説明

記録媒体読取装置およびそれを用いた自動取引装置

【課題】
スキミング装置の取り付けを防止することができる記録媒体読取装置を提供する。
【解決手段】
記録媒体を挿入する挿入口に、記録媒体を挟持するプレゼンタ及び、プレゼンタ表面に安全表示部を設け、記録媒体と共に、挿入口の外側から装置内部へプレゼンタが入り込む構造としたことで、カード挿入口の表面近傍にスキミング装置が取り付けられていない場合、利用者はその様子を視認できるため、安全性を容易に判断することができる。一方、スキミング装置が取り付けられた場合は、プレゼンタがスキミング装置に干渉する事により、カードを取り込む事ができなくなるため、カード情報の窃取を防止できる。さらに、カード挿入口の裏面近傍にスキミング装置が取り付けられた場合でも、カードがスキミング装置上を滑走しない構造とすることで、スキミング装置はカードの情報記録面をスキャンする事ができず、カード情報の窃取を防止する事ができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報の記録された記録媒体の挿入を受け付け、挿入された記録媒体から情報を読み取る記録媒体読取装置およびそれを用いた自動取引装置に関するものであり、特に、記録媒体に記録された記録情報の窃取防止に関する。
【背景技術】
【0002】
現金自動預け払い機(ATM)や現金支払機(CD)など自動取引装置の利用拡大に伴い、偽造カードによる不正取引が大きな社会問題となっている。
【0003】
特に、自動取引装置のカード挿入口の形状に似せた、不正にカード情報を読み取る装置(以下、この装置をスキミング装置と呼ぶ)をカード挿入口に取り付け、利用者が取引時にカード挿入口へカードを挿入することで、利用者に気付かれることなくカード情報を窃取し、偽造カードを作成する手口が数多く報告されている。
【0004】
このような、スキミング装置によるカード情報の窃取を防止する手段として、カード挿入口前面にシャッタを設け、スキミング装置が取り付けられた場合には、シャッタとスキミング装置が干渉する構造を利用して、スキミング装置の取り付けを防止する方法が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−191916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
スキミング装置の代表的な例は、スキミング装置内に磁気ヘッドを組み込んで、磁気カードの磁気ストライプに記録された情報を読み取るというものである。他にも、スキミング装置内にラインスキャナを組み込んで、カードに印刷あるいは打刻された図柄や文字情報を読み取る事例が存在する。
【0007】
このようなスキミング装置は、ATMのカード挿入口付近に、利用者が認知し難い状態で取り付けられ、利用者によってカードが挿入されるのを待つ。ATMにカードが挿入される時、スキミング装置内部の磁気ヘッドやラインスキャナ上を、カードが滑走しながら通過する構造を利用して、スキミング装置は情報を不正に窃取する。
【0008】
近年、スキミング装置は小型化しており、カード搬送方向に10数ミリの場所があれば取り付けられてしまうものもある。また、ATM本体とカード部との隙間にスキミング装置を取り付けられた事例や、ATM本体の形成壁をくりぬいて、そこへスキミング装置を埋め込むといった事例など、ATM内部を加工して装置内部にスキミング装置を取り付ける方法も見られるようになった。
【0009】
特許文献1に記載された記録媒体受付装置では、シャッタの内側や挿入孔の裏側など、装置内部にスキミング装置が取り付けられた場合には、記録媒体受付装置がスキミング装置を検出できない場合もあり得る。また、利用者がカードを挿入しようとする前にシャッタを開ける構成としているため、利用者の存在を正確に検出するための機構も必要となる。
【0010】
本発明は、こうしたスキミング装置の取り付け防止に関わる上記の問題点を解決し、情報の窃取防止の実効性を高めることをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を達成するために、本発明は、記録媒体読取装置において、
記録媒体が挿入される挿入口と、前記記録媒体から情報を読み取る情報読取部と、前記挿入口に挿入された該記録媒体を挟持する記録媒体挟持部とを備え、前記挿入口は、当該装置の端部に設けられ、前記記録媒体挟持部は、前記挿入口に配置され、記録媒体を前記情報読取部に搬送する際、当該記録媒体挟持部の少なくとも一部は、前記記録媒体とともに、前記挿入口の外側から当該装置の内部へ入り込む構造を備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、スキミング装置の取り付けを防止し、情報の窃取防止の実効性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1の実施形態を備えた自動取引装置1の斜視図。
【図2】第1の実施形態を備えた自動取引装置1の内部構成を示すブロック図。
【図3】第1の実施形態を備えた自動取引装置1のカード挿入口30周辺構成を説明する斜視図。
【図4】記録媒体挟持部105の構成説明図。
【図5】カード挿入口30にカードが挿入された時の状態を示す説明図。
【図6】カード搬送中の状態を示す説明図。
【図7】カードを正常に取り込んだ時の状態を示す説明図。
【図8】取引時の自動取引装置1の動作を示すフローチャート。
【図9】カード読み取り時のカード部の動作を示すフローチャート。
【図10】カード返却時のカード部の動作を示すフローチャート。
【図11】従来の自動取引装置にスキミング装置が取り付けられた状態の一例を示す説明図。
【図12】第1の実施形態において、図11と同様にスキミング装置が取り付けられた状態を示す説明図。
【図13】従来の自動取引装置にスキミング装置が取り付けられた状態の一例を示す説明図。
【図14】第1の実施形態において、図13と同様にスキミング装置が取り付けられた状態を示す説明図。
【図15】従来の自動取引装置にスキミング装置が取り付けられた状態の一例を示す説明図。
【図16】第1の実施形態において、図15と同様にスキミング装置が取り付けられた状態を示す説明図。
【図17】第2の実施形態として、カード表面の情報搾取の防止が可能となるような記録媒体挟持部の構造を示す説明図。
【図18】第3の実施形態として、カードの表裏共に情報搾取の防止が可能となるような記録媒体挟持部構造を示す説明図。
【図19】第4の実施形態として、プレゼンタの形態をベルトによる構造とした場合の説明図。
【図20】図18の状態からカードの搬送を始めた後、カードを正常に取り込んだ時の状態を示す説明図。
【図21】第5の実施形態として、カード挿入時に自動取引装置1の表示入力部20に表示される画面を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0014】
以下、図1〜図10を用いて、本発明の一実形態を説明する。本実施形態は、金融機関などに設置されるATMのような自動取引装置に関するものである。
【0015】
図1は、本実施形態に係わる自動取引装置1の外観を概略的に示す概略斜視図である。図2は、自動取引装置1の内部構成を概略的に示すブロック図である。図3および図4は、本実施形態の自動取引装置1における要部構成であるカード挿入口周辺の構成を概略的に示す説明図であり、図3はカード挿入口30周辺の斜視図、図4(A)は正面図、図4(B)は側面図である。
【0016】
自動取引装置1は、利用者の操作によって現金の入出金等の取引を行う自動取引装置であり、操作案内を表示すると同時に利用者の入力を検出する表示入力部20と、現金の入出金を行う紙幣部40と、利用者の口座番号などの情報が記録された記録媒体であるカードCの挿入を受け付けるカード挿入口30と、カード挿入口30から挿入されたカードCを取り扱うカード部100と、これらの部位を制御する制御部10を有する。
【0017】
カード部100は、カードCの裏面に付された磁気ストライプの情報を読み取る情報読み取り部である磁気ヘッド106と、挿入されたカードを磁気ヘッド106まで搬送するカード挟持搬送部105(以下、プレゼンタ105とする)と、磁気ヘッド106が磁気ストライプを読み取るためにカードCを搬送する搬送ローラ103と、プレゼンタ105および搬送ローラ103を駆動させる搬送モータ104と、プレゼンタ105の位置を検出するセンサ102と、搬送モータ104やセンサ102と磁気ヘッド106を制御し上位の制御部10と通信するカード制御部101から構成されている。
【0018】
プレゼンタ105は、カードが搬送される搬送路の上部に位置する上部プレゼンタ105aと、搬送路より下部に位置する下部プレゼンタ105bの一対によって構成され、上部プレゼンタ105aと下部プレゼンタ105bは、挿入されたカードCを上下から挟持できるように、カード搬送経路を挟んで相対する位置関係に配置される。
【0019】
下部プレゼンタ105bは回転軸に接続され、回転軸に接続した搬送モータ104により、ガイド107に沿って移動する。また、上部プレゼンタ105aもモータ104に接続され、カードCを搬送する場合には搬送方向へ回転する。
【0020】
さらに、下部プレゼンタ105bは、カード挿入口30から装置外部へ迫り出した状態にあり、その迫り出した部分の表面には利用者から見える状態で安全表示D1が表示され、カードCの挿入に伴って装置内部へ移動する構成としている。
【0021】
カードCの挿入はセンサ102で検知する。センサ102は、図4(b)のように下部プレゼンタ105bに接続する回転軸を監視し、プレゼンタ105bの動作からカードCの挿入を検知する。これ以外でも、下部プレゼンタ105bの回転軸に取り付け、カード挿入を検知するもの、プレゼンタ105の近傍にあってプレゼンタの動きから光学的にカードCの挿入を検知するもの、下部プレゼンタ105bがカードCと接触したことを感知するものなどであってもよい。
【0022】
次に、カードCが挿入された場合におけるカード部100の動作について、図5〜図7の説明図を用いて説明する。それぞれの図において、(A)は正面図、(B)は側面図である。また図5〜図7は、スキミング装置が取り付けられていない通常の動作を示し、取り扱うカードは裏面に磁気ストライプを備えている。
【0023】
カードCが挿入される前の状態では、下部プレゼンタ105bは、安全表示D1を利用者へ表示した状態の位置(以下、この位置を「受付位置」と呼ぶ。)にある。カードCがカード挿入口30から挿入されると、プレゼンタ105はカードCを挟持し、カードCの搬送を開始する(図5)。
【0024】
カードCの搬送が開始されると、センサ102はプレゼンタ105にカードCが挿入されたことを検知する。センサ102の出力を検知したカード制御部101が搬送モータ104を制御することにより、上部プレゼンタ105aは回転し、下部プレゼンタ105bはガイド107に沿ってカード挿入口30から装置内部へ入り込む。カードCは上部プレゼンタ105aと下部プレゼンタ105bによって挟持された状態を保ち、プレゼンタ105の摩擦力によって装置内部へ取り込まれる。この時、下部プレゼンタ105bの表面に表示された安全表示D1は、カードCと共にカード挿入口30から装置内部へ入り込む。利用者は、この様子を視認する事によって、挿入口近傍の装置外部にスキミング装置が取り付けられていないことを判断できる。
【0025】
また、下部プレゼンタ105bが装置内部へ入り込む状況の視認性を高めるために、下部プレゼンタ105bの奥に位置するガイド107の表面に、安全表示D1とは別の安全表示D2を表示する(図6)。
【0026】
これら安全表示は、図形や文字などにより示してもよいし、視認できる面の色を変えることによって表現されるものでもよい。また、LEDやランプ等の発光によって安全表示を表現する構成であってもよい。なお、下部プレゼンタが外部に迫り出した状態でなくとも同様の効果がある。
【0027】
下部プレゼンタ105bが完全に装置内部へ入り込んだ後は、安全表示D2が利用者に向けて表示される。さらにカードCが装置内部に搬送されてプレゼンタ105の挟持から解放された後は、カードCは搬送ローラ103によって搬送され、磁気ヘッドによって磁気ストライプの読み取りが完了する(図7)。
【0028】
以上、図5〜図7で示したプレゼンタ105の構成と動作により、プレゼンタ105が移動する経路上には、スキミング装置の取り付けを防止することができる。また、プレゼンタ105がカードCを挟持して搬送している間、安全表示D1の表示された下部プレゼンタ105bの表面は、カードCの磁気ストライプと接し、摩擦力によってカードを装置内部へ送り出す構造としている。従って、プレゼンタ表面に小型のスキミング装置を取り付けたとしても、カードCがスキミング装置上を滑走することが無いため、磁気ストライプの情報が窃取される事を防止できる。
【0029】
次に、利用者が自動取引装置1を利用し、取引を行う場合の自動取引装置1動作を、図8〜図10を用いて説明する。図8は、自動取引装置1での取引処理フローの一例である。取引を開始すると、顧客のカード挿入に応じてカードの読み取り処理(ステップS1)が始まる。カードの読み取りが正常に完了すると、利用者に取引を選択させる(ステップS2)。取引が正常に完了すると、カード返却処理(ステップS3)が行われる。全体の処理フローはこのようになる。図9は、図8のフローのうち、カード読み取り処理S1の詳細を示す動作フローの一例である。図10は、図8のフローのうち、カード返却処理S3の詳細を示す動作フローの一例である。
【0030】
通常、利用者が取引を開始する前の状態では、自動取引装置1は表示入力部20に、広告等の画面を表示している。この時、下部プレゼンタ105bは受付位置にあり、センサ102が下部プレゼンタ105bの接続している回転軸を監視している(ステップS11)。
【0031】
利用者がカード挿入口30にカードCを挿入すると、カードCはプレゼンタ105に挟持され、カードCとプレゼンタ105の摩擦力によって下部プレゼンタ105bが移動し、下部プレゼンタ105bの移動によってセンサ102はカードCが挿入された事を検出する(ステップS12)。
【0032】
センサ102がカードCの挿入を検出すると、カードCの搬送を開始する(ステップS13)。このとき、搬送モータ104が駆動し、下部プレゼンタ105bはカードとともに装置内部へと移動する(ステップS14)。プレゼンタ105によって、カードCは磁気ヘッド106まで搬送される。
【0033】
カードCが正常に磁気ヘッド106へ到達した場合(ステップS15)、プレゼンタ105と搬送ローラ103の駆動によってカードCの磁気ストライプ面が磁気ヘッド106上を滑走し、磁気ヘッド106は磁気ストライプ上に記録された情報を読み取る(ステップS16)。
【0034】
ステップS13のカード搬送で異常があった場合、プレゼンタ105が接続している回転軸を監視しているセンサ102はプレゼンタ105の搬送状況の異常を検出する。この場合、カード部100は、エラー処理を行う(ステップS17)。
【0035】
自動取引装置1は、カード読み取り処理が正常に終了した場合、表示入力部20に取引選択画面を表示し、利用者が選択した取引内容を実行する(ステップS2)。取引処理が正常に終了すると、カード返却処理ステップ3に進む。
【0036】
カード返却処理では、まず搬送ローラ103によって、カードCが挿入口30の方向へ搬送される(ステップS31)。カードCの一端が下部プレゼンタ105bに接すると、カードCと下部プレゼンタ105bの摩擦力によって、下部プレゼンタ105bが挿入口30の方向へ移動を始める。さらにカードCが搬送され、カードCの一端が上部プレゼンタ105aに接すると、カードCは上部プレゼンタ105aと下部プレゼンタ105bによって挟持される。この後、搬送モータ104によりプレゼンタ105は、利用者がカードCを抜き取る事ができる挿入口30まで、カードCを搬送する(ステップS32)。この時、下部プレゼンタ105bは、装置内部から挿入口30へと移動し、カードCと共に挿入口30から出現する。利用者がカードCを抜き取る時、カードCとプレゼンタ105の摩擦力によって、下部プレゼンタ105bは受付位置へ戻り、安全表示D1が再び利用者に向けて表示される状態に戻る(ステップS33)。尚、ステップS32のカード返却で異常があった場合、プレゼンタ105が接続している回転軸を監視しているセンサ102がプレゼンタ105の搬送状況の異常を検出し、カード部100は、エラー処理を行う(ステップS34)。カードの返却が正常に完了した場合は、一連の取引処理が完了し、ステップS1に戻る。
【0037】
ここで、裏面に磁気ストライプを備えたカードによる取引を想定した自動取引装置に対し、スキミング装置が取り付けられた場合について、図11〜図16を用いて説明する。スキミング装置SがカードCの情報を窃取するためには、カードCがスキミング装置Sを滑走する必要があるため、スキミング装置SはカードCの挿入経路に接するように取り付けられる。
【0038】
図11と図12は、挿入口30の前方領域、すなわち装置外部である前面パネルにスキミング装置Sが取り付けられた状況の例である。図13と図14は、挿入口30に直接スキミング装置Sが取り付けられた状況の例である。図15と図16は、前面パネル2の裏側、すなわち装置内部にスキミング装置Sが取り付けられた状況の例である。
【0039】
装置外部にスキミング装置Sが取り付けられた場合において、図11に示した従来の自動取引装置では、自動取引装置の前面パネルを視覚的に模倣したスキミング装置Sが取り付けられると、利用者はスキミング装置Sの存在を認識することが困難である。一方、図12に示した本実施形態の自動取引装置1では、下部プレゼンタ105bを視覚的に模倣したスキミング装置Sが取り付けられた場合でも、利用者は、カードCの挿入過程において、安全表示D1がカード挿入口30から装置内部へ入り込む様子(図6)を視認することができなくなる。よって、安全性を容易に判断することができる。
【0040】
挿入口30に直接スキミング装置Sが取り付けられた場合において、図13に示した従来の自動取引装置では、自動取引装置1の前面パネルおよび挿入口30を視覚的に模倣したスキミング装置Sが取り付けられると、利用者はスキミング装置Sの存在を認識することが困難である。一方、図14に示した本実施形態の自動取引装置1では、下部プレゼンタ105bが挿入口30の一部を成し、下部プレゼンタ105bは装置内部へ入り込む構成としているため、下部プレゼンタ105bへ直接スキミング装置Sを取り付けられた場合、下部プレゼンタ105bはスキミング装置Sと干渉する。したがって、下部プレゼンタ105bはカードCを搬送する事ができなくなるため、カード情報の窃取を防止できる。
【0041】
装置内部にスキミング装置Sが取り付けられた場合、図15に示した従来の自動取引装置では、スキミング装置Sの検出は困難であり、利用者もスキミング装置Sの存在を認識することが困難である。一方、図16に示した本実施形態の自動取引装置1では、下部プレゼンタ105bの構造によりスキミング装置Sは搬送路から離れるため、挿入過程においてカードCはスキミング装置Sを滑走する事がない。したがって、スキミング装置はカードの情報記録面をスキャンする事ができず、カード情報の窃取を防止する事ができる。
【0042】
以上のように、本実施形態の自動取引装置1では、装置外部、挿入口、装置内部のいずれの部位にスキミング装置Sを取り付けられた場合でも、利用者が気付かないまま、カードCの記録情報が窃取されることを防止する事ができる。
【実施例2】
【0043】
第1の実施形態では、裏面に磁気ストライプを備えたカードを対象としていたが、第2の実施形態では表面に磁気ストライプを備えたカードを対象にした構成について説明をする。
【0044】
本実施形態では、図17に示すように上部プレゼンタ105aをカードとともに装置内外を出入りする円弧状の板とし、下部プレゼンタ105bをローラ形状のものとする。また、磁気ストライプがカードCの表面にあるため、磁気ヘッド106は上部プレゼンタ105a側にある構成とする。また、本実施形態も図4(b)と同様に、搬送モータ104とセンサ102を備える。
【0045】
本実施形態は、第1の実施形態と同様にスキミング装置の取り付けを防止し、カード情報の窃取を防止することができる。
【実施例3】
【0046】
第3の実施形態として、図18に示すように上部プレゼンタ105aと下部プレゼンタ105bの両方を、カードCの移動に伴って装置内外を移動する円弧状の板として構成とする。このような構成とした場合、カードCの表面または裏面のみに磁気ストライプを付されたカードだけではなく、その両面に磁気ストライプを付されたカードにも対応することが出来る。
【0047】
さらに、このような構成とすることで、表面または裏面に記録された情報の搾取を、同時に防止することが可能となる。
【実施例4】
【0048】
第1の実施形態から第3の実施形態は、プレゼンタ105が移動する構成で記載したが、第4の実施形態として、図19に示すようにプレゼンタ105をベルトにした構成について説明する。
【0049】
この場合、利用者は、ベルト表面に表示された安全表示D1が、ベルトが回転する事によってカードCとともにカード挿入口30から装置内部へ移動し、新たに出現するベルトの表面に表示された安全表示D2(図20)を視認する事によって、挿入口または装置外部にスキミング装置が取り付けられていないことを判断する事が可能となる。
【0050】
また、プレゼンタ105をベルトで構成したことにより、第1の実施形態から第3の実施形態で使用した円弧状の板よりも安定した搬送が可能となる。さらに、ベルトを使用することでより低コストで記録媒体挟持部が構成できる。
【実施例5】
【0051】
第5の実施形態では、図21に示すようにカードCを挿入する際に、表示入力部20に挿入口周辺の様子や、プレゼンタ105の動作などを表示する構成について説明をする。
【0052】
このような構成にすることで、利用者は挿入時に表示入力部20で表示されている内容と実際の挿入口周辺を比べながらカードCを挿入することができる。したがって、スキミング装置が取り付けられている場合は、利用者がスキミング装置の存在に気付くため、カード情報の窃取を防ぐことができる。
【0053】
各実施形態について説明したが、上記実施形態に示したいずれかのプレゼンタ形状を組み合わせて構成する実施形態も考えられる。
【0054】
また、プレゼンタ105の材質は摩擦力の高いものがよいが、プレゼンタ105全体にある必要はなく、一部に摩擦力の高い素材を用いる構成であってもよい。さらに、上部プレゼンタ105aと下部プレゼンタ105bとで違った摩擦力を持つ素材を使用してもよい。
【0055】
なお、各実施形態ではプレゼンタ105に搬送モータ104を接続した構成としているが、搬送モータ104がなく、手動でプレゼンタ105が稼動する構成であってもよい。
【0056】
上述の構成により、本発明はスキミング装置の取り付けを防止し、情報の窃取防止の実効性を高めた記録媒体読取装置を提供することが可能となる。
【符号の説明】
【0057】
1・・・自動取引装置
2・・・自動取引装置の前面パネル
2a・・・前面パネルの垂直部
2b・・・前面パネルの水平部
10・・・制御部
20・・・表示入力部
30・・・カード挿入口
40・・・紙幣部
100・・・カード部
101・・・カード制御部
102・・・カード検知センサ
103・・・カード搬送ローラ
104・・・カード搬送モータ
105・・・プレゼンタ
105a・・・上部プレゼンタ
105b・・・下部プレゼンタ
106・・・磁気ヘッド
107・・・ガイド
C・・・カード
D・・・安全表示
D1・・・カード挿入待ち時の安全表示
D2・・・カード取込み後の安全表示
S・・・スキミング装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体が挿入される挿入口と、
前記記録媒体から情報を読み取る情報読取部と、
前記挿入口に挿入された前記記録媒体を挟持する記録媒体挟持部とを備えた記録媒体読取装置であって、
前記挿入口は、当該装置の端部に設けられ、
前記記録媒体挟持部は、前記挿入口に位置し、前記記録媒体を前記情報読取部へ搬送する際、当該記録媒体挟持部の少なくとも一部は、前記記録媒体とともに前記挿入口の外側から当該装置の内部へ入り込むこと、を特徴とする記録媒体読取装置。
【請求項2】
請求項1に記載の記録媒体読取装置であって、
前記記録媒体挟持部の少なくとも一部は、前記記録媒体を放出する際、前記記録媒体とともに当該装置の内部から前記挿入口の外側へ移動すること、を特徴とする記録媒体読取装置。
【請求項3】
請求項1に記載の記録媒体読取装置であって、
前記記録媒体挟持部の少なくとも一部には、少なくとも図形である安全表示部を備えること、を特徴とする記録媒体読取装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3に記載の記録媒体読取装置であって、
前記記録媒体を搬送する場合、前記記録媒体挟持部は、前記記録媒体と接し、
前記記録媒体を滑らせることなく搬送すること、を特徴とする記録媒体読取装置。
【請求項5】
請求項4に記載の記録媒体読取装置であって、
前記記録媒体挟持部は、記録媒体挟持ローラと円弧状の板とで構成され、
前記記録媒体を搬送する場合、前記円弧状板は前記記録媒体とともに前記挿入口の外側から当該装置の内部に入り、
前記記録媒体を放出する場合、前記円弧状板は前記記録媒体とともに当該装置の内部から前記挿入口の外側へ移動すること、を特徴とする記録媒体読取装置。
【請求項6】
請求項4に記載の記録媒体読取装置であって、
前記記録媒体挟持部は、一対の円弧状の板で構成され、
前記記録媒体を搬送する場合、前記一対の円弧状板が前記記録媒体とともに前記挿入口の外側から当該装置の内部に入り、
前記記録媒体を放出する場合、前記一対の円弧状板が前記記録媒体とともに当該装置の内部から前記挿入口の外側へ移動すること、を特徴とする記録媒体読取装置。
【請求項7】
請求項4に記載の記録媒体読取装置であって、
前記記録媒体挟持部は、一対のベルトと前記ベルトを稼動させるローラで構成され、
前記記録媒体を搬送する場合、前記一対のベルトは前記記録媒体とともに前記挿入口の外部から当該装置の内部に入り、
前記記録媒体を放出する場合、前記一対のベルトが前記記録媒体とともに当該装置の内部から前記挿入口の外側へ移動すること、を特徴とする記録媒体読取装置。
【請求項8】
記録媒体が挿入される挿入口と、
前記挿入口に挿入された前記記録媒体を挟持する記録媒体挟持部とを備えた記録媒体読取装置であって、
前記挿入口は、当該装置の端部に位置し、
前記記録媒体挟持部は、前記挿入口に位置し、
当該記録媒体挟持部の一部には、少なくとも図形を含む第一の安全表示部を備え、
前記記録媒体を搬送する際に、前記記録媒体とともに前記挿入口から当該装置の内部へと入り込むこと、を特徴とする記録媒体読取装置。
【請求項9】
請求項8に記載の記録媒体読取装置であって、
前記記録媒体挟持の少なくとも一部は、前記挿入口の外側にあること、を特徴とした記録媒体読取装置。
【請求項10】
請求項8あるいは請求項9に記載の記録媒体読取装置であって、
前記記録媒体挟持部の移動により、第2の安全表示部が出現すること、を特徴とする記録媒体読取装置。
【請求項11】
記録媒体が挿入される挿入口と、
前記記録媒体から情報を読み取る情報読取部と、
前記挿入口に挿入された前記記録媒体を挟持する記録媒体挟持部とを備えた記録媒体読取装置であって、
前記挿入口は、当該装置の端部に設けられ、
前記記録媒体挟持部は、一対の円弧状の板で構成され、前記挿入口に位置し、
当該記録媒体の少なくとも一部に安全表示部を備え、
前記記録媒体を前記情報読取部へと搬送する際、前記記録媒体と接し、前記記録媒体とともに前記挿入口から当該装置の内部へと移動し、
前記記録媒体を前記情報読取部から搬送する際、前記記録媒体と接し、前記記録媒体とともに当該装置の内部から前記挿入口へと移動すること、を特徴とする記録媒体読取装置。
【請求項12】
取引内容の表示または利用者の操作入力を受け付ける表示入力部と、
紙幣の入出金を行う紙幣部と、
記録媒体を挿入または排出を行う挿入口と、
前記挿入口に挿入された前記記録媒体を取り扱う記録媒体取扱部とを備えた自動取引装置であって、
前記記録媒体取扱部は、前記記録媒体を挟持し搬送する記録媒体挟持部を備え、
少なくとも前記記録媒体挟持部の一部は、前記利用者から見える位置に位置し、
前記見える位置にある前記記録媒体挟持部の一部は、安全表示部を備え、
前記記録媒体を搬送する際に、前記記録媒体と接し、ともに前記見える位置から前記記録媒体取扱部の内部に移動すること、を特徴とする自動取引装置。
【請求項13】
請求項12に記載の自動取引装置であって、
前記記録媒体を搬送する際の前記記録媒体挟持部の動作を、前記表示入力部に表示すること、を特徴とする自動取引装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate


【公開番号】特開2011−145961(P2011−145961A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−7691(P2010−7691)
【出願日】平成22年1月18日(2010.1.18)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】