説明

記録媒体からデータを再生する装置

【課題】収録されたコンテンツに適合する再生速度を記録媒体から把握して、その速度で記録媒体を再生する方法を提供する。
【解決手段】本発明は、再生専用ブルーレイディスク(BD−ROM:Blu−ray Disc−ROM)のような高密度光ディスクのデータ領域に記録されたA/Vストリームのようなメインデータに適切な速度で記録媒体を再生することができるようにする方法に係り、本方法では、記録媒体にビデオデータを記録すると共に、前記ビデオデータの再生速度情報を、前記ビデオデータの記録領域前にあるPIC領域内のディスク情報テーブルに記録しておく。本方法は、デジタル放送ストリームの標準伝送速度(約36Mbps)以上の伝送速度を有する高画質のビデオデータを収録している高密度記録媒体に効果的に適用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再生専用ブルーレイディスク(BD−ROM:Blu−ray Disc−ROM)のような高密度光ディスクのデータ領域に記録されたA/Vストリームのようなメインデータをそれに合う速度で読み出すことができるようにする情報の管理方法とそれによる高密度光ディスクに関する。
【0002】
また、本発明は記録媒体に収録されたコンテンツに適切な再生速度をその記録媒体から把握して該コンテンツを再生する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
最近、高画質のビデオデータと高音質のオーディオデータを長時間記録することができる新しい高密度光ディスクである再記録可能なブルーレイディスク(BD−RE:Blu−rayDisc−Rewritable)に対する規格化作業が急速に進展している。BD−REの規格が確定されれば、関連製品が開発され市場に発表されて商用化されることが期待される。
【0004】
BD−REは、図1に示したように、ディスクの内周側にクランピング領域、BCA(Burst Cutting Area)領域、トランジション領域、リードイン領域が上記順番どおり存在し、ディスクの中心と外周には、データ領域とリードアウト領域が存在するディスク構造を有する。
【0005】
リードイン領域には、第1ガード(Guard 1)領域、PIC(Permanent Information & Control data)領域、第2ガード(Guard 2)領域、情報2(Info 2)領域、OPC(Optimum Power Calibration)領域などが区分して割当てられている。第1ガード領域とPIC領域は、事前にデータがあらかじめ記録されている領域(Pre−recorded area)であり、他のリードイン領域、データ領域、リードアウト領域は、新しいデータを再記録できる領域である。
【0006】
PIC領域は、永久的に保存されなければならないディスクの主要一般情報が記録される領域であって、この情報はトラックにウォーブル形状で、高周波変調(HFM:High Frequency Modulated)方式によりエンコーディングされて記録される。ウォーブル形状へのデータエンコーディングは、図2に示したように、バイフェーズ変調(Bi−Phase Modulated)方式により変調して記録される。
【0007】
図2によれば、HFMグルーブが、高帯域幅信号で半径方向に変調され、十分な容量とデータ速度を備えた複製された情報のためのチャネルを生成する。
【0008】
この変調方法では、値0のビットがビットセルの開始でトランジッション(遷移)するビットを表し、値1のビットがビットセルの開始と中間においてトランジッションするビットを表す。変調されたビットは図2に示されたように平均中心線からのグルーブの偏倚によってディスクに記録される。各ビットセルの長さは36Tである。ここでTは再記録可能なデータ領域におけるチャネルビットの長さに対応している。
【0009】
一方、BD−REの開発とともに、それに対応する再生専用ディスクである再生専用ブルーレイ(Blu−ray)ディスク(‘BD−ROM’と称する)も現在関連企業間で論議されている。このディスクは図3に示したように、インナー領域、クランピング領域、トランジション領域、情報領域、リム領域で構成されている。
【0010】
情報領域内のデータゾーンには、BD−REに比べて高画質のメインA/Vデータを記録することができる。
【0011】
例えば、BD−REの場合には、HD−TV放送に該当する約36MbpsのA/Vストリームを主に記録する一方、BD−ROMの場合は、製作時に40Mbps以上の高画質の映画のようなコンテンツのA/Vストリームを記録することができる。
【0012】
したがって、BD−ROMに記録された高画質のA/Vストリームの伝送レートを知らずに、HD−TV放送ストリームの伝送レートである約36Mbpsでデータを読み出して再生すると、正常な映像出力をすることができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、前記のような問題を解決するために創作されたものであって、再生専用記録媒体に収録されたリアルタイム動画像コンテンツに適合する再生速度情報を記録しておく記録媒体の再生速度情報管理方法を提供することが目的である。
【0014】
本発明は、データ領域に収録されたリアルタイム動画像コンテンツに適合する再生速度情報を含んでいる記録媒体を提供することが他の目的である。
【0015】
さらに、本発明は、収録されたコンテンツに適合する再生速度を記録媒体から把握して、その速度で記録媒体を再生する方法を提供することが他の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記のような目的を達成する本発明による記録媒体への再生速度情報記録方法は、記録媒体にビデオデータを記録し、そのビデオデータの再生速度情報を、ビデオデータが記録されるデータ領域の前に記録しておくことが特徴である。
【0017】
また、本発明による記録媒体は、ビデオデータと、そのビデオデータが記録された領域の前に記録された当該ビデオデータの再生速度情報を含むことが特徴である。
【0018】
さらに、本発明による記録媒体の再生方法は、ビデオデータが収録された記録媒体を駆動させる1段階と、記録媒体に記録されている、当該ビデオデータに対する再生速度情報を検出する2段階と、その検出された再生速度情報で指定した速度またはそれ以上の速度で記録媒体を駆動してビデオデータを読み出す3段階とを含むことが特徴である。
【発明の効果】
【0019】
前記のような特徴を有する記録媒体の再生速度情報管理方法及び速度情報による再生方法によれば、記録媒体に収録されたデジタル放送ストリームより速い伝送速度を要する高画質である多様なコンテンツを正常に再生してユーザーが視聴することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】再記録可能なブルーレイディスク(BD−RE)に対するディスク構造を示したものである。
【図2】再記録可能なブルーレイディスクのPIC領域に形成された高周波変調(HFM)グルーブを示したものである。
【図3】再生専用ブルーレイディスク(BD−ROM)に割り当てられている各領域を示したものである。
【図4】本発明によって、収録されたコンテンツに対する再生速度情報がPIC領域に記録されている例を示したものである。
【図5】本発明によって、PIC領域内のディスク情報テーブルに再生速度情報が記録される例を示したものである。
【図6】本発明が適用された高密度ブルーレイディスクを再生することができる光ディスク装置の構成を概略的に示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明による記録媒体の再生速度情報管理方法及びその再生速度による記録媒体再生方法に対する望ましい実施形態に対して、添付した図面を参照しながら詳細に説明する。
【0022】
本発明による再生専用ブルーレイディスク(BD−ROM)は、図3を参照しながら前述したように、インナー領域、クランピング領域、トランジション領域、情報領域、リム領域を備えたディスク構造を有する。
【0023】
情報領域内に割り当てられているPIC領域は、ディスク情報DIを含んでいる。このようなデータ記録はBD−ROMの製作時にディスク表面にプレピットを形成することによってなされる。
【0024】
情報領域内に割り当てられたデータゾーンには、映画等のようなリアルタイムの動画像コンテンツが記録される。このようなコンテンツは伝送速度(transfer rate)が40Mbps以上であることを必要とする高画質映像である。
【0025】
一方、PIC領域に含めて記録されるディスク情報(DI)には、図4に示したように、ディスク情報IDのような一般情報以外に、データゾーンに記録されたメインデータに適切な再生速度(伝送速度)情報が含まれて記録される。
【0026】
例えば、図5にディスク情報(DI)を示す。ディスク情報は、0番目のバイトの文字“DI”で表されるディスク情報識別子、2番目のバイトのDIユニットのコンテンツを識別する“DIフォーマット”、4番目のバイトに各DIブロック(1≦N≦32)におけるDIユニットNの数を特定する“各ブロックのDIフレームの数”、5番目のバイトのDIブロック内のシーケンシャルなDIユニットの数を指定する“DIユニットのシーケンス数”、6番目のバイトの実際のDIユニットで使用されているバイトの数を表している“本DIユニットで使用されているDIバイトの数”、8番目から10番目のバイトの文字“BDO”を表わしている“ディスクタイプ識別子”、11番目のバイトのディスクのサイズとバージョン数を指定する“ディスクサイズ/バージョン”、12番目のバイトの記録層の数と記録層のタイプとを指定する“ディスク構造”、13番目のバイトのメインデータチャネルビット長を指定する“チャネルビット長”、16番目のバイトのこのディスクのBCAコードの存在を示す“BCA記述子”、17番目のバイトの適用に必要な最大伝送速度をMbit/sで表す“適用の最大伝送速度”、関連する層のデータゾーンの最初と最後のアドレスユニット番号を指定する“データゾーン割当て”が含まれる。上記に加えて本発明では再生速度情報が、例えば4バイトのサイズを有しており、図5に示したように、ディスク情報ID、ディスク情報フォーマット、ディスクサイズ/バージョンなどが記録されるディスク情報DIテーブル内に確保されている未使用領域のうち、例えば32ないし35番目位置に記録される。または、再生速度情報は、1バイトのmaximum transfer rate of application(最大適用伝送速度)フィールドに記録して置くこともできる。
【0027】
BD−ROMの再生速度情報を記録する時は、放送ストリームの伝送速度(=36Mbps)(以下この伝送速度を1Xとする)に対する比として記録することもできる。例えば、放送ストリームの伝送速度に対する再生速度がk速度(1Xのk倍、kは1以上である整数)に該当して、BD−ROMに収録されたコンテンツの伝送速度が40Mbps以上ならば、再生速度情報は40/36×k(≒1.12k)の値より大きい値が記録される。もし、ビデオコンテンツの伝送速度が40Mbpsならば再生速度情報として1.12kの値が記録される。
【0028】
図6はディスク記録媒体を再生する光ディスク装置を概括的に示したものであって、光ディスクの記録信号を読みだす光ピックアップ11、信号処理及びサーボ制御を遂行するVDP(Video Disc Play)システム12、そしてD/A変換器13などで構成されるが、記録媒体に収録されたコンテンツの再生速度に適切な速度を把握して記録媒体を再生する。
【0029】
このために、装置内に、収録されたコンテンツの再生速度情報を有するBD−ROMが装着されると、VDPシステム12は、まず、装着されたBD−ROMを回転駆動させて、光ピックアップ11を制御し、BD−ROMのPIC領域を探索してそこに記録されているディスク情報を読みだす。この時、高密度記録媒体に対して設定された基本速度(=1X)でBD−ROMを再生するか、図6の再生装置が、PIC領域から読み出すことができる最大速度で再生する。もしも、PIC領域が暗号化されていると判断されると、装着されたBD−ROMを必ずその領域に対する最大速度で再生する。
【0030】
そして、読み取られたディスク情報DIで17番目のバイトに記録された1バイト情報、または32ないし35番目のバイトに記録されている4バイトの再生速度情報を検出する。
【0031】
もし、この伝送速度情報が40Mbpsに該当する値であれば、すなわち、前の例で1.12kならば、VDPシステム12は装着されたBD−ROMを1Xの1.12k倍、すなわち、1.12kXの速度またはそれ以上、例えば1.5kXで駆動させて、光ピックアップ11をデータゾーンへ移動させてそこに記録されている高画質の動画像データ、例えば、ビデオ及び/またはオーディオデータを読み、読み取られたデータに対してデコーディングして出力する。40Mbpsを示す伝送速度情報は“適用の最大伝送速度”フィールド内に1バイト長として記録されても良い。もし、図6の再生装置が駆動できる再生可能速度がいくつかのレベルに設定されている場合、例えば、N1X、N2X、N3X、・・・、NIX(NIは整数)に決められていて、確認された伝送速度に該当する速度と一致する再生可能速度がない時は、再生速度情報の速度に最も近接し、それより速い再生可能速度を選定してその速度でBD−ROMに収録されたコンテンツを再生する。
【0032】
例えば、前の例で、記録された1.12kの値がNI-2より大きくてNI-1より小さければ前記再生装置は装着されたBD−ROMをNI-1Xの速度で再生する。
【0033】
以上、前述した本発明の望ましい実施形態は、例示の目的のために開示されたものであって、当業者ならば、添付された特許請求範囲に開示された本発明の技術的思想とその技術的範囲内で、また他の多様な実施形態を改良、変更、代替または付加などが可能であることである。
【符号の説明】
【0034】
11…光ピックアップ、12…VDPシステム、13…D/A変換器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前記記録媒体の特定の領域から制御情報を読み出すように構成された読出装置と、
再生速度情報および/または最大伝送レート情報に応答して、メインデータ領域に記録されたメインデータを再生するために駆動およびサーボ制御に関して前記読出装置と前記記録媒体を制御するように構成されたコントローラと
を備え、
前記制御情報は前記再生速度情報、および適用に必要な最大伝送レートを指定する前記最大伝送レート情報を有し、前記再生速度情報は前記最大伝送レートとは区別され、前記再生速度は前記メインデータを適切に再生するためのものであることを特徴とする記録媒体からデータを再生する装置。
【請求項2】
前記読出装置から読み取られた制御情報は、各媒体のサイズおよびバージョン番号を指定する記録媒体サイズおよびバージョン情報と、記録層の数および記録層のタイプを指定する記録媒体の構造情報と、前記記録媒体の記録密度に関連づけられた記録密度情報を含むことを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記コントローラは、基本速度より速い速度を表す前記再生速度情報に応答して前記メインデータの再生を制御するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項4】
前記コントローラは、前記メインデータが前記基本速度より速い速度で再生されるように決定された前記再生速度情報に応答して前記メインデータの再生を制御するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項5】
前記コントローラは、前記メインデータが36Mbps、40Mbps、またはそれより速い伝送レートで再生されるように決定された前記再生速度情報に応答して前記メインデータの再生を制御するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項6】
前記コントローラは、前記メインデータの伝送レートの比として記録された前記再生速度情報に応答して前記メインデータの再生を制御するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項7】
記録媒体のメインデータ領域に記録されたビデオデータを再生するために、基準速度より速い速度で前記記録媒体を駆動するように構成された駆動装置と、
前記記録媒体の前記メインデータ領域から前記ビデオデータを読み出すように構成された読出装置と、
前記記録媒体に記録されたビデオデータを再生するために、40Mbpsまたはそれ以上の伝送レートに対応する、基準速度より速い速度で前記駆動装置を制御するように構成されたコントローラと
を有することを特徴とする記録媒体からデータを再生するための装置。
【請求項8】
前記コントローラは、前記記録媒体の特定の領域に記録された、基準速度より速い速度を表す再生速度情報に基づき、前記駆動装置を制御するように構成されることを特徴とする請求項7記載の装置。
【請求項9】
前記コントローラは、前記メインデータが基準速度より速い速度で再生されるように決定された再生速度情報に基づいて前記駆動装置を制御するように構成されることを特徴とする請求項7記載の装置。
【請求項10】
前記コントローラは、前記メインデータが36Mbps、40Mbps、またはそれより速い伝送レートで再生されるように決定された前記再生速度情報に基づいて前記駆動装置を制御するように構成されることを特徴とする請求項7記載の装置。
【請求項11】
前記コントローラは、前記メインデータの伝送レートの比として記録された再生速度情報に応答して前記駆動装置を制御するように構成されていることを特徴とする請求項7記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−123334(P2009−123334A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−39317(P2009−39317)
【出願日】平成21年2月23日(2009.2.23)
【分割の表示】特願2006−500636(P2006−500636)の分割
【原出願日】平成16年1月20日(2004.1.20)
【出願人】(596066770)エルジー エレクトロニクス インコーポレーテッド (384)
【Fターム(参考)】