説明

記録媒体排出トレイ及びそれを備えた画像形成装置

【課題】記録媒体のカールの程度に係わらず、排出される記録媒体を適正な位置に正しく積載可能な記録媒体排出トレイ及びそれを備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】用紙排出トレイ60は、排出された用紙の略前部を受ける第1トレイ面60aと、排出された用紙の略後部を受ける第2トレイ面60bと、用紙の後端を係止して整合する後壁部60cと、用紙の前端を係止して用紙排出トレイ60からの脱落を防止する前壁部60dとから構成されている。第1トレイ面60aと第2トレイ面60bとの境界付近には、収納部67に収納される第1の位置と、第2トレイ面60bから用紙排出方向下流側に突出する第2の位置とに選択配置される積載位置変更部材63が、回動軸65を支点として回動自在に支持されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ等の画像形成装置に搭載され、排出された記録媒体を保持する記録媒体排出トレイ、及びそれを備えた画像形成装置に関し、特に、記録媒体排出トレイの積載性の向上に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、レーザプリンタ等の画像形成装置には、電子写真プロセスにより所望の画像が形成された処理済みの用紙、或いは、原稿搬送装置により原稿読取部に搬送され、原稿画像の読み取りが行われた後の原稿を排出するため、用紙排出トレイが設けられている。図10は、画像が形成された処理済みの用紙の排出先として用いられる従来の用紙排出トレイの構成を示す概略断面図である。図10において、排出ローラ対61は、図示しないモータにより矢印A方向に回転し、用紙搬送路T3より搬送されてきた用紙Pを用紙排出口51より矢印B方向に排出する。
【0003】
排出された用紙Pは用紙排出トレイ60上に順次積載される。用紙排出トレイ60は、排出された用紙の略前部を受ける第1トレイ面60aと、排出された用紙の略後部を受ける第2トレイ面60bと、用紙の後端を係止して整合する後壁部60cと、用紙の前端を係止して用紙排出トレイ60からの脱落を防止する前壁部60dとから構成されている。用紙排出トレイ60は、一定の用紙積載量を確保するため、用紙排出口51から第2トレイ面60bの最下部まで段差hが設けられている。
【0004】
また、用紙排出口51から排出された用紙Pが脱落しないように、用紙排出トレイ60は通常排紙方向(図の矢印B方向)に上り勾配となるように配置されている。ここでは第2トレイ面60bを第1トレイ面60aよりも急勾配となるように配置して用紙排出トレイ60を略へ字型の屈曲形状とし、用紙を屈曲に沿って積載することにより、排出される用紙の巻きぐせ(上カール)を吸収する。また、略へ字型の屈曲形状は、用紙排出トレイ60の嵩高さを抑え、画像形成装置に搭載される際の省スペース化にも貢献する。
【0005】
このような用紙排出トレイ60においては、用紙積載量を確保するための段差hや第1トレイ面60a、第2トレイ面60bの勾配は、一定の用紙サイズや紙厚に合わせて所定寸法、所定角度に設定されている。
【0006】
しかし、例えば用紙Pがカールし易い厚紙であり、先端部が下向きに大きくカールした場合には、図11に示すように、用紙排出口51より排出される用紙Pの先端部Paが大きく撓んでしまい、先端部Paが略垂直状態或いは後壁部60c側に巻いた状態で第2トレイ面60bに当接することとなる。この状態でさらに用紙Pの後端部まで排出されると、図11のように用紙Pが反転してしまうおそれがあった。一方、段差hを小さくした場合、十分な用紙積載量を確保できないという問題点があった。
【0007】
なお、ここでは画像形成後の用紙の排出先として用いられる用紙排出トレイについて説明したが、原稿搬送装置により自動搬送された原稿の排出先として用いられる用紙排出トレイについても事情は同じである。
【0008】
用紙排出トレイ上に排出される用紙のスタック性を向上する方法としては、例えば特許文献1には、用紙の紙厚を検知する手段を設け、紙厚に応じて排出トレイの傾きを変化させることにより、用紙後端のカールや折れを解消するシート受け機構が開示されている。また、特許文献2には、用紙の先端部を支持する第1の傾斜パネルと用紙の後端部を支持する第2の傾斜パネルで構成された、上に凸のトレイを備え、排紙枚数の増加によりトレイ全体が下降するか、又は第1の傾斜パネルの勾配が変化するようにして、第1の傾斜パネル上における用紙先端の落下点をほぼ一定にできるようにした排紙スタッカが開示されている。
【0009】
さらに特許文献3には、用紙排出方向に上り勾配の第1トレイ面と、第1トレイ面の用紙排出方向下流側に隣接する第2トレイ面とを備え、第1トレイ面を用紙排出方向に延長する斜面延長部材を第1トレイ面内又は第2トレイ面内に収納可能に設けた用紙排出トレイが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平7−137915号公報
【特許文献2】特開2004−175480号公報
【特許文献3】特開2007−246281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1及び2のシート受け機構及び排紙スタッカは、いずれも構成が複雑であるとともに、用紙排出トレイの傾きを変化させる機構が必要となるため装置のコストアップに繋がるという問題点があった。
【0012】
また、特許文献3の用紙排出トレイは、斜面延長部材により第1トレイ面を用紙排出方向に延長することで小サイズ用紙の積載性を向上させることを目的としており、厚紙等のカールし易い用紙の積載性を向上させるものではなかった。
【0013】
本発明は、上記問題点に鑑み、記録媒体のカールの程度に係わらず、排出される記録媒体を適正な位置に正しく積載可能な記録媒体排出トレイ及びそれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために本発明は、排出される記録媒体の略前部を受ける第1トレイ面と、該第1トレイ面の排出方向上流側に延設され、排出される記録媒体の略後部を受ける排出方向に上り勾配の第2トレイ面と、から成る記録媒体積載面と、該記録媒体積載面に排出された記録媒体の後端を突き当てて整合する後壁部と、を備えた記録媒体排出トレイにおいて、前記第1トレイ面と前記第2トレイ面との境界近傍に回動可能に支持され、前記記録媒体積載面に凹設された収納部に収納される第1の位置と、前記第2トレイ面から記録媒体の排出方向上流側に突出する第2の位置とに選択配置される積載位置変更部材を設けたことを特徴としている。
【0015】
また本発明は、上記構成の記録媒体排出トレイにおいて、前記積載位置変更部材は、記録媒体の排出方向上流側を支点として回動可能に支持されており、前記収納部の排出方向上流側の端部に、前記積載位置変更部材を前記第2の位置に保持する保持部を形成したことを特徴としている。
【0016】
また本発明は、上記構成の記録媒体排出トレイにおいて、前記積載位置変更部材を前記第2の位置に配置したとき、前記積載位置変更部材の先端部と前記後壁部との間に隙間が形成されることを特徴としている。
【0017】
また本発明は、上記構成の記録媒体排出トレイにおいて、前記積載位置変更部材を前記第2の位置に配置したとき、前記積載位置変更部材の記録媒体通過面が記録媒体の排出方向に下り勾配となることを特徴としている。
【0018】
また本発明は、上記構成の記録媒体排出トレイが搭載された画像形成装置である。
【発明の効果】
【0019】
本発明の第1の構成によれば、積載位置変更部材を第2の位置に配置することで、カールした記録媒体の先端部が大きく撓む前に積載位置変更部材に当接するため、記録媒体は反転することなく適正な位置に順次積載される。また、積載位置の変更が不要な場合は積載位置変更部材を第1の位置に配置することで記録媒体積載面に凹設された収納部に収納できるため、積載位置変更部材をその都度装着する必要もなく、積載位置変更部材を紛失するおそれもなくなる。さらに、積載位置変更部材を第2の位置に配置したとき、積載位置変更部材上に積載される記録媒体と記録媒体積載面との間に形成される空間に手を差し入れて記録媒体を容易に取り出すことができる。
【0020】
また、本発明の第2の構成によれば、上記第1の構成の記録媒体排出トレイにおいて、積載位置変更部材の排出方向上流側を支点として回動可能に支持するとともに、収納部の排出方向上流側の端部に積載位置変更部材を第2の位置に保持する保持部を形成することにより、積載位置変更部材を支持するための複雑な機構を必要とせず、簡易な構成で積載位置変更部材を第2の位置に確実に保持することができる。
【0021】
また、本発明の第3の構成によれば、上記第1又は第2の構成の記録媒体排出トレイにおいて、積載位置変更部材を第2の位置に配置したとき、積載位置変更部材の先端部と後壁部との間に隙間が形成されることにより、積載位置変更部材上に積載される記録媒体の後端部は隙間を通って後壁部方向に垂れ下がるため、記録媒体の重心位置が後端寄りとなり、先に積載された記録媒体が次に排出されてくる記録媒体に押されて排出方向に移動し難くなり、記録媒体を安定して積載することができる。
【0022】
また、本発明の第4の構成によれば、上記第1乃至第3のいずれかの構成の記録媒体排出トレイにおいて、積載位置変更部材を第2の位置に配置したとき、積載位置変更部材の記録媒体通過面が記録媒体の排出方向に下り勾配となることにより、用紙排出口から排出された記録媒体の先端部と積載位置変更部材とが接触する角度が小さくなり、先端が大きくカールした記録媒体であっても積載位置変更部材の記録媒体通過面に沿って安定して積載することができる。
【0023】
また、本発明の第5の構成によれば、上記第1乃至第4のいずれかの構成の記録媒体排出トレイを搭載することにより、記録媒体の先端のカールの程度に係わらず、排出される記録媒体を記録媒体排出トレイ上の適正な位置に正しく積載可能な使い勝手の良い画像形成装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の用紙排出トレイが搭載された画像形成装置の内部構成を示す正面断面図
【図2】本発明の第1実施形態に係る用紙排出トレイの構成を示す斜視図
【図3】第1実施形態の用紙排出トレイを図2の矢印A方向から見た側面断面図
【図4】第1実施形態の用紙排出トレイの積載位置変更部材周辺を排出方向下流側(図3の右方向)から見た部分斜視図
【図5】第1実施形態の用紙排出トレイにおいて、積載位置変更部材を第2の位置に配置した状態を示す斜視図
【図6】第1実施形態の用紙排出トレイを図5の矢印A方向から見た側面断面図
【図7】第1実施形態の用紙排出トレイの積載位置変更部材を第2の位置に配置した状態を排出方向下流側(図6の右方向)から見た部分斜視図
【図8】本発明の第2実施形態に係る用紙排出トレイにおいて、積載位置変更部材を第1の位置に配置した状態を示す側面断面図
【図9】第2実施形態の用紙排出トレイにおいて、積載位置変更部材を第2の位置に配置した状態を示す側面断面図
【図10】従来の用紙排出トレイを用いてカールした用紙を排出する様子を示す側面図
【図11】図10の状態から用紙の後端部まで排出した状態を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の用紙排出装置が搭載された画像形成装置の内部構成を示す正面断面図である。本発明の画像形成装置100は、いわゆる胴内排出型のデジタル複写機であって、大きくは、装置本体20と、その上部に配設された画像読取部21と、よりなる。この画像読取部21には、原稿の画像を電気信号として読み取るための後述する各種機構が設けられ、他方、装置本体20には、読み取った原稿画像の電気信号に基づいて用紙に画像を転写するための後述する各種機構が設けられる。
【0026】
図1では、装置本体20は、下ハウジング20aと、その上方で左側部に沿って位置し、画像読取部21に連結される連結ハウジング20bとから構成され、下ハウジング20aには、記録媒体の一例としての用紙を給紙する給紙部や、用紙上にトナー画像を形成する画像形成部や、用紙上のトナー画像を定着するための定着部等が設けられ、他方、連結ハウジング20bには、定着後の用紙を搬送して排出するための用紙排出部が設けられている。
【0027】
また、画像読取部21の直下における連結ハウジング20bの右側方には、右側面及び正面に向けて大きく開放された胴内排紙空間22が形成されており、この胴内排紙空間22には、連結ハウジング20bの右側面から水平方向に排出される用紙を受け取って積載するための用紙排出トレイ60が設けられている。用紙排出トレイ60上に排出された用紙はトレイ面に沿って滑り落ちて後壁部(連結ハウジング20bの右側面)により後端を整合される。
【0028】
画像読取部21の上面には、透明なガラス板からなる原稿載置台(図示せず)や、正面側に表出した操作パネル26が配設されている。更に、画像読取部21の上方には、原稿載置台の画像読取位置に原稿を搬送するための原稿搬送装置27を搭載した原稿押さえ28が、画像読取部21の背面のヒンジ部によって開閉自在に支持されている。
【0029】
次に、原稿搬送装置27の構成について説明する。原稿カバー30内には、原稿搬送路dに沿って上流側から順に、ピックアップローラ32、搬送ローラ対33、レジストローラ対34、及び排出ローラ対35から成る原稿搬送手段が設けられている。これらのうちで搬送ローラ対33は、駆動ローラ33aと分離ローラ33bとから構成されていて、分離ローラ33bは回転負荷が所定トルクを上回る場合のみ駆動ローラ33aと従動回転するようになっている。
【0030】
レジストローラ対34と排出ローラ対35の間には、原稿載置台25における画像読取位置Rに対向して表出したシェーディング補正用の白基準板36と、白基準板36の背後にあって白基準板36を画像読取位置Rに向けて押圧するための原稿押圧部36aと、が設けられている。なお、原稿搬送路dは搬送ローラ対33から画像読取位置Rに至る間において反転するようにU字状に湾曲している。
【0031】
また、原稿搬送路dには、原稿の存否を検知するための複数のセンサが適所に設けられている。例えば、原稿給紙トレイ29の中央部には原稿検知センサS1が、搬送ローラ対33の下流側には給紙センサS2が、排出ローラ対35の下流側には排出センサS3が、それぞれ設けられている。
【0032】
画像読取部21は、原稿押さえ28を閉じたままで原稿搬送装置27によって原稿を自動的に搬送して読み取るシートスルー方式と、読み取る毎に原稿押さえ28を開閉して原稿載置台25上の原稿を1枚ずつ取り替える原稿固定方式の、2種類の読み取り方式が可能である。なお、前者のシートスルー方式では、画像読取部21に設けられている光学系が走査移動することなく所定位置に保持されたまま原稿の読取動作が行われ、他方、後者の原稿固定方式では、その光学系が走査移動しながら読取動作が行われる。
【0033】
次に、図1を用いてシートスルー方式の原稿搬送部27による原稿搬送動作について説明する。シートスルー方式の原稿搬送動作においては、先ず、原稿給紙トレイ29に画像面を上向きにセットされた複数枚の原稿は、ばね部材37aによって上向きに付勢されたセット原稿押さえ部材37により、所定の圧力でピックアップローラ32に押しつけられる。ここで操作パネル26のコピー開始ボタンがオンされると、一次給紙駆動手段(不図示)により、ピックアップローラ32及び搬送ローラ対33が回転駆動される。
【0034】
原稿給紙トレイ29にセットされた原稿は、ピックアップローラ32によって通常上段の複数枚が搬送ローラ対33に送られる。搬送ローラ対33に送られた複数枚の原稿は、分離ローラ33bにより最上の1枚のみが分離されてレジストローラ対34に向けて搬送される。その際、その原稿の先端が給紙センサS2によって検出されてから所定の距離だけその原稿が搬送された後、1次給紙駆動手段の作動停止によって搬送ローラ対33の駆動ローラ33a及びピックアップローラ32の回転駆動が停止され一次給紙が終了する。一次給紙された原稿は、その先端がレジストローラ対34のニップ部に押圧され、且つその先端部に撓みが形成された状態で停止させられる。
【0035】
1次給紙が終了してから所定時間経過後、二次給紙が開始される。つまり、2次給紙駆動手段(不図示)の作動により、レジストローラ対34が回転駆動される。原稿は、レジストローラ対34により、画像読取位置Rを経て排出ローラ対35に向けて搬送された後、最終的には排出ローラ対35によって原稿排紙トレイ31上に排出される。その際、排出センサS3により原稿の後端通過を検知したことによって、原稿1枚の画像読み取りの完了を検出するようになっている。
【0036】
ここで排出センサS3は、原稿の給紙搬送完了毎に原稿枚数を計数するカウント機能を有しており、原稿検知センサS1が後続の原稿を検知していれば、2枚目以降の原稿搬送が上記と同様に続行される。なお、原稿は、画像読取位置Rを通過する際に、白基準板36と原稿押圧部36aによって原稿載置台25に向けて軽く押圧されながら搬送され、その原稿の画像が画像読取位置Rを通じて読み取られるようになっている。
【0037】
続いて、画像読取部21内の構成について、図1を参照しながら以下に説明する。画像読取部21内には、原稿の画像面に向けて光を照射する光源であるランプ1と、このランプ1からの光を効率よく原稿の画像面に与えるための反射板2と、原稿反射光を直接に受けて反射させる第1ミラー3と、この第1ミラー3からの反射光を受けて反射させる第2ミラー4と、この第2ミラー4からの反射光を受けて反射させる第3ミラー5と、この第3ミラー5からの反射光を導入して集光するレンズ群(不図示)を保持した鏡胴6と、この鏡胴6のレンズ群で集光された原稿反射光を受けて電気信号に変換する光電変換モジュール(例えばライン型のCCD)7とがベースプレート10上に配設されている。なお、原稿反射光の光路を一点鎖線で示す。
【0038】
ここで、ランプ1、反射板2及び第1ミラー3は第1キャリッジ8上に一体的に固定され、また、第2ミラー4及び第3ミラー5は第2キャリッジ9上に一体的に固定されており、これらの第1キャリッジ8と第2キャリッジ9は、相互に独立しているが連携して往復移動可能になっている。つまり、上記のシートスルー方式で原稿画像の読取動作が行われる際は、第1キャリッジ8が画像読取位置Rの直下に移動して保持されるとともに、第2キャリッジ9が所定位置に保持され、他方、原稿固定方式の際は、第1キャリッジ8と第2キャリッジ9は相互に原稿反射光の光路長を一定に維持しながら往復移動(走査移動)する。
【0039】
このような構成のもと、ランプ1から照射されて原稿の画像面で反射した原稿反射光は、第1ミラー3〜第3ミラー5で反射して鏡胴6内のレンズ群に導入され、レンズ群で集光されて光電変換モジュール7の光電変換素子上に結像する。そして、この光電変換モジュール7で光電変換処理がなされ、原稿画像は電気信号として読み取られる。
【0040】
続いて、読み取った原稿画像の電気信号に基づいてシートに画像を転写するために、装置本体20内に設けられた各種機構の構成について、図1を参照しながら以下に説明する。先ず、シートの給紙部について述べる。下ハウジング20aの下部には、種々サイズのシート(用紙やOHPシート等)を収納し、正面から出し入れ可能な給紙カセット40が配設されていて、この給紙カセット40に収納されている大サイズの用紙Pは、繰り出しコロ40aにより1枚ずつ送り出される。また、下ハウジング20aの下部における左側面には、必要に応じて引き倒される開閉可能な手差しトレイ41が設けられていて、この手差しトレイ41にセットされている小サイズの用紙P′は、繰り出しコロ41aにより1枚ずつ送り出される。
【0041】
次に、シート上にトナー画像を形成する画像形成部、及びシート上のトナー画像を定着するための定着部について述べる。下ハウジング20a内における給紙カセット40の上方には、主たる画像形成部を構成する感光体ドラム42をはじめ、この感光体ドラム42の周囲に、帯電装置43、レーザ露光ユニット44、現像装置45、転写ローラ46、及びクリーニング装置47が配設されている。また、下ハウジング20a内における転写ローラ46の上方であって連結ハウジング20bの直下には、定着装置(定着部)48が配設されている。
【0042】
感光体ドラム42は、例えば正帯電性のアモルファスシリコン製であって、駆動時には所定の周速度で図1中時計回りに回転する。感光体ドラム42の表面は、高電圧が印加された帯電装置43から発生したコロナ放電によって一様に帯電された後、上述した光電変換モジュール7からの原稿画像の電気信号に基づくレーザ露光ユニット44からのビーム光の照射によって、所定の明電位と暗電位の部分からなる静電潜像が形成される。
【0043】
更に、感光体ドラム42の回転によって、静電潜像は現像位置にまで回転移動する。現像装置45の構成要素である現像ローラ45aは、ステンレス製で内部に固定磁石を有しており、感光体ドラム42と所定の間隙をもって回転自在に支持され、駆動時には感光体ドラム42と同一方向に所定の周速度で回転する。現像装置45内には、例えば体積平均粒径9μm(コールターカウンターでの計測によるメジアン径)の正帯電の磁性トナーが充填されており、磁性ブレード(不図示)によって現像ローラ45aの表面にトナー薄層が形成される。また、現像ローラ45aには、所定の現像バイアス電圧が印加されている。現像領域に達したトナーは、その現像バイアス電圧により現像ローラ45aの表面から飛翔して感光体ドラム42の表面の静電潜像に吸着し、トナー像が形成(現像)される。
【0044】
ここで、給紙カセット40(又は手差しトレイ41)から1枚ずつ繰り出されてレジストローラ対49に到達した用紙P(又はP′)は、感光体ドラム42上のトナー像が転写ローラ46に接近するのに同期して、レジストローラ対49で搬送タイミングが調整されながら上方に向けて送り出され、搬送路T1を通じて感光体ドラム42と転写ローラ46との間に搬送される。そして、その用紙Pの先端とトナー像の先端が一致して転写ローラ46を通過することにより、トナー像中のトナーのほとんどが用紙P上に転写される。
【0045】
用紙P上に転写されずに感光体ドラム42の表面に残留したトナーは、クリーニング装置47によって感光体ドラム42から除去される。一方、トナー像が転写された用紙Pは定着装置48へ送られる。定着装置48は、熱ローラ48a及び加圧ローラ48bからなる定着ローラ対を有しており、この定着ローラ対のニップ部を通過する用紙P上のトナー顕像を加熱・加圧して定着させ、これにより用紙Pには転写画像が定着されて永久像が形成される。
【0046】
定着装置48を通過した用紙Pは、そのまま垂直上方に向く垂直搬送路T2に沿って連結ハウジング20b内に搬送される。この連結ハウジング20b内には、垂直搬送路T2に連結された搬送ローラ対50、用紙排出トレイ60に用紙Pを排出するための排出ローラ対61が配設されている。搬送ローラ対50から送り出された用紙Pは、搬送路T3を通って排出ローラ対61に達し、排出ローラ対61から用紙排出口51を介して用紙排出トレイ60へ排出される。
【0047】
図2は、本発明の第1実施形態に係る用紙排出トレイの構成を示す斜視図、図3は、第1実施形態の用紙排出トレイを図2の矢印A方向から見た側面断面図、図4は、用紙排出トレイの積載位置変更部材周辺を排出方向下流側(図3の右方向)から見た部分斜視図である。なお、説明の便宜のため、図2及び図3では画像読取部21の記載を省略している。図2に示すように、用紙排出トレイ60は、排出された用紙の略前部を受ける第1トレイ面60aと、排出された用紙の略後部を受ける第2トレイ面60bと、用紙の後端を係止して整合する後壁部60cと、用紙の前端を係止して用紙排出トレイ60からの脱落を防止する前壁部60dとを備えている。第1トレイ面60a及び第2トレイ面60bは、用紙排出トレイ60の用紙積載面(記録媒体積載面)を構成する。
【0048】
第1トレイ面60aと第2トレイ面60bとの境界付近には、用紙排出トレイ60上に排出される用紙の積載位置を変更するための積載位置変更部材63が設けられている。積載位置変更部材63は、図3に示すように回動軸65を支点として用紙排出トレイ60に回動自在に支持されている。また、第1トレイ面60aから第2トレイ面60bに亘って、積載位置変更部材63が収納される矩形状の収納部67が凹設されており、収納部67の用紙排出方向上流側の端部には保持部70が形成されている。
【0049】
次に、本実施形態の用紙排出トレイにおける積載位置変更部材の動作及び機能について説明する。図2〜図4は、普通紙が排出される場合の積載位置変更部材63の配置(以下、第1の位置という)を示しており、第1の位置では、積載位置変更部材63は第1トレイ面60a及び第2トレイ面60bと面一になるように収納部67に収納されている。
【0050】
積載位置変更部材63を第1の位置に配置することにより、図3に示すように、搬送路T3を通って用紙排出口51から排出された用紙(普通紙)Pは、第1トレイ面60a及び第2トレイ面60bに沿って順次積層され、後壁部60cによって後端が整合される。また、普通紙は厚紙に比べてカールの程度が小さいため、用紙排出口51から第2トレイ面60bの最下部までの段差h1が大きい場合でも用紙Pは反転することなく適正な位置に順次積載される。
【0051】
図5は、厚紙が排出される場合の積載位置変更部材63の配置(以下、第2の位置という)を示す用紙排出トレイの斜視図、図6は、用紙排出トレイを図5の矢印A方向から見た側面断面図、図7は、用紙排出トレイの積載位置変更部材周辺を排出方向下流側(図6の右方向)から見た部分斜視図である。図5〜図7に示すように、積載位置変更部材63は、図2〜図4に示した第1の位置から回動軸65を中心として用紙搬送方向上流側に回動し、保持部70の傾斜面に当接して第2の位置に支持される。これにより、積載位置変更部材63は第2トレイ面60bから用紙排出方向上流側に突出する。
【0052】
積載位置変更部材63を第2の位置に配置することにより、図6に示すように、用紙排出口51から積載位置変更部材63までの段差h2が用紙排出口51から第2トレイ面60bの最下部までの段差h1よりも小さくなる。そのため、搬送路T3を通って用紙排出口51から排出された用紙(厚紙)Pは、先端部が積載位置変更部材63上に突き当たり、そのまま積載位置変更部材63の裏面(通紙面)に沿って第1トレイ面60a上に排出される。従って、普通紙に比べてカールの程度が大きい厚紙であっても、カールした用紙Pの先端部が大きく撓む前に積載位置変更部材63に当接するため、用紙Pは反転することなく適正な位置に順次積載される。
【0053】
また、第2の位置に配置された積載位置変更部材63と後壁部60cとの間には隙間Sが形成されているため、用紙Pの後端部は隙間Sを通って後壁部60c方向に垂れ下がる。従って、積載される用紙Pの重心位置が後端寄りとなり、先に積載された用紙が次に排出されてくる用紙に押されて排出方向に移動し難くなり、用紙を安定して積載することができる。
【0054】
以上説明したように、本実施形態の用紙排出トレイ60では、用紙の種類に応じて積載位置変更部材63を第1の位置と第2の位置とに選択配置することにより、用紙のカールの程度に係わらず、排出される用紙を適正な位置に正しく積載可能となる。
【0055】
また、積載位置変更部材63を回動させるだけで積載位置変更部材63が第1の位置と第2の位置とに選択配置されるため、ユーザは使用する用紙に応じて容易に用紙排出トレイ60の形状を調整することができる。
【0056】
さらに、積載位置変更部材63を第2の位置に配置した場合、図6に示すように、用紙排出トレイ60上に積載された用紙Pと第2トレイ面60bとの間に空間が形成される。これにより、用紙Pは第2トレイ面60bに密着することなく積載されるため、ユーザは空間に手を差し入れて用紙Pを容易に取り出すことができる。
【0057】
また、積載位置変更部材63を第2の位置に配置したとき、積載位置変更部材63の裏面(通紙面)が用紙排出方向に上り勾配になっていると、積載位置変更部材63の先端は後壁部60cに向かって下がるため、用紙排出口51から積載位置変更部材63までの段差h2が大きくなる。そのため、用紙排出口51から排出された用紙(厚紙)Pの先端部と積載位置変更部材63とが接触する角度も大きくなり、先端がカールし易い厚紙を安定して積載する効果も低下してしまう。従って、本実施形態のように、積載位置変更部材63を第2の位置に配置したとき、積載位置変更部材63の裏面(通紙面)が用紙排出方向に下り勾配となることが好ましい。
【0058】
なお、積載位置変更部材63の大きさや、第2の位置に配置したときの積載位置変更部材63の突出位置については、第2トレイ面60aの勾配、用紙排出口51から第2トレイ面60bの最下部までの段差h1、積載位置変更部材63の基端部(回動軸65)から後壁部60cまでの距離等、用紙排出トレイ60の仕様に応じて適宜設定される。
【0059】
図8及び図9は、それぞれ本発明の第2実施形態に係る用紙排出トレイの積載位置変更部材63を第1の位置及び第2の位置に配置した状態を示す側面断面図である。第1実施形態の図3及び図6と共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態においては、積載位置変更部材63の用紙排出方向下流側に回動軸65が設けられており、積載位置変更部材63の用紙排出方向上流側の回動端には積載位置変更部材63を第2の位置に保持するための支持部材71が回動可能に連結されている。
【0060】
普通紙を排出する場合は、図8のように、積載位置変更部材63を第2トレイ面60bと面一になるように収納部67内に収納される第1の位置に配置し、厚紙を排出する場合は、図9のように、積載位置変更部材63の回動端を持ち上げて支持部材71を起立させた第2の位置に配置することにより、第1実施形態と同様に用紙のカールの程度に係わらず、排出される用紙の適正且つ安定した積載が可能となる。
【0061】
なお、本実施形態では、積載位置変更部材63を第2の位置に保持するための支持部材71が必要となり、第1実施形態に比べて構成がやや複雑となる。また、積載位置変更部材63上に多量の用紙が積載された場合に支持部材71の変形や破損を防ぐため、支持部材71には用紙の重量に耐えうるだけの強度が要求される。そのため、積載位置変更部材63の排出方向上流側に回動軸65を設ける第1実施形態の構成が好ましい。
【0062】
その他本発明は、上記各実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記各実施形態では胴内排紙型の画像形成装置に用いられる用紙排出トレイについて説明したが、本発明は、画像形成装置の上面や側面に設けられる用紙排出トレイ、或いは、原稿搬送装置により原稿読取部に搬送され、原稿画像の読み取りが行われた後の原稿を排出するための原稿排出トレイについても全く同様に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、画像形成装置に搭載され排出された記録媒体を保持する記録媒体排出トレイに利用可能であり、記録媒体の略前部を受ける第1トレイ面と、記録媒体の略後部を受ける排出方向に上り勾配の第2トレイ面との境界近傍に回動可能に支持された積載位置変更部材を、記録媒体積載面に凹設された収納部に収納される第1の位置と、第2トレイ面から記録媒体の排出方向上流側に突出する第2の位置とに選択配置するものである。
【0064】
これにより、先端のカールの程度が大きい記録媒体を排出する場合は、積載位置変更部材を第2の位置に配置することで、排出される記録媒体をトレイ上の適正な位置に正しく積載可能な記録媒体排出トレイを簡便且つ低コストで提供することができる。また、積載位置変更部材が不要な場合は積載位置変更部材を第1の位置に配置することで、第1トレイ面又は第2トレイ面に収納できるため、積載位置変更部材をその都度装着する必要もなく、積載位置変更部材を紛失するおそれもなくなる。
【符号の説明】
【0065】
20 装置本体
20a 下ハウジング(画像形成部)
20b 連結ハウジング
21 画像読取部
22 胴内排紙空間
60 用紙排出トレイ
60a 第1トレイ面(記録媒体積載面)
60b 第2トレイ面(記録媒体積載面)
60c 後壁部
60d 前壁部
63 積載位置変更部材
65 回動軸
67 収納部
70 保持部
71 支持部材
100 画像形成装置
P 用紙(記録媒体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排出される記録媒体の略前部を受ける第1トレイ面と、該第1トレイ面の排出方向上流側に延設され、排出される記録媒体の略後部を受ける排出方向に上り勾配の第2トレイ面と、から成る記録媒体積載面と、
該記録媒体積載面に排出された記録媒体の後端を突き当てて整合する後壁部と、
を備えた記録媒体排出トレイにおいて、
前記第1トレイ面と前記第2トレイ面との境界近傍に回動可能に支持され、前記記録媒体積載面に凹設された収納部に収納される第1の位置と、前記第2トレイ面から記録媒体の排出方向上流側に突出する第2の位置とに選択配置される積載位置変更部材を設けたことを特徴とする記録媒体排出トレイ。
【請求項2】
前記積載位置変更部材は、記録媒体の排出方向上流側を支点として回動可能に支持されており、前記収納部の排出方向上流側の端部に、前記積載位置変更部材を前記第2の位置に保持する保持部を形成したことを特徴とする請求項1に記載の記録媒体排出トレイ。
【請求項3】
前記積載位置変更部材を前記第2の位置に配置したとき、前記積載位置変更部材の先端部と前記後壁部との間に隙間が形成されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の記録媒体排出トレイ。
【請求項4】
前記積載位置変更部材を前記第2の位置に配置したとき、前記積載位置変更部材の記録媒体通過面が記録媒体の排出方向に下り勾配となることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の記録媒体排出トレイ。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の記録媒体排出トレイが搭載された画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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