説明

記録媒体処理装置、記録媒体処理システム、記録媒体処理装置の制御方法、及び、プログラム

【課題】記録媒体に対する処理の効率化を図り、記録媒体に対する処理に要する時間の短縮化を実現する。
【解決手段】ホスト側制御部は、磁気ヘッド54等によって小切手4に記録された情報が読み取られた後、小切手4を第1小切手排出部7へ搬送して収納すると共に、小切手4を第1小切手排出部7へ搬送している間に情報の読み取りが成功したか否かを判別し、読み取りが成功したと判別した場合、小切手4が第1小切手排出部7に収納された状態を維持する一方、読み取りが失敗したと判別した場合、小切手4を第1小切手排出部7から第2小切手排出部8へと搬送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体を処理する記録媒体処理装置、記録媒体処理システム、当該記録媒体処理装置の制御方法、及び、当該記録媒体処理装置を制御するためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、小切手等の記録媒体上の磁気インク文字を読み取る磁気ヘッドを備え、搬送路を搬送される記録媒体の磁気インク文字(記録媒体に記録された情報)を読み取る記録媒体処理装置(小切手類読取装置)が知られている(例えば、特許文献1参照)。この種の記録媒体処理装置では、磁気インク文字の読み取り結果に応じて、自動で、処理済みの記録媒体を収納する場所を変更することにより、読み取りが成功したものと、失敗したものとを適切に管理できるようにしたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−206362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような記録媒体処理装置では、連続して多くの記録媒体の処理が行われことがある。この場合、全ての記録媒体を処理するのに要する時間が長期化するため、情報の読み取り、読み取りの成功/失敗の判別、及び、読み取りが成功した記録媒体と失敗した記録媒体との振り分けを含む処理の効率を向上し、できるだけ処理に要する時間の短縮化を図りたいとするニーズがある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、記録媒体に対する処理の効率化を図り、記録媒体に対する処理に要する時間を短縮可能な記録媒体処理装置、記録媒体処理システム、記録媒体処理装置の制御方法、及び、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、記録媒体の搬送路と、この搬送路を搬送される記録媒体に記録された情報を読み取る情報読取部と、前記情報読取部による情報の読み取りの結果の正/不正を判別する判別部と、前記搬送路上で前記情報読取部の下流に設けられ、記録媒体を収納可能な第1収納部と、この第1収納部の下流に設けられ、記録媒体を収納可能な第2収納部と、前記第1収納部から前記第2収納部へ記録媒体を搬送する収納部間搬送部と、前記情報読取部によって記録媒体に記録された情報を読み取り、当該記録媒体を前記第1収納部へ搬送すると共に、当該記録媒体を前記第1収納部へ搬送している間に前記判別部により前記情報読取部による情報の読み取りの結果の正/不正を判別し、読み取りの結果が正と判別した場合、当該記録媒体を前記第1収納部に収納する一方、読み取りの結果が不正と判別した場合、前記収納部間搬送部により当該記録媒体を前記第1収納部から前記第2収納部へと搬送する制御部と、を備えることを特徴とする。
この構成によれば、情報読取部によって記録媒体に記録された情報が読み取り、記録媒体が第1収納部へ搬送すると共に、当該搬送中に読み取りの結果の正/不正が判別され、正の場合は、第1収納部に収納すると共に、不正の場合に第1収納部から第2収納部へ搬送される。ここで、従来は、情報読取部によって情報が読み取られた後、読み取り結果の正/不正が判別され、この判別結果がでて初めて判別結果に基づいて記録媒体を第1収納部に収納すべきか第2収納部に収納すべきか判別し、この判別結果に基づいて、記録媒体を第1収納部又は第2収納部のいずれかに搬送できるようにするための機構を作動させた上で、記録媒体をいずれかの収納部に搬送して収納していた。上記構成では、従来と比較して、読み取り結果の正/不正の判別結果を待つ待ち時間や、記録媒体を第1収納部又は第2収納部のいずれかに搬送できるようにするための機構の作動に要する時間が不要となり、処理効率が向上し、処理に要する時間の短縮化を図ることができる。
【0006】
ここで、上記発明の記録媒体処理装置であって、前記収納部間搬送部の少なくとも一部は、前記第1収納部内に配置することが好ましい。
この構成によれば、第1収納部に搬送している間に読み取り結果の正/不正の判別し、不正の場合は、引き続き第2収納部へ搬送できる。
【0007】
また、上記発明の記録媒体処理装置であって、前記情報読取部は、記録媒体に記録された磁気インク文字を読み取る磁気インク文字読取部と、情報に係る画像を光学的に読み取る光学情報読取部とのうち少なくとも一方を備え、前記制御部は、前記情報読取部によって記録媒体に記録された磁気インク文字又は情報に係る画像を読み取り、当該記録媒体を前記第1収納部へ搬送すると共に、当該記録媒体を前記第1収納部へ搬送している間に、前記判別部によって前記情報読取部による前記磁気インク文字又は情報に係る画像の読み取りが成功したか否かを判別し、読み取りが成功したと判別した場合、当該記録媒体を前記第1収納部に収納する一方、読み取りが失敗したと判別した場合、前記収納部間搬送部により当該記録媒体を前記第1収納部から前記第2収納部へと搬送するようにしてもよい。
この構成によれば、情報読取部によって記録媒体に記録された情報を読み取り、記録媒体を第1収納部へ搬送すると共に、当該搬送中に磁気インク文字又は情報に係る画像の読み取りが成功したか否かが判別され、成功の場合は、第1収納部に収納すると共に、失敗の場合に、前記収納部間搬送部により第1収納部から第2収納部へ搬送される。このため、磁気インク文字又は情報に係る画像の読み取り結果に応じて、記録媒体を第1収納部及び第2収納部のいずれかに適切に振り分けた上で、処理効率の向上、及び、処理に要する時間の短縮化を図ることができる。
【0008】
また、上記発明の記録媒体処理装置であって、前記第1収納部の上流に設けられ、前記搬送路を搬送される記録媒体の画像を光学的に読み取る光学画像読取部を備え、前記制御部は、前記情報読取部によって記録媒体に記録された情報を読み取り、当該記録媒体を前記第1収納部へ搬送すると共に、当該記録媒体を前記第1収納部へ搬送している間に前記判別部により前記情報読取部による情報の読み取りの結果の正/不正を判別すると共に、前記光学画像読取部により読み取られた画像の処理を行うようにしてもよい。
この構成によれば、記録媒体を第1収納部に搬送している間に、情報の読み取り結果の正/不正と併せて、光学画像読取部によって読み取った画像の処理が実行されるため、光学画像読取部によって読み取った画像の処理に起因する待ち時間が発生することを防止でき、処理効率の向上、及び、処理に要する時間の短縮化を図ることができる。
【0009】
また、上記目的を達成するために、本発明は、記録媒体の搬送路と、この搬送路を搬送される記録媒体に記録された情報を読み取る情報読取部と、前記搬送路上で前記情報読取部の下流に設けられ、記録媒体を収納可能な第1収納部と、この第1収納部の下流に設けられ、記録媒体を収納可能な第2収納部と、前記第1収納部から前記第2収納部へ記録媒体を搬送する収納部間搬送部を備える記録媒体処理装置と、この記録媒体処理装置に接続され、前記記録媒体処理装置を制御する制御装置と、を備える記録媒体処理システムであって、前記制御装置は、前記記録媒体処理装置を制御しながら、前記情報読取部によって読み取った記録媒体に記録された情報を取得し、当該記録媒体を前記第1収納部へ搬送している間に、前記取得した情報の正/不正を判別し、正と判別した場合、当該記録媒体を前記第1収納部に収納する一方、不正と判別した場合、前記収納部間搬送部により当該記録媒体を前記第1収納部から前記第2収納部へと搬送することを特徴とする。
この構成によれば、情報読取部によって読み取った記録媒体に記録された情報を取得した後、記録媒体を第1収納部へ搬送中に取得した情報の正/不正を判別し、正の場合は、第1収納部に収納すると共に、不正の場合に第1収納部から第2収納部へ搬送する。ここで、従来は、情報読取部によって情報が読み取られた後、読み取り結果の正/不正が判別され、この判別結果がでて初めて判別結果に基づいて記録媒体を第1収納部に収納すべきか第2収納部に収納すべきか判別し、この判別結果に基づいて、記録媒体を第1収納部又は第2収納部のいずれかに搬送できるようにするための機構を作動させた上で、記録媒体をいずれかの収納部に搬送して収納していたが、上記構成では、従来と比較して、読み取り結果の正/不正の判別結果を待つ待ち時間や、記録媒体を第1収納部又は第2収納部のいずれかに搬送できるようにするための機構の作動に要する時間が不要となり、処理効率が向上し、処理に要する時間の短縮化を図ることができる。
【0010】
また、上記目的を達成するために、本発明は、記録媒体の搬送路と、この搬送路を搬送される記録媒体に記録された情報を読み取る情報読取部と、前記搬送路上で前記情報読取部の下流に設けられ、記録媒体を収納可能な第1収納部と、この第1収納部の下流に設けられ、記録媒体を収納可能な第2収納部と、前記第1収納部から前記第2収納部へ記録媒体を搬送する収納部間搬送部を備える記録媒体処理装置を制御して、前記情報読取部によって記録媒体に記録された情報を読み取り、当該記録媒体を前記第1収納部へ搬送すると共に、当該記録媒体を前記第1収納部へ搬送している間に、前記情報読取部による情報の読み取りの結果の正/不正を判別し、読み取りの結果が正と判別した場合、当該記録媒体を前記第1収納部に収納する一方、読み取りの結果が不正と判別した場合、前記収納部間搬送部により、当該記録媒体を前記第1収納部から前記第2収納部へと搬送することを特徴とする。
この制御方法によれば、情報読取部によって記録媒体に記録された情報を読み取り、記録媒体を第1収納部へ搬送すると共に、当該搬送中に読み取りの結果の正/不正が判別され、正の場合は、第1収納部に収納すると共に、不正の場合に第1収納部から第2収納部へ搬送する。ここで、従来は、情報読取部によって情報が読み取られた後、読み取り結果の正/不正が判別され、この判別結果がでて初めて判別結果に基づいて記録媒体を第1収納部に収納すべきか第2収納部に収納すべきか判別し、この判別結果に基づいて、記録媒体を第1収納部又は第2収納部のいずれかに搬送できるようにするための機構を作動させた上で、記録媒体をいずれかの収納部に搬送して収納していたが、上記構成では、従来と比較して、読み取り結果の正/不正の判別結果を待つ待ち時間や、記録媒体を第1収納部又は第2収納部のいずれかに搬送できるようにするための機構の作動に要する時間が不要となり、処理効率が向上し、処理に要する時間の短縮化を図ることができる。
【0011】
また、上記目的を達成するために、本発明は、記録媒体の搬送路と、この搬送路を搬送される記録媒体に記録された情報を読み取る情報読取部と、前記搬送路上で前記情報読取部の下流に設けられ、記録媒体を収納可能な第1収納部と、この第1収納部の下流に設けられ、記録媒体を収納可能な第2収納部と、前記第1収納部から前記第2収納部へ記録媒体を搬送する収納部間搬送部を備える記録媒体処理装置を制御する制御部により実行されるプログラムであって、前記制御部を、前記情報読取部によって記録媒体に記録された情報を読み取り、当該記録媒体を前記第1収納部へ搬送すると共に、当該記録媒体を前記第1収納部へ搬送している間に、前記情報読取部による情報の読み取りの結果の正/不正を判別し、読み取りの結果が正と判別した場合、当該記録媒体を前記第1収納部に収納する一方、読み取りの結果が不正と判別した場合、前記収納部間搬送部により、当該記録媒体を前記第1収納部から前記第2収納部へと搬送する制御部として機能させることを特徴とする。
このプログラムを実行すれば、情報読取部によって記録媒体に記録された情報を読み取り、記録媒体を第1収納部へ搬送すると共に、当該搬送中に読み取りの結果の正/不正が判別され、正の場合は、第1収納部に収納すると共に、不正の場合に、前記収納部間搬送部により第1収納部から第2収納部へ搬送される。ここで、従来は、情報読取部によって情報が読み取られた後、読み取り結果の正/不正が判別され、この判別結果がでて初めて判別結果に基づいて記録媒体を第1収納部に収納すべきか第2収納部に収納すべきか判別し、この判別結果に基づいて、記録媒体を第1収納部又は第2収納部のいずれかに搬送できるようにするための機構を作動させた上で、記録媒体をいずれかの収納部に搬送して収納していたが、上記構成では、従来と比較して、読み取り結果の正/不正の判別結果を待つ待ち時間や、記録媒体を第1収納部又は第2収納部のいずれかに搬送できるようにするための機構の作動に要する時間が不要となり、処理効率が向上し、処理に要する時間の短縮化を図ることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、記録媒体に対する処理の効率化を図り、記録媒体に対する処理の短縮化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態に係る小切手処理装置の内部構造を示す説明図である。
【図2】小切手処理装置及びホストコンピューターの制御系を示すブロック図。
【図3】磁気ヘッドの検出信号波形の例を示す信号波形図である。
【図4】従来の小切手処理装置を模式的に示す図である。
【図5】ホストコンピューターの動作を示すフローチャートである。
【図6】小切手処理装置の要部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1(A)は、本実施の形態に係る小切手処理装置1の内部構造を示す図である。
小切手処理装置1は、シート状の記録媒体である小切手4に対し、小切手4に記録された磁気インク文字列4Aの読み取りや、小切手4の両面の画像の読み取り、小切手4に対する裏書きに係る所定の画像の記録等の処理を行う装置である。図1(B)に示すように、小切手4の表面4aには、金額、振出人、番号、サインなどが記載されており、その下端部分には、長辺方向に延びる磁気インク文字列4Aが記録されている。また、小切手4の裏面には、裏書き欄が形成されている。この裏書き欄に、後述する記録装置56によって、裏書きに係る所定の画像が記録される。
【0015】
図1(A)に示すように、小切手処理装置1には、上から見た場合にU形状をした細幅の垂直溝からなる小切手4の搬送路5が形成されており、この搬送路5の一方の端は広幅の垂直溝からなる小切手供給部6に連通しており、搬送路5の他方の端は収納部入口開口90を介して広幅の垂直溝からなる第1小切手排出部7(第1収納部)に繋がっており、さらに、この第1小切手排出部7は、細幅の垂直溝からなる収納部間搬送路101を介して第2小切手排出部8(第2収納部)に繋がっている。
【0016】
小切手供給部6には、小切手4を搬送路5に送り出すための小切手送り出し機構10が配置されている。小切手送り出し機構10は、繰り出しローラー11、送り出しローラー12、この送り出しローラー12に押し付けられているリタードローラー13、送り出し用モーター14、及び小切手押し付け用のホッパー15を備えている。送り出し用モーター14が駆動すると、小切手供給部6に入れた小切手4がホッパー15によって繰り出しローラー11の側に押し付けられ、この状態で、繰り出しローラー11及び送り出しローラー12が同期回転する。繰り出しローラー11によって小切手4は送り出しローラー12とリタードローラー13の間に送り込まれる。リタードローラー13には所定の回転負荷が与えられており、送り出しローラー12に直接に接触している一枚の小切手4のみが他の小切手4から分離されて搬送路5に送り出される。
搬送路5は上述したようにU形状をしており、小切手供給部6に繋がっている直線状の上流側搬送路部分21と、第1小切手排出部7に繋がっている僅かに折れ曲がった状態で延びている下流側搬送路部分23と、これらの間を繋ぐ湾曲搬送路部分22とを備えている。
【0017】
小切手供給部6から搬送路5に送り出された小切手4を当該搬送路5に沿って搬送する小切手搬送機構30は、第1〜第6搬送ローラー31〜36と、これらに押し付けられて連れ回りする第1〜第6押圧ローラー41〜46と、第1〜第6搬送ローラー31〜36を回転駆動するための搬送用モーター37とを備えている。第1〜第6搬送ローラー31〜36は同期して回転するようになっている。搬送用モーター37として、例えばステッピングモーターが用いられている。このため、ステッピングモーターを駆動するステップ数により、小切手4の搬送量を知ることができる。
第1〜第3搬送ローラー31〜33は、上流側搬送路部分21における上流端、その中程の位置、及び湾曲搬送路部分22との境界位置にそれぞれ配置されている。第4搬送ローラー34は湾曲搬送路部分22における下流側の位置に配置されている。第5搬送ローラー35及び第6搬送ローラー36は、下流側搬送路部分23における中程の位置及び下流端にそれぞれ配置されている。
【0018】
上流側搬送路部分21における第1搬送ローラー31及び第2搬送ローラー32の間には、その上流側から磁気インク文字着磁用の磁石51、表面側コンタクトイメージスキャナー52(情報読取部、光学情報読取部)、裏面側コンタクトイメージスキャナー53(情報読取部、光学情報読取部)が配置されている。表面側コンタクトイメージスキャナー52は、小切手4の表面4aの画像である表面画像を読み取る装置である。一方、裏面側コンタクトイメージスキャナー53は、小切手4の裏面の画像である裏面画像を読み取る装置である。
【0019】
また、第2搬送ローラー32及び第3搬送ローラー33の間には、磁気インク文字読取用の磁気ヘッド54(情報読取部、磁気インク文字読取部)が配置されており、磁気ヘッド54には、当該ヘッドに小切手4を押し付けるための押圧ローラー55が対峙している。
下流側搬送路部分23における第5搬送ローラー35及び第6搬送ローラー36の間には、裏書きに係る所定の画像の記録用の記録装置56が配置されている。記録装置56は、搬送路5を搬送される小切手4の裏面の適切な位置に、適切な方向で所定の画像を記録可能な、印刷ヘッドやスタンプなどを備えている。
【0020】
搬送路5には、小切手搬送制御のための各種センサーが配置されている。磁石51の手前側の位置には、送り出される小切手4の長さを検出するための用紙長検出器61が配置されている。裏面側コンタクトイメージスキャナー53と第2搬送ローラー32の間には、小切手4が重なった状態で搬送されていることを検出するための重送検出器62が配置されている。第4搬送ローラー34の手前側の位置にはジャム検出器63が配置されており、この検出器によって所定時間以上に亘って継続して小切手4が検出されている場合には、搬送路5に小切手4が詰まった紙詰まり状態になったことが分かる。第5搬送ローラー35の手間側の位置には、記録装置56によって裏書きされる小切手4の有無を検出するための印刷検出器64が配置されている。さらに、第6搬送ローラー36の下流側には、第1小切手排出部7に排出される小切手4を検出するための排出検出器65が配置されている。
【0021】
第1小切手排出部7の内部には、収納部切替部91が設けられ、この収納部切替部91は、先端切替部92と、収納部内搬送ローラー93とを備えている。先端切替部92は、上面視十字状で、垂直方向に延在する部材であり、先端切替モーター95(図2)の駆動の下、中心Cを中心として回転可能に構成されている。先端切替部92において、中心Cから90度ずつずれて径方向へ延びる4つの片96のそれぞれは、ゴム等の弾性部材によって形成されている。そして、先端切替部92が中心Cを中心として回転した場合、第1小切手排出部7の一方の壁面97に、片96の先端が接触して弾性変形しつつ、先端切替部92の回転がなされる構成となっている。
収納部内搬送ローラー93は、第1小切手排出部7において先端切替部92の下流側(収納部入口開口90と反対の側)に設けられたローラーであり、収納部内搬送モーター98(図2)の駆動に従って駆動する。収納部内搬送ローラー93に対向して、このローラーに押し付けられて連れ回りする収納部内押圧ローラー99が設けられている。
第1小切手排出部7において、収納部切替部91よりも第2小切手排出部8側には、小切手4が収納される小切手収納位置100が形成されている。本実施形態では、情報の読み取りが成功した小切手4は、この小切手収納位置100に収納される。
【0022】
また、第1小切手排出部7の端部には、収納部間搬送路101が接続され、この収納部間搬送路101を介して第1小切手排出部7と第2小切手排出部8とが連結されている。収納部間搬送路101上には、収納部間搬送路101において第1小切手排出部7から第2小切手排出部8へ向かって小切手4を搬送するための第1収納部間搬送ローラー102、第2収納部間搬送ローラー103、及び、これらローラーに押し付けられて連れ回りする第1収納部間押圧ローラー104、第2収納部間押圧ローラー105が配置されている。第1収納部間搬送ローラー102、及び、第2収納部間搬送ローラー103は、収納部間搬送モーター107の駆動に従って同期して駆動する。
本実施形態に係る小切手処理装置1は、詳細は後述するが、第6搬送ローラー36、収納部切替部91、第1収納部間搬送ローラー102、及び、第2収納部間搬送ローラー103が協働して第1小切手排出部7から第2小切手排出部8へ小切手4を搬送可能な構成となっており、これら部材が収納部間搬送部として機能する。
【0023】
図2は、小切手処理装置1の制御系を示す概略ブロック図である。
小切手処理装置1は、CPU、ROM、RAM等を備えて構成された制御部71を備えている。
制御部71には、上述した用紙長検出器61、重送検出器62、ジャム検出器63、印刷検出器64及び排出検出器65が接続されこれら検出器が検出した信号が入力される。
また、制御部71は、これら検出器から入力された検出信号に基づいて、小切手送り出し用モーター14、搬送用モーター37を駆動して小切手4を一枚ずつ搬送路5に送り出させ、送り出された小切手4を搬送路5に沿って搬送させる。
また、制御部71は、搬送用モーター37、先端切替モーター95、収納部内搬送モーター98、及び、収納部間搬送モーター107を駆動して、第1小切手排出部7から第2小切手排出部8へ小切手4を搬送する。
小切手4の搬送に伴って、表面側コンタクトイメージスキャナー52、及び、裏面側コンタクトイメージスキャナー53は、これらスキャナーのそれぞれが読み取った小切手4の両面の画像を示すデータを制御部71に出力する。
また、磁気ヘッド54は、通過する磁気インク文字列4Aによって形成される磁界の変化によって発生する起電力を検出信号として信号処理回路74に出力する。信号処理回路74は、入力された検出信号を、増幅し波形整形しデジタル信号に変換した上で、制御部71に出力する。そして、制御部71は、これら画像を示すデータ、及び、検出信号を示すデータを後述するホストコンピューター70のホスト側制御部73に送信する。
また、制御部71には、電源スイッチなどの操作スイッチを含む操作部75が接続されている。
【0024】
小切手処理装置1には、通信ケーブル72を介してホストコンピューター70が接続されている。
ホストコンピューター70は、CPU、ROM、RAM等を備えて構成されたホスト側制御部73を備えている。
このホスト側制御部73には、各種情報を表示可能な表示器73aと、キーボード、マウス等の入力デバイスが接続された操作部73bと、が接続されている。
また、ホスト側制御部73には、ハードディスクや、EEPROM等の書き換え可能に各種データを記憶する記憶部81が接続されている。記憶部81には、小切手画像データベース82が記憶されている。
小切手画像データベース82は、小切手処理装置1によって読み取られた小切手4の表面4aの表面画像を表面の画像として記憶すると共に、裏面の裏面画像を裏面の画像として記憶するデータベースである。これら小切手4の表面の画像、及び、裏面の画像は、当該小切手4に記録された磁気インク文字が示す情報と対応づけて記憶される。
本実施形態では、ホストコンピューター70のホスト側制御部73の制御の下、小切手処理装置1の制御部71が小切手処理装置1の各部を制御する。具体的には、ホスト側制御部73は、そのCPUがROMに記憶されたプログラムを実行し、制御部71に対して制御データを送信することにより、小切手処理装置1を制御する。また、本実施形態では、小切手処理装置1及びホストコンピューター70が協働して、記録媒体処理装置として機能する。
【0025】
ホストコンピューター70のホスト側制御部73は、磁気インク文字認識部110と、光学文字認識部111と、判別部112とを備えている。
磁気インク文字認識部110は、小切手処理装置1から受信した検出信号を示すデータに基づいて、磁気ヘッド54により検出された検出信号を、磁気インク文字の検出信号波形に対応するデジタルパターンを示す文字信号パターンと照合して検出信号をパターン認識し、これにより、小切手4に記録された磁気インク文字が示す情報をデータとして取得する。
【0026】
図3は、磁気ヘッド54が表面4aと対向した状態で、磁気ヘッド54により磁気インク文字列4Aの読み取りを行った場合における、磁気ヘッド54の検出信号の波形を磁気インク文字と対応させて示す信号波形図である。公知のように、磁気ヘッド54からは、その読取位置を所定の速度で通過する小切手4の磁気インク文字列4Aに含まれている各磁気インク文字に応じた特有の検出信号波形が出力される。これらの検出信号波形に対応するデジタルデータパターンを文字信号パターンとして予め記憶しておき、磁気ヘッド54によって実際に検出された検出信号波形のデジタルデータを文字信号パターンと照合することにより文字認識を行うことができる。
【0027】
光学文字認識部111は、表面側コンタクトイメージスキャナー52の検出値として、制御部71から入力されたデータに基づいて、小切手4に記録された磁気インク文字に係る画像を光学的に読み取り、これにより、磁気インク文字が示す情報をデータとして取得する。
本実施形態に係るホスト側制御部73は、磁気インク文字認識部110及び光学文字認識部111を備えているが、ユーザーは、いずれか一方の認識部を利用するか、また、両方の認識部を利用するかを事前に指示することができる。
【0028】
判別部112は、磁気インク文字認識部110によって磁気インク文字の認識を行うことが指示されている場合には、この磁気インク文字認識部110による磁気インク文字を構成する全ての文字についての認識が成功したか否かを判別し、また、光学文字認識部111によって磁気インク文字の認識を行うことが指示されている場合には、この光学文字認識部111による磁気インク文字の認識が成功したか否かを判別する。
なお、以下の説明において、磁気インク文字認識部110による磁気インク文字の認識、及び、光学文字認識部111による磁気インク文字に係る画像の光学的認識を総称して、小切手4に記録された情報の読み取りと表現することがあるものとする。
また、「情報読取部による情報の読み取りの結果が正」とは、磁気インク文字認識部110及び/又は光学文字認識部111によって磁気インク文字を構成する全ての文字の認識が成功(=小切手4に記録された情報の読み取りが成功)したことをいう。
本実施形態に係る小切手処理装置1では、詳細は後述するが、判別部112によって小切手4に記録された情報の読み取りが成功したと判別された場合は、当該小切手4が第1小切手排出部7に排出されて収納され、一方、判別部112によって小切手4に記録された情報の読み取りが失敗したと判別された場合は、当該小切手4が第2小切手排出部8に排出されて収納される構成となっている。
【0029】
本実施形態に係る小切手処理装置1は、従来と比較して、小切手4の処理に要する時間、すなわち、小切手供給部6に供給された小切手4が搬送路5を搬送され、搬送路5を搬送されている間に、表面側コンタクトイメージスキャナー52及び裏面側コンタクトイメージスキャナー53によってその表面及び裏面の画像が読み取られ、磁気ヘッド54によって磁気インク文字が読み取られ、これらの読み取り結果に基づいて判別部112により情報の読み取りが成功したか否か判別され、この判別部112の判別結果に応じて、読み取りが成功した小切手4を第1小切手排出部7に排出、収納し、読み取りが失敗した小切手を第2小切手排出部8に排出、収納するまでの一連の処理に要する時間の短縮を図っている。
なお、以下の説明では、発明の明確化のため、記録装置56による裏書きに係る処理は行わないものとする。
【0030】
図4は、従来の小切手処理装置1aを模式的に示す図である。
図4に示すように、従来の小切手処理装置1aでは、小切手供給部6aの端部からU字状に搬送路5aが延びており、この搬送路5a上に、本実施形態に係る小切手処理装置1と同様、表面側コンタクトイメージスキャナー52a、裏面側コンタクトイメージスキャナー53a、及び、磁気ヘッド54aが配置されている。搬送路5aの端部には収納部切替機構113が接続されており、この収納部切替機構113に第1小切手排出部7aに接続された第1搬送路114と第2小切手排出部8aに接続された第2搬送路115とが接続されている。収納部切替機構113は、搬送路5aから流れてきた小切手4について、判別部112による判別に応じて、小切手4が搬送される搬送路を、第1搬送路又は第2搬送路のいずれかに切り替える機構である。
【0031】
従来の小切手処理装置1aでは、以下のような手順で小切手4に対する一連の処理が実行される。
すなわち、図4を参照して、小切手供給部6aに供給された小切手4は搬送路5aを介して収納部切替機構113に搬送される。この搬送中に、表面側コンタクトイメージスキャナー52a及び裏面側コンタクトイメージスキャナー53aによる表面及び裏面の画像が読み取り、及び、磁気ヘッド54aによる磁気インク文字の読み取りが実行される。小切手供給部6aから収納部切替機構113に至るまでの搬送には、T1時間を要する。
次いで、収納部切替機構113に小切手4が搬送されたときに、各読取装置により読み取ったデータのホストコンピューター70への出力や、判別部112による情報の読み取りの成功/失敗の判別、ホストコンピューター70による小切手画像データベース82のレコードの生成等の処理が実行される。そして、ホストコンピューター70のホスト側制御部73は、判別部112による判別結果に基づいて、収納部切替機構113を作動させて、小切手4を搬送する搬送路を第1搬送路又は第2搬送路のいずれかに切り替える。上記の各種処理や、収納部切替機構113の作動には、T2時間を要する。
次いで、収納部切替機構113から、第1小切手排出部7又は第2小切手排出部8のいずれかに小切手4が搬送され、これら排出部のいずれかに小切手4が収納された状態となる。収納部切替機構113から第1小切手排出部7又は第2小切手排出部8のいずれかに小切手4が搬送されるまでには、T3時間を要する。
このように、従来の小切手処理装置1aでは、小切手4に対する一連の処理に、(T1+T2+T3)時間要していたが、本実施形態に係る小切手処理装置1では、処理の効率化を実現し、これよりも短い時間で小切手4に対して一連の処理を実行できる構成となっている。
【0032】
図5は、ホストコンピューター70の動作を示すフローチャートである。
以下の動作において、ホストコンピューター70のホスト側制御部73は、小切手4に記録された情報の読み取り結果に応じて、小切手4が第1小切手排出部7に収納された状態を維持し、また、第1小切手排出部7から第2小切手排出部8へ小切手4を搬送する制御部として機能する。
【0033】
ホストコンピューター70のホスト側制御部73は、処理の開始が指示されたか否かを監視する(ステップSA1)。処理の開始が指示された場合(ステップSA1:YES)、ホスト側制御部73は、小切手送り出し機構10及び小切手搬送機構30を制御して、小切手供給部6に挿入された小切手4を一枚ずつ送り出し(ステップSA2)、搬送路5に沿って搬送させる(ステップSA3)。ここで、搬送される小切手4の先頭位置は、用紙長検出器61によって小切手4の先頭が検出された時点からの搬送用モーター37のステップ数により管理される。
本実施形態では、小切手4は、従来の小切手処理装置1aと異なり、搬送途中で搬送が一時的に停止されること無く、第1小切手排出部7に至るまで搬送される。
【0034】
小切手4の搬送に伴い、表面側コンタクトイメージスキャナー52及び裏面側コンタクトイメージスキャナー53によって小切手4の両面の画像が読み取られると共に、磁気ヘッド54によって小切手4に記録された磁気インク文字が読み取られ(ステップSA4)、読み取られた画像を示すデータ、及び、磁気ヘッド54が検出した信号を示すデータが、ホスト側制御部73に入力される(ステップSA5)。
ホスト側制御部73は、入力されたデータに基づいて、小切手画像データベース82のレコードを生成する。また、ホスト側制御部73の判別部112は、入力されたデータに基づいて、小切手4に記録された情報の読み取りが成功したか否かを判別する(ステップSA6)。表面側コンタクトイメージスキャナー52、裏面側コンタクトイメージスキャナー53、及び、磁気ヘッド54に読み取られた情報に係るデータのホストコンピューター70への出力や、ホストコンピューター70による小切手画像データベース82のレコードの生成、判別部112による判別等の各種処理は、小切手4の第1小切手排出部7への搬送と同時並行的に行われる。
【0035】
次いで、ホスト側制御部73は、排出検出器65の検出値、及び、第6搬送ローラー36を駆動する搬送用モーター37のステップ数に基づいて、小切手4が第1小切手排出部7における収納準備位置に至ったか否かを監視する(ステップSA7)。
【0036】
図6は、小切手処理装置1の要部を示す図である。図6では、説明の便宜のため、小切手4を拡大した状態で記載している。
図6(A)は、収納準備位置に至った状態の小切手4の様子を示している。
図6(A)に示すように、先端切替部92は、待機状態(小切手4が第1小切手排出部7へ搬送されておらず、先端切替部92の作動が停止されている状態)では、隣接する2つの片96によって形成されるV字状の溝が、収納部入口開口90に対向した状態とされる。そして、収納準備位置とは、小切手4の先端4bが隣接する2つの片96によって形成されるV字状の溝の底に当接した状態のことをいう。
なお、本実施形態では、上述したように、小切手4の搬送中に、ホストコンピューター70の判別部112による判別が実行される。このため、小切手4が収納準備位置に至る前に、小切手4に記録された情報の読み取りの成功/失敗の判別は終了している。
【0037】
ステップSA7において、小切手4が収納準備位置に至った場合(ステップSA7:YES)、ホスト側制御部73は、判別部112の判別結果に基づいて、小切手4に記録された情報の読み取りが成功したか否かを判別する(ステップSA8)。
情報の読み取りが成功した場合(ステップSA8:YES)、すなわち、小切手4を第1小切手排出部7に収納すべき場合、ホスト側制御部73は、第6搬送ローラー36と、先端切替部92との協働により、小切手4を第1小切手排出部7に収納する(ステップSA9)。
【0038】
図6(B)は、ステップSA9の動作を説明するための、小切手処理装置1の要部を示す図である。
ステップSA9において、ホスト側制御部73は、第6搬送ローラー36を回転して小切手4を第1小切手排出部7へ向かって搬送しつつ、中心Cを中心として先端切替部92を時計回りに回転させる。これにより、小切手4の先端4bが、先端切替部92によって、第1小切手排出部7における小切手収納位置100に案内され、図6(B)の矢印Y1に示すように小切手4が小切手収納位置100へ向かって移動し、小切手収納位置100に小切手4が収納される。
ここで、小切手4が収納準備位置に至るまでの作動と、小切手4が収納準備位置から小切手収納位置100に至るまでの作動は、小切手4が収納準備位置に至ったときに小切手4の搬送が一時的に停止されることなく、連続一体的に行われる。このため、先端切替部92が存在せず小切手4を単純に第1小切手排出部7に搬送して収納する場合と、先端切替部92が存在しこの先端切替部92を利用して小切手4を収納準備位置に導いた上で、小切手4を第1小切手排出部7に収納する場合との2つの場合について、小切手4の先端4bが収納部入口開口90を通過してから当該小切手4が第1小切手排出部7に収納されるまでに要する時間を比較した場合、ほぼ同一の時間となる。このように、本実施形態では、小切手4が収納準備位置に至ったときに小切手4の搬送を一時的に停止することなく、先端切替部92を作動して小切手4を収納準備位置に導いているが、これは、小切手4が第1収納部へ搬送されている間に判別部112による判別が実行され、これにより小切手4が収納準備位置に至ったときには判別部112による判別の結果が出力されているため実現できる。
【0039】
一方、ステップSA8において、情報の読み取りが失敗した場合(ステップSA8:NO)、すなわち、小切手4を第2小切手排出部8に収納すべき場合、ホスト側制御部73は、第6搬送ローラー36、先端切替部92、収納部内搬送ローラー93、第1収納部間搬送ローラー102、及び、第2収納部間搬送ローラー103を協働させて、小切手4を第2小切手排出部8に収納する(ステップSA10)。
【0040】
図6(C)は、ステップSA10の動作を説明するための、小切手処理装置1の要部を示す図である。
ステップSA10において、ホスト側制御部73は、第6搬送ローラー36を回転して小切手4を第1小切手排出部7へ向かって搬送しつつ、中心Cを中心として先端切替部92を反時計回りに回転させる。これにより、図6(C)の矢印Y2に示すように、小切手4の先端4bは第1小切手排出部7の壁面97に沿って、収納部間搬送路101へ向かって移動し、収納部内搬送ローラー93と、収納部内押圧ローラー99とに挟持される。そして、収納部内搬送ローラー93の駆動に応じて、小切手4の先端4bは、収納部間搬送路101内へ進入し、第1収納部間搬送ローラー102、及び、第2収納部間搬送ローラー103の駆動に応じて、収納部間搬送路101上を第2小切手排出部8へ向かって搬送され、第2小切手排出部8に収納される。
なお、小切手4が収納準備位置に至ってから、当該小切手4が第2小切手排出部8へ搬送され、収納されるまでには、時間T4を要する。
【0041】
ここで、小切手4が第1小切手排出部7に収納される場合に、小切手4に対する一連の処理に要する時間について説明する。
本実施形態では、上述した従来の小切手処理装置1aの様に、小切手4に記録された情報の読み取りの成功/失敗の判別等を含む処理、及び、収納部切替機構113の作動のために小切手4の搬送を収納部切替機構113において一時停止する必要が無く、従って、これら処理のために発生した時間T2が必要ない。つまり、小切手供給部6に供給された小切手4が、第1小切手排出部7に収納されるまでに要する時間が(T1+T3)時間に近い時間となり、従来の小切手処理装置1aと比較して、処理に要する時間の短縮化が実現される。
【0042】
次いで、小切手4が第2小切手排出部8に収納される場合に、小切手4に対する一連の処理に要する時間について説明する。
本実施形態では、上述した従来の小切手処理装置1aの様に、小切手4に記録された情報の読み取りの成功/失敗の判別等を含む処理、及び、収納部切替機構113の作動のために小切手4の搬送を収納部切替機構113において一時停止する必要が無く、従って、これら処理のために発生した時間T2が必要なくなるものの、第1小切手排出部7から第2小切手排出部8へと小切手4を搬送する必要が生じ、この搬送のための時間T4が必要となる。従って、従来の小切手処理装置1aと比較して、必ずしも小切手4の処理に要する時間が短縮されるとは限らない。しかしながら、小切手処理装置1の性質上、判別部112によって小切手4に記録された情報の読み取りが失敗したと判別されるケースは希であり、ほとんどの小切手4は、判別部112によって読み取りが成功したと判別され、第1小切手排出部7に収納される。このため、複数の小切手4を連続して処理することを想定した場合、本実施形態に係る小切手処理装置1aは、従来の小切手処理装置1aと比較して、全ての小切手4の処理に要する時間の短縮を実現できる。
【0043】
なお、判別部112によって小切手4に記録された情報の読み取りが失敗したと判別された場合、収納準備位置に位置する小切手4を第2小切手排出部8へ搬送するのと併せて、小切手供給部6に供給された小切手4(次に処理されるべき小切手4)に対する処理を開始する構成としてもよい。
これによれば、収納準備位置に位置する小切手4を第2小切手排出部8へ搬送する作動と同時並行的に、次の小切手4に対する処理が実行されるため、さらなる処理効率の向上を実現でき、処理に要する時間の短縮化を図ることができる。
【0044】
以上説明したように、本実施形態では、ホストコンピューター70のホスト側制御部73は、小切手4に記録された情報が読み取られた後、小切手4を第1小切手排出部7へ搬送すると共に、小切手4を第1小切手排出部7へ搬送している間に判別部112により情報の読み取りが成功したか否かを判別し、読み取りの結果が成功したと判別した場合、小切手4が第1小切手排出部7に収納する一方、読み取りの結果が失敗したと判別した場合、小切手4を第1小切手排出部7から第2小切手排出部8へと搬送する。
これによれば、従来の小切手処理装置1aと比較して、小切手4に記録された情報の読み取りの成功/失敗の判別結果を待つ待ち時間や、収納部切替機構113が作動する時間が不要となり、処理効率が向上し、処理に要する時間の短縮化を図ることができる。
【0045】
また、本実施形態に係る小切手処理装置1では、収納部間搬送部の構成要素の1つである収納部切替部91は、第1小切手排出部7に配置されている。
これによれば、第1小切手排出部7に小切手4を搬送している間に、判別部112により情報の読み取りが成功したか否かを判別し、読み取りの結果が失敗と判別した場合は、引き続き第2小切手排出部8へ小切手4を搬送でき、処理効率の向上を図ることができる。
【0046】
また、本実施形態に係る小切手処理装置1は、磁気ヘッド54、表面側コンタクトイメージスキャナー52、及び、裏面側コンタクトイメージスキャナー53を備えると共に、磁気インク文字認識部110及び光学文字認識部111を備えている。そして、ホスト側制御部73は、小切手4を第1小切手排出部7へ搬送すると共に、小切手4を第1小切手排出部7へ搬送している間に判別部112により磁気インク文字認識部110及び/又は光学文字認識部111による小切手4に記録された情報の読み取りが成功したか否かを判別し、成功した場合は、小切手4が第1小切手排出部7に収納する一方、失敗した場合、小切手4を第1小切手排出部7から第2小切手排出部8へと搬送する。
これによれば、小切手4を第1小切手排出部7へ搬送している間に磁気インク文字又は情報に係る画像の読み取りが成功したか否かが判別され、成功の場合は、第1小切手排出部7に収納された状態が維持されると共に、失敗の場合に第1小切手排出部7から第2小切手排出部8へ搬送される。このため、磁気インク文字又は情報に係る画像の読み取り結果に応じて、記録媒体を第1小切手排出部7又は第2小切手排出部8のいずれかに適切に振り分けた上で、処理効率の向上、及び、処理に要する時間の短縮化を図ることができる。
【0047】
また、本実施形態では、第1小切手排出部7の上流に、搬送路5を搬送される小切手4の画像を光学的に読み取る表面側コンタクトイメージスキャナー52及び裏面側コンタクトイメージスキャナー53が設けられている。そして、ホスト側制御部73は、これらコンタクトイメージスキャナーによって小切手4の画像を読み取った後、小切手4を第1小切手排出部7へ搬送している間に、これらコンタクトイメージスキャナーによって読み取った画像に基づいて、小切手画像データベース82のレコードを生成する。
これによれば、小切手4を第1小切手排出部7に搬送している間に、小切手画像データベースのレコードの生成に係る処理が実行されるため、当該処理に起因する待ち時間が発生することを防止でき、処理効率の向上、及び、処理に要する時間の短縮化を図ることができる。
【0048】
なお、上述した実施の形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形及び応用が可能である。
例えば、上述した実施形態では、ホストコンピューター70が小切手処理装置1を制御することによって、図5のフローチャートに示す動作が実行されていたが、これを、小切手処理装置1単独で実行できるようにしてもよい。
また、上述した実施形態に係る小切手処理装置1は、先端切替部92や、収納部内搬送ローラー93、第1収納部間搬送ローラー102、第2収納部間搬送ローラー103等をそなえ、これら装置が協働して第1小切手排出部7から第2小切手排出部8へ小切手4を搬送していたが、第1小切手排出部7から第2小切手排出部8へ小切手4を搬送する手段はこれに限らず、小切手処理装置1の仕様、大きさ等に応じて適切に設計可能である。
【符号の説明】
【0049】
1…小切手処理装置(記録媒体処理装置)、4…小切手(記録媒体)、5…搬送路、7…第1小切手排出部(第1収納部)、8…第2小切手排出部(第2収納部)、36…第6搬送ローラー(収納部間搬送部)、52…表面側コンタクトイメージスキャナー(情報読取部、光学情報読取部)、53…裏面側コンタクトイメージスキャナー(情報読取部、光学情報読取部)、54…磁気ヘッド(情報読取部、磁気インク文字読取部)、70…ホストコンピューター(記録媒体処理装置)、73…ホスト側制御部(制御部)、91…収納部切替部(収納部間搬送部)、93…収納部内搬送ローラー(収納部間搬送部)、102…第1収納部間搬送ローラー(収納部間搬送部)、103…第2収納部間搬送ローラー(収納部間搬送部)、112…判別部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体の搬送路と、この搬送路を搬送される記録媒体に記録された情報を読み取る情報読取部と、前記情報読取部による情報の読み取りの結果の正/不正を判別する判別部と、前記搬送路上で前記情報読取部の下流に設けられ、記録媒体を収納可能な第1収納部と、この第1収納部の下流に設けられ、記録媒体を収納可能な第2収納部と、前記第1収納部から前記第2収納部へ記録媒体を搬送する収納部間搬送部と、
前記情報読取部によって記録媒体に記録された情報を読み取り、当該記録媒体を前記第1収納部へ搬送すると共に、当該記録媒体を前記第1収納部へ搬送している間に前記判別部により前記情報読取部による情報の読み取りの結果の正/不正を判別し、読み取りの結果が正と判別した場合、当該記録媒体を前記第1収納部に収納する一方、読み取りの結果が不正と判別した場合、前記収納部間搬送部により当該記録媒体を前記第1収納部から前記第2収納部へと搬送する制御部と、を備えることを特徴とする記録媒体処理装置。
【請求項2】
前記収納部間搬送部の少なくとも一部は、前記第1収納部内に配置することを特徴とする請求項1に記載の記録媒体処理装置。
【請求項3】
前記情報読取部は、記録媒体に記録された磁気インク文字を読み取る磁気インク文字読取部と、情報に係る画像を光学的に読み取る光学情報読取部とのうち少なくとも一方を備え、
前記制御部は、
前記情報読取部によって記録媒体に記録された磁気インク文字又は情報に係る画像を読み取り、当該記録媒体を前記第1収納部へ搬送すると共に、当該記録媒体を前記第1収納部へ搬送している間に、前記判別部によって前記情報読取部による前記磁気インク文字又は情報に係る画像の読み取りが成功したか否かを判別し、読み取りが成功したと判別した場合、当該記録媒体を前記第1収納部に収納する一方、読み取りが失敗したと判別した場合、前記収納部間搬送部により当該記録媒体を前記第1収納部から前記第2収納部へと搬送することを特徴とする請求項1または2に記載の記録媒体処理装置。
【請求項4】
前記第1収納部の上流に設けられ、前記搬送路を搬送される記録媒体の画像を光学的に読み取る光学画像読取部を備え、
前記制御部は、
前記情報読取部によって記録媒体に記録された情報を読み取り、当該記録媒体を前記第1収納部へ搬送すると共に、当該記録媒体を前記第1収納部へ搬送している間に、前記判別部により前記情報読取部による情報の読み取りの結果の正/不正を判別すると共に、前記光学画像読取部により読み取られた画像の処理を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の記録媒体処理装置。
【請求項5】
記録媒体の搬送路と、この搬送路を搬送される記録媒体に記録された情報を読み取る情報読取部と、前記搬送路上で前記情報読取部の下流に設けられ、記録媒体を収納可能な第1収納部と、この第1収納部の下流に設けられ、記録媒体を収納可能な第2収納部と、前記第1収納部から前記第2収納部へ記録媒体を搬送する収納部間搬送部を備える記録媒体処理装置と、
この記録媒体処理装置に接続され、前記記録媒体処理装置を制御する制御装置と、を備える記録媒体処理システムであって、
前記制御装置は、前記記録媒体処理装置を制御しながら、
前記情報読取部によって読み取った記録媒体に記録された情報を取得し、当該記録媒体を前記第1収納部へ搬送している間に、前記取得した情報の正/不正を判別し、正と判別した場合、当該記録媒体を前記第1収納部に収納する一方、不正と判別した場合、前記収納部間搬送部により当該記録媒体を前記第1収納部から前記第2収納部へと搬送することを特徴とする記録媒体処理システム。
【請求項6】
記録媒体の搬送路と、この搬送路を搬送される記録媒体に記録された情報を読み取る情報読取部と、前記搬送路上で前記情報読取部の下流に設けられ、記録媒体を収納可能な第1収納部と、この第1収納部の下流に設けられ、記録媒体を収納可能な第2収納部と、前記第1収納部から前記第2収納部へ記録媒体を搬送する収納部間搬送部を備える記録媒体処理装置を制御して、
前記情報読取部によって記録媒体に記録された情報を読み取り、当該記録媒体を前記第1収納部へ搬送すると共に、当該記録媒体を前記第1収納部へ搬送している間に、前記情報読取部による情報の読み取りの結果の正/不正を判別し、読み取りの結果が正と判別した場合、当該記録媒体を前記第1収納部に収納する一方、読み取りの結果が不正と判別した場合、前記収納部間搬送部により、当該記録媒体を前記第1収納部から前記第2収納部へと搬送することを特徴とする記録媒体処理装置の制御方法。
【請求項7】
記録媒体の搬送路と、この搬送路を搬送される記録媒体に記録された情報を読み取る情報読取部と、前記搬送路上で前記情報読取部の下流に設けられ、記録媒体を収納可能な第1収納部と、この第1収納部の下流に設けられ、記録媒体を収納可能な第2収納部と、前記第1収納部から前記第2収納部へ記録媒体を搬送する収納部間搬送部を備える記録媒体処理装置を制御する制御部により実行されるプログラムであって、
前記制御部を、
前記情報読取部によって記録媒体に記録された情報を読み取り、当該記録媒体を前記第1収納部へ搬送すると共に、当該記録媒体を前記第1収納部へ搬送している間に、前記情報読取部による情報の読み取りの結果の正/不正を判別し、読み取りの結果が正と判別した場合、当該記録媒体を前記第1収納部に収納する一方、読み取りの結果が不正と判別した場合、前記収納部間搬送部により、当該記録媒体を前記第1収納部から前記第2収納部へと搬送する制御部として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−160254(P2011−160254A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−20966(P2010−20966)
【出願日】平成22年2月2日(2010.2.2)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】