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試料容器および発生ガス分析方法
説明

試料容器および発生ガス分析方法

【課題】試料を密封して持ち運び、所望の雰囲気の下で正確な発生ガス分析を低コストで行うことができる試料容器および発生ガス分析方法を提供する。
【解決手段】発生ガス分析用の試料容器100であって、試料を収容可能な容器本体110と、容器本体110を密封するための封止材120と、を備え、グローブボックス内の特殊雰囲気下において変質しやすい試料を密封し、密封状態で昇温したとき、封止材120が溶融し試料容器100内の気体の膨張による内圧で試料容器100の外に向かって開孔する。これにより、試料を密封したままの状態で持ち運ぶことができ、低コストで発生ガス分析を行うことができる。また、常温時に特殊雰囲気下で封止された気体が、昇温されることで膨張し、封止材の融解温度で、膨張による圧力で封止材を自動的に容器の外に向かって開孔させることで正確な発生ガス分析を容易に行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発生ガス分析用の試料容器およびこれを用いた発生ガス分析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電池材料に代表される先端材料には空気や水分を嫌う材料が多いが、近年、このような材料から発生するガス分析の重要性が高まっている。大気や水分に触れさせてはならない物質のEGA(発生ガス分析法)では、試料を試料容器に入れ分析装置へ設置する間は空気や水分に触れさせることができないため、グローブボックスにより乾燥ガスや不活性ガスなどの特殊雰囲気を実現し、試料への大気や水蒸気の影響を排除することが必要である。そして、分析装置全体をグローブボックス内に設置し雰囲気を調整して発生ガス分析の測定をすることが必須となっている。
【0003】
分析装置全体をグローブボックス内に設置せずに、EGAを行う工夫は、これまでも行われていたが、分析装置に試料容器をセットした後に、機械的に試料容器に外力を加える方法が多く、高精度の分析装置を実現するに至っていない。たとえば、EGAの分野では、ガス置換を行いつつ密閉された試料容器の蓋を取り外したり、容器に機械的に針で穴を開けたりして行う方法が知られている(特許文献1、2参照)。特許文献1記載のガス分析装置では、測定試料を容器内に挿入し、この容器に蓋を取り付けて容器内を封密状態とし、ガス置換後、蓋を取り外してガス検出を行っている。特許文献2記載の小型容器は、ガス発生源となる試料を収容するガス分析用容器本体と、ガス分析用容器本体に着脱自在な密閉用の蓋とで構成されている。そして、蓋に設けられている接続部には、蓋を貫通する貫通孔と、貫通孔を封止するように貫通孔内に形成され、ガス導入管の先端で突き破られる遮蔽板とが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−149843号公報
【特許文献2】特開2007−101337号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記のようにグローブボックス内にガス分析装置を入れて測定する場合には、グローブボックスを大きくする必要が生じコストが嵩む。グローブボックスの外でガス分析を行う方法も考えられるが、大気や水分に触れないように試料を密封した状態に維持する必要があり、試料の持ち運びが困難である。また、EGAでは、密閉容器を開けて試料から出るガスを測定する必要がある。
【0006】
密閉容器を一旦グローブボックスから取り出し、所定雰囲気下で上記の特許文献記載の装置を用いて密閉容器の蓋を取り外したり、容器に機械的に針で穴を開けたりする方法も考えられる。しかし、分析装置に設置した密閉容器に外部から孔を開け、なおかつ正確な分析を行おうとすれば取り扱いが困難になる。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、試料を密封して持ち運び、所望の雰囲気の下で正確な発生ガス分析を低コストで行うことができる試料容器および発生ガス分析方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)上記の目的を達成するため、本発明に係る試料容器は、発生ガス分析用の試料容器であって、試料を収容可能な容器本体と、前記容器本体を密封するための封止材と、を備え、グローブボックス内の特殊雰囲気下において変質しやすい試料を密封し、密封状態で昇温したとき、前記封止材が溶融し容器内の気体の膨張による内圧で容器の外に向かって開孔することを特徴としている。
【0009】
これにより、試料を密封したままの状態で持ち運ぶことができ、低コストで発生ガス分析を行うことができる。また、一定温度で溶融する封止材で封止され、常温時にグローブボックス内の特殊雰囲気下で封止された気体が、昇温されることで膨張し、封止材の融解温度に達したときに、その膨張による圧力で封止材を自動的に容器の外に向かって開孔させることで正確な発生ガス分析を容易に行うことができる。なお、外部から機械的な作用により開孔することがなく、昇温により自発的に開孔するため、特に、熱重量測定装置のように繊細な重量を計測する装置(TG−DTA)と発生ガス分析を組み合わせた測定における正確な分析に有効である。
【0010】
(2)また、本発明に係る試料容器は、前記封止材が、金属からなることを特徴としている。これにより、金属の温度が融点以上になったときに開孔するため、所望の温度範囲について発生ガス分析が可能になる。
【0011】
(3)また、本発明に係る試料容器は、前記封止材が、インジウムで形成されていることを特徴としている。インジウムの融点は156.6℃であり、この融点以上の温度範囲について正確な発生ガス分析が可能になる。したがって、たとえば200℃〜300℃程度の温度範囲で気化する試料の測定には有効である。また、インジウムには展性がありかつ蒸気圧が小さいことにより、装置に対する振動を与えることなく、かつ蒸発や飛散による重量変化がない。
【0012】
(4)また、本発明に係る試料容器は、前記封止材が、ガリウムで形成されていることを特徴としている。ガリウムの融点は29.8℃であり、この融点以上の温度範囲について正確な発生ガス分析が可能になる。したがって、室温以上の低い温度範囲で気化する試料の測定には有効である。また、ガリウムには展性がありかつ蒸気圧が小さいことにより、装置に対する振動を与えることなく、かつ蒸発や飛散による重量変化がない。
【0013】
(5)また、本発明に係る試料容器は、所定のガス雰囲気内で試料とともに封止されたガスが、昇温時に前記内圧を発生させ、前記封止材を外向きに開孔させることを特徴としている。たとえばグローブボックス内の特殊雰囲気のガスを試料容器に密封し、試料容器を昇温させることでその雰囲気ガスの膨張により封止材は外に向かって開孔する。したがって、溶けた封止材は容器内部に落ち難い。なお、特殊雰囲気には乾燥ガスや不活性ガスが挙げられる。
【0014】
(6)また、本発明に係る試料容器は、前記容器本体が、開口端を有する収容体と、孔を有し前記収容体の開口端を閉じる蓋を備えることを特徴としている。これにより、試料を容器本体の内部に配置し、孔を封止材で封止した蓋で容器本体を閉じることで容易に密閉状態を作ることができる。
【0015】
(7)また、本発明に係る試料容器は、外径が前記容器本体の内径より小さい受け皿を更に備え、前記容器本体内に配置され、昇温時に落下した前記封止材を受けることを特徴としている。これにより、昇温時に溶けた封止材が容器内に落ちて、試料に接触することを防ぐことができる。その結果、試料と封止材との反応を防止できる。
【0016】
(8)また、本発明に係る発生ガス分析方法は、上記の試料容器を用いる発生ガス分析方法であって、所定のガス雰囲気において試料を前記容器本体内に配置するステップと、前記内部空間を密封するステップと、前記密封された試料容器を移動しガス分析装置に設置するステップと、前記試料容器を昇温させてガス分析を行うステップと、を含むことを特徴としている。
【0017】
これにより、たとえばグローブボックス内のような所定のガス雰囲気内で試料を収容した試料容器を密閉状態で持ち運び、密閉状態で昇温し開孔させることが可能になる。その結果、正確な発生ガス分析を低コストで容易に行うことができる。
【0018】
(9)また、本発明に係る発生ガス分析方法は、前記内部空間を密封する際に、前記所定の雰囲気ガスも密封し、前記試料容器の昇温時に、前記密封された雰囲気ガスの内圧により前記封止材を外向きに開孔させることを特徴としている。たとえばグローブボックス内の特殊雰囲気のガスを試料容器に密封し、試料容器を昇温させることでその雰囲気ガスの膨張により封止材は外に向かって開孔する。したがって、溶けた封止材は容器内部に落ち難い。なお、特殊雰囲気には乾燥ガスや不活性ガスが挙げられる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、試料を密封して持ち運ぶことができるため、グローブボックスが小さくて済む。そして、所望の雰囲気の下で正確な発生ガス分析を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1の実施形態に係る試料容器を示す斜視図である。
【図2】第1の実施形態に係る試料容器を示す断面図である。
【図3】第1の実施形態に係る試料容器の使用場面を示す断面図である。
【図4】ガス分析装置の一例を示す模式図である。
【図5】第1の実施形態に係る試料容器の使用場面を示す断面図である。
【図6】受け皿を用いた場合の試料容器を示す断面図である。
【図7】第2の実施形態に係る試料容器を示す斜視図である。
【図8】第2の実施形態に係る試料容器を示す断面図である。
【図9】第2の実施形態に係る試料容器の使用場面を示す断面図である。
【図10】第2の実施形態に係る試料容器の使用場面を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
【0022】
[第1の実施形態]
(試料容器の構成)
発生ガス分析用の試料容器100の構成について説明する。図1は試料容器100を示す斜視図、図2は試料容器を示す断面図である。発生ガス分析用の試料容器100は、容器本体110および封止材120を備えている。
【0023】
容器本体110は、試料Sを収容できる内部空間125を有している。容器本体110は、開口端114を有する収容体111と、孔118を有し収容体111の開口端114を閉じる蓋115を備える。容器本体110は、アルミニウムの薄い容器壁で形成されている。アルミニウムの容器壁は600℃程度まで溶融せず耐えることができる。収容体111は、凹部112を有し、その底に試料Sを配置可能となっている。容器本体110と蓋115との接合部は圧着され、発生ガス分析に用いる程度の圧力変化に耐えうる強度をもつ。
【0024】
容器本体110の材料は通常アルミニウムを用いる。したがって、容器本体110にはガス成分が吸着されにくい。また、容器本体110はSUSを用いることもでき、その場合にも試料Sから発生するガス分析を行う範囲では内圧に耐えることができる。SUSを用いる場合には後述のようにガリウムの封止材との組合せに適している。その他、容器本体110は白金を用いることもでき、その場合には600℃以上の高い温度まで耐久性を有する。
【0025】
封止材120は、容器本体110を密封するために用いられる。蓋115は、内部が空間の凸部116に孔118を有しており、この孔118を断面エ字状に圧縮した封止材120で密封する。これにより、試料Sを容器本体110の内部に配置し、孔118を封止した蓋115で容器本体110に圧着することで容易に密閉状態を作ることができる。このようにして、たとえばグローブボックス内の特殊雰囲気下において変質しやすい試料を密封できる。
【0026】
孔118の直径は、1.5mm以下であることが好ましく、1mm程度であればさらに好ましい。このように小さな径の孔118とすることで、発生ガス分析の分析装置内において、例えばヘリウムなどの雰囲気ガスが試料容器100内に入り難くなる。また、たとえば蒸気圧の高い試料に対しては直径1.5mm程度の大きい孔118を有する蓋115を用い、蒸気圧の低い試料に対しては1mm以下の小さい孔118を有する蓋115を用いてもよい。
【0027】
試料容器100が温度上昇し、これに伴い封止材120が融点に達する。温度上昇により試料容器100内の気体の膨張で内圧(以下「内圧」という)が大きくなり、溶融した封止材120は変形し内圧により外向きに自動的に孔が開く。封止材120は、インジウムで形成されている。インジウムは蒸気圧が低いため、ガス分析に適しており、また試料との反応の防止の観点でも優れている。このようにコンタミガスが発生し難い材料であることが好ましい。
【0028】
このように、温度を上げてもガスが放出され難く、蒸気圧の低い、低融点の金属が封止材120には好ましい。たとえば試料Sについて分析したい温度範囲が200℃〜300℃であれば、インジウムが好適である。インジウムの融点は156.6℃であり、この融点以上の温度範囲について発生ガス分析が可能になる。また、封止材120は、インジウムのように展性のある金属で構成されることが好ましい。封止材120は、ガス分析を行う上で阻害ガスが出ない方がよく、展性にすぐれていると密閉性がよく、封止しやすいため、このような材質がよい。
【0029】
封止材120は、ガス分析を行う温度以下の融点を有する金属とする。これにより、金属の温度が融点以上になったときに開孔するため、所望の温度範囲について発生ガス分析が可能になる。なお、その他、スズ、鉛、アルミニウムを封止材120の材料としてもよい。分析ガス種とガス放出温度が重ならない材料であれば、たとえば有機物の接着剤を用いてもよい。ただし、有機物は多くの分解ガスを発生するため、試料Sについて測定したい温度範囲と分解する温度が重なりやすいことには注意すべきである。
【0030】
また、試料容器100については、容器本体110の材料および封止材120の材料を組み合わせに応じて選ぶことが好ましい。たとえば、容器本体110がアルミニウム製であるときに、ガリウムの封止材120を用いると、両者の接触によりアマルガムが形成されるため、このような組み合わせは避けた方がよい。
【0031】
密封状態で昇温したとき、内圧上昇と封止材の溶融により封止材120が変形し開孔する。これにより、自動的に開孔させることで正確な発生ガス分析を容易に行うことができる。また、試料Sを密封して持ち運ぶことができ、低コストで発生ガス分析を行うことができる。なお、外部からの機械的な作用により開孔せず、自発的に開孔するため、特に、TG−DTA測定の正確な分析に有効である。
【0032】
(試料容器の作製)
収容体111および蓋115は、金属薄板をプレスして作製できる。蓋115の孔118は、レーザー加工で1mm程度のものを開けることができる。なお、機械的に穿孔してもよい。このようにして開けられた孔118に封止材120を圧着して孔118を塞ぐ。封止材120には展性がある場合には、容易に圧着できる。
【0033】
(発生ガス分析方法)
次に、上記のように構成される試料容器100を用いた発生ガス分析方法を説明する。図3は、試料容器100の使用場面を示す断面図である。まず、たとえばグローブボックス(図示せず)の内部を所定のガス雰囲気に調整する。そして、図3に示すように、そのガス雰囲気内で試料Sを試料容器100の内部空間125に配置する。
【0034】
次に、収容体111と蓋115とを合せて閉じることで、内部空間125を密封する。このとき図2に示すように、収容体111のフランジ部113と蓋115のフランジ部117とを所定の冶具を用い圧着することで、収容体111と蓋115の各材料の展性により密封が可能になる。これにより、試料Sを簡便に密封できる。
【0035】
このように密封された試料容器100をグローブボックスから持ち出し、発生ガス分析を行うための位置に移動させる。密封されているため、グローブボックス外に取り出しても試料が汚染されることがない。5mmの試料容器と、容器をシールする治具のみ入るスペースがグローブボックスにあれば、試料調整が可能になるため、大きなグローブボックスや、特別な部屋を作る必要がない。したがって、低コストで容易に発生ガス分析を行うことができる。また、試料Sの輸送についても取り扱いが容易になる。なお、試料Sを輸送する際には、さらに別の密閉容器を用意し、これに試料容器100に入れて輸送してもよい。
【0036】
次に、密封された試料容器100をガス分析装置150に設置する。図4は、ガス分析装置150の一例を示す模式図である。図4に示すガス分析装置150は、一般的なTG−MS装置であり、TG−DTA装置160、GC装置170およびMS装置180を備えている。TG−MS法は、熱重量測定(TG)と質量分析(MS)とを接続した複合技法で、試料の質量変化と発生気体の種々の成分をTGを昇温させながらリアルタイムにm/zを測定する方法である。
【0037】
TG−DTA装置160は、TG(Thermogravimetry:熱重量)測定とDTA(Differential Thermal Analysis:示差熱分析)測定を併せて行う装置である。TG−DTA装置160では、試料室を形成するケーシングの内部に天秤ビーム161、162が設けられている。そして、一方の天秤ビーム161には試料容器100を配置し、他方の天秤ビーム162には標準物質101を設置する。
【0038】
ケーシングの周囲には、ヒータ165が設けられている。ヒータ165は所定の昇温プログラムに従って試料Sを昇温する。また、ケーシングには雰囲気を作るためのガスが供給されており、供給ガスには、例えばヘリウムガスのような不活性ガスが用いられる。
【0039】
試料Sが昇温され熱的に変化すると、試料Sからガスが発生し、試料Sの重量が変化する。TG−DTA装置160は天秤ビーム161を介して試料Sの重量変化を測定する。また、天秤ビーム162を介して標準物質の重量変化を測定する。この標準物質の重量変化と試料Sの重量変化の差分を取ることにより、試料Sの変化以外の要因を排除する。本発明では、外部から機械的な作用により試料容器100を開孔することがなく、昇温により自発的に開孔するため、このようなTG−DTA測定における正確な分析に有効である。
【0040】
試料Sから発生したガスはキャピラリチューブを介してGC装置170内に搬送される。GC装置170は、TGから発生した種々の成分をコールドトラップ173で捕捉し、順次GC(Gas Chromatography)でガスを分離する。また、一方でコールドトラップ173を介したガスが、MS装置180へ導入される。そして、MS装置180により発生ガスの質量分析(Mass Spectrometry)が行われる。また、直接MS装置180へガスを導入してもよい。
【0041】
このようなガス分析装置150を用いて試料容器100を昇温させてガス分析を行う。昇温時には試料容器100の内圧が上昇する。そして、所定温度に達すると封止材120が溶けて内圧により自動的に開孔する。図5は、試料容器100の使用場面を示す断面図である。図5に示すように、封止材120が展性により変形し、孔が開いて内部のガスが放出される。
【0042】
開孔時には、試料設置時にグローブボックスの内部に充填されていたガスが放出される。その際には、ガス分析装置150で、充填されていたガスのピークが検出され、分析の開始がそのピークにより明確に示される。開孔後に試料Sより出る発生ガスが観測されるため、試料Sについて測定したい温度範囲は、開孔温度より数℃以上高い方がよい。
【0043】
開孔は昇温により自動的に発生するため、機械的に容器を押す必要がない。これにより、ガス分析装置150のような重量測定装置とガス分析のMASSとを組み合わせた装置での使用が可能となる。このようにして、開孔後、温度に対して放出ガスの種類ごとに試料Sについて正確なガス分析を行うことができる。
【0044】
なお、封止材120が溶けて内圧により変形することで開孔するが、インジウムやガリウムのような金属であれば、表面張力が働くため溶けた部分は垂れにくい。また、容器が破壊されない程度の圧力で開孔するよう容器本体110の材料や封止材120の材料を選定しておくことが好ましい。また、上記の使用例では、TG−DTA装置160に試料容器100を設置しているが、試料容器100を設置して発生ガスを分析できる装置は必ずしもこれに限られない。
【0045】
(受け皿)
次に、受け皿を構成に含む場合について説明する。図6は、受け皿130を用いた場合の試料容器100を示す断面図である。受け皿130は、たとえばアルミニウム製であり、その外径が容器本体110の内径より小さい。したがって、試料容器100の内部空間125に収容可能である。受け皿130は、封止材120の直下に配置することが好ましい。
【0046】
この結果、受け皿130は、昇温時に万一封止材120が落下しても、落下した封止材120を受けることができる。これにより、昇温時に溶けた封止材120が容器内に落ちて、試料Sに接触することを防ぐことができる。その結果、試料と封止材120との反応を防止できる。受け皿130は試料S上に重ねて配置され、受け皿130と容器本体110の容器壁との間にわずかに隙間が生じる。したがって、試料Sから発生するガスは受け皿130に阻害されることなく拡散する。
【0047】
[第2の実施形態]
(試料容器の構成)
上記の実施形態では、容器本体110がアルミニウムの薄い容器壁で形成されており、インジウムの封止材120が孔118を封止しているが、容器本体110がSUSの容器壁で構成され、ガリウムの封止材120で孔118を封止してもよい。
【0048】
図7は、試料容器200を示す斜視図、図8は、試料容器200を示す断面図である。図7、8に示すように試料容器200は、容器本体210および封止材220を備えている。容器本体210は、SUSで形成されており、収容体211および蓋215を備えている。収容体211は、内部に試料Sを収容できる空間を有する。試料Sを収容できる部分は、凹部212となっている。また、収容体211の蓋215を挿入する挿入口213が設けられている。蓋215は、孔218を有し、収容体211の傾斜部214に嵌るようにテーパ217が形成されている。
【0049】
封止材220は、ガリウムで形成されている。ガリウムの融点は29.8℃であり、この融点以上の温度範囲について正確な発生ガス分析が可能になる。したがって、室温以上の低い温度範囲で気化する試料の測定には有効である。
【0050】
(発生ガス分析方法)
図9は、試料容器200の使用場面を示す断面図である。まず、グローブボックス(図示せず)の内部を所定のガス雰囲気に調整する。そして、図9に示すように、そのガス雰囲気内で試料Sを試料容器200の内部空間225に配置する。次に、収容体211に蓋215を嵌めて閉じ、挿入口213の縁を内側に曲げてかしめることで内部空間225を密封する。試料容器200により、このように試料Sを簡便に密封できる。
【0051】
図10は、試料容器200の使用場面を示す断面図である。図5に示すように、昇温時に所定温度で封止材220が溶融し内圧により変形し、孔が開いて内部のガスが放出される。開孔時には、試料設置時にグローブボックスの内部に充填されていたガスが放出される。開孔は昇温により自動的に発生するため、機械的に容器を押す必要がない。
【0052】
なお、以上の各実施形態では、容器本体は、収容体と蓋とで構成されているが、収容体のみで構成されていてもよい。その場合には、蓋に代えて封止材で容器本体の内部空間を密封することができる。
【0053】
(実験)
試料容器100について、アルコール溶剤を用いて密封性を評価した。その結果、一週間中に洩れたガス量はわずか5nL程度であり、試料容器100の密封性に問題はないことが確認された。
【0054】
また、アルゴンガスを充てんし、インジウムの封止材120で孔118を塞ぎ、試料を密封した試料容器100を加熱した、このとき開孔した温度を検証したところ、ほぼインジウムの融点である157℃にアルゴンガスのピークが観察された。また、試料から発生したガスについて、温度、種類および質量を検出することができた。
【符号の説明】
【0055】
100 試料容器
101 標準物質
110 容器本体
111 収容体
112 凹部
113 フランジ部
114 開口端
115 蓋
116 凸部
117 フランジ部
118 孔
120 封止材
125 内部空間
130 受け皿
150 ガス分析装置
160 TG−DTA装置
161、162 天秤ビーム
165 ヒータ
170 GC装置
173 コールドトラップ
180 MS装置
200 試料容器
210 容器本体
211 収容体
212 凹部
213 挿入口
214 傾斜部
215 蓋
217 テーパ
218 孔
220 封止材
225 内部空間
S 試料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発生ガス分析用の試料容器であって、
試料を収容可能な容器本体と、
前記容器本体を密封するための封止材と、を備え、
密封状態で昇温したとき、前記封止材が溶融し内圧により開孔することを特徴とする試料容器。
【請求項2】
前記封止材は、金属からなることを特徴とする請求項1記載の試料容器。
【請求項3】
前記封止材は、インジウムで形成されていることを特徴とする請求項2記載の試料容器。
【請求項4】
前記封止材は、ガリウムで形成されていることを特徴とする請求項2記載の試料容器。
【請求項5】
所定のガス雰囲気内で試料とともに封止されたガスが、昇温時に前記内圧を発生させ、前記封止材を外向きに開孔させることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の試料容器。
【請求項6】
前記容器本体は、開口端を有する収容体と、孔を有し前記収容体の開口端を閉じる蓋を備えることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の試料容器。
【請求項7】
外径が前記容器本体の内径より小さい受け皿を更に備え、
前記容器本体内に配置され、昇温時に落下した前記封止材を受けることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の試料容器。
【請求項8】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の試料容器を用いる発生ガス分析方法であって、
所定のガス雰囲気において試料を前記容器本体内に配置するステップと、
前記内部空間を密封するステップと、
前記密封された試料容器を移動しガス分析装置に設置するステップと、
前記試料容器を昇温させてガス分析を行うステップと、を含むことを特徴とする発生ガス分析方法。
【請求項9】
前記内部空間を密封する際に、前記所定の雰囲気ガスも密封し、
前記試料容器の昇温時に、前記密封された雰囲気ガスの内圧により前記封止材を外向きに開孔させることを特徴とする請求項8記載の発生ガス分析方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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