説明

試料を像表示するための方法および光学顕微鏡装置

【課題】試料を像表示するための方法および光学顕微鏡装置において、ドリフトによって生じる結像の不正確性を簡単に且つ確実に回避できるようにする。
【解決手段】前記光学顕微鏡装置において、像処理ユニットは、一連の個別像の撮影中に、イメージドリフトを生じさせる温度量(ΔT,ΔT,...,ΔT)を測定する少なくとも1つの温度センサ(50,52,54,56,58,60)と、測定した前記温度量(ΔT,ΔT,...,ΔT)を記憶する記憶モジュール(302)と、所定の関連付けデータ(400)を用いて前記イメージドリフトを生じさせる温度量(ΔT,ΔT,...,ΔT)を、温度に依存するドリフト量(ΔX,ΔX,...ΔX;ΔY,ΔT,...ΔY)に関連付ける関連付けモジュール(308)と、前記ドリフト量(ΔX,ΔX,...ΔX;ΔY,ΔT,...ΔY)を用いて、検出した重心位置(82,84,86)を修正する修正モジュール(310)とを含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に記載の、光学顕微鏡装置を使用して試料を像表示するための方法、および、請求項8の上位概念に記載の光学顕微鏡装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
いくつかのマーカーの、特に蛍光分子のシーケンシャルな確率論的な局在化をベースにして、古典的な光学顕微鏡の回折による解像限界よりも小さな試料を表示させる光学顕微鏡結像システムが最近になって開発された。このような方法はたとえば特許文献1−5および非特許文献1−2から知られている。顕微鏡のこの新たな部門は局在化顕微鏡とも呼ばれる。使用される方法は文献中でたとえば(F)PALM ((Fluorescence) Photoactivation Localization Microscopy), PALMIRA (PALM with Independently Running Acquisition), GSD(IM) (Ground State Depletion Individual Molecule return) Microscopy) or (F)STORM ((Fluorescence) Stochastic Optical Reconstruction Microscopy)という名称で知られている。
【0003】
これらの新規な方法に共通していることは、結像すべき試料にマーカーで感光性を与えることである。マーカーは2つの異なる状態を提供し、すなわち「明」状態と「暗」状態とを提供する。たとえばー蛍光色素をマーカーとして使用する場合には、明状態は蛍光状態であり、暗状態は非蛍光状態である。試料に結像光学系の古典的な解像限界よりも高い解像度を備えさせるため、マーカーの少分量を再三明状態へ移行させる。この「アクティブな」分量はマーカーパターンを形成し、その個々の、明状態に移行したマーカーは、結像光学系の解像限界よりも大きな平均間隔を互いに有している。次に、それぞれのマーカーパターンを、個々のマーカーを空間的に切り離し可能な光分布の形態で検出する空間解像性イメージセンサに結像させる。
【0004】
このようにして多数の個別像が撮影され、これら個別像のそれぞれには他のマーカーパターンが形成されている。その後、像分析プロセスにおいて、各個別像内で光分布の重心位置が特定される。光分布の重心位置は明状態にあるマーカーを表わしている。次に、生データ個別像から検出した光分布の重心位置を集めて全体像の形態で全体表示する。この全体表示によって生じる高解像度全体像は、マーカーの分布を表わしている。
【0005】
結像すべき試料の代表再生を行うには、十分に多くのマーカー信号を検出しなければならない。しかしながら、それぞれのアクティブなマーカーパターン内部のマーカーの数量は、明状態にある2つのマーカーが互いに維持しなければならない最小平均間隔によって制限されているために、試料を完全に結像させるには、かなり多くの個別像を撮影しなければならない。典型的には、10000ないし100000個の範囲の個別像を撮影する必要がある。
【0006】
1つの個別像を撮影すために必要な時間は、下限をイメージセンサの最大像撮影効率によって制限されている。このため、全体表示のために必要な一連の個別像に対しては比較的長い全撮影時間を要する。従って、全撮影時間が数時間に及ぶことがある。
【0007】
この長い全撮影時間にわたって結果的に熱作用が発生し、たとえば光学顕微鏡の機械的構成要素の熱膨張、収縮或いはひずみが発生して、結像すべき試料を結像光学系に対し相対的にドリフトさせる。高解像度の全体像を作成するために、重心特定後にすべての個別像をまとめるので、2つの連続する個別像の撮影中に試料と結像光学系との間に相対運動が生じれば、全体像の空間解像度を悪化させる。
【0008】
以下では、上述した問題点を図1を用いて説明する。
【0009】
図1は従来の倒立光学顕微鏡10の概略構成図である。光学顕微鏡10はスタンド12を有し、スタンド12には試料テーブル14が載置されている。試料テーブル14上には試料ホールダ15が装着され、試料ホールダ15上に、結像すべき試料16が配置されている。
【0010】
試料16は、試料テーブル14の上方に配置されている光源17によって照射される。光源17は回動アーム18に取り付けられている。回動アーム18にはホールダ20も取り付けられ、ホールダ20は図1には図示していない種々の光学システムを含んでおり、これらの光学システムはたとえば標準的な透過光照明または位相コントラスト照明のような種々の照明モードを実現させるために用いる。このため、ホールダ20内にそれぞれの照明モードのために設けられる光学システムを図1で22で示した照明光路内へ回動させる。光源17から放出される照明光は、ホールダ20の下面に装着されているコンデンサ23を介して試料16へ誘導される。試料16の操作を容易にするため、回動アーム18を前述の光学システムとともに試料テーブル14から離間するように傾動させることができる。
【0011】
試料テーブル14の下方には、複数個の対物レンズ26を担持している電動式の対物レンズレボルバー24が設けられている。対物レンズ26は、図1においてOで示した光軸のまわりに対物レンズレボルバー24を回転させることにより、光軸Oによって設定される結像光路内へ選択的に回動可能である。結像光路内を回動した対物レンズ26は、試料16を、試料テーブル14内に形成されている貫通穴19を通じてイメージセンサ28へ結像させる。イメージセンサ28は、イメージセンサ28を制御するセンサドライバー29に接続されている。センサドライバー29はイメージセンサ28によって受信されるセンサ信号から像信号を形成させて、更なる像処理を可能にする。
【0012】
顕微鏡スタンド12は制御器30(たとえばコンピュータ)と連結され、制御器30を介して顕微鏡の機能および特に像処理を制御することができる。このため、制御器30はセンサドライバー29によって生成された像信号を受信する。制御器30はモニター32に接続され、モニター32上には、手動で処理された像信号を生じさせる試料像が表示される。試料像は接眼レンズ34を介して補助的に観察することができる。
【0013】
図1の光学顕微鏡10の場合、対物レンズレボルバー24はU字状のスタンド12に取り付けられており、その結果イメージドリフトを生じさせるうえで決定的な、結像対物レンズ26と試料16との間の間隔は比較的大きい。このように、試料16は、試料ホールダ34と試料テーブル14とU字状のスタンド12と対物レンズレボルバー24とを介して対物レンズ26と接続されている。前記の比較的大きな間隔のために、図1の光学顕微鏡10は特に前記間隔にわたっていわば合計した熱的不安定性に対し抵抗力がない。このような熱的不安定性は、周囲空気の温度変動或いは光学顕微鏡10自体の温度変動(たとえば発熱性の電子部品により発生する)に起因している。温度変動が生じると、たとえば、試料16と対物レンズ26の位置を保持している金属性構成部材のサイズが熱膨張または収縮により変化し、これによって試料16と対物レンズ26との間で相対運動が生じる。
【0014】
高解像度局在化顕微鏡(その解像度は20nmの値以下であることが多い)の分野でこのような熱的不安定性がいかに問題であるかを以下に説明する。顕微鏡の金属製構成部材の製造の際に典型的に使用される材料としてのアルミニウムは、23・10−6−1以上の熱膨張率を有している。たとえば、図1に図示した光学顕微鏡10において、イメージドリフトを生じさせるうえで決定的な、試料16と対物レンズ26との間隔が10cmであり、且つこの間隔がアルミニウムから成っている顕微鏡構成部材を介して生じるものであると仮定すると、1K温度変化するごとに2.3μmだけ機械的なドリフトが生じる。この温度変化を前述の空間解像度との関連で見ると、温度変動が撮影品質をかなり損なわせることは明らかである。
【0015】
図1に図示した光学顕微鏡10の場合、ドリフトを発生させる熱源は、例えば電子構成要素から成っていてスタンド12を加熱するセンサドライバー29内に設けられている。同様のことは、たとえば対物レンズレボルバー24を回転させるために用いる電動式構成部材に対しても言える。さらに、光源17もホールダ20内に設けられている機械的アクチュエータも、結像品質に悪影響を与える熱を発生させる。
【0016】
熱で発生するドリフトを回避するため、特許文献6では、温度変動を検出する温度センサを光学顕微鏡に装着することが提案されている。この温度変動を介して、試料を結像させる間に試料テーブルを移動させてドリフトを補償するようにモータを制御するための調整量が決定される。像撮影中に行われる試料テーブルの位置制御は技術的に比較的複雑である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】国際公開第2006/127692A2号パンフレット
【特許文献2】独国特許第102006021317B3号明細書
【特許文献3】国際公開第2007/12843A1号パンフレット
【特許文献4】米国特許出願公開第2009/0134342A1号明細書
【特許文献5】独国特許第102008024568A1号明細書
【特許文献6】国際公開第2004/034124A1号パンフレット
【非特許文献】
【0018】
【非特許文献1】M.J.Rust, M.Bates, X. Zhuang著 "Subdiffraction-limit imaging by stochastic optical reconstruction microscopy (STORM)", Nature Methods 3, 793-796 (2006)
【非特許文献2】Geisler C. et al著 "Resolution of Lambda/10 in fluorescence microscopy using fast single molecule photo-switching", Appl. Phys. A, 88, 223-226 (2007)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明の課題は、冒頭で述べた種類の、試料を像表示するための方法および光学顕微鏡装置において、ドリフトによって生じる結像の不正確性を簡単に且つ確実に回避できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、この課題を、前記方法に対しては請求項1の構成によって解決し、前記装置に対しては請求項8の構成によって解決する。
【0021】
有利な他の構成はそれぞれの従属項に記載されている。
【0022】
本発明によれば、一連の個別像を撮影している間、イメージドリフトを発生させる温度量が測定される。このイメージドリフトを発生させる温度量には、所定の関連付けデータを用いて、温度に依存するドリフト量が関連付けられる。最後に、イメージセンサ上に生じる光分布から検出される重心位置がドリフト量を用いて修正される。この修正された重心位置は重畳されて試料の1つのドリフトのない全体像が形成される。
【0023】
本発明は、使用する方法においては、試料の像表示のために使用される重要な像情報は、それぞれの個別像の撮影の間に集められる生データ自体の中に含まれているのではなく、(通常は本来の測定後に)この生データから得られる重心位置の中に含まれていることを利用する。これにより、ドリフト修正を追加的に行うことが可能であり、すなわち個別像を表わす生データの撮影後に行うことが可能である。これは、たとえば検出したドリフト量に対応して個別像自体を追加的にシフトさせる場合よりも明らかに簡単である。というのは、後者の場合、かなりの像処理コストを要するからである。
【0024】
このように、本発明によれば、本来の測定中にドリフト運動を許容し、生データから得られる重心位置を考慮してドリフト運動を追加的に修正することが可能になる。
【0025】
このため、測定中に、すなわち個別像を撮影している間に、イメージドリフトを発生させる温度量を記録し、記憶させる。これは連続的にまたは所定の時間間隔で行うことができる。いずれにしろ重要なことは、温度量を後で、すなわち本来の測定が終了した後に、それぞれの個別像に関連付け、よってこの個別像から得られる重心位置に関連付けることができるように、温度量を像撮影中に記録することである。測定中に記録した温度量から、ドリフト修正のベースとなる温度に依存するドリフト量を特定することができる。
【0026】
本発明の認識は、とりわけ、光学顕微鏡の構成部材内部に温度を誘発するドリフト運動が典型的には高程度に再現可能な挙動を示す点にある。具体的な幾何学的状況に依存して、且つ光学顕微鏡の製造に使用される材料に依存して、顕微鏡の構成部材は温度変動の影響で頻繁に移動し、この点は予測可能である。この運動の大きさも運動方向も予測可能である。この再現可能な挙動という認識は、本発明によれば、温度量を温度に依存するドリフト量に関連付ける関連付けデータを作成するために利用する。この関連付けデータに基づいて、個別像の撮影中に測定した温度量に対応的に温度に依存するドリフト量を関連付けることができ、このドリフト量を用いて、撮影後に、検出した重心位置を修正することができる。
【0027】
好ましくは、関連付けデータを実験的に特定して光学顕微鏡装置に記憶させる。合目的には、たとえば、本来の像撮影の前段階で、一連の測定を1回実施して、温度量に依存するドリフト量を特定し、次にたとえばテーブル、較正曲線等の形態でこれを記憶する。関連付けデータは、例えば顧客に装置を提供する前に好ましくは1回だけ検出し、後でドリフト量の検出のために使用する。
【0028】
関連付けデータを特定するため、好ましくは、少なくとも1つの参照マーカーを備えた参照パターンを作成する。次に、イメージドリフトを生じさせる温度量を複数の参照温度値に調整する。次に、各参照温度値ごとに参照パターンの参照個別像を撮影し、その際参照パターンの参照マーカーを結像光学系を用いて参照光分布の形態で前記イメージセンサに結像させる。各参照温度値ごとに参照光分布の参照重心位置を検出する。参照温度値に依存する参照重心位置の変化から、温度に依存するドリフト量を特定する。この有利な構成では、このようにして関連付けデータは、後で光学顕微鏡装置を本来の像撮影のために作動するようにした方法に実質的に対応する方法に従って検出される。これにより、関連付けデータの中に含まれているドリフト量が予想されるイメージドリフトを正確に反映するよう保証されている。
【0029】
好ましくは、光学顕微鏡装置の少なくとも1つの構成要素の温度を、イメージドリフトを生じさせる温度量として測定する。これとは択一的に、または、これに加えて、周囲温度を温度量として検出してもよい。しかしながら、光学顕微鏡においてダイレクトに温度を測定することは、イメージドリフトに影響する状況をより正確に検出することを可能にする。
【0030】
有利な他の構成では、温度を、試料テーブルの内部または表面、および/または、結像光学系のために設けられている保持装置の内部または表面、および/または、試料テーブルを載置するスタンドの内部または表面で測定する。これらの構成部材はいずれも、結像すべき試料または結像光学系に間接または直接に連結されている。従って、熱によって生じるこれら構成部材の運動は光学顕微鏡の結像能を著しく悪化させる。測定中にこれら構成部材の温度を測定し、測定した温度に依存して重心位置の修正を行うことにより、熱で誘導される像ずれを特に確実に補償することができる。温度測定はそれぞれの構成部材の表面および/または内部で行ってよい。有利には、温度測定はたとえば、イメージドリフトを生じさせる温度変動を光学顕微鏡の内部または表面に生じさせる熱源が設けられている個所で行う。特に、電動駆動部が設けられている個所がよい。
【0031】
有利な構成では、測定した温度量を慣性修正値ぶんだけ変化させ、ドリフト量を、変化させた温度量に基づいて特定する。この構成は、特に、温度測定をそれぞれの構成部材の表面でのみ行う場合に有利である。これにより、構成部材の表面で温度測定を行うと、該構成部材のイメージドリフトに決定的な温度状況を、特にその慣性を十分正確に反映しないという状況が考慮される。従って、たとえば、構成部材の表面に装着された温度ピックアップ(熱絶縁されずに直接外気に触れている)が短時間で光学顕微鏡の周囲の温度変動を検出するものの、構成部材の熱的慣性のために温度変動が対応するイメージドリフトに置換されないことが考えられる。すなわち前記構成では、イメージドリフトに決定的な構成部材の熱的挙動を正確に再現して適当なドリフト量を検出するために、構成部材の熱的慣性が追加的にいわばシミュレートされる。これにより、すでに作動している光学顕微鏡装置に本発明に従って追装備することがより簡単になる。というのは、前述のように慣性修正を適用すると、場合によっては、ドリフトに対し抵抗力のない構成部材の表面にだけ温度ピックアップを取り付ければ十分であり、それにもかかわらず正確なドリフト修正が得られるからである。
【0032】
好ましくは、慣性修正値を、測定した温度量が時間的に変化する変化率に依存して調整する。たとえば、非常に短時間の温度変動は、本発明によればイメージドリフトに影響しないので、修正ドリフト量を検出する際に測定される温度量の時間的平均値だけでは十分考慮できないことが考えられる。
【0033】
本発明によるほ法を実施するために特定された光学顕微鏡装置の有利な構成では、関連付けデータが記憶されている不揮発性データメモリーが設けられている。この不揮発性データメモリには、たとえば光学顕微鏡装置の使用開始前に実験的に特定した関連付けデータをファイルすることができ、光学顕微鏡装置の本来の作動時に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
次に、本発明を図面を用いて詳細に説明する。
【図1】従来の光学顕微鏡の図である。
【図2】本発明による光学顕微鏡の1実施形態を示す図である。
【図3】像撮影中に測定した温度値に基づいてドリフトずれ値を関連付ける関連付けテーブルの図である。
【図4】本発明による方法の1実施形態を示すフローチャートである。
【図5】図4の方法で実施する像処理のフローチャートである。
【図6】互いに連続し、それぞれ個々のマーカーの検出した光分布を示す複数個の個別像の図である。
【図7】図6に図示した、重心位置特定後の個別像の図である。
【図8】2つの個別像の撮影中に生じるイメージドリフトの作用を説明する図である。
【図9】図8の両個別像の、本発明に従ってイメージドリフトを修正した後の図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図2は、本発明による装置の実施形態としての光学顕微鏡100を示している。以下では、光学顕微鏡100の構成要素および構成のうち、図1に記載した従来の光学顕微鏡10と異なる構成要素および構成のみを説明することにする。光学顕微鏡100の構成要素のうち、図1に記載の装置ですでに設けられていた構成要素には、図1で使用した参照符号を付し、以下では再度説明しないことにする。
【0036】
光学顕微鏡100が図1に図示した顕微鏡10と異なるのは、まず、対物レンズ26を保持している電動対物レンズレボルバー24に加えて、他の撮影対物レンズ40が設けられていることである。撮影対物レンズ40はホールダ42で保持され、該ホールダ42は試料テーブル14の下面に装着されている圧電アクチュエータ44と連結されている。ホールダ42は光軸Oに関し実質的に回転対称に構成されている。試料テーブル14に回動可能に保持されている圧電アクチュエータ44を用いると、ホールダ42を、よって撮影対物レンズ40を光軸Oに沿って移動させて、撮影対物レンズ40を試料16に対し合焦させることができる。
【0037】
付加的な撮影対物レンズ40は、対物レンズレボルバー24で保持されている対物レンズ26に対し、像撮影中に予想されるイメージドリフトに関して利点があり、すなわち撮影対物レンズ40は、顕微鏡スタンド12を介して試料テーブル14と連結されているのではなく、ホールダ42とアクチュエータ44のみを介して、試料16を担持する試料担持体15が設けられている試料テーブル14と連結されている。従って、撮影対物レンズ40と試料16とを結ぶ距離は、対物レンズレボルバー24で保持されている対物レンズ26と試料16とを結ぶ距離よりも著しく短い。さらに、ホールダ42も、光軸Oに関し回転対称に構成されているために、イメージドリフトの減少に貢献している。というのは、この構成により、たとえば、光軸Oのまわりで撮影対物レンズ40に作用する熱的ひずみが互いに解消し合うからである。
【0038】
しかしながら、以下でさらに詳細に述べる本発明による解決手段は、撮影対物レンズ40がホールダ42とアクチュエータ44とを介して試料テーブル14に装着されている図2の実施形態に限定されるものではなく、たとえば図1に図示したような従来の配置構成に対しても適用することができる。
【0039】
光学顕微鏡100には、種々の個所に温度センサ50,52,54,56,58,60が配置されている。詳細には、温度センサ50と52はテーブルプレート14の上面にして貫通穴19の両側に装着されている。温度センサ54は試料テーブル14の貫通穴19内に取り付けられ、温度センサ56はホールダ42に装着されている。温度センサ58は試料テーブル14への移行部に位置するように顕微鏡スタンド12内に取り付けられている。温度センサ60は顕微鏡スタンド12の外面に取り付けられている。
【0040】
温度センサ50,52,54,56,58,60としては、温度を評価可能な量、好ましくは電気量に変換するのに適していれば任意の構成要素を使用することができる。例としては、その電気抵抗が温度ともに変化する構成要素、たとえば温度が上昇すると電気抵抗が減少するNTCサーミスタ、或いは、温度が上昇すると電気抵抗が増大すPTCサーミスタが挙げられる。また、温度に依存してダイレクトに処理可能な電気信号を発する構成要素、例えば半導体温度センサも使用可能である。
【0041】
温度センサ50,52,54,56,58,60は、光学顕微鏡100の、像撮影中の温度測定が温度依存のイメージドリフトの検出を可能にする(後述する)個所に、配置されている。なお、図2に図示した温度センサ50,52,54,56,58,60の配置は単に一例にすぎず、実際には、実際の幾何学的状況および光学顕微鏡の温度変動に対する具体的な抵抗力に応じて選定される。特に、個々のケースでは、試料テーブルおよび対物レンズに装着される調整機構の温度変動に対する抵抗力が考慮される。
【0042】
図2に図示した実施形態では、温度センサ50,52,54,56,58は光学顕微鏡100の上面に取り付けられ、或いは、少なくとも上面付近に取り付けられている。詳細には、温度センサ50と52は試料テーブル14の上面の温度を測定するように設けられている。これに対し、貫通穴19に取り付けられている温度センサ54は、試料テーブル14の中央領域の温度を検出する。温度センサ56はホールダ42の温度を検出する。温度センサ58は熱を発生する顕微鏡スタンド12と試料テーブル14との間の移行部の温度を測定する。
【0043】
これに対し、温度センサ60は、顕微鏡スタンド12の内部の温度を測定する。これに対応して、温度センサ60は、顕微鏡スタンド12の表面に取り付けられたセンサ本体62と、該センサ本体に接続している温度ピックアップ64とを有している。温度ピックアップ64は顕微鏡スタンド12の内部に挿着されてそこで温度を測定する。もう一度述べるが、この配置構成は一例にすぎず、たとえば温度センサ60に対応するセンサを試料テーブル14および/またはホールダ42に装着することも考えられる。また、温度センサ50,52,54,56,58,60の一部のみを、たとえば1つのセンサのみを、イメージドリフトを誘導する温度変動を検出するために設けることも考えられる。
【0044】
光学顕微鏡100は制御器300(たとえばコンピュータ)に接続されている。制御器300は、センサドライバ29から提供された像信号をベースにして顕微鏡の機能および像処理を制御するために用いる。このため、制御器300は種々の処理モジュール302,304,306,308,310,312を含んでおり、これらの処理モジュールは温度センサ50,52,54,56,58,60と協働して像処理ユニットを形成している。像処理ユニットの機能については後述する。この像処理ユニットは、制御器300内部に設けられている非揮発性データメモリ314に記憶されている関連付けデータを活用する。
【0045】
図3には、データメモリ314内に含まれている、前記の関連付けデータの一例としてデータテーブル400が図示されている。データテーブル400には温度量ΔT,ΔT,...,ΔTが記載され、これらにはそれぞれX方向のずれ値ΔX,ΔX,...ΔXおよびY方向のずれ値ΔY,ΔY,...,ΔYが関連付けられている。温度値ΔT,ΔT,...,ΔTはそれぞれ所定の参照温度に対する温度変動を表わしている。ずれ値ΔX,ΔX,...,ΔXおよびずれ値ΔY,ΔY,...,ΔYは、その都度温度変動ΔT,ΔT,...,ΔTがあったときに予想されるイメージドリフトの結果変位する、イメージセンサ28で生じる光分布から検出される重心位置を中心にしたX方向またはY方向のずれを表わしている。なお、本実施形態では、X方向およびY方向は、撮影対物レンズ40の像面に対し平行で且つ互いに垂直に延びる方向を表わしている。
【0046】
データテーブル400内に記載されている関連付けデータは、光学顕微鏡100を使用開始する前に実験的に求めたものであり、非揮発性メモリ314に記憶されている。光学顕微鏡100の使用を開始すると非揮発性メモリ314が作動して、以下に述べるドリフト修正が行われる。
【0047】
なお、図3に図示したデータテーブル400はあくまでも一例であり、たとえば較正曲線のような任意の他の形態のデータテーブルも可能である。また、X方向およびY方向の2次元のずればかりでなく、光軸Oに沿ったZ方向でのそれぞれの重心位置の変位を表わす3次元のずれも考慮することができる。
【0048】
次に、図4のフローチャートを参照して、本発明による方法を実施するための1実施形態を説明する。
【0049】
ステップS1で制御変数を値ゼロでもって初期化した後、工程はステップS2ないしS6によって形成されるループに入る。まずステップS2で制御変数を値1だけ増やす。
【0050】
ステップS3では、前記のループに初めて入るときに、第1のマーカーパターンを作成する。冒頭で述べたように、このようなマーカーパターンは、マーカー(たとえば蛍光色素)の全体から一部のみを作動させること、すなわち明状態へ移行させることを特徴としている。このマーカーパターンに含まれているマーカーは、撮影対物レンズ42の解像限界よりも大きな平均間隔を互いに有している。
【0051】
ステップS4では、図2に図示した温度センサ50,52,54,56,58,60を用いて温度を測定して記憶させる。この温度を記憶させたるため、本実施形態では、像処理ユニット300内に含まれている機能ユニット302を使用する。
【0052】
次にステップS5で、試料16を撮影対物レンズ42によってイメージセンサ28へ結像させることににより、マーカーパターンで作成した試料16の個別像を撮影する。センサドライバ29は、イメージセンサ28によって受信したセンサ信号から像信号を発生させ、該像信号はイメージメモリとして機能する機能モジュール304内に記憶される。
【0053】
ステップS6では、制御変数iが最大値imaxよりも小さいか等しいかを照会する。小さいか等しければ、ステップS2へ戻り、その結果次の個別像のために前述のような方法ステップを実施する。これに対し制御変数iが最大値imaxよりも大きければ、ステップS7へ進む。
【0054】
ステップS2ないしS6に従って個別像の完全なシーケンスを処理した後、ステップS7で個別像の像処理を行う。ステップS7による像処理では、以下に説明するドリフト修正を行う。
【0055】
ステップS8では、ドリフト修正した個々の個別像を重畳して1つの全体像を形成し、モニター32上に全体像を表示する。
【0056】
図5のフローチャートには、ステップS7で実施する像処理の一例が図示されている。
【0057】
ステップS11で制御変数iをゼロに初期化した後、ステップS12ないしS17によって形成されるループに入る。このループは順次すべての個別像に対し実施する。
【0058】
まずステップS12で、制御変数を値1だけ増やす。次にステップS13で、機能モジュール306は機能モジュール304に記憶されている像信号から、i番目の個別像の重心位置を特定する。この場合機能モジュール306は、像信号により表わされる光分布を適当に分析することにより、公知の態様で重心位置の特定を行う。
【0059】
ステップS14では、機能モジュール308は、処理された個別像に対しステップS4で測定され機能モジュール302に記憶されている温度値を提供し、次にステップS15で、データメモリ314に記憶されているデータテーブルを参照して、前記測定した温度値に関連付けられるX方向およびY方向のずれ値を求める。
【0060】
その後、ステップS16で、機能モジュール310は、ステップS15で求めた温度に依存するずれ値を用いて重心位置を修正する。その後、機能モジュール312はこれら修正した重心位置を、ステップS8で全体像を表示するために援用する。
【0061】
ステップS17では、制御変数iが最大値imaxよりも小さいか等しいかをチェックする。制御変数iが最大値imaxよりも小さければ、再びステップS12に戻り、ステップS13ないしS16で行ったドリフト修正を次の個別像のために繰り返す。これに対し制御変数iが最大値imaxよりも大きければ、すべ他の個別像に対するドリフト修正を終了し、図4のステップS8を続ける。
【0062】
図4および図5に図示した実施形態では、それぞれ1つの個別像に対し、検出した重心位置をそれぞれ、温度に依存する同じずれ値でもって修正し、すなわち与えられた温度では、各個別像に対し、ただ1つのX方向のずれ値とただ1つのY方向のずれとが設けられているにすぎない。しかしながら、各重心位置に対し適当な関連付けデータを準備することにより、温度に依存する別個のずれ値を設けてもよい。これは、たとえば、イメージドリフトが個別像の全体にわたって統一的に表示されるのではなく、個別像の種々の個所でイメージドリフトが異なっている場合に有利である。
【0063】
図4および図5の実施形態で説明したモードは、個別像を像処理する前に、すなわちそれぞれの個別像の重心位置を特定し、次に温度にいぞ成するずれ値で修正する(ステップS7、ステップS12、ステップS17)前に、個別像の完全シーケンスが撮影されるモードである。しかしながら、像処理をいわば「オンライン」で行い、すなわち各個別像を撮影した後に直接重心位置を特定し、その後重心位置を、温度に依存するずれ値でもって修正するようにしてもよい。
【0064】
さらに、図4および図5に図示した実施形態では、各個別像の撮影中に温度を測定し記憶していた(ステップS4)。しかしながら、これは必ずしも必要でない。温度は1つの個別像の撮影に必要な時間に比べて通常はゆっくりと変化するので、温度をより大きな時間間隔で測定し、その間に存在する個別像に対しては、簡単に最後の測定温度値を利用することも可能である。
【0065】
図3に図示したデータテーブルは、ドリフト修正のためにただ1つの個別像を利用し、すなわち図2に図示した温度センサ50,52,54,56,58,60のうちの1つの温度センサの検出信号を使用するケースのために設けられている。しかしながら、複数個の温度センサを、よって複数個の温度値を適当な関連付けデータを介してドリフト修正のために利用するようにしてもよい。
【0066】
図6ないし図9は、結像すべき試料16と撮影対物レンズ40との間の相対運動の結果として熱により生じるイメージドリフトを本発明による方法によっていかに阻止できるかをもう一度説明するものである。なお、図を簡潔にするため、結像すべき試料構造は3つの同心の円形レンズから成っているものとする。これらの円形レンズは図6ないし図9において80で示してある。
【0067】
図6には、左から右へ連続する生データ個別像が図示され、この生データ個別像には、それぞれ1つの他のアクティブなマーカーパターンが結像されている。アクティブなマーカーは、生データ個別像では膨張した光分布82のように見え、その大きさは撮影対物レンズ40の解像限界によって決定される。図6からわかるように、光分布82はそれぞれ互いに平均間隔を有しており、この間隔は光分布82の大きさを特定する解像限界よりも大きい。
【0068】
図7は、図6の生データ個別像から光分布82の重心位置84をいかに求めるかを説明する図である。
【0069】
図8は、たとえば2つの連続する生データ個別像の撮影中に生じる結像すべき試料構造80と撮影対物レンズ40との間の相対運動の結果、全体像の空間解像度がいかに悪化するかを説明する図である。なお、説明のみを目的として用いるこの例では、第1の生データ個別像から特定される重心位置を円86で示し、後で撮影される第2の生データ個別像から特定される重心位置を正方形88で示した。また、生データ個別像の撮影中に測定される、これら両生データ個別像の温度は、異なる値を有するものとする。
【0070】
図8は、熱で生じるイメージドリフトが第1の生データ個別像に対し第2の生データ個別像を変位させることを示している。これに対応して、第2の生データ個別像から導出される重心位置86はそれぞれ位置ずれを有しており、この位置ずれは結果的に、両個別像から組み立てられる全体像の空間解像度を悪化させる。図8の例では、位置ずれをΔXで示した。
【0071】
図9には、重心位置86と88から組み立てられる全体像のドリフト修正後のものが図示されている。この例では、検出した図8の重心位置が図3に例示したような関連付けデータを参照してずれ値で修正されることで、位置ずれΔXを修正する点に本発明によるドリフト修正の特徴が見られる。図9からわかるように、ドリフト修正した全体像は、ドリフト修正していない全体像よりも高空間解像度を備えた試料構造80を反映している。
【符号の説明】
【0072】
16 試料
28 イメージセンサ
40 結像光学系
82 光分布
84,86,88 光分布の重心位置
100 光学顕微鏡
400 関連付けデータ
ΔT,ΔT,...,ΔT イメージドリフトを生じさせる温度量
ΔX,ΔX,...ΔX;ΔY,ΔT,...ΔY 温度に依存するドリフト量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
結像光学系(40)とイメージセンサ(28)とを含んでいる光学顕微鏡装置(100)を使用した試料(16)を像表示するための方法であって、
前記結像光学系(40)を用いて前記イメージセンサ(28)に前記試料(16)をシーケンシャルに結像させることによって一連の個別像を撮影し、
その際に各試料(16)の撮影のため、前記結像光学系(40)を用いて、空間的に互いに分離可能な光分布(82)の形態で前記イメージセンサ(28)にマーカーを結像させることのできるマーカーパターンを前記試料(16)にそれぞれ備えさせるステップと、
それぞれの個別像において結像されるマーカーを表わす、前記光分布(82)の重心位置(84,86,88)を検出するステップと、
検出した前記重心位置(84,86,88)を重畳させて前記試料(16)の全体像を形成させるステップと、
を含んでいる前記方法において、
前記一連の個別像を撮影している間に、イメージドリフトを生じさせる温度量(ΔT,ΔT,...,ΔT)を測定し、
前記イメージドリフトを生じさせる温度量(ΔT,ΔT,...,ΔT)に、所定の関連付けデータ(400)を用いて、温度に依存するドリフト量(ΔX,ΔX,...ΔX;ΔY,ΔT,...ΔY)を関連付け、
検出した前記重心位置(84,86,88)を前記ドリフト量(ΔX,ΔX,...ΔX;ΔY,ΔT,...ΔY)を用いて修正する、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記関連付けデータ(400)を実験的に特定して前記光学顕微鏡装置(100)に記憶させることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記関連付けデータ(400)を特定するため、少なくとも1つの参照マーカーを備えた参照パターンを作成し、
前記イメージドリフトを生じさせる温度量を複数の参照温度値に調整し、
各参照温度値ごとに前記参照パターンの参照個別像を撮影し、その際前記参照パターンの前記参照マーカーを前記結像光学系を用いて参照光分布の形態で前記イメージセンサに結像させ、
各参照温度値ごとに前記参照光分布の参照重心位置を検出し、
前記参照温度値に依存する前記参照重心位置の変化から、前記温度に依存するドリフト量を特定する、
ことを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記光学顕微鏡装置(100)の少なくとも1つの構成要素(12,14,42)の温度を、前記イメージドリフトを生じさせる温度量(ΔT,ΔT,...,ΔT)として測定することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
前記温度を、試料テーブル(14)の内部または表面、および/または、前記結像光学系(40)のために設けられている保持装置(42)の内部または表面、および/または、前記試料テーブル(14)を載置するスタンド(12)の内部または表面で測定することを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
測定した前記温度量(ΔT,ΔT,...,ΔT)を慣性修正値ぶんだけ変化させ、前記ドリフト量(ΔX,ΔX,...ΔX;ΔY,ΔT,...ΔY)を、変化させた前記温度量に基づいて特定することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
前記慣性修正値を、測定した前記温度量(ΔT,ΔT,...,ΔT)が時間的に変化する変化率に依存して調整することを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
試料(16)を結像させるための結像光学系(40)と、
前記結像光学系(40)によって生成させた、結像されるマーカーを表わす個々の光分布(82)を、互いに空間的に切り離して検出するためのイメージセンサ(28)と、
それぞれの個別像において結像される前記マーカーを表わす前記光分布(82)の重心位置を検出するための検出モジュール(306)と、検出した重心位置(82,84,86)を重畳させて前記試料(16)の全体像を形成させる重畳モジュール(312)とを備えた像処理ユニットと、
を備えた、請求項1から7までのいずれか一つに記載の方法を実施するための光学顕微鏡装置(100)において、
前記像処理ユニットが、さらに、
一連の個別像の撮影中に、イメージドリフトを生じさせる温度量(ΔT,ΔT,...,ΔT)を測定する少なくとも1つの温度センサ(50,52,54,56,58,60)と、
測定した前記温度量(ΔT,ΔT,...,ΔT)を記憶する記憶モジュール(302)と、
所定の関連付けデータ(400)を用いて前記イメージドリフトを生じさせる温度量(ΔT,ΔT,...,ΔT)を、温度に依存するドリフト量(ΔX,ΔX,...ΔX;ΔY,ΔT,...ΔY)に関連付ける関連付けモジュール(308)と、
前記ドリフト量(ΔX,ΔX,...ΔX;ΔY,ΔT,...ΔY)を用いて、検出した前記重心位置(82,84,86)を修正する修正モジュール(310)と、
を含んでいることを特徴とする光学顕微鏡装置(100)。
【請求項9】
前記関連付けデータ(400)が記憶されている不揮発性データメモリー(314)が設けられていることを特徴とする、請求項8に記載の光学顕微鏡装置(100)。
【請求項10】
前記少なくとも1つの温度センサが、試料テーブル(14)の内部または表面に配置されている第1の温度センサ(50,52,54)、および/または、前記結像光学系(40)のために設けられる保持装置(42)の内部または表面に配置されている第2の温度センサ(56)、および/または、前記試料テーブル(14)が載置されているスタンド(12)の内部または表面に配置されている第3の温度センサ(60)とを含んでいることを特徴とする、請求項8または9に記載の光学顕微鏡装置(100)。
【請求項11】
前記少なくとも1つの温度センサのうちの1つの温度センサ(60)が、前記光学顕微鏡装置(100)の表面に取り付けられるセンサ本体(62)と、該センサ本体(62)に接続し、前記光学顕微鏡装置(100)の内部と熱連結されている温度ピックアップ(64)とを有していることを特徴とする、請求項8から10までのいずれか一つに記載の光学顕微鏡装置(100)。
【請求項12】
前記結像光学系(40)が試料テーブル(14)に装着される保持装置(42)で保持されていることを特徴とする、請求項8から11までのいずれか一つに記載の光学顕微鏡装置(100)。
【請求項13】
前記試料テーブル(14)に装着され、前記保持装置(42)と連結される、前記結像光学系(40)の光軸(O)に沿って前記保持装置を移動させるアクチュエータ(44)が設けられていることを特徴とする、請求項12に記載の光学顕微鏡装置(100)。
【請求項14】
前記保持装置(42)が前記結像光学系(40)の光軸(O)に関し実質的に回転対称に構成されていることを特徴とする、請求項13に記載の光学顕微鏡装置(100)。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate