説明

記録再生装置

【課題】VCRと同様の操作性で、ビデオカセットを除く記録媒体に対する記録及び再生が可能な記録再生装置を提供する。
【解決手段】本発明の記録再生装置は、記録部と、テープ装着部と、磁気テープに設けられた情報記録媒体から識別情報を読み取る読み取り部と、録画/再生指示を行うための操作部を備えている。また、磁気テープに対する録画指示が検知された場合に、記録部に記録する代替録画処理を行う制御部を備えている。制御部はさらに、代替録画処理により生成される代替録画データと、読み取り部が読み取った識別情報との関連付けを行い、この関連付けを示す関連情報を記録部に記録する。制御部は、磁気テープの再生指示が操作部により検知された場合に、磁気テープより読み取った識別情報に関連付けられている録画データの再生を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像又は音声の記録又は再生を実施可能な記録再生装置に関するものであり、特にVCR(Video Cassette Recorder)と同様の操作性を備えた記録再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、テレビ等の画像装置において処理される画像や音声の記録を行うための装置として、VCR(Video Cassette Recorder)、DVD(Digital Versatile Disk)レコーダ、又はHDD(Hard Disk Drive)レコーダ等の記録再生装置が普及している。また、これら複数の記録再生機能を備えた複合機も普及している。
【0003】
代表的な複合機としては、例えばHDD内蔵DVDレコーダや、VCR/DVD/HDD複合機が存在する。これらの複合機は通常、使用する記録再生機能を切り換えるための複数の動作モードを備えている。例えばVCRを用いて記録再生を行うVCRモード、DVDドライブを用いて記録再生を行うDVDモード等、機能毎に動作モードが存在する。
【0004】
ユーザは各記録再生機能を使用する際に、使用したい記録再生機能に対応する動作モードを選択して切り換えを行う。動作モードが異なれば、ユーザが行う操作内容も異なるものとなる。
【0005】
記録再生性装置の中でも特にVCRは製品化されてからの期間が長く、また操作系統が比較的単純である。このため、VCRに慣れ親しんだユーザは、直感的にその操作を行うことができる。
【0006】
これに対してDVDレコーダやHDDレコーダは、多機能であるが故に操作系統が複雑であり、VCRに慣れ親しんだユーザは直感的に操作を行うことが難しい。従って、VCRと同様の操作感でDVDレコーダやHDDレコーダを使用できる補助機能が存在することが望ましい。
【0007】
上記の問題に関連して特許文献1には、ユーザがビデオカセットを装置本体にセットしなくても、迅速に所望の番組がどのビデオカセットに録画されているのかを録画された画像で確認することが可能な画像記録再生装置が開示されている。
【0008】
この画像記録再生装置は、デジタルデータを記録再生可能なデジタル記録再生媒体を備えている。そしてビデオカセットへの番組録画と同時に、番組の全て又は一部分の画像音声信号をデジタル記録再生媒体に記録する。
【0009】
また上記問題に関連して特許文献2では、ユーザが番号コードで多数の記録媒体を識別管理でき、また番号コードを使用して検索結果表示などが可能な記録媒体識別装置が開示されている。
【0010】
この記録媒体識別装置は、記録媒体識別用の第1のIDのビット数よりも小ないビット数である第2のIDを設けている。そして第1及び第2のIDのリンク情報と、識別すべき記録媒体に記録されているコンテンツの属性情報とを含むライブラリ情報を、コンテンツ情報を記録又は再生するに先立ち再生し、第2のIDを表示させる。これにより、ユーザが第2のIDから記録媒体を識別できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2001−344895号公報
【特許文献2】特開2003−45151号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら上記の特許文献1及び特許文献2においては、本来はビデオカセットに記録すべき録画データを他の記録媒体に記録する技術については開示されているが、他の記録媒体への記録/再生操作をVCRと同様の操作性で実現するための操作補助機能については開示も示唆もなされていない。
【0013】
本発明の目的は、ビデオカセットへ記録指示された録画データを他記録媒体へ記録する代替記録機能を備えた記録再生装置であって、VCRと同様の操作性で他記録媒体に対する記録及び再生が可能な記録再生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために本発明の記録再生装置は、情報を記録する記録部と、磁気テープを装着するテープ装着部とを備えた記録再生装置において、前記テープ装着部に磁気テープが装着されている状態において、前記磁気テープに設けられた情報記録媒体から、前記磁気テープを識別するための識別情報を読み取る読み取り部と、前記磁気テープに対する録画指示が検知された場合に、前記録画指示において指示された録画対象データを前記記録部に記録する代替録画処理を行うとともに、該代替録画処理により生成される録画データである代替録画データと前記識別情報との関連付けを行い、前記関連付けの内容を示す関連情報を前記記録部に記録する制御部とを備えたことを特徴としている。
【0015】
これによると、本発明の記録再生装置は、記録部と、磁気テープを装着するテープ装着部とを備えている。また、テープ装着部に磁気テープが装着されている状態において、磁気テープに設けられた情報記録媒体から識別情報を読み取る読み取り部を備えている。また、磁気テープに対する録画指示が検知された場合に、指示された録画対象データを磁気テープではなく記録部に記録する代替録画処理を行う制御部を備えている。制御部はさらに、代替録画処理により生成される代替録画データと、読み取り部が読み取った識別情報との関連付けを行い、この関連付けを示す関連情報を記録部に記録する。これにより、磁気テープに対する録画指示が発生した場合において、磁気テープ以外の記録媒体に代替録画を行うことができる。
【0016】
また上記目的を達成するために本発明の記録再生装置は、前記磁気テープに対する録画/再生指示を行うための操作部を備え、前記制御部が、前記磁気テープに対する再生指示が前記操作部により検知された場合に、前記読み取り部により読み取られた前記識別情報に関連付けられている録画データが前記記録部に記録されているか否かを判定し、記録されている場合に、前記記録部に記録されている該録画データの再生を行うよう前記記録再生装置を制御する。
【0017】
これによると、本発明の記録再生装置は、磁気テープの録画/再生指示を行うための操作部を備えている。また制御部は、磁気テープの再生指示が操作部により検知された場合に、磁気テープより読み取った識別情報に関連付けられている録画データが、記録部に記録されているか否かを判定する。そして記録されている場合に、記録部に記録されている録画データの再生を行う。このため、磁気テープに対する再生指示が発生した場合において、磁気テープ以外の記録媒体を用いた代替再生を行うことができる。
【0018】
また上記目的を達成するために本発明の記録再生装置は、前記制御部が、前記磁気テープに対する再生指示が前記操作部により検知され、且つ再生開始後に再生停止指示を検知した場合に、前記再生停止指示に基づいて再生停止がなされた位置を示すレジューム情報と、前記読み取り部により読み取られた前記識別情報とを関連付けて前記記録部に記録する。
【0019】
これによると、制御部は、磁気テープの再生指示が操作部により検知され、且つ再生開始後に再生停止指示を検知した場合に、再生停止がなされた位置を示すレジューム情報を生成する。そしてレジューム情報と上記の識別情報を関連付けて記録部に記録する。これにより、磁気テープ毎にレジューム情報の管理を行うことができる。
【0020】
また上記目的を達成するために本発明の記録再生装置は、前記制御部が、前記磁気テープに対する再生指示が前記操作部により検知された場合に、前記読み取り部により読み取られた前記識別情報に関連付けられているレジューム情報が前記記録部に記録されているか否かを判定し、記録されている場合に、前記レジューム情報が示す位置から再生を開始する。
【0021】
これによると、制御部は、磁気テープの再生指示が操作部により検知された場合に、磁気テープの識別情報に関連付けられているレジューム情報が記録部に記録されているか否かを判定する。そして記録されている場合に、レジューム情報が示す位置、つまり前回の再生停止位置から再生を開始する。これにより、代替録画データのレジューム再生を磁気テープ毎に行うことができる。
【0022】
また上記目的を達成するために本発明の記録再生装置は、前記制御部が、前記磁気テープに対する録画指示が検知された場合に、前記読み取り部により読み取られた前記識別情報に関連付けられているレジューム情報が前記記録部に記録されているか否かを判定し、記録されている場合に、前記レジューム情報が示す位置から録画を開始する。
【0023】
これによると、制御部は、磁気テープの録画指示が検知された場合に、磁気テープの識別情報に関連付けられているレジューム情報が記録部に記録されているか否かを判定する。そして記録されている場合に、レジューム情報が示す位置、つまり前回の再生停止位置から録画を開始する。これにより、磁気テープの途中から録画を行うのと同様の操作性で、代替録画処理を行うことができる。
【0024】
また上記目的を達成するために本発明の記録再生装置は、前記読み取り部が、前記磁気テープの外装に設けられた非接触型集積回路から前記識別情報を読み取る。
【0025】
これによると、読み取り部は、磁気テープの外装に設けられた非接触型集積回路、例えばICタグから識別情報を読み取るICタグリーダ等を備える。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、磁気テープに対する録画、再生等の指示が発生した場合に、磁気テープ以外の記録媒体、例えばHDDを用いた代替録画や代替再生を行うことが可能である。従って、例えばHDDレコーダとVCRとが一体となった複合機において、HDDレコーダの操作に不慣れなユーザであっても、HDDレコーダを用いた録画、再生等を、VCRと同様の操作性で行うことができる。
【0027】
また本発明によれば、磁気テープの外装に設けられたICタグ等に磁気テープの識別情報を記録し、この識別情報により磁気テープ毎の代替録画データを管理する。このためユーザは、VCRにおいて録画データの管理を行うのと同様の感覚、つまり磁気テープの保管/挿入/排出と同じ感覚で、HDD等に記録された代替録画データの管理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施形態に係る記録再生装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る録画処理の処理フローを示したフロー図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る再生処理の処理フローを示したフロー図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る磁気テープの外観を示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に本発明の一実施形態を、図面を参照しつつ説明する。なお、ここで示す実施形態は一例であり、本発明はここに示す実施形態に限定されるものではない。
【0030】
〈1.内部構成について〉
図1は、本発明の一実施形態に係るコンパチブルレコーダ1(=記録再生装置)を示す構成図である。コンパチブルレコーダ1は、少なくとも、制御部11、メモリ12、HDD13(=記録部)、データ入出力部14、信号処理部15、カセットスロット16(=テープ装着部)、ICタグリーダ17(=読み取り部)、VCR機能部18、HDDレコーダ機能部19、フロントパネル20、操作ボタン群21(=操作部)、及びOSD処理部22を含むように構成されている。
【0031】
制御部11は、コンパチブルレコーダ1の各部材の駆動を制御することにより情報処理、例えば録画処理や再生処理等を統括制御するためのものである。制御部11は例えば、複数のマイクロプロセッサから構成されている。
【0032】
メモリ12は、コンパチブルレコーダ1が保持する各種データを一時的に記録する媒体であり、例えば書込可能なRAM(Random Access Memory)等により構成されている。メモリ12は、例えば制御部11によって各種情報処理が行われる際の処理データや、ユーザから受けた指示命令等を一時的に記録しておくためのバッファメモリとしての役割を持つ。
【0033】
HDD13は、後述するHDDレコーダ機能部19が記録する録画データや、HDDレコーダ機能部19が録画の管理に用いる管理情報、例えば録画予約情報等を記録するための磁気記録媒体である。また、後述するVCR機能部18より出力された画像/音声データを記録する、いわゆるダビング処理に用いることも可能である。
【0034】
データ入出力部14は、画像データ及び音声データを入力する役割を持つ。例えば外部のデジタルアンテナに接続されてデジタル放送を受信するデジタルチューナーや、コンポジットビデオ信号を入力するRCA入力端子等を含む。なお、アナログデータを入力する場合は、不図示のA/Dコンバータ(Analog Digital Converter)を用いてアナログの画像データ及び音声データをデジタルデータに変換して入力することが可能である。
【0035】
信号処理部15は、データ入出力部14等により入力した画像データを、表示装置(不図示)を用いて表示するための画像信号に変換する。なお、データ入出力部14から入力された画像データの他に、HDD13に記録される画像データや、VCR機能部18により出力される画像データから画像信号を生成することも可能である。
【0036】
カセットスロット16は、ビデオカセット90(=磁気テープ)を装着して、VCR機能部18によるデータの記録/再生が可能な状態とするための装置である。具体的には、磁気テープの回転を行うローラーや、データを記録/再生するための磁気ヘッド等を備えている。
【0037】
ICタグリーダ17は、カセットスロット16に装着されたビデオカセット90に設けられたICタグ91(=情報記録媒体、非接触型集積回路)より、所定の識別情報を読み取る。ICタグリーダ17は、例えばRFID等の通信方式により識別情報を読み取る。ICタグリーダ17は、例えばカセットスロット16の内側等に設けられている。ICタグリーダ17により読み取られた識別情報は、VCR機能部18へ与えられる。
【0038】
VCR機能部18は、アナログ方式或いはデジタル方式のビデオカセット90に対して画像/音声データの記録再生を行う記録再生機能部である。具体的には例えば、複数のマイコンから構成される。VCR機能部18によって再生された画像は、信号処理部15に送られる。そして画像信号に変換され、データ入出力部14やHDDレコーダ機能部19等へ与えられる。
【0039】
HDDレコーダ機能部19は、HDD13対して画像/音声データの記録再生を行う記録再生機能部である。具体的には例えば、複数のマイコンから構成される。HDDレコーダ機能部19は、データ入出力部14が出力した画像/音声データや、VCR機能部18が出力した画像/音声データ等を録画することが可能である。
【0040】
フロントパネル20は、コンパチブルレコーダ1の各種情報をユーザに対して表示する表示装置である。
【0041】
操作ボタン群21は、ユーザが番組の録画や録画予約等の各種指示をコンパチブルレコーダ1に対して行うための入力インタフェースである。操作ボタン群21が受け付けた指示内容は、制御部11に送られる。これを受けた制御部11は、指示内容に基づいて各種処理を行う。
【0042】
OSD(On-Screen display)処理部22は、画像信号を生成する機能部である。OSD処理部22は、コンパチブルレコーダ1が出力すべき情報をユーザが視認できる画像データに変換し、変換した画像データをテレビ装置等に表示するための画像信号を生成する。生成された画像信号は信号処理部15に送られてデータ入出力部14より出力される。
【0043】
〈2.ビデオカセットについて〉
ここで、本発明の一実施形態に係るビデオカセット90の外観について、図4の模式図を用いながら説明する。
【0044】
図4は、ビデオカセット90を上方から見た外観図である。図中の矢印は、ビデオカセット90をカセットスロット16へ挿入する際の挿入方向を示している。ビデオカセット90はその外装に、ICタグ91及びラベル92を備えている。
【0045】
ICタグ91は、ビデオカセット90に関連する情報を記録するための情報記録媒体である。本実施形態では、ビデオカセット90を個別管理するための管理番号を含む識別情報が記録されている。なお、管理番号はICタグ91毎に異なる値が割り振られ、重複しないように予め管理されているものとする。
【0046】
また、ICタグ91の設置位置は、ICタグリーダ17が読み取り可能な位置に予め調整されているものとする。この位置に関しては、予めコンパチブルレコーダ1の設計者との間で取り決めが行われているものとする。
【0047】
ラベル92は、ビデオカセット90の外装に貼付された紙媒体である。ラベル92は、ユーザがビデオカセット90に関する情報、例えば録画タイトル等を書き込むのに用いられる。
【0048】
〈3.録画処理について〉
ここで、本発明の一実施形態に係るコンパチブルレコーダ1による録画処理を、図2のフロー図を用いながら説明する。
【0049】
図2は、本発明の一実施形態に係る録画処理の処理フローを示したフローチャートである。図2に示す処理は、コンパチブルレコーダ1の電源が起動され、且つカセットスロット16がビデオカセット90の挿入を検知した場合に開始される。
【0050】
本処理の開始後、制御部11はステップS110において、ビデオカセット90の外装に設けられたICタグ91より、記録されている識別情報を読み取るよう、ICタグリーダ17に指示する。なお、識別情報の読み取りに失敗した場合、以降の処理は行わず、従来技術と同様の録画処理を行うものとする。
【0051】
次に制御部11はステップS120において、ビデオカセット90に対する録画指示を検知したか否かを判定する。なおビデオカセット90に対する録画指示は、例えば操作ボタン群21に含まれるビデオ録画ボタン(不図示)の押下が検知された場合に発行される。又は、予め設定されている録画予約の録画開始時刻が到来した場合にも発行される。録画指示を検知していない場合、後述するステップS190に移行する。
【0052】
録画指示を検知した場合、制御部11はステップS130において、ICタグ91より読み取った識別情報に含まれる管理番号を取得する。そして管理番号に対応する録画タイトルを、HDD13より検索する。なお本実施形態における録画タイトルとは、後述する代替録画処理において生成される代替録画データのタイトル名を指すものとする。
【0053】
次に制御部11はステップS140において、上記検索の結果、管理番号に関連付けられた録画タイトルがHDD13において発見されたか否かを判定する。発見されなかった場合、制御部11はステップS141において、管理番号に関連付ける録画タイトルの生成を行う。
【0054】
なお録画タイトルの生成は、例えば録画タイトルの入力をユーザに要求し、ユーザ操作により入力された文字列を録画タイトルとすることにより行う。又は、予め定められた文字列を用いて自動生成する形態でもよい。この場合、例えば「タイトルXXX」(XXXは連番の数字)等を録画タイトルとして自動生成する。録画タイトルが生成されると、制御部11は録画タイトルと管理情報とを関連付けた関連情報を生成し、メモリ12又はHDD13に記録する。
【0055】
次に制御部11はステップS142において、HDD13を用いた代替録画処理を開始した後、ステップS170に移行する。なお代替録画処理とは、録画指示において指定されたビデオカセット90への録画は行わず、代わりにHDD13への録画を行う処理である。
【0056】
ステップS140に戻って説明を行うと、ステップS140において該当する録画タイトルが発見された場合、制御部11はステップS150において、該当する録画タイトルにレジューム情報が付加されているか否かを判定する。なお、レジューム情報の詳細については後述する。
【0057】
付加されている場合、制御部11はステップS160において、録画タイトルに対応する録画データを用いてレジューム録画を開始した後、ステップS170に移行する。付加されていない場合、制御部11はステップS151において、録画タイトルに対応する録画データの最初から仮想的な上書き録画を開始した後、ステップS170に移行する。
【0058】
仮想的な上書き録画においては、次に録画停止がなされた時点で、録画データの分割/結合処理を行う。例えば、記録済みの録画タイトルの録画時間が二時間であり、その最初から仮想的な上書き録画を三十分だけ行ったとする。この場合、録画データが三十分の前半部分と、一時間三十分の後半部分とに分割される。
【0059】
そして前半部分が削除された後、新たに録画した三十分の録画データの後方に、一時間三十分の後半部分が結合される。これにより、ユーザの視点からすれば、二時間の録画タイトルのうち、最初の三十分の部分のみが上書きされたように認識される。
【0060】
次に制御部11はステップS170において、録画停止指示を検知したか否かを判定する。検知していない場合、録画処理を継続させつつ、再びステップS170に移行する。録画停止指示を検知した場合、制御部11はステップS180において、上述の分割/結合処理を行う。なお、ステップS141を経由してステップS180へ到達した場合、仮想的な上書き録画を行う必要がないため、本ステップの処理は省略する。
【0061】
次に制御部11はステップS190において、ビデオカセット90の排出指示を検知したか否かを判定する。検知した場合、ビデオカセット90の排出処理を行った後、本処理を終了する。検知していない場合、再びステップS120に移行する。
【0062】
〈4.再生処理について〉
ここで、本発明の一実施形態に係るコンパチブルレコーダ1による再生処理を、図3のフロー図を用いながら説明する。
【0063】
図3は、本発明の一実施形態に係る再生処理の処理フローを示したフローチャートである。図3に示す処理は、コンパチブルレコーダ1の電源が起動され、且つカセットスロット16がビデオカセット90の挿入を検知した場合に開始される。
【0064】
本処理の開始後、制御部11はステップS210において、ビデオカセット90の外装に設けられたICタグ91より、記録されている識別情報を読み取るよう、ICタグリーダ17に指示する。なお、識別情報の読み取りに失敗した場合、以降の処理は行わず、従来技術と同様の再生処理を行うものとする。
【0065】
次に制御部11はステップS220において、ビデオカセット90に対する再生指示を検知したか否かを判定する。なおビデオカセット90に対する再生指示は、例えば操作ボタン群21に含まれるビデオ再生ボタン(不図示)の押下が検知された場合等に発行される。再生指示を検知していない場合、後述するステップS290に移行する。
【0066】
再生指示を検知した場合、制御部11はステップS230において、ICタグ91より読み取った識別情報に含まれる管理番号を取得する。そして管理番号に対応する録画タイトルを、HDD13より検索する。
【0067】
次に制御部11はステップS240において、上記検索の結果、管理番号に関連付けられた録画タイトルがHDD13において発見されたか否かを判定する。発見されなかった場合、制御部11はステップS241において、エラー処理、例えば警告メッセージの表示等を行った後、ステップS270に移行する。
【0068】
なお録画タイトルが発見されず、且つビデオカセット90が再生可能状態である場合、エラー処理を行わず、ビデオカセット90を用いた再生処理を行う形態でもよい。
【0069】
ステップS240に戻って説明を行うと、ステップS240において該当する録画タイトルが発見された場合、制御部11はステップS250において、該当する録画タイトルにレジューム情報が付加されているか否かを判定する。
【0070】
付加されている場合、制御部11はステップS260において、録画タイトルに対応する録画データを用いてレジューム再生を開始した後、ステップS270に移行する。付加されていない場合、制御部11はステップS251において、録画タイトルに対応する録画データをデータ先頭から再生開始した後、ステップS270に移行する。
【0071】
次に制御部11はステップS270において、再生停止指示を検知したか否かを判定する。検知していない場合、再生処理を継続させつつ、再びステップS270に移行する。なお、録画タイトルの最後まで再生が完了した場合は自動的に再生停止を行う。
【0072】
再生停止指示を検知した場合、又は再生完了により自動停止した場合、制御部11はステップS280において、録画タイトルに対してレジューム情報を付加し、メモリ12又はHDD13に記録する。
【0073】
なおレジューム情報は、再生停止位置を所定の尺度により示した情報である。例えば時間を尺度とした場合を例に説明すると、録画データの先頭から再生が開始され、且つ再生二十分後に再生停止がなされた場合、「データ先頭から二十分の位置」が再生停止位置として取得される。
【0074】
再生完了により自動停止した場合、レジューム情報を付加せず消去するか、又は録画データの先頭を再生停止位置としてレジューム情報を付加することが望ましい。なおレジューム情報は、ビデオカセット90の巻き戻し操作を行うための巻き戻しボタンが押下された場合に消去される。又は、録画データの先頭を再生停止位置としたレジューム情報が付加される。これにより、巻き戻しが行われた録画タイトルのデータ先頭より、仮想的な上書き録画が可能な状態となる。
【0075】
次に制御部11はステップS290において、ビデオカセット90の排出指示を検知したか否かを判定する。検知した場合、ビデオカセット90の排出処理を行った後、本処理を終了する。検知していない場合、再びステップS220に移行する。
【0076】
以上に説明した本実施形態によれば、VCRを用いた録画、再生、巻き戻し等と同様の操作により、HDD13を用いた録画/再生処理を行うことが可能である。従って、コンパチブルレコーダ1が備えるHDDレコーダ機能の操作に不慣れなユーザであっても、VCRと同様の操作性で直感的に操作を行うことができる。
【0077】
また、ビデオカセット90に設けられたICタグ91により録画データの管理を行うため、ユーザは視聴したい録画データを探す場合に、コンパチブルレコーダ1を操作してデータ検索処理等を行う必要がない。このためユーザは録画データの管理を、ビデオカセット90を用いて従来と同様の感覚で行うことが可能である。
[その他の実施の形態]
【0078】
以上、好ましい実施の形態及び実施例をあげて本発明を説明したが、本発明は必ずしも上記実施の形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内において様々に変形して実施することができる。
【0079】
従って本発明は、以下の形態にも適用可能である。
【0080】
(A)上記実施形態では、ビデオカセット90の識別情報を記録する記録媒体としてICタグ91を用い、識別情報を読み取る装置としてICタグリーダ17を用いているが、これ以外の記録媒体及び読み取り装置を用いる形態でもよい。例えば識別情報を含むバーコードをビデオカセット90の外装に貼付し、このバーコードをコンパチブルレコーダ1が備えるバーコードリーダで読み取ることにより、識別情報を取得する形態でもよい。
【0081】
(B)上記実施形態では、コンパチブルレコーダ1に含まれる記録再生機能として、HDD13を用いたHDDレコーダ機能部17を例にあげているが、これ以外の記録媒体を用いた記録再生機能を備える記録再生装置において本発明を実施する形態でもよい。例えばフラッシュメモリに録画データを記録するメモリレコーダ記録部や、光ディスクに録画データを記録する光ディスク記録部を用いる形態であってもよい。
【0082】
(C)上記実施形態では、録画処理及び再生処理に関わる各機能部が、マイクロプロセッサ等の演算処理装置上でプログラムを実行することにより実現されているが、これら機能部が複数の回路により実現される形態でもよい。
【0083】
(D)上記実施形態では、VCR機能部18がビデオカセット90の録画機能及び再生機能を備えているが、必ずしもVCR機能部18がこれらの機能を備えている必要はない。例えばVCR機能部18がICタグリーダ17の制御機能のみを備えており、録画/再生機能を備えていない形態でもよい。つまりVCR機能部18が、識別情報を取得するためのインタフェースとしてのみ機能する形態でもよい。
【0084】
(E)上記実施形態では、ICタグ91には予め個別の識別情報が記録されており、ICタグリーダ17はこの識別情報を読み取るのみであるが、ICタグライタ(不図示)を備えることにより、ICタグ91に識別情報を書き込む形態でもよい。これにより、コンパチブルレコーダ1を用いて、識別情報の内容変更を行うことが可能である。
【0085】
(F)上記実施形態では、ビデオカセット90に対する録画指示を受け付けた場合に、HDD13への録画のみ実施し、ビデオカセット90への録画は実施していないが、ビデオカセット90の録画もあわせて実施する形態でもよい。
【0086】
(G)上記実施形態では、ICタグ91を付加する物体としてビデオカセット90を例に説明を行っているが、これ以外の物体にICタグ91を設けて、上述の録画再生処理を実施する形態でもよい。例えばDVD等の光ディスク、フラッシュメモリ、光磁気ディスク等を用いる形態でもよい。また、カードやケース等のように、記録媒体ではない物体にICタグ91を設ける形態でもよい。
【符号の説明】
【0087】
1 コンパチブルレコーダ(記録再生装置)
11 制御部
13 HDD(記録部)
16 カセットスロット(テープ装着部)
17 ICタグリーダ(読み取り部)
18 VCR機能部
19 HDDレコーダ機能部
21 操作ボタン群(操作部)
90 ビデオカセット(磁気テープ)
91 ICタグ(情報記録媒体、非接触型集積回路)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を記録する記録部と、磁気テープを装着するテープ装着部とを備えた記録再生装置において、
前記テープ装着部に磁気テープが装着されている状態において、前記磁気テープに設けられた情報記録媒体から、前記磁気テープを識別するための識別情報を読み取る読み取り部と、
前記磁気テープに対する録画指示が検知された場合に、前記録画指示において指示された録画対象データを前記記録部に記録する代替録画処理を行うとともに、該代替録画処理により生成される録画データである代替録画データと前記識別情報との関連付けを行い、前記関連付けの内容を示す関連情報を前記記録部に記録する制御部とを備えたこと
を特徴とする記録再生装置。
【請求項2】
前記磁気テープに対する録画/再生指示を行うための操作部を備え、
前記制御部が、前記磁気テープに対する再生指示が前記操作部により検知された場合に、前記読み取り部により読み取られた前記識別情報に関連付けられている録画データが前記記録部に記録されているか否かを判定し、記録されている場合に、前記記録部に記録されている該録画データの再生を行うよう前記記録再生装置を制御する、
請求項1に記載の記録再生装置。
【請求項3】
前記制御部が、前記磁気テープに対する再生指示が前記操作部により検知され、且つ再生開始後に再生停止指示を検知した場合に、前記再生停止指示に基づいて再生停止がなされた位置を示すレジューム情報と、前記読み取り部により読み取られた前記識別情報とを関連付けて前記記録部に記録する、
請求項2に記載の記録再生装置。
【請求項4】
前記制御部が、前記磁気テープに対する再生指示が前記操作部により検知された場合に、前記読み取り部により読み取られた前記識別情報に関連付けられているレジューム情報が前記記録部に記録されているか否かを判定し、記録されている場合に、前記レジューム情報が示す位置から再生を開始する、
請求項3に記載の記録再生装置。
【請求項5】
前記制御部が、前記磁気テープに対する録画指示が検知された場合に、前記読み取り部により読み取られた前記識別情報に関連付けられているレジューム情報が前記記録部に記録されているか否かを判定し、記録されている場合に、前記レジューム情報が示す位置から録画を開始する、
請求項3に記載の記録再生装置。
【請求項6】
前記読み取り部が、前記磁気テープの外装に設けられた非接触型集積回路から前記識別情報を読み取る、
請求項1に記載の記録再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−3233(P2011−3233A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−144071(P2009−144071)
【出願日】平成21年6月17日(2009.6.17)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】