説明

評価装置、評価方法および評価プログラム

【課題】放電過電流検出電流値を高精度に測定する評価装置、評価方法および評価プログラムを提供する。
【解決手段】放電過電流値より小さく設定した放電電流値を初期値として放電電流を放電過電流検出遅延時間より長く設定した放電通電期間の間流す処理と、放電電流が遮断しなかった場合、放電過電流復帰遅延時間より長く設定した放電休止時間経過後あらかじめ設定した増加幅電流を放電電流に加算した放電電流を放電通電期間の間流す処理とを繰り返し、放電過電流検出電流値を測定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Liイオン電池の保護機能を有する電池モジュールの過電流検出回路を評価する評価装置、評価方法および評価プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明に関連する技術を紹介する。特許文献1は、スイッチング電源を保護するスイッチング電源保護回路として、スイッチング電源を構成する各素子に過度の電流が流れた場合に過度電流検出信号を発する過電流検出器と、過電流検出器からの過度電流検出信号をサンプリングし所定期間ホールドして出力するホールド回路と、スイッチング電源の出力異常を検出して過負荷検出信号を発する過負荷検出器とを設け、この過負荷検出器からの過負荷検出信号とホールド回路からの過度電流検出信号との論理積をとることにより、スイッチング電源に対する保護処理を、両信号が所定時間持続して出力されるまで保留する構成とする。これにより、入力や負荷の変動によるスイッチング電源装置(スイッチングレギュレータ)の誤動作を効率的に防止する。
【0003】
特許文献2は、従来の充電過電流検出回路、放電過電流検出回路、遅延手段、放電経路遮断手段(放電制御用FET)、充電経路遮断手段(充電制御用FET)と共に、遅延手段における遅延時間を短縮する短縮回路と、充電器マイナス端子の電位(V−)が、放電時に予め異常放電状態検出用に定められた閾値Vt(Vt>>Vh)よりも高くなること、あるいは、充電時に予め異常充電状態検出用に定められた閾値Ve(Ve<<Vj)よりも低くなることを検出する異常検出回路を設け、この異常検出回路で異常放電状態および異常充電状態を検出すると短縮回路を起動して放電電流経路および充電電流経路の遮断を早める。これにより、従来はテスト用に用いられていた、放電過電流状態および充電過電流状態のそれぞれの検出信号の遅延時間の短縮技術を、通常の放電時および充電時の保護機能に利用する。
【0004】
また、上記文献と関連する技術について図8から図12を用いて説明する。図8において110は、Li電池の充放電制御を行うLi電池保護ICで100は前記Li電池の充放電制御IC110、充放電制御スイッチQ2,Q1、外付け抵抗R1,R2及ぶコンデンサC1を搭載したLi電池保護モジュールである。
【0005】
まず、Li電池保護モジュール100の放電制御について説明する。Li電池保護モジュール100の外部には端子CN1(BATT+)とCN2(BATT−)にリチウムイオン電池等の二次電池102が接続され端子CN4(OUT+)とCN3(OUT−)には携帯電話、ゲーム機器等の機能を構成する電気回路等が接続され、それを負荷103として表わす。
【0006】
Li電池保護IC110の外付けの電流遮断用としての放電制御スイッチQ1及び充電制御スイッチQ2が接続されており端子CN1からR1を経由してLi電池保護IC110の端子TN1(Vdd)からLi電池保護IC 110に電源が供給されている。
【0007】
Li電池保護IC 110内の充電過電流検出回路114及び放電過電流検出回路115にはそれぞれ基準電圧Vref_c、Vref_dが設定されている。一方Li電池保護IC 110の端子TN5(V−)には抵抗R2がLi電池保護モジュール 100の端子CN3(OUT−)及び充電制御スイッチQ2のソースの交点に接続されている。論理回路121、レベルシフト118はそれぞれLi電池保護IC 110の端子TN3(Dout)及びTN4(Cout)に接続されて両信号共“H”が出力されており放電制御スイッチQ1の制御端子(ゲート)及び充電制御スイッチQ2の制御端子(ゲート)が“H”となり放電制御スイッチQ1及び充電制御スイッチQ2がオンしている。
【0008】
Li電池保護モジュール100の端子CN4、CN3に前記負荷103を接続すると二次電池102から端子CN1、CN4、負荷103、CN3、充電制御スイッチQ2のソース、ドレイン、放電制御スイッチQ1のドレイン、ソース、端子CN2の順で矢印104の方向に放電電流が流れる。
【0009】
負荷103に流れた放電電流Idと放電制御スイッチQ1のオン抵抗Ron_d及び充電制御スイッチQ2のオン抵抗Ron_cによるLi電池保護IC110の端子TN2(Vss)基準の正電圧が抵抗R2を経由してLi電池保護IC110の端子TN5(V−)に印加される。
【0010】
この電圧が放電過電流検出回路115に印加され設定された前記基準電圧Vref_dより低い値となっている。負荷が小さくなった場合放電電流Idが大きくなり放電過電流値(Id_det)を超えた時放電過電流検出回路115の基準電圧Vref_dを前記正電圧が超えた時、動作開始信号が放電過電流検出回路115から発振回路113へ入力され所定の発振周波数で発振を開始する。発振回路の次段に接続されたカウンタ116からはあらかじめ設定しておいた時間(tId_delay)後に論理回路121に“H” が出力され論理回路121への他入力との論理和、論理積等の論理結果によりLi電池保護IC110の端子TN3(Dout)に“L”を出力し外付けの放電制御スイッチQ1の制御端子に“L”が出力され放電制御スイッチQ1がオフし放電電流Idが遮断される。
【0011】
負荷103がLi電池保護モジュール100の端子CN4(OUT+)、CN3(OUT−)から開放されると放電過電流(Id_det)検出状態より開放されあらかじめLi電池保護IC110の内部で設定された時定数後に抵抗R2経由で端子TN5(V−)の電位が放電過電流検出回路115の基準電圧Vref_d以下となる。その結果放電過電流検出回路115から論理回路121及び発振回路113へ“L” 信号が出力されあらかじめ設定されていた所定時間(tIdrel_delay)後にLi電池保護IC110の端子TN3(Dout)に“H” が出力され放電過電流状態から復帰する事となる。
【0012】
次にLi電池保護モジュール100 の充電制御について図9に基づき説明する。放電制御時に説明したブロックで同一動作のものには同一番号を付与している。Li電池保護モジュール100の外部には端子CN1(BATT+)とCN2(BATT−)にリチウムイオン電池等の二次電池102が接続され端子CN4(OUT+)とCN3(OUT−)には二次電池を充電する為の充電器104が接続されている。Li電池保護IC110には外付けの電流遮断用としての放電制御スイッチQ1及び充電制御スイッチQ2が接続されており端子CN1(BATT+)よりR1を経由して端子TN1(Vdd)にはLi電池保護IC 110に電源が供給されている。
【0013】
Li電池保護IC 110内の充電過電流検出回路114及び放電過電流検出回路115にはそれぞれ基準電圧Vref_c、Vref_dが設定されている。Li電池保護モジュール 100の端子CN4(OUT+)、CN3(OUT−)に前記充電器104を接続すると充電器104から端子CN4、CN1、二次電池102、端子CN2、放電制御スイッチQ1のソース、ドレイン、充電制御スイッチQ2のドレイン、ソース、端子CN3の順で矢印106の方向に充電電流が流れる。充電器104より二次電池102に流れた充電電流Icと放電制御スイッチQ1のオン抵抗Ron_c及び充電制御スイッチQ2のオン抵抗Ron_cによるLi電池保護IC110の端子TN2(Vss)基準の負電圧が抵抗R2を経由してLi電池保護ICの端子TN5(V−)に印加される。この電圧が充電過電流検出回路114に設定された前記基準電圧Vref_cより絶対値で低い値となっている。二次電池102への充電電流Icが大きくなり充電過電流値(Ic_det)を超え充電過電流検出回路114の基準電圧Vref_cより前記負電圧が小さくなった時、動作開始信号が充電過電流検出回路114から発振回路113へ入力され所定の発振周波数で発振を開始する。発振回路の次段に接続されたカウンタ116からはあらかじめ設定しておいた時間(tIc_delay)後に論理回路117に“H”が出力され論理回路の他入力との論理和、論理積等の論理結果がレベルシフト118へ“L”を出力しLi電池保護IC110の端子TN4(Cout)に“L”を出力し、外付けの充電制御スイッチQ2の制御端子に“L”が出力され充電制御スイッチQ2がオフし充電電流Icが遮断される。
【0014】
充電器104が開放され端子TN4(OUT+)とTN3(OUT−)の間に負荷103が接続されると図8に示す状態となりLi電池102の正電圧が端子CN1(BATT+)、CN4(OUT+)、負荷103、CN3(OUT−)、抵抗R2経由で端子TN5(V−)に印加される事となり充電過電流検出回路114の基準電圧Vref_c以上となり充電過電流(Ic_det)状態より復帰する。
【0015】
その結果、充電過電流検出回路114から論理回路117及び発振回路113へ“L”信号が出力されあらかじめ設定済の所定時間(tIcrel_delay)後にLi電池保護IC110の端子TN4(Cout)に“H”が出力され充電過電流状態から復帰する事となる。
【0016】
上記記載の充放電検出動作機能を有するLi電池保護モジュール100の上記充放電検出電流値Ic_det及びId_detを計測するべく評価装置(図示せず)がLi電池保護モジュール100のCN3(OUT−)、CN2(BATT−)に接続されている。
【0017】
図10、11にて放電過電流検出電流値計測時の検査フローを説明する。
【0018】
まず、放電過電流値(Id_det)以下の放電電流初期値IdをLi電池保護モジュール100の端子CN3、CN2間に流す(ステップS−1)。
【0019】
次に、放電過電流検出遅延時間tId_delay+αとし放電過電流検出が確実に動作する時間の間待つ(ステップS−2)。その後、電流遮断しているかどうかを判断する(ステップS−3)。
【0020】
電流遮断していれば(ステップS−3/YES)、処理を終了する。電流遮断していなければ(ステップS−3/NO)、放電電流をΔIdだけ増加させたId+ΔIdを流す(ステップS−4)。その後、ステップS−2の処理での待ち時間後、ステップS−3の処理で、電流遮断判断の繰返しループを実行し電流遮断するまで実行する。
ここでt_S-2、t_S-3、t_S-4は、ステップS−2、S−3、S−4を実現する為のプログラムステップに要する時間を表わす。
【0021】
この結果計測開始後の時間t1に放電過電流値を検出した場合放電制御スイッチQ1でのオン抵抗Ron_dでの熱損失は、[Ron1_d×Id+Ron2_d×(Id+ΔId)+Ron3_d×(Id+ΔId)+‥‥‥]×(tId_delay) (1)
となる。
【0022】
一方、充電制御スイッチQ2でのオン抵抗Ron_cによる熱損失は[Ron1_c ×Id + Ron2_c ×(Id+ΔId) + Ron3_c ×(Id+ΔId)+‥‥‥]×(tId_delay) (2)となる。
ここでRon_d及びRon_cは、周囲温度が高くなると大きくなる傾向の為上記熱損失による自己発熱によりRon_d及びRon_cは大きくなる。Ron_d及びRon_cが大きくなる事で放電制御スイッチQ1及び充電制御スイッチQ2のオン抵抗Ron_d及びRon_cと放電電流Idによる電圧降下が大きくなり上記抵抗R2を経由してLi電池保護IC110の端子TN5(V−)に印加される正電圧が大きくなる為に見かけ上放電過電流検出電流値の計測結果が小さくなる。同様に充電時の検出も図12にて充電過電流検出電流値計測時の検査フローで示しているように放電過電流検出電流値計測時と同等で有り放電制御スイッチQ1でのオン抵抗Ron_dによる熱損失及び充電制御スイッチQ2でのオン抵抗Ron_cによる熱損失は、それぞれ、以下のようになる。
[Ron4_d×Ic+Ron5_d×(Ic+ΔIc)+Ron6_d×(Ic+ΔIc)+‥‥]×(tIc_delay)‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥(3)
[Ron4_c×Ic+Ron5_c×(Ic+ΔIc)+Ron6_c×(Ic+ΔIc)+‥‥]×(tIc_delay+α) (4)
【0023】
上記熱損失による自己発熱によりRon_d及びRon_cは大きくなる。Ron_d及びRon_cが大きくなる事で放電制御スイッチQ1及び充電制御スイッチQ2のオン抵抗Ron_d及びRon_cと充電電流Icによる電圧降下が大きくなり上記抵抗R2を経由してLi電池保護IC110の端子TN5(V−)に印加される負電圧が大きくなる為に見かけ上充電過電流検出電流値の計測結果が小さくなる。
【0024】
上記熱損失を少なくさせる為には上記図11で記載した各フローステップS−2、S−3、S−4の実行プログラム数を少なくするか上記ステップを高速に処理させる事しか対応方法が無い。図10の時間αは、このプログラムステップ動作に消費される時間である。
【特許文献1】特開2004−48884号公報
【特許文献2】特開2006−262574号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
しかし、上記のような充放電過電流検出電流値の計測方法では自己発熱によるオン抵抗増加による検出電流値が小さめに計測される。また、充放電過電流検出遅延時間の計測にはそれぞれ単独で計測する必要があり時間が約2倍かかってしまう。
【0026】
本発明では、放電過電流値より小さく設定した放電電流値を初期値として放電電流を放電過電流検出遅延時間より長く設定した放電通電期間の間流し、放電電流が遮断しなかった場合、放電過電流復帰遅延時間より長く設定した放電休止時間経過後あらかじめ設定した増加幅電流を放電電流に加算した放電電流を放電通電期間の間流すことを繰り返す評価装置、評価方法および評価プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0027】
上記の目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、二次電池から負荷に流れる放電電流を制御する放電制御スイッチと、充電器から二次電池に流れる充電電流を制御する充電制御スイッチと、放電過電流復帰遅延時間後に前記放電制御スイッチの制御端子へ放電過電流復帰検出信号を送出することにより前記放電制御スイッチをオンし放電過電流から復帰させる二次電池の放電過電流復帰回路と、所定の充電過電流復帰遅延時間後に前記充電制御スイッチの制御端子へ充電過電流復帰信号を送出することにより前記充電制御スイッチをオンし充電過電流状態から復帰させる二次電池の充電過電流復帰回路とを備えたリチウム電池保護回路モジュールの充放電過電流検出電流値、充放電過電流検出遅延時間値、および、充放電過電流復帰遅延時間値の妥当性を評価する評価装置であって、放電過電流値より小さく設定した放電電流値を初期値として放電電流を放電過電流検出遅延時間より長く設定した放電通電期間の間流す処理と、放電電流が遮断しなかった場合、放電過電流復帰遅延時間より長く設定した放電休止時間経過後あらかじめ設定した増加幅電流を放電電流に加算した放電電流を放電通電期間の間流す処理とを繰り返し、前記放電過電流検出電流値を測定する評価装置であることを特徴とする。
【0028】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の評価装置において、放電通電期間と、放電休止期間とを合わせた時間が前記放電過電流検出遅延時間と、前記放電過電流復帰遅延時間とを合わせた時間を等しいことを特徴とする。
【0029】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の評価装置において、前記充電過電流値より小さく設定した充電電流値を初期値として前記充電電流を前記充電過電流検出遅延時間より長く設定した充電通電期間の間流す処理と、充電電流が遮断しなかった場合、前記充電過電流復帰遅延時間より長く設定した前記充電休止時間、経過後あらかじめ設定した増加幅電流を前記充電電流に加算した充電電流を前記充電通電期間の間、流す処理とを繰り返し、充電過電流検出電流値を測定することを特徴とする。
【0030】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の評価装置において、充電通電期間と、充電休止期間とを合わせた時間が前記充電過電流検出遅延時間と、前記充電過電流復帰遅延時間とが等しいことを特徴とする。
【0031】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の評価装置において、放電電流が遮断した事を判断し放電過電流検出電流値を計測完了した後、前記放電通電期間中に前記基準電圧より小さい放電電流を流し、前記放電過電流復帰遅延時間を測定することを特徴とする。
【0032】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の評価装置において、充電電流が遮断した事を判断し、充電過電流検出電流値を計測完了した後の前記充電通電期間中に前記基準電圧より小さい充電電流を流し、前記充電過電流復帰遅延時間を測定することを特徴とする。
【0033】
請求項7に記載の発明は、請求項1から6のいずれか1項に記載の評価装置において、放電過電流検出電流値、放電過電流検出遅延時間、放電過電流復帰遅延時間、および、充電過電流検出電流値、充電過電流検出遅延時間、充電過電流復帰遅延時間の順番で順じ繰返し測定することを特徴とする。
【0034】
請求項8に記載の発明は、請求項1から6のいずれか1項に記載の評価装置において、充電過電流検出電流値、充電過電流検出遅延時間、充電過電流復帰遅延時間、および、放電過電流検出電流値、放電過電流検出遅延時間、放電過電流復帰遅延時間の順番で順じ繰返し測定する事を特徴とする。
【0035】
請求項9に記載の発明は、二次電池から負荷に流れる放電電流を制御する放電制御スイッチと、充電器から二次電池に流れる充電電流を制御する充電制御スイッチと、放電過電流復帰遅延時間後に前記放電制御スイッチの制御端子へ放電過電流復帰検出信号を送出することにより前記放電制御スイッチをオンし放電過電流から復帰させる二次電池の放電過電流復帰回路と、所定の充電過電流復帰遅延時間後に前記充電制御スイッチの制御端子へ充電過電流復帰信号を送出することにより前記充電制御スイッチをオンし充電過電流状態から復帰させる二次電池の充電過電流復帰回路とを備えたリチウム電池保護回路モジュールの充放電過電流検出電流値、充放電過電流検出遅延時間値、および、充放電過電流復帰遅延時間値の妥当性を評価する評価方法であって、放電過電流値より小さく設定した放電電流値を初期値として放電電流を放電過電流検出遅延時間より長く設定した放電通電期間の間流す処理と、放電電流が遮断しなかった場合、放電過電流復帰遅延時間より長く設定した放電休止時間経過後あらかじめ設定した増加幅電流を放電電流に加算した放電電流を放電通電期間の間流す処理とを繰り返し、前記放電過電流検出電流値を測定する評価方法であることを特徴とする。
【0036】
請求項10に記載の発明は、二次電池から負荷に流れる放電電流を制御する放電制御スイッチと、充電器から二次電池に流れる充電電流を制御する充電制御スイッチと、放電過電流復帰遅延時間後に前記放電制御スイッチの制御端子へ放電過電流復帰検出信号を送出することにより前記放電制御スイッチをオンし放電過電流から復帰させる二次電池の放電過電流復帰回路と、所定の充電過電流復帰遅延時間後に前記充電制御スイッチの制御端子へ充電過電流復帰信号を送出することにより前記充電制御スイッチをオンし充電過電流状態から復帰させる二次電池の充電過電流復帰回路とを備えたリチウム電池保護回路モジュールの充放電過電流検出電流値、充放電過電流検出遅延時間値、および、充放電過電流復帰遅延時間値の妥当性の評価をコンピュータに実行させる評価プログラムであって、放電過電流値より小さく設定した放電電流値を初期値として放電電流を放電過電流検出遅延時間より長く設定した放電通電期間の間流す処理と、放電電流が遮断しなかった場合、放電過電流復帰遅延時間より長く設定した放電休止時間経過後あらかじめ設定した増加幅電流を放電電流に加算した放電電流を放電通電期間の間流す処理とを繰り返し、前記放電過電流検出電流値を測定する処理をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、放電過電流値より小さく設定した放電電流値を初期値として放電電流を放電過電流検出遅延時間より長く設定した放電通電期間の間流し、放電電流が遮断しなかった場合、放電過電流復帰遅延時間より長く設定した放電休止時間経過後あらかじめ設定した増加幅電流を放電電流に加算した放電電流を放電通電期間の間流すことを繰り返し、放電過電流検出電流値を高精度に測定する評価装置、評価方法および評価プログラムの提供を可能とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
本発明は、従来の充放電過電流検出電流値の計測方法では自己発熱によるオン抵抗増加による検出電流値が小さめに計測されるという問題点、充放電過電流検出遅延時間の計測にはそれぞれ単独で計測する必要があり時間が約2倍かかってしまうという問題点を解決し、放電過電流検出電流値を高精度に測定することができる。
【0039】
上記問題点を解決するのに好適な形態の一例を以下に示す。
【0040】
二次電池から負荷に流れる放電電流(IL)を半導体スイッチである放電制御スイッチ(FET_d)と、充電器から二次電池に流れる充電電流(Ic)を半導体スイッチである充電制御スイッチ(FET_c)と、所定の放電過電流検出遅延時間(tId_delay)後に前記放電制御スイッチの制御端子へ放電過電流検出信号を送出することにより前記放電制御スイッチをオフし、放電過電流を遮断させる機能と放電電流値が低減しこの低減した放電電流と放電制御スイッチ(FET_d)及び充電制御スイッチ(FET_c)での電圧降下の正電圧が前記基準電圧(Vref_d)より低くなる事で放電過電流検出状態から通常の放電電流状態(Idrel_det)に復帰したと判断して所定の放電過電流復帰遅延時間(tIdrel_delay)後に前記放電制御スイッチの制御端子へ放電過電流復帰検出信号を送出することにより前記放電制御スイッチをオンし放電過電流から復帰させる二次電池の放電過電流復帰回路とを備え、充電時充電電流による放電制御スイッチ(FET_d)と充電制御スイッチ(FET_c)での電圧降下の負電圧を監視して前記負電圧降下が所定の基準電圧(Vref_c)より低くなった時に充電過電流(Ic_det)状態と判断して所定の充電過電流検出遅延時間(tIc_delay)後に前記充電制御スイッチの制御端子へ充電過電流検出信号を送出することにより前記充電制御スイッチをオフし充電過電流を遮断させる機能と充電過電流検出電流値以下に充電電流値が低減しこの低減した充電電流と放電制御スイッチ(FET_d)及び充電制御スイッチ(FET_c)での電圧降下の負電圧が前記基準電圧(Vref_c)より高くなる事で充電過電流検出状態(Icrel_det)から復帰したと判断して所定の充電過電流復帰遅延時間(tIcrel_delay)後に前記充電制御スイッチの制御端子へ充電過電流復帰信号を送出することにより前記充電制御スイッチをオンし充電過電流状態から復帰させる二次電池の充電過電流復帰回路を備えたリチウム電池保護回路モジュールの充放電過電流検出電流値及び充放電過電流検出遅延時間値及び充放電過電流復帰遅延時間値の妥当性を評価する検査装置において放電過電流値より小さく設定した放電電流値を初期値として放電電流を放電過電流検出遅延時間より長く設定した放電通電期間の間流し、放電電流が遮断しなかった場合、放電過電流復帰遅延時間より長く設定した放電休止時間経過後あらかじめ設定した増加幅電流を放電電流に加算した放電電流を放電通電期間の間流す事を繰返す事によって上記放電過電流検出電流値を測定する。
【0041】
また好ましくは、上記構成において、放電通電期間(Ton_d)と放電休止期間(Toff_d)を合わせた時間が上記放電過電流検出遅延時間(tId_delay)と上記放電過電流復帰遅延時間(tIdrel_delay)を合わせた時間を等しくする。
【0042】
また好ましくは、上記構成において、上記充電過電流(Ic_det)値より小さく設定した充電電流値を初期値として上記充電電流(Ic)を上記充電過電流検出遅延時間(tIc_delay)より長く設定した充電通電期間(Ton_c)の間流し、充電電流が遮断しなかった場合上記充電過電流復帰遅延時間(tIcrel_delay)より長く設定した前記充電休止時間(Toff_c)経過後あらかじめ設定した増加幅電流(ΔIc)を前記充電電流に加算した充電電流(Ic+ΔIc)を前記充電通電期間の間流す事を繰返す。
これによって放電制御スイッチ(FET_d)及び上記充電制御スイッチ(FET_c)の発熱を抑えることが出来、上記充電過電流検出電流値(Ic_det)を精度よく測定することができる。
【0043】
また好ましくは、上記構成において、充電通電期間(Ton_c)と充電休止期間(Toff_c)を合わせた時間が上記充電過電流検出遅延時間(tIc_delay)と上記充電過電流復帰遅延時間(tIcrel_delay)とが等しくする。
【0044】
また、上記構成は、放電電流が遮断したことを判断し、放電過電流検出電流値を計測した時と同時に上記放電過電流検出遅延時間(tId_delay)の計測が放電電流遮断時に同時測定できる。
【0045】
また、上記構成は、充電電流が遮断した事を判断し充電過電流検出電流値を計測した時と同時に上記充電過電流検出遅延時間(tIc_delay)の計測が充電電流遮断時に同時測定できる。
【0046】
また好ましくは、上記構成において、放電電流が遮断した事を判断し放電過電流検出電流値を計測完了した後の上記放電通電期間中に上記基準電圧(Vref_d)より小さい放電電流を流す事により上記放電過電流復帰遅延時間(tIdrel_delay)を測定する。
【0047】
また好ましくは、上記構成において、充電電流が遮断した事を判断し充電過電流検出電流値を計測完了した後の上記充電通電期間中に上記基準電圧(Vref_c)より小さい充電電流を流す事により上記充電過電流復帰遅延時間(tIcrel_delay)を測定する。
【0048】
また好ましくは、上記構成において、放電過電流検出電流値、放電過電流検出遅延時間、放電過電流復帰遅延時間及び充電過電流検出電流値、充電過電流検出遅延時間、充電過電流復帰遅延時間の順番で順じ繰返し測定する。
【0049】
また好ましくは、上記構成において、充電過電流検出電流値、充電過電流検出遅延時間、充電過電流復帰遅延時間及び放電過電流検出電流値、放電過電流検出遅延時間、放電過電流復帰遅延時間の順番で順じ繰返し測定する。
【0050】
上述した本発明を実施する実施の形態について以下に説明していく。
【0051】
まず、図1を参照して本発明を説明する。
【0052】
充放電検出動作機能を有するLi電池保護モジュール100の上記充電過電流検出電流値Ic_det及び放電過電流検出電流値Id_detを計測可能な評価装置200内の機能を説明する。
【0053】
評価装置200の端子CN201とLi電池保護モジュール100の端子CN3が接続されグランド端子CN202とCN2が接続されている。抵抗Rsは電流検出用として挿入されておりQ201、Q202のPNP、NPNトランジスタ、電力増幅器205からなる回路よりプシュプル出力されている。201は電流、電圧フォースを切替える切替え回路、203は放電通電期間Ton_d、放電休止期間Toff_d及び充電通電期間Ton_c、充電休止期間Toff_cの時間を制御するPWM制御回路、202は放電電流Id、放電電流値の増加量ΔId及び充電電流Ic、充電電流値の増加量ΔIcを設定する電圧制御回路、204は203の電圧制御回路で設定した電圧値により、所望の電流値が流れているかを検出しまた電流遮断している事を検出する電流検出回路、電流印加開始から電流遮断までの時間を計測する時間計測回路206で構成されている。
【0054】
Ton_dの設定時間は放電過電流検出遅延時間(tId_delay)より長く設定されておりToff_dの設定時間は、放電過電流復帰遅延時間(tIdrel_delay)よりも長く設定されている。また、放電電流初期値Idは、放電過電流検出電流値(Id_det)より小さい電流値に設定されている。また、Ton_cの設定時間は、充電過電流検出遅延時間(tIc_delay)より長く設定されておりToff_cの設定時間は充電過電流復帰遅延時間(tIcrel_delay)よりも長く設定されている。また、充電電流初期値Icは充電過電流検出電流値(Ic_det)より小さい電流値に設定されている。
【0055】
まず図2で時間t0で電圧制御回路202で設定された放電電流初期値Idが時間設定されたTon_dの期間、端子CN201より印加される。この時、時間計測回路206にて時間計測が開始される。
【0056】
放電電流がId<Id_detで有る為Ton_d時間後のt1で放電電流Idは設定したゼロとなる。この時、PWM制御回路203で設定したTon_d以内に電流遮断しない事を時間計測回路206が検出して時間計測を停止し計測値は破棄されリセットされる。
【0057】
t1よりt2までの放電休止期間Toff_d後放電電流値をΔIdだけ増加させて時間t2よりId+ΔIdの放電電流を端子CN201よりCN3へ印加する。電流が印加された直後時間計測回路206にて時間計測が開始されるが、この時印加される放電電流値がId+ΔId<Id_detで有る為PWM制御回路203で設定したTon_d以内に電流遮断せずt3で放電電流値は、Id=0となり時間計測回路206で計測中の時間計測が停止し計測値が破棄、リセットされる。
【0058】
その後、放電休止期間Toff_d後のt4より放電電流がId+ΔId+ΔIdに設定されCN3に印加されると共に時間計測回路206にて時間計測が開始される。この時、印加される放電電流値は、Id+2×ΔId>Id_detとなり、この放電電流値と放電電制御スイッチQ1及び充電制御スイッチQ2のオン抵抗で発生する正電圧が抵抗R2を経由してLi電池保護IC110の端子TN5(V−)に印加される。この印加された正電圧が前記放電電流検出回路115内の基準電圧Vref_dより大きい為放電過電流検出遅延時間(tId_delay)後に論理回路121より端子TN3(Dout)に“L”が出力され放電制御スイッチQ1の制御端子に印加され放電制御スイッチQ1がオフとなる。
【0059】
このタイミングが図2のt5である。電流遮断した時間t5にて電流検出回路204で電流遮断を検出し放電過電流検出電流値Id_detが計測される事になる。
【0060】
ここで放電過電流検出電流値Id_detをよぎった時の図2のB部の拡大図6について説明すると放電電流を初期値Idから開始し、放電電流値増加量ΔIdのステップで放電電流を増加させていく場合ΔIdの増加ステップの間隔内に放電過電流検出値Id_detが存在した場合を示しており、放電過電流値をよぎった瞬間から放電過電流検出遅延時間(tId_delay)後に放電電流が遮断する。
【0061】
電流遮断したt5で時間計測回路206では、時間計測を終了し、放電過電流検出遅延時間(tId_delay)が同時に算出される。
【0062】
ここで放電過電流が検出されるまでの熱損失は放電制御スイッチQ1及び充電制御スイッチQ2のオン抵抗Ron_d、Ron_cと放電電流値、放電通電時間Ton_d、放電休止時間Toff_dで決定され以下の値となる。
【0063】
PLoss1+PLoss2+PLoss3=[Id×(Ron_d+Ron_c)+(Id+ΔId)×(Ron_d+Ron_c)]×tId_delay+(Id+2ΔId)×(Ron_d+Ron_c)×tId_delay
【0064】
次に放電過電流検出電流値Id_det及び充電過電流検出電流値Ic_detの同時計測について図3,4,5に基づいて説明する。
【0065】
放電過電流検出電流値Id_det及び充電過電流検出電流値Ic_detの計測方法は上記放電過電流の検出方法と基本的に同一である。
【0066】
放電電流初期値Id、充電電流初期値Icの設定値を初期値としてLi電池保護モジュール100の端子CN3に印加を開始する。
【0067】
t0〜t4までは放電電流及び充電電流は放電過電流検出電流値(Id_det)及び充電過電流検出電流値(Ic_det)より小さく設定されている為、放電通電期間Ton_d及び充電通電期間Ton_cの期間にて電流遮断は起こらない。時間t4にて放電電流をΔId増加させて印加するがId+ΔId<Id_detの条件の為やはり電流遮断はしない。時間t6より充電電流をΔIc増加させてIc+ΔIcをLi電池保護モジュール100の端子CN3へ印加する。この電流値はIc+ΔIc > Ic_det を満足する為充電電流値がIc_detの値をよぎった瞬間から充電過電流検出遅延時間(tIc_delay)後の時間t7でLi電池保護IC110の端子TN4(Cout)から“L”が出力され充電制御スイッチQ2の制御端子に印加され充電制御スイッチQ2がオフし電流遮断する。この時時間計測回路206にて充電過電流検出遅延時間(tIc_delay)が計測完了されている。
【0068】
時間t8の時点で評価装置200の端子CN201から電圧ゼロが出力され、充電過電流復帰遅延時間(tIcrel_delay)後にLi電池保護IC110の端子TN4(Cout)から“H”が出力され充電制御スイッチQ2がオンする。時間t7で電流遮断を時間計測回路206で検出後に時間計測結果を記憶装置(図示せず)に記録し時間計測回路206をリセット後に図7に示すように電圧制御回路202により充電電流値をIc_det以下のIc_relの電流が充電制御スイッチQ2がオンした時流れるような値に設定しLi電池保護モジュール100のCN3(OUT−)へ印加すると、充電過電流復帰遅延時間(tIcrel_delay)後のt7−1で充電制御スイッチQ2がオンするような設定も可能である。
【0069】
もちろん時間計測回路206にて時間計測をt7で開始しており充電過電流復帰遅延時間(tIcrel_delay)も計測完了している。
【0070】
t8〜t9の期間は、充電休止期間Toff_cを示しtoff_c>tIcrel_delayに設定されている為時間t9では、Li電池保護ジュール100は、通常動作状態に戻っている。
【0071】
充電過電流検出遅延時間(tIc_delay)の計測終了までの熱損失合計は、PdLoss1+PcLoss1+PdLoss2+PcLoss2={Id×(Ron_d+Ron_c)×Ton_d}+{Ic×(Ron_d+Ron_c)×Ton_c}+{(Id+ΔId)×(Ron_d+Ron_c)×Ton_d}+{(Ic+ΔIc)×(Ron_d+Ron_c)×tIc_delay}
【0072】
時間t9より放電電流値は、Id+2×ΔIdに設定されLi電池保護モジュール100の端子CN3より印加される。この放電電流値は、Id+2×ΔId>Id_detの値となっている為放電電流がId_detをよぎった瞬間から放電過電流検出遅延時間(tId_delay)後の時間t10でLi電池保護IC110の端子TN3(Dout)から“L”が出力され放電制御スイッチQ1の制御端子に印加され放電制御スイッチQ1がオフし電流遮断する。この瞬間時間計測回路206にて放電過電流検出遅延時間(tId_delay)が計測される。
【0073】
放電過電流検出遅延時間(tId_delay)の計測終了までの熱損失合計は、以下のようになる。
PdLoss1+PcLoss1+PdLoss2+PcLoss2+PdLoss3={Id×(Ron_d+Ron_c)×Ton_d}+{Ic×(Ron_d+Ron_c)×Ton_c}+{(Id+ΔId)×(Ron_d+Ron_c)×Ton_d}+{(Ic+ΔIc)×(Ron_d+Ron_c)×tIc_delay}+{(Id+2+ΔId)×(Ron_d+Ron_c)×tId_delay}
時間t11の時点で評価装置200の端子CN201から電圧ゼロが出力され、放電過電流検出遅延時間(tIdrel_delay)後にLi電池保護モジュール100の端子TN3(Dout)から“H”が出力され放電制御スイッチQ1がオンする。
【0074】
時間t10で放電電流遮断を時間計測回路206で検出後に時間計測結果を記憶装置(図示せず)に記録し時間計測回路206をリセット後に図5に示すように電圧制御回路202により放電電流値をId_det以下のId_relの電流が放電制御スイッチQ1がオンした時流れるような値に設定しLi電池保護モジュール100のCN3(OUT−)へ印加すると放電過電流復帰遅延時間(tIdrel_delay)後のt10−1で充電制御スイッチQ1がオンするような設定も可能である。もちろん時間計測回路206にて時間計測をt10で開始しており放電過電流復帰遅延時間(tIdrel_delay)も計測完了している。
【0075】
本実施形態において、放電電流Id<Id_det(放電過電流検出電流値)の初期条件を満足し、放電通電時間をTon_d>tId_delay(放電過電流検出遅延時間)に設定し放電過電流検出電流値Id_detの計測を開始し初期条件にて放電過電流を検出しなかった場合、放電電流値をId=0の値に設定してToff_d>tIdrel_delay(放電過電流復帰遅延時間)の条件を満足する放電過電流休止期間Toff_dの期間流し、その後放電電流を:Id+ΔIdに増加させTon_dの期間流す事を繰返す事により放電過電流検電流値を計測するのでFET_c、FET_dの発熱を抑えて精度良く放電過電流検出電流値を計測する事が出来る。
【0076】
本実施形態においては、放電通電期間(Ton_d)と放電休止期間(Toff_d)を合わせた時間が放電過電流検出遅延時間(tId_delay)と放電過電流復帰遅延時間(tIdrel_delay)を合わせた時間を等しくしたので放電過電流検出時間計測及び放電過電流復帰遅延時間の計測時間の短縮及び最適化が可能となる。
【0077】
本実施形態においては、充電電流Ic< Ic_det(充電過電流検出電流値)の初期条件を満足し、充電通電時間をTon_d > tIc_delay(充電過電流検出遅延時間) に設定し充電過電流検出電流値Ic_detの計測を開始し初期条件にて充電過電流を検出しなかった場合充電電流値をIc=0の値に設定してToff_c>tIcrel_delay(充電過電流復帰遅延時間)の条件を満足する充電過電流休止期間Toff_cの期間流しその後充電電流を:Ic+ΔIc増加させTon_dの期間流す事を繰返す事により充電過電流値を計測するのでFET_c、FET_dの発熱を抑えて精度良く放電過電流検出電流値を計測することができる。
【0078】
本実施形態においては、充電通電期間(Ton_c)と充電休止期間(Toff_c)を合わせた時間が充電過電流検出遅延時間(tIc_delay)と充電過電流復帰遅延時間(tIcrel_delay)を合わせた時間を等しくしたので充電過電流検出時間計測及び充電過電流復帰遅延時間の計測時間の短縮及び最適化が可能となる。
【0079】
本実施形態においては、放電電流が遮断した事を判断し放電過電流検出電流値を計測した時と同時に上記放電過電流検出遅延時間(tId_delay)の計測が放電電流遮断時に同時測定出来るようにしたので計測時間の短縮化が可能となる。
【0080】
本実施形態においては、充電電流が遮断した事を判断し充電過電流検出電流値を計測した時と同時に上記充電過電流検出遅延時間(Ic_delay)の計測が充電電流遮断時に同時測定出来るようにしたので計測時間の短縮化が可能となる。
【0081】
本実施形態においては、放電過電流検出電流Id_detを計測した時に放電電流を放電過電流検出電流値(Id_det)以下に下げる事で放電過電流検出からの復帰遅延時間:放電過電流復帰遅延時間tIdrel_delayを計測可能としたので計測時間の短縮化が可能となる。
【0082】
本実施形態においては、充電過電流検出電流Ic_detを計測した時に充電電流を充電過電流検出電流値(Ic_det)以下に下げる事で充電過電流検出からの復帰遅延時間:充電過電流復帰遅延時間tIcrel_delayを計測可能としたので計測時間の短縮化が可能となる。
【0083】
本実施形態においては、放電過電流検出電流値、放電過電流検出遅延時間、放電過電流復帰遅延時間及び充電過電流検出電流値、充電過電流検出遅延時間、充電過電流復帰遅延時間の順番で順じ繰返し測定する事としたので計測時間の短縮化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本実施形態における評価装置を示す構成図である。
【図2】本実施形態において、放電過電流検出電流値の測定と時間との関係を示す図である。
【図3】本実施形態において、放電過電流検出電流値および充電過電流検出電流値同時計測した場合の時間との関係を示す図である。
【図4】図3におけるC部を拡大した図である。
【図5】図3におけるD部を拡大した図である。
【図6】図2のB部と、図10のA部とを拡大した図である。
【図7】本実施形態において、放電過電流復帰遅延時間および放電過電流復帰遅延時間も計測したものを示す図である。
【図8】従来技術を説明するための図である。
【図9】従来技術を説明するための図である。
【図10】従来技術を説明するための図である。
【図11】従来技術を説明するための図である。
【図12】従来技術を説明するための図である。
【符号の説明】
【0085】
100 Li電池保護モジュール
200 評価装置
201 切替え回路
202 電圧制御回路
203 PWM制御回路
204 電流制御回路
205 電力増幅器
206 時間計測回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池から負荷に流れる放電電流を制御する放電制御スイッチと、
充電器から二次電池に流れる充電電流を制御する充電制御スイッチと、
放電過電流復帰遅延時間後に前記放電制御スイッチの制御端子へ放電過電流復帰検出信号を送出することにより前記放電制御スイッチをオンし放電過電流から復帰させる二次電池の放電過電流復帰回路と、
所定の充電過電流復帰遅延時間後に前記充電制御スイッチの制御端子へ充電過電流復帰信号を送出することにより前記充電制御スイッチをオンし充電過電流状態から復帰させる二次電池の充電過電流復帰回路とを備えたリチウム電池保護回路モジュールの充放電過電流検出電流値、充放電過電流検出遅延時間値、および、充放電過電流復帰遅延時間値の妥当性を評価する評価装置であって、
放電過電流値より小さく設定した放電電流値を初期値として放電電流を放電過電流検出遅延時間より長く設定した放電通電期間の間流す処理と、
放電電流が遮断しなかった場合、放電過電流復帰遅延時間より長く設定した放電休止時間経過後あらかじめ設定した増加幅電流を放電電流に加算した放電電流を放電通電期間の間流す処理とを繰り返し、前記放電過電流検出電流値を測定することを特徴とする評価装置。
【請求項2】
放電通電期間と、放電休止期間とを合わせた時間が前記放電過電流検出遅延時間と、前記放電過電流復帰遅延時間とを合わせた時間を等しいことを特徴とする請求項1に記載の評価装置。
【請求項3】
前記充電過電流値より小さく設定した充電電流値を初期値として前記充電電流を前記充電過電流検出遅延時間より長く設定した充電通電期間の間流す処理と、
充電電流が遮断しなかった場合、前記充電過電流復帰遅延時間より長く設定した前記充電休止時間、経過後あらかじめ設定した増加幅電流を前記充電電流に加算した充電電流を前記充電通電期間の間、流す処理とを繰り返し、充電過電流検出電流値を測定することを特徴とする請求項2に記載の評価装置。
【請求項4】
充電通電期間と、充電休止期間とを合わせた時間が前記充電過電流検出遅延時間と、前記充電過電流復帰遅延時間とが等しいことを特徴とする請求項3に記載の評価装置。
【請求項5】
放電電流が遮断した事を判断し放電過電流検出電流値を計測完了した後、前記放電通電期間中に前記基準電圧より小さい放電電流を流し、前記放電過電流復帰遅延時間を測定することを特徴とする請求項4に記載の評価装置。
【請求項6】
充電電流が遮断した事を判断し、充電過電流検出電流値を計測完了した後の前記充電通電期間中に前記基準電圧より小さい充電電流を流し、前記充電過電流復帰遅延時間を測定することを特徴とする請求項5に記載の評価装置。
【請求項7】
放電過電流検出電流値、放電過電流検出遅延時間、放電過電流復帰遅延時間、および、充電過電流検出電流値、充電過電流検出遅延時間、充電過電流復帰遅延時間の順番で順じ繰返し測定することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の評価装置。
【請求項8】
充電過電流検出電流値、充電過電流検出遅延時間、充電過電流復帰遅延時間、および、放電過電流検出電流値、放電過電流検出遅延時間、放電過電流復帰遅延時間の順番で順じ繰返し測定する事を特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の評価装置。
【請求項9】
二次電池から負荷に流れる放電電流を制御する放電制御スイッチと、
充電器から二次電池に流れる充電電流を制御する充電制御スイッチと、
放電過電流復帰遅延時間後に前記放電制御スイッチの制御端子へ放電過電流復帰検出信号を送出することにより前記放電制御スイッチをオンし放電過電流から復帰させる二次電池の放電過電流復帰回路と、
所定の充電過電流復帰遅延時間後に前記充電制御スイッチの制御端子へ充電過電流復帰信号を送出することにより前記充電制御スイッチをオンし充電過電流状態から復帰させる二次電池の充電過電流復帰回路とを備えたリチウム電池保護回路モジュールの充放電過電流検出電流値、充放電過電流検出遅延時間値、および、充放電過電流復帰遅延時間値の妥当性を評価する評価方法であって、
放電過電流値より小さく設定した放電電流値を初期値として放電電流を放電過電流検出遅延時間より長く設定した放電通電期間の間流す処理と、
放電電流が遮断しなかった場合、放電過電流復帰遅延時間より長く設定した放電休止時間経過後あらかじめ設定した増加幅電流を放電電流に加算した放電電流を放電通電期間の間流す処理とを繰り返し、前記放電過電流検出電流値を測定することを特徴とする評価方法。
【請求項10】
二次電池から負荷に流れる放電電流を制御する放電制御スイッチと、
充電器から二次電池に流れる充電電流を制御する充電制御スイッチと、
放電過電流復帰遅延時間後に前記放電制御スイッチの制御端子へ放電過電流復帰検出信号を送出することにより前記放電制御スイッチをオンし放電過電流から復帰させる二次電池の放電過電流復帰回路と、
所定の充電過電流復帰遅延時間後に前記充電制御スイッチの制御端子へ充電過電流復帰信号を送出することにより前記充電制御スイッチをオンし充電過電流状態から復帰させる二次電池の充電過電流復帰回路とを備えたリチウム電池保護回路モジュールの充放電過電流検出電流値、充放電過電流検出遅延時間値、および、充放電過電流復帰遅延時間値の妥当性の評価をコンピュータに実行させる評価プログラムであって、
放電過電流値より小さく設定した放電電流値を初期値として放電電流を放電過電流検出遅延時間より長く設定した放電通電期間の間流す処理と、
放電電流が遮断しなかった場合、放電過電流復帰遅延時間より長く設定した放電休止時間経過後あらかじめ設定した増加幅電流を放電電流に加算した放電電流を放電通電期間の間流す処理とを繰り返し、前記放電過電流検出電流値を測定する処理をコンピュータに実行させることを特徴とする評価プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−34016(P2010−34016A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−228969(P2008−228969)
【出願日】平成20年9月5日(2008.9.5)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】