説明

記録再生装置

【課題】記録データの管理を容易にする記録再生装置を提供する。
【解決手段】ネットワーク接続機能を有する記録再生装置において、ネットワーク接続環境を監視し、利用可能なサーバに対して記録データを転送し、利用可能なサーバがない場合はローカルの記録媒体に記録する。この際管理情報は適宜更新する。これにより、記録データを分散して管理する記録再生装置を実現する。また、記録中や、再生中もしくは記録再生停止中に、管理情報を適宜更新しながら、利用可能なサーバがある場合に自動的に記録データをローカルからサーバへ移動し、ローカルの記録媒体の残容量を増加させ、また、サーバからサーバへデータを移動し、自動的に一元化することで、ユーザを煩わすことなく記録データを管理することで使い勝手を向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータ、AV機器、情報家電機器等様々な機器で扱われる映像や音声データがデジタル化されている。また、インターネット等のネットワークインフラも整備され、ネットワークへ接続可能な機器を利用するユーザも増加している。
【0003】
従来の記録再生装置では、例えば特許文献1のように、ローカル機器とネットワークを介した外部の記録媒体(例えば、サーバ)とへデータが分散する場合の管理方法を提示した記録方法がある。
【0004】
【特許文献1】特開2002−24062号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来技術では、ファイルを構成するデータの1部がローカルで、その他がネットワーク上にある場合についてのファイル管理方法を提示しているが、その運用方法は考えられていなかった。本体内(以下ローカルと記す)の記録媒体と、ネットワーク機能を有する記録再生機器において、実際の利用状況では、あるときはネットワーク、あるときはローカルにある記録媒体を利用する場合があり、それはユーザの意思で切り替えてそのように利用する場合もあるが、ネットワーク上の記録媒体(以下サーバと記す)へ記録する設定で利用していても、何らかの都合で利用できなくなる可能性がある。これは、ネットワークインフラの都合や、その通信状況によって常時状況が変化することから来る制約であり、その運用には工夫が必要である。加えて、記録データが分散化することで、ユーザが記録データを移動やコピー、あるいは編集を加えようとしたときには操作が煩雑になる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、一例として特許請求の範囲記載の構成により解決される。
【0007】
具体的には、ネットワーク接続機能を有する記録再生装置において、ネットワーク接続環境を監視し、利用可能なサーバに対して記録データを転送し、利用可能なサーバがない場合はローカルの記録媒体に記録する。この際管理情報は適宜更新する。また、記録中や、再生中もしくは記録再生停止中に、管理情報を適宜更新しながら、利用可能なサーバがある場合に自動的に記録データをローカルからサーバへ移動し、ローカルの記録媒体の残容量を増加させ、また、サーバからサーバへデータを移動し、自動的に一元化する。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、記録データの管理を容易にする記録再生装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0010】
先ず、図1は本発明を適用した一実施形態である記録再生装置と、ネットワークとの接続を示す構成図である。図1において、100はカメラ、101はサーバ、102はネットワークを示す。システム制御回路103はCPUやメモリを持ち、システム全体を制御する。図示はしないが、一般的にユーザがボタン等を操作する際の入力情報も、システム制御回路103が処理する。112のカメラ制御回路は撮影した映像音声データを取得し、CODEC(COmpression/DECompression)回路105へデータを渡す。105のCODEC回路は、必要に応じてMPEG(Moving Picture Experts Group)やJPEG(Joint Photographic coding Experts Group)と言った映像、音声情報の圧縮を行う。これらの映像音声データや、外部入力端子114からの入力信号を外部入力回路104が所望の信号変換処理を行い得られた映像音声データは、必要に応じて、CODEC回路105にて圧縮され、記録制御回路106にて、記録媒体107のHDD(Hard Disk Drive)や、記録媒体115のBD(Blu-ray Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)に記録される。なお、本実施形態において、書き込むための記録媒体は、HDDや、DVDであるものとして説明をするが、本発明はこれに限らず、リムーバル用途での利用を想定した、セキュリティ機能に対応したHDD、光磁気ディスク、半導体メモリなど、情報を記録する記録媒体に適応することができる。
【0011】
また、扱う映像音声情報が著作権保護の必要がある場合などは、上記において記録する前に、暗号化/復号化回路111にて暗号化/復号化鍵を生成し、暗号化してから記録する。
【0012】
記録時の映像音声データ、再生時に記録媒体107、109から記録制御回路106が読み出したデータを、必要に応じて暗号化/復号化回路111にて複合化し、CODEC回路105にてデコード(伸張)処理したデータを、表示制御回路108にて表示装置109へ出力する。ネットワーク制御回路110は、前記映像音声データをネットワーク経由で伝送する処理を行う。これにより、カメラ100の扱うデータを書き出しあるいは読み出すために、ネットワーク接続されるサーバ101へアクセスすることが可能となる。
【0013】
図2は、本発明を適用した一実施形態であるカメラにおいて、ユーザが記録したデータの管理構成を示すものである。ここでは説明を簡単にするため映像について記すが、音声についても同様の方法で管理される。
【0014】
図2において、200は映像管理ファイルを示し、201は管理ヘッダ情報を示し、記録管理情報(記録日時や記録方式、分散化している記録データのインデックス数等と言ったユーザ操作画面の作成や、再生に必要な情報)が格納される。202はインデックス情報を示し、分散化した記録データを特定(ローカルかあるいはどのサーバか等)するために利用される。
【0015】
210はローカルの記録媒体に記録された映像ファイルを示し、211は映像ヘッダ情報を示し、映像に関する情報だけでなく、関連する記録データへのリンク情報も格納され、再生時の補助情報として、次に再生すべきデータの先読みにも利用可能である。212は映像ストリームデータを示し、CODEC回路105で圧縮伸張される映像データが格納される。
【0016】
220、230はサーバに記録された映像ファイルを示し、221、231は映像ヘッダ情報、222、232は映像ストリームデータを示し、前述のローカルの記録媒体で記した夫々の情報と同様の構成である。
【0017】
なお、前述のファイルは、夫々独立したファイルであっても、1ファイル内で管理されても良いが、一般的には管理ファイルは映像ファイルとは独立したファイルとして運用される。
【0018】
図3、図4は、本発明を適用した一実施形態であるカメラにおいて、記録データの伝送について示す。
【0019】
300はカメラを示し、301はディスク型の記録媒体、302はHDDを示す。これらは、固定型であってもリムーバル型であっても良いし、半導体メモリ等の記録媒体でも良い。303、304はサーバを示し、ここでは説明のため303をサーバA、304をサーバBとする。305はネットワークを示す。カメラ300からの記録データはネットワーク305の状況や、サーバ303,304の状況によって、記録データ伝送パターン(1)〜(4)を自動的に切り替えながら記録を行う。
【0020】
図3の記録データ伝送パターン(1)について説明する。カメラ300にて記録時に、サーバA303とサーバB304の伝送状況が良好で、ユーザのメインサーバ(主として利用しているサーバ)がサーバA303の場合や、サーバA303の伝送状況が良好でサーバB304の伝送状況が良好でない場合、カメラ300からの記録データは図示した伝送方向でサーバA303へ伝送され記録される。
【0021】
図3の記録データ伝送パターン(2)について説明する。カメラ300にて記録時に、サーバB304の伝送状況が良好でサーバA303の伝送状況が良好でない場合、カメラ300からの記録データは図示した伝送方向でサーバB304へ伝送され記録される。
【0022】
図3の記録データ伝送パターン(3)について説明する。カメラ300にて記録時に、サーバA303とサーバB304の伝送状況が良好でない場合、あるいは、ネットワーク305の状況が良好でない場合、カメラ300からの記録データはローカルのディスク301やHDD302へ記録される。
【0023】
図4の記録データ伝送パターン(4)について説明する。カメラ300にて記録時、再生時、あるいは記録再生停止時に、サーバA303とサーバB304の伝送状況が良好で、ユーザのメインサーバがサーバA303の場合や、サーバA303の伝送状況が良好でサーバB304の伝送状況が良好でない場合、カメラ300のディスク301やHDD302へ記録済みデータは図示した伝送方向でサーバA303へ伝送され記録される。サーバへ伝送したデータはローカルな記録媒体からは削除する。すなわち記録データを移動したことになる。これによりローカルの記録媒体の残容量を自動的に増加できる。もちろん、ユーザの設定により、カメラ300のローカルな記録媒体へ記録データを残しても良い。
【0024】
図4の記録データ伝送パターン(5)について説明する。カメラ300にて記録時、再生時、あるいは記録再生停止時に、サーバA303とサーバB304の伝送状況が良好で、ユーザのメインサーバがサーバA303の場合、サーバB304へ記録済みデータはサーバA303へ伝送され記録される。サーバA303へ伝送したデータはサーバB304からは削除する。すなわち記録データを移動したことになる。これにより自動的記録データをサーバA303へ一元化できる。なお、ユーザの設定により、記録データを分散化したままでも良い。
【0025】
前述の機能により、ネットワークを利用可能な状況では、ユーザはローカルの記録媒体の残容量を気にすることなく記録することができる。また、記録データの分散化、一元化所望の方法で管理が可能となる。一元化する利点は、例えば、サーバで利用できる記録容量が従量制課金のような場合に、ユーザ所望のサーバに記録データを集中できることである。
【0026】
次に、本発明を適用した一実施形態であるカメラにおいて、記録時の動作フローについて、図5を用いて説明する。
【0027】
ユーザによる記録が開始され、S500にてサーバとのデータ伝送状況の確認を行う。例えば、システム制御回路103が、ネットワーク制御回路110にてサーバとの接続状況を確認する。システム制御回路103が、S501にて伝送状況が良好と判断した場合、S503にてネットワーク制御回路110にてサーバへ記録データを送信し記録する。もしS501にて伝送状況が良好でないと判断された場合、システム制御回路103はS502にて全てのサーバ(ユーザが予め登録したサーバや、自動的に設定し利用可能なサーバを示す)を調査完了したか判定し、全てのサーバを調査していなければ次のサーバについて、S500からの処理を行う。S502にて全てのサーバの調査を完了し、利用可能なサーバが見つからなかった場合は、S504にてローカルの記録媒体、例えば、ディスク媒体115やHDD107へ記録する。以上のように記録データを記録する際に、システム制御回路103は、S505にて記録データをどこへ記録したのかを示すインデックス情報を記録制御回路106経由でディスク媒体115やHDD107へ記録する。
【0028】
更に、本発明を適用した一実施形態であるカメラにおいて、記録時、再生時、記録再生停止時の動作フローについて、図6を用いて説明する。
【0029】
ユーザによる記録あるいは、再生がされている時、または、再生停止時において、S600にてサーバとのデータ伝送状況の確認を行う。例えば、システム制御回路103が、ネットワーク制御回路110にてサーバとの接続状況を確認する。システム制御回路103が、S601にて伝送状況が良好と判断した場合、S603にて記録制御回路106経由でディスク媒体115やHDD107から記録データを読み出し、S604にてネットワーク制御回路110にてサーバへ記録データを送信し記録する。続いて、システム制御回路103が、S605にて記録制御回路106経由でディスク媒体115やHDD107から記録データを削除する。(これは移動動作を示すが、ユーザの設定によってはローカルの記録データを削除せずコピー動作しても良い。)次に、システム制御回路103が、S606にてインデックス情報を記録制御回路106経由でディスク媒体115やHDD107へ記録する。もしS601にて伝送状況が良好でないと判断された場合、システム制御回路103はS602にて全てのサーバ(ユーザが予め登録したサーバや、自動的に設定し利用可能なサーバを示す)を調査完了したか判定し、全てのサーバを調査していなければ次のサーバについて、S600からの処理を行う。S602にて全てのサーバの調査を完了し、利用可能なサーバが見つからなかった場合は、元の処理を継続する。
【0030】
上述と同様の手法で、サーバから他のサーバへの記録データ伝送も実現できる。具体的には、S603にてサーバから記録データを読み出しながらS604にて他のサーバへ伝送し記録する。
【0031】
最後に、本発明を適用した一実施形態であるカメラにおいて、記録時の画面例について図7を用いて説明する。
【0032】
図7において、700は表示装置109(詳細は図示しないが、カメラの例では、ビューファインダーや液晶パネルが一般的である。)に表示される画面を示す。701は動画記録モードを示すアイコン表示を示す。702は記録画質モードや、記録時間を示すカウンタ表示を示す。703は、録画中、録画停止中等を示すアイコン表示を示す。前述の表示は既知のカメラでの表示である。704は、ディスクへの記録中であることを示すアイコン表示である。同様に、705は、HDDへの記録中であることを示すアイコン表示である。706は、サーバとの伝送中であることを示すアイコン表示を示す。図のようにサーバを識別する番号等を重畳表示しても良い。これらの表示は、システム制御回路103が、前述の動作フローでの記録データの読み込み、記録、伝送のステップにて表示制御回路108経由で表示装置109にて表示を行う。
【0033】
上述により、ユーザに現在の動作状況を示すことができる。
【0034】
以上より、記録時、再生時に関わらず、サーバへ記録データを記録して、分散化や、一元化して記録管理する機器を実現でき、ユーザにとって使い勝手の良い記録再生装置を実現できる。以上に説明した方法と同様の方法でネットワーク経由でサーバへアクセスし、図2で説明した管理情報を基に必要な記録データを読み出し、分散化あるいは一元化されたサーバの記録データを利用して再生動作も実現できる。
【0035】
このように、本発明ではネットワーク接続機能を有する記録再生装置において、ネットワーク接続環境を監視し、利用可能なサーバに対して記録データを転送し、利用可能なサーバがない場合はローカルの記録媒体に記録する。この際管理情報は適宜更新する。これにより、記録データを分散して管理する記録再生装置を実現する。また、記録中や、再生中もしくは記録再生停止中に、管理情報を適宜更新しながら、利用可能なサーバがある場合に自動的に記録データをローカルからサーバへ移動し、ローカルの記録媒体の残容量を増加させ、また、サーバからサーバへデータを移動し、自動的に一元化することで、ユーザを煩わすことなく記録データを管理することで使い勝手を向上する。
【0036】
以上、本発明の好適な実施例としてネットワーク接続するための通信手段を持つ映像や音声を記録再生可能な装置であって、特に、ビデオカメラ等、記録装置と、リモコン等の操作用ボタンを備える装置について説明した。
【0037】
本発明によれば、ユーザの手を煩わすことなく、ローカルの記録媒体の残容量を確保し、ネットワークの状況不良でサーバへ記録データを伝送できない場合などのために備えながら、記録データの管理を容易にする記録再生装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施形態であるカメラの構成図である。
【図2】本発明の一実施形態であるカメラで扱う、管理データと映像データの構造を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態であるカメラで扱う、記録データの伝送パターン(1)〜(3)を示した図である。
【図4】本発明の一実施形態であるカメラで扱う、記録データの伝送パターン(4)〜(5)を示した図である。
【図5】本発明の一実施形態であるカメラによる、記録時の動作フローを示した図である。
【図6】本発明の一実施形態であるカメラによる、記録データ一元化の動作フローを示した図である。
【図7】本発明の一実施形態であるカメラで扱う、表示画面の例を示した図である。
【符号の説明】
【0039】
100…カメラ、101…サーバ、102…ネットワーク、103…システム制御回路、104…外部入力制御回路、105…CODEC回路、106…記録制御回路、107…HDD、108…表示制御回路、109…表示装置、110…ネットワーク制御回路、111…暗号化/複合化回路、112…カメラ制御回路、114…外部入力端子、115…BD/DVD。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像や音声をデジタル化して記録再生する、ネットワーク機能を有する記録再生装置であって、
自動的あるいはユーザによる設定でサーバへ接続する接続手段と、
記録中あるいは記録済みのデータをサーバへ伝送する伝送手段を備え、
ネットワークの状況や、サーバの伝送状況を監視し、十分な帯域を確保できるサーバへデータを伝送保存することを特徴とする記録再生装置。
【請求項2】
請求項1に記載の記録再生装置であって、
ネットワークの状況や、サーバの伝送状況を監視し、十分な帯域を確保できない場合、自動的に他のサーバを確認し十分な帯域を確保できる際には切り換えてデータを伝送保存することを特徴とする記録再生装置。
【請求項3】
請求項1あるいは、請求項2に記載の記録再生装置であって、
ネットワークの状況や、接続可能なサーバの伝送状況を監視し、十分な帯域を確保できない場合、ローカルな記録媒体へ切り換えてデータを記録することを特徴とする記録再生装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3いずれか1項に記載の記録再生装置であって、
分散化して記録されたデータを管理する情報を記録することを特徴とする記録再生装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4いずれか1項に記載の記録再生装置であって、
記録データの伝送状況を操作画面に表示することを特徴とする記録再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−21645(P2009−21645A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−180453(P2007−180453)
【出願日】平成19年7月10日(2007.7.10)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】