説明

記録再生装置

【課題】所定の楽曲を録画データから抽出して音声ファイルを作成する処理を、抽出の開始点/終了点の手動指定を必要とすることなく実施できる記録再生装置を提供する。
【解決手段】本発明の記録再生装置は、音声情報を含む再生情報の再生を行う再生処理部と、再生情報に含まれる音声情報の一部を抽出した部分音声情報を生成する音声抽出部とを備えている。また、音声抽出部を制御する抽出制御部を備えている。抽出制御部は、再生情報の再生時間軸の中から任意の再生位置の指定を受け付ける。そして指定された再生位置から所定範囲の再生時間内において、再生音量が閾値を越える再生位置を始点位置とする。さらに、始点位置の後方において所定の再生音声が検出された再生位置を終点位置とする。そして始点位置と終点位置とに挟まれた範囲の音声情報を抽出するよう、音声抽出部を制御する。これにより、部分音声情報を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像または音声の記録再生を行う記録再生装置に関するものであり、特に音声データの抽出機能を備えた記録再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタル技術の多機能化、多様化により、DVD(Digital Versatile Disc)プレーヤやHDD(Hard Disk Drive)レコーダ等の様々な記録再生装置が普及している。これらの記録再生装置は、DVDやHDDに記録されている画像/音声デジタルデータをデコードすることにより、画像/音声信号をテレビジョン装置やモニタ、又はスピーカ等に出力する。
【0003】
このような記録再生装置が再生する記録媒体には、一つの放送番組が一つのデータファイルとして記録されている場合がある。このような場合、ユーザが放送番組の中に含まれる所望の一楽曲のみを再生しようとすると、まず放送番組が含まれるデータファイルを再生し、その後に所望の一楽曲の位置まで早送りや巻き戻し等をする必要があった。このため所望の一楽曲の再生開始までに手間がかかり、ユーザに煩わしさを感じさせるという問題があった。
【0004】
上記に関連して特許文献1においては、録音した放送番組中の楽曲に関するデータを蓄積し、ユーザが所望する楽曲のみを再生することが可能な放送番組記録再生装置が開示されている。
【0005】
この放送番組記録再生装置は、記録部に記録された管理情報に基づいて、放送番組に含まれるイベントの開始位置と終了位置とを決定する。そしてイベントの開始位置と終了位置とに基づいて、放送番組中のイベントから所定のイベントを抽出してプレイリストを作成する。さらに、プレイリストに基づいて抽出された所定のイベントを再生する。
【0006】
また上記に関連して特許文献2においては、ラジオ放送を録音する際に、時間的に連続する一連のラジオ放送内容が、聴取者側の意志や操作によらずに、所定の時間毎に一コンテンツファイルとされてHDD等に記録される受信装置が開示されている。
【0007】
この受信装置は、音声信号と文字情報と記録制御信号とが多重化された放送信号を受信し、受信した放送信号から文字情報及び記録制御信号を抽出する。そして抽出された記録制御信号により指定される期間において、復調された音声信号を一コンテンツファイルとして記録媒体に記録する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−28226号公報
【特許文献2】特開2005−123782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら特許文献1の記録再生装置においては、抽出する音声の開始点と終了点とをユーザが手動で指定する必要があった。また、特許文献2の受信装置では、複数の楽曲をひとつにまとめることはできるが、一楽曲のみを抽出して音声ファイルを作成することはできなかった。
【0010】
このため、録画された放送番組をユーザが視聴している状態において、ユーザの気に入っている一楽曲が偶発的に再生開始された場合に、再生を継続しつつ、簡易な操作で一楽曲のみを含む音声ファイルを作成することはできなかった。
【0011】
本発明は、上記の問題を鑑みてなされたものであり、音声を含む再生情報、例えば録画データの再生を行っている状態において、ユーザが所望する一楽曲を再生情報から抽出して音声ファイルを作成することが可能であるとともに、抽出の開始点または終了点をユーザが手動で指定する必要のない記録再生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために本発明の記録再生装置は、音声情報を含む再生情報の再生を行う再生処理部と、前記再生情報に含まれる音声情報の一部を抽出した部分音声情報を生成する音声抽出部とを備えた記録再生装置において、前記再生処理部により前記再生情報を再生した場合における再生時間軸の中から任意の再生位置の指定を受け付け、該再生位置から予め定められた範囲の再生時間内において再生音量が閾値を越える再生位置を始点位置とし、前記始点位置の後方において予め定められた再生音声が検出された再生位置を終点位置とし、前記始点位置と前記終点位置とに挟まれた範囲の音声情報を抽出して前記部分音声情報を生成するよう前記音声抽出部を制御する抽出制御部を備えることを特徴としている。
【0013】
この構成によると、本発明の記録再生装置は、音声情報を含む再生情報の再生を行う再生処理部と、再生情報に含まれる音声情報の一部を抽出した部分音声情報を生成する音声抽出部とを備えている。また、音声抽出部を制御する抽出制御部を備えている。抽出制御部は、再生情報の再生時間軸の中から任意の再生位置の指定を受け付ける。そして指定された再生位置から所定範囲の再生時間内において、再生音量が閾値を越える再生位置を始点位置とする。さらに、始点位置の後方において所定の再生音声が検出された再生位置を終点位置とする。そして始点位置と終点位置とに挟まれた範囲の音声情報を抽出するよう、音声抽出部を制御する。これにより、部分音声情報を生成する。
【0014】
また、上記目的を達成するために本発明の記録再生装置が備える前記抽出制御部は、前記部分音声情報の再生時間の長さを示す抽出時間の指定を受け付け、前記始点位置から前記抽出時間だけ後方の再生位置を前記終点位置として前記部分音声情報を生成するよう前記音声抽出部を制御することを特徴としている。
【0015】
この構成によると、抽出制御部は、部分音声情報の再生時間の長さを示す抽出時間の指定をユーザより受け付ける。そして始点位置から抽出時間だけ後方の再生位置を終点位置として音声情報を抽出し、部分音声情報を作成する。
【0016】
また、上記目的を達成するために本発明の記録再生装置は、操作指示を受け付ける操作部と、前記再生情報を記録する記録部とを備え、前記抽出制御部は、前記操作部により前記始点位置、または前記抽出時間の指定を受け付け、受け付けた前記指定に基づいて前記部分音声情報を生成するよう前記音声抽出部を制御し、生成された前記部分音声情報を前記記録部に記録することを特徴としている。
【0017】
この構成によると、記録再生装置は、操作指示を受け付ける操作部と、記再生情報を記録する記録部とを備えている。抽出制御部は、操作部により始点位置、または抽出時間の指定を受け付ける。そして受け付けた指定に基づいて部分音声情報を生成して記録部に記録する。
【0018】
また、上記目的を達成するために本発明の記録再生装置は、前記再生情報が予め定められた種別のいずれに該当するかを判別する判別部を備え、前記抽出制御部は、前記判別部により判別された種別に基づいて前記抽出時間を決定し、前記始点位置から該抽出時間だけ後方の再生位置を前記終点位置とすることを特徴としている。
【0019】
この構成によると、記録再生装置は、再生情報が予め定められた種別のいずれに該当するかを判別する判別部を備えている。また抽出制御部は、判別部により判別された種別に基づいて抽出時間を決定し、始点位置からこの抽出時間だけ後方の再生位置を終点位置とする。
【0020】
また、上記目的を達成するために本発明の記録再生装置が備える前記抽出部制御は、前記始点位置の後方且つ拍手音声が検出された再生位置を前記終点位置とすることを特徴としている。
【0021】
この構成によると、抽出制御部は、始点位置の後方且つ拍手音声が検出された再生位置を終点位置として部分音声情報を生成する。
【0022】
また、上記目的を達成するために本発明の記録再生装置が備える前記抽出制御部は、生成した前記部分音声情報に含まれる音声のうち、該音声の終端から予め定められた再生時間だけ前方の再生範囲の音声に対してフェードアウト効果を施すことを特徴としている。
【0023】
この構成によると、音声抽出部は、生成した部分音声情報に含まれる音声のうち、音声の終端から所定の再生時間だけ前方の再生範囲の音声に対してフェードアウト効果を施す。
【0024】
また、上記目的を達成するために本発明の記録再生装置は、前記終点位置の決定に用いる音声、前記抽出時間、または前記フェードアウト効果を施す再生範囲に関する設定を、前記操作部を介して受け付ける設定部を備え、前記抽出制御部は、前記設定に基づいて前記部分音声情報を生成するよう前記音声抽出部を制御することを特徴としている。
【0025】
この構成によると、記録再生装置は、終点位置の決定に用いる音声、抽出時間、またはフェードアウト効果を施す再生範囲に関する設定を、操作部を介して受け付ける設定部を備えている。また抽出制御部は、この設定に基づいて部分音声情報の生成を行う。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、放送番組を録画した録画データ等の再生情報から一楽曲を抽出して音声ファイルを作成する処理を、簡易なユーザ操作で実現できる。また、音量が所定値を越えて大きくなる再生位置や、拍手音声が検知された再生位置に基づいて始点位置や終点位置を決定するため、ユーザは手動で始点位置及び終点位置を細かく設定する必要がなく、利便性が向上する。また、楽曲の終端の検索に失敗した場合であっても、再生情報の種別に基づいて、好適な長さの音声ファイルを作成することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第一の実施形態に係る記録再生装置が備える機能部の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第一の実施形態に係る記録再生装置の内部構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第一の実施形態に係る音声ファイル作成処理を示すフロー図である。
【図4】本発明の第一の実施形態に係る抽出点指定画面を示す画面図である。
【図5】本発明の第二の実施形態に係る記録再生装置が備える機能部の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の第二の実施形態に係る記録再生装置の内部構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の第二の実施形態に係る音声ファイル作成処理を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。なお、ここで示す実施形態は一例であり、本発明はここに示す実施形態に限定されるものではない。
〈1−1.内部構成について〉
【0029】
図2は、本発明の第一の実施形態に係るHDDレコーダ1(=記録再生装置)の内部構成を示すブロック図である。なお、図2における矢印線は画像/音声データの流れを示している。また、矢印のない直線は、制御部11が各装置に対する制御信号等を送受信するための通信バスを示している。
【0030】
HDDレコーダ1は少なくとも、制御部11、メモリ12、操作部13、フラッシュメモリ14(=記録部)、HDD15(=記録部)、光ディスクドライブ16、放送受信部17、信号処理部18(=再生処理部)、OSD(On-Screen Display)処理部19、及び外部接続端子20を含むように構成されている。なお外部接続端子20により接続される表示装置として、ディスプレイ2が存在する。
【0031】
制御部11は、HDDレコーダ1の各部材の駆動を制御することにより、画像/音声の再生処理、記録処理、出力処理等を統括制御するためのものである。制御部11は例えば、複数のマイクロプロセッサから構成されている。また制御部11は、制御部11が備える演算処理装置上でプログラムを実行することにより実現される機能部として、後述する音声抽出部11a〜設定部11c(図1)を備えている。
【0032】
メモリ12は、HDDレコーダ1が保持する各種データを一時的に記録する媒体であり、例えば書き込み可能なRAM(Random Access Memory)等により構成されている。メモリ12は、例えば制御部11によって各種情報処理が行われる際の処理データや、ユーザから受けた指示命令等を一時的に記録しておくためのバッファメモリとしての役割を持つ。
【0033】
操作部13は、ユーザがHDDレコーダ1に対して、画像/音声の再生指示等を行うためのものである。操作部13は、例えばHDDレコーダ1のハウジングに設けられた複数のボタンや、図示しないリモコン及びリモコン信号受信部等を含む。操作部13はこれらの装置により、ユーザ操作を受け付ける。
【0034】
ユーザ操作が受け付けられると、制御部11は、操作内容に基づいて再生処理や記録処理等を行う。なお本実施形態の操作部13は、後述するファイル作成ボタンや始点ボタン(不図示)を含んでいる。ユーザはファイル作成ボタンを押下することにより、押下時に再生されているコンテンツから音声ファイルを作成する処理を開始可能である。
【0035】
フラッシュメモリ14は、EEPROMの一種で、デバイスの利用者が書き込み/消去可能なROMである。フラッシュメモリ14は回路基板に実装したままで書き込み、消去ができるため、利用時に書き換えが必要な用途、例えば装置の動作設定データや、利用者固有の情報等を保存するのに用いられる。
【0036】
HDD15は、デジタルデータを記録する磁気記録媒体である。本実施形態では主に、放送波に含まれる画像/音声データから生成される録画データ(=再生情報)や、ファイル作成ボタンにより作成された音声ファイルを記録するのに用いられる。
【0037】
光ディスクドライブ16は、CD(Compact Disc)メディア、或いはDVD(Digital Versatile Disc)メディア等の光ディスクに対して光学的に各種データの読み取りを行うための光学装置である。光ディスクドライブ16は、光ピックアップ(不図示)の制御を行うことにより、光ディスクに光ビームを照射して、光ディスクに記録された音声情報、画像情報等の各種情報の読み取りを行う。この際、光ピックアップの駆動制御やフォーカス制御、或いはチルト制御等の各種制御を行う。
【0038】
放送受信部17は、外部のアンテナ(不図示)に接続されてデジタル/アナログ放送の選局、受信、周波数変換、増幅、復調等を行う。放送受信部17は、アナログ方式であればアナログチューナ、画像中間周波増幅回路、復調回路、及び増幅回路等を含むように構成されている。またデジタル方式であれば、デジタルチューナ、及び誤り訂正部等を含むように構成されている。
【0039】
例えばデジタル放送を受信する場合、放送受信部17に含まれるデジタルチューナが、中間周波信号の増幅及び検波を行う。これにより、MPEG2方式のデジタル信号であるTS(=Transport Stream)の取得を行う。なおTSとは、複数の番組の音声PES(Packetized Elementary Stream)、画像PES、及び付加情報を固定長のTSパケットに分割してつなぎ合わせたものである。信号処理部18へ与えられて画像/音声信号に変換される。
【0040】
信号処理部18は、放送受信部17が生成したTSや、HDD15またはディスクドライブ16に装着された光ディスクより読み出されたデジタルデータを入力する。そして音声情報を含む音声デジタル信号と、画像情報を含む画像デジタル信号とに分離する。
【0041】
信号処理部18は、例えばデジタル形式の画像/音声ファイルであるMPEG2(Moving Picture Experts Group phase 2)ファイルをユーザ操作に基づいてHDD15より読み出し、読み出したデジタルデータを、音声情報を含む音声デジタル信号と、画像情報を含む画像デジタル信号とに分離する。復号により得られたデジタル信号は、外部接続端子20へ与えられる。
【0042】
OSD処理部19は、画像信号を生成する機能部である。OSD処理部19は、HDDレコーダ1が出力すべき情報をユーザが視認できる画像データに変換し、変換した画像データをディスプレイ2に表示するための画像信号を生成する。生成された画像信号は、外部接続端子20より出力される。
【0043】
外部接続端子20は、例えばHDMI(High Definition Multimedia Interface)端子やUSB(Universal Serial Bus)端子等を含む、複数の入出力端子からなるインタフェースである。外部接続端子20はこれらの入出力端子を用いて、HDDレコーダ1と外部の装置、例えばディスプレイ2を接続し、デジタル信号またアナログ信号の入出力を行う。
【0044】
ディスプレイ2は、表示部、操作部、制御部、及び接続部を備える表示装置である。例えば接続部に含まれるHDMI端子に接続されたHDMIケーブルを介して、画像/音声を含むデジタル信号を受け付ける。そしてデジタル信号の複合化を行い、画像/音声の出力を行う。
〈1−2.機能部の構成について〉
【0045】
ここで、本発明の第一の実施形態に係るHDDレコーダ1が音声ファイル作成処理を実施するための各機能部の関係を、図1のブロック図を用いながら説明する。
【0046】
図1に示すように本発明の音声ファイル作成処理は、制御部11が備える音声抽出部11a、音声ファイル作成部11b(=抽出制御部)、及び設定部11cにより実施される。
【0047】
音声抽出部11aは、画像/音声を含む再生情報から、所定の再生範囲内の音声情報を抽出する。なお抽出を実施するためには、抽出を開始する再生位置である始点位置と、抽出を終了する再生位置である終点位置とを、予め音声抽出部11aに指定する必要がある。
【0048】
音声ファイル作成部11bは、音声抽出部11aに対して、上記の始点位置と終点位置との指定を行う。また抽出された音声情報より、音声ファイル(=部分音声情報)を作成してHDD15等に記録する。
【0049】
音声ファイル作成部11bは、操作部13に含まれる所定ボタン、例えば音声ファイルの作成開始ボタンが押下され、且つ始点ボタンが押下されたのを検知すると、始点ボタンが押下された再生位置から前後十秒の範囲の音量を測定する。そして測定された音量が所定の閾値を超える再生位置を検索する。
【0050】
なおこの検索は、例えば音量を示す絶対値としてのデシベルが、閾値を超える位置を検出することにより行う。或いは、音量の相対的な変化量が所定量を越えて急激に変化した位置を検出することにより行う形態でもよい。
【0051】
閾値を超える再生位置の検索に成功した場合、この再生位置を始点位置とする。検索に失敗した場合、図4に示す始点位置指定画面100を表示し、検索範囲の指定をユーザより受け付ける。なお始点位置指定画面100を表示するための画像信号は、OSD処理部19により生成される。そして生成された画像信号を、外部接続端子20を介してディスプレイ2へ出力する。これにより、始点位置指定画面100がディスプレイ2に表示される。
【0052】
始点位置指定画面100には、ウィンド101、再生時間メータ102、カーソル103、及び検索範囲104が含まれる。ユーザは操作部13を用いて、カーソル103を再生時間メータ102の範囲内で移動させることにより、再生位置を変更することができる。つまり早送り操作や巻き戻し操作を行うことができる。
【0053】
検索範囲104は、現在の再生位置から所定時間だけ前後の範囲、例えば前後十秒の範囲を示している。カーソル103により再生位置が変更されると、カーソル103の位置を中心として、検索範囲104の位置も移動される。所定の再生位置にカーソル103があわせられている状態で操作部13に含まれる決定キーが押下されると、この検索範囲104の範囲内で、音量が閾値を超える再生位置が検索される。検索に成功すると、その再生位置を始点位置とする。なお検索に失敗した場合、再び検索の実施を要求するか、或いはカーソル103の位置を始点位置とする。
【0054】
また音声ファイル作成部11bは、始点位置の後方において所定の種別の音声、例えば拍手音声が検出された再生位置を、音声の抽出の終点位置とする。なお拍手音声の検出方法としては、例えば拍手音声の波形、波長、または周波数を予め調査してフラッシュメモリ14等に記録しておき、再生音声の波形、波長、または周波数と比較を行うことにより検出する。
【0055】
なお音声ファイル作成部11bは、抽出した音声情報から音声ファイルを生成する際に、地上波デジタル放送のEPGやデータ放送から曲目リストが取得可能であれば、曲目リストに含まれている曲名からファイル名を決定する形態でもよい。
【0056】
設定部11cは、音声ファイルの生成処理に関連する各種設定をユーザより受け付ける。なお設定情報はフラッシュメモリ14またはHDD15に記録される。設定部11cは、終点位置の決定に用いる音声を示す音声情報、音声の抽出時間、またはフェードアウト効果を施す再生範囲等に関する設定を、操作部13を介して受け付ける。
【0057】
例えば設定部11cは、上記の拍手音声が検出されない場合を想定して、予め抽出時間の入力をユーザより受け付けておく。音声ファイル作成部11bは、始点位置からこの抽出時間だけ後方の再生位置を、終点位置とする。
〈1−3.音声ファイル作成処理について〉
【0058】
ここで、本発明の第一の実施形態に係るHDDレコーダ1が実施する音声ファイル作成処理を、図3のフロー図を用いながら説明する。
【0059】
図3に示す処理は、HDDレコーダ1の電源が駆動しており、且つHDDレコーダ1が再生情報の再生処理を実施している状態において、音声ファイル作成処理の実行指示が検知された場合に開始される。なお上記の実行指示は、例えば操作部13に含まれる作成開始ボタンが押下された場合等に発行される。
【0060】
本処理の開始後、音声ファイル作成部11bはステップS110において、音声の抽出時間、つまり生成する音声ファイルの長さの指定を、操作部13により受け付けるのを開始する。なお、抽出時間の指定は必ずしも必須ではないため、受付を開始した時点で次のステップS120へ移行する。
【0061】
次に音声ファイル作成部11bはステップS120において、音声ファイルの始点位置の指定が検知されたか否かを判定する。なお始点位置の指定は例えば、操作部13に含まれる始点ボタンが押下された場合等に発行される。始点位置の指定が検知されていない場合、再びステップS110へ移行する。
【0062】
始点位置の指定が検知された場合、音声ファイル作成部11bはステップS130において、指定された始点位置の前後所定範囲内から、音量が閾値を越える再生位置を検索する。
【0063】
次に音声ファイル作成部11bはステップS140において、上記の検索に成功したか否かを判定する。検索に成功した場合、後述するステップS150へ移行する。検索に失敗した、音声ファイル作成部11bはステップS141において、図4に示す始点位置指定画面100を表示し、検索範囲の手動指定を要求する。検索範囲の手動指定が行われると、ステップS150へ移行する。
【0064】
次に音声ファイル作成部11bはステップS150において、上記で検索された再生位置から、ステップS110で受け付けた指定時間の範囲内で、再生音声の確認を行う。そして再生音声の中から、拍手音声の検出を行う。
【0065】
次に音声ファイル作成部11bはステップS160において、拍手音声の検出に成功したか否かを判定する。検出に成功した場合、音声ファイル作成部11bはステップS170において、拍手音声が検出された再生位置を抽出処理の終点位置として設定する。そして上記の始点位置と終点位置との間の音声を抽出するよう、音声抽出部11aに指示する。音声抽出部11aによる抽出が完了すると、後述するステップS180へ移行する。
【0066】
拍手音声の検出に失敗した場合、音声ファイル作成部11bはステップS171において、始点位置から、ステップS110で受け付けた抽出時間だけ後方の再生位置を、終点位置として設定する。そして上記の始点位置と終点位置との間の音声を抽出するよう、音声抽出部11aに指示する。
【0067】
さらに音声ファイル作成部11bはステップS172において、指定された抽出時間に基づいて抽出処理を行ったことを示す画像信号を生成してディスプレイ2へ出力するよう、OSD処理部19を制御する。例えば、「指定時間で音声の検出を終了しました」等の文字画像を生成して出力する。出力が終了すると、ステップS180へ移行する。
【0068】
次に音声ファイル作成部11bはステップS180において、音声抽出部11aにより抽出されて音声情報の再生終端部分に対して、音量を徐々に下げる効果であるフェードアウト効果を施す。なお終端部分とは、例えば抽出された音声情報を再生した場合における最後の五秒間等の範囲を、予め終端部分として定めておく。フェードアウト処理が完了すると、フェードアウト処理を施した音声情報を音声ファイルとしてHDD15に記録し、本処理を終了する。
【0069】
以上に説明した本実施形態によれば、ユーザが再生情報を再生して視聴している状態において、ユーザの気に入った楽曲が再生開始された時点で、作成開始ボタン及び始点ボタンを使用した簡易な操作で、一楽曲のみの音声ファイルを作成することができる。
【0070】
また本実施形態によれば、音量が閾値を越えて大きくなる再生位置や、拍手音声が検知された再生位置に基づいて始点位置や終点位置を決定するため、ユーザは手動で始点位置及び終点位置を細かく設定する必要がなく、簡易な操作で範囲指定ができるため、利便性が向上する。
[実施の形態2]
【0071】
次に、本発明の第二の実施形態について説明する。
〈2−1.内部構成について〉
【0072】
本実施形態の第一のHDDレコーダ1は、図6に示すように、外部接続端子20により携帯電話3を接続して相互通信可能としている。その他の構成については、実施の形態1と同内容であるため、ここでは説明を省略する。
〈2−2.機能部の構成について〉
【0073】
本実施形態の第一のHDDレコーダ1は、図5に示すように、実施の形態1の各機能部に加え、ジャンル判別部11d(=判別部)及びファイル転送部11eを備える。また、音声ファイル作成部11bの機能が実施の形態1と一部異なる。
【0074】
ジャンル判別部11dは、抽出対象の再生情報のジャンル情報を取得し、ジャンル情報が示すジャンル(=種別)に応じて、抽出時間を決定する。なおジャンル情報は、例えば録画時にEPG等から取得されて録画データの内部に含められているものとする。
【0075】
また、ジャンルに応じた抽出時間の長さは、例えば予めHDDレコーダ1の生産時または工場出荷時等に定められてHDDレコーダ1に記録されているものとする。或いは、ジャンルに応じた抽出時間の長さに関する設定を、設定部11cがユーザより受け付ける形態でもよい。この場合、受け付けた内容は設定情報としてフラッシュメモリ14等に記録される。
【0076】
ファイル転送部11eは、抽出された音声より音声ファイルが生成された場合に、音声ファイルを所定の外部装置、例えば図6に示す携帯電話3等に送信する。これにより、ユーザ操作を必要とすることなく、音声ファイルの転送が行われる。なお、音声ファイルの転送先に関する各種設定は、予め設定部11cがユーザより受け付け、設定情報としてフラッシュメモリ14等に記録しているものとする。
【0077】
本実施形態の音声ファイル作成部11bは、音声ファイルの作成開始指示を検知した場合に、抽出時間の指定受付(図3のステップS110)を行わない。代わりに、ジャンル判別部11dを用いて再生情報のジャンル情報を取得し、ジャンル判別部11dが決定した抽出時間に基づいて抽出を行う。
〈2−3.音声ファイル作成処理について〉
【0078】
ここで、本発明の第二の実施形態に係るHDDレコーダ1が実施する音声ファイル作成処理を、図7のフロー図を用いながら説明する。なお、第一の実施形態の図3と同内容の処理については、同じステップ番号を付加することにより説明を省略するものとする。
【0079】
ステップS120〜ステップS160の実施後、ステップS160において拍手音声が検知されなかった場合、ジャンル判別部11dはステップS173において、再生している録画データのジャンルを示すジャンル情報を取得し、ジャンルを判別する。そして判別したジャンルに対応する抽出時間を、音声ファイル作成部11bに与える。
【0080】
次に音声ファイル作成部11bはステップS174において、上記で与えられた抽出時間で抽出を行うよう、音声抽出部11aに指示する。さらに音声ファイル作成部11bはステップS175において、ジャンルに基づく抽出時間で抽出処理を行ったことを示す画像信号を、OSD処理部19により生成してディスプレイ2へ出力する。
【0081】
例えば、「クラッシック音楽用の抽出時間で音声の抽出を行いました」等の文字画像を生成して出力する。出力が終了すると、ステップS180へ移行し、フェードアウト処理を施した音声ファイルを生成する。
【0082】
次にファイル転送部11eはステップS190において、生成された音声ファイルを、外部接続端子20を用いて携帯電話3へ送信する。送信処理が完了すると、本処理を終了する。なお、転送が成功または失敗したことを示す画像信号をOSD処理部19により生成してディスプレイ2へ出力する形態でもよい。
【0083】
以上に説明した本実施形態によれば、楽曲の終端の検索に失敗した場合であっても、録画データのジャンルに基づいて、好適な長さの音声ファイルを作成することが可能である。また作成した音声ファイルを、ユーザ操作を必要とすることなく、携帯電話3等の再生装置に転送することが可能である。
[その他の実施の形態]
【0084】
以上、好ましい実施の形態及び実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は必ずしも上記実施の形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内において様々に変形して実施することができる。
【0085】
従って本発明は、以下の形態にも適用可能である。
【0086】
(A)上記実施形態では、記録再生装置の一例としてHDDレコーダ1を例に挙げているが、これ以外の記録再生装置を用いて本発明を実施する形態でもよい。例えば、DVD(Digital Versatile Disc)プレーヤ、VCR(Video Cassette Recorder)、録画機能を備えたテレビジョン装置等を用いる形態であってもよい。
【0087】
(B)上記実施形態では、本発明の音声ファイル作成処理に関わる各機能部が、マイクロプロセッサ等の演算処理装置上でプログラムを実行することにより実現されているが、各機能部が複数の回路により実現される形態でもよい。
【0088】
(C)上記実施形態では、本発明の音声ファイル作成処理に関わる各機能部がHDDレコーダ1の内部に備わっている構成を例として説明したが、これらの一部がネットワークを介して接続された外部装置により実現される形態であってもよい。例えば、録画データのジャンルを判別する処理を、ジャンル判別部11dではなく外部の情報処理サーバ(不図示)により実施する形態でもよい。
【0089】
(D)上記実施形態では、音声ファイルが作成されるタイミングとして、録画データの再生中を例に説明を行っているが、これ以外のタイミングにおいて音声ファイルを作成する形態でもよい。例えば、録画データの録画中において後追い再生が実施されている状態において、作成開始ボタンが押下されることにより音声ファイルが作成される形態でもよい。
【0090】
(E)上記実施形態では、放送番組を録画した録画データから音声を抽出して音声ファイルを生成しているが、これ以外のデータから音声を抽出して音声ファイルを生成する形態でもよい。例えば、DVD等の光ディスクに記録されているコンサート動画や映画等から音声を抽出して音声ファイルを生成する形態でもよい。
【0091】
(F)上記実施形態では、生成した音声ファイルの終端にフェードアウト効果を施しているが、この以外の部分に音声加工処理を施す形態でもよい。例えば音声ファイルの再生開始部分にフェードイン効果を施す形態でもよい。或いは、音声の抽出時において拍手音声やノイズ、緊急速報音声等の所定音声が検出されたか否かを判定し、検出された場合に当該音声を消去して音声ファイルを作成する形態でもよい。または、これらが検出された再生範囲を、音声ファイルの作成対象外として抽出しない形態でもよい。
【0092】
(G)上記実施形態では、音声ファイル抽出時において抽出処理が完了するまでの時間に関しては特に規定していないが、等速で再生を実施しつつ抽出を行うか、或いは倍速再生機能を利用して再生時間よりも短い時間で抽出を行うかの指定をユーザより受け付け、指定に基づいて抽出方法を変更する形態でもよい。
【符号の説明】
【0093】
1 HDDレコーダ(記録再生装置)
11 制御部
11a 音声抽出部
11b 音声ファイル作成部(抽出制御部)
11c 設定部
11d ジャンル判別部(判別部)
11e ファイル転送部
12 メモリ
13 操作部
14 フラッシュメモリ(記録部)
15 HDD(記録部)
16 光ディスクドライブ
17 放送受信部
18 信号処理部(再生処理部)
19 OSD処理部
20 外部接続端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声情報を含む再生情報の再生を行う再生処理部と、
前記再生情報に含まれる音声情報の一部を抽出した部分音声情報を生成する音声抽出部とを備えた記録再生装置において、
前記再生処理部により前記再生情報を再生した場合における再生時間軸の中から任意の再生位置の指定を受け付け、該再生位置から予め定められた範囲の再生時間内において再生音量が閾値を越える再生位置を始点位置とし、前記始点位置の後方において予め定められた再生音声が検出された再生位置を終点位置とし、前記始点位置と前記終点位置とに挟まれた範囲の音声情報を抽出して前記部分音声情報を生成するよう前記音声抽出部を制御する抽出制御部を備えること
を特徴とする記録再生装置。
【請求項2】
前記抽出制御部は、前記部分音声情報の再生時間の長さを示す抽出時間の指定を受け付け、前記始点位置から前記抽出時間だけ後方の再生位置を前記終点位置として前記部分音声情報を生成するよう前記音声抽出部を制御すること
を特徴とする請求項1に記載の記録再生装置。
【請求項3】
操作指示を受け付ける操作部と、
前記再生情報を記録する記録部とを備え、
前記抽出制御部は、前記操作部により前記始点位置、または前記抽出時間の指定を受け付け、受け付けた前記指定に基づいて前記部分音声情報を生成するよう前記音声抽出部を制御し、生成された前記部分音声情報を前記記録部に記録すること
を特徴とする請求項2に記載の記録再生装置。
【請求項4】
前記再生情報が予め定められた種別のいずれに該当するかを判別する判別部を備え、
前記抽出制御部は、前記判別部により判別された種別に基づいて前記抽出時間を決定し、前記始点位置から該抽出時間だけ後方の再生位置を前記終点位置とすること
を特徴とする請求項3に記載の記録再生装置。
【請求項5】
前記抽出部制御は、前記始点位置の後方且つ拍手音声が検出された再生位置を前記終点位置とすること
を特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の記録再生装置。
【請求項6】
前記抽出制御部は、生成した前記部分音声情報に含まれる音声のうち、該音声の終端から予め定められた再生時間だけ前方の再生範囲の音声に対してフェードアウト効果を施すこと
を特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の記録再生装置。
【請求項7】
前記終点位置の決定に用いる音声、前記抽出時間、または前記フェードアウト効果を施す再生範囲に関する設定を、前記操作部を介して受け付ける設定部を備え、
前記抽出制御部は、前記設定に基づいて前記部分音声情報を生成するよう前記音声抽出部を制御すること
を特徴とする請求項6に記載の記録再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−248202(P2011−248202A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−122750(P2010−122750)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】