説明

記録装置及び記録システム

【課題】光書込型表示体の記録装置において、表示体の記録領域に透明板等を設けないでも、照射手段と光書込型表示体の表面との距離があらかじめ決められた距離に保たれるようにする。
【解決手段】可動部140aは、保持部材144に固定された付勢部材145及び照射部146を備え、副走査方向(矢印aの方向)に移動される。表示媒体20は、情報の記録前には、下支持部142に支持されている。可動部140aの付勢部材145は、副走査方向に移動するにつれて、下支持部142に接触する。付勢部材145は、下支持部142を上方、すなわち上支持部141の方向に付勢し、表示媒体20を上支持部141に密着させる。そうすると、光が照射される場合の照射部146と表示媒体20との距離は、付勢部材145に応じて決まる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録装置及び記録システムに関する。
【背景技術】
【0002】
光書込型の表示体を有する表示媒体に光を照射することにより情報を記録する記録装置がある。ここにおいて、光書込型の表示体とは、照射された光に応じた表示を行う表示素子を有する表示体をいい、以下ではこれを「光書込型表示体」という。光書込型表示体は、例えば、光導電体と、双安定性を有する表示素子(コレステリック液晶表示素子等)とを備える。光書込型表示体は、紙のように曲げたり撓めたりすることができる表示媒体に用いられることがある。
【0003】
特許文献1には、表示媒体の記録領域(情報が記録される領域)を平坦にするために、ガラス等の透明板を記録領域に接触させたり、光を照射する照射手段(液晶ディスプレイ)を記録領域に密着させたりする技術が記載されている。光書込型表示体の表面が平坦であると、これが平坦でない場合に比べ、照射手段と記録領域との間隔を一定にすることがより容易となり、照射される光の焦点を所望の位置に合わせやすくなる。
【特許文献1】特開2005−13563号公報(図2、図5等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、光書込型表示体の記録装置において、表示体の記録領域に透明板等を設けないでも、照射手段と光書込型表示体の表面との距離があらかじめ決められた距離に保たれるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に係る記録装置は、照射された光に応じた表示を行う光書込型の表示体を有する表示媒体であって、対向する2辺を少なくとも有する記録領域と、当該記録領域の当該2辺の外側にある非記録領域とを一方の面に有する表示媒体の他方の面と接触する接触面を有し、当該表示媒体を支持する支持手段と、前記接触面に向かう方向にあらかじめ決められた長さを有し、前記表示媒体の前記非記録領域を前記一方の面側から前記支持手段に向けて付勢する付勢部と、前記付勢部を保持する保持部とを有する付勢手段であって、前記付勢部が前記表示媒体を付勢する場合に、前記保持部と前記表示媒体の前記記録領域との距離があらかじめ決められた距離になる付勢手段と、前記保持部に固定され、前記表示媒体の前記記録領域に光を照射する照射手段と、前記表示媒体を付勢する前記付勢手段を前記2辺に沿った方向に移動させる移動手段とを備える構成を有する。
【0006】
本発明の請求項2に係る記録装置は、請求項1の構成において、前記照射手段は、前記移動手段による移動の方向と交差する主走査方向に対して決められた幅を有し、前記付勢部は、前記照射手段と前記主走査方向について重なる位置に設けられている構成を有する。
本発明の請求項3に係る記録装置は、請求項1又は2に記載の構成において、前記表示媒体の前記一方の面と前記非記録領域において接触し、接触した当該表示媒体を動かないように支持する支持部材を備え、前記付勢部は、前記支持部材を介して前記表示媒体を付勢する構成を有する。
【0007】
本発明の請求項4に係る記録システムは、照射された光に応じた表示を行う光書込型の表示体を有する表示媒体であって、対向する2辺を少なくとも有する記録領域と、当該記録領域の当該2辺の外側にある非記録領域とを一方の面に有する表示媒体と、前記表示媒体の他方の面と接触する接触面を有し、当該表示媒体を支持する支持手段と、前記接触面に向かう方向にあらかじめ決められた長さを有し、前記表示媒体の前記非記録領域を前記一方の面側から前記支持手段に向けて付勢する付勢部と、前記付勢部を保持する保持部とを有する付勢手段であって、前記付勢部が前記表示媒体を付勢する場合に、前記保持部と前記表示媒体の前記記録領域との距離があらかじめ決められた距離になる付勢手段と、前記保持部に固定され、前記表示媒体の前記記録領域に光を照射する照射手段と、前記表示媒体を付勢する前記付勢手段を前記2辺に沿った方向に移動させる移動手段とを有する記録装置とを備える構成を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の請求項1及び4の構成によれば、表示体の記録領域に透明板等を設けないでも、照射手段が移動するときに、照射手段と光書込型表示体の表面(記録領域)との距離をあらかじめ決められた距離にすることができる。
本発明の請求項2の構成によれば、移動する付勢部を表示媒体に接触させないようにすることができる。
本発明の請求項3の構成によれば、同構成を有しない場合に比べ、表示媒体が曲がったり撓んだりしても、照射手段と光書込型表示体の表面(記録領域)との距離をあらかじめ決められた距離にすることがより容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態である記録装置の構成を示すブロック図である。同図に示す記録装置10は、後述する表示媒体20に光を照射することにより情報を記録する記録装置であり、制御部110と、情報取得部120と、表示体駆動部130と、記録部140と、搬送部150とを備える。記録装置10は、表示媒体20を収容する空間をその内部に有しており、ある決められた態様で表示媒体20を支持しながら収容し、これと導通して記録可能な状態となる。なお、本実施形態の表示媒体20は、光書込型表示体からなる長方形の記録領域を有するものとするが、記録領域の形状はこれに限らない。以下においては、記録領域の短辺方向を記録装置10の主走査方向とし、記録領域の長辺方向を記録装置10の副走査方向とする。なお、本実施形態の主走査方向は、副走査方向に対して直交するものであるが、本発明においては、主走査方向と副走査方向とが必ず直交している必要はなく、交差していれば足りる。
【0010】
制御部110は、CPU(Central Processing Unit)等の演算装置を備え、記録装置10の動作を制御する。制御部110は、情報取得部120から取得する情報に応じて、表示体駆動部130、記録部140及び搬送部150の動作を規定する信号をこれらの各部に供給する。情報取得部120は、表示される情報を表す表示データを取得する。情報取得部120は、いわゆるメモリカード等の記録媒体から表示データを取得してもよいし、有線又は無線の通信手段を介して表示データを取得してもよい。なお、表示データが表す情報は、文字や画像などである。また、情報取得部120は、必要に応じて、表示データに加え、使用者による指示(記録の開始等)を表す情報を取得してもよい。
【0011】
表示体駆動部130は、情報の記録に必要な電圧を表示媒体20に供給する。表示体駆動部130は、直流電圧発生回路や、表示媒体20と導通する端子を備える。記録部140は、情報を記録するための光を照射する光源を備える。本実施形態の記録部140は、主走査方向に沿った線状又は帯状の光を照射する。搬送部150は、表示媒体20の光が照射される位置を副走査方向に移動させる移動手段の一例である。本実施形態の搬送部150は、光源を搬送することによって光を照射する位置を移動させるものである。
【0012】
図2は、表示媒体20の外観を示す図である。本実施形態の表示媒体20は、情報が記録される記録領域20aと、情報が記録されない非記録領域20bとを有する。非記録領域20bは、少なくとも、長辺、すなわち副走査方向に沿った対向する2辺の外側に存在する。本実施形態の非記録領域20bは、長辺及び短辺の4辺を囲うように設けられているが、短辺の外側にはなくてもよい。
なお、非記録領域20bには、表示体駆動部130と導通する端子T1及びT2が設けられている。端子T1及びT2は、後述する照射面と観察面のいずれに設けられていてもよい。
【0013】
図3は、表示媒体20の記録領域20aの構成を示す図である。表示媒体20は、フィルム基板210及び270と、透明電極220及び260と、光導電層230と、着色層240と、表示素子層250とを記録領域20aに有する。なお、本実施形態の光書込型表示体は、モノクロ表示を行う表示体である。フィルム基板210及び270は、表示媒体20の記録領域20aを保護するために設けられた層であり、例えば、PET(Polyethylene Terephthalate)からなる。フィルム基板210は、光を照射される側の面(以下「照射面」という。)にあり、フィルム基板270は、記録された情報を使用者が観察する側の面(以下「観察面」という。)にある。透明電極220及び260は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)からなる層であり、各々が表示体駆動部130の端子T1及びT2と一方ずつ導通する。よって、表示体駆動部130が電圧を印加すると、透明電極220と透明電極260の間に電位差が生じる。光導電層230は、照射される光の光量に応じてその導電率を異ならせる導電体(すなわち光導電体)からなる層である。光導電層230としては、例えば、有機光導電体を用いることができる。
【0014】
着色層240は、表示素子層250が光を透過する場合に観察される層であり、あらかじめ決められた色(本実施形態においては、黒)になされている。表示素子層250は、印加される電圧に応じて光の反射状態を異ならせる表示素子を含む層である。本実施形態の表示素子層250は、バインダー樹脂中にマイクロカプセル状のコレステリック液晶表示素子を分散させたものである。コレステリック液晶表示素子は、配向状態として、プレーナ配向状態とフォーカルコニック配向状態とになり得る。コレステリック液晶表示素子は、プレーナ配向状態にある場合には、光を反射(ブラッグ反射)してあらかじめ決められた色(本実施形態においては、白)を呈し、フォーカルコニック配向状態にある場合には、光を透過して着色層240の色を呈する。
【0015】
図4は、記録部140及び搬送部150の構成を示す図である。なお、同図は、紙面に対して垂直な方向が主走査方向であり、図中の矢印aが示す方向が副走査方向である場合を示している。搬送部150は、ベルト151と、プーリ152及び153と、シャフト154とを備える。ベルト151は、あらかじめ決められた位置に記録部140が取り付けられ、プーリ152及び153によって架け渡されている。プーリ152及び153はその少なくとも一方が図示せぬ駆動手段(モータ等)から駆動力を与えられ、ベルト151を回転移動させる。シャフト154は、ベルト151の移動方向に沿って設けられている。
【0016】
記録部140は、上支持部141と、下支持部142と、基台部143と、保持部材144と、付勢部材145と、照射部146とを備える。なお、ここでいう「上」及び「下」は、重力の作用する方向に基づいて決められるものであり、「上」からみて重力の作用する方向が「下」である。しかし、この記載は、記録装置10が利用されるときの姿勢を限定する趣旨ではなく、説明の便宜上のものである。よって、記録装置10の利用に際しては、当該装置をいかなる姿勢や向きで用いてもよい。
【0017】
上支持部141は、表示媒体20が押し付けられたときに、これを支持する部材である。上支持部141は、少なくとも表示媒体20と接触する面(以下「接触面」という。)を有する形状であるが、本実施形態においては板状であるとする。上支持部141の接触面は、表示媒体20の観察面側と接触する。なお、上支持部141が表示媒体20と接触する位置は、本実施形態においては非記録領域の少なくとも一部であり、記録領域においては接触しないように構成されている。すなわち、上支持部141は、記録領域と対向する領域が開口している。また、上支持部141の接触面は、本実施形態においては平面であるとするが、曲面であってもよい。
【0018】
下支持部142は、上支持部141とともに表示媒体20を挟み込むようにして支持する部材である。下支持部142は、上支持部141との距離をある距離以下に保つ保持部材1421を適当な位置に有しており、当該ある距離よりも下方に動かないように(すなわち、表示媒体20が落下しないように)構成されている。下支持部142は、上支持部141との間隙に挿入された表示媒体20の照射面側と接触する。なお、本実施形態の下支持部142は、厚さが一定になるように構成された板状の部材であり、記録領域と対向する領域に開口部を有する。この開口部は、記録領域に照射される光を遮らないように設けられている。
なお、下支持部142は、後述する付勢部材145が接触する部分に、接触により生じる摩擦力を抑制する部材を設けてもよい。かかる部材を設けた場合には、これを設けない場合に比べ、付勢部材145が接触する部分の摩擦力が少なくなるため、副走査方向への移動を阻害する力が少なくなり、移動が容易になる。
【0019】
基台部143は、シャフト154が貫通する孔部を有し、シャフト154に沿って移動する。基台部143は、ベルト151の回転に応じて副走査方向(又はその逆方向)に移動する。保持部材144は、基台部143に取り付けられ、この基台部143とともに移動する部材であり、付勢部材145及び照射部146を保持する。付勢部材145は、表示媒体20に向かう方向についてあらかじめ決められた長さを有する部材であり、下支持部142と接触し、下支持部142を介して表示媒体20を上支持部141に向けて付勢する。なお、ここにおいて「付勢」とは、ある方向に力を作用させることをいう。付勢部材145は、下支持部142と接触する部分の摩擦力が小であると、より望ましい。照射部146は、保持部材144に固定された光源を有し、表示媒体20の記録領域に光を照射する。本実施形態の照射部146は、光源としてLED(Light Emitting Diode)を用いる。なお、以下においては、必要に応じて、基台部143、保持部材144、付勢部材145及び照射部146のことを「可動部140a」という。可動部140aは、ベルト151の移動に応じて副走査方向に移動するものである。
【0020】
図5は、記録部140を主走査方向及び副走査方向と直交する方向からみた場合を示す図である。なお、同図においては図示を省略するが、上支持部141も、同図の方向からみた場合、下支持部142と同様の形状を有している。同図において、下支持部142の開口部142aは、表示媒体20の記録領域に対応している。開口部142aは、表示媒体20が挿入されたときに、少なくとも記録領域の全体と重なるだけの面積を有している。照射部146は、表示媒体20の記録領域と同程度の幅を主走査方向に有し、この幅の光を照射する。付勢部材145は、表示媒体20の非記録領域と重なる位置に設けられており、非記録領域を付勢するように構成されている。
【0021】
なお、本実施形態の記録装置10は、収容した表示媒体20の閲覧に供する、いわゆるビューアを兼ねたものであるため、上支持部141に開口部を設けている。ゆえに、この記録装置10にビューアの機能を付与する必要がない場合には、上支持部141に開口部を設けないでもよい。
【0022】
本実施形態の記録装置10及び表示媒体20の構成は、以上のとおりである。かかる構成のもと、記録装置10は、表示媒体20が収容され、情報を記録可能な状態になると、情報を記録する動作を行う。なお、情報の記録は、使用者による指示を契機に開始されてもよいが、表示媒体20が収容されたことを検知する検知手段を設ける場合であれば、検知手段の検知結果に応じて開始されてもよい。
【0023】
記録装置10は、照射部146に光を照射させながら、可動部140aを副走査方向に移動させることにより、情報の記録を行う。このとき、制御部110は、照射部146に照射させる光の強弱を表示データが表す情報に応じて変え、表示媒体20の記録領域に照射される光を変化させる。これにより、表示媒体20の記録領域の各位置(画素)は、照射された光に応じた階調になる。
【0024】
図6は、情報の記録前後における記録部140の状態の変化を示す図であり、図6(a)が記録前(及び記録後)の状態、図6(b)が記録中の状態である。同図(a)に示すように、可動部140aは、記録前には、下支持部142と接触しない位置にある。この位置のことを、以下では「初期位置」という。可動部140aが初期位置にあるとき、下支持部142は、表示媒体20と上支持部141とが接触しない状態で表示媒体20を支持している。つまり、表示媒体20と上支持部141との間には、間隙が生じている。このとき、付勢部材145は、下支持部142を付勢していない。
【0025】
可動部140aが初期位置から副走査方向に移動すると、可動部140aは、やがて下支持部142に接触する。このとき、付勢部材145は、下方から上方、すなわち上支持部141に向かう方向に下支持部142を付勢し、上支持部141に表示媒体20を押し付ける。すると、表示媒体20は、上支持部141に密着し、上支持部141の接触面に沿った形状になされる。表示媒体20は、かかる状態で光を照射され、情報が記録される。制御部110は、可動部140aを初期位置から副走査方向に移動させ、表示媒体20の記録領域の全面に光を照射し終えると、可動部140aを逆方向に移動させて初期位置に戻す。
【0026】
図6(b)に示すように、可動部140aが下支持部142と接触しているとき、保持部材144と表示媒体20の記録領域との間は、あらかじめ決められた距離になる。ここでいう「あらかじめ決められた距離」は、例えば数mm程度であり、付勢部材145の大きさに応じて決まるものである。したがって、本実施形態の付勢部材145は、表示媒体20を上支持部141の接触面に向けて付勢する手段として機能するとともに、かかる付勢を行っている場合において、保持部材144と表示媒体20の記録領域との距離(すなわち、照射部146と表示媒体20の記録領域との距離)をあらかじめ決められた距離に保つ手段としても機能する。
【0027】
以上のとおり、本実施形態の記録装置10によれば、表示媒体20の記録領域に対向する透明板等を設けないでも、照射部146と表示媒体20の記録領域との距離があらかじめ決められた距離になる。透明板等を設けた場合、反射や散乱が生じて記録領域に照射される光量が低下することがあるが、本実施形態の記録装置10によれば、このような光量低下が生じない。さらに、透明板等が完全に平坦でなく、凹凸がある場合、その凹凸に応じて焦点の位置がずれることがあるが、本実施形態の記録装置10によれば、このようなずれが生じない。
【0028】
[第2実施形態]
本実施形態の記録装置は、上述した第1実施形態の記録装置10の構成の一部を変更したものである。したがって、本実施形態の説明は、第1実施形態と異なる部分を中心に行う。なお、本実施形態の記録装置の構成のうち、記録装置10の構成と共通する部分については、その説明を省略する。
【0029】
図7は、本発明の第2の実施形態である記録装置の構成を示す図である。本実施形態の記録装置10aは、図4に示す記録部140の下保持部142に代えて、引張部材161及び162を備えるものである。引張部材161及び162は、副走査方向に並べて設けられており、図中の矢印bの方向から表示媒体20を挿入される。本実施形態の引張部材161及び162は、その中心を軸に回転する1対の円柱状の部材であるとする。引張部材161は、挿入された表示媒体20を図中の矢印Lの方向に引っ張り、引張部材162は、挿入された表示媒体20を図中の矢印Rの方向に引っ張る。なお、引張部材161及び162が表示媒体20と接触する位置は、非記録領域である。その結果、表示媒体20には、副走査方向について張力が付与され、副走査方向の両端を離す方向の力、すなわち、引張部材161と引張部材162の間に生じ得る曲げや撓みを解消しようとする力が生じる。
なお、このとき上支持部141は、表示媒体20に生じる張力を強めるように、下方、すなわち図中の矢印Dの方向に移動する構成であってもよい。
【0030】
[変形例]
上述した実施形態は、本発明の一例である。本発明は、例えば、以下の変形例を適用可能である。なお、上述した実施形態及び以下の変形例は、必要に応じて、これらを組み合わせて適用してもよい。
【0031】
(1)変形例1
第1実施形態は、下支持部142を設けない構成としてもよい。例えば、図4に示す構成において、その天地(上下)を逆転させた状態で用いる場合には、表示媒体20が落下するおそれがないため、下支持部142が不要である。
なお、付勢部材145の移動により擦過を生じる部分には、付勢部材145の擦過に伴う傷が生じる場合があるが、下支持部142を設けた場合には、表示媒体20には擦過が生じなくなる。よって、下支持部142を設けない場合には、表示媒体20の非記録領域の表面を傷が生じにくい材料としたり、付勢部材145を滑りやすい材料としたりすることが望ましい。このことは、第2実施形態についてもいえることである。
【0032】
(2)変形例2
付勢部材145は、図8に示すように、照射部146と主走査方向について重なる位置に設けられていてもよい。かかる構成であると、上述した変形例1のように下支持部142を設けない構成において、表示媒体20に曲げや撓みが生じやすい場合であっても、照射部146と表示媒体20の記録領域との距離は、あらかじめ決められた距離に保たれる(図9参照)。
【0033】
(3)変形例3
本発明において、表示媒体20を収容する方法は、複数ある。図10(a)は、開閉するカバー171を有する構成を例示する図であり、図10(b)は、表示媒体20を差し込む差込口172を有する構成を例示する図である。なお、カバー171を設ける構成の場合は、カバー171の一部が上支持部141を構成するようにしてもよい。
【0034】
(4)変形例4
本発明において、上述した変形例3のように差込口172を設ける場合には、表示媒体20が差し込まれるのに応じて表示媒体20を上支持部141に密着させるように付勢する付勢力発生手段を設けてもよい。すなわち、本変形例に係る記録装置は、表示媒体が収容される空間に当該表示媒体を差し込むための差込口と、前記空間に差し込む方向に前記表示媒体に作用する力に応じて、当該表示媒体を前記支持手段に付勢する方向の力を発生させる付勢力発生手段とを備える構成を有するものである。
【0035】
図11は、かかる付勢力発生手段の一例を示す図である。同図に示す回転部材180は、軸180aを中心に回転するL字型の部材である。回転部材180は、L字型の一方の辺が表示媒体20を差し込む力を受ける被作用部181であり、L字型の他方の辺が表示媒体20を上支持部141に向けて付勢する作用部182である。図11(a)に示すように、回転部材180は、図中の矢印cの方向に移動させる力を受けた表示媒体20が差し込まれてくると、被作用部181がこの表示媒体20に接触する。回転部材180は、被作用部181に表示媒体20が接触すると回転し、作用部182において表示媒体20を押し上げる力を生じさせる。すなわち、回転部材180は、表示媒体20を差し込む方向の力に応じて上支持部141に付勢する方向に力を発生させるものである。
【0036】
なお、付勢力発生手段は、図11の例に限らず、例えば、表示媒体20が差し込まれたことをある決められた位置において検知する検知手段を備え、検知手段の検知結果に応じて表示媒体20を上支持部141に付勢するものであってもよい。
【0037】
(5)変形例5
本発明において、表示媒体20を付勢する態様は、複数あり、記録装置10に適用するものと表示媒体20に適用するものとがある。例えば、表示媒体20の非記録領域に板状の磁石を設けるとともに、これに対応する磁石や電磁石を上支持部141に設け、表示媒体20が上支持部141と密着することを補助するようにしてもよい。また、図12に示すように、基台部143と保持部材144の間にバネ147を設けてもよい。この場合、本発明の付勢手段は、付勢部材145とバネ147の協働により実現されているとみなせる。
【0038】
(6)変形例6
本発明は、上述した第2実施形態の構成に代えて、引張部材161及び162により表示媒体20を引張る方向を主走査方向にした構成を採用してもよい。すなわち、本変形例に係る記録装置は、照射された光に応じた表示を行う光書込型の表示体を有する表示媒体であって、対向する2辺を少なくとも有する記録領域と、当該記録領域の当該2辺の外側にある非記録領域とを一方の面に有する表示媒体を、当該2辺の各々の外側の非記録領域において当該2辺を離す方向に引張る引張手段と、前記表示媒体の前記記録領域に対してあらかじめ決められた距離を隔てた位置から、前記2辺に交差する方向に光を照射する照射手段と、前記照射手段を前記2辺のいずれかに沿った方向に移動させる移動手段とを備えることを特徴とするものである。移動手段による移動の方向と引張手段による引張りの方向を交差させると、そうでない場合に比べ、表示媒体の非記録領域をより小さくする効果や、記録装置をより小型化する効果を期待できる場合がある。
【0039】
図13は、第2実施形態の構成と本変形例の構成とを比較する図である。なお、同図において、符号Xが示す位置は、記録領域と非記録領域の境界である。第2実施形態の構成の場合、非記録領域として最低限必要な幅は、図13(a)より、L1+L2である。また、本変形例の構成の場合、非記録領域として最低限必要な幅は、図13(b)より、L1+L3である。よって、L2>L3を満たす場合には、本変形例の構成の方が、表示媒体20の非記録領域が小さくなり得る。
【0040】
(7)変形例7
本発明において、光書込型表示体は、モノクロ表示を行うものに限らず、カラー表示を行うものであってもよい。また、光書込型表示体は、コレステリック液晶表示素子ではなく、他の表示素子を用いたものであってもよい。
【0041】
(8)変形例8
本発明に係る記録装置は、例えば、記録装置10と表示媒体20とを組み合わせたような、光書込型表示体と一体に構成されたものであってもよい。また、本発明は、記録装置10と表示媒体20とを備える記録システムとしても特定され得る。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】記録装置の構成を示すブロック図
【図2】表示媒体の外観を示す図
【図3】表示媒体の記録領域の構成を示す図
【図4】記録部及び搬送部の構成を示す図
【図5】記録部の構成を示す図
【図6】情報の記録前後における記録部の状態の変化を示す図
【図7】記録装置の構成を示す図
【図8】付勢部材の構成を示す図
【図9】図8の付勢部材の作用を示す図
【図10】表示媒体の収容の態様を示す図
【図11】付勢力発生手段を示す図
【図12】付勢手段を示す図
【図13】表示媒体を引張る方向と主走査方向とが交差する場合としない場合とを対比して示す図
【符号の説明】
【0043】
10…記録装置、110…制御部、120…情報取得部、130…表示体駆動部、140…記録部、141…上支持部、142…下支持部、143…基台部、144…保持部材、145…付勢部材、146…照射部、150…搬送部、20…表示媒体、20a…記録領域、20b…非記録領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照射された光に応じた表示を行う光書込型の表示体を有する表示媒体であって、対向する2辺を少なくとも有する記録領域と、当該記録領域の当該2辺の外側にある非記録領域とを一方の面に有する表示媒体の他方の面と接触する接触面を有し、当該表示媒体を支持する支持手段と、
前記接触面に向かう方向にあらかじめ決められた長さを有し、前記表示媒体の前記非記録領域を前記一方の面側から前記支持手段に向けて付勢する付勢部と、前記付勢部を保持する保持部とを有する付勢手段であって、前記付勢部が前記表示媒体を付勢する場合に、前記保持部と前記表示媒体の前記記録領域との距離があらかじめ決められた距離になる付勢手段と、
前記保持部に固定され、前記表示媒体の前記記録領域に光を照射する照射手段と、
前記表示媒体を付勢する前記付勢手段を前記2辺に沿った方向に移動させる移動手段と
を備えることを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記照射手段は、
前記移動手段による移動の方向と交差する主走査方向に対して決められた幅を有し、
前記付勢部は、
前記照射手段と前記主走査方向について重なる位置に設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記表示媒体の前記一方の面と前記非記録領域において接触し、接触した当該表示媒体を動かないように支持する支持部材を備え、
前記付勢部は、前記支持部材を介して前記表示媒体を付勢する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の記録装置。
【請求項4】
照射された光に応じた表示を行う光書込型の表示体を有する表示媒体であって、対向する2辺を少なくとも有する記録領域と、当該記録領域の当該2辺の外側にある非記録領域とを一方の面に有する表示媒体と、
前記表示媒体の他方の面と接触する接触面を有し、当該表示媒体を支持する支持手段と、
前記接触面に向かう方向にあらかじめ決められた長さを有し、前記表示媒体の前記非記録領域を前記一方の面側から前記支持手段に向けて付勢する付勢部と、前記付勢部を保持する保持部とを有する付勢手段であって、前記付勢部が前記表示媒体を付勢する場合に、前記保持部と前記表示媒体の前記記録領域との距離があらかじめ決められた距離になる付勢手段と、
前記保持部に固定され、前記表示媒体の前記記録領域に光を照射する照射手段と、
前記表示媒体を付勢する前記付勢手段を前記2辺に沿った方向に移動させる移動手段と
を有する記録装置と
を備えることを特徴とする記録システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2010−72568(P2010−72568A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−242824(P2008−242824)
【出願日】平成20年9月22日(2008.9.22)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】