説明

試料中の窒素と硫黄および/またはハロゲンの分析装置

【課題】試料中の窒素と硫黄および/またはハロゲンの分析装置であって、装置構成を簡素化でき、装置を一層小型化し得る分析装置を提供する。
【解決手段】分析装置は、試料を燃焼させて試料ガスを回収する試料加熱装置(A1)と、試料ガスにオゾンを添加するオゾン発生器(A2)等のオゾン供給手段と、試料ガスの酸性成分を吸収液に吸収させる吸収管(A3)と、吸収液中の前記酸性成分を分析するイオンクロマトグラフ(A4)とから主に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料中の窒素と硫黄および/またはハロゲンの分析装置に関するものであり、詳しくは、1回分の分析試料を使用して試料中の微量の塩素、硫黄および窒素を測定する分析装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
塩素などのハロゲン、硫黄、窒素の微量分析は、例えば、河川水、湖沼水などの環境水や各種の工場排水の水質、あるいは、ディーゼル燃料、オイル、ガソリン等の石油類などの品質を評価する際に行われる。昨今、例えば有機試料中の上記の微量分析に関しては、多機能の1つの分析装置を使用し、より効率的に分析を行う技術が種々検討されている。
【0003】
1つの分析装置による試料中の ハロゲン、硫黄、窒素の分析技術としては、燃焼管式燃焼装置(試料加熱装置)において試料を燃焼させ、生成した燃焼ガス(試料ガス)中のハロゲン化水素および二酸化イオウを吸収液に吸収させ、吸収液をイオンクロマトグラフに導入してハロゲン、硫黄を定量分析すると共に、併行して、吸収液に吸収されなかった燃焼ガス中の一酸化窒素を化学発光検出器で検出して定量分析する様にした「硫黄、窒素、ハロゲン類の一斉分析装置及び方法」が提案されている。
【特許文献1】特開平6−130047号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、多機能化された分析装置においては、上記の様に、ハロゲン、硫黄の分析をイオンクロマトグラフによって行い、窒素の分析を化学発光検出器によって行うため、換言すれば、2種類の機器を利用するため、装置構成が複雑化し、装置全体が大型化すると言う問題がある。本発明は、斯かる実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、試料中の窒素と硫黄および/またはハロゲンの分析装置であって、装置構成を簡素化でき、装置を一層小型化し得る分析装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するため、本発明においては、試料の燃焼により回収されたハロゲン化水素含有試料ガス中の一酸化窒素および二酸化イオウをオゾンにより更に酸化して二酸化窒素および三酸化イオウに変換し、そして、試料ガス中のハロゲン化水素、二酸化窒素および三酸化イオウの各酸性成分を吸収液に吸収させることにより、窒素、硫黄、ハロゲンの各成分をイオンクロマトグラフのみで分析する様にした。
【0006】
すなわち、本発明の要旨は、窒素と硫黄および/またはハロゲンを成分として含有する試料中の前記各成分を定量分析する分析装置であって、試料を燃焼させて試料ガスを回収する試料加熱装置と、試料ガスにオゾンを添加するオゾン供給手段と、試料ガスの酸性成分を吸収液に吸収させる吸収管と、吸収液中の前記酸性成分を分析するイオンクロマトグラフとから主に構成されていることを特徴とする試料中の窒素と硫黄および/またはハロゲンの分析装置に存する。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る試料中の窒素と硫黄および/またはハロゲンの分析装置によれば、試料加熱装置で回収されたハロゲン化水素含有試料ガスにオゾン供給手段によりオゾンを添加し、試料ガス中の一酸化窒素および二酸化イオウをオゾンによって更に酸化し、二酸化窒素、三酸化イオウおよびハロゲン化水素として吸収管の吸収液に吸収させることにより、これらの成分をイオンクロマトグラフのみで測定するため、装置構成を簡素化でき、装置を一層小型化することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明に係る試料中の窒素と硫黄および/またはハロゲンの分析装置(以下、「分析装置」と略記する。)の実施形態を説明する。図1は、本発明に係る分析装置の主な構成を模式的に示すフロー図である。
【0009】
本発明の分析装置は、窒素と硫黄および/またはハロゲンを成分として含有する例えば有機試料中の前記各成分を定量分析する分析装置であり、図1に示す様に、試料を燃焼させて試料ガスを回収する試料加熱装置(A1)と、試料ガスにオゾンを添加するオゾン供給手段(A2)と、試料ガスの酸性成分を吸収液に吸収させる吸収管(A3)と、吸収液中の前記酸性成分を分析するイオンクロマトグラフ(A4)とから主に構成されている。
【0010】
本発明において、上記の試料としては、河川水、湖沼水などの環境水や各種の工場排水、あるいは、ディーゼル燃料、オイル、ガソリン等の石油類などの液体試料の他、各種の固体試料、気体試料が挙げられる。なお、本発明において、窒素と硫黄および/またはハロゲンを成分として含有する試料とは、窒素成分を含み且つ硫黄およびハロゲンのうちの少なくとも一方の成分を含む試料を言う。
【0011】
上記の試料加熱装置(A1)は、酸素を供給しながら加熱することにより試料を燃焼分解して試料ガスを回収する装置である。試料加熱装置(A1)は、酸素を供給可能に構成され且つヒーター(2)によって外周側から加熱可能になされた外套管(1)と、キャリアガスを供給可能に構成され且つ外套管(1)の基端から外套管内部に挿入された内管(3)と、当該内管の基端側から内管内部に挿通された試料供給用のボート(4)とを備えている。試料加熱装置(A1)においては、外套管(1)と内管(3)によっていわゆる反応管が構成されており、通常、外套管(1)、内管(3)、ボート(4)は全て石英によって製作されている。
【0012】
外套管(1)は、酸素雰囲気を形成するための長軸の管であり、内径が25〜35mm程度、長さが200〜400mm程度である。外套管(1)の基端部(図において右側の端部)には、酸素容器から流量コントローラーを介して伸長された流路(92)が接続されている。また、図示しないが、外套管(1)の先端部(図において左側の端部)には、通常、燃焼を安定化させるための石英綿が充填されている。そして、外套管(1)の先端には、燃焼で得られた試料ガスを取り出すため、吸収管(A3)へ至る流路(93)が接続されている。
【0013】
ヒーター(2)としては、試料を短時間で加熱するため、通常は出力0.7〜1.5kw程度の電気炉(円筒型ヒーター)が使用される。ヒーター(2)は、外套管(1)の両端面を除く直管部分を覆う様に配置されている。すなわち、試料加熱装置(A1)は、円筒状電気炉の筒内に上記の外套管(1)が挿通された構造を有している。
【0014】
内管(3)は、試料の熱分解によって生成されたガスを外套管(1)へ導くための長軸の管であり、内径が10〜20mm程度、長さが200〜300mm程度である。内管(3)の開口された先端部(図において左側の端部)は、生成されたガスの燃焼を促進するため、外套管(1)の長さの略中央に相当する位置に挿入されている。内管(3)の基端側の長さの略半分の部分(図において右側の部分)は、外套管(1)から露出しており、露出部分である内管(3)の略中央部には、試料投入口(31)が付設されている。試料投入口(31)は、内管(3)の一部に設けられた開口の外周を蓋付きのケーシングで覆った構造を備えている。
【0015】
また、内管(3)の基端部には、キャリアガスを導入するため、キャリアガス容器から流量コントローラーを介して伸長された流路(91)接続されている。キャリアガスとしては、反応に関与しない例えばアルゴン等の不活性ガス、または、不活性ガスと酸素の混合ガスが使用される。試料加熱装置(A1)においては、キャリアガスの供給により、試料の分解ガスを内管(3)から外套管(1)へ導くと共に、外套管(1)で得られた試料ガス(燃焼ガス)を流路(93)へ送り出す様になされている。
【0016】
試料供給用のボート(4)は、内管(3)の内部において、試料を搭載して上記の試料投入口(31)と内管(3)の先端部近傍との間を往復移動する小皿であり、例えば、浅底扁平な細長の箱状に形成される。ボート(4)は、ボートコントローラ(5)によって操作される操作ロッドの先端に設けられている。
【0017】
具体的には、操作ロッドの基端には、内管(3)の内周部に緩く嵌合する短軸円柱状の金属片が取付けられ、内管(3)の外周部には、当該内管に緩く嵌合するリング状の磁石または電磁石から成り且つボートコントローラ(5)の駆動機構(例えばサーボモータ及びラック機構などで構成された駆動機構)によって直線移動する摺動駒(53)が配置されている。そして、操作ロッドは、摺動駒(53)の動きに追従して内管(3)の内部を移動する様になされている。
【0018】
本発明の分析装置においては、試料加熱装置(A1)で回収されたハロゲン化水素含有試料ガス中の成分を更に酸化するため、試料加熱装置(A1)の後段の吸収管(A3)へ至る流路(93)には、試料ガスにオゾンを添加するオゾン供給手段(符号(A2)で示す手段)が設けられる。これにより、試料加熱装置(A1)で回収された試料ガス中の一酸化窒素および二酸化イオウを酸化して二酸化窒素および三酸化イオウに変換し、試料中の他の成分と共に窒素成分を吸収管(A3)の吸収液に吸収させることが出来る。
【0019】
上記のオゾン供給手段は、通常、オゾン発生器(A2)で構成されている。斯かるオゾン発生器(A2)としては、高電圧による放電方式などの装置を使用することも出来るが、低電圧による駆動、装置の小型化、ノイズ防止、NOの発生防止などの観点から、例えば、陽極と陰極との間に固体高分子膜をサンドイッチ接合し、電極間に直流電圧を印加して空気中の水分を電気分解し、陽極にオゾンを発生させる構造のいわゆる超小型オゾナイザー素子を利用した発生器が使用される。オゾン発生器(A2)は、後述するトラップカラム(6)へ洗浄液を供給する流路(94)に繋ぎ込まれ、流路(94)を通じて流路(93)の上流部へオゾンを供給可能に構成されている。なお、オゾン供給手段としては、試料ガスと共に流路(93)を流れる酸素に紫外線を照射してオゾンを発生させる紫外線照射装置を使用することも出来る。
【0020】
また、試料加熱装置(A1)の外套管(1)から吸収管(A3)へ至る流路(93)には、後段の吸収管(A3)における試料ガス中の分析成分の回収率を一層高めるため、試料ガス中の水分を分析成分と共に一旦結露させて捕捉するトラップカラム(6)が介装されている。トラップカラム(6)は、内容積が0.5〜3cm程度の耐腐食性容器にポリマー粒子、セラミックス粒子、ガラス粒子またはこれらの材料から成る繊維などの耐腐食性の充填材を充填して構成されている。なお、充填材としては、上記の粒子や繊維に代えてメンブレンフィルター等を使用することも出来る。
【0021】
更に、トラップカラム(6)に結露した水分を吸収管(A3)側に集約するため、流路(93)の上流部、すなわち、トラップカラム(6)よりも上流側には、洗浄液供給装置(図示省略)から伸長された前述の流路(94)が接続されており、トラップカラム(6)は、洗浄液供給装置から洗浄液が供給される様になされている。
【0022】
吸収管(A3)は、内容積が20〜50cm程度の耐腐食性容器に水系の吸収液を収容して構成されている。吸収液としては、通常、濃度10〜1500ppmの過酸化水素水が使用される。吸収管(A3)の過酸化水素水の収容量は3〜30ml程度である。吸収液として過酸化水素水を使用することにより、オゾンの添加によって回収量が低下する臭素成分の回収率を高めることが出来る。これはオゾンによって臭素が酸化されるところ、過酸化水素水が還元剤として作用するためと考えられる。
【0023】
吸収管(A3)においては、トラップカラム(6)の下流側の流路(93)の先端部が吸収液の液中まで伸長されている。また、二酸化窒素、三酸化イオウ及びハロゲン化水素を吸収した吸収液を液体試料として吸収管(A3)からイオンクロマトグラフ(A4)へ供給する流路(96)の基端部が吸収液の液中まで伸長されている。更に、吸収管(A3)内の気相部には、余剰のオゾンが含まれるガスを無害化処理するため、例えば活性炭を充填して成る除害装置および真空ポンプに通じる流路(95)が接続されている。
【0024】
イオンクロマトグラフ(A4)は、周知の通り、高速液体クロマトグラフの一種であり、電解質水溶液である溶離液(移動相)に注入された液体試料中のイオン種をカラムに導入し、カラム内のイオン交換樹脂に対する親和力の強さ、イオンの価数、イオン半径などによりイオン種を分離し、分離した個別のイオン種を溶離液と共にサプレッサー及び検出器に導入し、電気伝導度、吸光度または酸化還元電流を測定することにより、各種のイオン種の含有率を定量する分析装置である。
【0025】
次に、本発明の分析装置を使用した試料中の窒素と硫黄および/またはハロゲンの分析方法について説明する。窒素、硫黄、ハロゲンの定量分析においては、先ず、例えば液体試料を吸着させた活性炭などの固体試料を試料加熱装置(A1)に装入し、試料ガスを回収する。
【0026】
具体的には、試料投入口(31)に待機させたボート(4)に固体試料を載せ、ボートコントローラ(5)によりボート(4)を内管(3)の先端側へ移動させる。次いで、ヒーター(2)によって外套管(1)及び内管(3)を例えば900〜1000℃に加熱すると共に、流路(91)を通じて内管(3)にキャリアガスとして例えばアルゴンと酸素の混合ガスを0.3〜0.5MPa、150〜500ml/minの範囲において一定流量で供給し、また、流路(92)を通じて外套管(1)に燃焼用の酸素を300〜500ml/minの範囲において一定流量で供給する。なお、ハロゲンの回収率を高めるため、キャリアガスに同伴させて内管(3)に水蒸気を供給してもよい。
【0027】
試料加熱装置(A1)における加熱処理では、外套管(1)及び内管(3)の加熱により、内管(3)で試料を加熱分解し、得られた分解ガスを外套管(1)において燃焼させ、試料中に含まれていた窒素、硫黄およびハロゲンをそれぞれ一酸化窒素、二酸化硫黄およびハロゲン化水素に変換する。そして、外套管(1)で発生した試料ガス(燃焼ガス)は、外套管(1)から流路(93)を通じて取り出す。
【0028】
その際、本発明においては、流路(93)に対し、オゾン供給手段としてのオゾン発生器(A2)から流路(94)を通じてオゾンを供給する。具体的には、オゾン発生器(A2)に例えば50ml/minで酸素を導入してオゾンを生成し、流路(93)におけるオゾン濃度が通常0.1〜10g/mとなる様に当該流路に供給する。これにより、流路(93)を流れる試料ガス中の一酸化窒素および二酸化イオウを更に酸化して二酸化窒素および三酸化イオウに変換することが出来る。
【0029】
次いで、二酸化窒素、三酸化イオウ及びハロゲン化水素含有の試料ガスをトラップカラム(6)に導入し、当該トラップカラムにおいて、前記の成分の一部が含まれる水分を捕捉する。また、トラップカラム(6)を通過した試料ガスは、流路(93)から吸収管(A3)に導入し、試料ガス中の二酸化窒素、三酸化イオウ及びハロゲン化水素を吸収液に吸収させる。吸収液としては、例えば、過酸化水素30ppm、リン酸0.5ppmをイオンクロマトグラフの溶離液に添加した溶液などが使用される。
【0030】
試料加熱装置(A1)において試料を全て燃焼させた後は、洗浄液供給装置から流路(94)を通じて流路(93)に洗浄液を送液する。これにより、トラップカラム(6)に捕捉された水分を洗浄液によって捕集し、これを吸収管(A3)に移送して二酸化窒素、三酸化イオウ及びハロゲン化水素を吸収液に吸収させる。お、試料ガスの各成分を吸収液に吸収させる操作において、吸収液を通過したガスは、流路(95)を通じて除外装置へ排出し、無害化処理する。
【0031】
次いで、流路(96)を通じてイオンクロマトグラフ(A4)に吸収管(A3)内の吸収液を導入し、吸収液に含まれる窒素、イオウ及びハロゲンの各成分を定量する。イオンクロマトグラフ(A4)における定量分析では、予め成分が既知の標準液(標準試料)を使用して検量線を作成しておくことにより、測定結果に基づいて試料中の窒素、イオウ及びハロゲンの各成分を高精度に推定することが出来る。
【0032】
具体的には、例えば、窒素、硫黄、フッ素、塩素、臭素の含有量が既知のアルコール溶液を標準液として準備し、これを前述の様に燃焼させ、得られた試料ガス(燃焼ガス)を前述の吸収液(過酸化水素30ppm、リン酸0.5ppm含有)に吸収させ、吸収液中の窒素、イオウ及びハロゲンの各成分をイオンクロマトグラフ(A4)で測定する。そして、[各成分のピーク面積/リン酸の面積]の値と各成分濃度との関係を求めてイオンクロマトグラフ(A4)の検量線とする。これにより、実際の分析では、成分が未知の試料を測定したときの[各成分のピーク面積/リン酸の面積]の値を求め、予め作成した検量線に照合して各成分の真の量を求めることが出来る。
【0033】
上記の様に、本発明の分析装置においては、試料加熱装置(A1)で試料の燃焼により回収された試料ガスに対し、オゾン発生器(A2)等のオゾン供給手段によりオゾンを添加し、ハロゲン化水素含有試料ガス中の一酸化窒素および二酸化イオウをオゾンにより更に酸化して二酸化窒素および三酸化イオウに変換し、そして、試料ガス中の二酸化窒素、三酸化イオウ及びハロゲン化水素の各酸性成分を吸収管(A3)の吸収液に吸収させることにより、窒素、硫黄、ハロゲンの各成分をイオンクロマトグラフ(A4)のみで測定する。従って、本発明の分析装置は、装置構成を簡素化でき、装置を一層小型化することが出来る。
【0034】
因に、本発明の分析装置を使用し、フッ素179ppm、塩素111ppm、臭素102ppm、窒素106ppm、硫黄101ppmが成分として含まれる既知の試料(標準液)を異なる条件で分析し、吸収管(A3)の吸収液に吸収された各成分の回収率を確認した。分析条件としては、試料加熱装置(A1)で得られた試料ガスにオゾン(濃度6.5g/m)を添加した場合と添加しなかった場合、および、吸収液に過酸化水素水(濃度30ppm)を使用した場合と使用しなかった場合を設定した。その結果、次表に示す様に、窒素成分については、オゾンを添加しなかった場合には1%しか回収できなかったのに対し、オゾンを添加した場合には約80%まで回収できることが確認された。また、試料ガスにオゾンを添加すると臭素の回収率が低下するが、吸収液として過酸化水素水を使用することにより回収率の低下を抑えることが出来る。なお、表中、フッ素成分の回収率が100%を超えている理由は、フッ素樹脂製の配管からその成分が析出したためと考えられる。
【0035】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に係る試料中の窒素と硫黄および/またはハロゲンの分析装置の主な構成を模式的に示すフロー図である。
【符号の説明】
【0037】
1 :外套管
2 :ヒーター
3 :内管
4 :ボート
5 :ボートコントローラ
6 :トラップカラム
A1:試料加熱装置
A2:オゾン発生器
A3:吸収管
A4:イオンクロマトグラフ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
窒素と硫黄および/またはハロゲンを成分として含有する試料中の前記各成分を定量分析する分析装置であって、試料を燃焼させて試料ガスを回収する試料加熱装置と、試料ガスにオゾンを添加するオゾン供給手段と、試料ガスの酸性成分を吸収液に吸収させる吸収管と、吸収液中の前記酸性成分を分析するイオンクロマトグラフとから主に構成されていることを特徴とする試料中の窒素と硫黄および/またはハロゲンの分析装置。
【請求項2】
オゾン供給手段がオゾン発生器で構成されている請求項1に記載の分析装置。
【請求項3】
吸収管には、吸収液として過酸化水素水が収容されている請求項1又は2に記載の分析装置。

【図1】
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