説明

記録装置及び記録装置の制御方法

【課題】
搬送された記録媒体を巻き取る動作を続けることで巻き取りズレが生じた場合であっても、巻き取り動作を巻き取りミスのない巻き取りをおこなう記録装置を提供する。
【解決手段】
記録媒体に印刷手段によって画像を記録し、前記記録媒体を搬送し、次の画像を前記記録媒体に記録する一連の動作を繰り返して印刷を行ない、巻き取り手段によって搬送された前記記録媒体をロール状に巻き取る記録装置において、前記記録媒体の搬送量を取得する搬送量取得手段と、前記巻き取り手段によってロール状に巻き取られた前記記録媒体のロール外周を取得するロール外周取得手段と、を有し、前記ロール外周に基づいて、前記搬送量と同じ量を巻き取る回転量を演算する演算手段と、前記巻き取り手段を前記回転量分回転させ、前記記録媒体を巻き取ることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は記録装置及び記録装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の記録装置では、例えば特開2009−51581号公報のように、印刷と同時に、搬送された記録媒体の巻き取り動作を行なって使用する場合が多い。この巻き取り装置は、向かい合った発光部と受光部からなる分離型のフォトセンサを使用し、受光部が発光部からの光を検知する。記録装置に記録媒体をセットし印刷を開始すると、印刷後の記録媒体が巻き取り装置側に搬送される。搬送された記録媒体のたるみが分離型のフォトセンサの光軸を遮ると、これを検知して巻き取り装置のモータが作動し、一定量巻き取り動作を行い、再びフォトセンサが発光部からの光を検出する状態となる。再び搬送された記録媒体のたるみが光軸を遮るとたるみを解消するため記録媒体が巻き取られる。この一連の動作の繰り返しによって、印刷と同時に、搬送された記録媒体を巻き取ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−51581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の技術では、巻き取り動作を続けていると、巻き取りズレが生じて、搬送された記録媒体がたるんでもフォトセンサの光軸を遮ることができなくなり、巻き取りが行なわれなくなってしまうという課題があった。例えば図6(a)、図6(b)、図7を用いて課題を説明する。
【0005】
図6(a)と図6(b)は、従来技術の課題の第一の例を示す図であり、搬送された記録媒体4を内巻きに巻き取っている状態である。図6(a)は、従来技術の巻き取り開始直後の状態を示す図である。図6(b)は、従来技術の巻き取り途中の状態を示す図である。
【0006】
記録装置100は記録媒体102上に画像を形成する印刷手段101を具備する。印刷手段101は例えばインクジェットヘッドである。記録装置100はロール状に巻回された記録媒体102である給紙側ロール104から、記録媒体102の供給を受ける。そして、印刷手段101によって所望の画像を記録する。そして、画像が記録された記録媒体102は巻き取り側ロール105に巻回される。
【0007】
巻き取りは、巻き取り側ロール105を間歇的に回転させることで実施する。巻き取り側ロール105が停止しているときに、記録媒体102の搬送が進むと、記録媒体102はたるみ部分が生じる。フォトセンサ103は、このたるみ部分が所定量に達すると反応するように配置されている。
【0008】
図6(a)の巻き取り開始直後の巻き取り側ロール105はロール径が小さいく、記録媒体102の弛み部分が下がるとフォトセンサ103が反応し、所定量巻き取りを行う。しかし、巻き取り動作を続けた図6(b)の巻き取り側ロール105はロール径が大きくなり、記録媒体102のたるみがフォトセンサ103の前面に押し出されることにより、フォトセンサ103とのズレ106が生じ、光軸を遮ることができなくなり、巻き取りが行なわれなくなってしまう。
【0009】
図7は、従来技術の課題の第二の例を示す図であり、搬送された記録媒体102を外巻きに巻き取っている状態である。記録装置100のフォトセンサ103は発光部と受光部を有する。巻き取り動作を続け、巻きがズレると、フォトセンサ103とのズレ106が生じ、光軸を遮ることができなくなり、巻き取りが行なわれなくなってしまう。
【0010】
また、フォトセンサ103の発光部と受光部との距離を伸ばすことによってフォトセンサ103の反応範囲を広げることが可能だが、距離が長いと光軸を合わせることが困難になるため、光軸のズレを招きやすくなる原因となってしまうことがある。
【0011】
また、メッシュ状の記録媒体や透明な記録媒体を巻き取る際、位置によって光が透過する場合があり、記録媒体のたるみが光軸を遮っていても、センサが反応せず巻き取りが行なわれなくなってしまうことがあった。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、印刷手段によって画像を記録媒体に記録し、前記記録媒体を搬送し、次の画像を前記記録媒体に記録する一連の動作を繰り返して印刷を行ない、巻き取り手段によって搬送された前記記録媒体をロール状に巻き取る記録装置において、前記記録媒体の搬送量を取得する搬送量取得手段と、前記巻き取り手段によってロール状に巻き取られた前記記録媒体のロール外周を取得するロール外周取得手段と、前記ロール外周に基づいて、前記搬送量と同じ量を巻き取るための前記巻き取り手段の回転量を演算する演算手段と、を有し、前記巻き取り手段を前記回転量分回転させ、前記記録媒体を巻き取ることを特徴とする記録装置である。
【0013】
本発明は、記録媒体に画像を記録し、前記記録媒体を搬送し、次の画像を前記記録媒体に記録する一連の動作を繰り返して印刷を行い、巻き取り手段によって搬送された前記記録媒体をロール状に巻き取る記録装置の制御方法であって、前記巻き取り手段によってロール状に巻き取られた前記記録媒体のロール外周を取得する工程と、前記記録媒体の搬送量を取得する工程と、前記ロール外周に基づいて、前記搬送量と同じ量を巻き取るための前記巻き取り手段の回転量を演算する工程と、を有し、前記巻き取り手段を前記回転量分回転させ、前記記録媒体を巻き取る工程と、を有することを特徴とする記録装置の制御方法である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、記録媒体の巻き取りズレが生じても巻き取りを続け、搬送された記録媒体の巻き取りの誤動作を防ぐことができる。また、本発明によれば、メッシュ状の記録媒体や透明な記録媒体でも巻き取りを行なえる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係る記録装置の概略を示す斜視図である。
【図2】図2は、本発明の実施形態に係る回路構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、巻き取りのタイミングを示す図である。
【図4】図4は、本発明の第一の実施形態に係る動作を表すフローチャートである。
【図5】図5は、本発明の第二の実施形態に係る動作を表すフローチャートである。
【図6】図6(a)は、従来技術の巻き取り開始直後の状態を示す図である。図6(b)は、従来技術の巻き取り途中の状態を示す図である。
【図7】図7は、従来技術の第二の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態に係る記録装置及び記録装置の制御方法について図面を参照しつつ詳しく説明する。
【0017】
まず、図1を参照しつつ、本実施形態に係る記録装置1の全体構成について説明する。ここで、図1は記録装置の概略を示す、前方から見た斜視図である。
【0018】
記録装置1は、移動可能なスタンド2上に配置された記録装置本体3内に、記録媒体4を搬送する搬送手段5、印刷手段6、プラテン7、巻き取り手段8、巻き取り側紙管9、を備える。
【0019】
搬送手段5は、印刷対象となる記録媒体4を、印刷手段6とプラテン7との間の所定の印刷位置へ給送するとともに、印刷手段6によって印刷された記録媒体4を排出する。ここで記録媒体4とは、印刷手段6による印刷の対象であって、例えば、紙、布、プラスチックシートを含む。
【0020】
印刷手段6は、下方にインクを吐出するインクジェットヘッドを所定数備え、搬送手段5によって給送された記録媒体に対してインクを吐出する。インクは、印刷する画像に応じた一又は二以上のノズルから吐出される。記録媒体4上には、インクの吐出と記録媒体4の搬送を繰り返すことにより、所望の画像が形成される。
【0021】
プラテン7は、長板状をなし、その長手方向が記録媒体の幅方向に平行になるように、印刷手段6の下方に配置される。
【0022】
巻き取り手段8は、巻き取り側紙管9と、左側フランジ10と、右側フランジ11と、巻き取り側駆動モータ12と、受光側フォトセンサ13と、発光側フォトセンサ14を有する。
【0023】
左側フランジ10と右側フランジ11は、巻き取り側紙管9の左右を挟み込み、固定する。右側フランジ11と連結された巻き取り側駆動モータ12により巻き取り側紙管9が回転する。
【0024】
受光側フォトセンサ13と発光側フォトセンサ14は、記録装置1のスタンド2に向かい合って設置され、発光側フォトセンサ14から発せられる光を受光側フォトセンサ13が検出する。搬送された記録媒体のたるみ15が、発光側フォトセンサ14と受光側フォトセンサ13の間の光軸16を遮ると、受光側フォトセンサ13の出力信号が変化し、後述の制御回路22の制御によって、巻き取り側駆動モータ12を駆動させる。これにより巻き取り側紙管9が回転し、制御回路22によって制御する量の記録媒体4を巻き取る。記録媒体のたるみ15が巻き上げられたことにより、再び受光側フォトセンサ13が発光側フォトセンサ14から発せられる光を検知する。再び記録媒体4が搬送され、光軸16を遮ると、記録媒体4を制御回路22によって制御する量の巻き取りをする。これらの一連の動作を繰り返して記録媒体4をロール状に巻き取る動作を行なうことができる。
【0025】
外周取得手段は、記録媒体4の巻き取り側ロール18の直径を計測するロール径取得センサ19を有し、ロール径取得センサ19から得られた信号を制御回路22に伝達させ、直径から巻き取り側ロール18の外周を演算する。例えば、ロール径取得センサ19は発光部と受光部を備え、巻き取り側ロール18の端部へ光を照射し、その反射を検出することで、ロール径を取得するものがある。
【0026】
または、インクジェットヘッド付近に設置された記録媒体4の厚みを計測する厚み取得センサ20と、巻き取り側紙管の回転数を計測するロール回転数取得センサ21からの信号を制御回路22が受け、{(記録媒体の厚み)×(巻き取り側紙管の回転数)+(巻き取り側紙管の直径)}の式に基づいて演算することによりロールの直径を演算し、巻き取り側ロールの外周を演算する方法でも採用し得る。巻き取り側紙管の直径と演算プログラムはあらかじめROMに記憶させておく。
【0027】
厚み取得センサ20は、インクジェットヘッド付近に設置され、記録媒体4に上から押し当て、プラテン7との差を検出することにより厚みを取得する。
【0028】
次に、図2を参照しつつ、本発明の実施形態に係る回路構成について説明する。ここで図2は、本発明の実施形態に係る回路構成を示すブロック図である。
【0029】
制御回路22は、巻き取り手段8、受光側フォトセンサ13、発光側フォトセンサ14、ロール径取得センサ19、厚み取得センサ20、ロール回転数取得センサ21、印刷手段6、搬送手段5、時間Yタイマ23、ROM24、RAM25が接続され、演算、制御、判別、設定などの処理を行なう。
【0030】
制御回路22は、ROM24内に記憶された、プログラムによって、各種制御を行う。ROM24には、記録装置1の全体を制御するプログラムの他、記録装置1の初期設定値が記憶されている。RAM25は制御回路22の演算のワークエリア、データの一時記憶を行う。
【0031】
前述搬送手段5、印刷手段6はROM24に記憶されたプログラム従い制御される。
【0032】
巻き取り手段8は、モータ駆動手段、巻き取り側駆動モータ12を有し、制御回路22によりモータ回転量及びモータ回転速度を制御される。
【0033】
受光側フォトセンサ13、発光側フォトセンサ14は、記録媒体4のたるみを検出し、制御回路22に信号を与える。記録媒体4のたるみを検出するセンサの他の例として、接触センサがある。接触センサを記録媒体4のたるみの許容限界位置に設置し、記録媒体4が接触すると反応する方法をとっても良い。この接触センサ用いた場合でも同様の効果が得られる。
【0034】
時間Yタイマ23は、制御回路22によって制御され、巻き取り手段8により巻き取り動作を行なってから次に巻き取るまでの時間Y26を測定する。一定量巻き取りを行なうと制御回路22により時間Yタイマ23をリセットスタートさせる。
【0035】
ロール径取得センサ19は、制御回路22によって制御され、巻き取り側ロール18の径を計測して、取得した径を制御回路22へ与える。
【0036】
厚み取得センサ20は、制御回路22によって制御され、記録媒体4の厚みを計測して、取得した厚みを制御回路22へ与える。
【0037】
ロール回転数取得センサ21は、制御回路22によって制御され、巻き取り側ロール18の回転した回数を計測して、取得した回転数を制御回路22へ与える。
【0038】
次に、図3を参照しつつ、巻き取りのタイミングについて説明する。ここで図3は、巻き取りのタイミングを示す図であり、時間軸に対する巻き取り動作のON/OFFを示した図である。
【0039】
図3の中のON状態は、巻き取り手段8をON、すなわち動作させている状態である。図3の中のOFF状態は、巻き取り手段8をOFF、すなわち停止させている状態である。
【0040】
時間X27は、あらかじめ実験で測定された、巻き取り手段8により巻き取り動作を行なってから次に巻き取るまでの標準時間である。時間X27は前後に許容誤差範囲を持つ。標準時間に対して20%以内の時間が許容される誤差としてセットされている。
【0041】
時間Y26は、実際に印刷中に巻き取り手段8により巻き取り動作を行なってから次に巻き取るまでの時間であり、時間Yタイマ23により計測される。
【0042】
巻き取りに誤動作などの問題が生じない場合は、時間Y26は、時間X27で定められた範囲内に入る。巻き取りに誤動作などの問題が生じた場合は、時間Y26は、時間X27に対して許容誤差範囲外の時間になる。
【0043】
時間T28は、時間X27より大きい所定の値で、ROM24に記憶されている。巻き取りに誤動作などの問題が生じない場合の、巻き取り終わってから巻き取り終わるまでの標準時間である。実験で予め求め、また許容できる誤差範囲も含めて、ROM24に記憶させておく。時間Y26がこの時間T28を超えるような場合は何らかしらの巻き取りに誤動作が生じたことになる。記録媒体の種類や、印刷モード等の違いにより時間X27が異なる場合は設定を変更することにより、条件にあった時間T28を選べるものとする。
【0044】
次に、図4を参照しつつ、第一の動作例について説明する。ここで図4は、本発明の第一の実施形態に係る動作のフローチャートである。
【0045】
巻き取り側紙管9を、左側フランジ10と右側フランジ11により固定した後、記録装置1から排出される記録媒体4の先端をテープ等で巻き取り側紙管9に接着し、さらに巻き取り側紙管9に一回転巻きつける。その後、巻き取り側紙管9に巻きつけられた記録媒体4にたるみ15ができるように、記録媒体4を搬送させる。
【0046】
ステップS1で、印刷を開始させると、まずステップS2で、厚み取得センサ20により記録媒体4の厚みを取得する。
【0047】
次に、ステップS3で、印刷手段19によって記録媒体4にインクが吐出されることで1パス印刷が行なわれる。
【0048】
ステップS3で1パス印刷されると、2パス目を印刷するためにステップS4で、搬送手段5により記録媒体4を所定量搬送させる。
【0049】
巻き取った記録媒体4の量によって巻き取り側ロール18の外周が変化することに伴い、一定量巻き取りを行なう際に必要な、巻き取り側紙管9を回転させる巻き取り側駆動モータ12の回転量を変化させる必要がある。そのためステップS5で、巻き取り側ロール18の外周を演算する。これはステップS2で取得した記録媒体4の厚みと、巻き取り側紙管9の回転数を計測するロール回転数取得センサ21によって{(記録媒体の厚み)×(巻き取り側紙管の回転数)+(巻き取り側紙管の直径)}の式に基づいて演算することによりロールの直径を演算し、{(ロールの直径)×(円周率)}の式に基づいて演算することにより巻き取り側ロール18の外周を演算する。ここで、ロール径取得センサ19の検出値によって、巻き取り側ロール18の外周を演算する形態でも良い。
【0050】
次に、ステップS5で演算した巻き取り側ロール18の外周から、搬送した量と同じ量だけ記録媒体3を巻き取るための巻き取り側駆動モータ12の必要な回転量を演算する。その演算した回転量だけ巻き取り側駆動モータ12を回転させ、ステップS6で、ステップS3で搬送した量と同じ量だけ記録媒体4を巻き取る。
【0051】
ステップ7で、印刷が終了したか続行しているかを制御回路22により判断する。印刷を続行している場合は、ステップS3に進み、1パス印刷する。印刷が終了した場合は、ステップ8に移行し、動作を終了する。
【0052】
次に、図5を参照しつつ、第二の動作例について説明する。ここで図5は、本発明の第二の実施形態に係る動作のフローチャートである。
【0053】
巻き取り側紙管9を、左側フランジ10と右側フランジ11により固定した後、記録装置1から排出される記録媒体4の先端をテープ等で巻き取り側紙管9に接着し、さらに一回転巻きつける。その後、巻き取り側紙管9に巻きつけられた記録媒体4にたるみ15ができるように、記録媒体4を搬送させ、記録媒体4のたるみ15が受光側フォトセンサ13に反応するまで搬送を続ける。
【0054】
ステップS11で、印刷を開始させると、まずステップS12で、厚み取得センサ20により記録媒体4の厚みを取得する。
【0055】
次に、ステップS13で、印刷手段6によって記録媒体4にインクが吐出されることで1パス印刷が行なわれる。
【0056】
ステップS13で1パス印刷されると、2パス目を印刷するためにステップS14で、搬送手段5により記録媒体4を所定量搬送させる。
【0057】
ステップS15で、受光側フォトセンサ13と発光側フォトセンサ14によって記録媒体4を検出したか検出していないかを制御回路22により判断する。
【0058】
ステップS15で記録媒体4を検出している場合は、ステップS16で、巻き取り側ロール18の外周を演算する。これはステップS12で取得した記録媒体4の厚みと、巻き取り側紙管9の回転数を計測するロール回転数取得センサ21によって回転数を取得し、その取得した値を用い、{(記録媒体の厚み)×(巻き取り側紙管の回転数)+(巻き取り側紙管の直径)}の式に基づいて演算することにより巻き取り側ロール18の直径を演算する。さらに、{(ロールの直径)×(円周率)}の式に基づいて演算することにより巻き取り側ロール18の外周を演算する。ここで他の例として、ロール径取得センサ19の検出値によって、巻き取り側ロール18の外周を演算する形態でも良い。
【0059】
次に、ステップS16で演算した巻き取り側ロール18の外周から、搬送した量と同じ量だけ記録媒体3を巻き取るための巻き取り側駆動モータ12の回転量を演算する。その演算した回転量だけ巻き取り側駆動モータ18を回転させ、ステップS17で、ステップS14で搬送した量と同じ量だけ記録媒体4を巻き取る。
【0060】
ステップS18で、時間Y26を測定する時間Yタイマ23のリセットをし、再度スタートを行なう。次にステップ26に移行する。
【0061】
ステップS15で記録媒体4を検出していない場合は、ステップS19に移行する。
【0062】
ステップ19では、時間Yタイマ23がスタートされているかを制御回路22により判断する。印刷が開始されてから一度も巻き取りが行われていない場合は、時間Yタイマ23がスタートされていないことになる。
【0063】
ステップS19で時間Yタイマ23がスタートされていない場合は、ステップ23に進む。
【0064】
ステップS19で時間Yタイマ23がスタートされている場合は、ステップS20に進み、その時点での時間Y26をRAM25に一時的に記憶する。
【0065】
次に、ステップS21で、巻き取りズレなどの巻き取り誤動作の発生の有無を制御回路22により判断する。巻き取り誤動作の有無の判断は、ステップS20でRAM25に記憶した時間Y26と時間Tを制御回路により比較し、時間Y26が時間T27以上であるか、すなわち{(時間Y26)≧(時間T27)}であるか区別することで行なう。誤動作が生じていない標準的な巻き取り終わってから次の巻き取りがおわるまでの時間、すなわち時間T27よりも長い時間、受光側フォトセンサ13が反応しないということは何らかしらの巻き取り誤動作が生じたと判断し、その場合の処理を実施する。ここで、他の形態として、RAM25に記憶した時間Y26と許容誤差範囲を含む時間X28を比較し、その範囲内に入っている場合は誤動作が生じていないと判断し、範囲外の場合は誤動作が生じたと判断する形態でもよい。
【0066】
ステップS21で巻き取りズレなどの誤動作が発生しているときは、ステップS22で、ステップ16と同様の方法で巻き取り側ロール18の外周演算を行なう。次に、ステップS22で演算した巻き取り側ロール18の外周から、搬送した量と同じ量、すなわちRAM25に記憶した時間Y26の間に搬送された搬送量、だけ記録媒体3を巻き取るための巻き取り側駆動モータ12の回転量を演算する。ステップS23では、この演算した回転量分巻き取り側駆動モータ12を回転させ、RAM25に記憶した時間Y26の間の搬送量分巻き取る。RAM25に記憶した時間Y26の間に搬送された量は、ステップ14で搬送する1パス分の搬送量に、RAM25に記憶した時間Y26の間の印刷したパス数を掛けることで演算する。
【0067】
ステップS24で、ステップS22で記憶した搬送量分の巻き取りが完了したか完了していないかを、制御回路22により判断する。
【0068】
ステップS24で、RAM25に記憶した時間Y26の間の搬送量分巻き取りが完了した場合、ステップS25に移行する。
【0069】
ステップS25で、時間Y26を測定する時間Yタイマ23のリセットをし、再度スタートを行なう。
【0070】
ステップS26で、印刷が終了したか続行しているかを制御回路22により判断する。
【0071】
ステップS24で、RAM25に記憶した時間Y26の間の搬送量分巻き取りが完了していない場合、ステップS22に進み、再度巻き取る。
【0072】
ステップS26では、印刷が終了したか続行しているかを制御回路22により判断する。印刷を続ける場合は、ステップS13に移行し、1パス印刷する。印刷が終了した場合は、ステップ27に移行し、動作を終了する。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明はインクジェットプリンタ等の記録装置に利用できる。
【符号の説明】
【0074】
1 記録装置
2 スタンド
3 記録装置本体
4 記録媒体
5 搬送手段
6 印刷手段
7 プラテン
8 巻き取り手段
9 巻き取り側紙管
10 左側フランジ
11 右側フランジ
12 巻き取り側駆動モータ
13 受光側フォトセンサ
14 発光側フォトセンサ
15 たるみ
16 光軸
18 巻き取り側ロール
19 ロール径取得センサ
20 厚み取得センサ
21 ロール回転数取得センサ
22 制御回路
23 時間Yタイマ
24 ROM
25 RAM
26 時間Y
27 時間X
28 時間T

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷手段によって画像を記録媒体に記録し、前記記録媒体を搬送し、次の画像を前記記録媒体に記録する一連の動作を繰り返して印刷を行ない、巻き取り手段によって搬送された前記記録媒体をロール状に巻き取る記録装置において、
前記記録媒体の搬送量を取得する搬送量取得手段と、
前記巻き取り手段によってロール状に巻き取られた前記記録媒体のロール外周を取得するロール外周取得手段と、
前記ロール外周に基づいて、前記搬送量と同じ量を巻き取るための前記巻き取り手段の回転量を演算する演算手段と、を有し、
前記巻き取り手段を前記回転量分回転させ、前記記録媒体を巻き取ることを特徴とする記録装置。
【請求項2】
搬送された前記記録媒体のたるみ位置を検出するセンサと、
前記巻き取り手段が前記記録媒体を一定量巻き取ってから次に前記センサが前記記録媒体を検出するまでの時間Xより長い所定の時間Tを記憶する記憶手段と、
前記巻き取り手段によって巻き取り後からの時間Yを計測する時間計測手段と、
前記時間Tと前記時間Yを比較する比較手段と、
をさらに有し、前記時間Yが前記時間T以上の場合に、前記搬送量を前記時間Yの間の搬送量とすることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記ロール外周取得手段は、前記記録媒体のロールの直径を計測するロール径計測手段を有し、前記直径に基づいて前記ロール外周を演算することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記ロール外周取得手段は、前記記録媒体の厚みを計測する厚み計測手段と、前記記録媒体のロールの回転数を計測する回転数計測手段とを有し、前記厚みと前記回転数から前記ロール外周を演算することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の記録装置。
【請求項5】
前記センサは、フォトセンサであることを特徴とする請求項2に記載の記録装置。
【請求項6】
前記センサは、接触センサであることを特徴とする請求項2に記載の記録装置。
【請求項7】
記録媒体に画像を記録し、前記記録媒体を搬送し、次の画像を前記記録媒体に記録する一連の動作を繰り返して印刷を行い、巻き取り手段によって搬送された前記記録媒体をロール状に巻き取る記録装置の制御方法であって、
前記巻き取り手段によってロール状に巻き取られた前記記録媒体のロール外周を取得する工程と、
前記記録媒体の搬送量を取得する工程と、
前記ロール外周に基づいて、前記搬送量と同じ量を巻き取るための前記巻き取り手段の回転量を演算する工程と、を有し、
前記巻き取り手段を前記回転量分回転させ、前記記録媒体を巻き取る工程と、を有することを特徴とする記録装置の制御方法。
【請求項8】
搬送された前記記録媒体のたるみ位置を検出するセンサをさらに有し、前記センサによって前記記録媒体のたるみ位置を検出する工程と、
前記巻き取り手段により一定量巻き取ってから次に前記センサに検出されるまでの時間Xより長い所定の時間Tを記憶する工程と、をさらに有し、
前記搬送量を取得する工程は、
前記巻き取り手段によって巻き取り後からの時間Yを計測する工程と、
前記時間Tと前記時間Yを比較する工程と、
前記時間Yが前記時間T以上の場合に、前記搬送量を前記時間Yの間の搬送量とする工程と、を有することを特徴とする請求項7に記載の記録装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−79209(P2011−79209A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−232929(P2009−232929)
【出願日】平成21年10月7日(2009.10.7)
【出願人】(395003187)株式会社セイコーアイ・インフォテック (173)
【Fターム(参考)】