説明

記録再生装置及び記録再生方法

【課題】追従再生のために揮発性メモリに入力信号を常時記録中に、外部からの電力供給が遮断された場合でも、追従再生が可能なように遮断前の入力信号を保持することが可能な記録再生装置を提供する。
【解決手段】記録再生装置(録画再生装置1で例示)は、常時記録に用いる揮発性メモリを有するメモリディスク10の他に、可搬記録媒体用の駆動装置(入出力I/F14で例示)を備える。録画再生装置1の制御部15は、揮発性メモリへの常時記録時に、入出力I/F14に記録可能な可搬記録媒体が装着されている場合、その可搬記録媒体にバックアップ用の常時記録を行うように入出力I/F14を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録再生装置及び記録再生方法に関し、より詳細には、揮発性メモリに放送信号を常時記録し任意の点から再生させることが可能な、記録再生装置及び記録再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ハードディスクなどに受信中の放送番組を、後の再生のために自動的に常時録画しておく録画再生装置が流通している。これは、ユーザが視聴などのために選局を行うと、そのチャンネルの放送番組を自動的に順次記録するもので、ハードディスクが一杯になった場合は、記録した内容を古い箇所から順に上書きしていくことで、常に所定時間の最新の番組を遡って再生(追従再生)可能とするものである。
【0003】
例えば、特許文献1に記載のテレビ受像機は、放送された番組の映像及び音響信号を含むテレビ信号を受信するテレビ受信手段と、受信したテレビ信号をランダムアクセス可能な記録媒体に記録する記録手段と記録媒体に記録しつつあるテレビ信号を任意の時点から再生し得る再生手段とを具備する記録再生手段と、再生されたテレビ信号の映像信号により表わされる映像を表示する映像表示手段と、再生されたテレビ信号の音声信号により表わされる音声を出力する音声出力手段と、記録再生手段による再生の停止及び再開を制御するための制御入力手段とを備えている。
【0004】
一方で、従来から、ハードディスクに見せかけるためにSDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)等の揮発性メモリや不揮発性メモリを用いるデータ保存装置(メモリディスクと呼ぶ)がコンピュータで用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2935788号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように常時録画を行う記録媒体としてはハードディスクが一般的ではあるが、高速性、静音性、消費電力、発熱、耐衝撃性などの観点から半導体メモリを用いることが望ましい。
【0007】
しかしながら、この半導体メモリとしてSDRAM等の揮発性メモリを用いる場合、停電などにより電力供給が絶たれると、常時録画した記憶内容が失われてしまい、追従再生ができなくなる。
【0008】
また、特許文献1に記載のテレビ受像機では、ランダムアクセス可能な記録媒体として揮発性メモリを採用することは全く考慮されていない。従って、このテレビ受像機において記録媒体として仮に揮発性メモリを採用した場合でも、停電等の予期せぬ電源遮断状態に対して、記録した放送信号を保持する手段を持たないため追従再生ができなくなる。
【0009】
本発明は、上述のような実状に鑑みてなされたものであり、その目的は、追従再生のために揮発性メモリに入力信号を常時記録中に、外部からの電力供給が遮断された場合でも、追従再生が可能なように遮断前の入力信号を保持することが可能な、記録再生装置及び記録再生方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の課題を解決するために、本発明の第1の技術手段は、入力信号を再生する再生部と、揮発性メモリを有し該入力信号を該揮発性メモリに記録する記録部と、前記再生部で前記入力信号を再生中、前記記録部に対して前記揮発性メモリに前記入力信号を記録させ、前記揮発性メモリに記録された前記入力信号をユーザ操作に応じて任意の時点から前記再生部で再生させる記録再生制御部と、を備えた記録再生装置であって、当該記録再生装置は、可搬記録媒体用の駆動装置をさらに備え、前記記録再生制御部は、前記揮発性メモリへの前記再生中の記録時に、前記駆動装置に記録可能な可搬記録媒体が装着されている場合、前記可搬記録媒体にバックアップ用の記録を行うように前記駆動装置を制御することを特徴としたものである。
【0011】
第2の技術手段は、第1の技術手段において、前記記録再生制御部は、前記揮発性メモリへの前記再生中の記録時に、前記駆動装置に記録可能な可搬記録媒体が装着されている場合、所定条件を満たす場合にのみ、前記可搬記録媒体にバックアップ用の記録を行うように前記駆動装置を制御することを特徴としたものである。
【0012】
第3の技術手段は、第2の技術手段において、前記所定条件は、前記可搬記録媒体が書き換え可能な記録媒体であるという条件を含むことを特徴としたものである。
【0013】
第4の技術手段は、第2又は第3の技術手段において、前記所定条件は、前記可搬記録媒体の記録可能な容量が第1の所定容量以上あるという条件を含むことを特徴としたものである。
【0014】
第5の技術手段は、第2〜第4のいずれかの技術手段において、前記所定条件は、ユーザ設定により前記可搬記録媒体への前記バックアップ用の記録が許可されているという条件を含むことを特徴としたものである。
【0015】
第6の技術手段は、第2〜第5のいずれかの技術手段において、前記所定条件は、前記可搬記録媒体への前記再生中の記録が所定回数未満のみ実行されているという条件を含むことを特徴としたものである。
【0016】
第7の技術手段は、第2〜第6のいずれかの技術手段において、前記所定条件は、前記可搬記録媒体に対する記録予約が設定されていないという条件を含むことを特徴としたものである。
【0017】
第8の技術手段は、第2〜第7のいずれかの技術手段において、前記所定条件は、過去の一定期間に停電が発生したという履歴があるという条件を含むことを特徴としたものである。
【0018】
第9の技術手段は、第2〜第8のいずれかの技術手段において、前記所定条件は、前記可搬記録媒体へのデータ書き込み時の欠陥領域のエラーが、所定頻度又は所定回数に至っていないという条件を含むことを特徴としたものである。
【0019】
第10の技術手段は、第1〜第9のいずれかの技術手段において、前記記録再生制御部は、前記可搬記録媒体の記録可能な容量が第2の所定容量以下になったときに、前記可搬記録媒体から前記バックアップ用に記録した入力信号のみを消去するように、前記駆動装置を制御することを特徴としたものである。
【0020】
第11の技術手段は、第1〜第10のいずれかの技術手段において、前記記録再生制御部は、当該記録再生装置の電源がユーザによりオフ操作された場合又は前記揮発性メモリへの前記再生中の記録がユーザにより停止操作された場合に、前記可搬記録媒体から前記バックアップ用に記録した入力信号のみを消去するように、前記駆動装置を制御することを特徴としたものである。
【0021】
第12の技術手段は、入力信号を再生する再生部と、揮発性メモリを有し該入力信号を該揮発性メモリに記録する記録部と、可搬記録媒体用の駆動装置と、制御部と、を備えた記録再生装置における記録再生方法であって、前記制御部が、前記再生部で前記入力信号を再生中、前記記録部に対して前記揮発性メモリに前記入力信号を記録させるステップと、前記制御部が、前記揮発性メモリに前記記録された前記入力信号をユーザ操作に応じて任意の時点から前記再生部で再生させるステップと、を含み、前記揮発性メモリへの前記再生中の記録時に、前記制御部が、前記駆動装置に記録可能な可搬記録媒体が装着されているか否かを判定する判定ステップと、該判定ステップで装着されていると判定された場合、前記制御部が、前記可搬記録媒体にバックアップ用の記録を行うように前記駆動装置を制御するステップと、をさらに含むことを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、追従再生のために揮発性メモリに入力信号を常時記録中に、外部からの電力供給が遮断された場合でも、追従再生が可能なように遮断前の入力信号を保持することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る録画再生装置の一構成例を示すブロック図である。
【図2】図1の録画再生装置におけるSDRAMを用いたメモリディスクの一構成例を示す図である。
【図3】図1の録画再生装置における常時録画処理の一例を説明するためのフロー図である。
【図4】図1の録画再生装置における常時録画処理の他の例を説明するためのフロー図である。
【図5】図3又は図4の常時録画処理における所定条件判定処理の一例を説明するためのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明に係る記録再生装置は、入力信号を再生する再生部と、揮発性メモリを有し、その入力信号をその揮発性メモリに記録する記録部と、記録再生制御部と、を備えることを前提とする。この記録部は、所謂メモリディスクと呼ばれるものの一種である。この記録再生制御部は、再生部で入力信号を再生中に、記録部に対して揮発性メモリに入力信号を記録させる(以下、この再生中の記録のことを「常時記録」という)と共に、揮発性メモリに常時記録された入力信号をユーザ操作に応じて任意の時点から再生部で再生させる。つまり、この記録再生制御部は、揮発性メモリを用いて追っかけ再生(追従再生)を行うような制御を行う。
【0025】
以下、本発明に係る記録再生装置について、図面を参照しながら説明する。但し、以下の説明では、入力信号が、放送受信部で受信した映像信号及び音声信号の双方を含む放送信号であることを前提とし、本発明に係る記録再生装置について録画再生装置を挙げているが、例えばラジオ用の記録再生装置として構成することもできる。また、入力信号としては、放送信号の他に、他の録画装置等からダビング用に入力された映像及び/又は音声の信号、チューナ機器から外部入力された映像及び/又は音声の信号、ネットワーク経由でサーバ装置等からダウンロード用に入力された映像及び/又は音声の信号なども適用できる。
【0026】
図1は、本発明に係る録画再生装置の一構成例を示すブロック図で、図2は、図1の録画再生装置におけるSDRAMを用いたメモリディスクの一構成例を示す図である。
【0027】
図1で例示する録画再生装置1は、メモリディスク10、チューナ12、トランスコーダ13、入出力I/F(Interface)14、制御部15、リモコン受信部16、デコーダ17、音声出力部18、及び表示出力部19を備えている。
【0028】
制御部15は、上記記録再生制御部を含み、装置全体を制御するためのCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等で構成される。制御部15では、以下に説明するような処理手順を実行するためのコンピュータ読み取り可能なプログラムを、CPUでRAMに読み出しながら実行できるように、ROM等に格納しておけばよい。
【0029】
リモコン受信部16は、リモコン等の操作入力手段からの操作信号を受光する受光部を備え、受光した操作信号を解釈して制御部15に渡している。追従再生を行う際の再生位置の操作(戻し操作やその後の送り操作など)も、リモコン等を介してリモコン受信部16が受け取ることになる。なお、操作は録画再生装置1の本体に具備した図示しない操作ボタンによっても可能である。
【0030】
チューナ12は、上記放送受信部の一例であり、アンテナ11を経由してデジタル放送波を受信できる構成を有する。勿論、チューナ12は、アナログ放送波とデジタル放送波の両方を受信できる構成としてもよいし、アナログ放送波のみを受信できる構成としてもよい。また、STB(Set Top Box)などによりチューナを外部接続する場合には、チューナ12を設けなくてもよい。チューナ12や外部接続のための端子等は、トランスコーダ13、制御部15、及びデコーダ17等でなるバックエンド部に対して、フロントエンド部と呼ばれることもある。
【0031】
上記再生部は、主として、デコーダ17、音声出力部18、及び表示出力部19で例示できる。音声出力部18は、アンテナ11を経由して受信したデジタル放送番組や可搬記録媒体やメモリディスク10内に記録されたコンテンツの音声データに対して各種処理を施す音声処理部と、処理後の音声データを図示しない内蔵スピーカ又は外部スピーカに音声として出力する音声出力端子とで、主に構成される。
【0032】
表示出力部19は、アンテナ11を経由して受信したデジタル放送番組や、可搬記録媒体やメモリディスク10内に記録されたコンテンツの映像データ及び付加データに対して、各種映像処理を施す映像処理部と、処理後の映像データ等を図示しない内蔵又は外部接続された表示装置に出力する映像出力端子とで、主に構成される。この表示装置としては、例えば、CRT(Cathode-ray Tube)装置、プラズマ表示装置、液晶表示装置、有機/無機EL(electroluminescence)装置などが挙げられる。また、表示出力部19は、制御部15の制御によって生成される録画コンテンツの一覧や、特定の録画コンテンツから生成した複数のサムネイルの一覧などを上記表示装置に出力することも可能である。
【0033】
録画再生装置1を用いてデジタル放送を視聴する場合、チューナ12は、アンテナ11から入力された高周波信号(デジタル変調信号)を復調し、その復調信号をデコーダ17に入力する。デコーダ17は、入力された復調信号を映像信号と音声信号と付加信号とに分離して復号した後、その復号信号から表示制御出力信号及びそれに同期した音声制御出力信号を生成し、その表示制御出力信号を表示出力部19に出力し、音声制御出力信号を音声出力部18に出力する。なお、上記表示制御出力信号は、付加信号から生成された復号信号を映像信号から生成された復号信号に重畳した信号に関する信号である。
【0034】
表示出力部19から出力された表示制御出力信号は、内蔵又は外部接続されたテレビ装置又はモニタ装置などの表示装置に入力され、その表示画面により、ユーザは表示制御出力信号に対応したデジタル放送番組の映像及び付加情報を見ることができる。音声出力部18から出力された音声制御出力信号は、内蔵又は外部接続されたテレビ装置又はモニタ装置などのスピーカ付き表示装置に入力され、そのスピーカにより、ユーザは音声制御出力信号に対応したデジタル放送番組の音声を聴くことができる。なお、チューナ12をアナログ放送受信可能に構成した場合には、デコーダ17もアナログ対応可能に構成しておけば、そのアナログ放送を視聴することが可能である。
【0035】
また、ユーザ操作に応じた追従再生時など、後述するメモリディスク10又は可搬記録媒体に記録されているコンテンツを再生する場合、デコーダ17は、メモリディスク10又は可搬記録媒体に記録されているコンテンツのデータを復号した後、映像データ及び付加データについては映像出力可能な形式に変換して表示出力部19に出力し、音声データについては音声出力可能な形式に変換して、音声出力部18に映像データと同期させて出力する。
【0036】
上記記録部は、主としてメモリディスク10で例示できる。メモリディスク10は、揮発性メモリを有し、ATAブリッジ(Advanced Technology Attachment Bridge)20により、制御部15に設けられたATA I/F15bと接続されている。この接続により、制御部15とメモリディスク10との間でのデータのやり取りが可能になる。なお、ATA規格に基づき制御部15とメモリディスク10とが接続された例を示しているが、SATA(Serial ATA)規格やSCSI(Small Computer System Interface)規格など他の規格に基づいて接続してもよい。但し、ここで例示したような規格を採用することで、制御部15からメモリディスク10がハードディスクのように見えるため、好ましい。
【0037】
メモリディスク10の構成例について、図2を参照しながら説明する。但し、ここで説明する構成例に限らず、揮発性メモリを用いた記録部であればよい。例えば、揮発性メモリとしてSDRAMを用いた例を挙げるが、他種のDRAM(Dynamic RAM)や、擬似SRAM(Pseudo Static RAM)など他の揮発性メモリを採用することができる。他種のDRAMとしては、DDR(Double Data Rate) SDRAM、DDR2 SDRAM、DDR3 SDRAM、発売が予定されているDDR4 SDRAMなど、様々なものが挙げられる。また、ここで例示した各揮発性メモリはリフレッシュが必要なものであるが、リフレッシュ不要で僅かな消費電力で記憶保持が可能なSRAM(Static RAM)も適用することができる。
【0038】
メモリディスク10は、ATAブリッジ20の他に、ファイルシステムコントローラ(File System Controller)21、3つのメモリコントローラ(Memory Controller)22a,22b,22c、SDRAM23a〜23d,23a′〜23d′、SDRAM24a〜24d、SDRAM25a〜25d、電源制御回路26、及びバッテリ27を備えている。但し、後述するように本発明においてバッテリ27は必須ではなく、AC電源が電源制御回路26に直接供給されているだけでもよい。
【0039】
ファイルシステムコントローラ21は、全てのSDRAMで記憶領域が構成されるファイルシステムを制御する。ファイルシステムコントローラ21には、メモリコントローラとそれによりデータの読み書きが制御されるSDRAMとで構成されるモジュール(この例では3つのモジュール)が並列に接続されている。メモリコントローラ22a,22b,22cは、ファイルシステムコントローラ21によりデータの読み書きが制御される。なお、1つのモジュール内に具備される揮発性メモリは、メモリコントローラを共通とするため全て同じ種類(SDRAMで例示するように同じ規格。但し記憶容量は異なってもよい。)とするが、異なるモジュール同士は異なる種類の揮発性メモリを採用してもよい。例えば、1つのモジュールでDDR2を搭載し、他のモジュールでDDR3を搭載してもよい。
【0040】
SDRAM23a〜23d,23a′〜23d′、SDRAM24a〜24d、SDRAM25a〜25dは、それぞれ、メモリコントローラ22a、メモリコントローラ22b、メモリコントローラ22cによりデータの読み書きが制御される。SDRAM23a〜23dがメモリコントローラ22aに、SDRAM24a〜24dがメモリコントローラ22bに、それぞれ並列に接続されているように、各SDRAMはメモリコントローラに並列に接続されている。また、SDRAM23a,23a′で例示したように複数のSDRAMが直列で接続されていてもよい。SDRAMは応答速度が速いためこのような接続方法を採用しても支障無く処理を遂行できる。また、1つのメモリコントローラに並列接続する各SDRAM(SDRAM群)はお互い同じ記憶容量を持たせて均一に記憶領域を分散することが好ましい。
【0041】
このように、メモリコントローラ22a,22b,22cは、ファイルシステムコントローラ21からの制御に基づき、それぞれSDRAM23a,23b、SDRAM24a〜24d、SDRAM25a〜25dに対するデータの読み書きを制御する。
【0042】
そして、メモリディスク10は、放送信号が示すデータ、つまり録画データ(映像・音声データ)を保存する際、その録画データを管理するための管理データも保存する。この管理データには、録画データのタイトルや録画時刻などの情報をはじめ、録画データの保存領域などの情報も、通常含まれる。
【0043】
メモリディスク10は、AC電源から電力の供給を受けているが、停電時や電源コードが抜かれた時などの電力供給遮断時に直ぐにデータが喪失してしまうことを防止するために、バッテリ27で例示した蓄電池を搭載(又は接続)している。電源制御回路26は、AC電源からの電力供給が停止した時に、バッテリ27から各モジュールへの電源供給を行う。このとき、データの復旧を鑑みて、録画データを保存しているモジュールより管理データを保存しているモジュールに優先的に電源供給を行うことが望ましい。そのためには、ファイルシステムコントローラ21が、録画データと管理データとを別々のモジュールに保存するように事前に割り当てを行っておけばよい。
【0044】
メモリディスク10として、バッテリ27を搭載した例を挙げたが、バッテリ27の存在によっても、外部電力供給遮断時が長時間続くとバッテリ27の電池残量が足りずにSDRAM内のデータが全て喪失してしまい、その復旧もできない。バッテリ27を搭載しない場合には外部電力供給遮断後わずかでSDRAM内のデータが全て喪失してしまう。
【0045】
このような問題に対処するために、本発明に係る録画再生装置1は、可搬記録媒体用の駆動装置を備え、上述した記録再生制御部が、記録可能な可搬記録媒体が装着(挿入)されている場合にバックアップ用としてこの可搬記録媒体への常時記録を行うように、上記駆動装置を制御している。記録再生制御部は、上述したように制御部15に含まれるため、以降、制御部15による制御として、上記駆動装置への常時記録の制御について説明する。
【0046】
上記駆動装置の一例として録画再生装置1は、入出力I/F14を備えている。入出力I/F14は、BD(Blu-Ray Disc),DVD(Digital Versatile Disc),USB(Universal Serial Bus)メモリ等の可搬記録媒体を装着してデータの入出力(書き込み/読み出し)を行う。この可搬記録媒体は、ディスク型であるか否かに拘わらず、リムーバブルディスクと呼ばれることもある。入出力I/F14は、制御部15に設けたI/F15aを介して、制御部15とのデータのやり取りを行う。入出力I/F14においても、放送信号が示すデータ、つまり録画データ(映像・音声データ)を可搬記録媒体に記録する際には、その録画データを管理するための管理データの記録も行う。
【0047】
そして、制御部15は、揮発性メモリ(メモリディスク10内の揮発性メモリ)への放送信号の常時記録時に、入出力I/F14に記録可能な可搬記録媒体が装着(挿入)されている場合、その可搬記録媒体にバックアップ用の常時記録を行うように入出力I/F14を制御する。ここで、記録可能な可搬記録媒体か記録不可能な可搬記録媒体かは、制御部15が、入出力I/F14を介して、装着された可搬記録媒体の記録可(つまり記録再生共用)/記録不可(つまり再生専用)を示す種別をチェックするなどして判定すればよい。また、可搬記録媒体への放送信号の常時記録はあくまでバックアップ用であり、当然このバックアップを実行する際にも揮発性メモリへの放送信号の常時記録は実行する。
【0048】
追従再生時には、録画再生装置1は、まずメモリディスク10を参照してユーザに指定された点から再生を試み、再生ができない場合(つまり停電などの要因によりメモリディスク10内のデータが再生できる程度に保存されていない場合)に、入出力I/F14を介して可搬記録媒体内のデータを探して再生させる。
【0049】
このように、本発明に係る録画再生装置1では、追従再生のためにメモリディスク10内の揮発性メモリに受信した放送信号を常時記録中に、外部からの電力供給が遮断された場合でも、遮断前の放送信号を追従再生が可能なように可搬記録媒体で保持することが可能になり、遮断前の放送信号のデータを入出力I/F14を介してこの可搬記録媒体から読み出すことで、ユーザが視聴したい番組の任意の点から追従再生を行うことができる。このような効果は、バッテリ27を搭載しなくても或いは搭載したバッテリ27の電池残量が無くなったときでも奏するものである。
【0050】
また、録画再生装置1は、メモリディスク10及びBD等の駆動装置(入出力I/F14)を備え、放送信号が示すデータをそれら双方に常時記録することが可能に構成されているが、この構成は、専用のハードウェア構成を必要とせず、ユーザが通常録画に使用するためのメモリディスク10と可搬記録媒体の駆動装置とを利用することで実現できるため、設計が容易であると共に安価な構成となり経済的である。この録画再生装置1は、例えば、デジタルチューナが内蔵されたBD等の駆動装置付きのメモリディスクレコーダ、デジタルチューナを外部接続可能なBD等の駆動装置付きのメモリディスクレコーダ、BD等の駆動装置及びメモリディスクが内蔵されたテレビ装置又はモニタ装置などとして、適宜構成することができる。
【0051】
さらに、本発明に係る録画再生装置1では、常時録画を開始した時点でメモリディスク10の記録可能容量より可搬記録媒体の記録可能容量の方が大きい場合、可搬記録媒体の方がより過去に遡って追従再生を行うことができる。従って、追従再生時には、ユーザの戻し操作に従って、メモリディスク10内にデータが存在しない位置まで遡った場合には、制御部15は入出力I/F14を介して可搬記録媒体からデータを検索するようにしてもよい。
【0052】
次に、メモリディスク10や入出力I/F14を介した可搬記録媒体への録画に関して補足する。本発明に関する常時録画時など、受信した放送信号が示すデータであるデジタル放送番組(デジタル放送コンテンツ)をそのまま録画する場合、チューナ12がアンテナ11から入力された高周波信号(デジタル変調信号)を復調して、制御部15がメモリディスク10に記録したり、入出力I/F14を介してBD等の各種可搬記録媒体に記録したりする。また、録画再生装置1では、可搬記録媒体に記録済みのコンテンツを入出力I/F14を介してメモリディスク10へ移動又はそのままコピーすることや、逆にメモリディスク10に記録済みのコンテンツを入出力I/F14を介して可搬記録媒体へ移動又はそのままコピーすることなども可能に構成できる。従って、電源供給復旧後の可搬記録媒体からの追従再生時に、可搬記録媒体からメモリディスク10にデータをコピーして高速アクセス可能な状態で追従再生を行うようなことも可能である。
【0053】
本発明に関する常時録画時など、受信したデジタル放送番組を録画する際には、レート変換してから録画してもよい。トランスコーダ13はこのようなレート変換のために設けられている。トランスコーダ13は、圧縮符号化された映像データを逆量子化し、量子化ステップ(量子化幅、量子化スケール、量子化係数などとも呼ばれる)を変更して再量子化することで、圧縮処理を行う。また、トランスコーダ13は、メモリディスク10や可搬記録媒体に記録済みのコンテンツをレート変換して録画することも可能である。また、レート変換処理は、入力されたデータに対して規格を変えることなく実行することもできるし、MPEG(Moving Picture Experts Group)−2規格のTSデータをH.264/AVC(Advanced Video Coding)規格のTSデータへ変換するなど、入力されたデータをそのデータの規格と異なる規格のデータに変換しながら行うことも可能である。
【0054】
また、トランスコーダ13の代わりに、圧縮符号化されたデータを復号後に再符号化して記録する装置(エンコーダを含む装置)を採用することもできる。図1の例で説明すると、録画再生装置1において、トランスコーダ13の代わりにエンコーダを設け、デコーダ17で復号された映像データをそのエンコーダで再符号化するように構成しておけばよい。また、このエンコーダをトランスコーダ13と併設して再量子化のみ及び再符号化の双方の処理により圧縮できるように構成することもできる。
【0055】
また、録画再生装置1をアナログ放送受信可能な構成とし、受信したアナログ放送番組を録画する場合、アンテナ11から入力された高周波信号(アナログ変調信号)をチューナ12が復調し、エンコーダがその復調信号を符号化し、符号化したデータを記録に適した形式(例えばプログラムストリーム)に変換してメモリディスク10又は可搬記録媒体に記録すればよい。
【0056】
以下、本発明に係る録画再生装置1における常時録画処理の好適な例について図3〜図5を参照しながら説明する。
【0057】
制御部15は、メモリディスク10内の揮発性メモリへの常時記録時に、入出力I/F14に記録可能な可搬記録媒体が装着されている場合、所定条件を満たす場合にのみ、可搬記録媒体にバックアップ用の常時記録を行うように入出力I/F14を制御することが望ましい。所定条件の例は、後述するが、ユーザの設定内容、ディスクの種類・状態、書き込みや停電の実績などの条件を採用し、採用した条件によりバックアップの実行/停止を適時制御すればよい。
【0058】
このような制御について図3を参照して具体的に説明する。図3は、図1の録画再生装置における常時録画処理の一例を説明するためのフロー図である。まず、制御部15は、常時録画のユーザ指示があったか否かを判定する(ステップS1)。常時録画のユーザ指示とは、例えば追従再生モード/非追従再生モードがユーザ選択可能に構成されている場合には、追従再生モードへの移行指示としてもよい。ユーザ指示自体は、上述したように本体設置のボタンやリモコンで行えばよい。勿論、デフォルトで常時録画を行うような設定になっていた場合や元々常に常時録画を行うような装置である場合には、このような判定は不要である。
【0059】
ステップS1でYESの場合、制御部15は、記録可能な可搬記録媒体(以下、記録可能メディアという)が装着されているか否かを入出力I/F14を介して判定する(ステップS2)。この判定のタイミングは、ステップS1でYESの時点でよいが、可搬記録媒体が装着された時点で判定を行っておき、少なくともその可搬記録媒体が取り外されるまで制御部15内のメモリにその判定結果を保持しておいてもよい。
【0060】
ステップS2でNOの場合、制御部15は、メモリディスク10のみに放送信号を常時録画する(ステップS6)。このとき、常にメモリディスク10に録画した直後のデータ又は予め定められた時間遅れのデータを音声出力部18及び表示出力部19から出力するように、制御部15が制御を行うことで、ユーザから過去に遡るような操作があったとしても直ぐに対応できるため好ましい。勿論、ユーザが過去に遡るように追従再生する操作を行わなかった場合には、チューナ12で受信したデータをそのままデコーダ17で復号して音声出力部18及び表示出力部19から出力するようにしておき、そのような追従再生する操作があった時点でメモリディスク10内のデータを再生するように切り替えてもよい。
【0061】
ステップS2でYESの場合、制御部15は、内部のメモリなどに格納しておいた所定条件を満たすか否かを判定する(ステップS3)。ステップS3でNOの場合にはステップS6へ進む。
【0062】
ステップS3でYESの場合には、制御部15は、メモリディスク10・記録可能メディアの双方に放送信号を常時録画するよう、メモリディスク10及び入出力I/F14を制御する(ステップS4)。ステップS4においても、ステップS6で説明したように、常にメモリディスク10に録画した直後や規定の時間遅れのデータを音声出力部18及び表示出力部19から出力するように制御することが好ましい。
【0063】
また、ステップS4では双方への常時録画を同時に開始する例を示したが、メモリディスク10への常時録画は、記録可能メディアへの常時録画が決定する前(つまりステップS3の判定前)に開始してもよい。その場合、双方でタイムラグが生じるが、例えばメモリディスク10内に保存されたデータを記録可能メディアへコピーするなどすれば、記録可能メディアへもメモリディスク10内と同様のデータが格納できる。
【0064】
ステップS4又はステップS6の処理後、制御部15は、電源オフ操作があったか否かを判定し(ステップS5)、あれば処理を終了し、なければステップS2へ戻る。なお、オフ操作とは、待機状態にする操作も含めてもよい。ここで流れを図示していないが、ステップS2へ戻る代わりに、ステップS4を経た場合にはステップS3へ戻り、ステップS6を経た場合にはステップS2に戻るかステップS6を継続しておくようにしてもよい。なお、ステップS1の判定を行う場合、ステップS5では、電源オフ操作の有無の判定と併せて、常時録画終了のユーザ指示があったか否かを判定し、この指示があった場合にもYESと判定してもよい。
【0065】
図4を参照して、図3の処理例とは異なる処理例を説明する。図4は、図1の録画再生装置における常時録画処理の他の例を説明するためのフロー図である。まず、制御部15は、図3のステップS1〜S4,S6と同様の処理を行う(ステップS11〜S14,S18)。
【0066】
ステップS18の処理後、図3のステップS5と同様の判定、つまり電源オフ操作があるか否か(並びに常時録画終了指示があるか否か)の判定を行う(ステップS19)。なお、ここでのオフ操作にも、待機状態にする操作を含めてよい。ステップS19でYESの場合には処理を終了し、NOの場合にはステップS12へ戻る。ここでもステップS12に戻る代わりに、ステップS19でYESとなるまで、ステップS18の処理を継続してもよい。
【0067】
また、ステップS19で待機状態へ移行する操作か常時録画終了操作かによりYESとなった場合には、メモリディスク10内の常時録画した録画データを消去してから、待機状態へ移行又は非常時録画状態へ移行するようにしてもよい。ここでの消去とは、録画データ自体を消してもよい(或いは消えるようにリフレッシュ等を実行しないようにしてもよい)し、録画データの管理情報(管理データ)だけを消して、後に上書き(書き込み)可能な状態にしておいてもよい。なお、電源をオフしメモリディスク10への電源供給もストップするようなオフ操作がなされた場合には、メモリディスク10への電源供給停止により、録画データは自動的に消去される。
【0068】
一方、ステップS14の処理後、制御部15は、入出力I/F14を介して記録可能メディアの記録可能な容量(つまり残量)が所定容量R1以下になったか否かを判定する(ステップS15)。なお、R1は0と決めておいてもよい。
【0069】
ステップS15でYESの場合には、記録可能メディアからバックアップ録画した放送信号のみを消去し(ステップS17)、処理を終了する。元々記録されていたデータはユーザが意図して記録したものであるため、残しておく。ここで、ディスク型の可搬記録媒体の場合、消去とは、録画データ自体を消すのではなく、録画データの管理データだけを消して、後に上書き可能な状態にしておくことを指すが、録画データに空白データで上書きして録画データ自体を消去してもよい。
【0070】
このように、制御部15は、記録可能メディアの記録可能な容量が所定容量R1以下になったときに、記録可能メディアからバックアップ用に常時記録した放送信号のみを消去するように、入出力I/F14を制御することが好ましい。この制御は、所定条件の判定を採用しない場合にも適用できる。
【0071】
勿論、ステップS17の処理後、残量は回復しているためステップS11から再度処理を実行すればよい。また、処理の流れは図示していないが、ステップS15でYESの判定後にステップS17の処理を施した場合、ステップS13又はステップS14へ移行し、記録可能メディアへの常時録画を再開することが好ましい。
【0072】
ステップS15でNOの場合、図3のステップS5と同様の判定、つまり電源オフ操作があるか否か(並びに常時録画終了指示があるか否か)の判定を行う(ステップS16)。ステップS16でYESの場合には、ステップS17へ進み録画データの消去を実行して処理を終了する。なお、ここでのオフ操作にも、待機状態にする操作を含めてよい。このような消去の後、制御部15は、電源を落とす、又は待機状態にすればよい。一方、
ステップS16で常時録画終了指示があると判定された場合には、ステップS17の処理後、残量は回復しているため、ステップS11から再度処理を実行すればよい。
【0073】
このように、制御部15は、録画再生装置1の電源がユーザによりオフ操作(当然、正常なオフ操作)された場合に、記録可能メディアからバックアップ用に常時記録した放送信号のみを消去するように、入出力I/F14を制御することが好ましい。この制御は、所定条件の判定を採用しない場合にも適用できる。同様に、制御部15は、メモリディスク10内の揮発性メモリへの常時記録がユーザにより停止操作された場合に、記録可能メディアからバックアップ用に常時記録した放送信号のみを消去するように入出力I/F14を制御することが好ましい。この制御は、所定条件の判定を採用しない場合にも適用できる。
【0074】
なお、ステップS17で録画データの消去に関して説明したが、録画データの消去は、例えば受信中のチャンネルがユーザ指示で切り替わった場合などでも実行するようにしてもよく、この場合、記録可能メディアだけでなくメモリディスク10内のデータも消去してもよい。
【0075】
ステップS16でNOの場合にはステップS12へ戻る。ここで、ステップS12に戻る代わりに、ステップS13へ戻るか、或いはステップS14,S15の処理を継続してもよい。
【0076】
次に、図5を参照しながら、図3のステップS3又は図4のステップS13において制御部15が判定する上記所定条件の様々な例について説明する。図5は、図3又は図4の常時録画処理における所定条件判定処理の一例を説明するためのフロー図である。
【0077】
まず、ユーザ設定により記録可能メディアへの常時録画(バックアップ用の常時録画)が許可されているか否かを判定し(ステップS21)、YESの場合のみステップS4/S14へ進んで双方への常時録画を実行する。そのため、制御部15は、リモコン受信部16からの常時録画を実行するか否かの設定が可能で且つ内部メモリなどからその設定を読み出せるように構成しておけばよい。例えばリモコンのメニューキーなどの押下に応じて、表示出力部19からメニュー画面のOSD(On Screen Display)画像を出力し、更なるリモコンの操作を受け付けてユーザに設定を行わせるなどすればよい。
【0078】
ステップS21でNOの場合、記録可能メディアに対する録画予約が未設定であるか否かを判定し(ステップS22)、YESの場合のみステップS4/S14へ進んで双方への常時録画を実行する。そのため、録画再生装置1は、記録予約機能(録画予約機能)をもち、制御部15は、リモコン受信部16からの録画予約を実行する設定が可能で且つ内部メモリなどからその設定を読み出せるように構成しておけばよい。録画予約もリモコン等からのユーザ操作に応じて設定し、制御部15が内部のタイマを参照しながら、予約した時間が到来したときに、記録可能メディアに録画するよう入出力I/F14等を制御する。
【0079】
また、ステップS22の代わりに、所定容量以上を使用するような録画予約が未設定であるか否かを判定するようにしてもよい。また、ステップS22の判定処理を採用しない場合であっても、録画予約した時間が到来する前に、記録可能メディアから常時録画した分の録画データを消去していれば、常時録画分を気にすることなく録画予約を遂行することができる。
【0080】
ステップS22でNOの場合、過去の一定期間に停電が発生したという履歴があるか否かを判定し(ステップS23)、YESの場合のみステップS4/S14へ進んで双方への常時録画を実行する。そのため、制御部15は、停電(電源が何らかの理由で抜かれた場合も含む)を検出し、その停電の履歴を内部メモリなどに格納し、その履歴を読み出せるように構成しておけばよい。
【0081】
ステップS23でNOの場合、記録可能メディアは書き換え可能であるか否かを判定し(ステップS24)、YESの場合のみステップS4/S14へ進んで双方への常時録画を実行する。一度の書き込みのみが可能なディスクの場合、常時記録に使用すると多くのディスクが無駄になってしまうためである。制御部15は、入出力I/F14を介して、書き換え可能な記録媒体であるかを、装着された可搬記録媒体の種別をチェックするなどして判定する。この判定は、ステップS2/S12の判定時に併せて実行しておくことが好ましい。
【0082】
ステップS24でNOの場合、記録可能メディアの記録可能な容量が所定容量R0以上であるか否かを判定し(ステップS25)、YESの場合のみステップS4/S14へ進んで双方への常時録画を実行する。そのため、制御部15は、入出力I/F14を介して記録可能メディアの残量を検出する残量検出部を設けておけばよい。また、常時録画によっても記録可能メディアの残量が変わるため、常時録画中も常に検出しておくとよい。
【0083】
ステップS25でNOの場合、同じ記録可能メディアへの常時記録が所定回数未満のみ実行されているか否かを判定し(ステップS26)、YESの場合のみステップS4/S14へ進んで双方への常時録画を実行する。一般的に記録可能メディアは書き換え可能であっても書き換え可能回数に限りがあるという記録可能メディアの耐性を考慮し、このような書き込み条件で常時録画の実行/停止を制御することで、利用する記録可能メディアを破壊したり異常になることを防ぐことができる。
【0084】
そのため、制御部15は、入出力I/F14を介して記録可能メディアの個体を特定するためのディスクID等を内部メモリなどに記憶しておき、現在の記録可能メディアと比較して個体を特定するように構成しておく。このような構成により、同じ記録可能メディアか他の記録可能メディアかは、喩え一旦取り外されたとしても、制御部15内のメモリに格納した装着済みの記録可能メディアの情報(例えばディスクID等の情報)を確認することで判定できる。さらに、制御部15は、内部メモリなどに個体毎の常時録画実行回数をカウントした結果を格納しておけばよい。なお、個体の特定を行わなくても、一度の装着されてから取り出されるまでのみ、回数をカウントしておき、このカウントに基づいてのみ判定してもよい。
【0085】
ステップS26でNOの場合、同じ記録可能メディアへのデータ書き込み時の欠陥領域のエラーが所定頻度又は所定回数に至っていないか否かを判定し(ステップS27)、YESの場合のみステップS4/S14へ進んで双方への常時録画を実行する。記録可能メディアの信頼性を考慮したこのような書き込み条件を制御することで、常時録画したデータが再生エラーになってしまうことを防ぐことができる。ここでエラーを所定頻度と比較する場合には、エラーの発生間隔も考慮して判定、つまり所定時間内での発生回数で判定すればよい。
【0086】
エラー検出のために、制御部15は、入出力I/F14を介して、記録可能メディアの特定を行うように構成すると共に、入出力I/F14を介して記録可能メディアへのデータ書き込み時にエラーを検出する検出部を備えるように構成すればよい。エラーは、この常時録画を実行した結果、他の場面で記録可能メディアへ記録を実行した結果、テスト記録を実行した結果などに検出し、制御部15の内部メモリなどにエラー履歴を読み出し可能な状態で記録しておけばよい。このように、個体を特定し同じ記録可能メディアについて格納した履歴のみに基づいて判定してもよいが、入出力I/F14側のエラーの可能性も鑑みて今までの全ての(又は過去の一定期間内に使用された)記録可能メディアについての履歴を総合して、記録可能メディアの個体を特定せず判定してもよい。この場合、入出力I/F14の正常/異常が判定できる。なお、実際の常時録画時に書き込みエラーが発生すれば、記録可能メディアへの常時録画を終了させればよく、そのとき、制御部15内のメモリにエラーの記録を残せばよい。
【0087】
ステップS27でNOの場合にはステップS6/S18へ進み、メモリディスク10のみへの常時録画を実行する。ステップS21〜S27の判定は、いずれから実行してもよいが、制御部15等に負荷や時間を要さない判定処理から実行することが望ましい。また、ステップS21〜S27の判定の結果、一つでもYESの場合にステップS4/S14へ進む例を挙げたが、これらの判定処理のいずれか複数又は全部がYESの場合にのみ、ステップS4/S14へ進むような処理を採用してもよい。また、ステップS21〜S27の判定のそれぞれにおいて、NOと判定された場合には、記録可能メディアの交換を促すような制御、例えば記録可能メディアをイジェクトするとかポップアップ画像をOSD表示させるなどの制御を行うようにしてもよい。
【0088】
以上、録画再生装置1での処理として、常時録画する方法や常時録画したデータを追従再生する方法を説明したように、本発明は記録再生方法としての形態も採用できる。本発明に係る記録再生方法は、図1の構成例で説明すると、制御部15が、デコーダ17、音声出力部18、及び表示出力部19で放送信号を再生中、メモリディスク10に対して揮発性メモリに放送信号を記録させる(つまり常時記録させる)ステップと、制御部15が、メモリディスク10内の揮発性メモリに常時記録された放送信号を、リモコン受信部16等で受けたユーザ操作に応じて任意の時点から再生させるステップと、を含むものである。
【0089】
そして、この記録再生方法は、その主たる特徴として、メモリディスク10内の揮発性メモリへの常時記録時に、制御部15が、入出力I/F14に記録可能な可搬記録媒体が装着されているか否かを判定する判定ステップと、装着されていると判定された場合、制御部15が、可搬記録媒体にバックアップ用の常時記録を行うように入出力I/F14を制御するステップと、をさらに含む。その他の応用については、録画再生装置1における処理として説明したものと同様であり、その説明を省略する。
【符号の説明】
【0090】
1…録画再生装置、10…メモリディスク、11…アンテナ、12…チューナ、13…トランスコーダ、14…入出力I/F、15…制御部、15a…I/F、15b…ATA I/F、16…リモコン受信部、17…デコーダ、18…音声出力部、19…表示出力部、20…ATAブリッジ、21…ファイルシステムコントローラ、22a,22b,22c…メモリコントローラ、23a,23a′,23b,23b′,23c,23c′,23d,23d′,24a,24b,24c,24d,25a,25b,25c,25d…SDRAM、26…電源制御回路、27…バッテリ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力信号を再生する再生部と、揮発性メモリを有し該入力信号を該揮発性メモリに記録する記録部と、前記再生部で前記入力信号を再生中、前記記録部に対して前記揮発性メモリに前記入力信号を記録させ、前記揮発性メモリに記録された前記入力信号をユーザ操作に応じて任意の時点から前記再生部で再生させる記録再生制御部と、を備えた記録再生装置であって、
当該記録再生装置は、可搬記録媒体用の駆動装置をさらに備え、
前記記録再生制御部は、前記揮発性メモリへの前記再生中の記録時に、前記駆動装置に記録可能な可搬記録媒体が装着されている場合、前記可搬記録媒体にバックアップ用の記録を行うように前記駆動装置を制御することを特徴とする記録再生装置。
【請求項2】
前記記録再生制御部は、前記揮発性メモリへの前記再生中の記録時に、前記駆動装置に記録可能な可搬記録媒体が装着されている場合、所定条件を満たす場合にのみ、前記可搬記録媒体にバックアップ用の記録を行うように前記駆動装置を制御することを特徴とする請求項1に記載の記録再生装置。
【請求項3】
前記所定条件は、前記可搬記録媒体が書き換え可能な記録媒体であるという条件を含むことを特徴とする請求項2に記載の記録再生装置。
【請求項4】
前記所定条件は、前記可搬記録媒体の記録可能な容量が第1の所定容量以上あるという条件を含むことを特徴とする請求項2又は3に記載の記録再生装置。
【請求項5】
前記所定条件は、ユーザ設定により前記可搬記録媒体への前記バックアップ用の記録が許可されているという条件を含むことを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の記録再生装置。
【請求項6】
前記所定条件は、前記可搬記録媒体への前記再生中の記録が所定回数未満のみ実行されているという条件を含むことを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の記録再生装置。
【請求項7】
前記所定条件は、前記可搬記録媒体に対する記録予約が設定されていないという条件を含むことを特徴とする請求項2〜6のいずれか1項に記載の記録再生装置。
【請求項8】
前記所定条件は、過去の一定期間に停電が発生したという履歴があるという条件を含むことを特徴とする請求項2〜7のいずれか1項に記載の記録再生装置。
【請求項9】
前記所定条件は、前記可搬記録媒体へのデータ書き込み時の欠陥領域のエラーが、所定頻度又は所定回数に至っていないという条件を含むことを特徴とする請求項2〜8のいずれか1項に記載の記録再生装置。
【請求項10】
前記記録再生制御部は、前記可搬記録媒体の記録可能な容量が第2の所定容量以下になったときに、前記可搬記録媒体から前記バックアップ用に記録した入力信号のみを消去するように、前記駆動装置を制御することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の記録再生装置。
【請求項11】
前記記録再生制御部は、当該記録再生装置の電源がユーザによりオフ操作された場合又は前記揮発性メモリへの前記再生中の記録がユーザにより停止操作された場合に、前記可搬記録媒体から前記バックアップ用に記録した入力信号のみを消去するように、前記駆動装置を制御することを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の記録再生装置。
【請求項12】
入力信号を再生する再生部と、揮発性メモリを有し該入力信号を該揮発性メモリに記録する記録部と、可搬記録媒体用の駆動装置と、制御部と、を備えた記録再生装置における記録再生方法であって、
前記制御部が、前記再生部で前記入力信号を再生中、前記記録部に対して前記揮発性メモリに前記入力信号を記録させるステップと、
前記制御部が、前記揮発性メモリに前記記録された前記入力信号をユーザ操作に応じて任意の時点から前記再生部で再生させるステップと、を含み、
前記揮発性メモリへの前記再生中の記録時に、前記制御部が、前記駆動装置に記録可能な可搬記録媒体が装着されているか否かを判定する判定ステップと、
該判定ステップで装着されていると判定された場合、前記制御部が、前記可搬記録媒体にバックアップ用の記録を行うように前記駆動装置を制御するステップと、
をさらに含むことを特徴とする記録再生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−205309(P2010−205309A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−46688(P2009−46688)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】