説明

記録情報転送装置、記録情報転送方法及び記録情報転送システム

【課題】 記録媒体の残り時間に対して、ユーザーの手間なく適切な曲が選択されて追加記録されるようにする。
【解決手段】 ユーザーが指定した曲(指定記録情報)の記録後の状態としての記録媒体の記録可能量(残り時間)を判別し、判別された記録可能量に対して記録可能な情報量(演奏時間)であり、かつ指定記録情報とされていない曲を、情報ソースを検索して得、記録装置に対して追加記録情報として送出させるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音楽等の情報ソースから記録装置(記録媒体)での記録のために情報を提供する際に好適な記録情報転送装置、記録情報転送方法及び記録情報転送システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ユーザーの所有するオーディオビジュアル機器として各種のものが普及しており、音楽ソフトや映像ソフトを個人で楽しむことが一般化している。
例えばユーザーがCD(コンパクトディスク)、MD(ミニディスク)などのディスク記録媒体を用いたオーディオシステムなどを所有し、パッケージメディアとして販売されている所望のCD、MD等を購入して再生させたり、或いは記録可能なメディアであるMDを用いて自分の好みの選曲によるオリジナルディスクを作成するなどのことが行われている。
【0003】
また従来ない新たなオーディオビジュアル機器として、例えばハードディスクなどの大容量メディアを利用してオーディオデータファイルやビデオデータファイルを蓄積する記録再生装置の開発が進められている。
例えばCDなどのユーザーが所有するパッケージメディアに収録されている楽曲等を、その記録再生装置内のハードディスクなどにダビング記録する。ハードディスクなどの大容量の記録媒体を用いることで、例えばユーザーが所有する多数のCD等における全楽曲などを記録再生システム内に格納しておくことができる。
【0004】
そしてユーザーは、或る楽曲等を再生させたいときには、わざわざその楽曲が収録されたCD等を探して記録再生装置に装填する必要はなく、楽曲を指定してハードディスクから読み出して再生させるようにすればよい。従って特に大量のCD等を所有しているユーザーなどで非常に便利なものとなる。そしてまたCD等の入れ換え等も不要となるため、例えばその日の気分や状況に応じた選曲で音楽を楽しむなどといったことも手軽に可能となる。
【0005】
また、例えばその記録再生装置のハードディスク等から楽曲等のデータを移動又は複写できる携帯用記録再生装置などを設ければ、多数の楽曲の中からその日に聴きたい楽曲を選んで複写等を実行させて、その携帯用記録再生装置で再生できるようにすることができる。特にその携帯用記録再生装置でも記録媒体としてハードディスクやフラッシュメモリなどを用いるようにすれば、楽曲データ等の移動や複写を瞬時に実行することができ、例えばユーザーは毎日、出かける前に、その日の気分や状況に応じて曲を選択して、携帯用記録再生装置側に移動又は複写を行い、その携帯用記録再生装置で曲の再生を楽しむことなどの利用形態も可能となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ユーザーが或る音楽データのソースから選択した音楽データを所定の記録媒体にダビングするということは、比較的頻繁に行われる。
例えばCDに収録されている音楽をMDにダビングすることもその一形態であるし、上記のようにハードディスクを音楽データのソースとして備えた記録再生装置から携帯用記録装置に音楽データをダビングすることも考えられる。
このようにダビングを行う場合は、通常、ユーザーが曲やアルバム単位で音楽を選択してダビングを実行させるが、そのダビング先の記録媒体において、選択された全曲が録音されても、なお録音可能な容量(録音可能時間)が残されていることが多い。例えば音楽データ60分を記憶可能な記録媒体に、ユーザーが総演奏時間55分の音楽アルバムをダビングさせた場合、あと5分の記録可能な残り時間が発生する。
この場合、ユーザーは残りの容量を有効利用するために、さらに、適当な曲を選んでダビングさせる場合が多い。
【0007】
しかしながら、残り容量に対して適切な曲を見つけることは、ユーザーにとっては結構面倒な作業となる。例えば記録媒体の残り時間を確認して、演奏時間がその時間以内となるような曲を、手持ちのCD等の中から探していかなければならない。もちろんCDジャケット等に演奏時間が記載されていなければ、そのCDからは選択できなかったり、あるいは録音が途中で切れること(容量オーバーで録音不能となること)を覚悟してダビングさせなければならないという事態となることもある。
また例え適切な演奏時間の曲が見つかっても、先にダビングした曲とあまりに雰囲気やジャンルの違う曲などは好ましくないという事情もある。
【0008】
またCDシステムにおいて、或るCDからMD等にダビングを行った後に、記録可能な残り時間があった場合は、そのCDから適切な曲を選んでダビングさせるというものも提案されていたが、その場合は、或る曲が重複してダビングされるものとなるため、記録媒体側の容量の有効利用とは言い難く、またユーザーが、その様な追加のダビングは不要と考えることも多かった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明はこのような問題点に鑑みて、記録媒体の残り時間への記録について、その残り時間(残り容量)に応じた適切なデータ量であり、かつ、既に記録されている情報と重複のない情報を選択できるようにすることでユーザーの作業を簡略化させることを目的とする。さらに選択される情報は、ユーザーにとって先に記録した情報などとの関連で好ましいと思えるものとする。
【0010】
このため、記録情報転送装置は、データファイルと前記データファイルに対応付けられる付加情報とを記憶する記憶手段と、記録装置と接続するための接続手段と、前記接続手段を制御して、前記記憶手段に記憶されるデータファイルのうち所定のデータファイルを前記記録装置へ転送させた後、前記所定のデータファイルとは異なるデータファイルを抽出し、前記記録装置へ転送させる制御手段とを備える記録情報転送装置。
前記記録情報転送装置は更に、前記記憶手段からデータファイルを抽出するための抽出条件を設定する設定手段を備え、前記制御手段は、前記所定のデータファイルとは異なり、且つ、前記抽出条件に一致する付加情報が対応付けられたデータファイルを抽出し、前記接続手段を制御して前記記録装置へ転送させる。
更に、前記記録装置の記録可能容量を判別する判別手段を備え、前記制御手段は、前記所定のデータファイルとは異なり、且つ、前記判別手段で判別された記録可能容量に対して記録可能な情報量のデータファイルを抽出し、前記接続手段を制御して前記記録装置へ転送させる。
前記制御手段は、前記判別手段で判別された記憶可能量が所定値未満のときは、前記接続手段による前記他のデータファイルの転送を禁止する。
前記制御手段は、前記判別手段で判別された記憶可能量が前記記憶手段における最小の情報量を有するデータファイルの情報量より小さいときは、前記接続手段による前記他のデータファイルの転送を禁止する。
前記付加情報は、前記付加情報が対応付けられるデータファイルの再生回数情報を含み、前記抽出条件は、再生回数が所定の回数以上のデータファイルである。
前記付加情報は、前記付加情報が対応付けられるデータファイルが記録された日時である記録日時情報を含み、前記抽出条件は、記録日時が所定の期間のデータファイルである
前記付加情報は、前記付加情報が対応付けられるデータファイルのアーティスト情報、ジャンル情報、作曲者情報のうち少なくとも一つを含み、前記抽出条件は、所定のアーティスト情報、ジャンル情報、作曲者情報の少なくとも一つが所定のアーティスト情報、ジャンル情報、作曲者情報の少なくとも一つと一致するデータファイルである。
【0011】
本発明の記録情報転送方法は、データファイルと前記データファイルに対応付けられる付加情報とを記憶手段に記憶する記憶手順と、記録装置と接続手段によって接続する接続手順と、前記接続手段を制御して、前記記憶手段に記憶されるデータファイルのうち所定のデータファイルを前記記録装置へ転送させた後、前記所定のデータファイルとは異なるデータファイルを抽出し、前記記録装置へ転送させる制御手順とを備える。
本発明の記録情報転送装置と記録装置からなる記録情報転送システムは、
前記記録情報転送装置は、データファイルと前記データファイルに対応付けられる付加情報とを記憶する記憶手段と、記録装置と接続するための接続手段と、前記接続手段を制御して、前記記憶手段に記憶されるデータファイルのうち所定のデータファイルを前記記録装置へ転送させた後、前記所定のデータファイルとは異なるデータファイルを抽出し、前記記録装置へ転送させる制御手段とを備え、
前記記録装置は、前記接続手段から転送される前記データファイルを記録する記録手段を備える。
【発明の効果】
【0012】
以上の説明からわかるように本発明では、記録情報転送装置が、ユーザーが指定した情報(指定記録情報)の記録後の状態としての記録装置の記録媒体の記録可能量を判別し、判別された記録可能量に対して記録可能な情報量であり、かつ指定記録情報とされていない情報を、情報ソースを検索して得、記録装置に対して追加記録情報として送出させるようにしている。従って、記録装置側の記録媒体に残り時間が発生する際に、自動的に適切なデータ量の情報(適切な演奏時間の曲など)が選択されて、追加記録に供されるため、記録媒体の有効利用がはかれるとともに、そのためにユーザーが容量に応じて記録すべき情報を選ぶといった面倒な作業を不要としたうえで容量に応じた適切な情報を追加記録されるようにすることができる。その上、指定記録情報は検索から除外されることで、同じ情報(同じ曲)が追加記録されることもなく、ユーザーにとって好ましいものとなる。
【0013】
また本発明では、情報ソースの検索により得られた情報のうちで、選択された1つの情報のみを、追加記録情報として送出させることで検索処理、記録処理を簡略化できる。つまり、情報ソースの検索対象は、1単位の情報として、残り容量に適切なものを選べばよいことで、複数の情報を組み合わせたときに適切な容量となる場合など、複雑な場合を考慮しなくてよく、検索処理の簡略化及びそれによる迅速化を図ることができる。
もちろん検索された情報をユーザーに一覧提示したときに、ユーザーに1つの情報のみの選択を求めることで、ユーザーは単純に1つ選べばよく、操作も簡単なものとなる。
【0014】
また本発明では、情報ソースの検索に際して、指定記録情報に応じて絞込条件を設定して、検索を行うものとしている。これにより、指定記録情報と関連性のある情報を追加記録できるようにできる。例えばクラシック音楽がユーザーの指定によりダビングされた際に、クラシックとしての音楽ジャンルで絞り込むことで、残りの部分にヘビィメタル音楽が追加録音され、再生時にユーザーの気分や雰囲気を著しく損ねてしまうようなことも避けられる。また、指定記録情報としての音楽と同一のアーティストの音楽などの絞込条件を設定することも好適である。もちろん絞込条件の設定により、ユーザーの希望に応じた追加記録情報の検索も可能となる。
【0015】
また本発明として、追加記録情報送出制御手段は、判別手段で判別された記録可能量が所定値未満の場合は、追加記録情報の送出処理を実行しないようにすることで、例えば残り時間30秒未満など、追加記録があまり意味のないような状況において、無理に検索や追加録音を行なうこと避けることができ、つまり状況に応じた適切な処理が実現される。例えば特に必要ない場合に検索や追加記録処理を行ったり、これによって処理完了が遅れるということを防止できる。
【0016】
また本発明では、追加記録情報送出制御手段は、判別手段で判別された記録可能量が、情報ソース内での最小の情報の情報量より小さい場合は、追加記録情報の送出処理を実行しないようにしている。つまり追加記録として適切な情報が抽出できない場合には、その追加記録処理自体を行わないことで、無駄な動作を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態としての記録再生装置、携帯用記録再生装置について説明していく。まずその記録再生装置を含む情報配信システム例を述べ、その後、記録再生装置及び携帯用記録再生装置における特徴的な動作例を説明する。
なお、本例の記録再生装置の特徴的な動作は、以下説明する情報配信システムとしての動作としても実現可能であるが、記録再生装置単体と携帯用記録再生装置のみのシステムとしても実現可能なものである。
説明は次の順序で行う。
1.情報配信システムの概要
2.記録再生装置及び携帯装置の外観例
3.記録再生装置の内部構成
4.携帯装置の内部構成
5.記録再生装置のファイル格納形態
6.ダビング時の動作例
7.変形例
【0018】
1.情報配信システムの概要
図1は本例の記録再生装置が含まれる情報配信システムの概要を示すものである。
この情報配信システムは、基本的には、一般ユーザーが家庭2などで用いる記録再生装置10と、記録再生装置10の使用に関する情報サービス組織としての情報センタ1とから構成される。
情報センタ1と記録再生装置10は、通信回線3を用いて各種情報の通信が可能とされている。通信回線3は例えばISDN回線などの公衆回線網としてもよいし、当該システムのための専用回線網などを構築してもよく、その回線の形態は特に限定されない。
また通信衛星4や各家庭2に設置したパラボラアンテナ5などを利用した衛星通信回線を構成し、情報センタ1と記録再生装置10との情報通信が可能とされるようにしてもよい。
【0019】
一般ユーザーが使用する本例の記録再生装置10は、詳しくは後述するが、内部に大容量のデータファイル格納部(例えば図3のハードディスクドライブ15)を備えるとともに、CD、MDなどのパッケージメディアのドライブ機能や、他の機器からのデータ入力機能、通信回線を介したデータ入力機能などを備えており、CD、CD−ROM、MDなどのユーザーが購入したメディアから再生されるオーディオデータ、ビデオデータ、その他の各種データや、他の機器や通信回線から入力される各種データを、それぞれファイルとして格納していくことができる。
【0020】
そして格納されたファイル(例えば音楽等を1曲単位で1つのファイルとして格納している)については、ユーザーが任意に再生させることなどが可能となる。従って、例えば多数のCDを有するユーザーが、全CDの全楽曲をそれぞれ1つのファイルとして記録再生装置10内に格納しておけば、わざわざCD等を選び出して装填しなくても、所望の楽曲等の再生を実行させることができる。
【0021】
このような記録再生装置10に対して、情報センタ1は有料又は無料で各種の情報を提供することができる。
例えば記録再生装置10に格納されている楽曲等のファイルに関連する情報(付加情報)として、曲名、アーティスト名、歌詞などのテキストデータ、楽曲イメージやアーティストの画像などの画像データ、アーティストのインターネットホームページのアドレス(URL:Uniform Resource Locator)、著作権に関する情報、関係者名(作詞者、作曲者、制作者等)・・・・などの情報を提供することができる。例えば記録再生装置10ではこれら情報センタから提供された情報を曲のファイルと対応させて格納しておき、表示出力に利用するなど各種動作を行うことができる。
【0022】
また場合によっては、情報センタ1はオーディオデータ自体、即ち楽曲等を記録再生装置10に送信し、ファイルとして格納させることで、いわゆるパッケージメディアとしてのCD等とは異なった楽曲等の販売/提供システムを構築することも可能である。
【0023】
このシステム例では、ユーザーが使用する装置として、記録再生装置10と接続可能な携帯用の記録再生装置50(以下、携帯装置という)がある。
この携帯装置50についても詳しくは後述するが、内部にオーディオデータ等のファイルを格納することができるデータファイル格納部(例えば図4の固体メモリ(又はハードディスクドライブ)54)を備える。
そして記録再生装置10と接続された際に、記録再生装置10内に格納されているファイル(楽曲等)を、この携帯装置50内のデータファイル格納部に複写又は移動させることができる。もちろん、逆に携帯装置50内のデータファイル格納部に格納されたファイルを、記録再生装置10内のデータファイル格納部に複写又は移動させることも可能である。
【0024】
ユーザーは記録再生装置10内に格納されたファイルのうち任意のファイルを携帯装置50に移動又は複写させることで、そのファイルを携帯装置50で利用することができる。例えば携帯装置50を使用する際に、その日に聴きたいと思った楽曲のファイルを移動させることで、例えば外出先でそれらの曲を聴くことなどが可能となる。
【0025】
2.記録再生装置及び携帯装置の外観例
記録再生装置10及び携帯装置50の外観例について図2に示す。なお、ここで説明するのはあくまでも一例であり、各機器の外観やユーザーインターフェース構成(操作や表示のための構成)、記録再生装置10と携帯装置50の接続形態などは他にも各種の例が考えられる。
【0026】
図2に示すように記録再生装置10は例えばユーザーの家庭での使用に適するように、いわゆるラジカセ型の機器とされている。もちろんコンポーネントタイプでもよい。
この記録再生装置10には、ユーザーが各種操作を行うための各種の操作子Kaとして、操作キーや操作つまみ、ジョグダイヤルと呼ばれる回動プッシュ式のキーなどが、機器前面パネルなどに設けられている。
またユーザーに対する出力部位として、再生音声等を出力するスピーカ35や、各種情報を表示出力する表示部24が設けられる。表示部24は例えば液晶パネルなどで形成される。
【0027】
また、ユーザーが所有するCD方式のディスク(オーディオCD、CD−ROM、CDテキストなど)を記録再生装置10で再生させたり、後述する内部のハードディスクにデータダビング等を行うために、CD方式のディスクを挿入するCD挿入部17が設けられる。
同様に、ユーザーが所有するMD方式のディスク(オーディオMD、MDデータなど)を記録再生装置10で再生/再生させたり、内部のハードディスクにデータダビング等を行うために、MD方式のディスクを挿入するMD挿入部18が設けられる。
【0028】
また、他の機器との接続を行うための各種の端子taが用意される。これらは、マイクロホン、ヘッドホンの接続に用いられる部位とされたり、他のオーディオビジュアル機器やパーソナルコンピュータ等と接続できるライン接続端子、光デジタル接続端子、インターフェースコネクタ等とされている。
【0029】
また、ユーザーの操作入力の手段としては、上記操作子Ka以外に、キーボード90やリモートコマンダー91を用いることができる。
キーボード90は端子taとしてのキーボード用コネクタを介して接続して用いるようにしたり、或いは赤外線送信部をキーボード90に搭載した場合は、キーボード90からの操作情報を赤外線無線方式で出力し、受光部21から記録再生装置10に入力させることもできる。
リモートコマンダー91は例えば赤外線方式で操作情報を出力する。そしてその赤外線信号による操作情報は受光部21から記録再生装置10に入力される。
なお、キーボード90を無線方式とする場合の操作情報の出力や、リモートコマンダー91からの操作情報の出力は、赤外線ではなく電波を用いるようにしてもよい。
【0030】
さらに、表示部24とともに入力手段を形成する入力ペン93が設けられる。即ち表示部24にいわゆるGUIとして操作用の画像が表示されるとともに、その表示部24上の画像に対して入力ペン93を当てることで、タッチペン入力として、その画像に応じた操作入力が行われるようにするものである。
【0031】
また記録再生装置10にはPCMCIAスロット39が形成され、PCMCIAカードを装着してのデータのやりとりが可能とされている。
【0032】
携帯装置50は、ユーザーが携帯して使用を行うことに好適なように小型軽量の機器とされる。
この携帯装置50には、ユーザーが各種操作を行うための各種の操作子Kbとして、操作キーなどが設けられている。図示していないが、もちろんジョグダイヤルなどを設けてもよい。
またユーザーに対する出力部位として、再生音声等を出力するスピーカ68や、各種情報を表示出力する表示部57が設けられる。表示部57は例えば液晶パネルなどで形成される。
【0033】
また、他の機器との接続を行うための各種の端子tbが用意される。これらは、マイクロホン、ヘッドホンの接続に用いられる部位とされたり、他のオーディオビジュアル機器やパーソナルコンピュータ等と接続できるライン接続端子、光デジタル接続端子、インターフェースコネクタ等とされている。
例えばユーザーが携帯して音楽等を聴く場合は、スピーカ68から音声を再生させる他、ヘッドホン92を端子tbのうちのヘッドホン用端子に接続することで、ヘッドホン92を用いて音楽等を聴くことができる。
【0034】
記録再生装置10と携帯装置50を接続することで、記録再生装置10と携帯装置50の間で各種データ通信(オーディオデータ等の実ファイルデータや、それらの通信時の処理のための制御データなどの通信)が可能とされる。
この例では、記録再生装置10に、コネクタ27を有する装着部MTが設けられ、この装着部MTに携帯装置50を装填することで両機器が接続されるものとしている。携帯装置50が装着部MTに装填されると、携帯装置50の下部に設けられたコネクタ60と、装着部MT内のコネクタ27が接続された状態となり、このコネクタ60,27を介して両機器の間のデータ通信が行われる。
なお、記録再生装置10と携帯装置50の接続は、通信ケーブルを用いたライン接続方式としたり、もしくは赤外線等を利用した無線接続方式としてもよい。
【0035】
3.記録再生装置の内部構成
続いて記録再生装置10の内部構成例を図3で説明する。
この記録再生装置10には、パネル操作部20としてプッシュ式や回動式の操作子が設けられている。ここでいう操作子とは、図2に示した各種操作子Kaに相当する。つまり機器筐体上に形成される各種操作子である。
このパネル操作部20が操作されることにより、記録再生装置10の各種動作を実行させるための操作信号が送出され、記録再生装置10はこの操作信号に応じて動作される。
【0036】
また、図2で入力ペン93を示したが、表示部24に操作キー表示に対して入力ペン93による入力が行われたことを検出するために入力検出部42が設けられる。また入力ペン93を駆動するペンドライバ41が設けられる。
入力ペン93による入力方式としては、例えば静電容量検出型が考えられる。即ち入力ペン93の先端に電極を設けてペンドライバ41により駆動するとともに、入力検出部42として表示部24の表示面に相当する範囲にマトリクス状に電極を配する。するとペンドライバ41が触れた位置が、マトリクス状の電極によって静電容量変化位置として検出できるため、その位置に表示されていた操作画像としての操作入力が行われたと判別できる。
なお他の例としては、入力検出部42として2層にマトリクス状のスイッチ電極を配し、入力ペン93で押圧された位置でスイッチ電極の接触が検出されるような機械的な構成も考えられる。このような場合はペンドライバ41は不要であり、また入力ペン93も専用のものである必要はない。
【0037】
また、例えば記録されるオーディオ情報に対応する曲名、アーティスト名等の入力を容易にするために、上記したようにキーボード90やリモートコマンダー91を利用することができるが、USB(universal serial bus)端子ta6にキーボード90を接続することで、キーボード90による入力が可能となる。即ちキーボード90からの入力信号(操作信号)はUSB端子ta6を介してUSBドライバに供給されることで、記録再生装置10の内部に取り込むことができる。なお、図3における各種の端子ta1〜ta7は、それぞれ図2に示した端子taのうちの1つに相当する。
【0038】
またリモートコマンダー91からの赤外線による操作信号(及びキーボード90が赤外線出力を行う場合の操作信号)は、その赤外線操作信号は受光部21で光電変換され、赤外線インターフェースドライバ22に供給されることで、記録再生装置10の内部に取り込むことができるようにされている。
なお、赤外線インターフェースドライバ22、或いはUSBドライバ23を介してデータ転送出力を行うように構成してもよい。
【0039】
この記録再生装置10には通常のパーソナルコンピュータの構成であるRAM13、ROM12、フラッシュメモリ14が設けられており、CPU11により記録再生装置10の全体の動作制御が行われる。
また各ブロック間でのファイルデータや制御データの授受はバスB1を介して行われる。
【0040】
上記のパネル操作部20、入力ペン93、リモートコマンダー91、キーボード90などにより入力された操作入力信号は、CPU11に転送される。そしてCPU11は操作に応じた所定の処理を実行することになる。
このためROM12には、上記パネル操作部20等が操作されることにより入力される入力信号に応じて記録再生装置10の動作を制御するプログラム等が記憶されている。
またRAM13、フラッシュメモリ14にはプログラムを実行する上でのデータ領域、タスク領域が一時的に確保される。または、ROM12にはプログラムローダーが記憶されており、そのプログラムローダーによりフラッシュメモリ14にプログラム自体がロードされることも可能である。
【0041】
CD−ROMドライブ17にはCD方式の光ディスク(オーディオCD、CD−ROM、CDテキスト等)が、上記CD挿入部17から装着されると共に、1倍速或いはより高速、例えば16倍速、32倍速で光学ピックアップにより光ディスクに記憶される情報が読み出される。
【0042】
またMDドライブ17にはMD方式の光ディスク又は光磁気ディスク(オーディオMD、MDデータ等)が上記MD挿入部18から装着されると共に、光学ピックアップによりディスクに記憶される情報が読み出される。もしくは装填されたディスクに対して情報の記録を行うことができる。
【0043】
なお、本例ではCD−ROMドライブ17、MDドライブ18を設けた例をあげているが、このいづれか一方のみを設けたり、もしくは情報が記憶されているメディアとして他のメディア(例えばMOディスクと呼ばれる光磁気ディスクや他の方式の光ディスク、磁気ディスク、メモリカード等)に対応するドライブが設けられてもかまわない。
【0044】
この記録再生装置10の内部の大容量の格納手段としては、ハードディスクに対して情報の記録再生を行うハードディスクドライブ(hard disk drive :以下HDDという)15が設けられている。例えばCD−ROMドライブ17やMDドライブ18から読み出されるオーディオ情報などを、HDD15においてファイル単位(例えば1曲が1ファイル)で格納できる。
【0045】
また、オーディオデータに関してATRAC2方式(Adaptive Transform Acoustic Coding 2)の圧縮エンコードを行うエンコーダ28、及びオーディオデータに関してATRAC2方式の圧縮に対するデコードを行うデコード29が設けられる。
エンコーダ28、デコーダ29はCPU11の制御に応じて、供給されたオーディオデータに関するエンコード、デコードを行う。
また処理対象となっているオーディオデータを一時的に格納するためのバッファメモリ16が設けられる。バッファメモリ16はCPU11の制御によりデータの書込/読出が行われる。
【0046】
例えばCD−ROMドライブ17でディスクから読み出されたオーディオデータをHDD15に格納する場合、HDD15にオーディオデータを記憶する前処理として、バッファメモリ16にディスクから読み出されたオーディオデータが一時記憶されると共に、そのオーディオデータがエンコーダ28に供給されてATRAC2方式のエンコードが行われる。さらにエンコーダ28でエンコードされたデータがバッファメモリ16に再び一時記憶され、最終的にHDD15にエンコードされたオーディオ情報が蓄積されることになる。
【0047】
なお本例では、エンコーダ28によりATRAC2方式でエンコードされたオーティオデータがHDD15に蓄積されるようにしているが、例えばCD−ROMドライブ17から読み出されるデータがそのままHDD15に蓄積されるようにしてもかまわない。
【0048】
エンコーダ28では、CD−ROMドライブ17に装着されるメディアから読み出されたデータがエンコードされるだけではなく、マイクロホンが接続されたマイク端子ta3からアンプ32を介して入力されるオーディオ信号、或いは他のCDプレーヤ等の機器が接続されたライン入力端子ta2から入力されるオーディオ信号が、A/D変換器31を介して入力されるように構成されており、これらの入力されたオーディオデータもエンコーダ28によりエンコードすることができる。
更に、光デジタル端子ta4に接続された外部機器(例えばCDプレーヤ等)から入力されたデータがIEC958(International Electrotechnical Commission 958) エンコーダ30を介してエンコーダ28に入力されるように構成され、このように光デジタル方式で入力されたデータもエンコーダ28によりエンコードできる。
【0049】
そして、これらのように外部機器から入力されたデータをエンコーダ28でエンコードした後に、そのエンコードされたデータをHDD15にファイル単位で格納できるようにされている。
【0050】
なおエンコーダ28のエンコードアルゴリズムとしてはATRAC2(商標)を用いたが、情報圧縮されるエンコードアルゴリズムであればよく、ATRAC(商標)、MPEG(moving picture coding experts group) 、PASC(precision adaptive sub-band coding)、TwinVQ(商標)、RealAudio(商標)、LiquidAudio(商標)等であってもかまわない。
【0051】
また記録再生装置10には、通信回線3として、通信端子ta5に接続される外部ネットワークであるインターネット、TELネットワーク、ケーブルTV、ワイヤレスネットワーク等に接続可能なインターフェースであるモデム19が備えられている。
そしてモデム19を介して遠隔地のサーバに何らかのサービスを求めるリクエスト信号、或いはCD−ROMドライブ17に装着されるメディア情報、ユーザID、ユーザ情報、ユーザ課金情報等が送出される。
【0052】
外部ネットワークのサーバ(通信回線3で通信可能なサーバ)側ではユーザIDによる照合処理、課金処理、ディスク情報からの音楽付加情報、例えば曲のタイトル、アーティスト名、作曲家、作詞家、歌詞、ジャケットイメージ等の検索が行われ、ユーザがリクエストした所定の付加情報を記録再生装置10側へ返信するような動作が可能となる。
ここで、音楽に対する付加的な関連情報を返信する例を示したが、ユーザがリクエストする曲情報が直接外部ネットワークからダウンロードされるように構成してもよい。また、メディア情報に対応して曲情報が返信されるように構成して所定のメディアのボーナストラックが配信により取得されるように構成しても良い。
【0053】
HDD15に蓄積されたオーディオ情報は、デコーダ29によりデコードされ、D/A変換器33、アンプ34を介してスピーカ35により再生出力することができる。もしくはヘッドホン端子ta1にヘッドホンを接続することで、ヘッドホンより再生出力させることができる。
ここではデコーダ29はATRAC2方式のデコードを行うものとしているが、エンコーダ28のエンコードアルゴリズムに対応するデコードアルゴリズムであればよい。
また、エンコード及びデコードのためのハードウェアを持たず、CPU11によるソフトウェア処理であってもよい。
【0054】
更に、HDD15に蓄積されるオーディオデータ等のファイルをユーザが管理、制御するためのインターフェースとして、図2にも示したように表示部24が設けられているが、表示部24は表示ドライバ25によって表示駆動される。
表示部24ではCPU11の制御に基づいて所要の文字、記号、操作用アイコン等が表示される。
また表示部24にはオーディオファイル(なお、楽曲等のオーディオデータが記録されたファイルを説明上オーディオファイルという)などに対応するフォルダ、或いはジャケットイメージが表示され、上記入力ペン93のようなポインティングデバイスによる操作が可能とされる。例えば表示上でユーザーが指示したオーディオファイルが再生されるような動作が可能となる。
もちろん、マウスによるクリック操作や、ユーザが指で触れる等のタッチ操作方式も考えられる。
【0055】
また表示部24での表示を用いて、選択されたオーディオファイルの消去や、外部機器(例えば携帯装置50)への複写、移動等も制御可能である。
或いは、表示部24は、CD−ROMドライブ17に装着されるメディアのTOC(table of contents) 情報を基にインターネット上のWWW(world wide web)サイトから検索された関連情報としてのhtml(hyper text markup laguage) 文書がグラフィック表示されるように構成され、更に通常のインターネットブラウザとしても使用可能となっている。
【0056】
また記録再生装置10では、IEEE1394インターフェース37、IEEE1394ドライバ36を介して、端子ta7に接続された各種機器やシステム、例えば衛星放送用のIRD、MDプレーヤ、DVDプレーヤ、DVプレーヤ等からオーディオ情報が取り込まれるように構成されている。
更なる付加機能としてPCMCIA(Personal Computer Memory Card International Association) スロット39がPCMCIAドライバ38を介して設けられ、PCMCIAカードが装着可能となっており、外部記憶装置、その他のメディアドライブ、モデム、ターミナルアダプタ、キャプチャボード等様々な周辺機器の拡張が容易である。
【0057】
さらに図2で説明したように記録再生装置10には携帯装置50と接続する際のコネクタ27が設けられている。コネクタ27と、携帯装置50側のコネクタ60とが接続されることにより、CPU11はインターフェースドライバ26を介して携帯装置50側と各種のデータ通信が可能となる。例えばHDD15に蓄積されているオーディオファイルを転送することができる。
【0058】
4.携帯装置の内部構成
続いて、携帯装置50の内部構成例を図4に示す。
記録再生装置10と携帯装置50は、コネクタ27とコネクタ60が接続されることで、電気的に接続されることになるが、この状態で記録再生装置10のインターフェースドライバ26と、携帯装置50のインターフェースドライバ59が接続され、両機器の間のデータ通信が可能とされる。
【0059】
携帯装置50にはパネル操作部56としてプッシュ式、回動式のキー等が設けられている。即ち図2に示した各種の操作子Kbがパネル操作部56に相当する。パネル操作部56としての操作子Kbが操作されることにより携帯装置50の動作を指示するための操作信号が制御バスB2に送出され、携帯装置50はこの操作信号に応じた動作を行う。
【0060】
また、記録再生装置10と同様に携帯装置50においても通常のパーソナルコンピュータの構成であるRAM53、ROM52が設けられており、CPU51により携帯装置50の全体の動作が制御される。また各ブロック間のファイルデータや制御データの授受はバスB2を介して行われる。
【0061】
ROM52には、パネル操作部56が操作されることにより入力される操作信号に応じて携帯装置50が実行すべきプログラム等が記憶されており、RAM53にはプログラムを実行する上でのデータ領域、タスク領域が一時的に確保される。なお記録再生装置10と同様にフラッシュメモリが搭載されてもよく、またバス構成は限定されるものではない。
【0062】
この携帯装置50の内部の格納手段としては、ハードディスクに対して情報の記録再生を行う固体メモリ54(フラッシュメモリなど)が設けられている。例えば記録再生装置10から転送されてきたオーディオ情報などが、固体メモリ54においてファイル単位(例えば1曲が1ファイル)で格納できる。なお、固体メモリに代えてハードディスクドライブ(HDD)を格納手段として用いてもよい。
【0063】
また、記録再生装置10と同様に、オーディオデータに関してATRAC2方式のエンコードを行うエンコーダ61、及びオーディオデータに関してATRAC2方式のデコードを行うデコード62が設けられる。
エンコーダ61、デコーダ62はCPU51の制御に応じて、供給されたオーディオデータに関するエンコード、デコードを行う。
また処理対象となっているオーディオデータを一時的に格納するためのバッファメモリ55が設けられる。バッファメモリ55はCPU51の制御によりデータの書込/読出が行われる。
【0064】
例えばATRAC2方式でエンコードされていないオーディオデータがインターフェースドライバ59を介して記録再生装置10から供給され、それを固体メモリ54に格納する場合、固体メモリ54にオーディオデータを記憶する前処理として、バッファメモリ55にオーディオデータが一時記憶されると共に、そのオーディオデータがエンコーダ61に供給されてATRAC2方式のエンコードが行われる。さらにそのエンコードされたデータがバッファメモリ55に再び一時記憶され、最終的に固体メモリ54にエンコードされたオーディオ情報が蓄積されることになる。
【0065】
なお、本例では記録再生装置10におけるHDD15ではATRAC2方式でエンコードされたオーディオファイル等が格納されているとしており、従ってHDD15に格納されていたオーディオファイルがインターフェースドライバ59を介して供給され、それを固体メモリ54に格納する場合(即ち曲等のデータファイルの複写又は移動を行う場合)は、エンコーダ61での処理は必要ない。ところが、記録再生装置10のCD−ROMドライブ17等に装着されるメディアから読み出されるオーディオデータ(圧縮処理されていないデータ)が直接インターフェースドライバ59を介して入力されるようにしてもよく、このような場合に、固体メモリ54にオーディオデータを記録するための処理として、上記のようにエンコーダ61によるエンコードが行われることになる。
【0066】
また本例では、エンコーダ61によりATRAC2方式でエンコードされたオーティオデータが固体メモリ54に蓄積されるようにしているが、例えば圧縮処理されていないデータがそのまま固体メモリ54に蓄積されるようにしてもよい。
【0067】
圧縮処理のためにエンコーダ61にオーディオデータを供給する部位としては、上記インターフェースドライバ59以外に、マイク端子tb3、ライン入力端子tb2、光デジタル端子tb4なども設けられている。なお、図4における各種の端子tb1〜tb4は、それぞれ図2に示した端子tbのうちの1つに相当する。
【0068】
エンコーダ61では、マイクロホンが接続されたマイク端子tb3からアンプ65を介して入力されるオーディオ信号、或いは他のCDプレーヤ等の機器が接続されたライン入力端子tb2から入力されるオーディオ信号が、A/D変換器64を介して入力されるように構成されており、これらの入力されたオーディオデータもエンコーダ28によりエンコードされることができる。
更に、光デジタル端子tb4に接続された外部機器(例えばCDプレーヤ等)から入力されたデータがIEC958エンコーダ63を介してエンコーダ61に入力されるように構成され、このように光デジタル方式で入力されたデータもエンコーダ61によりエンコードできる。
【0069】
そして、これらのように外部機器から入力されたデータをエンコーダ61でエンコードした後に、そのエンコードされたデータを固体メモリ54にファイル単位で格納できるようにされている。
【0070】
なおエンコーダ61のエンコードアルゴリズムとしてはATRAC2に限らず、他の情報圧縮されるエンコードアルゴリズム、例えばATRAC、MPEG、PASC、TwinVQ、RealAudio、LiquidAudio等であってもかまわない。
【0071】
固体メモリ54に蓄積されたオーディオ情報は、デコーダ62によりデコードされ、D/A変換器66、アンプ67を介してスピーカ68により再生出力することができる。もしくはヘッドホン端子tb1にヘッドホンを接続することで、ヘッドホンより再生出力させることができる。
ここではデコーダ62はATRAC2方式のデコードを行うものとしているが、エンコーダ61のエンコードアルゴリズムに対応するデコードアルゴリズムであればよい。
また、エンコード及びデコード処理は、ハードウェアを持たず、CPU51によるソフトウェア処理であってもよい。
【0072】
更に、固体メモリ54に蓄積されるオーディオデータ等のファイルをユーザが管理、制御するためのインターフェースとして、図2にも示したように表示部57が設けられているが、表示部57は表示ドライバ58によって表示駆動される。
表示部57ではCPU51の制御に基づいて所要の文字、記号、アイコン等が表示される。
また表示部57にはオーディオファイルなどに対応するフォルダ、或いはジャケットイメージが表示され、マウス、ペン、ユーザの指で触れる等の、パネル操作部20に該当することになるポインティングデバイスによる操作が可能とされるようにしてもよい。例えば表示上でユーザーが指示したオーディオファイルが固体メモリ54から読み出されてスピーカ35等から再生されるような動作が可能となる。
また表示部57での表示を用いて、固体メモリ54上での選択されたオーディオファイルの消去や、外部機器(例えば記録再生装置10)への複写、移動等も制御可能である。
【0073】
なお図2で説明したように携帯装置50は、記録再生装置10の装着部MTに装着されることにより記録再生装置10とのデータ送受信が可能とされているが、非接触型のインターフェースでもよく、例えばIrDA等を用いても構わない。
また、図示していないが、記録再生装置10には充電電流供給部が備えられており、装着される携帯装置50に対して充電電流を供給し、携帯装置50の動作電源となる充電式バッテリーに対して充電が行われるように構成されてもよい。
【0074】
5.記録再生装置のファイル格納形態
図5には、記録再生装置10内のHDD15におけるファイルの格納形態の例を示している。
例えばユーザーは自分の所有しているCDをCD−ROMドライブ17に装填し、収録されている各楽曲をそれぞれファイルとしてHDD15に記録(即ち複写)させることになる。
例えばそのCDなどのメディア単位で格納が行われていくとすると、ダビングしたCDなどのメディア単位で管理ファイルが形成され、各楽曲等は、それぞれ1つのオーディオファイルとして格納される。
【0075】
図5には、n枚のCDがHDD15にダビングされた状態を示しており、各CDに対応して管理ファイルAL(AL1〜AL(n))が形成される。そして各CDに収録されている楽曲は、それぞれ管理ファイルALに対応された状態でオーディオファイルとして格納される。
図5では、1行分で示す各ファイルが1つのCDからダビングされたファイルとして示しており、例えば或るCDからのダビングデータ(各楽曲)は、管理ファイルAL1に対応して、オーディオファイルAL1−M1、AL1−M2、AL1−M3・・・として格納される。また、他のCDからのダビングデータ(各楽曲)は、管理ファイルAL2に対応して、オーディオファイルAL2−M1、AL2−M2、AL2−M3・・・として格納される。即ちこれらが実際の音楽等のデータである。
このように、1つのCDからのダビングが行われた際には、1つの管理ファイルとともに、ダビングした曲数分のオーディオファイルが形成される。
【0076】
またあるCD等のダビングに際して、ユーザーがデータを入力したり、或いは後述するようにデータベースから検索した付加情報などを得ることができるが、それらの情報が関連情報ファイルとして格納される。例えば管理ファイルAL1に対応して関連情報ファイルAL1adが形成される。
関連情報ファイルAL(*)adとして格納されるデータとは、上述したように、曲名、アーティスト名、歌詞などのテキストデータ、楽曲イメージやアーティストの画像などの画像データ、アーティストのインターネットホームページのアドレス(URL)、著作権に関する情報、関係者名(作詞者、作曲者、制作者等)・・・・などの情報となる。
【0077】
管理ファイルは、対応する1又は複数の各オーディオファイルや関連情報ファイルに関する各種の管理情報を有するものとなり、各オーディオファイルや関連情報ファイルの再生、移動、複写、編集などの際に用いられるものとなる。
例えば管理ファイルAL1は、或るCD等のメディアからダビング格納されたファイル群に関して、その全体の管理情報や、各オーディオファイルAL1−M1、AL1−M2、AL1−M3・・・に関する管理情報、さらには関連情報ファイルAL1adに関する管理情報が記録される。
【0078】
図6は、管理ファイルに記録される管理情報のデータ例を示している。
例えばCD等のメディアからダビング格納されたファイル群の全体の管理情報となるアルバム情報として、ファイル種別やファイル数、アルバムタイトル、データサイズ、アルバムとしての総演奏時間、ダビングが行われた日時情報、関係者名(アルバム制作者や作詞作曲者、演奏者など)、著作権情報、アルバムID、履歴情報(例えば再生回数、再生日時など)、音楽ジャンル、ユーザーメモ(このアルバムに関してユーザーが入力した情報)、その他各種の管理情報が記録される。アルバムIDとはCDなどのメディアとしてのアルバム単位(商品タイトル単位)で固有に付されている識別コードである。
【0079】
また管理ファイルには、対応する各オーディオファイルに個別に対応する管理情報としてファイル情報(#1)〜ファイル情報(#m)が記録され、このファイル情報としては、対応するファイルのファイル種別、対応するファイルのHDD15上での記録位置を示すアドレスポインタ、ファイルのデータサイズ、その曲の演奏時間、タイトル(曲名)、ダビングが行われた日時情報、関係者名(作詞作曲者、演奏者など)、著作権情報、曲ID、履歴情報(例えば再生回数、再生日時)、音楽ジャンル、ユーザーメモ(この曲に関してユーザーが入力した情報)、その他各種の管理情報が記録される。
【0080】
さらに管理ファイルには、対応する関連情報ファイルを管理する管理情報として関連ファイル情報が記録され、この関連ファイル情報としては、対応する関連情報ファイルのファイル種別やファイル数、対応する関連情報ファイルのHDD15上での記録位置を示すアドレスポインタ、関連情報ファイルのデータサイズ、記録が行われた日時情報、関係者名、著作権情報、関連ファイルID、その他各種の管理情報が記録される。
【0081】
管理ファイルに、例えばこのような管理情報が記録されることで、記録再生装置10は特定の楽曲の再生、移動、複写、編集等の各種処理が可能になり、また曲の再生等の動作に合わせて、関連情報としての画像やテキストを出力することも可能となる。
【0082】
なお、図6にあげた管理情報の内容は、あくまでも一例であり、また図5のファイル格納形態も一例である。実際には、格納される実データとなるオーディオファイルの各種処理に好適なファイル格納形態や管理形態がとられればよい。
また、本例では実施の形態のファイルとして、楽曲等のオーディオファイルを例にあげて説明して行くが、動画データ、静止画データ、テキストデータ、ゲームソフトとしてのプログラム等を実ファイルとして(つまり関連情報ファイルとしてではなく独立のファイルとして)格納することも当然考えられる。
【0083】
6.ダビング時の動作例
以上のように構成される記録再生装置10と携帯装置50では、それぞれ格納されているファイル(楽曲等のオーディオデータ)を相互に複写(コピー)又は移動(ムーブ)することができる。
即ち、記録再生装置10のHDD15に格納されているファイルを携帯装置50の固体メモリ54に複写又は移動させたり、逆に携帯装置50の固体メモリ54に格納されているファイルを記録再生装置10のHDD15に複写又は移動させることができる。
【0084】
なおここで、複写とは、複写した際に複写元のHDDと複写先のHDDにおいてファイルが並存する状態、つまり記録再生装置10と携帯装置50の両方で再生可能な状態とする処理をいい、一方、移動とは、複写元のHDDからは再生が不能な状態とする処理をいう。つまり移動の際にはオーディオファイルデータのダビングに加えて、移動元でそのオーディオファイルが再生不能な状態にする処理(例えば再生禁止フラグの設定処理など)が行われるものとなる。
【0085】
そして特にユーザーは、記録再生装置10のHDD15に格納されている多数のオーディオファイルの中から所望のオーディオファイル(楽曲)を選択し、携帯装置50にダビング(なお以降、移動又は複写のことを一括してダビングという)することで、その携帯装置50でダビングした曲を聴くことができる。
そして、このようにダビングを行なった場合に、携帯装置50側、即ち固体メモリ54において残り容量が発生することがある。
例えば図12の「A」が固体メモリ54の全容量とする。
ここでユーザーが、HDD15から6曲入りの音楽アルバムを指定してその全曲をダビングさせたとする。例えば図5のファイル構造でいえば、オーディオファイルAL(x)−M1〜AL(x)−M6をダビングさせたとする。これが図12のように楽曲#1〜#6として固体メモリ54内に記録されたときに、その総演奏時間に相当する容量が「B」であったとすると、A−B=Cの残り容量が発生する。
本例では、このような残り容量Cに対して、音楽データのソースとなるHDD15から適切なオーディオファイルを選択し、追加ダビングさせるようにするものである。
【0086】
このダビング時のCPU11の処理を図7、図8に示す。
まず、ユーザーが音楽情報ソースとしてのHDD15に格納されたオーディオファイルのうちで、例えばアルバム単位などで1又は複数の楽曲(もちろんアルバム単位ではなくてもよいが)を指定して、携帯装置50にダビングさせる操作を行ったとする。
すると、CPU11は処理をステップF101〜F102に進め、指定されたオーディオファイルを携帯装置50に転送し、固体メモリ54に記録させる処理を開始する。
【0087】
このステップF101,F102の処理は具体的には次のようになる。なお当然ながら記録再生装置10に携帯装置50が接続されている状態で実行できる処理となる。
例えば表示部24に表示されるオーディオファイルを示すフォルダのうち、ユーザーによって所定のポインティングデバイスにより選択されたオーディオファイルが、携帯装置50への移動又は複写というユーザの更なる指示が行われることで、ユーザーによる曲の指定及びダビング指示が行われたとしてCPU11は携帯装置50へのダビング処理を開始する。そしてファイルの転送処理として、指定されたオーディオファイル(曲)が順次、HDD15からインターフェースドライバ26、59を介して固体メモリ54に転送され、記録されていくことになる。
【0088】
このようなユーザーの指定にかかるオーディオファイルのダビングが開始されたら、ステップF103で指定されたn曲のダビングの終了を待機する。
なおHDD15から固体メモリ54という、共に高速アクセスメディア間のデータ移動であることや、ATRAC2などのエンコード/デコード処理は不要であることなどのため、その移動処理は瞬時に完了でき、例えば複数の楽曲としての指定されたオーディオファイルを移動させる処理なども非常に短時間で完了できる。
【0089】
指定されたオーディオファイルのダビングが完了したら、CPU11はステップF104で、携帯装置50の固体メモリ54における残り容量(記録可能な残り時間)Cを判別する。つまり図12で示した「C」の量(容量値又は記録可能な時間値)を判別する。なお、オーディオデータの場合、エンコード方式が変更されなければ、容量値と時間値(記録可能な演奏時間量)は等価となるため、以下、説明上「残り時間C」とする。
【0090】
固体メモリ54の空き容量はCPU51との通信によって判別するが、例えば固体メモリ54に対してCPU11が直接アクセスできるような構成をとることもでき、その場合は、固体メモリ54の動作制御やファイル管理をCPU11側で実行可能とすることで、CPU11側で直接固体メモリ54の空き容量の判別を行うことなども可能となる。
【0091】
固体メモリ54の残り時間Cを判別したら、続いてステップF105で、残り時間Cが所定値未満(例えば30秒未満)であるか否かを確認する。そして30秒未満であった場合は、残り容量はほとんどなく、現状態で固体メモリ54が有効利用されていると判断して(かつ30秒未満のような短時間の曲はあまりないことから)、一連のダビング処理を終える。つまりこの場合は、指定された曲のみがダビングされ、残り時間Cとしての容量に追加ダビングはされない。
【0092】
一方、残り時間Cが30秒以上であったら、残り時間部分への追加記録を実行するか否かをユーザーに尋ねる。例えば記録可能な残り時間C=3分35秒であったら、図9のように表示部24にその残り時間を提示し、さらにユーザーの指示を求める表示を行う。
これに対してユーザーは入力ペン93などで「YES」又は「NO」の操作を行うことになるが、「NO」の操作があった場合は、ステップF107から一連のダビング処理を終了することになる。つまり追加ダビングは行わない。
【0093】
ところが「YES」の操作があった場合は、ステップF107からF108に進め、追加ダビングのための処理を進める。
まずステップF108で、付加情報から絞込条件Lを設定する。
これは、先に指定されてダビングされたオーディオファイルについての付加情報を確認し、例えば音楽として連続して再生させても違和感のないようなものを追加ダビングさせるための絞込条件を設定する。
従って、指定されてダビングされたオーディオファイルについて、図6の管理ファイルにアーティストの情報が付加されていれば、同一アーティストを絞込条件として設定してもよい。もちろん、ジャンル、作詞作曲者、再生回数が何回以上であるか、記録日時、ユーザー定義など、その他の付加情報を絞込条件として設定してもよいし、複数の絞込条件をアンド条件、オア条件、ノット条件などで設定できるようにしてもよい。
【0094】
このため、例えばステップF108でデフォルトとしての絞込条件を設定し、ステップF109で例えば図10のように絞込条件をユーザーに表示する。
この画面に対してユーザーは各種設定入力を実行できるようにし、絞込条件の変更、追加、条件式の設定ができるようにする。ユーザーが絞込条件の変更や追加などの入力を行った場合は、処理はステップF110からF111に進み、絞込条件Lを更新してステップF109に戻る。
【0095】
ユーザーは提示された(もしくは変更された)絞込条件に納得したら、図10のように画面から「検索」操作を行う。
するとCPU11の処理はステップF112から図8のステップF113に進み、データソース(本例の場合はHDD15)に格納されたオーディオファイルについて検索を行い、まずその演奏時間tが、30秒≦t≦Cとなるものを抽出する。これにより、全オーディオファイルのうちで、残り時間Cに対して追加記録できるオーディオファイルが抽出される。
なお、ここでは1曲としての演奏時間tが30秒≦t≦Cとなるもののみとし、複数の曲を合わせて残り時間Cになるようなものは含まないとする。
【0096】
続いてステップF114で、上記設定した絞込条件Lで、オーディオファイルを絞り込む。つまり絞込条件Lに合わないオーディオファイルを除外していく。例えば同一アーティストが絞込条件とされた場合は、残り時間Cに対して追加記録できるオーディオファイルのうちで、ステップF101で指定してダビングした曲と同一アーティストの曲のみが残されることになる。
【0097】
さらにステップF115で、今回指定されてダビングされた曲、つまりステップF101で指定してダビングした曲は、除外される。
以上の処理で、残り時間に記録可能であって、かつ既にダビングした曲とは異なる曲であり、さらに設定された絞込条件に合致した曲(オーディオファイル)が抽出されたことになる。
【0098】
続いてステップF116では、抽出されたオーディオファイルを、その演奏時間順でソートし、表示部24に一覧表示させる。
例えば図11のように追加ダビング可能な候補曲としてユーザーに提示し、選択を求める。また必要な操作アイコンも表示する。
これに対してユーザーは曲を選択してダビング実行を指示するか、検索結果が気に入らないため例えば絞込条件を変えて再検索させるか、或いはよい曲がないとしてなどの理由で追加ダビングをキャンセルするかの操作を行う。
【0099】
ユーザーがキャンセル操作を行った場合は、ステップF119から一連のダビング処理を終え、追加ダビングを実行しない。
ユーザーが再検索を指示する操作を行った場合は、ステップF118から図7のステップF109に戻り、絞込条件の設定からやり直すことができるようにする。
【0100】
ユーザーが或る1曲を選択してダビング実行の操作を行った場合は、ステップF117からF120に進んで、選択されたオーディオファイルのダビング、つまりHDD15から読み出して携帯装置50に供給し、固体メモリ54に記録させる処理を行う。
そしてその追加ダビングが終了されたら、ステップF121から一連のダビング処理を終えることになる。
【0101】
以上のような処理が行われる本例では、ユーザーが指定したオーディオファイルの記録後の状態としての固体メモリの記録可能量(残り時間C)を判別し、その残り時間Cに対して記録可能であり、かつ指定されてダビングされた曲ではないオーディオファイルを、HDD15を検索して得、追加ダビングするようにしているため、ユーザーが残り時間に応じて追加ダビングすべき曲を選ぶといった面倒な作業を不要としたうえで容量に応じた適切な曲を追加ダビングできる。もちろん最初に指定されてダビングされた曲は除外されるため、同じ曲が追加ダビングれることもない。つまりユーザーにとって操作の手間がなく、かつ好ましい状態で、固体メモリ54の容量を有効利用できることになる。
【0102】
また検索に際して指定されて記録された曲の付加情報に応じて絞込条件を設定している。これにより、既に記録された曲と同一のジャンルや同一のアーティストなどに限定した状態で、追加ダビングする曲を検索させることができる。これは再生時に、追加ダビングの楽曲だけ他の曲とは雰囲気が異なってしまうといったようなことを避けることができる。
もちろんあえてその様な追加ダビングを行ないたいのであれば、同一ジャンルや同一アーティストを避けるような絞込条件を設定すればよい。
【0103】
また、情報ソースの検索により得られた情報のうちで、選択された1つの情報のみを、追加記録情報として送出させることで検索処理、記録処理を簡略化できる。つまりステップF113の検索では、1曲の演奏時間tとして検索を行うものとし、例えば2曲あわせたら30秒≦t≦Cに該当するような場合を含まないものとすることで、検索処理は簡単かつ迅速に可能なものとできる。
また検索された情報をユーザーに一覧提示したときに、ユーザーはステップF117での選択操作として単純に1つ選べばよく、操作も簡単なものとなる。
なお、記録可能な残り時間Cがかなり長い場合には、複数曲を追加ダビングした方がよい場合も考えられる。そこで、残り時間Cが所定時間以上の場合には、組み合わせでの演奏時間を考慮した検索を行うようにしてもよい。
【0104】
またステップF105においては、残り時間が30秒未満など、追加記録があまり意味のないような状況においては処理を終了させているため、無理に検索や追加録音を行なうことが避けられる。つまり状況に応じた適切な処理が実現される。例えば特に必要ない場合に検索や追加記録処理を行ったり、これによって処理完了が遅れるということを防止できる。
なお、上記例では30秒未満としたが、もちろんこの時間設定は各種考えられる。例えば1分未満としてもよい。
【0105】
7.変形例
以上、実施の形態の構成及び処理例を説明してきたが、本発明としての変形例は各種多様に考えられる。
まず、上記図7、図8の処理に関して変形例を述べていく。
【0106】
上記処理ではステップF103で指定された曲のダビングが終了してから、ステップF104以降の追加ダビングに関する処理が開始されるようにしているが、必ずしも指定曲のダビング終了を待つ必要はない。即ちステップF103の待機処理をなくして、ステップF102での指定曲のダビングが開始されたら、すぐにステップF104以降に進んでもよい。
これは、ユーザーによってダビングする曲が指定された時点で、CPU11はその総演奏時間を判別でき、従って指定曲のダビング前の時点で固体メモリ54の容量を検出すれば、指定曲のダビング後の残り時間Cも算出できるためである。
従って、指定曲のダビング中に、絞込条件の設定や追加ダビング曲の検索、ユーザーの選択等を行うことができ、指定曲のダビング完了後に、すぐに追加ダビングを実行できる。このようにすれば、時間を効率利用できるとともに、ユーザーに操作を求めるのは最初の曲指定及びダビング指示と連続させることができ、例えばユーザーは指定曲のダビング指示、絞込条件の設定や検索により抽出された追加ダビング曲の選択などを一度に行ってしまったら、その場を離れてもよいことになる。
上記例ではHDD15から固体メモリ54という、非常に高速にダビングを実行できる装置間での動作例であるため、上記のように指定曲のダビング完了後に追加ダビングのための操作を求めるようにしても、ユーザーはさほど面倒は感じないものとなるが、例えば音楽ソース側をCD、ダビング先をMDというように、曲のダビングにかなり時間がかかるメディア間の場合は、追加ダビング曲に関する操作を、ダビング開始直後からできるようにすることが好ましいものとなる。
【0107】
上記例では図7の処理のステップF105により、残り時間Cが30秒未満など、所定値未満の場合は追加ダビングが行われないことになるが、もちろんこのようなステップF105の処理を設けなくてもよい。つまり、少しでも残りがあれば、一応追加ダビングのための処理に進むようにしてもよい。
また、30秒のような所定値ではなく、例えばHDD15内での最小の情報(最も演奏時間の短いオーディオファイル)の演奏時間より残り時間Cが小さい場合は、追加記録情報の送出処理を実行しないようにしてもよい。つまりステップF105において残り時間Cと比較する基準値を、HDD15内でのオーディオファイルの最小演奏時間値とする。つまり追加記録として適切なオーディオファイルが抽出できない場合には、その追加記録処理自体を行わないことで、無駄な動作を防止できるものとなる。
【0108】
ステップF106,F107では、追加ダビングの実行に関して、ユーザーの意志を確認するようにしているが、このような意思確認は行わず、残り時間Cがある場合(もしくは残り時間Cが所定値/最小値より大きい場合)は、自動的に追加ダビング処理に進むようにしてもよい。
【0109】
ステップF108〜F112では、絞込条件の設定を行っているが、よりユーザー操作を簡易にすることを目的とするなら、絞込条件は設定できないものとしてもよい。
もちろん絞込設定方式を単純に選択肢などで用意し、条件式などは設定できないものとしてもよい。
【0110】
図8のステップF113ではHDD15をデータソースとして、残り時間Cに適合する演奏時間のオーディオファイルを検索するものとしているが、まずデータソースとしてはHDD15に限られるものではない。
即ち図1のようなシステム構成を考えた場合、情報センタ1にオーディオファイルとしてのライブラリが用意されていれば、そこからオーディオファイルを検索し抽出することも考えられる。
もちろんCD−ROMドライブ17やMDドライブ18に装填されているCD、MDなどもデータソースとして使用できる。
【0111】
また、この検索処理では、演奏時間30秒を下限として検索を行っているが、この下限の設定の有無又は下限値は各種考えられる。ただし下限の設定を行うことで、或る程度候補数、つまり抽出されるオーディオファイル数を制限することができるため、特にデータソースの規模が大きい場合は、適切な下限設定が有用となる。このため下限値は、上限値である残り時間Cから一定範囲を指定する値としてもよい。例えば下限値=(C−30秒)とすれば、残り時間が3分10秒の時は、演奏時間が2分40秒〜3分10秒の範囲に該当するオーディオファイルが抽出され、つまり固体メモリ54の残り時間Cに対して時間的に最も好適なオーディオファイルが検索されることになる。
【0112】
ステップF116では、抽出されたオーディオファイルを演奏時間順でソートしてユーザーに提示するようにしたが、アーティスト別、ジャンル別など他の条件でソートして提示してもよい。また記録日時(HDD15への格納日時)として最新のものから順に並べることや、再生回数の多い順(つまりそのユーザーが気に入っている曲の順)に並べるということも考えられる。いずれにしても、ユーザーが選択しやすい状態で抽出されたオーディオファイルがソートされ、一覧表示が行われるようにすればよい。
【0113】
以上、上記処理の変形例を述べてきたが、もちろんこれ以外にも処理の変形例は考えられるものである。
また実施の形態として記録再生装置と携帯装置を挙げたが、例えばCDチェンジャー装置とMDレコーダが一体化もしくは接続された場合などにも本発明は適用できる。即ち転送可能な音楽ソースとしての部位と記録可能なレコーダとしての部位があれば本発明を適用できるものとなる。
また、音楽データのダビングを例にあげて説明したが、もちろんビデオデータのダビングや、テキストデータの複写などについても本発明は適用できる。
また記録動作ではないが、例えば再生時間を決めて、それに応じた曲を自動検索して再生させるというような応用動作も可能となる。これにより、ユーザーに対してある時間の経過を知らせるタイマーとしての機能も得られる。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】本発明の実施の形態の記録再生装置を含む情報配信システムの説明図である。
【図2】実施の形態の記録再生装置及び携帯装置の説明図である。
【図3】実施の形態の記録再生装置のブロック図である。
【図4】実施の形態の記録再生装置に接続される携帯装置のブロック図である。
【図5】実施の形態の記録再生装置のハードディスク内のファイル格納形態の説明図である。
【図6】実施の形態の記録再生装置のハードディスク内の管理ファイルの内容の説明図である。
【図7】実施の形態のダビング処理のフローチャートである。
【図8】実施の形態のダビング処理のフローチャートである。
【図9】実施の形態の表示例の説明図である。
【図10】実施の形態の表示例の説明図である。
【図11】実施の形態の表示例の説明図である。
【図12】実施の形態の記録媒体における残り容量の説明図である。
【符号の説明】
【0115】
1 情報センタ、3 通信回線、10 記録再生装置、11 CPU、12 ROM、13 RAM、14 フラッシュメモリ、15 HDD、16 バッファメモリ、17 CD−ROMドライブ、18 MDドライブ、19 モデム、20 パネル操作部、22 赤外線インターフェースドライバ、23 USBドライバ、24 表示部、25 表示ドライバ、26 インターフェースドライバ、27 コネクタ、28 エンコーダ、29 デコーダ、30 IEC958エンコーダ、31 A/D変換器、32 マイクアンプ、33 D/A変換器、34 アンプ、35 スピーカ、36 IEEE1394ドライバ、37 IEEE1394インターフェース、38 PCMCIAドライバ、39 PCMCIAスロット、41 ペンドライバ、42 入力検出部、51 CPU、52 ROM、53 RAM、54 HDD、55 バッファメモリ、56 パネル操作部、57 表示部、58 表示ドライバ、59 インターフェースドライバ、60 コネクタ、61 エンコーダ、62 デコーダ、63 IEC958エンコーダ、64 A/D変換器、65 マイクアンプ、66 D/A変換器、67 アンプ、68 スピーカ、90 キーボード、91 リモートコマンダー、93 入力ペン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データファイルと前記データファイルに対応付けられる付加情報とを記憶する記憶手段と、
記録装置と接続するための接続手段と、
前記接続手段を制御して、前記記憶手段に記憶されるデータファイルのうち所定のデータファイルを前記記録装置へ転送させた後、前記所定のデータファイルとは異なるデータファイルを抽出し、前記記録装置へ転送させる制御手段と
を備える記録情報転送装置。
【請求項2】
前記記録情報転送装置は更に、
前記記憶手段からデータファイルを抽出するための抽出条件を設定する設定手段を備え、
前記制御手段は、前記所定のデータファイルとは異なり、且つ、前記抽出条件に一致する付加情報が対応付けられたデータファイルを抽出し、前記接続手段を制御して前記記録装置へ転送させる
ことを特徴とする請求項1に記載の記録情報転送装置。
【請求項3】
請求項1記載の記録情報転送装置は更に、
前記記録装置の記録可能容量を判別する判別手段を備え、
前記制御手段は、前記所定のデータファイルとは異なり、且つ、前記判別手段で判別された記録可能容量に対して記録可能な情報量のデータファイルを抽出し、前記接続手段を制御して前記記録装置へ転送させる
ことを特徴とする請求項1に記載の記録情報転送装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記判別手段で判別された記憶可能量が所定値未満のときは、前記接続手段による前記他のデータファイルの転送を禁止する
ことを特徴とする請求項3に記載の記録情報転送装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記判別手段で判別された記憶可能量が前記記憶手段における最小の情報量を有するデータファイルの情報量より小さいときは、前記接続手段による前記他のデータファイルの転送を禁止する
ことを特徴とする請求項3に記載の記録情報転送装置。
【請求項6】
前記付加情報は、前記付加情報が対応付けられるデータファイルの再生回数情報を含み、
前記抽出条件は、再生回数が所定の回数以上のデータファイルである
ことを特徴とする請求項2に記載の記録情報転送装置。
【請求項7】
前記付加情報は、前記付加情報が対応付けられるデータファイルが記録された日時である記録日時情報を含み、
前記抽出条件は、記録日時が所定の期間のデータファイルである
ことを特徴とする請求項2に記載の記録情報転送装置。
【請求項8】
前記付加情報は、前記付加情報が対応付けられるデータファイルのアーティスト情報、ジャンル情報、作曲者情報のうち少なくとも一つを含み、
前記抽出条件は、所定のアーティスト情報、ジャンル情報、作曲者情報の少なくとも一つが所定のアーティスト情報、ジャンル情報、作曲者情報の少なくとも一つと一致するデータファイルである
ことを特徴とする請求項2に記載の記録情報転送装置。
【請求項9】
データファイルと前記データファイルに対応付けられる付加情報とを記憶手段に記憶する記憶手順と、
記録装置と接続手段によって接続する接続手順と、
前記接続手段を制御して、前記記憶手段に記憶されるデータファイルのうち所定のデータファイルを前記記録装置へ転送させた後、前記所定のデータファイルとは異なるデータファイルを抽出し、前記記録装置へ転送させる制御手順と
を備える記録情報転送方法。
【請求項10】
前記記録情報転送方法は更に、
前記記憶手段からデータファイルを抽出するための抽出条件を設定する設定手順を備え、
前記制御手順は、前記所定のデータファイルとは異なり、且つ、前記抽出条件に一致する付加情報が対応付けられたデータファイルを抽出し、前記接続手段を制御して前記記録装置へ転送させる
ことを特徴とする請求項9に記載の記録情報転送方法。
【請求項11】
請求項9記載の記録情報転送方法は更に、
前記記録装置の記録可能容量を判別する判別手順を備え、
前記制御手順は、前記所定のデータファイルとは異なり、且つ、前記判別手順で判別された記録可能容量に対して記録可能な情報量のデータファイルを抽出し、前記接続手段を制御して前記記録装置へ転送させる
ことを特徴とする請求項9に記載の記録情報転送方法。
【請求項12】
前記制御手順は、前記判別手順で判別された記憶可能量が所定値未満のときは、前記接続手段による前記他のデータファイルの転送を禁止する
ことを特徴とする請求項11に記載の記録情報転送方法。
【請求項13】
前記制御手順は、前記判別手順で判別された記憶可能量が前記記憶手段における最小の情報量を有するデータファイルの情報量より小さいときは、前記接続手段による前記他のデータファイルの転送を禁止する
ことを特徴とする請求項11に記載の記録情報転送方法。
【請求項14】
前記付加情報は、前記付加情報が対応付けられるデータファイルの再生回数情報を含み、
前記抽出条件は、再生回数が所定の回数以上のデータファイルである
ことを特徴とする請求項10に記載の記録情報転送方法。
【請求項15】
前記付加情報は、前記付加情報が対応付けられるデータファイルが記録された日時である記録日時情報を含み、
前記抽出条件は、記録日時が所定の期間のデータファイルである
ことを特徴とする請求項10に記載の記録情報転送方法。
【請求項16】
前記付加情報は、前記付加情報が対応付けられるデータファイルのアーティスト情報、ジャンル情報、作曲者情報のうち少なくとも一つを含み、
前記抽出条件は、所定のアーティスト情報、ジャンル情報、作曲者情報の少なくとも一つが所定のアーティスト情報、ジャンル情報、作曲者情報の少なくとも一つと一致するデータファイルである
ことを特徴とする請求項10に記載の記録情報転送方法。
【請求項17】
記録情報転送装置と記録装置からなる記録情報転送システムにおいて、
前記記録情報転送装置は、
データファイルと前記データファイルに対応付けられる付加情報とを記憶する記憶手段と、
記録装置と接続するための接続手段と、
前記接続手段を制御して、前記記憶手段に記憶されるデータファイルのうち所定のデータファイルを前記記録装置へ転送させた後、前記所定のデータファイルとは異なるデータファイルを抽出し、前記記録装置へ転送させる制御手段と
を備え、
前記記録装置は、前記接続手段から転送される前記データファイルを記録する記録手段を備える
ことを特徴とする記録情報転送システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−77831(P2008−77831A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−273648(P2007−273648)
【出願日】平成19年10月22日(2007.10.22)
【分割の表示】特願平10−312469の分割
【原出願日】平成10年11月2日(1998.11.2)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】