説明

記録媒体精算式遊技機

【課題】従来遊技機の正面側下部の帯状前面板があった領域(帯状領域)の有効利用を図った記録媒体精算式遊技機を提供する。
【解決手段】映像式遊技機等の記録媒体精算式遊技機では、賞球が機外に払い出されることはないから、遊技機下端部分から遊技者側に突き出た棚状の台の上に球箱を置く必要はなく、前面枠5の開放時に球箱を退かす場合はない。よって遊技機前面に、外枠2に対して開閉自在に設けられた前面枠5の下端を、外枠2の下端に対応する位置まで延出形成して、有効利用を図った。従来遊技機の正面側下部の帯状領域に及んで前面枠5を形成すれば、従来遊技機における帯状領域とその上方の領域との間の視覚的又は機械的な分断は生じなく、デザインや構成部材の一体化が図れ、また、前面枠5の開放時に外枠2の正面側全面を開口させて外枠2内の制御回路基板35〜37等の保守・点検を容易にし得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有価情報を読書き可能な記録媒体を用いて遊技を開始し、終了時の精算を行う記録媒体精算式遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、入賞口、アウト口、遊技釘等の盤面構成部材が配置された遊技盤面上に、発射操作部の操作により遊技球を打ち込んで移動させ、この遊技球が上記入賞口又はアウト口のいずれに入球するかの遊技を行う遊技機において、上記入賞口への入球により獲得される賞球(獲得球)が実際に機外に払い出されることのない遊技機がある。例として、いわゆる封入球式遊技機や映像式遊技機がある(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
封入球式遊技機は、機内に封入された遊技球を循環使用して遊技を行う遊技機であり、鋼球等からなる実際の遊技球(以下、実球と記す。)を機内では使用するが、機外への賞球の払い出しに使用することのない遊技機である。
映像式遊技機は、機械式の遊技機(封入球式遊技機を除く。以下、実遊技機と記す。)と同様の発射操作部を備え、入賞口、アウト口、遊技釘等の盤面構成部材が実遊技機の遊技盤面形態を模して配置された遊技盤面と、この遊技盤面上の遊技領域に打ち込まれ流下、移動する遊技球とを画像表示器に表示し、仮想的に遊技を行う遊技機であり、実球は、機内においても、機外への賞球の払い出しにも全く使用しない。
【0004】
これらの遊技機においては、遊技は、磁気カード等の記録媒体に記録された有価情報を読み取り、変換した持ち球数情報に基づいて行われる(開始、進行される)。そして、精算スイッチが操作されることにより、その精算スイッチ操作時点における持ち球数情報をそのまま又は有価情報に変換して上記記録媒体に記録し、その記録媒体を機外に排出することで遊技が終了する。すなわち、獲得球(実球)が機外に払い出されることなく、遊技が終了する。
【特許文献1】特開平8−299530号公報
【特許文献2】特開平11−9766号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したような、実球による獲得球が機外に払い出されることのない封入球式遊技機や映像式遊技機(記録媒体精算式遊技機と総称する。)では、その必要がないことから、実遊技機における球受け皿は備えていない。したがってまた、大量の賞球が払い出され、球受け皿が満杯になっても、それを遊技機とは別個独立の球箱に移し替える必要もない。
【0006】
実遊技機においては、上記球箱は、通常、遊技機島に遊技機を設置した状態で遊技機下端部分から正面(遊技者)側に突き出た棚状の台の上に、つまり、遊技機下部の正面側に置かれる。このため、実遊技機においては、球受け皿位置よりも下方の正面左右方向には、帯状前面板が固着され、正面側に片開き可能の前面枠は、その帯状前面板より上方に配置されている。台上に球箱が置かれていても、その球箱を退かすことなく前面枠を開閉可能とするためである。
一方、記録媒体精算式遊技機においては、実球による獲得球が機外に払い出されず、したがって、別途球箱を用意する必要はなく、遊技機下部の正面側に球箱を置くための配慮は全く無用となる。
【0007】
しかしながら、従来の記録媒体精算式遊技機では、上記のようなこの遊技機特有の構成について何ら配慮されてなく、遊技機の正面側下部には実遊技機における帯状前面板がそのまま残されていた(上掲特許文献1の図16、同文献2の図1等参照)。
【0008】
本発明の課題は、記録媒体精算式遊技機において、その下部正面側の帯状前面板が固着されていた領域の有効利用を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、特許請求の範囲の請求項1に記載の発明は、入賞口及びアウト口を含む種々の盤面構成部材が配置された遊技盤面上に、発射操作部の操作により遊技球を打ち込んで移動させ、この遊技球が前記入賞口又はアウト口のいずれに入球するかの遊技が、記録媒体に記録された有価情報を読み取り、変換した持ち球数情報に基づいて行われ、精算スイッチが操作されることによってその精算スイッチ操作時点における持ち球数情報をそのまま又は有価情報に変換して前記記録媒体に記録し、その記録媒体を機外に排出する記録媒体精算式遊技機であって、遊技機外周を仕切り、その正面側上部に前記遊技盤面が配置される外枠と、遊技機前面に、前記外枠に対して開閉自在に設けられ、かつ前記遊技盤面の対応位置に開口窓が形成され、この開口窓の下部には、前記精算スイッチを含む操作スイッチ及び前記持ち球数情報を含む情報を表示する情報表示部を備えるコントロールユニット、並びに前記発射操作部が設けられ、下端が前記外枠の下端に対応する位置まで延出形成された前面枠とを具備することを特徴とする。
【0010】
特許請求の範囲の請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記遊技盤面及び遊技球を、前記外枠の正面側上部に配置される、外形状がほぼ平板状に形成された画像表示器に表示して前記遊技を仮想的に可能にする種々の制御回路基板を備え、前記外枠は、この外枠自体による上下、左右各面に加え、正面及び背面も板状体で仕切られた箱形枠体とされ、この箱形枠体の正面を仕切る板状体の上部側板状体部として前記画像表示器が用いられ、この画像表示器及び前記箱形枠体の背面を仕切る板状体相互間の空間を含む前記箱形枠体内の上部側空間内には前記種々の制御回路基板が配置され、この上部側空間を除く箱形枠体内の下方側の空間がスピーカ収納空間とされることを特徴とする。
【0011】
特許請求の範囲の請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記箱形枠体内の上部側空間と下方側の空間とを仕切る仕切板が、前記箱形枠体の補強板を兼ねる前記スピーカ収納空間の天井板として設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
特許請求の範囲の請求項1に記載の記録媒体精算式遊技機では、遊技機前面に、外枠に対して開閉自在に設けられた前面枠の下端を、外枠の下端に対応する位置まで延出形成した。つまり、従来遊技機の正面側下部の帯状前面板が固着されていた領域(帯状領域)に及んで前面枠を形成した。
これによれば、従来遊技機における帯状領域とその上方の領域との間の視覚的あるいは機械的な分断は生じない。したがって、遊技機を正面視したときのデザインの一体化が図れ、また、遊技機前面において、前面枠の他に帯状前面板を用意する必要がなくなり、部品点数の削減、組立コストの低減が図れる。更に、遊技機縦寸法を拡大したり、発射操作部を小さくすることなく、遊技盤面(遊技領域)の拡大が図れる。
また、前面枠を開放したときに外枠の正面側全面が開口する構成が可能となり、外枠内に配置された装置、機構等の保守・点検作業がし易くなる。
【0013】
特許請求の範囲の請求項2に記載の記録媒体精算式遊技機では、遊技盤面及び遊技球を、外枠の正面側上部に配置される画像表示器に表示して遊技を仮想的に可能にする制御回路基板を備えた映像式遊技機を構成した。そして、上記外枠を箱形枠体としてこの箱形枠体内の上部側空間内に上記制御回路基板を配置し、箱形枠体内の下方側の空間をスピーカ収納空間とした。
上記箱形枠体内の上部側空間の正面側寸法は、少なくとも画像表示器の縦横寸法と同程度有し、これと同寸法の上部側空間の背面仕切板部分の全領域が所望の構成部材の配置スペースに利用でき、本発明遊技機における上記制御回路基板の配置が可能である。
一方、映像式遊技機構成においては、遊技球は画像で表示され、実球を使用しないので、遊技機下部の球受皿の背面側にアウト球排出部等の構造物は存しない。また、球受皿に隣接して配置される発射操作部は、遊技機背面側にその占有空間を持たない。したがって、箱形枠体内の上部側空間内に上記制御回路基板を配置すれば、箱形枠体内の残余の空間(下部側空間)は、その全てをスピーカ収納空間に充てることができ、大きなスピーカ収納空間を形成することができる。
したがって、この請求項2に記載の記録媒体精算式遊技機によれば、請求項1の効果に加えて、スピーカ収納空間内に配置されるスピーカの口径の自由度を高くすることができるという効果を有する。特に、大口径となることが不可避の低音用スピーカ(大口径低音用スピーカ)を配置することができ、遊技演出用等の音声を低音や重低音で楽しむことが可能となる。
【0014】
特許請求の範囲の請求項3に記載の記録媒体精算式遊技機によれば、請求項2の構成において、箱形枠体内の上部側空間と下方側の空間とを仕切る仕切板を、箱形枠体の補強板を兼ねるスピーカ収納空間の天井板として設けたので、専用の補強板を用いることなく、箱形枠体の補強が可能となる。
なお、請求項3に記載の記録媒体精算式遊技機においても、上述した請求項1,2の効果を有することは勿論である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。なお、各図間において、同一符号は同一又は相当部分を示す。
始めに、映像式遊技機の構成について概述する。
映像式遊技機は、実遊技機と同様の発射操作部を備え、入賞口、アウト口、遊技釘等の盤面構成部材が実遊技機の遊技盤面形態を模して配置された遊技盤面と、この遊技盤面上の遊技領域に打ち込まれ流下、移動する遊技球とを画像表示器に表示し、上記遊技球が上記入賞口又はアウト口のいずれに入球するかの遊技を仮想的に行うパチンコ機である。賞球は、遊技球が入賞口に入ったときに獲得され、アウト口に入ったときには獲得されない等の基本的な遊技のルールは実遊技機の場合と特に変わるところはない。
このような映像式遊技機において、遊技者は、遊技球貸出し可能金額等の有価情報を記録した持運び可能の記録媒体、ここでは磁気カード等のカード状記録媒体(カード)をカードリーダ・ライタに読み取らせ、スコア(持ち球数情報)に変換して遊技を行う。遊技終了時には、精算スイッチを操作し、その時点において入賞口への入球により獲得しているスコア、又はそのスコアから変換された有価情報を上記カードリーダ・ライタによりカードに記録させ、同カードを機外に排出させる。そして、排出されたカードに記録された上記スコア、又はそのスコアから変換された有価情報を媒介に景品と交換するものである。
後述するコントロールユニットは、このような映像式遊技機における遊技の開始時及び終了時等に、遊技者が上記カードを用いて操作する装置部である。
このように映像式遊技機は、遊技中も、あるいはコントロールユニットによる操作時にも、その他、いかなる場合においても、賞球(実球)が機外に払い出されることはなく、上記封入球式遊技機と共に記録媒体精算式遊技機の代表例をなす。
【0016】
図1は、本発明が適用された映像式パチンコ機の一実施形態を正面側から示す斜視図である。図2は、同パチンコ機の正面図〔(b)図〕、左側面図〔(a)図〕、右側面図〔(c)図〕である。
図1、図2において、中枠1は開口窓1aを有する額縁状に形成され、この中枠1の背面側には、中枠1の外形とほぼ同寸法、同形状の長方形に形成された、パチンコ機外周を仕切る外枠2が配置され、この外枠2の背面全面を背面板3(図3参照)が覆っている。
また中枠1は、外枠2の左側上下に設けられたヒンジ6にその左側上下が軸着され、右側を外枠2に対して開閉自在(片開き可能)に設けられている。
【0017】
前面枠5は、中枠1の前面に、すなわち遊技機前面に位置し、中枠1と一体に固定されており、中枠1を介し外枠2に対して開閉自在である。
この前面枠5は、中枠1と同様に開口窓5aを有する額縁状に形成され、外形も中枠1とほぼ同寸法、同形状の長方形である。すなわち、前面枠5及び中枠1は、各々外枠2の外形寸法とほぼ同寸法の外形状を有し、開口窓5a,1aを含む正面側全面が外枠2の正面側全面に重なるように、具体的には、前面枠5の外形状をなす長方形の各辺を、中枠1の外形状をなす長方形の各辺と揃えて、取り付けられている。
なお、前面枠5及び外枠2間には施錠装置(図示せず)が設けられており、前面枠5(中枠1)は、常時は外枠2を閉じた状態でその外枠2に固定される。
【0018】
上記前面枠5には、ランプ51や中高音用スピーカ52等が組込み配置され、またこの前面枠5の裏面には、後述する液晶画像表示器を画面全域に亘って保護する前面ガラス(図示せず)が取付け固定されている。
また、前面枠5の下方左右側には、吸気口11(11a,11b)が開けられている。更に前面枠5の下方中央部には、遊技の開始時及び終了時等に、遊技者が操作するコントロールユニット12が取付け固定されている。なお、このコントロールユニット12を、メンテナンスの便宜のために、例えばその左側を軸支して右側を開閉自在に取り付けてもよい。
【0019】
コントロールユニット12の上面には、情報表示部、ここでは遊技球の使用可能量(遊技球貸出し可能金額)を表示するカード残高表示部13や獲得スコア表示部(持ち球数情報表示部)14が設けられている。また、同ユニット12の上面には、操作スイッチ、ここでは遊技者が操作する貸出し球ボタンスイッチ15、カード返却ボタンスイッチ16及び獲得スコア精算ボタンスイッチ(精算スイッチ)17も設けられている。
そして、同ユニット12の中央下部にはカード挿入口18が設けられ、また、同左側下方にはドリンクホルダ21が設けられ、更に、同右側には、遊技球(画像)を、その発射強度を調整しながら発射するためのハンドルセット(発射操作部)22が取り付けられている。
【0020】
図3は同上パチンコ機の正面側から示す分解斜視図である。
この図3から分かるように、映像式パチンコ機の画像表示器、例えば液晶画像表示器、ELディスプレイ等、ここでは液晶画像表示器31は、パチンコ機正面全領域のおよそ2/3程度占める大型(大画面)表示器であり、また、外形状がほぼ平板状に形成されている。
この液晶画像表示器31は、中枠1の裏面に、その画面を遊技機正面側に向けて中枠開口窓1aに合わせた状態で固定装置(図示せず)によって固定されている。これにより、液晶画像表示器31が画像で表示する遊技盤面(具体的には液晶画像表示器31の画面)が外枠2の正面側上部に配置された構成となる。
前面枠5の開口窓5aは、中枠1の開口窓1aとほぼ同位置、同寸法に形成され、前面枠5の開口窓5aからは液晶画像表示器31の画面のほぼ全域を見通せる。
【0021】
ここで、外枠2、背面板3、液晶画像表示器31及び後述するバッフル板は、箱形枠体4を形成している。この場合、外枠2は箱形枠体4の上下、左右各面を仕切る板状体を、液晶画像表示器31及びバッフル板は同枠体4の正面を仕切る板状体を、背面板3は同枠体4の背面を仕切る板状体を、形成する。
この場合、液晶画像表示器31は、箱形枠体4の正面を仕切る板状体の上部側板状体部を形成し、この液晶画像表示器31及び背面板3相互間に形成される箱形枠体4内の上部側空間32内には、詳細を後述するが、映像式パチンコ機を構成する種々の制御回路基板が配置される。
この上部側空間32を除く箱形枠体4内の下方側の全空間(以下、下部側空間と記す。)33はスピーカ収納空間とされ、この空間33内には大口径のスピーカ、ここでは低音用スピーカ34が配置される。
【0022】
本実施形態では、箱形枠体4内の上部側空間32と下部側空間(スピーカ収納空間)33とを仕切る仕切板33aが設けられ、この仕切板33aがスピーカ収納空間33の天井板として用いられている。そして、箱形枠体4の正面を仕切る板状体の下部側板状体部として低音用スピーカ34のバッフル板(スピーカ収納空間33の正面を仕切る平面板)33bが用いられて、密閉型エンクロージャが形成され、この密閉型エンクロージャ内に低音用スピーカ34が配置されている。
なお、上記スピーカ収納空間33の天井板(仕切板33a)は、外枠2、すなわち箱形枠体4の補強板としても兼用されている。
【0023】
箱形枠体4内の上部側空間32内に配置される、映像式パチンコ機を構成する種々の制御回路基板(制御回路基板群)としては、本実施形態では主制御回路基板35と、画像表示制御回路基板36a及び音声制御回路基板36bを搭載した副制御回路基板36と、払出制御回路基板37とが挙げられる。本実施形態では、制御回路基板35〜37及び液晶画像表示器31等に電源を供給する電源回路ユニット38も上部側空間32内に配置される。
【0024】
ここで、主制御回路基板35に備わる主制御回路は、パチンコ機全般の制御を司る、特に液晶画像表示器31に表示される遊技盤面画像における遊技状態を制御する回路である。
また、画像表示制御回路36aに備わる画像表示制御回路は、上記主制御回路の制御に基づき上記遊技盤面画像における表示制御やランプ51の点消灯制御を行う回路であり、音声制御回路基板36bに備わる音声制御回路は、上記主制御回路の制御に基づき中高音用スピーカ52や低音用スピーカ34を用いた音声による遊技演出等の制御を行う回路である。
払出制御回路基板37に備わる払出制御回路は、上記入賞口への入賞(入賞口位置における遊技球画像の消滅)に伴う賞球の払出制御や遊技終了時における精算処理等を行う回路である。
電源回路ユニット38に備わる電源回路は、上記各制御回路基板35〜37、液晶画像表示器31、ランプ51及び後述する強制空冷用のファン等、パチンコ機各部に電源を供給する回路である。
【0025】
図4は、中枠1、前面枠5及び液晶画像表示器31を取り除いた状態、つまり箱形枠体4内への制御回路基板35〜37等の配置状態及び低音用スピーカ34の配置状態を正面側から示す図、図5は、図4中のA−A線に沿って切断したときの右側断面図である。
この図4、図5に示すように、各制御回路基板35〜37は、上部側空間32の背面を仕切る背面板3の上部側部分3a内面に配置固定され、電源回路ユニット38は、スピーカ収納室33の天井板33aの上面左側に配置固定されている。
制御回路基板35〜37及び電源回路ユニット38は、外部からの機械的、電気的障害から保護されるようにケースを備えている。
【0026】
図6は箱形枠体4の背面図(パチンコ機背面図)である。
図示するように、上部側空間32の背面板3の上部側部分3aの上下各側には、排気口41(41a,41b)が開けられている。
排気口41a,41bは、上部側空間32をパチンコ機外部に連通させる開口であり、各排気口41a,41bには、図4に示すようにファン42(42a,42b)が各々フィルタ43(43a,43b)を介して取り付けられている。
各ファン42は、吸気口11側から排気口41側に向かって強制冷却空気流を発生させる強制空冷用のファンである。
なお、図3に示すように中枠1には、前面枠5に開けられた吸気口11(11a,11b)の対向位置に通気口19(19a,19b)が形成され、吸気口11及び箱形空間32相互間が通気可能に形成されている。また、吸気口11から通気口19を通り、バッフル板33bの前面側を経て箱形空間32に至る通気路が形成されている。
【0027】
図7、図8は、図1、図2に示すパチンコ機において、中枠1に一体化された前面枠5(前面装飾枠体100)を外枠2(箱形枠体4)に対して開放した状態を示す図で、図7は平面図、図8は斜視図である。
図8及び図1、図2から分かるように、前面枠5は、その下端(長方形の下辺)が外枠2の下端(外枠外形状を形成する長方形の下辺)に対応する位置まで延出形成されている。
本実施形態においては、図7、図8及び図1、図2から分かるように、前面枠5は、外枠2の正面側から見た外形寸法とほぼ同寸法の外形状を有し、その開口窓5aを含む正面側全面が外枠2の正面側全面に重なるように、具体的には、前面枠5の外形状をなす長方形の各辺を、外枠2の外形状をなす長方形の各辺と揃えて、取り付けられている。
したがって、本実施形態においては、前面枠5(前面装飾枠体100)を開けると、制御回路基板35〜37、電源回路ユニット38、ファン42等を配置した空間(箱状枠体4内部)が全面開放状態となり、同空間内の制御回路基板35〜37等の保守・点検作業がし易くなる。また、バッフル板33bを外してスピーカ収納空間33内の保守・点検作業もし易くなる。
なお前面枠5が、実遊技機のように中枠1に対し独立して開閉自在とされていないのは、映像式遊技機においては実遊技機のように遊技盤面上で球(実球)詰まりが生じなく、遊技盤面上を直接開放させる必要がないからである。
図8は、図4に示す上部側空間32への各制御回路基板35〜37及び電源回路ユニット38の配置状態をより分かりやすく示しているが、この図8及び図3〜図5において、各制御回路基板35〜37、電源回路ユニット38、ファン42、ランプ51、中高音用スピーカ52及び低音用スピーカ34等の配線は図示が省略されている。
【0028】
以上述べたように本実施形態では、遊技機前面に、外枠2に対して開閉自在に設けられた前面枠5の下端を、外枠2の下端に対応する位置まで延出形成した。そしてこのような構成を、前面枠5を、外枠2の外形寸法とほぼ同寸法の外形状とし、その開口窓5aを含む正面側全面が外枠2(箱状枠体4)の正面側全面に重なるように取り付けることで実現した。
これによれば、従来遊技機における帯状領域とその上方の領域との間の視覚的あるいは機械的な分断は生じない。したがって、遊技機を正面視したときのデザインの一体化が図れ、また、遊技機前面において、前面枠5の他に帯状前面板を用意する必要がなくなり、部品点数の削減、組立コストの低減が図れる。更に、遊技機縦寸法を拡大したり、ハンドルセット(発射操作部)22を小さくすることなく、遊技盤面画像(遊技領域画像)の拡大が図れる。
また、前面枠5を開けると箱状枠体4(外枠2)の内部が全面開放状態となり、箱状枠体4内に配置された制御回路基板35〜37、電源回路ユニット38、ファン42等の保守・点検作業がし易くなる。また、バッフル板33bを外してスピーカ収納空間33内の保守・点検作業もし易くなる。
【0029】
また本実施形態では、遊技盤面及び遊技球を、外枠2の正面側上部に配置される液晶画像表示器31に表示して遊技を仮想的に可能に制御回路基板35〜37を備えた映像式パチンコ機に本発明を適用した。そして、上記外枠2を箱形枠体4としてこの箱形枠体4内の上部側空間32内に制御回路基板35〜37を配置し、箱形枠体4内の下方側の空間をスピーカ収納空間33とした。
箱形枠体4内の上部側空間32の正面側寸法は、少なくとも液晶画像表示器(大型液晶画像表示器)31の縦横寸法と同程度有し、これと同寸法の上部側空間32の背面仕切板部分の全領域が所望の構成部材の配置スペースに利用でき、本実施形態における制御回路基板35〜37の配置が可能である。
一方、映像式パチンコ機構成においては、遊技球は画像で表示され、鋼球等からなる実際の遊技球(実球)を使用しないので、パチンコ機下部の球受皿の背面側にアウト球排出部等の構造物は存しない。また、球受皿の右側に配置されるハンドルセット22(発射操作部)は、パチンコ機背面側にその占有空間を持たない。したがって、箱形枠体4内の上部側空間32内に制御回路基板35〜37を配置すれば、箱形枠体4内の残余の空間である下部側空間33は、その全てをスピーカ収納空間に充てることができ、大きなスピーカ収納空間を確保できる。
したがって本実施形態によれば、スピーカ収納空間内に配置されるスピーカの口径の自由度を高くすることができる。特に、本実施形態ではそのスピーカに大口径の低音用スピーカ34を用いたので、遊技演出用等の音声を低音や重低音で楽しむことができ、中高音用スピーカ52を従前通り配置して、低音から高音までの広い音声(効果音等)を楽しめる。
【0030】
しかも本実施形態では、その低音用スピーカ34を密閉型エンクロージャ内に配置したので、より音響特性のよい低音、重低音が楽しめる。またこの場合、箱形枠体4内の空間を仕切る板状体を、密閉型エンクロージャ(スピーカ収納空間33)の天井板33a及びバッフル板33bに兼用させたので、密閉型エンクロージャを低コストで実現できる。更に、スピーカ収納空間33の天井板33aは、箱形枠体4の補強板としても兼用されているので、専用の補強板を用いることなく、箱形枠体4の補強が可能となる。
【0031】
また本実施形態において、液晶画像表示器31は、箱形枠体4の正面を仕切る板状体の一部(上部側板状体部)に兼用させたので、箱形枠体4内の上部側空間32の構成部材のコストを低減できる。
【0032】
なお上述実施形態では、中枠1は、外枠2の左側上下に設けられたヒンジ6にその左側上下が軸着され、右側を外枠2に対して開閉自在に設けたが、ヒンジ6を外枠2の右側上下に設け、このヒンジ6に中枠1の右側上下を軸着し、中枠1の左側を外枠2に対して開閉自在に構成してもよい。
また、ハンドルセット22を、コントロールユニット12の左側に配置する構成であってもよい。この場合、ドリンクホルダ21はコントロールユニット12の右側下方に設けられる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明が適用されたパチンコ機の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示すパチンコ機の正面図及び左右側面図である。
【図3】同上パチンコ機の分解斜視図である。
【図4】同上パチンコ機の中枠、前面枠及び液晶画像表示器を取り除いた状態を正面側から示す図である。
【図5】同上パチンコ機につき、図4中のA−A線に沿って切断したときの右側断面図である。
【図6】同上パチンコ機の背面図である。
【図7】同上パチンコ機の前面枠開放時の平面図である。
【図8】同じく斜視図である。
【符号の説明】
【0034】
2:外枠、3:背面板、3a:背面板の上部側部分、4:箱形枠体、5:前面枠、5a:前面枠の開口窓、12:コントロールユニット、13:カード残高表示部、14:獲得スコア表示部(持ち球数情報表示部)、15:貸出し球ボタンスイッチ、16:カード返却ボタンスイッチ、17:獲得スコア精算ボタンスイッチ(精算スイッチ)、18:カード挿入口、22:ハンドルセット(発射操作部)、31:液晶画像表示器(画像表示器)、32:上部側空間、33:下部側空間(スピーカ収納空間)、33a:スピーカ収納室の天井板(補強板)、34:低音用スピーカ、35:主制御回路基板、36:副制御回路基板、36a:画像表示制御回路基板、36b:音声制御回路基板、37:払出制御回路基板。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
入賞口及びアウト口を含む種々の盤面構成部材が配置された遊技盤面上に、発射操作部の操作により遊技球を打ち込んで移動させ、この遊技球が前記入賞口又はアウト口のいずれに入球するかの遊技が、記録媒体に記録された有価情報を読み取り、変換した持ち球数情報に基づいて行われ、
精算スイッチが操作されることによってその精算スイッチ操作時点における持ち球数情報をそのまま又は有価情報に変換して前記記録媒体に記録し、その記録媒体を機外に排出する記録媒体精算式遊技機であって、
遊技機外周を仕切り、その正面側上部に前記遊技盤面が配置される外枠と、
遊技機前面に、前記外枠に対して開閉自在に設けられ、かつ前記遊技盤面の対応位置に開口窓が形成され、この開口窓の下部には、前記精算スイッチを含む操作スイッチ及び前記持ち球数情報を含む情報を表示する情報表示部を備えるコントロールユニット、並びに前記発射操作部が設けられ、下端が前記外枠の下端に対応する位置まで延出形成された前面枠とを具備することを特徴とする記録媒体精算式遊技機。
【請求項2】
前記遊技盤面及び遊技球を、前記外枠の正面側上部に配置される、外形状がほぼ平板状に形成された画像表示器に表示して前記遊技を仮想的に可能にする種々の制御回路基板を備え、
前記外枠は、この外枠自体による上下、左右各面に加え、正面及び背面も板状体で仕切られた箱形枠体とされ、
この箱形枠体の正面を仕切る板状体の上部側板状体部として前記画像表示器が用いられ、
この画像表示器及び前記箱形枠体の背面を仕切る板状体相互間の空間を含む前記箱形枠体内の上部側空間内には前記種々の制御回路基板が配置され、
この上部側空間を除く箱形枠体内の下方側の空間がスピーカ収納空間とされることを特徴とする請求項1に記載の記録媒体精算式遊技機。
【請求項3】
前記箱形枠体内の上部側空間と下方側の空間とを仕切る仕切板が、前記箱形枠体の補強板を兼ねる前記スピーカ収納空間の天井板として設けられることを特徴とする請求項2に記載の記録媒体精算式遊技機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−159645(P2007−159645A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−356568(P2005−356568)
【出願日】平成17年12月9日(2005.12.9)
【出願人】(000154679)株式会社平和 (1,976)
【Fターム(参考)】