説明

記録再生装置

【課題】デコーダおよびエンコーダの数を抑えつつ、映像・音声の途切れや画質の変化の無い記録ストリームを得る。
【解決手段】
記録部5は、ストリームを記録媒体に直接記録するストリーム直接記録と、ストリームをデコード部3およびエンコード部4により所定の仕様に変換して記録する再エンコード記録とを実行可能である。システム制御部7は、ストリーム入力部1に入力されたストリームを記録媒体へ記録する際、ストリーム直接記録と再エンコード記録との両方で記録する。その後、デコード部3およびエンコード部4を他の処理に用いる必要が生じると、ストリーム直接記録を継続しつつ、その再エンコード記録を停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル信号の記録再生装置に関するものであり、特に、デジタル放送番組のストリームを記録する方式として、ビットレート等の仕様を変更せず直接記録する方式とビットレートを変更して記録する方式との両方に対応した信号記録再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタル放送のデジタル信号を記録する記録再生装置として、デコーダとエンコーダを搭載し、デジタル信号のビットレートを下げて記録することにより、ビットレートを変更せず記録する場合よりも長時間の番組の記録を可能としたものがある。デジタル信号のビットレートを下げる処理は、デコーダがデジタル信号を一旦デコードし、それをエンコーダが所望のビットレートで再エンコードすることによって実現される。
【0003】
本明細書では、デジタル信号のストリームをデコーダ(デコード部)およびエンコーダ(エンコード部)を用いてビットレートや記録モード等の仕様を変換して記録する記録方式を「再エンコード記録」と称し、デジタル信号の仕様を変更せずに直接記録する記録方式を「ストリーム直接記録」と称する。
【0004】
記録再生装置において、デコーダやエンコーダを用いた処理を複数同時に実行可能にするには、記録再生装置にデコーダやエンコーダを複数搭載させる必要がある。そのためデコーダおよびエンコーダをハードウェアで実現する場合には、専用のハードウェアが必要となり多大なコストがかかる。またデコーダおよびエンコーダをソフトウェアで実現する場合でも、より高い処理能力のCPU(Central Processing Unit)が必要となり、この場合も非常にコストがかかる。
【0005】
そのため、例えば特許文献1では、デコーダやエンコーダの数を増やさずに、デジタル信号の記録を保障しつつ、同時にデジタル信号の再生やデジタル放送の視聴、アナログ放送の記録等を行うことが可能な記録再生装置が提案されている。特許文献1の記録再生装置では、例えばデジタル放送の視聴にデコーダを用いたいときに、そのデコーダがデジタル信号の再エンコード記録のために既に使用されていれば、記録方式を再エンコード記録からストリーム直接記録に切り換える。それにより、デジタル信号の記録を維持しながら、デコーダおよびエンコーダを再エンコード記録の処理から開放して使用可能な状態にすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−216153号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし特許文献1の記録再生装置のように、デジタル信号の記録の途中で再エンコード記録からストリーム直接記録に切り替える場合、ストリームの経路をデコーダおよびエンコーダを経由して記録部に送る経路から、デコーダおよびエンコーダを経由せず記録部へ送る経路への切り替えが行われるため、記録されたストリーム(記録ストリーム)において映像・音声が一瞬途切れてしまう。
【0008】
また特許文献1の記録再生装置は、再エンコード記録からストリーム直接記録へ切り替えられた以降の記録ストリームは、デコーダおよびエンコーダが使用可能な状態となったときに再エンコード記録の処理が行われ、それにより本来ユーザが指定していたビットレートの記録ストリームに変換される。そのためその処理が行われるまでの間は、再エンコード記録からストリーム直接記録への切り替えの前後で記録ストリームの画質に違いが生じる。
【0009】
そのため例えば、再エンコード記録をしながらその記録ストリームを再生(いわゆる「追いかけ再生」)しているときに、再エンコード記録からストリーム直接記録への切り替えが行われると、切り替えの前後の記録ストリーム間で映像・音声が一瞬途切れ、なお且つ画質が変化することとなり、視聴者に違和感を与える。
【0010】
本発明は以上のような課題を解決するためになされたものであり、再エンコード記録とストリーム直接記録とを切り替えることにより必要なデコーダおよびエンコーダの数を抑えつつ、その切り替えの前後で映像・音声の途切れや画質の変化の無い記録ストリームを得ることが可能な記録再生装置を提供することを第1の目的とする。またストリームの記録先が1回のみ記録可能媒体の場合に、その容量が無駄に消費されることを防止することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る記録再生装置は、デジタル信号であるストリームが入力される入力部と、記録媒体へのストリームの読み書きを行う記録部と、ストリームをデコードして映像/音声信号に変換するデコード部と、前記デコード部が得た映像/音声信号をエンコードして所定の仕様のストリームに変換するエンコード部とを備え、前記記録部は、ストリームを前記記録媒体に直接記録するストリーム直接記録と、ストリームを前記デコード部および前記エンコード部により所定の仕様に変換して記録する再エンコード記録とを実行可能であり、前記入力部に入力された第1ストリームを前記記録媒体へ記録する際、ストリーム直接記録と再エンコード記録との両方で記録するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、第1ストリームの記録中にデコーダおよびエンコーダを他の処理に使う必要が生じ、再エンコード記録を停止させても、ストリーム直接記録を継続させれば第1ストリームの記録は保障される。このとき再エンコード記録からストリーム直接記録への切り替えは行われないので、ストリーム直接記録された第1ストリームは途切れることがない。またデコーダやエンコーダを増やすことなく、再エンコード記録中に例えば他のストリームの再エンコード記録や、再生等を行うことが可能になるため、コストの削減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1に係る記録再生装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る記録再生装置が再エンコード記録要求を受けた際の該記録再生装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施の形態1に係る記録再生装置が再生要求を受けた際の該記録再生装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態に係る記録再生装置が視聴要求を受けた際の該記録再生装置の動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態に係る記録再生装置において、ビットレート変換待ち状態の記録ストリームがある場合の動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態2に係る記録再生装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図7】本発明の実施の形態2に係る記録再生装置が再エンコード記録要求を受けた際の該記録再生装置の動作を示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態3に係る記録再生装置の構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<実施の形態1>
図1は、本発明の実施の形態1に係る記録再生装置の構成の一例を示すブロック図である。同図の如く、記録再生装置100は、ストリーム入力部1、ストリーム制御部2、デコード部3、エンコード部4、記録部5、表示部6、システム制御部7、メモリ8、リモコン9、リモコン受光部10、制御バス11を備えている。
【0015】
ストリーム入力部1は、圧縮符号化されたデジタル信号であるMPEGトランスポートストリーム(以下「ストリーム」と称す)の入力を受け付けるものであり、ストリームの入力端子を備えている。ストリーム入力部1の入力端子には、デジタルチューナーやIEEE1394端子、LAN端子、記録媒体読み込み部などを介してストリームが入力される。ストリーム制御部2は、ストリーム入力部1に入力されたストリームや、記録部5の記録媒体に記録されたストリーム(記録ストリーム)を受け、それらの出力先を切り替える。
【0016】
デコード部3は、ストリームを映像/音声信号にデコードする。エンコード部4は、映像/音声信号を所望のビットレートあるいは所望の記録モードのストリームへエンコードする。ストリームの再エンコードは、デコード部3がストリームを変換して得た映像/音声信号を、エンコード部4が所定の仕様(ビットレートや記録モード)のストリームへと再変換することによって成される。デコード部3およびエンコード部4は、ハードウェアで実現されたものでも、ソフトウェアで実現されたものでもよい。
【0017】
記録部5は、所定の記録媒体に対してストリームの読み書きを行う。ストリームの記録媒体としては、例えばハードディスク(HDD)やBD−RE(Blu-Ray(登録商標) Disc Rewritable)などがあるが、記録部5は記録媒体の形式に合わせたフォーマットでストリームの読み書きを行う。表示部6は、デコードされた映像/音声信号を表示するものである。表示部6は記録再生装置100と一体的に形成されていてもよいし、記録再生装置100に対して外付けされるものでもよい。
【0018】
システム制御部7は、記録再生装置100を構成する各要素を統合的に制御する。メモリ8には、記録再生装置100の動作に必要なプログラムや設定データ等が格納されている。
【0019】
リモコン9は、記録再生装置100を遠隔操作できるユーザインターフェイスであり、当該リモコン9が送信した制御信号は、記録再生装置100が内蔵するリモコン受光部10により受信され、システム制御部7へと送られる。制御バス11は、システム制御部7が記録再生装置100の各要素と制御信号の通信を行うための信号線である。
【0020】
図2〜図5は、実施の形態1に係る記録再生装置100の動作を示すフローチャートである。具体的には、図2は再エンコード記録要求を受けた際の動作、図3は再生要求を受けた際の動作、図4は視聴要求を受けた際の該記録再生装置の動作、図5はビットレート変換待ち状態の記録ストリームがある場合の動作をそれぞれ示している。
【0021】
まず図2を参照し、記録再生装置100が、ストリーム入力部1から入力されたストリームの再エンコード記録を行うときの動作を説明する。
【0022】
ユーザがリモコン9を操作して、記録再生装置100に対し、ストリーム入力部1に入力されている番組Aのストリームを、特定のビットレートあるいは特定の記録モードで再エンコード記録を行うように要求したとする。
【0023】
リモコン9からの制御信号(再エンコード記録要求)は、リモコン受光部10および制御バス11を経由してシステム制御部7に送られる。システム制御部7は、リモコン受光部10から送られてきた制御信号を解析し、その制御信号の内容が番組Aの再エンコード記録要求であると分かれば、デコード部3およびエンコード部4の使用状況を確認する(S101)。以下では、デコード部3およびエンコード部4の使用状況に関し、使用可能な状態、すなわち他の処理に使用されていない状態を「空き」と称す。
【0024】
デコード部3およびエンコード部4の両方とも空いていれば(S101でYes)、システム制御部7は、ストリーム制御部2、デコード部3、エンコード部4、記録部5を制御して、番組Aのストリーム直接記録と再エンコード記録の両方を開始させる(S102)。
【0025】
すなわちストリーム制御部2は、ストリーム入力部1に入力された番組Aのストリームを、デコード部3および記録部5の両方に送る。デコード部3は、番組Aのストリームをデコードして映像/音声信号に変換し、エンコード部4に送る。エンコード部4は、番組Aの映像/音声信号を、特定のビットレートあるいは特定の記録モードになるように再エンコードして記録部5に送る。記録部5は、ストリーム制御部2から受けた番組Aのストリーム、およびエンコード部4から受けた再エンコード後の番組Aのストリームの両方を、所定の記録媒体に記録する(S103)。以下、このように同一のストリームに対して再エンコード記録とストリーム直接記録の両方を行うことを「二重記録」と称する。
【0026】
システム制御部7は、番組Aの二重記録が行われている間、それが完了したかどうかを監視する(S104)。番組Aの二重記録が完了すると(S104でYes)、記録部5の記録媒体内には、ストリーム直接記録された番組Aと、再エンコード記録された番組Aとが共に存在することになるが、システム制御部7は、記録部5を制御してそのうちストリーム直接記録された番組Aを削除する(S105)。その結果、ユーザが要求したとおり、再エンコード記録された番組Aのみが記録部5の記録媒体に保存される。またストリーム直接記録された番組Aを削除することで、記録部5の空き容量を増やすことができる。
【0027】
一方、ユーザが番組Aの再エンコード記録を要求したとき、デコード部3およびエンコード部4に空きがなかった場合(S101でNo)、システム制御部7は、番組Aのストリーム直接記録が可能かどうかを判断する(S106)。基本的に、ストリーム直接記録では、複数の番組の記録を並行して行うことができるが、記録再生装置のCPU性能やメモリ容量、メモリバス帯域などのハードウェア的な制約により、ストリーム直接記録を行えない場合もある。
【0028】
ストリーム直接記録を行うことが不可能な状態であれば(S106でNo)、システム制御部7は、番組Aの記録動作を実施不可能である旨のメッセージを表示部6に表示させて(S107)、処理を終了する。
【0029】
ストリーム直接記録を行うことが可能な状態であれば(S106でYes)、システム制御部7は、他の番組の二重記録が実施中かどうか(すなわち他の番組に対するS103の処理が実行中かどうか)を確認する(S108)。他の番組の二重記録が実施中でなければ(すなわちデコード部3およびエンコード部4が二重記録以外の処理に使用されている)(S108でNo)、システム制御部7は、番組Aのストリーム直接記録を開始する(S109)。つまりストリーム制御部2が、番組Aのストリームを記録部5へ送り、記録部5がそれを記録する。番組Aのストリーム直接記録が行われている間、システム制御部7は、それが完了したかどうかを判断し(S111,S112)、記録が完了した時点で処理を終了する(S112でYes)。
【0030】
ストリーム直接記録された番組Aは、その後にデコード部3およびエンコード部4に空きができたときに、ユーザが本来要求していたビットレートあるいは記録モードに変換される(詳細は後述する)。つまり番組Aは、ビットレートあるいは記録モードの変換のために、変換デコード部3およびエンコード部4に空きができるのを待っている状態となる(この状態を「ビットレート変換待ち状態」称す)。
【0031】
また他の番組の二重記録が実施中であれば(S108でYes)、システム制御部7は、現在二重記録中の番組(「番組B」と定義)の記録の優先度と、新たに要求された番組Aの記録の優先度のどちらが高いかを判断する(S110)。
【0032】
この優先度の判断基準としては、例えば先に記録開始された番組の記録を優先させる、後に記録開始された番組の記録を優先させる、記録時間の短い番組の記録を優先させる、記録時間の長い番組の記録を優先させる、有料番組の記録を優先させる、などが考えられる。またここで挙げたものに限定されるものではない。
【0033】
番組Aの優先度が番組Bよりも低い場合(S110でNo)、システム制御部7は、番組Bの二重記録を継続させつつ、番組Aのストリーム直接記録を開始する(S109)。すなわち、ストリーム制御部2が番組Aのストリームを記録部5へ送り、記録部5がそれを記録する。番組Aのストリーム直接記録が行われている間、システム制御部7は、それが完了したかどうかを判断し(S111,S112)、記録が完了した時点で処理を終了する。記録部5の記録媒体に記録された番組Aは、ビットレート変換待ち状態となる。
【0034】
番組Aの優先度が番組Bよりも高い場合(S110でYes)、システム制御部7はストリーム制御部2、デコード部3、エンコード部4、記録部5を制御して、現在二重記録中の番組Bのストリーム直接記録だけを継続させ、再エンコード記録を停止させる(S113)。そして番組Aの二重記録を開始する(S102)。
【0035】
すなわちストリーム制御部2は、番組Bのストリームを記録部5へ送るのは継続しつつデコード部3へ送るのを止め、また番組Aのストリームをデコード部3および記録部5の両方に送る。デコード部3およびエンコード部4は、番組Bのストリームのデコードおよびエンコードを停止して、番組Aのストリームのデコードおよびエンコードを行う。記録部5は、番組Bのストリーム直接記録を継続しつつ、番組Bの再エンコード記録を停止し、さらにストリーム制御部2から受けた番組Aのストリーム、およびエンコード部4から受けた再エンコード後の番組Aのストリームの両方を、所定の記録媒体に記録する(S103)。番組Bは、再エンコード記録が停止されるが、ストリーム直接記録は継続されるためのその記録は保障されている。
【0036】
システム制御部7は、番組Aの二重記録が行われている間、それが完了したかどうかを監視する(S104)。番組Aの二重記録が完了すると(S104でYes)、記録部5の記録媒体には、ストリーム直接記録された番組Aと、再エンコード記録された番組Aとが共に存在することになるが、システム制御部7は、記録部5を制御してそのうちストリーム直接記録された番組Aを削除する(S105)。その結果、記録部5の記録媒体には、優先度の高い番組Aを再エンコード記録した記録ストリームと、優先度の低い番組Bをストリーム直接記録した記録ストリームが保存される。記録部5の記録媒体に記録された番組Bは、ビットレート変換待ち状態となる。
【0037】
次に、図3を参照し、記録再生装置100が、記録ストリームの再生を行うときの動作を説明する。
【0038】
ユーザがリモコン9を操作し、記録再生装置100に対して、記録部5の記録媒体に保存されている番組Cの記録ストリームの再生を要求したとする。ここで、番組Cの記録ストリームは、再エンコード記録されたものでもよいし、ストリーム直接記録されたもの(ビットレート変換待ち状態のもの)でもよい。
【0039】
リモコン9からの制御信号(ストリーム再生要求)がリモコン受光部10、制御バス11を経由してシステム制御部7に送られる。システム制御部7は、リモコン9から受信した制御信号を解析し、それが番組Cのストリーム再生要求信号であると分かれば、デコード部3の使用状況を確認する(S201)。
【0040】
デコード部3が空いている場合は(S201でYes)、システム制御部7は、ストリーム制御部2、デコード部3および記録部5を制御して、番組Cの再生を開始する(S202)。すなわち記録部5は、記録媒体から番組Cの記録ストリームを読み出し、ストリーム制御部2へ送る。ストリーム制御部2は、番組Cの記録ストリームをデコード部3へと送る。デコード部3は、番組Cの記録ストリームをデコードして映像/音声信号に変換し、表示部6に送る。その結果、表示部6から番組Cの映像および音声が出力され、ユーザによる視聴が可能になる。
【0041】
一方、デコード部3が空いていない場合は(S201でNo)、番組の二重記録が実施されているかどうかを確認する(S203)。番組の二重記録が行われていなければ(S203でNo)、システム制御部7は、番組Cの再生動作を実施不可能である旨のメッセージを表示部6に表示させて(S204)、処理を終了する。
【0042】
また他の番組の二重記録が実施中であれば(S203でYes)、システム制御部7はストリーム制御部2、デコード部3、エンコード部4、記録部5を制御して、現在二重記録中の番組(「番組D」と定義)のストリーム直接記録だけを継続させ、再エンコード記録を停止させる(S205)。そして番組Cの再生を開始する(S202)。
【0043】
すなわち記録部5は、番組Dのストリーム直接記録を継続しつつ、その再エンコード記録を停止し、さらに記録媒体の番組Cをストリーム制御部2へと送る。ストリーム制御部2は、番組Dのストリームを記録部5へ送るのは継続しつつデコード部3へ送るのを止める。デコード部3およびエンコード部4は、番組Dのストリームのデコードおよびエンコードを停止する。そしてストリーム制御部2は、番組Cのストリームをデコード部3へと送り、デコード部3が番組Cの記録ストリームをデコードして映像/音声信号に変換し、表示部6に送る。
【0044】
その結果、表示部6から番組Cの映像および音声が出力され、ユーザによる視聴が可能になる。また記録部5の記録媒体には、番組Dをストリーム直接記録した記録ストリームが保存される。記録部5の記録媒体に記録された番組Dは、ビットレート変換待ち状態となる。
【0045】
次に、図4を参照し、記録再生装置100が、ストリーム入力部1に入力されている番組を表示部6から出力させるときの動作を説明する。
【0046】
ユーザがリモコン9を操作して、ストリーム入力部1に入力されているデジタル放送の番組Eの視聴を要求したとする。リモコン9からの制御信号(視聴要求)がリモコン受光部10、制御バス11を経由してシステム制御部7に送られる。システム制御部7はリモコン9から受信した制御信号を解析し、それが番組Eの視聴要求信号であると分かると、デコード部3の使用状況を確認する(S301)。
【0047】
デコード部3が空いている場合は(S301でYes)、システム制御部7は、ストリーム制御部2およびデコード部3を制御して、番組Eの再生を開始する(S302)。すなわちストリーム制御部2は、ストリーム入力部1から送られてきた番組Eのストリーム(デジタル放送ストリーム)をデコード部3へと送る。デコード部3は、番組Eのストリームをデコードして映像/音声信号に変換し、表示部6に送る。その結果、表示部6から番組Eの映像および音声が出力され、ユーザによる視聴が可能になる。
【0048】
一方、デコード部3が空いていない場合は(S301でNo)、他の番組の二重記録が実施されているかどうかを確認する(S303)。他の番組の二重記録が行われていなければ(S303でNo)、システム制御部7は、番組Eの再生動作を実施不可能である旨のメッセージを表示部6に表示させて(S304)、処理を終了する。
【0049】
また他の番組の二重記録が実施中であれば(S303でYes)、システム制御部7はストリーム制御部2、デコード部3、エンコード部4、記録部5を制御して、現在二重記録中の番組(「番組F」と定義)のストリーム直接記録だけを継続させ、再エンコード記録を停止させる(S305)。そして番組Eの再生を開始する(S302)。
【0050】
すなわち記録部5は、番組Fのストリーム直接記録を継続しつつ、その再エンコード記録を停止する。ストリーム制御部2は、番組Fのストリームを記録部5へ送るのは継続しつつデコード部3へ送るのを止める。デコード部3およびエンコード部4は、番組Fのストリームのデコードおよびエンコードを停止する。そしてストリーム制御部2は、番組Eのストリームをデコード部3へと送る。デコード部3は、番組Eのストリームをデコードして映像/音声信号に変換し、表示部6に送る。
【0051】
その結果、表示部6から番組Eの映像および音声が出力され、ユーザによる視聴が可能になる。また記録部5の記録媒体には、番組Fをストリーム直接記録した記録ストリームが保存される。記録部5の記録媒体に記録された番組Fは、ビットレート変換待ち状態となる。
【0052】
図5は、ビットレート変換待ち状態の記録ストリームがあるときの記録再生装置100の動作を示すフローチャートである。上記した記録再生装置100の動作例のそれぞれで、ストリーム直接記録されビットレート変換待ち状態になった記録ストリームは、図5のフローに従って、ユーザが本来指定していたビットレートあるいは記録モードになるようにビットレート変換(再エンコード)される。
【0053】
ビットレート変換待ち状態の記録ストリームがある場合、システム制御部7は、デコード部3およびエンコード部4の使用状況を確認する(S401)。デコード部3とエンコード部4の両方が空いていなければ(S401でNo)、それらが空くのを待つ。
【0054】
デコード部3とエンコード部4の両方が空いていれば(S401でYes)、システム制御部7は、ストリーム制御部2、デコード部3、エンコード部4および記録部5を制御して、ビットレート変換待ち状態の記録ストリームの再エンコードを実行させる。
【0055】
すなわち記録部5は、ビットレート変換待ち状態の記録ストリームを記録媒体から読み出してストリーム制御部2に送る。ストリーム制御部2は、当該記録ストリームをデコード部3に送る。デコード部3は、当該記録ストリームをデコードし映像/音声信号に変換し、エンコード部4に送る。エンコード部4は、その映像/音声信号を、ユーザが本来指定していたビットレートあるいは記録モードになるように再エンコードし、記録部5に送る。記録部5は、再エンコード後の記録ストリームを記録媒体に記録する(S403)。
【0056】
その間、システム制御部7は、再エンコード後の記録ストリームの記録が完了したかどうか監視する(S404)。システム制御部7は、再エンコード後の記録ストリームの記録が完了すれば(S404でYes)、記録部5を制御して、それに対応する再エンコード前の記録ストリームを記録媒体から削除する(S405)。その結果、記録部5の記録媒体には、ユーザが本来指定したビットレートあるいは記録モードの記録ストリームが保存され、それまでビットレート変換待ち状態であった記録ストリームは削除される。
【0057】
図2を用いて説明したように、本実施の形態に係る記録再生装置100は、ストリーム入力部1から入力された優先度が高いストリームの記録を、ストリーム直接記録と、デコード部3およびエンコード部4を用いる再エンコード記録との両方で記録する二重記録を行う。そしてストリームの二重記録の途中で、より優先度の高いストリームの再エンコード記録や、記録部5に保存された記録ストリームの再生(図3)、デジタル放送ストリームの再生(デジタル放送の視聴)(図4)など他の処理にデコード部3およびエンコード部4の片方または両方が必要となれば、二重記録のうちストリーム直接記録を継続させつつ、再エンコード記録を停止して、デコード部3およびエンコード部4の空きを作って対応する。
【0058】
デコード部3およびエンコード部4の空きを作るために再エンコード記録を停止させると、ビットレート変換待ち状態の記録ストリームが生成されるが、図5の処理が行われることにより、それらは自動的にユーザ指定のビットレートあるいは記録モードに変換される。
【0059】
よって本実施の形態に係る記録再生装置100によれば、デコード部(デコーダ)およびエンコード部(エンコーダ)を増加させることなく、それらが不足することを回避して、ストリーム入力部に入力された複数のストリームを同時に記録したり、ストリーム入力部1に入力されたストリームの記録と、記録ストリームの再生またはデジタル放送の視聴とを、同時に実行することが可能になる。よって低コストで高機能な記録再生装置を得ることができる。
【0060】
またデコード部3およびエンコード部4の空きを作るとき、ストリームの再エンコード記録は中断されるが、ストリーム直接記録は継続して実行されるため、そのストリームの記録は保障されている。ストリーム直接記録されたストリームは、ビットレート変換待ち状態となる。
【0061】
ビットレート変換待ち状態となった記録ストリームは、再エンコード記録の途中でストリーム直接記録に切り替わって記録されたものではなく、連続的なストリーム直接記録によって記録されたものである。よってビットレート変換待ち状態の記録ストリームをそのまま再生した場合や、それを所望のビットレートまたは記録モードに再エンコードした記録ストリームを再生した場合に、再生した映像・音声の途切れや画質の変化は現れない。従ってユーザ(視聴者)が再生した映像・音声を視聴したときに違和感を受けることを防止できる。
【0062】
本実施の形態では、記録再生装置がデコード部(デコーダ)およびエンコード部(エンコーダ)を1つずつ備える構成である場合を示したが、本発明が適用できる記録再生装置のその構成に限られない。ストリームの再エンコード記録中に、それよりも優先度の高いストリームの再エンコード記録や、デジタル信号の再生、デジタル放送の視聴の各動作を開始するにあたって、デコード部およびエンコード部の片方または両方が不足するケースが生じる記録再生装置に広く適用可能である。また記録再生装置は、記録部を複数有するものであってもよい。
【0063】
さらに本実施の形態では、記録再生装置がリモコンによって遠隔操作されるように説明したが、記録再生装置に搭載された操作部を用いて操作されてもよい。また記録再生装置が取り扱うストリームは、MPEGトランスポートストリームに限られず、シリアルのデータ符号化列で表されるデジタル信号であればよい。記録部がストリームの読み書きを行う記録媒体は、HDD、光ディスク(BD、DVD、CD等)、SDカードなど、デジタル信号を記録可能なものであれば任意のものでよい。
【0064】
<実施の形態2>
図6は、本発明の実施の形態2に係る記録再生装置の構成の一例を示すブロック図である。図1の記録再生装置100は1つの記録部5を有する構成であったが、図6の記録再生装置200は、第1記録部5aおよび第2記録部5bという2つの記録部と共に、各ストリームの記録先を第1記録部5aにするか第2記録部5bにするかを選択する記録先選択部12を備えている。その他の構成は、図1と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0065】
第1記録部5aおよび第2記録部5bは、共に所定の記録媒体に対してストリームの読み書きを行うものであり、その記録媒体の形式は任意でよい。本実施の形態では、第1記録部5aは、例えばHDDやBD−REのような、繰り返して記録可能な記録媒体(繰り返し記録可能媒体)の読み書きを行い、第2記録部5bはBD−R(Blu-ray(登録商標) Disc Recordable)のような1回のみ記録可能な記録媒体(1回のみ記録可能媒体)の読み書きを行うものとする。
【0066】
後述するように、本実施の形態の記録再生装置200も、実施の形態1と同様に番組の二重記録を実施可能であるが、1回のみ記録可能媒体には二重記録を行わず、繰り返し記録可能媒体に対してのみ二重記録が行われる。1回のみ記録可能媒体には一度書き込んだデータに上書きできないため、二重記録を行うと記録領域を無駄に使用する結果となるためである。本実施の形態では、番組の二重記録は、第2記録部5bでは行われず、第1記録部5aでのみ行われる。
【0067】
図7は、実施の形態2に係る記録再生装置200の動作を示すフローチャートである。以下、同図を参照して、記録再生装置200が、ストリーム入力部1から入力されたストリームの再エンコード記録を行うときの動作を説明する。
【0068】
ユーザがリモコン9を操作して、記録再生装置100に対し、記録先を第2記録部5bの1回のみ記録可能媒体に指定して、ストリーム入力部1に入力されている番組Gのストリームの再エンコード記録を要求したとする。このときリモコン9からの制御信号(再エンコード記録要求)には、記録先を指定する情報も含まれている。
【0069】
リモコン9からの制御信号(再エンコード記録要求)は、リモコン受光部10および制御バス11を経由してシステム制御部7に送られる。システム制御部7は、リモコン受光部10から送られてきた制御信号を解析する。その結果、制御信号の内容が番組Gの再エンコード記録要求であり、その記録先の指定が第2記録部5bの記録媒体であると分かれば、システム制御部7は、その記録先が1回のみ記録可能媒体かどうかを確認する(S801)。
【0070】
第2記録部5bの記録媒体は1回のみ記録可能媒体であるので(S801でYes)、続いてデコード部3およびエンコード部4の使用状況を確認する(S802)。そしてデコード部3およびエンコード部4の両方とも空いていれば(S802でYes)、システム制御部7は、ストリーム制御部2、デコード部3、エンコード部4、記録先選択部12および第2記録部5bを制御し、番組Gのストリームを第2記録部5bの記録媒体(1回のみ記録可能媒体)へ再エンコード記録させる(S803)。
【0071】
すなわちストリーム制御部2は、ストリーム入力部1から入力された番組Gのストリームをデコード部3に送る。デコード部3は、番組Gのストリームをデコードして映像/音声信号にし、エンコード部4に送る。エンコード部4は、番組Gの映像/音声信号を、ユーザが指定したビットレートあるいは記録モードになるように再エンコードし、記録先選択部12に送る。記録先選択部12は、再エンコードされた番組Gのストリームを、第2記録部5bへ送り、第2記録部5bがそれを1回のみ記録可能媒体へ書き込む。
【0072】
デコード部3およびエンコード部4に空きが無ければ(S802でNo)、番組の二重記録が実施されているかどうかを確認する(S804)。番組の二重記録が行われていなければ(S804でNo)、システム制御部7は、番組Gの記録動作を実施不可能である旨のメッセージを表示部6に表示させて(S805)、処理を終了する。
【0073】
また番組の二重記録が実施中であれば(S804でYes)、システム制御部7はストリーム制御部2、デコード部3、エンコード部4、記録先選択部12および第1記録部5aを制御して、現在二重記録中の番組(「番組H」と定義)のストリーム直接記録だけを継続させ、再エンコード記録を停止させる(S806)。そして第2記録部5bの1回のみ記録可能媒体への番組Gの再エンコード記録を開始する(S803)。
【0074】
すなわち第1記録部5aは、番組Hのストリーム直接記録を継続しつつ、その再エンコード記録を停止する。ストリーム制御部2は、番組Hのストリームを第1記録部5aへ送るのは継続しつつデコード部3へ送るのを止める。デコード部3およびエンコード部4は、番組Hのストリームのデコードおよびエンコードを停止する。そしてストリーム制御部2は、ストリーム入力部1から入力された番組Gのストリームをデコード部3に送る。デコード部3は、番組Gのストリームをデコードして映像/音声信号にし、エンコード部4に送る。エンコード部4は、番組Gの映像/音声信号を、ユーザが指定したビットレートあるいは記録モードになるように再エンコードし、記録先選択部12に送る。記録先選択部12は、再エンコードされた番組Gのストリームを、第2記録部5bへ送り、第2記録部5bがそれを1回のみ記録可能媒体へ書き込む。
【0075】
なお、第1記録部5aの記録媒体にストリーム直接記録された番組Hは、ビットレート変換待ち状態となる。
【0076】
このように本実施の形態では、1回のみ記録可能媒体に対する再エンコード記録は、繰り返し記録可能媒体に対する再エンコード記録よりも優先して実施される。よって書き込み先が1回のみ記録可能媒体に指定されたストリームは、ビットレート変換待ち状態にされることなく、即座に書き込みされることになる。特に、光ディスクなど持ち運び可能な1回のみ記録可能媒体に適用すれば、記録後にそれをすぐに取り出して持ち運び、他の機器での再生が可能となるという利点がある。また1回のみ記録可能媒体に二重記録を行わないので、その記録領域を無駄に使用することもない。
【0077】
一方、ユーザがリモコン9を操作して、記録再生装置200に対し、記録先を第1記録部5aの繰り返し記録可能媒体に指定して、ストリーム入力部1に入力されている番組Gのストリームの再エンコード記録を要求したとする。この場合は、以下のように図3のフローとほぼ同様の動作が行われる。
【0078】
リモコン9からの制御信号(再エンコード記録要求)は、リモコン受光部10および制御バス11を経由してシステム制御部7に送られる。システム制御部7は、リモコン受光部10から送られてきた制御信号を解析し、その制御信号の内容が番組Gの再エンコード記録要求であると分かれば、デコード部3およびエンコード部4の使用状況を確認する(S807)。
【0079】
デコード部3およびエンコード部4の両方とも空いていれば(S807でYes)、システム制御部7は、ストリーム制御部2、デコード部3、エンコード部4、記録先選択部12、第1記録部5aを制御して、第1記録部5aに対する番組Gのストリーム直接記録と再エンコード記録の両方を開始させる(S808)。
【0080】
すなわちストリーム制御部2は、ストリーム入力部1に入力された番組Gのストリームを、デコード部3および第1記録部5aの両方に送る。デコード部3は、番組Gのストリームをデコードして映像/音声信号に変換し、エンコード部4に送る。エンコード部4は、番組Gの映像/音声信号を、特定のビットレートあるいは特定の記録モードになるように再エンコードして記録先選択部12に送る。記録先選択部12は再エンコードされた番組Gのストリームを第1記録部5aに送る。第1記録部5aは、ストリーム制御部2から受けた番組Gのストリーム、およびエンコード部4から受けた再エンコード後の番組Gのストリームの両方を、記録媒体(繰り返し記録可能媒体)に記録する(S809)。
【0081】
システム制御部7は、番組Gの二重記録が行われている間、それが完了したかどうかを監視する(S810)。番組Gの二重記録が完了すると(S810でYes)、第1記録部5aの記録媒体内には、ストリーム直接記録された番組Gと、再エンコード記録された番組Gが存在することになるが、システム制御部7は、第1記録部5aを制御してそのうちストリーム直接記録された番組Gを削除する(S811)。その結果、ユーザが要求したとおり、再エンコード記録された番組Gのみが第1記録部5aの記録媒体に保存される。
【0082】
一方、ユーザが番組Gの再エンコード記録を要求したとき、デコード部3およびエンコード部4に空きがなかった場合(S807でNo)、システム制御部7は、番組Gのストリーム直接記録が可能かどうかを判断する(S812)。
【0083】
ストリーム直接記録を行うことが不可能な状態であれば(S812でNo)、システム制御部7は、番組Gの記録動作を実施不可能である旨のメッセージを表示部6に表示させて(S813)、処理を終了する。
【0084】
ストリーム直接記録を行うことが可能な状態であれば(S812でYes)、システム制御部7は、他の番組の二重記録が実施中かどうか(すなわち他の番組に対するS809の処理が実行中かどうか)を確認する(S814)。他の番組の二重記録が実施中でなければ(S814でNo)、システム制御部7は、番組Gのストリーム直接記録を開始する(S815)。つまりストリーム制御部2が、番組Gのストリームを第1記録部5aへ送り、第1記録部5aがそれを記録する。番組Gのストリーム直接記録が行われている間、システム制御部7は、それが完了したかどうかを判断し(S817,S818)、記録が完了した時点で処理を終了する。第1記録部5aの記録媒体に記録された番組Gは、ビットレート変換待ち状態となる。
【0085】
また他の番組の二重記録が実施中であれば(S814でYes)、システム制御部7は、現在二重記録中の番組(「番組I」と定義)の記録の優先度と、新たに要求された番組Gの記録の優先度のどちらが高いかを判断する(S816)。
【0086】
この優先度の判断基準としては、例えば先に記録開始された番組の記録を優先させる、後に記録開始された番組の記録を優先させる、記録時間の短い番組の記録を優先させる、記録時間の長い番組の記録を優先させる、有料番組の記録を優先させる、などが考えられる。またここで挙げたものに限定されるものではない。
【0087】
番組Gの優先度が番組Iよりも低い場合(S816でNo)、システム制御部7は、番組Iの二重記録を継続させつつ、番組Gのストリーム直接記録を開始する(S815)。すなわち、ストリーム制御部2が番組Gのストリームを第1記録部5aへ送り、第1記録部5aがそれを記録する。番組Gのストリーム直接記録が行われている間、システム制御部7は、それが完了したかどうかを判断し(S817,S818)、記録が完了した時点で処理を終了する。記録部5の記録媒体に記録された番組Gは、ビットレート変換待ち状態となる。
【0088】
番組Gの優先度が番組Iよりも高い場合(S816でYes)、システム制御部7はストリーム制御部2、デコード部3、エンコード部4、記録先選択部12および第1記録部5aを制御して、現在二重記録中の番組Iのストリーム直接記録だけを継続させ、再エンコード記録を停止させる(S819)。そして番組Gの二重記録を開始する(S808)。
【0089】
すなわちストリーム制御部2は、番組Iのストリームを第1記録部5aへ送るのは継続しつつデコード部3へ送るのを止め、さらに番組Gのストリームをデコード部3および第1記録部5aの両方に送る。デコード部3およびエンコード部4は、番組Iのストリームのデコードおよびエンコードを停止して、番組Gのストリームのデコードおよびエンコードを行い、記録先選択部12へと送る。記録先選択部12は、再エンコードされた番組Gのストリームを第1記録部5aへ送る。第1記録部5aは、番組Iのストリーム直接記録を継続しつつ、番組Iの再エンコード記録を停止し、さらにストリーム制御部2から受けた番組Gのストリーム、およびエンコード部4から受けた再エンコード後の番組Gのストリームの両方を、所定の記録媒体に記録する(S809)。
【0090】
システム制御部7は、番組Gの二重記録が行われている間、それが完了したかどうかを監視する(S810)。番組Gの二重記録が完了すると(S810でYes)、第1記録部5aの記録媒体内には、ストリーム直接記録された番組Gと、再エンコード記録された番組Gが共に存在することになるが、システム制御部7は、第1記録部5aを制御してそのうちストリーム直接記録された番組Gを削除する(S811)。その結果、第1記録部5aの記録媒体には、優先度の高い番組Gを再エンコード記録した記録ストリームと、優先度の低い番組Iをストリーム直接記録した記録ストリームが保存される。
【0091】
ストリーム直接記録された番組Iは、その後にデコード部3およびエンコード部4に空きができたときに、ユーザが本来要求していたビットレートあるいは記録モードに変換される(詳細は後述する)。つまり番組Iは、ビットレート変換待ち状態となる。
【0092】
記録再生装置200が、第1記録部5aまたは第2記録部5bに保存されている記録ストリームの再生を行うときの動作を説明する。これは基本的に図3のフローと同様であるので、図3を参照して説明する。
【0093】
ユーザがリモコン9を操作し、記録再生装置200に対して、第1記録部5aまたは第2記録部5bの記録媒体に記録されている番組の記録ストリームの再生を要求したとする。ここでは第2記録部5bの記録媒体(1回のみ記録可能媒体)に記録されている番組Jの再生が要求されたと仮定する。
【0094】
リモコン9からの制御信号(ストリーム再生要求)がリモコン受光部10、制御バス11を経由してシステム制御部7に送られる。システム制御部7は、リモコン9から受信した制御信号を解析し、それが番組Jのストリーム再生要求信号であると分かれば、デコード部3の使用状況を確認する(S201)。
【0095】
デコード部3が空いている場合は(S201でYes)、システム制御部7は、ストリーム制御部2、デコード部3および第2記録部5bを制御して、番組Jの再生を開始する(S202)。すなわち第2記録部5bは、記録媒体から番組Jの記録ストリームを読み出し、ストリーム制御部2へ送る。ストリーム制御部2は、番組Jの記録ストリームをデコード部3へと送る。デコード部3は、番組Jの記録ストリームをデコードして映像/音声信号に変換し、表示部6に送る。その結果、表示部6から番組Jの映像および音声が出力され、ユーザによる視聴が可能になる。
【0096】
一方、デコード部3が空いていない場合は(S201でYes)、番組の二重記録が実施されているかどうかを確認する(S203)。番組の二重記録が行われていなければ(S203でNo)、システム制御部7は、番組Jの再生動作を実施不可能である旨のメッセージを表示部6に表示させて(S204)、処理を終了する。
【0097】
また他の番組の二重記録が実施中であれば(S203でYes)、システム制御部7はストリーム制御部2、デコード部3、エンコード部4、記録先選択部12、第1記録部5aおよび第2記録部5bを制御して、現在二重記録中の番組(「番組K」と定義)のストリーム直接記録だけを継続させ、再エンコード記録を停止させる(S205)。そして番組Jの再生を開始する(S202)。
【0098】
すなわち第1記録部5aは、番組Kのストリーム直接記録を継続しつつ、その再エンコード記録を停止する。第2記録部5bは、記録媒体の番組Jをストリーム制御部2へと送る。ストリーム制御部2は、番組Kのストリームの第1記録部5aへの送信は継続し、番組Kのストリームをデコード部3へ送るのを止める。デコード部3およびエンコード部4は、番組Kのストリームのデコードおよびエンコードを停止する。そしてストリーム制御部2は、番組Jのストリームをデコード部3へと送り、デコード部3が番組Jの記録ストリームをデコードして映像/音声信号に変換し、表示部6に送る。
【0099】
その結果、表示部6から番組Jの映像および音声が出力され、ユーザによる視聴が可能になる。また第1記録部5aの記録媒体には、番組Kをストリーム直接記録した記録ストリームが保存される。第1記録部5aの記録媒体に記録された番組Kは、ビットレート変換待ち状態となる。
【0100】
次に、記録再生装置200が、ストリーム入力部1に入力されている番組を表示部6から出力させるときの動作を説明する。これは基本的に図4のフローと同様であるので、図4を参照して説明する。
【0101】
ユーザがリモコン9を操作して、ストリーム入力部1に入力されているデジタル放送の番組Lの視聴を要求したとする。リモコン9からの制御信号(視聴要求)がリモコン受光部10、制御バス11を経由してシステム制御部7に送られる。システム制御部7はリモコン9から受信した制御信号を解析し、それが番組Lの視聴要求信号であると分かると、デコード部3の使用状況を確認する(S301)。デコード部3が空いていれば(S301でYes)、番組Lの視聴を開始する(S302)。
【0102】
デコード部3が空いている場合は(S301でYes)、システム制御部7は、ストリーム制御部2およびデコード部3を制御して、番組Lの再生を開始する(S302)。すなわちストリーム制御部2は、ストリーム入力部1から送られてきた番組Lのストリーム(デジタル放送ストリーム)をデコード部3へと送る。デコード部3は、番組Lのストリームをデコードして映像/音声信号に変換し、表示部6に送る。その結果、表示部6から番組Lの映像および音声が出力され、ユーザによる視聴が可能になる。
【0103】
一方、デコード部3が空いていない場合は(S301でYes)、他の番組の二重記録が実施されているかどうかを確認する(S303)。他の番組の二重記録が行われていなければ(S303でNo)、システム制御部7は、番組Lの再生動作を実施不可能である旨のメッセージを表示部6に表示させて(S304)、処理を終了する。
【0104】
また他の番組の二重記録が実施中であれば(S303でYes)、システム制御部7はストリーム制御部2、デコード部3、エンコード部4、記録先選択部12および第1記録部5aを制御して、現在二重記録中の番組(「番組M」と定義)のストリーム直接記録だけを継続させ、再エンコード記録を停止させる(S305)。そして番組Lの再生を開始する(S302)。
【0105】
すなわち第1記録部5aは、番組Mのストリーム直接記録を継続しつつ、その再エンコード記録を停止する。記録先選択部12も、再エンコードされた番組Mを第1記録部5aへ送るのを停止する。ストリーム制御部2は、番組Mのストリームの第1記録部5aへの送信は継続し、番組Mのストリームをデコード部3へ送るのを止める。デコード部3およびエンコード部4は、番組Mのストリームのデコードおよびエンコードを停止する。そしてストリーム制御部2は、番組Lのストリームをデコード部3へと送る。デコード部3は、番組Lのストリームをデコードして映像/音声信号に変換し、表示部6に送る。
【0106】
その結果、表示部6から番組Lの映像および音声が出力され、ユーザによる視聴が可能になる。また第1記録部5aの記録媒体には、番組Mをストリーム直接記録した記録ストリームが保存される。第1記録部5aの記録媒体に記録された番組Mは、ビットレート変換待ち状態となる。
【0107】
次に、ビットレート変換待ち状態の記録ストリームがあるときの記録再生装置200の動作を説明する。これは基本的に図5と同じであるので、図5を参照して説明する。
【0108】
上記した記録再生装置200の動作例のそれぞれで、第1記録部5aにストリーム直接記録されビットレート変換待ち状態になった記録ストリームは、図5のフローに従って、ユーザが本来指定していたビットレートあるいは記録モードになるようにビットレート変換(再エンコード)される。
【0109】
ビットレート変換待ち状態の記録ストリームがある場合、システム制御部7は、デコード部3およびエンコード部4の使用状況を確認する(S401)。デコード部3とエンコード部4の両方が空いていなければ(S401でNo)、それらが空くのを待つ。
【0110】
デコード部3とエンコード部4の両方が空いていれば(S401でYes)、システム制御部7は、ストリーム制御部2、デコード部3、エンコード部4、記録先選択部12および第1記録部5aを制御して、ビットレート変換待ち状態の記録ストリームの再エンコードを実行させる。
【0111】
すなわち第1記録部5aは、ビットレート変換待ち状態の記録ストリームを記録媒体から読み出してストリーム制御部2に送る。ストリーム制御部2は、当該記録ストリームをデコード部3に送る。デコード部3は、当該記録ストリームをデコードし映像/音声信号に変換し、エンコード部4に送る。エンコード部4は、その映像/音声信号を、ユーザが本来指定していたビットレートあるいは記録モードになるように再エンコードし、記録先選択部12に送る。記録先選択部12は、再エンコード後のストリームを第1記録部5aに送る。第1記録部5aは、再エンコード後の記録ストリームを記録媒体に記録する(S403)。
【0112】
その間、システム制御部7は、再エンコード後の記録ストリームの記録が完了したかどうか監視する(S404)。システム制御部7は、再エンコード後の記録ストリームの記録が完了すれば(S404でYes)、第1記録部5aを制御して、それに対応する再エンコード前の記録ストリームを記録媒体から削除する(S405)。その結果、第1記録部5aの記録媒体には、ユーザが本来指定したビットレートあるいは記録モードの記録ストリームが保存され、それまでビットレート変換待ち状態であった記録ストリームは削除される。
【0113】
図7を用いて説明したように、記録再生装置200は、ストリーム入力部1から入力された優先度が高いストリームの記録を、ストリーム直接記録と、デコード部3およびエンコード部4を用いる再エンコード記録との両方で記録する二重記録を行う。そしてストリームの二重記録の途中で、1回のみ記録可能媒体に対する再エンコード記録や、より優先度の高いストリームの再エンコード記録、第1記録部5aに保存された記録ストリームの再生(図3)、デジタル放送ストリームの再生(デジタル放送の視聴)(図4)など他の処理にデコード部3およびエンコード部4の片方または両方が必要となれば、二重記録のうちストリーム直接記録を継続させつつ、再エンコード記録を停止して、デコード部3およびエンコード部4の空きを作って対応する。
【0114】
特に、1回のみ記録可能媒体に対する再エンコード記録は、繰り返し記録可能媒体に対する再エンコード記録よりも優先して実施される。よって書き込み先が1回のみ記録可能媒体に指定されたストリームは、ビットレート変換待ち状態にされることなく、即座に書き込みされることになる。よって光ディスクなど持ち運び可能な1回のみ記録可能媒体に適用すれば、記録後にそれをすぐに取り出して持ち運び、他の機器での再生が可能となるという利点がある。また1回のみ記録可能媒体に二重記録を行わないので、その記録領域を無駄に使用することもない。
【0115】
また本実施の形態において二重記録を行わない記録媒体としては、1回のみ記録可能媒体に限られず、ストリーム直接記録と再エンコード記録を同時に記録できない記録媒体としても、同様の効果を得ることができる。
【0116】
またデコード部3およびエンコード部4の空きを作るために再エンコード記録を停止させると、ビットレート変換待ち状態の記録ストリームが生成されるが、図5の処理が行われることにより、それらは自動的にユーザ指定のビットレートあるいは記録モードに変換される。
【0117】
よって本実施の形態に係る記録再生装置200によれば、デコード部(デコーダ)およびエンコード部(エンコーダ)を増加させることなく、それらが不足することを回避して、ストリーム入力部に入力された複数のストリームを同時に記録したり、ストリーム入力部1に入力されたストリームの記録と、記録ストリームの再生またはデジタル放送の視聴とを、同時に実行することが可能になる。よって低コストで高機能な記録再生装置を得ることができる。
【0118】
またデコード部3およびエンコード部4の空きを作るとき、再エンコード記録は中断されるが、ストリーム直接記録は継続して実行される。つまり、ビットレート変換待ち状態となる記録ストリームは、再エンコード記録の途中でストリーム直接記録に切り替わって記録されたものではなく、連続的なストリーム直接記録によって記録されたものである。よってビットレート変換待ち状態の記録ストリームをそのまま再生した場合も、それを所望のビットレートまたは記録モードに再エンコードして得た記録ストリームを再生した場合も、再生した映像・音声の途切れや画質の変化は現れない。従ってユーザ(視聴者)が再生した映像・音声を視聴したときに違和感を受けることを防止できる。
【0119】
また本実施の形態では、記録再生装置がデコード部(デコーダ)およびエンコード部(エンコーダ)を1つずつ備える構成である場合を示したが、本発明が適用できる記録再生装置のその構成に限られない。ストリームの再エンコード記録中に、それよりも優先度の高いストリームの再エンコード記録や、デジタル信号の再生、デジタル放送の視聴の各動作を開始するにあたって、デコード部およびエンコード部の片方または両方が不足するケースが生じる記録再生装置に広く適用可能である。また記録再生装置は、記録部を複数有するものであってもよい。
【0120】
さらに本実施の形態では、記録再生装置がリモコンによって遠隔操作されるように説明したが、記録再生装置に搭載された操作部を用いて操作されてもよい。また記録再生装置が取り扱うストリームは、MPEGトランスポートストリームに限られず、シリアルのデータ符号化列で表されるデジタル信号であればよい。記録部がストリームの読み書きを行う記録媒体は、HDD、光ディスク(BD、DVD、CD等)、SDカードなど、デジタル信号を記録可能なものであれば任意のものでよい。
【0121】
<実施の形態3>
図8は、本発明の実施の形態3に係る記録再生装置の構成の一例を示すブロック図である。図6の記録再生装置200は1つのデコード部3を有する構成であったが、図8の記録再生装置300は、第1デコード部3aおよび第2デコード部3bという2つのデコード部を備えている。その他の構成は、図6と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0122】
実施の形態2では、1回のみ記録可能媒体に対する再エンコード記録を、繰り返し記録可能媒体に対する再エンコード記録よりも優先的に行うことで、1回のみ記録可能媒体には二重記録を行わないようにした。それにより、1回のみ記録可能媒体の記録領域が、二重記録により無駄に使用されることが防止される。しかし1回のみ記録可能媒体に対する再エンコード記録を行っている間は、デコード部がその処理に占有されるため、ユーザが番組(記録ストリームを含む)を視聴することができない。
【0123】
図8の記録再生装置300は、デコード部を2つ備えることによって、その問題を解決することができる。以下、その動作例を説明する。ここでも第1記録部5aの記録媒体は繰り返し記録可能媒体であり、第2記録部5bの記録媒体は1回のみ記録可能媒体であるとする。
【0124】
例えば、ストリーム入力部1に入力されている番組Nを、第1記録部5aへ二重記録している状態を想定する。二重記録のうちの再エンコード記録には第1デコード部3aおよび第2デコード部3bのどちらも使用可能であるが、ここでは第1デコード部3aが用いられていると仮定する。この状態において、ユーザがリモコン9を操作し、記録再生装置300に対し、第1記録部5aに記録中の番組Nの再生を指示したとする。
【0125】
リモコン9からの制御信号(ストリーム再生要求)がリモコン受光部10、制御バス11を経由してシステム制御部7に送られる。システム制御部7は、リモコン9から受信した制御信号を解析し、それが番組Nのストリーム再生要求信号であると分かれば、デコード部3の使用状況を確認する。
【0126】
第1デコード部3aは番組Nの再エンコード記録に使用中であるが、第2デコード部3bは空いているため、システム制御部7は、ストリーム制御部2、第2デコード部3bおよび第2記録部5bを制御し、第2デコード部3bを用いた番組Nの記録ストリームの再生を行わせる。
【0127】
すなわち第1記録部5aは、番組Nの記録ストリームをストリーム制御部2に送り、ストリーム制御部2はそれを第2デコード部3bへと送り、第2デコード部3bがそれを映像/音声信号に変換して、表示部6に送る。それにより、番組Nの二重記録を継続しながら、番組Nの記録済みの部分を表示部6で視聴すること(いわゆる「追いかけ再生」)が可能になる。
【0128】
ここで、番組Nは第1記録部5aに二重記録中なので、第1記録部5a内にはストリーム直接記録された番組Nと、再エンコード記録された番組Nの2つが記録中であるが、上記の再生処理にはストリーム直接記録された番組Nの記録ストリームを用いる。後述するように、番組Nの再エンコード記録はこの後の処理によっては中断される可能性があるが、ストリーム直接記録は継続されるため、ストリーム直接記録された番組Nの記録ストリームを再生すれば、それが中断されることが防止できるからである。
【0129】
このように番組Nの二重記録と、番組Nの記録ストリームの再生を同時に行っている状態で、さらにユーザがリモコン9を操作し、ストリーム入力部1に入力されている番組Oを第2記録部5bの1回のみ記録可能媒体へ再エンコード記録することを要求したとする。
【0130】
リモコン9からの制御信号(再エンコード記録要求)は、リモコン受光部10および制御バス11を経由してシステム制御部7に送られる。システム制御部7は、リモコン受光部10から送られてきた制御信号の内容が番組Oの再エンコード記録要求であり、その記録先の指定が第2記録部5bの1回のみ記録可能媒体であることを認識すると、第1デコード部3a、第2デコード部3bおよびエンコード部4の使用状況を確認する。ここでは第1デコード部3aは番組Nの二重記録の再エンコード記録に使用されており、第2デコード部3bは番組Nの記録ストリームの再生に使用されている。
【0131】
この場合、システム制御部7は、番組Nの再エンコード記録と、番組Oの再エンコード記録との優先度を判断する。番組Oの記録先は1回のみ記録可能媒体であり二重記録すると記録領域の無駄が生じるため、システム制御部7は、番組Nの再エンコード記録よりも番組Oの再エンコード記録を優先させる。つまり番組Nの再エンコード記録を停止して(ストリーム直接記録は継続)、番組Oの再エンコード記録を開始させる。
【0132】
すなわち第1記録部5aは、番組Nのストリーム直接記録を継続しつつ、その再エンコード記録を停止する。ストリーム制御部2は、番組Nのストリームを第1記録部5aへ送るのは継続しつつ第1デコード部3aへ送るのを止める。第1デコード部3aおよびエンコード部4は、番組Nのストリームのデコードおよびエンコードを停止する。
【0133】
そしてストリーム制御部2は、ストリーム入力部1から入力された番組Oのストリームを第1デコード部3aに送る。第1デコード部3aは、番組Oのストリームをデコードして映像/音声信号にし、エンコード部4に送る。エンコード部4は、番組Oの映像/音声信号を、ユーザが指定したビットレートあるいは記録モードになるように再エンコードし、記録先選択部12に送る。記録先選択部12は、再エンコードされた番組Oのストリームを、第2記録部5bへ送り、第2記録部5bがそれを1回のみ記録可能媒体へ書き込む。
【0134】
その間、第2デコード部3bおよび表示部6は、番組Nの記録ストリームの再生処理を継続して行っており、ユーザは番組Nを途切れることなく視聴することができる。
【0135】
一方、番組Nの再エンコード記録は中断されるため、第1記録部5aにはストリーム直接記録された番組Nの記録ストリームが完了すると、その番組Nはビットレート変換待ち状態で保存される。
【0136】
ビットレート変換待ち状態の番組Nの記録ストリームは、図5と同様の処理により、その後、第1デコード部3aおよび第2デコード部3bのいずれかとエンコード部4とが空いたとき、あらためて再エンコード記録される。
【0137】
すなわちシステム制御部7は、第1デコード部3a、第2デコード部3bおよびエンコード部4の使用状況を監視し、第1デコード部3aおよび第2デコード部3bのいずれかと、エンコード部4とが空いたときに、それらにビットレート変換待ち状態である番組Nの記録ストリームの再エンコードを実行させる。
【0138】
例えば、第1デコード部3aとエンコード部4とが空いたとすると、第1記録部5aは、ビットレート変換待ち状態の番組Nの記録ストリームを記録媒体から読み出してストリーム制御部2に送る。ストリーム制御部2は、番組Nの記録ストリームを第1デコード部3aに送る。第1デコード部3aは、番組Nの記録ストリームをデコードし映像/音声信号に変換し、エンコード部4に送る。エンコード部4は、その映像/音声信号を、ユーザが本来指定していたビットレートあるいは記録モードになるように再エンコードし、第1記録部5aに送る。第1記録部5aは、再エンコード後の番組Nの記録ストリームを記録媒体に記録する。
【0139】
再エンコード後の番組Nの記録ストリームの記録が完了すれば、システム制御部7が、第1記録部5aを制御して、再エンコード前の番組Nの記録ストリームを記録媒体から削除する。その結果、第1記録部5aの記録媒体には、ユーザが本来指定したビットレートあるいは記録モードの番組Nの記録ストリームが保存され、それまでビットレート変換待ち状態であった番組Nの記録ストリームは削除される。
【0140】
このように本実施の形態では、記録再生装置300が2つのデコード部を備えるため、ストリームを記録しながら再生することが可能である。さらにその状態から、より優先度が高いストリームの再エンコード記録(上の例では、1回のみ記録可能媒体への記録)の要求がされた場合、二重記録のうちストリーム直接記録を継続させつつ、再エンコード記録を停止して、デコード部およびエンコード部の空きを作って対応する。
【0141】
よって本実施の形態に係る記録再生装置300によれば、デコード部(デコーダ)およびエンコード部(エンコーダ)を増加させることなく、それらが不足することを回避して、複数のストリームを同時に記録したり、ストリーム入力部に入力されたストリームの記録と、記録ストリームの再生またはデジタル放送の視聴とを、同時に実行することが可能になる。よって低コストで高機能な記録再生装置を得ることができる。
【0142】
またデコード部およびエンコード部の空きを作る際も、ストリーム直接記録は継続するため、記録されたストリームが途中で途切れることも無い。ストリーム直接記録された記録ストリームは、ユーザが指定したビットレートあるいは記録モードではないが、その後にデコード部およびエンコード部の空きができたときに、再エンコードされるため、最終的にはユーザ指定のビットレートあるいは記録モードの記録ストリームを得ることができる。
【0143】
また実施の形態2と同様に、1回のみ記録可能媒体に対する再エンコード記録を、繰り返し記録可能媒体に対する再エンコード記録よりも優先させることで、1回のみ記録可能媒体に指定されたストリームは、ビットレート変換待ち状態にされることなく、即座に書き込みされる。よって光ディスクなど持ち運び可能な1回のみ記録可能媒体に適用すれば、記録後にそれをすぐに取り出して持ち運び、他の機器での再生が可能となるという利点がある。また1回のみ記録可能媒体に二重記録を行わないので、その記録領域を無駄に使用することもない。
【0144】
また本実施の形態において二重記録を行わない記録媒体としては、1回のみ記録可能媒体に限られず、ストリーム直接記録と再エンコード記録を同時に記録できない記録媒体としても、同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0145】
100,200,300 記録再生装置、1 ストリーム入力部、2 ストリーム制御部、3 デコード部、3a 第1デコード部、3b 第2デコード部、4 エンコード部、5 記録部、5a 第1記録部、5b 第2記録部、6 表示部、7 システム制御部、8 メモリ、9 リモコン、10 リモコン受光部、11 制御バス、12 記録先選択部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル信号であるストリームが入力される入力部と、
記録媒体へのストリームの読み書きを行う記録部と、
ストリームをデコードして映像/音声信号に変換するデコード部と、
前記デコード部が得た映像/音声信号をエンコードして所定の仕様のストリームに変換するエンコード部とを備え、
前記記録部は、ストリームを前記記録媒体に直接記録するストリーム直接記録と、ストリームを前記デコード部および前記エンコード部により所定の仕様に変換して記録する再エンコード記録とを実行可能であり、
前記入力部に入力された第1ストリームを前記記録媒体へ記録する際、ストリーム直接記録と再エンコード記録との両方で記録する
ことを特徴とする記録再生装置。
【請求項2】
前記記録媒体に対する前記第1ストリームの再エンコード記録およびストリーム直接記録の両方が完了すると、ストリーム直接記録した前記第1ストリームは前記記録媒体から自動的に削除される
請求項1記載の記録再生装置。
【請求項3】
前記記録媒体に対する前記第1ストリームの再エンコード記録およびストリーム直接記録の実行中に、前記入力部に入力された第2ストリームを前記記録媒体へ記録する場合、所定の判断基準に基づいて前記第1および第2ストリームの優先度を判定し、前記第2ストリームの方が優先度が高ければ、前記第1ストリームのストリーム直接記録を継続しつつ当該第1ストリームの再エンコード記録を停止し、前記第2ストリームの再エンコード記録を開始する
請求項1または請求項2記載の記録再生装置。
【請求項4】
前記第2ストリームの再エンコード記録を開始する際、当該第2ストリームのストリーム直接記録も開始する
請求項3記載の記録再生装置。
【請求項5】
前記第1ストリームの方が優先度が高ければ、前記第1ストリームのストリーム直接記録および再エンコード記録を継続しつつ、前記第2ストリームのストリーム直接記録を開始する
請求項3記載の記録再生装置。
【請求項6】
前記記録媒体に対する前記第1ストリームの再エンコード記録およびストリーム直接記録の実行中に、前記記録媒体に記録されている第2ストリームを再生する場合、前記第1ストリームのストリーム直接記録を継続しつつ当該第1ストリームの再エンコード記録を停止し、前記デコード部を用いて前記第2ストリームの再生を行う
請求項1または請求項2記載の記録再生装置。
【請求項7】
前記記録媒体に対する前記第1ストリームの再エンコード記録およびストリーム直接記録の実行中に、前記入力部に入力された第2ストリームを再生する場合、前記第1ストリームのストリーム直接記録を継続しつつ当該第1ストリームの再エンコード記録を停止し、前記デコード部を用いて前記第2ストリームの再生を行う
請求項1または請求項2記載の記録再生装置。
【請求項8】
前記再エンコード記録の要求があったにも関わらずストリーム直接記録のみが完了して前記記録媒体に記録されたストリームは、前記デコード部および前記エンコード部が使用可能な期間に、前記デコード部および前記エンコード部を用いて自動的に再エンコード記録されて前記記録媒体に記録される
請求項3から請求項7のいずれか記載の記録再生装置。
【請求項9】
前記自動的に再エンコード記録されたストリームの記録が完了すると、もとのストリーム直接記録したストリームは前記記録媒体から自動的に削除される
請求項8記載の記録再生装置。
【請求項10】
前記記録部は、それぞれ異なる記録媒体にストリームの読み書きを行う第1および第2記録部を含み、
ストリームを前記第1および第2記録部のどちらで記録させるか選択する記録先選択部をさらに備える
請求項1または請求項2記載の記録再生装置。
【請求項11】
前記第1記録部が読み書きを行う記録媒体は、繰り返し記録可能媒体であり、
前記第2記録部が読み書きを行う記録媒体は、1回のみ記録可能媒体であり、
前記繰り返し記録可能媒体に対する前記第1ストリームの再エンコード記録およびストリーム直接記録の実行中に、前記入力部に入力された第2ストリームを前記1回のみ記録可能媒体に記録する場合、前記第1ストリームの前記繰り返し記録可能媒体へのストリーム直接記録を継続しつつ当該第1ストリームの再エンコード記録を停止し、前記第2ストリームの前記1回のみ記録可能媒体への再エンコード記録を開始する
請求項10記載の記録再生装置。
【請求項12】
前記第1記録部が読み書きを行う記録媒体は、繰り返し記録可能媒体であり、
前記第2記録部が読み書きを行う記録媒体は、再エンコード記録とストリーム直接記録を同時に行えない記録媒体であり、
前記繰り返し記録可能媒体に対する前記第1ストリームの再エンコード記録およびストリーム直接記録の実行中に、前記入力部に入力された第2ストリームを前記第2記録部の記録媒体に記録する場合、前記第1ストリームの前記繰り返し記録可能媒体へのストリーム直接記録を継続しつつ当該第1ストリームの再エンコード記録を停止し、前記第2ストリームの前記第2記録部の記録媒体への再エンコード記録を開始する
請求項10記載の記録再生装置。
【請求項13】
前記デコード部は、それぞれ異なるストリームをデコードして映像/音声信号に変換する第1および第2デコード部を含む
請求項1から請求項12のいずれか一項記載の記録再生装置。
【請求項14】
前記記録媒体に対する前記第1ストリームの再エンコード記録および前記第1デコード部を用いたストリーム直接記録の実行中に、当該記録媒体に記録中の前記第1ストリームを再生する場合、ストリーム直接記録された前記第1ストリームを前記第2デコード部を用いて再生する
請求項13記載の記録再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−227577(P2012−227577A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−90649(P2011−90649)
【出願日】平成23年4月15日(2011.4.15)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】