記録媒体に情報を記録する方法、情報を含む記録媒体、および記録媒体から情報を読み出す方法ならびに装置
【課題】光ディスク2にオーディオ/ビデオ情報ストリームを書き込む方法、およびディスクから情報を読み出す方法を開示する。
【解決手段】情報ストリームは、インターリーブ化された形式で記録された複数の択一選択可能なビデオ部分VS1、VS2、VS3を含む。インターリーブ単位IU(i)は、複数の角度ブロックABj(i)を含み、それぞれの角度ブロックABj(i)は、それぞれの択一選択可能なビデオ・ストリームのストリーム部分VSjから、1つずつの部分VSj(i)を含んでいる。各ビデオ部分について、複数のエントリ点EPが規定される。ユーザーは、ビデオ部分の再生中の任意の時において、1つのビデオ・ストリームVS2から、別の1つのビデオ・ストリームVS1、VS3に変更を行うことを許されている。この変更は、ユーザーコマンドの後の最初のエントリ点において有効とされる。
【解決手段】情報ストリームは、インターリーブ化された形式で記録された複数の択一選択可能なビデオ部分VS1、VS2、VS3を含む。インターリーブ単位IU(i)は、複数の角度ブロックABj(i)を含み、それぞれの角度ブロックABj(i)は、それぞれの択一選択可能なビデオ・ストリームのストリーム部分VSjから、1つずつの部分VSj(i)を含んでいる。各ビデオ部分について、複数のエントリ点EPが規定される。ユーザーは、ビデオ部分の再生中の任意の時において、1つのビデオ・ストリームVS2から、別の1つのビデオ・ストリームVS1、VS3に変更を行うことを許されている。この変更は、ユーザーコマンドの後の最初のエントリ点において有効とされる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広くは、記録媒体上への情報記録の分野、およびそれと逆の、記録媒体からの記録情報の読出しの分野に関するものである。
【0002】
本発明は特に、光記録の分野に関するものである。この場合、記録媒体は典型的には光ディスクである。ただし、本発明の要旨は、ディスク上への情報の光記録に限定されるものではない。
【0003】
さらに本発明は、とりわけオーディオ・ストリームおよび/またはビデオ・ストリームの記録の分野に関するものであるが、本発明の要旨は、かかる用途に限定されるものではない。以下の説明で明らかとされるように、本発明は、情報ストリームが、複数の択一選択可能な部分と、1つまたは複数の共通部分とを有するような、より多くのケースに適用可能なものである。
【0004】
光ディスクおよびディスクドライブは、たとえばCD規格やDVD規格等といったような、種々の規格またはフォーマットに従って開発されてきた。比較的新しい規格としては、BD(ブルーレイディスク)が挙げられる。本発明は、とりわけBD−ROMの記録および読出しの分野に関するものであり、以下でも、特にこの例示的な用途について本発明の説明を行うが、それは、本発明の適用範囲をBD−ROMに限定する意図のものではない点に留意されたい。
【背景技術】
【0005】
広く知られているように、光記憶ディスクは、一続きの螺旋の形態、または複数の同心円の形態とされた、記憶スペースの少なくとも1つのトラックを有し、その記憶スペースに、データパターンの形式で情報を記憶することができる。光ディスクは、製造時において情報が記録され、ユーザーによってはその情報の読出しのみが可能な、読出専用型とされてもよい。あるいは、光記憶ディスクは、ユーザーによる情報の記憶が可能な書込可能型とされてもよい。一般的な光ディスクの技術、光ディスク上への情報の記憶を可能とする方法、および光ディスクからの光データの読出しを可能とする方法は、広く知られているので、ここでこれらの技術をより詳細に説明することは必要でない。
【0006】
光ディスクは、情報担体として広範な用途を見出してきた。これには、コンピュータデータの記憶に関する用途のみならず、オーディオおよび/またはビデオ記録の作成に関する用途も含まれる。書込可能型ディスク上にユーザーが自分の記録を行うことを可能とする装置も、入手可能となっている。また、オーディオ出版社やビデオ出版社は、読出専用ディスク(ROM)である予め記録されたディスクを出版しており、そのようなディスクをユーザーが再生することを可能とする装置も入手可能とされている。そのような再生装置(以下、単にプレーヤーと呼ぶ)では、ディスクドライブ要素がディスク上に記録されたデータを読み出して復号し、テレビ装置、モニタ、スピーカー等のディスプレイ装置を通じたディスプレイに適した、ビデオ・ストリームおよび/またはオーディオ・ストリームが生成される。以下の例において、このことを説明する。
【0007】
1つのムービーは、以下に示すいくつかの要素を含み得る。
動画、すなわちテレビ画面上に表示されるべきムービーの実際の画像。動画のコンテンツは、ビデオ・エレメンタリ・ストリーム内に記憶される。
グラフィック画像。グラフィック画像は、ピクチャ・イン・ピクチャ表現のように、動画上に重畳される。グラフィック画像は、字幕を伝えるために使用される。それらのグラフィック画像は、背景グラフィック(たとえば静止画像)と、いくらかのテキスト文とを含み得る。グラフィック画像のコンテンツは、グラフィック・エレメンタリ・ストリーム内に記憶されるので、ユーザーは、そのムービーをグラフィックありで見るかグラフィックなしでみるかの選択肢を有する。通常、ユーザーは、言語を選択するオプションを与えられ、その場合、異なる言語と関連付けられた、異なる複数のグラフィック画像が提供される。そのような場合、ムービーには、各言語につき一組の、複数のグラフィック・エレメンタリ・ストリームからなる組が付随することとなる。
オーディオ信号。ムービーのオーディオ信号は、会話文を伴うバックグラウンド・オーディオからなり、この組合せが、オーディオ・エレメンタリ・ストリーム内に記憶されている。通常、ユーザーは、言語を選択するオプションを与えられ、その場合、会話文は異なる言語に対して異なるが、バックグラウンド・オーディオはすべての言語に対して同一である。そのような場合、ムービーには、各言語につき一組の、複数のオーディオ・エレメンタリ・ストリームからなる組が付随することとなる。
【0008】
複数のエレメンタリ・ストリームの組合せ(たとえば、動画+グラフィック+オーディオ)は、1つの伝送(Transport)ストリーム内で送信され得る。各伝送ストリームは、別個のファイルとして記憶される。
【0009】
従来は、1つの情報担体は、1つのバージョンのムービーのみを含んでいた。光ディスクの現在も進行中の進歩、とりわけデータ記憶容量の増大に伴い、情報担体を、2つ以上のバージョンのムービーを含むものとし、ユーザーが見たいバージョンを選択できるようにすることも可能となった。たとえば、あるユーザーは、そのムービーをオリジナル版で見たいと思うかもしれないが、別のユーザーは字幕が欲しいと思うかもしれない。さらに別のユーザーは、会話文を自分の母国語で聞きたいと思うかもしれない。
【0010】
現行の技術水準、とりわけよく知られているDVD−VIDEOの規格によれば、オーディオ・エレメンタリ・ストリームおよびグラフィック・エレメンタリ・ストリームのいくつかの異なるバージョンが、1つの伝送ストリーム内に記録され、エレメンタリ・ストリームのパケットが、その伝送ストリーム内において多重化される。ユーザーの選択に応じて、オーディオ・エレメンタリ・ストリームのいくつかの異なるバージョンのうち1つのみが、再生中に復号されるべく選択され、かつグラフィック・エレメンタリ・ストリームのいくつかの異なるバージョンのうち1つのみが、再生中に提示されるべく選択される。
【0011】
そのため、たとえばオリジナルでは英語のムービーが、オプションとしてのフランス語会話文およびオプションとしてのドイツ語会話文と共に出版されることが可能である。その場合、オリジナルの英語会話文を含む第1のオーディオ・エレメンタリ・ストリームと、フランス語会話文(翻訳1)を含む第2のオーディオ・エレメンタリ・ストリームと、ドイツ語会話文(翻訳2)を含む第3のオーディオ・エレメンタリ・ストリームとが存在することとなる。
【0012】
また、たとえば、ムービーが、英語とフランス語とドイツ語との字幕を伴って出版されることもあり得る。その場合、英語テキスト文を含む第1のグラフィック・エレメンタリ・ストリームと、フランス語テキスト文を含む第2のグラフィック・エレメンタリ・ストリームと、ドイツ語テキスト文を含む第3のグラフィック・エレメンタリ・ストリームとが存在することとなる。
【0013】
上記の形態は、1バージョンのみの動画すなわちビデオ・エレメンタリ・ストリームが存在するケースにおいて、既に適用されている。しかしながら、同一のシーンが異なる角度から観察されるような、2つ以上の択一選択可能な動画のバージョンを、情報担体が含むようにすることも可能である。この形態は、マルチアングル・ムービーと呼ばれている。
【0014】
理論的には、択一選択可能な複数のビデオ・エレメンタリ・ストリームを、伝送ストリーム内に多重化することも可能である。再生中においては、伝送ストリーム全体が読み出され、選択されたビデオ・ストリーム、オーディオ・ストリームおよびグラフィック・ストリームのみが復号される。しかしながら、1つのビデオ・エレメンタリ・ストリームに伴うビットレートが既に非常に高いものである(20Mbpsより高い)という事実に鑑みると、このアプローチは、結果として極めて高いビットレートを必要とし、かかるビットレートは、BD−ROMドライブ用のドライブからの読出レート(54Mbps)との関連において高すぎる。
【0015】
上記のDVD−VIDEO規格によれば、この問題は、択一選択可能なビデオ・エレメンタリ・ストリームと関連付けられた、択一選択可能な複数の別個の伝送ストリームを生成すること、すなわち、択一選択可能な複数のビデオ・エレメンタリ・ストリームの各々を、複数のオーディオ・エレメンタリ・ストリームとグラフィック・エレメンタリ・ストリームとの同一の組と組み合わせることにより、回避される。再生中においては、所望の観察角度と関連付けられた1つのみの伝送ストリームが読み出され、かつ選択されたオーディオ・ストリームおよびグラフィック・ストリームのみが復号される。すなわち、オーディオおよびグラフィックに関する情報は、複数回記録される(択一選択可能なビデオ・エレメンタリ・ストリームの個数と同じ回数だけ)。このアプローチの1つの欠点は、すべての観察角度に対してオーディオおよびグラフィック情報が同一である場合に、記憶スペースが無駄に使用される点である。
【0016】
原理上、択一選択可能な各伝送ストリームを、1個の連続した記録として記憶し、異なる伝送ストリームが、物理的に異なるディスク部分に記録されるようにすることが可能である。ユーザーが再生開始時においてのみ選択を行うことができる場合には、この形態で十分である。しかしながら、マルチアングル・ビデオでは、ユーザーは、任意の所望の瞬間において、1つの観察角度から、他の観察角度のうちの任意のものに変更を行うことができる可能性を与えられている。この変更は、再生中において、現在の伝送ストリーム中の現在の読出位置から、ユーザーが選択した伝送ストリーム内の対応の読出位置へのジャンプを伴う。連続的なプレゼンテーションを保障するためには非常に大きなビデオバッファを必要とするほど、ここで必要なジャンプ距離は大きな距離となる。また、ユーザーが自分の選択を入力する(たとえばボタンを押す)時と、システムが1つの観察角度から別の観察角度へとプレゼンテーション内容を変更することにより反応する時との間の時間は、比較的長いので、耐えられなくなったユーザーが再びボタンを押してしまうことも考えられる。
【0017】
これらの問題を回避するため、上記のDVD−VIDEO規格は、異なる複数の伝送ストリームのインターリーブ記録を提示している。より具体的にいうと、各伝送ストリームは、比較的小さな伝送ストリーム片(角度ブロックと呼ばれる)に分割され、異なる複数の伝送ストリームの角度ブロックが、1つのストリーム内にインターリーブ配置される。この形態は、図1に模式的に描かれている。この図1には、図解用の例として3つの異なる観察角度でムービーが記録された、記録担体(光ディスク)のトラックの一部のコンテンツが示されている。記録担体は、3つの異なる情報ストリームTS1、TS2、TS3を含んでいる。
【0018】
各情報ストリームは、角度ブロックAB1(i)、AB2(i)、AB3(i)に分割される。ここで、添数iは表示順序を示している。3つの角度ブロックAB1(i)、AB2(i)、AB3(i)の組合せは、インターリーブ単位IU(i)として示されている。それぞれの角度ブロックABj(i)(j=1−3)は、1つのビデオ・エレメンタリ・ストリームVSj(i)と、複数のオーディオ・エレメンタリ・ストリームASj,k(i)およびグラフィック・エレメンタリ・ストリームGSj,m(i)とが、多重化されたものを含んでいる。この例では、k=1−2、m=1−3である。1つのインターリーブ単位IU(i)内において、それぞれの角度ブロックABj(i)の3つのオーディオ・エレメンタリ・ストリームASj,k(i)は互いに異なるものであってもよく、また、それぞれの角度ブロックABj(i)の3つのグラフィック・エレメンタリ・ストリームGSj,m(i)も互いに異なるものであってもよい。
【0019】
ここで、ユーザーがバージョン2のムービーを視聴しており、その第2のムービーバージョンと関連付けられた、第2のオーディオ・ストリームAS2,2と第3のグラフィック・ストリームGS2,3とを選択したものと仮定する。ディスクドライブは、インターリーブ単位IU(i)について角度ブロックAB2(i)を読み出し、この角度ブロックの終点において、次のインターリーブ単位IU(i+1)内にある、同一の伝送ストリームTS2の次の角度ブロックAB2(i+1)の始点にジャンプする。こうして、伝送ストリームTS2の全体がディスクから読み出され、対応のビデオ・ストリームVS2、選択されたオーディオ・ストリームAS2,2、および選択されたグラフィック・ストリームGS2,3が、復号されディスプレイされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
a]上記の従来技術の記録方法の1つの欠点は、それぞれの角度ブロックが、その全長に亘って読出しおよびディスプレイされなくてはならないという事実に関連する。観察角度の変更は、角度ブロック間の境界においてのみ許容される。
【0021】
b]上記の従来技術の記録方法の別の1つの欠点は、角度ブロックの長さが、いくつかの相対する要請の間のトレードオフであるという事実に関連する。
【0022】
b.1]角度ブロックが非常に短い場合には、それらの角度ブロックのコンテンツは、ジャンプ動作全体の間に亘って表示を保障するのに十分な量の情報で表示バッファを満たすには不十分となるので、シームレスなプレゼンテーションが危うくなるかもしれない。
【0023】
b.2]また、通常の再生時(すなわち角度を変更しない再生時)において、ディスクドライブは、同一の伝送ストリームTSjの、1つの角度ブロックABj(i)から次の角度ブロックABj(i+1)へと、定期的にジャンプを行わなくてはならない。ジャンプはノイズを伴い、システムの信頼性を低下させるので、ジャンプの頻度を減らすことが望ましい。
【0024】
b.3]さらに、それぞれの角度ブロックは、ファイルシステムテーブル内においてある範囲(すなわちディスク領域)を構成するので、短い範囲が多数となることは、ファイルシステムテーブルのサイズを増大させる。
【0025】
上記の側面[b.1]−[b.3]は、角度ブロックの長さを増大させることが望ましいことを説明する。しかしながら、角度ブロックの長さを増大させることは、別の問題を導入する。
【0026】
b.4]角度ブロックの長さが増大させられると、ジャンプ距離もまた増大する。通常の再生動作中においては、定期的なジャンプはすべてLn=(N−1)×Lbの長さを有する。ここで、Lbは角度ブロックの長さを表し、Nは1つのインターリーブ単位内にある角度ブロックの数(すなわちビデオ・ストリームの数)を表す。観察角度を変更する場合には、ジャンプは、最大Lm=2(N−1)×Lbの長さを有する。ジャンプは相応の時間を必要とし、ジャンプが長いほど、必要とされる時間も長くなる。ジャンプ中においては、ディスクは読み出されず、ディスプレイは、データバッファからのデータ読出しによりデータの供給を受ける。より長いジャンプに対しては、より大きなデータバッファが必要とされる。
【0027】
b.5]また、角度ブロックの長さが増大させられると、反応時間もまた増大する。反応時間とは、ユーザーが選択ボタンを押した時と、システムが新たな角度での表示を開始するときとの間の時間を意味する。ユーザーがボタンを押した瞬間の後、新たな角度における読出し、復号および表示が開始可能となるまでの間において、ディスクドライブは、現在の角度ブロックの読出しを継続し、そして長いジャンプを実行しなくてはならない。
【0028】
本発明の1つの重要な目的は、上記の欠点の少なくとも1つを、克服または少なくとも軽減することである。
【課題を解決するための手段】
【0029】
本発明の1つの重要な側面によれば、角度ブロック内の予め規定された位置において、角度の変更が許される。これらの予め規定された位置は、ディスクドライブのメモリ内に記憶されたテーブル内、ディスクの予め規定された記憶場所に記憶されたテーブル内、またはムービーのヘッダ内に記憶されたテーブル内に示されていてもよい。
【0030】
その結果、上記のb.5の問題を生じさせることなく、角度ブロックの長さとして、上記のb.1、b.2、b.3の問題を克服するようなより長い長さを選択することが、より容易に可能となる。
【0031】
100μmを超えない半径方向ジャンプ距離を有するジャンプについては、ジャンプ時間は実質的に等しくなる。そのため、単位あたりの角度ブロックの数との組合せにおいて、角度ブロックの長さが、半径方向ジャンプ距離が100μmを越えないように選択された値に増大させられると、上記の問題b.4は、より深刻にはならない。角度ブロックの長さと、単位あたりの角度ブロックの数との組合せが、100μmを超える半径方向ジャンプ距離をもたらすような組合せである場合には、ジャンプの回数が可能な限り少なくなるような最適化が好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】現行技術によるマルチアングル情報のインターリーブ記録を図解するため、記録担体のトラックの一部を示した模式図
【図2】光ディスクの模式図
【図3】本発明の1つの好ましい実施形態によるマルチアングル情報のインターリーブ記録を図解するため、記録担体のトラックの一部を示した模式図
【図4】オーディオ/ビデオ再生システムの1つの実施形態を概略的に示したブロック図
【図5A】通常の再生処理中における時間の関数として、光ヘッドの位置を概略的に示したタイミング図
【図5B】通常の再生処理中における、ディスクドライブ装置の動作タイミングを概略的に示したタイミング図
【図6A】観察角度の変更処理中における時間の関数として、光ヘッドの位置を概略的に示したタイミング図
【図6B】観察角度の変更処理中における、ディスクドライブ装置の動作タイミングを概略的に示したタイミング図
【図6C】1つの動作モードを図解したタイミング図
【図6D】図6Cとは異なる1つの動作モードを図解したタイミング図
【図7】観察角度の変更処理中における時間の関数として、本発明に従う、光ヘッドの位置を概略的に示したタイミング図
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の上記およびその他の側面、特徴および利点を、図面を参照しながらさらに説明する。図中において、同一の参照番号は、同一または類似の部分を示している。
【0034】
図2は、本発明が関係する記録担体の好適例として、光ディスク2、より具体的にはBDディスクを示した模式図である。このディスク2は、トラック3を有する。トラック3は、図2では一続きの螺旋形状のトラックとして示されているが、これに代えて、互いに同心円である複数の円形トラック部分からなるものであってもよい。トラック3は、マルチアングル・ムービーMの記録を含んでいる。この例では、マルチアングル・ムービーMは、動画の3つの択一選択可能なバージョンVS1、VS2、VS3、グラフィック画像の3つのバージョンGS1、GS2、GS3、およびオーディオ信号の2つのバージョンAS1、AS2を伴っている。
【0035】
図3は、トラック3の一部を示した模式図である。この例では、動画の3つの択一選択可能なバージョンVS1、VS2、VS3、グラフィック画像の3つのバージョンGS1、GS2、GS3、およびオーディオ信号の2つのバージョンAS1、AS2は、多重化されたビデオ/オーディオ/グラフィック・ストリームとして記録されている。マルチアングル・ムービーのストリームは、互いに等しいプレゼンテーション期間を有する複数のインターリーブ単位IUに分割されている。各インターリーブ単位IU(i)は、予め決められた再生時間量に対応する。各インターリーブ単位IU(i)は、以下の要素を含む。
− 上記の予め決められた再生時間量に対応する長さを有する、第1の角度ブロックAB1(i)、
− 上記の予め決められた再生時間量に対応する長さを有する、第2の角度ブロックAB2(i)、および
− 上記の予め決められた再生時間量に対応する長さを有する、第3の角度ブロックAB3(i)。
【0036】
それぞれの角度ブロックABj(i)は、以下の要素を含む。
− 第1のオーディオ・エレメンタリ・ストリームAS1の一部分であって、上記の予め決められた再生時間量に対応する長さを有する部分ASj,1(i)、
− 第2のオーディオ・エレメンタリ・ストリームAS2の一部分であって、上記の予め決められた再生時間量に対応する長さを有する部分ASj,2(i)、
− 第1のグラフィック・エレメンタリ・ストリームGS1の一部分であって、上記の予め決められた再生時間量に対応する長さを有する部分GSj,1(i)、
− 第2のグラフィック・エレメンタリ・ストリームGS2の一部分であって、上記の予め決められた再生時間量に対応する長さを有する部分GSj,2(i)、
− 第3のグラフィック・エレメンタリ・ストリームGS3の一部分であって、上記の予め決められた再生時間量に対応する長さを有する部分GSj,3(i)、および
− j番目の角度のビデオ・エレメンタリ・ストリームVSjの一部分であって、上記の予め決められた再生時間量に対応する長さを有する部分VSj(i)。
【0037】
図3の例では、本発明は、現行技術に従う記録構造、すなわち、図1に図示したような角度ブロックを得るべく、角度ブロックABj(i)の各ビデオ部分VSj(i)が、その角度ブロックABj(i)のすべてのオーディオ部分ASj,1(i)、ASj,2(i)、およびその角度ブロックABj(i)のすべてのグラフィック部分GSj,1(i)、GSj,2(i)、GSj,3(i)と多重化された記録構造を用いて、実施されている。このような場合、角度ブロックの読出しおよび復号は、図1に関連して説明したのと類似のやり方で行われる。あるいは、オーディオ部分、グラフィック部分、およびビデオ部分が、別個のブロックとして記録されてもよい。そのような場合、オーディオブロックおよびグラフィックブロックが先に読み出され、その後、ビデオブロックが読み出される。しかしながら、そのような形態が好適ではあるが、本発明の実施に必須というわけではない。
【0038】
一方、本発明は、ビデオに加えて、オーディオおよび/またはグラフィックを含む情報ストリームに限定されるものでもない。一般化すると、本発明は、1つのタイプ(特にビデオ)の複数の択一選択可能な部分を少なくとも含むような、情報ストリームに関するものである。例として、本発明は、グラフィックを有さないサイレント・ムービーの場合にも適用可能である。
【0039】
図4は、オーディオ/ビデオ再生システム1の1つの実施形態を概略的に示したブロック図である。このオーディオ/ビデオ再生システム1は、ディスクドライブ10と、画像を表示する少なくとも1つの画面21および音声を発生させる少なくとも1つのスピーカー22を含むディスプレイ装置20とを含む。ディスクドライブ10は、本発明に従って記録された情報を含むディスク2から、情報を読み出す能力を有する。
【0040】
ディスクドライブ10は、ディスク2を回転させるためのディスクモーター4と、回転しているディスク2のトラック3を走査するための光ヘッド5とを含んでいる。アクチュエータ装置6は、光ヘッド5の正しい配置を設定する。コントローラ30は、ディスクモーター4およびアクチュエータ装置6を制御する。コントローラ30は、光読出信号SRを光ヘッド5から受信する第1の入力部31を有する。コントローラ30は、第1の出力部32において、光ヘッド5の配置を制御するための制御信号SCを発生させるように設計されている。
【0041】
コントローラ30には、オーディオバッファメモリMA、グラフィックバッファメモリMG、およびビデオバッファメモリMVが設けられている。コントローラ30にはさらに、ユーザー制御パネル11が設けられている。このユーザー制御パネル11は、ユーザーにより制御可能な入力手段(たとえばキー、スイッチ、ノブ等)を含んでおり、ユーザーが選択結果またはコマンドをコントローラ30に入力することを可能としている。そのような入力手段自体は周知であるので、図4には取り立てて示してはいない。
【0042】
前述のように、現行の技術水準においては、別の観察角度へのジャンプができる状態となるには、その前に、常に(多重化された)角度ブロック全体が読み出され表示される必要がある。本発明によれば、この制約が回避される。オーディオおよび/またはグラフィックと多重化されたビデオを含んでいるものであるか否かにかかわらず、角度ブロック内において、エントリ点が予め規定されている。これらのエントリ点は、図3では、垂直な矢印EPにより示されている。これらのエントリ点は、それより前の位置からの情報を必要とせずに、情報の読出しおよび復号を開始することが可能な位置である。したがって、各エントリ点は、GOP(Group of Pictures;ピクチャ群)の始点と一致する。好ましくは、GOPの各始点がエントリ点と一致するようにされるが、このことは必須ではない。図では、各ビデオブロックが6個のエントリ点を含んでいるものと仮定されているが、これは単なる説明のための一例である。さらに、図では、エントリ点は等間隔とされている。この等間隔とする形態は好適であるが、必須ではない。
【0043】
エントリ点EPは、ディスクドライブ10のメモリ中の、エントリ点位置テーブルEPLT内に記憶されてもよい。このテーブル中のエントリ点は、それぞれの角度の情報ストリーム内における同一の瞬間に対する位置(タイムスタンプ)を含んでいる。一方、エントリ点EPはまた、ビデオ・ストリームVSの特別なエントリ点情報ブロックEPIB内に書き込まれていてもよい。各インターリーブ単位IUに対し、対応のエントリ点情報ブロックEPIBが関連付けられる。このエントリ点情報ブロックEPIBは、インターリーブ単位IU内の予め規定された位置に、1回書き込まれてもよい。その場合、観察角度の選択とは無関係に、この予め規定された位置へのジャンプは、読出時において常に必要とされる。一方、エントリ点情報ブロックEPIBは、複数回書き込まれてもよい(すなわち、インターリーブ単位内の個々のビデオブロックAB1、AB2、AB3のそれぞれの先頭に書き込まれてもよい)。
【0044】
図3では、1つのエントリ点情報ブロックEPIBが、ムービーMの先頭に示されている。ディスクからのムービーMの読出しを開始する際、ディスクドライブ10はまず、エントリ点情報ブロックEPIBを読み出し、この情報を自己のエントリ点位置テーブルEPLT内に記憶する。ムービーMの再生中、このテーブルが参照されることとなる。
【0045】
したがって、以下では、エントリ点EPの位置が、ディスクドライブ10のメモリ中のエントリ点位置テーブルEPLTに記憶されているものと仮定する。
【0046】
以下の説明では、通常の再生動作中におけるディスクドライブ10の動作が、図5Aおよび図5Bを参照して説明される。図5Aは、図3に準拠するものであり、光ヘッド5の位置が、時間t(縦軸)の関数として示されている。図5Bは、装置1の動作のタイミングを示したタイミング図である。
【0047】
ここでは、ユーザーは、マルチアングル・ムービーMを、第2の観察角度、第1のオーディオ・ストリーム、および第2のグラフィック・ストリームを用いて視聴するという選択をしたものと仮定する。
【0048】
再生動作が、インターリーブ単位IU(i)に到達したと想定する。より具体的には、時刻t1において、光ヘッド5が第2の角度ブロックAB2(i)に到達し、コントローラ30が、ディスクから情報を読み出すために光ヘッド5を制御しているとする。読み出された情報から、この第2の角度ブロックAB2(i)の第1のオーディオ・エレメンタリ・ストリーム部分AS2,1(i)が復号され、そのコンテンツが、オーディオバッファMAに記憶される。同様にして、この第2の角度ブロックAB2(i)の第2のグラフィック・エレメンタリ・ストリーム部分GS2,2(i)が復号され、そのコンテンツが、グラフィックバッファMGに記憶される。さらに同様にして、第2の角度のビデオ・エレメンタリ・ストリーム部分VS2(i)が復号され、そのコンテンツが、ビデオバッファMVに記憶される。
【0049】
時刻t6において、ビデオバッファMV内のデータ量が少なくとも1つの画像に対応するデータ量になると直ちに、表示を開始することができるようになる。コントローラ30は、ビデオバッファMVからビデオ情報を、グラフィックバッファMGからグラフィック情報を、かつオーディオバッファMAからオーディオ情報を読み出し、対応の画像および音声信号を、ディスプレイ装置20に供給する。
【0050】
t5からt7までの期間中、バッファメモリMA、MGおよびMVは、AB2からのデータを読み出すことにより、満杯状態に保持される。
【0051】
時刻t7において、光ヘッド5が第2の角度ブロックAB2(i)の終端に到達すると、コントローラ30は、次のインターリーブ単位IU(i+1)の第2の角度ブロックAB2(i+1)の開始位置にジャンプするように光ヘッドを制御し、時刻t8において、次のインターリーブ単位IU(i+1)に対して、上記のプロセスが繰り返される。すなわち、第2の角度ブロックAB2(i+1)が読み出され、この第2の角度ブロックAB2(i+1)の第1のオーディオ・エレメンタリ・ストリームAS2,1(i+1)が復号されて、そのコンテンツがオーディオバッファMAに記憶され、第2の角度ブロックAB2(i+1)の第2のグラフィック・エレメンタリ・ストリームGS2,2(i+1)が復号されて、そのコンテンツがグラフィックバッファMGに記憶され、第2の角度のビデオ・エレメンタリ・ストリームVS2(i+1)が復号されて、そのコンテンツがビデオバッファMVに記憶される。次のブロックAB2(i+1)の開始位置へのジャンプ、および第2の角度のビデオ・エレメンタリ・ストリームVS2(i+1)の読出しに必要とされる、t7(i)からt6'(i+1)までの期間中は、バッファMA、MG、MVから情報を読み出すことにより、表示が続けられる。
【0052】
上記の各工程が、ムービーの持続時間全体に亘って続けられることは、当業者には自明であろう。
【0053】
以下では、ユーザーが観察角度を変更したい場合におけるディスクドライブ10の動作が、図5Aおよび図5Bに対応する、図6Aおよび図6Bを参照して説明される。
【0054】
インターリーブ単位IU(i)のt1からt7までの期間中における何らかの時刻txまでは、上記で説明したような動作が行われる。時刻txにおいて、ユーザーが、観察角度を変更するコマンド、より具体的には第3のビデオ・ストリームVS3に変更するコマンドを与えたものとする。第2の角度ブロックAB2(i)の読出しは、時刻t11において到達される次のエントリ点EPxまで継続される。この時刻t11において、コントローラ30は、同一のインターリーブ単位IU(i)の第3の角度ブロックAB3(i)における対応のエントリ点EPxにジャンプするように、光ヘッド5を制御する。さらに、時刻t12において、第3の角度ブロックAB3(i)のこのエントリ点EPxから、読出しが再開される。すなわち、第3の角度ブロックAB3(i)が読み出され、この第3の角度ブロックAB3(i)の第1のオーディオ・エレメンタリ・ストリームAS3,1(i)が復号され、そのコンテンツがオーディオバッファMAに記憶され、第3の角度ブロックAB3(i)の第2のグラフィック・エレメンタリ・ストリームGS3,2(i)が復号され、そのコンテンツがグラフィックバッファMGに記憶され、第3の角度のビデオ・エレメンタリ・ストリームVS3(i)が復号され、そのコンテンツがビデオバッファMVに記憶される。
【0055】
時刻t13において、ビデオバッファMV内の、第2の角度のビデオ・エレメンタリ・ストリーム・ブロックVS2(i)のデータが完全に表示され終わると直ちに、第3のビデオ・エレメンタリ・ストリーム・ブロックVS3(i)および第2のグラフィック・エレメンタリ・ストリームGS3,2(i)の表示が始まり、かつ第1のオーディオ・エレメンタリ・ストリームAS3,1(i)のプレゼンテーションが始まる。
【0056】
光ヘッド5が第3の角度ブロックAB3(i)の終点に到達する時刻t14まで、上記で説明したような動作が続く。時刻t14に到達すると、コントローラ30は、次のインターリーブ単位IU(i+1)の第3の角度ブロックAB3(i+1)の開始位置へとジャンプするように光ヘッド5を制御し、時刻t15において、この第3の角度ブロックAB3(i+1)の読出しが始まる。
【0057】
ここで、システムの反応時間は、ユーザーコマンドの時刻txから、第3のビデオ・ストリームVS3の表示開始時刻t13までの期間に等しいことに留意されたい。
【0058】
この点に関し、t1からt14までの期間中、ビデオバッファMV内の情報量は、比較的少ない量、すなわち数個(1または2個)のGOPのみに対応する量に維持されてもよい点に留意されたい。光ディスクからの読出しは、54Mbpsのビットレートで実行可能とされている一方、ビデオバッファからの情報の読出し(リークレート)は、ディスクドライブが読出しと待機とを交互に行うように、たとえば20Mbpsのビットレートで実行可能とされている。ビデオバッファMV内のGOPの数は、インターリーブ単位IU内でのジャンプの間(t11からt12)において、表示をサポートするのに十分な数である。ジャンプの後、ビデオバッファは、新たな角度ブロックから読み出されたビデオ情報で満たされていく。
【0059】
この動作モードは、図6Cに図解されている。横軸は時間を表し、縦軸はビデオ情報を表している。縦方向の各単位は、1つのGOPを表している。曲線61は、ディスクから読み出されビデオバッファMV内に記憶されている情報を表し、曲線62は、ビデオバッファMVから読み出されている情報を表す。ディスクからの読出しは、時刻τ=0において開始される。時刻τ1において、1つのGOPがビデオバッファMV内に書込済となり、このGOPのビデオバッファMVからの読出し、復号、および表示が開始可能となる。ディスクからの読出しは、第2のGOPが読出済となる時刻τ2まで続く。その後、ディスクドライブは、第1のGOPがビデオバッファMVから読出済となる時刻τ3までアイドリング状態となり、続いて、ディスクからの読出しが再開される。
【0060】
時刻txにおいて、ディスクドライブがディスクからの読出動作をしている間に(線61a)、変更コマンドが受け取られたと想定する。上記で述べたように、読出動作は、EPxとして示す次の最初のエントリ点(新たなGOPの始点)に到達する時刻t11まで継続される。その後、時刻t12までジャンプ動作(曲線63で示す)が行われ、新たな角度ブロック内の同一のエントリ点EPxにおいて、読出動作が開始される。新たなビデオブロックの1つのGOPの読出しが完了すると直ちに、時刻t13において、新たな観察角度での表示が始まる。
【0061】
ここで、時刻txにおいてディスクドライブがアイドリング状態にあるときは、ジャンプは直ちに行われてもよく、必ずしも次のエントリ点まで待つ必要はない点に留意されたい。
【0062】
また、ビデオバッファMV内の情報量が比較的多数のGOPに対応する量となるような、光ディスクからの読出しが行われることもあり得る。その場合、ユーザーが変更コマンドを入力したときの、ビデオバッファMV内のGOPの数は、インターリーブ単位IU内でのジャンプの間(t11−t12)における表示をサポートするのに必要な数よりも多い。この動作モードは、図6Cに対応する図6Dに図解されている。
【0063】
このケースでは、ビデオバッファ内の情報量が連続的に増加するように、読出しが連続的に行われる。そのため、時刻txにおけるビデオバッファ内のGOPの数は、ジャンプの間の表示をサポートするのに十二分な数となっている。時刻txにおいて、ディスクドライブはディスクから読出しを行うプロセス中にあるが、この例では、EPxで示す次の最初のエントリ点(新たなGOPの始点)に到達するまで読み出しを続ける必要はない。その代わり、曲線64で示すように、ジャンプを直ちに実行することができる。
【0064】
まず、ジャンプが完了し、かつ1つのGOPの読み出しが終わるまでに、どれだけの時間がかかるかが計算(見積もり)される。この見積もられたジャンプ時間を、Δteで示すこととする。その後、tx+Δteの時間の後にディスプレイにより到達されるべき、次の最初のエントリ点はどれであるかが計算される(曲線62)。このエントリ点を、図6DではEPyで示すものとする。その後、新たなビデオブロック内の上記のエントリ点EPyへのジャンプが行われ、時刻t12においてこのエントリ点EPyに到達し、読み出しが開始される。新たなビデオブロックの1つのGOPの読出しが時刻t13において完了すると(あるいは、図示されているようにいくらか後の、先行するGOPがビデオバッファMVから完全に読み出されると)、新たな観察角度での表示が開始可能となる。バッファ内にある以前の角度からの残りのデータは、表示されずに除去される。
【0065】
図7は、第1のビデオ・ストリームVS1に変更するコマンドを、時刻txにおいてユーザーが与えるような、1つの変更例のケースについての、図6Aに対応する図である。このケースでは、時刻t11において、コントローラ30は、同一のインターリーブ単位IU(i)の第1の角度ブロックAB1(i)における対応のエントリ点EPxにジャンプするように、光ヘッド5を制御する。さらに、時刻t12において、第1の角度ブロックAB1(i)のこのエントリ点EPxから、読出しが再開される。第1の角度のビデオ・エレメンタリ・ストリーム・ブロックVS1(i)の復号および表示は、時刻t13において始まる。光ヘッド5が第1の角度ブロックAB1(i)の終点に到達する時刻t14では、コントローラ30は、次のインターリーブ単位IU(i+1)の第1の角度ブロックAB1(i+1)の開始位置へとジャンプするように光ヘッド5を制御し、時刻t15において、この第1の角度ブロックAB1(i+1)の読出しが始まる。
【0066】
図5Aを参照すると、通常の再生動作中において、インターリーブ単位IU(i)の再生は常に、t7からt8の1回のジャンプを伴っていることが分かる。図6Aおよび図7を参照すると、観察角度の変更の場合には、インターリーブ単位IU(i)の再生は常に、2回のジャンプ、すなわち上記と同様のジャンプとt14からt15の追加ジャンプとを伴っていることが分かる。1つの重要な利点は、ユーザーがコマンドを入力した時点(tx)と、システムが新たな観察角度を表示することにより反応する時点との間の待ち時間が、大幅に減少させられる点である。すなわち、この待ち時間は、次のエントリ点に到達し、同一のインターリーブ単位内の目標の角度ブロック中の対応のエントリ点にジャンプし、最初のビデオ画像を読み出す時間により決定されるようになる。このことは、角度ブロックの長さを実質的に増大させることを可能とし、したがって範囲の数を減少させる一方、1つのインターリーブ単位のプレゼンテーション持続時間(t6−t6')を増大させることも可能とする。通常の再生動作では、角度ブロックが読み出されている限りジャンプは必要でないので、1つのインターリーブ単位のプレゼンテーション持続時間(t6−t6')を増大させることは、ジャンプ間のプレゼンテーション期間の持続時間増大を意味する。
【0067】
ディスクドライブ10を設計する際、バッファMA、MG、MVのサイズは、ブロックサイズやビットレート等との関係において予測される、最も長いジャンプ時間に適応するように選択されるべきである。あるいは、逆に記録/再生システムを設計する際には、最大バッファサイズやビットレート等との関係において、ブロックのサイズが選択されるべきである。また、角度ブロックのサイズは、任意の所望の長さに増大させることができるが、通常の再生動作中において、スレッジを変位させる必要なしに常に光学レンズを制御することによってジャンプが可能となるように、ビデオ・ストリームの数との組合せにおいて上記のサイズを選択することが好ましい。これは、スレッジの変位は、より多くのノイズを発生させ、かつより多くの電力を消費するためである。
【0068】
以下において、数値例が示される。
【0069】
ここでは、スレッジの変位を要さない最大ジャンプ距離が、約100μmであると仮定する。さらに、トラックピッチが約330nmであり、内径側においてトラックあたりのECCブロック数が2.5であると仮定すると、最大ジャンプ距離は、750個のECCブロック分(24000個の論理ブロック分)に等しい。安全のためのマージンを導入するため、600個のECCブロック分(19200個の論理ブロック分)の最大ジャンプ距離を考える。必要な対応のジャンプ時間は、約150ミリ秒である。
【0070】
通常再生動作中においては、最大ジャンプ距離は、(m−1)個の角度ブロックに対応する。ここで、mはビデオ・ストリームの数を表す。したがって、それぞれの角度ブロックのサイズは、600/(m−1)個のECCブロック分とされ得る。このようなブロックの(ジャンプのない)プレゼンテーション持続時間は、リークレート、すなわちビデオメモリが読み出される際のビットレートに依存する。以下の表は、リークレートとmとのいくつかの組合せに対して、角度ブロックのプレゼンテーション期間を示している。ここで、リークレートとは、1つの角度ブロック内に多重化されたエレメンタリ・ストリームを含むようなストリームからのレートである。
【表1】
【0071】
太線で囲んで示す組合せの場合には、ジャンプ距離は小さく、600個のECCブロック分未満である。
【0072】
これらの組合せは、最も重要な組合せである。これは、マルチアングル・システムでは、角度の数は2または3に限られていることが多く、また、再生時間が維持されるべきなので、ビットレートも制限されていることが多いためである。
【0073】
したがって、いくつかの最も重要な状況に対しては、スレッジを動かさずに、なお1秒あたりのジャンプの数を制限するような、ジャンプ距離を実現することが可能である。
【0074】
他の組合せの場合には、より大きな角度ブロックを有することが好ましい。そのようなより長い距離は、ジャンプ中においてスレッジの変位を伴うことは否めないが、ジャンプ間のプレゼンテーション期間は、実質的に増やすことができる。
【0075】
観察角度が変更される際、(AB1(i)からABm(i+1)への)最大ジャンプ距離は、2(m−1)個の角度ブロック分となる。ここで、この最大ジャンプ距離が、約25000個のECCブロック分であると仮定する。対応のジャンプ時間は、約450ミリ秒である。通常の再生動作中においては、ジャンプは約12500個のブロック分の長さを有するものとなる。簡単のため、対応のジャンプ時間は、やはり約450ミリ秒であると仮定する。
【0076】
以下の表は、リークレートとmとのいくつかの組合せについて、プレゼンテーション期間(単位:秒)を示している。1分を超えるプレゼンテーション期間(t6−t6')が、明らかに実現可能であることが見て取れる。
【表2】
【0077】
バッファメモリのサイズに関連して、4個のビデオ・ストリームがあり、リークレートが24Mbps、最大ジャンプ時間が450ミリ秒である場合についての例を、以下に挙げる。
【0078】
ジャンプ直前のバッファのコンテンツは、1.35MB(0.45秒×3MB/秒)であるべきである。そうすれば、ジャンプの終了時において、バッファのアンダーフローがない状態となる。ここで、ディスクが54Mbpsのレートで読み出されるものと仮定すると、このバッファを満たすには、0.36秒の時間がかかる(1.35MB/(6.75−3)MB/秒)。ジャンプ同士が0.81秒離れていれば、連続的なデータフローが可能である。GOPの持続時間が0.5秒である場合には、エントリ点同士の間の最小間隔は0.5秒である。角度の変更動作同士の間においては、少なくとも2つのGOPがプレゼンテーションされるべきである。
【0079】
ここで、角度ブロック中のある位置へのジャンプの後では、ジャンプ中も表示を続けるため、ビデオバッファメモリのコンテンツが大幅に使用されている。その後、読出しが始まり、ビデオバッファメモリのコンテンツが増加する。新たなジャンプがあまりにも早く行われると、ビデオバッファメモリのコンテンツが、ジャンプ中も表示を提供するには少なすぎるという事態が生じるかもしれない。そのため、前回のジャンプの終了直後のジャンプは、避けることが賢明である。
【0080】
時間に基づいてジャンプが禁止される形態も可能である。その場合、ジャンプの終了時において、予め決められた持続時間を有するタイマーが始動させられる。タイマーのタイムアウト前に角度変更コマンドが受信されると、コントローラは、タイマーの持続時間が終了するまで待ち、その終了後の最初のエントリ点において、対応のジャンプが実行される。
【0081】
また、GOPの数に基づいてジャンプが禁止される形態も可能である。これはたとえば、ドライブが2つのGOPを読み出すと、新たなジャンプが許される状態となるような形態とされ得る。そのような場合には、ジャンプの終了時において、カウンタが始動させられる。各後続のGOPを読み出すごとに、カウンタの値が増分(または減少)させられる。角度変更コマンドが受信されると、コントローラはカウンタをチェックし、カウンタが予め決められた値に到達していれば、ジャンプが許される。あるいは、カウンタが予め決められた値に到達するまで、ジャンプが遅延させられる。
【0082】
上記の説明は、すべてのGOPがエントリ点に対応するわけではないことを示唆している。上記の例では、通常の再生動作中は、読出しは常に最初のGOPの始点から始まるので、2番目のGOPの始点は、エントリ点でないかもしれない。一方、最後のGOPの始点も、エントリ点でないかもしれない。これは、最後のGOPの終点においては、どうしてもジャンプが行われなくてはならないためである。
【0083】
本発明は、上記で説明した例示的な実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲で規定される本発明の保護範囲内において、いくつかのバリエーションおよび変更形態が可能であることは、当業者には明らかである。
【0084】
たとえば、本発明は、3つの択一選択可能なビデオ・ストリームと、2つの択一選択可能なオーディオ・ストリームと、3つの択一選択可能なグラフィック・ストリームとを有するムービーに限定されるものではない。たとえば、ムービーは、グラフィックならびに/もしくはオーディオを含まないものであってもよいし、またはオーディオ・ストリームならびに/もしくはビデオ・ストリームのみを含むものであってもよい。一方、ムービーは、3つよりも多いオーディオ・ストリームおよび/またはビデオ・ストリームを含んでいてもよい。
【0085】
また、上記では、3つの択一選択可能なビデオ・ストリームのそれぞれについて、択一選択可能なオーディオ・ストリームの数が常に等しく、かつ、3つの択一選択可能なビデオ・ストリームのそれぞれについて、択一選択可能なグラフィック・ストリームの数が常に等しい形態に関して、本発明を説明してきたが、かかる特徴は必須ではない。
【0086】
さらに、オーディオ・ストリームおよびグラフィック・ストリームがビデオ・ストリームと多重化される態様に関して、本発明を説明してきたが、かかる特徴は必須ではない。オーディオブロック、グラフィックブロックおよびビデオブロックが、ディスク上に別個に書き込まれてもよい。その場合、当業者には明白なことであるが、選択されたオーディオ・ストリーム、グラフィック・ストリームおよびビデオ・ストリームのブロックへの、追加のジャンプが必要となる。
【0087】
また、上記では、メモリへの記憶前に復号が行われる形態に関連して、本発明を説明してきた。これに代えて、符号化された形式でデータを記憶し、プレゼンテーション直前に復号を行うことも可能であり、いずれの形態にするかは本発明には無関係である。さらに、バッファメモリMA、MGおよびMVは、1つのストリームバッファメモリ内に存在していてもよいが、このことも本発明には無関係である。
【0088】
上記では、本発明に従う装置の機能ブロック図を示したブロック図を参照して、本発明を説明してきた。これらの機能ブロックの1つまたは複数は、ハードウェアとして実装され、それらの機能ブロックの機能が個々のハードウェア要素により実行されてもよいが、これらの機能ブロックの1つまたは複数が、ソフトウェアとして実装され、それらの機能ブロックの機能が、コンピュータプログラムの1つ以上のプログラムライン、またはマイクロプロセッサやマイクロコントローラ等のプログラミング可能な装置により実行されることも可能である点を理解されたい。
【技術分野】
【0001】
本発明は、広くは、記録媒体上への情報記録の分野、およびそれと逆の、記録媒体からの記録情報の読出しの分野に関するものである。
【0002】
本発明は特に、光記録の分野に関するものである。この場合、記録媒体は典型的には光ディスクである。ただし、本発明の要旨は、ディスク上への情報の光記録に限定されるものではない。
【0003】
さらに本発明は、とりわけオーディオ・ストリームおよび/またはビデオ・ストリームの記録の分野に関するものであるが、本発明の要旨は、かかる用途に限定されるものではない。以下の説明で明らかとされるように、本発明は、情報ストリームが、複数の択一選択可能な部分と、1つまたは複数の共通部分とを有するような、より多くのケースに適用可能なものである。
【0004】
光ディスクおよびディスクドライブは、たとえばCD規格やDVD規格等といったような、種々の規格またはフォーマットに従って開発されてきた。比較的新しい規格としては、BD(ブルーレイディスク)が挙げられる。本発明は、とりわけBD−ROMの記録および読出しの分野に関するものであり、以下でも、特にこの例示的な用途について本発明の説明を行うが、それは、本発明の適用範囲をBD−ROMに限定する意図のものではない点に留意されたい。
【背景技術】
【0005】
広く知られているように、光記憶ディスクは、一続きの螺旋の形態、または複数の同心円の形態とされた、記憶スペースの少なくとも1つのトラックを有し、その記憶スペースに、データパターンの形式で情報を記憶することができる。光ディスクは、製造時において情報が記録され、ユーザーによってはその情報の読出しのみが可能な、読出専用型とされてもよい。あるいは、光記憶ディスクは、ユーザーによる情報の記憶が可能な書込可能型とされてもよい。一般的な光ディスクの技術、光ディスク上への情報の記憶を可能とする方法、および光ディスクからの光データの読出しを可能とする方法は、広く知られているので、ここでこれらの技術をより詳細に説明することは必要でない。
【0006】
光ディスクは、情報担体として広範な用途を見出してきた。これには、コンピュータデータの記憶に関する用途のみならず、オーディオおよび/またはビデオ記録の作成に関する用途も含まれる。書込可能型ディスク上にユーザーが自分の記録を行うことを可能とする装置も、入手可能となっている。また、オーディオ出版社やビデオ出版社は、読出専用ディスク(ROM)である予め記録されたディスクを出版しており、そのようなディスクをユーザーが再生することを可能とする装置も入手可能とされている。そのような再生装置(以下、単にプレーヤーと呼ぶ)では、ディスクドライブ要素がディスク上に記録されたデータを読み出して復号し、テレビ装置、モニタ、スピーカー等のディスプレイ装置を通じたディスプレイに適した、ビデオ・ストリームおよび/またはオーディオ・ストリームが生成される。以下の例において、このことを説明する。
【0007】
1つのムービーは、以下に示すいくつかの要素を含み得る。
動画、すなわちテレビ画面上に表示されるべきムービーの実際の画像。動画のコンテンツは、ビデオ・エレメンタリ・ストリーム内に記憶される。
グラフィック画像。グラフィック画像は、ピクチャ・イン・ピクチャ表現のように、動画上に重畳される。グラフィック画像は、字幕を伝えるために使用される。それらのグラフィック画像は、背景グラフィック(たとえば静止画像)と、いくらかのテキスト文とを含み得る。グラフィック画像のコンテンツは、グラフィック・エレメンタリ・ストリーム内に記憶されるので、ユーザーは、そのムービーをグラフィックありで見るかグラフィックなしでみるかの選択肢を有する。通常、ユーザーは、言語を選択するオプションを与えられ、その場合、異なる言語と関連付けられた、異なる複数のグラフィック画像が提供される。そのような場合、ムービーには、各言語につき一組の、複数のグラフィック・エレメンタリ・ストリームからなる組が付随することとなる。
オーディオ信号。ムービーのオーディオ信号は、会話文を伴うバックグラウンド・オーディオからなり、この組合せが、オーディオ・エレメンタリ・ストリーム内に記憶されている。通常、ユーザーは、言語を選択するオプションを与えられ、その場合、会話文は異なる言語に対して異なるが、バックグラウンド・オーディオはすべての言語に対して同一である。そのような場合、ムービーには、各言語につき一組の、複数のオーディオ・エレメンタリ・ストリームからなる組が付随することとなる。
【0008】
複数のエレメンタリ・ストリームの組合せ(たとえば、動画+グラフィック+オーディオ)は、1つの伝送(Transport)ストリーム内で送信され得る。各伝送ストリームは、別個のファイルとして記憶される。
【0009】
従来は、1つの情報担体は、1つのバージョンのムービーのみを含んでいた。光ディスクの現在も進行中の進歩、とりわけデータ記憶容量の増大に伴い、情報担体を、2つ以上のバージョンのムービーを含むものとし、ユーザーが見たいバージョンを選択できるようにすることも可能となった。たとえば、あるユーザーは、そのムービーをオリジナル版で見たいと思うかもしれないが、別のユーザーは字幕が欲しいと思うかもしれない。さらに別のユーザーは、会話文を自分の母国語で聞きたいと思うかもしれない。
【0010】
現行の技術水準、とりわけよく知られているDVD−VIDEOの規格によれば、オーディオ・エレメンタリ・ストリームおよびグラフィック・エレメンタリ・ストリームのいくつかの異なるバージョンが、1つの伝送ストリーム内に記録され、エレメンタリ・ストリームのパケットが、その伝送ストリーム内において多重化される。ユーザーの選択に応じて、オーディオ・エレメンタリ・ストリームのいくつかの異なるバージョンのうち1つのみが、再生中に復号されるべく選択され、かつグラフィック・エレメンタリ・ストリームのいくつかの異なるバージョンのうち1つのみが、再生中に提示されるべく選択される。
【0011】
そのため、たとえばオリジナルでは英語のムービーが、オプションとしてのフランス語会話文およびオプションとしてのドイツ語会話文と共に出版されることが可能である。その場合、オリジナルの英語会話文を含む第1のオーディオ・エレメンタリ・ストリームと、フランス語会話文(翻訳1)を含む第2のオーディオ・エレメンタリ・ストリームと、ドイツ語会話文(翻訳2)を含む第3のオーディオ・エレメンタリ・ストリームとが存在することとなる。
【0012】
また、たとえば、ムービーが、英語とフランス語とドイツ語との字幕を伴って出版されることもあり得る。その場合、英語テキスト文を含む第1のグラフィック・エレメンタリ・ストリームと、フランス語テキスト文を含む第2のグラフィック・エレメンタリ・ストリームと、ドイツ語テキスト文を含む第3のグラフィック・エレメンタリ・ストリームとが存在することとなる。
【0013】
上記の形態は、1バージョンのみの動画すなわちビデオ・エレメンタリ・ストリームが存在するケースにおいて、既に適用されている。しかしながら、同一のシーンが異なる角度から観察されるような、2つ以上の択一選択可能な動画のバージョンを、情報担体が含むようにすることも可能である。この形態は、マルチアングル・ムービーと呼ばれている。
【0014】
理論的には、択一選択可能な複数のビデオ・エレメンタリ・ストリームを、伝送ストリーム内に多重化することも可能である。再生中においては、伝送ストリーム全体が読み出され、選択されたビデオ・ストリーム、オーディオ・ストリームおよびグラフィック・ストリームのみが復号される。しかしながら、1つのビデオ・エレメンタリ・ストリームに伴うビットレートが既に非常に高いものである(20Mbpsより高い)という事実に鑑みると、このアプローチは、結果として極めて高いビットレートを必要とし、かかるビットレートは、BD−ROMドライブ用のドライブからの読出レート(54Mbps)との関連において高すぎる。
【0015】
上記のDVD−VIDEO規格によれば、この問題は、択一選択可能なビデオ・エレメンタリ・ストリームと関連付けられた、択一選択可能な複数の別個の伝送ストリームを生成すること、すなわち、択一選択可能な複数のビデオ・エレメンタリ・ストリームの各々を、複数のオーディオ・エレメンタリ・ストリームとグラフィック・エレメンタリ・ストリームとの同一の組と組み合わせることにより、回避される。再生中においては、所望の観察角度と関連付けられた1つのみの伝送ストリームが読み出され、かつ選択されたオーディオ・ストリームおよびグラフィック・ストリームのみが復号される。すなわち、オーディオおよびグラフィックに関する情報は、複数回記録される(択一選択可能なビデオ・エレメンタリ・ストリームの個数と同じ回数だけ)。このアプローチの1つの欠点は、すべての観察角度に対してオーディオおよびグラフィック情報が同一である場合に、記憶スペースが無駄に使用される点である。
【0016】
原理上、択一選択可能な各伝送ストリームを、1個の連続した記録として記憶し、異なる伝送ストリームが、物理的に異なるディスク部分に記録されるようにすることが可能である。ユーザーが再生開始時においてのみ選択を行うことができる場合には、この形態で十分である。しかしながら、マルチアングル・ビデオでは、ユーザーは、任意の所望の瞬間において、1つの観察角度から、他の観察角度のうちの任意のものに変更を行うことができる可能性を与えられている。この変更は、再生中において、現在の伝送ストリーム中の現在の読出位置から、ユーザーが選択した伝送ストリーム内の対応の読出位置へのジャンプを伴う。連続的なプレゼンテーションを保障するためには非常に大きなビデオバッファを必要とするほど、ここで必要なジャンプ距離は大きな距離となる。また、ユーザーが自分の選択を入力する(たとえばボタンを押す)時と、システムが1つの観察角度から別の観察角度へとプレゼンテーション内容を変更することにより反応する時との間の時間は、比較的長いので、耐えられなくなったユーザーが再びボタンを押してしまうことも考えられる。
【0017】
これらの問題を回避するため、上記のDVD−VIDEO規格は、異なる複数の伝送ストリームのインターリーブ記録を提示している。より具体的にいうと、各伝送ストリームは、比較的小さな伝送ストリーム片(角度ブロックと呼ばれる)に分割され、異なる複数の伝送ストリームの角度ブロックが、1つのストリーム内にインターリーブ配置される。この形態は、図1に模式的に描かれている。この図1には、図解用の例として3つの異なる観察角度でムービーが記録された、記録担体(光ディスク)のトラックの一部のコンテンツが示されている。記録担体は、3つの異なる情報ストリームTS1、TS2、TS3を含んでいる。
【0018】
各情報ストリームは、角度ブロックAB1(i)、AB2(i)、AB3(i)に分割される。ここで、添数iは表示順序を示している。3つの角度ブロックAB1(i)、AB2(i)、AB3(i)の組合せは、インターリーブ単位IU(i)として示されている。それぞれの角度ブロックABj(i)(j=1−3)は、1つのビデオ・エレメンタリ・ストリームVSj(i)と、複数のオーディオ・エレメンタリ・ストリームASj,k(i)およびグラフィック・エレメンタリ・ストリームGSj,m(i)とが、多重化されたものを含んでいる。この例では、k=1−2、m=1−3である。1つのインターリーブ単位IU(i)内において、それぞれの角度ブロックABj(i)の3つのオーディオ・エレメンタリ・ストリームASj,k(i)は互いに異なるものであってもよく、また、それぞれの角度ブロックABj(i)の3つのグラフィック・エレメンタリ・ストリームGSj,m(i)も互いに異なるものであってもよい。
【0019】
ここで、ユーザーがバージョン2のムービーを視聴しており、その第2のムービーバージョンと関連付けられた、第2のオーディオ・ストリームAS2,2と第3のグラフィック・ストリームGS2,3とを選択したものと仮定する。ディスクドライブは、インターリーブ単位IU(i)について角度ブロックAB2(i)を読み出し、この角度ブロックの終点において、次のインターリーブ単位IU(i+1)内にある、同一の伝送ストリームTS2の次の角度ブロックAB2(i+1)の始点にジャンプする。こうして、伝送ストリームTS2の全体がディスクから読み出され、対応のビデオ・ストリームVS2、選択されたオーディオ・ストリームAS2,2、および選択されたグラフィック・ストリームGS2,3が、復号されディスプレイされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
a]上記の従来技術の記録方法の1つの欠点は、それぞれの角度ブロックが、その全長に亘って読出しおよびディスプレイされなくてはならないという事実に関連する。観察角度の変更は、角度ブロック間の境界においてのみ許容される。
【0021】
b]上記の従来技術の記録方法の別の1つの欠点は、角度ブロックの長さが、いくつかの相対する要請の間のトレードオフであるという事実に関連する。
【0022】
b.1]角度ブロックが非常に短い場合には、それらの角度ブロックのコンテンツは、ジャンプ動作全体の間に亘って表示を保障するのに十分な量の情報で表示バッファを満たすには不十分となるので、シームレスなプレゼンテーションが危うくなるかもしれない。
【0023】
b.2]また、通常の再生時(すなわち角度を変更しない再生時)において、ディスクドライブは、同一の伝送ストリームTSjの、1つの角度ブロックABj(i)から次の角度ブロックABj(i+1)へと、定期的にジャンプを行わなくてはならない。ジャンプはノイズを伴い、システムの信頼性を低下させるので、ジャンプの頻度を減らすことが望ましい。
【0024】
b.3]さらに、それぞれの角度ブロックは、ファイルシステムテーブル内においてある範囲(すなわちディスク領域)を構成するので、短い範囲が多数となることは、ファイルシステムテーブルのサイズを増大させる。
【0025】
上記の側面[b.1]−[b.3]は、角度ブロックの長さを増大させることが望ましいことを説明する。しかしながら、角度ブロックの長さを増大させることは、別の問題を導入する。
【0026】
b.4]角度ブロックの長さが増大させられると、ジャンプ距離もまた増大する。通常の再生動作中においては、定期的なジャンプはすべてLn=(N−1)×Lbの長さを有する。ここで、Lbは角度ブロックの長さを表し、Nは1つのインターリーブ単位内にある角度ブロックの数(すなわちビデオ・ストリームの数)を表す。観察角度を変更する場合には、ジャンプは、最大Lm=2(N−1)×Lbの長さを有する。ジャンプは相応の時間を必要とし、ジャンプが長いほど、必要とされる時間も長くなる。ジャンプ中においては、ディスクは読み出されず、ディスプレイは、データバッファからのデータ読出しによりデータの供給を受ける。より長いジャンプに対しては、より大きなデータバッファが必要とされる。
【0027】
b.5]また、角度ブロックの長さが増大させられると、反応時間もまた増大する。反応時間とは、ユーザーが選択ボタンを押した時と、システムが新たな角度での表示を開始するときとの間の時間を意味する。ユーザーがボタンを押した瞬間の後、新たな角度における読出し、復号および表示が開始可能となるまでの間において、ディスクドライブは、現在の角度ブロックの読出しを継続し、そして長いジャンプを実行しなくてはならない。
【0028】
本発明の1つの重要な目的は、上記の欠点の少なくとも1つを、克服または少なくとも軽減することである。
【課題を解決するための手段】
【0029】
本発明の1つの重要な側面によれば、角度ブロック内の予め規定された位置において、角度の変更が許される。これらの予め規定された位置は、ディスクドライブのメモリ内に記憶されたテーブル内、ディスクの予め規定された記憶場所に記憶されたテーブル内、またはムービーのヘッダ内に記憶されたテーブル内に示されていてもよい。
【0030】
その結果、上記のb.5の問題を生じさせることなく、角度ブロックの長さとして、上記のb.1、b.2、b.3の問題を克服するようなより長い長さを選択することが、より容易に可能となる。
【0031】
100μmを超えない半径方向ジャンプ距離を有するジャンプについては、ジャンプ時間は実質的に等しくなる。そのため、単位あたりの角度ブロックの数との組合せにおいて、角度ブロックの長さが、半径方向ジャンプ距離が100μmを越えないように選択された値に増大させられると、上記の問題b.4は、より深刻にはならない。角度ブロックの長さと、単位あたりの角度ブロックの数との組合せが、100μmを超える半径方向ジャンプ距離をもたらすような組合せである場合には、ジャンプの回数が可能な限り少なくなるような最適化が好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】現行技術によるマルチアングル情報のインターリーブ記録を図解するため、記録担体のトラックの一部を示した模式図
【図2】光ディスクの模式図
【図3】本発明の1つの好ましい実施形態によるマルチアングル情報のインターリーブ記録を図解するため、記録担体のトラックの一部を示した模式図
【図4】オーディオ/ビデオ再生システムの1つの実施形態を概略的に示したブロック図
【図5A】通常の再生処理中における時間の関数として、光ヘッドの位置を概略的に示したタイミング図
【図5B】通常の再生処理中における、ディスクドライブ装置の動作タイミングを概略的に示したタイミング図
【図6A】観察角度の変更処理中における時間の関数として、光ヘッドの位置を概略的に示したタイミング図
【図6B】観察角度の変更処理中における、ディスクドライブ装置の動作タイミングを概略的に示したタイミング図
【図6C】1つの動作モードを図解したタイミング図
【図6D】図6Cとは異なる1つの動作モードを図解したタイミング図
【図7】観察角度の変更処理中における時間の関数として、本発明に従う、光ヘッドの位置を概略的に示したタイミング図
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の上記およびその他の側面、特徴および利点を、図面を参照しながらさらに説明する。図中において、同一の参照番号は、同一または類似の部分を示している。
【0034】
図2は、本発明が関係する記録担体の好適例として、光ディスク2、より具体的にはBDディスクを示した模式図である。このディスク2は、トラック3を有する。トラック3は、図2では一続きの螺旋形状のトラックとして示されているが、これに代えて、互いに同心円である複数の円形トラック部分からなるものであってもよい。トラック3は、マルチアングル・ムービーMの記録を含んでいる。この例では、マルチアングル・ムービーMは、動画の3つの択一選択可能なバージョンVS1、VS2、VS3、グラフィック画像の3つのバージョンGS1、GS2、GS3、およびオーディオ信号の2つのバージョンAS1、AS2を伴っている。
【0035】
図3は、トラック3の一部を示した模式図である。この例では、動画の3つの択一選択可能なバージョンVS1、VS2、VS3、グラフィック画像の3つのバージョンGS1、GS2、GS3、およびオーディオ信号の2つのバージョンAS1、AS2は、多重化されたビデオ/オーディオ/グラフィック・ストリームとして記録されている。マルチアングル・ムービーのストリームは、互いに等しいプレゼンテーション期間を有する複数のインターリーブ単位IUに分割されている。各インターリーブ単位IU(i)は、予め決められた再生時間量に対応する。各インターリーブ単位IU(i)は、以下の要素を含む。
− 上記の予め決められた再生時間量に対応する長さを有する、第1の角度ブロックAB1(i)、
− 上記の予め決められた再生時間量に対応する長さを有する、第2の角度ブロックAB2(i)、および
− 上記の予め決められた再生時間量に対応する長さを有する、第3の角度ブロックAB3(i)。
【0036】
それぞれの角度ブロックABj(i)は、以下の要素を含む。
− 第1のオーディオ・エレメンタリ・ストリームAS1の一部分であって、上記の予め決められた再生時間量に対応する長さを有する部分ASj,1(i)、
− 第2のオーディオ・エレメンタリ・ストリームAS2の一部分であって、上記の予め決められた再生時間量に対応する長さを有する部分ASj,2(i)、
− 第1のグラフィック・エレメンタリ・ストリームGS1の一部分であって、上記の予め決められた再生時間量に対応する長さを有する部分GSj,1(i)、
− 第2のグラフィック・エレメンタリ・ストリームGS2の一部分であって、上記の予め決められた再生時間量に対応する長さを有する部分GSj,2(i)、
− 第3のグラフィック・エレメンタリ・ストリームGS3の一部分であって、上記の予め決められた再生時間量に対応する長さを有する部分GSj,3(i)、および
− j番目の角度のビデオ・エレメンタリ・ストリームVSjの一部分であって、上記の予め決められた再生時間量に対応する長さを有する部分VSj(i)。
【0037】
図3の例では、本発明は、現行技術に従う記録構造、すなわち、図1に図示したような角度ブロックを得るべく、角度ブロックABj(i)の各ビデオ部分VSj(i)が、その角度ブロックABj(i)のすべてのオーディオ部分ASj,1(i)、ASj,2(i)、およびその角度ブロックABj(i)のすべてのグラフィック部分GSj,1(i)、GSj,2(i)、GSj,3(i)と多重化された記録構造を用いて、実施されている。このような場合、角度ブロックの読出しおよび復号は、図1に関連して説明したのと類似のやり方で行われる。あるいは、オーディオ部分、グラフィック部分、およびビデオ部分が、別個のブロックとして記録されてもよい。そのような場合、オーディオブロックおよびグラフィックブロックが先に読み出され、その後、ビデオブロックが読み出される。しかしながら、そのような形態が好適ではあるが、本発明の実施に必須というわけではない。
【0038】
一方、本発明は、ビデオに加えて、オーディオおよび/またはグラフィックを含む情報ストリームに限定されるものでもない。一般化すると、本発明は、1つのタイプ(特にビデオ)の複数の択一選択可能な部分を少なくとも含むような、情報ストリームに関するものである。例として、本発明は、グラフィックを有さないサイレント・ムービーの場合にも適用可能である。
【0039】
図4は、オーディオ/ビデオ再生システム1の1つの実施形態を概略的に示したブロック図である。このオーディオ/ビデオ再生システム1は、ディスクドライブ10と、画像を表示する少なくとも1つの画面21および音声を発生させる少なくとも1つのスピーカー22を含むディスプレイ装置20とを含む。ディスクドライブ10は、本発明に従って記録された情報を含むディスク2から、情報を読み出す能力を有する。
【0040】
ディスクドライブ10は、ディスク2を回転させるためのディスクモーター4と、回転しているディスク2のトラック3を走査するための光ヘッド5とを含んでいる。アクチュエータ装置6は、光ヘッド5の正しい配置を設定する。コントローラ30は、ディスクモーター4およびアクチュエータ装置6を制御する。コントローラ30は、光読出信号SRを光ヘッド5から受信する第1の入力部31を有する。コントローラ30は、第1の出力部32において、光ヘッド5の配置を制御するための制御信号SCを発生させるように設計されている。
【0041】
コントローラ30には、オーディオバッファメモリMA、グラフィックバッファメモリMG、およびビデオバッファメモリMVが設けられている。コントローラ30にはさらに、ユーザー制御パネル11が設けられている。このユーザー制御パネル11は、ユーザーにより制御可能な入力手段(たとえばキー、スイッチ、ノブ等)を含んでおり、ユーザーが選択結果またはコマンドをコントローラ30に入力することを可能としている。そのような入力手段自体は周知であるので、図4には取り立てて示してはいない。
【0042】
前述のように、現行の技術水準においては、別の観察角度へのジャンプができる状態となるには、その前に、常に(多重化された)角度ブロック全体が読み出され表示される必要がある。本発明によれば、この制約が回避される。オーディオおよび/またはグラフィックと多重化されたビデオを含んでいるものであるか否かにかかわらず、角度ブロック内において、エントリ点が予め規定されている。これらのエントリ点は、図3では、垂直な矢印EPにより示されている。これらのエントリ点は、それより前の位置からの情報を必要とせずに、情報の読出しおよび復号を開始することが可能な位置である。したがって、各エントリ点は、GOP(Group of Pictures;ピクチャ群)の始点と一致する。好ましくは、GOPの各始点がエントリ点と一致するようにされるが、このことは必須ではない。図では、各ビデオブロックが6個のエントリ点を含んでいるものと仮定されているが、これは単なる説明のための一例である。さらに、図では、エントリ点は等間隔とされている。この等間隔とする形態は好適であるが、必須ではない。
【0043】
エントリ点EPは、ディスクドライブ10のメモリ中の、エントリ点位置テーブルEPLT内に記憶されてもよい。このテーブル中のエントリ点は、それぞれの角度の情報ストリーム内における同一の瞬間に対する位置(タイムスタンプ)を含んでいる。一方、エントリ点EPはまた、ビデオ・ストリームVSの特別なエントリ点情報ブロックEPIB内に書き込まれていてもよい。各インターリーブ単位IUに対し、対応のエントリ点情報ブロックEPIBが関連付けられる。このエントリ点情報ブロックEPIBは、インターリーブ単位IU内の予め規定された位置に、1回書き込まれてもよい。その場合、観察角度の選択とは無関係に、この予め規定された位置へのジャンプは、読出時において常に必要とされる。一方、エントリ点情報ブロックEPIBは、複数回書き込まれてもよい(すなわち、インターリーブ単位内の個々のビデオブロックAB1、AB2、AB3のそれぞれの先頭に書き込まれてもよい)。
【0044】
図3では、1つのエントリ点情報ブロックEPIBが、ムービーMの先頭に示されている。ディスクからのムービーMの読出しを開始する際、ディスクドライブ10はまず、エントリ点情報ブロックEPIBを読み出し、この情報を自己のエントリ点位置テーブルEPLT内に記憶する。ムービーMの再生中、このテーブルが参照されることとなる。
【0045】
したがって、以下では、エントリ点EPの位置が、ディスクドライブ10のメモリ中のエントリ点位置テーブルEPLTに記憶されているものと仮定する。
【0046】
以下の説明では、通常の再生動作中におけるディスクドライブ10の動作が、図5Aおよび図5Bを参照して説明される。図5Aは、図3に準拠するものであり、光ヘッド5の位置が、時間t(縦軸)の関数として示されている。図5Bは、装置1の動作のタイミングを示したタイミング図である。
【0047】
ここでは、ユーザーは、マルチアングル・ムービーMを、第2の観察角度、第1のオーディオ・ストリーム、および第2のグラフィック・ストリームを用いて視聴するという選択をしたものと仮定する。
【0048】
再生動作が、インターリーブ単位IU(i)に到達したと想定する。より具体的には、時刻t1において、光ヘッド5が第2の角度ブロックAB2(i)に到達し、コントローラ30が、ディスクから情報を読み出すために光ヘッド5を制御しているとする。読み出された情報から、この第2の角度ブロックAB2(i)の第1のオーディオ・エレメンタリ・ストリーム部分AS2,1(i)が復号され、そのコンテンツが、オーディオバッファMAに記憶される。同様にして、この第2の角度ブロックAB2(i)の第2のグラフィック・エレメンタリ・ストリーム部分GS2,2(i)が復号され、そのコンテンツが、グラフィックバッファMGに記憶される。さらに同様にして、第2の角度のビデオ・エレメンタリ・ストリーム部分VS2(i)が復号され、そのコンテンツが、ビデオバッファMVに記憶される。
【0049】
時刻t6において、ビデオバッファMV内のデータ量が少なくとも1つの画像に対応するデータ量になると直ちに、表示を開始することができるようになる。コントローラ30は、ビデオバッファMVからビデオ情報を、グラフィックバッファMGからグラフィック情報を、かつオーディオバッファMAからオーディオ情報を読み出し、対応の画像および音声信号を、ディスプレイ装置20に供給する。
【0050】
t5からt7までの期間中、バッファメモリMA、MGおよびMVは、AB2からのデータを読み出すことにより、満杯状態に保持される。
【0051】
時刻t7において、光ヘッド5が第2の角度ブロックAB2(i)の終端に到達すると、コントローラ30は、次のインターリーブ単位IU(i+1)の第2の角度ブロックAB2(i+1)の開始位置にジャンプするように光ヘッドを制御し、時刻t8において、次のインターリーブ単位IU(i+1)に対して、上記のプロセスが繰り返される。すなわち、第2の角度ブロックAB2(i+1)が読み出され、この第2の角度ブロックAB2(i+1)の第1のオーディオ・エレメンタリ・ストリームAS2,1(i+1)が復号されて、そのコンテンツがオーディオバッファMAに記憶され、第2の角度ブロックAB2(i+1)の第2のグラフィック・エレメンタリ・ストリームGS2,2(i+1)が復号されて、そのコンテンツがグラフィックバッファMGに記憶され、第2の角度のビデオ・エレメンタリ・ストリームVS2(i+1)が復号されて、そのコンテンツがビデオバッファMVに記憶される。次のブロックAB2(i+1)の開始位置へのジャンプ、および第2の角度のビデオ・エレメンタリ・ストリームVS2(i+1)の読出しに必要とされる、t7(i)からt6'(i+1)までの期間中は、バッファMA、MG、MVから情報を読み出すことにより、表示が続けられる。
【0052】
上記の各工程が、ムービーの持続時間全体に亘って続けられることは、当業者には自明であろう。
【0053】
以下では、ユーザーが観察角度を変更したい場合におけるディスクドライブ10の動作が、図5Aおよび図5Bに対応する、図6Aおよび図6Bを参照して説明される。
【0054】
インターリーブ単位IU(i)のt1からt7までの期間中における何らかの時刻txまでは、上記で説明したような動作が行われる。時刻txにおいて、ユーザーが、観察角度を変更するコマンド、より具体的には第3のビデオ・ストリームVS3に変更するコマンドを与えたものとする。第2の角度ブロックAB2(i)の読出しは、時刻t11において到達される次のエントリ点EPxまで継続される。この時刻t11において、コントローラ30は、同一のインターリーブ単位IU(i)の第3の角度ブロックAB3(i)における対応のエントリ点EPxにジャンプするように、光ヘッド5を制御する。さらに、時刻t12において、第3の角度ブロックAB3(i)のこのエントリ点EPxから、読出しが再開される。すなわち、第3の角度ブロックAB3(i)が読み出され、この第3の角度ブロックAB3(i)の第1のオーディオ・エレメンタリ・ストリームAS3,1(i)が復号され、そのコンテンツがオーディオバッファMAに記憶され、第3の角度ブロックAB3(i)の第2のグラフィック・エレメンタリ・ストリームGS3,2(i)が復号され、そのコンテンツがグラフィックバッファMGに記憶され、第3の角度のビデオ・エレメンタリ・ストリームVS3(i)が復号され、そのコンテンツがビデオバッファMVに記憶される。
【0055】
時刻t13において、ビデオバッファMV内の、第2の角度のビデオ・エレメンタリ・ストリーム・ブロックVS2(i)のデータが完全に表示され終わると直ちに、第3のビデオ・エレメンタリ・ストリーム・ブロックVS3(i)および第2のグラフィック・エレメンタリ・ストリームGS3,2(i)の表示が始まり、かつ第1のオーディオ・エレメンタリ・ストリームAS3,1(i)のプレゼンテーションが始まる。
【0056】
光ヘッド5が第3の角度ブロックAB3(i)の終点に到達する時刻t14まで、上記で説明したような動作が続く。時刻t14に到達すると、コントローラ30は、次のインターリーブ単位IU(i+1)の第3の角度ブロックAB3(i+1)の開始位置へとジャンプするように光ヘッド5を制御し、時刻t15において、この第3の角度ブロックAB3(i+1)の読出しが始まる。
【0057】
ここで、システムの反応時間は、ユーザーコマンドの時刻txから、第3のビデオ・ストリームVS3の表示開始時刻t13までの期間に等しいことに留意されたい。
【0058】
この点に関し、t1からt14までの期間中、ビデオバッファMV内の情報量は、比較的少ない量、すなわち数個(1または2個)のGOPのみに対応する量に維持されてもよい点に留意されたい。光ディスクからの読出しは、54Mbpsのビットレートで実行可能とされている一方、ビデオバッファからの情報の読出し(リークレート)は、ディスクドライブが読出しと待機とを交互に行うように、たとえば20Mbpsのビットレートで実行可能とされている。ビデオバッファMV内のGOPの数は、インターリーブ単位IU内でのジャンプの間(t11からt12)において、表示をサポートするのに十分な数である。ジャンプの後、ビデオバッファは、新たな角度ブロックから読み出されたビデオ情報で満たされていく。
【0059】
この動作モードは、図6Cに図解されている。横軸は時間を表し、縦軸はビデオ情報を表している。縦方向の各単位は、1つのGOPを表している。曲線61は、ディスクから読み出されビデオバッファMV内に記憶されている情報を表し、曲線62は、ビデオバッファMVから読み出されている情報を表す。ディスクからの読出しは、時刻τ=0において開始される。時刻τ1において、1つのGOPがビデオバッファMV内に書込済となり、このGOPのビデオバッファMVからの読出し、復号、および表示が開始可能となる。ディスクからの読出しは、第2のGOPが読出済となる時刻τ2まで続く。その後、ディスクドライブは、第1のGOPがビデオバッファMVから読出済となる時刻τ3までアイドリング状態となり、続いて、ディスクからの読出しが再開される。
【0060】
時刻txにおいて、ディスクドライブがディスクからの読出動作をしている間に(線61a)、変更コマンドが受け取られたと想定する。上記で述べたように、読出動作は、EPxとして示す次の最初のエントリ点(新たなGOPの始点)に到達する時刻t11まで継続される。その後、時刻t12までジャンプ動作(曲線63で示す)が行われ、新たな角度ブロック内の同一のエントリ点EPxにおいて、読出動作が開始される。新たなビデオブロックの1つのGOPの読出しが完了すると直ちに、時刻t13において、新たな観察角度での表示が始まる。
【0061】
ここで、時刻txにおいてディスクドライブがアイドリング状態にあるときは、ジャンプは直ちに行われてもよく、必ずしも次のエントリ点まで待つ必要はない点に留意されたい。
【0062】
また、ビデオバッファMV内の情報量が比較的多数のGOPに対応する量となるような、光ディスクからの読出しが行われることもあり得る。その場合、ユーザーが変更コマンドを入力したときの、ビデオバッファMV内のGOPの数は、インターリーブ単位IU内でのジャンプの間(t11−t12)における表示をサポートするのに必要な数よりも多い。この動作モードは、図6Cに対応する図6Dに図解されている。
【0063】
このケースでは、ビデオバッファ内の情報量が連続的に増加するように、読出しが連続的に行われる。そのため、時刻txにおけるビデオバッファ内のGOPの数は、ジャンプの間の表示をサポートするのに十二分な数となっている。時刻txにおいて、ディスクドライブはディスクから読出しを行うプロセス中にあるが、この例では、EPxで示す次の最初のエントリ点(新たなGOPの始点)に到達するまで読み出しを続ける必要はない。その代わり、曲線64で示すように、ジャンプを直ちに実行することができる。
【0064】
まず、ジャンプが完了し、かつ1つのGOPの読み出しが終わるまでに、どれだけの時間がかかるかが計算(見積もり)される。この見積もられたジャンプ時間を、Δteで示すこととする。その後、tx+Δteの時間の後にディスプレイにより到達されるべき、次の最初のエントリ点はどれであるかが計算される(曲線62)。このエントリ点を、図6DではEPyで示すものとする。その後、新たなビデオブロック内の上記のエントリ点EPyへのジャンプが行われ、時刻t12においてこのエントリ点EPyに到達し、読み出しが開始される。新たなビデオブロックの1つのGOPの読出しが時刻t13において完了すると(あるいは、図示されているようにいくらか後の、先行するGOPがビデオバッファMVから完全に読み出されると)、新たな観察角度での表示が開始可能となる。バッファ内にある以前の角度からの残りのデータは、表示されずに除去される。
【0065】
図7は、第1のビデオ・ストリームVS1に変更するコマンドを、時刻txにおいてユーザーが与えるような、1つの変更例のケースについての、図6Aに対応する図である。このケースでは、時刻t11において、コントローラ30は、同一のインターリーブ単位IU(i)の第1の角度ブロックAB1(i)における対応のエントリ点EPxにジャンプするように、光ヘッド5を制御する。さらに、時刻t12において、第1の角度ブロックAB1(i)のこのエントリ点EPxから、読出しが再開される。第1の角度のビデオ・エレメンタリ・ストリーム・ブロックVS1(i)の復号および表示は、時刻t13において始まる。光ヘッド5が第1の角度ブロックAB1(i)の終点に到達する時刻t14では、コントローラ30は、次のインターリーブ単位IU(i+1)の第1の角度ブロックAB1(i+1)の開始位置へとジャンプするように光ヘッド5を制御し、時刻t15において、この第1の角度ブロックAB1(i+1)の読出しが始まる。
【0066】
図5Aを参照すると、通常の再生動作中において、インターリーブ単位IU(i)の再生は常に、t7からt8の1回のジャンプを伴っていることが分かる。図6Aおよび図7を参照すると、観察角度の変更の場合には、インターリーブ単位IU(i)の再生は常に、2回のジャンプ、すなわち上記と同様のジャンプとt14からt15の追加ジャンプとを伴っていることが分かる。1つの重要な利点は、ユーザーがコマンドを入力した時点(tx)と、システムが新たな観察角度を表示することにより反応する時点との間の待ち時間が、大幅に減少させられる点である。すなわち、この待ち時間は、次のエントリ点に到達し、同一のインターリーブ単位内の目標の角度ブロック中の対応のエントリ点にジャンプし、最初のビデオ画像を読み出す時間により決定されるようになる。このことは、角度ブロックの長さを実質的に増大させることを可能とし、したがって範囲の数を減少させる一方、1つのインターリーブ単位のプレゼンテーション持続時間(t6−t6')を増大させることも可能とする。通常の再生動作では、角度ブロックが読み出されている限りジャンプは必要でないので、1つのインターリーブ単位のプレゼンテーション持続時間(t6−t6')を増大させることは、ジャンプ間のプレゼンテーション期間の持続時間増大を意味する。
【0067】
ディスクドライブ10を設計する際、バッファMA、MG、MVのサイズは、ブロックサイズやビットレート等との関係において予測される、最も長いジャンプ時間に適応するように選択されるべきである。あるいは、逆に記録/再生システムを設計する際には、最大バッファサイズやビットレート等との関係において、ブロックのサイズが選択されるべきである。また、角度ブロックのサイズは、任意の所望の長さに増大させることができるが、通常の再生動作中において、スレッジを変位させる必要なしに常に光学レンズを制御することによってジャンプが可能となるように、ビデオ・ストリームの数との組合せにおいて上記のサイズを選択することが好ましい。これは、スレッジの変位は、より多くのノイズを発生させ、かつより多くの電力を消費するためである。
【0068】
以下において、数値例が示される。
【0069】
ここでは、スレッジの変位を要さない最大ジャンプ距離が、約100μmであると仮定する。さらに、トラックピッチが約330nmであり、内径側においてトラックあたりのECCブロック数が2.5であると仮定すると、最大ジャンプ距離は、750個のECCブロック分(24000個の論理ブロック分)に等しい。安全のためのマージンを導入するため、600個のECCブロック分(19200個の論理ブロック分)の最大ジャンプ距離を考える。必要な対応のジャンプ時間は、約150ミリ秒である。
【0070】
通常再生動作中においては、最大ジャンプ距離は、(m−1)個の角度ブロックに対応する。ここで、mはビデオ・ストリームの数を表す。したがって、それぞれの角度ブロックのサイズは、600/(m−1)個のECCブロック分とされ得る。このようなブロックの(ジャンプのない)プレゼンテーション持続時間は、リークレート、すなわちビデオメモリが読み出される際のビットレートに依存する。以下の表は、リークレートとmとのいくつかの組合せに対して、角度ブロックのプレゼンテーション期間を示している。ここで、リークレートとは、1つの角度ブロック内に多重化されたエレメンタリ・ストリームを含むようなストリームからのレートである。
【表1】
【0071】
太線で囲んで示す組合せの場合には、ジャンプ距離は小さく、600個のECCブロック分未満である。
【0072】
これらの組合せは、最も重要な組合せである。これは、マルチアングル・システムでは、角度の数は2または3に限られていることが多く、また、再生時間が維持されるべきなので、ビットレートも制限されていることが多いためである。
【0073】
したがって、いくつかの最も重要な状況に対しては、スレッジを動かさずに、なお1秒あたりのジャンプの数を制限するような、ジャンプ距離を実現することが可能である。
【0074】
他の組合せの場合には、より大きな角度ブロックを有することが好ましい。そのようなより長い距離は、ジャンプ中においてスレッジの変位を伴うことは否めないが、ジャンプ間のプレゼンテーション期間は、実質的に増やすことができる。
【0075】
観察角度が変更される際、(AB1(i)からABm(i+1)への)最大ジャンプ距離は、2(m−1)個の角度ブロック分となる。ここで、この最大ジャンプ距離が、約25000個のECCブロック分であると仮定する。対応のジャンプ時間は、約450ミリ秒である。通常の再生動作中においては、ジャンプは約12500個のブロック分の長さを有するものとなる。簡単のため、対応のジャンプ時間は、やはり約450ミリ秒であると仮定する。
【0076】
以下の表は、リークレートとmとのいくつかの組合せについて、プレゼンテーション期間(単位:秒)を示している。1分を超えるプレゼンテーション期間(t6−t6')が、明らかに実現可能であることが見て取れる。
【表2】
【0077】
バッファメモリのサイズに関連して、4個のビデオ・ストリームがあり、リークレートが24Mbps、最大ジャンプ時間が450ミリ秒である場合についての例を、以下に挙げる。
【0078】
ジャンプ直前のバッファのコンテンツは、1.35MB(0.45秒×3MB/秒)であるべきである。そうすれば、ジャンプの終了時において、バッファのアンダーフローがない状態となる。ここで、ディスクが54Mbpsのレートで読み出されるものと仮定すると、このバッファを満たすには、0.36秒の時間がかかる(1.35MB/(6.75−3)MB/秒)。ジャンプ同士が0.81秒離れていれば、連続的なデータフローが可能である。GOPの持続時間が0.5秒である場合には、エントリ点同士の間の最小間隔は0.5秒である。角度の変更動作同士の間においては、少なくとも2つのGOPがプレゼンテーションされるべきである。
【0079】
ここで、角度ブロック中のある位置へのジャンプの後では、ジャンプ中も表示を続けるため、ビデオバッファメモリのコンテンツが大幅に使用されている。その後、読出しが始まり、ビデオバッファメモリのコンテンツが増加する。新たなジャンプがあまりにも早く行われると、ビデオバッファメモリのコンテンツが、ジャンプ中も表示を提供するには少なすぎるという事態が生じるかもしれない。そのため、前回のジャンプの終了直後のジャンプは、避けることが賢明である。
【0080】
時間に基づいてジャンプが禁止される形態も可能である。その場合、ジャンプの終了時において、予め決められた持続時間を有するタイマーが始動させられる。タイマーのタイムアウト前に角度変更コマンドが受信されると、コントローラは、タイマーの持続時間が終了するまで待ち、その終了後の最初のエントリ点において、対応のジャンプが実行される。
【0081】
また、GOPの数に基づいてジャンプが禁止される形態も可能である。これはたとえば、ドライブが2つのGOPを読み出すと、新たなジャンプが許される状態となるような形態とされ得る。そのような場合には、ジャンプの終了時において、カウンタが始動させられる。各後続のGOPを読み出すごとに、カウンタの値が増分(または減少)させられる。角度変更コマンドが受信されると、コントローラはカウンタをチェックし、カウンタが予め決められた値に到達していれば、ジャンプが許される。あるいは、カウンタが予め決められた値に到達するまで、ジャンプが遅延させられる。
【0082】
上記の説明は、すべてのGOPがエントリ点に対応するわけではないことを示唆している。上記の例では、通常の再生動作中は、読出しは常に最初のGOPの始点から始まるので、2番目のGOPの始点は、エントリ点でないかもしれない。一方、最後のGOPの始点も、エントリ点でないかもしれない。これは、最後のGOPの終点においては、どうしてもジャンプが行われなくてはならないためである。
【0083】
本発明は、上記で説明した例示的な実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲で規定される本発明の保護範囲内において、いくつかのバリエーションおよび変更形態が可能であることは、当業者には明らかである。
【0084】
たとえば、本発明は、3つの択一選択可能なビデオ・ストリームと、2つの択一選択可能なオーディオ・ストリームと、3つの択一選択可能なグラフィック・ストリームとを有するムービーに限定されるものではない。たとえば、ムービーは、グラフィックならびに/もしくはオーディオを含まないものであってもよいし、またはオーディオ・ストリームならびに/もしくはビデオ・ストリームのみを含むものであってもよい。一方、ムービーは、3つよりも多いオーディオ・ストリームおよび/またはビデオ・ストリームを含んでいてもよい。
【0085】
また、上記では、3つの択一選択可能なビデオ・ストリームのそれぞれについて、択一選択可能なオーディオ・ストリームの数が常に等しく、かつ、3つの択一選択可能なビデオ・ストリームのそれぞれについて、択一選択可能なグラフィック・ストリームの数が常に等しい形態に関して、本発明を説明してきたが、かかる特徴は必須ではない。
【0086】
さらに、オーディオ・ストリームおよびグラフィック・ストリームがビデオ・ストリームと多重化される態様に関して、本発明を説明してきたが、かかる特徴は必須ではない。オーディオブロック、グラフィックブロックおよびビデオブロックが、ディスク上に別個に書き込まれてもよい。その場合、当業者には明白なことであるが、選択されたオーディオ・ストリーム、グラフィック・ストリームおよびビデオ・ストリームのブロックへの、追加のジャンプが必要となる。
【0087】
また、上記では、メモリへの記憶前に復号が行われる形態に関連して、本発明を説明してきた。これに代えて、符号化された形式でデータを記憶し、プレゼンテーション直前に復号を行うことも可能であり、いずれの形態にするかは本発明には無関係である。さらに、バッファメモリMA、MGおよびMVは、1つのストリームバッファメモリ内に存在していてもよいが、このことも本発明には無関係である。
【0088】
上記では、本発明に従う装置の機能ブロック図を示したブロック図を参照して、本発明を説明してきた。これらの機能ブロックの1つまたは複数は、ハードウェアとして実装され、それらの機能ブロックの機能が個々のハードウェア要素により実行されてもよいが、これらの機能ブロックの1つまたは複数が、ソフトウェアとして実装され、それらの機能ブロックの機能が、コンピュータプログラムの1つ以上のプログラムライン、またはマイクロプロセッサやマイクロコントローラ等のプログラミング可能な装置により実行されることも可能である点を理解されたい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の択一選択可能なストリームを含む情報ストリームを、前記複数の択一選択可能なストリームがインターリーブ化された形態で記録されるようにして、ブルーレイディスク上に記録する方法であって、
前記複数の択一選択可能なストリームの各々が、択一選択可能な情報ストリームのブロックに分割され、
前記情報ストリームが、連続するインターリーブ単位の連なりとして記録され、各インターリーブ単位は、前記複数の択一選択可能なストリームの各々から1つずつの対応する複数の前記択一選択可能な情報ストリームのブロックを含み、
前記複数の択一選択可能な情報ストリームのブロックの各々について、少なくとも2つのエントリ点を規定する工程をさらに含み、
前記択一選択可能な情報ストリームのブロックの長さが、前記インターリーブ単位あたりの前記択一選択可能な情報ストリームのブロックの数との組み合わせにおいて、前記ブルーレイディスクでの半径方向ジャンプ距離が100μmを超えないように選択されることを特徴とする方法。
【請求項2】
各エントリ点が、GOPの始点に対応することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記エントリ点が、ディスクドライブのメモリ内に記憶されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記エントリ点を規定する情報が、前記ブルーレイディスクの1つ以上の予め規定された記憶位置に記録されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項5】
選択的に出力される複数の択一選択可能なストリームを含む情報ストリームを含み、該複数の択一選択可能なストリームがインターリーブ化された形態で記録されたブルーレイディスクであって、
当該ブルーレイディスクのトラックが、連続するインターリーブ単位の連なりを含み、各インターリーブ単位は、前記複数の択一選択可能なストリームの各々から1つずつの対応するストリーム部分を含み、
前記ストリーム部分の各々が、複数のエントリ点を有し、
前記ストリーム部分の長さが、前記インターリーブ単位あたりの前記ストリーム部分の数との組み合わせにおいて、当該ブルーレイディスクでの半径方向ジャンプ距離が100μmを超えないように選択されることを特徴とするブルーレイディスク。
【請求項6】
1つのインターリーブ単位の、前記ストリーム部分同士の前記エントリ点が、互いに同一であることを特徴とする請求項5記載のブルーレイディスク。
【請求項7】
各エントリ点が、GOPの始点に対応することを特徴とする請求項5記載のブルーレイディスク。
【請求項8】
前記エントリ点を規定する情報をさらに含むことを特徴とする請求項5記載のブルーレイディスク。
【請求項9】
前記情報ストリームが、複数の択一選択可能な動画と、オプションとして1つ以上のオーディオ・ストリームと、オプションとして1つ以上のグラフィック・ストリームとを含む、オーディオビジュアル・ストリームであることを特徴とする請求項5記載のブルーレイディスク。
【請求項10】
請求項5記載のブルーレイディスクを読み出す方法であって、
a)前記複数の択一選択可能なストリームのうちの1つを選択する工程と、
c)1つのインターリーブ単位と関連付けられた、前記複数の択一選択可能なストリームのうちの選択された1つのストリーム部分を読み出す工程と、
d)読み出された情報をバッファメモリ内に記憶する工程と、
e)前記バッファメモリから、前記ストリーム部分を出力する工程と、
f)前記複数の択一選択可能なストリームのうちの別のストリームに変更するコマンドを受け取る工程と、
i)同一の前記インターリーブ単位内において、前記複数の択一選択可能なストリームのうちの前記別のストリームの、前記ストリーム部分のエントリ点にジャンプする工程とを含むことを特徴とする方法。
【請求項11】
前記工程f)と前記工程i)との間に、
g)現在のストリーム部分の次のエントリ点を特定する工程と、
h)前記次のエントリ点に到達するまで、前記現在のストリーム部分の読出しを続ける工程とをさらに含み、
前記工程i)が、前記同一の前記インターリーブ単位内において、前記複数の択一選択可能なストリームのうちの前記別のストリームの、前記ストリーム部分の同一のエントリ点にジャンプする工程を含んでいることを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記次のエントリ点を特定する前記工程g)が、エントリ点の位置に関する情報を含むメモリから読出しを行う工程を含んでいることを特徴とする請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記次のエントリ点を特定する前記工程g)が、エントリ点の位置に関する情報を含む、前記ブルーレイディスクの予め規定された位置を読み出す工程を含んでいることを特徴とする請求項11記載の方法。
【請求項14】
前記工程i)が、前記複数の択一選択可能なストリームのうちの前記別のストリームの、前記ストリーム部分のエントリ点に直ちにジャンプする工程を含んでいることを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項15】
前記工程f)と前記工程i)との間に、
g)ジャンプおよび1つのGOPの読出しを完了するのに必要な時間を見積もる工程と、
h)前記ジャンプおよび読出しのための見積もられた時間が経過した後にディスプレイ
により到達されるべき次の最初のエントリ点を計算する工程とをさらに含み、
前記工程i)において、該計算されたエントリ点に向かって、ジャンプが行われることを特徴とする請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記到達されるべき次の最初のエントリ点を計算する前記工程h)が、エントリ点の位置に関する情報を含むメモリから読出しを行う工程を含んでいることを特徴とする請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記到達されるべき次の最初のエントリ点を計算する前記工程h)が、エントリ点の位置に関する情報を含む、前記ブルーレイディスクの予め規定された位置を読み出す工程を含んでいることを特徴とする請求項15記載の方法。
【請求項18】
各ジャンプの終結時において、予め決められた持続時間を有するタイマーが始動させられ、
前記工程f)においてストリーム変更コマンドが受け取られた後、前記次のエントリ点は、前記タイマーのタイムアウト後の最初のエントリ点として特定されることを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項19】
各ジャンプの終結時において、カウンタがリセットされ、
読出中においてGOPがカウントされ、
前記工程f)においてストリーム変更コマンドが受け取られた後、前記次のエントリ点は、前記カウンタの値が予め決められた数のGOPが読み出されたことを示す値となった後の、次の最初のエントリ点として特定されることを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項20】
請求項5記載のブルーレイディスクを読み出すためのドライブであって、バッファメモリが設けられたコントローラを有し、前記コントローラが、請求項10記載の方法を実行するように構成されているドライブ。
【請求項21】
請求項20記載のドライブと、
画像を表示するための少なくとも1つの画面、および音声を発生させるための少なくとも1つのスピーカーを含む、ディスプレイ装置とを含むことを特徴とするオーディオ/ビデオ再生システム。
【請求項1】
複数の択一選択可能なストリームを含む情報ストリームを、前記複数の択一選択可能なストリームがインターリーブ化された形態で記録されるようにして、ブルーレイディスク上に記録する方法であって、
前記複数の択一選択可能なストリームの各々が、択一選択可能な情報ストリームのブロックに分割され、
前記情報ストリームが、連続するインターリーブ単位の連なりとして記録され、各インターリーブ単位は、前記複数の択一選択可能なストリームの各々から1つずつの対応する複数の前記択一選択可能な情報ストリームのブロックを含み、
前記複数の択一選択可能な情報ストリームのブロックの各々について、少なくとも2つのエントリ点を規定する工程をさらに含み、
前記択一選択可能な情報ストリームのブロックの長さが、前記インターリーブ単位あたりの前記択一選択可能な情報ストリームのブロックの数との組み合わせにおいて、前記ブルーレイディスクでの半径方向ジャンプ距離が100μmを超えないように選択されることを特徴とする方法。
【請求項2】
各エントリ点が、GOPの始点に対応することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記エントリ点が、ディスクドライブのメモリ内に記憶されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記エントリ点を規定する情報が、前記ブルーレイディスクの1つ以上の予め規定された記憶位置に記録されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項5】
選択的に出力される複数の択一選択可能なストリームを含む情報ストリームを含み、該複数の択一選択可能なストリームがインターリーブ化された形態で記録されたブルーレイディスクであって、
当該ブルーレイディスクのトラックが、連続するインターリーブ単位の連なりを含み、各インターリーブ単位は、前記複数の択一選択可能なストリームの各々から1つずつの対応するストリーム部分を含み、
前記ストリーム部分の各々が、複数のエントリ点を有し、
前記ストリーム部分の長さが、前記インターリーブ単位あたりの前記ストリーム部分の数との組み合わせにおいて、当該ブルーレイディスクでの半径方向ジャンプ距離が100μmを超えないように選択されることを特徴とするブルーレイディスク。
【請求項6】
1つのインターリーブ単位の、前記ストリーム部分同士の前記エントリ点が、互いに同一であることを特徴とする請求項5記載のブルーレイディスク。
【請求項7】
各エントリ点が、GOPの始点に対応することを特徴とする請求項5記載のブルーレイディスク。
【請求項8】
前記エントリ点を規定する情報をさらに含むことを特徴とする請求項5記載のブルーレイディスク。
【請求項9】
前記情報ストリームが、複数の択一選択可能な動画と、オプションとして1つ以上のオーディオ・ストリームと、オプションとして1つ以上のグラフィック・ストリームとを含む、オーディオビジュアル・ストリームであることを特徴とする請求項5記載のブルーレイディスク。
【請求項10】
請求項5記載のブルーレイディスクを読み出す方法であって、
a)前記複数の択一選択可能なストリームのうちの1つを選択する工程と、
c)1つのインターリーブ単位と関連付けられた、前記複数の択一選択可能なストリームのうちの選択された1つのストリーム部分を読み出す工程と、
d)読み出された情報をバッファメモリ内に記憶する工程と、
e)前記バッファメモリから、前記ストリーム部分を出力する工程と、
f)前記複数の択一選択可能なストリームのうちの別のストリームに変更するコマンドを受け取る工程と、
i)同一の前記インターリーブ単位内において、前記複数の択一選択可能なストリームのうちの前記別のストリームの、前記ストリーム部分のエントリ点にジャンプする工程とを含むことを特徴とする方法。
【請求項11】
前記工程f)と前記工程i)との間に、
g)現在のストリーム部分の次のエントリ点を特定する工程と、
h)前記次のエントリ点に到達するまで、前記現在のストリーム部分の読出しを続ける工程とをさらに含み、
前記工程i)が、前記同一の前記インターリーブ単位内において、前記複数の択一選択可能なストリームのうちの前記別のストリームの、前記ストリーム部分の同一のエントリ点にジャンプする工程を含んでいることを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記次のエントリ点を特定する前記工程g)が、エントリ点の位置に関する情報を含むメモリから読出しを行う工程を含んでいることを特徴とする請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記次のエントリ点を特定する前記工程g)が、エントリ点の位置に関する情報を含む、前記ブルーレイディスクの予め規定された位置を読み出す工程を含んでいることを特徴とする請求項11記載の方法。
【請求項14】
前記工程i)が、前記複数の択一選択可能なストリームのうちの前記別のストリームの、前記ストリーム部分のエントリ点に直ちにジャンプする工程を含んでいることを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項15】
前記工程f)と前記工程i)との間に、
g)ジャンプおよび1つのGOPの読出しを完了するのに必要な時間を見積もる工程と、
h)前記ジャンプおよび読出しのための見積もられた時間が経過した後にディスプレイ
により到達されるべき次の最初のエントリ点を計算する工程とをさらに含み、
前記工程i)において、該計算されたエントリ点に向かって、ジャンプが行われることを特徴とする請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記到達されるべき次の最初のエントリ点を計算する前記工程h)が、エントリ点の位置に関する情報を含むメモリから読出しを行う工程を含んでいることを特徴とする請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記到達されるべき次の最初のエントリ点を計算する前記工程h)が、エントリ点の位置に関する情報を含む、前記ブルーレイディスクの予め規定された位置を読み出す工程を含んでいることを特徴とする請求項15記載の方法。
【請求項18】
各ジャンプの終結時において、予め決められた持続時間を有するタイマーが始動させられ、
前記工程f)においてストリーム変更コマンドが受け取られた後、前記次のエントリ点は、前記タイマーのタイムアウト後の最初のエントリ点として特定されることを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項19】
各ジャンプの終結時において、カウンタがリセットされ、
読出中においてGOPがカウントされ、
前記工程f)においてストリーム変更コマンドが受け取られた後、前記次のエントリ点は、前記カウンタの値が予め決められた数のGOPが読み出されたことを示す値となった後の、次の最初のエントリ点として特定されることを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項20】
請求項5記載のブルーレイディスクを読み出すためのドライブであって、バッファメモリが設けられたコントローラを有し、前記コントローラが、請求項10記載の方法を実行するように構成されているドライブ。
【請求項21】
請求項20記載のドライブと、
画像を表示するための少なくとも1つの画面、および音声を発生させるための少なくとも1つのスピーカーを含む、ディスプレイ装置とを含むことを特徴とするオーディオ/ビデオ再生システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図7】
【公開番号】特開2011−3266(P2011−3266A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−183622(P2010−183622)
【出願日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【分割の表示】特願2006−544667(P2006−544667)の分割
【原出願日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【分割の表示】特願2006−544667(P2006−544667)の分割
【原出願日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]