説明

記録装置及び記録媒体

【課題】第1の記録媒体と第2の記録媒体の両方へ同時に記録する場合や、記録媒体間でデータを転送する場合の通信効率の低下を防止することができる記録装置を提供する。
【解決手段】記録装置100は、第1の通信手段201と第2の通信手段202を有する記録媒体200を装着し、第1の通信手段201と通信を行う第3の通信手段105と、第2の通信手段202と通信を行う第4の通信手段107とを備える。そして、記録媒体200が装着されたことを検出する検出手段106を備える。また、検出手段により記録媒体が装着されたことが検出された場合、第3の通信手段と第1の通信手段との通信を許可し、第4の通信手段と第2の通信手段との通信を停止する制御を行う制御手段104を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異なる複数の通信方式にて通信を行う記録装置及びその記録装置に装着される記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
ICカードの非接触通信手段として、装置側からキャリアを送信し、電磁誘導によりICカードに電力を供給し、キャリアの変調により装置側とICカード間で通信を行う手段が知られている。非接触ICカードは、接触式ICカードと異なり、カードデータの読み出し時及び書き込み時に物理的に接触する必要が無く利便性に優れている。
【0003】
しかしながら、非接触ICカードは、外部から直接電力を供給することができないため、電力消費の大きなアプリケーションは実現できない、電磁波ノイズの影響を受ける、無線通信であるため盗聴される危険性がある等といった欠点がある。
【0004】
そのため、非接触通信手段と接触通信手段の2系統の通信手段を備えるハイブリッドICカードが考えられている。特許文献1では、ハイブリッドICカードの通信手段の特徴を適切に活用するため、使用環境やアプリケーションに応じて、非接触通信手段または接触通信手段のうち、最適な通信手段を選択する技術が提案されている。
【特許文献1】特開2003−036428号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図6及び図7は、特許文献1に提案の技術における問題点を示す図である。
【0006】
(b)に示す装置(デジタルビデオカメラ)100には、ICカード200を装着することが可能であり、装置100には、非接触通信制御部107と接触通信制御部105が備わる。装着されたICカード200には、接触通信制御部201と非接触通信制御部202が備わる。
【0007】
装置100にICカード200が装着された場合、装置側の接触通信制御部105とICカード200の接触通信制御部201が通信を行うことができる。また、装置100の非接触通信制御部107が有効である場合、ICカード200の非接触通信制御部202を介してICカード200と通信を行うことが可能である。
【0008】
さらに、装置100の非接触通信制御部107が有効である場合、(a)に示す装着されていないICカード300との間で、ICカード300の非接触通信制御部302を介して通信を行うことが可能である。
【0009】
しかしながら、特許文献1に提案の技術では、外部に第2のICカードが備わる場合に関する記載が無い。従って、図6の様に、第1のICカード200が装着されたことを検出して、装置100の非接触通信制御部107を停止してしまうと、外部に備わる第2のICカード300との間の通信が途絶えてしまう。
【0010】
また、図7の様に、常に非接触通信制御部を適用して通信を行う場合、非接触通信制御部の位置関係は、以下の様になる。即ち、装置100の非接触通信制御部107に対して、装着された第1のICカード200の非接触通信制御部202の方が、外部に備わる第2のICカード300の非接触通信制御部302よりも近距離に位置する。
【0011】
そのため、第1のICカード200の非接触通信制御部202が出力する電波が干渉し、第2のICカード300との非接触通信制御部302の品質の低下が懸念される。
【0012】
本発明の目的は、第1の記録媒体と第2の記録媒体の両方へ同時に記録する場合や、記録媒体間でデータを転送する場合の通信効率の低下を防止することができる記録装置及びその記録装置に装着される記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、請求項1記載の記録装置は、第1の通信手段と第2の通信手段を有する記録媒体を装着し、前記第1の通信手段と通信を行う第3の通信手段と、前記第2の通信手段と通信を行う第4の通信手段とを備える記録装置において、前記記録媒体が装着されたことを検出する検出手段と、前記検出手段により前記記録媒体が装着されたことが検出された場合、前記第3の通信手段と前記第1の通信手段との通信を行い、前記第4の通信手段と前記第2の通信手段との通信を停止する制御を行う制御手段とを備えることを特徴とする。
【0014】
請求項4記載の記録媒体は、記録装置と通信を行う第1の通信手段及び第2の通信手段を備える記録媒体において、前記記録装置に装着されたことを検出する検出手段と、前記検出手段により前記記録装置に装着されたことが検出された場合、前記第1の通信手段にて前記記録装置と通信が可能であるとき、前記第2の通信手段による通信を停止する制御を行う制御手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の記録装置によれば、第1の記録媒体と第2の記録媒体の両方へ同時に記録する場合や、記録媒体間でデータを転送する場合の通信効率の低下を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
(第1の実施の形態)
本発明の第1実施の形態として、ICカードを記録媒体とするデジタルビデオカメラを例に説明する。
【0018】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る記録装置としてのデジタルビデオカメラと、記録媒体としてのICカードを示すブロック図である。
【0019】
デジタルビデオカメラ100とICカード200は、伝送線路により通信を行う接触通信手段と、電波により通信を行う非接触通信手段の2系統の通信手段でデータの送受信を行うことができる。
【0020】
図1は、デジタルビデオカメラ100にICカード200が装着された状態で、物理的には、接触通信手段と非接触通信手段の双方の通信が可能な状態である。
【0021】
ビデオカメラ100は、大きく分類して、制御機構と撮影機構、記録機構にて構成されている。
【0022】
制御機構には、システム全体を制御するシステム制御部(制御手段)104があり、CPUやROM等で構成されている。システムバス108は、システム制御部104から出力される制御信号や、各ノード間の制御信号、データのパスとして使用される。
【0023】
撮影機構は、レンズ101、センサ102、画像処理部103等で構成されている。レンズ101にて集光した画像をセンサ102で光電変換し、画像処理部103にてデジタル画像データへ符号化する。
【0024】
記録機構は、第3の通信手段としての接触通信手段に使用する装置側接触通信制御部105、第4の通信手段としての非接触通信手段に使用する装置側非接触通信制御部107、カード装着検出部(検出手段)106等から構成されている。
【0025】
符号化されたデジタル画像データは、システム制御部104が、接触通信手段または、非接触通信手段の何れの方式でICカード200へ記録するかの選択を行う。
【0026】
システム制御部104が、非接触通信手段を選択した場合、符号化されたデジタル画像データは、システムバス108を経由し、装置側非接触通信制御部107を介してICカード200へ記録される。
【0027】
システム制御部104が、接触通信手段を選択した場合、符号化されたデジタル画像データは、システムバス108を経由し、装置側接触通信制御部105を介してICカード200へ記録される。
【0028】
デジタルビデオカメラ100は、他に、ユーザが再生画像を確認するためや、システムの状態をユーザへ通知するために使用する表示部109、操作のための操作部等を備える。
【0029】
ICカード200には、第1の通信手段としての接触通信手段に使用するカード側接触通信制御部201、第2の通信手段としての非接触通信手段に使用するカード側非接触通信制御部202、何れの通信方式を使用するかを選択する通信方式選択部203がある。
【0030】
また、ICカード200には、ICカード200のシステムを制御するカード制御部(制御手段)204、記憶素子であるメモリ206、メモリ206とカード制御部204のインタフェースであるメモリインタフェース205がある。
【0031】
図2は、図1のデジタルビデオカメラによって実行される通信手段選択処理の手順を示すフローチャートである。
【0032】
本処理は、図1におけるシステム制御部104の制御の下に実行される。
【0033】
図2において、カード装着検出部106にて、カードが装着されていることを検出すると(ステップS101)、カードのファイル構造を解析し、読み書き可能な状態にするための、マウント処理が完了しているかどうかをチェックする(ステップS102)。
【0034】
マウント処理が完了していない場合は、本体(デジタルビデオカメラ)側及びカード側の接触通信手段を介して、カード側の非接触通信手段の停止要求を行う(ステップS103)。
【0035】
カードから、カード側非接触通信制御部202の機能が停止した旨の応答を待ち(ステップS104)、マウント処理を実行して(ステップS105)、画像データの記録準備が完了したことを表示部109へ通知する(ステップS106)。そして、本処理を終了する。
【0036】
ステップS102にて、マウント処理が完了していると判断した場合は、ステップS106へ移行する。ステップS101にて、カード装着を検出しない場合、非接触通信が可能であるかどうかを判断する(ステップS107)。
【0037】
非接触通信が可能である場合は、マウント処理が完了しているかどうかのチェックをする(ステップS108)。ステップS108のマウント処理のチェックは、ステップS102とは異なり、非接触通信手段にてマウント処理が行われているかどうかのチェックである。
【0038】
ステップS108にて、マウント処理が完了していない場合、非接触通信手段によるマウント処理を行い(ステップS109)、ステップS106へ移行する。
【0039】
ステップS107にて、非接触通信が不可能であると判断した場合、未記録のデータをカードへ記録し、ファイルをクローズするためのアンマウント処理が完了しているかどうかをチェックする(ステップS110)。
【0040】
アンマウント処理が完了していないときは、アンマウント処理を実行して(ステップS111)、画像データの記録が不可能であることを表示部109へ通知する(ステップS112)。そして、本処理を終了する。
【0041】
図3は、図1のデジタルビデオカメラとICカードの通信状態を示す図である。
【0042】
デジタルビデオカメラ100に第1のICカード200が装着されている。そのため、第1のICカード200におけるカード側非接触通信制御部202は機能を停止し、カード側接触通信制御部201にて、デジタルビデオカメラ100の装置側接触通信制御部105と通信を行っている。
【0043】
一方、デジタルビデオカメラ100の外部に備わる第2のICカード300に対して、デジタルビデオカメラ100の装置側接触通信制御部105は使用することができないが、非接触通信手段(装置側非接触通信制御部107)にて通信可能である。
【0044】
このとき、第1のICカード200のカード側非接触通信制御部202は機能を停止しているため、第1のICカード200のカード側非接触通信制御部202から電波干渉を受ける心配が無い。
【0045】
(第2の実施の形態)
図4は、本発明の第2の実施の形態に係る記録装置としてのデジタルビデオカメラと、記録媒体としてのICカードを示すブロック図である。
【0046】
第2の実施の形態においては、カード装着検出部207がICカード200側にあることである。その他は、図1に示す第1の実施の形態と同じである。
【0047】
図5は、図4のICカードによって実行される通信手段選択処理の手順を示すフローチャートである。
【0048】
本処理は、図4におけるカード制御部204の制御の下に実行される。
【0049】
図5において、カード装着検出部207にて、ICカード200の装着が検出されているかをチェックする(ステップS201)。カードが装着されていることを検出すると、接触通信手段による通信が開始されているかをチェックする(ステップS202)。接触通信手段による通信が開始されていない場合は、処理を終了する。
【0050】
接触通信手段による通信が開始されている場合、非接触通信手段による通信が有効であるかどうかをチェックする(ステップS203)。非接触通信手段による通信が有効である場合、非接触通信手段による通信を停止する処理を開始する(ステップS204、S205)。そして、本処理を終了する。
【0051】
ステップS201において、カード装着を検出しない場合、非接触通信手段による通信を開始するための処理を開始する。
【0052】
即ち、非接触通信手段による通信が有効であるかどうかをチェックする(ステップS206)。非接触通信手段による通信が有効である場合、非接触通信手段による非接触通信を継続する(ステップS207)。
【0053】
非接触通信手段による通信が有効でない場合、非接触通信が可能か否か判断し(ステップS208)、非接触通信が可能である場合、非接触通信手段の通信を開始する(ステップS209、S210)。そして、本処理を終了する。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る記録装置としてのデジタルビデオカメラと、記録媒体としてのICカードを示すブロック図である。
【図2】図1のデジタルビデオカメラによって実行される通信手段選択処理の手順を示すフローチャートである。
【図3】図1のデジタルビデオカメラとICカードの通信状態を示す図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る記録装置としてのデジタルビデオカメラと、記録媒体としてのICカードを示すブロック図である。
【図5】図4のICカードによって実行される通信手段選択処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】従来例に係るデジタルビデオカメラとICカードの通信状態を示す図である(1)。
【図7】従来例に係るデジタルビデオカメラとICカードの通信状態を示す図である(2)。
【符号の説明】
【0055】
100 デジタルビデオカメラ
104 システム制御部
105 装置側接触通信制御部
106 カード装着検出部
107 装置側非接触通信制御部
200 ICカード
201 カード側接触通信制御部
202 カード側非接触通信制御部
204 カード制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の通信手段と第2の通信手段を有する記録媒体を装着し、前記第1の通信手段と通信を行う第3の通信手段と、前記第2の通信手段と通信を行う第4の通信手段とを備える記録装置において、
前記記録媒体が装着されたことを検出する検出手段と、
前記検出手段により前記記録媒体が装着されたことが検出された場合、前記第3の通信手段と前記第1の通信手段との通信を行い、前記第4の通信手段と前記第2の通信手段との通信を停止する制御を行う制御手段と、
を備えることを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記第3の通信手段は、伝送線路により通信を行う接触通信手段であり、前記第4の通信手段は、電波により通信を行う非接触通信手段であることを特徴とする請求項1記載の記録装置。
【請求項3】
装置に装着されていない外部の記録媒体と前記第4の通信手段を介して通信を行うことを特徴とする請求項1記載の記録装置。
【請求項4】
記録装置と通信を行う第1の通信手段及び第2の通信手段を備える記録媒体において、
前記記録装置に装着されたことを検出する検出手段と、
前記検出手段により前記記録装置に装着されたことが検出された場合、前記第1の通信手段にて前記記録装置と通信が可能であるとき、前記第2の通信手段による通信を停止する制御を行う制御手段と、
を備えることを特徴とする記録媒体。
【請求項5】
前記第1の通信手段は、伝送線路により通信を行う接触通信手段であり、前記第2の通信手段は、電波により通信を行う非接触通信手段であることを特徴とする請求項4記載の記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−295110(P2009−295110A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−150811(P2008−150811)
【出願日】平成20年6月9日(2008.6.9)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】