説明

診断方法及び診断に使用するためのアレイ

本発明は、(a)試験すべき血清又は血漿サンプルを備え;そして(b)表1a又は1bに定義された群から選択される2つ又はそれ以上のタンパク質の、試験サンプル中における存在及び/又は量を測定することにより、試験サンプルのタンパク質シグネチャーを決定する工程を含む、個体における乳がん細胞の存在を決定するための方法であって、表1a又は1bに定義された群から選択される2つ又はそれ以上のタンパク質の、試験サンプル中における存在及び/又は量が乳がん細胞の存在の指標となる方法を提供する。好ましい実施態様において、2つ又はそれ以上のタンパク質はIL−5及び/又はMCP−3を含む。また、本発明の方法で使用するためのアレイ及び診断キットも提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乳がんの診断に使用する方法、並びに当該方法に使用するためのアレイ及びキットを提供する。
【背景技術】
【0002】
世界的に女性の中で最も一般的な形態(約30%)のがんである、乳がんの早期の及び改良された検出及び診断は必須のものである(非特許文献1、2)。プロテオミクスの最近の進歩は、がん関連のバイオマーカー発見のための新規な道を開いている(非特許文献3、4)。しかしながら、多重化したセットアップに対する高い処理能力のプロテオミクスの方法を採用し、侵襲を最小にするスクリーニング手順を提供し、血液の様な未分画の生体液を目的対象にすることは、挑戦的であることが立証されている(非特許文献1、2、4)。抗体に基づくマイクロアレイは、腫瘍プロテオミクスの中で役割を増す可能性が高い、急速に進歩してきたアフィニティ・プロテオミクス技術を代表している(非特許文献5)。最近数年間にこの技術は顕著な進展を遂げており(非特許文献6、7)(総説については、非特許文献8〜10を参照)、現在、我々が、ほんの僅かな量の検体を消費しながら、血漿や血清の様な複合プロテオーム中の多数の低含量タンパク質分析物の同時プロファイリングを行うことが可能な、小型化したアレイ・プラットホームを設計することを可能にしている(非特許文献6、12、13)。抗体マイクロアレイを採用することにより、翻訳プロテオミクスは、がん対正常プロテオームの相対的タンパク質発現プロファイリング解析が暫定的な予測バイオマーカー・シグネチャーをもたらすことができる、1つの身近な応用である(非特許文献12〜18)。臨床的見地から、我々は、また、疾患の進展と処置に対する反応を個別に監視することの可能性が増大することを必要としている。何故なら、同じ診断を受けている大多数の患者に対して同じ効果を及ぼす治療法はないからである。
【0003】
がんにおいて診断力及び予測力を増大させるために、2つ以上のバイオマーカーを使用することの臨界値がすでに提案されており(非特許文献2、19〜21)、それが、現在、特定の疾患に関連したバイオマーカー・シグネチャーの探索を促進している(非特許文献3、4)。単一のバイオマーカーでは、既知の全ての異なる疾患状態を首尾よく分類するための、確定的な診断情報を与えられそうもない、乳がんの様な不均一な疾患では、このことはその通りであり、その程度はより高くさえある。補体タンパク質C3a(非特許文献22)、がん抗原(CA)15−3(非特許文献3)、がん胎児性抗原(CEA)(非特許文献2)、MUC群の糖タンパク質(非特許文献2)、自己抗体(非特許文献2)、シアリルルイス(Lewis)X(非特許文献21、23)、及びサイトカイン(例えば、IL−6、IL−8、IL−10)(非特許文献24)の様な種々の(単一の)分析物の血清レベルの変化が、従来のプロテオミクスの方法を用いて、乳がん患者で観察されている事実によってこのことは例証されている。その上、これらのデータは決定的でなく、これらの暫定的な単一バイオマーカーの特異度と感度は余りにも低い。
【0004】
最近、モノクローナル抗体に基づく最初のマイクロアレイが乳がん細胞株の解析に応用されており、乳がんの侵入と進行を示唆する暫定的な主要因子とされるIL−8(非特許文献25〜27)、HER2(erB−2−)で誘導されるサイトカインのシグネチャーであるIL−8/GRO(非特許文献28)、並びにドキソルビシン抵抗性を伴うと思われる5つのタンパク質のシグネチャー(非特許文献29)の同定をもたらしている。同様に、Hudelist及び共同研究者らは、モノクローナル抗体マイクロアレイを用いて、同一の患者から得た正常対悪性の乳房組織の中で、1組の発現差異のあるタンパク質を検出している(非特許文献30)。
【0005】
しかしながら、乳がんの診断のための改善された方法に対する要求はまだ残っている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Hu, S.; Loo, J. A.; Wong, D. T., Human body fluid proteome analysis. Proteomics 2006, 6, (23), 6326−53.
【非特許文献2】Levenson, V. V., Biomarkers for early detection of breast cancer: what, when, and where? Biochim Biophys Acta 2007, 1770, (6), 847−56.
【非特許文献3】Cho, W. C., Contribution of oncoproteomics to cancer biomarker discovery. Mol Cancer 2007, 6, 25.
【非特許文献4】Hanash, S., Disease proteomics. Nature 2003, 422, (6928), 226−32.
【非特許文献5】Borrebaeck, C. A., Antibody microarray−based oncoproteomics. Expert Opin Biol Ther 2006, 6, (8), 833−8.
【非特許文献6】Ingvarsson, J.; Larsson, A.; Sjoholm, A. G.; Truedsson, L.; Jansson, B.; Borrebaeck, C. A. K.; Wingren, C., Design of recombinant antiody microarrays for serum protein profiling: targeting of complement proteins. J Proteome Res 2007, 6, (9), 3527−3536.
【非特許文献7】Wingren, C.; Ingvarsson, J.; Dexlin, L.; Szul, D.; Borrebaeck, C. A. K., Design of recombinant antibody microarrays for complex proteome analysis: choice of sample labeling−tag and solid support. Proteomics 2007, 7, (17), 3055−3065.
【非特許文献8】Kingsmore, S. F., Multiplexed protein measurement: technologies and applications of protein and antibody arrays. Nat Rev Drug Discov 2006, 5, (4), 310−20.
【非特許文献9】Wingren, C.; Borrebaeck, C. A. K., Antibody microarrays: current status and key technological advances. Omics 2006, 10, (3), 411−27.
【非特許文献10】Wingren, C.; Borrebaeck, C. A. K., High−throughput proteomic using antibody microarrays − un update. Expert Review of Molecular Diagnostics 2007, In press.
【非特許文献11】Pavlickova, P.; Schneider, E. M.; Hug, H., Advances in recombinant antibody microarrays. Clin Chim Acta 2004, 343, (1−2), 17−35.
【非特許文献12】Orchekowski, R.; Hamelinck, D.; Li, L.; Gliwa, E.; vanBrocklin, M.; Marrero, J. A.; Vande Woude, G. F.; Feng, Z.; Brand, R.; Haab, B. B., Antibody microarray profiling reveals individual and combined serum proteins associated with pancreatic cancer. Cancer Res 2005, 65, (23), 11193−202.
【非特許文献13】Sanchez−Carbayo, M.; Socci, N. D.; Lozano, J. J.; Haab, B. B.; Cordon−Cardo, C., Profiling bladder cancer using targeted antibody arrays. Am J Pathol 2006, 168, (1), 93−103.
【非特許文献14】Knezevic, V.; Leethanakul, C.; Bichsel, V. E.; Worth, J. M.; Prabhu, V. V.; Gutkind, J. S.; Liotta, L. A.; Munson, P. J.; Petricoin Iii, E. F.; Krizman, D. B., Proteomic profiling of the cancer microenvironment by antibody arrays. Proteomics 2001, 1, (10), 1271−1278.
【非特許文献15】Miller, J. C.; Zhou, H.; Kwekel, J.; Cavallo, R.; Burke, J.; Butler, E. B.; Teh, B. S.; Haab, B. B., Antibody microarray profiling of human prostate cancer sera: antibody screening and identification of potential biomarkers. Proteomics 2003, 3, (1), 56−63.
【非特許文献16】Shafer, M. W.; Mangold, L.; Partin, A. W.; Haab, B. B., Antibody array profiling reveals serum TSP−1 as a marker to distinguish benign from malignant prostatic disease. Prostate 2007, 67, (3), 255−67.
【非特許文献17】Sreekumar, A.; Nyati, M. K.; Varambally, S.; Barrette, T. R.; Ghosh, D.; Lawrence, T. S.; Chinnaiyan, A. M., Profiling of cancer cells using protein microarrays: discovery of novel radiation−regulated proteins. Cancer Res 2001, 61, (20), 7585−93.
【非特許文献18】Ellmark, P.; Ingvarsson, J.; Carlsson, A.; Lundin, B. S.; Wingren, C.; Borrebaeck, C. A. K., Identification of protein expression signatures associated with Helicobacter pylori infection and gastric adenocarcinoma using recombinant antibody microarrays. Mol Cell Proteomics 2006, 5, (9), 1638−46.
【非特許文献19】Jain, K. K., Personalised medicine for cancer: from drug development into clinical practice. Expert Opin Pharmacother 2005, 6, (9), 1463−76.
【非特許文献20】Louhimo, J.; Finne, P.; Alfthan, H.; Stenman, U. H.; Haglund, C., Combination of HCGbeta, CA 19−9 and CEA with logistic regression improves accuracy in gastrointestinal malignancies. Anticancer Res 2002, 22, (3), 1759−64.
【非特許文献21】Kurebayashi, J.; Nomura, T.; Hirono, M.; Okubo, S.; Udagawa, K.; Shiiki, S.; Ikeda, M.; Nakashima, K.; Tanaka, K.; Sonoo, H., Combined measurement of serum sialyl Lewis X with serum CA15−3 in breast cancer patients. Jpn J Clin Oncol 2006, 36, (3), 150−3.
【非特許文献22】Li, J.; Orlandi, R.; White, C. N.; Rosenzweig, J.; Zhao, J.; Seregni, E.; Morelli, D.; Yu, Y.; Meng, X. Y.; Zhang, Z.; Davidson, N. E.; Fung, E. T.; Chan, D. W., Independent validation of candidate breast cancer serum biomarkers identified by mass spectrometry. Clin Chem 2005, 51, (12), 2229−35.
【非特許文献23】Matsuura, N.; Narita, T.; Mitsuoka, C.; Kimura, N.; Kannagi, R.; Imai, T.; Funahashi, H.; Takagi, H., Increased level of circulating adhesion molecules in the sera of breast cancer patients with distant metastases. Jpn J Clin Oncol 1997, 27, (3), 135−9.
【非特許文献24】Nicolini, A.; Carpi, A.; Rossi, G., Cytokines in breast cancer. Cytokine Growth Factor Rev 2006, 17, (5), 325−37.
【非特許文献25】Lin, Y.; Huang, R.; Chen, L.; Li, S.; Shi, Q.; Jordan, C.; Huang, R. P., Identification of interleukin−8 as estrogen receptor−regulated factor involved in breast cancer invasion and angiogenesis by protein arrays. Int J Cancer 2004, 109, (4), 507−15.
【非特許文献26】Lin, Y.; Huang, R.; Chen, L. P.; Lisoukov, H.; Lu, Z. H.; Li, S.; Wang, C. C.; Huang, R. P., Profiling of cytokine expression by biotin−labeled−based protein arrays. Proteomics 2003, 3, (9), 1750−7.
【非特許文献27】Lin, Y.; Wang, S. M.; Lu, W. M.; Huang, R. P., [Effect of interleukin−8 in cell invasion and proliferation of human breast cancer]. Zhonghua Wai Ke Za Zhi 2005, 43, (23), 1541−4.
【非特許文献28】Vazquez−Martin, A.; Colomer, R.; Menendez, J. A., Protein array technology to detect HER2 (erbB−2)−induced 'cytokine signature' in breast cancer. Eur J Cancer 2007, 43, (7), 1117−1124.
【非特許文献29】Smith, L.; Watson, M. B.; O'Kane, S. L.; Drew, P. J.; Lind, M. J.; Cawkwell, L., The analysis of doxorubicin resistance in human breast cancer cells using antibody microarrays. Mol Cancer Ther 2006, 5, (8), 2115−20.
【非特許文献30】Hudelist, G.; Pacher−Zavisin, M.; Singer, C. F.; Holper, T.; Kubista, E.; Schreiber, M.; Manavi, M.; Bilban, M.; Czerwenka, K., Use of high−throughput protein array for profiling of differentially expressed proteins in normal and malignant breast tissue. Breast Cancer Res Treat 2004, 86, (3), 281−91.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の第1の態様は、以下の工程:
(a)検査のために血清又は血漿検体を用意し;そして
(b)表1a又は1bに定義されるタンパク質群から選択される2種又はそれ以上のタンパク質の、試験検体中における存在及び/又は量を測定することにより、試験検体のタンパク質シグネチャーを決定する;
を含む、個体における乳がん細胞の存在を決定する方法であって、表1a又は1bに定義されるタンパク質群から選択される2種又はそれ以上のタンパク質の、試験検体中における存在及び/又は量が、乳がん細胞の指標となる方法を提供することである。
【0008】
【表1】

【0009】
【表2】

【課題を解決するための手段】
【0010】
1つの実施態様において、本発明の方法の工程(b)で測定される2種又はそれ以上のタンパク質は、IL−5及び/又はMCP−3を含む。
【0011】
「乳がん」には、散発性及び遺伝性乳がんの両者が含まれる。1つの実施態様において、本方法は転移性乳がんの診断に対して提供される。
【0012】
「タンパク質シグネチャー」には、乳がんに罹患している個体からの血清/血漿検体に存在する複数のタンパク質の存在及び/又は量の組み合わせの意味が含まれ、そのタンパク質の組み合わせは、正常な又は健常な(即ち、がんに罹患していない)個体からの血清/血漿検体に存在するタンパク質の存在及び/又は量の組み合わせから識別することができる。
【0013】
工程(a)で用意される血清又は血漿検体は、一般的に血液検体に由来し、業界でよく知られた方法を用いて調製することができる。検体は、その中のタンパク質の検出に使用される方法により、自然状態のもの又は消化型のものでもよい。
【0014】
付属する実施例に詳述されるように、試験検体中に存在する特定の血清タンパク質の存在及び/又は量は、個体における乳がんのようながんの存在の指標になり得る。例えば、単一の試験検体中の特定の血清タンパク質の相対的な存在及び/又は量は、個体における乳がんのようながんの存在の指標になり得る。
【0015】
試験を受ける個体は、通常ヒトである。しかし、当然のことながら、本方法は、また、家畜又は農場の哺乳動物(ウマ、ブタ、ウシ、ヒツジ、イヌ又はネコ)の診断にも使用できる。
【0016】
1つの実施態様において、本発明の第1の態様の方法は、以下の工程:
(c)健常な(乳がんに罹患していない)個体からの血清又は血漿の対照検体を用意し;そして
(d)工程(b)で測定した2種又はそれ以上のタンパク質の、対照検体中における存在及び/又は量を測定することにより、対照検体のタンパク質シグネチャーを決定する;を更に含む方法であって、乳がん細胞の存在が、工程(b)で測定した試験検体の2種又はそれ以上のタンパク質の存在及び/又は量が、工程(b)で測定した対照検体の中の2種又はそれ以上のタンパク質の存在及び/又は量と異なる場合に確認される方法である。
【0017】
そのような工程は、工程(a)及び(b)の前、間又は後に行ってよい。
【0018】
健常な個体は、試験される個体と年齢及び/又は性が釣り合っていることが好ましい。言い換えれば、健常な個体は、試験される個体とほぼ同一年齢(例えば、5歳以内)及び同一性別である。
【0019】
代わりの実施態様において、工程(b)で測定した1種又はそれ以上のタンパク質の試験検体中における存在及び/又は量は、所定の参照値(健常な個体に対応する)と比較される。
【0020】
どちらの実施態様においても、工程(b)で測定した1種又はそれ以上のタンパク質の試験検体中の存在及び/又は量が 工程(d)で測定した1種又はそれ以上のタンパク質の存在及び/又は量又は所定の参照値と有意に異なる(即ち、統計学的に異なる)ことが好ましい。例えば、付属の実施例で考察するように、試験検体と対照検体における特定のタンパク質の存在及び/又は量の間の有意な差異は、p<0.05であるものとしてクラス分類される。
【0021】
通常、工程(b)は、表1a又は1bに定義される群から選択される少なくとも3種のタンパク質、例えば、表1a又は1bに定義する群から選択される少なくとも4種、5種、6種、7種、8種、9種又は10種のタンパク質の、試験検体中における存在及び/又は量を測定することを含む。
【0022】
例えば、工程(b)は、IL−5、IL−7、MCP−3及びTMペプチドから成る群から選択される少なくとも1種のタンパク質の試験検体中における存在及び/又は量を測定することを含むことができる。従って、工程(b)は、IL−5、IL−7、MCP−3及びTMペプチドから成る群から選択される少なくとも2種のタンパク質、例えば、3種又は4種のタンパク質の試験検体中における存在及び/又は量を測定することを含むことができる。
【0023】
「TMペプチド」により、下記の配列番号1のscFv抗体構築物がそれに特異性を有する10TMタンパク質に由来するペプチドを意味する(ここで、CDR配列には下線を引いてある):
【化1】

【0024】
従って、このscFvを使用してもよく、又は10TMタンパク質への結合についてこのscFvと競合する抗体又はその抗原結合性フラグメントのいずれを使用してもよい。例えば、抗体又はその抗原結合性フラグメントは、配列番号1に存在するものと同じCDRを含むことができる。
【0025】
当業者には当然のことながら、このような抗体は、精製の目的でアフィニティ標識(例えば、C末端に)を有して産生することができる。例えば、下記の配列番号2のアフィニティ標識を利用することができる:
【化2】

【0026】
更なる実施態様において、工程(b)は、IL−5及びMCP−3の試験検体中における存在及び/又は量を測定することを含むことができる。
【0027】
或いはまた、又は更に、工程(b)は、C3、C4、C5、IL−8及びシアリルルイス(Lewis)Xから成る群から選択される少なくとも1種のタンパク質の、試験検体中における存在及び/又は量を測定することを含むことができる。従って、工程(b)は、C3、C4、C5、IL−8及びシアリルルイス(Lewis)Xから成る群から選択される少なくとも2種のタンパク質、例えば、3種、4種又は5種のタンパク質の、試験検体中における存在及び/又は量を測定することを含むことができる。
【0028】
工程(b)は、更に、表1bに定義される少なくとも1種のタンパク質の、試験検体中における存在及び/又は量を測定することを含むことができる。従って、1つの実施態様において、工程(b)は、表1bに定義される全てのタンパク質の試験検体中における存在及び/又は量を測定することを含むことができる。
【0029】
本発明の第1の態様の最も好ましい実施態様において、工程(b)は、表1a又は1bに定義される9種のタンパク質の全ての、試験検体中における存在及び/又は量を測定することを含む。
【0030】
乳がんの陽性診断は、C3、C4、C5、IL−8及びシアリルルイス(Lewis)Xの1種又はそれ以上の存在又は量の増加(健常者対照又は所定の参照値と比較して)により示唆することができる。或いはまた、又は更に、乳がんの陽性診断は、IL−5、IL−7、MCP−3、TMペプチドの1種又はそれ以上の不存在又は量の減少(健常対照者又は所定の参照値と比較して)により示唆することができる。
【0031】
有利なことに、C3、C4、C5、IL−8、シアリルルイス(Lewis)X及びIL−3の1種及び/又はそれ以上の存在又は量の増加、及び/又は、IL−5、IL−7、MCP−3、TMペプチド及びTNF−βの1種又はそれ以上の不存在又は量の減少(健常対照者又は所定の参照値と比較して)を、試験対象の個体における乳がんの陽性診断の指標にすることができる。
【0032】
1つの実施態様において、本発明の第一の態様の方法は、個体の治療前歴を確定する工程を更に含む。このことは、患者が、試験すべき血清又は血漿検体を提供する前に、何らかの抗炎症剤及び/又はホルモン剤を服用していたかどうかを確定することを含んでよく、又はそれから成ってよい。
【0033】
従って、本発明の方法は、血清又は血漿検体を提供する前に(例えば、検体が採集された日から1週間、又は1、2、3、4、5、6か月又はそれ以上以内に)、抗炎症剤及び/又はホルモン剤を服用していない患者の診断に使用することができる。
【0034】
そのような患者が試験される場合、工程(b)は、好ましくは、TNF−β、IL−12、C4、MCP−1、IL−3、IL−7、インテグリンα−10及びIL−4から成る群から選択される1種又はそれ以上のタンパク質の、試験検体中における存在及び/又は量を測定することにより、試験検体のタンパク質シグネチャーを決定することを含む。例えば、工程(b)は、TNF−β、IL−12、C4、MCP−1、IL−3、IL−7、インテグリンα−10及びIL−4から成る群から選択される2種又はそれ以上のタンパク質、例えば、少なくとも3種、4種、5種、6種又は7種のタンパク質の、試験検体中における存在及び/又は量を測定することにより、試験検体のタンパク質シグネチャーを決定することを含むことができる。最も好ましくは、工程(b)は、TNF−β、IL−12、C4、MCP−1、IL−3、IL−7、インテグリンα−10及びIL−4から成る群の全タンパク質の、試験検体中における存在及び/又は量を測定することにより、試験検体のタンパク質シグネチャーを決定することを含む。
【0035】
上記の本発明の方法の1つの実施態様において、工程(b)及び/又は工程(d)は、表面プラズモン共鳴、表面プラズモン共鳴画像処理又はマススペクトロメトリー(単一又は直列)の様な、非標識検出技術を使用して実施することができる。この様な方法をタンパク質やペプチドの検出に応用することは、当業界では周知のことである。
【0036】
上記の本発明の方法の更なる実施態様において、工程(b)及び/又は工程(d)は、2種又はそれ以上のタンパク質(これらは、マイクロアレイの様な試験基板の表面に固定化されてよい)に結合することができる、第1の結合剤を使用して実施することができる。
【0037】
好適な結合剤(結合分子とも呼ばれる)は、以下で考察するような所定のタンパク質又はモチーフを結合する能力に基づいて、ライブラリーから選択又はスクリーニングすることができる。
【0038】
好ましくは、1種又はそれ以上の第1の結合剤は、抗体(IgG分子のような)又はその抗原結合性フラグメントである。抗体又はそのフラグメントは、モノクローナル抗体又はその抗原結合性フラグメントであれば都合がよい。
【0039】
用語「抗体」は、イムノグロブリン分子の軽鎖及び/又は重鎖の可変部及び/又は定常部のファージディスプレイ法によって産生される1本鎖抗体、又は当業者に公知のイムノアッセイ法において、抗原に結合することができる他の免疫相互作用分子などの様な、しかしそれらに限定されない、合成抗体、遺伝子組み換え抗体又は抗体ハイブリッドのいずれをも含む。
【0040】
アフィボディやアプタマーの様な抗体様の結合剤の使用も含まれる。
【0041】
特異的な結合部位を保持している抗体フラグメントの合成に関わる技術の全般的な総説は、Winter & Milstein(1991) Nature 349, 293−299に見出すことができる。
【0042】
更に、又は代わりに、第一の結合分子はアプタマーでもよい(Collett et al., 2005, Methods 37:4−15)を参照)。
【0043】
抗体ライブラリー(Clackson et al, 1991, Nature 352, 624−628; Marks et al, 1991, J Mol Biol 222(3): 581−97)、ペプチドライブラリー(Smith, 1985, Science 228(4705): 1315−7)、発現cDNAライブラリー(Santi et al (2000) J Mol Biol 296(2): 497−508)、アフィボディの様な抗体の構造とは別の骨格に関するライブラリー(Gunneriusson et al, 1999, Appl Environ Microbiol 65(9): 4134−40)、又はアプタマーに基づくライブラリー(Kenan et al, 1999, Methods Mol Biol 118, 217−31)のような分子ライブラリーを、本発明の方法で使用するために、所定のモチーフに対して特異的な結合分子がそれから選択される供給源として使用してもよい。
【0044】
この分子ライブラリーは、原核細胞で(Clackson et al, 1991, op. cit.; Marks et al, 1991, op. cit.)又は真核細胞で(Kieke et al, 1999, Proc Natl Acad Sci USA, 96(10):5651−6)インビボで発現してもよく、又は細胞の関与なしにインビトロで発現(Hanes & Pluckthun, 1997, Proc Natl Acad Sci USA 94(10):4937−42; He & Taussig, 1997, Nucleic Acids Res 25(24):5132−4; Nemoto et al, 1997, FEBS Lett, 414(2):405−8)してもよい。
【0045】
タンパク質に基づくライブラリーを使用する場合は、潜在的な結合分子のライブラリーをコード化する遺伝子は、しばしば、ウイルス内に封入されており、潜在的な結合分子は、そのウイルスの表面に表示される(Clackson et al, 1991, supra; Marks et al, 1991, supra; Smith, 1985, supra)。
【0046】
多分、最も一般的に使用されている表示システムは、その表面に抗体フラグメントを表示する糸状バクテリオファージであり、その抗体フラグメントはバクテリオファージの小コートタンパク質への融合体として発現される(Clackson et al, 1991, supra; Marks et al, 1991, supra)。しかしながら、他の好適な表示システムは、他のウイルス(欧州特許第39578号)、細菌(Gunneriusson et al, 1999, supra; Daugherty et al, 1998, Protein Eng 11(9):825−32; Daugherty et al, 1999, Protein Eng 12(7):613−21)、及び酵母(Shusta et al, 1999, J Mol Biol 292(5):949−56)の使用を含む。
【0047】
更に、表示システムは、いわゆるリボソーム表示システムにおける、ポリペプチド産物のそれをコード化したmRNAへの結合(Hanes & Pluckthun, 1997, supra; He & Taussig, 1997, supra; Nemoto et al, 1997, supra)、又は代わりにポリペプチド産物のそれをコード化したDNAへの結合(US Patent No. 5,856,090 及び国際公開公報第98/37186号を参照)を利用して開発されている。
【0048】
抗体の可変重鎖(VH)及び可変軽鎖(VL)ドメインは抗原認識に関わっているが、事実は初期のプロテアーゼ消化実験によって最初に認められた。更なる確認は、げっ歯類の抗体の「ヒト型化」によってなされた。げっ歯類由来抗体の可変部ドメインはヒト由来の定常部ドメインに融合することができて、その結果生成した抗体はげっ歯類から受け継いだ抗体の抗原特異性を保持する(Morrison et al (1984) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81, 6851−6855)。
【0049】
抗原特異性が可変部ドメインに受け継がれ、定常部ドメインとは独立していることは、全て1つ又はそれ以上の可変部ドメインを含む抗体フラグメントの細菌発現に関係する実験から分かっている。これらの分子は、Fab様分子(Better et al (1988) Science 240, 1041)、Fv分子(Skerra et al (1988) Science 240, 1038)、VHとVLのパートナー・ドメインが可変オリゴペプチドを介して結合している1本鎖Fv(ScFv)分子(Bird et al (1988) Science 242, 423; Huston et al (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85, 5879)、及び単離されたVドメインを含む1本鎖ドメインの抗体(dAbs)(Ward et al (1989) Nature 341, 544)を含む。それらの特異的な結合部位を保持している抗体フラグメントの合成に関する技術の全般的な総説は、Winter & Milstein (1991) Nature 349, 293−299に見出される。
【0050】
従って、抗体又は抗原結合性フラグメントは、未処理の抗体、Fvフラグメント(例えば、1本鎖Fv[scFv]及びジスルフィド結合したFv)、Fab様フラグメント(例えば、Fabフラグメント、Fab'フラグメント及びF(ab)2フラグメント)、1本鎖可変部ドメイン(例えば、VH及びVLドメイン)及びドメイン抗体(dAbs、単一及び二重形式を含む[即ち、dAb−リンカー−dAb])から成る群から選択することができる。
【0051】
「scFv分子」により、VHとVLのパートナー・ドメインが可変オリゴペプチドを介して結合している分子を意味する。
【0052】
抗体全体よりもむしろ抗体フラグメントを使用することは、数倍有利である。より小さなサイズのフラグメントは、固体組織への浸透し易さのような、改善された薬理学的特性をもたらすことができる。補体結合のような、抗体全体のエフェクター機能は除外される。Fab、Fv及びdAb抗体フラグメントは、全て大腸菌の中に発現し、また大腸菌から分泌することができ、従って、大量の該フラグメントを容易に産生することを可能にする。
【0053】
抗体全体及びF(ab’)2フラグメントは「2価」である。「2価」によって、該抗体及びF(ab’)2フラグメントは2つの抗原結合部位を有していることを意味する。逆に、Fab、Fv、ScFv及びdAbフラグメントは1価であり、ただ1つの抗原結合部位を有している。
【0054】
抗体はモノクローナル又はポリクローナルであってよい。好適なモノクローナル抗体は、公知の技術、例えば、“Monoclonal Antibodies: A manual of techniques”(「モノクローナル抗体:技術マニュアル」), H Zola (CRC Press, 1988」)及び“Monoclonal Hybridoma Antibodies: Techniques and applications”(「モノクローナル・ハイブリドーマ抗体:技術と応用」), J G R Hurrell (CRC Press, 1982)に開示されている技術により、製造することができる。上記文献の両者は、参照することにより本明細書に取り入れられている。
【0055】
潜在的結合分子をライブラリーから選択する場合、定義されたモチーフを有する1種又はそれ以上の選択ペプチドが通常採用される。ぺプチド内の可変性を減少させる構造を提供するアミノ酸残基、又は結合分子との相互作用を可能にする、荷電を有する、極性の、又は疎水性の側鎖を、選択ペプチドのモチーフの設計に使用することができる。例えば:
(i)プロリンは、その側鎖がα炭素並びに窒素の双方と結合するので ペプチド構造を安定化させることができる。
(ii)フェニルアラニン、チロシン及びトリプトファンは、芳香族側鎖を有しており高度に疎水性であるが、一方、ロイシン及びイソロイシンは、脂肪族側鎖を有し、同様に疎水性である。
(iii)リジン、アルギニン及びヒスチジンは塩基性の側鎖を有し、中性pHではプラスに荷電されるが、一方、アスパラギン酸塩及びグルタミン酸塩は酸性側鎖を有し、中性pHではマイナスに荷電される。
(iv)アスパラギン及びグルタミンは中性pHでは中性であるが、水素結合に関与することができるアミド基を含む。
(v)セリン、スレオニン及びチロシンの側鎖は水素結合に関与することができる水酸基を含む。
【0056】
一般的には、結合分子の選択は、結合分子のタイプに対応する点への結合を解析するアレイ技術及びシステムの使用を含むことができる。
【0057】
当業者には当然のことながら、工程(b)及び/又は工程(d)を実施する前に、試験検体中の1種又はそれ以上のタンパク質を検出可能な部分構造で標識することができる。
【0058】
「検出可能な部分構造」は、その存在及び/又は相対量及び/又は位置(例えば、アレイ上の位置)を、直接又は間接のいずれにおいても測定することを可能にする部分構造を含む。
【0059】
好適な検出可能な部分構造は、当業界では周知のことである。
【0060】
例えば、検出可能な部分構造は蛍光性及び/又は発光性及び/又は化学発光性の部分構造であってよく、それらは特定の条件に曝露された場合検出することができる。そのような蛍光性部分構造は、蛍光性部分構造の励起を起こさせる特異的な波長と強度での輻射(即ち光)に暴露されることを必要とし、それにより、蛍光性部分構造が、検出可能な蛍光を検出することができる特定の波長において発光することを可能にする。
【0061】
或いはまた、検出可能な部分構造は、ある基質(好ましくは検出不可能な)を可視化及び/又は検出することができる、検出可能な生成物に転換することができる酵素であってもよい。好適な酵素の例は、例えば、ELISAアッセイに関連して以下でより詳細に考察する。
【0062】
更なる実施態様において、検出可能な部分構造はイメージングに有用な放射性原子でもよい。好適な放射性原子は、シンチグラフィー試験のための99mTc及び123Iを含む。他の容易に検出可能な部分構造は、例えば、再度123Iや、131I、111In、19F、13C、15N、17O、ガドリニウム、マンガン及び鉄のような磁気共鳴イメージング(MRI)のスピン標識を含む。明らかに、検出すべき物質(例えば、本明細書に記載された試験サンプル及び/又は対照サンプル内の1つ又はそれ以上のタンパク質、及び/又は選択されたタンパク質の検出に使用する抗体分子のような)は、検出可能な部分が容易に検出可能であるために、十分な適切な同位元素を有していなければならない。
【0063】
放射性又は他の標識は、本発明の方法の検体中に存在するタンパク質及び/又は本発明の結合剤に、公知の方法で組み込むことができる。例えば、結合剤がポリペプチドの場合は、例えば、水素に代えてフッ素19を含む好適なアミノ酸前駆体を用いて、生合成することができ又は化学的なアミノ酸合成で合成することができる。99mTc、123I、186Rh、188Rh及び111Inのような標識は、例えば、結合部分構造のシステイン残基を経由して結合することができる。イットリウム99は、リジン残基を経由して結合することができる。IODOGEN法(Fraker et al (1978), Biochem. Biophys. Res. Comm. 80, 49−57)は、123Iを組み込むために使用することができる。参考文献(“Monoclonal Antibodies in Immunoscintigraphy”(「イムノシンチグラフィーにおけるモノクローナル抗体」), J−F Chatal, CRC Press, 1989)には、他の方法が詳細に記載されている。他の検出可能な部分構造(酵素的、蛍光性、発光性、化学発光性又は放射性部分構造のような)をタンパク質に結合する方法は、当業界では周知のことである。
【0064】
当業者には当然のことであるが、試験される1つ又は複数の検体中のタンパク質は、部分構造を用いて標識することができ、その部分構造は、該タンパク質の存在、量及び/又は位置の測定を間接的に助ける。従って、その部分構造は、多成分の検出可能な部分構造の1つの成分を構成することができる。例えば、試験される1つ又は複数の検体の中のタンパク質はビオチンを用いて標識することができ、そのビオチンは、検出可能な標識に融合するか又は別の方法で結合したストレプトアビジンを用いて、引き続いて検出することを可能にする。
【0065】
本発明の第1の態様の更なる実施態様において、この方法の工程(b)及び/又は工程(d)はアレイを用いて実施される。
【0066】
アレイそれ自体は、当業界では周知のことである。一般的には、それらは、固体の支持体の表面に形成された、間隔を空けて離れた(即ち、不連続な)領域(「スポット」)を有し、それぞれのスポットが有限の面積を有する、線形又は2次元の構造に形成される。アレイは、また、ビーズ構造をとることもでき、それぞれのビーズは、分子コード又はカラーコードで同定することができるか、又は連続流の中で同定することができる。解析も、また、順次実施することができ、この際、検体は一連のスポットを通過し、それぞれのスポットではその種類の分子を溶液から吸着する。固体の支持体は一般的にはガラス又はポリマーであり、最も一般的に使用されているのはセルロース、ポリアクリルアミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル又はポリプロピレンである。固体の支持体は、管、ビーズ、ディスク、シリコンチップ、マイクロプレート、ポリビニリデンジフルオリド(PVDF)膜、ニトロセルロース膜、ナイロン膜、他の多孔膜、無孔膜(例えば、とりわけ、プラスチック、ポリマー、パースペクス、シリコン)、複数のポリマーピン、又は複数のマイクロタイターウェル、又はタンパク質、ポリヌクレオチド、及び他の好適な分子を固定化する及び/又はイムノアッセイを行うのに好適ないずれの表面の形態であってもよい。結合方法は当業界では周知のことであり、全般的には、タンパク質分子、ポリヌクレオチドなどを固体の支持体に共有結合する架橋又は物理的に吸着することから成る。或いはまた、アフィニティ標識又は類似の構築物を経由したプローブのアフィニティ結合を利用してもよい。接触プリンティング又は非接触プリンティング、マスキング又はフォトリソグラフィーのような、公知の技術を使用することにより、各スポットの位置を規定することができる。総説については、Jenkins, R.E., Pennington, S.R. (2001, Proteomics, 2,13−29) 及び Lal et al (2002, Drug Discov Today 15;7(18 Suppl):S143−9) を参照されたい。
【0067】
一般的にアレイはマイクロアレイである。「マイクロアレイ」により、少なくとも約100/cm2、好ましくは少なくとも約1,000/cm2の密度の不連続な領域を有する領域のアレイを意味する。マイクロアレイの中の領域は、標準的な寸法、例えば、約10〜250マイクロメートルの間の範囲の直径を有し、そのアレイの中でほぼ同じ距離だけ他の領域から分離している。アレイは代わりに、マクロアレイ又はナノアレイであってもよい。
【0068】
ひとたび好適な結合分子(上で議論した)が同定され単離されれば、当業者は、分子生物学ではよく知られた方法を用いて、アレイを製造することができる:以下の実施例を参照されたい。
【0069】
本発明の方法の更なる実施態様において、工程(b)及び/又は工程(d)は、1種又はそれ以上のタンパク質に結合することができる第2の結合剤を含むアッセイを用いて実施することができ、第2の結合剤も、また、検出可能な部分構造を有する。好適な結合剤は、第1の結合剤に関連して上記に詳細に記載されている。
【0070】
従って、試験される検体中の対象とするタンパク質は、最初に第1の結合剤を用いて単離及び/又は固定化することができ、その後該タンパク質の存在及び/又は相対量を、第2の結合剤を用いて測定することができる。
【0071】
1つの実施態様において、第2の結合剤は抗体又はその抗原結合性フラグメントであり;一般的には遺伝子組み換え抗体又はそのフラグメントである。都合のよいことには、抗体又はそのフラグメントは、scFv、Fab、イムノグロブリン分子の結合ドメインから成る群から選択される。好適な抗体及びフラグメント、及びそれらを作成する方法は、上に詳細が記載されている。
【0072】
或いはまた、第2の結合剤は、アフィボディ又はアプタマーのような抗体様の結合剤であってよい。
【0073】
或いはまた、試験される検体中のタンパク質の検出可能な部分構造が特異的な結合ペア(例えば、ビオチン)のメンバーを含み又はそれから成る場合は、第2の結合剤は、その特異的な結合ペアの相補的なメンバー(例えば、ストレプトアビジン)を含み又はそれから成ることができる。
【0074】
検出アッセイを用いる場合、検出可能な部分構造は、蛍光性部分構造、発光性部分構造、化学発光性部分構造、放射性部分構造、酵素部分構造から成る群から選択することが好ましい。本発明の方法で使用するための好適な検出可能な部分構造の例は、上に記載されている。
【0075】
血清又は血漿タンパク質を検出するための好ましいアッセイは、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、放射免疫測定法(RIA)、免疫放射定量測定法(IRMA)及び免疫酵素分析法(IEMA)を含み、モノクローナル及び/又はポリクローナル抗体を用いたサンドイッチ・アッセイを含む。代表的なサンドイッチ・アッセイは、David らの米国特許第4,376,110号及び同第4,486,530号に記載されており、これらは、参照することにより本明細書に取り入れられている。スライド上での細胞の抗体染色は、細胞学検査室診断検査で周知の、そして同様に当業者に周知の方法で使用することができる。
【0076】
従って、1つの実施態様において、アッセイはELISA(酵素結合免疫吸着測定法)であり、これは、一般的には、通常は固相アッセイで呈色反応生成物を与える酵素の使用を含む。セイヨウワサビ・ぺルオキシダーゼ及びホスファターゼのような酵素が広く採用されている。ホスファターゼ反応を増幅する1つの方法は、基質としてNADPを使用してNADを産生し、それが今度は第2の酵素システムの補酵素として作用する方法である。大腸菌由来のピロホスファターゼは良好な結合体を提供する。何故なら、この酵素は組織中には存在せず、安定で、良好な反応色を呈するからである。ルシフェラーゼのような酵素に基づいた化学発光法も、また、使用することができる。
【0077】
ビタミンであるビオチンとの結合はしばしば用いられているが、それは、これが強い特異度と親和性で結合する、酵素結合したアビジン又はストレプトアビジンとの反応により容易に検出できるためである。
【0078】
代わりの実施態様において、タンパク質検出に用いられるアッセイは、蛍光測定アッセイが便利である。従って、第2の結合剤の検出可能な部分構造は、Alexa蛍光色素分子(例えば、Alexa−645)のような蛍光性部分構造であってよい。
【0079】
本発明の第2の態様は、本発明の第1の態様に記載の方法の中で使用するためのアレイであって、上に定義した2種又はそれ以上の第1の結合剤を含むアレイを提供することである。
【0080】
1つの実施態様において、2種又はそれ以上の第1の結合剤はIL−5及び/又はMCP−3に結合する。
【0081】
好ましくは、このアレイは、(総合的に)表1a又は1bに定義された、タンパク質の全てと結合することができる、複数の第1の結合剤を含み又はそれから成り、その結合剤は固定化される。
【0082】
本発明の方法において使用するのに好適なアレイは、上記で詳細に考察されている。
【0083】
本発明の第3の態様は、個体における乳がん細胞の存在を決定するための診断的な共同指標として組み合わせた、表1a又は1bに定義された群から選択される2種又はそれ以上のタンパク質の使用を提供することである。
【0084】
1つの実施態様において、2種又はそれ以上のタンパク質はIL−5及び/又はMCP−3を含む。
【0085】
表1a又は1bに定義されるタンパク質の全ては、総合的に個体における乳がん細胞の存在を決定する診断的な共同指標として(即ち、タンパク質シグネチャーとして)有利に使用される。
【0086】
本発明の第4の態様は、本発明の第1の態様に記載の方法で使用するための診断キットであって、以下のもの:
(a)本発明の第2の態様に記載のアレイ;及び
(b)本発明の第1の態様に記載の方法を実施するための指示(任意);
を含み又はそれらから成るキットを提供することである。
【0087】
1つの実施態様において、キットは1種又はそれ以上の上記で定義した第2の結合剤を更に含む。
【0088】
当然のことながら、本発明のキットは、健常な個体から得られるか又はそれに由来するタンパク質の「陰性対照」検体、及び/又は、乳がんに罹患している個体から得られるか又はそれに由来するタンパク質の「陽性対照」検体のような、1種又はそれ以上の対照検体を更に含んでよい。
【0089】
本発明のある態様を具体化する好ましいが非限定的な実施例を、以下の図面を参照しながら記載する。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1a】遺伝子組み換えscFv抗体マイクロアレイの評価を示す図である。1,280点のデータを含む、転移性乳がんサンプルの典型的マイクロアレイ走査画像。
【図1b】遺伝子組み換えscFv抗体マイクロアレイの評価を示す図である。アッセイ内の(intraassay)再現性、即ちスポット間の変動。相関係数は0.99であった。
【図1c】遺伝子組み換えscFv抗体マイクロアレイの評価を示す図である。アッセイ間の(interassay)再現性、即ち2連(duplicate)実験の再現性。相関係数は0.96であった。
【図2a】遺伝子組み換えscFv抗体マイクロアレイを用いた血清タンパク質のプロファイリングによる、転移性乳がんのクラス分類を示す図である。129の分析物の全てに基づく、サポート・ベクター・マシーン(Support Vector Machine、SVM)によるリーブ・ワン・アウト(leave−one−out)交差バリデーション法を用いた、転移性乳がん患者(n=20)と健常対照(n=20)から得た受信者動作特性(ROC)曲線。
【図2b】遺伝子組み換えscFv抗体マイクロアレイを用いた血清タンパク質のプロファイリングによる、転移性乳がんのクラス分類を示す図である。129の被検体の全てに基づくSVM予測値を用いた血清サンプルのクラス分類。9つの非重複血清被検体に対応する11の最高にランクされた(即ち有意に発現差のある)被検体が、階層的に集合しているヒートマップを示す。
【図2c】遺伝子組み換えscFv抗体マイクロアレイを用いた血清タンパク質のプロファイリングによる、転移性乳がんのクラス分類を示す図である。トップ3の発現差のある被検体、C4、IL−8及びC5について観察されるシグナル強度。平均値が示されている。
【図3a】転移性乳がん患者のクラス分類に対する、薬物の効果及び臨床的パラメーターの効果を示す図である。乳がん患者(n=6)と、血清サンプルを採取した時にいずれの薬物(抗炎症薬及び/又はホルモン類)も服用していない健常対照(n=6)のクラス分類。発現差のある被検体(p<0.05)はWilcoxon検定を用いて確認し、教師なし(unsupervised)階層的クラスタリングによりヒートマップに可視化させた。
【図3b】転移性乳がん患者のクラス分類に対する、薬物の効果及び臨床的パラメーターの効果を示す図である。転移性乳がん患者、ステージIII及びIV(n=8)と健常対照(n=6)のクラス分類。発現差のある被検体(p<0.05)は、Wilcoxon検定を用いて確認し、教師なし階層的クラスタリングによりヒートマップに可視化させた。
【図4a】転移性乳がん患者と非転移性乳がん患者のコホートを比較した場合の、TNF−βの発現差レベル(P<0.05)を示す図である。
【図4b】転移性乳がん患者と非転移性乳がん患者のコホートを比較した場合の、IL−3の発現差レベル(P<0.05)を示す図である。
【実施例】
【0091】
本研究において、本発明者らは、女性、閉経後、同年齢の転移性乳がん患者(n=20)と健常対照(n=20)をクラス分類するための、大規模な遺伝子組み換えscFv抗体マイクロアレイの潜在能力を、血清タンパク質のディファレンシャルプロファイリングに基づいて、初めて同定した。この小型化したセットアップは、未分画の血清中の、主に免疫制御タンパク質を含む、ピコモル範囲でさえある被検体のプロファイリングを、僅かマイクロリットル量の臨床サンプルを消費しながら行う、独特の手段を提供した(非特許文献6、7、31)。その結果は、幾つかの発現差のある血清タンパク質を検出することができること、及びこの乳がんに関連したバイオマーカー・シグネチャーは、転移性乳がん患者をクラス分類するのに用いることができることを実証している。
【0092】
材料及び方法
サンプル
Lund大学病院がん科(Lund, Sweden)から供給された、合計40の血清検体がこの研究に含まれた。血清サンプルは、閉経後の女性で、その20名は転移性乳がんに罹患していた患者(BC1からBC20に記号付けされた)及び20名の健常でそれに釣り合った対照被験者(N1からN20に記号付けされた)から採集された。患者の基本情報(demographics)、及びエストロゲン受容体(ER)状態、プロゲステロン受容体(PgR)状態、臨床ステージ、組織学的タイプ及び組織学的悪性度を含む更なる臨床パラメーターに関する情報、及び抗炎症薬/ホルモン類の服用に関する情報を表2に示す。
【0093】
【表3】

【0094】
標識化
血清サンプルは、予め血清プロテオームの最適標識化プロトコールを用いて標識した(非特許文献6、7、31)。全ての血清サンプルは、EZリンク−スルホ−NHS−LC−ビオチン(Pierce, Rockford, IL, USA)を用いてビオチン化した。50μLの血清サンプルのアリコートを4℃にて16,000xgで20分間遠心分離し、PBSで1:45に希釈し、その結果、最終的なタンパク質濃度が約2mg/mLになるようにした。次いで、スルホ−NHS−ビオチンを最終濃度10mMになるように加え、サンプルを氷上で2時間、20分ごとに注意深くボルテックスしながらインキュベートした。未反応のビオチンを4℃で72時間PBSに対して透析して除去した。最終的にサンプルをアリコートにして、使用するまで−20℃で保存した。
【0095】
scFvの産生と精製
主に免疫制御に関与する60種の異なるタンパク質に対する129のヒト組み換え型scFv抗体フラグメント(表3)が、n−CoDeRライブラリー(非特許文献32)から厳密に選択され、BioInvent International AB (Lund, Sweden)の厚意で提供された。それ故、幾つかの抗原は最大4種の異なるscFvクローンにより認識された。全てのscFvのプローブを、100mLの大腸菌培養で生産し、発現上清か、ペリプラズム調製物から、Ni−NTAアガロース(Qiagen, Hilden, Germany)のアフィニティ・クロマトグラフィーを用いて精製した。結合した分子は250mMのイミダゾールで溶離し、PBS液に対して十分に透析し、そして更なる使用まで4℃で保存した。タンパク質濃度は、280nmにおける吸光度で測定して決定した(平均濃度:210μg/mL、最小最大幅60〜1,090μg/mL)。scFv抗体の純度と完全性は、10%SDS−PAGE(Invitrogen, Carlsbad, CA, USA)により評価した。
【0096】
【表4】

【0097】
抗体マイクロアレイの生産とプロセッシング
抗体マイクロアレイの生産と取扱いは、以前に最適化されたセットアップに従って行った(非特許文献6、7、18、31)。簡単に言えば、scFvマイクロアレイは、圧電技術を用い、1滴あたり約330pLを堆積する非接触型プリンター(Biochip Arrayer 1, Perkin Elmer Life & Analytical Sciences, Wellesley, MA, USA)を用いて組み立てられた。scFv抗体は、各位置に2滴ずつスポットすることによって配列し、そして最初の1滴は、2滴めが分配される前に乾燥するようにした。抗体は、黒色のポリマーMaxiSorpマイクロアレイ・スライド(NUNC A/S, Roskilde, Denmark)の上にスポットされ、その結果1スポット当たり平均5fmolのscFv(最小最大幅 1.5〜25fmol)となった。各scFvクローンにつき8連の複製は、統計学的に適切であることを確保するために配列した。その後の定量化の間の格子(grid)のアラインメントを補助するために、Cy5を結合したストレプトアビジン(2μg/mL)を含む行を、10行ごとに滴下した。スライド当たり総計で160の抗体及び対照を、1列当たり8×80スポットで2列に配向してプリントした。疎水性のペン(DakoCytomation Pen, DakoCytomation, Glostrup, Denmark)を用いて、アレイの周りに疎水性バリアを引いた。アレイを、PBS中の5%(w/v)無脂肪粉末ミルク(Semper AB, Sundbyberg, Sweden)500μLで、終夜ブロックした。全てのインキュベーションは、室温(RT)下の加湿チャンバー内で行った。次いで、アレイをPBS中の0.05%Tween−20(PBS−T)400μLで4回洗い、PBS中の1%(w/v)無脂肪粉末ミルク及び1%Tween(PBS−MT)に1:10に希釈した350μLのビオチン化血清(血清の全希釈が1:450になる)と共に1時間インキュベートした。次に、アレイを400μLのPBS−Tで4回洗い、PBS−MTで希釈した350μLの1μg/mLAlexa−647結合ストレプトアビジンと1時間インキュベートした。最後に、アレイを4回400μLのPBS−Tで洗浄し、窒素気流下で直ちに乾燥させ、共焦点マイクロアレイスキャナー(ScanArray Express, Perkin Elmer Life & Analytical Sciences)を用い、5μmの解像度で6種類の異なるスキャナー手順でスキャニングを行った。ScanArray ExpressソフトウェアV3.0 (Perkin Elmer Life & Analytical Sciences)を使って、各スポットの強度を固定円法(fixed circle method)により定量化した。局所バックグラウンドを差し引き、局所的な欠損の可能性あるものは補正し、最高2連と最低2連の複製データは自動的に削除し、そして各データ点は残り4連の複製データの平均値で表した。飽和シグナルを表示するタンパク質被検体については、よい低いスキャナー設定からの値を拡大し、代わりに用いた。
【0098】
マイクロアレイデータの正規化
データセットのチップ間(chip−to−chip)の正規化を、概念としてはDNAマイクロアレイに用いた正規化の方法に類似した、準世界的正規化法を用いて行った。変動係数(CV)は、先ず全被検体にわたり各被検体ごとに計算し、ランク付けを行った。全被検体を通して、最低のCV値を表示する15%の被検体(21個の被検体に対応する)を確認し、チップ間(chip−to−chip)正規化因子を計算するのに用いた。正規化因子NiをNi=Si/μで計算した。ここで、Siは各被検体に対する21個の被検体のシグナル強度の合計であり、μは全被検体のSiの平均値である。1個の被検体から得られた各データセットを、正規化因子Niで除した。全被検体のシグナル強度のLog2値を計算し、Wilcoxon検定を用いてランク付けを行った。
【0099】
マイクロアレイデータ解析
サポート・ベクター・マシーン(SVM)は、本発明者らが検体を健常か乳がんのどちらかにクラス分類するのに用いた、教師あり(supervised)学習法である(図2)。教師ありクラス分類は、線形カーネルを使用し、制約の費用をR関数SVMにおけるデフォルト値として1に設定し、そしてそれを調整する試みはしなかった。このパラメーター同調の非存在は、オーバーフィッティングを避けるために選択された。SVMは、リーブ・ワン・アウト(leave−one−out)交差バリデーション法の手順を用いて学習した。簡単に言うと、学習(training)セット(n=40)を、サンプルを1つずつ排除する反復プロセスで作成した。次いで、SVMは盲検下で、排除した検体が健常か乳がんかをクラス分類し、そして超平面との符号付きの距離である、SVMの決定値を割り振ることを求められた。SVMの学習をする前に、データにフィルターを掛けることはしなかった。更に、SVMの決定値及びその曲線下面積を用いて構成して受信者動作特性(ROC)曲線を得た。より小さなコホートのサンプルを比較検討した(図3)それらの例においては、有意に上方又は下方制御された被検体(P<0.05)を、Wilcoxon検定、対数変換及び平均中心化を用いて求めた。次いで、検体を階層的に集積し、Cluster and TreeView(非特許文献33)を用いてヒートマップとして可視化した。
【0100】
結果
scFvマイクロアレイの評価
本発明者らは、転移性乳がん患者(n=20)及び健常対照(n=20)からの直接標識した未分画血清サンプルを、大規模な遺伝子組み換え抗体マイクロアレイを用いて解析した。アレイは、主に免疫制御性の60種の血清タンパク質に対して向けられた129個のヒト遺伝子組み換えscFv抗体から構成された(表3)。乳がん血清の典型的なマイクロアレイ画像を図1Aに示すが、動的なシグナル強度、均一で明確なスポットの形状、並びに高いシグナル対ノイズ比が得られたことを実証している。このセットアップの再現性は、i)アッセイ内の再現性、即ちスポット間の変動(図1B)、そしてii)アッセイ間の相関関係、即ち2連の(duplicate)実験(同一検体であるが、異なるアレイで解析)(図1C)を決定することにより、検証された。以前の結果(非特許文献6)と一致し、アッセイ内の再現性は0.99及びアッセイ間の再現性は0.96であり、その再現性は高いものであることが分かった。 複合プロテオームを標的とするマイクロアレイセットアップの特異度及び感度(pM範囲)は、これまでに検証されている(非特許文献6、7、18、31、32)。
【0101】
転移性乳がんのクラス分類
マイクロアレイセットアップの、転移性乳がん患者を簡単な血液試験に基づいてクラス分類する能力を評価するために、本発明者らは、チップに含まれている129種の抗体の全てによって生成される血清タンパク質の発現プロファイルを検討した(図2及び表3)。そこで、本発明者らは、サポート・ベクター・マシーン(SVM)を用いて、リーブ・ワン・アウト交差バリデーションを実行し、そして各サンプルについての決定値を収集した。図2Aに、SVMにより生成された決定値を用いて、受信者動作特性(ROC)曲線を構築した。その結果、転移性乳がんと健常対照は鑑別可能であることが示され、曲線下面積0.92を表示した。
【0102】
決定値は、予測因子の出力であり、閾値を下回る予測値を示すサンプルは乳がんと予測される。この閾値は感度と特異度の間の折り合い点をパラメーター化するものであり、しばしば0にセットされる。20個の転移性乳がんのサンプルは、−3.64から0.26の間に決定値を得、健常対照のサンプルは、−0.51から2.11の間に決定値を得た(図2B)。従って、0の閾値を用いると、本発明者らのデータセットでは感度と特異度は85%であった。特に、SVMの学習と試験においては、データのフィルタリングは行われず、即ち測定した全被検体が解析に含まれた。
【0103】
更に、9個の非重複性の血清被検体に対応する、11個の最高にランクされた、即ち有意に発現差のあった被検体は、図2Bに示すが、乳がんに関連する血清バイオマーカー・シグネチャーを示唆するものである。これらの最高ランクの被検体のみを解析に含めた場合、ROCの曲線下面積は0.97に増加した。この予測因子シグネチャーは、本発明者らが転移性乳がんと健常対照のクラス分類をそれぞれ95%の感度と特異度を表示して行うことを可能にした。
【0104】
トップ11の発現差のある血清分析物の暫定的シグネチャーは、これまで乳がんに関連するとされている被検体、例えばシアリルルイス(Lewis)X(非特許文献21、23)、C3(非特許文献22)、C4(非特許文献34)、及びIL−8(非特許文献24〜27)、また同様にこれまで疾患に観察されていないマーカー、例えばIL−5及びIL−7の両者を含んだ。C4、IL−8及びC5を含む、トップ3の発現差のある被検体について観察されたシグナル強度を図2Cに示す。その結果は、乳がん患者からの血清中のシグナル強度が1.6倍(IL−8及びC5)及び3.6倍(C4)に増加していたことを示した。注目すべきは、観察されたシグナル強度の差は、存在する各個々の被検体の量の相対的な変化という意味に解釈することができることである。しかしながら、複合プロテオーム内の異なる被検体を直接標識することに伴う固有の限界により、それらは、1つの被検体が他の被検体と比較して絶対的な変化の大きさを必ずしも反映していない(非特許文献35)。
【0105】
抗炎症薬及び/又はホルモン類の影響
転移性乳がん患者及び他の形態のがん(非特許文献12)のスクリーニングサンプルは、直接にがんが関連する影響を反映するだけでなく、例えば炎症が関連する事象により間接的な全身的反応をも反映する。更に、種々の薬物の服用も、また、観察されるタンパク質発現シグネチャーに影響を及ぼす可能性がある。この問題への取り組みの中で、本発明者らは、血清サンプルが採集される時点で抗炎症薬及び/又はホルモン類を服用していなかった転移性乳がん患者(n=6)と健常対照(n=6)の発現プロファイルを検討した。これら2つの限定したサンプルのコホートにおける発現差のある被検体(p<0.05)を、Wilcoxon検定を用いて同定し、そして教師なし階層的クラスタリングに基づくヒートマップとして可視化した(図3A)。その結果、8種の血清タンパク質が、転移性乳がんと健常対照間を完全に識別するたことを確認した。特に、僅か2種、C4及びIL−7、が全サンプルの解析によって得られた9種の非重複性被検体から成る第1のシグネチャーと重なっていた。
【0106】
転移性乳がん患者のサブクラス分類
転移性乳がん患者を更に階層化する試みの中で、本発明者らは、ER状態、PgR状態、臨床ステージ、腫瘍容積及び組織学的特性を含む既知の臨床パラメーターを、観察されたタンパク質発現プロファイルと比較した。しかしながら、PgR状態又は臨床ステージに関しては、相関は認められなかった。同様に、ER状態、腫瘍容積、及び組織学的特性に関しても、これらの被検体は得られたサンプル群のセットが小さいことによって妨げされたが、相関が認められなかった。いずれかの抗炎症薬及びホルモン類を服用した対照を除いて、最も進行した臨床ステージの転移性乳がん患者、即ちステージIII及びIV(n=8)と健常対照(n=6)の間を識別した、5種の血清タンパク質を観察することができたことは注目すべきである(図3B)。プロカテプシンを除き、これら5つの被検体のうちの4つは、非処置(抗炎症薬及び/又はホルモン類の)の乳がん患者と健常対照の間を識別した、観察されたシグネチャーと重なった。
【0107】
乳がん患者の診断に有用な更なるバイオマ―カ―
更なる実験も、また、転移性乳がん患者と非転移性乳がん患者のコホートを比較した場合、TNF−b及びIL−3の異なる発現レベル(P<0.05)を示した(図4を参照)。
【0108】
考察
千百万人の人が毎年がんの診断をうけているので、長期的に腫瘍の再発を予測し、処置を監視し、そして非侵襲的なセットアップに基づいて患者を階層化するのに使用可能な、早期の及び改善された検出及び診断法のための新規ながんのバイオマーカー・シグネチャーは、極めて重要なものである(非特許文献1〜5)。本研究では、本発明者らは、大規模な遺伝子組み換えscFv抗体マイクロアレイが、血液サンプルの多重化血清タンパク質プロファイリングにより、転移性乳がんのクラス分類を行うための、独特の、小型化した手段を提供することができるということを示した。その結果、がん患者が高い感度と特異度でクラス分類できることが示された。
【0109】
比較のために、抗体ベースのマイクロアレイは、これまでに、例えば膀胱がん(非特許文献13)、大腸がん(非特許文献17)、肺がん(非特許文献36)、肝がん(非特許文献37)、子宮がん(非特許文献38)、膵臓がん(非特許文献12)、前立腺がん(非特許文献15、16)及び扁平上皮がん(非特許文献14)のプロファイリングを行うために使用されている(総説については、非特許文献5、10、39を参照)。腫瘍プロテオミクスの中でこの技術の可能性を概観すると成功しているのではあるが(非特許文献5、10、39)、異なるがん腫間、又はがんと炎症間を識別するバイオマーカー・シグネチャーの能力を得ることは、僅かの例(非特許文献13、16、18、40)を除いて困難であった。大きな程度に、このことは、アレイセットアップの性能、例えば機能性、感度及び抗体特異度の範囲を反映し(非特許文献5、10、39)、同様に血清シグネチャーが直接的ながん関連の悪影響及び間接的な全身的悪影響を最も強く映しやすいという事実を反映している。本研究では、前者の問題は、立証された遺伝子組み換えscFv抗体マイクロアレイ技術のプラットホーム(非特許文献6、7)を採用することにより最小化しており、本発明者らが未分画血清プロテオーム中の多量及び少量の免疫制御タンパク質を標的とすることを可能にし、従って幾つかの重要な利点をもたらしている(非特許文献31)。本発明者らは、60種の非重複性血清被検体に対応する129の被検体の全てを用いて、転移性乳がん患者を85%の特異度と感度、ROC=0.92でクラス分類できることを見出した。この暫定的なシグネチャーを更に扱い易いものにするために、本発明者らは、また、9種の非重複性バイオマーカーに対応する、11の最も有意に発現差のある被検体から成る、凝縮シグネチャーを提供することを選択した。このシグネチャーを検証するために、更なるスクリーニングが要求されることになるが、本発明者らのデータは、そのシグネチャーが乳がんを95%の特異度と感度で、そしてROC=0.97でクラス分類できることを示した。この11のマーカーシグネチャーは、14の被検体の1個(IL−5)がヘリコバクターピロリ菌に感染した胃組織(非特許文献18)を同定する1個のシグネチャーと共通していたに過ぎず、35の分析物のうち4つの被検体(C3、C5、IL−5及びIL−7)が有意な炎症構成因子を持つ自己免疫疾患である全身性紅斑性狼瘡と共通していたことに注目すべきである(Wingren et al, manuscript in preparation)。このことは、乳がんシグネチャーが一般的な炎症と関連していないことを示唆した。更に、乳がんシグネチャーは、また、例えば膀胱がん(非特許文献13)、肺がん(非特許文献40)、膵臓がん(非特許文献12)(Ingvarsson et al, submitted)及び前立腺がん(非特許文献16)で観察されたものとは異なるものであった。胃腺腫内がん(非特許文献18)の症例では、組織抽出液であって血清サンプルではないものをこの特別の研究で解析したことに留意すべきではあるが、28のバイオマーカーのうち7個のバイオマーカー(C4及びIL−5ではない)が重複しており、この遥かに大きなシグネチャーとの類似性を示唆している。
【0110】
11個の被検体の乳がんシグネチャーの強みは、乳がん患者が、血清シグネチャーに異なった影響を与えたかもしれない幅広い治療薬で個々に処置されたにもかかわらず、彼らを適切にクラス分類することができたという事実によって、更強調された。これに関して、抗炎症薬及び/又はホルモン類を服用していなかった患者のみがプロファイルされた場合、より高い予測力を有する、更なるバイオマーカー・シグネチャーが示唆されたことは、興味深いことであった。これらの結果を検証するために、より大規模なサンプルコホートを解析する必要があるが、この第2のシグネチャーは、胃腺腫がんのシグネチャーとの重複はより少なかった(非特許文献18)。
【0111】
9個の非重複性の被検体シグネチャーのうち、5個(シアリルルイス(Lewis)X、C3、C4、C5及びIL−8)は上方制御を受け、そして4個(TMペプチド、IL−5、IL−7及びMCP−3)は下方制御を受けた。それに一致して、腫瘍細胞と内皮細胞間の相互作用に重要な分子である、シアリルルイス(Lewis)Xの高レベルが乳がん患者について以前から観察されていた(非特許文献21、23)。同様に、C3から由来したトランケート型のC3aの高レベルもまた確認されている(非特許文献22)。C3は補体活性化の3つの系路全ての活性化を支援する多彩な補体タンパク質であり、そしてそれが、腫瘍に対する免疫サーベイランスにおいて機能すると示唆されているが、その後者のメカニズムはまだ分かっていない(非特許文献22、41)。補体システムの役割は、更にC4とC5の両者の血清レベルの増加によってハイライトをあてられ、Lamoureux 及び共同研究者の初期の業績により支持された(非特許文献34)。更に、乳がんの罹患及び進行に関与していることが示唆されているIL−8の上方制御も、幾つかの研究で観察されている(非特許文献24、28、42)。更に、IL−8は乳がん腫細胞と間質細胞の両方によって発現され、腫瘍の血管新生に関係している(非特許文献43)。IL−5、IL−7及びMCP−3の血清レベルが下方制御されていたという新規な知見は、例えば好酸球による腫瘍免疫サーベイランスの低下(IL−5)(非特許文献44)、T細胞メモリーの維持の障害(IL−7)(非特許文献45)、及び腫瘍細胞を潜在的に認識し破壊する白血球サブセットの誘引力の減少(MCP−3)(非特許文献46)に反映することができた。逆に、IL−7はインビトロで腫瘍の成長を仲介することが示され(非特許文献47)、そして腫瘍組織におけるIL−7発現のレベルも、乳がん患者の腫瘍の攻撃性と相関していた(非特許文献48)。
【0112】
いずれかの抗炎症薬及び/又はホルモン類(and/hormous)を服用した患者を除外する条件で、乳がんの焦点を合わせたコホートのプロファイリングを行った場合、観察された8種のバイオマーカーのパネルは、通常のTH1サイトカイン、例えばTNF−β及びIL−12の上方制御が、TH2サイトカイン、例えば免疫システムのTH1歪み(skewing)を指示するIL−4の下方制御を伴うことを示した。高レベルIL−12及び誘発されたTH1の反応も、また、これまでに乳がん組織において観察されている(非特許文献24、42、49)。
【0113】
転移性乳がん患者と非転移性乳がん患者のコホートを比較する更なる試験で、TNF−βががん患者において下方制御され、IL−3ががん患者で上方制御されることが観察された。
【0114】
これまでの研究で、ER状態のような単一の臨床パラペーターと、例えばIL−8の発現レベルとの間の関連性が観察されている(非特許文献24〜27)。乳がんの最も進行した形態、即ちステージIIIとIVの複合したコホートの可能性を除いて、本発明者らは、これらの特定の解析が余りに小さいコホートのために損なわれたけれども、この様ないかなる関連性を検出しなかった。
【0115】
総合すれば、この最初の研究において、本発明者らは、血液検査に基づいて、遺伝子組み換え抗体マイクロアレイ解析の新規な方法を用いて、転移性乳がんを高い特異度と感度でクラス分類することを可能にした。
【0116】
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
個体内における乳がん細胞の存在を決定する方法であって、
a)試験すべき血清又は血漿サンプルを備える工程;
b)表1a又は1bに定義された群から選択される2つ又はそれ以上のタンパク質の試験サンプル中における存在及び/又は量を測定することにより、試験サンプルのタンパク質シグネチャーを決定する工程、これは2種又はそれ以上のタンパク質がIL−5及び/又はMCP−3を含む;
を含み、
ここで表1a又は1bに定義された群から選択される2つ又はそれ以上のタンパク質の、試験サンプル中における存在及び/又は量が、乳がん細胞の存在の指標となる、上記方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
c)健常な個体からの血清又は血漿サンプルを備える工程;
d)工程(b)で測定される2つ又はそれ以上のタンパク質の対照サンプル中における存在及び/又は量を測定することにより、対照サンプルのタンパク質シグネチャーを決定する工程;
を更に含み、ここで乳がん細胞の存在が、工程(b)で測定される2つ又はそれ以上のタンパク質の、試験サンプル中における存在及び/又は量が対照サンプル中における存在及び/又は量と異なる事象で同定される、上記方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法であって、工程(b)が、表1a又は1bに定義される群から選択される少なくとも3つのタンパク質、例えば表1a又は1bに定義される群から選択される少なくとも4、5、6、7、8、9又は10のタンパク質の、試験サンプル中における存在及び/又は量を測定することを含む、上記方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法であって、工程(b)が、IL−5、IL−7、MCP−3及びTMペプチドから成る群から選択される少なくとも1つのタンパク質の、試験サンプル中における存在及び/又は量を測定することを含む、上記方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法であって、工程(b)が、IL−5、IL−7、MCP−3及びTMペプチドから成る群から選択される少なくとも2つのタンパク質、例えば3つ又は4つのタンパク質の、試験サンプル中における存在及び/又は量を測定することを含む、上記方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法であって、工程(b)が、IL−5及びMCP−3の試験サンプル中における存在及び/又は量を測定することを含む、上記方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法であって、工程(b)が、C3、C4、C5、IL−8及びシアリルルイスXから成る群から選択される少なくとも1つのタンパク質の、試験サンプル中における存在及び/又は量を測定することを含む、上記方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法であって、工程(b)が、C3、C4、C5、IL−8及びシアリルルイスXから成る群から選択される少なくとも2つのタンパク質、例えば3つ、4つ又は5つのタンパク質の、試験サンプル中における存在及び/又は量を測定することを含む、上記方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法であって、工程(b)が、表1bに定義された少なくとも1つのタンパク質の、試験サンプル中における存在及び/又は量を測定することを含む、上記方法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法であって、工程(b)が、表1bに定義された全てのタンパク質の、試験サンプル中における存在及び/又は量を測定することを含む、上記方法。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法であって、工程(b)が、表1a又は1bに定義された9つ全てのタンパク質の、試験サンプル中の存在及び/又は量を測定することを含む、上記方法。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法であって、C3、C4、C5、IL−8、IL−3 及びシアリルルイスXの1つ又はそれ以上の増加及び/又はIL−5、IL−7、MCP−3、TNF−β及びTMペプチドの1つ又はそれ以上の減少が、個体における乳がん細胞の存在の指標となる、上記方法。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法であって、C3、C4、C5、IL−8、IL−3 及びシアリルルイスXのそれぞれにおける増加及び/又はIL−5、IL−7、MCP−3、TNF−β及びTMペプチドのそれぞれにおける減少が、個体における乳がん細胞の存在の指標となる、上記方法。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法であって、個体の投薬履歴を確定する工程を更に含む、上記方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、個体の投薬履歴を確定することが、患者が血清又は血漿サンプルを提供する前に、いずれかの抗炎症薬及び/又はホルモン類を服用しているかどうかを確定することを含む、上記方法。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法であって、患者が血清又は血漿サンプルを提供する前に、いずれの抗炎症薬及び/又はホルモン類も服用していない、上記方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法であって、工程(b)が、TNF−β、IL−12、C4、MCP−1、IL−3、IL−7、インテグリンα−10及び IL−4から成る群から選択される1つ又はそれ以上のタンパク質の、試験サンプル中における存在及び/又は量を測定することにより、試験サンプルのタンパク質シグネチャーを決定することを含む、上記方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法であって、工程(b)が、TNF−β、IL−12、C4、MCP−1、IL−3、IL−7、インテグリンα−10及び IL−4から成る群から選択される2つ又はそれ以上のタンパク質、例えば少なくとも3、4、5、6又は7つのタンパク質の、試験サンプル中における存在及び/又は量を測定することにより、試験サンプルのタンパク質シグネチャーを決定することを含む、上記方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法であって、工程(b)が、TNF−β、IL−12、C4、MCP−1、IL−3、IL−7、インテグリンα−10及び IL−4から成る群から選択される全てのタンパク質の、試験サンプル中における存在及び/又は量を測定することにより、試験サンプルのタンパク質シグネチャーを決定することを含む、上記方法。
【請求項20】
請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法であって、工程(b)及び/又は工程(d)が、無標識検出技術、例えば表面プラズモン共鳴、表面プラズモン共鳴イメージング及び質量分析(単一又は直列)を用いて行われる、上記方法。
【請求項21】
請求項1〜20のいずれか1項に記載の方法であって、工程(b)及び/又は工程(d)が、2つ又はそれ以上のタンパク質に結合することができる第1の結合剤を用いて行われる、上記方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法であって、第1の結合剤が、抗体又はその抗原結合性フラグメントを含むか又はそれから成る、上記方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法であって、抗体又はそのフラグメントがモノクローナル抗体又はそのフラグメントである、上記方法。
【請求項24】
請求項22又は23に記載の方法であって、抗体又は抗原結合性フラグメントが、インタクト抗体、Fvフラグメント(例えば、1本鎖Fv及びジスルフィド結合Fv)、Fab様フラグメント(例えば、Fabフラグメント、Fab'フラグメント及びF(ab)2フラグメント)、単一の可変ドメイン(例えば、VH及びVLドメイン)、及びドメイン抗体[単一及びデュアルフォーマットを含むdAb(即ち、dAb−リンカー−dAb)]から成る群から選択される、上記方法。
【請求項25】
請求項24に記載の方法であって、抗体又は抗原結合性フラグメントが1本鎖Fv(scFv)である、上記方法。
【請求項26】
請求項21に記載の方法であって、第1の結合剤が抗体様結合剤、例えばアフィボディ又はアプタマーを含む又はそれから成る、上記方法。
【請求項27】
請求項1〜26のいずれか1項に記載の方法であって、試験サンプル中の2つ又はそれ以上のタンパク質を、工程(b)及び/又は工程(d)を行う前に検出可能な部分で標識する、上記方法。
【請求項28】
請求項27に記載の方法であって、検出可能な部分が、蛍光性部分、発光性部分、化学発光性部分、放射性部分、酵素部分から成る群から選択される、上記方法。
【請求項29】
請求項28に記載の方法であって、検出可能な部分がビオチンである、上記方法。
【請求項30】
請求項1〜29のいずれか1項に記載の方法であって、工程(b)及び/又は工程(d)がアレイを用いて行われる、上記方法。
【請求項31】
請求項30に記載の方法であって、アレイがビーズをベースとしたアレイである、上記方法。
【請求項32】
請求項30に記載の方法であって、アレイが表面をベースとしたアレイである、上記方法。
【請求項33】
請求項30〜32のいずれか1項に記載の方法であって、アレイがマクロアレイ、マイクロアレイ、ナノアレイから成る群から選択される方法。
【請求項34】
請求項1〜33のいずれか1項に記載の方法であって、工程(b)及び/又は工程(d)が、1つ又はそれ以上のタンパク質(又はその上の検出可能な部分)と結合できる第2の結合剤を含むアッセイを用いて行われ、第2結合剤も、また検出可能な部分を含む、上記方法。
【請求項35】
請求項34に記載の方法であって、第2の結合剤が抗体又はその抗原結合性フラグメントを含む又はそれから成る、上記方法。
【請求項36】
請求項35に記載の方法であって、抗体又はそのフラグメントが遺伝子組み換え抗体又はそのフラグメントである、上記方法。
【請求項37】
請求項35又は36に記載の方法であって、抗体又は抗原結合性フラグメントが、インタクト抗体、Fvフラグメント(例えば、1本鎖Fv及びジスルフィド結合Fv)、Fab様フラグメント(例えば、Fabフラグメント、Fab'フラグメント及びF(ab)2フラグメント)、1本鎖の可変ドメイン(例えば、VH及びVLドメイン)、及びドメイン抗体[単一及びデュアルフォーマットを含むdAb(例えば、dAb−リンカー−dAb)]から成る群から選択される、上記方法。
【請求項38】
請求項34に記載の方法であって、第2の結合剤が、抗体様結合剤、例えばアフィボディ又はアプタマーを含む又はそれから成る、上記方法。
【請求項39】
請求項34に記載の方法であって、第2の結合剤がストレプトアビジンを含み又はそれから成る、上記方法。
【請求項40】
請求項34〜39のいずれか1項に記載の方法であって、第2の結合剤の検出可能な部分が、蛍光性部分、発光性部分、化学発光性部分、放射性部分、酵素部分から成る群から選択される、上記方法。
【請求項41】
請求項40に記載の方法であって、第2の結合剤の検出可能な部分が蛍光性部分である、上記方法。
【請求項42】
請求項34〜41のいずれか1項に記載の方法であって、アッセイが蛍光アッセイである、上記方法。
【請求項43】
請求項1〜42のいずれか1項に記載の方法で使用するためのアレイであって、請求項20〜29のいずれか1項で定義されるような2つ又はそれ以上の第1の結合剤を含む、上記アレイ。
【請求項44】
請求項43に記載のアレイであって、第1の結合剤が表1a又は1bに定義されるタンパク質の全てに結合することができる、上記アレイ。
【請求項45】
請求項43又は44に記載のアレイであって、第1の結合剤が固定化される、上記アレイ。
【請求項46】
表1a又は1bで定義された群から選択される2つ又はそれ以上のタンパク質の使用であって、個体における乳がん細胞の存在を決定するための診断共マーカーとして組み合わせた、IL−5及び/又はMCP−3を含む2種の又はそれ以上のタンパク質の上記使用。
【請求項47】
請求項46に記載の使用であって、表1a及び1bで定義されたタンパク質の全てが、個体における乳がん細胞の存在を決定するための診断共マーカーとして集合的に使用される使用。
【請求項48】
請求項1〜42のいずれか1項に記載の方法に使用するための診断キットであって、
A)請求項43〜45のいずれか1項に記載のアレイ;及び
B)任意選択的な請求項1〜39のいずれか1項に定義される方法を行うための指示書;
を含む、上記キット。
【請求項49】
請求項48に記載の診断キットであって、請求項34〜41のいずれか1項に定義されるような1つ又はそれ以上の第2の結合剤を更に含む、上記キット。
【請求項50】
請求項48又は49に記載の診断キットであって、更に1つ又はそれ以上の対照サンプルを更に含む、上記キット。
【請求項51】
実質的に本明細書に記載された通りの方法又は使用。
【請求項52】
実質的に本明細書に記載された通りのアレイ又はキット。

【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4a】
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【図4b】
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【公表番号】特表2011−505008(P2011−505008A)
【公表日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−535445(P2010−535445)
【出願日】平成20年11月24日(2008.11.24)
【国際出願番号】PCT/GB2008/003922
【国際公開番号】WO2009/068857
【国際公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(510145945)イムノヴィア・アクチエボラーグ (1)
【Fターム(参考)】