説明

記録材供給装置および画像形成装置

【課題】種々のサイズの記録材をより安定して吸引することができる記録材供給装置等を提供する。
【解決手段】用紙を積載して収容するボトムプレート34eと、用紙を供給する供給位置と用紙の補充をする補充位置との間でボトムプレート34eを昇降させる昇降手段と、用紙を負圧により吸引する空気プレナムと、空気プレナムに負圧を発生させる送風機と、空気プレナムに生じる負圧を維持するための封止板を有しボトムプレート34eに積載された用紙の端面を規制するサイドガイド34f等と、を備え、サイドガイド34f等の封止板は、用紙を補充する際の位置である収納位置と空気プレナムに生じる負圧を維持するための位置である封止位置との間をボトムプレート34eの昇降に従い昇降することを特徴とする用紙供給ユニット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録材供給装置、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電子写真複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置では、画像形成部に対し予め定められたタイミングで記録材を画像形成部へ供給する記録材供給装置が設けられている。この種の記録材供給装置では、積載された記録材の束から記録材を一枚ずつに捌いて画像形成部に搬送している。
【0003】
特許文献1には、用紙スタックから処理部へ用紙を供給する用紙給送装置であって、用紙スタックを保持する用紙トレイと、用紙スタックの上方に配置されていて、外周のまわりに封止機構を有する空気プレナムと、用紙スタックの用紙を吸引して空気プレナム及び封止機構に接触させるため、空気プレナム内に真空圧を生成する送風機とを備えており、空気プレナムは、用紙を複数の山形に波形化する波形化面を含んでおり、封止機構は用紙の複数の山形に順応するようになっているものが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−19978号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで記録材供給装置から記録材を吸引して供給するに際し、記録材が種々のサイズであっても安定して動作することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、記録材を積載して収容する積載部と、記録材を供給する供給位置と記録材の補充をする補充位置との間で前記積載部を昇降させる昇降手段と、記録材を負圧により吸引する吸引手段と、前記吸引手段に負圧を発生させる負圧発生手段と、前記吸引手段に生じる負圧を維持するための封止部材を有し、前記積載部に積載された記録材の端面を規制する規制部材と、を備え、前記規制部材の前記封止部材は、記録材を補充する際の位置である収納位置と前記吸引手段に生じる負圧を維持するための位置である封止位置との間を前記積載部の昇降に従い昇降することを特徴とする記録材供給装置である。
【0007】
請求項2に記載の発明は、前記規制部材の前記封止部材は、前記積載部が前記補充位置にあるときには当該規制部材内に収納されることを特徴とする請求項1に記載の記録材供給装置である。
請求項3に記載の発明は、前記吸引手段は、当該吸引手段に生じる負圧を維持するための封止部材をさらに有することを特徴とする請求項1または2に記載の記録材供給装置である。
請求項4に記載の発明は、前記吸引手段により吸引された記録材に空気流を吹き付ける送風手段をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の記録材供給装置である。
【0008】
請求項5に記載の発明は、記録材に画像を形成する画像形成部と、記録材を積載して収容する積載部と、記録材を供給する供給位置と記録材の補充をする補充位置との間で当該積載部を昇降させる昇降手段と、記録材を負圧により吸引する吸引手段と、当該吸引手段に負圧を発生させる負圧発生手段と、当該吸引手段に生じる負圧を維持するための封止部材を有し当該積載部に積載された記録材の端面を規制する規制部材と、を備える記録材供給部と、を備え、前記記録材供給部の前記封止部材は、記録材を補充する際の位置である収納位置と前記吸引手段に生じる負圧を維持するための位置である封止位置との間を前記積載部の昇降に従い昇降することを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べ、種々のサイズの記録材をより安定して吸引することができる記録材供給装置が提供できる。
請求項2の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べ、封止部材が記録材や記録材供給装置の他の部材と干渉することを抑制できる。
請求項3の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べ、記録材を吸引する力をさらに安定することができる。
請求項4の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べ、記録材をより捌きやすくなる。
請求項5の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べ、より高速に画像形成を行うことができる画像形成装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施の形態が適用される画像形成装置の構成例を示す概略図である。
【図2】第1給紙装置の上面図である。
【図3】第1給紙装置をフロント側から眺めた場合の斜視図である。
【図4】第1給紙装置をリア側から眺めた場合の斜視図である。
【図5】空気プレナムを図1のV方向から見た図である。
【図6】(a)〜(b)は、空気プレナムに設けられる封止板について説明した図である。
【図7】1つのサイドガイドに設けられる封止部材について説明した図である。
【図8】(a)〜(b)は、封止板の昇降機構の一例について説明した図である。
【図9−1】(a)〜(c)は、第1給紙装置が用紙を供給する手順について説明した図である。
【図9−2】(d)〜(f)は、第1給紙装置が用紙を供給する手順について説明した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<用紙供給ユニットの構成の説明>
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本実施の形態が適用される画像形成装置の構成例を示す概略図である。同図に示す画像形成装置1は、画像形成装置本体10と、画像形成装置本体10に用紙(記録材)Pを供給する記録材供給装置(記録材供給部)の一例としての用紙供給ユニット20とから構成されている。
ここで、画像形成装置本体10は、画像形成の対象となる用紙Pを搬送するための用紙搬送路R0と、この用紙搬送路R0に沿って用紙Pを搬送する搬送ロール11,12と、搬送ロール11,12等によって搬送されてくる用紙Pに画像を形成する画像形成部(不図示)とを備える。なお、画像形成部は、たとえば電子写真方式に基づき用紙Pに画像を形成することができる。また、画像形成装置本体10は、上記搬送ロール11,12や画像形成部の制御を行うとともに、画像形成装置1の全体を制御する制御部15を備えている。
【0012】
一方、用紙供給ユニット20は、用紙Pを内部に収容するとともにこの用紙Pを画像形成装置本体10に対して送り出す第1給紙装置30、用紙Pを内部に収容するとともにこの用紙Pを画像形成装置本体10に対して送り出す第2給紙装置40、手差しされた用紙Pを画像形成装置本体10に対して送り出す第3給紙装置50を備えている。また、第1給紙装置30、第2給紙装置40、および第3給紙装置50から送り出された用紙Pを画像形成装置本体10に移送する移送装置60を備えている。さらに用紙供給ユニット20は、第1給紙装置30、第2給紙装置40、第3給紙装置50、移送装置60を制御する制御部70を備えている。
【0013】
第1給紙装置30は、装置本体部31と、装置本体部31に収容された用紙Pを順に送り出す給紙部32とを備えている。
ここで給紙部32について詳細に説明すると、給紙部32は、用紙Pを負圧により吸引する吸引手段の一例としての空気プレナム321と、空気プレナム321に負圧を発生させる負圧発生手段の一例としてのファン322とを備えている。
また第1給紙装置30は、空気プレナム321により吸引された用紙Pに空気流を吹き付ける送風手段の一例である送風機323と、空気プレナム321により吸引された用紙Pを移送装置60に搬送する搬送ロール324とを備えている。
【0014】
なお、第2給紙装置40は、第1給紙装置30と同様に構成されている。つまり第2給紙装置40は、装置本体部41と、装置本体部41に収容された用紙Pを順に送り出す給紙部42とを備えている。そして、給紙部42は、用紙Pを負圧により吸引する空気プレナム421と、空気プレナム421に負圧を発生させるファン422とを備えている。
また空気プレナム421により吸引された用紙Pに空気流を吹き付ける送風機423と、空気プレナム421により吸引された用紙Pを移送装置60に搬送する搬送ロール424とを備えている。
【0015】
第3給紙装置50は、用紙Pが積載される用紙積載部51と、この用紙積載部51に積載された用紙Pを順に送り出す給紙部52とを備えている。この給紙部52は、用紙積載部51に積載された用紙Pのうち最上位の用紙Pに接触し用紙Pを送り出すピックアップロール521と、このピックアップロール521により送り出された用紙Pを一枚ずつ分離して送り出すフィードロール522及びリタードロール523と、フィードロール522及びリタードロール523から送り出された用紙Pを移送装置60に搬送する搬送ロール524とを備えている。
【0016】
一方、移送装置60は、第1給紙装置30からの用紙Pを画像形成装置本体10に向けて搬送するための第1搬送路R1と、第2給紙装置40からの用紙Pを画像形成装置本体10に向けて搬送するための第2搬送路R2と、第3給紙装置50からの用紙Pを画像形成装置本体10に向けて搬送するための第3搬送路R3とを備える。また、第1搬送路R1〜第3搬送路R3を経由して搬送されてきた用紙Pを画像形成装置本体10における用紙搬送路R0に搬送する第4搬送路R4を備える。また、移送装置60は、第1搬送路R1〜第4搬送路R4上に、複数の搬送ロール61を備えている。
【0017】
例えば、第1給紙装置30に収容された用紙Pに画像を形成する場合、詳しくは後述するが、まず給紙部32の空気プレナム321により用紙Pが吸引される。吸引された用紙Pは、送風機323により一枚に捌かれる。そして、捌かれた用紙Pは、空気プレナム321が図中右側に移動することで搬送ロール324に受け渡され、さらに搬送ロール324によって移送装置60における第1搬送路R1に送り込まれる。次いで、用紙Pは、搬送ロール61によって、第1搬送路R1および第4搬送路R4に沿って搬送され、画像形成装置本体10の用紙搬送路R0へと送り込まれる。
【0018】
そして用紙Pは、搬送ロール11,12等によって用紙搬送路R0に沿って搬送された後、画像形成部へと送り込まれ、この画像形成部により画像形成がなされる。その後、画像形成がなされたこの用紙Pは、画像形成装置本体10の外部に設けられた排紙積載部(不図示)に積載される。なお、画像形成部では、帯電、露光、現像のプロセスを経て、感光体ドラムや中間転写体等の像保持体にトナー像が形成される。そして、このトナー像は、転写装置により用紙Pに転写されるとともに、定着器により用紙Pに定着される。
【0019】
また例えば第3給紙装置50の用紙積載部51に積載された用紙Pに画像を形成する場合は、まず給紙部52のピックアップロール521により用紙Pが取り出される。そして、取り出された用紙Pは、フィードロール522およびリタードロール523により一枚に捌かれる。そして、捌かれた用紙Pは、搬送ロール524によって移送装置60における第3搬送路R3に送り込まれる。次いで、用紙Pは、搬送ロール61によって、第3搬送路R3および第4搬送路R4に沿って搬送され、画像形成装置本体10の用紙搬送路R0へと送り込まれる。そして、用紙Pには、画像形成装置本体10における画像形成部によって上記と同様に画像形成がなされる。
【0020】
<第1給紙装置30の説明>
第1給紙装置30について更に詳細に説明する。
図2は、第1給紙装置30の上面図である。
同図に示すように、第1給紙装置30は、装置本体部31の予め定められた位置に装着されると共に装置本体部31のフロント側から引き出し可能に設けられた引き出しユニット33と、引き出しユニット33よりも上方に設けられ用紙Pを収容する収容ユニット34と、を備えている。
【0021】
引き出しユニット33は、装置本体部31の下部を構成するベース板311よりも上方に設けられ且つ収容ユニット34よりも下方に設けられたベース板331を備える。また、引き出しユニット33は、ベース板331のフロント側に設けられ、引き出しユニット33の引き出し等が行われる際にユーザにより把持されるカバー333を備える。
【0022】
収容ユニット34は、引き出しユニット33よりも上方に配置され収容ユニット34の本体部の一部を構成するベース板34aと、ベース板34aに固定されて配置されるとともにベース板34aに対して垂直に配置され上方に延びる第1側板34bと、同じくベース板34aに対して垂直に配置され上方に延びる第2側板34cとを備えている。また、ベース板34aに対して垂直に配置され上方に延びる第3側板34dを備えている。
ここで、第1側板34bおよび第2側板34cは、互いに対向して配置されるとともに、用紙Pの搬送方向に沿って配置されている。また、第1側板34bはフロント側に配置され、第2側板34cはリア側に配置されている。さらに、第3側板34dは、ベース板34aにおいて用紙Pの搬送方向下流側に配置され、また用紙Pの搬送方向と直交する方向に沿って配置されている。
【0023】
収容ユニット34は、さらに上下方向に移動可能に設けられ用紙Pを積載して収容する積載部の一例してのボトムプレート34eと、サイドガイド34f,34hと、エンドガイド34gと、ボトムプレート34eを上昇させる駆動部34iとを備えている。また、サイドガイド34fの位置を検知する検知センサS1〜S3を備えている。
【0024】
サイドガイド34f,34hは、第1側板34bおよび第2側板34cの間で、第1側板34bおよび第2側板34cに沿ってほぼ平行に配置されている。本実施の形態では、サイドガイド34fは、リア側であり、サイドガイド34hは、フロント側に配置している。そしてサイドガイド34f,34hは、第1側板34bおよび第2側板34cに対し、連動して進退可能に配置されている。ここでは、サイドガイド34f,34hは、用紙Pの搬送方向と直交する方向にスライドして移動する。さらにサイドガイド34f,34hは、用紙Pの搬送方向と直交する方向に対し、用紙Pがボトムプレート34eの中央部に位置するように連動して移動する。つまり例えば、サイドガイド34fを第1側板34b方向に移動したときには、サイドガイド34hは、同じ量だけ第2側板34c方向に移動する。逆にサイドガイド34fを第2側板34c方向に移動したときには、サイドガイド34hは、同じ量だけ第1側板34b方向に移動する。そしてこのサイドガイド34f,34hは、ボトムプレート34eに積載された用紙Pの幅方向における側端部に接触し、ともに用紙Pを揃える。
エンドガイド34gは、第3側板34dの対向位置に配置されるとともに、第3側板34dに対し進退可能に配置されている。つまり用紙Pの搬送方向に沿ってスライド可能に設けられている。そしてこのエンドガイド34gは、ボトムプレート34eに積載された用紙Pの後端部に接触し、第3側板34dとともに用紙Pを揃える。
即ちサイドガイド34f,34hおよびエンドガイド34gは、ボトムプレート34eに積載された用紙Pの端面を規制する規制部材として機能する。
【0025】
駆動部34iは、モータおよびこのモータにより回転駆動する複数のギアを備え、不図示のシャフトを回転駆動させる。そして、シャフトが回転駆動すると、このシャフトによって不図示のワイヤが巻き取られるとともに、このワイヤによってボトムプレート34eが上昇する。
【0026】
検知センサS1〜S3は、ボトムプレート34eの下方に配置されるとともにサイドガイド34fの進退方向に沿って配置され、サイドガイド34fの位置を検知する。具体的には、検知センサS1〜S3の各々は、サイドガイド34fの位置によってオンオフ状態が変化する。例えば、最大サイズの用紙Pが収容された場合には検知センサS1〜S3の全てがオン状態となる。また、例えば、最小サイズの用紙Pが収容された場合には検知センサS1〜S3の全てがオフ状態となる。また、例えば、最大サイズ未満且つ最小サイズよりも大きい用紙Pが収容された場合には、例えば検知センサS3がオン状態となり、これ以外のセンサである検知センサS1,S2がオフ状態となる。
【0027】
図3、図4を用いて第1給紙装置30について更に説明する。
図3は、第1給紙装置30をフロント側から眺めた場合の斜視図である。また図4は、第1給紙装置30をリア側から眺めた場合の斜視図である。なお、図3および図4では、移送装置60についても合わせて図示している。
図3に示すように装置本体部31は、ベース板311の上方且つ用紙Pの搬送方向における上流側に、用紙Pの搬送方向と直交する方向に沿って配置された上流側ガイドレール312aを備えている。また、図4に示すように、装置本体部31は、ベース板311の上方且つ用紙Pの搬送方向における下流側に、用紙Pの搬送方向と直交する方向に沿って配置された下流側ガイドレール312bを備えている。即ち、装置本体部31は、2本のガイドレール312a,312bを備えている。
【0028】
一方、引き出しユニット33は、用紙Pの搬送方向と直交する方向に沿って配置され上記上流側ガイドレール312aによってガイドされる第1の被ガイドレール(不図示)を備える。また、用紙Pの搬送方向と直交する方向に沿って配置され上記下流側ガイドレール312bによってガイドされる第2の被ガイドレール(不図示)とを備えている。引き出しユニット33は、第1の被ガイドレールおよび第2の被ガイドレールが、上流側ガイドレール312aおよび下流側ガイドレール312bによってガイドされることで、上記のように用紙搬送方向と直交する方向にスライドする。
【0029】
さらに、収容ユニット34は、図3に示すように、ボトムプレート34eに一端部が取り付けられたワイヤ34s,34tを備える。また、図4に示すように、ボトムプレート34eに一端部が取り付けられたワイヤ34v,34wを備える。さらに、収容ユニット34は、図3に示すように、駆動部34iにおけるモータ81(図2参照)によって回転駆動され、ワイヤ34s,34t,34v,34wを巻き取るシャフト34rを備える。このシャフト34rは、用紙Pの搬送方向に直交する方向に沿って配置されている。本実施形態では、シャフト34rがモータ81によって図3の矢印に示す方向に回転する場合、シャフト34rによりワイヤ34s,34t,34v,34wが巻き取られ、ボトムプレート34eが上昇する。一方で、シャフト34rが矢印と逆方向に回転する場合、ワイヤ34s,34t,34v,34wの巻き取りが解かれ、ボトムプレート34eが下降する。
【0030】
この機構によりボトムプレート34eは、用紙Pを画像形成部に供給するための供給位置と用紙Pを補充するための補充位置とを相互に移動可能である。本実施の形態では、供給位置は、ボトムプレート34eが第1給紙装置30の上部となる位置であり、補充位置は、ボトムプレート34eが第1給紙装置30の下部となる位置である。つまり本実施の形態では、モータ81、シャフト34r、ワイヤ34s,34t,34v,34wは、ボトムプレート34eを用紙Pを供給する供給位置と用紙Pの補充をする補充位置との間で昇降させる昇降手段として機能する。
【0031】
<空気プレナム321の説明>
次に空気プレナム321について詳細に説明を行う。
図5は、空気プレナム321を図1のV方向から見た図である。
図5に示すように空気プレナム321は、用紙吸引面350を有し、この用紙吸引面350を利用して用紙Pを吸引する。用紙吸引面350には、空気孔351が予め定められた間隔で設けられ、この空気孔351から空気を吸引する。空気プレナム321は、用紙吸引面350の裏面に空洞を有しており、そしてこの空洞は、ダクト352を通してファン322(図1参照)に接続されている。そのためファン322を稼働させることで、空気孔351から空気が吸引され、これにより用紙吸引面350の全面に負圧を発生することができる。なお用紙吸引面350には、空気孔351の他にリブ353が予め定められた間隔で設けられている。そのため吸引された用紙Pは、リブ353により用紙吸引面350に密着することが避けられる。そのためファン322を停止し、負圧の発生を停止した際に、用紙Pは、用紙吸引面350から容易に離脱することができるため、搬送ロール324(図1参照)への用紙Pの受け渡しがより容易となる。
【0032】
また空気プレナム321には、外周に沿って空気プレナム321に生じる負圧を維持するための封止部材の一例である封止板354が設けられている。
図6(a)〜(b)は、空気プレナム321に設けられる封止板354について説明した図である。
図6(a)〜(b)に示すように封止板354は、薄板状の部材である。そして1枚の封止板354について例えば、2箇所の穴部354aが形成されている。この穴部354aは、例えば、矩形形状をしており、この穴部354aを通して空気プレナム321の側面に設けられるピン355により支持されている。ただし、封止板354は、ピン355により固定はされておらず、図中上下方向に移動可能である。つまりピン355が穴部354a内を移動する範囲内で、封止板354は、上下方向に自由に移動することができる。
【0033】
そして封止板354は、ボトムプレート34e(図2参照)が用紙Pを補充する補充位置にあるときは、重力の作用により下方向に移動している(図6(a)の場合)。一方、ボトムプレート34eが用紙Pを補充する補充位置にあるときは、用紙Pは、封止板354の図中下端に当たり、図中上方向に封止板354を持ち上げる(図6(b)の場合)。つまり封止板354は、用紙Pの移動に合わせて上下移動を行う。これにより封止板354の下端と用紙Pとの間隙が生じにくくなる。そのため空気プレナム321により用紙Pを吸引するときに空気プレナム321と用紙Pの間の間隙から空気が流入し、空気プレナム321に生じる負圧が減少することを抑制することができる。即ち封止板354により空気プレナム321に生じる負圧を維持することができる。本実施の形態において封止板354は、例えば、厚さ0.5mm程度のプラスチック板により製造できる。
【0034】
しかしながら用紙供給ユニット20(図1参照)で使用される用紙Pには種々のサイズのものがある。そして空気プレナム321の幅より小サイズの用紙Pをボトムプレート34eに積載することがある。この場合、空気が用紙Pと封止板354の間の隙間に隙間が生じる。そしてこの隙間から空気が流入する。つまりこの場合は、封止板354の効果が発揮されにくく、空気プレナム321に生じる負圧を維持することが困難となる。そのため空気プレナム321による用紙Pの吸引効率が悪くなり、用紙Pを高速で搬送することが困難となる。
【0035】
一方、小サイズの用紙Pの最小幅よりも空気プレナム321の幅を小さくすれば、このような問題は、生じにくくなるが、この場合は空気プレナム321の用紙吸引面350の面積が小さくなることになる。そのため用紙Pが大サイズのものである場合や厚紙である場合は、用紙Pの重量が重くなるため空気プレナム321により用紙Pを吸引することが困難となる。さらに封止板354を空気室の内部に追加すれば、種々のサイズの用紙Pに対し対応が可能となるが、用紙Pの吸引時に封止板354が用紙吸引面350を分断するために吸引力が弱くなりやすく、また吸引力が、用紙吸引面350全体で均等になりにくい。
【0036】
また空気プレナム321に設けられる封止板354は、上述したようにボトムプレート34eが用紙Pを補充する補充位置にあるときは、下方に移動するためその下端がより低い位置にある。そのため収容ユニット34(図2参照)を挿抜する際にサイドガイド34f,34hと封止板354とが干渉しないよう、サイドガイド34f,34hの高さを封止板354の下端より低くする必要がある。よって用紙Pを吸引する際に、浮揚した用紙Pの側面をサイドガイド34f,34hの側面により規制できない箇所が生じる。そのため吸引途中で用紙姿勢が変化し、これに起因して用紙Pを搬送する際の斜め送りが生じやすい。
【0037】
そこで本実施の形態では、サイドガイド34f,34hおよびエンドガイド34gに封止部材を設け、これらの問題の抑制を図っている。なお以下、サイドガイド34fに設けられる封止部材を例に取り説明を行うが、エンドガイド34gに設けられる封止部材についてもその構成は同様である。
【0038】
<サイドガイド34fに設けられる封止部材の説明>
図7(a)〜(b)は、1つのサイドガイド34fに設けられる封止部材について説明した図である。
図7(a)〜(b)に示すサイドガイド34fは、吸引手段に生じる負圧を維持するための封止部材の一例としての封止板344を有し、サイドガイド34fに形成された穴部344aを通して、上下方向に移動可能となっている。この封止板344は、上述した空気プレナム321に設けられる封止板354と類似の構成を有している。つまり封止板344は、薄板状の部材であり、そして1枚の封止板344について例えば、矩形形状の2箇所の穴部344aが形成されている。そしてこの穴部344aを通してサイドガイド34fの側面に設けられるピン345により支持されるとともに、ピン345が穴部344a内を移動する範囲内で、図中上下方向に移動可能である。本実施の形態において封止板344は、例えば、厚さ0.5mm程度のプラスチック板により製造することができる。
【0039】
ただし、封止板344は、積載部の昇降に伴い移動を行う点で、空気プレナム321に設けられる封止板354とは異なっている。本実施の形態では、封止板344は、ボトムプレート34eの上昇の際に採る空気プレナム321に生じる負圧を維持するための位置とボトムプレート34eの下降の際に採る用紙Pを積載するための位置とを移動する。より具体的には、封止板344は、用紙Pを補充する際の位置である収納位置と空気プレナム321に生じる負圧を維持するための位置である封止位置との間をボトムプレート34eの昇降に従い昇降する。
【0040】
即ち、封止板344は、ボトムプレート34eが上昇したときは、図中上方向に移動し、空気プレナム321の用紙吸引面350とその上端が接触する位置(封止位置)をとる(図7(a)の場合)。これにより封止板344の上端と用紙吸引面350との間隙が生じにくくなる。そのため空気プレナム321への空気の流入を抑制することができ、空気プレナム321に生じる負圧を維持することができる。結局、空気プレナム321に発生する負圧が用紙Pのサイズよって変化しにくくなり、用紙Pのサイズに依存せずに安定した負圧を空気プレナム321に発生させることができる。そのため種々のサイズの用紙Pを安定して吸引することができる。
【0041】
また空気プレナム321により用紙Pが吸引される際は、封止板344により用紙Pを規制することができる。つまりサイドガイド34fが、挿抜する際に封止板354と干渉しないようにその高さを封止板354の下端より低くするように製造されていたとしても、本実施の形態では、封止板344により浮揚した用紙Pの側面を規制することができる。そのため吸引途中でも用紙姿勢が変化しにくく、用紙Pを搬送する際の斜め送りが生じにくい。
【0042】
一方、封止板344は、ボトムプレート34eが下降の際には、図中下方向に移動する。これにより空気プレナム321により用紙Pが吸引されるとき以外は、封止板344は、サイドガイド34fの上端から上方に出ないことになるので、収容ユニット34(図2参照)を挿抜する際にも、封止板344が、例えば、空気プレナム321に設けられる封止板354と干渉することはない。
【0043】
<封止板344の昇降機構の説明>
図8(a)〜(b)は、封止板344の昇降機構の一例について説明した図である。
前述の図7に示した封止板344は、サイドガイド34fの側面に取り付けられていたが、図8(a)〜(b)に示した封止板344は、サイドガイド34f内に収納可能な構造になっている。本実施の形態では、封止板344は、下部に屈曲部を有するL字型の形状を採る。そしてその下部をシャフト346が貫通し、さらにシャフト346の上部に固定されている。また封止板344内部には仕切り部349a,349bがあり、シャフト346はこの仕切り部349a,349bも貫通している。そして封止板344と仕切り部349aの間には、バネ347が設けられている。またシャフト346の下部には、ボトムプレート34eの側に延びるレバー348が取り付けられている。さらに封止板344には、図7と同様の矩形形状の穴部344aが設けられており、この穴部344aを通してサイドガイド34f内部の側面に設けられるピン345により支持されている。
【0044】
この構造において、封止板344は、シャフト346とピン345により規制されつつ図中上下方向に移動可能となっている。
そして図8(a)に示すようにボトムプレート34eが、用紙Pを供給する供給位置にあるときは、バネ347の作用により上方に押し上げられ、封止板344の上端と空気プレナム321の用紙吸引面350とが接触する位置を採る。なお仕切り部349bが設けられているため、この仕切り部349bとレバー348とが接触する位置において、封止板344の最上部の位置が規定される。
一方、図8(b)に示すようにボトムプレート34eが、用紙Pを補充する補充位置方向に移動すると、ボトムプレート34eが、レバー348に接触し、そのままレバー348を下方に押し下げる。この場合、シャフト346も下方に移動するため、シャフト346に固定されている封止板344も連動して下方に移動する。これによりボトムプレート34eが補充位置にあるときは、封止板344は、サイドガイド34f中に収容される。なおボトムプレート34eが、補充位置から供給位置へ移動すると、レバー348は、ボトムプレート34eから離間するため、バネ347の作用により再び図8(a)に示した状態に戻る。
【0045】
なお以上説明を行った封止板344を設ける場合は、空気プレナム321に設けられる封止板354は必ずしも必要はない。ただし封止板354を設けることにより、空気プレナム321に生じる負圧をより安定させることができ、より安定して用紙Pを吸引することができる。
【0046】
<第1給紙装置30による用紙Pの供給手順の説明>
次に第1給紙装置30が用紙Pを供給する具体的な手順について説明を行う。
図9−1(a)〜(c)、図9−2(d)〜(f)は、第1給紙装置30(図1参照)が用紙Pを供給する手順について説明した図である。
まず図9−1(a)では、用紙Pを補充する状態を示している。そのためボトムプレート34eは、第1給紙装置30下部の補充位置に下降している。そしてこの補充位置において収容ユニット34(図2参照)を挿抜して用紙Pを補充することができる。またこの状態では、封止板344は、下降しており、サイドガイド34f内に収納され、収納位置にある。なお本実施の形態では、説明をわかりやすくするため、封止板344の周辺に設けられているサイドガイド34f、シャフト346等の部材については図示を省略している。
【0047】
用紙Pの補充が終了すると、ボトムプレート34eを昇降させる昇降手段が作動し、図9−1(b)に示すようにボトムプレート34eが上昇する。そして第1給紙装置30上部の供給位置において停止する。そしてボトムプレート34eに従い、封止板344も上昇し、その上端が空気プレナム321の用紙吸引面350(図5参照)に接触する。この位置が封止板344の封止位置である。
【0048】
第1給紙装置30により用紙Pを供給する際は、ファン322が稼働を開始し、図9−1(c)に示すように空気プレナム321に負圧が発生する。そしてこの負圧により用紙Pが吸引され、空気プレナム321側に移動して用紙吸引面350に吸引される。またこのとき送風機323が稼働し、空気流の吹き付けを開始する。そして複数枚の用紙Pが空気プレナム321側に移動した場合でも、この送風機323により発生する空気流により、用紙Pは、はたかれ、最上部の用紙Pを残して落下する。このため用紙Pを、一枚ずつに捌くことができ、用紙Pを一枚ずつ供給することができる。
【0049】
そして最上部の用紙Pを吸引した空気プレナム321は、図9−2(d)に示すように図中右側に移動し、搬送ロール324への用紙Pの受け渡しが行われる。このとき送風機323は停止し、空気流の吹きつけは行われない。
【0050】
用紙Pが搬送ロール324により移動を開始すると、図9−2(e)に示すようにファン322を停止させ、空気プレナム321に生じる負圧を解除する。これにより用紙Pは、空気プレナム321の用紙吸引面350から容易に離脱し、搬送ロール324による用紙Pの搬送がより円滑に行われる。
【0051】
搬送ロール324への用紙Pの受け渡しが終了すると、空気プレナム321は、図中左側に移動し、図9−2(f)で示すように元の位置に戻る。そして用紙Pの補充の必要が生じるまで、第1給紙装置30は、図9−1(c)、図9−2(d)〜(f)の動作を繰り返し、順次用紙Pの供給を行う。また用紙Pの補充の必要が生じたときは、用紙Pの供給を停止して、図9−1(a)で示した補充位置にボトムプレート34eを移動させる。
【符号の説明】
【0052】
1…画像形成装置、10…画像形成装置本体、20…用紙供給ユニット、34e…ボトムプレート、34f,34h…サイドガイド、34g…エンドガイド、321…空気プレナム、322…ファン、323…送風機、344,354…封止板、P…用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録材を積載して収容する積載部と、
記録材を供給する供給位置と記録材の補充をする補充位置との間で前記積載部を昇降させる昇降手段と、
記録材を負圧により吸引する吸引手段と、
前記吸引手段に負圧を発生させる負圧発生手段と、
前記吸引手段に生じる負圧を維持するための封止部材を有し、前記積載部に積載された記録材の端面を規制する規制部材と、
を備え、
前記規制部材の前記封止部材は、記録材を補充する際の位置である収納位置と前記吸引手段に生じる負圧を維持するための位置である封止位置との間を前記積載部の昇降に従い昇降することを特徴とする記録材供給装置。
【請求項2】
前記規制部材の前記封止部材は、前記積載部が前記補充位置にあるときには当該規制部材内に収納されることを特徴とする請求項1に記載の記録材供給装置。
【請求項3】
前記吸引手段は、当該吸引手段に生じる負圧を維持するための封止部材をさらに有することを特徴とする請求項1または2に記載の記録材供給装置。
【請求項4】
前記吸引手段により吸引された記録材に空気流を吹き付ける送風手段をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の記録材供給装置。
【請求項5】
記録材に画像を形成する画像形成部と、
記録材を積載して収容する積載部と、記録材を供給する供給位置と記録材の補充をする補充位置との間で当該積載部を昇降させる昇降手段と、記録材を負圧により吸引する吸引手段と、当該吸引手段に負圧を発生させる負圧発生手段と、当該吸引手段に生じる負圧を維持するための封止部材を有し当該積載部に積載された記録材の端面を規制する規制部材と、を備える記録材供給部と、
を備え、
前記記録材供給部の前記封止部材は、記録材を補充する際の位置である収納位置と前記吸引手段に生じる負圧を維持するための位置である封止位置との間を前記積載部の昇降に従い昇降することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9−1】
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【図9−2】
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【公開番号】特開2013−6653(P2013−6653A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−139841(P2011−139841)
【出願日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】