアクセス制御手段と、
を具備することを特徴とする記録再生装置。
【請求項2】
前記アクセス要求手段は、前記公開領域へのアクセスを要求する第1のアクセス要求手段と、前記非公開領域へのアクセスを要求する第2のアクセス要求手段を含み、
前記アクセス制御手段は、前記第1のアクセス要求手段からの要求に応じて前記公開領域にアクセスするときには前記記録メディアの最大アドレスを前記公開領域の最終アドレスまでに容量クリップし、前記第2のアクセス要求手段からの要求に応じて前記非公開領域にアクセスするときには前記記録メディアの最大容量を前記記録メディアの純粋な最大アドレスに復元する、
ことを特徴とする請求項1に記載の記録再生装置。
【請求項3】
前記公開領域をユーザ・データの記録再生に用いるとともに、前記非公開領域にはユーザ・データ以外の再生専用データをあらかじめ記録しておく、
ことを特徴とする請求項1に記載の記録再生装置。
【請求項4】
前記アクセス要求手段は、前記公開領域に記録されているユーザ・データの読み出しを要求する第1のアクセス要求手段と、前記非公開領域に記録されているユーザ・データの読み出しを要求する第2のアクセス要求手段を含み、
前記アクセス制御手段は、第1のアクセス要求手段からのアクセス要求に応じて前記公開領域へのアクセス動作を制御し、第2のアクセス要求手段からのアクセス要求に応じて前記公開領域へのアクセス動作を制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載の記録再生装置。
【請求項5】
前記アクセス制御手段は、第のアクセス要求手段からの前記記録メディアを記録メディアに指定したユーザ・データの記録要求に応じて前記公開領域へのアクセス動作を制御し、第2のアクセス要求手段からのアクセス要求に応じて前記公開領域へのアクセス動作を制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載の記録再生装置。
【請求項6】
前記記録メディアに対して、FAT(File Allocation Table)ファイルシステム経由でファイルとして記録を行なうとともに、アドレス指定方式としてLBA(Logical Block Addressing:論理ブロック・アドレス)方式が採用され、
前記記録メディアは前記公開領域として用いる第1のパーティションと、前記非公開領域として用いる第2のパーティションに区切られ、前記記録メディア上の先頭セクタに配置されるマスタ・ブート・レコード中のパーティション・テーブルには前記第1のパーティションの先頭に配置された第1のパーティション・ブート・レコード及び前記第2のパーティションの先頭に配置された第2のパーティション・ブート・レコードに関する情報が格納されるとともに、前記第1のパーティション及び第2のパーティションの直前には第1のマスタ・ブート・レコード及び第2のマスタ・ブート・レコードがそれぞれ配置される、
ことを特徴とする請求項1に記載の記録再生装置。
【請求項7】
前記アクセス制御手段は、前記記録メディアの最大アドレスが前記第1のパーティションの最終アドレスとなるように容量クリップして前記アクセス要求手段に対して前記第2のパーティションの存在を隠蔽するとともに、所定の手順にて容量復元を行なうことで前記アクセス要求手段に対して前記第2のパーティションを公開する、
ことを特徴とする請求項6に記載の記録再生装置。
【請求項8】
前記アクセス制御手段は、前記アクセス要求手段からの要求内容に応じて、前記第1のマスタ・ブート・レコードが配置されているLBAを仮想的にLBA=0とするオフセット処理を行なって前記第1のパーティションのサイズからなる第1の仮想メディアをマウント処理して前記アクセス要求手段に提示し、又は、前記第2のマスタ・ブート・レコードが配置されているLBAを仮想的にLBA=0とするオフセット処理を行なって前記第2のパーティションのサイズからなる第2の仮想メディアをマウント処理して前記アクセス要求手段に提示する、
ことを特徴とする請求項6に記載の記録再生装置。
【請求項9】
前記アクセス制御手段は、前記第2の仮想メディアをアンマウントする際に、「非公開」の状態に戻す処理を行なう、
ことを特徴とする請求項8に記載の記録再生装置。
【請求項10】
公開領域及び前記公開領域以降に設けられた非公開領域が設けられた記録メディアに対する記録再生処理を行う記録再生方法であって、
前記記録メディアに対するアクセスを要求するアクセス要求ステップと、
前記アクセス要求ステップにおけるアクセス要求に応じて、前記公開領域及び非公開領域へのアクセス動作を制御するアクセス制御ステップと、
を具備することを特徴とする記録再生方法。
【請求項11】
公開領域及び前記公開領域以降に設けられた非公開領域が設けられた記録メディアへのアクセス動作を制御するための処理をコンピュータ上で実行するようにコンピュータ可読形式で記述されたコンピュータ・プログラムであって、前記コンピュータを、
前記記録メディアに対するアクセスを要求するアクセス要求手段、
前記アクセス要求手段からのアクセス要求に応じて、前記公開領域及び非公開領域へのアクセス動作を制御するアクセス制御手段、
として機能させるためのコンピュータ・プログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図11D】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図7A】
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【図7B】
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【公開番号】特開2009−301683(P2009−301683A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−158055(P2008−158055)
【出願日】平成20年6月17日(2008.6.17)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】