説明

記録電流決定方法及び磁気ディスク・ドライブ装置

【課題】垂直磁気記録の磁気ディスク・ドライブ装置において、主磁極からリーディング・シールドに向かうフラックスによるデータ消去という問題の発生を防ぐ。
【解決手段】本発明の一実施形態のHDDの製造工程は、RFPEについて磁気ヘッドのスクリーニングを行い、RFPEを起す磁気ヘッドを特定する。さらに、本形態のHDDの製造方法は、RFPEを起す磁気ヘッド(RFPEヘッド)と通常の磁気ヘッドとに、それぞれ異なる規則にしたがって、ユーザ・データ書き込みにおける記録電流値を設定する。RFPEヘッドの記録電流として適切な電流値を設定することで、RFPEヘッドにおけるRFPEの発生を防ぎ、RFPEヘッドをHDDに実装することを可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録電流決定方法及び磁気ディスク・ドライブ装置に関し、特に、トレーリング・シールドを有する垂直磁気記録用記録ヘッドの記録電流の決定に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気記録再生装置は、磁気記録媒体と磁気ヘッドを備え、磁気記録媒体上のデータは磁気ヘッドによって読み書きされる。磁気記録媒体の単位面積当たりの記録容量を大きくするためには、面記録密度を高める必要がある。しかしながら、記録されるビット長が小さくなると、媒体の磁化の熱揺らぎのために面記録密度を上げられない問題がある。一般に、熱揺らぎは、Ku・V/kT(Kuは磁気異方性定数、Vは磁化最小単位体積、kはボルツマン定数、Tは絶対温度)の値が小さい程影響が大きくなる。したがって、熱揺らぎの影響を小さくするためにはKuをもしくはVを大きくする必要がある。
【0003】
この問題を解決できるものとして、単磁極ヘッドで軟磁性の裏打層を備えた二層垂直媒体に垂直な方向に磁化信号を記録する垂直記録方式がある。この方式を用いるとより強い記録磁界を媒体に印加することができる。したがって、媒体の記録層に磁気異方性定数(Ku)の大きなものを使用することができる。また、垂直磁気記録方式の磁気記録媒体では、膜厚方向に磁性粒子を成長させることで、媒体表面の粒径は小さいままで、すなわちビット長は小さいままでVを大きくできる利点もある。
【0004】
このような垂直記録磁気ヘッドのためのいくつかの記録ヘッド構造が知られている。図9に、垂直記録磁気ヘッド14と磁気ディスク11との関係及び垂直記録の概略を示す。磁気ディスク11は平坦な非磁性基板22上に、磁気記録層19と磁気記録層19よりも下の層である軟磁性裏打ち層20を有している。従来の磁気ヘッドは、ヘッドの走行方向側(リーディング側)から、下部シールド8、再生素子7、上部シールド9、補助磁極3、薄膜コイル2、主磁極1の順に積層されている。下部シールド8、再生素子7、上部シールド9は再生ヘッド24を構成し、補助磁極3、薄膜コイル2、主磁極1は記録ヘッド(単磁極ヘッド)25を構成する。
【0005】
主磁極1はピラー17を介して補助磁極に接合される主磁極ヨーク部1Aと浮上面に露出してトラック幅を規定する主磁極ポール・ティップ1Bからなる。記録ヘッド25の主磁極1から出た磁界は磁気ディスク媒体11の磁気記録層19、軟磁性裏打ち層20を通り、補助磁極3に入る磁気回路を形成し、磁気記録層19に磁化パターンを記録する。磁気記録層19と軟磁性裏打ち層20の間には、中間層が形成されている場合もある。再生ヘッド24の再生素子7には巨大磁気抵抗効果素子(GMR)やトンネル磁気抵抗効果型素子(TMR)などが用いられる。
【0006】
記録ヘッドの磁界強度と共に、記録ビットセルの境界を記録するヘッド磁界垂直成分プロファイルにおける磁界勾配、すなわち、ヘッド走行方向のヘッド磁界垂直成分プロファイルの磁界勾配も、高い記録密度を実現するための重要な要素である。今後、更に高い記録密度を達成するためには、更に磁界勾配を増大しなければならない。記録磁界勾配を向上させるために、図9に示すように、主磁極1のトレーリング側に磁性体、いわゆるトレーリング・シールド32を配置する構造がある(例えば特許文献1を参照)。
【0007】
図9に示したヘッド構造では、再生素子7と主磁極1との間に補助磁極3と薄膜コイル2とが存在するため、記録再生間隔が大きくなりフォーマット効率が劣化するという欠点がある。そのため、図10に示すように、補助磁極3を主磁極1のトレーリング側に配置する構造も適用されている。この構造にすることにより、記録再生間隔を小さくできる。図10に示すように、閉磁路を形成する補助磁極3を主磁極1のトレーリング側に配置する場合にも、トレーリング・シールド32を配置することが提案されている。
【特許文献1】特開2007−257711号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
トレーリング・シールド32は、主磁極1からのフラックスを吸収するため、書き込み磁界の勾配が改善され、SNの改善につながりうる。しかし、トレーリング・シールド32は、RFPE(Return Filed-induced Partial Erasure)を起こす可能性がある。RFPEは、主磁極1からトレーリング・シールド32へのフラックスが、記録面上のデータを部分的に消去する現象である。具体的には、図11に示すように、主磁極1からのフラックスが、軟磁性裏打ち層20を通って、トレーリング・シールド32に戻るパスが形成される。この戻りフラックスにより、磁気記録層19に既に書き込まれているデータが部分的に消去されるという問題が起きうる。従って、磁気記録再生装置において、このRFPEの問題を解決するための手法が要求される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、トレーリング・シールドを有する垂直磁気記録ヘッドについて、ユーザ・データの書き込みにおける記録電流値を決定する方法である。この方法は、前記記録ヘッドにより、磁気ディスクへの磁界強度を変化させながら前記磁気ディスクへデータを書き込む。前記書き込んだデータを読み出し、前記記録ヘッドの所定パラメータについて飽和特性を測定する。前記飽和特性の測定結果に基づいて、前記記録ヘッドの主磁極から前記トレーリング・シールドへのフラックス・パスによるデータ消去が発生しているかを判定する。前記データ消去が発生していない場合、第1の規則に従って前記ユーザ・データの書き込みにおける記録電流値を決定する。前記データ消去が発生している場合、前記第1の規則と異なる第2の規則に従って前記ユーザ・データの書き込みにおける記録電流値を決定する。通常ヘッドとデータ消去を起こすヘッドとに対して、それぞれ異なる規則で記録電流値を決定することで、磁気ディスク・ドライブ装置製造の歩留まりを向上する、あるいは、主磁極からリーディング・シールドに向かうフラックスによるデータ消去を防ぐことができる。
【0010】
前記垂直磁気記録ヘッドと前記磁気ディスクとの間のクリアランスを変化させることによって、前記磁気ディスクへの磁界強度を変化させることができる。好ましくは、前記垂直磁気記録ヘッドの記録電流値を変化させることによって、前記磁気ディスクへの磁界強度を変化させ、前記パラメータとしてのエラー・レートの飽和特性を測定する。これによって、効率的な測定により正確な判定を行うことができる。
【0011】
好ましくは、前記パラメータが前記磁界強度の増加に応じて良化した後に悪化し、前記良化した後の悪化の度合いが第1基準を越える場合にデータ消去が発生していると判定する。これにより、正確にデータ消去の有無を判定することができる。さらに、前記悪化の度合いが第1基準よりも大きい第2の基準を越える場合、前記記録ヘッドをフェイル・ヘッドと判定することが好ましい。これにより、データ消去の発生をより確実に防止することができる。
【0012】
好ましくは、前記垂直磁気記録ヘッドの記録電流値を変化させることによって、前記磁気ディスクへの磁界強度を変化させ、悪化後の予め定められた記録電流値におけるパラメータの値と、悪化前の予め定められた記録電流値におけるパラメータの値との比に基づいて前記データ消去の有無を判定する。これによって、効率的な測定により正確な判定を行うことができる。
【0013】
前記垂直磁気記録ヘッドの記録電流値を変化させることによって、前記磁気ディスクへの磁界強度を変化させ、前記第2の規則に従って、前記パラメータが最良を示す電流値以下の電流値を、前記ユーザ・データの書き込みにおける記録電流値と決定することが好ましい。これにより、必要な書き込み強度を実現すると共に、隣接トラックへの影響を小さくすることができる。
【0014】
本発明の他の態様は、磁気ディスク・ドライブ装置である。この磁気ディスク・ドライブ装置は、磁気ディスクと、トレーリング・シールドと主磁極とを有し前記磁気ディスクへの磁界強度を変化させながらデータを書き込む垂直磁気記録ヘッドと、前記書き込んだデータを読み出す再生ヘッドと、コントローラとを有する。このコントローラは、前記再生ヘッドが読み出したデータを使用して前記垂直磁気記録ヘッドの所定パラメータについて飽和特性を測定し、その測定結果に基づいて前記主磁極から前記トレーリング・シールドへのフラックスによるデータ消去が発生しているかを判定し、前記データ消去が発生していない場合に第1の規則に従ってユーザ・データの書き込みにおける記録電流値を決定し、前記データ消去が発生している場合に前記第1の規則と異なる第2の規則に従って前記ユーザ・データの書き込みにおける記録電流値を決定する。通常ヘッドとデータ消去を起こすヘッドとに対して、それぞれ異なる規則で記録電流値を決定することで、磁気ディスク・ドライブ装置製造の歩留まりを向上する、あるいは、主磁極からリーディング・シールドに向かうフラックスによるデータ消去を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、垂直磁気記録の磁気ディスク・ドライブ装置において、主磁極からリーディング・シールドに向かうフラックスによるデータ消去という問題の発生を防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下では、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図面において、同一要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略する。なお、以下に説明する実施の形態は、磁気ディスク・ドライブ装置の一例であるハードディスク・ドライブ(HDD)に対して本発明を適用したものである。
【0017】
本形態の磁気ヘッドは垂直磁気記録磁気ヘッドであり、従来の技術において図9、10を参照して説明したヘッド構造と同様の構造を有している。磁気ヘッドは再生ヘッドと記録ヘッドとを有している。本形態の記録ヘッドは垂直磁気記録ヘッドであり、単磁極である主磁極と、トレーリング・シールドとを有している。トレーリング・シールドは、ヘッド走行方向におけるヘッド磁界垂直成分プロファイルの磁界勾配を増大することができる。一方、図11を参照して説明したように、トレーリング・シールドを有する垂直磁気記録用記録ヘッドは、主磁極からトレーリング・シールドへと戻るフラックスによってRFPE(Return Filed-induced Partial Erasure)を起しうる。
【0018】
本形態のHDDの製造工程は、RFPEについて磁気ヘッドのスクリーニングを行い、RFPEを起す磁気ヘッドを特定する。さらに、本形態のHDDの製造方法は、RFPEを起す磁気ヘッド(RFPEヘッド)と通常の磁気ヘッドとに、それぞれ異なる規則にしたがって、ユーザ・データ書き込みにおける記録電流値を設定する。RFPEヘッドの記録電流として適切な電流値を設定することで、RFPEヘッドにおけるRFPEの発生を防ぎ、RFPEヘッドをHDDに実装することを可能とする。
【0019】
本形態のRFPEのスクリーニング方法及び記録電流設定方法の全体的流れについて、図1のフローチャートを参照して説明する。スクリーニングによるRFPEヘッドの特定及び記録電流値の設定は、ヘッド・ジンバル・アセンブリ(HGA)の製造、あるいは、HDDの製造における試験工程において使用される他、HDDが内部動作としてそれを行ってもよい。以下においては、HDDに接続された試験装置が上記スクリーニング及び記録電流値の設定を行う例を説明する。
【0020】
図1に示すように、試験装置は、HDD内の磁気ヘッドによって、異なる書き込み強度において、磁気ディスク上にデータを書き込む。(S11)。書き込み強度は、磁気ディスクに入る記録磁界強度により決まる。磁気ディスクに入る記録磁界強度が強ければ、書き込み強度も強い。磁気ディスクへの磁界強度を変化させる二つの方法があり、一つは記録電流値を変化させる方法であり、もう一つは記録ヘッドと磁気ディスクとの間のクリアランスを変化させる方法である。
【0021】
クリアランスを変化させる機構としては、ピエゾ素子を利用するマイクロアクチュエータや、磁気ヘッドの内部ヒータにより記録ヘッドを膨張、突出させてクリアランスを調整する機構などがある。RFPEヘッドのスクリーニングのためには、クリアランスの調整と記録電流の調整のいずれも好適であるが、記録電流の設定のためには、記録電流を変化させることで磁気ヘッド(記録ヘッド)の特性を測定することが効率的である。
【0022】
試験装置は、磁気ヘッドが異なる書き込み強度で書き込んだデータを、その磁気ヘッドによって読み出し、磁気ヘッドの所定パラメータを測定する(S12)。RFPEヘッドの特定のために使用できるパラメータは、エラー・レート、読み出し信号強度、読み出し信号のSN、レゾリューションなどがあり、その中で、エラー・レートが特に好適である。エラー・レートを使用した具体的な例については後に説明する。
【0023】
試験装置は、測定したパラメータについて、その飽和特性を特定する(S13)。さらに、その特定した飽和特性から、磁気ヘッドにおけるRFPEの発生の有無を判定する(S14)。判定方法については、後に説明する。RFPEが起きておらず、測定している磁気ヘッドが正常である場合(S14におけるN)、試験装置は正常な磁気ヘッドに対して予め決められている規則に従って、その磁気ヘッドのユーザ・データ書き込みにおける記録電流値を決定し、その値をHDDに設定する(S15)。
【0024】
RFPEが起きていると判定した場合(S14におけるY)、試験装置は、そのRFPEの程度を判定する(S16)。基準をこえる強いRFPEが起きている場合(S16におけるS)、試験装置はその磁気ヘッドがフェイルであると判定する(S17)。フェイルと判定された磁気ヘッドは使用されず、HDDはリワークにまわされる。基準内のRFPEが起きている場合(S16におけるW)、試験装置は、RFPEヘッドに対して予め決められている規則に従ってその磁気ヘッドのユーザ・データ書き込みにおける記録電流値を決定し、その値をHDDに設定する(S18)。
【0025】
記録電流決定の規則は、通常ヘッドとRFPEを起すRFPEヘッドとの間において異なっている。このように、RFPEヘッドと通常ヘッドのそれぞれに適切な規則を適用して記録電流を決定することで、各記録ヘッドの書き込み特性を適切なものとすることができる。さらに、RFPEを起している記録ヘッドを有する磁気ヘッドであっても、HDDに実装可能とすることで、HGA及びHDD製造の歩留まりを向上することができる。
【0026】
上述のように、RFPEのスクリーニングにおいては、記録電流を変化させることによって磁気ディスクへの磁界強度を変化させることが好ましい。また、RFPEの判定に使用するパラメータはエラー・レートが好ましい。エラー・レートの飽和特性の測定の方法を、図2のフローチャートを参照して説明する。このフローチャートは、図1におけるステップS11〜S13までの処理に対応する。
【0027】
試験装置は、磁気ヘッドの記録ヘッドを使用して、磁気ディスクにデータを書き込む(S111)。次に、試験装置は、同一の磁気ヘッドの再生ヘッドを使用して書き込んだデータを読み出し(S112)、エラー・レートを測定する(S113)。試験装置は異なる複数の記録電流においてエラー・レートの測定を行う。未測定の記録電流値が残っている場合(S114におけるN)、試験装置は、記録電流の値を増加させて(S115)、ステップS111〜S113を繰り返す。予め設定されている全ての記録電流値においてエラー・レートの測定を終了すると(S114におけるY)、エラー・レート測定処理が終了する。なお、異なる記録電流におけるデータの全てを書き込んだ後に、それらを読み出してもよい。また、異なる記録電流値の書き込み順序は、特に限定されない。
【0028】
図3(a)は、RFPEを起す磁気ヘッドのエラー・レートの飽和特性と、通常の磁気ヘッドのエラー・レートの飽和特性の、それぞれの典型的な例を模式的に示している。図3(a)において、X軸は記録電流値であり、Y軸はエラー・レートである。エラー・レートは10のべき乗で表され、Y軸はそのべき乗の値を示している。例えば、エラー・レートが10−5であれば、Y軸の値は−5である。エラー・レートの最小値は0である。
【0029】
図3(a)に示すように、通常の磁気ヘッドにおいて、エラー・レートは記録電流の増加に従って改善し(小さくなり)、略一定の値に飽和する。これに対して、RFPEヘッドは、異常な飽和特性を示す。具体的には、RFPEを起す磁気ヘッドにおいて、エラー・レートは記録電流の増加に従って改善し、特定の記録電流において最良のエラー・レートを示した後、再び悪化する(増加する)。RFPEヘッドにおけるエラー・レートのこのような変化は、記録電流の増加によって主磁極による書き込み強度が増す一方で、RFPEの強度も増加することに起因すると考えられる。
【0030】
このような変化は、エラー・レート以外のパラメータにおいても同様である。信号強度は悪化すると、信号強度の値が減少する。SNが悪化すると、ノイズ成分の強度が相対的に強くなり、信号強度はノイズに対して相対的に小さくなる。これらのパラメータも、記録電流の増加と主に良化し、特定の記録電流値から、記録電流の増加と共に悪化する。
【0031】
図3(b)に示すように、記録電流が増加すると、データ記録のための主磁極から補助磁極へのフラックスが増加してエラー・レートが減少する一方で、主磁極からトレーリング・シールドへのフラックスも増加して、特定の記録電流からRFPEがはっきりと現れるようになる。このRFPEのために、記録電流の増加と共にエラー・レートが悪化する。実際のエラー・レートは、これら二つのフラックスにより、記録電流の増加に従って、減少から増加の変化を示すと考えられる。
【0032】
このように、通常ヘッドとRFPEヘッドとの間においては、エラー・レート飽和特性の違いが存在する。従って、試験装置は磁気ヘッドのエラー・レート飽和特性から、RFPE発生の有無を特定することができる。以下において、図4のフローチャートを参照して、記録電流に対するエラー・レートの飽和特性からRFPEの判定を行う処理について説明する。これは、図1のフローチャートにおける、ステップS13〜18に対応する。
【0033】
試験装置は、複数の異なる記録電流におけるエラー・レートの測定値から、記録電流に対するエラー・レートの飽和特性を特定する(S131)。さらに、試験装置は、飽和特性が異常を示しているかを判定する。飽和特性の異常判定において、試験装置は、その異常の度合いに応じて異なる処理を行う。異常の度合いの判定は、良化した後のエラー・レートの悪化の度合いを基準とすることができる。飽和特性の異常の度合い(エラー・レートの悪化の度合)が第1の基準内にある場合(S132におけるN)、試験装置は、その磁気ヘッドはRFPEを起しておらず、通常の磁気ヘッドであると判定する。従って、その磁気ヘッドについては、通常ヘッドの規則に従ってユーザ・データ書き込みにおける記録電流値を決定し、その値をHDDに設定する(S133)。
【0034】
飽和特性の異常の度合いが第1の基準を越える場合、試験装置は、その磁気ヘッドにおいてRFPEが起きていると判定する。さらに、飽和特性の異常の度合いが、第1基準よりも大きな第2基準を越えている場合(S134におけるY)、試験装置は、その磁気ヘッドをフェイル・ヘッドと判定する(S135)。あまりにRFPEが強い磁気ヘッドをHDD内で使用することは、信頼性を損ねるからである。飽和特性の異常の度合いが第1基準を越えるが、第2基準内にある場合(S134におけるN)、試験装置は、RFPEヘッドの規則に従って、ユーザ・データ書き込みにおける記録電流値を決定し、その値をHDDに設定する(S136)。
【0035】
図5(a)は、エラー・レート飽和特性の異常度を判定する方法を説明する図である。図5(a)のグラフにおいて、X軸は、エラー・レート測定において最小値である最良エラー・レートの値を示している。Y軸は、エラー・レート測定において、最大電流値におけるエラー・レートを示している。図5(b)のエラー・レートの測定結果から理解されるように、通常ヘッドの最良エラー・レートの値は、最大記録電流値におけるエラー・レートを略一致する。そのため、図5(a)のグラフにおいて、通常ヘッドのラインは、原点を通り傾き1の一次関数となる。
【0036】
一方、RFPEヘッドにおいて、最大記録電流値におけるエラー・レートは、最小エラー・レートよりも大きくなる。図5(b)に示すように、RFPEヘッドのエラー・レートは、最小値を示した後、記録電流の増加と共に悪化(増加)するからである。試験装置は、そのエラー・レートが図5(a)における大きな三角で画定された領域に入る磁気ヘッドを、RFPEヘッドであると判定する。実際の磁気ヘッドにおいて、最大記録電流値が大きな三角よりも上の値を示す磁気ヘッドは存在しないとする。また、最良エラー・レートが、大きな三角よりも小さいもしくは大きい磁気ヘッドも存在しないとする。RFPEのスクリーニングを行う前に磁気ヘッドは検査工程を経ているため、上記条件は満足される。
【0037】
図5(a)において、RFPEヘッドを示す三角と通常ヘッドを示す一関数線との間には、ギャップが存在している。これはマージンに相当する。一部の通常ヘッドにおいて、最大記録電流におけるエラー・レートが最小エラー・レートよりも大きくなる。しかし、その差異が小さい場合は製造較差の範囲であるため、試験装置はそのような磁気ヘッドを正常な磁気ヘッドであると判定する。RFPEを示す三角は、傾きが異なる二つの一次関数線と、それらの線を特定の最良エラー・レート値で結ぶ、Xが一定の線とで構成されている。傾きが小さい一次関数線が、傾きが大きい一次関数線よりも上にある。最大記録電流におけるエラー・レートが大きいということは、それだけ飽和特性の異常度が大きいことを意味する。そこで、本形態の試験装置は、図5(a)において斜線でハッチングされた三角の領域内にエラー・レートがある場合、その磁気ヘッドをフェイル・ヘッドと判定する。
【0038】
フェイルを示す三角は、RFPEを示す三角内の上側一部であり、フェイルを示す三角の下側の一次関数線の傾きは、RFPEを示す三角の二つの一次関数線の傾きの間にある。最大記録電流値におけるエラー・レートと最良エラー・レートとの比が基準を越えるエラー・レート(磁気ヘッド)が、フェイルを示す三角の中に含まれている。試験装置は、RFPEを示す三角からフェイルを示す三角を除いた領域に含まれている磁気ヘッドについて、ユーザ・データ書き込みにおける記録電流値Iwを決定する。このとき試験装置が従う決定規則は、通常の磁気ヘッドと異なるRFPEヘッド用の決定規則である。
【0039】
好ましい例において、試験装置は、最大記録電流値におけるエラー・レートが、最良エラー・レートの所定の二次関数で表される値よりも大きい場合に、磁気ヘッドがRFPEヘッドであると判定する。さらに、最大記録電流値におけるエラー・レートが最良エラー・レートの所定の一次関数で表される値よりも大きい場合に、試験装置は、その磁気ヘッドをフェイル・ヘッドと判定する。RFPEの判定に最良エラー・レートに対する二次式を用いることで、最良エラー・レートがよいほど測定にばらつきが出る傾向がある磁気ヘッドにおいて、より正確な判定を行うことができる。
【0040】
エラー・レート飽和特性の異常度を判定は、上述のように、最良エラー・レートと最大電流値におけるエラー・レートを使用することが好ましいが、エラー・レートが悪化した後及びその前における、他の予め定められた記録電流値及びそのエラー・レート値を使用することもできる。
【0041】
図6を参照して、記録電流の決定方法の好ましい例を説明する。記録電流は、エラー・レートが所定の基準内にある範囲で、できるだけ小さい値であることが好ましい。エラー・レートは設計値が満たされていれば信頼性を確保することができる。記録電流が大きいと、隣接データ・トラックへの影響が大きくなるため、その観点からは記録電流は小さいことが好ましい。
【0042】
好ましい例において、試験装置は、通常ヘッドの記録電流決定のため、記録電流とエラー・レートの測定値を四次関数でフィッティングする。さらに、その四次関数の二次微分を計算して、その最大値(頂点)を算出する。試験装置は、四次関数の二次微分の値が最大値を示す記録電流値を特定し、それに予め設定された所定のオフセット値を加えた値を記録電流値Iwnとする。二次微分の頂点の記録電流値を使用すると、記録電流に対してセンシティビティが高い領域で磁気ヘッドを使用することになる。このため、磁気ディスクの磁気記録層のばらつきに対して十分なマージンを持つことができないことがある。そこで、二次微分の頂点の記録電流値に対して所定のオフセット値を加えることで、磁気ディスクの磁気記録層のばらつきに対する十分なマージンを確保する。
【0043】
FRPEを起こす磁気ヘッドに対して、試験装置は通常ヘッドと異なる規則を適用して記録電流を決定する。通常磁気ヘッドの場合と同様に、試験装置は、記録電流とエラー・レートの測定値を四次関数でフィッティングする。さらに、その四次関数の二次微分を計算して、その最大値を示す点を特定する。試験装置は、この二次微分の頂点における記録電流値を、FRPEヘッドの記録電流値Iwrと決定する。FRPEヘッドの記録電流値Iwrは、図6においてエラー・レートが最も小さい(最良)の記録電流値より少し小さい値となる。
【0044】
FRPEヘッドは通常ヘッドと異なるエラー・レート特性を示すため、同様の手法によっては適切な記録電流を決定することはできない。FRPEヘッドエラー・レートは記録電流の増加と共に減少と増加を示すことから、上述のような解析手法を用いることによって、適切な記録電流値を決定することができる。つまり、必要なエラー・レートを実現すると共に、隣接データ・トラックへの影響を十分に小さくすることができる記録電流値を設定することができる。
【0045】
上記記録電流の決定方法は、温度が一定であることを条件としている。しかし、図7(a)に示すように、RFPEは温度に依存する。温度が高くなると、より小さい磁界によって磁気ディスクの記録層が変化する。そのため、RFPEを示す磁気ヘッドの記録電流とエラー・レートとの関係を示すグラフは、温度上昇に応じて低記録電流側にシフトする変化を示す。
【0046】
磁気ヘッドの記録電流の設定においては、RFPEの温度依存を考慮することが好ましい。好ましい例において、試験装置は、異なる複数の温度において、エラー・レートの測定を行う。異なる環境温度においてRFPEを起こす記録電流値を特定することで、図7(b)に示すように、HDDの設計保証温度域内において、RFPEを起こさない記録電流値を設定することができる。図7(b)において、点線はRFPEを起こす記録電流であり、白丸が測定値である。
【0047】
具体的には、試験装置は、異なる複数の温度において、記録電流値を決定する。この決定の方法は、上記記録電流決定方法と同様である。試験装置は、例えば、各温度における設定記録電流値を結ぶ一次関数を特定し、HDDに設定する。HDDは、設定された関数に従って記録電流値を特定する。HDDの製造において複数温度におけるエラー・レートの測定が難しい場合、試験装置は一つの温度においてのみエラー・レートの測定を行い、記録電流値を決定する。他の温度における記録電流値のため、予め実験により定めてある関数をHDDに設定する。このようにすることで、HDDの製造において付加的な試験装置を不要とし、また、試験時間を短縮することで製造効率を上げることができる。
【0048】
上記RFPEのスクリーニング及び記録電流の設定は、ヘッド・ジンバル・アセンブリあるいはHDDの製造工程において行われる。HDDの製造工程は、まず、ヘッド・スライダを製造し、そのヘッド・スライダをサスペンションに実装する。製造したHGAに対して、DET(Dynamic Electrical Test)を行う。このテストは、HGAを試験装置に実装し、回転する磁気ディスク上で、実際のデータ・ライト及びデータ・リードを行う。好ましくは、このDETにおいて、本形態のRFPEのスクリーニングを行う。
【0049】
次に、DETをパスしたHGAをキャリッジに実装して、ヘッド・スタック・アセンブリ(HSA)を製造する。製造されたHSAは、筐体内に実装される。筐体内には、さらに、スピンドル・モータや磁気ディスクが実装される。筐体内に必要な部品を有するアセンブリは、ヘッド・ディスク・アセンブリ(HDA)と呼ばれる。HDAはサーボ・ライト工程を経て、制御回路基板が実装される。HDAと制御回路基板とからなるHDDは、動作試験の対象となる。この動作試験は、欠陥検出テストの他、上記RFPEのスクリーング及び記録電流の設定工程を含む。
【0050】
RFPEヘッドの特定及びその記録電流の設定を、試験装置に代わって、HDDが行うことができる。製造工程においてHDDのコントローラが上記処理を行う、あるいは、製品としてのHDDが、電源ON時やアイドリング時にこれらの処理を行うことができる。図8のブロック図に示すように、HDD100は、エンクロージャ110の外側に固定された回路基板120を備えている。回路基板120上には、リード・ライト・チャネル(RWチャネル)121、モータ・ドライバ・ユニット122、ハードディスク・コントローラ(HDC)とMPUの集積回路(HDC/MPU)123及びRAM124などの回路を有する。エンクロージャ110内において、スピンドル・モータ(SPM)114は磁気ディスク111を回転する。各ヘッド・スライダ112は、磁気ディスク111上を浮上するスライダと、スライダに固定された磁気ヘッドとを備えている。
【0051】
アーム電子回路(AE)113は、HDC/MPU123からの制御データに従って複数のヘッド・スライダ112の中から磁気ディスク111にアクセス(リードもしくはライト)するヘッド・スライダ112を選択し、リード/ライト信号の増幅を行う。ヘッド・スライダ112はアクチュエータ116の先端部に固定されている。アクチュエータ16は回動して、ヘッド・スライダ12を回転する磁気ディスク111上において半径方向に移動する。アクチュエータ116とボイス・コイル・モータ(VCM)のアセンブリは、ヘッドの移動機構である。モータ・ドライバ・ユニット122は、HDC/MPU123からの制御データに従ってSPM114及びVCM115を駆動する。
【0052】
RWチャネル121は、リード処理において、AE113から取得したリード信号からサーボ・データ及びユーザ・データを抽出し、デコード処理を行い、HDC/MPU123に供給する。また、ライト処理において、HDC/MPU123から供給されたライト・データをコード変調し、それをライト信号に変換してAE113に供給する。HDCはロジック回路であり、MPUはRAM24にロードされたマイクロコードに従って動作する。HDC/MPU123はコントローラの一例であり、ヘッド・ポジショニング制御、インターフェース制御、欠陥管理などのデータ処理に関する必要な処理の他、HDD100の全体制御を実行する。
【0053】
HDC/MPU123は、各要素を制御して、RFPEのスクリーニング及び記録電流の設定を行う。HDC/MPU123は、AE13のレジスタに制御データを設定することで、記録電流を制御する。また、HDC/MPU123は、エラー訂正回路を有しており、その回路がエラー・レートを測定する。HDD100は内部に温度検出器(不図示)を有しており、HDC/MPU123はその検出温度から、RFPEの温度依存性を特定することができる。
【0054】
以上、本発明を好ましい実施形態を例として説明したが、本発明が上記の実施形態に限定されるものではない。当業者であれば、上記の実施形態の各要素を、本発明の範囲において容易に変更、追加、変換することが可能である。例えば、本発明をHDD以外の磁気ディスク・ドライブ装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】RFPEのスクリーニング方法及び記録電流設定方法の全体的流れを示すフローチャートである。
【図2】本形態のエラー・レートの飽和特性の測定の方法を示すフローチャートである。
【図3】RFPEを起す磁気ヘッドのエラー・レートの飽和特性と、通常の磁気ヘッドのエラー・レートの飽和特性の例を模式的に示す図である。
【図4】本形態の記録電流に対するエラー・レートの飽和特性からRFPEの判定を行う処理を示すフローチャートである。
【図5】本形態のエラー・レート飽和特性の異常度を判定する方法を説明する図である。
【図6】本形態の記録電流の決定方法を説明する図である。
【図7】RFPEの温度依存性を模式的に示す図である。
【図8】本実施形態に係るHDDの全体構成を模式的に示すブロック図である。
【図9】従来の技術に係る磁気ヘッドと磁気記録媒体のトラック中心での断面模式図である。
【図10】従来の技術に係る磁気ヘッドと磁気記録媒体のトラック中心での断面模式図である。
【図11】従来の技術に係る磁気ヘッドと磁気記録媒体のトラック中心での断面模式図である。主磁極からトレーリング・シールドへのフラックスによるRFPEを模式的に示している。
【符号の説明】
【0056】
1 主磁極、1A 主磁極ヨーク部、1B 主磁極ポール・ティップ
2 薄膜導体コイル、3 補助磁極、7 再生素子、8 下部シールド
9 上部シールド、10 補助シールド、11 磁気ディスク
14 磁気ヘッド、15 ロータリアクチュエータ、16 記録ヘッド、17 ピラー
19 磁気記録層、20 軟磁性裏打ち層、21 非磁性層、22 基板
23 非磁性層、24 再生ヘッド、25 記録ヘッド、28 モータ
32 磁性体(トレーリング・シールド)、33 磁性体(サイド・シールド)
100 ハードディスク・ドライブ、110 エンクロージャ、111 磁気ディスク
112 ヘッド・スライダ、113 アーム電子回路、116 アクチュエータ
120 回路基板、121 リード・ライト・チャネル
122 モータ・ドライバ・ユニット
123 ハードディスク・コントローラとMPUの集積回路、124 RAM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレーリング・シールドを有する垂直磁気記録ヘッドについて、ユーザ・データの書き込みにおける記録電流値を決定する方法であって、
前記垂直磁気記録ヘッドにより、磁気ディスクへの磁界強度を変化させながら前記磁気ディスクへデータを書き込み、
前記書き込んだデータを読み出し、前記垂直磁気記録ヘッドの所定パラメータについて飽和特性を測定し、
前記飽和特性の測定結果に基づいて、前記垂直磁気記録ヘッドの主磁極から前記トレーリング・シールドへのフラックス・パスによるデータ消去が発生しているかを判定し、
前記データ消去が発生していない場合、第1の規則に従って前記ユーザ・データの書き込みにおける記録電流値を決定し、
前記データ消去が発生している場合、前記第1の規則と異なる第2の規則に従って前記ユーザ・データの書き込みにおける記録電流値を決定する、
方法。
【請求項2】
前記垂直磁気記録ヘッドと前記磁気ディスクとの間のクリアランスを変化させることによって、前記磁気ディスクへの磁界強度を変化させる、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記垂直磁気記録ヘッドの記録電流値を変化させることによって、前記磁気ディスクへの磁界強度を変化させ、
前記パラメータとしてのエラー・レートの飽和特性を測定する、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記パラメータが前記磁界強度の増加に応じて良化した後に悪化し、前記良化した後の悪化の度合いが第1基準を越える場合にデータ消去が発生していると判定する、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記悪化の度合いが第1基準よりも大きい第2の基準を越える場合、前記垂直磁気記録ヘッドをフェイル・ヘッドと判定する、
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記垂直磁気記録ヘッドの記録電流値を変化させることによって、前記磁気ディスクへの磁界強度を変化させ、
悪化後の予め定められた記録電流値におけるパラメータの値と、悪化前の予め定められた記録電流値におけるパラメータの値との比に基づいて前記データ消去の有無を判定する、
請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記垂直磁気記録ヘッドの記録電流値を変化させることによって、前記磁気ディスクへの磁界強度を変化させ、
前記第2の規則に従って、前記パラメータが最良を示す電流値以下の電流値を、前記ユーザ・データの書き込みにおける記録電流値と決定する、
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
磁気ディスクと、
トレーリング・シールドと主磁極とを有し、前記磁気ディスクへの磁界強度を変化させながらデータを書き込む、垂直磁気記録ヘッドと
前記書き込んだデータを読み出す再生ヘッドと、
前記再生ヘッドが読み出したデータを使用して前記垂直磁気記録ヘッドの所定パラメータについて飽和特性を測定し、その測定結果に基づいて前記主磁極から前記トレーリング・シールドへのフラックスによるデータ消去が発生しているかを判定し、前記データ消去が発生していない場合に第1の規則に従ってユーザ・データの書き込みにおける記録電流値を決定し、前記データ消去が発生している場合に前記第1の規則と異なる第2の規則に従って前記ユーザ・データの書き込みにおける記録電流値を決定する、コントローラと、
を有する磁気ディスク・ドライブ装置。
【請求項9】
前記垂直磁気記録ヘッドは、前記記録ヘッドと前記磁気ディスクとの間のクリアランスを変化させることによって、前記磁気ディスクへの磁界強度を変化させる、
請求項8に記載の磁気ディスク・ドライブ装置。
【請求項10】
垂直磁気記録ヘッドは、前記記録ヘッドの記録電流値を変化させることによって、前記磁気ディスクへの磁界強度を変化させ、
前記コントローラは、前記パラメータとしてのエラー・レートの飽和特性を測定する、
請求項8に記載の磁気ディスク・ドライブ装置。
【請求項11】
前記コントローラは、前記パラメータが前記磁界強度の増加に応じて良化した後に悪化し、前記良化した後の悪化の度合いが第1基準を越える場合にデータ消去が発生していると判定する、
請求項8に記載の磁気ディスク・ドライブ装置。
【請求項12】
前記コントローラは、前記悪化の度合いが第1基準よりも大きい第2の基準を越える場合、前記記録ヘッドをフェイル・ヘッドと判定する、
請求項11に記載の磁気ディスク・ドライブ装置。
【請求項13】
前記垂直磁気記録ヘッドは、前記記録ヘッドの記録電流値を変化させることによって、前記磁気ディスクへの磁界強度を変化させ、
前記コントローラは、悪化後の予め定められた記録電流値におけるパラメータの値と、悪化前の予め定められた記録電流値におけるパラメータの値との比に基づいて前記データ消去の有無を判定する、
請求項11に記載の磁気ディスク・ドライブ装置。
【請求項14】
前記垂直磁気記録ヘッドは、前記記録ヘッドの記録電流値を変化させることによって、前記磁気ディスクへの磁界強度を変化させ、
前記コントローラは、前記第2の規則に従って、前記パラメータが最良を示す電流値以下の電流値を、前記ユーザ・データの書き込みにおける記録電流値と決定する、
請求項8に記載の磁気ディスク・ドライブ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−99167(P2009−99167A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−267241(P2007−267241)
【出願日】平成19年10月12日(2007.10.12)
【出願人】(503116280)ヒタチグローバルストレージテクノロジーズネザーランドビーブイ (1,121)
【Fターム(参考)】