説明

記録装置及び記録方法

【課題】記録媒体に対する記録速度を向上させることができる記録装置及び記録方法を提供する。
【解決手段】メモリーに端部位置情報が記憶される場合(ステップS12が肯定判定)において、該端部位置情報が記憶された際の用紙のサイズと印刷指示に指示された用紙のサイズとが同一であって且つ印刷指示に縁あり印刷が指示されたとき(ステップS13が肯定判定)には、用紙の幅方向における端部の位置を検出しないようにキャリッジの移動が制御される(ステップS16)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録装置及び記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、記録媒体に記録処理を行なう記録装置として、記録手段としての記録ヘッドを所定の走査方向に移動させつつ記録処理を行なう記録装置が知られている。こうした記録装置には、記録ヘッドを搭載し且つ主走査方向に沿って移動するキャリッジ(移動部材)と、記録媒体を主走査方向と交差する副走査方向(給送方向)に沿って給送する給送装置とが設けられている。
【0003】
また、記録装置は、記録媒体に対して画像を所望する位置に印刷(記録処理)させるために、記録媒体の端部を検出する機能を有している。具体的には、記録装置には、記録媒体の給送経路に設けられ且つ給送途中の記録媒体の前端を検出するための前端検出センサーと、キャリッジに設けられ且つ印刷中の記録媒体の幅方向における端部を検出するための横端検出センサーとが設けられている。
【0004】
そして、記録媒体への印刷時において記録装置の制御装置は、前端検出センサーからの検出信号によって給送装置によって給送される記録媒体の前端を検出し、該検出結果に基づき記録媒体における印刷開始位置を特定する。続いて、制御装置は、記録媒体の前端がキャリッジの直下位置まで給送された場合、キャリッジを主走査方向に移動させることにより、横端検出センサーからの検出信号に基づき記録媒体の幅方向における端部を検出し、印刷領域内における記録媒体の位置を正確に検出する。その結果、記録媒体の所望する位置に、画像を印刷することが可能とされていた(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−273507号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に記載の記録装置では、一つの記録媒体への印刷中において、該記録媒体の幅方向における端部の検出が最後に行なわれてから記録媒体が予め設定された所定距離だけ給送されたときに、記録媒体の幅方向における端部の検出が再び行なわれる。こうした記録媒体の幅方向における端部の検出を行なうためには、本来はキャリッジを記録媒体の幅方向における端部まで移動させる必要がないにも関わらず、キャリッジを記録媒体の幅方向における端部まで移動させなければならない。そのため、印刷中におけるキャリッジの余分な移動がある分だけ、記録媒体に対する印刷速度が低下する問題があった。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、記録媒体に対する記録速度を向上させることができる記録装置及び記録方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の記録装置は、記録媒体の給送方向と交差する走査方向に沿って往復移動する移動部材に搭載された記録手段を用いて記録媒体に対して記録処理を施す記録装置において、記録指示を受信する受信手段と、前記移動部材に設けられた信号出力部から出力される検出信号に基づき、記録媒体の幅方向における端部の位置を検出する端部検出手段と、前記端部検出手段によって検出された位置に関する端部位置情報を記憶する記憶手段と、前記記憶手段に前記端部位置情報が記憶される場合において、該端部位置情報が記憶された際の記録媒体のサイズと前記記録指示に指示された記録媒体のサイズとが同一であって且つ前記記録指示によって縁あり記録が指示されたときには、記録媒体の幅方向における端部の位置を検出しないように前記移動部材の移動を制御する制御手段と、を備える。
【0009】
上記構成によれば、記憶手段に端部位置情報が記憶される場合において、該端部位置情報が記憶された際の記録媒体と同一サイズの記録媒体に対して縁あり記録を施すときには、記録媒体の幅方向における端部の位置が検出されない。そのため、記録媒体の幅方向における端部の位置を検出するために移動部材を記録媒体の幅方向における端部側に移動させる場合と比較して、一つの記録媒体への記録処理時における移動部材の移動量を低減できる。したがって、移動部材の移動量が低減する分、記録媒体に対する記録速度を向上させることができる。
【0010】
本発明の記録装置において、前記記憶手段に前記端部位置情報が記憶される場合において、前記記録指示によって次の記録媒体に対して縁なし記録が指示されたときには、前記制御手段は、前記次の記録媒体の幅方向における端部の位置を検出するための前記移動部材の前記次の記録媒体の幅方向における端部側への移動を許可すると共に、前記端部検出手段は、前記移動部材が記録媒体の幅方向における端部側に移動した際に前記信号出力部から出力される検出信号に基づき前記次の記録媒体の幅方向における端部の位置を検出する。
【0011】
上記構成によれば、記録指示からの指示によって記録媒体に対して縁なし記録を施す場合には、端部位置情報が記憶された際の記録媒体と同一サイズの記録媒体に対する記録処理であっても、記録媒体の幅方向における端部の位置を検出するために移動部材が記録媒体の幅方向における端部側に移動すると共に、記録媒体の幅方向における端部の位置が検出される。そのため、縁なし記録時における記録媒体への記録精度を維持できる。
【0012】
本発明の記録装置において、幅方向における長さが異なる複数サイズの記録媒体を給送可能であって、且つ記録媒体の幅方向における一部に当接する給送ローラーを有する給送装置をさらに備え、前記給送ローラーは、第1のサイズの記録媒体の幅方向における一端との第1距離が、前記第1のサイズとは異なる第2のサイズの記録媒体の前記幅方向における一端との第1距離と異なると共に、前記第1のサイズの記録媒体の前記幅方向における他端との第2距離が、前記第2のサイズの記録媒体の前記幅方向における他端との第2距離と異なる位置に配置されている。
【0013】
上記構成によれば、給送ローラーは、記録媒体の幅方向における端部とは異なる位置に対応して配置される。そのため、記録媒体の幅方向における端部と対応する位置に給送ローラーが配置される場合と比較して、給送される記録媒体が給送方向に対して斜めに傾いてしまうことを抑制できる。したがって、記憶手段に記憶された端部位置情報を用いて、記録媒体に記録処理を施す場合であっても、該記録媒体に対する記録精度の低下を抑制できる。
【0014】
本発明の記録装置は、前記記録装置に対して着脱自在であって、且つ記録処理前の記録媒体を収容する収容装置と、前記収容装置が前記記録装置から取り外されたことを検出する着脱検出手段と、をさらに備え、前記着脱検出手段によって前記収容装置が前記記録装置から取り外されたことが検出された後に、前記収容装置が前記記録装置に取り付けられ、その後、記録処理が行なわれるときには、前記制御手段は、記録媒体の幅方向における端部の位置を検出するための前記移動部材の記録媒体の幅方向における端部側への移動を許可すると共に、前記端部検出手段は、前記移動部材が記録媒体の幅方向における端部側に移動した際に前記信号出力部からの検出信号に基づき記録媒体の幅方向における端部の位置を検出し、該位置に関する端部位置情報を前記記憶手段に記憶させる。
【0015】
収容装置が記録装置から取り外された場合には、取り外される前のサイズとは異なるサイズの記録媒体が収容された状態で、収容装置が記録装置に再び取り付けられる可能性がある。そこで、本発明では、取り外された収容装置が記録装置に再び取り付けられた場合には、受信した記録指示に基づく最初の記録処理時に、記録媒体の幅方向における端部の位置を検出するために移動部材が記録媒体の幅方向における端部側に移動し、記録媒体の幅方向における端部の位置が検出される。そして、検出された記録媒体の幅方向における端部の位置に関する端部位置情報が記憶手段に記憶される。そのため、現時点で収容装置に収容される記録媒体のサイズに応じた適切な端部位置情報を、記憶手段に記憶させることができる。
【0016】
本発明の記録装置では、1回の記録指示によって複数の同一サイズの記録媒体への記録処理を行なう場合において、1つ目の記録媒体への記録処理時には、前記制御手段は、記録媒体の幅方向における端部の位置を検出するための前記移動部材の記録媒体の幅方向における端部側への移動を許可すると共に、前記端部検出手段は、前記移動部材が記録媒体の幅方向における端部側に移動した際に前記信号出力部からの検出信号に基づき記録媒体の幅方向における端部の位置を検出し、該位置に関する端部位置情報を前記記憶手段に記憶させ、2つ目以降の記録媒体に縁あり記録を施すときには、前記制御手段は、記録媒体の幅方向における端部の位置を検出するための前記移動部材の記録媒体の幅方向における端部側への移動を許可しない。
【0017】
上記構成によれば、記録指示によって複数の記録媒体に対して記録処理を施す場合には、1つ目の記録媒体への記録処理時に、記録媒体の幅方向における端部の位置を検出するために移動部材が記録媒体の幅方向における端部側に移動し、記録媒体の幅方向における端部の位置が検出される。そして、検出された記録媒体の幅方向における端部の位置に関する端部位置情報が記憶手段に記憶される。続いて、2つ目以降の記録媒体への記録処理時には、記録媒体の幅方向における端部の位置を検出するために移動部材が記録媒体の幅方向における端部側に移動することが許可されない。すなわち、2つ目以降の記録媒体には、記憶手段に記憶される端部位置情報に基づき記録処理が施される。したがって、記録処理速度を向上させることができる。
【0018】
本発明の記録装置では、記録指示によって記録処理を行なう場合において、前記記憶手段に前記端部位置情報が記憶されると共に、前記記憶手段に端部位置情報が記憶された際の記録媒体のサイズと前記記録指示に指示された記録媒体のサイズとが同一であって且つ前記記録指示によって縁あり記録が指示されたときには、前記制御手段は、記録媒体の幅方向における端部の位置を検出するための前記移動部材の記録媒体の幅方向における端部側への移動を許可しない。
【0019】
上記構成によれば、記憶手段に端部位置情報が記憶された際の記録媒体と同一サイズの記録媒体に対して記録処理を施す場合には、端部位置情報を検出するために移動部材が記録媒体の幅方向における端部側に移動することが規制される。したがって、記録処理速度を向上させることができる。
【0020】
本発明の記録装置は、一の記録媒体への記録処理時に検出された前記端部位置情報に基づき、記録媒体の給送異常が発生したか否かを判定する給送異常判定手段をさらに備え、前記給送異常判定手段によって給送異常が発生したと判定された場合において、次の記録媒体への記録処理を行なうときには、前記制御手段は、前記次の記録媒体の幅方向における端部の位置を検出するための前記移動部材の前記次の記録媒体の幅方向における端部側への移動を許可すると共に、前記端部検出手段は、前記移動部材が前記次の記録媒体の幅方向における端部側に移動した際に前記信号出力部からの検出信号に基づき前記次の記録媒体の幅方向における端部の位置を検出する。
【0021】
上記構成によれば、給送異常が発生したと判定された場合には、記録媒体への記録処理時には、毎回、端部位置情報を検出するために移動部材が記録媒体の幅方向における端部側に移動し、記録媒体の幅方向における端部の位置が検出される。したがって、給送異常の発生に基づく記録精度の低下を抑制できる。
【0022】
本発明の記録方法において、記録媒体の給送方向と交差する走査方向に沿って往復移動する移動部材に搭載された記録手段を用いて記録媒体に対して記録処理を施す記録方法において、記録指示を受信させる受信ステップと、前記移動部材に設けられた信号出力部から出力される検出信号に基づき、記録媒体の幅方向における端部の位置を検出し、該位置に関する端部位置情報を記憶手段に記憶させる位置情報検出ステップと、前記記憶手段に前記端部位置情報が記憶される場合において、該端部位置情報が記憶された際の記録媒体のサイズと前記記録指示が指示する記録媒体のサイズとが同一であって且つ前記記録指示が縁あり記録を指示するときには、前記端部位置情報を検出しないように前記移動部材の移動を制御させる制御ステップと、を有する。
【0023】
上記構成によれば、上記記録装置と同等の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】第1の実施形態におけるプリンターの斜視図。
【図2】本体ケースを取り外した状態のプリンターの斜視図。
【図3】キャリッジが移動する様子を模式的に示す断面図。
【図4】給紙カセットを模式的に示す平面図。
【図5】給紙カセット及び給送装置を模式的に示す断面図。
【図6】プリンターの電気的構成の要部を説明するブロック図。
【図7】第1の実施形態の印刷処理ルーチンを説明するフローチャート。
【図8】(a)は左右端位置情報を検出すべくキャリッジが移動する様子を説明する作用図、(b)は左端部位置情報を検出すべくキャリッジが移動する様子を説明する作用図。
【図9】第1印刷処理時における用紙に対する相対的なキャリッジの移動を説明する作用図。
【図10】第2印刷処理時における用紙に対する相対的なキャリッジの移動を説明する作用図。
【図11】第2の実施形態のカセットオープン処理ルーチンを説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した第1の実施形態を図1〜図10に基づいて説明する。なお、以下における本明細書中の説明において、「前後方向」、「左右方向」、「上下方向」をいう場合は、図1に矢印で示す前後方向(副走査方向)及び左右方向(主走査方向)、並びに上下方向をそれぞれ示すものとする。
【0026】
図1に示すように、記録装置としてのプリンター11は、インクジェット式のシリアルタイプのプリンターであって、装置全体を覆う略四角箱状の本体ケース12を備えている。この本体ケース12には、記録媒体としての用紙P(図2参照)に対して印刷処理(記録処理)を施す印刷部13と、該印刷部13の右方側に位置し且つ複数(本実施形態では4つ)のインクカートリッジ14が着脱自在な状態で装着されるホルダー部15とが設けられている。また、印刷部13の下方に位置し且つ前方が開口する収納凹部16内には、印刷処理前の複数枚の用紙Pが収容される収容装置としての給紙カセット17が挿抜自在(着脱自在)な状態で装着されている。そして、この給紙カセット17からは、給送装置50(図5参照)によって用紙Pが印刷部13内に給送(搬送)される。
【0027】
次に、印刷部13について説明する。
図2に示すように、印刷部13は、給送装置50の駆動によって給紙カセット17内から用紙Pが後側から前方に向けて給送される略矩形箱状のフレーム18を備えている。このフレーム18内の下部には、該フレーム18内に給送された用紙Pを支持するプラテン19が左右方向に沿って延設されている。また、フレーム18内においてプラテン19の上方には、プラテン19の長手方向(左右方向)と平行な棒状のガイド軸20が設けられている。このガイド軸20には、その軸線方向(左右方向であって、主走査方向)に沿って往復移動可能な状態で移動部材としてのキャリッジ21が支持されている。
【0028】
フレーム18の後壁内面におけるガイド軸20の両端部と対応する各位置には、駆動プーリー22及び従動プーリー23が回転自在な状態で支持されている。駆動プーリー22にはキャリッジ21を往復移動させる際の駆動源となるキャリッジモーター(以下、「CRモーター」ともいう。)24の出力軸が連結されると共に、これら一対のプーリー22,23間には一部がキャリッジ21に連結された無端状のタイミングベルト25が掛装されている。したがって、キャリッジ21は、ガイド軸20にガイドされながら、CRモーター24の駆動力により無端状のタイミングベルト25を介して左右方向に移動される。
【0029】
また、フレーム18内には、図2及び図6に示すように、後壁内面側に配置され且つ左右方向に延びる被検出用テープ26と、キャリッジ21に設けられる検出部27とを備えるリニアエンコーダー28が設けられている。被検出用テープ26には多数のスリット26aが左右方向に沿って等間隔に形成されると共に、検出部27には左右方向において互いに異なる位置に配置される複数(一例として2つ)のセンサー(図示略)が設けられている。そして、検出部27の各センサーからは、キャリッジ21の移動距離に相当するパルス状の検出信号が後述する制御装置70(図6参照)にそれぞれ出力される。
【0030】
キャリッジ21には、フレキシブル配線板29に付設された図示しない複数本(例えば4本)のインク供給チューブを介して、ホルダー部15に装着された各インクカートリッジ14が連結されている。こうしたキャリッジ21においてプラテン19に対向する下面側には、図2に示すように、各インクカートリッジ14からフレキシブル配線板29などを介してインクが供給される記録手段としての記録ヘッド30が搭載されている。そして、記録ヘッド30の下面(「ノズル形成面」ともいう。)に開口する複数のノズル(図示略)からプラテン19上に給送された用紙Pにインク滴が吐出されることにより、印刷が行われる。
【0031】
また、キャリッジ21の下面側であって且つ記録ヘッド30の左側には、図2及び図3に示すように、発光部31a及び受光部31bを有する光学式の端部検出センサー(信号出力部)31が設けられている。この端部検出センサー31において、発光部31aからはプラテン19側(即ち、下方)に向けて検出光が出力されると共に、受光部31bはプラテン19又は該プラテン19に支持される用紙Pからの反射光を受光する。そして、端部検出センサー31からは、受光部31bでの受光量に応じた検出信号が後述する制御装置70に出力される。
【0032】
また、フレーム18内において用紙Pが給送される印刷領域の右側には、用紙Pが給送されないホームポジション領域が形成されている。このホームポジション領域には、記録ヘッド30のクリーニングなどの各種メンテナンスを行なうためのメンテナンス装置32が設けられている。
【0033】
次に、給紙カセット17について説明する。
図4及び図5に示すように、給紙カセット17は、上方が開口する有底略四角筒状のカセット本体40を備えている。このカセット本体40内には、用紙Pが積層状態で収容される収容室41が形成されている。この収容室41には、用紙Pが設置される略矩形板状の設置台42と、該設置台42を上下方向に沿って昇降移動させるための昇降機構43とが設けられている。この昇降機構43は、カセット本体40の底壁と設置台42との間に配置され且つ設置台42を上方に付勢する付勢部材44(一例としてコイルスプリング)を有している。
【0034】
本実施形態の給紙カセット17は、種々のサイズの用紙Pを収容可能に構成されている。すなわち、設置台42上には、用紙Pの左右両側に配置される一対の側部ガイド45,46が設けられている。両側部ガイド45,46は、カセット本体40の左右方向における中央に位置し且つ前後方向に沿って延びる中心線L1(図4にて一点鎖線で示す。)を中心とした線対称となる位置にそれぞれ配置されている。また、両側部ガイド45,46は、左右方向に沿って互いに連動して接離可能である。その結果、収容室41内に収容される用紙P(P1,P2,P3)の左右方向における中央は、用紙Pの大きさに関係なく、カセット本体40の左右方向における中央とほぼ一致する。
【0035】
また、設置台42上において用紙Pの前側には、収容室41内に収容される用紙Pの後端とカセット本体40の後側壁部40aとの間隔を所定間隔未満とさせるための前部ガイド47が設けられている。この前部ガイド47は、収容室41内に収容される用紙Pのサイズに応じて、前後方向に移動可能とされている。
【0036】
一方、収納凹部16内には、該収納凹部16内に給紙カセット17が装着されたことを検出するための挿抜センサー48が設けられている。この挿抜センサー48からは、給紙カセット17が収納凹部16内に装着された場合にはオン信号を後述する制御装置70に出力する一方、給紙カセット17が収納凹部16内に装着されていない場合にはオフ信号を制御装置70に出力する。
【0037】
なお、本実施形態において、用紙P1はA5サイズの用紙であると共に、用紙P2はA4サイズの用紙であり、さらに、用紙P3はA3サイズの用紙であるものとする。すなわち、各用紙P1,P2,P3のうち、用紙P3が最も大きく、用紙P1が最も小さいものとする。
【0038】
次に、給送装置50について説明する。
図4及び図5に示すように、給送装置50は、給紙カセット17の後端側であって左右方向における中央に配置され、且つASFモーター51(図6参照)の駆動に基づき回転する給送ローラー52を備えている。すなわち、給送ローラー52と用紙P1(P2,P3)の左端との第1距離は、給送ローラー52と用紙P1(P2,P3)の右端との第2距離とほぼ同等である。また、給送ローラー52と第1のサイズの用紙P1の左端との第1距離は、給送ローラー52と第2のサイズの用紙P2の左端との第1距離よりも短いと共に、給送ローラー52と用紙P2の左端との第1距離は、給送ローラー52と第3のサイズの用紙P3の左端との第1距離よりも短い。同様に、給送ローラー52と用紙P1の右端との第2距離は、給送ローラー52と用紙P2の右端との第2距離よりも短いと共に、給送ローラー52と用紙P2の右端との第2距離は、給送ローラー52と用紙P3の右端との第2距離よりも短い。
【0039】
こうした給送ローラー52よりも前側には、上記中心線L1を中心とした線対称となる位置に配置される一対の従動ローラー53,54が設けられている。こうした各ローラー52〜54は、それらの外周面が給紙カセット17内に収容される各用紙Pのうち最上位の用紙Pにそれぞれ圧接すると共に、左右方向に沿って延びる図示しない軸線を中心としてそれぞれ回転する。
【0040】
図4及び図5に示すように、給送ローラー52の上方には、該給送ローラー52よりも大きな径を有し、且つASFモーター51の駆動に基づき回転する中間ローラー55が設けられている。この中間ローラー55は、左右方向に沿って延びる図示しない軸線を中心として回転する。また、中間ローラー55の近傍には、該中間ローラー55の外周面と所定間隔だけ離間した位置に配置される略円弧状の円弧ガイド56が設けられている。
【0041】
また、中間ローラー55の前側であってプラテン19の後側には駆動ローラー及び従動ローラーを有する給紙ローラー対57が設けられると共に、プラテン19の前側には駆動ローラー及び従動ローラーを有する排紙ローラー対58が設けられている。各駆動ローラーは、PFモーター59(図6参照)の駆動に基づきそれぞれ回転する。なお、前後方向において中間ローラー55と給紙ローラー対57との間には、給送される用紙Pの前端(先端)を検出するための先端検出センサー60が設けられている。
【0042】
そして、給送ローラー52及び中間ローラー55が回転すると、給紙カセット17内の最上位の用紙Pが給紙カセット17から上方に向けて給送される。すると、用紙Pの給送方向は、中間ローラー55と円弧ガイド56によって、上方から前方に変更される。その結果、中間ローラー55側から用紙Pが前方に向けて給送される。このとき、用紙Pの給送方向(副走査方向)における先端が先端検出センサー60に検出されると、該先端検出センサー60は、先端を検出した旨の検出信号(以下、「先端検出信号」ともいう。)を制御装置70に出力する。
【0043】
その後、用紙Pの給送方向における先端が給紙ローラー対57を構成する各ローラーに挟持されると、給紙ローラー対57によって、用紙Pがプラテン19上に給送される。さらに、用紙Pの給送方向における先端が排紙ローラー対58を構成する各ローラーに挟持されると、用紙Pはフレーム18外に排紙される。
【0044】
次に、本実施形態のプリンター11の電気的構成の要部について説明する。
図6に示すように、プリンター11の制御装置70は、図示しないCPU、ROM、RAM、不揮発性のメモリー及びASIC((Application Specific IC(特定用途向けIC))などで構築されるデジタルコンピューター71(図6にて破線で囲まれた部分)を備えている。このデジタルコンピューター71は、CRモーター24を駆動させるためのCR用ドライバー72、PFモーター59を駆動させるためのPF用ドライバー73、ASFモーター51を駆動させるためのASF用ドライバー74及び記録ヘッド30を駆動させるためのヘッド用ドライバー75と電気的に接続されている。
【0045】
また、デジタルコンピューター71は、ハードウェア及びソフトウェアのうち少なくとも一方により実現される機能部分として、受信バッファー80、主制御部81、画像処理部82、給送制御部83、CR制御部84、用紙情報取得部85及びメモリー86を備えている。なお、メモリー86は、RAMによって構成されている。
【0046】
受信バッファー80は、ホストコンピューター87からインターフェース88を介して受信した画像情報及び印刷指示(記録指示)を一時的に保管する。この印刷指示には、印刷を施す用紙Pのサイズに関する情報と、縁なし印刷(縁なし記録)又は縁あり印刷(縁あり記録)に関する情報などが含まれる。したがって、本実施形態では、受信バッファー80が、受信手段として機能する。
【0047】
主制御部81は、画像処理部82、給送制御部83、CR制御部84及び用紙情報取得部85に対して制御指令を適宜出力する。具体的には、主制御部81は、ホストコンピューター87側からインターフェース88を介して印刷指令を受信した場合、受信バッファー80に受信された画像情報に基づくラスターデータを生成させる旨の制御指令を画像処理部82に出力する。また、主制御部81は、用紙Pの給紙を開始させる旨の制御指令を給送制御部83に出力すると共に、キャリッジ21の移動を開始させる旨の制御指令をCR制御部84に出力する。また、主制御部81は、挿抜センサー48からの検出信号に基づき、給紙カセット17の状態を管理する。すなわち、主制御部81は、挿抜センサー48からの検出信号がオン信号からオフ信号に変わった場合には、給紙カセット17がプリンター11から取り外されたことを検知する。したがって、本実施形態では、挿抜センサー48及び主制御部81により、着脱検出手段が構成される。
【0048】
画像処理部82は、受信バッファー80に保管される画像情報に各種変換処理(解像度変換処理、色変換処理及びハーフトーン処理等)を施してラスターデータを生成する。そして、画像処理部82は、画像情報に基づく印刷時には、用紙Pの給送及びキャリッジ21の移動などと連動して記録ヘッド30から各種のインク滴が吐出されるように、生成したラスターデータに基づいた駆動信号をヘッド用ドライバー75に出力する。すると、記録ヘッド30の各ノズルからは、ヘッド用ドライバー75からの駆動信号に基づきインク滴が各別に吐出される。
【0049】
なお、用紙Pへの印刷は、用紙Pの縁部には画像を形成しない(即ち、縁部にインク滴を着弾させない)縁あり印刷と、用紙Pの縁部にも画像を適宜形成する(即ち、縁部にインク滴を着弾させる)縁なし印刷とがある。画像処理部82は、主制御部81から縁なし印刷を行なう旨の制御指令が入力された場合には、用紙Pの右端よりも僅かに右方側までインク滴を吐出できると共に、用紙Pの左端よりも僅かに左方側までインク滴を吐出できるようにラスターデータを生成する。
【0050】
給送制御部83は、給紙カセット17内から用紙Pを印刷部13内に給送させる場合には、ASF用ドライバー74に制御指令を出力する。すると、ASF用ドライバー74からの駆動信号に基づきASFモーター51が駆動することにより、給送ローラー52及び中間ローラー55が回転する。また、給送制御部83は、先端検出センサー60から先端検出信号を入力した場合、PF用ドライバー73に制御指令を出力する。すると、PF用ドライバー73からの駆動信号に基づきPFモーター59が駆動することにより、給紙ローラー対57及び排紙ローラー対58の各ローラーが回転し、用紙Pがフレーム18内を後側から前側に給送される。なお、本実施形態のPFモーター59の出力軸には、該出力軸の回転速度、回転位置及び回転方向を検出するためのロータリーエンコーダー89が設けられている。そして、給送制御部83は、ロータリーエンコーダー89からの検出信号に基づきPFモーター59の駆動を制御する。
【0051】
CR制御部84は、リニアエンコーダー28からの検出信号に基づきキャリッジ21の左右方向における位置、移動速度及び移動方向を算出すると共に、該算出結果に基づいた制御指令をCR用ドライバー72に出力することによりキャリッジ21の移動を制御する。また、CR制御部84は、用紙情報取得部85からキャリッジ21の位置に関する情報(以下、「位置情報」ともいう。)の要求があった場合には、算出した位置情報を用紙情報取得部85に出力する。なお、本実施形態では、CR制御部84は、詳しくは後述するが、主制御部81からキャリッジ21の移動を制限する旨の制御指令を入力した場合には、該制御指令に応じてキャリッジ21の移動範囲を制限する。
【0052】
用紙情報取得部85は、先端検出センサー60及び端部検出センサー31からの各種検出信号に基づき、給送される用紙Pに関する情報を取得する。そして、用紙情報取得部85は、取得結果を給送制御部83及びCR制御部84に適宜出力すると共に、取得結果を端部位置情報としてメモリー86に記憶させる。したがって、本実施形態では、リニアエンコーダー28、端部検出センサー31、CR制御部84及び用紙情報取得部85により、用紙Pの幅方向(左右方向)における端部の位置に関する端部位置情報を検出する端部検出手段が構成される。また、メモリー86が、記憶手段として機能する。
【0053】
なお、端部位置情報には、印刷される用紙Pの右端の位置及び左端の位置に関する情報を含む左右端位置情報と、パス毎に取得される用紙Pの左端の位置に関する左端部位置情報とを含んでいる。そして、印刷時には、最初に取得した左右端位置情報に基づき、プラテン19上での用紙Pの左右方向における位置が検出され、該検出結果に基づきキャリッジ21の移動制御や記録ヘッド30からのインク滴の吐出制御がなされる。また、特に縁なし印刷時には、該印刷中に取得される左端部位置情報に基づき用紙Pの左右方向における各端部を検出し、該検出結果に基づきキャリッジ21の移動制御や記録ヘッド30からのインク滴の吐出制御がなされる。
【0054】
次に、本実施形態の制御装置70が実行する印刷処理ルーチンについて、図7に示すフローチャート及び図8(a)(b)に示す作用図に基づき説明する。
さて、ホストコンピューター87から画像情報及び印刷指示を受信(受信ステップ)すると、主制御部81は、印刷処理ルーチンを実行する。そして、最初のステップS10において、主制御部81は、受信バッファー80に保管される画像情報に対する画像処理を実行させる旨の制御指令を画像処理部82に出力する。すると、画像処理部82は、画像情報に対して各種変換処理を施してラスターデータを生成する。
【0055】
次のステップS11において、主制御部81は、給紙処理を実行させる旨の制御指令を給送制御部83に出力する。すると、給送制御部83は、ASFモーター51を駆動させて、給紙カセット17内の最上位の用紙Pをフレーム18内に給送すべく給送ローラー52及び中間ローラー55を回転させる。そして、給送制御部83は、先端検出センサー60から先端検出信号を入力した場合、頭出し処理を実行するために、PFモーター59を駆動させて給紙ローラー対57及び排紙ローラー対58の各ローラーを回転させる。このとき、給送制御部83は、ロータリーエンコーダー89からの検出信号に基づき、PFモーター59の駆動量を制御する、即ち用紙Pの給送方向における先端の位置を調整する。また、給送制御部83は、用紙Pの先端が給紙ローラー対を構成する一対のローラーに挟持されるタイミングで、ASFモーター51を停止させて給送ローラー52及び中間ローラー55の回転を停止させる。そして、給送制御部83は、頭出し処理が完了した時点で、PFモーター59の回転を一旦停止させ、頭出し処理が完了した旨を主制御部81に出力する。
【0056】
次のステップS12において、主制御部81は、印刷指示によって指示された今回印刷を施す用紙P(例えば、第1のサイズの用紙P1)に関する端部位置情報が取得済みであるか否かを判定する。そして、主制御部81は、今回印刷を施す用紙Pに関する端部位置情報がメモリー86に記憶されていない場合には、取得済みではないため、その処理を後述するステップS15に移行する。一方、主制御部81は、今回印刷を施す用紙Pに関する端部位置情報がメモリー86に記憶される場合には、取得済みであるため、その処理を次のステップS13に移行する。
【0057】
ステップS13において、主制御部81は、印刷指示によって指示された今回の印刷が縁あり印刷であるか否かを判定する。すなわち、主制御部81は、今回の印刷が縁なし印刷である場合にはその処理を後述するステップS15に移行する一方、今回の印刷が縁あり印刷である場合にはその処理を次のステップS14に移行する。
【0058】
ステップS14において、主制御部81は、前のページまでの印刷時において給紙異常が発生していないか否かを、メモリー86に記憶される端部位置情報に基づき判定する。ここで、給紙異常とは、プラテン19上に給送された用紙Pが給送方向に対して斜めに傾いて(即ち、スキューして)いたり、プラテン19上における用紙Pの位置が所定の位置からずれていたりする現象を含んだ概念である。そして、主制御部81は、給紙異常が発生していない場合にはその処理を後述するステップS16に移行する一方、給紙異常が発生した場合にはその処理を次のステップS15に移行する。したがって、本実施形態では、主制御部81が、給送異常判定手段としても機能する。
【0059】
ここで、用紙Pがスキューした場合の検出方法について説明する。給送される用紙Pがスキューした場合、パス毎に検出する用紙Pの左端の位置が、徐々に一方向(右方又は左方)に変位する。こうした状態をメモリー86に記憶される端部位置情報に基づき検出した場合には、スキューが発生していたと判定される。
【0060】
ステップS15において、主制御部81は、第1印刷処理を実行させる旨の制御指令を画像処理部82、給送制御部83及びCR制御部84に出力する。すると、CR制御部84は、図8(a)に示すように、キャリッジ21をホームポジション側から左方側に移動させる。このとき、キャリッジ21が、頭出しされた用紙Pの右端側に対応する右端側位置(図8(a)では実線で示す位置)に到達すると、端部検出センサー31からの検出信号の大きさが変化する。こうした端部検出センサー31からの検出信号の大きさの変化を用紙情報取得部85が検知すると、該用紙情報取得部85は、CR制御部84からキャリッジ21の左右方向における位置を用紙Pの右端S1として取得する。また、キャリッジ21が右端側位置から左方に移動して用紙Pの左端側に対応する左端側位置(図8(a)では二点鎖線で示す位置)に到達すると、端部検出センサー31からの検出信号の大きさが再び変化する。こうした端部検出センサー31からの検出信号の大きさの変化を用紙情報取得部85が検知すると、該用紙情報取得部85は、CR制御部84からキャリッジ21の左右方向における位置を用紙Pの左端S2として取得する。そして、用紙情報取得部85は、キャリッジ21を右端側位置から左端側位置(又は左端側位置から右端側位置)まで移動させた際に取得した用紙Pの右端S1と左端S2に関する左右端位置情報をメモリー86に記憶させる。したがって、本実施形態では、ステップS15が、位置情報検出ステップに相当する。
【0061】
その後、給送制御部83は、キャリッジ21が停止したタイミング又は停止直前のタイミングで用紙Pを前側に間欠的に給送させるべくPFモーター59を制御する。また、CR制御部84は、PFモーター59が停止したタイミング又は停止直前のタイミングでキャリッジ21の移動を開始させると共に、画像処理部82は、キャリッジ21の移動と同期して記録ヘッド30の各ノズルからインク滴を吐出させる。
【0062】
このとき、CR制御部84は、図8(b)に示すように、キャリッジ21を右方側から左方側に移動させるパスの場合には、該キャリッジ21を必ず左端側位置まで移動させる。すると、用紙情報取得部85は、端部検出センサー31からの検出信号の大きさの変化に基づき用紙Pの左端S2の位置をCR制御部84から取得する。そして、用紙情報取得部85は、取得した用紙Pの左端S2に関する左端部位置情報をメモリー86に記憶させる。すなわち、第1印刷処理では、パス毎に用紙Pの左端部位置情報が取得される。そして、主制御部81は、一枚の用紙Pに対する印刷(即ち、インク滴の吐出)が完了した場合、その処理を後述するステップS17に移行する。
【0063】
一方、ステップS16において、主制御部81は、第2印刷処理を実行させる旨の制御指令を画像処理部82、給送制御部83及びCR制御部84に出力する。すると、CR制御部84は、第1印刷処理の場合とは異なり、左右端位置情報を取得するためにキャリッジ21を移動させない。すなわち、頭出しされた用紙Pに対して直ぐに画像を印刷させるべく、画像処理部82、給送制御部83及びCR制御部84は、記録ヘッド30、PFモーター59及びCRモーター24を制御する。
【0064】
このとき、CR制御部84は、用紙Pの左端部位置情報を取得させるためだけに、キャリッジ21を左端側位置まで移動させない。もちろん、CR制御部84は、用紙Pの左端S2に対してインク滴を吐出する必要がある場合には、キャリッジ21を左端側位置まで移動させる。すなわち、第2印刷処理は、左端部位置情報を取得させない、即ち用紙Pの左端の位置を検出させない印刷処理である。したがって、本実施形態では、第1印刷処理又は第2印刷処理を選択する主制御部81が、制御手段としても機能する。また、ステップS16が、制御ステップに相当する。そして、主制御部81は、一枚の用紙Pに対する印刷(即ち、インク滴の吐出)が完了した場合、その処理を次のステップS17に移行する。
【0065】
ステップS17において、主制御部81は、印刷処理ルーチンの実行の契機となった1つの印刷指示によって次のページの印刷を行なうか否かを判定する。そして、主制御部81は、次のページの印刷を行なう場合にはその処理を前述したステップS11に移行する一方、次のページの印刷を行なわない場合にはその処理を次のステップS18に移行する。なお、1つの印刷指令によって複数枚の用紙Pに印刷が施される場合の各用紙Pのサイズは、全て同一サイズである。
【0066】
ステップS18において、主制御部81は、1つの印刷指令に基づく印刷が全て完了したため、メモリー86に記憶される端部位置情報をリセット(消去)する。その後、主制御部81は、印刷処理ルーチンを終了する。
【0067】
次に、本実施形態のプリンター11の印刷時の作用を図9及び図10に基づき説明する。なお、図9及び図10において、二点鎖線で囲まれた領域が縁あり印刷時における印刷領域である。また、図9及び図10では、用紙Pにおいてハッチングが施された部分にインク滴が付着する一方で、それ以外の部分にはインク滴が付着しないものとする。さらに、図9及び図10では、キャリッジ21の記載を省略すると共に、用紙Pを基準としたキャリッジ21の相対的な移動経路を一点鎖線で示すものとする。
【0068】
さて、ホストコンピューター87から画像情報及び印刷指令が受信されると、1枚目の用紙Pがプラテン19上に支持される。すると、キャリッジ21は、頭出しされた直後の用紙Pの先端の直上を右端側位置から左端側位置まで移動する(図8(a)参照)。このとき、キャリッジ21に搭載された端部検出センサー31及びリニアエンコーダー28によって、用紙Pの右端S1の位置及び用紙Pの左端S2の位置が取得される。なお、用紙Pの幅方向(左右方向)における長さを取得してもよい。そして、取得した左右端位置情報がメモリー86に記憶される。
【0069】
その後、用紙Pへの印刷が開始される。すると、PFモーター59の間欠的な駆動によって、用紙Pが間欠的に前側に給送される。そして、キャリッジ21は、用紙Pの前方への給送が停止したタイミング(又は停止直前のタイミング)で左右方向に移動する。そして、キャリッジ21が用紙Pの印刷領域上に位置するタイミングで、記録ヘッド30の各ノズルからはインク滴が個別に吐出される。このとき、今回の用紙Pは1ページ目であるため、キャリッジ21を右方側から左方側に移動させるパスの場合、キャリッジ21は、用紙Pの左端側にインク滴を吐出させなくても、用紙Pの左端側位置又は該左端側位置よりも左側まで移動する。そして、端部検出センサー31及びリニアエンコーダー28によって、用紙Pの左端S2の位置が取得され、該取得した左端側位置情報がメモリー86に適宜記憶される。
【0070】
また、キャリッジ21を左方側から右方側に移動させるパスの場合、キャリッジ21の右方側への移動が開始直後に、端部検出センサー31及びリニアエンコーダー28によって、用紙Pの左端S2の位置が取得される。そして、取得した左端側位置情報がメモリー86に適宜記憶される。
【0071】
1ページ目の用紙Pに対する印刷が完了すると、該1ページ目の用紙Pがフレーム18外に排紙されると共に、2ページ目の用紙Pがフレーム18内に給送される。すると、メモリー86に端部位置情報が記憶されると共に縁あり印刷であるため、第2印刷処理が実行される。
【0072】
すなわち、頭出しがされた用紙Pに対して、キャリッジ21は、記録ヘッド30からインク滴を吐出させるべく移動を開始する。このとき、キャリッジ21は、右端側から左端側まで移動する場合、左端部位置情報の取得を行なわないため、印刷領域の左端に対応する位置までしか移動しない。しかも、右端側から左端側まで移動するパスにおいてインク滴の吐出のために印刷領域の左端までキャリッジ21を移動させなくてもよい場合には、該キャリッジ21は、印刷領域の左端まで移動しない。つまり、第2印刷処理では、1ページの印刷でのキャリッジ21の移動量が第1印刷処理の場合よりも少なくなる。その分、1ページの印刷時間が短くなる。
【0073】
そして、2ページ目の用紙Pに対する印刷が完了すると、該2ページ目の用紙Pがフレーム18外に排紙されると共に、3ページ目の用紙Pがフレーム18内に給送される。すると、2ページ目の用紙Pの場合と同様に、3ページ目の用紙Pに対して第2印刷処理が実行される。
【0074】
したがって、上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)メモリー86に端部位置情報が記憶される場合において、該端部位置情報が記憶された際の用紙Pと同一サイズの用紙Pに対して縁あり印刷を施すときには、端部位置情報を検出するためにキャリッジ21を用紙Pの右端S1や左端S2まで移動させない。そのため、端部位置情報を検出するためにキャリッジ21を用紙Pの右端S1や左端S2まで移動させる場合と比較して、一枚の用紙Pへの印刷時におけるキャリッジ21の移動量を低減できる。したがって、キャリッジ21の移動量を低減できる分、用紙Pに対する印刷速度(記録速度)を向上させることができる。
【0075】
(2)その一方で、用紙Pに対して縁なし印刷を施す場合には、端部位置情報が記憶された際の用紙Pと同一サイズの用紙Pに対する印刷であっても、端部位置情報を取得させるためにキャリッジ21を用紙Pの右端S1や左端S2まで移動させる。そして、随時取得する左端部位置情報に基づき、用紙Pの右端S1及び左端S2の近傍での記録ヘッド30からのインク滴の吐出制御がなされる。そのため、縁なし印刷時に第2印刷処理を行なう場合とは異なり、縁なし印刷時における用紙Pへの印刷精度を維持できる。
【0076】
(3)給送ローラー52は、給紙カセット17に収容される用紙P(P1,P2,P3)の幅方向における中央に配置される。そのため、用紙P(P1,P2,P3)の幅方向における端部(例えば右端部)と対応する位置に給送ローラーが配置される場合と比較して、用紙Pのスキューを抑制できる。したがって、第2印刷処理を行なう場合であっても、用紙Pに対する印刷精度の低下を抑制できる。
【0077】
(4)また、給紙異常と判定される可能性が少なくなる分、第2印刷処理が実行される確率が向上する。よって、印刷速度の向上に貢献できる。
(5)1つの印刷指示によって複数枚の用紙Pに対して画像を縁あり印刷を施す場合には、1ページ目の用紙Pに対して第1印刷処理が行なわれる。その後の2ページ目以降の用紙Pに対しては、第2印刷処理が行なわれる。すなわち、2ページ目以降の用紙Pには、メモリー86に記憶される端部位置情報に基づき画像が印刷される。したがって、2枚目以降の用紙Pに対する印刷速度を向上させることができる。
【0078】
(6)その一方で、1つの印刷指示に基づく印刷処理が終了すると、メモリー86に記憶される端部位置情報がリセットされる。そのため、印刷条件(例えば、用紙サイズや縁あり又は縁なし印刷)の異なる他の印刷指示を受信した場合に、前回の印刷指示に基づく印刷処理時に取得した端部位置情報に基づき、他の印刷指示に基づく印刷が行なわれることを抑制できる。したがって、用紙Pに対する印刷精度の低下を抑制できる。
【0079】
(7)今回の印刷指示に伴う1ページ目の用紙Pへの印刷時において給送異常(用紙Pのスキューなど)が発生した場合には、2ページ目以降の用紙Pにも第1印刷処理が行なわれる。したがって、給送異常の発生に基づく印刷精度の低下を抑制できる。
【0080】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を図11に従って説明する。なお、第2の実施形態は、メモリー86に記憶される端部位置情報をリセットするタイミングが第1の実施形態と異なっている。したがって、以下の説明においては、第1の実施形態と相違する部分について主に説明するものとし、第1の実施形態と同一又は相当する部材構成には同一符号を付して重複説明を省略するものとする。
【0081】
本実施形態の印刷処理ルーチンについて説明する。
さて、印刷処理ルーチンにおいて、ステップS17の判定結果が肯定判定である場合、主制御部81は、次のページがないと判断し、印刷処理ルーチンを終了する。すなわち、印刷指令を受信する毎に実行される印刷処理ルーチンでは、メモリー86に記憶される端部位置情報がリセットされない。
【0082】
次に、挿抜センサー48から入力される検出信号がオン信号からオフ信号に変化した場合に実行されるカセットオープン処理ルーチンについて、図11に示すフローチャートに基づき説明する。
【0083】
さて、カセットオープン処理ルーチンにおいて、主制御部81は、メモリー86に記憶される複数の左端部位置情報及び左右端位置情報を含む端部位置情報をリセット(消去)する(ステップS20)。したがって、本実施形態では、主制御部81が、リセット手段としても機能する。その後、主制御部81は、カセットオープン処理ルーチンを終了する。
【0084】
すなわち、本実施形態では、1つの印刷指令に基づく用紙Pへの印刷処理が終了しても、メモリー86に記憶される端部位置情報が保持される。そのため、他の印刷指示が受信バッファー80に受信された場合において、端部位置情報を取得した際の用紙P(例えば用紙P2)と同一サイズの用紙Pに対して縁あり印刷を施すときには、1ページ目の用紙Pに対して第2印刷処理が施される。もちろん、2ページ目の用紙Pに対しても第2印刷処理が施される。
【0085】
したがって、本実施形態によれば、上記第1の実施形態における効果(1)〜(4)(7)に加え以下に示す効果を得ることができる。
(8)給紙カセット17がプリンター11から取り外された場合には、取り外される前のサイズとは異なるサイズの用紙Pが収容された状態で、給紙カセット17がプリンター11に再装着される可能性がある。そこで、本実施形態では、取り外された給紙カセット17がプリンター11に再装着されてから最初の印刷時には、第1印刷処理が実行される。そのため、現時点で給紙カセット17に収容される用紙Pのサイズに応じた適切な端部位置情報を、メモリー86に記憶させることができる。
【0086】
(9)また、本実施形態では、給紙カセット17がプリンター11から取り外された場合には、メモリー86に記憶される端部位置情報がリセットされる。そのため、給紙カセット17がプリンター11に再装着された場合に、前に取得された端部位置情報を用いた印刷処理の実行を防止できる。
【0087】
(10)その一方で、メモリー86に端部位置情報を記憶させた際の用紙Pと同一サイズの用紙Pに対して縁あり印刷を施す場合には、印刷指令に基づく1ページ目の用紙Pに対しても第2印刷処理が行なわれる。したがって、印刷速度を向上させることができる。
【0088】
なお、上記各実施形態は以下のように変更してもよい。
・第2の実施形態において、給紙カセット17がプリンター11から取り外された場合に、メモリー86に記憶される端部位置情報をリセットしなくてもよい。この場合、給紙カセット17がプリンター11に再装着された場合に、メモリー86に記憶される端部位置情報をリセットしてもよい。
【0089】
また、プリンター11に再装着された給紙カセット17内に収容される用紙Pのサイズと、プリンター11から取り外される前の給紙カセット17に収容されていた用紙Pのサイズとが同一である場合には、メモリー86に記憶される端部位置情報を利用してもよい。もちろん、プリンター11に再装着された給紙カセット17内に収容される用紙Pのサイズと、プリンター11から取り外される前の給紙カセット17に収容されていた用紙Pのサイズとが異なる場合には、給紙カセット17の再装着時に、メモリー86に記憶される端部位置情報をリセットすることが望ましい。
【0090】
また、給紙カセット17がプリンター11に再装着された場合において最初の印刷時には、メモリー86に端部位置情報が記憶されているか否かに関係なく、第1印刷処理を実行させてもよい。このように構成すると、メモリー86に端部位置情報が、最新の端部位置情報に更新される。
【0091】
・各実施形態において、給送ローラー52が給紙カセット17内の用紙Pの左右方向における中央に配置される場合には、用紙Pのスキューが発生する可能性が極めて低いため、ステップS14の判定処理を省略してもよい。
【0092】
・各実施形態において、給紙カセット17は、第1のサイズの用紙P1を収容する第1収容部と、第2のサイズの用紙P2を収容する第2収容部とを備えた構成であってもよい。こうした場合、メモリー86に用紙P2の端部位置情報のみが記憶される場合において用紙P1に印刷を施すときには、一枚目の用紙P1への印刷時に第1印刷処理を行ない、該用紙P1の端部位置情報をメモリー86に記憶させてもよい。
【0093】
・第1の実施形態において、プリンター11を、用紙Pを手差しでセットするための給紙トレイを備えたプリンターに具体化してもよい。こうした場合であっても、1つの印刷指令に基づき印刷時に、1ページ目の印刷では第1印刷処理を行ない、2ページ目以降の印刷では第2印刷処理を行なってもよい。
【0094】
・各実施形態において、印刷モードが印刷速度よりも印刷精度を優先する高詳細モードである場合には、必ず第1印刷処理を実行させてもよい。その一方で、印刷モードが印刷精度よりも印刷速度を優先する高速モードである場合において縁あり印刷であるときには、適宜第2印刷処理を実行させてもよい。
【0095】
・各実施形態において、プリンター11は、ホストコンピューター87を介すことなくメモリーカードから画像情報を直接取得できるプリンターであってもよい。この場合、プリンター11の図示しない操作部がユーザーによって操作されると、該操作に応じた印刷指示が画像情報と共に受信バッファー80に一時保管される。このときの印刷指示にも、上記実施形態と同様に、用紙Pのサイズに関する情報と、縁あり印刷又は縁なし印刷に関する情報などが含まれる。そして、メモリーカードから直接取得した画像情報に基づく印刷時においても、第2印刷処理を適宜行なってもよい。
【0096】
・また、プリンター11は、スキャン機能を有する複合機であってもよい。そして、スキャンによって取得した画像情報に基づく印刷時においても、第2印刷処理を適宜行なってもよい。
【0097】
・各実施形態では、記録装置をインクジェット式のシリアルプリンターに具体化したが、インク以外の他の液体(記録材)を噴射したり吐出したりする液体噴射装置を採用してもよく、微小量の液滴を吐出させる液体噴射ヘッド等を備える各種の液体噴射装置に流用可能である。なお、液滴とは、上記液体噴射装置から吐出される液体の状態をいい、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう液体とは、液体噴射装置が噴射させることができるような材料であればよい。例えば、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状態、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状態、また物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなどを含む。また、液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インク及び油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。液体噴射装置の具体例としては、例えば液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルターの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を分散又は溶解のかたちで含む液体を噴射する液体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する液体噴射装置、捺染装置やマイクロディスペンサ等であってもよい。さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する液体噴射装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する液体噴射装置を採用してもよい。そして、これらのうち何れか一種の噴射装置に本発明を適用することができる。
【0098】
・各実施形態において、記録装置は、記録媒体の給送方向と交差する走査方向に移動する移動部材に記録手段が搭載される記録装置であれば、任意の記録装置であってもよい。例えば、記録装置は、ドットインパクト式プリンターなどのインパクト式プリンターでもよい。
【0099】
次に、上記各実施形態及び別の実施形態から把握できる技術的思想を以下に追記する。
(イ)記録媒体の給送方向と交差する走査方向に沿って往復移動する移動部材に搭載された記録手段を用いて記録媒体に対して記録処理を施す記録装置において、
記録指示を受信する受信手段と、
前記記録装置に対して着脱自在であって、且つ記録処理前の記録媒体を収容する収容装置と、
前記移動部材に設けられた信号出力部からの検出信号に基づき、記録媒体の幅方向における端部の位置を検出する端部検出手段と、
前記端部検出手段によって検出された位置に関する端部位置情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に前記端部位置情報が記憶されてから前記受信手段に今回の記録指示が受信されるまでの間に前記収容装置が前記記録装置から取り外されていない場合において、前記記録指示によって記録媒体への記録処理の開始が指示されたときには、記録媒体の幅方向における端部の位置を検出しないように前記移動部材の移動を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする記録装置。
【0100】
(ロ)前記収容装置が前記記録装置から取り外された後に、前記収容装置が前記記録装置に取り付けられ、その後、記録処理を行なう場合、
前記制御手段は、記録媒体の幅方向における端部の位置を検出するための前記移動部材の記録媒体の幅方向における端部側への移動を許可すると共に、
前記端部検出手段は、前記移動部材が記録媒体の幅方向における端部側に移動した際に前記信号出力部からの検出信号に基づき記録媒体の幅方向における端部の位置を検出することを特徴とする技術的思想(イ)に記載の記録装置。
【0101】
(ハ)記録媒体の給送方向と交差する走査方向に沿って往復移動する移動部材に搭載された記録手段を用いて記録媒体に対して記録処理を施す記録装置において、
記録指示を受信する受信手段と、
前記移動部材に設けられた信号出力部からの検出信号に基づき、記録媒体の幅方向における端部の位置を検出する端部検出手段と、
前記端部検出手段によって検出された位置に関する端部位置情報を記憶する記憶手段と、
一の記録媒体への記録処理時に前記記憶手段に記憶された前記端部位置情報に基づき、記録媒体の給送異常が発生したか否かを判定する給送異常判定手段と、
前記給送判定手段によって給送異常が発生していないと判定された場合において、前記受信手段によって記録指示が受信されたときには、記録媒体の幅方向における端部の位置を検出しないように前記移動部材の移動を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする記録装置。
【0102】
(ニ)前記給送判定手段によって給送異常が発生した判定された場合において、前記受信手段によって記録指示が受信された今回の記録処理を行なうときには、
前記制御手段は、記録媒体の幅方向における端部の位置を検出するための前記移動部材の記録媒体の幅方向における端部側への移動を許可すると共に、
前記端部検出手段は、前記移動部材が記録媒体の幅方向における端部側に移動した際に前記信号出力部からの検出信号に基づき記録媒体の幅方向における端部の位置を検出することを特徴とする技術的思想(ハ)に記載の記録装置。
【0103】
(ホ)前記着脱検出手段によって前記収容装置が前記記録装置から取り外されたことが検出された場合に、前記記憶手段に記憶される前記端部位置情報をリセットするリセット手段をさらに備え、
前記受信手段によって記録指示が受信された場合において前記記憶手段に前記端部位置情報が記憶されていないときには、
前記制御手段は、記録媒体の幅方向における端部の位置を検出するための前記移動部材の記録媒体の幅方向における端部側への移動を許可すると共に、
前記端部検出手段は、前記移動部材が記録媒体の前記幅方向における端部側に移動した際の前記信号出力部からの検出信号に基づき記録媒体の幅方向における端部の位置を検出し、該位置に関する端部位置情報を前記記憶手段に記憶させることを特徴とする請求項4及び技術的思想(イ)(ロ)のうち何れか一項に記載の記録装置。
【符号の説明】
【0104】
11…記録装置としてのプリンター、17…収容装置としての給紙カセット、21…移動部材としてのキャリッジ、30…記録手段としての記録ヘッド、28…端部検出手段を構成するリニアエンコーダー、31…端部検出手段を構成する端部検出センサー(信号出力部)、48…着脱検出手段を構成する挿抜センサー、50…給送装置、52…給送ローラー、81…着脱検出手段を構成する主制御部(制御手段、給送異常判定手段)、84…端部検出手段を構成するCR制御部、85…端部検出手段を構成する用紙情報取得部、86…記憶手段としてのメモリー、P,P1〜P3…記録媒体としての用紙。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体の給送方向と交差する走査方向に沿って往復移動する移動部材に搭載された記録手段を用いて記録媒体に対して記録処理を施す記録装置において、
記録指示を受信する受信手段と、
前記移動部材に設けられた信号出力部から出力される検出信号に基づき、記録媒体の幅方向における端部の位置を検出する端部検出手段と、
前記端部検出手段によって検出された位置に関する端部位置情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に前記端部位置情報が記憶される場合において、該端部位置情報が記憶された際の記録媒体のサイズと前記記録指示に指示された記録媒体のサイズとが同一であって且つ前記記録指示によって縁あり記録が指示されたときには、記録媒体の幅方向における端部の位置を検出しないように前記移動部材の移動を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記記憶手段に前記端部位置情報が記憶される場合において、前記記録指示によって次の記録媒体に対して縁なし記録が指示されたときには、
前記制御手段は、前記次の記録媒体の幅方向における端部の位置を検出するための前記移動部材の前記次の記録媒体の幅方向における端部側への移動を許可すると共に、
前記端部検出手段は、前記移動部材が記録媒体の幅方向における端部側に移動した際に前記信号出力部から出力される検出信号に基づき前記次の記録媒体の幅方向における端部の位置を検出することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
幅方向における長さが異なる複数サイズの記録媒体を給送可能であって、且つ記録媒体の幅方向における一部に当接する給送ローラーを有する給送装置をさらに備え、
前記給送ローラーは、
第1のサイズの記録媒体の幅方向における一端との第1距離が、前記第1のサイズとは異なる第2のサイズの記録媒体の前記幅方向における一端との第1距離と異なると共に、
前記第1のサイズの記録媒体の前記幅方向における他端との第2距離が、前記第2のサイズの記録媒体の前記幅方向における他端との第2距離と異なる位置に配置されていることを特徴とする請求項1又は請求項に2記載の記録装置。
【請求項4】
前記記録装置に対して着脱自在であって、且つ記録処理前の記録媒体を収容する収容装置と、
前記収容装置が前記記録装置から取り外されたことを検出する着脱検出手段と、をさらに備え、
前記着脱検出手段によって前記収容装置が前記記録装置から取り外されたことが検出された後に、前記収容装置が前記記録装置に取り付けられ、その後、記録処理が行なわれるときには、
前記制御手段は、記録媒体の幅方向における端部の位置を検出するための前記移動部材の記録媒体の幅方向における端部側への移動を許可すると共に、
前記端部検出手段は、前記移動部材が記録媒体の幅方向における端部側に移動した際に前記信号出力部からの検出信号に基づき記録媒体の幅方向における端部の位置を検出し、該位置に関する端部位置情報を前記記憶手段に記憶させることを特徴とする請求項1〜請求項3のうち何れか一項に記載の記録装置。
【請求項5】
1回の記録指示によって複数の同一サイズの記録媒体への記録処理を行なう場合において、
1つ目の記録媒体への記録処理時には、
前記制御手段は、記録媒体の幅方向における端部の位置を検出するための前記移動部材の記録媒体の幅方向における端部側への移動を許可すると共に、
前記端部検出手段は、前記移動部材が記録媒体の幅方向における端部側に移動した際に前記信号出力部からの検出信号に基づき記録媒体の幅方向における端部の位置を検出し、該位置に関する端部位置情報を前記記憶手段に記憶させ、
2つ目以降の記録媒体に縁あり記録を施すときには、
前記制御手段は、記録媒体の幅方向における端部の位置を検出するための前記移動部材の記録媒体の幅方向における端部側への移動を許可しないことを特徴とする請求項1〜請求項4のうち何れか一項に記載の記録装置。
【請求項6】
記録指示によって記録処理を行なう場合において、前記記憶手段に前記端部位置情報が記憶されると共に、前記記憶手段に端部位置情報が記憶された際の記録媒体のサイズと前記記録指示に指示された記録媒体のサイズとが同一であって且つ前記記録指示によって縁あり記録が指示されたときには、
前記制御手段は、記録媒体の幅方向における端部の位置を検出するための前記移動部材の記録媒体の幅方向における端部側への移動を許可しないことを特徴とする請求項1〜請求項4のうち何れか一項に記載の記録装置。
【請求項7】
一の記録媒体への記録処理時に検出された前記端部位置情報に基づき、記録媒体の給送異常が発生したか否かを判定する給送異常判定手段をさらに備え、
前記給送異常判定手段によって給送異常が発生したと判定された場合において、次の記録媒体への記録処理を行なうときには、
前記制御手段は、前記次の記録媒体の幅方向における端部の位置を検出するための前記移動部材の前記次の記録媒体の幅方向における端部側への移動を許可すると共に、
前記端部検出手段は、前記移動部材が前記次の記録媒体の幅方向における端部側に移動した際に前記信号出力部からの検出信号に基づき前記次の記録媒体の幅方向における端部の位置を検出することを特徴とする請求項1〜請求項6のうち何れか一項に記載の記録装置。
【請求項8】
記録媒体の給送方向と交差する走査方向に沿って往復移動する移動部材に搭載された記録手段を用いて記録媒体に対して記録処理を施す記録方法において、
記録指示を受信させる受信ステップと、
前記移動部材に設けられた信号出力部から出力される検出信号に基づき、記録媒体の幅方向における端部の位置を検出し、該位置に関する端部位置情報を記憶手段に記憶させる位置情報検出ステップと、
前記記憶手段に前記端部位置情報が記憶される場合において、該端部位置情報が記憶された際の記録媒体のサイズと前記記録指示が指示する記録媒体のサイズとが同一であって且つ前記記録指示が縁あり記録を指示するときには、前記端部位置情報を検出しないように前記移動部材の移動を制御させる制御ステップと、を有することを特徴とする記録方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−177995(P2011−177995A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−43422(P2010−43422)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】