説明

記録再生装置

【課題】任意の圧縮率と単位時間あたりの任意の画像枚数とをそれぞれ個別に設定できる記録再生装置を提供することを課題とする。
【解決手段】処理対象の映像を削減処理するための単位時間あたりの画像枚数と、処理対象の映像を圧縮処理するための圧縮率と、をそれぞれ個別に入力する操作部80と、前記削減処理および前記圧縮処理を行う処理である圧縮削減処理をする圧縮削減部20と、前記圧縮削減処理の対象である元映像情報を記憶する記憶部30と、前記記憶部30から前記元映像情報を読み出すとともに、前記操作部80から入力された画像枚数と圧縮率とを満たすもしくは概略満たす映像情報へと該元映像情報が処理されるように、前記圧縮削減部に数値指令を出す制御部60と、圧縮削減処理された前記映像情報を伸張処理する伸張部40と、前記伸長処理された映像情報を出力する出力部50とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像情報を記録し、その記録した映像情報を再生可能な記録再生装置に関し、詳しくは映像情報の圧縮率および単位時間あたりの記録画像枚数を設定可能な記録再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の記録再生装置は、例えば特許文献1に記す技術が開示されている。この技術では、監視カメラで撮影された映像はA/D変換部によってデジタル画像データに変換され、変換されたデジタル画像データは圧縮部によって圧縮され、圧縮されたデジタル画像データはコントロール部によって記憶媒体に記憶されている。そして、記憶媒体に記憶されたデジタル画像データは、コントロール部によって読み出されるとともに伸張部によって伸張され、伸張されたデジタル画像データは映像信号出力部を介して各モニタへ表示されている。なお、圧縮部では、コントロール部から送られる圧縮率および単位時間当たりの画像枚数の組み合わせパターンに基づいて圧縮処理が実施されている。そのため、コントロール部には、この組み合わせパターンをオペレータが選択可能な操作部と、選択された圧縮率および単位時間当たりの画像枚数の画像データに基づく映像出力を行う映像表示部とが、それぞれ設けられている。
【0003】
この組み合わせパターンとして、例えば設定番号「No.1」には、圧縮率は「1/40」、画像1枚あたりのデータ量は「25%」と、単位時間あたりの画像枚数は「4枚/秒」と設定されている。同様に、設定番号「No.2」には、圧縮率は「1/20」、画像1枚あたりのデータ量は「33%」と、単位時間あたりの画像枚数は「3枚/秒」と設定されている。同様に、設定番号「No.3」には、圧縮率は「1/20」、画像1枚あたりのデータ量は「50%」と、単位時間あたりの画像枚数は「2枚/秒」と設定されている。同様に、設定番号「No.4」には、圧縮率は「1/10」、画像1枚あたりのデータ量は「100%」と、単位時間あたりの画像枚数は「1枚/秒」と設定されている。
そして、オペレータは、この予め設定された設定番号を選択すると、以降の記憶処理において、画像データは選択された設定番号に応じた圧縮率と単位時間あたりの画像枚数とになる処理を実施されてから記憶媒体に記憶される。
【特許文献1】特開2003−101945号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した記録再生装置では、オペレータが選択する圧縮率と単位時間あたりの画像枚数は、それぞれ予め設定番号に対応付けて決められていた。そのため、オペレータは所望する任意の圧縮率と単位時間あたりの所望する任意の画像枚数とをそれぞれ個別に設定できなかった。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、任意の圧縮率と単位時間あたりの任意の画像枚数とをそれぞれ個別に設定できる記録再生装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための手段として、本発明の第1発明は、請求項1に記載されたとおりの記録再生装置である。
請求項1に記載の記録再生装置は、処理対象の映像を削減処理するための単位時間あたりの画像枚数と、処理対象の映像を圧縮処理するための圧縮率と、をそれぞれ個別に入力する操作部と、前記削減処理および前記圧縮処理を行う処理である圧縮削減処理をする圧縮削減部と、前記圧縮削減処理の対象である元映像情報を記憶する記憶部と、前記記憶部から前記元映像情報を読み出すとともに、前記操作部から入力された画像枚数と圧縮率とを満たすもしくは概略満たす映像情報へと該元映像情報が処理されるように、前記圧縮削減部に数値指令を出す制御部と、圧縮削減処理された前記映像情報を伸張処理する伸張部と、前記伸張処理された映像情報を出力する出力部とを備えている構成である。
この構成によれば、制御部は記憶部から読み出した元映像情報を操作部からの入力に基づいて圧縮削減処理させることができる。そして圧縮削減処理された元映像情報は、伸張処理され出力される。
そのため、オペレータは元映像情報に対して、その圧縮率と単位時間あたりの画像枚数を変更して出力させることができる。したがって、オペレータは出力された変更後の元映像情報を見て、その画質の良否を判断することができる。すなわち、圧縮率と単位時間あたりの画像枚数の設定(記録条件の設定)によって、記録すべき映像が所望する水準の映像となるかどうかを判断できる。
【0007】
また、本発明の第2発明は、請求項2に記載されたとおりの記録再生装置である。
請求項2に記載の記録再生装置は、処理対象の映像を削減処理するための単位時間あたりの画像枚数と、処理対象の映像を圧縮処理するための圧縮率と、をそれぞれ個別に入力する操作部と、前記削減処理および前記圧縮処理を行う処理である圧縮削減処理をする圧縮削減部と、前記圧縮削減処理の対象となる情報であって、圧縮処理してある元映像情報を記憶する記憶部と、前記記憶部から読み出された前記圧縮処理してある元映像情報を伸張処理して非圧縮の中間処理段階映像情報を出力する伸張部と、前記操作部から入力された画像枚数と圧縮率とを満たすもしくは概略満たす映像情報へと該非圧縮の中間処理段階映像情報が処理されるように、前記圧縮削減部に数値指令を出す制御部と、自身に入力する情報を出力する出力部とを備えている。そして、前記伸張部は、圧縮削減処理された前記映像情報を伸張処理するとともに、前記伸張処理された映像情報を前記出力部へ出力する構成である。
この構成によれば、制御部は記録再生装置の内部または外部で圧縮された元映像情報を伸張部で伸張させた後に記憶部に記憶させることができる。もちろん、記録再生装置の外部で実施する圧縮形式と、伸張部で実施する伸張形式とは対応することが前提である。また制御部は操作部からの入力に基づいて、伸張させた元映像情報を圧縮削減処理させることができる。また圧縮削減処理された元映像情報は伸張処理されて出力される。
そのため、オペレータは元映像情報を一旦伸張させ記憶部に記憶させることができる。その後、オペレータは元映像情報に対して、その圧縮率と単位時間あたりの画像枚数を変更して出力させることができる。したがって、オペレータは出力された変更後の元映像情報を見て、その画質の良否を判断することができる。すなわち、圧縮率と単位時間あたりの画像枚数の設定(記録条件の設定)によって、記録すべき映像が所望する水準の映像となるかどうかを判断できる。
【0008】
また、本発明の第3発明は、請求項3に記載されたとおりの記録再生装置である。
請求項3に記載の記録再生装置は、請求項1または請求項2に記載の記録再生装置であって、前記元映像情報は、前記記録再生装置の任意の回の記録動作開始前に前記記憶部に予め記憶させた映像、または前記記録再生装置の記録開始後に記憶部に蓄積済み映像の中から所定の基準でもって選択した映像、または、前記記録再生装置の記録中に記憶部に記憶させた映像のうち、少なくとも一つに該当する映像情報となっている構成である。
この構成によれば、任意の回の記録動作開始前に前記記憶部に予め記憶させた映像、または記録開始後に記憶部に蓄積済み映像の中から所定の基準でもって選択した映像、または、前記記録再生装置の記録中に記憶部に記憶させた映像のうち、少なくとも一つに該当する映像情報を元映像情報とすることができる。記憶部への元映像情報の格納の仕方と時期等に制約が少ないことが本発明の記録再生装置の利点の一つである。
【0009】
また、本発明の第4発明は、請求項4に記載されたとおりの記録再生装置である。
請求項4に記載の記録再生装置は、装置各部の制御中枢である制御部と、映像情報を記憶する記憶部と、前記映像情報を圧縮処理し且つ削減処理する圧縮削減部と、前記圧縮削減部で圧縮削減処理された映像情報を伸張処理する伸張部と、前記伸張部で伸張処理された映像情報を出力する出力部と、前記圧縮処理のための圧縮率と、前記削減処理のための単位時間あたりの画像枚数とをそれぞれ個別に入力する操作部とを備えている。そして、前記制御部は、前記出力部へ出力させる映像情報を前記記憶部から読み出し、前記操作部から入力された圧縮率と画像枚数とにその読み出した映像情報が前記圧縮削減部によって処理されるように前記圧縮削減部へ数値指令する構成である。
この構成によれば、制御部は記憶部から読み出した映像情報を操作部からの入力に基づいた圧縮率と画像枚数とに圧縮削減処理させることができる。そして圧縮削減処理された映像情報は、伸張処理され出力される。
そのため、オペレータは記憶部に記憶してある映像情報に対して、その圧縮率と単位時間あたりの画像枚数を変更して出力させ、出力させた映像情報を見てその画質の良否を判断することができる。そして、オペレータは出力させた画質を良と判断すれば、記憶部には始めからその画質(圧縮率と単位時間あたりの画像枚数とを変更させた画質)で記憶させておいても良かったと判断できる。したがって、その画質で始めから記憶させ出力させれば、記憶部の記憶容量を有効活用できる。
【0010】
また、本発明の第5発明は、請求項5に記載されたとおりの記録再生装置である。
請求項5に記載の記録再生装置は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の記録再生装置であって、前記制御部は、前記記憶部に映像を記憶できる残容量を検出可能であり、検出した残容量と前記数値指令とに基づいて前記記憶部に記憶できる残時間を算出することができる構成である。
この構成によれば、オペレータが設定した入力値に応じて予め記憶可能な残時間を検出することができる。
そのため、映像情報を記憶中に記憶部の残容量がなくなって記憶を中断してしまうことはなく、映像情報を最後まで記憶させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、本発明を実施するための最良の形態を図面を用いて説明する。
(実施例1)
まず実施例1について、図1〜2を用いて説明する。
図1は、実施例1における記録再生装置100の内部構成を示すブロック図である。図2は、実施例1における記録再生装置100の外部構成を説明する図である。図1に示すように、記録再生装置100は、圧縮削減部20と、第1記憶部30と、伸張部40と、出力部50と、制御部60と、第2記憶部70と、操作部80とによって構成されている。
【0012】
圧縮削減部20は、映像情報(フレームもしくはストリーム)を圧縮する処理と、単位時間あたりの画像枚数を削減する(間引く)処理とを実施している。この圧縮処理とは、映像情報の画像量(データ量)を現在の数値から任意の数値へと減らす符号化処理である。例えば、現在の画像量に対し「20%〜100%」となるように画像量を縮小させることができる。例として圧縮率を「50%」に設定した場合、圧縮処理前の映像情報のデータ量が「1MB(バイト)」であれば、圧縮処理後の映像情報のデータ量は「0.5MB」となる。なお、本明細書で使う圧縮率と、その圧縮した映像情報を伸張して再生したときの画質とは、次の関係が成立するものとする。圧縮率が「100%」に近づくほど、「圧縮率が低く(低圧縮に)」なることを意味し、伸張再生時の映像情報の画質は高画質のままである。逆に、圧縮率が「20%」に近づくほど、「圧縮率が高く(高圧縮に)」なることを意味し、伸張再生時の映像情報の画質は低画質となる。
なお、この定義に従えば、圧縮率100%というのは、圧縮しないことを意味する。すなわち、(例えば圧縮削減部20は、)入力情報を圧縮せずにそのまま出力することを意味する。しかし、この場合でも、(例えば圧縮削減部20は、)圧縮率100%の圧縮処理を実行したものと、本願特許請求の範囲および本願明細書では意味するものとする。
【0013】
また単位時間あたりの画像枚数を削減する処理とは、映像情報の単位時間あたりの画像枚数を現在の数値から任意の枚数へと減らすことで画像容量を削減させる処理である。例えば、1秒間あたりの画像枚数が「30」である場合、この画像枚数を「1〜30」となるように画像枚数を削減させることができる。例として「15」に設定した場合、偶数番目の画像のみを削減することによって画像枚数は「15」となる。なお、画像枚数の数値が「30」に近づくほど、映像情報の画質は、高画質、すなわち削減処理されたフレームを連続順次再生したときに被写体が滑らかに動く動画像となる。逆に、画像枚数の数値が「1」に近づくほど、映像情報の画質は低画質(被写体がギクシャクと動く動画像)となる。
なお、本願特許請求の範囲および本願明細書では、(例えば圧縮削減部20に入力する)画像の単位時間当りの画像枚数を(例えば圧縮削減部20が)減らさないで出力した場合でも、(例えば圧縮削減部20は、)0枚の画像を削減処理したものと、解釈するものとする。
【0014】
第1記憶部30は、例えばハードディスク(HDD)で構成する。第1記憶部30は、例えば30秒間とか数分間に相当する元映像情報(以下、「サンプル映像」と記す)を、予め記録開始前にもしくは記録中に記憶する。ここでは、第1記憶部30にはサンブル映像が予め記憶してあるものとする。このサンプル映像は、例えば1枚あたりの画像容量は「1MB」であり、1秒間あたりの画像枚数は「30」であり、圧縮処理されていない状態で第1記憶部30に記憶されているものとする。そのため、サンプル映像の1秒間の再生に必要なデータ量は「30MB」となる。なお、サンプル映像には、削減処理したものを使用してもよいけれど、削減処理していないほうが、単位時間当りの指定記録画像枚数に幅広く対応できるので望ましく、ここでは削減処理していないサンプル画像を例とする。
また、サンプル映像を記録再生装置100の第1記憶部30にいつ格納するかは、当業者もしくはユーザが決めてよい。例えば、記録再生装置100の出荷前に予め、記録再生装置100の設置前に予め、記録再生装置100の任意の回の録画開始前に予め、記録再生装置100の第1記憶部30にサンプル映像を記憶させておくことができる。もちろん、サンプル映像は、記録再生装置100が録画中にタイミングを見計らって作成し、第1記憶部30に格納してもよい。
伸張部40は、圧縮削減部20で圧縮処理され、第1記憶部30に保存された映像情報を、圧縮する前の圧縮率もしくは圧縮する前と略同じ圧縮率へと戻す処理を実施する。
【0015】
出力部50は、例えば外部出力端子と出力処理回路から構成され、図示しない外部機器(外部モニタ)へ映像情報の出力処理を実施している。
制御部60は、例えばCPUなどのデータ処理装置で構成されており、各機器の動作をコントロールしたり、第1記憶部30に記憶されている映像情報を管理したり、種々の処理を実行している。
第2記憶部70は、例えばROMとRAMとから構成されている。そして、ROMには
制御部60が実施するコントロール、映像情報管理および各種処理の実行プログラムが記憶されている。また、RAMは一時記憶領域として使用されている。
操作部80は、例えば複数個のボタン、スイッチ等から構成されている。なお本実施例においては、操作部80は、図2に示すように再生キー82、圧縮率設定キー83、画像枚数設定キー84が該当する。また、この操作部80からの入力操作は、制御部60へ通知され、制御部60によって割り当てられた各機能が実行される。
【0016】
次に、第1記憶部30に予め記憶してある映像情報を圧縮削減処理させた後に再生させる方法について説明する。
まず、オペレータは、圧縮率設定キー83と画像枚数設定キー84とを所望する数値に設定して再生キー82を押下する。この所望する数値として、図2に示すように、例えば圧縮率を「50%」に設定し、画像枚数を「15」に設定した場合について説明する。
【0017】
オペレータによる再生キー82の押下によって、制御部60は、第1記憶部30に記憶のサンプル映像を読み出し、読み出したサンプル映像を圧縮削減部20へ送信する。また、制御部60は、設定された圧縮率(この場合、50%)と画像枚数(この場合、15)を圧縮削減部20へ数値指令する。そして、圧縮削減部20は、数値指令された画像枚数となるように画像枚数を削減処理するとともに、読み出されたサンプル映像に対して数値指令された圧縮率となるように圧縮処理する。
これらの処理によって、画像枚数が「15」となるように設定されているため、映像情報のデータ量は削減前と比較して半分となる。また、圧縮率が「50%」となるように設定されているため、映像情報のデータ量は圧縮処理前と比較して半分となる。このように圧縮削減部20によってサンプル映像は、1秒間の再生に必要な画像量が「30MB」から「7.5MB」となり「22.5MB」の画像量が削減される。すなわち、圧縮削減処理によって、画像量は1/4となる。
【0018】
そして、制御部60は、第1記憶部30にバッファされ圧縮削減処理された映像情報を伸張部40へ送信する。圧縮削減処理された映像情報は、伸張部40によって圧縮処理する前の映像情報へと伸張処理される。すなわち、圧縮率が「50%」となっていたが「100%」もしくは「100%に近い数値」へと戻される。なお、この伸張部40は、圧縮削減処理された映像情報のうち、圧縮処理については元の状態(可逆圧縮の場合)もしくはほとんど元の状態(非可逆圧縮の場合)に戻すことは可能である。しかし、伸張部40は、削減処理された映像情報を元の状態に戻すことはできない。そして、伸張処理された映像情報は、出力部50を介して外部モニタへ送信される。
【0019】
オペレータは外部モニタを見ることによって、自身が設定した圧縮率と単位時間あたりの画像枚数とが適した状態であるか否かを判断できる。この適した状態とは、圧縮率を高くし過ぎることによって低画質となっていない状態、もしくは画像枚数を削減しすぎることによって低画質(滑らかでない動画像)となっていない状態であり、オペレータが圧縮削減処理後に再生した映像情報を見ても画質に違和感のない状態である。またオペレータは、これらの設定が適した状態でないと判断すれば、外部モニタを見ながら圧縮率設定キー83と画像枚数設定キー84との設定をそれぞれ変更して更によい設定値を探し出すことができる。このようにして、オペレータは圧縮率と単位時間あたりの画像枚数とが適した状態となる設定値を容易に見つけ出すことができる。
【0020】
(実施例2)
次に、実施例2について図3〜4を用いて説明する。
実施例1では、第1記憶部30に予め記憶させたもしくは録画中に記憶部に記憶させた非圧縮のサンプル映像を圧縮削減処理させた後に試し再生させたものであった。それに対し、実施例2では、映像情報を、記録再生装置の内部もしくは外部にて、圧縮処理した後に第1記憶部30にサンプル映像として記憶させ、記憶させた圧縮されたサンプル映像を記録設定条件に応じて試し再生させるものである。なお、サンプル映像が削減処理されたものであるかないかは、問うところではないことは、この実施例2も実施例1と同様である。削減したサンプル映像を使えば、単位時間当りの画像枚数の指定範囲が狭くなるだけのことである。
ところで、以下の説明にあたっては、実施例1と同一もしくは均等な機器には、同一符号を図面に付すことで重複する説明は省略する。このことは、実施例3においても適用する。図3は、実施例2における記録再生装置100の内部構成を示すブロック図である。図4は、実施例2における記録再生装置100の外部構成を説明する図である。
【0021】
図3に示すように、記録再生装置100は、図1の構成に対してさらに入力部10を備えている。また図4に示すように、操作部80は、図2の構成に対してさらに記録キー81を備えている。
入力部10は、例えば外部入力端子と入力処理回路から構成され、図示しない外部機器(監視カメラ、テレビなど)からの映像情報の入力処理を実施している。そして入力部10は、入力された映像情報を圧縮削減部20へ送信している。また、この実施例2において、第1記憶部30は、サンプル映像を予め記憶しておくことを必要としてない。
【0022】
次に、映像情報を圧縮処理させた後に記憶させ、記憶させた映像情報を再生させる方法について説明する。
まず、オペレータは、圧縮率設定キー83と画像枚数設定キー84とを所望する数値に設定して記録キー81を押下する。この所望する数値として、実施例1で示したように、例えば圧縮率を「50%」に設定し、画像枚数を「15」に設定した場合について説明する。また、入力部10から入力される映像情報の画像量は、実施例1で説明したサンプル映像の圧縮削減処理前の画像量と同一とする。
なお、入力部10にはカメラ(単数または複数)が接続可能であり、ここでは説明の便宜上1台のカメラ(図示せず)が入力部に接続してあるものとする。
【0023】
オペレータによる記録キー81の押下によって、制御部60は(本来の記録動作に先立って)、入力部10から所定時間の映像情報を取り込んで、その映像情報を圧縮削減部20で圧縮処理させてから第1記憶部30にサンプル映像として記憶させる。圧縮削減部20では、削減処理を実施してもよいけれども、ここでは削減処理は実施しない例で説明する。
しかる後、制御部60は、設定された圧縮率(この場合、50%)と画像枚数(この場合、15)とで、通常の本来の通常の記録動作を実行する。通常の記録動作は、この場合であれば次のような記録処理である。
設定された圧縮率(この場合、50%)と画像枚数(この場合、15)を数値指令された圧縮削減部20は、入力された映像情報に対して、数値指令された画像枚数となるように画像数を削減処理するとともに、数値指令された圧縮率となるように圧縮処理する。
オペレータは、設定条件による記録映像の再生画像の見栄えを自分の目で見て確認したいときは、すなわち再生画像の質(クオリティ)を評価したいときは、次のようにする。
記録再生装置100が通常の記録動作中にもしくは通常の記録動作を開始する前に、再生キーを押下する。
以上、圧縮したサンプル映像を第1記憶部30に記憶させ点について説明した。長時間再生可能なデータ量が大きいサンプル映像を望む場合は、圧縮したサンプル映像もしくは圧縮削減処理したサンプル映像を第1記憶部30に記憶させるべきであろう。
引き続き、圧縮されたサンプル映像の再生について説明する。
【0024】
制御部60は、第1記憶部30に記憶した圧縮されたサンプル映像を、設定記録画像枚数(ここでは秒あたり15枚)に応じて読み出し、読み出した映像情報を伸張部40へ送信する。設定画像枚数でもって読み出された圧縮処理されたサンプル映像は、伸張部40によって、圧縮処理する前の映像情報へと伸張処理される。すなわち、圧縮率が「50%」となっていたが「100%」もしくは「100%に近い数値」へと戻される。伸張部40によって伸張処理された映像情報は、出力部50を介して外部モニタ(図示せず)へ出力される。
なお、記録再生装置100は、第1記憶部30から読み出す未削減のサンプル映像の削減処理は、圧縮削減部20もしくは伸張部40で行う構成でもよい。ところで、この伸張部40によって、圧縮削減処理された映像情報のうち、圧縮処理については元に戻すことは可能だが、削減した映像情報を元に戻すことはできない。従って、第1記憶部に記憶させるサンプル映像を削減処理したものとする場合は、単位時間あたりの再生画像枚数には制約が出る。どのようなサンプル映像を用意するかは、ユーザもしくは業者の設計上の選択事項であるので、この制約を好ましくないと思うユーザないし業者は、上記の実施例1または実施例2のサンプル映像の記憶方式を採用すればよい。
【0025】
このようにしてオペレータは、自身が設定した録画条件、すなわち圧縮率と単位時間あたりの画像枚数とになるように映像情報を試し再生することができる。そのため、例えば記憶させたい映像情報がスポーツに関する映像情報であり、オペレータはその映像情報を鮮明な画像で記憶させたい場合には、高画質で、被写体の動きが滑らかな再生動画像(低圧縮、画像枚数の数値が30に近い状態)となるように、映像情報を圧縮削減処理させて記憶させることができる。また逆に、例えば記憶させたい映像情報がニュースに関する映像情報であり、オペレータはその映像情報を鮮明な画像で記憶を望まない場合には、低画質状態(高圧縮、画像枚数の数値が1に近い状態)となるように、映像情報を圧縮削減処理させて記憶させることができる。このように、記憶させたい映像情報の内容に応じて、オペレータは圧縮削減処理させる数値を任意に設定することができ、第1記憶部30の記憶可能容量を有効活用できる。
以上で本発明実施の一形態である実施例2の説明を終了する。
【0026】
続いて、オペレータが設定した圧縮率と画像枚数に基づいて、あとどれだけの時間、映像情報を第1記憶部30へ記憶できるかを予め算出(以下、記憶可能予想時間と記す)する構成(実施の一形態)について説明する。なお、算出する条件として、第1記憶部30の全記憶容量を、「300GB(ギガバイト)」とし、その内の「100GB」は既に映像情報が記憶されているものとする。また、オペレータが設定した各設定値は、上述した圧縮率「50%」とし、画像枚数「15」として説明する。
【0027】
まず、オペレータは操作部80の記憶時間算出キー(図示しない)を押下する。記憶時間算出キーの押下によって、制御部60は、第1記憶部30に記憶できる残容量を検出する。この場合「200GB(300GB−100GB)」と検出される。また、既に説明したように映像情報の圧縮削減処理前の画像量は「30MB/秒」であるため、圧縮削減処理後の画像量は「7.5MB/秒」となる。この「7.5MB/秒」は換算すると「27GB/時」である。そして制御部60は、第1記憶部30に記憶できる残容量と圧縮削減処理後の画像量から第1記憶部30に記憶できる残時間を算出する。この場合「7.4時間(200(GB)/27(GB/秒))」と算出される。この算出した時間を制御部60は出力部50へ送信する。そして外部モニタによって、この算出時間は表示されオペレータは確認できる。このようにして、オペレータは、記憶可能予想時間を予め知ることができる。
【0028】
オペレータは、記録再生装置100で記録させようと自身が望む映像情報(以下、所望する映像情報と記す)の記録開始前に記憶可能予想時間を知ることができると、以下に記す効果を有する。例えば、所望する映像情報を記憶させるには8時間必要であり、記憶可能予想時間が7.4時間である場合、0.6時間の記憶容量が不足している。そして、この不足時間を補うために、オペレータはさらに圧縮率を高めたり、さらに画像枚数を削減させたりすることによって、所望する映像情報を全て記憶させることができる。
【0029】
また、上述したように所望する映像情報の記憶に要する時間(以下、記憶所要時間と記す)が記憶可能予想時間を超えた場合には、圧縮率と画像枚数の設定の見直しで対処するのではなく、第1記憶部30に記憶してある映像情報の中から優先度の低いものを削除してから再度記憶可能予想時間を算出させる構成でも構わない。その場合について説明する。第1記憶部30に記憶してある映像情報のうち、制御部60は優先度の高い映像情報(オペレータにとって重要な映像情報であり、削除したくない)と優先度の低い映像情報(オペレータにとって重要でない映像情報であり、削除してもよい)とを識別可能である。この優先度の高低は、オペレータが映像情報を記憶させる際に予め映像情報に対応付けて記憶させておく。このように優先度を付加しておけば、記憶所要時間が記憶可能予想時間を超えたことを制御部60が判断した場合、制御部60は優先度の低い映像情報を削除してから再度記憶可能予想時間を算出する。そして優先度の低い映像情報を除外することによって、記憶所要時間が記憶可能予想時間内に収まる場合には、優先度の低い映像情報を削除してから映像情報の記憶を開始する。
【0030】
上述した内容は、あくまでも本発明の一実施の形態に関するものであって、本発明が上記内容に限定されることを意味するものではない。
実施例1では、サンプル映像を、予め、つまり典型的には、記録再生装置100を監視場所に設置する前などに、第1記憶部30に記憶させておく構成を例に説明した。しかし、これに限定されるものでなく、サンプル映像を、記録再生装置の設置後に、外部から入力させて第1記憶部30に記憶させても構わない。その場合、記録再生装置100は、そのための入力部を備える必要がある。もちろん、そのための入力部は、カメラ接続端子である構成も可能である。そして、入力部10から入力させた映像情報を第1記憶部30へ記憶させ、この記憶させた映像情報をサンプル映像として扱う構成となる。
【0031】
また各実施例では、出力部50の例として「外部出力端子と出力処理回路」を備える構成を例に説明した。しかし、これに限定されるものでなく、例えば記録再生装置100が「表示モニタ」を具備する構成であっても構わない。また、出力部50の例として「外部出力端子と出力処理回路」および「表示モニタ」の両者を備える構成であっても構わない。なお両者を備える場合には、例えば、圧縮率および画像枚数の設定のための再生時には「表示モニタ」へ表示させ、またそれ以外の再生時には「外部出力端子と出力処理回路」を介して外部モニタへ表示させるなどして用途によって使い分けてもよい。
【0032】
また各実施例では、出力部50の例として「外部出力端子と出力処理回路」を備える構成を例示し、予め算出した記憶可能予想時間を外部出力端子と出力処理回路とを介して外部モニタへ表示させる構成を例に説明した。しかし、これに限定されるものでなく、出力部50の例として「外部出力端子と出力処理回路」と「音声出力手段(スピーカ)」を備える構成であっても構わない。その場合には、予め算出した記憶可能予想時間を音声出力手段によって音声出力させることができる。
【0033】
また実施例1では、第1記憶部30に予め記憶させておくサンプル映像は非圧縮のサンプル映像であった。しかし、これに限定されるものでなく、第1記憶部30に予め記憶させておくサンプル映像は圧縮サンプル映像でも構わない。その場合には、制御部60は圧縮サンプル映像を読み出し、読み出した圧縮サンプル映像を伸張部40で一旦伸張処理させた後に、再度、第1記憶部30へ記憶させる。そこからの処理は非圧縮のサンプル映像と同一の処理工程となるため説明は省略する。このようにして、第1記憶部30に予め記憶させるサンプル映像は圧縮サンプル映像であっても、非圧縮のサンプル映像と同様に扱うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1は、実施例1における記録再生装置100の内部構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、実施例1における記録再生装置100の外部構成を説明する図である。
【図3】図3は、実施例2における記録再生装置100の内部構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、実施例2における記録再生装置100の外部構成を説明する図である。
【符号の説明】
【0035】
10 入力部
20 圧縮削減部
30 記憶部(第1記憶部 HDD)
40 伸張部
50 出力部
60 制御部
80 操作部
100 記録再生装置



【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理対象の映像を削減処理するための単位時間あたりの画像枚数と、処理対象の映像を圧縮処理するための圧縮率と、をそれぞれ個別に入力する操作部と、
前記削減処理および前記圧縮処理を行う処理である圧縮削減処理をする圧縮削減部と、
前記圧縮削減処理の対象である元映像情報を記憶する記憶部と、
前記記憶部から前記元映像情報を読み出すとともに、前記操作部から入力された画像枚数と圧縮率とを満たすもしくは概略満たす映像情報へと該元映像情報が処理されるように、前記圧縮削減部に数値指令を出す制御部と、
圧縮削減処理された前記映像情報を伸張処理する伸張部と、
前記伸張処理された映像情報を出力する出力部と、
を備える記録再生装置。
【請求項2】
処理対象の映像を削減処理するための単位時間あたりの画像枚数と、処理対象の映像を圧縮処理するための圧縮率と、をそれぞれ個別に入力する操作部と、
前記削減処理および前記圧縮処理を行う処理である圧縮削減処理をする圧縮削減部と、
前記圧縮削減処理の対象となる情報であって、圧縮処理してある元映像情報を記憶する記憶部と、
前記記憶部から読み出された前記圧縮処理してある元映像情報を伸張処理して非圧縮の中間処理段階映像情報を出力する伸張部と、
前記操作部から入力された画像枚数と圧縮率とを満たすもしくは概略満たす映像情報へと該非圧縮の中間処理段階映像情報が処理されるように、前記圧縮削減部に数値指令を出す制御部と、
自身に入力する情報を出力する出力部と、を備え
前記伸張部は、圧縮削減処理された前記映像情報を伸張処理するとともに、前記伸張処理された映像情報を前記出力部へ出力する記録再生装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の記録再生装置であって、
前記元映像情報は、前記記録再生装置の任意の回の記録動作開始前に前記記憶部に予め記憶させた映像、または前記記録再生装置の記録開始後に記憶部に蓄積済み映像の中から所定の基準でもって選択した映像、または、前記記録再生装置の記録中に記憶部に記憶させた映像のうち、少なくとも一つに該当する映像情報である記録再生装置。
【請求項4】
装置各部の制御中枢である制御部と、
映像情報を記憶する記憶部と、
前記映像情報を圧縮処理し且つ削減処理する圧縮削減部と、
前記圧縮削減部で圧縮削減処理された映像情報を伸張処理する伸張部と、
前記伸張部で伸張処理された映像情報を出力する出力部と、
前記圧縮処理のための圧縮率と、前記削減処理のための単位時間あたりの画像枚数とをそれぞれ個別に入力する操作部とを備え、
前記制御部は、前記出力部へ出力させる映像情報を前記記憶部から読み出し、前記操作部から入力された圧縮率と画像枚数とにその読み出した映像情報が前記圧縮削減部によって処理されるように前記圧縮削減部へ数値指令する、記録再生装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の記録再生装置であって、
前記制御部は、
前記記憶部に映像を記憶できる残容量を検出可能であり、検出した残容量と前記数値指令とに基づいて前記記憶部に記憶できる残時間を算出することを特徴とする記録再生装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−115394(P2006−115394A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−302954(P2004−302954)
【出願日】平成16年10月18日(2004.10.18)
【出願人】(391006348)株式会社タイテック (79)
【Fターム(参考)】