説明

試料冷却装置

【課題】 排気されるヘリウムガスを用いて、試料保持冷却部40および液体ヘリウムタンク20の熱のシールド効果をさらに向上させる試料冷却装置を実現する。
【解決手段】 試料保持冷却部40および液体ヘリウムタンク20を内包する様に、液体窒素温度の第1の熱シールド30との間に、第2の熱シールド62を配設し、試料保持冷却部40で気化されたヘリウムガスを貯蔵するヘリウムガスタンク70と第2の熱シールド62を熱的に接続することとしているので、試料保持冷却部40および液体ヘリウムタンク20の外部との熱シールドを、より完全なものとし、ひいては液体ヘリウムの消費量を削減し、ランニングコストを低減することを実現させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、顕微鏡を用いて試料を観察する際に、試料を冷却媒体を用いて冷却する試料冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子顕微鏡を用いた試料の観察において、電子線の照射により試料が破壊される場合に、試料を極低温に冷却し、試料が破壊されにくくすることが行われる。この際、電子顕微鏡は、電子線を試料に照射する鏡筒内に試料冷却装置を有する。
【0003】
図3は、鏡筒内に配設される試料冷却装置2の概略を示す断面図である。試料冷却装置2は、隔壁8、窒素貯蔵部である窒素タンク10、冷却媒体貯蔵部である液体ヘリウムタンク20、第1の熱シールド30、試料保持冷却部40、キャピラリー50および冷却媒体排気手段であるヘリウム排気管60を含む。なお、試料冷却装置2は、電子線の照射ラインを中心軸とした概ね軸対称の構造を有し、試料冷却装置2の電子線が射出される下部には対物レンズが存在する。
【0004】
ここで、隔壁8内において、窒素タンク10は液体窒素11を貯蔵し、液体ヘリウムタンク20は冷却媒体である液体ヘリウム21を貯蔵する。そして、第1の熱シールド30は、液体ヘリウムタンク20および試料ホルダ41を含む試料保持冷却部40を底部から内包するように囲む金属板で、外部からの熱の流入を防止している。なお、第1の熱シールド30は、窒素タンク10と熱的に接続されると同時に、液体ヘリウムタンク20とは図示しない断熱材により熱的に絶縁され、熱のシールド効果を高いものとしている。また、窒素タンク10および液体ヘリウムタンク20は、図示しない液体窒素11および液体ヘリウム21の注入機構および気化したガスの排出機構を有する。
【0005】
図4は、試料保持冷却部40を拡大して示した断面図である。試料保持冷却部40は、脱着式の試料ホルダ41および液体ヘリウム槽42を含み、試料ホルダ41は、先端部に薄膜状の試料43が装着される。液体ヘリウム槽42は、液体ヘリウムタンク20とキャピラリー50を介して接続され、液体ヘリウム21が内部に注入される。そして、試料保持冷却部40は、液体ヘリウム温度(4.2K=−273.15℃)に冷却される。なお、試料保持冷却部40で冷却に用いられた液体ヘリウム21は、気化してヘリウムガスとなる。このヘリウムガスは、ヘリウム排気管60により第1の熱シールド30および隔壁8の外部に排出される。なお、キャピラリー50は、直径0.2mm程度の極細管であるので、当初ヘリウム排気管60をポンプで負圧に引くことにより、液体ヘリウムタンク20から液体ヘリウム21を吸引し、液体ヘリウム槽42の内部に注入する。
【0006】
また、試料保持冷却部40は、移動ステージ55に載置されている。ここで、移動ステージ55は、試料保持冷却部40ひいては試料を保持する試料ホルダ41を電子線と直交するxy面内で移動し、試料に照射される電子線位置を最適なものとする。
【0007】
なお、試料保持冷却部40および試料保持冷却部40に固定される第1の熱シールド30は、位置を変化させるので、第1の熱シールド30と窒素タンク10とは、可撓性のある銅網線31を用いて熱的に接続される。また、同様に液体ヘリウムタンク20と試料保持冷却部40とを熱的に接続するキャピラリー50は、部分的にコイル状に巻かれ、伸縮性を有し、試料保持冷却部40から外部にヘリウムガスを逃がすヘリウム排気管60は、部分的にベローズ構造とされ伸縮性を有する(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000―208083号公報、(第1頁、図1)
【特許文献2】特開2002―334677号公報、(第1頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記背景技術によれば、第1の熱シールド30による、熱のシールド効果は充分なものではない。すなわち、第1の熱シールド30は液体窒素温度(77K)であり、一方試料保持冷却部40は液体ヘリウム温度(4.2K)である。従って、これらの間には、大きな温度勾配が存在し、例えば、熱輻射による熱の損失は大きなものとなる。
【0009】
特に、排気される液体ヘリウム槽42で気化されたヘリウムガスは、当初液体ヘリウムの沸点近傍の温度を有し、冷却媒体として有効に活用することができる。
これらのことから、排気されるヘリウムガスを用いて、試料保持冷却部40および液体ヘリウムタンク20の熱のシールド効果をさらに向上させる試料冷却装置をいかに実現するかが重要となる。
【0010】
この発明は、上述した背景技術による課題を解決するためになされたものであり、排気されるヘリウムガスを用いて、試料保持冷却部40および液体ヘリウムタンク20の熱のシールド効果をさらに向上させる試料冷却装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、試料冷却装置は、液体状の冷却媒体を貯蔵する冷却媒体貯蔵部と、試料を保持し、かつ前記試料を前記冷却媒体を用いて冷却する試料保持冷却部と、液体窒素を貯蔵する窒素貯蔵部と、前記冷却媒体貯蔵部および前記試料保持冷却部を内包し、前記窒素貯蔵部と熱的に接続される第1の熱シールドと、前記冷却媒体貯蔵部および前記試料保持冷却部の少なくとも1つを内包し、かつ前記第1の熱シールドに内包され、前記冷却の際に気化する冷却媒体と熱的に接続される第2の熱シールドとを備える。
【0012】
この請求項1に記載の発明では、第1の熱シールドに内包される、冷却媒体貯蔵部およびこの冷却媒体を用いて冷却される試料保持冷却部を、冷却の際に気化する冷却媒体と熱的に接続される第2の熱シールドにより、第1の熱シールド内部で内包する。
【0013】
また、請求項2に記載の発明にかかる試料冷却装置は、請求項1に記載の試料冷却装置において、前記冷却媒体がヘリウムであることを特徴とする。
この請求項2に記載の発明では、ヘリウムを冷却媒体とする。
【0014】
また、請求項3に記載の発明にかかる試料冷却装置は、請求項1または2に記載の試料冷却装置において、前記試料保持冷却部が、前記冷却の際に気化する冷却媒体を、前記第1の熱シールドの前記内包を行わない側に排気する冷却媒体排気手段を備えることを特徴とする。
【0015】
この請求項3に記載の発明では、試料保持冷却部は、冷却媒体排気手段により、冷却の際に気化する冷却媒体を排気する。
また、請求項4に記載の発明にかかる試料冷却装置は、請求項3に記載の試料冷却装置において、前記冷却媒体排気手段が、前記排気される冷却媒体を貯蔵する排気冷却媒体貯蔵部を有し、前記排気冷却媒体貯蔵部は、前記第2の熱シールドに熱的に接続される熱伝導体を備えることを特徴とする。
【0016】
この請求項4に記載の発明では、冷却媒体排気手段は、排気冷却媒体貯蔵部に排気される冷却媒体を貯蔵し、この排気冷却媒体貯蔵部は、熱伝導体により、第2の熱シールドに熱的に接続される。
【0017】
また、請求項5に記載の発明にかかる試料冷却装置は、請求項4に記載の試料冷却装置において、前記熱伝導体が、ベローズ構造を備えることを特徴とする。
また、請求項6に記載の発明にかかる試料冷却装置は、請求項1または2に記載の試料冷却装置において、前記第2の熱シールドが、前記冷却の際に気化する冷却媒体を、前記冷却媒体貯蔵部および前記試料保持冷却部の少なくとも1つを内包するように周囲を循環させる金属パイプを備えることを特徴とする。
【0018】
この請求項6に記載の発明では、第2の熱シールドは、冷却の際に気化する冷却媒体を、金属パイプにより、冷却媒体貯蔵部および試料保持冷却部の少なくとも1つを内包するように周囲を循環させる。
【0019】
また、請求項7に記載の発明にかかる試料冷却装置は、請求項6に記載の試料冷却装置において、金属パイプが、冷却媒体を、第1の熱シールドの内包を行わない側に排気する。
【0020】
この請求項7に記載の発明では、金属パイプは、冷却媒体を、第1の熱シールドの外側に排気する。
また、請求項8に記載の発明にかかる試料冷却装置は、請求項1ないし7のいずれか1つに記載の試料冷却装置において、前記試料冷却装置が、前記試料を前記第1の熱シールドの前記内包を行わない側から前記試料保持冷却部に配設する試料交換装置を備えることを特徴とする。
【0021】
この請求項8に記載の発明では、試料冷却装置は、試料交換装置により、試料を第1の熱シールドの内包を行わない側から試料保持冷却部に配設する。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、請求項1に記載の発明によれば、第1の熱シールドに内包される、冷却媒体貯蔵部およびこの冷却媒体を用いて冷却される試料保持冷却部を、冷却の際に気化する冷却媒体と熱的に接続される第2の熱シールドにより、第1の熱シールドの内部で内包することとしているので、第1の熱シールドと、冷却媒体貯蔵部および試料保持冷却部との間に存在するこれらの中間温度を有する第2の熱シールドにより、これら各部の温度勾配を低減し、ひいては熱の流入を軽減し液体ヘリウムの消費を少なくし、ランニングコストを低減することができる。
【0023】
請求項2に記載の発明によれば、ヘリウムを冷却媒体にすることとしているので、試料を液体ヘリウム温度にまで冷却することができる。
請求項3に記載の発明によれば、試料保持冷却部は、冷却媒体排気手段により、冷却の際に気化する冷却媒体を排気することとしているので、試料保持冷却部の温度上昇を抑えることができる。
【0024】
請求項4に記載の発明によれば、冷却媒体排気手段は、排気冷却媒体貯蔵部に排気される冷却媒体を貯蔵し、この排気冷却媒体貯蔵部は、熱伝導体により、第2の熱シールドに熱的に接続されることとしているので、気化した冷却媒体を、熱のシールドに用いることができる。
【0025】
請求項5に記載の発明によれば、熱伝導体は、ベローズ構造を備えることとしているので、試料保持冷却部が移動ステージに載置され移動を行う場合にも、熱的な接続を確実に維持することができる。
【0026】
請求項6に記載の発明によれば、第2の熱シールドは、冷却の際に気化する冷却媒体を、金属パイプにより、冷却媒体貯蔵部および試料保持冷却部の少なくとも1つを内包するように周囲を循環させることとしているので、金属パイプを熱のシールドとして機能させることができる。
【0027】
請求項7に記載の発明によれば、金属パイプは、冷却媒体を、第1の熱シールドの外側に排気することとしているので、第1の熱シールド内部の温度上昇を抑えることができる。
【0028】
請求項8に記載の発明によれば、試料冷却装置は、試料交換装置により、試料を第1の熱シールドの内包を行わない側から試料保持冷却部に配設することとしているので、容易に試料を配設することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる試料冷却装置を実施するための最良の形態について説明する。なお、これにより本発明が限定されるものではない。
まず、本実施の形態にかかる試料冷却装置1について説明する。図1は、試料冷却装置1の断面を示す断面図である。試料冷却装置1は、隔壁9、窒素貯蔵部である窒素タンク10、液体窒素11、冷却媒体貯蔵部である液体ヘリウムタンク20、冷却媒体である液体ヘリウム21、第1の熱シールド30、試料保持冷却部40、試料ホルダ41、移動ステージ55、キャピラリー50、ヘリウム排気管60、排気冷却媒体貯蔵部であるヘリウムガスタンク70、冷却熱伝導体61および第2の熱シールド62を含む。
【0030】
ここで、窒素タンク10、液体窒素11、液体ヘリウムタンク20、液体ヘリウム21、第1の熱シールド30、試料保持冷却部40、試料ホルダ41、移動ステージ55、キャピラリー50およびヘリウム排気管60は、背景技術の覧において説明したものと全く同様であるので、詳しい説明を省略する。
【0031】
ヘリウムガスタンク70は、排気冷却媒体貯蔵部をなし、ヘリウム排気管60と接続され、試料保持冷却部40で気化しヘリウム排気管60に排出されたヘリウムガスを一時的に貯蔵する。また、ヘリウムガスタンク70は、一時的に貯蔵されたヘリウムガスを外気に放出する図示しない安全弁を有し、この安全弁は、ヘリウムガスタンク70が所定の圧力を越える場合に、自動的にヘリウムガスを外気に放出する。
【0032】
第2の熱シールド62は、液体ヘリウムタンク20および試料保持冷却部40を取り囲み、内包するように配設される金属板である。ここで、第1の熱シールド30および液体ヘリウムタンク20の中間位置には、図示しない断熱材が配置されると共に、第2の熱シールド62が配置され、これらの間に生じる伝導熱および輻射熱を軽減する。また、第2の熱シールド62は、試料保持冷却部40および第1の熱シールド30の中間位置にも配置され、これらの間に生じる伝導熱および輻射熱を軽減し、熱の外部からの流入を減少させる。
【0033】
冷却熱伝導体61は、ヘリウムガスタンク70および第2の熱シールド62を熱的に接続し、第2の熱シールド62をヘリウムガスタンク70と等温度にする。なお、移動ステージ55により、試料ホルダ41が水平移動される際には、第1の熱シールド30の水平移動と共に、第2の熱シールド62も移動されるので、冷却熱伝導体61の第2の熱シールド62との接続部分は、ベローズ構造とされる。
【0034】
ここで、ヘリウムガスタンク70は、試料保持冷却部40で気化された直後のヘリウムガスが貯蔵されるので概ね液体ヘリウムの沸点近傍の温度に冷やされる。従って、ヘリウムガスタンク70と熱的に接続される第2の熱シールド62も、同様に概ね液体ヘリウムの沸点近傍の温度に冷やされることとなる。
【0035】
これにより、試料保持冷却部40および液体ヘリウムタンク20は、第2の熱シールド62および液体窒素温度である第1の熱シールド30により、外気との間で段階的に温度が上昇する複数の熱シールドを有する。
【0036】
つぎに、本実施の形態にかかる試料冷却装置1の動作を図2を用いて説明する。図2は、試料冷却装置1の動作を示すフローチャートである。まず、オペレータは、窒素タンク10に液体窒素11を注入する(ステップS201)。その後、さらに試料保持冷却部40および液体ヘリウムタンク20にヘリウムガスを注入する(ステップS202)。これにより、液体ヘリウムタンク20に液体ヘリウム21を注入する際に、ヘリウム以外の物質が固化し、キャピラリー50が塞がれることを防止する。
【0037】
その後、オペレータは、液体ヘリウムタンク20に液体ヘリウム21を注入し(ステップS203)、ヘリウム排気管60からヘリウムガスタンク70を切り離し、ヘリウム排気管60にポンプを接続する(ステップS203)。ここで、オペレータは、このポンプを用いてヘリウム排気管60の吸引を行い、試料保持冷却部40の液体ヘリウム槽42を負圧にする。これにより、液体ヘリウム槽42には、液体ヘリウムタンク20からキャピラリー50を介して、液体ヘリウムが注入される(ステップS205)。なお、この初期注入以降は、液体ヘリウム21の気化により、液体ヘリウムタンク20の内圧が上昇するので、液体ヘリウム21は、自動的に液体ヘリウム槽42に注入される。
【0038】
その後、オペレータは、ヘリウム排気管60をヘリウムガスタンク70に接続する(ステップS206)。これにより、試料の冷却あるいは外部からの熱の流入により気化した液体ヘリウム槽42のヘリウムガスが、ヘリウム排気管60を介してヘリウムガスタンク70に貯蔵される。また、このヘリウムガスにより、ヘリウムガスタンク70は冷却され、ひいては第2の熱シールド62も同様に冷却され、試料保持冷却部40および液体ヘリウムタンク20の外気からの熱シールドを、より完全なものとする。
【0039】
その後、オペレータは、冷却された試料保持冷却部40の試料に電子線を照射し、試料の観察を行い(ステップS207)、本処理を終了する。
上述してきたように、本実施の形態では、試料保持冷却部40および液体ヘリウムタンク20を内包する様に、液体窒素温度の第1の熱シールド30との間に、第2の熱シールド62を配設し、試料保持冷却部40で気化されたヘリウムガスを貯蔵するヘリウムガスタンク70と第2の熱シールド62を熱的に接続することとしているので、試料保持冷却部40および液体ヘリウムタンク20の外部との熱シールドを、より完全なものとし、ひいては液体ヘリウムの消費量を削減し、ランニングコストの低減を計ることができる。
【0040】
また、本実施の形態では、冷却媒体として液体ヘリウムを用いた場合を例示したが、冷却媒体として液体窒素を用いることもできる。
また、本実施の形態では、試料43は試料ホルダ41に装着され、この試料ホルダ41は、試料保持冷却部40にオペレータにより装着されることとしたが、試料冷却装置1に外部から試料ホルダ41の装着を行うガイドレール等を設け、短時間に試料43の交換を行う試料交換装置を付属させることもできる(例えば、特許文献2参照)。
【0041】
また、本実施の形態では、第2の熱シールド62は、金属を用いたシールド板を用いたが、ヘリウム排気管60を、試料保持冷却部40および液体ヘリウムタンク20を取り囲み、内包する金属パイプで構成し、この金属パイプに第2の熱シールド62と同様の機能を持たせることもできる。この場合には、ヘリウムガスタンク70および冷却熱伝導体61は不要となる。
【0042】
また、本実施の形態では、透過型の電子顕微鏡に試料冷却装置1を装着した例を示したが、試料冷却装置1は、電子顕微鏡のみならず走査プローブ顕微鏡等でも用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】試料冷却装置の全体構成を示す断面図である。
【図2】試料冷却装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】試料冷却装置の従来例を示す断面図である。
【図4】試料冷却装置の試料保持冷却部を示す断面図である。
【符号の説明】
【0044】
1、2 試料冷却装置
8、9 隔壁
10 窒素タンク
11 液体窒素
20 液体ヘリウムタンク
21 液体ヘリウム
30 第1の熱シールド
31 銅網線
40 試料保持冷却部
41 試料ホルダ
42 液体ヘリウム槽
43 試料
50 キャピラリー
55 移動ステージ
60 ヘリウム排気管
61 冷却熱伝導体
62 第2の熱シールド
70 ヘリウムガスタンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体状の冷却媒体を貯蔵する冷却媒体貯蔵部と、
試料を保持し、かつ前記試料を前記冷却媒体を用いて冷却する試料保持冷却部と、
液体窒素を貯蔵する窒素貯蔵部と、
前記冷却媒体貯蔵部および前記試料保持冷却部を内包し、前記窒素貯蔵部と熱的に接続される第1の熱シールドと、
前記冷却媒体貯蔵部および前記試料保持冷却部の少なくとも1つを内包し、かつ前記第1の熱シールドに内包され、前記冷却の際に気化する冷却媒体と熱的に接続される第2の熱シールドと、
を備える試料冷却装置。
【請求項2】
前記冷却媒体は、ヘリウムであることを特徴とする請求項1に記載の試料冷却装置。
【請求項3】
前記試料保持冷却部は、前記冷却の際に気化する冷却媒体を、前記第1の熱シールドの前記内包を行わない側に排気する冷却媒体排気手段を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の試料冷却装置。
【請求項4】
前記冷却媒体排気手段は、前記排気される冷却媒体を貯蔵する排気冷却媒体貯蔵部を有し、前記排気冷却媒体貯蔵部は、前記第2の熱シールドに熱的に接続される熱伝導体を備えることを特徴とする請求項3に記載の試料冷却装置。
【請求項5】
前記熱伝導体は、ベローズ構造を備えることを特徴とする請求項4に記載の試料冷却装置。
【請求項6】
前記第2の熱シールドは、前記冷却の際に気化する冷却媒体を、前記冷却媒体貯蔵部および前記試料保持冷却部の少なくとも1つを内包するように周囲を循環させる金属パイプを備えることを特徴とする請求項1または2に記載の試料冷却装置。
【請求項7】
前記金属パイプは、前記冷却媒体を、前記第1の熱シールドの前記内包を行わない側に排気することを特徴とする請求項6に記載の試料冷却装置。
【請求項8】
前記試料冷却装置は、前記試料を、前記第1の熱シールドの前記内包を行わない側から前記試料保持冷却部に配設する試料交換装置を備えることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載の試料冷却装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−78353(P2007−78353A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−262644(P2005−262644)
【出願日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【出願人】(000004271)日本電子株式会社 (811)
【Fターム(参考)】