説明

記録装置、記録再生システム、記録方法

【課題】本発明によれば、ループ録画時におけるコンテンツの不完全な録画の防止が図られる。
【解決手段】この記録装置は、第1のストリームデータを記録する第1の記録領域を記憶媒体に生成する第1の領域生成部と、前記第1のストリームデータと異なる第2のストリームデータを繰り返し上書き記録する第2の記録領域を前記記憶媒体に生成する第2の領域生成部と、前記第1、第2の記録領域を管理する管理情報を前記記録媒体に記録する管理情報記録部と、前記第2の記録領域に前記第2のストリームデータを記録するデータ記録部と、前記第2のストリームデータの記録に対応して管理情報を更新することで、前記第2の記録領域内を区分する部分領域を設定し、かつこの部分領域の個数が所定値を越えないようにする管理情報管理部と、前記第2の記録領域に記録された前記第2のストリームデータを、前記第1の記録領域に移動させる領域移動部と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばハードディスクビデオ録画装置などのデータを記録する記録装置、記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
テレビ番組などを記録するビデオ録画装置では、あらかじめ記録する番組の開始時刻や終了時刻を登録することで、いわゆる録画予約を可能としている。ここで、1回分の放送の録画に必要な記憶領域の大きさに放送回数を乗じた大きさの領域を確保することで、複数回に渡って放送される番組の確実な録画を可能とする技術が開示されている(例えば特許文献1)。
【0003】
一方、ハードディスクなどの大容量記憶媒体を利用するビデオ録画装置などにおいて、ループ録画と呼ばれる録画方法が開発されている。ループ録画とは、通常の録画用の領域とは別個に固定的な領域を確保し、その固定的な領域内で、通常の録画とは独立して上書き録画を繰り返す録画方式である。ループ録画を用いることで、例えば、テレビ視聴の途中で中座する際に視聴中の番組を一時的に保持しておき、後ほど中座により中断した箇所から視聴を再開できる。
【特許文献1】特開2006−332865号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、ループ録画では、時間長に基づき、録画が制御される。即ち、ループ録画のためのループ時間が設定され、このループ時間を超過した録画部分が削除される。即ち、録画されるコンテンツの内容と関わりなく、録画部分が削除される。
この結果、ループ録画によって、コンテンツが不完全に録画されることがある。例えば、番組の前半部の録画が削除され、番組の後半部の録画のみが残されることがある。
【0005】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、ループ録画時におけるコンテンツの不完全な録画の防止を図った記録装置、記録再生システム、記録方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した目的を達成するために、本発明の一態様に係る記録装置は、第1のストリームデータを記録する第1の記録領域を記憶媒体に生成する第1の領域生成部と、前記第1のストリームデータと異なる第2のストリームデータを繰り返し上書き記録する第2の記録領域を前記記憶媒体に生成する第2の領域生成部と、前記第1、第2の記録領域を管理する管理情報を前記記録媒体に記録する管理情報記録部と、前記第2の記録領域に前記第2のストリームデータを記録するデータ記録部と、前記第2のストリームデータの記録に対応して管理情報を更新することで、前記第2の記録領域内を区分する部分領域を設定し、かつこの部分領域の個数が所定値を越えないようにする管理情報管理部と、前記第2の記録領域に記録された前記前記第2のストリームデータを、前記第1の記録領域に移動させる領域移動部と、を具備している。
【0007】
本発明の一態様に係る記録方法は、第1のストリームデータを記録する第1の記録領域を記憶媒体に生成し、前記第1のストリームデータと異なる第2のストリームデータを繰り返し上書き記録する第2の記録領域を前記記憶媒体に生成し、前記第1、第2の記録領域を管理する管理情報を前記記録媒体に記録し、前記第2の記録領域に前記第2のストリームデータを記録し、前記第2のストリームデータの記録に対応して管理情報を更新することで、前記第2の記録領域内を区分する部分領域を設定し、かつこの部分領域の個数が所定値を越えないようにすること、を特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ループ録画時におけるコンテンツの不完全な録画の防止が図られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
いわゆるループ録画機能を搭載したビデオ(記録装置)やテレビなどにおいては、ユーザが中座などによりテレビ視聴を一時中断する際にループ録画の起動操作を行い、その後ユーザがテレビ視聴を再開する際に「追っかけ再生操作」などの起動操作により視聴を中断した箇所からの再生を行うことができる。
【0010】
以下に説明する本発明の実施形態では、映像コンテンツ(特に、番組の個数)に応じたループ録画を可能とすることで、所望の映像コンテンツ(特に番組)全体の保存を実現するものである。
【0011】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明に係る第1の実施形態の記録装置の構成を示すブロック図である。
【0012】
図1に示すように、この実施形態の記録装置10は、スピーカSP、ディスプレイD、アナログ放送を受信するアナログ用アンテナA1、および、地上、BSおよびCSデジタル放送を受信するデジタル用アンテナA2と併せてテレビシステム1を構成する。
【0013】
この実施形態の記録装置10は、アナログチューナ部11、PSエンコーダ部12、データプロセッサ部13、HDD部14、PSデコーダ部15、セレクタ16、D/A部17、デジタルチューナ部21、ストリームプロセッサ部22、TSデコーダ部25、編集管理情報制御部32、録画管理情報制御部33および番組情報処理部36を有する演算部(CPU部)31、表示部34およびキー入力部35を備えている。
【0014】
アナログチューナ部11は、地上波やBS等のアナログ放送波を、アナログ用アンテナA1を介して受信するアナログチューナである。アナログチューナ部11は、NTSCなど所定の放送方式に基づいて放送波の選局・復調を行い、アナログ映像信号および音声信号に変換してPSエンコーダ部12に入力する。なお、アナログチューナ部11は、アナログ放送波に重畳された番組情報(EPG:Electronic Program Guide・電子番組表の画面表示に使用される情報)を取得する機能も有している。
【0015】
PSエンコーダ部12は、入力されたアナログビデオ信号やアナログオーディオ信号をデジタル化するA/Dコンバータと、ビデオエンコーダと、オーディオエンコーダとを備える符号化手段であり、副映像エンコーダを含んでもよい。PSエンコーダ部12は、デジタル化されたビデオ信号を、MPEG2またはMPEG1規格に基づいた可変ビットレートの圧縮デジタルビデオ信号に変換する。また、PSエンコーダ部12は、デジタル化されたオーディオ信号を、MPEGまたはAC−3規格に基づいた固定ビットレートの圧縮デジタルオーディオ信号、あるいはリニアPCMのデジタルオーディオ信号に変換する。アナログチューナ部11からのアナログビデオ信号やアナログオーディオ信号が入力されると、PSエンコーダ部12は所定のエンコード処理を行う。具体的には、PSエンコーダ部12は、ビデオ信号およびオーディオ信号をデジタル信号に変換した後でエンコードした後、パック化してビデオパック、オーディオパック、副映像パックに変換し、さらにこれらを組み合わせてHDD部14への記録に適したフォーマットに変換する。PSエンコーダ部12により変換された信号は、データプロセッサ部13に渡される。なお、PSエンコーダ部12は、A/D変換されたデジタルビデオ信号やオーディオ信号をエンコードすることなく、セレクタ16に直接データを渡してもよい。
【0016】
データプロセッサ部13は、PSエンコーダ部12によりエンコードされたデジタルビデオ信号およびオーディオ信号を受け取り、後段のHDD部14に書き込むデータ制御手段である。具体的には、データプロセッサ部13は、アナログ放送のコンテンツを録画する場合はPSエンコーダ部12に備えられたフォーマッタから、またデジタル放送のコンテンツを録画する場合はストリームプロセッサ部22から、それぞれGOP単位のデータを受け取ってHDD部14に記録する。併せて、データプロセッサ部13は、HDD部14から所定の再生信号を読み出す機能をも有する。データプロセッサ部13は、バッファ回路、変調・復調回路、エラー訂正回路等を備えており、記録または再生単位でデータ処理を実行する。
【0017】
HDD部14は、例えばハードディスクなどの記憶媒体を駆動してデータを記録し再生する記録装置である。HDD部14は、ハードディスクには限定されず、デジタルデータを記録・再生できるものであればよい。
【0018】
PSデコーダ部15は、パック構造でHDD部14に記録されている多重信号から映像や音声などの各パックを分離して取り出すセパレータと、パック分離やその他の信号処理実行時に使用するメモリと、セパレータで分離された主映像データ(ビデオパックの内容)をデコードするビデオデコーダと、セパレータで分離された副映像データ(副映像パックの内容)をデコードするサブピクチャデコーダと、セパレータで分離されたオーディオデータ(オーディオパックの内容)をデコードするオーディオデコーダとを備える復号化手段である。PSデコーダ部15は、デコードされた主映像にデコードされた副映像を適宜合成し、主映像にメニュー、ハイライトボタン、字幕やその他の副映像を重ねて出力するビデオプロセッサを備えてもよい。PSデコーダ部15は、基本的にA/D変換されてHDD部14に記録されたアナログ放送波のビデオ/オーディオ信号の復号を行う。
【0019】
セレクタ16は、PSデコーダ部15からの出力信号、TSデコーダ部25からの出力信号、PSエンコーダ部12からの出力信号、ストリームプロセッサ部22からの出力信号を選択してD/A部17に出力する信号切り替え手段である。すなわち、セレクタ16は、HDD部14に記録されたアナログ放送波信号、同じく記録されたデジタル放送波信号、PSエンコーダ部12によりデジタル化されたアナログ放送波信号、およびストリームプロセッサ部22からのデジタル放送波信号のいずれかを選択する。セレクタ16は、CPU部31からのセレクト信号に基づいて選択を実行する。
【0020】
D/A部17は、セレクタ16により選択されたデジタルビデオ信号およびオーディオ信号をアナログのビデオ信号およびオーディオ信号に変換するD/A変換器である。D/A部17は、アナログ化されたビデオ信号およびオーディオ信号を、それぞれディスプレイDおよびスピーカSPに出力する。
【0021】
デジタルチューナ部21は、アナログチューナ部11と対応し、地上波やBS、CS等のデジタル放送波を、デジタル用アンテナA2を介して受信するデジタルチューナである。デジタルチューナ部21は、MPEG2−TS信号の中からユーザが選択した番組の映像や音声などのTSパケットを抽出してストリームプロセッサ部22に入力する。デジタルチューナ部21は、デジタル放送波と一緒にパケット化された前述のEPGに用いられる番組情報を併せて抽出する機能を有する。
【0022】
ストリームプロセッサ部22は、デジタルチューナ部21により抽出された小さなTSパケットに分割された映像データや音声データ、番組情報のデータなどを、HDD部14への記録に適した大きいサイズのパケットに加工する等の変換処理を行うデータ変換手段である。変換された情報は、データプロセッサ部13を介してHDD部14に記録される。
【0023】
TSデコーダ部25は、PSデコーダ部15に対応し、データプロセッサ部13を介してHDD部14から読み出されたデジタル放送波の記録信号を復号する復号化手段である。TSデコーダ部25は、記録されている多重信号から映像や音声などを分離して取り出すセパレータと、分離された映像データをデコードするビデオデコーダと、同じく分離された音声データをデコードするオーディオデコーダとを備えている。TSデコーダ部25は、復号したデジタルのビデオ信号およびオーディオ信号をセレクタ16に入力する。
【0024】
CPU部31は、制御プログラムに従い、欠陥場所検出、未記録領域検出、録画情報記録位置設定、UDF記録、AVアドレス設定などの処理を実行する。また、CPU部31は、システム全体を制御するために必要な情報処理部を有し、図示しないワークRAM、ビデオ管理情報作成部、コピー関連情報検知部、コピーおよびスクランブリング情報処理部、パケットヘッダ処理部、シーケンスヘッダ処理部、アスペクト比情報処理部などを備えている。
【0025】
またCPU部31は、編集を実行する際の管理情報の制御を行う編集管理情報制御部32と、録画を実行する際の管理情報の制御を行う録画管理情報制御部33と、アナログ放送波やデジタル放送波を介して送られる番組情報を管理する番組情報処理部36をも備えている。さらに、CPU部31は、記録したデータを再生するのに必要な管理情報を作成し、データ記録終了時に作成した管理情報をデータプロセッサ部13に送る。これにより、管理情報がHDD部14に記録される。従って、CPU部31は、エンコードが行われているときはPSエンコーダ部12から、MPEG2−TS信号の記録が行なわれているときはストリームプロセッサ部22から、データ単位の情報(切り分け情報など)を受け取る。CPU部31は、記録開始時においては、ハードディスクから読み取ったファイルシステムの管理情報を認識し、ハードディスクの未記録エリアを認識し、データの記録エリアを、データプロセッサ部13を介してハードディスクに設定する機能を有している。
【0026】
編集管理情報制御部32は、HDD部14に記録されたビデオ信号およびオーディオ信号に対応する管理情報を編集する管理データ制御手段である。
【0027】
録画管理情報制御部33は、HDD部14へのビデオ信号およびオーディオ信号の記録を制御し管理情報の設定等を行う管理データ制御手段である。
【0028】
番組情報処理部36は、アナログチューナ部11で抽出され、および/または、デジタルチューナ部21で取得された番組情報を取り込んで、番組の開始・終了時刻などを取得するデータ処理手段である。
【0029】
表示部34は、CPU部31での動作状況等をユーザに示す表示手段であり、例えばLCD素子などからなる。キー入力部35は、CPU部31にユーザの指示を入力する入力デバイスであり、例えばキーボードやリモコン装置などである。キー入力部35は、例えばリモコン型のものを用いることができる。
【0030】
ここで、この実施形態の記録装置10を含むテレビシステム1の記録・再生動作について説明する。
【0031】
アナログ放送信号の場合、アナログチューナ部11は、アナログ用アンテナA1からアナログ放送波の電波を受信して選局・復調し、アナログのビデオ信号・オーディオ信号に変換してPSエンコーダ部12に出力する。アナログのビデオ信号・オーディオ信号を受けると、PSエンコーダ部12は、ビデオ信号・オーディオ信号をA/D変換し、パック化(フォーマット化)を施してデータプロセッサ部13に出力する。このとき、CPU部31は管理情報を作成してデータプロセッサ部13に渡す。データプロセッサ部13は、受け取ったビデオ信号およびオーディオ信号を管理情報とともにHDD部14に記録する。
【0032】
一方、HDD部14に記録されたビデオ信号およびオーディオ信号は、データプロセッサ部13より読み出されてPSデコーダ部15に渡される。PSデコーダ部15は、読み出されたビデオ信号およびオーディオ信号のパック化信号を分離し、復号化してセレクタ16に出力する。セレクタ16は、受け取った信号をD/A部17に渡す。D/A部17は、受け取ったデジタルのビデオ信号およびオーディオ信号をD/A変換してディスプレイDおよびスピーカSPに出力する。
【0033】
デジタル放送信号の場合、デジタルチューナ部21は、デジタル用アンテナA2からデジタル放送波の電波を受信して選局・復調し、デジタルのビデオ信号・オーディオ信号を抽出する。デジタル放送の場合、映像や音声は放送局側でエンコードされており、MPEG2−TS信号の形式となっている。ストリームプロセッサ部22は、受け取ったMPEG2−TS信号から必要なパケットを選択するとともに、TSパケットから記録用のパケットに変換してデータプロセッサ部13に渡す。データプロセッサ部13は、受け取ったデータをHDD部14に記録する。
【0034】
HDD部14に記録されたデジタル放送波のビデオ信号およびオーディオ信号は、データプロセッサ部13により読み出されてTSデコーダ部25に渡される。TSデコーダ部25は、読み出されたビデオ信号およびオーディオ信号のパック化信号を分離し、復号化してセレクタ16に出力する。セレクタ16は、受け取った信号をD/A部17に渡す。D/A部17は、受け取ったデジタルのビデオ信号およびオーディオ信号をD/A変換してディスプレイDおよびスピーカSPに出力する。
【0035】
次に、図2を参照して、この実施形態の記録装置10がHDD部14に記録するデータ構成について詳細に説明する。図2は、この実施形態の記録装置10におけるデータ構成の概要を示す模式図である。
【0036】
図2に示すように、この実施形態の記録装置10における記録データは、ファイルシステム管理情報40、管理情報41、第1のAVストリームファイル44、第2のAVストリームファイル45および第3のAVストリームファイル46を有しており、それぞれHDD部14に記録されている。
【0037】
管理情報41は、HDD部14に記録される記録データの位置情報や属性等を管理するための管理情報である。管理情報41は、プログラム群情報42およびAVファイル情報43を有している。
【0038】
プログラム群情報42(オリジナルタイトル群情報)は、録画されたコンテンツ(プログラム)の再生順序を管理する情報(再生順序情報)であり、個々のプログラムに関する情報がプログラム単位で整理されている。個々のプログラム情報は、再生すべき対象となるAVデータストリーム(プログラム単位の映像・音声データの集合体)に関する情報であるAVファイル情報とリンクさせた参照情報を有している。参照情報は、開始点および終了点のタイムスタンプ情報を含んでいる。
【0039】
AVファイル情報43は、ユーザの管理対象となるプログラム情報42と、現実の記録データである記録データとを結び付けるテーブルである。AVファイル情報43は、対応するAVデータストリームのHDD部14での論理アドレス情報が記述されたタイムマップ情報を有している。具体的には、AVファイル情報は、それぞれその始点位置の論理アドレス情報と、該AVファイル情報に含まれるGOPの数(厳密には、個々のGOPに対応したGOP単位毎の情報の数)の情報を有している。タイムマップ情報は、個々のGOPに対応したGOP単位毎の情報を有しており、その中に各GOPのサイズ情報が記述されている。GOPのサイズは、たとえばパック数の単位やパケット数の単位、あるいは複数のパケットの集合であるパケットグループ数の単位など、記録メディア上における当該GOPと対応しているAVデータストリームのサイズを表現可能な単位で記述される。
【0040】
参照情報の開始点/終了点のタイムスタンプ情報の差分や、あるいはAVファイル情報に含まれるGOPの数などにより、AVデータストリームの時間長、つまり、管理情報が存在するコンテンツの有効な時間長を得ることができる。また、管理情報内における特定の時間的な位置がわかれば、その特定の時間位置に存在しているGOPが確定するので、AVファイル情報の始点位置の論理アドレス情報と個々のGOPのサイズ情報とから、当該特定の時間位置と対応している記録メディア上の論理アドレスを求めることが可能となる。
【0041】
第1ないし第3のAVストリームファイル44ないし46は、それぞれプログラム(タイトル:ユーザが1回に記録する単位)に対応するAVデータストリームから構成されるデータファイルである。第1ないし第3のAVストリームファイル44ないし46を構成する個々のAVデータストリームは、情報パック、映像パック、音声パック、副映像パックなどからなる。情報パックは、AVデータストリームの属性や識別のための情報パッケージであり、これが属するGOPの最初のフィールドが再生される開始時間を示す情報、当該GOPの記録時を示す情報、コピーコントロール情報などを含んでいる。映像パックは、ビデオデータをMPEG2方式で圧縮した情報パッケージであり、パックヘッダ、パケットヘッダおよびビデオデータ部で構成されている。音声パックは、オーディオデータを、例えばリニアPCMやMPEG、AC−3などの方式で処理した情報パッケージであり、パックヘッダ、パケットヘッダ、オーディオデータ部で構成されている。
【0042】
第1のAVストリームファイル44は、通常録画の記録・再生のために用意されたデータファイルであり、第2および第3のAVストリームファイル45および46は、ループ録画のために用意されたデータファイルである。ここで、「通常録画」とは、保存を目的とした記録を指し、「ループ録画」とは、所定領域内を繰り返し上書き録画することで一定時間のみ(最近の所定個数の番組)の保存を可能とした記録を指す。
【0043】
ファイルシステム管理情報40は、例えばUDF(Universal Disk Format)規格における管理情報であり、管理情報41のファイル、第1ないし第3のAVストリームファイル44ないし46を管理するための管理情報である。
【0044】
なお、プログラム群情報42に加えて、プログラムの再生順序を管理する情報(再生順序情報)のみで構成されているプレイリスト情報を設けてもよい。プレイリスト情報は、それ自身のAVデータストリームを持たず、オリジナルタイトルのAVファイル情報に対してリンクしている参照情報を編集(削除、追加)することで生成される。すなわち、直接AVデータストリームを加工せずに、参照情報のみを編集することにより、必要なシーンのみで構成されたプログラムを生成したり、不要なシーンを除去したプログラムを生成したりすることが可能となる。また、図2に示す例では、第1ないし第3のAVストリームファイル44ないし46の3つのストリームファイルが存在する例を示しているが、4つ以上存在してもよい。
【0045】
続いて、図3を参照して、この実施形態の記録装置10における録画管理情報制御部33について詳細に説明する。図3は、図1に示す録画管理情報制御部33の構成を示すブロック図である。録画管理情報制御部33は、この実施形態の記録装置10の録画処理を実行する機能を有する。
【0046】
図3に示すように、この実施形態における録画管理情報制御部33は、管理情報管理部51、FS管理部52、録画方式識別部53、記録領域形成部54、記録領域監視部55、通常録画部56、ループ録画部57、記録領域移動部58、番組数管理部59、番組情報取得部60を有している。この実施形態の記録装置10は、図2に示すデータ記録構成、すなわち、通常録画のAVストリームファイルとループ録画のAVストリームファイルとを別構成とした構成により録画を行う。
【0047】
管理情報管理部51は、図2に示すプログラム群情報42と、AVファイル情報43とを管理する情報処理手段である。管理情報管理部51は、HDD部14に記録されたプログラム群情報を例えば「録画タイトル一覧」のような形態で表示部34やディスプレイDを通じてユーザに提供し、録画の際にプログラム群情報を設定する機能を有する。管理情報管理部51が管理するプログラム群情報42は、プログラムごとの時間情報(HDD部14に記録されたデータ中の位置を示す時間情報)を含んでいる。また、管理情報管理部51が管理するAVファイル情報43は、記録データの論理的な位置情報に相当する論理アドレス情報を含んでいる。
【0048】
FS管理部52は、例えばUDF(Universal Disk Format)規格に基づくファイルシステム管理情報40を管理する情報処理手段である。この実施形態の記録装置10では、プログラムごとの記録データが連なってAVストリームファイルを構成する。FS管理情報は、このAVストリームファイルの識別情報であり、FS管理部52はFS管理情報を通じてAVストリームファイルを管理する。
【0049】
録画方式識別部53は、キー入力部35から入力されるユーザからの指示内容の録画方式を識別する録画方式管理手段である。録画方式識別部53が管理する録画方式としては、通常の録画を行う通常録画と、所定領域を繰り返し上書きしながら録画を行うループ録画の二つの録画方式がある。ユーザからの指示は明示的なものであっても、あるいは解除しない限り指示されたものとしてもかまわない。例えば、電源オンと連動してループ録画を開始するように構成してもよい。
【0050】
記録領域形成部54は、HDD部14の記録領域を確保し管理する管理手段である。記録領域形成部54は、HDD部14に対して第1ないし第3のAVストリームファイル44ないし46の記録領域をあらかじめ確保し、または解放する機能を有する。
【0051】
記録領域監視部55は、記録領域形成部54が確保した記録領域を監視する監視手段である。記録領域監視部55は、記録領域形成部54が確保した記録領域を監視し、監視結果を通常録画部56またはループ録画部57に通知する機能を有する。
【0052】
通常録画部56は、通常録画処理を実行する処理手段であり、PSエンコーダ部12またはストリームプロセッサ部22から送られるビデオデータおよびオーディオデータを、HDD部14に通常録画するようデータプロセッサ部13に指示する機能を有する。
【0053】
ループ録画部57は、ループ録画処理を実行する処理手段である。ループ録画部57は、PSエンコーダ部12またはストリームプロセッサ部22から送られるビデオデータおよびオーディオデータを、HDD部14にループ録画するようデータプロセッサ部13に指示する機能を有する。
【0054】
記録領域移動部58は、AVデータストリームとして記録されたデータを、AVストリームファイル間で論理的に移動させるデータ移動手段である。記録領域移動部58は、後述する所定のチャプター間の領域について、記録された第2および第3のAVストリームファイル45および46から第1のAVストリームファイル44に移動する機能を有する。AVストリームファイル間の移動は論理的アドレスの変更によって実現するため、現実の記録場所の移動を行うものではない。したがって、AVデータストリームを単に移動処理する場合と比較して高速処理が可能となる。
【0055】
番組数管理部59は、ループ録画部57が実行するループ録画について、録画される番組数を管理する管理手段である。番組数管理部59は、キー入力部35を介して受け付けた設定指示に基づいて、あらかじめ番組数を設定する。
番組情報取得部60は、番組情報処理部36から現在ループ録画を行っている番組の番組情報を受け、当該番組の開始時刻情報や終了時刻情報、番組の時間長情報などを取得する。
【0056】
(記録装置10の動作)
次に、図4ないし図11を参照して、この実施形態に係る記録装置10の動作について説明する。図4は、この実施形態の記録装置10の記録動作を示すフローチャート、図5は、この実施形態における通常録画の様子を示す模式図、図6ないし図11は、同じくループ録画の記録動作を示す模式図である。図6から図11までは、この実施形態に係る記録装置のループ録画処理における、管理情報ファイルとAVストリームファイルの変遷を表している。この実施形態の記録装置は、図2のうち第1のAVストリームファイル44および第2のAVストリームファイル45により構成される例である。
【0057】
まず、初期状態の管理情報41、第1のAVストリームファイル44、および、第2のAVストリームファイル45の様子を図5に示す。ここでは、通常録画に使用される第1のAVストリームファイル44に、通常録画のための第1の記録領域が確保されている。一方、ループ録画に使用される第2のAVストリームファイル45に、ループ録画のための第2の記録領域が確保されている。図5に示す例では、通常録画で記録されたプログラム群情報42として、PG#1からPG#mまでのタイトルが既に記録され、第1のAVストリームファイル44上に録画済領域が形成されている(図5の太字斜線領域)。なお,以後説明の便宜上これらの表記を省略することがある。
【0058】
図5に示すように、管理情報41は、2つのAVストリームファイルに記録されたAVデータストリームを、包括的に管理している。すなわち、記録対象が第1および第2のどちらのAVストリームファイルであっても、1つの管理情報ファイルで管理される。
【0059】
また、ループ録画によりAVデータストリームが第2のストリームファイル45に記録されると、その記録された領域は、ループ録画の停止後に、再生順序の整合を取りつつ第2のAVストリームファイル45から第1のAVストリームファイル44へと移し替えられる。たとえばUDF(Universal Disk Format)規格に基づくファイルシステムを使用している場合であれば、第2のAVストリームファイル45上でループ録画によりAVデータストリームが記録された領域に相当するエクステントが、第2のAVストリームファイル45のファイルエントリから第1のAVストリームファイル44のファイルエントリに移し替えられる。より具体的には、第2のAVストリームファイル45のファイルエントリが指し示しているエクステントを、第1のAVストリームファイル44のファイルエントリが指し示す形となるよう、双方のAVストリームファイルのファイルエントリの記述が書き換えられる。このように、第1のAVストリームファイル44は、通常録画の記録対象としての用途に加えて、ループ録画で記録したコンテンツを保存するためのアーカイブファイルとしても機能する。
【0060】
この実施形態では、ループ録画に使用する第2のAVストリームファイル45の記録領域は、録画開始に先立ち、長時間のコンテンツが記録可能となるような充分に大きなサイズでもって確保される。
このサイズは、記録品質(圧縮率やビットレートなど)に依存するが、一例として、数時間程度の長さを有する比較的長時間の番組を余裕を持って記録できるだけのサイズを確保することが望ましい。番組の長さだけでなく放送信号の転送レートも考慮する必要があるので、たとえば地上波/BS/CSデジタル放送の規格上考え得る最大ビットレートのAVストリームを長時間記録するような状況を想定して標準値を設定すれば、比較的余裕をもって記録領域を確保することが可能になる。
【0061】
A.番組上限数の設定
ループ録画の実施に先立って、次の(1)、(2)の手順で、ループ録画上残したい番組数の上限値(以下、「番組上限数」という)が設定される。なお、後述する第2の実施形態に対しても、番組上限数が設定される。
(1)番組上限数の入力
ユーザが番組上限数を入力する。この入力操作は、例えば初期設定の項目の一つとして実施することができる。また、この入力は、記録装置10のリモコンに設けたメニューボタンなどで呼び出せる設定項目の一つとして実施しても良い。
【0062】
(2)番組上限数の保持
次に、入力された番組上限数を記録装置10の内部で保持する。番組上限数は、後述するループ処理で使用される。
【0063】
従来のループ録画では、このような事前処理ではループ時間を設定していた。これに対し、記録装置10でのループ録画では、ユーザが番組上限数を設定する。
ここで、一の番組で必要な記録容量を決めるため、番組の基準モデルを考える。放映されている個々の番組の時間長や転送レートなどは、様々な値を有する。このため、ここでは番組のタイプを、たとえば「HD(High Definition)映像、デジタル放送規格上の最高転送レート、時間長4時間」のように比較的余裕を持った形でモデル化しておく。
このモデル化した値は後述するループ録画で使用するだけでなく、番組上限数を設定する際にユーザに提示してもよい。
このモデル化した番組のタイプは、ユーザ操作により変更可能とすることができる。但し、モデル化した番組のタイプに、固定値を使用してもよい。
【0064】
B.ループ録画
続いて、ループ録画の動作について詳細に説明する。
例えばユーザの操作等によりループ録画の指示を受けると、録画方式識別部53は、ループ録画部57にループ録画処理を指示する。ループ録画指示を受けると、ループ録画部57は、記録領域監視部55に対しループ録画のための記録領域が確保されているか問い合わせる(ステップ101。以下「S101」のように称する。)。問い合わせを受けると、記録領域監視部55は、ループ録画の記録領域が第1および第2のAVストリームファイル44および45のどれに確保されているかをFS管理部52に問い合わせる。この例では、ループ録画は第2のAVストリームファイル45に割り当てられているので、ループ録画用のファイルシステムとして第2のAVストリームファイル45が存在するファイルシステムを返答する。記録領域監視部55は、FS管理部52が返したファイルシステム上の第2のAVストリームファイル45上にループ録画のための記録領域(以下「第2の記録領域」と称する。)が確保されているかを判定して判定結果をループ録画部57に返す。
【0065】
判定の結果、第2の記録領域が確保されていない場合(S101のNo)、ループ録画部57は、記録領域形成部54に第2の記録領域の確保を指示する。記録領域形成部54は、HDD部14の第2のAVストリームファイル45に第2の記録領域を形成し、その始点および終点の論理アドレスをループ録画部57に返す(S102)。記録領域形成部54は、第2の記録領域として、番組上限数と対応するように領域を確保する。
この時点では、番組上限数が保持されている。従って、先に述べたように、たとえば「HD(High Definition)映像、デジタル放送規格上の最高転送レート、時間長4時間」のように比較的余裕を持った形でモデル化した番組を、保持されている番組上限数の分記録できるようなサイズで、AVストリームファイル02の記録領域が確保される。
その際、安全のために更にマージンを設けた形でAVストリームファイル02の記録領域を確保してもよい。
【0066】
なお、この例では設定された番組上限数を“4”とする。つまり以下の図6から図11までの例では、ループ録画で延々と記録されるコンテンツ内の部分領域は最大4個まで存在できる。即ち、部分領域と対応している番組が、該コンテンツ内に最大4個まで残される。
【0067】
記録領域が確保されると、ループ録画部57は、録画開始時点の初期状態の管理情報41を生成して内部メモリ上に保持する。具体的には、ループ録画部57は、管理情報管理部51に対し、プログラム群情報42や参照情報、AVファイル情報43のうち録画するコンテンツ全体に関わる管理情報41の生成を指示する。指示を受けると、管理情報管理部51は、記録領域形成部54が返した第2の記録領域の始点および終点の論理アドレスをループ録画部57から受け取り、AVファイル情報43のタイムマップ情報として設定する。
【0068】
ループ録画部57は、PSエンコーダ部12またはストリームプロセッサ部22から送られるビデオデータおよびオーディオデータを、HDD部14上の第2のAVデータストリームファイル45に確保された第2の記録領域に記録する(S103)。なお、第2の記録領域への記録中、管理情報管理部51は、AVデータストリームの記録の進行分を反映させたタイムマップ情報を刻々と生成してメモリ上のAVファイル情報43に記録する。
【0069】
図6は、第2のAVストリームファイル45の第2の記録領域へループ録画が行なわれている様子を示している。図6では、新たにPG#nというタイトルとして、ループ録画によるコンテンツの記録を行なっている。図6に示すように、第2の記録領域内にループ録画で記録するAVデータストリーム(細線の斜線部)が記録されており、管理情報であるタイムマップ情報がその第2の記録領域に記録されたAVデータストリームと対応している。
この図6の状態では、ループ録画開始時から録画している番組は、まだ終了していない。
【0070】
次に、ループ録画されているコンテンツの中で番組の切れ目を検知したかどうかを判定する(S104)。EPG(ELECTRONIC PROGRAM GUIDE、電子番組表)画面の表示単位である番組と連動する形で番組の切れ目を検知する。たとえば、EPG画面の表示に利用される番組情報から取得した情報(番組の開始時刻、終了時刻や番組の時間長など)と、記録装置10に内蔵された時計から取得した時刻情報やコンテンツ内の部分領域の時間長などの情報を勘案して、番組の切れ目を検知する。なお、番組の切れ目を検知する手法は問わない。
番組の切れ目を検知した場合には、続くステップS105へ進む。一方、検知しない場合は、ステップS105をスキップしてステップS106へ進む。
【0071】
さらに、ステップS104で検知した番組の切れ目の位置に、ループ録画で延々と記録しているコンテンツ内における部分領域の境界情報を設定する(ステップS105)。たとえば、録画しているコンテンツ内にチャプターという部分領域を設定できる記録装置10では、番組の切れ目の位置でチャプター分割を実施する。但し、これは一例であり、録画中のコンテンツ内に何らかの形で部分領域を設定できるものであれば特に形態は問わない。
【0072】
いずれにせよ、EPG画面の表示単位である番組と連動する形で、ループ録画で延々と記録しているコンテンツ内に部分領域が設定される。すなわち、個々の部分領域はEPG画面で表示されている個々の番組と対応しており、またループ録画で延々と記録しているコンテンツ内の部分領域の数は該コンテンツに含まれる番組の数となる。
【0073】
続いて、ループ録画で延々と記録しているコンテンツ内の部分領域の数、すなわち該コンテンツに含まれる番組の数を評価して処理を分岐する(ステップS106)。
ここでは、番組上限数が実施形態の記録装置10上に保持されている。この番組上限数と、現在録画中のコンテンツ内の部分領域の数(すなわち該コンテンツ内の番組数)とを比較する。現在録画中のコンテンツ内の部分領域の数が番組上限数を超過している場合にはステップS107へ進む。超過していない場合はステップS107をスキップしてステップS108へ進む。
【0074】
ステップS107では、録画中のコンテンツ内の部分領域の数が番組上限数以下となるよう、時間的に古いほうから部分領域を削除する。具体的には、時間的に古いほうから部分領域の単位で管理情報の一部を削除する。
従来のループ録画では、コンテンツの時間長がループ時間を超過しないような制御を行っていたため、コンテンツの時間長がループ時間で飽和していた。これに対して、本実施形態の記録装置10ではコンテンツ内の部分領域数(番組数)が飽和する形式であるため、コンテンツの時間長は必ずしも一定値では飽和しない。
【0075】
図7は、第2のAVストリームファイル45に対するループ録画が、図6に示した状態からもう少し進行した状態を示している。即ち、ループ録画が進行して、番組の切れ目の位置に部分領域の境界情報が設定され、これによりループ録画で延々と記録しているコンテンツ内に4つの部分領域が存在している。すなわち、該コンテンツ内に放映済みの番組が既に3個存在し、現在放映中の4個目の番組の録画が実施されている。
【0076】
なお、部分領域の境界情報の設定に際して、先に説明したように、EPG画面の表示に使用される番組情報を参照することにより、EPG画面の表示単位である番組とコンテンツ内の部分領域を対応させている。
【0077】
図8は、第2のAVストリームファイル45に対するループ録画が更に進行した状態を示している。
ここではAVストリームファイル02に対するAVデータストリームの記録は更に進んでおり、ループ録画開始時点から数えて5個目の番組の録画が実施されている。
【0078】
先に記したように、この例では番組上限数は“4”と設定されている。このため、時間的にもっとも古い1個目の番組に相当する部分領域の管理情報を削除することにより、番組上限数の4個に抑えている。
【0079】
管理情報に含まれているタイムマップ情報の終点はAVデータストリームの記録進行位置の論理アドレスを指し示しており、またこの録画進行位置の時間が参照情報の終了点のタイムスタンプ情報として記述される。一方で、1個目の番組に相当する部分領域の管理情報が削除されている。このため、管理情報に含まれているタイムマップ情報の始点は、現在ループ録画上残されている番組の中で時間的に最も古い2個目の番組に相当する部分領域の始点位置の論理アドレスを指し示すように書き換えられている。この書き換えられた位置の時間が新たな参照情報の開始点のタイムスタンプ情報として記述される。
【0080】
この図8では、2個目の番組から5個目の番組までの4個の番組に相当する、管理情報が指し示している部分のAVデータストリームのみが有効なAVデータストリームとなる。これに対し、1個目の番組に対応していた、管理情報が削除された部分は無効なAVデータストリームとなる。この部分は、ループ録画が進行して第2のAVストリームファイル45のシークが発生すると、新たなAVデータストリームが上書きされる。
【0081】
図9は、さらにまたAVストリームファイル02に対するループ録画が進行した状態を示している。
ここでは、ループ録画開始時点から数えて6個目の番組の録画が実施されている。ここでも先の図8と同様に、この時点で時間的にもっとも古い2個目の番組に相当する部分領域の管理情報を削除することにより、番組上限数の4個に抑えている。
【0082】
この図9の例では、6個目の番組の録画の最中にAVストリームファイル02の終点に到達したことにより、ファイルポインタのシークと、管理情報が削除された無効なAVデータストリームが記録された領域に対する上書き記録が発生している。そのため、6番目の番組は、前半部が番組6(1)、後半部が番組6(2)という形で分かれて記録されている。
【0083】
この図9では、分かれて記録されている番組6(1)と番組6(2)のそれぞれのAVデータストリームに対して別々の参照情報やタイムマップ情報が設けられている例を示している。但し、一組の参照情報とタイムマップ情報が包括的に対応するような形態を採ってもよい。
【0084】
ステップS108では、ループ録画上残っている番組の中から選択した番組の保存を行うか否かを判定して処理を分岐している。
保存を行わない場合には、前記ステップS103へ戻り、引き続きループ録画を継続する。一方、選択した番組を保存する場合には、次のステップS109へ進む。
【0085】
ここで、キー入力部35の保存ボタン62を押下すること等により番組保存指示を受けると(S108のYes)、番組情報取得部60は、番組情報処理部36から現在ループ録画を行っている番組の番組情報を受け、当該番組の開始時刻情報や終了時刻情報、番組の時間長情報などを取得する。番組情報取得部60は、取得した時刻情報・時間長情報を番組数管理部59に送る。
【0086】
ここで、キー入力部35およびディスプレイDを介して行われる保存指示の様子を説明する。
図12から図17までは、本発明を適用した映像録画再生装置における電子番組表の画面表示の変遷を表す一連の図である。
また、この一連の図では、電子番組表の表示画面内で番組の保存操作を実施した際の画面表示の変遷も示している。
ここでは、番組上限数は“4”であるとする。また、コンテンツ内の部分領域は、既に述べたように、このEPG画面上に表示されている番組と対応している。
【0087】
図12は、ループ録画を開始した直後にEPG画面が表示されたときのディスプレイDの表示内容を示している。管理情報管理部51は、EPG表示73をディスプレイDに表示する。ここでは、電子番組表71がテレビ画面に表示されており、またEPG表示73のうち、現在ループ録画を実行中の番組74にフォーカスが当たっている。
【0088】
次に図13は、ループ録画が更に進行した時点でEPG画面が表示されたときのテレビ画面の様子を示している。この例では、ループ録画開始時点から数えて2個目の番組の録画中であり、該2個目の番組75にフォーカスが当たっている。
ここで、既に放映が終了した番組については、通常はEPG画面上には表示されなくなるが、本実施形態の記録装置10では、ループ録画上残されている番組には、放映が終了してもループ録画上残されている間はEPG画面上に表示し続ける。この結果、ループ録画上どのような番組が残されているのかをユーザに提示している。
この図13の例では、EPG画面上に、先に説明した図12の時点では録画中であった番組74の情報を表示し続けており、該番組がループ録画上まだ残されていることをユーザに示している。
【0089】
続く図14では、更にまたループ録画が進行した時点でEPG画面が表示されたときのテレビ画面の様子を示している。この例では、ループ録画開始時点から数えて5個目の番組の録画中であり、該5個目の番組76にフォーカスが当たっている。先に述べたように、この例では番組上限数は“4”と設定されている。そのため、番組上限数の4個に抑えるために、コンテンツ内の部分領域のうち、時間的にもっとも古い1個目の番組に相当する部分領域の管理情報が削除される。このことをユーザに提示するため、先に説明した図12の時点では録画中であった番組74の情報がEPG画面上から削除されている。
【0090】
なお、この図14の例では、ループ録画上残されている番組を提示するために既に放映が終了した時間帯を表示している。但し、現在放映中の時間帯をEPG画面の最上段に表示するようにして、ループ録画上残されている番組を確認するときのみEPG画面をスクロールして既に放映が終了した時間帯を表示するようにしてもよい。
【0091】
図15は、先に図14を使用して説明した時点、つまりループ録画開始時点から数えて5個目の番組を録画している時点において、EPG画面上で保存対象の番組を選択した際のテレビ画面の様子を示している。元々は現在ループ録画で録画中の番組77にフォーカスが当たっていた。この時点では、リモコンの操作などにより、既に放映が終了しているがループ録画上は残っている番組78(この例では、ループ録画開始時点から数えて4個目の番組)にフォーカスを当てて、該番組を保存対象の番組として選択されている。
【0092】
続いて図16は、番組保存操作のメニューが呼び出されたときのテレビ画面の様子を示している。この図16の例では、ユーザのリモコン操作などにより、メニュー画面78が表示されている。引き続き、ユーザがリモコンカーソルボタン64をユーザが操作することにより、ループ録画で録画される番組の保存メニューが選択され、該メニューにフォーカス77が当てられている。最後に図17は、ユーザによる番組の保存操作が実施されたときのディスプレイDの表示内容を示している。ここでは、ユーザのリモコン操作により、図17に示すようなメニュー画面上で選択された番組保存機能が実施され、メッセージ81が表示される。
【0093】
このように、放映が終了してもループ録画上残されている番組の情報をEPG画面上に表示し続けることにより、ユーザはループ録画上残されている番組を一意に識別することが可能となる。
また、EPG画面上での簡便な操作により、途中から後半のみといった中途半端な状態ではない、完全な状態の番組を保存することができる。
【0094】
番組を保存する場合(S108のYes)、ループ録画部57は、ループ録画を停止する(S109)。ここでは、第2のAVストリームファイル45に対するAVデータストリームの記録を停止すると共に、タイムマップ情報の生成などの管理情報41の更新処理も停止する。
【0095】
ループ録画が停止されると、記録領域移動部58は、保存対象として選択された番組に対応する部分領域の管理情報が指し示すAVデータストリームが記録された領域を、第2のAVストリームファイル45から、アーカイブファイルである第1のAVストリームファイル44に移し替える(S110)。
【0096】
たとえばUDF(Universal Disk Format)規格に基づくファイルシステムを使用している場合、記録領域移動部58は、保存対象として選択された番組に対応するAVデータストリームが記録された領域に相当するエクステントを、第2のAVストリームファイル45のファイルエントリから第1のAVストリームファイル44のファイルエントリに移し替える。より具体的には、第2のAVストリームファイル45のファイルエントリが指し示しているエクステントを、第1のAVストリームファイル44のファイルエントリが指し示す形となるよう、双方のAVストリームファイルのファイルエントリの記述が書き換えられる。
【0097】
図10は、ユーザにより番組の保存指示が行われた状態を示している。
この例では、ループ録画上残されている番組のうち、ループ録画開始時点から数えて4個目の番組が保存対象の番組として選択されており、該4個目の番組に相当する部分の記録領域がAVストリームファイル02からAVストリームファイル01へと移し替えられる。
【0098】
たとえばUDF(Universal Disk Format)規格に基づくファイルシステムを使用している場合、保存対象として選択された4個目の番組に相当する部分領域の管理情報が指し示しているAVデータストリームが記録された領域に相当するエクステントが、第2のAVストリームファイル45のファイルエントリから第1のAVストリームファイル44のファイルエントリに移し替えられる。より具体的には、第2のAVストリームファイル45のファイルエントリが指し示しているエクステントを、第1のAVストリームファイル44のファイルエントリが指し示す形となるよう、双方のAVストリームファイルのファイルエントリの記述が書き換えられる。これと併せて、コンテンツPG#nのタイムマップ情報も、移し替え先である通常録画用の第1のAVストリームファイル44内の論理アドレスを指し示すように書き換えられる。なお、4個目の番組に相当する部分領域以外の、移し替えの対象ではない領域は未使用状態とされ、次回のループ録画の際に再利用される形になる。
【0099】
ここで、ループ録画の場合、保存対象番組に対応するAVデータストリームが記録された領域が、第2のAVストリームファイル45の記録領域の末尾部に前半が、該領域先頭部に後半がといった形で分かれて存在することがある。この場合、記録領域移動部58は、第2のAVストリームファイル45から第1のAVストリームファイル44に移し替える際、再生順序の整合を取りつつ移し替える必要がある。併せて、記録領域移動部58は、保存対象番組に対応していないAVデータストリーム(標準ループ時間以外のアクセス不可となったデータストリーム)を廃棄する。これは、移し替えの対象ではないAVデータストリームが記録された領域を未使用状態とし、次回の録画の際に再利用するためである。なお、この移し替え処理の際、記録領域移動部58は、管理情報41に含まれているタイムマップ情報について、第1のAVストリームファイル44内の論理アドレス情報を指し示すように書き換える。従って、メモリ上に保持されている管理情報の管理情報ファイルへの書き込みは、この移し替え処理の終了後に実施される。
【0100】
最後に、記録領域形成部54は、第2のAVストリームファイル45が所定の量の空き領域を有するように再設定し、新たな記録対象ファイルとして次回のループ録画に使用可能な状態とする。この工程は、先に説明したステップ102と同様である。
このステップS111でも、前記ステップS102と同じように、たとえば「HD(High Definition)映像、デジタル放送規格上の最高転送レート、時間長4時間」のように比較的余裕を持った形でモデル化した番組を、保持されている番組上限数の分記録できるようなサイズでもって、AVストリームファイル02の記録領域を確保して次回のループ録画に備える。
その際、安全のために更にマージンを設けた形でAVストリームファイル02の記録領域を確保してもよい。
【0101】
図11は、保存対象として選択された4個目の番組が記録された領域のエクステントの移し替えの終了後の状態を示している。ここではコンテンツの保存処理が終了した後の第2のAVストリームファイル45に所定の空き領域を確保して、新たなループ録画に備えている。
このように、番組と対応している部分領域の単位で管理情報を削除することにより、途中から後半のみといったような中途半端な状態の番組をループ録画上残すことがなく、完全な状態の番組を保存することができる。
【0102】
このように、この実施形態の記録装置10によれば、管理情報管理部51が、通常録画の管理情報とループ録画の管理情報とを、共通のプログラム群情報42およびAVファイル情報43により管理するので、通常録画・ループ録画の区別なくプログラム情報としてユーザに提供することができる。
【0103】
また、この実施形態の記録装置10によれば、ループ録画領域として比較的大きい領域を確保するので、ループ録画中に当該録画中の番組の保存指示がなされた場合でも、番組すべてを記録することができる。さらに、この実施形態の記録装置10によれば、時間長ではなく、番組と対応した部分領域の数を制御するループ録画の仕組みであり、部分領域の単位(つまり番組単位)で管理情報を削除する。このため、“途中から後半のみ”といった中途半端な状態でループ録画上に残すことがなく、完全な番組を保存することができ、ユーザの利便性が向上される。また、放映が終了してもループ録画により保持されている番組をEPG画面上で表示し続けることにより、一意に識別可能となり、ユーザの利便性を向上される。
【0104】
(第2の実施形態)
次に、図18ないし図26を参照して、本発明の他の実施形態に係る記録装置について説明する。図18は、本発明の第2の実施形態に係る記録装置のループ録画動作を示すフローチャート、図19ないし図26は、同じくループ録画動作を示す模式図である。第2の実施形態の記録装置は、図1および図3に示す第1の実施形態の記録装置と同様の構成を有しており、ループ録画領域を複数備えた点のみが相違している。そこで、重複する説明を省略する。
なお、ここでは、設定された番組上限数は“4”であるとする。つまり以下の図20から図26までの例では、ループ録画で延々と記録しているコンテンツ内の部分領域の数は最大4個まで存在できる。部分領域と対応している番組が、該コンテンツ内に最大4個まで残されるということになる。
【0105】
この実施形態では、2つのAVストリームファイルを使用することにより、一方のAVストリームファイルに対してループ録画を実施しつつ、並行してもう一方のAVストリームファイルからアーカイブファイルである第1のAVストリームファイル44に対して記録領域の移し替えを行うことで、コンテンツの保存を実現する。第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、ループ録画に使用する第2のAVストリームファイル45および第3のAVストリームファイル46の記録領域は、録画開始に先立って充分に大きなサイズで確保される。
【0106】
初期状態の管理情報41、第1のAVストリームファイル44、および、第2のAVストリームファイル45の様子を図19に示す。ここでは、通常録画に使用される第1のAVストリームファイル44に、通常録画のための第1の記録領域が確保されている。一方、ループ録画に使用される第2のAVストリームファイル45および第3のAVストリームファイル46に、ループ録画のための第2および第3の記録領域が確保されている。図21に示す例では、通常録画で記録されたプログラム群情報42として、PG#1からPG#mまでのタイトルが既に記録され、第1のAVストリームファイル44上に録画済領域が形成されている。
【0107】
図19に示すように、管理情報41は、3つのAVストリームファイルに記録されたAVデータストリームを、包括的に管理している。すなわち、記録対象が第1ないし第3のいずれのAVストリームファイルであっても、1つの管理情報ファイルで管理される。
【0108】
また、ループ録画によりAVデータストリームが第2または第3のストリームファイル45または46に記録されると、その記録された領域は、ループ録画の停止後に、再生順序の整合を取りつつ第2または第3のAVストリームファイル45または46から第1のAVストリームファイル44へと移し替えられる。たとえばUDF(Universal Disk Format)規格に基づくファイルシステムを使用している場合であれば、第2または第3のAVストリームファイル45または46上でループ録画によりAVデータストリームが記録された領域に相当するエクステントが、第2または第3のAVストリームファイル45または46のファイルエントリから第1のAVストリームファイル44のファイルエントリに移し替えられる。より具体的には、第2または第3のAVストリームファイル45または46のファイルエントリが指し示しているエクステントを、第1のAVストリームファイル44のファイルエントリが指し示す形となるよう、双方のAVストリームファイルのファイルエントリの記述が書き換えられる。このように、第1のAVストリームファイル44は、通常録画の記録対象としての用途に加えて、ループ録画で記録したコンテンツを保存するためのアーカイブファイルとしても機能する。
【0109】
この実施形態においても、ループ録画に使用する第2のAVストリームファイル45の記録領域は、録画開始に先立ち、長時間分のコンテンツが記録可能となるような充分に大きなサイズでもって確保される。
このサイズは、記録品質(圧縮率やビットレートなど)に依存するが、一例として、数時間程度の長さを有する比較的長時間の番組を余裕を持って記録できるだけのサイズを確保することが望ましい。番組の長さだけでなく放送信号の転送レートも考慮する必要があるので、たとえば地上波/BS/CSデジタル放送の規格上考え得る最大ビットレートのAVストリームを長時間記録するような状況を想定して標準値を設定すれば、比較的余裕をもって記録領域を確保することが可能になる。
【0110】
続いて、ループ録画の動作について詳細に説明する。例えばキー入力部35のループ録画ボタン61を押下すること等によりループ録画の指示を受けると、録画方式識別部53は、ループ録画部57にループ録画処理を指示する。ループ録画指示を受けると、ループ録画部57は、記録領域監視部55に対しループ録画のための記録領域が確保されているか問い合わせる(S201)。問い合わせを受けると、記録領域監視部55は、ループ録画の記録領域が第1ないし第3のAVストリームファイル44ないし46のどれに確保されているかをFS管理部52に問い合わせる。この例では、ループ録画は第2および第3のAVストリームファイル45および46に割り当てられているので、ループ録画用のファイルシステムとして第2または第3のAVストリームファイル45または46が存在するファイルシステムを返答する。記録領域監視部55は、FS管理部52が返したファイルシステム上の第2または第3のAVストリームファイル45または46上にループ録画のための記録領域(「第2の記録領域」または「第3の記録領域」)が確保されているかを判定して判定結果をループ録画部57に返す。ここでは、第2のAVストリームファイル45上に第2の記録領域が確保するものとして説明する。
【0111】
判定の結果、第2または第3の記録領域が確保されていない場合(S201のNo)、ループ録画部57は、記録領域形成部54に第2の記録領域の確保を指示する。記録領域形成部54は、HDD部14の第2のAVストリームファイル45に第2の記録領域を形成し、その始点および終点の論理アドレスをループ録画部57に返す(S202)。
この時点では、先に説明した処理によって設定された番組上限数が既に保持されている。従って、先に述べたように、たとえば「HD(High Definition)映像、デジタル放送規格上の最高転送レート、時間長4時間」のように比較的余裕を持った形でモデル化した番組を、保持されている番組上限数の分記録できるようなサイズでもって、AVストリームファイル02とAVストリームファイル03の記録領域を確保する。その際、安全のために更にマージンを設けた形でAVストリームファイル02の記録領域を確保してもよい
【0112】
記録領域が確保されると、ループ録画部57は、ループ録画の記録領域として、第2のAVストリームファイル45を選択し、録画開始時点の初期状態の管理情報41を生成して内部メモリ上に保持する(S203)。具体的には、ループ録画部57は、管理情報管理部51に対し、プログラム群情報42や参照情報、AVファイル情報43のうち録画するコンテンツ全体に関わる管理情報41の生成を指示する。指示を受けると、管理情報管理部51は、記録領域形成部54が返した第2の記録領域の始点および終点の論理アドレスをループ録画部57から受け取り、AVファイル情報43のタイムマップ情報として設定する。
【0113】
ループ録画部57は、PSエンコーダ部12またはストリームプロセッサ部22から送られるビデオデータおよびオーディオデータを、HDD部14上の第2のAVデータストリームファイル45に確保された第2の記録領域に記録する(S204)。
なお、第2の記録領域への記録中、管理情報管理部51は、AVデータストリームの記録の進行分を反映させたタイムマップ情報を刻々と生成してメモリ上のAVファイル情報43に記録する。図20は、第2のAVストリームファイル45の第2の記録領域へループ録画が行なわれている様子を示している。図20では、新たにPG#oというタイトルとして、ループ録画によるコンテンツの記録を行っている。図20に示すように、第2の記録領域内にループ録画で記録するAVデータストリーム(細線の斜線部)が記録されており、管理情報であるタイムマップ情報がその第2の記録領域に記録されたAVデータストリームと対応している。この図20の状態では、ループ録画開始時から録画している番組は、まだ終了していない。
【0114】
続くステップS205では、ループ録画により延々と記録しているコンテンツの中で番組の切れ目を検知したかどうかを判定して処理を分岐している。これはたとえば、EPG画面の表示に使用される番組情報から取得した番組の開始時刻、終了時刻や番組の時間長などの情報と、本実施形態の記録装置10に内蔵された時計から取得した時刻情報やコンテンツ内の部分領域の時間長などの情報を勘案することにより番組の切れ目を検知する方法などが一例として挙げられる。EPG画面の表示単位である番組と連動する形で番組の切れ目を検知するという目的を達成するものであるならば、特に手法は問わない。
【0115】
番組の切れ目を検知した場合には、続くステップS206へ進む。一方、検知しない場合は、ステップS206をスキップしてステップS207へ進む。
【0116】
ステップS206では、ステップS205で検知した番組の切れ目の位置に、ループ録画で延々と記録しているコンテンツ内における部分領域の境界情報を設定する。たとえば、録画しているコンテンツ内にチャプターという部分領域を設定できる映像録画再生装置が存在するが、このような映像録画再生装置の例では、番組の切れ目の位置でチャプター分割を実施するという形態となる。無論、これはあくまで一例であり、録画中のコンテンツ内に何らかの形で部分領域を設定できるものであれば特に形態は問わない。
【0117】
いずれにせよ、このステップS206で実施する処理により、EPG画面の表示単位である番組と連動する形で、ループ録画で延々と記録しているコンテンツ内に部分領域が設定される。すなわち、個々の部分領域はEPG画面で表示されている個々の番組と対応しており、またループ録画で延々と記録しているコンテンツ内の部分領域の数は該コンテンツに含まれる番組の数となる。
【0118】
続いてステップS207では、ループ録画で延々と記録しているコンテンツ内の部分領域の数、すなわち該コンテンツに含まれる番組の数を評価して処理を分岐している。先に説明した処理により、番組上限数が録画装置10上に保持されている。この番組上限数と、現在録画中のコンテンツ内の部分領域の数(すなわち該コンテンツ内の番組数)とを比較する。
現在録画中のコンテンツ内の部分領域の数が番組上限数を超過している場合にはステップS208へ進む。超過していない場合はステップS208をスキップしてステップS209へ進む。
【0119】
ステップS208では、録画中のコンテンツ内の部分領域の数が番組上限数以下となるよう、時間的に古いほうから部分領域を削除する。具体的には、時間的に古いほうから部分領域の単位でもって管理情報を削除する。
従来のループ録画では、コンテンツの時間長がループ時間を超過しないような制御を行っていたため、コンテンツの時間長がループ時間で飽和していたが、本実施形態の記録装置10ではコンテンツ内の部分領域数(番組数)が飽和する形式であるため、コンテンツの時間長は必ずしも一定値で飽和しない。
【0120】
図21は、第2のAVストリームファイル45に対するループ録画が、図20に示した状態からもう少し進行した状態を示している。この図21の例では、更にループ録画が進行して、番組の切れ目の位置に部分領域の境界情報が設定され、これによりループ録画で延々と記録しているコンテンツ内に4つの部分領域が存在している。すなわち、該コンテンツ内に放映済みの番組が既に3個存在し、現在放映中の4個目の番組の録画が実施されている。
ここで、部分領域の境界情報の設定に際して、先にステップS205およびステップS206で説明したように、EPG画面の表示に使用される番組情報を参照することにより、EPG画面の表示単位である番組とコンテンツ内の部分領域を対応させている。
【0121】
図22は、第2のAVストリームファイル45に対するループ録画が更に進行した状態を示している。
ここではAVストリームファイル02に対するAVデータストリームの記録は更に進んでおり、ループ録画開始時点から数えて5個目の番組の録画が実施されている。
ここで、先に記したように、この例では番組上限数は“4”と設定されているので、時間的にもっとも古い1個目の番組に相当する部分領域の管理情報を削除することにより、番組上限数である4個に抑えている。
【0122】
管理情報に含まれているタイムマップ情報の終点はAVデータストリームの記録進行位置の論理アドレスを指し示しており、またこの録画進行位置の時間が参照情報の終了点のタイムスタンプ情報として記述されるが、その一方で、1個目の番組に相当する部分領域の管理情報が削除されたことにより、管理情報に含まれているタイムマップ情報の始点は、現在ループ録画上残されている番組の中で時間的に最も古い2個目の番組に相当する部分領域の始点位置の論理アドレスを指し示すように書き換えられ、また、この書き換えられた位置の時間が新たな参照情報の開始点のタイムスタンプ情報として記述される。
【0123】
この図22では、2個目の番組から5個目の番組までの4個の番組に相当する、管理情報が指し示している部分のAVデータストリームのみが有効なAVデータストリームとなる。これに対し、1個目の番組に対応していた、管理情報が削除された部分は無効なAVデータストリームとなる。この部分は、ループ録画が進行して第2のAVストリームファイル45のシークが発生すると、新たなAVデータストリームファイルが上書きされる。
【0124】
図23は、さらにまたAVストリームファイル02に対するループ録画が進行した状態を示している。ここでは、ループ録画開始時点から数えて6個目の番組の録画が実施されている。ここでも先の図22と同様に、この時点で時間的にもっとも古い2個目の番組に相当する部分領域の管理情報を削除することにより、ループ録画上残されている番組数を番組上限数の4個に抑えている。
【0125】
図24は、ユーザによる番組の保存指示が行われたときの状態を示している。この例では、ループ録画上残されている番組のうち、ループ録画開始時点から数えて4個目の番組が保存対象の番組として選択される。
ユーザによる番組の保存操作が行われると、AVストリームファイル02に対するループ録画を停止して、切り替えられた新たな記録対象ファイルであるAVストリームファイル03に対してループ録画が継続実施される。
この図24の例では、ループ録画開始時点から数えて6個目の番組の録画中にユーザによる保存操作がなされたと仮定し、該6個目の番組の放映が終了した後で記録対象ファイルをAVストリームファイル02からAVストリームファイル03に切り替えている。
つまり、番組の切れ目の位置に到達した時点でAVデータストリームの記録対象ファイルを切り替えるという遅延処理を行っており、図24の例の時点でループ録画上残されている4つの番組のうち、ループ録画開始時点から数えて4個目の番組から6個目の番組までのAVデータストリームはAVストリームファイル02上に記録されており、ループ録画開始時点から数えて7個目の番組はAVストリームファイル03上で現在録画中となっている。
【0126】
また、この図24の例では、AVデータストリームの記録対象ファイルを切り替えた際、連動してコンテンツの管理情報を分割している。ここでは、AVストリームファイル02上に記録されている3つの番組についてはコンテンツPG#oとしているが、AVストリームファイル03上に記録中の番組は新たにコンテンツPG#pとして記録している。
従って、ループ録画としては継続実行しているものの、管理情報としてのコンテンツと、AVデータストリームが記録されているAVストリームファイルは、この時点ではそれぞれ2つに分かれていることに留意する必要がある。例えばこの図24の時点で、ループ録画開始時点から数えて7個目の番組の録画中に追っかけ再生を行う場合、ループ録画上残されている4個の番組のうち、前記7個目の番組はコンテンツPG#p/AVストリームファイル03を参照して追っかけ再生を行うが、ループ録画開始時点から数えて4個目の番組から6個目の番組まではコンテンツPG#o/AVストリームファイル02を参照して追っかけ再生を行う必要がある。
【0127】
続いて図25は、AVデータストリームの記録対象ファイルを切り替えた後、更にループ録画が進行したときの状態を表している。この時点では、ループ録画が更に進行し、ループ録画開始時点から数えて10個目の番組の録画が実施されている。
【0128】
この時点では、ループ録画開始時点から数えて7個目の番組から10個目の番組までの、ループ録画上残される4個の番組がすべてAVストリームファイル03上に存在する形となっている。これにより、AVストリームファイル02は追っかけ再生でも参照されることがなくなったため、AVストリームファイル02は保存対象ファイルとみなされ、既に保存対象として選択されているループ録画開始時点から数えて4個目の番組に相当する部分の記録領域がAVストリームファイル02からAVストリームファイル01へと移し替えられる。すなわち、AVストリームファイル02が保存対象ファイルとして扱われることに特化されるのを待って移し替えを行うという遅延処理を行っている。
【0129】
記録領域監視部55は、ループ録画部57の記録処理中、ループ録画部57が記録している第2の記録領域の状態を監視してループ録画部57に通知している(S212)。具体的には、記録領域監視部55は、管理情報管理部51が生成したタイムマップ情報からAVデータストリームファイルが記録メディア上のどの位置(第2のAVストリームファイル45上のどの位置)まで記録されたかを求め、保持されている標準ループ時間(あるいは保存指示がなされた番組に対応する時間長の位置)と比較することにより、ループ録画の終点到達を判定する。
【0130】
ステップS209では、ループ録画上残っている番組の中から選択した番組の保存を行うか否かを判定して処理を分岐している。保存を行わない場合には、前記ステップS204へ戻り、引き続きループ録画を継続する。一方、選択した番組の保存を行う場合には、次のステップS210へ進む。
【0131】
番組を保存する場合(S209のYes)、ループ録画部57は、ループ録画を停止する(S210)。ここでは、第2のAVストリームファイル45に対するAVデータストリームの記録を停止すると共に、タイムマップ情報の生成などの管理情報41の更新処理も停止し、ループ録画された部分を保存対象ファイルに設定する。
【0132】
ループ録画部57は、ループ録画の記録領域として、第3のAVストリームファイル46を選択し、録画開始時点の初期状態の管理情報41を生成して内部メモリ上に保持する(S211)。これにより、以後のループ録画はこれまでループ録画を実行してきた第2のAVストリームファイル45ではなく、第3のAVストリームファイル46に対して行われる。
【0133】
ループ録画が停止されると、記録領域移動部58は、保存対象として選択された番組に対応する部分領域の管理情報が指し示すAVデータストリームが記録された領域を、第2のAVストリームファイル45から、アーカイブファイルである第1のAVストリームファイル44に移し替える(S212/S213)。たとえばUDF(Universal Disk Format)規格に基づくファイルシステムを使用している場合、記録領域移動部58は、保存対象として選択された番組に対応するAVデータストリームが記録された領域に相当するエクステントを、第2のAVストリームファイル45のファイルエントリから第1のAVストリームファイル44のファイルエントリに移し替える。より具体的には、第2のAVストリームファイル45のファイルエントリが指し示しているエクステントを、第1のAVストリームファイル44のファイルエントリが指し示す形となるよう、双方のAVストリームファイルのファイルエントリの記述が書き換えられる。
【0134】
ステップ213と並行して、ループ録画部57は、PSエンコーダ部12またはストリームプロセッサ部22から送られるビデオデータおよびオーディオデータを、HDD部14上の第3のAVデータストリームファイル46に確保された第3の記録領域に記録する(S204)。以後、ループ録画が継続される。
【0135】
記録領域形成部54は、第2のAVストリームファイル45が所定の量の空き領域を有するように再設定し、新たな記録対象ファイルとして次回のループ録画に使用可能な状態とする(S214)。
このステップS214でも、前記ステップS202と同じように、たとえば「HD(High Definition)映像、デジタル放送規格上の最高転送レート、時間長4時間」のように比較的余裕を持った形でモデル化した番組を、設定されて保持されている番組上限数の分記録できるようなサイズでもって、AVストリームファイル02の記録領域を確保して次回のループ録画に備える。その際、安全のために更にマージンを設けた形でAVストリームファイル02の記録領域を確保してもよい。
【0136】
ループ録画処理を継続する場合、ステップ204に戻り、ループ録画部57は、ループ録画を継続する(S215のNo/「A」)。
【0137】
ユーザの番組の保存操作により、第2のAVストリームファイル45に対するループ録画が停止され、切り替えられた新たな記録対象ファイルである第3のAVストリームファイル46に対してループ録画が継続実施されている。
具体的には、保存対象番組に相当する部分の記録領域が、第2のAVストリームファイル45から第1のAVストリームファイル44へと移し替えられている。
【0138】
ここで、たとえばUDF(Universal Disk Format)規格に基づくファイルシステムを使用している場合であれば、保存対象として選択された4個目の番組に相当する部分領域の管理情報が指し示しているAVデータストリームが記録された領域に相当するエクステントが、AVストリームファイル02のファイルエントリからAVストリームファイル01のファイルエントリに移し替えられる。より具体的には、第2のAVストリームファイル45のファイルエントリが指し示しているエクステントを、第1のAVストリームファイル44のファイルエントリが指し示す形となるよう、双方のAVストリームファイルのファイルエントリの記述が書き換えられる。これと併せて、コンテンツPG#oのタイムマップ情報も、移し替え先である通常録画用の第1のAVストリームファイル44内の論理アドレスを指し示すように書き換えられる。
【0139】
なお、4個目の番組に相当する部分領域以外の、移し替えの対象ではない領域は未使用状態とされ、次回のループ録画の際に再利用される形になる。
なお、移し替えの対象であったループ録画開始時点から数えて4個目の番組、およびそれに続いていた破棄対象である5個目の番組および6個目の番組は、この図25の時点までAVストリームファイル02上に存在し続けているが、たとえば再生拒否フラグを設けるなどによって追っかけ再生の対象から外し、またEPG画面上から番組情報の表示を削除するなど、ループ録画上は既に残っていないものとして扱われる。
【0140】
図26は、保存対象番組が記録された領域のエクステントの移し替えの終了後の状態を示している。ここではコンテンツの保存処理が終了した後の第2のAVストリームファイル45に所定の空き領域を確保して、新たなループ録画に備えている。この間も、並行して第3のAVストリームファイル46に対するループ録画は引き続き継続実施されている。
【0141】
ここで、図24に示すように、保存対象番組に対応するAVデータストリームが記録された領域が、第2のAVストリームファイル45の記録領域の末尾部に前半が、該領域先頭部に後半がといった形で分かれて存在することがある。かかる場合、第2のAVストリームファイル45から第1のAVストリームファイル44に移し替える際には、再生順序の整合を取りつつ移し替える必要がある。また、ステップ216では、保存対象番組に対応していないAVデータストリームファイルを廃棄する。これは、移し替えの対象ではないAVデータストリームが記録された領域を未使用状態とし、次回の録画の際に再利用する形になる。なお、この移し替え処理の際に、管理情報に含まれているタイムマップ情報は、第1の第1のAVストリームファイル44内の論理アドレス情報を指し示すように書き換えられる。従って、メモリ上に保持されている管理情報の管理情報ファイルへの書き込みは、この移し替え処理の終了後に実施されることになる。しかしながら、この時点ではまだ並行して第3のAVストリームファイル46に対するループ録画が実施中であるので、実用上は、第3のAVストリームファイル46に対して並行実施しているループ録画が終了した後に管理情報ファイルへの書き込みを行うのが適切であると考えられる。
【0142】
また、上記説明では、ステップ212でループ録画上残っている番組の中から選択した番組の保存を行うことを選択した場合、続くステップ213およびステップ214の処理を経て切り替えた新たな記録対象ファイルに対して改めてステップ204以降の処理を実施してループ録画を再開しているが、構成を簡単にするため、[1]最初の記録対象ファイルに対するループ録画の停止、[2]記録対象ファイルの切り替え、[3]新たな記録対象ファイルに対してループ録画を再開、という単純な手順を採ってもよい。その一方で、たとえばAVストリームデータのバッファ容量を多めに設定して、記録対象ファイルの切り替えに際しての映像の欠落を極力少なくするような工夫を凝らしてもよい。また、最初の記録対象ファイルに対するループ録画の停止よりも少し早いタイミングで新たな記録対象ファイルに対するループ録画を先に開始し、その後もしばらくの間並行して最初の記録対象ファイルに対してループ録画を継続しても良い。いわゆるのりしろ領域を設けることで、記録対象ファイルの切り替えによる映像の欠落を生じないようにする。
【0143】
なお、図19から図26までに示される一連の動作では、管理情報ファイル上、AVデータストリームの記録対象ファイルの切り替えに伴って新たなコンテンツを設けるものとしている。すなわち、図25および図26に示すように、最初に第2のAVストリームファイル45上でループ録画で記録するコンテンツはPG#oとし、記録対象ファイルを切り替えた後に第3のAVストリームファイル46にループ録画で記録するコンテンツは新たなPG#pとしている。しかし、この動作だけに限られるものではなく、たとえば記録対象ファイルを第3のAVストリームファイル46に切り替えた後も新たなコンテンツを設けることなく、コンテンツPG#oの中に、第1のAVストリームファイル44に移し替えられた部分を指し示す参照情報並びにタイムマップ情報と、第3のAVストリームファイル46内でループ録画で記録されているAVストリームを指し示す参照情報並びにタイムマップ情報の双方を含む形であってもよい。
この場合、保存対象の番組をAVストリームファイル02からAVストリームファイル01に移し替える時点で、保存対象の番組のみを新たなコンテンツPG#pとするような形となる。
【0144】
また、上記図24では、ユーザによる保存操作がなされた時点では直ちにAVデータストリームの記録対象ファイルの切り替えを実施せず、該保存操作がなされた時点で録画中であった、ループ録画開始時点から数えて6個目の番組の放映の終了を待ってから記録対象ファイルを切り替えるという遅延処理を行っている。
しかしながら、これはこの形態だけに限定されるものではなく、直ちにAVデータストリームの記録対象ファイルの切り替えを行う形態であってもよい、この場合、前記6個目の番組の追っかけ再生の実施に際しては、この番組がAVストリームファイル02とAVストリームファイル03の2つのAVストリームファイルにまたがっていることに留意する必要がある。
【0145】
また、上記図25では、AVデータストリームの記録対象ファイルをAVストリームファイル03に切り替えた後、ループ録画上残される4個の番組がすべてAVストリームファイル03上に存在する形となってAVストリームファイル02が保存対象ファイルとして扱われることに特化されるのを待ってから保存対象の番組を移し替えるという遅延処理を行っている。
しかしながら、これはこの形態だけに限定されるものではなく、たとえば、AVストリームファイル02上に存在している、保存対象の番組以外でループ録画上残されている番組が破棄される形になるものの、AVデータストリームの記録対象ファイルをAVストリームファイル03に切り替えた後で直ちに保存対象の番組の移し替えを行う形態であってもよい。
【0146】
なお、前記第1の実施例および第2の実施例では、放映されている個々の番組の時間長や転送レートなどは実際には様々な値を有しているため、たとえば前述のように、番組のタイプを「HD(High Definition)映像、デジタル放送規格上の最高転送レート、時間長4時間」のように比較的余裕を持った形でモデル化している。
しかしながら、このモデルを逸脱するような番組が出現することも皆無ではない。
たとえば、解像度や転送レートは前記モデルと同じだが、番組の時間長が前記モデルを超過している場合などが考えられる。この場合、例外的取り扱いとして、一つの番組ではあるがその途中(例えば前記モデルで設定した時間長まで)で複数の部分領域に分割して、擬似的に複数の番組として取り扱うようにしてもよい。
【0147】
ただし、これはあくまで例外的取り扱いのため、このような場合が生じたときにはアラートを表示して、ループ録画の進行に伴い、番組の途中までが削除され、逆に途中以降が残されるような状態が起きることをユーザに告知する仕組みを有してもよい。この場合、EPG画面上で表示されている番組の情報とコンテンツ内の部分領域との関係が多対一対応になることに留意する必要がある。
【0148】
また、このモデル化した番組のタイプをユーザ操作により変更可能な仕組みを有する映像録画再生装置の場合、たとえばHD(High Definition)映像ではなくSD(Standard Definition)映像を前提としていたり、想定する転送レートが低かったり、番組の時間長が短かったりするなど、モデル化した番組のタイプを逸脱するリスクが高い場合にはアラートを表示して、余裕をもった形で番組のタイプをモデル化するよう促す仕組みを有してもよい。
【0149】
一方、EPG(ELECTRONIC PROGRAM GUIDE、電子番組表)画面上で1つの番組として表示されるものであっても、たとえばスポットニュースや天気予報などのように時間長が非常に短い番組が存在する。
【0150】
本実施形態の記録装置10では、ループ時間ではなく番組数に基づく構成を採っているため、このように非常に時間の短い番組も1つの番組として扱うことにより、ある程度の時間長を有した、ユーザにとって必要な番組がループ録画上保持されなくなり、早々に削除されてしまうという弊害が生じることがある。
【0151】
そのため、このような時間長の短い番組については、たとえば直前/直後の時間長の長い番組に含めてしまうか、あるいは連続している時間長の短い番組群を1つにまとめてしまうことなどにより、ループ録画で延々と記録しているコンテンツ内の部分領域の数、すなわち該コンテンツに含まれる番組の数を不用意に増加させないような仕組みを有してもよい。
【0152】
EPG画面に表示される番組情報は番組の放映に先立ってあらかじめ入手可能であるため、このような時間長の短い番組をまとめる処理を実施するか否かは、事前にある程度判断することが可能である。この場合、前記時間長の短い番組をまとめた単位でもって部分領域に分割し、保存対象番組として選択された際にはこの前記時間長の短い番組をまとめた単位でもってアーカイブファイルであるAVデータストリームファイルに移し替えることになる。同様に、ループ録画上保持されず削除された場合も、前記時間長の短い番組をまとめた単位でもってEPG画面上の表示を削除することになる。
【0153】
このように、この実施形態の記録装置によれば、管理情報管理部151が、通常録画の管理情報とループ録画の管理情報とを、共通のプログラム群情報42およびAVファイル情報43により管理するので、通常録画・ループ録画の区別なくプログラム情報としてユーザに提供することができる。
【0154】
また、この実施形態の記録装置によれば、ループ録画領域として比較的大きい領域を確保するので、ループ録画中に当該録画中の番組の保存指示がなされた場合でも、番組すべてを記録することができる。さらに、この実施形態の記録装置によれば、ループ録画を行うループ時間を番組の時間長などに応じて延長可能としたので、ユーザの設定に関わりなく長時間の番組記録が可能となる。
【0155】
(変形例)
続いて、本発明に係る第1および第2の実施形態の変形例について説明する。図29は、本発明の第1の実施形態の変形例に係る記録領域を示す模式図、図30は、同じく第2の実施形態の変形例に係る記録領域を示す模式図である。
【0156】
図27に示す変形例は、記録領域としてのAVストリームファイルを少なくとも3つ設け、通常録画とループ録画にそれぞれ1つずつ(第1および第2のAVストリームファイル44および45)割り当て、さらに、コンテンツの保存に特化した専用のアーカイブファイル(第4のAVストリームファイル47)として割り当てるものである。
【0157】
また、図28に示す変形例は、記録領域としてのAVストリームファイルを少なくとも4つ設け、通常録画にAVストリームファイルを1つ(第1のAVストリームファイル44)、ループ録画にAVストリームファイルを2つ(第2および第3のAVストリームファイル45および46)を割り当て、さらに、コンテンツの保存に特化した専用のアーカイブファイル(第4のAVストリームファイル47)として割り当てるものである。
【0158】
図27および図28に示す変形例によれば、第1のAVストリームファイル44は通常録画のAVデータストリームの記録のみに使用することができるため、記録装置が複数のエンコーダやチューナーを有していれば、ループ録画を実施しつつ、その裏で並行して通常録画を実施することなどが可能となる。その際、ループ録画の終了を待つことなく通常録画で記録したコンテンツを第4のAVストリームファイル47に保存したり、あるいは通常録画の終了を待つことなくループ録画で記録したコンテンツを第4のAVストリームファイル47に保存したりすることが可能であることは、本発明で述べた内容から容易に推測できることは言うまでもない。
【0159】
(その他の実施形態)
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。すなわち、通常録画のためのAVストリームファイルを2以上設けたり、ループ録画のためのAVストリームファイルを3以上設けたり、アーカイブ用のAVストリームファイルを2以上設けたり、あるいはこれらを組み合わせたりしてもよい。
【0160】
上記実施形態の説明ではハードウェア構成を元に説明したが、コンピュータプログラム等のソフトウェアにより実現されてもよい。ソフトウェアは、フレキシブルディスクなどのコンピュータが読み出し可能な記憶媒体に記憶されていても良く、また、ソフトウェア(プログラム)単体として伝送されるものでもよい。この場合、記憶媒体に記憶されたソフトウェア(プログラム)をコンピュータが読み出したり、LANやインターネット上のサイト(サーバ)からダウンロードしてインストールすることにより、各実施形態における処理が可能になる。
【0161】
つまり、本発明におけるソフトウェア(プログラム)は、コンピュータと独立した記憶媒体に記憶されているものだけに限らず、LANやインターネットなどの伝送媒体を介して流通されるものも含まれる。
【0162】
なお、記憶媒体としては、フレキシブルディスクの他、例えば磁気ディスク、光ディスク(CD−ROM、CD−R、DVDなど)、光磁気ディスク(MOなど)、半導体メモリなど、プログラムや記録データを記憶でき、かつコンピュータ等が読み取り可能な記憶媒体であれば、その記憶形式はいずれの形態であっても良い。
【0163】
また、記憶媒体からコンピュータにインストールされたプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)や、データベース管理ソフト、ネットワークソフトなどのMW(ミドルウェア)などが本実施形態を実現するための各処理の一部を実行しても良い。
【0164】
さらに、記憶媒体は、コンピュータと独立した媒体に限らず、LANやインターネットなどにより伝送されたプログラムをダウンロードして記憶または一時記憶した記憶媒体も含まれる。また、記憶媒体は一つに限らず、複数の媒体から本実施形態における処理が実行される場合も本発明における記録媒体に含まれ、媒体構成はいずれの構成であっても良い。
【0165】
なお、コンピュータは、記憶媒体に記憶されたプログラムに基づき、本実施形態における各処理を実行するものであって、パソコンなどの一つからなる装置、複数の装置がネットワーク接続されたシステムなどのいずれの構成であっても良い。
【0166】
また、コンピュータとは、パソコンに限らず、情報処理機器に含まれる演算処理装置、マイコンなども含み、プログラムによって本発明の機能を実現することが可能な機器、装置を総称している。
【図面の簡単な説明】
【0167】
【図1】本発明に係る第1の実施形態の記録装置の構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施形態の記録装置におけるデータ構成の概要を示す模式図である。
【図3】図1に示す録画管理情報制御部の構成を示すブロック図である。
【図4】第1の実施形態に係る記録装置のループ録画動作を示すフローチャートである。
【図5】第1の実施形態における通常録画の記録動作を示す模式図である。
【図6】第1の実施形態におけるループ録画の記録動作を示す模式図である。
【図7】第1の実施形態におけるループ録画の記録動作を示す模式図である。
【図8】第1の実施形態におけるループ録画の記録動作を示す模式図である。
【図9】第1の実施形態におけるループ録画の記録動作を示す模式図である。
【図10】第1の実施形態におけるループ録画の記録動作を示す模式図である。
【図11】第1の実施形態におけるループ録画の記録動作を示す模式図である。
【図12】表示部の表示画面の例を示す図である。
【図13】表示部の表示画面の例を示す図である。
【図14】表示部の表示画面の例を示す図である。
【図15】表示部の表示画面の例を示す図である。
【図16】表示部の表示画面の例を示す図である。
【図17】表示部の表示画面の例を示す図である。
【図18】本発明に係る第2の実施形態の記録装置のループ録画動作を示すフローチャートである。
【図19】本発明に係る第2の実施形態の記録装置のループ録画動作を示すフローチャートである。
【図20】本発明に係る第2の実施形態の記録装置のループ録画動作を示すフローチャートである。
【図21】第2の実施形態におけるループ録画の記録動作を示す模式図である。
【図22】第2の実施形態におけるループ録画の記録動作を示す模式図である。
【図23】第2の実施形態におけるループ録画の記録動作を示す模式図である。
【図24】第2の実施形態におけるループ録画の記録動作を示す模式図である。
【図25】第2の実施形態におけるループ録画の記録動作を示す模式図である。
【図26】第2の実施形態におけるループ録画の記録動作を示す模式図である。
【図27】第1の実施形態の変形例における記録領域を示す模式図である。
【図28】第2の実施形態の変形例における記録領域を示す模式図である。
【符号の説明】
【0168】
1…テレビシステム、10…記録装置、SP…スピーカ、D…ディスプレイ、A1…アナログ用アンテナ、A2…デジタル用アンテナ、11…アナログチューナ部、12…PSエンコーダ部、13…データプロセッサ部、14…HDD部、15…PSデコーダ部、16…セレクタ、17…D/A部、21…デジタルチューナ部、22…ストリームプロセッサ部、25…TSデコーダ部、31…CPU部、32…編集管理情報制御部、33…録画管理情報制御部、34…表示部、35…キー入力部、36…番組情報処理部、51…管理情報管理部、52…FS管理部、53…録画方式識別部、54…記録領域形成部、55…記録領域監視部、56…通常録画部、57…ループ録画部、58…記録領域移動部、59…番組数管理部、60…番組情報取得部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のストリームデータを記録する第1の記録領域を記憶媒体に生成する第1の領域生成部と、
前記第1のストリームデータと異なる第2のストリームデータを繰り返し上書き記録する第2の記録領域を前記記憶媒体に生成する第2の領域生成部と、
前記第1、第2の記録領域を管理する管理情報を前記記録媒体に記録する管理情報記録部と、
前記第2の記録領域に前記第2のストリームデータを記録するデータ記録部と、
前記第2のストリームデータの記録に対応して管理情報を更新することで、前記第2の記録領域内を区分する部分領域を設定し、かつこの部分領域の個数が所定値を越えないようにする管理情報管理部と、
前記第2の記録領域に記録された前記第2のストリームデータを、前記第1の記録領域に移動させる領域移動部と、
を具備したことを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記領域移動部は、前記第2の記録領域に記録された前記第2のストリームデータについて、再生順序の整合性を取りつつ前記第1の記録領域に移動させることを特徴とする請求項1記載の記録装置。
【請求項3】
前記第2のストリームデータを繰り返し上書き記録する、第2の記録領域と異なる第3の領域を前記記憶媒体に生成する第3の領域生成部をさらに具備し、
前記記録部は、前記第2の記録領域への上書き記録を停止し、前記第2の記録領域に代えて前記第3の記録領域に前記第2のストリームデータを記録し、
前記第3の記録領域への記録と並行して、前記領域異動部が、前記第2の記録領域に記録された前記第2のストリームデータを前記第1の記録領域へ移動させることを特徴とする請求項1または2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記管理情報管理部が、電子番組表での番組に対応して、前記部分領域を設定することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の記録装置。
【請求項5】
前記管理情報管理部が、前記部分領域を削除することで、前記部分領域の個数が前記所定値を越えないようにすることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の記録装置。
【請求項6】
前記削除がされていない部分領域に対応する番組の情報を表示する表示部、
をさらに具備することを特徴とする請求項5記載の記録装置。
【請求項7】
前記第1の記録領域は、前記第1のストリームデータとして、前記領域移動部により前記第2の記録領域から移動される前記第2のストリームデータのみが記録されることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の記録装置。
【請求項8】
請求項1乃至6の何れか1項に記載の記録装置と、
前記第2の記録領域に記録される前記第2のストリームデータおよび前記第1の記録領域に移動された前記第2のストリームデータの少なくともいずれかを表示する表示部と
を具備したことを特徴とする記録再生システム。
【請求項9】
第1のストリームデータを記録する第1の記録領域を記憶媒体に生成し、
前記第1のストリームデータと異なる第2のストリームデータを繰り返し上書き記録する第2の記録領域を前記記憶媒体に生成し、
前記第1、第2の記録領域を管理する管理情報を前記記録媒体に記録し、
前記第2の記録領域に前記第2のストリームデータを記録し、
前記第2のストリームデータの記録に対応して管理情報を更新することで、前記第2の記録領域内を区分する部分領域を設定し、かつこの部分領域の個数が所定値を越えないようにすること、
を特徴とする記録方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2009−16959(P2009−16959A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−173421(P2007−173421)
【出願日】平成19年6月29日(2007.6.29)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】