説明

記録装置

【課題】印刷結果の確認が容易に行え、印刷濃度の補正が簡単にできる記録装置を提供すること。
【解決手段】記録装置は、印刷媒体1である連続紙2と単票紙3の画像形成が可能な画像形成部4と、連続紙2を供給する連続紙供給部5と、画像形成後に連続紙2をロール状に巻き取る連続紙巻取部6と、を有し、画像形成部4において連続紙2の搬送路12と単票紙3の搬送路13は、単票紙3が連続紙2の上に重なって搬送されるように重複して位置している。連続紙を通紙状態のままで、単票紙を搬送し画像を印刷できるので、印刷結果の確認が容易に行え、印刷濃度の補正が簡単にできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録装置に関し、特に単票紙および連続紙を両方搬送可能な記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、以下の印刷装置が開示されている。ロール状に巻かれたカラー感熱記録紙の先端部には、印画濃度の基準となるY参照パターン、M参照パターン、C参照パターンがグラデーション状に予め印画されている。カラー感熱プリンタは、各参照パターンの上方に隣接して、所定の光学濃度値のYキャリブレーションパターン、Mキャリブレーションパターン、Cキャリブレーションパターンをベタ印画してサンプルプリントを作成する。ユーザーは、サンプルプリントを観察して、各参照パターンの中から各キャリブレーションパターンの印画濃度に近似した部分を選択し、その選択部分の下方に印刷されている濃度番号を特定する。この濃度番号をカラー感熱プリンタに入力すると、各色毎の濃度補正が自動的に実施される。
【0003】
上述のように、印刷媒体としてロール状の連続紙を用いる場合には、画像形成後、いったん連続紙を再びロール状に巻き取り、ロール状の用紙を使い切ったのちに他の装置でロールを巻きほどいてカットする場合がしばしばある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−144861号公報
【特許文献2】特開2002−361989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されるように、ロール状の連続紙を印刷媒体として画像を印刷した結果を、目視などで観察することにより、印刷濃度の補正を行うことがしばしばある。
【0006】
しかし、画像を印刷した後に、連続紙が再びロール状に巻き取られてしまう構成になっている場合、印刷結果の確認をするには、いちいちロール紙を巻きほどき、切断機により単票紙状にしなければならない。
【0007】
本発明では、印刷結果の確認が容易に行え、印刷濃度の補正が簡単にできる記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の記録装置は、印刷ヘッドを有し印刷媒体である連続紙と単票紙の画像形成が可能な画像形成部と、連続紙を供給する連続紙供給部と、画像形成後に連続紙をロール状に巻き取る連続紙巻取部と、を有する記録装置において、前記画像形成部において、前記連続紙の搬送路と前記単票紙の搬送路が、前記単票紙が前記連続紙の上に重なって搬送されるように重複して位置している、ことを特徴とするものである。
【0009】
本発明によれば、連続紙を通紙状態のままで、単票紙を搬送し画像を印刷できるので、印刷結果の確認が容易に行え、印刷濃度の補正が簡単にできる。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、印刷結果の確認が容易に行え、印刷濃度の補正が簡単にできる記録装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】記録装置の内部構成を示す側面の概略図である。
【図2】印刷ヘッドの内部構成を示す上面の概略図である。
【図3】単票紙の画像形成時の基本動作フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態の記録装置は、ロール状に巻かれた連続紙を使用するインクジェット方式のプリンタである。図1は記録装置の内部構成を示す側面の概略図である。記録装置内部には、大きくは、画像形成部4、連続紙供給部5、連続紙巻取部6、連続紙画像計測部9、単票紙供給部7、単票紙ストック部8、単票紙画像計測部10の各ユニットを備える。
【0013】
まず、画像形成部4について説明する。画像形成部4は、搬送されてくる連続紙2または単票紙3である印刷媒体1に対して印刷ヘッド20により印刷媒体1の上に画像を形成するユニットである。印刷ヘッド20は、使用が想定される印刷媒体1の最大幅をカバーする範囲でインクジェット方式のノズル列が形成されたライン型プリントヘッドを有する。印刷ヘッド20は、複数のプリントヘッドが搬送方向に沿って隣接して並べられている。本例ではC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、LC(ライトシアン)、LM(ライトマゼンタ)、G(グレー)、K(ブラック)の7色に対応した7つのプリントヘッドを有する。なお、色数及びプリントヘッドの数は7つには限定はされない。インクジェット方式は、発熱素子を用いた方式、ピエゾ素子を用いた方式、静電素子を用いた方式、MEMS(Micro Electro Mechanical System)素子を用いた方式等を採用することができる。各色のインクは、不図示のインクタンクからそれぞれ不図示のインクチューブを介して印刷ヘッド20に供給される。
【0014】
印刷ヘッド20と対向する形で、プラテン23が設けられている。さらには、印刷ヘッド20の上流側には、印刷上流ローラ25、下流側には、印刷下流ローラ26が設けられている。プラテン23は、上下動可能に構成されており、プラテンバネ24により印刷ヘッド20の方向に力を受けている。よって、印刷媒体1はプラテン23と印刷上流ローラ25、印刷下流ローラ26により挟まれ搬送される。印刷媒体1の厚さによらず、印刷面は印刷ヘッド20との距離が常に一定で、印刷媒体1が厚いときは、プラテン23が下方に逃げる構成となっている。
【0015】
次に、印刷媒体1のうち連続紙2の搬送路12について説明する。連続紙供給部5は、ロール状に巻かれた連続紙2を収納して供給するユニットである。連続紙供給部5に収納されたロール状に巻かれた連続紙2は、供給ローラ30に軸支され外周より巻出され供給されていく(記号B)。そして、連続紙2を搬送する複数の搬送ローラ31,32により搬送され(記号C、D)、前述したプラテン23と印刷上流ローラ25とに挟まれ搬送され、さらに画像形成部4を搬送されながら(記号A)、画像形成がなされる。連続紙巻取部6は、連続紙2を再びロール状に巻取るユニットである。連続紙2は画像形成後、連続紙2を搬送する複数の搬送ローラ33,34により搬送され(記号E、F)、連続紙巻取部6の巻取ローラ35に再びロール状に巻取られる(記号G)。
【0016】
画像形成部4と連続紙巻取部6の間には、連続紙画像計測部9が設けられている。連続紙画像計測部9は、光学エリアセンサ50により、画像形成部4で連続紙2に形成された画像を光学的に読み取って、印刷ヘッド20のノズルの状態、連続紙2の搬送状態、画像が形成された位置等を検査するユニットである。この連続紙画像計測部9は、単票紙3よりも高速に搬送される連続紙2を、搬送しながら(記号F)高速に読み取ることが可能である。
【0017】
次に、印刷媒体1のうち単票紙3の搬送路13について説明する。単票紙供給部7は、積載された単票紙3を収納して、1枚ずつ分離して供給するユニットである。単票紙供給部7に収納された単票紙3は、圧板バネ42から力を受ける圧板41に積載され、上部よりピックアップローラ40により、1枚ずつ分離され供給されていく(記号H)。そして、単票紙3を搬送する搬送ローラ43、44に挟まれ搬送され(記号I)、前述したプラテン23と印刷上流ローラ25とに挟まれ搬送され、画像形成部4を搬送されながら(記号A)画像形成がなされる。単票紙ストック部8は、単票紙3を積載しストックするユニットである。単票紙3は画像形成後、単票紙3を搬送する搬送ローラ45、46に挟まれ搬送され(記号J)、単票紙ストック部8の積載トレー21に積載されストックされていく。
【0018】
画像形成部4と単票紙ストック部8の間には、単票紙画像計測部10が設けられている。単票紙画像計測部10は、光学エリアセンサ60により画像形成部4で単票紙3に画像形成された画像を光学的に読み取って、印刷ヘッド20のノズルの状態、単票紙3の搬送状態、画像形成された位置等を検査するユニットである。この単票紙画像計測部10は、搬送されている単票紙3を、連続紙画像計測部9よりも高解像度で読み取ることが可能である(記号J)。
【0019】
画像形成部4では、単票紙3の搬送路13は、連続紙2の搬送路12と重複して位置している。単票紙3は連続紙2の上に重なった状態で搬送される。画像形成部4においては、前述したように、重なった単票紙3と連続紙2は、プラテン23と印刷上流ローラ25、印刷下流ローラ26により挟まれ搬送される(記号A)。この時、単票紙3の印刷面は、印刷ヘッド20との距離が常に一定で、単票紙3と連続紙2が重なったことにより厚みが増した分だけ、プラテン23が下方に逃げる構成となっている。単票紙3の搬送路13は、直線であり、厚い媒体の単票紙3を搬送可能である。
【0020】
図2は印刷ヘッド20の内部構成を示す上面の概略図である。連続紙2の搬送路12に対して、単票紙3の搬送路13の方が、幅広く構成されている。また、単票紙3の搬送路13の幅W1は印刷ヘッド20のノズル幅W2よりも広く、印刷ヘッド20のノズル幅W2は連続紙2の搬送路12の幅W3よりも広く構成されている。前述のように、単票紙3の搬送の際は、連続紙2と重なった状態で搬送されるが(矢印Y)、連続紙2よりも、幅の広い単票紙3が搬送可能である。よって、連続紙2に縁なし印刷を行ったときの印刷幅、及び、印刷ヘッド20の全幅で印刷したときの印刷幅を、単票紙3の紙面上に画像形成可能である。
【0021】
次に、単票紙3の画像形成時の基本動作について説明する。図3は、単票紙の画像形成時の基本動作フローチャートである。まず、ステップS1において、連続紙供給部5、連続紙巻取部6ともに駆動を開始して、連続紙2は巻出され、供給、搬送され、巻取られる。この時、連続紙2の搬送スピードは、ステップS2以降の単票紙3の搬送スピードと同じスピードで、常に同期して駆動される。ステップS2において、単票紙供給部7に収納された単票紙3は、上部よりピックアップローラ40により、1枚ずつ分離され供給されていく。ステップS3において、連続紙2の搬送長さLが不図示の搬送制御部に格納されていく。ステップS4において、単票紙3が搬送ローラ43、44に挟まれ搬送される。ステップS5において、単票紙3が連続紙2と重なる地点に来ると、単票紙3は連続紙2の上に重なった状態で搬送される。ステップS6において、画像形成部4において、プラテン23と印刷上流ローラ25とに挟まれ搬送されながら、画像形成がなされる。ステップS7において、単票紙3が連続紙2と分離される地点に来ると、単票紙3は単票紙ストック部8へ、連続紙2は連続紙巻取部6へと搬送される。ステップS8において、単票紙3は、単票紙画像計測部10で読取られる。ステップS9において、単票紙3は、単票紙ストック部8の積載トレー21に積載ストックされる。ステップS10において、連続して単票紙3が搬送されるときは、ステップS2に戻る。終了する時は、ステップS11に進む。ステップS11において、単票紙3の搬送が終了し、連続紙2の搬送も中断する。ステップS12において、ステップS4で搬送制御部に格納された連続紙2の搬送長さLを取り出す。ステップS13において、連続紙供給部5、連続紙巻取部6ともに逆回転の駆動を開始する。連続紙2の搬送長さL分、ステップS1で搬送された方向とは逆の方向に連続紙2が連続紙巻取部6から巻出され、供給、搬送されて、連続紙供給部5で巻取られる。ステップS14において、すべての動作を終了する。
【0022】
ここで、画像計測部について説明する。画像計測部の光学エリアセンサは、高速および高解像度に読み取ることが可能であることが望ましいが、かなりの高額となってしまう。よって、連続紙画像計測部9は高速に読み取ることが可能な光学エリアセンサ50を、単票紙画像計測部10は高解像度に読み取ることが可能な光学エリアセンサ60を、設置している。これにより、通常の画像形成を行う連続紙2の場合、画像計測部においては連続紙2を高速搬送しながら読取り、画像形成の検査を行う。また、記録装置の調整用のための画像形成を行う単票紙3の場合は、画像計測部においては単票紙3の搬送スピードを遅くしながら高解像度に読取り、記録装置の調整を行うデータを読み込んでいくことができる。それぞれの、機能に特化した光学エリアセンサを用いることにより、コストを下げることができる。
【0023】
記録装置の濃度補正を行う方法として以下のものがある。ロール状に巻かれた連続紙に、印画濃度の基準となる参照パターンがグラデーション状に予め印画されていて、記録装置は、参照パターンの上方に隣接して、所定の光学濃度値のキャリブレーションパターンをベタ印画する。こうしてできた参照パターンとキャリブレーションパターンを比較観察することにより、参照パターンの中からキャリブレーションパターンの印画濃度に一番近い部分を選択し、その情報を記録装置に入力することにより濃度補正が行われる。本実施形態では、連続紙を通紙状態のままで、単票紙を搬送できるので、参照パターンとキャリブレーションパターンとを、比較観察する場合、操作が極めて簡単である。
【0024】
また、連続紙を記録装置の搬送路上から取除く必要もなく、連続紙の途中での切断や一度巻取ってしまうなどの操作も発生しない。連続紙の通紙前、及び連続紙を全て通紙後に、搬送路から連続紙が退避している時以外でも、操作を行うことも可能である。
【0025】
さらには、ヘッド紙間が連続紙と単票紙とも一定であるので、連続紙と単票紙とで印刷結果に差がない。
【0026】
連続紙2の搬送路12に対して、単票紙3の搬送路13の方が広く構成され、単票紙3は連続紙2より幅広の搬送が可能であり、単票紙3の搬送路13の幅は、印刷ヘッドのノズル幅より広い。そのため、連続紙の縁なし画像形成時のはみ出し印刷部や印刷ヘッドの全ノズルを吐出させたときの印刷部を、一度に画像形成可能であり、短時間で操作が行える。
【0027】
単票紙3の搬送路13は、直線状であり、厚い媒体の単票紙3も搬送可能である。
【符号の説明】
【0028】
1 印刷媒体
2 連続紙
3 単票紙
4 画像形成部
5 連続紙供給部
6 連続紙巻取部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷ヘッドを有し印刷媒体である連続紙と単票紙の画像形成が可能な画像形成部と、連続紙を供給する連続紙供給部と、画像形成後に連続紙をロール状に巻き取る連続紙巻取部と、を有する記録装置において、
前記画像形成部において、前記連続紙の搬送路と前記単票紙の搬送路は、前記単票紙が前記連続紙の上に重なって搬送されるように重複して位置している、ことを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記連続紙の前記搬送路上の前記画像形成部と前記連続紙巻取部の間には、前記連続紙に形成された画像を読み取る連続紙画像計測部が設けられ、前記単票紙の前記搬送路上の前記画像形成部の下流側には、前記単票紙に形成された画像を読み取る単票紙画像計測部が設けられている、請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記連続紙画像計測部は前記単票紙よりも高速に搬送される前記連続紙を読み取ることが可能であり、前記単票紙画像計測部は搬送される前記単票紙を前記連続紙画像計測部よりも高解像度で読み取ることが可能である、請求項2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記画像形成部は前記印刷ヘッドと対向するプラテンを有し、前記プラテンは、前記印刷媒体の印刷面と前記印刷ヘッドとの距離が常に一定であるように、上下動可能に構成されている、請求項1から3のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項5】
前記単票紙の前記搬送路は直線状であり、前記連続紙よりも厚い媒体の前記単票紙を搬送可能である、請求項1から4のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項6】
前記連続紙の前記搬送路よりも前記単票紙の前記搬送路の方が幅広い、請求項1から5のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項7】
前記単票紙の前記搬送路の幅は前記印刷ヘッドのノズル幅よりも広く、前記印刷ヘッドの前記ノズル幅は前記連続紙の前記搬送路の幅よりも広い、請求項6に記載の記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−14048(P2013−14048A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−147384(P2011−147384)
【出願日】平成23年7月1日(2011.7.1)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】