説明

記録装置及び記録方法

【課題】搬送経路に沿って搬送される記録媒体の記録領域に対して搬送経路上の複数位置で種類の異なる複数の記録処理を個別に施すにあたり、各記録処理の実行順序の変更にも適応しつつ良質な記録処理を行うことができる記録装置及び記録方法を提供する。
【解決手段】フィルム12を搬送経路に沿って搬送し、フィルム12の記録領域に対して搬送経路の第1位置において第1の処理液を使用した第1の記録処理を施すと共に、第1位置よりも下流側における搬送経路の第2位置において第1の処理液とは異なる第2の処理液を使用した第2の記録処理を施すにあたり、フィルム12の記録領域に対する第1の記録処理及び第2の記録処理の実行順序に応じてフィルム12の搬送方向を変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばインクジェット式記録装置等の記録装置及び記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、記録媒体に対して記録を行う記録装置としてインクジェット式記録装置(以下、「プリンタ」と言う)が広く知られている。このプリンタでは、例えば樹脂フィルム等の透明な記録媒体に画像記録を行う場合、文字・図形等からなる標章画像を際立たせることを目的として、その標章画像が形成される領域(記録領域)に光を透過させ難くする白色インク等を使用したベタ状の背景色画像を重ねて印刷することがある(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
まず、特許文献1に示すプリンタでは、記録媒体の搬送経路の途中にラインヘッドタイプの記録ヘッド(第1の記録処理手段)が配設されると共に、その記録ヘッドよりも搬送経路の下流側となる位置にインクコーター手段(第2の記録処理手段)が配設されている。そして、その搬送経路上を上流側から下流側に搬送される記録媒体の記録領域に対して、まず上流側の記録ヘッドがカラーインク(第1の処理液)を吐出して標章画像を形成し、その後、その標章画像が形成された記録領域に対して、下流側のインクコーター手段が白色インク(第2の処理液)をベタ状に塗布して背景色画像を形成する構成となっている。
【0004】
すなわち、このプリンタでは、記録媒体の記録領域に標章画像を下地となるように形成した後、この標章画像が形成された記録領域に背景色画像を上地となるように重ねて形成する印刷(以下、「裏刷り印刷」という。)が施される。しかしながら、このプリンタにおいては、記録媒体の記録領域にベタ状の背景色画像を下地となるように形成した後、その記録領域に標章画像を上地となるように重ねて形成する印刷(以下、「表刷り印刷」という。)は施すことができない構成となっていた。
【0005】
なお、特許文献1のプリンタにおいても、インクコーター手段を記録ヘッドの配設位置よりも搬送経路の上流側位置に設けた場合には、表刷り印刷を施すことができるようになる。しかしながら、その場合には、裏刷り印刷ができない構成となる。すなわち、特許文献1に示すプリンタでは、表刷り印刷及び裏刷り印刷の両方に対応することができないという問題があった。
【0006】
これに対し、特許文献2に示すプリンタでは、記録媒体の搬送方向に沿って往復移動するキャリッジ上に記録ヘッドが搭載され、その記録ヘッドに、標章画像の印刷に用いるカラーインク(第1の処理液)を吐出するカラーインク吐出ノズル(第1の記録処理手段)と、背景色画像の印刷に用いる白色インク(第2の処理液)を吐出する白色インク吐出ノズル(第2の記録処理手段)が並設されている。すなわち、記録媒体の搬送方向において2つの白色インク吐出ノズルが記録ヘッドの両端に配設されると共に、この2つの白色インク吐出ノズルの間となる位置に複数のカラーインク吐出ノズルが並設されている。
【0007】
そして、表刷り印刷時には、キャリッジと共に記録ヘッドが移動する一走査毎に、キャリッジの移動方向において前方側となる位置に配設された白色インク吐出ノズルが白色インクを吐出して背景色画像を下地となるように形成すると共に、その白色インクの吐出に追随するようにカラーインク吐出ノズルがカラーインクを吐出して標章画像を上地となるように重ねて形成するようになっている。また、裏刷り印刷時には、キャリッジと共に記録ヘッドが移動する一走査毎に、カラーインク吐出ノズルがカラーインクを吐出して標章画像を下地となるように形成すると共に、そのカラーインクの吐出に追随するようにキャリッジの移動方向において後方側となる位置に配設された白色インク吐出ノズルが白色インクを吐出して背景色画像を上地となるように重ねて形成するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−50615号公報
【特許文献2】特開2006−328297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、特許文献2のプリンタでは、カラーインク吐出ノズルと白色インク吐出ノズルが同じ一つの記録ヘッドに近接するように並設されており、表刷り印刷又は裏刷り印刷のためにキャリッジと共に記録ヘッドが走査方向に移動したときには、記録媒体に対するカラーインクの吐出(第1の記録処理)と白色インクの吐出(第2の記録処理)が間段なくほぼ同時に行われるようになっている。そのため、記録媒体の記録領域に先に吐出されたインク(表刷り印刷では白色インク、裏刷り印刷ではカラーインク)が記録媒体に浸透する前段階で、後から吐出されたインク(表刷り印刷ではカラーインク、裏刷り印刷では白色インク)と記録媒体上で混合してしまい、記録画像が乱れる等の不具合を生じる虞があった。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、搬送経路に沿って搬送される記録媒体の記録領域に対して搬送経路上の複数位置で種類の異なる複数の記録処理を個別に施すにあたり、各記録処理の実行順序の変更にも適応しつつ良質な記録処理を行うことができる記録装置及び記録方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の記録装置は、記録媒体を搬送経路に沿う上流側から下流側への順方向及び下流側から上流側への逆方向の双方向に切り替え搬送可能な搬送手段と、前記搬送経路の第1位置に対応して配設され、前記記録媒体の記録領域に対して第1の処理液を使用した第1の記録処理を施す第1の記録処理手段と、前記第1位置よりも下流側における前記搬送経路の第2位置に対応して配設され、前記記録媒体の前記記録領域に対して前記第1の処理液とは異なる第2の処理液を使用した第2の記録処理を施す第2の記録処理手段とを備え、前記記録媒体の順方向への搬送の下、前記第1の記録処理を施してから前記第2の記録処理を施す第1記録モードと、前記記録媒体の逆方向への搬送の下、前記第2の記録処理を施してから前記第1の記録処理を施す第2記録モードとを有する。
【0012】
上記構成によれば、記録媒体の記録領域に対する第1の記録処理及び第2の記録処理の実行順序が変更される場合には、その記録処理の実行順序に適合するように記録媒体が順方向又は逆方向に搬送される。すなわち、記録媒体は、まず、実行順が先の記録処理を施す一方の記録処理手段の配設位置に記録領域が移動するように搬送される。そして、その一方の記録処理手段の配設位置において、当該一方の記録処理手段により、記録媒体の記録領域に対して記録処理を施される。その後、記録媒体は、当該記録処理を施された記録領域が実行順が後の記録処理を施す他方の記録処理手段の配設位置に移動するように搬送される。そのため、その一方の記録処理手段の配設位置から他方の記録処理手段の配設位置への移動途中に、実行順が先の記録処理に用いられた処理液は記録媒体に浸透することになる。そして次に、他方の記録処理手段の配設位置において、当該他方の記録処理手段により、実行順が先の記録処理に用いられた処理液が既に十分に浸透している記録媒体の記録領域に対して実行順が後の他方の記録処理が続いて施される。したがって、搬送経路に沿って搬送される記録媒体の記録領域に対して搬送経路上の複数位置で種類の異なる複数の記録処理を個別に施すにあたり、各記録処理の実行順序の変更にも適応しつつ良質な記録処理を行うことができる。
【0013】
また、本発明の記録装置において、前記第2記録モードは、前記記録媒体を前記第2位置の下流側まで前記記録処理を伴わずに順方向へ搬送した後、当該記録媒体の逆方向への搬送の下、前記第2の記録処理を施してから前記第1の記録処理を施すモードである。
【0014】
上記構成によれば、第2記録モードの場合、記録媒体は順方向への搬送により先ず第1の記録処理手段が配設された第1位置を通過するが、その通過時には記録媒体の記録領域に対して第1の記録処理手段が第1の記録処理を実行することはない。したがって、その記録媒体が第2位置の下流側まで順方向へ搬送された後において逆方向に搬送されて第2位置を通過するときに、その記録媒体の記録領域に対して第2の記録処理手段による第2の記録処理が先んじて実行されるようになる。
【0015】
また、本発明の記録装置において、前記第1の記録処理手段は、前記記録媒体の前記記録領域に対して液体噴射方式により前記第1の記録処理を施し、前記第2の記録処理手段は、前記記録媒体の前記記録領域に対して液体塗布方式又は液体押し付け方式により前記第2の記録処理を施す。
【0016】
上記構成によれば、液体噴射方式の第1の記録処理手段によって繊細な第1の記録処理を施すことができる。その一方、第2の記録処理手段は、その記録方式が液体噴射方式よりもベタ状画像の形成を迅速に行い得る液体塗布方式又は液体押し付け方式になっているので、第2の記録処理を速やかに行うことができ、その結果、記録装置における記録処理のスループットを向上することができる。
【0017】
また、本発明の記録装置において、前記搬送経路における前記第1の記録処理手段の配設位置と前記第2の記録処理手段の配設位置との間には、前記第1の処理液及び前記第2の処理液のうち少なくとも実行順が先の記録処理に使用された処理液を前記記録媒体の前記記録領域に定着させるための定着手段が配設されている。
【0018】
上記構成によれば、一方の記録処理手段により実行順が先の記録処理が施された記録媒体の記録領域は、次に他方の記録処理手段により記録処理を施されるために移動する途中で定着手段の配設位置を通過することから、その通過時に、実行順が先の記録処理に用いられた処理液が記録媒体に対して強制的に定着させられる。そのため、第1の記録処理手段の配設位置と第2の記録処理手段の配設位置が近い場合でも、実行順が先の記録処理に用いられた処理液と実行順が後の記録処理に用いられる処理液が記録媒体上で混じり合うような虞を低減できる。
【0019】
また、本発明の記録方法は、記録媒体を搬送経路に沿って搬送し、前記記録媒体の記録領域に対して当該記録媒体の搬送経路の第1位置において第1の処理液を使用した第1の記録処理を施すと共に、前記第1位置よりも下流側における前記搬送経路の第2位置において前記第1の処理液とは異なる第2の処理液を使用した第2の記録処理を施すにあたり、前記記録媒体の前記記録領域に対する前記第1の記録処理及び前記第2の記録処理の実行順序に応じて前記記録媒体の搬送方向を変更する。上記構成によれば、上記記録装置の発明と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施形態のインクジェット式プリンタの概略正面図。
【図2】本実施形態のインクジェット式プリンタにおける制御構成のブロック図。
【図3】裏刷り印刷時における各記録処理の実行順を示すものであって、(a)はインクコーター手段が背景色画像を下地となるように形成している状態の概略正面図、(b)は記録ヘッドが標章画像を上地となるように形成している状態の概略正面図。
【図4】表刷り印刷時における各記録処理の実行順を示すものであって、(a)は記録ヘッドが標章画像を下地となるように形成している状態の概略正面図、(b)はインクコーター手段が背景色画像を上地となるように形成している状態の概略正面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を記録装置の一種であるインクジェット式記録装置(以下、「プリンタ」という。)、及びそのプリンタにおける記録方法に具体化した一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
図1に示すように、プリンタ11は、記録媒体としての長尺状の透明な樹脂製フィルム(以下、「フィルム」という。)12を搬送経路上に供給する供給部13と、該供給部13から供給されたフィルム12の記録領域に対して搬送経路の途中で複数種類(本実施形態では2種類)の記録処理を重ねて施す記録部14と、該記録部14で記録処理が施されたフィルム12を巻き取る巻き取り部15とを備えている。
【0023】
供給部13は、フィルム12を搬送経路の上流側から下流側への順方向及び下流側から上流側への逆方向の双方向に搬送可能な搬送手段としての繰出し軸16を回転駆動可能に備えており、該繰出し軸16には予めロール状に巻かれたフィルム12が該繰出し軸16と一体回転可能に支持されている。そして、繰出し軸16は、制御装置17(図2参照)の制御信号に基づき該繰出し軸16の駆動モータ16aが正転又は逆転駆動することにより該繰出し軸16に支持されたフィルム12を順方向に搬送して繰り出し又は逆方向に搬送し繰り戻す構成となっている。
【0024】
すなわち、搬送手段としての繰出し軸16は、駆動モータ16aが正転駆動した場合には、順方向となる下流側に向けてフィルム12を搬送し、駆動モータ16aが逆転駆動した場合には、逆方向となる上流側に向けてフィルム12を搬送するようになっている。また、供給部13における繰出し軸16の右斜め上方となる位置には、繰出し軸16から繰り出されるフィルム12を巻き掛けて記録部14に向けて導くための中継ローラ18が回転可能に設けられている。そして、中継ローラ18には、繰出し軸16から繰り出されたフィルム12が左側下方から巻き掛けられ、フィルム12は記録部14側となる右側に向けて水平に搬送されるようになっている。
【0025】
記録部14には、フィルム12の搬送経路における上流側(繰出し軸16側であって図1では左側)となる途中位置(第1位置)に、フィルム12の表面に対して第1の処理液としての白色インクを第1の記録処理として塗布する第1の記録処理手段としてのインクコーター手段19が配設されている。インクコーター手段19は、フィルム12の表面に対して白色インクをベタ状に塗布することにより背景色画像を形成するためのアニックスローラ20と、該アニックスローラ20に白色インクを適宜供給するための帯板状のブレード21を供えている。
【0026】
ブレード21は、その下端縁がアニックスローラ20の外周面に接触するように傾斜配置されている。そして、この配置構成によりアニックスローラ20の外周面とブレード21の斜状をなす上面との間に形成される間隙には白色インク供給部(図示略)から供給される白色インクが貯留されている。なお、インクコーター手段19は、制御装置17の制御信号に基づき駆動制御される昇降装置19a(図2参照)を備えており、該昇降装置19aの駆動によりアニックスローラ20がフィルム12に対する当接位置と非当接位置との間を上下方向に往復移動する構成となっている。
【0027】
すなわち、インクコーター手段19は、フィルム12の表面上の記録領域に対して白色インクを用いてベタ状の背景色画像を形成する場合、アニックスローラ20がフィルム12に対する当接位置に移動し、フィルム12の表面上を搬送方向に沿って転動する過程で白色インクを塗布するようになっている。すなわち、本実施形態では、背景色画像を形成するための記録処理方式として、フィルム12に対してアニックスローラ20が白色インクを塗布する液体塗布方式を採用している。その一方、インクコーター手段19は、フィルム12に対して白色インクを塗布しない場合、アニックスローラ20がフィルム12の表面から上方に離間した非当接位置に移動し、その位置で待機するようになっている。
【0028】
記録部14におけるインクコーター手段19よりも搬送経路の下流側(図1では右側)となる途中位置(第2位置)には、フィルム12に対して第2の処理液としてのカラーインクを第2の記録処理として吐出(噴射)する第2の記録処理手段としてのラインヘッドタイプの記録ヘッド22が配設されている。記録ヘッド22の下面には、互いに色の異なる色(本実施形態では4色)のインクを吐出する複数のノズル23がフィルム12の搬送方向に沿って複数のノズル列を列設するように設けられており、各ノズル23からは制御装置17の制御信号に基づきノズル毎に配設された圧電素子23a(図2参照)が駆動することによりインクが吐出されるようになっている。
【0029】
そして、そのような各ノズル23からのインク吐出により、フィルム12の表面上における記録領域の一部には、文字・図形・記号等からなる標章画像が形成されるようになっている。なお、各色のインクを吐出するノズル23のノズル列はフィルム12の搬送方向と直交する幅方向に沿うように配列されており、フィルム12の記録領域の全幅に亘ってインクを吐出できるようになっている。また、プリンタ11には、各色のインクをそれぞれ収容した複数のインクカートリッジ(図示略)が着脱自在な状態で設けられており、各インクカートリッジは図示しないインク供給チューブを介して対応するノズル列の各ノズル23にインク供給可能な状態でそれぞれ接続されている。
【0030】
記録部14におけるインクコーター手段19の配設位置と記録ヘッド22の配設位置との中間位置には定着手段としての第1の加熱装置25が配設されている。第1の加熱装置25は、例えばハロゲンヒータなどからなり、フィルム12の表面上に塗布もしくは吐出されたインクからインク溶媒を蒸発させることにより、インクの塗布又は吐出により形成された標章画像又は背景色画像をフィルム12上に定着させるようになっている。また、記録部14における記録ヘッド22の右側(下流側)に隣接する位置には、第1の加熱装置25と同様のハロゲンヒータなどからなる定着手段としての第2の加熱装置26が設けられている。なお、各加熱装置25,26は、制御装置17から送信される制御信号に基づいてオンオフ制御される。
【0031】
また、記録部14における第2の加熱装置26よりも右側(下流側)となる位置には、上流側の中継ローラ18と水平方向で対向するように中継ローラ27が回転可能に設けられている。そして、中継ローラ27には、上流側の中継ローラ18から記録部14を水平右方向に搬送されるフィルム12が左側上方から巻き掛けられ、フィルム12の搬送方向が水平右方向から右斜め下方に転換されるようになっている。
【0032】
巻き取り部15は、中継ローラ27の右斜め下方となる位置に、前記搬送手段としての巻き取り軸28を回転可能に備えており、該巻き取り軸28には中継ローラ27から右斜め下方に向かって搬送されたフィルム12が巻き付け支持されている。そして、巻き取り軸28は、制御装置17の制御信号に基づき該巻き取り軸28の駆動モータ28a(図2参照)が正転又は逆転駆動することにより該巻き取り軸28に巻き付け支持されたフィルム12を順方向に搬送して巻き取り又は逆方向に搬送して巻き戻す構成となっている。すなわち、搬送手段としての巻き取り軸28は、駆動モータ28aが正転駆動した場合には、順方向となる下流側に向けてフィルム12を搬送し、駆動モータ28aが逆転駆動した場合には、逆方向となる上流側に向けてフィルム12を搬送するようになっている。
【0033】
次に、上記のように構成されたプリンタ11の作用に関し図3及び図4を参照しながら説明する。特に、フィルム12の記録領域に対して、記録ヘッド22からカラーインクを吐出して標章画像を形成する第1の記録処理と、インクコーター手段19により白色インクを塗布してベタ状の背景色画像を形成する第2の記録処理を施す記録方法に着目して以下説明する。
【0034】
さて、フィルム12に対して標章画像及び背景色画像を重ねて形成する場合、その前段階で、フィルム12に対する記録モードとして、背景色画像を形成した後に標章画像を形成する表刷り印刷の第1記録モード、及び、標章画像を形成した後に背景色画像を形成する裏刷り印刷の第2記録モードのうちいずれか一方の記録モードを選択する。そして、選択した記録モードを制御装置17の入力部29に入力する。
【0035】
ここで、記録モードとして表刷り印刷の第1記録モードが選択された場合、まず、制御装置17は、繰出し軸16及び巻き取り軸28を正転駆動させる。すると、フィルム12が順方向となる上流側から下流側に向けて搬送され、該フィルム12の記録領域も同時に搬送経路に沿って下流側に搬送される。そして、この順方向への搬送過程において、インクコーター手段19の配設位置(すなわち、第1位置)においてフィルム12の記録領域に白色インクを使用した背景色画像を形成する背景色画像形成ステップが実行され、その後に、記録ヘッド22の配設位置(すなわち、第2位置)において前記記録領域にカラーインクを使用した標章画像を形成する標章画像形成ステップが実行される。
【0036】
まず、背景色画像形成ステップでは、フィルム12の記録領域は、繰出し軸16に巻かれた状態から搬送経路に沿って下流側に向けて搬送される。そして、制御装置17は、フィルム12の記録領域がインクコーター手段19の配設位置に到達した時点で、インクコーター手段19のアニックスローラ20をフィルム12に対する当接位置まで降下させる旨の制御信号を昇降装置19aに対して送信する。
【0037】
すると、アニックスローラ20は、その外周面の下端がフィルム12の記録領域における下流端となる位置に当接した状態となり、この状態でフィルム12が更に下流側に搬送されることにより、フィルム12の記録領域の表面を転動することとなる。そして、この転動過程でアニックスローラ20が白色インクをフィルム12の記録領域のほぼ全面に塗布することにより、フィルム12の記録領域には白色の背景色画像30が下地として形成される(図3(a)参照)。なお、図3(a)は、背景色画像30が形成される途中過程を示しており、図中で右側の実線で示す部分はアニックスローラ20により既に塗布形成された背景色画像30の部分であり、図中で左側の二点鎖線で示す部分はアニックスローラ20により未だ塗布形成されていない背景色画像30の部分である。
【0038】
フィルム12の記録領域に背景色画像30が形成されると、制御装置17は、フィルム12の表面から上方に離間した非当接位置までアニックスローラ20を上昇させる旨の制御信号を昇降装置19aに送信する。すると、アニックスローラ20は、その外周面の下端がフィルム12の表面から上方に離間した状態となり、背景色画像形成ステップが終了する。
【0039】
すると次に、制御装置17は、インクコーター手段19と記録ヘッド22との間に配設された第1の加熱装置25によるフィルム12に対する加熱を開始させるべく、第1の加熱装置25をオン駆動する。すると、背景色画像30が形成されたフィルム12の記録領域は、図3(a)に矢印に示すように、搬送経路に沿って更に下流側に搬送されると共に、オン駆動状態にある第1の加熱装置25の下方(すなわち、加熱領域内)を通過することとなる。そのため、フィルム12の記録領域に付着した背景色画像30の白色インクは、その搬送途中でフィルム12に浸透・拡散する他に、加熱領域内での加熱に伴ってインク溶媒が蒸発することによりフィルム12に対して定着される。
【0040】
続いて、標章画像形成ステップに移行し、制御装置17は、搬送経路に沿って更に下流側に向けて搬送されるフィルム12の記録領域が記録ヘッド22の配設位置に到達した時点で、各ノズル23からそれぞれ対応する色のインクを吐出させるべく、対応する圧電素子23aを駆動させる。すると、この圧電素子23aの駆動に伴い対応するノズル23からインクが吐出され、既に背景色画像30が下地として形成されているフィルム12の記録領域には標章画像31が上地として重なるように形成され(図3(b)参照)、標章画像形成ステップが終了する。なお、この場合、制御装置17は、フィルム12の記録領域が記録ヘッド22の下方を通過する際の搬送速度に応じて各ノズル23がインクを吐出するタイミングを個別に制御することにより、フィルム12の記録領域に所望する形態の標章画像31を形成することが可能となっている。
【0041】
そして、標章画像形成ステップが終了すると、制御装置17は、記録ヘッド22の右側(下流側)に隣接配置された第2の加熱装置26によるフィルム12に対する加熱を開始させるべく、第2の加熱装置26をオン駆動する。すると、背景色画像30の上に標章画像31が重ね形成されたフィルム12の記録領域は、搬送経路に沿って更に下流側に搬送されると共に、オン駆動状態にある第2の加熱装置26の下方(すなわち、加熱領域内)を通過することとなる。そのため、フィルム12の記録領域において背景色画像30の上に付着した標章画像31のインクは、加熱領域内での加熱に伴ってインク溶媒が蒸発することによりフィルム12に対して定着される。そして、以上のようにして表刷り印刷が施されたフィルム12の記録領域は、該フィルム12が更に搬送経路に沿って下流側に搬送されることにより、巻き取り軸28に順次巻き取られる。
【0042】
一方、記録モードとして裏刷り印刷の第2記録モードが選択された場合、まず、制御装置17は、繰出し軸16及び巻き取り軸28を正転駆動させることによりフィルム12の記録領域を搬送経路に沿って下流側に搬送する。すなわち、フィルム12の記録領域を、その記録領域に対してインクコーター手段19及び記録ヘッド22の双方から何らの記録処理も施させることなく、記録ヘッド22の配設位置(第2位置)の下流側まで順方向に搬送する。具体的には、アニックスローラ20が非当接位置まで上昇した状態にあるインクコーター手段19の配設位置及び記録ヘッド22の配設位置の双方を順方向に通過するように搬送される。
【0043】
なお、この場合において、制御装置17は、フィルム12が記録領域を記録ヘッド22の配設位置の下流側まで順方向に搬送される前段階で、アニックスローラ20を非当接位置まで上昇させる旨の制御信号を昇降装置19aに対して送信している。そのため、フィルム12の記録領域は、アニックスローラ20により白色インクを塗布されることなく、インクコーター手段19の配設位置を通過することとなる。また同時に制御装置17は、第1の加熱装置25がオン駆動した状態にあるときには加熱オフ状態となるように制御する。そのため、標章画像形成ステップの前段階で、フィルム12の記録領域に対して不要な加熱が施されることはなく、フィルム12が過熱異常を生じることを抑制することができる。
【0044】
そして次に、フィルム12の搬送方向が下流側から上流側に向かう逆方向に変更され、この逆方向への搬送過程において、今度は、まず、記録ヘッド22の配設位置において上述した標章画像形成ステップが実行され、その後、インクコーター手段19の配設位置において同じく上述した背景色画像形成ステップが実行される。
【0045】
まず、標章画像形成ステップでは、制御装置17が、繰出し軸16及び巻き取り軸28を逆転駆動させる。すると、図4(a)に矢印で示すように、フィルム12は搬送経路に沿って逆方向となる下流側から上流側に向けて反転搬送されるようになる。そして、制御装置17は、フィルム12の記録領域が記録ヘッド22の配設位置に到達した時点で、各ノズル23からそれぞれ対応する色のインクを吐出させるべく、対応する圧電素子23aを駆動させる。すると、この圧電素子23aの駆動に伴い対応するノズル23からインクが吐出され、フィルム12の記録領域には標章画像31が下地として形成され(図4(a)参照)、これにより標章画像形成ステップが終了する。
【0046】
なお、この場合において、制御装置17は、記録モードの変更(表刷り印刷の第1記録モードから裏刷り印刷の第2記録モードへの変更)に伴って、フィルム12の搬送方向の変更と同時に記録ヘッド22からのインク吐出制御の設定を以下のように変更する。すなわち、インク吐出制御において、フィルム12の記録領域に対する記録開始(吐出開始)位置の基準座標、及び標章画像31を構成する各記録ドットの基準座標に対する相対座標(ラスタデータ)の設定値をフィルム12の搬送方向が順方向から逆方向に変わったことに対応させて変更する。その結果、フィルム12の記録領域には、フィルム12が表刷り印刷の第1記録モードに従い順方向に搬送される過程で形成された標章画像31と同様の標章画像31が形成される。
【0047】
標章画像形成ステップが終了すると、制御装置17は、繰出し軸16及び巻き取り軸28を更に逆転駆動させる。また同時に、制御装置17は、第1の加熱装置25によるフィルム12に対する加熱が開始されるように、該第1の加熱装置25をオン駆動する。すると、標章画像31が形成されたフィルム12の記録領域は、更に上流側に反転搬送されることにより、オン駆動状態にある第1の加熱装置25の加熱領域内を逆方向に通過することとなる。そのため、フィルム12の記録領域に付着した標章画像31のインクは、その搬送途中でフィルム12に浸透・拡散する他に、加熱領域内での加熱に伴ってインク溶媒が蒸発することによりフィルム12に対して定着される。
【0048】
続いて、背景色画像形成ステップに移行し、制御装置17は、搬送経路に沿って更に上流側に向けて反転搬送されるフィルム12の記録領域がインクコーター手段19の配設位置に到達した時点で、インクコーター手段19のアニックスローラ20をフィルム12に対する当接位置まで降下させる旨の制御信号を昇降装置19aに送信する。すると、アニックスローラ20は、その外周面の下端がフィルム12の記録領域における上流端となる位置に当接した状態となり、この状態でフィルム12が更に上流側に搬送されると、フィルム12の記録領域の表面を転動することとなる。
【0049】
そして、この転動過程でアニックスローラ20がフィルム12における記録領域のほぼ全面に白色インクを塗布する。その結果、標章画像形成ステップにより既にカラーインクにより標章画像31が下地として一部に形成されている記録領域のほぼ全面に対してベタ状をなす白色インクの背景色画像30が上地として重なるように形成され(図4(b)参照)、これにより背景色画像形成ステップが終了する。なお、図4(b)は、背景色画像30が形成される途中過程を示しており、図中で左側の実線で示す部分はアニックスローラ20により既に塗布形成された背景色画像30の部分であり、図中で右側の二点鎖線で示す部分はアニックスローラ20により未だ塗布形成されていない背景色画像30の部分である。
【0050】
背景色画像形成ステップが終了すると、制御装置17は、再度、繰出し軸16及び巻き取り軸28を正転駆動させる。すると、フィルム12は、標章画像31を下地として背景色画像30を上地として重ね形成された記録領域が下流側に移動するように、搬送経路に沿って下流側に搬送される。なお、この場合において、制御装置17は、フィルム12が下流側への搬送を開始する前段階で、アニックスローラ20を非当接位置まで上昇させる旨の制御信号を昇降装置19aに対して送信している。そのため、フィルム12の記録領域は、再び白色インクを塗布されるようなことなくインクコーター手段19の配設位置を通過することとなる。
【0051】
そして、フィルム12の記録領域は、搬送路色に沿って下流側に搬送される途中でオン駆動状態にある第1の加熱装置25の加熱領域内を通過する。すると、フィルム12の記録領域において標章画像31の上にベタ状に付着した背景色画像30の白色インクは、加熱領域内での加熱に伴ってインク溶媒が蒸発することによりフィルム12に対して定着される。そして、そのフィルム12の記録領域は、搬送経路に沿って更に下流側に搬送されることにより、第2の加熱装置26の加熱領域内を通過した後、巻き取り軸28に順次巻き取られる。
【0052】
以上の本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)記録部14において搬送経路の上流側に配設されたインクコーター手段19による記録処理と下流側に配設された記録ヘッド22による記録処理の実行順序が変更される場合には、その記録処理の実行順序に適合するように、フィルム12の搬送方向が制御装置17の制御により適宜に切り替え変更される。そして、一方の記録処理手段(インクコーター手段19及び記録ヘッド22の一方)の配設位置から他方の記録処理手段(インクコーター手段19及び記録ヘッド22の他方)の配設位置への移動途中に、フィルム12の記録領域に実行順が先の記録処理において付着させられたインクはフィルム12に浸透・拡散することになる。したがって、搬送経路に沿って搬送されるフィルム12の記録領域に対して搬送経路上の複数位置で種類の異なる複数の記録処理を個別に施すにあたり、各記録処理の実行順序の変更にも適応しつつ良質な記録処理を行うことができる。
【0053】
(2)裏刷り印刷の第2記録モードの場合、フィルム12は順方向への搬送により先ず上流側のインクコーター手段19の配設位置を通過するが、その通過時にはフィルム12の記録領域に対して実行順が後のインクコーター手段19が白色インクの塗布をすることはない。したがって、そのフィルム12が記録ヘッド22の配設位置の下流側まで順方向に搬送された後において逆方向に反転搬送されて記録ヘッド22の配設位置を通過するときに、そのフィルム12の記録領域に対して実行順が先のインク吐出により標章画像31を形成することができる。
【0054】
(3)第1の記録処理手段としての記録ヘッド22は、その記録処理方式がノズル23からインクを吐出(噴射)する液体噴射方式であるので、繊細な標章画像31を形成することができる。その一方、第2の記録処理手段としてのインクコーター手段19は、その記録処理方式が白色インクをアニックスローラ20により塗布する液体塗布方式であるので、ベタ状の背景色画像30の形成を速やかに行うことができ、その結果、プリンタ11における記録処理のスループットを向上することができる。
【0055】
(4)インクコーター手段19及び記録ヘッド22のうち、一方の記録処理手段により実行順が先の記録処理が施されたフィルム12の記録領域は、次に他方の記録処理手段により記録処理を施されるために移動する途中で定着手段としての第1の加熱装置25の加熱領域内を通過することになる。そのため、その通過時に、実行順が先の記録処理に用いられた白色インク又はカラーインク(処理液)がフィルム12に対して強制的に定着させられる。そのため、インクコーター手段19と記録ヘッド22の各配設位置が近い場合でも、実行順が先の記録処理に用いられた処理液と実行順が後の記録処理に用いられる処理液がフィルム12上で混じり合うような虞を低減できると共に、プリンタ11の小型化にも貢献できる。
【0056】
(5)フィルム12に対する記録モードが第2記録モード(裏刷り印刷)に設定されている場合において、下流側の記録ヘッド22で標章画像31を形成した後、上流側のインクコーター手段19で背景色画像30を形成するとき、フィルム12の記録領域は記録部14において最上流位置の中継ローラ18の位置まで反転搬送されることはない。すなわち、アニックスローラ20の位置まで記録領域の下流端が戻る距離だけ搬送すればよい。したがって、この点で、フィルム12の反転搬送距離を短くすることによりプリンタ11における記録処理のスループット向上に貢献できる。
【0057】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態において、背景色画像30を施す第2の記録処理手段は、液体押し付け方式の記録処理手段(例えば、オフセット印刷方式やフレキソ印刷方式などの有版印刷方式の記録処理手段)により構成してもよい。
【0058】
・上記実施形態において、背景色画像30を施す第2の記録処理手段は、液体噴射方式の記録処理手段(インクジェット式の記録ヘッドなど)により構成してもよい。
・上記実施形態において、標章画像31を施す第1の記録処理手段は、液体塗布方式や液体押し付け方式の記録処理手段により構成してもよい。
【0059】
・上記実施形態において、定着手段としての第1の加熱装置25は、必ずしも搬送経路上に配設しなくてよい。また、第1の加熱装置25のみを配設し、第2の加熱装置26は省略してもよい。
【0060】
・上記実施形態において、記録媒体は、透明なフィルム12に限定されず、連続紙などの紙媒体や繊維媒体でもよい。
・上記実施形態において、記録媒体は、長尺状のものに限定されず、単票形態の記録媒体(例えば、記録用紙など)でもよい。
【0061】
・上記実施形態において、記録モードとして第2記録モードが選択された場合、制御装置17は、フィルム12の記録領域を記録ヘッド22の配設位置まで順方向に搬送した時点で繰出し軸16及び巻き取り軸28の正転駆動を停止させ、その後、フィルムの記録領域をインクコーター手段19の配設位置に向けて反転搬送するべく繰出し軸16及び巻き取り軸28の逆転駆動を開始してもよい。
【0062】
・上記実施形態において、記録ヘッド22を搬送経路の上流側に配設し、インクコーター手段19を搬送経路の下流側に配設するようにしてもよい。この場合には、上流側に配設された記録ヘッド22が第1の記録処理手段として機能すると共に、下流側に配設されたインクコーター手段19が第2の記録処理手段として機能することになる。
【0063】
・上記実施形態において、第1の記録処理手段の記録処理内容と第2の記録処理手段の記録処理内容は、一方の記録処理内容に他方の記録処理内容を重ねて記録する内容ならば、標章画像31と背景色画像30に限定されない。例えば、多色刷り印刷における各色印刷内容を分担して重ね印刷する記録装置や記録方法などに具体化してもよい。
【0064】
・上記実施形態において、フィルム12に対する記録処理は、白色インクとカラーインクによる記録処理に限定されない。例えば、フィルム12の記録領域に対してカラーインクによる標章画像31を形成した後、その記録領域に処理液としてオーバーコート液を用いてオーバーコート層を形成する構成としてもよい。
【0065】
・上記実施形態において、インクとして紫外線硬化性インクを適用してもよい。この場合、インクをフィルム12に対して定着させる定着手段は紫外線照射装置となる。
・上記実施形態において、「搬送方向」は、上流側から下流側に向けての一直線状の方向に限定されるものではなく、記録媒体が搬送される経路に基づいて規定される。例えば、上流側から記録処理手段の処理位置に搬入された記録媒体が搬入方向と直行する方向に排出される場合には屈曲状をなす搬送経路が記録媒体の搬送方向として規定される。また、搬送方向における「上流側」及び「下流側」は一義的に規定されるものではなく、各段階における記録媒体の搬送方向に応じて規定される。例えば、記録処理手段の処理位置に搬入された記録媒体が搬入口側に向けて排出される場合には、搬入段階において「上流側」として規定された領域が排出段階において「下流側」として規定される。
【0066】
・上記実施形態において、記録装置はインクジェット式プリンタに限定されない。例えば、熱転写プリンタ、TA(サーモオートクローム)プリンタ、レーザープリンタ等の他の印刷様式のプリンタにも適用できる。
【符号の説明】
【0067】
11…記録装置としてのプリンタ、12…記録媒体としてのフィルム、16…搬送手段としての繰出し軸、19…第1の記録処理手段としてのインクコーター手段、22…第2の記録処理手段としての記録ヘッド、25…定着手段としての第1の加熱装置、26…定着手段としての第2の加熱装置、28…搬送手段としての巻き取り軸、30…背景色画像、31…標章画像。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を搬送経路に沿う上流側から下流側への順方向及び下流側から上流側への逆方向の双方向に切り替え搬送可能な搬送手段と、
前記搬送経路の第1位置に対応して配設され、前記記録媒体の記録領域に対して第1の処理液を使用した第1の記録処理を施す第1の記録処理手段と、
前記第1位置よりも下流側における前記搬送経路の第2位置に対応して配設され、前記記録媒体の前記記録領域に対して前記第1の処理液とは異なる第2の処理液を使用した第2の記録処理を施す第2の記録処理手段と
を備え、
前記記録媒体の順方向への搬送の下、前記第1の記録処理を施してから前記第2の記録処理を施す第1記録モードと、
前記記録媒体の逆方向への搬送の下、前記第2の記録処理を施してから前記第1の記録処理を施す第2記録モードとを有することを特徴とする記録装置。
【請求項2】
請求項1に記載の記録装置において、
前記第2記録モードは、前記記録媒体を前記第2位置の下流側まで前記記録処理を伴わずに順方向へ搬送した後、当該記録媒体の逆方向への搬送の下、前記第2の記録処理を施してから前記第1の記録処理を施すモードであることを特徴とする記録装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の記録装置において、
前記第1の記録処理手段は、前記記録媒体の前記記録領域に対して液体噴射方式により前記第1の記録処理を施し、前記第2の記録処理手段は、前記記録媒体の前記記録領域に対して液体塗布方式又は液体押し付け方式により前記第2の記録処理を施すことを特徴とする記録装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のうち何れか一項に記載の記録装置において、
前記搬送経路における前記第1の記録処理手段の配設位置と前記第2の記録処理手段の配設位置との間には、前記第1の処理液及び前記第2の処理液のうち少なくとも実行順が先の記録処理に使用された処理液を前記記録媒体の前記記録領域に定着させるための定着手段が配設されていることを特徴とする記録装置。
【請求項5】
記録媒体を搬送経路に沿って搬送し、前記記録媒体の記録領域に対して当該記録媒体の搬送経路の第1位置において第1の処理液を使用した第1の記録処理を施すと共に、前記第1位置よりも下流側における前記搬送経路の第2位置において前記第1の処理液とは異なる第2の処理液を使用した第2の記録処理を施すにあたり、
前記記録媒体の前記記録領域に対する前記第1の記録処理及び前記第2の記録処理の実行順序に応じて前記記録媒体の搬送方向を変更することを特徴とする記録方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−148576(P2012−148576A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−110684(P2012−110684)
【出願日】平成24年5月14日(2012.5.14)
【分割の表示】特願2008−58005(P2008−58005)の分割
【原出願日】平成20年3月7日(2008.3.7)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】