説明

記録媒体および画像表示方法

【課題】同一対象を表す2枚の静止画像に基づき作成された動画像が記録された記録媒体を提供する。
【解決手段】第1の静止画像P1から第2の静止画像S1へ徐々に変化していく第1の変化画像M1と、第2の静止画像S1から第3の静止画像S2まで繋がったアニメーションM2と、第3の静止画像S2から第4の静止画像P2へ徐々に変化していく第2の変化画像M3とを含む一連の映像を表す映像データMが記録された記録媒体1において、第1の静止画像P1および第4の静止画像P2は、双方に写っている対象Tが関連している実写画像であり、第2の静止画像S1は、第1の静止画像P1に表されている対象Tに一致させた対象Tが描かれたイラスト画像であり、第3の静止画像S2は、第4の静止画像P2に表されている対象Tに一致させた対象Tが描かれたイラスト画像である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
2枚の静止画像に基づき作成された動画像が記録された記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の写真を逐次表示させる、いわゆるスライドショーあるいはフォトムービーと呼ばれる動画像がある。この動画像が、単に複数の写真を切り換えて表示するものである場合には面白みに欠けるため、これら写真の間を補完するための様々な手法が提案されている(例えば特許文献1)。
【0003】
この特許文献1には、複数の静止画像からその中間の静止画像である差分画像を生成し、これらを用いて動画像を作成することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−259303号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1では、静止画像の切り替わりを示す差分画像を生成することは開示されているものの、出力される動画像の内容については開示されていない。実際に、結婚式の新郎新婦のような特定の対象についてこのような動画像を作成する場合、いかにしてその特定の対象を印象付けるものにするかが重要になる。
【0006】
上記課題に鑑み本発明は、同一対象を表す2枚の静止画像に基づき作成された動画像が記録された記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための、本発明の記録媒体は、
第1の静止画像から第2の静止画像へ徐々に変化していく第1の変化画像と、
上記第2の静止画像から第3の静止画像まで繋がったアニメーションと、
上記第3の静止画像から第4の静止画像へ徐々に変化していく第2の変化画像とを含む一連の映像を表す映像データが記録された記録媒体であって、
上記第1の静止画像および第4の静止画像は、双方に写っている対象が関連している実写画像であり、
上記第2の静止画像は、上記第1の静止画像に表されている対象と姿勢、位置、および大きさを一致させた対象が描かれたイラスト画像であり、
上記第3の静止画像は、上記第4の静止画像に表されている対象と姿勢、位置、および大きさを一致させた対象が描かれたイラスト画像であることを特徴とする。
【0008】
ここにいう関連しているとは、例えばリンゴとミカンのように果物として関連していることであってもよいし、赤いリンゴと青いリンゴ、あるいは小さなリンゴと大きなリンゴのようにリンゴとして関連していることであってもよい。また、一歳児のA君と三歳児のA君のように同一人物として関連していることであってもよい。また、ここにいう一致とは、完全一致あるいはほぼ一致が含まれ、見た者に違和感を感じさせない程度の同一性があればよい。
【0009】
本発明の記録媒体によれば、記録された映像データにより写真の被写体が動き出して別の写真の被写体として納まる映像を再生することができ、観る者を楽しませることができる。
【0010】
ここで、上記記録媒体において、
上記第1の変化画像が、上記第1の静止画像の画素値が上記第2の静止画像の画素値に所定の時間を費やして変更される画像であり、
上記第2の変化画像が、上記第3の静止画像の画素値が上記第4の静止画像の画素値に所定の時間を費やして変更される画像であってもよい。
【0011】
また、上記記憶媒体において、
上記第1の変化画像が、上記第1の静止画像と上記第2の静止画像を重ね合わせた状態で、画像を見る者側の静止画像の透明度を徐々に変化させたときの、重ね合わせた静止画像の見え方の変化を示すものであり、
上記第2の変化画像が、上記第3の静止画像と上記第4の静止画像を重ね合わせた状態で、画像を見る者側の静止画像の透明度を徐々に変化させたときの、重ね合わせた静止画像の見え方の変化を示すものであってもよい。
【0012】
ここで、画像を見る者側の静止画像とは、簡単に言えば手前側に位置する静止画像である。
【0013】
ここで、上記第1の変化画像は、上記第1の静止画像に上記第2の静止画像を重ねた状態で、その第2の静止画像の透明度を100%から0%まで徐々に低下させたときの見え方の変化を示すものであってもよいし、反対に、上記第2の静止画像に上記第1の静止画像を重ねた状態で、その第1の静止画像の透明度を0%から100%まで徐々に増加させたときの見え方の変化を示すものであってもよい。
【0014】
また、上記第2の変化画像は、上記第3の静止画像に上記第4の静止画像を重ねた状態で、その第4の静止画像の透明度を100%から0%まで徐々に低下させたときの見え方の変化を示すものであってもよいし、反対に、上記第4の静止画像に上記第3の静止画像を重ねた状態で、その第3の静止画像の透明度を0%から100%まで徐々に増加させたときの見え方の変化を示すものであってもよい。
【0015】
この記録媒体によれば、より違和感のない映像を再生して、観る者を楽しませることができる。
【0016】
さらに、上記記憶媒体において、
上記アニメーションが、上記第2の静止画像と上記第3の静止画像を結びつけるストーリー性をもつものであってもよい。
【0017】
この記録媒体によれば、ストーリー性のある映像を再生して、観る者を楽しませることができる。
【0018】
加えて、上記記憶媒体において、
上記第1の静止画像が、上記対象として人物を写したものであり、
上記第4の静止画像が、上記人物と同一人物を異なる時期に写したものであってもよい。
【0019】
この記録媒体によれば、同一人物の写真を基にしたストーリー性のある映像を再生して、観る者を楽しませることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、同一対象を表す2枚の静止画像に基づき作成された動画像が記録された記録媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の記録媒体の実施形態であるCD−ROMを示す図である。
【図2】メモリアル映像の基になる第1の写真および第2の写真を示す図である。
【図3】第1のイラストおよび第2のイラストを示す図である。
【図4】(a)は、第1の動画像の最初のフレームを示す図であり、(b)は、途中のフレームを示す図であり、(c)は、最後のフレームを示す図である。
【図5】図4に示すフレームの作成方法の詳細を示す図である。
【図6】図4に示すフレームの、図5とは異なる作成方法を示す図である。
【図7】第2の動画像の最初の場面から4つ目の場面までを示す図である。
【図8】第2の動画像の5つ目の場面から8つ目の場面までを示す図である。
【図9】第2の動画像の9つ目の場面から最後の場面までを示す図である。
【図10】(a)は、第3の動画像の最初のフレームを示す図であり、(b)は、途中のフレームを示す図であり、(c)は、最後のフレームを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を用いて本発明の記録媒体について説明する。
【0023】
図1は、本発明の記録媒体の実施形態であるCD−ROMを示す図である。
【0024】
このCD−ROM1は、映像データDが記録されたものである。この映像データDは、MPEG規格に準拠したものであり、コンピュータ等で再生可能な16秒間のメモリアル映像Mを表すものである。メモリアル映像Mは、フレームレート30fpsのもの、すなわち1/30秒毎に新たなフレーム(画面を表す画像)が表示されるものである。なお、フレームレートは30fpsに限らず24fps等であってもよい。
【0025】
本実施形態では記録媒体としてCD−ROMを例に説明するが、他の光学式記録媒体や、磁気式記録媒体、および半導体を用いた記録媒体であってもよい。また、映像データは、MPEG規格以外の、例えばWMV(Windows(登録商標) Media Video)規格のように、他の規格に準拠したものであってもよい。
【0026】
本実施形態のCD−ROM1に記録されている映像データにより表されるメモリアル映像Mは、同一人物を被写体とした第1の写真P1(本発明の第1の静止画像の一例に相当)および第2の写真P2(本発明の第4の静止画像の一例に相当)を基に作成されたものである。具体的にはまず、第1の写真P1から第1のイラストS1(本発明の第2の静止画像の一例に相当)を作成し、第2の写真P2から第2のイラストS2(本発明の第3の静止画像の一例に相当)を作成する。次に、第1の写真P1から第1のイラストS1に変化する第1の動画像M1(本発明の第1の変化画像の一例に相当)、第1のイラストS1から第2のイラストS2に繋がる第2の動画像M2(本発明のアニメーションの一例に相当)、第2のイラストS2から第2の写真P2に変化する第3の動画像M3(本発明の第2の変化画像の一例に相当)を作成する。メモリアル映像Mは、これら3つの動画像M1〜M3が順に表示されるものであり、本発明の映像データの一例に相当する。以下、第1の写真P1、第2の写真P2、第1のイラストS1、第2のイラストS2、および3つの動画像M1〜M3について順に説明する。
【0027】
図2は、メモリアル映像の基になる第1の写真P1および第2の写真P2を示す図である。
【0028】
図2(a)には、人物Tが写っている第1の写真P1が示されている。この第1の写真P1は、人物Tが生後8ヶ月のときに撮影されたものである。また、図2(b)には、(a)と同じ人物Tが写っている第2の写真P2が示されている。この第2の写真P2は、同図(a)に示す人物と同一人物である人物Tが1歳3ヶ月のときに撮影されたものである。すなわち、これら2枚の写真P1,P2は同じ対象(ここでは人物T)を被写体として、環境および時期を異ならせて撮影されたものである。本実施形態の説明に用いるメモリアル映像は、この人物Tの記念映像であり、以下、人物Tと称するときの人物は、同図(a)に示す人物と同一人物である。なお、本実施形態の第1の写真P1および第2の写真P2には、フィルムに記録された画像を印画紙に印刷したものを用いたが、例えばデジタルカメラで撮影して普通紙に印刷されたもののように、他の撮影手段および出力手段によるものであってもよい。また、動画像の1フレームを表す画像データを用いてもよい。
【0029】
図3は、第1のイラストS1および第2のイラストS2を示す図である。
【0030】
図3(a)には、第1の写真P1と第1のイラストS1が並んで示されている。この第1のイラストS1は、第1の写真P1と同じ構図で人物Tを描いたものである。すなわち、この第1のイラストS1に描かれた人物Tは、第1の写真P1に表されている人物Tと姿勢、位置、および大きさを一致させたものである。また、図3(b)には、第2の写真P2と第2のイラストS2が並んで示されている。この第2のイラストS2は、第2の写真P2と同じ構図で人物Tを描いたものである。すなわち、この第2のイラストS2に描かれた人物Tは、第2の写真P2に表されている人物Tと姿勢、位置、および大きさを一致させたものである。この人物T以外の背景や人物については、第2の動画像M2の内容に合うようにぼかしたりしてもよい。なお、本実施形態の第1のイラストS1および第2のイラストS2は、紙に鉛筆で描かれたものであるが、例えばペンや筆といった他の筆記具を用いて描かれたものや、プリンタで出力されたものであってもよく、モノクロに限らずカラーであってもよい。
【0031】
上述したように、メモリアル映像Mの第1の動画像M1は、第1の写真P1から第1のイラストS1に変化するものである。以下、この第1の動画像M1の詳細について説明する。
【0032】
図4(a)は、第1の動画像M1の最初のフレームを示す図であり、(b)は、途中のフレームを示す図であり、(c)は、最後のフレームを示す図である。この図4(a)から(c)にかけて、第1の写真P1が第1のイラストS1に変化していく様子が示されている。なお、この第1の動画像M1は、上記変化に所定の時間(本実施形態では3秒間)を費やすものである。
【0033】
通常、ストーリー性のある動画像(ここではメモリアル映像M)を観る場合、そのストーリーの中心的役割(ここでは記念となる主体である人物T)を果たすもの(多くは画面の中央にあるもの)に注目する。この中心的役割を果たすもの以外の部分が変化した場合、その変化が緩やかであれば観る者の注意をあまり惹くことはない。
【0034】
上記第1の動画像M1を観る場合、最初に表示される第1の写真P1に写っている人物Tに注目する。上述したように、第1のイラストS1に描かれた人物Tと、第1の写真P1に表されている人物Tとは、その姿勢、位置、および大きさが一致している。また、第1の動画像M1は周囲が緩やかに変化するものである。したがって、第1の動画像M1を観る者を人物Tに注目させておき、観る者に違和感を感じさせないようにして後述する第2の動画像M2につなげることができる。
【0035】
上記説明したように、本実施形態の第1の動画像M1は、第1の写真P1から第1のイラストS1に3秒間で変化するものである。第1の写真P1と第1のイラストS1との違いがあまりない場合には、変化の際に違和感が小さいため、より短い時間(例えば1秒間)で変化するようにしてもよい。また、上記違いが大きい場合には、違和感が大きくなるため、より長い時間(例えば5秒間)を費すことによって、変化を緩やかにして違和感を軽減することができる。すなわち、第1の写真P1と第1のイラストS1との違いに応じて変化に費やす時間を調整することで、違和感を軽減することができる。ただし、変化に費やす時間が、あまり短すぎると、動画像全体(ここではメモリアル映像M全体)の連続性が途切れてしまうため、その時間は0.5秒以上であることが好ましく、反対に、あまり時間が長すぎると、かえって不自然な動画像になるため、その時間は5秒以内であることが好ましい。
【0036】
上記のように静止画像を用いて動画像を作成するものとして、コンピュータ上で動作する動画編集用のアプリケーションが利用されている。こうしたアプリケーションには、複数の画像を重ね合わせ、これらの画像のパラメータを調整して動画像のフレームを生成するものがある。以下、第1の画像P1と第1のイラストS1を重ね合わせて第1の動画像M1を作成する方法の一例について説明する。
【0037】
図5は、図4に示すフレームの作成方法の詳細を示す図である。
【0038】
この図5(a)には、第1の写真P1を観る者側(図中の上側、以下前面側と称する。)に第1のイラストS1が重ねられた様子が示されている。また、第1のイラストS1においては、最初は薄く透けた画像だったものが、時間の経過と共に(図中では右方向に進むに従って)徐々にはっきりとした画像になっていく様子が示されている。図5に示す第1のイラストS1は、いわゆる透明度と呼ばれるパラメータを調整したものである。ここで、透明度とは、観る者側とは反対側(以下、背面側と称する。)にある画像が透けて見える割合を示すパラメータであり、0〜100の範囲で設定できる。
【0039】
第1のイラストS1において、この透明度をNとした場合、最終的に出力されるフレームを構成する各画素値は次のようにして求められる。すなわち、前面側にある第1のイラストS1の画素値に(100−N)/100を乗じた値と、背面側にある第1の写真P1の画素値にN/100を乗じた値とを合計した値が実際に表示される画素値となる。図5(b)には、図5(a)に示された第1の写真P1および第1のイラストS1によって作成された動画像のフレームが示されている。
【0040】
例えば、第1のイラストS1の透明度を100に設定すると、第1のイラストS1の画素値は0(完全に透明)になり、背面側にある第1の写真P1がそのままフレームになる(図4(a)参照)。
【0041】
第1のイラストS1の透明度を75に設定すると、第1のイラストS1の画素値に25/100を乗じた値と、第1の写真P1の画素値に75/100を乗じた値との合計値を計算して、実際のフレームが生成される(図5(a)および(b)の左端の画像参照)。
【0042】
第1のイラストS1の透明度を50に設定すると、第1のイラストS1の画素値に50/100を乗じた値と、第1の写真P1の画素値に50/100を乗じた値との合計値を計算して、実際のフレームが生成される(図4(b)、および図5(a)および(b)の中央の画像参照)。
【0043】
第1のイラストS1の透明度を25に設定すると、第1のイラストS1の画素値に75/100を乗じた値と、第1の写真P1の画素値に25/100を乗じた値との合計値を計算して、実際のフレームが生成される(図5(a)および(b)の右端の画像参照)。
【0044】
第1のイラストS1の透明度を0に設定すると、背面側にある第1の写真P1の画素値は0になり、第1のイラストS1がそのままフレームになる(図4(c)参照)。
【0045】
上記のような方法を用いると、第1の写真P1から第1のイラストS1に違和感無く変化する第1の動画像M1を作成することができる。なお、図5(a)に示す、第1の写真P1と第1のイラストS1との重ね方を変えても、第1の動画像M1を作成することができる。
【0046】
図6は、図4に示すフレームの、図5とは異なる作成方法を示す図である。
【0047】
図6(a)には、第1の写真P1と第1のイラストS1とが、図5(a)とは逆に重ねられている様子が示されている。具体的には、第1の写真P1が前面側に、第1のイラストS1が背面側に配置されている。この場合、前面側にある第1の写真P1の透明度を0から100に変化させていくことによって、第1の動画像M1の各フレーム(図6(b)参照)を作成することができる。
【0048】
次に、メモリアル映像Mの第2の動画像M2について説明する。
【0049】
第2の動画像M2は、第1のイラストS1から開始して第2のイラストS2で終了する内容のアニメーションである。なお、この第2の動画像M2は、10秒間のアニメーションである。以下、このアニメーションの流れについて、図7から図9を用いて12場面に分けて説明する。
【0050】
図7は、第2の動画像M2の最初の場面から4つ目の場面までを示す図である。
【0051】
まず図7(a)には、第1のイラストS1が示されている。この第1のイラストS1が、第2の動画像M2の最初の場面である。次の(b)には、(a)で人物Tが持っていたリンゴAを落してしまう場面S11が示されている。続く(c)には、(b)で落したリンゴAが床を転がっていく場面S12が示されている。最後の(d)には、(c)で転がっていくリンゴAを人物Tが追いかけていく場面S13が示されている。
【0052】
図8は、第2の動画像M2の5つ目の場面から8つ目の場面までを示す図である。
【0053】
まず図8(a)には、図7(d)で転がっていたリンゴAがようやく止まる場面S14が示されている。次の(b)には、そのリンゴAを追いかけていた人物TがリンゴAに追いついて、リンゴAを見つめる場面S15が示されている。このとき、後の場面で登場する三輪車Cの一部が示されている。続く(c)には、(b)のリンゴAが画面に大写しになっている場面S16が示されている。この場面S16では、リンゴAに蝶Bがとまっている様子が示されている。最後の(d)には、人物Tのいる部屋全体が写っている場面S17が示されている。この場面S17では、人物Tがこの蝶Bに気付き、三輪車Cに静かに近づいていく様子が示されている。
【0054】
図9は、第2の動画像M2の9つ目の場面から最後の場面までを示す図である。
【0055】
まず図9(a)には、図8(d)に登場した三輪車Cに人物Tがのる場面S18が示されている。次の(b)には、三輪車Cに乗った人物TがリンゴAを見つめる場面S19が示されている。この図9(a)から(b)にかけて、イラストのアングルが三輪車Cの正面に変化している。続く(c)には、人物Tがこちら側に気付く場面S20が示されている。最後の(d)には、第2のイラストS2が示されている。この第2のイラストS2が、第2の動画像M2の最後の場面である。この図9(c)から(d)にかけて、蝶Bがひらひらと飛ぶ様子が示されている。
【0056】
以上説明した第2の動画像M2は、第1のイラストS1から第2のイラストS2まで内容が繋がっており、観る者に違和感を感じさせないようにして後述する第3の動画像M3に繋ぐことができる。すなわち、第2の動画像M2は、第1のイラストS1と第2のイラストS2を結びつけるストーリー性をもつものである。この動画のように、第1のイラストS1と第2のイラストS1との内容が繋がっているものである限り、様々なストーリーを構成することができる。また、被写体の年齢等によって予めストーリーを練っておき、それをアレンジすることで作成に要する労力を軽減することができる。なお、このストーリーに合うように、第1のイラストS1や第2のイラストS2の背景をぼかしたりしてもよい。また、図7に示すリンゴAや図9に示す三輪車Cのように、一緒に写っている人や物を登場させたストーリーを構成してもよい。
【0057】
次に、第3の動画像M3について先に説明しておく。メモリアル映像Mの第3の動画像M3は、第2の写真P2と第2のイラストS2を用いて、第1の動画像M1の作成方法と同様の方法により作成することができる。
【0058】
図10(a)は、第3の動画像M3の最初のフレームを示す図であり、(b)は、途中のフレームを示す図であり、(c)は、最後のフレームを示す図である。この図10(a)から(c)にかけて、第2のイラストS2が第2の写真P2に徐々に変化していく様子が示されている。なお、この第3の動画像M3は、上記変化に所定の時間(本実施形態では3秒間)を費やすものである。
【0059】
この第3の動画像M3は、第1の動画像M1と同様の方法で、第2のイラストS2および第2の写真P2を用いて作成されたものである。第1の動画像M1と同様、この第3の動画像M3によれば、図10に示すように画面を徐々に第2の写真P2に変化させることで、観る者に違和感を感じさせないようにすることができる。
【0060】
第1の写真P1と第2の写真P2を切り換えただけでは、動きがなく、面白みに欠ける。また、メモリアル映像M全体の連続性が途切れてしまう。本実施形態のメモリアル映像Mではアニメーションを用いているため、動画像による記録が残されていなくても、人物Tに様々な動作をさせることができる。このため、観る者がより楽しめる連続性のある映像を提供することができる。さらに、これらの変化を通して観る者が違和感を感じさせないようにすることができる。
【0061】
なお、本実施形態では人物Tを対象としたメモリアル映像Mについて説明したが、例えば長年使用した思い入れのある自動車のように、人以外の物であってもよい。また、第1の写真P1の被写体と第2の写真P2の被写体の外観があまり異ならないことが好ましい。また、例えば1歳から3歳までのメモリアル映像と、中学生から高校生までのメモリアル映像を組み合わせるといったように、複数のメモリアル映像を用いて映像を作成してもよい。
【0062】
本実施形態のCD−ROM1によれば、上記説明した映像データを記録しておき、これを再生することによって、観る者を楽しませることができる。
【0063】
以下、本発明に関することについて付記する。
【0064】
(付記1)
双方に写っている対象が関連している第1の実写画像と第2の実写画像のうちの一つである第1の実写画像から該第1の実写画像に表されている対象と姿勢、位置、および大きさを一致させた対象が描かれたイラスト画像である第1のイラスト画像へ徐々に変化していく第1の変化画像を表示する第1ステップと、
前記第1のイラスト画像から、前記第2の実写画像に表されている対象と姿勢、位置、および大きさを一致させた対象が描かれたイラスト画像である第2のイラスト画像まで繋がったアニメーションを表示する第2ステップと、
前記第2のイラスト画像から、前記第2の実写画像へ徐々に変化していく第2の変化画像を表示する第3ステップとを有する画像表示方法。
【0065】
(付記2)
前記第1のステップは、前記第1の実写画像の画素値が前記第1のイラスト画像の画素値に所定の時間を費やして変更される前記第1の変化画像を表示するステップであり、
前記第3のステップは、前記第2のイラスト画像の画素値が前記第2の実写画像の画素値に所定の時間を費やして変更される前記第2の変化画像を表示するステップであることを特徴とする付記1記載の画像表示方法。
【0066】
(付記3)
前記第1のステップは、前記第1の実写画像と前記第1のイラスト画像を重ね合わせた状態で、前記第1の実写画像と前記第1のイラスト画像のうちの見る者側にある画像の透明度を徐々に変化させたときの、重ね合わせた画像の見え方の変化を示す前記第1の変化画像を表示するステップであり、
前記第3のステップは、前記第2の実写画像と前記第2のイラスト画像を重ね合わせた状態で、前記第2の実写画像と前記第2のイラスト画像のうちの見る者側にある画像の透明度を徐々に変化させたときの、重ね合わせた画像の見え方の変化を示す前記第2の変化画像を表示するステップであることを特徴とする付記1又は2記載の画像表示方法。
【0067】
(付記4)
前記第2のステップは、前記第1のイラスト画像と前記第2のイラスト画像を結びつけるストーリー性をもつ前記アニメーションを表示するステップであることを特徴とする付記1から3のうちいずれかの付記記載の画像表示方法。
【0068】
(付記5)
前記第1の実写画像は、前記対象として人物を写したものであり、
前記第2の実写画像は、前記人物と同一人物を前記第1の実写画像とは異なる時期に写したものであることを特徴とする付記1から4のうちいずれかの付記記載の画像表示方法。
【符号の説明】
【0069】
1 CD−ROM
D 映像データ
M メモリアル映像
P1 第1の写真
P2 第2の写真
S1 第1のイラスト
S2 第2のイラスト
M1 第1の動画像
M2 第2の動画像
M3 第3の動画像
T 人物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の静止画像から第2の静止画像へ徐々に変化していく第1の変化画像と、
前記第2の静止画像から第3の静止画像まで繋がったアニメーションと、
前記第3の静止画像から第4の静止画像へ徐々に変化していく第2の変化画像とを含む一連の映像を表す映像データが記録された記録媒体であって、
前記第1の静止画像および第4の静止画像は、双方に写っている対象が関連している実写画像であり、
前記第2の静止画像は、前記第1の静止画像に表されている対象と姿勢、位置、および大きさを一致させた対象が描かれたイラスト画像であり、
前記第3の静止画像は、前記第4の静止画像に表されている対象と姿勢、位置、および大きさを一致させた対象が描かれたイラスト画像であることを特徴とする記録媒体。
【請求項2】
前記第1の変化画像は、前記第1の静止画像の画素値が前記第2の静止画像の画素値に所定の時間を費やして変更される画像であり、
前記第2の変化画像は、前記第3の静止画像の画素値が前記第4の静止画像の画素値に所定の時間を費やして変更される画像であることを特徴とする請求項1記載の記録媒体。
【請求項3】
前記第1の変化画像は、前記第1の静止画像と前記第2の静止画像を重ね合わせた状態で、画像を見る者側の静止画像の透明度を徐々に変化させたときの、重ね合わせた静止画像の見え方の変化を示すものであり、
前記第2の変化画像は、前記第3の静止画像と前記第4の静止画像を重ね合わせた状態で、画像を見る者側の静止画像の透明度を徐々に変化させたときの、重ね合わせた静止画像の見え方の変化を示すものであることを特徴とする請求項1又は2記載の記録媒体。
【請求項4】
前記アニメーションは、前記第2の静止画像と前記第3の静止画像を結びつけるストーリー性をもつものであることを特徴とする請求項1から3のうちいずれか1項記載の記録媒体。
【請求項5】
前記第1の静止画像は、前記対象として人物を写したものであり、
前記第4の静止画像は、前記人物と同一人物を前記第1の静止画像とは異なる時期に写したものであることを特徴とする請求項1から4のうちいずれか1項記載の記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−204214(P2011−204214A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−101311(P2010−101311)
【出願日】平成22年4月26日(2010.4.26)
【出願変更の表示】意願2010−1958(D2010−1958)の変更
【原出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(510083681)
【Fターム(参考)】