説明

記録紙ガイド機構およびロール紙プリンター

【課題】記録紙を適切にガイド可能な記録紙ガイド機構を提案すること。
【解決手段】ロール紙プリンター1のロール紙収納部11のロール紙12から引き出され
る記録紙12aに張力を付与する記録紙ガイド機構26のテンションガイド27は、その
記録紙ガイド面28に僅かに突出した突出ガイド面部分42aのみが実質的に記録紙12
aを付勢した状態になる。突出ガイド面部分42aは搬送経路の幅寸法よりも狭い幅であ
り、その中央を基準として左右対称に形成されているので、搬送される記録紙12aの幅
方向の中央部分を付勢した状態が形成される。突出ガイド面部分の幅を十分に狭い幅にし
ておけば、記録紙には幅方向の中央部分にのみ付勢力が作用するので、記録紙ガイド面2
8の傾き、形状誤差に影響されて記録紙12aに作用する付勢力が左右でアンバランスに
なることを抑制でき、記録紙の蛇行、斜行を抑制できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール紙収納部に収納されたロール紙から繰り出される長尺状の記録紙に印
刷を行うロール紙プリンター等に用いられる記録紙ガイド機構に関し、特に、記録紙の張
力に作用しながら当該記録紙を搬送経路に沿ってガイドする記録紙ガイド機構に関する。
【背景技術】
【0002】
レシートなどを発行するロール紙プリンターでは、記録媒体として、長尺状の記録紙を
ロール状に巻き付けた構成のロール紙が用いられ、ロール紙収納部に収納されたロール紙
から記録紙を引き出して紙送りローラーを介して印刷位置に向けて搬送して印刷を行う。
ロール紙から引き出される記録紙から紙送りローラーに作用する送り負荷が変動すると、
記録紙と紙送りローラーの間に滑りが生じ、印刷位置を通過する記録紙の紙送り精度が低
下し、印刷品質の劣化につながるおそれがある。特に、ロール紙が巻き出しリールなどの
支軸によって支持されておらず、単に、ロール紙収納部の底面に転動可能な状態で置かれ
る投げ込み方式とよばれるロール紙収納部の場合には紙送り負荷変動が大きい。
【0003】
そこで、記録紙の送り負荷変動を抑制するために、ロール紙から引き出されて印刷位置
に至る搬送経路の途中に、ばね力によって記録紙を付勢した状態に保持するテンションガ
イドが取り付けられる。ロール紙の側から記録紙に作用する張力が変動すると、それに伴
ってばね力によって付勢されているテンションガイドが移動して紙送りローラーの側に作
用する張力変動が緩和されるので、紙送りローラーによる紙送り精度の低下を防止できる
。特許文献1にはこのようなテンション部材を備えたプリンターが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−99458
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、テンションガイドは記録紙の送り負荷変動に応じて移動可能に支持されている
ので、その取付誤差など起因して幅方向に傾きが生ずることがある。また、テンションガ
イドのガイド面は記録紙を付勢するために凸状の屈曲面となっており、当該ガイド面が幅
方向において形状誤差が生ずることがある。テンションガイドに傾き、形状バラツキなど
があると、テンションガイドのガイド面と記録紙との間に発生する摩擦力が幅方向の両側
においてバラツキが生じ、記録紙の蛇行、斜行が発生するおそれがある。
【0006】
特に、ロール紙プリンターにおいては、記録紙の幅方向の規制が、ロール紙収納部の収
納幅を規定している左右のガイド板のみによって行われ、ここから印刷位置を経由する搬
送経路上には幅方向の位置を規制するガイドが配置されていない場合が多い。したがって
、搬送経路の途中位置で左右の紙送り負荷にバラツキが発生すると、記録紙に蛇行、斜行
が発生しやすく、紙詰まり状態に陥るおそれもある。
【0007】
本発明の課題は、この点に鑑みて、蛇行、斜行を引き起こすことなく記録紙に張力を付
与しながらガイドすることの可能な記録紙ガイド機構、および当該記録紙ガイド機構を備
えたロール紙プリンターを提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明は、記録紙を搬送経路に沿ってガイドする記録紙
ガイド機構であって、
前記搬送経路の一部を規定する記録紙ガイド面を備えているテンションガイドと、
前記記録紙ガイド面が前記搬送経路に沿って搬送される記録紙に押し付けられる方向に
、前記テンションガイドを付勢している付勢部材と、
前記記録紙ガイド面から突出している突出ガイド面部分とを有しており、
当該突出ガイド面部分は、前記搬送経路の幅寸法よりも狭い幅であることを特徴として
いる。
【0009】
本発明の記録紙ガイド機構では、記録紙を付勢する記録紙ガイド面に突出ガイド面部分
を形成してあるので、実質的に当該突出ガイド面部分のみが記録紙に圧接される。突出ガ
イド面部分は搬送経路の幅寸法よりも狭い幅であり、搬送される記録紙の幅方向の一部を
付勢した状態が形成される。したがって、突出ガイド面部分の幅を十分に狭い幅にしてお
けば、記録紙に作用する付勢力が幅方向においてアンバランス状態に陥ることを防止ある
いは抑制できる。この結果、記録紙の蛇行、斜行を防止あるいは抑制できる。
【0010】
ここで、前記突出ガイド面部分の幅寸法は、前記搬送経路の幅寸法の1/3以下となる
狭い幅にすることが望ましい。また、前記突出ガイド面部分は、前記搬送経路の幅方向の
中央を基準にしてほぼ左右対称に形成されることが望ましい。
【0011】
その中央を基準として左右対称に形成されているので、搬送される記録紙の幅方向の中
央部分を狭い幅で付勢した状態が形成される。したがって、記録紙には、その幅方向の中
央部分にのみ付勢力が作用する。よって、記録紙ガイド面が幅方向において傾いている場
合、当該記録紙ガイド面が幅方向において形状にバラツキがある場合に、記録紙に作用す
る付勢力が幅方向の左右においてアンバランス状態に陥ることを防止あるいは抑制できる

【0012】
また、前記突出ガイド面部分は、幅方向に連続した面とせずに、前記搬送経路の幅方向
において分離した状態で形成された複数の分割突出ガイド面部分とすることができる。こ
の場合においては、これら分割突出ガイド面部分の幅寸法の合計を、搬送経路の幅寸法よ
り小さくすればよく、また、搬送経路の幅寸法の1/3以下にすることが望ましい。
【0013】
さらに、記録紙に付勢される突出ガイド面部分の幅を狭くすると、これらの間の単位面
積当たりの圧接力が大きくなるので、当該突出ガイド面部分を、前記記録紙ガイド面の他
の部分に比べて前記記録紙との間の摩擦抵抗が小さな低摩擦面にしておくことが望ましい

【0014】
この場合、前記突出ガイド面部分を、前記記録紙ガイド面に積層した所定厚さの低摩擦
シートの表面によって規定することができる。
【0015】
また、記録紙を付勢するための記録紙ガイド面を、記録紙搬送方向に沿って湾曲してい
る凸状の湾曲面を含むものとすることができる。
【0016】
また、前記突出ガイド面部分は、少なくとも前記記録紙ガイド面の前記凸状湾曲面に形
成することができる。最も記録紙の張力が掛かる前記記録紙ガイド面の凸状湾曲面で、記
録紙と狭い幅で接することにより、より効果的に、記録紙に作用する付勢力が幅方向の左
右においてアンバランス状態に陥ることを防止あるいは抑制できる。
【0017】
次に、本発明のロール紙プリンターは、
ロール紙収納部と、
前記ロール紙収納部に収納されたロール紙から繰り出される長尺状の記録紙に印刷を行
う印刷ヘッドと、
前記印刷ヘッドの印刷位置を規定しているプラテンと、
前記プラテンに向けて前記記録紙を案内する記録紙ガイド機構とを有しており、
前記記録紙ガイド機構として上記構成の記録紙ガイド機構を採用していることを特徴と
している。
【0018】
この場合、ロール紙収納部が、記録紙が、支軸を中心として回転可能に支持されること
なく単に転動可能な状態に収納される投げ込み式のロール紙収納部の場合等においては、
前記記録紙ガイド機構と前記プラテンの間の搬送経路部分を、紙送りローラーと、この紙
送りローラーに押し付けられて連れ回りする第1紙押えローラーとによって規定し、前記
記録紙ガイド機構と前記ロール紙収納部の間の搬送経路部分を、繰り出しローラーと、こ
の繰り出しローラーに押し付けられて連れ回りする第2紙押えローラーとによって規定す
ることが望ましい。このようにすれば、繰り出しローラーおよび紙送りローラーの回転を
制御することにより、記録紙に弛みを発生させることなく適切な紙送り負荷の状態で記録
紙を印刷位置に向けて搬送することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の記録紙ガイド機構では、記録紙を付勢するための記録紙ガイドの記録紙ガイド
面の幅方向の中央部分に、幅の狭い突出ガイド面部分を形成し、突出ガイド面部分によっ
て記録紙を付勢できるようにしている。記録紙の幅方向の中央部分のみを付勢しているの
で、記録紙ガイド面が幅方向に傾いている場合、その面形状が幅方向においてバラツキが
ある場合に、付勢力によって生ずる記録紙幅方向の紙送り負荷が幅方向においてアンバラ
ンス状態になることを防止あるいは抑制できる。よって、記録紙を、蛇行、斜行させるこ
となく搬送経路に沿って直線状に搬送できる。
【0020】
特に、本発明の記録紙ガイド機構は、ロール紙収納部から印刷位置までの間の搬送経路
において記録紙の幅方向を規制するためのガイドが備わっていないロール紙プリンターな
どに用いるのに適している。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明を適用したロール紙プリンターの斜視図である。
【図2】開閉蓋を全開にした状態のロール紙プリンターの斜視図である。
【図3】ロール紙プリンタの内部構造を示すための概略縦断面図である。
【図4】開閉蓋を全開にした状態のロール紙プリンタの概略縦断面図である。
【図5】ロール紙プリンターの紙送り系を示す説明図である。
【図6】記録紙ガイド機構のテンションガイドを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、図面を参照して本発明の記録紙ガイド機構を備えたロール紙プリンターの実施
の形態を説明する。
【0023】
(全体構成)
図1は本発明を適用したインクジェット式のロール紙プリンターの外観斜視図であり、
図2はその開閉蓋を全開にした状態の外観斜視図である。ロール紙プリンター1は全体と
してほぼ直方体形状をしたプリンター本体2と、当該プリンター本体2の前面に取り付け
た開閉蓋3とを有している。プリンター本体2の外装ケース2aの前面には所定幅の記録
紙排出口4が形成されている。記録紙排出口4の下側には排紙ガイド5が前方に突出して
おり、当該排紙ガイド5の側方には蓋開閉レバー6が配置されている。外装ケース2aに
おける排紙ガイド5および蓋開閉レバー6の下側には、ロール紙出し入れ用の矩形の開口
部2bが形成されており、この開口部2bが開閉蓋3によって封鎖されている。
【0024】
蓋開閉レバー6を操作すると開閉蓋3のロックが解除される。ロック解除後、排紙ガイ
ド5を前方に引くと、開閉蓋3は、当該開閉蓋3が取り付けられているリンク機構、たと
えば4節の平行リンク機構3Aによって、その下端部を中心として前方にほぼ水平となる
まで開く。開閉蓋3が開くと、図2に示すように、プリンター内部に形成されているロー
ル紙収納部11が開放状態となり、同時に、ロール紙収納部11から記録紙排出口4に到
る記録紙搬送経路が開放状態となり、プリンター前方からロール紙の交換作業などを簡単
に行うことができるようになっている。
【0025】
(内部構成)
図3はロール紙プリンター1の内部構造を示す概略縦断面図であり、図4は開閉蓋3を
全開状態にした場合の概略縦断面図である。ロール紙プリンター1の内部には、プリンタ
ー本体フレーム10における幅方向の中央部分にロール紙収納部11が形成されている。
ロール紙収納部11はロール紙12がプリンター幅方向に向いた横置き状態で転動可能に
収納される受け皿13を備えており、その前側の部位にはプリンター幅方向に延びるガイ
ドローラー14が取り付けられている。
【0026】
ロール紙収納部11の後側の上方位置には、プリンター本体フレーム10によってプリ
ンター幅方向に水平に架け渡された繰り出しローラー15が配置されており、この繰り出
しローラー15には前側から紙押えローラー16が押しつけられている。繰り出しローラ
ー15はプリンター本体フレーム10に取り付けられた繰り出しモーター17によって回
転駆動される。紙押えローラー16は支持レバー18によって支持されており、支持レバ
ー18は開閉蓋3の側に取り付けられており、開閉蓋3を開くと紙押えローラー16が紙
送りローラー16から離れるようになっている。
【0027】
ロール紙収納部11の上方には、プリンター本体フレーム10の上端にヘッドユニット
フレーム20が水平に取り付けられている。ヘッドユニットフレーム20にはプリンター
幅方向にキャリッジガイド軸21が水平に架け渡されている。キャリッジガイド軸21に
沿って、インクジェットヘッド22が下向き状態で搭載されているキャリッジ23がプリ
ンター幅方向に往復移動可能となっている。キャリッジ23は、公知のキャリッジ搬送機
構、例えば、キャリッジモータおよびタイミングベルトを備えたキャリッジ搬送機構によ
って、プリンター幅方向に往復移動される。
【0028】
インクジェットヘッド22の下側にはプリンター前後方向に水平に延びるプラテンフレ
ーム24が配置されている。プラテンフレーム24には、インクジェットヘッド22に一
定のギャップで対峙しているプラテン25がプリンター幅方向に水平に取り付けられてお
り、このプラテン25によってインクジェットヘッド22の印刷位置が規定されている。
【0029】
プラテンフレーム24の後端には記録紙ガイド機構26が取り付けられている。記録紙
ガイド機構26は、ロール紙収納部11に収納されたロール紙12から引き出される長尺
状の記録紙12aが架け渡されるテンションガイド27を備えている。テンションガイド
27は記録紙搬送方向に沿って凸曲面形状をしている記録紙ガイド面28を備えている。
この記録紙ガイド面28が記録紙12aに対して接近および離れる方向に移動できるよう
に、テンションガイド27は、プラテンフレーム24の後端においてプリンター幅方向に
水平に架け渡した支軸29を中心として上下に旋回可能に取り付けられている。支軸29
には捩じりばねなどの付勢部材30が取り付けられており、この付勢部材30によって、
テンションガイド27の記録紙ガイド面28が記録紙12aに付勢されている。
【0030】
次に、プラテンフレーム24におけるテンションガイド27よりも前側の位置には、紙
送りローラー31がプリンター幅方向に水平に架け渡されている。紙送りローラー31に
は記録紙12aを介し、ヘッドユニットフレーム20の側に取り付けられている紙押えロ
ーラー32が所定の押圧力で上側から押し付けられている。プラテンフレーム24におけ
るプラテン25の前端側の部位には、前側紙送りローラー33がプリンター幅方向に水平
に架け渡されている。この前側紙送りローラー33には記録紙12aを介し、ヘッドユニ
ットフレーム20の側に取り付けられている前側紙押えローラー34が上側から押し付け
られている。
【0031】
紙送りローラー31および前側紙送りローラー33は、ロール紙収納部11の後側にお
いてプリンター本体フレーム10に取り付けられている紙送りモーター35によって駆動
される。本例では、プラテンフレーム24に不図示の減速歯車列が搭載されており、この
減速歯車列を介して、紙送りモーター35の回転力が紙送りローラー31および前側紙送
りローラー33に伝達され、これらのローラー31、33が同期回転する。
【0032】
記録紙排出口4の近傍には、印刷後の記録紙12aの先端部分を幅方向に切断するオー
トカッター36が配置されている。オートカッター36によって記録紙12aは所定の長
さに切断されて、レシート、チケットなどとして発行される。
【0033】
ここで、開閉蓋3の側には、プラテン25、紙送りローラー31、下流側紙送りローラ
ー33、紙押えローラー16、記録紙ガイド機構26、およびオートカッター36の一方
の刃が搭載されている。開閉蓋3を開くと、図4に示すように、ロール紙収納部11から
記録紙排出口4に至る記録紙経路A(図3において一点鎖線で示す経路)が開放状態にな
り、ロール紙交換作業、記録紙セット作業を簡単に行うことができる。
【0034】
(紙送り動作)
この構成のロール紙プリンター1においては、ロール紙収納部11に収納されているロ
ール紙12から上方に引き出される記録紙12aは図3において太い一線鎖線で示すよう
に、繰り出しローラー15および紙押えローラー16の間を介して、記録紙ガイド機構2
6のテンションガイド27に架け渡されて前方に屈曲させられた後に、紙送りローラー3
1および紙押えローラー32の間、インクジェットヘッド22とプラテン25の間、およ
び、前側紙送りローラー33および前側紙押えローラー34の間を通って、記録紙排出口
4から外部に引き出された状態にセットされる。この状態では、記録紙12aによってテ
ンションガイド27が下方に押し込まれ、付勢部材30の付勢力によって記録紙12aは
所定の張力が付与された状態になる。
【0035】
図5はロール紙プリンター1の紙送り系を示す説明図である。ロール紙プリンター1の
駆動制御部41は、不図示のコンピュータシステムなどの上位機器からの指令に基づき各
部の駆動を制御する。印刷動作においては、紙送りモーター35を駆動して紙送りローラ
ー31および前側紙送りローラー33を回転駆動すると共に、これに同期させて、繰り出
しモーター17を回転駆動して、記録紙12aの搬送動作を行う。また、記録紙12aの
搬送に同期させてインクジェットヘッド22を駆動して印刷位置を通過する記録紙12a
の表面に印刷を施す。記録紙12aの幅方向への一連の行印刷が終了した後は、繰り出し
ローラー15、紙送りローラ−31および前側紙送りローラー33が回転駆動されて、所
定ピッチだけ記録紙12aが送り出され、次の行の印刷が行われる。このように、記録紙
12aは、所定ピッチで間欠的に送り出されながらインクジェットヘッド22によって印
刷が施される。
【0036】
記録紙12aの送り動作が間欠的に行われると、ロール紙12の慣性力などによって記
録紙12aの送り負荷が変動する。送り負荷の変動は、付勢部材30によって付勢されて
いるテンションガイド27が上下に旋回することによって抑制あるいは緩和される。した
がって、送り負荷の変動に起因して紙送り精度が低下し、印刷品質が低下してしまうとい
う弊害が解消される。
【0037】
また、駆動制御部41では印刷動作においては記録紙ガイド機構26のガイドセンサー
37からの検出信号をモニターしている。ガイドセンサー37は、テンションガイド27
の旋回位置を検出するためのものである。たとえば、記録紙12aが適切な張力状態の場
合にはセンサー出力はオフとされ、記録紙12aが弛んだ状態になり、テンションガイド
27が付勢力によって大きく旋回した場合にはセンサー出力がオンに切り替わる。このよ
うなガイドセンサー37の出力に基づき、記録紙12aが、弛みが生ずることなく一定の
張力状態で搬送されるように、紙送りローラー31および前側紙送りローラー33の駆動
に同期させて、ロール紙収納部側の繰り出しローラー15の駆動を制御する。
【0038】
印刷終了後においては、記録紙排出口4の近傍に配置されているオートカッター36を
駆動して記録紙12aを切断する。これにより、記録紙排出口4からは、記録紙12aを
切断することによって得られる一定長さのレシート、チケットなどが発行されることにな
る。
【0039】
(記録紙ガイド機構のテンションガイド)
図6(a)は記録紙ガイド機構26のテンションガイド27を取り出して示す斜視図で
ある。本例のテンションガイド27は例えばプラスチック成形品であり、円弧状ガイド板
部分27aと、この両側に形成した側板部分27b、27cとを備えており、側板部分2
7b、27cには、支軸29の軸孔27d、27eが形成されている。円弧状ガイド板部
分27aの外側表面が記録紙12aに付勢される記録紙ガイド面28となっている。
【0040】
記録紙ガイド面28は記録紙搬送経路A(図3、5参照)の幅に対応した幅W1となっ
ている。この記録紙ガイド面28における幅方向の中央部分には、その幅方向の中心を基
準として左右対称となるように、一定幅W2で一定厚さの低摩擦シート42が貼り付けら
れており、このシート表面が他の記録紙ガイド面28よりも僅かに突出した突出ガイド面
部分42aとなっている。低摩擦シート42は記録紙12aとの間の摩擦係数が記録紙ガ
イド面28よりも小さな素材から形成されている。
【0041】
例えば、搬送される記録紙12aの紙幅が30mm〜114mmの場合には、記録紙ガ
イド面28はこの幅よりも大きな幅W1に設定される。これに対して、突出ガイド面部分
42aの幅W2は、幅W1の1/3以下の狭い幅に設定される。また、低摩擦シート42
の厚さは0.6mm〜0.8mm程度に設定され、突出ガイド面部分42aは記録紙ガイ
ド面28に対して同一量だけ突出した面とされる。
【0042】
このように、テンションガイド27には、記録紙12aを付勢する記録紙ガイド面28
に、一段高い狭幅の突出ガイド面部分42aを形成してある。したがって、実質的に当該
突出ガイド面部分42aのみが記録紙12aに圧接される。突出ガイド面部分42aは搬
送経路の幅寸法よりも十分に狭い幅であり、その中央を基準として左右対称に形成されて
いるので、搬送される記録紙12aの幅方向の中央部分を付勢した状態が形成される。
【0043】
したがって、突出ガイド面部分42aによって、記録紙12aには、その幅方向の中央
部分にのみ付勢力が作用する。よって、記録紙ガイド面28が幅方向において傾いている
場合、当該記録紙ガイド面28が幅方向において形状にバラツキがある場合に、記録紙1
2aに作用する付勢力が幅方向の左右においてアンバランス状態に陥ることを防止あるい
は抑制できる。この結果、紙送りローラー31によって引き出される記録紙12aの蛇行
、斜行を防止あるいは抑制できる。
【0044】
なお、突出ガイド面部分42aを、低摩擦シート42などの別部材を用いることなく、
記録紙ガイド面28の中央部分に一体成形してもよい。また、突出ガイド面部分42aは
、連続した面とする代わりに、図6(b)に示すように、幅方向において分離している複
数の狭い幅の分割突出ガイド面部分43から構成してもよい。この場合においても、分割
突出ガイド面部分43を、幅方向の中心を基準として左右対称に配置し、これらの分割突
出ガイド面部分の合計幅(2×W3)が記録紙搬送経路の幅W1の1/3以下になるよう
にすればよい。このような分割突出ガイド面部分は、たとえば、図6(c)に示すように
、記録紙ガイド面28に、その幅方向に所定間隔で一定高さの縦リブ44を複数形成し、
それらの縦リブ44の上端面44aによって規定することもできる。
【0045】
また、上記の例では、テンションガイドとして円弧板状のものを用いているが、他の形
状としてもよいことは勿論であり、たとえば、ロール形状をしたテンションロールを用い
ることもできる。
【符号の説明】
【0046】
1 ロール紙プリンター、2 プリンター本体、2a 外装ケース、3 開閉蓋、3A
平行リンク機構、4 記録紙排出口、5 排紙ガイド、6 蓋開閉レバー、10 プリン
ター本体フレーム、11 ロール紙収納部、12 ロール紙、12a 記録紙、13 受
け皿、14 ガイドローラー、15 繰り出しローラー、16 紙押えローラー、17
繰り出しモーター、18 支持レバー、20 ヘッドユニットフレーム、21 キャリッ
ジガイド軸、22 インクジェットヘッド、23 キャリッジ、24プラテンフレーム、
25 プラテン、26 記録紙ガイド機構、27 テンションガイド、27a 円弧状ガ
イド板部分、27b,27c 側板部分、27d、27e 軸孔、28 記録紙ガイド面
、29 支軸、30 付勢部材、31 紙送りローラー、32 紙押えローラー、33
前側紙送りローラー、34 前側紙押えローラー、35 紙送りモーター、36 オート
カッター、37 ガイドセンサー、41 駆動制御部、42 低摩擦シート、42a 突
出ガイド面部分、43 分割突出ガイド面部分、A 記録紙搬送経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録紙を搬送経路に沿ってガイドする記録紙ガイド機構であって、
前記搬送経路の一部を規定する記録紙ガイド面を備えているテンションガイドと、
前記記録紙ガイド面が前記搬送経路に沿って搬送される記録紙に押し付けられる方向に
、前記テンションガイドを付勢している付勢部材と、
前記記録紙ガイド面から突出している突出ガイド面部分とを有しており、
当該突出ガイド面部分は、前記搬送経路の幅寸法よりも狭い幅であることを特徴とする
記録紙ガイド機構。
【請求項2】
前記突出ガイド面部分の幅寸法は、前記搬送経路の幅寸法のほぼ1/3以下であり、前
記突出ガイド面部分は、前記搬送経路の幅方向の中央を基準にしてほぼ左右対称に形成さ
れることを特徴とする請求項1に記載の記録紙ガイド機構。
【請求項3】
前記突出ガイド面部分は、前記搬送経路の幅方向に分離した状態で形成された複数の分
割突出ガイド面部分からなり、
前記突出ガイド面部分の前記幅寸法は、これら分割突出ガイド面部分の幅寸法の合計で
あることを特徴とする請求項1または2に記載の記録紙ガイド機構。
【請求項4】
前記突出ガイド面部分は、前記記録紙ガイド面の他の部分に比べて前記記録紙との間の
摩擦抵抗が小さな低摩擦面であることを特徴とする請求項1ないし3のうちのいずれかの
項に記載の記録紙ガイド機構。
【請求項5】
前記記録紙ガイド面は記録紙搬送方向に沿って湾曲している凸状湾曲面を含むことを特
徴とする請求項1ないし4のうちのいずれかの項に記載の記録紙ガイド機構。
【請求項6】
前記突出ガイド面部分は、少なくとも前記記録紙ガイド面の前記凸状湾曲面に形成され
ていることを特徴とする請求項5に記載の記録紙ガイド機構。
【請求項7】
ロール紙収納部と、
前記ロール紙収納部に収納されたロール紙から繰り出される長尺状の記録紙に印刷を行
う印刷ヘッドと、
前記印刷ヘッドの印刷位置を規定しているプラテンと、
前記プラテンに向けて前記記録紙を案内する記録紙ガイド機構とを有しており、
前記記録紙ガイド機構は請求項1ないし6のうちのいずれかの項に記載の記録紙ガイド
機構であることを特徴とするロール紙プリンター。
【請求項8】
前記記録紙ガイド機構と前記プラテンの間の搬送経路部分は、紙送りローラーと、この
紙送りローラーに押し付けられて連れ回りする第1紙押えローラーとによって規定されて
おり、
前記記録紙ガイド機構と前記ロール紙収納部の間の搬送経路部分は、繰り出しローラー
と、この繰り出しローラーに押し付けられて連れ回りする第2紙押えローラーとによって
規定されていることを特徴とするロール紙プリンター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−202305(P2010−202305A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−47670(P2009−47670)
【出願日】平成21年3月2日(2009.3.2)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】