説明

記録装置

【課題】
ワンタイム記録媒体の場合で、操作し忘れによる無駄な記録を防止する。
【解決手段】
記録中でない場合の記録指示スイッチ(30B)の操作に対して、システム制御装置(32)は、初期記録時間を内蔵タイマにセットし、記録動作を開始するようにカメラヘッド(12)、圧縮伸長装置(22)及び記録処理装置(26)を制御する。記録動作中の記録延長指示スイッチ(30C)の操作により、内蔵タイマの記録時間を延長する。システム制御装置(32)は、記録時間の経過、又は、記録指示スイッチ30Bの操作により、記録を一時停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録装置に関し、より具体的には、動画像又は音声等のマルチメディアデータを記録する記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平02−154367号公報
【特許文献2】特開2000−069428号公報
【特許文献3】特開2004−180191号公報
【0004】
動画像又は音声等のマルチメディアデータを記録する記録装置において、特許文献1には、所定操作で記録時間を一定時間単位で延長する技術が記載されている。また、特許文献2には、一定時間経過後における録画ボタンの操作に応じて、当該操作の終了まで、動画像の取り込みを継続する技術が記載されている。所定時間分の映像信号を一時記憶するメモリを有し、延長指示に応じて、当該メモリに記憶される過去の映像信号を記録する技術が、特許文献3に記載されている。
【0005】
記録媒体として、追記のみ可能で消去が不可能な光ディスク(以降、ワンタイム記録媒体と呼ぶ。DVD−R等)、書き換え可能な光ディスク(DVD-RW、DVD+RW、DVD−RAM等)、ハードディスク、及び、半導体メモリ等が利用可能になっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ワンタイム記録媒体を記録媒体として使用する撮像装置では、誤って撮影した画像又は音声を消去することができず、記録媒体の記録領域を無駄に消耗する。
【0007】
通常のビデオカメラの場合は、記録モードでは、記録の開始/停止にトグルボタンが採用されている。すなわち、記録開始/停止ボタンを押して離すと、記録(録画)が開始され、その状態で、再度、記録開始/停止ボタンを押して離すと、記録が一時停止される。記録中か一時停止中かは、EVF(電子ビューファインだ)等のモニタ画面上で確認可能である。
【0008】
しかし、記録開始後、しばしば記録停止の操作(一時停止操作や電源オフ操作)を忘れることがある。例えば、ビデオカメラを手に持たずに、例えば三脚に固定している場合、撮影者はモニタ画面を見ていないことが多いので、記録中であることに気づかないことがある。記録媒体の残の空き容量が少ない場合、このような無駄な記録は、無視出来ない。
【0009】
このような問題は、ワンタイム記録媒体を記録媒体として使用し、音楽を記録する場合にも同様である。また、消去可能な記録媒体を使用する場合でも、消去操作が面倒な記録装置では、同様に操作性を損なうものである。
【0010】
本発明は、このような無駄な記録の継続を効果的に防止し得る記録装置を提示することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る記録装置は、画像または音声を入力する入力手段と、前記入力手段による入力データを記録媒体に記録する記録処理手段と、前記記録媒体が、ワンタイム記録媒体か書換え可能記録媒体かを判別する判別手段と、記録の開始/停止を指示する記録指示手段と、前記記録指示手段の操作に応じて前記記録処理手段による記録動作を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記記録指示手段による記録開始指示に従い、前記記録処理手段に記録動作を開始させ、前記記録指示手段による記録終了指示に従い、前記記録処理手段に記録動作を終了させ、前記制御手段は、前記判別手段により前記記録媒体がワンタイム記録媒体であると判定された場合は、前記記録指示手段による記録開始指示より所定時間経過したことに応じて、前記記録処理手段に記録動作を終了させることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る記録装置は、画像又は音声の入力手段と、前記入力手段による入力データを記録媒体に記録する記録処理手段と、記録の開始/停止を指示する記録指示手段と、記録時間の延長を指示する記録延長指示手段と、前記記録指示手段の操作に応じて前記記録処理手段による記録動作を制御する制御手段であって、前記記録指示手段による記録開始指示に従い、前記記録処理手段に記録動作を開始させると共に記録時間を計時し、前記記録時間の経過及び前記記録指示手段による記録停止の指示の何れか早い方に従い前記記録処理手段による前記記録動作を一時停止させる制御手段とを具備し、前記制御手段が更に、記録動作中の前記記録延長指示手段の操作に応じて記録時間を延長することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、デフォルトで記録時間を設定し、記録停止指示又は記録時間の経過の何れか早い方で記録を一時停止するので、無駄な記録を防げる。また、記録中には記録時間の延長を可能にするので、初期の記録時間を越える長時間の記録も可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施例の概略構成ブロック図である。
【図2】本実施例の動作フローチャートである。
【図3】図2の書換え可能記録媒体に対応する記録制御の詳細なフローチャートである。
【図4】図2のワンタイム記録媒体に対応する記録制御の詳細なフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の実施例を詳細に説明する。
【実施例1】
【0016】
図1は、本発明に係る記録装置の一実施例であるデジタルビデオカメラの概略構成ブロック図を示す。ビデオカメラ10のカメラヘッド12は、撮影レンズ、撮像素子及び画像処理回路からなり、被写体を撮像して得られる画像信号を一定周期で出力する。カメラヘッド12は、画像を入力する入力手段とも言える。
【0017】
カメラヘッド12による入力データ、すなわち撮像による画像信号は、フレーム単位で画像メモリ14に格納される。表示装置16は、画像メモリ14に格納される画像信号を画像表示する。撮影者は、この表示画像を観察することで、被写体の構図及び録画チャンスを判断できる。また、ビデオ入出力装置18は、画像メモリ14に格納される画像信号から所定形式、例えば、NTSC形式又はPAL方式等の映像信号を生成し、映像入出力端子20から外部に出力する。
【0018】
圧縮伸長装置22は、記録モードでは、カメラヘッド12からの画像信号を順次、MPEG2などの動画像圧縮形式で圧縮符号化し、圧縮画像データをワークメモリ24に格納する。記録処理装置26は、ワークメモリ24の圧縮画像データに、再生のための管理データなどを付加し、記録用のデータ形式に変換して、記録媒体28に記録する。記録媒体28は本実施例では、ワンタイム記録媒体又は書換え可能記録媒体であり、ユーザはどちらを装填することもできる。
【0019】
記録処理装置26は、再生モードでは、記録媒体28に記録される任意の動画像データ(実際には圧縮画像データ)を読み出すことができ、読み出された圧縮画像データはワークメモリ24に格納される。圧縮伸長装置22は、再生モードでは、ワークメモリ24に格納される圧縮画像データを伸長し、得られた再生画像信号を画像メモリ14に格納する。画像メモリ14に格納される画像信号は、表示装置16により再生画像として表示される。また、ビデオ入出力装置18は画像メモリ14に格納される画像信号から所定形式の映像信号(すなわち、再生映像信号)を生成し、映像入出力端子20から外部に出力する。
【0020】
カメラヘッド12、又は、カメラヘッド12と圧縮伸長装置22が、特許請求の範囲における画像又は音声の入力手段に相当する。
【0021】
操作装置30は、動作モードを指定するモードスイッチ30Aと、記録動作の開始/停止をトグル動作で指示する記録指示スイッチ30Bと、記録時間の延長を指示する記録延長指示スイッチ30Cを具備する。操作装置30はまた、表示装置16の画面に表示される種々のメニュー項目を指定又は選択するための選択キーと決定キーを具備する。
【0022】
トグル動作の記録指示スイッチ30Bでは、記録していないときのスイッチ操作が記録開始指示の操作に対応し、記録中でのスイッチ操作が記録停止指示に相当する。記録開始指示のスイッチと記録停止指示のスイッチを別々に設けても良いことは明らかである。
【0023】
システム制御装置32は、操作装置30の操作に従い、上述の各部を制御する。システム制御装置32は、通信装置34、および、IEEE1394やUSBなど通信端子36を介して、外部機器と通信し、データを送受信できる。
【0024】
時計装置38は現在日時を計時し、年月日時分秒データを出力する。時計装置38は、1秒未満については、例えば、1/100秒単位で出力する。システム制御装置32は、時計装置38の出力を参照することで、任意の時間の経過を検出できる。
【0025】
図2、図3及び図4は、本実施例の動作フローチャートを示す。図2乃至図4を参照して、本実施例の動作を説明する。
【0026】
システム制御装置32は、まず記録媒体28の装填を確認する(S1)。そして、装填されている記録媒体28の種別(ワンタイム記録媒体か書換え可能記録媒体)を判別し、ワークメモリ24に記憶する(S2)。
【0027】
システム制御装置32は、操作装置30のモードスイッチ30Aが、オフ、記録モード及び再生モードのどれかを調べる(S3)。モードスイッチ30Aがオフの位置にある場合、システム制御装置32は、ビデオカメラ10の電源をオフにする(S4)。モードスイッチ30Aが再生モードの位置にある場合(S3)、システム制御装置32は、各部を再生モードで動作させる(S5)。再生モードでの動作は、本発明とは無関係であるので、詳細な説明を省略する。
【0028】
モードスイッチ30Aが記録モードの位置にある場合(S3)、システム制御装置32は、ワークメモリ24に記憶した媒体種別情報を参照する(S6)。そして、記録媒体28が書換え可能記録媒体である場合(S6)、書換え可能記録媒体に対応する記録制御を実行する(S7)他方、記録媒体28がワンタイム記録媒体である場合(S6)、ワンタイム記録媒体に対応する記録制御を実行する(S8)。
【0029】
図3は、書換え可能記録媒体に対応する記録制御(S7)の詳細なフローチャートを示す。記録動作中で無い場合(S11)の記録指示スイッチ30Bの操作に対して(S12)、システム制御装置32は、上記した記録動作を開始するようにカメラヘッド12、圧縮伸長装置22及び記録処理装置26を制御する(S13)。他方、記録動作中の場合(S11)の記録指示スイッチ30Bの操作に対して(S14)、システム制御装置32は、記録動作を一時停止するようにカメラヘッド12、圧縮伸長装置22及び記録処理装置26を制御する(S15)。
【0030】
図4は、ワンタイム記録媒体に対応する記録制御(S8)の詳細なフローチャートを示す。記録動作中でない場合(S21)の記録指示スイッチ30Bの操作に対して(S22)、システム制御装置32は、所定の初期記録時間T1を内蔵タイマにセットする(23)。そして、システム制御装置32は、上記した記録動作を開始するように、カメラヘッド12、圧縮伸長装置22及び記録処理装置26を制御する(S24)。システム制御装置32は、内蔵タイマを時計装置38の出力に従いデクリメントする。内蔵タイマの値が0になったとき、設定された記録時間を経過したことになる。記録動作中、残り記録時間を表示装置16の画面上に表示する。
【0031】
記録中で(S21)、記録指示スイッチ30Bの操作が無ければ(S25)、システム制御装置32は、記録延長指示スイッチ30Cによる延長指示の有無を確認する(S26)。記録延長の指示がある場合(S26)、システム制御装置32は、内蔵タイマ(の残り記録時間)に延長時間T2を加算する(S27)。これにより、記録時間が延長される。この時点で記録を継続することが明らかであるので、図2のステップS3に戻る。
【0032】
初期記録時間(T1)及び/又は延長記録時間(T2)は、任意に設定でき、ユーザは、記録モードの設定前にこれらに希望値を設定しておく。
【0033】
記録延長の指示が無い場合(S26)、システム制御装置32は、内蔵タイマを参照して、記録時間が経過したか否かを調べる(S28)。記録時間が経過している場合(S28)、システム制御装置32は、記録動作を一時停止するようにカメラヘッド12、圧縮伸長装置22及び記録処理装置26を制御する(S29)。記録時間が経過していな場合(S28)、図2のステップS3に戻る。
【0034】
記録中(S21)に記録指示スイッチ30Bの操作があると(S25)、システム制御装置32は、即座に、記録動作を一時停止するようにカメラヘッド12、圧縮伸長装置22及び記録処理装置26を制御する(S29)。
【0035】
このように、本実施例では、書換え可能記録媒体を使用する場合、記録指示スイッチ30Bにより記録の開始/停止を制御する。他方、ワンタイム記録媒体を使用する場合、記録指示スイッチ30Bによる記録停止の指示が無い場合であっても、設定した記録時間の経過で記録を一時停止する。そして、記録動作中であれば、記録時間の延長が可能である。このようにして、ワンタイム記録媒体において、無駄な記録を防止しつつ、ユーザの希望する時間範囲での記録を実現する。
【0036】
電源を入れたまま放置された場合に自動的に電源が遮断する所謂オートパワーオフ機能を、記録時間に基づく記録制御と並行で機能させることができる。
【0037】
動画像を記録するビデオカメラに適用した実施例を説明したが、本発明は、音声を記録する音声記録装置にも適用可能であることは明らかである。
【符号の説明】
【0038】
28:記録媒体
30A:モードスイッチ
30B:記録指示スイッチ
30C:記録延長指示スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像または音声を入力する入力手段と、
前記入力手段による入力データを記録媒体に記録する記録処理手段と、
前記記録媒体が、ワンタイム記録媒体か書換え可能記録媒体かを判別する判別手段と、
記録の開始/停止を指示する記録指示手段と、
前記記録指示手段の操作に応じて前記記録処理手段による記録動作を制御する制御手段
とを備え、
前記制御手段は、前記記録指示手段による記録開始指示に従い、前記記録処理手段に記録動作を開始させ、前記記録指示手段による記録終了指示に従い、前記記録処理手段に記録動作を終了させ、
前記制御手段は、前記判別手段により前記記録媒体がワンタイム記録媒体であると判定された場合は、前記記録指示手段による記録開始指示より所定時間経過したことに応じて、前記記録処理手段に記録動作を終了させる
ことを特徴とする記録装置。
【請求項2】
さらに、記録時間の延長を指示する記録延長指示手段を備え、
前記制御手段は、前記判別手段により前記記録媒体がワンタイム記録媒体であると判定された場合は、前記記録指示手段による記録開始指示より所定時間経過前に、前記記録延長指示手段により記録時間の延長の指示がされたことに応じて、前記記録指示手段による記録開始指示より所定時間経過しても記録を継続する
ことを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
画像又は音声の入力手段と、
前記入力手段による入力データを記録媒体に記録する記録処理手段と、
記録の開始/停止を指示する記録指示手段と、
記録時間の延長を指示する記録延長指示手段と、
前記記録指示手段の操作に応じて前記記録処理手段による記録動作を制御する制御手段であって、前記記録指示手段による記録開始指示に従い、前記記録処理手段に記録動作を開始させると共に記録時間を計時し、前記記録時間の経過及び前記記録指示手段による記録停止の指示の何れか早い方に従い前記記録処理手段による前記記録動作を一時停止させる制御手段
とを具備し、
前記制御手段が更に、記録動作中の前記記録延長指示手段の操作に応じて記録時間を延長する
ことを特徴とする記録装置。
【請求項4】
更に、前記記録媒体が、ワンタイム記録媒体か書換え可能記録媒体かを判別する手段を具備し、
前記制御手段は、前記書換え可能記録媒体に対して、前記記録指示手段による記録開始指示に従い、前記記録処理手段に記録動作を開始させ、前記記録指示手段による記録停止の指示に従い前記記録処理手段による前記記録動作を一時停止させることを特徴とする請求項3に記載の記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−23977(P2011−23977A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−167188(P2009−167188)
【出願日】平成21年7月15日(2009.7.15)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】