説明

記録用インク、並びにインクカートリッジ、インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置

【課題】画像品質を損なうことなく泡立ちが改善され、保存安定性及び吐出安定性に優れた記録用インクの提供。
【解決手段】少なくとも顔料、水溶性有機溶剤、樹脂エマルジョン、及び下記一般式(1)、(2)で表される界面活性剤、及び水を含有する記録用インク。


m+n=9〜11、1.4≦x/y≦1.6


は、炭素数1〜20のアルキル基、アリル基、及びアラルキル基のいずれかを表す。Lは、0〜7の整数を表す。pは、20〜200の整数を表す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録用インク、並びに前記記録用インクを用いたインクカートリッジ、インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録方式を用いたインクジェットプリンタは、小型で価格が安く、カラー化が容易であることから、急速に普及している。近年では、高画質なインク記録物を高速で記録することが求められており、この要求に答えるために、インクジェット記録方式に用いられる記録用インクは、様々な特性を満たしていなければならない。また、インクジェットプリンタの普及にともない様々な使用環境に耐える品質が求められている。特に使用する温湿度環境は品質に影響を与える重要な因子となっている。
このような記録用インクにおいて、従来から用いられてきた染料インクは発色には優れているが耐光性に劣るという欠点がある。一方、顔料インクは耐光性には優れているが発色に劣り、また顔料が凝集してノズルの目詰まりが生じるという欠点がある。このような顔料インクは顔料の分散形態別に、自己分散型、高分子分散型、樹脂被覆型、界面活性剤分散型等の顔料分散体などがある。これらの中でも、界面活性剤分散型は比較的低コストで製造できるという特徴がある。
【0003】
普通紙に高画質に記録するには、普通紙に着弾したインクが滲まないように、高浸透性の記録用インクが適している。また、高速記録に対応するためには、記録用インクに高浸透性及び速乾性が求められる。また、高い信頼性を確保するためには、溶解安定性、分散安定性、保存安定性、及び吐出安定性の良好な記録用インクが求められる。中でも、吐出安定性においては、インクに発生する気泡を抑制することが重要である。インクはインクカートリッジへの充填時、インクヘッドへのインクカートリッジ装着時及び装着後のインク吸引時、記録中、記録休止時、又は低温環境において気泡が発生し易く、これにより吐出不良を引き起こし易いという問題がある。
【0004】
前記課題を解決するため、例えば特許文献1には、ジメチルポリシロキサンとポリアルキレンオキサイドとを交互に繰り返し結合した直鎖状のブロックコポリマーを含有することにより、インクの泡立ちを抑制することが提案されている。この提案のように、ブロックコポリマーをインク中に含有すると、泡立ちは抑制できるがインクの表面張力が25mN/m以下に低下してしまい、記録する際の吐出安定性が充分ではなかった。
【0005】
また、特許文献2には、JIS K3362−1970による5分後の泡の安定度が0mmであるインクが提案されている。しかし、この場合、炭素数が5以下の低級アルキルアルコール又はノニオン系界面活性剤の少なくとも1種を含有しているが、浸透性が低いため、高速での印字に適さないという問題がある。
【0006】
また、特許文献3には、顔料分散剤と高分子安定化剤を使用し、本発明で用いている界面活性剤を使用する記録用インクが提案されている。しかし、この提案は、本発明で用いられる一般式(1)で表される界面活性剤と、一般式(2)で表される化合物とを組み合わせたものではなく、泡立ちの課題を改善するものではない。
【0007】
また、特許文献4には、泡立ちを抑制するために特定の高分子を分散剤として使用したインクが提案されている。しかし、高分子を分散剤として使用した顔料分散体は界面活性剤を分散剤として使用した分散体と比較して製造工程が複雑で、更に前記インクでは泡立ちの抑制が充分ではかった。
【0008】
また、特許文献5には、界面活性剤としてポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルを使用して浸透性、乾燥性に優れ、画質及び裏抜けの改良されたインクが提案されている。この提案では、使用されている界面活性剤においてポリオキシエチレンユニットの分子量と界面活性剤全体の分子量の割合を規定しているが、本発明とは異なるものであり、本発明で用いられる一般式(1)で表される界面活性剤と、一般式(2)で表される化合物とを組み合わせたものではなく、泡立ちを改善することについては開示も示唆もされていない。
【0009】
また、特許文献6には、本発明で用いる一般式(2)で表される化合物とポリウレタンエマルジョンを使用し、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルを使用するインクが提案されている。しかし、ポリウレタンエマルジョンとポリオキシアルキレンアルキルエーテルの含有比率について述べられておらず、また泡立ちの課題を改善するものではない。
【0010】
また、特許文献7には、顔料分散剤と高分子安定化剤を使用し、更に本発明で用いる界面活性剤を使用する記録用インクが提案されている。しかし、前記特許文献は泡立ちの課題に対して提案されたものではなく、前記界面活性剤のポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンの割合については述べられていない。
【0011】
したがって現在までのところ、分散剤として界面活性剤を使用した記録用インクにおいて、画像品質を損なうことなく泡立ちが改善され、保存安定性及び吐出安定性に優れた記録用インク及びその関連技術は提供されていないのが現状である。
【0012】
【特許文献1】特開2006−225509号公報
【特許文献2】特公平7−26049号公報
【特許文献3】特開2007−191556号公報
【特許文献4】特許第3908559号公報
【特許文献5】特開2001−254037号公報(特許第3995231号公報)
【特許文献6】特開2007−211058号公報
【特許文献7】特開2007−191556号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであり、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、画像品質を損なうことなく泡立ちが改善され、保存安定性及び吐出安定性に優れた記録用インク、並びに前記記録用インクを用いたインクカートリッジ、インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記課題を解決するための手段としては以下の通りである。即ち、
<1> 少なくとも顔料、水溶性有機溶剤、樹脂エマルジョン、下記一般式(1)で表される界面活性剤、下記一般式(2)で表される化合物、及び水を含有してなり、
前記樹脂エマルジョンが、ポリウレタン系樹脂エマルジョン、スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン及びアクリル−シリコーン系樹脂エマルジョンから選択される少なくとも1種であることを特徴とする記録用インクである。
【化3】

ただし、前記一般式(1)中、m及びnは、m+n=9〜11の整数を表す。x及びyは、1.4≦x/y≦1.6を満たす数である。
【化4】

ただし、前記一般式(2)中、Rは、炭素数1〜20のアルキル基、アリル基、及びアラルキル基のいずれかを表す。Lは、0〜7の整数を表す。pは、20〜200の整数を表す。
<2> 樹脂エマルジョンの含有量が、固形分で0.1質量%〜5質量%である前記<1>に記載の記録用インクである。
<3> ポリウレタン系樹脂エマルジョンが、アニオン性自己乳化型のエーテル系ポリウレタン樹脂エマルジョンである前記<1>から<2>のいずれかに記載の記録用インクである。
<4> 一般式(1)で表される界面活性剤の含有量が0.05質量%〜3質量%である前記<1>から<3>のいずれかに記載の記録用インクである。
<5> 一般式(1)で表される界面活性剤の含有量が0.5質量%〜1.5質量%である前記<4>に記載の記録用インクである。
<6> 樹脂エマルジョンの固形分含有量Aと、一般式(1)で表される界面活性剤の含有量Bの比(A:B)が0.7:1〜2.1:1である前記<1>から<5>のいずれかに記載の記録用インクである。
<7> 一般式(2)で表される化合物の含有量が、顔料1質量部に対し0.1質量部〜2.0質量部である前記<1>から<6>のいずれかに記載の記録用インクである。
<8> シリコーン消泡剤を含有する前記<1>から<7>のいずれかに記載の記録用インクである。
<9> シリコーン消泡剤の含有量が0.05質量%〜1質量%である前記<8>に記載の記録用インクである。
<10> 前記<1>から<9>のいずれかに記載の記録用インクを容器中に収容してなることを特徴とするインクカートリッジである。
<11> 前記<1>から<9>のいずれかに記載の記録用インクに刺激を印加し、前記記録用インクを飛翔させて画像を形成するインク飛翔手段を少なくとも有することを特徴とするインクジェット記録方法である。
<12> 前記<1>から<9>のいずれかに記載の記録用インクに刺激を印加し、前記記録用インクを飛翔させて画像を形成するインク飛翔手段を少なくとも有することを特徴とするインクジェット記録装置である。
【0015】
本発明においては、下記一般式(1)で表される界面活性剤と、下記一般式(2)で表される化合物とを組み合わせることにより、発色が良く、泡立ち難い記録用インクを提供することができる。前記一般式(2)の化合物で分散されたインクは、発色が良く、また製造しやすいという長所があるが、その一方で泡立ち易いという問題がある。通常複数の界面活性剤を組み合わせた場合には、もとの界面活性剤よりも起泡性が増すことから、前記一般式(2)の化合物と、例えばフッ素系界面活性剤等を組み合わせてインクに用いると、起泡性が高くなりすぎて使用が極めて困難であった。しかし、前記一般式(2)の化合物と、前記一般式(1)の界面活性剤を組み合わせると、その理由は明らかではないが相互作用により、前記一般式(2)の化合物の起泡性を低下させることができる。
また、本発明においては、特に気泡が発生しやすい低温環境において界面活性剤として低起泡性の前記一般式(1)で表される化合物を使用したり、シリコーン消泡剤を使用するだけでは消泡性は充分ではなかったが、前記インクにポリウレタン系樹脂エマルジョンを特定の割合で添加することで低温環境においても消泡性に充分な効果があることを見出した。ここで、低温環境とは、温度環境が15℃のことをいう。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、従来における諸問題を解決することができ、画像品質を損なうことなく泡立ちが改善され、保存安定性及び吐出安定性に優れた記録用インク、並びに前記記録用インクを用いたインクカートリッジ、インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(記録用インク)
本発明の記録用インクは、少なくとも顔料、水溶性有機溶剤、樹脂エマルジョン、下記一般式(1)で表される界面活性剤、下記一般式(2)で表される化合物、及び水を含有してなり、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
【0018】
−一般式(1)で表される界面活性剤−
下記一般式(1)で表される界面活性剤を用いることで、従来のフッ素系界面活性剤と比較して発色をそれほど損なうことなく、インクの泡立ちを著しく抑制することができる。このため、記録用インク中に消泡剤を添加しなくてもインクジェット記録用インクとして使用できるのでインク中で消泡剤が均一に分散しないという問題が生じない。
【化5】

ただし、前記一般式(1)中、m及びnは、m+n=9〜11の整数を表す。x及びyは、1.4≦x/y≦1.6を満たす数である。
前記一般式(1)において、x/yが1.6を超えると、インクが増粘凝集して保存安定性、及び吐出安定性に問題が生じることがある。一方、前記x/yが1.4未満であると、溶解性が悪くなり、インクとしての使用が難しいことがある。
前記一般式(1)で表される界面活性剤としては、市販品を使用することができ、前記市販品としては、例えば、ソフタノールEP5035(x/y=1.4)、ソフタノールEP7045(x/y=1.6)(いずれも、株式会社日本触媒製)、などが挙げられる。
前記一般式(1)で表される界面活性剤の前記記録用インクにおける含有量は、0.05質量%〜3質量%が好ましく、0.5〜1.5質量%がより好ましい。前記含有量が、0.05質量%未満であると、インクの浸透が充分ではなく文字滲みや色境界滲みが生じることがあり、3質量%を超えると、インク粘度が高くなり吐出安定性に問題を生じる。
【0019】
−一般式(2)で表される化合物−
本発明で使用されるインクの着色剤としての顔料は、下記一般式(2)で表される化合物で分散されている。このように下記一般式(2)で表される化合物を分散剤として用いることにより、平均粒径が小さく、保存安定性に優れた水系顔料分散体、及び水系顔料インクを得ることができる。
【化6】

ただし、前記一般式(1)中、Rは、炭素数1〜20のアルキル基、アリル基、及びアラルキル基のいずれかを表す。Lは、0〜7の整数を表す。pは、20〜200の整数を表す。
【0020】
前記一般式(1)において、pは、20〜200の整数であり、20〜100が好ましく、30〜50がより好ましい。前記pが、20未満であると、分散安定性が低下する傾向があり、平均粒径が大きい顔料を含むインクとなるため満足な彩度が得られないことがあり、200を超えると、インクの粘度が高くなり、インクジェット記録方式での記録が困難になることがある。
このように親水基としてポリオキシエチレン基を含むことにより、顔料表面の電荷を良好に維持することができる。
における炭素数1〜20のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、などが挙げられる。
におけるアラルキル基としては、例えばベンジル、フェネチル、2−メチルベンジル、3−メチルベンジル、4−メチルベンジルなどが挙げられる。
前記一般式(2)で表される化合物としては、ポリオキシエチレン(n=20)β−ナフチルエーテル、ポリオキシエチレン(n=40)β−ナフチルエーテル、ポリオキシエチレン(n=60)β−ナフチルエーテルなどが挙げられる。これらの中でも、ポリオキシエチレン(n=40)β−ナフチルエーテルが特に好ましい。
前記一般式(2)で表される化合物の含有量は、質量基準で、前記インクにおける顔料1質量部に対して0.1質量部〜2.0質量部が好ましく、0.1質量部〜1.0質量部がより好ましい。前記含有量範囲において、平均粒径の小さいインクを提供できる。前記含有量が、0.1質量部未満であると、顔料の分散が不十分となることがあり、2.0質量部を超えると、インクの粘度が高すぎてインクジェット方式での記録が困難になることがある。
【0021】
−樹脂エマルジョン−
本発明に使用される樹脂エマルジョンは、記録用インクが紙のような記録媒体に着弾した際、増粘乃至凝集する性質を持ち、紙への定着を促進する効果を有する。また、前記樹脂エマルジョンを添加することで顔料の分散安定性が向上する。
前記樹脂エマルジョンとしては、例えばポリウレタン系樹脂エマルジョン、スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、アクリル−シリコーン系樹脂エマルジョンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、分散安定性の点からポリウレタン系樹脂エマルジョンが特に好ましい。
前記ポリウレタン系樹脂エマルジョンを添加することでインクの消泡性が向上する。その理由は定かではないが、気泡発生時に泡膜中にポリウレタン系樹脂エマルジョンの固形分が進入することで破泡し易くなると推測される。
【0022】
前記樹脂エマルジョンは、顔料インク作製原料として使用する際、又は本発明のインク組成物作製後において、O/W型のエマルジョンとして存在するものである。ポリウレタン系樹脂エマルジョンには、比較的親水性の通常のポリウレタン系樹脂を外部に乳化剤を使用してエマルジョン化したものと、樹脂自体に乳化剤の働きをする官能基を共重合等の手段で導入した自己乳化型のエマルジョンがある。いずれも実施可能であるが、顔料インク組成物の組み合わせによって、顔料及びエマルジョン粒子の分散安定性に若干の差異があるので注意を要する。顔料や分散剤との各種組み合わせにおいて、常に分散安定性に優れているのはアニオン型自己乳化型ポリウレタンのエマルジョン樹脂である。その際、顔料の固着性及び分散安定性の面でポリウレタン系樹脂はポリエステル型、ポリカーボネート型よりもエーテル型である方が好ましく、したがってアニオン性自己乳化型のエーテル系ポリウレタン樹脂エマルジョンが特に好ましい。その理由は定かではないが、非エーテル型は耐溶剤性に弱いものが多く、インクの高温保存時に粘度が凝集しやすいからと思われる。
前記樹脂エマルジョンの体積平均粒径(D50)は、200nm以下が好ましく、100nm以下がより好ましく、80nm以下が更に好ましい。前記体積平均粒径が200nmを超えると、インクジェットプリンタのノズル目詰まりが生じて吐出不良が発生し易くなることがある。
前記樹脂エマルジョンとしては、市販品を使用することができ、前記市販品としては、例えば、J−450、J−734、J−7600、J−352、J−390、J−7100、J−741、J74J、J−511、J−840、J−775、HRC−1645、HPD−71(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン;いずれも、ジョンソンポリマー社製)、UVA383MA(アクリル−シリコーン系樹脂エマルジョン;BASF社製)、AP4710(アクリル−シリコーン系樹脂エマルジョン;昭和高分子株式会社製)、SF460、SF460S、SF420、SF110、SF300、SF361(ポリウレタン系樹脂エマルジョン;いずれも日本ユニカー株式会社製)、W5025、W5661(ポリウレタン系樹脂エマルジョン;三井化学ポリウレタン株式会社製)などが挙げられる。
前記樹脂エマルジョンの固形分含有量(A)と、前記一般式(1)で表される界面活性剤の含有量(B)の比(A:B)は、0.7:1〜2.1:1であることが好ましく、1.0:1〜1.5:1がより好ましい。前記含有量(A)が0.7未満であると、前記樹脂エマルジョンの破泡作用よりも界面活性剤の泡膜安定作用の方が強く、充分な消泡性を得られないことがある。一方、前記含有量(A)が2.1を超えると、充分な消泡性が得られる一方でインク粘度が増加するためインクジェットプリンタでの吐出が困難になることがある。
前記樹脂エマルジョンの含有量は、前記記録用インク中、固形分で0.1質量%〜5質量%が好ましく、0.4質量%〜3質量%がより好ましく、0.4質量%〜1質量%が更に好ましい。前記含有量が、0.1質量%未満であると、記録媒体へ着弾した後、樹脂が顔料を覆う量が不十分で、耐擦過効果が小さく、5質量%を超えると、インクの保存安定性、吐出安定性に問題を生じることがある。
【0023】
−水溶性有機溶剤−
本発明においては、水溶性有機溶剤が記録用インク中に含有されていると、インクの保水と湿潤性を確保することができ、その結果、インクを長期間保存しても色材の凝集や粘度の上昇を抑制して優れた保存安定性を実現できる。また、インクジェットプリンタのノズル先端等で開放状態に設置されても、乾燥物の流動性を長時間維持するインクが実現できる。更に印字中もしくは印字中断後の再起動時にノズルの目詰まりが発生を抑制して、高い吐出安定性が得られる。
【0024】
前記水溶性有機溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−ブチルグリコール、3−メチル−1,3−ブチルグリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、エチル1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、ペトリオール等の多価アルコール類;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物;ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミン等のアミン類;ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物;プロピレンカーボネイト、炭酸エチレン、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、インクの乾燥による目詰まり、即ち水分蒸発による噴射特性不良の防止、及び形成画像の彩度を向上する上で優れた効果が得られる点から、1,3−ブチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリンが特に好ましい。
前記水溶性有機溶剤の前記記録インクにおける含有量は、5質量%以上、50質量%以下であることが好ましく、20質量%以上、40質量%以下がより好ましい。
【0025】
−顔料−
前記顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無機顔料、及び有機顔料のいずれであってもよい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記無機顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、紺青、カドミウムレッド、クロムイエロー、金属粉、カーボンブラック、などが挙げられる。これらの中でも、カーボンブラックなどが好ましい。なお、前記カーボンブラックとしては、例えば、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたものが挙げられる。
【0026】
前記有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、アゾメチン顔料、多環式顔料、染料キレート、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、などが挙げられる。これらの中でも、アゾ顔料、多環式顔料などがより好ましい。
前記アゾ顔料としては、例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、などが挙げられる。
前記多環式顔料としては、例えば、フタロシアニン顔料、ぺリレン顔料、ぺリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料、ローダミンBレーキ顔料、などが挙げられる。
前記染料キレートとしては、例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート、などが挙げられる。
【0027】
前記着色剤の色としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、黒色用のもの、カラー用のもの、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記黒色用のものとしては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料、などが挙げられる。
前記カーボンブラックとしては、ファーネス法、チャネル法で製造されたカーボンブラックで、一次粒径が、15nm〜40nm、BET法による比表面積が、50m/g〜300m/g、DBP吸油量が40ml/100g〜150ml/100g、揮発分が0.5%〜10%、pH値が2〜9を有するものが好ましい。
【0028】
前記カーボンブラックとしては、市販品を用いることができ、前記市販品としては、例えば、No.2300、No.900、MCF−88、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、No.2200B(いずれも、三菱化学株式会社製);Raven700、同5750、同5250、同5000、同3500、同1255(いずれも、コロンビア社製);Regal400R、同330R、同660R、Mogul L、Monarch700、同800、同880、同900、同1000、同1100、同1300、Monarch1400(いずれも、キャボット社製);カラーブラックFW1、同FW2、同FW2V、同FW18、同FW200、同S150、同S160、同S170、プリンテックス35、同U、同V、同140U、同140V、スペシャルブラック6、同5、同4A、同4(いずれも、デグッサ社製)、などが挙げられる。
【0029】
前記カラー用のものとして、イエローインクに使用できる顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばC.I.ピグメントイエロー1、C.I.ピグメントイエロー2、C.I.ピグメントイエロー3、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー16、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー73、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー75、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー95、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー98、C.I.ピグメントイエロー114、C.I.ピグメントイエロー120、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー129、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー174、C.I.ピグメントイエロー180、などが挙げられる。
マゼンタインクに使用できる顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばC.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド12、C.I.ピグメントレッド48(Ca)、C.I.ピグメントレッド48(Mn)、C.I.ピグメントレッド57(Ca)、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド112、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド168、C.I.ピグメントレッド176、C.I.ピグメントレッド184、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド202、ピグメントバイオレット19、などが挙げられる。
シアンインクに使用できる顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばC.I.ピグメントブルー1、C.I.ピグメントブルー2、C.I.ピグメントブルー3、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:34、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー22、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー63、C.I.ピグメントブルー66;C.I.バットブルー4、C.I.バットブルー60、などが挙げられる。
また、本発明で使用する各インクに含有される顔料は、本発明のために新たに製造されたものでも使用可能である。
なお、イエロー顔料としてピグメントイエロー74、マゼンタ顔料としてピグメントレッド122、ピグメントバイオレッド19、シアン顔料としてピグメントブルー15を用いることにより、色調、耐光性が優れ、バランスの取れたインクを得ることができる。
【0030】
前記顔料の前記記録用インクにおける含有量は、0.1質量%以上、50.0質量%以下が好ましく、0.1質量%以上、20.0質量%以下がより好ましい。
前記顔料の体積平均粒径(D50)は、150nm以下が好ましく、100nm以下がより好ましい。ここで、前記顔料の体積平均粒径は、23℃、55%RHの環境下において、日機装株式会社製マイクロトラックUPAで動的光散乱法により測定した値を示す。これはノズルプレートに付着したインク中の顔料の粗大粒子量を減らすことにより、ワイピング時にインク中の粗大粒子の摩擦により撥インク層を損傷することを防止するからである。また、記録画像部の顔料粒子の乱反射を防ぎ、かつ濃度均一な記録画像を提供できるからである。
【0031】
前記顔料は、上記一般式(2)で表される化合物により水中で分散させて水系顔料分散体として使用される。前記水系顔料分散体は、例えば以下の方法によって作製することができる。最初に顔料と分散剤との比率を決定する。それは、顔料と水との混合物をサンドミル、ロールミル、ビーズミル、ナノマイザー、ホモジナイザー等の公知の分散機で分散しながら、分散剤を徐々に添加して、粒径が小さくなると同時に最も粘度の小さくなった比率に決定する。なお、ビーズミルで分散する場合に、泡の発生を抑制するために少量の消泡剤を添加することが好ましい。顔料平均粒径については、分散機へ入れるビーズの大きさや分散時間などによって制御することが可能であり、平均粒径を150nm以下にするには、ビーズ直径は0.05mm〜1.0mm、分散時間は1時間/L〜100時間/Lで分散すればよい。
【0032】
−消泡剤−
前記消泡剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばシリコーン消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤などが好適に挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、破泡効果に優れる点でシリコーン消泡剤が好ましい。
前記シリコーン消泡剤としては、例えばオイル型、コンパウンド型、エマルジョン型、自己乳化型などが挙げられる。
前記コンパウンド型シリコーン消泡剤は、オイル型の消泡剤にシリカやアルミナ等の微粒子を分散させて消泡性を上げたものである。
前記エマルジョン型シリコーン消泡剤は、コンパウンド型消泡剤を乳化剤によってO/W型のエマルジョンにして水への分散性を上げたものである。
前記自己乳化型シリコーン消泡剤は、シリコーンオイルとシリカを含み、水に希釈すると容易にO/W型のエマルジョンになるものである。
前記記録用インクに、フッ素系界面活性剤を使用する場合には、インクの表面張力が低くなるので泡立ち易くなる。そのため前記のシリコーン消泡剤の中でも、消泡性に優れたシリカ粒子を含むコンパウンド型、エマルジョン型、自己乳化型を使用することが好ましい。
シリコーン消泡剤の市販品として入手可能なものは、KS−508、KS−531、KM−72、KM−72F、KM−90、KM−98(信越化学工業株式会社製)、SF−8427、SF−8428、SH−3749、SH−8400、FZ−2101、FZ−2104、FZ−2118、FZ−2203、FZ−2207(東レ・ダウコーニング株式会社製)、BYK−345、BYK−346、BYK−348(ビッグケミー・ジャパン株式会社製)などが挙げられる。
前記シリコーン消泡剤の含有量は、消泡効果がある最小量でよいが、0.05〜1質量%が好ましく、0.1〜0.5質量%がより好ましい。前記含有量が0.05質量%未満では、消泡効果が小さいことがあり、1質量%を超えると、インクの保存安定性、吐出安定性に問題を生じることがある。
【0033】
−その他の成分−
前記その他の成分としては、特に制限はなく、必要に応じて適宜選択することができ、例えば、消泡剤、pH調整剤、防腐防黴剤、防錆剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、酸素吸収剤、光安定化剤、などが挙げられる。
前記防腐防黴剤としては、例えば、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、等が挙げられる。
前記pH調整剤としては、調合されるインクに悪影響をおよぼさずにpHを7以上に調整できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて任意の物質を使用することができる。前記pH調整剤としては、例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属元素の水酸化物;水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物、第4級ホスホニウム水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩、などが挙げられる。
前記防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライト、などが挙げられる。
前記酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤(ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む)、アミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、りん系酸化防止剤、などが挙げられる。
【0034】
本発明の記録用インクは、顔料、水溶性有機溶剤、上記一般式(1)で表される界面活性剤、上記一般式(2)で表される顔料分散剤、及び水と、更に必要に応じてその他の成分を添加し、20℃〜30℃で1〜3時間攪拌して製造する。前記分散は、例えば、サンドミル、ホモジナイザー、ボールミル、ペイントシャイカー、超音波分散機等により行うことができ、攪拌混合は通常の攪拌羽を用いた攪拌機、マグネチックスターラー、高速の分散機等で行うことができる。
【0035】
本発明の記録用インクの粘度は、25℃で、6mPa・s〜20mPa・sが好ましく、6mPa・s〜15mPa・sがより好ましい。前記粘度が20mPa・sを超えると、吐出安定性の確保が困難になることがある。
本発明の記録用インクにおける表面張力は、紙等の記録媒体への浸透性を示す指標であり、特に表面形成されて1秒以下の短い時間での動的表面張力を示し、飽和時間で測定される静的表面張力とは異なる。測定法としては特開昭63−31237号公報等に記載の従来公知の方法で1秒巻以下の動的な表面張力を測定できる方法であればいずれも使用できるが、例えばSITA Messtechnic GmbH社のSITA Dyno Testerを使用して25℃環境下で最大泡圧法により測定した。この方法は、液体中に垂直に毛管を入れ、空気を送り発生した気泡を放出させるのに必要な最大圧力の測定により動的表面張力を求める方法である。
【0036】
本発明の記録用インクは、各種分野において好適に使用することができ、インクジェット記録方式による画像記録装置(プリンタ等)において好適に使用することができ、例えば、印字又は印字前後に被記録用紙及び前記インクジェットインクを50℃〜200℃で加熱し、印字定着を促進する機能を有するもののプリンタ等に使用することもでき、以下の本発明のインクカートリッジ、インク記録物、インクジェット記録装置、インクジェット記録方法に特に好適に使用することができる。
【0037】
(インクカートリッジ)
本発明のインクカートリッジは、本発明の前記記録用インクを容器中に収容してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の部材等を有してなる。
前記容器としては、特に制限はなく、目的に応じてその形状、構造、大きさ、材質等を適宜選択することができ、例えば、アルミニウムラミネートフィルム、樹脂フィルム等で
形成されたインク袋などを少なくとも有するもの、などが好適に挙げられる。
【0038】
次に、インクカートリッジについて、図1及び図2を参照して説明する。ここで、図1は、本発明のインクカートリッジの一例を示す図であり、図2は図1のインクカートリッジ200のケース(外装)も含めた図である。
インクカートリッジ200は、図1に示すように、インク注入口242からインク袋241内に充填され、排気した後、前記インク注入口242は融着により閉じられる。使用時には、ゴム部材からなるインク排出口243に装置本体の針を刺して装置に供給される。
インク袋241は、透気性のないアルミニウムラミネートフィルム等の包装部材により形成されている。このインク袋241は、図2に示すように、通常、プラスチック製のカートリッジケース244内に収容され、各種インクジェット記録装置に着脱可能に装着して用いられるようになっている。
【0039】
本発明のインクカートリッジは、本発明の前記記録用インクを収容し、各種インクジェット記録装置に着脱可能に装着して用いることができ、また、後述する本発明のインクジェット記録装置に着脱可能に装着して用いるのが特に好ましい。
【0040】
(インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置)
本発明のインクジェット記録装置は、インク飛翔手段を少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、刺激発生手段、制御手段などを有してなる。
本発明のインクジェット記録方法は、インク飛翔工程を少なくとも含んでなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程、例えば、刺激発生工程、制御工程などを含んでなる。
本発明のインクジェット記録方法は、本発明のインクジェット記録装置により好適に実施することができ、前記インク飛翔工程は前記インク飛翔手段により好適に行うことができる。また、前記その他の工程は、前記その他の手段により好適に行うことができる。
【0041】
−インク飛翔工程及びインク飛翔手段−
前記インク飛翔工程は、本発明の前記記録用インクに、刺激を印加し、前記インクを飛翔させて画像を形成する工程である。
前記インク飛翔手段は、本発明の前記記録用インクに、刺激を印加し、前記インクを飛翔させて画像を形成する手段である。前記インク飛翔手段としては、特に制限はなく、例えば、インクジェットヘッド、などが挙げられる。
【0042】
前記インクジェットヘッドとして、インク流路内のインクを加圧する圧力発生手段として圧電素子を用いてインク流路の壁面を形成する振動板を変形させてインク流路内容積を変化させてインク滴を吐出させるいわゆるピエゾ型のもの(特開平2−51734号公報参照)、あるいは、発熱抵抗体を用いてインク流路内でインクを加熱して気泡を発生させるいわゆるサーマル型のもの(特開昭61−59911号公報参照)、インク流路の壁面を形成する振動板と電極とを対向配置し、振動板と電極との間に発生させる静電力によって振動板を変形させることで、インク流路内容積を変化させてインク滴を吐出させる静電型のもの(特開平6−71882号公報参照)などいずれの場合も含まれる。
【0043】
前記刺激は、例えば、前記刺激発生手段により発生させることができ、前記刺激としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、熱(温度)、圧力、振動、光などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、熱、圧力が好適に挙げられる。
【0044】
前記刺激発生手段としては、例えば、加熱装置、加圧装置、圧電素子、振動発生装置、超音波発振器、ライト、などが挙げられる。具体的には、圧電素子等の圧電アクチュエーター、発熱抵抗体等の電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエーター、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエーター、静電力を用いる静電アクチュエーター、などが挙げられる。
【0045】
前記インクの飛翔の態様としては、特に制限はなく、前記刺激の種類等に応じて異なり、例えば、前記刺激が「熱」の場合、記録ヘッド内の前記インクに対し、記録信号に対応した熱エネルギーを例えばサーマルヘッド等を用いて付与し、前記熱エネルギーにより前記インクに気泡を発生させ、前記気泡の圧力により、前記記録ヘッドのノズル孔から前記インクを液滴として吐出噴射させる方法、などが挙げられる。また、前記刺激が「圧力」の場合、例えば記録ヘッド内のインク流路内にある圧力室と呼ばれる位置に接着された圧電素子に電圧を印加することにより、圧電素子が撓み、圧力室の容積が縮小して、前記記録ヘッドのノズル孔から前記インクを液滴として吐出噴射させる方法、などが挙げられる。
【0046】
前記飛翔させる前記インクの液滴は、その大きさとしては、例えば、3pl〜40plとするのが好ましく、その吐出噴射の速さとしては5m/s〜20m/sとするのが好ましく、その駆動周波数としては1kHz以上とするのが好ましく、その解像度としては300dpi以上とするのが好ましい。なお、前記制御手段としては、前記各手段の動きを制御することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器が挙げられる。
【0047】
次に、本発明において使用されるインクジェット記録装置について、一例を挙げて説明する。
図3に示すインクジェット記録装置は、装置本体101と、装置本体101に装着した用紙を装填するための給紙トレイ102と装置本体101に装着され画像が記録(形成)された用紙をストックするための排紙トレイ103とを備えている。そして装置本体101の上カバー111の上面は略平坦な面であり、装置本体101の前カバーの前面112が上面に対して斜め後方に傾斜し、この傾斜した前面112の下方側に、前方(手前側)に突き出した排紙トレイ103及び給紙トレイ102を備えている。更に、前面112の端部側には、前面112から前方側に突き出し、上カバー111よりも低くなった箇所にインクカートリッジ装填部104を有し、このインクカートリッジ装填部104の上面に操作キーや表示器などの操作部105を配置している。このインクカートリッジ装填部104にはインクカートリッジの脱着を行うための開閉可能な前カバー115を有している。
【0048】
装置本体101内には図4、及び図5に示すように、図示しない左右の側板に横架したガイド部材であるガイドロッド131とステー132とでキャリッジ133を主走査方向に摺動自在に保持し、図示しない主走査モーターによって、図5のキャリッジ走査方向に移動走査する。
【0049】
キャリッジ133にはイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色のインク滴を吐出する4個のインクジェットヘッドからなる記録ヘッド134を複数のインク吐出口を主走査方向と交差する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。記録ヘッド134を構成するヘッドとしては、圧電素子等の圧電アクチュエーター、発熱抵抗体等の電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエーター、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエーター、静電力を用いる静電アクチュエーターなどをインクを吐出するためのエネルギー発生手段として備えたものなどを使用できる。
【0050】
また、キャリッジ133には、記録ヘッド134に各色のインクを供給するための各色のサブタンク135を搭載している。このサブタンク135に、インク供給チューブ(不図示)を介して、インクカートリッジ装填部104に装填されたインクカートリッジからインクが補充供給される。
【0051】
一方、給紙トレイ102の用紙積載部(圧板)141上に積載した用紙142を給紙するための給紙部として、用紙積載部(圧板)141から用紙142を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙コロ)143、及び前記給紙コロ143に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド144を備え、この分離パッド144は給紙コロ143側に付勢されている。
【0052】
そして、この給紙部から給紙された用紙142を記録ヘッド134の下方側で搬送するための搬送部として、用紙142を静電吸着して搬送するための搬送ベルト151と、給紙部からガイド145を介して送られる用紙142を搬送ベルト151との間で挟んで搬送するためのカウンターローラ152と、略鉛直上方に送られる用紙142を略90°方向転換させて搬送ベルト151上に倣わせるための搬送ガイド153と、押さえ部材154で搬送ベルト151側に付勢された先端加圧コロ155とを備えている。また搬送ベルト151表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ156を備えている。
【0053】
ここで、搬送ベルト151は、無端状ベルトであり、搬送ローラ157とテンションローラ158との間に掛け渡されて、ベルト搬送方向に周回するように構成されている。この搬送ベルト151は、例えば,抵抗制御を行っていない純粋な厚み40μm程度の樹脂材、例えば、ETFEピュア材で形成した用紙吸着面となる表層と、この表層と同材質でカーボンによる抵抗制御を行った裏層(中抵抗層、アース層)とを有している。また、搬送ベルト151の裏側には、記録ヘッド134による印写領域に対応してガイド部材161を配置している。更に、記録ヘッド134で記録された用紙142を排紙するための排紙部として、搬送ベルト151から用紙142を分離するための分離爪171と、排紙ローラ172及び排紙コロ173とを備え、排紙ローラ172の下方に排紙トレイ103を備えている。
【0054】
本発明のインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法は、インクジェット記録方式による各種記録に適用することができ、例えば、インクジェット記録用プリンタ、ファクシミリ装置、複写装置、プリンタ/ファックス/コピア複合機、などに好適に適用することができる。
【0055】
次に、インクジェットヘッドについて説明する。
図6は本発明を適用したインクジェットヘッドの要素拡大図、図7はインクジェットヘッドのチャンネル間方向の要部拡大断面図である。
【0056】
このインクジェットヘッドは、図示を省略しているインク供給口(図6の表面方向から奥方向(紙の裏面方向)に向かってインクを供給する)と共通液室12となる彫り込みを形成したフレーム10と、流体抵抗部21、加圧液室22となる彫り込みとノズル41に連通する連通口23を形成した流路板20と、ノズル41を形成するノズル板30と、凸部61、ダイヤフラム部62及びインク流入口63を有する振動板60と、振動板60に接着層70を介して接合された積層圧電素子50と、前記積層圧電素子50を固定しているベース40を備えている。ベース40はチタン酸バリウム系セラミックからなり、積層圧電素子50を2列配置して接合している。
【0057】
積層圧電素子50は、厚み10〜50μm/1層のチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)の圧電層51と、厚み数μm/1層の銀・パラジウム(AgPd)からなる内部電極層52とを交互に積層している。内部電極層52は両端で外部電極53に接続する。積層圧電素子50はハーフカットのダイシング加工により櫛歯上に分割され、1つ毎に駆動部56と支持部57(非駆動部)として使用する(図7参照)。
2つの外部電極53のうち一方(図の表面方向又は奥方向(紙の裏面方向)で内部電極層52の一端に連なる)の外側端はハーフカットのダイシング加工で分割されるように、切り欠き等の加工により長さを制限しており、これらは複数の個別電極54となる。他方はダイシングでは分割されずに導通しており、共通電極55となる。
駆動部の個別電極54にはFPC 80が半田接合されている。また、共通電極55は積層圧電素子50の端部に電極層を設けて回し込んでFPC 80のGnd電極に接合している。FPC 80には図示しないドライバICが実装されており、これにより駆動部56への駆動電圧印加を制御している。
【0058】
振動板60は、薄膜のダイヤフラム部62と、このダイヤフラム部62の中央部に形成した駆動部56となる積層圧電素子50と接合する島状凸部(アイランド部)61と、図示を省略している支持部に接合する梁を含む厚膜部と、インク流入口63となる開口を電鋳工法によるNiメッキ膜を2層重ねて形成している。ダイヤフラム部の厚みは3μm、幅は35μm(片側)である。
この振動板60の島状凸部61と積層圧電素子50の可動部56、振動板60とフレーム10の結合は、ギャップ材を含んだ接着層70をパターニングして接着している。
【0059】
流路板20はシリコン単結晶基板を用いて、流体抵抗部21、加圧液室22となる彫り込み、及びノズル41に対する位置に連通口23となる貫通口をエッチング工法でパターニングした。エッチングで残された部分が加圧液室22の隔壁24となる。また、このヘッドではエッチング幅を狭くする部分を設けて、これを流体抵抗部21とした。
【0060】
ノズル板30は金属材料、例えば電鋳工法によるNiメッキ膜等で形成したもので、インク滴を飛翔させるための微細な吐出口であるノズル41を多数形成している。このノズル41の内部形状(内側形状)は、ホーン形状(略円柱形状又は略円錘台形状でもよい)に形成している。また、このノズル41の径はインク滴出口側の直径で20μm〜35μmである。また各列のノズルピッチは150dpiとした。
【0061】
このノズル板30のインク吐出面(ノズル表面側)は、撥インク層90を設けている。本発明ではフッ素系界面活性剤を含有したインクに対しても十分な撥インク性を保持するために、この撥インク層はシリコーン樹脂を含む構造体で構成されている。シリコーン樹脂を含む構造体とは、シリコーン樹脂単独、又は他の樹脂、金属等の構成成分との混合により構成されたものであり、例えば、シリコーン樹脂微粒子がフッ素樹脂中に分散されたもの、シリコーン樹脂とポリプロピレンの混練物、シリコーン樹脂とNiの共析めっき等が挙げられる。シリコーン樹脂の溶出を抑えるには、シリコーン樹脂と他の構成成分との混合体がより効果的である。
【0062】
このように構成したインクジェットヘッドにおいては、記録信号に応じて駆動部56に駆動波形(10V〜50Vのパルス電圧)を印加することによって、駆動部56に積層方向の変位が生起し、振動板60を介して加圧液室22が加圧されて圧力が上昇し、ノズル41からインク滴が吐出される。
その後、インク滴吐出の終了に伴い、加圧液室22内のインク圧力が低減し、インクの流れの慣性と駆動パルスの放電過程によって加圧液室22内に負圧が発生してインク充填行程へ移行する。このとき、インクタンクから供給されたインクは共通液室12に流入し、共通液室12からインク流入口63を経て流体抵抗部21を通り、加圧液室22内に充填される。
流体抵抗部21は、吐出後の残留圧力振動の減衰に効果がある反面、表面張力による再充填(リフィル)に対して抵抗になる。流体抵抗部を適宜に選択することで、残留圧力の減衰とリフィル時間のバランスが取れ、次のインク滴吐出動作に移行するまでの時間(駆動周期)を短くできる。
【0063】
<インク記録物>
前記インク記録物は、記録用メディア上に本発明の前記記録用インクを用いて形成された画像を有してなる。
前記記録用メディアとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、普通紙、光沢紙、特殊紙、布、フィルム、OHPシート、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、本発明のインクメディアセットにおける前記記録用メディアが特に好ましい。
前記インク記録物は、高画質で滲みがなく、経時安定性に優れ、各種の印字乃至画像の記録された資料等として各種用途に好適に使用することができる。
【実施例】
【0064】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0065】
(調製例1)
<顔料分散液(a)の作製>
・C.I.ピグメントレッド122(大日本インキ化学工業株式会社製、FASTGEN SUPER MAGENTA RG)・・・15質量部
・下記一般式(2)で表される化合物(ポリオキシエチレン(n=40)β−ナフチルエーテル)・・・10質量部
【化7】

ただし、前記一般式(2)中、L=0、pは40を表す。
・イオン交換水・・・残量
上記の混合物をプレミックスした後、ディスクタイプのビーズミル(シンマルエンタープライゼス社製、KDL型、メディア:直径0.3mmのジルコニアボール使用)で循環分散して、顔料分散液(a)を調製した。
【0066】
(調製例2)
<顔料分散液(b)の作製>
・C.I.ピグメントレッド122(大日本インキ化学工業株式会社製、FASTGEN SUPER MAGENTA RG)・・・15質量部
・下記一般式(2)で表される化合物(ポリオキシエチレン(n=10)β−ナフチルエーテル)・・・10質量部
【化8】

ただし、前記一般式(2)中、L=0、pは10を表す。
・イオン交換水・・・残量
上記の混合物をプレミックスした後、ディスクタイプのビーズミル(シンマルエンタープライゼス社製、KDL型、メディア:直径0.3mmのジルコニアボール使用)で循環分散して、顔料分散液(b)を調製した。
【0067】
(調製例3)
<顔料分散液(c)の作製>
・C.I.ピグメントレッド122(大日本インキ化学工業株式会社製、FASTGEN SUPER MAGENTA RG)・・・15質量部
・下記一般式(2)で表される化合物(ポリオキシエチレン(n=40)β−ナフチルエーテル)・・・6質量部
【化9】

ただし、前記一般式(2)中、L=0、pは40を表す。
・イオン交換水・・・残量
上記の混合物をプレミックスした後、ディスクタイプのビーズミル(シンマルエンタープライゼス社製、KDL型、メディア:直径0.3mmのジルコニアボール使用)で循環分散して、顔料分散液(c)を調製した。
【0068】
(実施例1)
−記録用インクの作製−
・顔料分散液(a)・・・40質量部
・グリセリン・・・10質量部
・ジエチレングリコール・・・30質量部
・下記一般式(1)で表される界面活性剤(ソフタノールEP5035、株式会社日本触媒製)・・・3質量部
【化10】

ただし、前記一般式(1)中、m及びnは、m+n=9〜11の整数を表す。x=5、y=3.5、x/y=1.4である。
・樹脂エマルジョン(W5661、固形分35.2%、三井化学ポリウレタン株式会社製;アニオン性自己乳化型エーテル系ポリウレタン樹脂)・・・1質量部
・イオン交換水・・・残量
上記のインク処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、記録用インクを作製した。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及びジエチレングリコール、(2)界面活性剤、(3)樹脂エマルジョン、(3)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、(4)顔料分散液(a)を添加し、1時間撹拌した。
【0069】
(実施例2)
−記録用インクの作製−
・顔料分散液(a)・・・40質量部
・グリセリン・・・10質量部
・ジエチレングリコール・・・30質量部
・下記一般式(1)で表される界面活性剤(ソフタノールEP5035、株式会社日本触媒製)・・・0.05質量部
【化11】

ただし、前記一般式(1)中、m及びnは、m+n=9〜11の整数を表す。x=5、y=3.5、x/y=1.4である。
・樹脂エマルジョン(W5661、固形分35.2%、三井化学ポリウレタン株式会社製;アニオン性自己乳化型エーテル系ポリウレタン樹脂)・・・1質量部
・イオン交換水・・・残量
上記のインク処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、記録用インクを作製した。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及びジエチレングリコール、(2)界面活性剤、(3)樹脂エマルジョン、(4)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、上記顔料分散液(a)を添加し、1時間撹拌した。
【0070】
(実施例3)
−記録用インクの作製−
・顔料分散液(a)・・・40質量部
・グリセリン・・・10質量部
・ジエチレングリコール・・・30質量部
・下記一般式(1)で表される界面活性剤(ソフタノールEP5035、株式会社日本触媒製)・・・1質量部
【化12】

ただし、前記一般式(1)中、m及びnは、m+n=9〜11の整数を表す。x=5、y=3.5、x/y=1.4である。
・樹脂エマルジョン(W5661、固形分35.2%、三井化学ポリウレタン株式会社製;アニオン性自己乳化型エーテル系ポリウレタン樹脂)・・・1質量部
・イオン交換水・・・残量
上記のインク処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、記録用インクを作製した。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及びジエチレングリコール、(2)界面活性剤、(3)樹脂エマルジョン、(4)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、上記顔料分散液(a)を添加し、1時間撹拌した。
【0071】
(実施例4)
−記録用インクの作製−
・顔料分散液(a)・・・40質量部
・グリセリン・・・10質量部
・ジエチレングリコール・・・30質量部
・下記一般式(1)で表される界面活性剤(ソフタノールEP7045、株式会社日本触媒製)・・・1質量部
【化13】

ただし、前記一般式(1)中、m及びnは、m+n=9〜11の整数を表す。x=7、y=4.5、x/y=1.6である。
・樹脂エマルジョン(W5661、固形分35.2%、三井化学ポリウレタン株式会社製;アニオン性自己乳化型エーテル系ポリウレタン樹脂)・・・1質量部
・イオン交換水・・・残量
上記のインク処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、記録用インクを作製した。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及びジエチレングリコール、(2)界面活性剤、(3)樹脂エマルジョン、(4)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、上記顔料分散液(a)を添加し、1時間撹拌した。
【0072】
(実施例5)
−記録用インクの作製−
・顔料分散液(a)・・・40質量部
・グリセリン・・・10質量部
・ジエチレングリコール・・・30質量部
・下記一般式(1)で表される界面活性剤(ソフタノールEP7045、株式会社日本触媒製)・・・0.1質量部
【化14】

ただし、前記一般式(1)中、m及びnは、m+n=9〜11の整数を表す。x=7、y=4.5、x/y=1.6である。
・樹脂エマルジョン(W5661、固形分35.2%、三井化学ポリウレタン株式会社製;アニオン性自己乳化型エーテル系ポリウレタン樹脂)・・・1質量部
・イオン交換水・・・残量
上記のインク処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、記録用インクを作製した。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及びジエチレングリコール、(2)界面活性剤、(3)樹脂エマルジョン、(4)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、上記顔料分散液(a)を添加し、1時間撹拌した。
【0073】
(実施例6)
−記録用インクの作製−
・顔料分散液(a)・・・40質量部
・グリセリン・・・10質量部
・ジエチレングリコール・・・30質量部
・下記一般式(1)で表される界面活性剤(ソフタノールEP7045、株式会社日本触媒製)・・・1.5質量部
【化15】

ただし、前記一般式(1)中、m及びnは、m+n=9〜11の整数を表す。x=7、y=4.5、x/y=1.6である。
・樹脂エマルジョン(W5661、固形分35.2%、三井化学ポリウレタン株式会社製;アニオン性自己乳化型エーテル系ポリウレタン樹脂)・・・1質量部
・イオン交換水・・・残量
上記のインク処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、記録用インクを作製した。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及びジエチレングリコール、(2)界面活性剤、(3)樹脂エマルジョン、(4)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、上記顔料分散液(a)を添加し、1時間撹拌した。
【0074】
(実施例7)
−記録用インクの作製−
・顔料分散液(a)・・・40質量部
・グリセリン・・・10質量部
・ジエチレングリコール・・・30質量部
・下記一般式(1)で表される界面活性剤(ソフタノールEP5035、株式会社日本触媒製)・・・1質量部
【化16】

ただし、前記一般式(1)中、m及びnは、m+n=9〜11の整数を表す。x=5、y=3.5、x/y=1.4である。
・樹脂エマルジョン(SF460S、固形分38%、日本ユニカー株式会社製;アニオン性自己乳化型ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂)・・・1質量部
・イオン交換水・・・残量
上記のインク処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、記録用インクを作製した。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及びジエチレングリコール、(2)界面活性剤、(3)樹脂エマルジョン、(4)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、上記顔料分散液(a)を添加し、1時間撹拌した。
【0075】
(実施例8)
−記録用インクの作製−
・顔料分散液(a)・・・40質量部
・グリセリン・・・10質量部
・ジエチレングリコール・・・30質量部
・下記一般式(1)で表される界面活性剤(ソフタノールEP5035、株式会社日本触媒製)・・・1質量部
【化17】

ただし、前記一般式(1)中、m及びnは、m+n=9〜11の整数を表す。x=5、y=3.5、x/y=1.4である。
・樹脂エマルジョン(J−450、固形分42%、ジョンソンポリマー株式会社製;スチレン−アクリル樹脂)・・・1質量部
・イオン交換水・・・残量
上記のインク処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、記録用インクを作製した。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及びジエチレングリコール、(2)界面活性剤、(3)樹脂エマルジョン、(4)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、上記顔料分散液(a)を添加し、1時間撹拌した。
【0076】
(実施例9)
−記録用インクの作製−
・顔料分散液(a)・・・40質量部
・グリセリン・・・10質量部
・ジエチレングリコール・・・30質量部
・下記一般式(1)で表される界面活性剤(ソフタノールEP5035、株式会社日本触媒製)・・・1質量部
【化18】

ただし、前記一般式(1)中、m及びnは、m+n=9〜11の整数を表す。x=5、y=3.5、x/y=1.4である。
・樹脂エマルジョン(AP4710、固形分50%、昭和高分子株式会社製;アクリル−シリコーン樹脂)・・・1質量部
・イオン交換水・・・残量
上記のインク処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、記録用インクを作製した。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及びジエチレングリコール、(2)界面活性剤、(3)樹脂エマルジョン、(4)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、上記顔料分散液(a)を添加し、1時間撹拌した。
【0077】
(実施例10)
−記録用インクの作製−
・顔料分散液(a)・・・35質量部
・グリセリン・・・10質量部
・ジエチレングリコール・・・30質量部
・下記一般式(1)で表される界面活性剤(ソフタノールEP7045、株式会社日本触媒製)・・・1質量部
【化19】

ただし、前記一般式(1)中、m及びnは、m+n=9〜11の整数を表す。x=7、y=4.5、x/y=1.6である。
・樹脂エマルジョン(W5661、固形分35.2%、三井化学ポリウレタン株式会社製;アニオン性自己乳化型エーテル系ポリウレタン樹脂)・・・1質量部
・イオン交換水・・・残量
上記のインク処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、記録用インクを作製した。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及びジエチレングリコール、(2)界面活性剤、(3)樹脂エマルジョン、(4)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、上記顔料分散液(a)を添加し、1時間撹拌した。
【0078】
(実施例11)
−記録用インクの作製−
・顔料分散液(a)・・・45質量部
・グリセリン・・・10質量部
・ジエチレングリコール・・・30質量部
・下記一般式(1)で表される界面活性剤(ソフタノールEP7045、株式会社日本触媒製)・・・1質量部
【化20】

ただし、前記一般式(1)中、m及びnは、m+n=9〜11の整数を表す。x=7、y=4.5、x/y=1.6である。
・樹脂エマルジョン(W5661、固形分35.2%、三井化学ポリウレタン株式会社製;アニオン性自己乳化型エーテル系ポリウレタン樹脂)・・・1質量部
・イオン交換水・・・残量
上記のインク処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、記録用インクを作製した。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及びジエチレングリコール、(2)界面活性剤、(3)樹脂エマルジョン、(4)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、上記顔料分散液(a)を添加し、1時間撹拌した。
【0079】
(実施例12)
−記録用インクの作製−
・顔料分散液(a)・・・40質量部
・グリセリン・・・10質量部
・ジエチレングリコール・・・30質量部
・下記一般式(1)で表される界面活性剤(ソフタノールEP5035、株式会社日本触媒製)・・・1.75質量部
【化21】

ただし、前記一般式(1)中、m及びnは、m+n=9〜11の整数を表す。x=5、y=3.5、x/y=1.4である。
・ポリウレタン系樹脂エマルジョン(W5661、固形分35.2%、三井化学ポリウレタン株式会社製)・・・9.9質量部
・シリコーン消泡剤(KM−72F、信越化学工業株式会社製)・・・0.03質量部
・イオン交換水・・・残量
(ポリウレタン系樹脂エマルジョンの固形分含有量と、前記一般式(1)で表される界面活性剤の含有量の比・・・2:1)
上記のインク処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、記録用インクを作製した。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及びジエチレングリコール、(2)界面活性剤、(3)ポリウレタン系樹脂エマルジョン、(4)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、(5)上記顔料分散液(a)、(6)シリコーン消泡剤を添加し、1時間撹拌した。
【0080】
(実施例13)
−記録用インクの作製−
・顔料分散液(a)・・・40質量部
・グリセリン・・・10質量部
・ジエチレングリコール・・・30質量部
・下記一般式(1)で表される界面活性剤(ソフタノールEP7045、株式会社日本触媒製)・・・0.3質量部
【化22】

ただし、前記一般式(1)中、m及びnは、m+n=9〜11の整数を表す。x=7、y=4.5、x/y=1.6である。
・ポリウレタン系樹脂エマルジョン(W5661、固形分35.2%、三井化学ポリウレタン株式会社製)・・・0.9質量部
・シリコーン消泡剤(KM−72F、信越化学工業株式会社製)・・・0.03質量部
・イオン交換水・・・残量
(ポリウレタン系樹脂エマルジョンの固形分含有量と、前記一般式(1)で表される界面活性剤の含有量の比・・・1:1)
上記のインク処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、記録用インクを作製した。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及びジエチレングリコール、(2)界面活性剤、(3)ポリウレタン系樹脂エマルジョン、(4)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、(5)上記顔料分散液(a)、(6)シリコーン消泡剤を添加し、1時間撹拌した。
【0081】
(実施例14)
−記録用インクの作製−
・顔料分散液(a)・・・40質量部
・グリセリン・・・10質量部
・ジエチレングリコール・・・30質量部
・下記一般式(1)で表される界面活性剤(ソフタノールEP7045、株式会社日本触媒製)・・・0.3質量部
【化23】

ただし、前記一般式(1)中、m及びnは、m+n=9〜11の整数を表す。x=7、y=4.5、x/y=1.6である。
・ポリウレタン系樹脂エマルジョン(W5661、固形分35.2%、三井化学ポリウレタン株式会社製)・・・0.9質量部
・シリコーン消泡剤(KM−72F、信越化学工業株式会社製)・・・1.1質量部
・イオン交換水・・・残量
(ポリウレタン系樹脂エマルジョンの固形分含有量と、前記一般式(1)で表される界面活性剤の含有量の比・・・1:1)
上記のインク処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、記録用インクを作製した。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及びジエチレングリコール、(2)界面活性剤、(3)ポリウレタン系樹脂エマルジョン、(4)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、(5)上記顔料分散液(a)、(6)シリコーン消泡剤を添加し、1時間撹拌した。
【0082】
(実施例15)
−記録用インクの作製−
・顔料分散液(a)・・・40質量部
・グリセリン・・・10質量部
・ジエチレングリコール・・・30質量部
・下記一般式(1)で表される界面活性剤(ソフタノールEP7045、株式会社日本触媒製)・・・2質量部
【化24】

ただし、前記一般式(1)中、m及びnは、m+n=9〜11の整数を表す。x=7、y=4.5、x/y=1.6である。
・ポリウレタン系樹脂エマルジョン(W5661、固形分35.2%、三井化学ポリウレタン株式会社製)・・・6質量部
・シリコーン消泡剤(KM−72F、信越化学工業株式会社製)・・・0.03質量部
・イオン交換水・・・残量
(ポリウレタン系樹脂エマルジョンの固形分含有量と、前記一般式(1)で表される界面活性剤の含有量の比・・・1:1)
上記のインク処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、記録用インクを作製した。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及びジエチレングリコール、(2)前記一般式(2)で表される化合物、(3)ポリウレタン系樹脂エマルジョン、(4)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、(5)上記顔料分散液(a)、(6)シリコーン消泡剤を添加し、1時間撹拌した。
【0083】
(実施例16)
−記録用インクの作製−
・顔料分散液(a)・・・40質量部
・グリセリン・・・10質量部
・ジエチレングリコール・・・30質量部
・下記一般式(1)で表される界面活性剤(ソフタノールEP5035、株式会社日本触媒製)・・・1質量部
【化25】

ただし、前記一般式(2)中、m及びnは、m+n=9〜11の整数を表す。x=5、y=3.5、x/y=1.4である。
・ポリウレタン系樹脂エマルジョン(W5661、固形分35.2%、三井化学ポリウレタン株式会社製)・・・3質量部
・シリコーン消泡剤(KM−72F、信越化学工業株式会社製)・・・0.03質量部
・イオン交換水・・・残量
(ポリウレタン系樹脂エマルジョンの固形分含有量と、前記一般式(1)で表される界面活性剤の含有量の比・・・1:1)
上記のインク処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、記録用インクを作製した。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及びジエチレングリコール、(2)界面活性剤、(3)ポリウレタン系樹脂エマルジョン、(4)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、(5)上記顔料分散液(a)、(6)シリコーン消泡剤を添加し、1時間撹拌した。
【0084】
(実施例17)
−記録用インクの作製−
・顔料分散液(a)・・・40質量部
・グリセリン・・・10質量部
・ジエチレングリコール・・・30質量部
・下記一般式(1)で表される界面活性剤(ソフタノールEP7045、株式会社日本触媒製)・・・1質量部
【化26】

ただし、前記一般式(2)中、m及びnは、m+n=9〜11の整数を表す。x=7、y=4.5、x/y=1.6である。
・ポリウレタン系樹脂エマルジョン(W5661、固形分35.2%、三井化学ポリウレタン株式会社製)・・・3質量部
・シリコーン消泡剤(KM−72F、信越化学工業株式会社製)・・・0.1質量部
・イオン交換水・・・残量
(ポリウレタン系樹脂エマルジョンの固形分含有量と、前記一般式(1)で表される界面活性剤の含有量の比・・・1:1)
上記のインク処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、記録用インクを作製した。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及びジエチレングリコール、(2)前記一般式(2)で表される化合物、(3)ポリウレタン系樹脂エマルジョン、(4)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、(5)上記顔料分散液(a)、(6)シリコーン消泡剤を添加し、1時間撹拌した。
【0085】
(実施例18)
−記録用インクの作製−
・顔料分散液(a)・・・40質量部
・グリセリン・・・10質量部
・ジエチレングリコール・・・30質量部
・下記一般式(1)で表される界面活性剤(ソフタノールEP5035、株式会社日本触媒製)・・・0.3質量部
【化27】

ただし、前記一般式(2)中、m及びnは、m+n=9〜11の整数を表す。x=5、y=3.5、x/y=1.4である。
・スチレンアクリル系樹脂エマルジョン(J−450、固形分42%、ジョンソンポリマー株式会社製)・・・0.7質量部
・シリコーン消泡剤(KM−72F、信越化学工業株式会社製)・・・0.03質量部
・イオン交換水・・・残量
上記のインク処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、記録用インクを作製した。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及びジエチレングリコール、(2)前記一般式(2)で表される化合物、(3)スチレンアクリル系樹脂エマルジョン、(4)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、(5)上記顔料分散液(a)、(6)シリコーン消泡剤を添加し、1時間撹拌した。
【0086】
(実施例19)
−記録用インクの作製−
・顔料分散液(a)・・・40質量部
・グリセリン・・・10質量部
・ジエチレングリコール・・・30質量部
・下記一般式(1)で表される界面活性剤(ソフタノールEP5035、株式会社日本触媒製)・・・1質量部
【化28】

ただし、前記一般式(1)中、m及びnは、m+n=9〜11の整数を表す。x=5、y=3.5、x/y=1.4である。
・ポリウレタン系樹脂エマルジョン(W5661、固形分35.2%、三井化学ポリウレタン株式会社製)・・・3質量部
・イオン交換水・・・残量
(ポリウレタン系樹脂エマルジョンの固形分含有量と、前記一般式(1)で表される界面活性剤の含有量の比・・・1:1)
上記のインク処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、記録用インクを作製した。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及びジエチレングリコール、(2)界面活性剤、(3)ポリウレタン系樹脂エマルジョン、(4)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、(5)上記顔料分散液(a)を添加し、1時間撹拌した。
【0087】
(実施例20)
−記録用インクの作製−
・顔料分散液(a)・・・40質量部
・グリセリン・・・10質量部
・ジエチレングリコール・・・30質量部
・下記一般式(1)で表される界面活性剤(ソフタノールEP5035、株式会社日本触媒製)・・・1質量部
【化29】

ただし、前記一般式(1)中、m及びnは、m+n=9〜11の整数を表す。x=5、y=3.5、x/y=1.4である。
・ポリウレタン系樹脂エマルジョン(W5661、固形分35.2%、三井化学ポリウレタン株式会社製)・・・1.4質量部
・シリコーン消泡剤(KM−72F、信越化学工業株式会社製)・・・0.03質量部
・イオン交換水・・・残量
(ポリウレタン系樹脂エマルジョンの固形分の含有量と、前記一般式(1)で表される界面活性剤の含有量の比・・・0.5:1)
上記のインク処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、記録用インクを作製した。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及びジエチレングリコール、(2)前記一般式(2)で表される化合物、(3)ポリウレタン系樹脂エマルジョン、(4)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、(5)顔料分散液(a)、(6)シリコーン消泡剤を添加し、1時間撹拌した。
【0088】
(実施例21)
−記録用インクの作製−
・顔料分散液(a)・・・40質量部
・グリセリン・・・10質量部
・ジエチレングリコール・・・30質量部
・下記一般式(1)で表される界面活性剤(ソフタノールEP5035、株式会社日本触媒製)・・・1質量部
【化30】

ただし、前記一般式(1)中、m及びnは、m+n=9〜11の整数を表す。x=5、y=3.5、x/y=1.4である。
・ポリウレタン系樹脂エマルジョン(W5661、固形分35.2%、三井化学ポリウレタン株式会社製)・・・7.7質量部
・シリコーン消泡剤(KM−72F、信越化学工業株式会社製)・・・0.03質量部
・イオン交換水・・・残量
(ポリウレタン系樹脂エマルジョンの固形分含有量と、前記一般式(1)で表される界面活性剤の含有量の比・・・2.5:1)
上記のインク処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、記録用インクを作製した。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及びジエチレングリコール、(2)界面活性剤、(3)ポリウレタン系樹脂エマルジョン、(4)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、(5)上記顔料分散液(a)、(6)シリコーン消泡剤を添加し、1時間撹拌した。
【0089】
(実施例22)
−記録用インクの作製−
・顔料分散液(a)・・・40質量部
・グリセリン・・・10質量部
・ジエチレングリコール・・・30質量部
・下記一般式(1)で表される界面活性剤(ソフタノールEP5035、株式会社日本触媒製)・・・1質量部
【化31】

ただし、前記一般式(1)中、m及びnは、m+n=9〜11の整数を表す。x=5、y=3.5、x/y=1.4である。
・ポリウレタン系樹脂エマルジョン(W5661、固形分35.2%、三井化学ポリウレタン株式会社製)・・・3質量部
・非シリコーン消泡剤(BYK−012、ビックケミー・ジャパン株式会社製)・・・0.1質量部
・イオン交換水・・・残量
(ポリウレタン系樹脂エマルジョンの固形分含有量と、前記一般式(1)で表される界面活性剤の含有量の比・・・1:1)
上記のインク処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、記録用インクを作製した。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及びジエチレングリコール、(2)界面活性剤、(3)ポリウレタン系樹脂エマルジョン、(4)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、(5)上記顔料分散液(a)、(6)非シリコーン消泡剤を添加し、1時間撹拌した。

【0090】
(実施例23)
−記録用インクの作製−
・顔料分散液(c)・・・40質量部
・グリセリン・・・7.6質量部
・ジエチレングリコール・・・22.6質量部
・下記一般式(1)で表される界面活性剤(ソフタノールEP5035、株式会社日本触媒製)・・・1質量部
【化32】

ただし、前記一般式(2)中、m及びnは、m+n=9〜11の整数を表す。x=5、y=3.5、x/y=1.4である。
・ポリウレタン系樹脂エマルジョン(タケラックW5661、固形分35.2%、三井化学ポリウレタン株式会社製)・・・3質量部
・シリコーン消泡剤(KM−72F、信越化学工業株式会社製)・・・0.03質量部
・イオン交換水・・・残量
(ポリウレタン系樹脂エマルジョンの固形分含有量と、前記一般式(1)で表される界面活性剤の含有量の比・・・1:1)
上記のインク処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、記録用インクを作製した。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及びジエチレングリコール、(2)界面活性剤、(3)ポリウレタン系樹脂エマルジョン、(4)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、(5)上記顔料分散液(a)、(6)シリコーン消泡剤を添加し、1時間撹拌した。
【0091】
(比較例1)
−記録用インクの作製−
・顔料分散液(a)・・・40質量部
・グリセリン・・・10質量部
・ジエチレングリコール・・・30質量部
・下記一般式(1)で表される界面活性剤(ソフタノールEP7025、株式会社日本触媒製)・・・1質量部
【化33】

ただし、前記一般式(1)中、m及びnは、m+n=9〜11の整数を表す。x=7、y=2.5、x/y=2.8である。
・樹脂エマルジョン(W5661、固形分35.2%、三井化学ポリウレタン株式会社製;アニオン性自己乳化型エーテル系ポリウレタン樹脂)・・・1質量部
・イオン交換水・・・残量
上記のインク処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、記録用インクを作製した。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及びジエチレングリコール、(2)界面活性剤、(3)樹脂エマルジョン、(4)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、上記顔料分散液(a)を添加し、1時間撹拌した。
【0092】
(比較例2)
−記録用インクの作製−
・顔料分散液(a)・・・40質量部
・グリセリン・・・10質量部
・ジエチレングリコール・・・30質量部
・下記一般式(1)で表される界面活性剤(ソフタノールEP9050、株式会社日本触媒製)・・・1質量部
【化34】

ただし、前記一般式(1)中、m及びnは、m+n=9〜11の整数を表す。x=9、y=5、x/y=1.8である。
・樹脂エマルジョン(W5661、固形分35.2%、三井化学ポリウレタン株式会社製;アニオン性自己乳化型エーテル系ポリウレタン樹脂)・・・1質量部
・イオン交換水・・・残量
上記のインク処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、記録用インクを作製した。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及びジエチレングリコール、(2)界面活性剤、(3)樹脂エマルジョン、(4)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、上記顔料分散液(a)を添加し、1時間撹拌した。
【0093】
(比較例3)
−記録用インクの作製−
・顔料分散液(a)・・・40質量部
・グリセリン・・・10質量部
・ジエチレングリコール・・・30質量部
・フッ素系界面活性剤(ゾニールFS−300、デュポン株式会社製)・・・1質量部
・樹脂エマルジョン(W5661、固形分35.2%、三井化学ポリウレタン株式会社製;アニオン性自己乳化型エーテル系ポリウレタン樹脂)・・・1質量部
・イオン交換水・・・残量
上記のインク処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、記録用インクを作製した。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及びジエチレングリコール、(2)界面活性剤、(3)樹脂エマルジョン、(4)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、上記顔料分散液(a)を添加し、1時間撹拌した。
【0094】
(比較例4)
−記録用インクの作製−
・顔料分散液(a)・・・40質量部
・グリセリン・・・10質量部
・ジエチレングリコール・・・30質量部
・下記一般式(1)で表される界面活性剤(ソフタノールEP5035、株式会社日本触媒製)・・・1質量部
【化35】

ただし、前記一般式(1)中、m及びnは、m+n=9〜11の整数を表す。x=5、y=3.5、x/y=1.4である。
・イオン交換水・・・残量
上記のインク処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、記録用インクを作製した。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及びジエチレングリコール、(2)界面活性剤、(3)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、上記顔料分散液(a)を添加し、1時間撹拌した。
【0095】
(比較例5)
−記録用インクの作製−
・顔料分散液(a)・・・40質量部
・グリセリン・・・10質量部
・ジエチレングリコール・・・30質量部
・フッ素系界面活性剤(ゾニールFS−300、デュポン株式会社製)・・・1質量部
・ブロックコポリマー(FZ−2203、日本ユニカー株式会社製)・・・0.1質量部
・樹脂エマルジョン(W5661、固形物35.2%、三井化学ポリウレタン株式会社製;アニオン性自己乳化型エーテル系ポリウレタン樹脂)・・・1質量部
・イオン交換水・・・残量
上記のインク処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、記録用インクを作製した。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及びジエチレングリコール、(2)界面活性剤、(3)樹脂エマルジョン、(4)ブロックコポリマー、(5)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、上記顔料分散液(a)を添加し、1時間撹拌した。
【0096】
(比較例6)
−記録用インクの作製−
・顔料分散液(a)・・・40質量部
・グリセリン・・・10質量部
・ジエチレングリコール・・・30質量部
・樹脂エマルジョン(W5661、固形分35.2%、三井化学ポリウレタン株式会社製;アニオン性自己乳化型エーテル系ポリウレタン樹脂)・・・1質量部
・イオン交換水・・・残量
上記のインク処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、記録用インクを作製した。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及びジエチレングリコール、(2)樹脂エマルジョン、(3)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、上記顔料分散液(a)を添加し、1時間撹拌した。
【0097】
(比較例7)
−記録用インクの作製−
・顔料分散液(b)・・・40質量部
・グリセリン・・・10質量部
・ジエチレングリコール・・・30質量部
・下記一般式(1)で表される界面活性剤(ソフタノールEP7045、株式会社日本触媒製)・・・1.75質量部
【化36】

ただし、前記一般式(2)中、m及びnは、m+n=9〜11の整数を表す。x=7、y=4.5、x/y=1.6である。
・ポリウレタン系樹脂エマルジョン(W5661、固形分35.2%、三井化学ポリウレタン株式会社製)・・・9.9質量部
シリコーン消泡剤(KM−72F、信越化学工業株式会社製)・・・1.1質量部
・イオン交換水・・・残量
(ポリウレタン系樹脂エマルジョンの固形分含有量と、前記一般式(1)で表される界面活性剤の含有量の比・・・2:1)
上記のインク処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、記録用インクを作製した。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及びジエチレングリコール、(2)界面活性剤、(3)ポリウレタン系樹脂エマルジョン、(4)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、(5)上記顔料分散液(b)、(6)シリコーン消泡剤を添加し、1時間撹拌した。
【0098】
(比較例8)
−記録用インクの作製−
・顔料分散液(a)・・・40質量部
・グリセリン・・・10質量部
・ジエチレングリコール・・・30質量部
・下記一般式(1)で表される界面活性剤(ソフタノールEP9050、株式会社日本触媒製)・・・1.75質量部
【化37】

ただし、前記一般式(1)中、m及びnは、m+n=9〜11の整数を表す。x=9、y=5、x/y=1.8である。
・ポリウレタン系樹脂エマルジョン(W5661、固形分35.2%、三井化学ポリウレタン株式会社製)・・・9.9質量部
・シリコーン消泡剤(KM−72F、信越化学工業株式会社製)・・・0.03質量部
・イオン交換水・・・残量
(ポリウレタン系樹脂エマルジョンの固形分含有量と、前記一般式(1)で表される界面活性剤の含有量の比・・・2:1)
上記のインク処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、記録用インクを作製した。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及びジエチレングリコール、(2)界面活性剤、(3)ポリウレタン系樹脂エマルジョン、(4)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、(5)上記顔料分散液(a)、(6)シリコーン消泡剤を添加し、1時間撹拌した。
【0099】
(比較例9)
−記録用インクの作製−
・顔料分散液(a)・・・40質量部
・グリセリン・・・10質量部
・ジエチレングリコール・・・30質量部
・下記一般式(1)で表される界面活性剤(ソフタノールEP7025、株式会社日本触媒製)・・・0.3質量部
【化38】

ただし、前記一般式(1)中、m及びnは、m+n=9〜11の整数を表す。x=7、y=2.5、x/y=2.8である。
・ポリウレタン系樹脂エマルジョン(W5661、固形分35.2%、三井化学ポリウレタン株式会社製)・・・0.9質量部
・シリコーン消泡剤(KM−72F、信越化学工業株式会社製)・・・0.03質量部
・イオン交換水・・・残量
(ポリウレタン系樹脂エマルジョンの固形分含有量と、前記一般式(1)で表される界面活性剤の含有量の比・・・1:1)
上記のインク処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、記録用インクを作製した。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及びジエチレングリコール、(2)前記一般式(2)で表される化合物、(3)ポリウレタン系樹脂エマルジョン、(4)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、(5)上記顔料分散液(a)、(6)シリコーン消泡剤を添加し、1時間撹拌した。
【0100】
(比較例10)
−記録用インクの作製−
・顔料分散液(a)・・・40質量部
・グリセリン・・・10質量部
・ジエチレングリコール・・・30質量部
・フッ素系界面活性剤(ゾニールFS−300、デュポン株式会社製)・・・0.3質量部
・ポリウレタン系樹脂エマルジョン(W5661、固形分35.2%、三井化学ポリウレタン株式会社製)・・・0.9質量部
・シリコーン消泡剤(KM−72F、信越化学工業株式会社製)・・・0.03質量部
・イオン交換水・・・残量
上記のインク処方によりインクを調製し、1時間30分間撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、記録用インクを作製した。
インクの調合順序は、(1)グリセリン及びジエチレングリコール、(2)フッ素系界面活性剤、(3)ポリウレタン系樹脂エマルジョン、(4)イオン交換水とし、30分間撹拌した後、(5)上記顔料分散液(a)、(6)シリコーン消泡剤を添加し、1時間撹拌した。
【0101】
(比較例11)
−記録用インクの作製−
・顔料分散液(c)・・・40質量部
・グリセリン・・・7.6質量部
・1,3−ブタンジオール・・・22.6質量部
・ポリウレタン系樹脂エマルジョン(W5661、固形分35.2%、三井化学ポリウレタン株式会社製)・・・2.4質量部
・イオン交換水・・・残量
上記の顔料分散液(c)に、ポリウレタン系樹脂エマルジョンを添加した後30分間充分に撹拌した。その後、グリセリン、1,3−ブタンジオール、蒸留水の順で添加し30分撹拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、記録用インクを作製した。
【0102】
次に、作製した各記録用インクについて、以下のようにして、諸特性を評価した。結果を表1に示す。
【0103】
<泡立ち試験>
各記録用インクを、25℃、及び15℃の環境下、100mLのメスシリンダーに10mL入れ、前記記録用インクと気泡の体積が100mLになるまで一定圧力の空気を注入し、前記記録用インクと気泡の体積が100mLになった時点で空気の注入を停止した。空気の注入開始から空気の注入を停止するまでの時間を起泡時間とし、空気の注入を停止した時点から前記記録用インクと気泡の体積が20mLになるまでの時間を計測して消泡時間とし、起泡性と消泡性を以下の基準で評価した。
−起泡性−
A:起泡時間が30秒以上
B:起泡時間が25秒以上、30秒未満
C:起泡時間が20秒以上、25秒未満
D:起泡時間が20秒未満
−消泡性−
A:消泡時間が30秒未満
B:消泡時間が30秒以上、60秒未満
C:消泡時間が60秒以上、180秒未満
D:消泡時間が180秒以上
【0104】
<吐出安定性試験>
各記録用インクを図1〜図3に示したインクジェットプリンタ(株式会社リコー製、IPSiO G707)に充填し、25℃、及び15℃、50%RH環境下、以下の印刷パターンチャートを20,000枚印字後、吐出不良の有無を以下の基準でそれぞれ吐出安定性を評価した。なお、印刷パターンは、画像領域中、印字面積が、紙面全面積中、各色印字面積が5%であるチャートを前記インクジェットプリンタの普通紙はやいモードで印字した。
〔25℃での評価基準〕
A:不吐出のノズルが5個未満かつクリーニングで不吐出のノズルが全て回復する
B:不吐出のノズルが5個以上20個未満かつクリーニングで不吐出のノズルが全て回復する
C:不吐出のノズルが20個以上あるいはクリーニングで不吐出が回復しないノズルが1個以上
〔15℃での評価基準〕
A:不吐出のノズルが5個未満かつクリーニングで不吐出のノズルが全て回復する
B:不吐出のノズルが5個以上10個未満かつクリーニングで不吐出のノズルが全て回復する
C:不吐出のノズルが10個以上20個未満かつクリーニングで不吐出のノズルが全て回復する
D:不吐出のノズルが20個以上あるいはクリーニングで不吐出が回復しないノズルが1個以上ある
【0105】
<保存試験>
各記録用インクを密閉容器に入れて70℃の環境下に14日間保存した。保存前後のインク粘度を測定して、以下の基準で評価した。なお、インク粘度はR型粘度計(東機産業株式会社製)を用いて、25℃で測定した。
〔評価基準〕
A:保存前後の粘度変化率が5%未満
B:保存前後の粘度変化率が5%以上10%未満
C:保存前後の粘度変化率が10%以上
【0106】
<彩度>
画像の彩度は、画像サンプルのベタ画像の測色をX−Rite濃度計(X−Rite社製)にて行い、色度図上にプロットしたときの色度図上の原点からの距離を言う。より詳しくは色度図上のa値及びb値について、下記数式で表されるものを意味する。
【数1】

各記録用インクを図1〜図3に示したインクジェットプリンタ(株式会社リコー製、IPSiO G707)に充填し、25℃、50%RH環境下、マゼンタベタ画像を普通紙はやいモードでTYPE6200紙(株式会社NBSリコー製)に印刷し、測定した彩度を以下の基準で評価した。なお、25℃、及び15℃では、評価結果は、変わらなかった。
〔評価基準〕
A:彩度55以上
B:彩度55未満、50以上
C:彩度50未満
【0107】
【表1】

【0108】
表1において、比較例7〜9のインクは、起泡性、消泡性、吐出安定性、及び彩度の評価結果がA又はBであるが、保存安定性の評価結果がCなので、保存により粘度が増大し、粒径も大きくなり、正常に吐出できなくなるため、使用することが困難である。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明の記録用インクは、画像品質を損なうことなく泡立ちが改善され、保存安定性及び吐出安定性に優れているので、インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法に好適に用いることができる。
本発明のインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法は、インクジェット記録方式による各種記録に適用することができ、例えば、インクジェット記録用プリンタ、ファクシミリ装置、複写装置、プリンタ/ファックス/コピア複合機、などに特に好適に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】図1は、本発明のインクカートリッジの一例を示す概略図である。
【図2】図2は、図1のインクカートリッジのケースも含めた概略図である。
【図3】図3は、本発明のインクジェット記録装置の一例を示す斜視説明図である。
【図4】図4は、本発明のインクジェット記録装置の全体構成を説明する概略構成図である。
【図5】図5は、本発明のインクジェット記録装置におけるインクジェットヘッドの一例を示す概略拡大図である。
【図6】図6は、本発明のインクジェット記録装置におけるインクジェットヘッドの一例を示す要素拡大図である。
【図7】図7は、本発明のインクジェット記録装置におけるインクジェットヘッドの一例のチャンネル間方向の要部拡大断面図である。
【符号の説明】
【0111】
10 フレーム
20 流路板
30 ノズルプレート
40 ベース
50 積層圧電素子
60 振動板
70 接着層
101 装置本体
102 給紙トレイ
103 排紙トレイ
104 インクカートリッジ装填部
111 上カバー
112 前面
115 前カバー
131 ガイドロッド
132 ステー
133 キャリッジ
134 記録ヘッド
135 サブタンク
141 用紙載置部
142 用紙
144 分離パッド
151 搬送ベルト
152 再度カウンターローラ
156 帯電ローラ
157 搬送ローラ
158 デンションローラ
171 分離爪
172 排紙ローラ
173 排紙コロ
181 両面給紙ユニット
200 インクカートリッジ
201 インクカートリッジ
241 インク袋
242 インク注入口
243 インク排出口
244 カートリッジ外装

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも顔料、水溶性有機溶剤、樹脂エマルジョン、下記一般式(1)で表される界面活性剤、下記一般式(2)で表される化合物、及び水を含有してなり、
前記樹脂エマルジョンが、ポリウレタン系樹脂エマルジョン、スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン及びアクリル−シリコーン系樹脂エマルジョンから選択される少なくとも1種であることを特徴とする記録用インク。
【化1】

ただし、前記一般式(1)中、m及びnは、m+n=9〜11の整数を表す。x及びyは、1.4≦x/y≦1.6を満たす数である。
【化2】

ただし、前記一般式(2)中、Rは、炭素数1〜20のアルキル基、アリル基、及びアラルキル基のいずれかを表す。Lは、0〜7の整数を表す。pは、20〜200の整数を表す。
【請求項2】
樹脂エマルジョンの含有量が、固形分で0.1質量%〜5質量%である請求項1に記載の記録用インク。
【請求項3】
ポリウレタン系樹脂エマルジョンが、アニオン性自己乳化型のエーテル系ポリウレタン樹脂エマルジョンである請求項1から2のいずれかに記載の記録用インク。
【請求項4】
一般式(1)で表される界面活性剤の含有量が0.05質量%〜3質量%である請求項1から3のいずれかに記載の記録用インク。
【請求項5】
一般式(1)で表される界面活性剤の含有量が0.5質量%〜1.5質量%である請求項4に記載の記録用インク。
【請求項6】
樹脂エマルジョンの固形分含有量Aと、一般式(1)で表される界面活性剤の含有量Bの比(A:B)が0.7:1〜2.1:1である請求項1から5のいずれかに記載の記録用インク。
【請求項7】
一般式(2)で表される化合物の含有量が、顔料1質量部に対し0.1質量部〜2.0質量部である請求項1から6のいずれかに記載の記録用インク。
【請求項8】
シリコーン消泡剤を含有する請求項1から7のいずれかに記載の記録用インク。
【請求項9】
シリコーン消泡剤の含有量が0.05質量%〜1質量%である請求項8に記載の記録用インク。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載の記録用インクを容器中に収容してなることを特徴とするインクカートリッジ。
【請求項11】
請求項1から9のいずれかに記載の記録用インクに刺激を印加し、前記記録用インクを飛翔させて画像を形成するインク飛翔手段を少なくとも有することを特徴とするインクジェット記録方法。
【請求項12】
請求項1から9のいずれかに記載の記録用インクに刺激を印加し、前記記録用インクを飛翔させて画像を形成するインク飛翔手段を少なくとも有することを特徴とするインクジェット記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−161726(P2009−161726A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−131951(P2008−131951)
【出願日】平成20年5月20日(2008.5.20)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】