説明

診療支援システム及びプログラム

【課題】医療関連業務の一連の流れを表すワークフローに対して適切なワークフロー名をかつ簡便に付与できるようにユーザを支援する仕組みを提供する。
【解決手段】医療情報格納手段を有する診療支援システムに、カレントワークフローを取得するカレントワークフロー取得手段と、カレントワークフローに類似するワークフローを、第1の記憶領域から検索する類似ワークフロー検索手段と、前記カレントワークフローと類似するワークフローを表示する類似ワークフロー表示手段と、選択されたワークフローの情報を受け付ける選択ワークフロー受付手段と、選択されたワークフローのワークフロー名をカレントワークフローのワークフロー名として付与するワークフロー名付与手段とを搭載する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療従事者による医療関連業務上の判断(診療)を支援するシステム及び当該システムを実現するプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医療情報システムの普及に伴い、多種多様な医療情報が電子的に病院内に蓄積されるようになってきている。医療情報の電子化により、院内のペーパーレス化や業務効率の改善だけでなく、蓄積された医療情報の二次利用が容易になっている。
【0003】
医療情報の二次利用の具体的には、医学統計データの解析や経営改善支援の他、過去症例の検索・参照等がある。例えば診断対象画像と類似した過去の症例画像をPACS(Picture Archiving and Communication System)から検索して医師に提供することにより、医師による画像診断や治療計画の作成を支援することができる。特許文献1には、画像内に関心領域を設定し、その時系列的な変化や撮像日時の間隔を加味した検索により、類似症例を画面表示して診断を支援するシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−287027号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前述した特許文献1のシステムでは、画像情報以外の検査の情報や主治医の判断を含む診療プロセス全体の評価を行った上で個別の診断も支援できる仕組みが存在しない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明者は、医療関連業務の一連の流れをワークフローとして管理可能とし、プロセス全体の評価と個別の診断の支援の両方を可能とする。また、ワークフローに適切なワークフロー名を付与できるように作業者を支援する仕組みを提供する。
【0007】
より具体的には、以下の発明を提案する。
(A)本明細書に記載した1つの発明は、以下に示す手段を有する診療支援システム及びプログラムとして提供される。
(1)(a1) 医療関連業務の一連の診療の流れであるワークフローを識別するワークフロー情報と、(a2) 前記ワークフローを構成する医療関連業務の単位であるワークフローステップを識別する情報と、前記医療関連業務の依頼元及び/又は依頼先に関する情報と、前記医療関連業務の種類に関する情報を含むワークフローステップ情報と、(a3) 前記医療関連業務に関連する情報である医療情報と、を互いに関連付けて第1の記憶領域(例えば医療情報データベース)に格納する医療情報格納手段
(2) カレントワークフロー(現在実行されているワークフロー)を取得するカレントワークフロー取得手段
(3) カレントワークフローに類似するワークフローを、第1の記憶領域から検索する類似ワークフロー検索手段
(4) カレントワークフローと類似したワークフローを表示する類似ワークフロー表示手段
(5) 選択されたワークフローの情報を受け付ける選択ワークフロー受付手段
(6) 選択されたワークフローのワークフロー名をカレントワークフローのワークフロー名として付与するワークフロー名付与手段。
【0008】
(B)本明細書に記載した1つの発明は、(A)に示した発明に対し、更に以下に示す仕組みを有する診療支援システム及びプログラムとして提供される。
(1) 類似ワークフローを表示する条件を記憶する第2の記憶領域(類似ワークフロー表示条件記憶手段)
(2) 類似ワークフロー表示手段は、第2の記憶領域に記憶された条件に従って類似ワークフローを表示する。
(C)本明細書に記載した1つの発明は、(B)に示した発明に対し、更に以下に示す仕組みを有する診療支援システム及びプログラムとして提供される。
(a1) 第2の記憶領域は、カレントワークフローのワークフロー名の付与状態、(a2) カレントワークフローと類似ワークフローの間のワークフロー名の一致状態、及び(a3) カレントワークフローと類似ワークフローの間の類似度のうちの1つ以上の条件を記憶する。
【発明の効果】
【0009】
前述した発明の一つによれば、作業者は、医療関連業務の一連の流れを表すワークフローに対し、適切なワークフロー名を簡便に付与することができる。これにより、ワークフローによる医療関連業務の整理及び入力に要する作業負担を低減することができる。上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1A】診療支援システムが病院に設置される際の構成の一例を示した図。
【図1B】診療支援システムの別の構成の一例を示した図。
【図2A】医療情報データベースを構成するワークフローテーブルのデータ構造例を示す図。
【図2B】医療情報データベースを構成するワークフローステップ情報テーブルの第1のデータ構造例を示す図。
【図3A】医療情報データベースを構成する医療情報テーブルのデータ構造例を示す図。
【図3B】医療情報データベースを構成するエビデンスデータテーブルのデータ構造例を示す図。
【図3C】医療情報データベースを構成する処理履歴テーブルのデータ構造例を示す図。
【図3D】医療情報データベースを構成する入力データテーブルのデータ構造例を示す図。
【図4A】検査情報データベースを構成する検査値テーブルのデータ構造例を示す図。
【図4B】検査情報データベースを構成する検査項目マスタテーブルのデータ構造例を示す図。
【図4C】検査情報データベースを構成する測定値テーブルのデータ構造例を示す図。
【図4D】検査情報データベースを構成する測定項目マスタテーブルのデータ構造例を示す図。
【図4E】検査情報データベースを構成する画像テーブルのデータ構造例を示す図。
【図5】ワークフローステップをワークフローから抽出し、医療情報と判断文を用いて診療を支援する際に実行されるフローチャートの一例を示す図。
【図6A】ワークフローに基づいて検査グラフの参照と判断文の入力を行う前の画面の一例を示す図。
【図6B】検査グラフを参照する際の画面の一例を示す図。
【図6C】判断文の入力を行う際の画面の一例を示す図。
【図7】エビデンスデータに対するデータ処理により診療を支援する際に実行されるフローチャートの一例を示す図。
【図8A】画像データの参照する際の画面の一例を示している図。
【図8B】ワークフローに基づいて画像データを参照して判断文の入力を行う際の画面の一例を示す図。
【図9】次ワークフローステップへの宛先と伝達文とを設定して表示する画面の一例を示す図。
【図10】ワークフロー名処理手段の構成例の一つを示す図。
【図11】ワークフロー名処理手段の動作の概要を示すフローチャート。
【図12】ワークフロー名処理手段が動作したときの画面例を示す図。
【図13】ワークフロー名処理手段の他の構成例を示す図。
【図14】類似ワークフロー表示条件記憶手段のテーブル構造例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明の実施態様は、後述する形態例に限定されるものではなく、その技術思想の範囲において、種々の変形が可能である。
【0012】
<用語の定義>
以下に、本明細書で使用する用語の定義を説明する。
・「ワークフロー」とは、患者に対して医療従事者が行う一連の医療関連業務の流れをいう。例えば、疾患ごとの診断、治療、経過観察の一連の診療の流れ、入院期間中の診療の流れ(入院日〜退院日)、診療ガイドラインで定められる一つの流れ等がある。
・「ワークフロー情報」とは、ワークフローの識別に関する情報をいう。ワークフロー情報には、該当するワークフローに関する患者を識別する患者識別子も含まれる。
・「ワークフローステップ」とは、ワークフローを構成する医療関連業務の単位をいう。例えば、患者の診療段階(診断、治療、経過観察)の各業務、主治医が判断を下す診断業務や看護師による投薬などの作業、診療科と放射線科などの医療部門との間でやりとりされるオーダ業務単位等がある。
・「ワークフローステップ情報」には、ワークフローステップを識別する情報と、医療関連業務の依頼元もしくは依頼先の少なくとも何れかに関する情報とが含まれる。ワークフローステップ情報は、各ワークフローステップにおいて医療従事者などによって新たに生成や削除されるなどして編集されることもある。また、ワークフローステップ情報は、予め定められた診療ガイドラインに基づいて用意されることもある。
・「医療関連業務の依頼」とは、各医療部門、例えば検査部門や画像診断部門への医療関連業務のオーダリングなどをいう。
・「医療従事者」とは、担当医、検査技師、放射線技師、読影医だけでなく、看護師や医事会計関係者なども含む意味で使用する。
・「ワークフローの開始と終了」は、例えば臨床医の中の主治医が決定する。
【0013】
<システム構成の説明>
<システム例1>
図1Aに、診療支援システム101を病院内に設置する使用形態の一例を示す。診療支援システム101は、端末104、インターフェース111、メモリ112、ハードディスクドライブなどの記憶装置113、CPU114で構成される。図1Aに示す診療支援システム101は、電子カルテシステム102やPACS(Picture Archiving and Communication System)103等とネットワーク経由で接続される。
【0014】
端末104、インターフェース111、メモリ112、記憶装置113は、CPU114に接続される。端末104は、医療従事者が操作する端末装置である。端末104に対する情報の入力は、ネットワーク等を経由して接続されたインターフェース111を通じてCPU114に与えられる。CPU114は、指示入力に応じ、メモリ112に格納されているプログラムを読み出して処理し、その処理結果をインターフェース111経由で端末104に出力する。医療従事者を支援するための処理機能は、プログラムに基づいたデータ処理を通じて提供される。インターフェース111には、表示画面を備える装置構成も含まれる。
【0015】
前述したように、各端末104は、医師や看護師、検査技師、読影医などの医療従事者による操作入力を受け付ける端末装置である。各端末104は、診療支援システム101だけでなく、電子カルテシステム102やPACS103を診療支援システムと兼用できる。電子カルテシステム102やPACS103を操作する端末装置としても使用できる。
【0016】
電子カルテシステム102及びPACS103には、それぞれ、診療履歴(医療従事者の所見を含む。)、患者の検査値、画像データ等が蓄積されている場合がある。その場合、診療支援システム101の記憶装置113は、それらのデータベースへのリンクを示す情報を有していても良いし、それらのデータベースに格納されているデータをコピーしたものを有していても良い。また、後述する図1Bのように、電子カルテシステム102やPACS103が有するデータベースである検査情報データベース116も、診療支援システム101に含む形態でも良い。
【0017】
<システム例2>
図1Bに、診療支援システム101の他の構成例を示す。図1Bに示す診療支援システム101には、医療情報データベース105があり、当該データベースに情報を格納する医療情報格納手段106が接続されている。この形態例の場合、医療情報データベース105には、ワークフロー情報、ワークフローステップ情報、医療関連業務に関する情報である医療情報とが互いに関連付けて格納されている。
【0018】
「医療情報」には、医療従事者により入力される情報、患者から取得される客観的な生体情報であるエビデンスデータ等が含まれる。この形態例の場合、医療従事者により入力される情報の一例として、医療関連業務で下される判断を示すテキスト文(判断文)を使用する。「エビデンスデータ」とは、例えばモダリティ(医療機器)から取得される検査値や画像データなどのデータを指す。
【0019】
さらに、医療支援システム101には、ワークフロー入力手段107と、入力情報受付手段108と、医療情報出力手段109と、ワークフローステップ依頼入力手段117と、ワークフロー出力手段118と、ワークフロー終了手段119とが備えられている。これらの手段に対応する機能は、図1Aのメモリ112に格納されている。
【0020】
ワークフロー入力手段107は、医療情報データベース105からワークフローステップ情報を選択する際の入力を受け付ける機能を提供する。
【0021】
入力情報受付手段108は、判断文の入力を受け付ける機能を提供する。
医療情報出力手段109は、医療情報をワークフローステップ情報に基づいて、医療情報データベース105から抽出して出力する機能を提供する。
【0022】
ワークフローステップ依頼入力手段117は、ワークフローステップの依頼に関する情報の入力を受け付ける機能を提供する。
【0023】
ワークフロー出力手段118は、患者を識別する患者識別子に基づいて、医療情報データベース105からワークフロー情報を取得し、取得したワークフロー情報をインターフェース111に出力する機能を提供する。
【0024】
ワークフロー終了手段119は、ワークフロー終了情報を医療情報データベース105に格納する機能を提供する。
【0025】
ここで、診療支援システム101は、ワークフローステップ入力手段107を通じて選択されたワークフローステップ情報に基づいて、医療情報データベース105から医療情報を読み出し、不図示の表示画面上に表示する機能を提供する。また、診療支援システム101は、入力情報受付手段108を通じて入力された情報と表示画面上に表示されている医療情報とを、実行中のワークフローステップ情報と関連付けて医療情報データベース105に格納する機能を提供する。
【0026】
このように、実行中のワークフローステップにおいて参照した医療情報についても、入力された情報と共に関連付けて医療情報データベース105に格納することにより、当該ワークフローステップの実行時に診療の根拠として参照した情報の蓄積が可能となる。蓄積された情報の参照により、医療従事者による医療関連業務の過程を事後的に把握することが可能になる。
【0027】
医療情報データベース105は、医療情報格納手段106を介し、各ワークフローステップにおける医療関連業務に関する情報である医療情報を蓄積管理する。医療情報データベース105には、(1) 入力情報受付手段108を通じて入力される、各ワークフローステップに関連づけられた判断文と、(2) エビデンスデータ処理手段115でデータ処理されたエビデンスデータとその処理履歴と、(3) 各ワークフローステップで参照した医療情報等が蓄積される。
【0028】
図1Aに示す医療支援システム101の場合と同様、医療情報データベース105は、電子カルテシステム102やPACS103に蓄積された医療情報へのリンク情報を有していても良い。
【0029】
医療情報格納手段106は、医療情報データベース105に対し、ワークフロー情報、ワークフローステップ情報、医療情報を格納する機能を実現する手段(装置)である。格納する医療情報には、例えば(1) エビデンスデータ処理手段115でデータ処理されたエビデンスデータ、(2) その処理元データを含むデータ処理履歴、(3) 入力情報受付手段108を通じ、医療従事者により入力された情報等がある。
【0030】
検査情報データベース116は、各ワークスローステップにおける、血液検査や画像検査等の医療に関連する検査結果の情報を蓄積管理する。このデータベースは、電子カルテシステム102、オーダリングシステムその他の病院情報システムが有するデータベースとの共有により実現しても良く、PACS103等の画像管理システムが有するデータベースとの共有により実現しても良い。
【0031】
また、不図示のデータインポート手段(装置)を設け、それらのシステムからデータを検査情報データベース116にインポートしても良い。また、不図示のデータ入力手段(装置)を設け、医師、看護婦、技師その他の医療従事者によるデータの直接入力を可能にしても良い。また、医師が研究目的として新規に開発した検査方法に基づいた患者の検査結果についても、不図示のデータ入力手段(装置)から検査情報データベース116に入力し、一般の検査結果と共に蓄積管理しても良い。
【0032】
さらに、診療支援システム101とは別に電子カルテシステム102やPACS103が設置されている場合、電子カルテシステム102やPACS103に保存されている検査情報へのリンク情報のみを有していても良い。
【0033】
また、データ処理ワークステーションが設置されている場合には、該データ処理ワークステーションで実行されたデータ処理の履歴を、検査情報データベース116に格納しても良い。
【0034】
エビデンスデータ処理手段115は、検査情報データベース116に蓄積されたデータを利用してデータ処理を実行する手段(装置)である。エビデンスデータ処理手段115は、複数の処理モジュールを備えている。
【0035】
画像診断を専門とする医師(以下「読影医」という。)向けのエビデンスデータ処理手段115は、例えば画像データの入出力処理や各種フィルター処理のような基本モジュールだけでなく、高度な画像処理アルゴリズムを必要とする領域抽出処理や画像の位置合わせ処理のような機能モジュールも有している。操作者は、処理目的やデータの性質に応じて上記処理モジュールを自由に組み合わせ、それらを順番に実行させることにより、診療に必要な一連のデータ処理を実行することができる。
【0036】
なお、本形態例の場合には、医療情報データベース105と検査情報データベース116を論理的に分けて構成しているが、物理的に同一のデータベースで構成しても良い。例えば医療情報データベース105と検査情報データベース116を合わせて一つのデータベースとしても良い。また、図1Aに示す医療支援システム101の場合と同様、電子カルテシステム102やPACS103を別に用いる場合には、それらに対するリンク情報をデータベース内に有するようにしても良い。
【0037】
さらに、図1Bに示す診療支援システム101のように、前述したシステム構成に対し、類似症例検索手段160とプロセス分析手段170を更に有していても良い。
【0038】
類似症例検索手段160は、医療従事者の判断を支援する目的で使用される手段(装置)である。例えば、類似症例検索手段160は、ある指定した患者の症例と類似した症例を、医療情報データベース105から検索する機能を提供する。この形態例の場合、類似症例検索手段160は、(1) 検索された医療情報と、(2) 当該医療情報に対応付けられているワークフローステップ情報の属するワークフロー情報とを出力する。
【0039】
類似症例検索手段160を用いることにより、医療従事者は、類似症例に関する医療情報を参照できるだけでなく、参照している医療情報が関連づけられたワークフロー情報も参照することができる。すなわち、類似症例検索手段160は、医療業務者が、(1) 参照している医療情報に対応づけられているワークフローステップの前後に位置する他のワークフローステップの情報と、(2) そのワークフローに関連付けられている患者の予後の情報等を勘案して類似症例に関する医療情報を活用するのを支援する機能を提供する。
【0040】
プロセス分析手段170は、診療の質や効率を向上するために、医療情報データベース105に蓄積された複数の患者のデータに基づいて診療のプロセスを分析し、プロセスの改善・最適化に必要な情報を抽出する手段(装置)である。
【0041】
更に、図1Bに示す診療支援システム101は、ワークフロー名処理手段180を有していても良い。ワークフロー名処理手段180は、ワークフローステップの実行イベントの受信時に実行される。ワークフロー名処理手段180は、現ワークフローステップに関連付けられたワークフローに類似するワークフローを、医療情報データベース105から検索し、その類似度情報と共に画面表示する手段(装置)である。ワークフロー名処理手段180の詳細動作については後述する。
【0042】
<データベースのテーブル構造>
<医療情報データベース>
以下では、医療情報データベース105を構成するテーブル構造を説明する。図2Aは、ワークフロー情報テーブル200のデータ構造を示す。図2Bは、ワークフローステップ情報テーブル210のデータ構造を示す。図3Aは、医療情報テーブル300のデータ構造を示す。図3Bは、エビデンスデータテーブル310のデータ構造を示す。図3Cは、処理履歴テーブル320のデータ構造を示す。図3Dは、入力データテーブル330のデータ構造を示す。
【0043】
<ワークフロー情報テーブル200>
ワークフロー情報テーブル200(図2A)は、ワークフローを識別する情報であるワークフロー情報を格納するテーブルであり、基本的には主治医が登録する。当該テーブルは、患者IDフィールド201、ワークフロー番号(No.)フィールド202、ワークフロー名フィールド203、ワークフロー開始日時フィールド204、ワークフロー終了日時フィールド205、主治医IDフィールド206、カンファレンスフラグフィールド207を含んで構成される。
【0044】
ここで、患者IDフィールド201は、患者を識別する識別子である患者識別子を格納する。
【0045】
ワークフローNo.フィールド202は、各ワークフロー情報を一意に指定するためのキー情報となる番号などを格納する。
【0046】
ワークフロー名フィールド203は、病名や治療名等で示されるワークフロー名を格納する。この形態例の場合、ワークフロー名フィールド203には、テキスト文を格納するが、病名や治療名の標準マスタのIDを格納しても良い。
【0047】
ワークフロー開始日時フィールド204は、ワークフローの開始日等を格納する。
ワークフロー終了日時フィールド205は、ワークフローの終了日等を格納し、ワークフローが終了した時点で登録される。
【0048】
主治医IDフィールド206は、ワークフローの責任者となる主治医の識別情報を格納する。
【0049】
カンファレンスフラグフィールド207は、そのワークフローにおいてカンファレンスを実行したことの有無を示す実行フラグを格納する。
【0050】
<ワークフローステップ情報テーブル210>
ワークフローステップ情報テーブル210(図2B)は、ワークフローの各ステップを識別する情報であるワークフローステップ情報を格納するテーブルであり、一つのステップが一つのレコードとなる。当該テーブルは、患者IDフィールド211、ワークフローステップ番号(No.)フィールド212、ワークフローステップ実行予定部門IDフィールド213、ワークフローステップ実行日時フィールド214、ワークフローステップ実行者IDフィールド215、ワークフローステップ実行フラグフィールド216、カンファレンスステップフラグフィールド217、ワークフロー番号(No.)フィールド218、親ワークフローステップ番号(No.)フィールド219、子ワークフローステップ番号(No.)フィールド220、ワークフローステップ種別フィールド221を含んで構成される。
【0051】
ここで、ワークフローステップNo.フィールド212は、各ワークフローステップを一意に指定するためのキー情報となる番号などを格納する。
【0052】
ワークフローステップ実行予定部門IDフィールド213は、ワークフローステップを実行する予定の部門、診療科、検査科等を一意に識別するための識別情報を格納する。
【0053】
ワークフローステップ実行日時フィールド214は、ワークフローステップを実行した日時を格納する。
【0054】
ワークフローステップ実行者IDフィールド215は、ワークフローステップを実際に実行した医療従事者を一意に識別するための識別情報を格納する。
【0055】
ワークフローステップ実行フラグフィールド216は、ワークフローステップの実行・未実行のフラグを格納する。
【0056】
カンファレンスステップフラグフィールド217は、カンファレンスが行われたワークフローステップであることを示すフラグを格納する。
【0057】
ワークフローNo.フィールド218は、ワークフローステップが属するワークフローを一意に識別するための識別情報を格納する。
【0058】
親ワークフローステップNo.フィールド219は、該当するワークフローステップに対して時間的に前に出現し、かつ、該当するワークフローステップに結び付けられているワークフローステップを識別するための識別情報を格納する。
【0059】
子ワークフローステップNo.フィールド220は、該当するワークフローステップに対して時間的に後ろに出現し、かつ、該当するワークフローステップに結び付けられているワークフローステップを識別する識別情報を格納する。親ワークフローステップNo.と子ワークフローステップNo.は、オーダの依頼元と依頼先とを結びつける役割を持っている。
【0060】
ワークフローステップ種別フィールド221は、ワークフローステップ種別を一意に識別するための識別情報を格納する。ワークフローステップ種別とは、医療関連業務の種類を示す。例えば診療科であれば「入院診療」、「外来診療」、「○○手術」等、放射線科であれば「CT検査」、「MRI検査」等、検体検査科であれば「血液検査」等である。これらは、病院毎又は部門毎又は科毎に、マスタデータベース等に予め定義されている。
【0061】
<医療情報テーブル300>
医療情報テーブル300(図3A)は、ワークフローステップに基づいて医療関連業務に関する情報である医療情報を格納するテーブルであり、一つのレコードに一つの医療情報を格納する。このテーブルは、患者IDフィールド301、ワークフローステップNo.フィールド212、ワークフローステップ実行日時フィールド214、ワークフローステップ実行者IDフィールド215、判断文フィールド305、ワークフローNo.フィールド218、エビデンス番号(No.)フィールド311、参照ワークフローステップ番号(No.)フィールド306を含んで構成される。
ここで、患者IDフィールド301は、患者を識別する患者識別子を格納する。
【0062】
判断文フィールド305は、該当するワークフローステップについて入力された判断文が格納される。因みに、判断文フィールド305に判断文を入力する際に参照した医療情報に判断文が含まれている場合、参照した医療情報に含まれる判断文も、判断文フィールド305に格納することができる。この場合、入力された判断文と参照した医療情報に含まれる判断文との区別は、参照ワークフローステップNo.に基づいて行うことが可能である。
【0063】
ワークフローステップNo.フィールド212は、医療情報が登録される場合に、ワークフローステップ情報テーブル210のワークフローステップNo.フィールド212へのリンク情報を格納する。このリンク情報を通じ、ワークフローステップテーブル情報210と医療情報テーブル300が関連づけられる。
【0064】
エビデンスNo.フィールド311は、判断する際の根拠となるエビデンスデータを指定する識別子であり、エビデンスデータテーブル310と関連付けられている。このように、医療情報テーブル300には、判断文と判断の根拠となるエビデンスデータとがワークフローステップ情報に基づいて格納されている。
【0065】
参照ワークフローステップNo.フィールド306は、あるレコードのワークフローステップNo.において参照されたワークフローステップNo.を格納する。
【0066】
<エビデンスデータテーブル310>
エビデンスデータテーブル310(図3B)は、エビデンスデータを格納するテーブルであり、一つのレコードに一つのエビデンスデータを格納する。当該テーブルには、エビデンス番号(No.)フィールド311、エビデンス種別フィールド312、エビデンス表示用アイコンフィールド313、エビデンス表示用テキストフィールド314、ワークフローステップ実行日時フィールド214、ワークフローステップ実行者IDフィールド215、ワークフローステップNo.フィールド212を含んで構成される。
【0067】
ここで、エビデンスNo.フィールド311は、各エビデンスデータを一意に指定するためのキー情報となる番号などを格納する。前述したエビデンスデータ処理手段115では、画像に対しては画像処理、検査値に対してはグラフ化や統計処理といように、入力される検査情報の種類により異なる処理が実行される。この形態例の場合、例えば画像処理や検査値のグラフ化といった異なる種類の処理に対応するエビデンスデータは、それぞれ別のレコードとして格納される。
【0068】
エビデンス種別フィールド312は、エビデンスデータが抽出される診療支援処理の種別を格納する。
【0069】
エビデンス表示用アイコンフィールド313及びエビデンス表示用テキストフィールド314は、エビデンスデータの内容を認識できるような情報を格納する。エビデンス表示用アイコンフィールド313には、図3Bに示すように、アイコン画像を直接格納するようにしても良いが、ファイル名等のアイコン画像の識別情報を格納しても良い。
【0070】
ワークフローステップNo.フィールド212は、医療情報テーブル300内のワークフローステップNo.フィールド212へのリンク情報を格納する。このリンク情報により、エビデンスデータテーブル310に格納されたエビデンスデータの各種データが、医療情報テーブル300と対応付けられることになる。
【0071】
<処理履歴テーブル320>
処理履歴テーブル320(図3C)は、エビデンスデータの処理前の情報である検査情報に対して施した処理履歴を格納するテーブルであり、一つのレコードに一つの処理履歴を格納する。処理履歴には、検査値に対する処理履歴や画像データに対する処理履歴が含まれ、これらの処理履歴も医療情報に含まれる。
【0072】
当該テーブルは、処理番号(No.)フィールド321、処理内容フィールド322、エビデンス番号(No.)フィールド323、処理パラメータフィールド324、処理時間フィールド325を含んで構成される。
【0073】
ここで、処理No.フィールド321は、処理履歴を構成する一つ一つの処理を一意に識別するためのキー情報となる番号などを格納する。
【0074】
処理内容フィールド322は、計算機が、事後的に処理を再現、分析、再利用するために最低限必要な情報、すなわち処理内容を識別できる情報を格納する。この形態例の場合、画像処理と検査値処理の処理履歴に関する情報が格納される。
【0075】
例えば検査値処理(エビデンスNo.=3)で、検査結果の読み込み、複数の検査項目の実スケールによるグラフ化が実行される場合、「入力」、「実スケール表示」が登録される。
【0076】
例えば画像処理(エビデンスNo.=4)で、検査画像の読み込み、腫瘍領域の領域抽出処理(例えばリージョングローイング手法)が実行され、腫瘍領域の体積の算出とフィルタリングが実行される場合、「入力」、「リージョングローイング」、「ボリューム算出」、「フィルタリング」が処理の順序に従って登録される。
【0077】
エビデンスNo.フィールド323は、エビデンスデータテーブル310におけるエビデンスNo.フィールド311の値を格納する。同一のエビデンスNo.で識別されるエビデンスデータは、処理No.フィールド321の番号順に実行される。
【0078】
処理パラメータフィールド324は、各処理を実行する際に設定されたパラメータを格納する。本形態例の場合、説明の都合上、パラメータを一つのフィールドに入れているが、処理によって異なる。そのため、処理の種類毎に別の処理パラメータテーブルを用意しても良い。
【0079】
本形態例では、エビデンスデータを構成する個々の処理を、個別にデータベースのテーブルへ保存する構成としているが、エビデンスデータテーブル310に処理履歴バイナリフィールドを設け、処理履歴と各処理の入出力データも含め独自のバイナリ形式で格納しても良い。この場合、処理の再現時に、処理履歴テーブル320や入力データテーブル330を参照しなくても、バイナリデータをエビデンスデータ処理手段115に直接渡すことができ、処理の再現の高速化、実装の容易化を実現できる。このように、処理履歴テーブル320は、エビデンスNo.を介し、処理内容などをエビデンスデータテーブル310と、医療情報テーブル300に格納された各レコードとを関連付ける。
【0080】
<入力データテーブル330>
入力データテーブル330(図3D)は、検査情報データベース116とリンクしてエビデンスデータにおける処理履歴の最初の処理で利用される入力データを格納する。一つのレコードには、一つの入力データが格納される。当該テーブルは、エビデンス番号(No.)フィールド331、入力データIDフィールド332、入力データ種別フィールド333を含んで構成される。
【0081】
入力データIDフィールド332は、各エビデンスデータに対する入力データとして、検査情報データベース116における検査情報を一意に指定するためのキー情報となる番号などを格納する。
【0082】
入力データ種別フィールド333は、入力データIDフィールド332に格納されるIDのリンク先を規定するためのデータ種別を格納する。例えば「血液検査」であれば、患者の検査値を一意に識別するための検査値IDを格納し、「画像検査」であれば、患者の画像を一意に識別するための画像IDを格納し、「新規マーカー検査」であれば、新規マーカー検査の患者の測定値を一意に識別するための測定値IDを格納する。
【0083】
このように、入力データテーブル330は、エビデンスNo.フィールド331を介し、エビデンスデータテーブル310と医療情報テーブル300とに格納されたレコードとを関連付ける。
【0084】
<検査情報データベース>
以下では、検査情報データベース116を構成するテーブル構造を説明する。検査情報データベース116は、診療に関するエビデンスデータの詳細な情報が格納されており、検査値テーブル400、検査項目マスタテーブル410、測定値テーブル420、測定項目マスタテーブル430、画像テーブル440から構成されている。
【0085】
図4Aは、検査値テーブル400のデータ構造を示す。図4Bは、検査項目マスタテーブル410のデータ構造を示す。図4Cは、測定値テーブル420のデータ構造を示す。図4Dは、測定項目マスタテーブル430のデータ構造を示す。図4Eは、画像テーブル440のデータ構造を示す。
【0086】
<検査値テーブル400>
検査値テーブル400(図4A)は、「血液検査」データの中身を格納するテーブルであり、一つのレコードに一つの検査値を格納する。当該テーブルは、検査値IDフィールド401、患者IDフィールド402、検査結果日時フィールド403、項目コードフィールド404、値フィールド405を含んで構成される。検査値テーブル400のレコードは、項目コードをキー情報に用いて検査項目マスタテーブル410(図4B)と関連付けられる。
【0087】
<検査項目マスタテーブル410>
検査項目マスタテーブル410(図4B)は、「血液検査」の項目マスタテーブルであり、項目コードフィールド411、項目名フィールド412、単位名フィールド413を含んで構成される。
【0088】
<測定値テーブル420>
測定値テーブル420(図4C)は、「新規マーカー検査」のデータの中身を格納するテーブルであり、一つのレコードに一つの測定値を格納する。測定値テーブル420は、検査値テーブル400と同様のデータ構造を有している。測定値テーブル420は、測定値IDフィールド421、患者IDフィールド422、測定結果日時フィールド423、項目コードフィールド424、値フィールド425を含む。
【0089】
<測定項目マスタテーブル430>
測定項目マスタテーブル430(図4D)は、検査項目マスタテーブル410と同様のデータ構造を有している。測定項目マスタテーブル430は、項目コードフィールド431、項目名フィールド432、単位名フィールド433を含む。なお、測定項目マスタテーブル430には、検査項目マスタ410を構成するフィールドに加えて、測定項目の登録情報(例えば登録日フィールド434等)を格納するためのフィールドを設け、項目のバージョン管理をできるようにしても良い。
【0090】
このように、本形態例の場合、検査情報データベース116は、入力データの中身を「血液検査」と「新規マーカー検査」とで別々に管理し、入力データテーブル330(図3D)はリンク情報のみを一元管理する構成を採用する。この手法の採用により、通常業務で測定される検査値も、研究目的で新規開発された検査方法による検査値も、同様にエビデンスデータとして蓄積することができる。このため、新規開発された検査方法の有効性についての分析が可能になる。
【0091】
<画像テーブル440>
画像テーブル440(図4E)は、画像を識別する識別子を格納する画像IDフィールド441、患者識別子を格納する患者IDフィールド442、画像を取得した日時を格納する画像取得日フィールド443、項目コードを格納する項目コードフィールド444、画像を格納する画像フィールド445を含んで構成される。
【0092】
<使用形態に応じたデータの入力動作例>
次に、読影医が、形態例に係る医療支援システムにデータを入力する際に、システム内で実行される処理動作を説明する。システム側の処理は、CPU114上で実行されるプログラムのデータ処理を通じて提供される。図5に、実行されるフローチャートの例を示す。
【0093】
(ステップS500)
本システムは、端末104に対する操作者の操作入力を通じ、ログイン画面へのログイン入力を受け付ける。
【0094】
(ステップS501)
次に、本システムは、端末104に対する操作者の操作入力を通じ、患者の選択を受付ける。具体的には、患者選択画面上における一人の患者の選択操作を通じ、患者識別子の選択を受け付ける。
【0095】
(ステップS502)
次に、医療情報格納手段106は、ステップS501で取得した患者に該当するレコードであり、さらに、現在進行中のワークフローNo.に対応するレコードを、ワークフロー情報テーブル200(図2A)から識別する。ここで、現在進行中のワークフローNo.を識別する方法には、例えばワークフロー終了日時フィールド205の値が未登録のレコードを識別する方法がある。また例えば、ステップS501で取得した患者に該当するレコードをワークフロー情報テーブル200から全て抽出してワークフロー選択画面に表示し、一つのワークフローを操作者に指定入力させる方法を用いても良い。
【0096】
(ステップS503)
医療情報格納手段106は、ステップS502で識別したワークフローNo.を使用し、ワークフローステップ情報テーブル210(図2B)から該当するワークフローステップ情報を取得する。
【0097】
(ステップS504)
医療情報格納手段106は、ステップS500で取得したログイン情報の部門情報から、カレントワークフローステップNo.を識別する。ここで、「カレントワークフローステップ」とは、ワークフロー内で現在実行中のワークフローステップを表す。
【0098】
カレントワークフローステップの識別は、例えば医療情報格納手段106が、ステップS502で取得したレコード内のワークフローステップ実行予定部門IDフィールド213及びワークフローステップ実行フラグフィールド216を参照し、ログイン者の部門と該当する部門のステップで未実行であるワークフローステップNo.をカレントワークフローステップNo.として抽出する等して識別することができる。該当する部門のステップの全てが実行済みの場合には、最終ステップNo.を、カレントワークフローステップNo.とする。
【0099】
(ステップS505)
ワークフロー出力手段118は、ステップS503で取得した各ワークフローステップ情報を、図6Aに示すワークフローステップ実行画面600にセットして表示する。このワークフローステップ実行画面600は、インターフェイス111(図1)に表示される。
【0100】
ワークフローステップ実行画面600(図6A)は、例えばワークフローステップ選択エリア601、ログイン情報表示エリア602、判断文入出力エリア603、エビデンスデータ表示エリア604、医療情報登録ボタン605、診療支援ボタン群606、ワークフローステップ種別入力エリア607を含む。
【0101】
ワークフローステップ選択エリア601は、ワークフローステップ情報テーブル210(図2B)の親ワークフローステップNo.フィールド219の情報に基づいてワークフローの開始ステップから現在のステップまでのワークフローステップをフロー形式で表示する。
【0102】
例えばワークフローステップ情報テーブル210(図2B)の場合、ワークフローステップNo.2とNo.3のワークフローステップは、親ワークフローステップNo.がいずれも「1」である。従って、ワークフローステップNo.2とNo.3のワークフローステップは、いずれもワークフローステップNo.1のワークフローステップに結び付けられて表示される。また、ワークフローステップNo.4のワークフローステップは、親ワークフローステップNo.が「3」であるので、ワークフローステップNo.3のワークフローステップに結び付けられて表示される。
【0103】
なお、このようなワークフローステップ間の結び付けは、子ワークフローステップNo.を用いることによっても同様に実現することができる。
【0104】
このように、ワークフローステップ選択エリア601(図6A)には、ワークフロー情報と、依頼元のワークフローステップと依頼先のワークフローステップを互いに結び付けたワークフローステップ情報とが表示される。
【0105】
ログイン情報表示エリア602は、システムに現在ログイン中の操作者情報を表示するエリアである。判断文入出力エリア603は、医療従事者が判断した内容をテキスト形式で入出力したものを表示するエリアである。エビデンスデータ表示エリア604は、エビデンスデータを表示するエリアである。医療情報登録ボタン605は、操作者のクリック操作により、エビデンスデータとテキスト文を組み合わせたデータを医療情報データベース105に登録するためのボタンである。
【0106】
診療支援ボタン群606は、医療従事者が患者の診療のために、画像処理や検査値処理等のデータ処理を行うエビデンスデータ処理手段115の機能を呼び出すために使用するボタンである。診療支援ボタン群606は、ステップS500で取得したログイン情報の職種情報から、選択可能・不可能を設定できるようにしても良い。
【0107】
本形態例の場合、ワークフローステップ選択エリア601には、例えばステップS504で識別したカレントワークフローステップを強調表示する。また、各ワークフローステップには、ワークフローの進捗状況が判るような情報を表示する。図6Aの場合、例えばワークフローステップ実行フラグフィールド216(図2B)の内容に応じて表示色を変える等、完了・未完了が判るような表示形式をとる。また、完了したワークフローステップに関しては、ワークフローステップ実行日時フィールド214(図2B)やワークフローステップ実行者IDフィールド215(図2B)の内容を表示する。
【0108】
(ステップS509)
本形態例では、この段階で、読影医Aは読影作業を開始し、医療情報の登録を行うものとする。読影医Aは、図7のステップS701〜S712の処理(後述)により、読影作業を行う。読影作業が終了すると、医療情報格納手段106がステップS504で識別したカレントワークフローステップNo.に対応付けて、画面上に表示されている医療情報を医療情報データベース105(図1B)に登録する。
【0109】
以下、医療情報を読影医Aが本システムに医療情報を登録する際に、システム内で実行される処理動作を説明する。システム側の処理は、やはり、CPU114上で実行されるプログラムのデータ処理を通じて提供される。
【0110】
本システムを利用する読影医Aは、読影作業のワークフローステップにおいて、検査技師AやCT技師Aのワークフローステップにおける医療情報を参照しながら読影を行い、参照した医療情報と読影結果とを実行中のワークフローステップに関連付けて保存する。
【0111】
(ステップS701)
図7に、ステップS509で実行される処理動作の詳細を示す。操作者は、端末104に対する操作を通じ、検査技師Aのワークフローステップ情報を選択する入力を行う。このとき、ワークフロー入力手段107は、ワークフローステップ情報を医療情報データベース105から選択する入力を受け付ける。
【0112】
(ステップS702)
医療情報出力手段109は、選択された検査技師Aのワークフローステップ(ワークフローステップNo.2)に関連付けられた医療情報を医療情報データベース105より検索し、ワークフローステップ実行画面600に表示する。本形態例では、検査技師Aにより取得されたエビデンスNo.1の検査値グラフが医療情報に登録されているものとする。
【0113】
(ステップS703)
読影医Aは、端末104に対する操作を通じ、表示された検査値グラフをデータ処理したいデータとして特定する。
【0114】
(ステップS704)
本システムは、検査値グラフ画面610(図6B)を画面上に表示する。
【0115】
(ステップS705)
読影医Aは、端末104に対する操作を通じ、検査値グラフ画面610に表示する検査項目の選択、グラフ形式の設定、着目点やデータ変動の抽出等のデータ処理の入力する。ここでは、読影医Aが「AFP抽出」ボタンを操作して、AFPの値の選択的な抽出を入力する場合を想定する。このとき、「AFP抽出」ボタンの操作は、エビデンスデータ処理手段115に与えられる。この場合、エビデンスデータ処理手段115は、検査値グラフ中のAFPデータの中から、操作者によって選択されたAFPの値を抽出する。図6Bでは、選択された2点のデータを示すドットを大きくすることで、選択されたAFPのデータを示している。
【0116】
(ステップS706)
エビデンスデータ処理手段115は、ステップS705で抽出されたAFPの値と日付を、表示されている検査値グラフと共にエビデンスデータとして取得する。この取得処理により、エビデンスデータが生成される。
【0117】
(ステップS707)
医療情報出力手段109は、取得したデータからエビデンスデータの表示用データ「グラフアイコンファイル1」、「20091001, AFP: 17.1、20091106, AFP: 17.3」を生成し、エビデンスデータ表示エリア604の最初の行に表示する(図6C)。
【0118】
(ステップS708)
操作者である読影医Aは、端末104の操作を通じ、検査値グラフのデータ処理に関連した判断文「AFP変動なし」を判断文入出力エリア603に入力する。入力情報受付手段108は、この入力を受け付ける。
【0119】
(ステップS709)
本システムは、操作者が別のデータ処理を行うか否かを判断し、別のデータ処理を行う場合は、ステップS701に戻り、処理を繰り返す。本形態例の場合、操作者である読影医Aは、CT技師Aのワークフローステップにて撮像されたCT画像に対して処理を継続するものとする。
【0120】
この場合、ワークフロー入力手段107は、CT技師Aのワークフローステップ(ワークフローステップNo.3)を選択する入力を受け付ける。
【0121】
この後、ステップS702において、画像データ(エビデンスNo.2)が取得され、画面上に表示される。次のステップS703では、表示されている画像データが処理対象データに特定される。ステップS704では、図8Aに示す画像処理画面800が画面上に表示される。次のステップS705において、読影医AはCT画像に対して腫瘍の領域抽出を行なう。なお、画像処理画面800における処理の詳細については後述する。ステップS706では、画像処理画面800より画像入力から領域抽出を経て腫瘍領域の体積を算出するまでの画像処理履歴と入力データ「画像ID1」が取得される。ステップS707では、画像処理履歴の情報を用いて、エビデンスデータの表示用データ「画像アイコンファイル1」、「#1:10mm #2:15mm」を生成し、エビデンスデータ表示エリア604に表示する(図8B)。ステップS708では、操作者は、画像処理に関連した判断文「#1:S7に10mm、#2:S6に15mmの結節あり」を判断文入出力エリア603に入力する。入力情報受付手段108は、この入力を受け付ける。
【0122】
(ステップS710)
ステップS709において操作者が追加処理を行なわないと判断すると、本システムは、必要に応じ、エビデンスデータ毎ではない判断文、例えば「高分化HCCが疑われる。」を判断文入出力エリア603に追加入力する。入力情報受付手段108がこの入力を受け付ける。
【0123】
(ステップS711)
操作者である読影医Aは、必要に応じ、ワークフローステップ種別入力エリア607で「CT検査」を選択し、医療情報登録ボタン605を選択する。なお、本形態例の場合、読影医Aは、ワークフローステップ種別を登録時に選択するが、後述のワークフローステップ生成時の依頼先の入力時に設定された内容を自動的に反映しても良い。
【0124】
(ステップS712)
医療情報登録ボタン605が選択されると、医療情報格納手段106は、現在の日時を例えば診療支援システムが実装されているハードウェアから取得する。また、医療情報格納手段106は、ログイン者の医療従事者情報「読影医A」を、例えば医療情報データベース105から取得する。医療情報格納手段106は、判断文入出力エリア603のテキスト文、エビデンスデータ処理手段115により抽出した処理の履歴と入力データを、ステップS501で選択した患者識別子や日時及び医療従事者情報とワークフローステップ種別とワークフローステップ実行フラグ「真」とワークフローステップNoとを、前述の医療情報データベース105の各テーブルに登録する。この形態例の場合、データ処理された検査値グラフに対応してエビデンスNo.3が、画像処理されたデータに対応してエビデンスNo.4が、それぞれ登録される。
【0125】
なお、本形態例における判断文入出力エリア603では、ステップS708及びステップS710で入出力されたテキスト文を一つのデータとして扱っているが、判断文入出力エリア603を、エビデンスデータ毎の判断文の入出力エリア(検査値グラフの判断文エリア、画像処理の判断文エリア)と、全てのエビデンスデータに関連した判断文の入出力エリアを分けて構成し、ステップS712では、それらを区別するタグ情報を付加する等してそれぞれの判断文を区別して登録しても良い。またエビデンスデータ毎の判断文については、エビデンスデータとのリンク情報をもたせても良い。
【0126】
<まとめ1>
以上説明したように、本システムは、カレントワークフローステップより前に実行されたワークフローステップ(医療関連業務)に対応するエビデンスデータを表示し、データ処理を実行し、カレントワークフローステップにてそのデータ処理されたエビデンスデータに基づいた判断文の入力を受け付け、判断文と判断文の入力時に表示していたエビデンスデータをカレントワークフローステップに自動的に対応付けて登録する。
【0127】
この仕組みの採用により、各ワークフローステップにおいて、医療従事者がどのデータを見てどのように判断を下したかという過程を、各ワークフローステップに対応付けて蓄積することができる。この結果、ワークフローに沿った各医療従事者の暗黙知を活用しながらの診療行為を支援することができる。
【0128】
さらに、本システムは、ワークフローステップに基づいてエビデンスデータの処理履歴も保存する。このため、各ワークフローステップで行われた医療従事者の判断とデータ処理履歴との対応関係を蓄積することができる。
【0129】
<ワークフローステップの生成、ワークフローの終了について>
図9を用い、ワークフローステップの生成とワークフローの終了について説明する。図9に示す画面には、依頼先ワークフローステップ種別入力エリア900、伝達文を入力する伝達文入力エリア901、次ワークフローステップ設定ボタン902、予定日入力エリア、添付ファイルエリア、返信フラグ入力エリア等が示されている。依頼先ワークフロー種別、伝達文、予定日を入力した状態で、操作者が次ワークフローステップ設定ボタン902を押すと、入力された情報がワークフローステップ表示マップ903に反映される。
【0130】
ワークフローステップ依頼入力手段117は、これらの入力を受け付ける。伝達文入力エリア901により入力された伝達文は、医療情報出力手段109により、ワークフローステップ表示マップ903内の伝達文表示部904に表示される。
【0131】
さらに、ワークフロー依頼入力手段117は、医療情報格納手段106を介して新しいワークフローステップNo.を付与し、依頼先入力エリア901に入力された依頼先から実行予定部門とワークフローステップ種別と子ワークフローステップNo.を取得する。依頼元であるカレントワークステップNo.から親ワークフローステップNo.が取得されることにより、医療情報データベース105のワークフローステップ情報テーブル210に新しくレコードが格納される。また、添付ファイルの送信や、返信フラグを付与することも可能となる。
【0132】
<まとめ2>
以上の通り、本システムは、依頼先、予定日、コメント等の入力を受け付けてワークフローステップ情報を生成することができる。これにより、本システムは、ワークフローステップを効率的に管理することができる。また、本システムが、入力された依頼先、予定日、コメントをワークフローステップ表示マップ903に表示することにより、操作者は、ワークフローを容易に把握することができる。また、図1Aで示されているように、前述した依頼入力は、電子カルテシステム102を別途用い、電子カルテシステムで管理されるオーダリング情報と連携して動作しても良い。
【0133】
<ワークフロー名の入力>
前述の通り、診療支援システム101において、ワークフロー名は、ワークフロー情報テーブル200(図2A)のワークフロー名フィールド203に格納される。このワークフロー名に対して適切な名前を付与することは、診断支援及びデータ分析の2つの側面から重要となる。
【0134】
まず、診断支援の側面からの重要性を説明する。実際の運用では、診断が確定するタイミングや治療方針が決定するタイミングまではワークフローに名前を付けない場合が想定される。この場合、診断が確定するタイミングや治療方針が決定するタイミングで、未終了のワークフローに対し、ワークフロー名が入力される。未入力のままの運用が想定されるのは、ワークフロー名を一度入力したとしても、診療の進行に伴って最適なワークフロー名が変化する可能性があるためである。
【0135】
次に、データ分析の側面からの重要性を説明する。データ分析では、医療情報データベース105に蓄積されたワークフロー情報をワークフロー名に基づいて群分けし、群関検定などの統計学的手法を用いることが想定される。このため、適切なワークフロー名が入力されていることが重要である。
【0136】
また、疾患の中には、クリニカルパスのような標準的な診療プロセスが定められているものがあり、そのような疾患に対しては予め標準ワークフローを作成しておき、診断および治療方針が確定している患者に対して標準ワークフローを適用することで、標準化された均質な医療行為を患者に提供することが容易となる。
【0137】
標準ワークフローに対しては、例えば「肝腫瘍(RFA)」のように疾患名や治療名を用いたワークフロー名を入力する運用が望ましい。標準ワークフローを開始する時には、ワークフロー名フィールド203に標準ワークフロー名が入力されていることになる。
【0138】
一方、クリニカルパスのような標準的な診療プロセスが定められていない疾患や、まだ診断が確定していない疾患に対しては、ワークフロー開始時に標準ワークフローを適用したり、適切なワークフロー名を入力したりすることが困難である。そこで、仮のワークフロー名を入力またはワークフロー名未設定の状態でワークフローが開始され、診断および治療方針が確定したタイミング等において主治医の判断によりワークフロー名が入力される運用が想定される。
【0139】
なお、ワークフローに対してどのようなワークフロー名を入力するのかは病院の運用による。もっとも、ワークフロー名として疾患名や治療名を用いれば、ワークフローの内容を把握することが容易となる。
【0140】
<ワークフロー名処理手段のシステム構成1>
図10に、ワークフロー名処理手段180の構成例の一つを示す。ワークフロー名処理手段180は、カレントワークフロー取得手段1000と、類似ワークフロー表示手段1001と、選択ワークフロー受付手段1002と、ワークフロー名付与手段1003を有している。本形態例の場合、ワークフロー名処理手段180及びその構成機能は、コンピュータ上で実行されるプログラムを通じて実現される。
【0141】
ここで、「カレントワークフロー」とは、現在実行されているワークフローを表している。カレントワークフロー取得手段1000は、現在実行されているワークフローの情報を取得する手段である。類似ワークフロー表示手段1001は、カレントワークフロー取得手段1000によって取得されたワークフローに類似したワークフローを、類似症例検索手段160から受け取って表示をする手段である。選択ワークフロー受付手段1002は、類似ワークフロー表示手段1001において表示されているワークフローの中からユーザが選択したワークフローを受け付ける手段である。ワークフロー名付与手段1003は、ユーザが選択したワークフローのワークフロー名を、カレントワークフローのワークフロー名として入力する手段である。
【0142】
このシステム構成により、カレントワークフローに類似するワークフローのワークフロー名を、カレントワークフローのワークフロー名候補としてユーザに提示することが可能になる。ユーザは、表示されたワークフロー名候補を参考に、実行ワークフローのワークフロー名を入力する。このワークフロー名の入力支援機能により、ユーザは適切なワークフロー名を簡便に入力することができる。
【0143】
<ワークフロー名入力支援の例1>
次に、ワークフロー名処理手段180の処理動作を説明する。図11に、処理動作の概要を示す。ワークフロー名処理手段180は、ワークフローステップの実行イベントを受け付けると、図11に示す処理フローを開始する。
【0144】
(ステップS1100)
カレントワークフロー取得手段1000は、ワークフロー情報テーブル200(図2A)からカレントワークフローのレコードを取得する。
【0145】
(ステップS1101)
カレントワークフロー取得手段1000は、取得されたカレントワークフローのワークフロー情報を、検索クエリとして類似症例検索手段160へ渡す。
【0146】
(ステップS1102)
類似症例検索手段160は、ワークフロー情報テーブル200からカレントワークフローに類似したワークフローを抽出する。この形態例の場合、ワークフロー間の類似度の判定には、ワークフローステップの情報を使用する。具体的には、判断文フィールド305(図3A)のようなテキストデータを用いた類似度、値フィールド405(図4A)のような数値データを用いた類似度、ワークフローステップ実行者IDフィールド215(図2B)のようなカテゴリーデータを用いた類似度を利用する。なお、類似度の判定には、前述した複数の類似度のうち複数を組み合わせて用いても良い。
【0147】
(ステップS1103)
類似ワークフロー表示手段1001は、抽出されたワークフローを受け取り、例えばリスト形式でユーザへ提示する。
【0148】
(ステップS1104)
類似ワークフロー表示手段1001は、カレントワークフローのワークフロー名として、類似ワークフローのワークフロー名を採用するという指示入力があったか否かを判定する。ここで、肯定的な判定結果が得られた場合、類似ワークフロー表示手段1001は、ステップS1105に進む。一方、否定的な判定結果が得られた場合、類似ワークフロー表示手段1001は、ステップS1105をスキップして処理を終了する。
【0149】
(ステップS1105)
ステップS1104で肯定的な結果が得られた場合、選択ワークフロー受付手段1002は、類似ワークフローリスト内で選択されたワークフローのワークフロー名を、ワークフロー名付与手段1003に与える。ワークフロー名付与手段1003は、通知のあったワークフロー名を、カレントワークフローのワークフロー名としてワークフロー情報テーブル210に入力する。
【0150】
図12に、表示画面例を示す。図12は、ワークフローステップ実行画面600を表している。このワークフローステップ選択エリア601には、ワークフロー名表示1200が“名称未設定”のワークフローがカレントワークフローとして表示されている。なお、図12の場合、カレントワークフローには、既に4つのワークフローステップが関連付けられている。また、同画面の判断文入出力エリア603やエビデンスデータ表示エリア604には、図示したように判断文やエビデンスデータが入力されている。
【0151】
ユーザの操作入力により医療情報登録ボタン605が選択されると、図11に示したステップS1100からS1103までが順に実行され、類似ワークフロー画面1201がユーザに提示される。類似ワークフロー画面1201は、図12に示すように、ワークフローステップ実行画面600に重ねて表示されても良いし、ワークフローステップ実行画面600と並んで表示されても良い。
【0152】
類似ワークフロー画面1201は、例えば類似ワークフローリスト1202を備えるものとする。類似ワークフローリスト1202には、計算された類似度が所定の閾値を越える全てのワークフローを、類似ワークフロー候補として表示する。もっとも、類似ワークフローリスト1202には、計算された類似度が最も高いワークフローだけを類似ワークフロー候補として表示しても良い。
【0153】
図12の場合、類似ワークフローリスト1202には、各ワークフローに対し、ワークフロー名と類似度が表示される。当該類似ワークフローリスト1202の画面上で、ユーザがワークフロー名登録ボタン1203を選択すると、図11に示すステップS1104からS1105までが実行され、カレントワークフロー名が更新される。
【0154】
<まとめ3>
以上説明した処理フローおよび画面例により、ワークフローの構成要素であるワークフローステップが実行されるたび、カレントワークフローに類似するワークフロー名の候補がユーザに対して提示される。ユーザは、提示されたワークフロー名のいずれかの選択を通じ、ワークフロー名を入力することができる。当該機能により、診療プロセスが進行するタイミング、すなわちワークフローの構成要素であるワークフローステップが実行されるタイミングにおいて、ワークフロー全体を評価し直すことが容易となる。
【0155】
なお、既登録のワークフロー名とバックグラウンドで検索された類似度の高いワークフロー名が不一致の場合に限り、類似ワークフロー画面1201が自動的に画面表示されるようにしても良い。
【0156】
<ワークフロー名入力手段のシステム構成2>
図13に、ワークフロー名処理手段180の他の構成例を示す。ここでのワークフロー名処理手段180は、図11に示す装置構成に加え、類似ワークフロー表示条件記憶手段1300を備えるものとする。
【0157】
本形態例における類似ワークフロー表示手段1001は、類似ワークフロー表示条件記憶手段1300に記憶される表示条件に従って、類似ワークフローを表示するか否かを決定する。
【0158】
図14に、類似ワークフロー表示条件記憶手段1300に記憶されるテーブル構造例を示す。類似ワークフロー表示条件テーブル1400は、条件IDフィールド1401、ユーザIDフィールド1402、ワークフロー名未付与時動作フラグフィールド1403、ワークフロー名不一致時動作フラグフィールド1404、ワークフロー間類似度閾値フィールド1405より構成される。
【0159】
ユーザID1402の値は、図2で示した主治医IDフィールド206の値との照合に用いられ、一致するレコードが表示候補となる。ワークフロー名未付与時動作フラグフィールド1403の設定が「1」であることは、ワークフロー名表示1200が“名称未設定”の場合に限り、類似ワークフロー画面1201をユーザへ提示することを意味する。一方、ワークフロー名未付与時動作フラグフィールド1403の設定が「0」であることは、類似ワークフロー画面1201の表示が、ワークフロー名表示1200の表示内容によらないことを意味する。
【0160】
ワークフロー名不一致時動作フラグフィールド1404の設定が「1」であることは、カレントワークフローと類似ワークフローのワークフロー名が異なる場合に限り、類似ワークフロー画面1201をユーザへ提示することを意味する。一方、ワークフロー名不一致時動作フラグフィールド1404の設定が「0」であることは、常に、類似ワークフロー画面1201をユーザへ提示することを意味する。
【0161】
ワークフロー間類似度閾値フィールド1405には、0〜1の数値が入力される。入力された数値が、類似ワークフロー画面1201に類似候補として表示するワークフローを決定するための閾値を与える。
【0162】
<まとめ4>
以上説明したように、類似ワークフロー表示条件記憶手段1300を用意することにより、類似ワークフローのリストをユーザへ提示する頻度や、類似ワークフローとして提示されるワークフローの数を制御することができる。この結果、ワークフロー名の入力支援をより効率的に行うことが可能となる。
【0163】
<他の形態例>
本明細書で説明する発明は、上述した形態例に限定されるものでなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上述した形態例は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある形態例の一部を他の形態例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある形態例の構成に他の形態例の構成を加えることも可能である。また、各形態例の構成の一部について、他の構成を追加、削除又は置換することも可能である。
【0164】
また、上述した各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路その他のハードウェアとして実現しても良い。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することにより実現しても良い。すなわち、ソフトウェアとして実現しても良い。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリやハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置、ICカード、SDカード、DVD等の記憶媒体に格納することができる。
【0165】
また、制御線や情報線は、説明上必要と考えられるものを示すものであり、製品上必要な全ての制御線や情報線を表すものでない。実際にはほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えて良い。
【産業上の利用可能性】
【0166】
本発明は、患者の検査値や画像データ、医療従事者の所見を扱う診療支援システムに関わり、医療従事者の医療関連業務における判断や診療プロセスの分析を支援する技術に関する。
【符号の説明】
【0167】
101 診療支援システム
102 電子カルテシステム
103 PACS
104 端末
105 医療情報データベース
106 医療情報格納手段
107 ワークフロー入力手段
108 入力情報受付手段
109 医療情報出力手段
111 インターフェース
112 メモリ
113 記憶装置
114 CPU
115 エビデンスデータ処理手段
116 検査情報データベース
117 ワークフローステップ依頼入力手段
118 ワークフロー出力手段
119 ワークフロー終了手段
160 類似症例検索手段
170 プロセス分析手段
180 ワークフロー名処理手段
200 ワークフロー情報テーブル
201 患者IDフィールド
202 ワークフローNo.フィールド
203 ワークフロー名フィールド
204 ワークフロー開始日時フィールド
205 ワークフロー終了日時フィールド
206 主治医IDフィールド
207 カンファレンスフラグフィールド
210 ワークフローステップ情報フィールド
211 患者IDフィールド
212 ワークフローステップNo.フィールド
213 ワークフローステップ実行予定部門IDフィールド
214 ワークフローステップ実行日時フィールド
215 ワークフローステップ実行者IDフィールド
216 ワークフローステップ実行フラグフィールド
217 カンファレンスステップフラグフィールド
218 ワークフローNo.フィールド
219 親ワークフローステップNo.フィールド
220 子ワークフローステップNo.フィールド
221 ワークフローステップ種別フィールド
300 医療情報テーブル
301 患者IDフィールド
305 判断文フィールド
306 参照ワークフローステップNo.フィールド
310 エビデンスデータテーブル
311 エビデンスNo.フィールド
312 エビデンス種別フィールド
313 エビデンス表示用アイコンフィールド
314 エビデンス表示用テキストフィールド
320 処理履歴テーブル
321 処理No.フィールド
322 処理内容フィールド
323 エビデンスNo.フィールド
324 処理パラメータフィールド
330 入力データテーブル
331 エビデンスNo.フィールド
332 入力データIDフィールド
333 入力データ種別フィールド
400 検査値テーブル
401 検査値IDフィールド
402 患者IDフィールド
403 検査結果日時フィールド
404 項目コードフィールド
405 値フィールド
410 検査項目マスタテーブル
411 項目コードフィールド
412 項目名フィールド
413 単位名フィールド
420 測定値テーブル
421 測定値IDフィールド
422 患者IDフィールド
423 測定結果日時フィールド
424 項目コードフィールド
425 値フィールド
430 測定項目マスタテーブル
431 項目コードフィールド
432 項目名フィールド
433 単位名フィールド
434 登録日フィールド
440 画像テーブル
441 画像IDフィールド
442 患者IDフィールド
443 画像取得日フィールド
444 項目コードフィールド
445 画像フィールド
600 ワークフローステップ実行画面
601 ワークフローステップ選択エリア
602 ログイン情報表示エリア
603 判断文入出力エリア
604 エビデンスデータ表示エリア
605 医療情報登録ボタン
606 診療支援ボタン群
607 ワークフローステップ種別入力エリア
610 検査値グラフ表示画面
800 画像処理画面
900 依頼先ワークフロー種別入力エリア
901 伝達文入力エリア
902 次ワークフローステップ設定ボタン
903 ワークフローステップ表示マップ
904 伝達文表示部
1000 カレントワークフロー取得手段
1001 類似ワークフロー表示手段
1002 選択ワークフロー受付手段
1003 ワークフロー名付与手段
1200 ワークフロー名表示
1201 類似ワークフロー画面
1202 類似ワークフローリスト
1203 ワークフロー名登録ボタン
1300 類似ワークフロー表示条件記憶手段
1400 類似ワークフロー表示条件テーブル
1401 条件IDフィールド
1402 ユーザIDフィールド
1403 ワークフロー名未付与時動作フラグフィールド
1404 ワークフロー名不一致時動作フラグフィールド
1405 ワークフロー間類似度閾値フィールド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a1)医療関連業務の一連の診療の流れであるワークフローを識別するワークフロー情報と、(a2)前記ワークフローを構成する医療関連業務の単位であるワークフローステップを識別する情報と、前記医療関連業務の依頼元及び/又は依頼先に関する情報と、前記医療関連業務の種類に関する情報を含むワークフローステップ情報と、(a3)前記医療関連業務に関連する情報である医療情報と、を互いに関連付けて第1の記憶領域に格納する医療情報格納手段と、
カレントワークフローを取得するカレントワークフロー取得手段と、
前記カレントワークフローに類似するワークフローを、前記第1の記憶領域から検索する類似ワークフロー検索手段と、
前記カレントワークフローと類似するワークフローを表示する類似ワークフロー表示手段と、
選択されたワークフローの情報を受け付ける選択ワークフロー受付手段と、
選択されたワークフローのワークフロー名をカレントワークフローのワークフロー名として付与するワークフロー名付与手段と
を有することを特徴とする診療支援システム。
【請求項2】
請求項1に記載の診療支援システムにおいて、
前記類似ワークフローを表示するための条件を記憶する第2の記憶領域をさらに有し、
前記類似ワークフロー表示手段は、前記第2の記憶領域に記憶された条件に従って類似ワークフローを表示する
ことを特徴とする診療支援システム。
【請求項3】
請求項2記載の診療支援システムにおいて、
前記第2の記憶領域は、前記カレントワークフローのワークフロー名の付与状態、前記カレントワークフローと前記類似ワークフローの間のワークフロー名の一致状態、及び、前記カレントワークフローと前記類似ワークフローの間の類似度のうち1つ以上の条件を記憶する
ことを特徴とする診療支援システム。
【請求項4】
(a1)医療関連業務の一連の診療の流れであるワークフローを識別するワークフロー情報と、(a2)前記ワークフローを構成する医療関連業務の単位であるワークフローステップを識別する情報と、前記医療関連業務の依頼元及び/又は依頼先に関する情報と、前記医療関連業務の種類に関する情報を含むワークフローステップ情報と、(a3)前記医療関連業務に関連する情報である医療情報と、を互いに関連付けて第1の記憶領域に格納する医療情報格納手段を有する医療支援システムを構成するコンピュータを、
カレントワークフローを取得するカレントワークフロー取得手段と、
前記カレントワークフローに類似するワークフローを、前記第1の記憶領域から検索する類似ワークフロー検索手段と、
前記カレントワークフローと類似するワークフローを表示する類似ワークフロー表示手段と、
選択されたワークフローの情報を受け付ける選択ワークフロー受付手段と、
選択されたワークフローのワークフロー名をカレントワークフローのワークフロー名として付与するワークフロー名付与手段として動作させる
ことを特徴とするプログラム。
【請求項5】
請求項4に記載のプログラムにおいて、
前記類似ワークフロー表示手段は、前記類似ワークフローを表示するための条件を記憶する第2の記憶領域に記憶された条件に従って類似ワークフローを表示する
ことを特徴とするプログラム。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−45263(P2013−45263A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−182110(P2011−182110)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】