説明

設定情報移植装置、設定情報移植システム、設定情報移植方法

【課題】設定項目に関する態様が異なる装置間においても設定情報をユーザーの意図に沿うように移植する。
【解決手段】移植元情報処理装置における設定項目と、当該設定項目に設定されうる選択肢と、当該設定項目に設定されている設定値と、を取得し、移植先情報処理装置における設定項目と、当該設定項目に設定されうる選択肢と、を取得し、前記移植元情報処理装置における任意の設定項目の選択肢と前記移植先情報処理装置における前記任意の設定項目と同一の設定項目の選択肢とが異なる場合に、前記移植元情報処理装置における前記任意の設定項目の設定値と選択肢との関係と、前記移植先情報処理装置における前記任意の設定項目と同一の設定項目の選択肢と、に基づいて、前記移植先情報処理装置における前記任意の設定項目と同一の設定項目に設定する設定値を決定し、決定された前記設定値を前記移植先情報処理装置における前記任意の設定項目と同一の設定項目に設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設定情報移植装置、設定情報移植システム、設定情報移植方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の情報処理装置の設定を1台ずつ同じように設定する手間を省くために、ある情報処理装置の設定情報を他の情報処理装置にコピーする手法が知られている。特許文献1には、コピー元の情報処理装置が設定情報を含むマークを生成し、コピー先の情報処理装置が当該マークを読み取り当該マークから設定情報を復元し、復元した設定情報を設定することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−190219号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術は、同一機種の装置間であれば問題なく機能すると考えられる。しかし、装置の買い換え時などの場合に、旧機種の装置から新機種の装置に設定情報を移行する場合に問題が生じうる。例えば、設定項目に設定されうる設定値の範囲や表現形式が新旧の装置間で異なっている場合に、旧機種における設定値をそのまま設定すると、旧機種においてその設定値を設定していたユーザーの意図を新機種においても反映できない可能性がある。また、旧機種の装置にはない設定項目が新機種の装置に追加されている場合、当該設定項目には設定値を設定することができない。その場合例えば、ユーザーの意図を考慮していないデフォルト値がとりあえず設定され、ユーザーは所望の設定となるように後から手動で設定値を変更しなければならない。そうすると、設定の手間を省くという当初の目的を十分に果たせない。
本発明は、上記課題にかんがみてなされたもので、設定項目に関する態様が異なる装置間においても設定情報をユーザーの意図に沿うように移植することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために本発明の設定情報移植装置は、移植元設定情報取得手段と、移植先設定情報取得手段と、設定値決定手段と、設定手段とを備える。移植元設定情報取得手段は、移植元情報処理装置における設定項目と、当該設定項目に設定されうる選択肢と、当該設定項目に実際に設定されている設定値とを取得する。ここで選択肢とは、設定項目に設定されることが仕様上許可されている設定値の範囲や、設定されることが仕様上許可されている設定値の種類を示す情報を意味する。移植先設定情報取得手段は、移植先情報処理装置における設定項目と、当該設定項目に設定されうる選択肢と、を取得する。設定値決定手段は、任意の設定項目に関して移植元情報処理装置における選択肢と移植先情報処理装置における選択肢とが異なる場合に、移植元情報処理装置における設定値と選択肢との関係と、移植先情報処理装置における選択肢と、に基づいて、移植先情報処理装置の前記任意の設定項目に設定する設定値を決定する。すなわち、移植元情報処理装置において任意の設定項目に設定されうる設定値の複数の選択肢の中から選択された実際の設定値と複数の選択肢との関係と、移植先情報処理装置において前記任意の設定項目と同一の設定項目に設定されうる設定値の複数の選択肢と実際に設定される設定値との関係が同様になるように、移植先情報処理装置における前記任意の設定項目と同一の設定項目の設定値を選択肢の中から選択して決定する。設定手段は、決定された設定値を移植先情報処理装置の前記任意の設定項目と同一の設定項目に設定する。
【0006】
本発明によると、選択肢の種類や選択肢の範囲が移植元と移植先とで異なる場合であっても、移植先情報処理装置に設定値を設定することができ、さらには、移植元情報処理装置において複数の選択肢の中からその設定値を選択したユーザーの意図を推測してその意図を反映させた設定値を移植先に設定することができる。
【0007】
上記課題を解決するための設定情報移植装置において、設定項目の一つである第一設定項目が移植元情報処理装置には存在せず移植先情報処理装置には存在する場合、設定値決定手段は、当該第一設定項目と関連する別の設定項目である第二設定項目の移植元情報処理装置における設定値と選択肢との関係と、移植先情報処理装置の第一設定項目の選択肢と、に基づいて、移植先情報処理装置の前記第一設定項目の設定値を決定してもよい。そして設定手段は、決定された設定値を移植先情報処理装置の第一設定項目に設定する。
【0008】
この構成によると、移植元情報処理装置において存在しない第一設定項目にも、移植元情報処理装置に存在する第二設定項目(第二設定項目は第一設定項目と関連性を有している)の設定値と選択肢との関係に基づいて、ユーザーの設定意図を推測して設定値を設定することができる。なお、設定項目同士の関連性は、例えば関連性に応じて予めなされた設定項目のグループ分け(カテゴライズ)の情報を移植元と移植先とで共有しておくことによって判定可能である。また例えば、設定情報移植装置において設定項目の名称を解析し、その名称に基づいて当該設定項目と関連のある設定項目を判定するようにしてもよい。具体的には例えば、設定項目の名称中の一致する単語の有無、設定項目の名称が示す意味内容の一致の有無等から判定してもよい。意味内容の一致の判定は、設定項目を関連性別にグループ分けしそのグループ分けの情報を保持しているデータベースを参照してなされてもよい。
【0009】
さらに、上記目的を達成するための設定情報移植装置において、移植元設定情報取得手段は、設定項目と、当該設定項目に設定されている設定値と、当該設定値の単位と、を取得し、移植先設定情報取得手段は、設定項目と、当該設定項目に設定される設定値の単位と、を取得してもよい。そしてこの場合に設定値決定手段は、移植元情報処理装置における任意の設定項目の設定値の単位と移植先情報処理装置における前記任意の設定項目と同一の設定項目の設定値の単位とが異なる場合に、設定項目が示す内容(設定項目自身の意味)と、移植元情報処理装置における前記任意の設定項目の設定値と単位と、移植先情報処理装置における前記任意の設定項目と同一の設定項目の設定値の単位と、に基づいて移植先情報処理装置における前記任意の設定項目と同一の設定項目の設定値を決定するようにしてもよい。
【0010】
この構成によると、任意の設定項目に関して、設定値の単位が移植元情報処理装置と移植先情報処理装置とで異なる場合に、移植元情報処理装置において任意の設定項目に設定された設定値と対応する意味を持つ値であって単位を移植先情報処理装置における単位に変換した設定値を移植先情報処理装置の設定項目に設定することができる。
【0011】
上記目的を達成するための設定情報移植装置において、移植元設定情報取得手段は、移植元情報処理装置における設定項目と当該設定項目に設定されうる選択肢と当該設定項目に設定されている設定値とを示す二次元コードを読み取ることによって、移植元情報処理装置における設定項目と当該設定項目に設定されうる選択肢と当該設定項目に設定されている設定値とを取得してもよい。
移植元情報処理装置における設定項目と当該設定項目に対応付けられた設定値や選択肢を示す情報が二次元コードの形式で表現されている場合に、設定情報移植装置が当該二次元コードを読み取る手段を備えることで移植元情報処理装置の設定情報を取得することができる。二次元コードには、設定項目に設定される設定値の範囲が含まれていてもよいし、設定項目をグループ分けする情報が含まれていても良い。
【0012】
なお本発明は、移植先情報処理装置としての上述の設定情報移植装置と、移植元情報処理装置と、を備える設定情報移植システムの発明としても成立する。また本発明は、上述した設定情報移植装置と、移植元情報処理装置と、移植先情報処理装置と、を備える設定情報移植システムの発明としても成立する。
【0013】
なお、請求項に記載された各手段の機能は、構成自体で機能が特定されるハードウェア資源、プログラムにより機能が特定されるハードウェア資源、又はそれらの組み合わせにより実現される。また、これら各手段の機能は、各々が物理的に互いに独立したハードウェア資源で実現されるものに限定されない。さらに、本発明は方法としても、コンピュータープログラムとしても、そのプログラムの記録媒体としても成立する。むろん、そのコンピュータープログラムの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし光磁気記録媒体であってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第一実施形態にかかる設定情報移植システムを示すブロック図。
【図2】(2A)および(2B)は第一実施形態にかかる設定情報の移植処理を示すフローチャート。
【図3】第一実施形態にかかる設定情報の移植例を示す図。
【図4】第二実施形態にかかる設定情報移植システムを示すブロック図。
【図5】第二実施形態にかかる設定情報の移植処理を示すフローチャート。
【図6】(6A)および(6B)は第二実施形態にかかる設定情報の移植例を示す図。
【図7】他の実施形態にかかる設定情報の移植例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照しながら説明する。尚、各図において対応する構成要素には同一の符号が付され、重複する説明は省略される。
【0016】
1.第一実施形態
1−1.構成
図1に本発明の一実施例としての設定情報移植システムを示す。本実施形態における設定情報移植システムは、移植元情報処理装置としてのマルチファンクションプリンター(MFP)1と、移植先情報処理装置および設定情報移植装置としてのMFP2と、を備えている。MFP1は、CPU10a・ROM10b・RAM10cを備えるコントローラー10と、プリンターユニット11と、スキャナーユニット12と、ユーザーインターフェース(I/F)13と、外部I/F14と図示しない不揮発性メモリーを備えている。コントローラー10は、ROM10bに記憶されRAM10cにロードされたプログラムをCPU10aが実行することにより、プリンターユニット11とスキャナーユニット12とユーザーI/F13と外部I/F14とを全体的に制御する。不揮発性メモリーには、MFP1における設定情報が記憶されている。設定情報とはMFP1を動作させる際のユーザーが変更可能な各種のパラメーターに関連する情報であり、具体的には、設定項目と、当該設定項目に設定されうる設定値の選択肢を示す情報と、実際に当該設定項目に設定されている設定値とが対応付けられている。MFP1における、各種設定項目と、各種設定項目にそれぞれ対応付けられた選択肢と、実際に設定されている設定値と、を本実施形態においては移植元設定情報と呼ぶ。
【0017】
プリンターユニット11は、プリンターASICとプリンターエンジンとを備えている。プリンターASICは、プリンターエンジンを制御する集積回路であり、コントローラー10から印刷データを取得すると、当該印刷データに基づいて印刷を実行するようプリンターエンジンを制御する。また、プリンターエンジンは、印刷ヘッドに形成されたノズルから記録媒体へインク滴を吐出することにより印刷を行なう周知のインクジェット方式のカラープリンターとして構成されている。
【0018】
スキャナーユニット12は、スキャナーASICとスキャナーエンジンとを備える。スキャナーASICは、スキャナーエンジンを制御する集積回路であり、コントローラー10からのスキャン指示を受け付けると、原稿台に載置された原稿を読み取るようスキャナーエンジンを制御する。また、スキャナーエンジンは、周知のイメージスキャナーとして構成され、原稿に向かって発光し原稿からの反射光をレッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)の各色に分解してスキャン画像データとする周知のカラーイメージセンサーを備えている。ユーザーI/F13は表示パネルやキーなどを備え、ユーザーに各種情報を案内し、また、ユーザーの操作を受け付ける。外部I/F14は、外部機器やリムーバブルメモリー等と接続し各種の方式で通信するための各種のインターフェースを構成している。
【0019】
MFP2は、CPU20a・ROM20b・RAM20cを備えるコントローラー20と、プリンターユニット21と、スキャナーユニット22と、ユーザーI/F23と、外部I/F24と、図示しない不揮発性メモリーとを備えている。各部の機能はMFP1と同様であるため説明を省略する。MFP2の不揮発性メモリーには、MFP1と同様に、設定項目と、当該設定項目に設定されうる設定値の選択肢を示す情報と、実際に当該設定項目に設定されている設定値とが対応付けられた設定情報が記憶されている。MFP2における、各種設定項目と、各種設定項目にそれぞれ対応付けられた選択肢と、を本実施形態においては移植先設定情報と呼ぶ。
【0020】
MFP1のコントローラー10は、エクスポートプログラムを実行することにより、設定情報を不揮発性メモリーから取得して文字コードに変換し、QRコード生成プログラムを呼び出して文字コードを二次元コードとしてのQRコード((株)デンソーウェーブの登録商標)を示す画像データに変換し、プリンターユニット11を制御して当該画像データが示す画像を記録媒体に印刷させることができる。一方、MFP2のコントローラー20は、インポートプログラムを実行することにより、原稿台に載置された記録媒体に印刷されたQRコードの画像をスキャナーユニット22を制御して読み取り、QRコード復元プログラムを呼び出してQRコードを示す画像データから文字コードを復元し、当該文字コードの文字列が示すMFP1の設定情報とMFP2の不揮発性メモリーから取得した設定情報とに基づいてMFP2における設定を行うことができる。コントローラー20はインポートプログラムを実行することによりコントローラー20とスキャナーユニット22とを移植元情報取得手段として機能させる。またコントローラー20は、インポートプログラムを実行することにより、コントローラー20を移植元設定情報取得手段と設定値決定手段と設定手段として機能させる。
【0021】
1−2.設定情報の移植
図2は設定情報の移植処理の流れを示すフローチャートである。本実施形態においては、MFP1において各種の設定項目に設定されている設定値をMFP2の対応する設定項目に移植する。図2Aは移植元情報処理装置としてのMFP1において実行されるエクスポート処理であり、ユーザーがユーザーI/F13を操作して指示したエクスポート指示に応じてコントローラー10がエクスポートプログラムを実行することにより実施される。図2Bは移植先情報処理装置としてのMFP2において実行される処理であり、ユーザーがユーザーI/F23を操作して指示したインポート指示に応じてコントローラー20がインポートプログラムを実行することにより実施される。
【0022】
図2Aに示すエクスポート処理においては、まずコントローラー10は、自装置の設定情報(移植元設定情報)を取得し(S100)、QRコード生成プログラムによって設定情報を示す文字列からRAM10cにQRコードの画像データを生成する(S105)。続いてコントローラー10は生成されたQRコードを示す画像をプリンターユニット11に印刷させる(S110)。具体的にはコントローラー10は、RAM10cに生成されたQRコードを示す画像データから、当該画像データが示すQRコードの画像をプリンターユニット11に印刷させるための印刷データを生成し、印刷データに基づいてプリンターユニット11にQRコードを印刷させる。この結果、移植元設定情報が含まれるQRコードが印刷された印刷物100(図1)が生成される。
【0023】
続いてユーザーが印刷物100をMFP2のスキャナーユニット22の原稿台に載置した後、ユーザーI/F23を操作してインポート指示を入力する。コントローラー20はユーザーによるインポート指示を受け付けると、図2Bに示すように、QRコードが印刷された印刷物100をスキャナーユニット22に読み取らせ(S200)、RAM20cにスキャン画像データを取得する。続いてコントローラー20はQRコード復元プログラムによって、QRコードの画像を含むスキャン画像データから移植元設定情報を示す文字列を取得する(S205)。具体的には、MFP1における各種設定項目と当該設定項目に対応付けられた選択肢と実際に設定されている設定値とが復元される。
【0024】
続いてコントローラー20は、自装置に設定する設定値を決定する(S210)。具体的にはコントローラー20は、まずMFP2の不揮発性メモリーに記憶されている設定情報(移植先設定情報)を取得する。そして、移植元設定情報と移植先設定情報とを参照し、MFP1において任意の設定項目に対応する設定値に基づいてMFP2における当該任意の設定項目の設定値を決定する。より具体的には、任意の設定項目に着目した場合、その設定項目に設定されうる選択肢がMFP1とMFP2とで同じ場合は、MFP1において設定されていた設定値をそのままMFP2での設定値とする。設定項目に設定されうる選択肢がMFP1とM場合は、MFP1における選択肢と設定値との関係とMFP2の選択肢とに基づいてMFP2における設定値を決定する。
【0025】
例えば設定項目「割り付け」の設定を移植する例を図3に示す。「割り付け」とは、印刷用紙の1ページに割り付けるページ数を設定する項目である。図3に示すように、移植元設定情報の設定項目「割り付け」に設定されうる設定値の選択肢の種類がMFP1においては「1」「2」「4」であるのに対し、MFP2においては「1」「2」「4」「6」「8」であり、選択肢が増加している。ここで、コントローラー20は、MFP1における複数の選択肢に対してこの設定置がユーザーによって選択された意図を推測する。例えば選択肢の最小値「1」を0、「2」を50、最大値「4」を100と置き換え、MFP1における設定値が「4」であることからMFPでは100が選択されているとコントローラー20は判断する。MFP2においても選択肢のうち最小値「1」を0、「2」を25、「4」を50、「6」を75、最大値「8」を100とコントローラー20は置き換える。そしてMFP1において100が選択されていることからMFP2においても100を選択し、コントローラー20は100に対応する「8」をMFP2における設定項目「割り付け」の設定値として決定する。この場合コントローラー20は、選択可能な割り付け枚数のうち最も多くのページを1ページ内に割り付けたいというユーザー意図があるものと推測し、MFP2においても最も多いページを割り付けることを決定したことになる。続いてコントローラー20は決定した設定値をMFP2の設定値として設定する(S215)。具体的には、前述の例を用いると、設定項目「割り付け」に設定値「8」を対応付けてMFP2の不揮発性メモリーに記憶させる。
【0026】
なお、例えば設定項目「印刷品質」について考えると、MFP1では選択肢として「標準」と「高精細」があり、MFP2には「標準」と「高精細」と「超高精細」がある場合であって、MFP1では「高精細」が設定されていた場合、上述の例と同様にするとMFP2にはMFP1と同様の「高精細」が設定されるのではなくて「超高精細」が設定されることになる。ユーザーは設定可能な選択肢のうち最も高品質を選択することを推測したことになる。
以上説明したように、本実施形態によると、設定項目に設定されうる選択肢の種類が異なる場合であっても、移植先情報処理装置に設定値を設定することができ、さらには、ユーザーの意図を推測して移植元情報処理装置における設定値を変化させて移植先情報処理装置に設定値を設定することができる。
【0027】
2.第二実施形態
2−1.構成
図4は、第二実施形態にかかる設定情報移植システムを示している。本実施形態における設定情報移植システムは、移植元情報処理装置としてのプリンター4と、設定情報移植装置としてのMFP3と、移植先情報処理装置としてのプリンター5と、を備えている。MFP3は、CPU30a,ROM30b,RAM30c等を備えるコントローラー30とプリンターユニット31とスキャナーユニット32とユーザーI/F33と外部I/F34と図示しない不揮発性メモリーとを備える。
【0028】
プリンター4は、CPU40a,ROM40b,RAM40c等を備えるコントローラー40と外部I/F41とプリンターユニット42とユーザーI/F43と図示しない不揮発性メモリーとを備える。プリンター5は、プリンター4と同様にCPU50a,ROM50b,RAM50c等を備えるコントローラー50と外部I/F51とプリンターユニット52とユーザーI/F53と図示しない不揮発性メモリーとを備える。MFP3は外部I/F34とプリンター4の外部I/F41とプリンター5の外部I/F51とは、LAN(Local Area Network)200に接続している。MFP3の不揮発性メモリーにはLAN200に接続しているプリンター4やプリンター5のIPアドレスが予め記憶されている。
【0029】
プリンター4の不揮発性メモリーには、プリンター4における各種設定項目と各種設定項目のそれぞれに設定されうる選択肢と実際に設定されている設定値とが対応付けられて記憶されている。本実施形態においては、設定項目はその設定項目自体が示す内容の関連性に応じてグループ分けされており、不揮発性メモリーには各設定項目の属するグループも各設定項目に対応付けて記憶されている。本実施形態においては、プリンター4における設定項目と、当該設定項目が属するグループと、当該設定項目に設定されうる選択肢と、当該設定項目に設定されている設定値とを、移植元設定情報と呼ぶ。プリンター5の不揮発性メモリーにもプリンター4と同様に、設定項目と、当該設定項目が属するグループと、当該設定項目に設定されうる選択肢と、当該設定項目に設定されている設定値とが対応付けて記憶されている。本実施形態においては、プリンター5における設定項目と当該設定項目が属するグループと当該設定項目に設定されうる選択肢とを移植先設定情報と呼ぶ。本実施形態では、MFP3が仲介してプリンター4の設定値がプリンター5に移植される。
【0030】
2−2.設定情報の移植
図5は第二実施形態における設定情報の移植処理の流れを示している。MFP3のコントローラー30は、外部I/F34をおよびLAN200を介してプリンター4に移植元設定情報取得要求コマンドが含まれたパケットを送信する(S300)。プリンター4のコントローラー40は外部I/F41を介して前記パケットを受信すると、パケットを解析して移植元設定情報取得要求コマンドを取得し、自装置の設定情報(移植元設定情報)を含んだパケットを外部I/F41およびLAN200を介してMFP3に返信する(S305)。MFP3のコントローラー30は外部I/F34を介してプリンター4から返信された移植元設定情報を含むパケットを受信し、パケットを解析して移植元設定情報を取得する(S310)。S300およびS310の処理をコントローラー30が実行することにより、コントローラー30が移植元設定情報取得手段として機能する。
【0031】
続いてMFP3のコントローラー30は外部I/F34およびLAN200を介して移植先設定情報取得要求コマンドを含むパケットをプリンター5に送信する(S315)。プリンター5のコントローラー50は外部I/F51を介して当該パケットを受信し、パケットを解析して移植先設定情報取得要求を取得すると、自装置の設定情報(移植先設定情報)を含んだパケットを外部I/F51およびLAN200を介してMFP3に送信する(S320)。MFP3は外部I/F34を介して移植先設定情報が含まれたパケットを受信しパケットを解析して移植先設定情報を取得する(S325)。S315およびS325の処理を実行することによりコントローラー30は移植先設定情報取得手段として機能する。
【0032】
そして、MFP3のコントローラー30は移植元設定情報と移植先設定情報とからプリンター5に設定する設定値を決定する(S330)。S330を実行することによりコントローラー30は設定値決定手段として機能する。プリンター4とプリンター5において共通して存在する設定項目であって選択肢が同一である場合は、コントローラー30はプリンター4における当該設定項目の設定値をそのままプリンター5において当該設定項目の設定値として設定する。プリンター4とプリンター5において共通して存在する設定項目であって選択肢が異なる場合は、第一実施形態と同様に設定値を決定する。プリンター4には存在しない設定項目であってプリンター5において新設されている設定項目(第一設定項目)に関しては、コントローラー30は、同グループに属する別の設定項目(第二設定項目)の選択肢と設定値との関係と、第一設定項目の選択肢と、に基づいて第一設定項目の設定値を決定する。
【0033】
図6Aを用いて具体的に説明する。プリンター4にはグループ「品質関連」に属する設定項目「印刷品質」が存在する。設定項目「印刷品質」に設定可能な選択肢は「標準」「高品質」の2つであり、プリンター4においては設定値「標準」が設定されている。プリンター5にはグループ「品質関連」に属する設定項目として「印刷品質」と「印刷速度」の2つが存在する(プリンター4には設定項目「印刷速度」が存在しない)。プリンター4における設定項目「印刷品質」の選択肢はプリンター4と同じであるので、コントローラー30はプリンター5における設定項目「印刷品質」の設定値として「標準」を設定する。プリンター4に存在しない設定項目「印刷速度」には、同グループに属する別の設定項目である「印刷品質」の選択肢と設定値との関係と設定項目「印刷速度」の選択肢とから設定値を決定する。設定項目「印刷速度」の選択肢は「標準」「高速」の2つである。印刷物の品質は、印刷速度が「高速」の場合より「高速」より遅い速度で印刷することを示す「標準」の場合の方が高品質である。設定値「印刷品質」には「標準」より品質の高い「高品質」ではなくて「標準」が選択されていることから、コントローラー30は、ユーザーは「印刷速度」に関しては質よりスピードを優先する意図があると判断し、設定項目「印刷速度」には設定値「高速」を設定することを決定する。なお、図6Bに示すようにプリンター4において設定項目「印刷品質」に「高品質」が設定されている場合は、図6Aの場合と逆にスピードより質を優先する意図を判断し、コントローラー30はプリンター5の設定項目「印刷速度」に設定値「標準」を設定する。
【0034】
続いてコントローラー30は、決定した設定値を該当する設定項目に設定することを要求するコマンドと設定値と該当する設定項目のデータ等を含むパケットを外部I/F34およびLAN200を介してプリンター5に送信する(S335)。S335を実行することによりコントローラー30は設定手段として機能する。プリンター5は、外部I/F51を介して前述のパケットを受信しパケットを解析して設定要求コマンドと設定項目と対応付けられた設定値のデータを取得し、プリンター5の不揮発性メモリーの該当する設定項目と対応付けてMFP3から受信した設定値を設定する(上書きする)(S340)。
【0035】
以上説明したように、本実施形態によると、移植元情報処理装置には存在せず移植先情報処理装置には存在する設定項目にも、当該設定項目と関連のある別の設定項目の移植元情報処理装置における選択肢と設定値との関係に基づいて、ユーザーの設定意図を推測して、移植先情報処理装置における設定値を設定することができる。
【0036】
3.他の実施形態
尚、本発明の技術的範囲は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えばある設定項目において、移植元情報処理装置で表現される設定値の単位と移植先情報処理装置での単位とが異なる場合がある。例えば図7に示す例では、移植元情報処理装置では設定項目「余白(A4)」に設定する設定値の単位が「mm」であるのに対し、移植先情報処理装置での当該設定項目に設定する設定値の単位は「%」である。このような場合に対応するために、移植元設定情報取得手段は、設定項目と、当該設定項目に設定されている設定値と、当該設定値の単位と、を取得し、移植先設定情報取得手段は、前記設定項目と、当該設定項目に設定される設定値の単位と、を取得してもよい。そしてこの場合に設定値決定手段は、設定項目の内容と、移植元情報処理装置における設定値と単位と、移植先情報処理装置における単位と、に基づいて移植先情報処理装置における設定項目の設定値を決定するようにしてもよい。具体的には例えば、図7の例の場合、A4用紙(横向き)のサイズは縦210mm×297mmであり、プリンター4においては上下の余白および左右の余白がそれぞれ12.7mmと設定されていることから、上下の余白は(12.7/210)×100≒6%、左右の余白は(12.7/297)×100≒4%と換算することができる。したがって上下の余白の設定値としては「6」、左右の余白の設定値としては「4」を設定を設定することができる。このようにすることで、設定項目に設定される設定値の単位が移植元情報処理装置と移植先情報処理装置とで異なる場合であっても、移植元情報処理装置において当該設定項目に設定された設定値と対応する値であって単位を移植先情報処理装置における単位に変換した設定値を移植先情報処理装置の設定項目に設定することができる。
【0037】
なお、第二実施形態において、他にも様々な情報処理装置がLAN200を介して接続している状況で、それらの様々な情報処理装置に設定情報取得要求を送信して、各情報処理装置から設定情報を取得してMFP3の不揮発性メモリーに記憶しておいてもよい。また、収集した設定情報をバックアップとしてQRコードに変換して印刷しておいてもよい。なおLAN200は無線で構成されていても有線で構成されていてもよい。
また、移植元情報処理装置や移植先情報処理装置として、プロジェクターやデジタルカメラやデジタルフォトフレームやタブレットPCやスマートフォン等、様々な装置に本発明を適用可能である。
【0038】
なお、第一実施形態のようにQRコードを用いて設定情報のやりとりをする場合に、QRコードに含めることができる文字数をオーバーしてしまう場合は、移植先情報処理装置がネットワークを介してアクセス可能なデータベース(DB)に設定情報の本体を記憶させておき、QRコードにはそのDB内に記憶された設定情報のアドレスを含めるようにしてもよい。そうすることで、移植先情報処理装置はQRコードを読み込むことでDB内の設定情報にアクセスし設定情報を取得することができる。また、移植元情報処理装置において利用していたプログラム(アプリケーションプログラムやアップデート用ファームウェア等)を移植先情報処理装置においても利用するために、同様にプログラムの格納場所のアドレスをQRコードに含めるようにしてもよい。そうすることで移植先情報処理装置はQRコードを読み込むことで、プログラムにアクセスしダウンロードすることができる。
【符号の説明】
【0039】
1:MFP、2:MFP、3:MFP、4:プリンター、5:プリンター、10:コントローラー、11:プリンターユニット、12:スキャナーユニット、13:ユーザーI/F、14:外部I/F、20:コントローラー、21:プリンターユニット、22:スキャナーユニット、23:ユーザーI/F、24:外部I/F、30:コントローラー、31:プリンターユニット、32:スキャナーユニット、33:ユーザーI/F、34:外部I/F、40:コントローラー、41:外部I/F、42:プリンターユニット、43:ユーザーI/F、50:コントローラー、51:外部I/F、52:プリンターユニット、53:ユーザーI/F、100:印刷物、200:LAN

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移植元情報処理装置における設定項目と、当該設定項目に設定されうる選択肢と、当該設定項目に設定されている設定値と、を取得する移植元設定情報取得手段と、
移植先情報処理装置における設定項目と、当該設定項目に設定されうる選択肢と、を取得する移植先設定情報取得手段と、
前記移植元情報処理装置における任意の設定項目の選択肢と前記移植先情報処理装置における前記任意の設定項目と同一の設定項目の選択肢とが異なる場合に、前記移植元情報処理装置における前記任意の設定項目の設定値と選択肢との関係と、前記移植先情報処理装置における前記任意の設定項目と同一の設定項目の選択肢と、に基づいて、前記移植先情報処理装置における前記任意の設定項目と同一の設定項目に設定する設定値を決定する設定値決定手段と、
決定された前記設定値を前記移植先情報処理装置における前記任意の設定項目と同一の設定項目に設定する設定手段と、
を備える設定情報移植装置。
【請求項2】
前記設定値決定手段は、前記移植元情報処理装置には存在せず前記移植先情報処理装置には存在する設定項目である第一設定項目に関して、当該第一設定項目と関連する別の設定項目である第二設定項目の前記移植元情報処理装置における設定値と選択肢との関係と、前記移植先情報処理装置の前記第一設定項目の選択肢と、に基づいて、前記移植先情報処理装置の前記第一設定項目の設定値を決定し、
前記設定手段は、決定された前記設定値を前記移植先情報処理装置の前記第一設定項目に設定する、
請求項1に記載の設定情報移植装置。
【請求項3】
前記移植元設定情報取得手段は、設定項目と、当該設定項目に設定されている設定値と、当該設定値の単位と、を取得し、
前記移植先設定情報取得手段は、設定項目と、当該設定項目に設定される設定値の単位と、を取得し、
前記設定値決定手段は、前記移植元情報処理装置における任意の設定項目の設定値の単位と前記移植先情報処理装置における前記任意の設定項目と同一の設定項目の設定値の単位とが異なる場合に、前記任意の設定項目が示す内容と、前記移植元情報処理装置における前記任意の設定項目の設定値と単位と、前記移植先情報処理装置における前記任意の設定項目と同一の設定項目の設定値の単位と、に基づいて前記移植先情報処理装置における前記任意の設定項目と同一の設定項目の設定値を決定する、
請求項1または請求項2に記載の設定情報移植装置。
【請求項4】
前記移植元設定情報取得手段は、前記移植元情報処理装置における設定項目と当該設定項目に設定されうる選択肢と当該設定項目に設定されている設定値とを示す二次元コードを読み取ることによって、前記移植元情報処理装置における前記設定項目と当該設定項目に設定されうる選択肢と当該設定項目に設定されている設定値とを取得する、
請求項1〜請求項3のいずれかに記載の設定情報移植装置。
【請求項5】
前記移植先情報処理装置としての請求項1〜請求項4のいずれかに記載の設定情報移植装置と、
前記移植元情報処理装置と、
を備える設定情報移植システム。
【請求項6】
請求項1〜請求項4のいずれかに記載の設定情報移植装置と、
前記移植元情報処理装置と、
前記移植先情報処理装置と、
を備える設定情報移植システム。
【請求項7】
移植元情報処理装置における設定項目と、当該設定項目に設定されうる選択肢と、当該設定項目に設定されている設定値と、を取得する移植元設定情報取得工程と、
移植先情報処理装置における設定項目と、当該設定項目に設定されうる選択肢と、を取得する移植先設定情報取得工程と、
前記移植元情報処理装置における任意の設定項目の選択肢と前記移植先情報処理装置における前記任意の設定項目と同一の設定項目の選択肢とが異なる場合に、前記移植元情報処理装置における前記任意の設定項目の設定値と選択肢との関係と、前記移植先情報処理装置における前記任意の設定項目と同一の設定項目の選択肢と、に基づいて、前記移植先情報処理装置における前記任意の設定項目と同一の設定項目に設定する設定値を決定する設定値決定工程と、
決定された前記設定値を前記移植先情報処理装置における前記任意の設定項目と同一の設定項目に設定する設定工程と、
を含む設定情報移植方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−252457(P2012−252457A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−123486(P2011−123486)
【出願日】平成23年6月1日(2011.6.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】