試料破砕用具
【課題】 大型の試料や硬い試料でも効率的に破砕することを可能にする試料破砕具を提供する。
【解決手段】 細長い有底円筒状で、底面が截頭円錐状に凹設された容器本体、およびその開口部を開閉可能に封止する蓋体31を備えた破砕容器30と、前記破砕容器30内に収容され、本体部が前記容器本体内にその軸芯にほぼ沿った姿勢を保持してほぼ軸芯方向に相対移動するように円柱状に形成され、一方の端部が前記容器本体の底面形状に対応するように截頭円錐状でかつ前記本体部に連続するようにして凸設された破砕媒体32とを備えた試料破砕具。
【解決手段】 細長い有底円筒状で、底面が截頭円錐状に凹設された容器本体、およびその開口部を開閉可能に封止する蓋体31を備えた破砕容器30と、前記破砕容器30内に収容され、本体部が前記容器本体内にその軸芯にほぼ沿った姿勢を保持してほぼ軸芯方向に相対移動するように円柱状に形成され、一方の端部が前記容器本体の底面形状に対応するように截頭円錐状でかつ前記本体部に連続するようにして凸設された破砕媒体32とを備えた試料破砕具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物の組織や種子類、動物の組織、プラスチック材料、鉱物材料などの試料を化学的に分析・分画分離するために破砕する用に供する試料破砕具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記のような各種試料を化学的に分析・分画分離するためには、まず試料を均一に粉砕しなければならない。破砕は従来から用いられている乳鉢と乳棒とによる方法が知られているが、多くの試料を効率よく破砕することには不向きであるため、試料と破砕媒体とを収容した破砕容器に対して多数を同時に破砕処理する破砕装置が用いられる。
【0003】
上記破砕装置を用いて試料を破砕するためには、一般的に試料を遠心分離するために用いられている遠心チューブ等の破砕容器に試料と共に破砕媒体を収容し、この破砕容器を破砕装置に装着して破砕容器に振動を加える。前記破砕媒体としてガラスやセラミック、金属などの微小ビーズが知られている(特許文献1参照)。破砕装置により破砕容器に振動を加えると、破砕媒体が試料に衝突したり、破砕容器の壁面に押し付けて圧壊させたりするので、破砕容器に所要時間の振動を加えることにより試料が破砕される。
【0004】
また、試料を破砕するための器具として凍結試料破砕用セルが知られている(特許文献2参照)。これは、試料を破砕しやすくするために試料を凍結し、それを冷却した有底筒形の容器に投入し、容器の内面形状に対応する形状の突出部分を設けた蓋を、突出部分を容器内に挿入して容器上に被せ、蓋に振動プレスを加えて凍結した試料を粉砕する。
【特許文献1】特公平6−036732号公報(第2〜3頁、図1)
【特許文献2】特開平8−219957号公報(第1〜2頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、破砕媒体として微小ビーズを用いた破砕方法では、試料が大型の植物細胞や動物細胞や鉱物材料などになると、試料が運動し難く、かつ破砕媒体の質量が小さいために破砕されないという問題があった。
【0006】
また、凍結試料破砕用セルは、破砕した試料を遠心分離や分析等の処理に用いるためには、破砕された試料を容器から処理に必要な別の容器に移し替える必要があり、試料の目減りが生じたり、試料が細菌等を含むものである場合にはそれを散逸させる恐れもある。また、次ぎの破砕に用いるために洗浄、滅菌等の作業が必要になる課題があった。
【0007】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みて創案されたもので、大型の植物組織や動物組織や鉱物材料なども効率的に破砕することができる試料破砕具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本願の第1発明は、破砕容器内に破砕対象とする試料と共に破砕媒体を収容し、破砕容器を8の字状に往復振動させて試料を破砕する用に供する試料破砕具において、細長い有底円筒状で、底面が截頭円錐状に凹設された容器本体、およびその開口部を開閉可能に封止する蓋体を備えた破砕容器と、本体部が円柱状に形成され、一方の端部が前記容器本体の底面形状に対応するように截頭円錐状でかつ前記本体部に連続するようにして凸設された破砕媒体とを備え、破砕媒体の本体部の外周と破砕容器の内周との間には隙間が存するが、破砕媒体が、その軸芯にほぼ沿った姿勢を保持してほぼ軸芯方向に相対移動するように破砕容器内に収容されていることを特徴とする。
【0009】
上記破砕容器に試料と共に破砕媒体を収容し、破砕媒体にその軸心にほぼ沿った方向に8の字状に往復振動を加えると、破砕媒体は相対回転しながら破砕容器の底面に衝突する動作が繰り返されるので、破砕容器が乳鉢、破砕媒体が乳棒のように作用して試料が効果的に破砕される。試料が大型の植物組織や動物組織、プラスチック材料や鉱物材料であっても効率的に破砕することができる。
【0010】
本願の第2発明は、破砕容器内に破砕対象とする試料と共に破砕媒体を収容し、破砕容器を8の字状に往復振動させて試料を破砕する用に供する試料破砕具において、細長い有底円筒状で、底面が截頭円錐状に凹設された容器本体、およびその開口部を開閉可能に封止し、天井面が截頭円錐状に凹設された蓋体を備えた破砕容器と、本体部が円柱状に形成され、一方の端部が前記容器本体の底面形状に対応するように截頭円錐状でかつ前記本体部に連続するようにして凸設され、他方の端部が前記蓋体の天井面形状に対応するように截頭円錐状でかつ前記本体部に連続するようにして凸設された破砕媒体とを備え、破砕媒体の本体部の外周と破砕容器の内周との間には隙間が存するが、破砕媒体が、その軸芯にほぼ沿った姿勢を保持してほぼ軸芯方向に相対移動するように破砕容器内に収容されていることを特徴とする。これによれば、破砕容器の底面と天井面の両方で試料を破砕できるので、より効果的な破砕を行うことができる。
【0011】
上記構成において、破砕容器の内径と破砕媒体の外径の差が2mm以下に形成すると、試料がしなやかなものである場合でも、破砕媒体を確実に作用させることができ、効率的に破砕できる。
【0012】
また、破砕媒体の少なくとも一端部表面に1又は複数の溝を形成することにより、試料が切断され難い繊維質を含んだ破砕し難い動物組織や植物組織であっても、溝部で繊維質が効果的に切断される。
【0013】
また、試料は、液体窒素浴で凍結して凍結真空乾燥したものを用いると、試料がしなやかで切断され難い繊維質を含んだものである場合にも、凍結により切断されやすくなり、試料の破砕が効率的になされる。
【0014】
また、破砕媒体は、表面を研磨したチタン製のもので構成すると、試料が骨などの動物組織でも破砕が可能で、破砕媒体の表面に例えばDNAやRNAなどの組織物が残留して、次の破砕時にクロスコンタミネーションが発生する恐れをなくすことができる。
【発明の効果】
【0015】
以上の説明の通り本発明に係る試料破砕具によれば、破砕容器内に破砕媒体を試料と共に収容して、破砕容器に8の字状の往復振動を加えることにより、破砕媒体が相対回転しながら破砕容器の底面あるいは底面と天井面に衝突することが繰り返されるので、破砕容器が乳鉢、破砕媒体が乳棒のように作用して試料が効果的に破砕される。試料が大型の植物組織や動物組織、プラスチック材料、鉱物材料などであっても効率的なに破砕することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態、参考例について説明する。尚、本実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0017】
図1、図2は、第1の実施形態に係る破砕容器30及び破砕媒体32の構成を示すものである。破砕容器30は、細長い円筒容器からなり、その開口部外周にねじ30aが形成され、底部に截頭円錐部33が形成されており、その開口部に蓋体31を螺合して密閉できるように構成されている。蓋体31の内周部には、破砕容器30の開口部の内周に嵌合する環状シール部31aが形成されている。破砕容器30は、試料の材質や量に応じて2ml〜50mlの容積のものが用いられる。
【0018】
上記破砕容器30内に試料と共に収容される破砕媒体32は、図2(a)に示すように、破砕容器30の内径Dより大きい長さLの単一部材にて構成されており、その一端部に破砕容器30の底部形状に対応して同様の截頭円錐状の突出端部32aが形成されている。また、他端部は、蓋体32の内周の環状シール部31aと干渉したり、嵌まり込むことがないように小径部32bに形成されている。また、破砕媒体32の外径dは、破砕容器30の内径Dに対して2mm以下、破砕容器30の内径Dが小さい場合には1mm以下程度に小さく設定されている。例えば、破砕容器30の容量が2mlの場合で、その内径Dが8mmのとき、破砕媒体32の外径dは7mmに設定される。
【0019】
また、図2(b)、(c)に示すように、破砕媒体32の突出端部32aには必要に応じて放射状又は螺旋状に1又は複数の溝34を形成したものを用いることもできる。
【0020】
図4、図5は、参考例1に係る破砕容器30及び破砕媒体32を示すものである。図4に示す破砕容器30は、その底部に半球状ないし半楕円球状の半球部35が形成されており、それに伴って破砕媒体32の一端部に、図5(a)に示すように、半球状の突出端部32aが形成されている。また、その突出端部32aに図5(b)、(c)に示すように、溝34を形成することもできる。
【0021】
上記第1の実施形態および参考例1に示した破砕容器30の材質としては、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリフッ化エチレンなどの合成樹脂を用いることができ、着色剤を添加する必要はないので、透明もしくは半透明に樹脂成形される。破砕容器30が透明もしくは半透明であると、破砕容器30内に収容した試料の状態、特に破砕の進行状態をチェックしながら破砕を行うような場合に好適である。
【0022】
例えば、ザルスタット社(SARSTEDT:ドイツ)製のねじ口タイプ遠心チューブやエッペンドルフ社(EPPENDORF:ドイツ)製のセイフロックチューブ、ノルゲン社(NALGEN:アメリカ)製の遠心チューブ等がそれに該当する。
【0023】
また、破砕容器30は、ステンレス鋼などの金属やその内面にポリフッ化エチレンコーティングを施したものを用いることもできる。
【0024】
また、破砕媒体32の材質としては、SUS430などの磁性ステンレス、SUS304硬質ステンレスなどのステンレス鋼、炭素鋼、チタン、タングステン、ジルコニア、タングステンカーバイド、セラミック、ガラス、ポリフッ化エチレンなどを単体又は複合して構成したものを適宜用いることができる。
【0025】
上記第1の実施形態および参考例1に示した破砕容器30及び破砕媒体32を用いて試料の破砕を行う場合には、図3、図6に示すように、細長い破砕容器30内にその内径より大きい長さの破砕媒体32と試料74を収容し、破砕容器30の開口部を蓋体31で閉じ、破砕容器30に振動を加える。
【0026】
破砕容器30に加える振動は、破砕媒体32が破砕容器30の軸芯にほぼ沿った姿勢を保持したまま相対回転しながら破砕容器30の底部に衝突を繰り返すように振動を加えるのが好ましく、これを実現する手段として、破砕容器30を破砕装置に装着して8の字状の振動を加えると、効率的且つ多数の破砕容器30に対して同時に破砕処理を実施することができる。
【0027】
図7は、多数の破砕容器30に対して8の字状の振動を加えることができる破砕装置の要部構成を示すものである。図示しない駆動手段により回転駆動される回転軸8には傾斜軸体11が固定されており、傾斜軸体11の外周には一対の軸受14を介して相対回転自在に環状体15が装着されている。この環状体15の外周下部の適所には磁石16が取付けられている。また、軸受部7の上部に取付けられた取付ブラケット17にて支持された対極磁石18がこの磁石16に対向するように固定配置されている。これら磁石16と対極磁石18の吸着力によって、回転軸8及び傾斜軸体11が回転した場合に環状体15の回転を阻止し、且つ傾斜軸体11の回転に伴って環状体15が振れ運動を行うように構成されている。
【0028】
環状体15の上部には取付段部19が設けられ、その上に環状保持体20が載置されて固定ボルト21にて締結固定されている。図8に平面図として示すように、環状保持体20の外周部には多数の細長い容器ケース22が環状体15の軸芯と平行姿勢で配設され、この容器ケース22内に破砕容器30を収容して支持するように構成されている。また、破砕容器30の蓋体31は容器ケース22の上端に係合し、この蓋体31の上面を押圧して破砕容器30を固定するための押圧板23を、環状保持体20上に複数設けられた取付ボス24上に設置し、固定ねじ25にて締結固定するように構成されている。この取付ボス24の高さは、蓋体31の上面高さ位置とほぼ同一高さとなるように設定されている。
【0029】
上記構成になる破砕装置に、破砕容器30を環状保持体20の容器ケース22に収容して押圧板23で固定し、図示しない駆動手段により回転軸8を回転駆動すると、破砕容器30がその軸芯方向の比較的長い行程の主往復移動とそれに直交する方向の比較的短い行程の副往復移動を組み合わせた8の字状に往復振動し、それに伴って破砕媒体32が破砕容器30の軸芯にほぼ沿った姿勢を保持したまま相対回転しながら破砕容器30の底部に衝突を繰り返し、破砕容器30が乳鉢、破砕媒体32が乳棒のように作用し、被破砕物が大型の植物細胞や動物組織やプラスチック材料や鉱物材料などであっても効率的に破砕される。
【0030】
破砕容器30及び破砕媒体32は、第1の実施形態および参考例1に示した構成の他、以下に示すように構成することもできる。
【0031】
図9、図10は、第2の実施形態に係る破砕容器30及び破砕媒体32を示すものである。図9に示す破砕容器30は、その底部と蓋体31の両方に截頭円錐部33が形成されており、それに伴って破砕媒体32は、図10(a)に示すように、両端に同様の截頭円錐状の突出端部32aが形成されている。また、図10(b)(c)に示すように、必要に応じて突出端部32aや破砕媒体32の全長にわたって1又は複数の放射状や螺旋状の溝34を形成することもできる。
【0032】
図12、図13は、参考例2に係る破砕容器30及び破砕媒体32を示すものである。図12に示す破砕容器30は、その底部と蓋体31の両方に半球部35が形成され、破砕媒体32の両端に同様の半球状の突出端部32aが形成されている。また、図13(b)(c)に示すように、必要に応じて突出端部32aや破砕媒体32の全長にわたって1又は複数の放射状や螺旋状の溝34を形成することもできる。
【0033】
図9、図12に示したように、蓋体31を含む破砕容器30の両端部を截頭円錐部33や半球部35や半楕円球部等とし、破砕媒体32の対向する端部外面をほぼ同様の形状とすると、上記乳鉢−乳棒作用がより効果的に得られ、さらに効率的に破砕することができる。
【0034】
以上説明した破砕容器30と破砕媒体32とによる試料の破砕において、破砕容器30の内径と破砕媒体32の外径の差を2〜1mm以下とすると、被破砕物がしなやかな場合でも、破砕媒体32を確実に作用させることができて効率的に破砕することができる。
【0035】
また、被破砕物がしなやかで切断され難い繊維質を含んで破砕し難い動植物組織の場合には、破砕容器30内に被破砕物を収容した状態で液体窒素浴に入れて被破砕物を凍結し、凍結真空乾燥すると、被破砕物が容易に破砕される状態になるので、効率的に破砕することができる。なお、本発明ではドライアイスで冷却するだけでも同様の効果を得ることができる。さらに破砕媒体32を液体窒素等で被破砕物と共に冷却することにより破砕の際の発熱を防ぐことができ、また破砕媒体32を被破砕物よりもより一層低温に冷却しておけば前記発熱防止効果は顕著なものとなる。
【0036】
また、被破砕物が同じような動植物組織の場合に、図2、図4の(b)、(c)や、図10、図13の(b)〜(e)のように溝34を設けた破砕媒体32を用いると、上記のように被破砕物を凍結真空乾燥しなくても溝部34で切断され難い繊維質が効果的に切断されるために、効率的に破砕することができる。また、この場合に上記のようにドライアイスで冷却することにより大きな効果を発揮する。
【0037】
また、破砕媒体32として、その表面を研磨したチタン製のものを用いると、被破砕物が骨などの硬い動物組織の場合にも、破砕媒体32の表面に例えばDNAやRNAなどの組成物が残留して次の破砕時にクロスコンタミネーションが発生する恐れを無くすことができる。
【0038】
また、破砕媒体32として、炭素鋼などの金属材料の表面にポリフッ化エチレンでコーティングを施したものを用いることにより、破砕容器30に腐食性の緩衝液や抽出液を収容する場合に耐蝕性を示し、かつ作用に必要な重量を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】第1の実施形態に係る破砕容器の構成を示す断面図。
【図2】第1の実施形態に係る破砕媒体の構成を示す側面図。
【図3】同上破砕媒体を破砕容器に収容した状態を示す断面図。
【図4】参考例1に係る破砕容器の構成を示す断面図。
【図5】参考例1に係る破砕媒体の構成を示す側面図。
【図6】同上破砕媒体を破砕容器に収容した状態を示す断面図。
【図7】破砕装置の構成を示す要部断面図。
【図8】環状保持体の構成を示す1/2平面図。
【図9】第2の実施形態に係る破砕容器の構成を示す断面図。
【図10】第2の実施形態に係る破砕媒体の構成を示す側面図。
【図11】同上破砕媒体を破砕容器に収容した状態を示す断面図。
【図12】参考例2に係る破砕容器の構成を示す断面図。
【図13】参考例2に係る破砕媒体の構成を示す側面図。
【図14】同上破砕媒体を破砕容器に収容した状態を示す断面図。
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物の組織や種子類、動物の組織、プラスチック材料、鉱物材料などの試料を化学的に分析・分画分離するために破砕する用に供する試料破砕具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記のような各種試料を化学的に分析・分画分離するためには、まず試料を均一に粉砕しなければならない。破砕は従来から用いられている乳鉢と乳棒とによる方法が知られているが、多くの試料を効率よく破砕することには不向きであるため、試料と破砕媒体とを収容した破砕容器に対して多数を同時に破砕処理する破砕装置が用いられる。
【0003】
上記破砕装置を用いて試料を破砕するためには、一般的に試料を遠心分離するために用いられている遠心チューブ等の破砕容器に試料と共に破砕媒体を収容し、この破砕容器を破砕装置に装着して破砕容器に振動を加える。前記破砕媒体としてガラスやセラミック、金属などの微小ビーズが知られている(特許文献1参照)。破砕装置により破砕容器に振動を加えると、破砕媒体が試料に衝突したり、破砕容器の壁面に押し付けて圧壊させたりするので、破砕容器に所要時間の振動を加えることにより試料が破砕される。
【0004】
また、試料を破砕するための器具として凍結試料破砕用セルが知られている(特許文献2参照)。これは、試料を破砕しやすくするために試料を凍結し、それを冷却した有底筒形の容器に投入し、容器の内面形状に対応する形状の突出部分を設けた蓋を、突出部分を容器内に挿入して容器上に被せ、蓋に振動プレスを加えて凍結した試料を粉砕する。
【特許文献1】特公平6−036732号公報(第2〜3頁、図1)
【特許文献2】特開平8−219957号公報(第1〜2頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、破砕媒体として微小ビーズを用いた破砕方法では、試料が大型の植物細胞や動物細胞や鉱物材料などになると、試料が運動し難く、かつ破砕媒体の質量が小さいために破砕されないという問題があった。
【0006】
また、凍結試料破砕用セルは、破砕した試料を遠心分離や分析等の処理に用いるためには、破砕された試料を容器から処理に必要な別の容器に移し替える必要があり、試料の目減りが生じたり、試料が細菌等を含むものである場合にはそれを散逸させる恐れもある。また、次ぎの破砕に用いるために洗浄、滅菌等の作業が必要になる課題があった。
【0007】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みて創案されたもので、大型の植物組織や動物組織や鉱物材料なども効率的に破砕することができる試料破砕具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本願の第1発明は、破砕容器内に破砕対象とする試料と共に破砕媒体を収容し、破砕容器を8の字状に往復振動させて試料を破砕する用に供する試料破砕具において、細長い有底円筒状で、底面が截頭円錐状に凹設された容器本体、およびその開口部を開閉可能に封止する蓋体を備えた破砕容器と、本体部が円柱状に形成され、一方の端部が前記容器本体の底面形状に対応するように截頭円錐状でかつ前記本体部に連続するようにして凸設された破砕媒体とを備え、破砕媒体の本体部の外周と破砕容器の内周との間には隙間が存するが、破砕媒体が、その軸芯にほぼ沿った姿勢を保持してほぼ軸芯方向に相対移動するように破砕容器内に収容されていることを特徴とする。
【0009】
上記破砕容器に試料と共に破砕媒体を収容し、破砕媒体にその軸心にほぼ沿った方向に8の字状に往復振動を加えると、破砕媒体は相対回転しながら破砕容器の底面に衝突する動作が繰り返されるので、破砕容器が乳鉢、破砕媒体が乳棒のように作用して試料が効果的に破砕される。試料が大型の植物組織や動物組織、プラスチック材料や鉱物材料であっても効率的に破砕することができる。
【0010】
本願の第2発明は、破砕容器内に破砕対象とする試料と共に破砕媒体を収容し、破砕容器を8の字状に往復振動させて試料を破砕する用に供する試料破砕具において、細長い有底円筒状で、底面が截頭円錐状に凹設された容器本体、およびその開口部を開閉可能に封止し、天井面が截頭円錐状に凹設された蓋体を備えた破砕容器と、本体部が円柱状に形成され、一方の端部が前記容器本体の底面形状に対応するように截頭円錐状でかつ前記本体部に連続するようにして凸設され、他方の端部が前記蓋体の天井面形状に対応するように截頭円錐状でかつ前記本体部に連続するようにして凸設された破砕媒体とを備え、破砕媒体の本体部の外周と破砕容器の内周との間には隙間が存するが、破砕媒体が、その軸芯にほぼ沿った姿勢を保持してほぼ軸芯方向に相対移動するように破砕容器内に収容されていることを特徴とする。これによれば、破砕容器の底面と天井面の両方で試料を破砕できるので、より効果的な破砕を行うことができる。
【0011】
上記構成において、破砕容器の内径と破砕媒体の外径の差が2mm以下に形成すると、試料がしなやかなものである場合でも、破砕媒体を確実に作用させることができ、効率的に破砕できる。
【0012】
また、破砕媒体の少なくとも一端部表面に1又は複数の溝を形成することにより、試料が切断され難い繊維質を含んだ破砕し難い動物組織や植物組織であっても、溝部で繊維質が効果的に切断される。
【0013】
また、試料は、液体窒素浴で凍結して凍結真空乾燥したものを用いると、試料がしなやかで切断され難い繊維質を含んだものである場合にも、凍結により切断されやすくなり、試料の破砕が効率的になされる。
【0014】
また、破砕媒体は、表面を研磨したチタン製のもので構成すると、試料が骨などの動物組織でも破砕が可能で、破砕媒体の表面に例えばDNAやRNAなどの組織物が残留して、次の破砕時にクロスコンタミネーションが発生する恐れをなくすことができる。
【発明の効果】
【0015】
以上の説明の通り本発明に係る試料破砕具によれば、破砕容器内に破砕媒体を試料と共に収容して、破砕容器に8の字状の往復振動を加えることにより、破砕媒体が相対回転しながら破砕容器の底面あるいは底面と天井面に衝突することが繰り返されるので、破砕容器が乳鉢、破砕媒体が乳棒のように作用して試料が効果的に破砕される。試料が大型の植物組織や動物組織、プラスチック材料、鉱物材料などであっても効率的なに破砕することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態、参考例について説明する。尚、本実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0017】
図1、図2は、第1の実施形態に係る破砕容器30及び破砕媒体32の構成を示すものである。破砕容器30は、細長い円筒容器からなり、その開口部外周にねじ30aが形成され、底部に截頭円錐部33が形成されており、その開口部に蓋体31を螺合して密閉できるように構成されている。蓋体31の内周部には、破砕容器30の開口部の内周に嵌合する環状シール部31aが形成されている。破砕容器30は、試料の材質や量に応じて2ml〜50mlの容積のものが用いられる。
【0018】
上記破砕容器30内に試料と共に収容される破砕媒体32は、図2(a)に示すように、破砕容器30の内径Dより大きい長さLの単一部材にて構成されており、その一端部に破砕容器30の底部形状に対応して同様の截頭円錐状の突出端部32aが形成されている。また、他端部は、蓋体32の内周の環状シール部31aと干渉したり、嵌まり込むことがないように小径部32bに形成されている。また、破砕媒体32の外径dは、破砕容器30の内径Dに対して2mm以下、破砕容器30の内径Dが小さい場合には1mm以下程度に小さく設定されている。例えば、破砕容器30の容量が2mlの場合で、その内径Dが8mmのとき、破砕媒体32の外径dは7mmに設定される。
【0019】
また、図2(b)、(c)に示すように、破砕媒体32の突出端部32aには必要に応じて放射状又は螺旋状に1又は複数の溝34を形成したものを用いることもできる。
【0020】
図4、図5は、参考例1に係る破砕容器30及び破砕媒体32を示すものである。図4に示す破砕容器30は、その底部に半球状ないし半楕円球状の半球部35が形成されており、それに伴って破砕媒体32の一端部に、図5(a)に示すように、半球状の突出端部32aが形成されている。また、その突出端部32aに図5(b)、(c)に示すように、溝34を形成することもできる。
【0021】
上記第1の実施形態および参考例1に示した破砕容器30の材質としては、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリフッ化エチレンなどの合成樹脂を用いることができ、着色剤を添加する必要はないので、透明もしくは半透明に樹脂成形される。破砕容器30が透明もしくは半透明であると、破砕容器30内に収容した試料の状態、特に破砕の進行状態をチェックしながら破砕を行うような場合に好適である。
【0022】
例えば、ザルスタット社(SARSTEDT:ドイツ)製のねじ口タイプ遠心チューブやエッペンドルフ社(EPPENDORF:ドイツ)製のセイフロックチューブ、ノルゲン社(NALGEN:アメリカ)製の遠心チューブ等がそれに該当する。
【0023】
また、破砕容器30は、ステンレス鋼などの金属やその内面にポリフッ化エチレンコーティングを施したものを用いることもできる。
【0024】
また、破砕媒体32の材質としては、SUS430などの磁性ステンレス、SUS304硬質ステンレスなどのステンレス鋼、炭素鋼、チタン、タングステン、ジルコニア、タングステンカーバイド、セラミック、ガラス、ポリフッ化エチレンなどを単体又は複合して構成したものを適宜用いることができる。
【0025】
上記第1の実施形態および参考例1に示した破砕容器30及び破砕媒体32を用いて試料の破砕を行う場合には、図3、図6に示すように、細長い破砕容器30内にその内径より大きい長さの破砕媒体32と試料74を収容し、破砕容器30の開口部を蓋体31で閉じ、破砕容器30に振動を加える。
【0026】
破砕容器30に加える振動は、破砕媒体32が破砕容器30の軸芯にほぼ沿った姿勢を保持したまま相対回転しながら破砕容器30の底部に衝突を繰り返すように振動を加えるのが好ましく、これを実現する手段として、破砕容器30を破砕装置に装着して8の字状の振動を加えると、効率的且つ多数の破砕容器30に対して同時に破砕処理を実施することができる。
【0027】
図7は、多数の破砕容器30に対して8の字状の振動を加えることができる破砕装置の要部構成を示すものである。図示しない駆動手段により回転駆動される回転軸8には傾斜軸体11が固定されており、傾斜軸体11の外周には一対の軸受14を介して相対回転自在に環状体15が装着されている。この環状体15の外周下部の適所には磁石16が取付けられている。また、軸受部7の上部に取付けられた取付ブラケット17にて支持された対極磁石18がこの磁石16に対向するように固定配置されている。これら磁石16と対極磁石18の吸着力によって、回転軸8及び傾斜軸体11が回転した場合に環状体15の回転を阻止し、且つ傾斜軸体11の回転に伴って環状体15が振れ運動を行うように構成されている。
【0028】
環状体15の上部には取付段部19が設けられ、その上に環状保持体20が載置されて固定ボルト21にて締結固定されている。図8に平面図として示すように、環状保持体20の外周部には多数の細長い容器ケース22が環状体15の軸芯と平行姿勢で配設され、この容器ケース22内に破砕容器30を収容して支持するように構成されている。また、破砕容器30の蓋体31は容器ケース22の上端に係合し、この蓋体31の上面を押圧して破砕容器30を固定するための押圧板23を、環状保持体20上に複数設けられた取付ボス24上に設置し、固定ねじ25にて締結固定するように構成されている。この取付ボス24の高さは、蓋体31の上面高さ位置とほぼ同一高さとなるように設定されている。
【0029】
上記構成になる破砕装置に、破砕容器30を環状保持体20の容器ケース22に収容して押圧板23で固定し、図示しない駆動手段により回転軸8を回転駆動すると、破砕容器30がその軸芯方向の比較的長い行程の主往復移動とそれに直交する方向の比較的短い行程の副往復移動を組み合わせた8の字状に往復振動し、それに伴って破砕媒体32が破砕容器30の軸芯にほぼ沿った姿勢を保持したまま相対回転しながら破砕容器30の底部に衝突を繰り返し、破砕容器30が乳鉢、破砕媒体32が乳棒のように作用し、被破砕物が大型の植物細胞や動物組織やプラスチック材料や鉱物材料などであっても効率的に破砕される。
【0030】
破砕容器30及び破砕媒体32は、第1の実施形態および参考例1に示した構成の他、以下に示すように構成することもできる。
【0031】
図9、図10は、第2の実施形態に係る破砕容器30及び破砕媒体32を示すものである。図9に示す破砕容器30は、その底部と蓋体31の両方に截頭円錐部33が形成されており、それに伴って破砕媒体32は、図10(a)に示すように、両端に同様の截頭円錐状の突出端部32aが形成されている。また、図10(b)(c)に示すように、必要に応じて突出端部32aや破砕媒体32の全長にわたって1又は複数の放射状や螺旋状の溝34を形成することもできる。
【0032】
図12、図13は、参考例2に係る破砕容器30及び破砕媒体32を示すものである。図12に示す破砕容器30は、その底部と蓋体31の両方に半球部35が形成され、破砕媒体32の両端に同様の半球状の突出端部32aが形成されている。また、図13(b)(c)に示すように、必要に応じて突出端部32aや破砕媒体32の全長にわたって1又は複数の放射状や螺旋状の溝34を形成することもできる。
【0033】
図9、図12に示したように、蓋体31を含む破砕容器30の両端部を截頭円錐部33や半球部35や半楕円球部等とし、破砕媒体32の対向する端部外面をほぼ同様の形状とすると、上記乳鉢−乳棒作用がより効果的に得られ、さらに効率的に破砕することができる。
【0034】
以上説明した破砕容器30と破砕媒体32とによる試料の破砕において、破砕容器30の内径と破砕媒体32の外径の差を2〜1mm以下とすると、被破砕物がしなやかな場合でも、破砕媒体32を確実に作用させることができて効率的に破砕することができる。
【0035】
また、被破砕物がしなやかで切断され難い繊維質を含んで破砕し難い動植物組織の場合には、破砕容器30内に被破砕物を収容した状態で液体窒素浴に入れて被破砕物を凍結し、凍結真空乾燥すると、被破砕物が容易に破砕される状態になるので、効率的に破砕することができる。なお、本発明ではドライアイスで冷却するだけでも同様の効果を得ることができる。さらに破砕媒体32を液体窒素等で被破砕物と共に冷却することにより破砕の際の発熱を防ぐことができ、また破砕媒体32を被破砕物よりもより一層低温に冷却しておけば前記発熱防止効果は顕著なものとなる。
【0036】
また、被破砕物が同じような動植物組織の場合に、図2、図4の(b)、(c)や、図10、図13の(b)〜(e)のように溝34を設けた破砕媒体32を用いると、上記のように被破砕物を凍結真空乾燥しなくても溝部34で切断され難い繊維質が効果的に切断されるために、効率的に破砕することができる。また、この場合に上記のようにドライアイスで冷却することにより大きな効果を発揮する。
【0037】
また、破砕媒体32として、その表面を研磨したチタン製のものを用いると、被破砕物が骨などの硬い動物組織の場合にも、破砕媒体32の表面に例えばDNAやRNAなどの組成物が残留して次の破砕時にクロスコンタミネーションが発生する恐れを無くすことができる。
【0038】
また、破砕媒体32として、炭素鋼などの金属材料の表面にポリフッ化エチレンでコーティングを施したものを用いることにより、破砕容器30に腐食性の緩衝液や抽出液を収容する場合に耐蝕性を示し、かつ作用に必要な重量を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】第1の実施形態に係る破砕容器の構成を示す断面図。
【図2】第1の実施形態に係る破砕媒体の構成を示す側面図。
【図3】同上破砕媒体を破砕容器に収容した状態を示す断面図。
【図4】参考例1に係る破砕容器の構成を示す断面図。
【図5】参考例1に係る破砕媒体の構成を示す側面図。
【図6】同上破砕媒体を破砕容器に収容した状態を示す断面図。
【図7】破砕装置の構成を示す要部断面図。
【図8】環状保持体の構成を示す1/2平面図。
【図9】第2の実施形態に係る破砕容器の構成を示す断面図。
【図10】第2の実施形態に係る破砕媒体の構成を示す側面図。
【図11】同上破砕媒体を破砕容器に収容した状態を示す断面図。
【図12】参考例2に係る破砕容器の構成を示す断面図。
【図13】参考例2に係る破砕媒体の構成を示す側面図。
【図14】同上破砕媒体を破砕容器に収容した状態を示す断面図。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
破砕容器内に破砕対象とする試料と共に破砕媒体を収容し、破砕容器を8の字状に往復振動させて試料を破砕する用に供する試料破砕具において、
細長い有底円筒状で、底面が截頭円錐状に凹設された容器本体、およびその開口部を開閉可能に封止する蓋体を備えた破砕容器と、
本体部が円柱状に形成され、一方の端部が前記容器本体の底面形状に対応するように截頭円錐状でかつ前記本体部に連続するようにして凸設された破砕媒体とを備え、
破砕媒体の本体部の外周と破砕容器の内周との間には隙間が存するが、破砕媒体が、その軸芯にほぼ沿った姿勢を保持してほぼ軸芯方向に相対移動するように破砕容器内に収容されている
ことを特徴とする試料破砕具。
【請求項2】
破砕容器内に破砕対象とする試料と共に破砕媒体を収容し、破砕容器を8の字状に往復振動させて試料を破砕する用に供する試料破砕具において、
細長い有底円筒状で、底面が截頭円錐状に凹設された容器本体、およびその開口部を開閉可能に封止し、天井面が截頭円錐状に凹設された蓋体を備えた破砕容器と、
本体部が円柱状に形成され、一方の端部が前記容器本体の底面形状に対応するように截頭円錐状でかつ前記本体部に連続するようにして凸設され、他方の端部が前記蓋体の天井面形状に対応するように截頭円錐状でかつ前記本体部に連続するようにして凸設された破砕媒体とを備え、
破砕媒体の本体部の外周と破砕容器の内周との間には隙間が存するが、破砕媒体が、その軸芯にほぼ沿った姿勢を保持してほぼ軸芯方向に相対移動するように破砕容器内に収容されている
ことを特徴とする試料破砕具。
【請求項3】
破砕容器の内径と破砕媒体の本体部の外径の差が2mm以下に形成されてなる請求項1又は2に記載の試料破砕具。
【請求項4】
破砕媒体の端部表面に1又は複数の溝が形成されてなる請求項1〜3いずれか一項に記載の試料破砕具。
【請求項5】
試料は、液体窒素浴で凍結して凍結真空乾燥したものを用いる請求項1〜4いずれか一項に記載の試料破砕具。
【請求項6】
破砕媒体は、表面を研磨したチタン製である請求項1〜5いずれか一項に記載の試料破砕具。
【請求項1】
破砕容器内に破砕対象とする試料と共に破砕媒体を収容し、破砕容器を8の字状に往復振動させて試料を破砕する用に供する試料破砕具において、
細長い有底円筒状で、底面が截頭円錐状に凹設された容器本体、およびその開口部を開閉可能に封止する蓋体を備えた破砕容器と、
本体部が円柱状に形成され、一方の端部が前記容器本体の底面形状に対応するように截頭円錐状でかつ前記本体部に連続するようにして凸設された破砕媒体とを備え、
破砕媒体の本体部の外周と破砕容器の内周との間には隙間が存するが、破砕媒体が、その軸芯にほぼ沿った姿勢を保持してほぼ軸芯方向に相対移動するように破砕容器内に収容されている
ことを特徴とする試料破砕具。
【請求項2】
破砕容器内に破砕対象とする試料と共に破砕媒体を収容し、破砕容器を8の字状に往復振動させて試料を破砕する用に供する試料破砕具において、
細長い有底円筒状で、底面が截頭円錐状に凹設された容器本体、およびその開口部を開閉可能に封止し、天井面が截頭円錐状に凹設された蓋体を備えた破砕容器と、
本体部が円柱状に形成され、一方の端部が前記容器本体の底面形状に対応するように截頭円錐状でかつ前記本体部に連続するようにして凸設され、他方の端部が前記蓋体の天井面形状に対応するように截頭円錐状でかつ前記本体部に連続するようにして凸設された破砕媒体とを備え、
破砕媒体の本体部の外周と破砕容器の内周との間には隙間が存するが、破砕媒体が、その軸芯にほぼ沿った姿勢を保持してほぼ軸芯方向に相対移動するように破砕容器内に収容されている
ことを特徴とする試料破砕具。
【請求項3】
破砕容器の内径と破砕媒体の本体部の外径の差が2mm以下に形成されてなる請求項1又は2に記載の試料破砕具。
【請求項4】
破砕媒体の端部表面に1又は複数の溝が形成されてなる請求項1〜3いずれか一項に記載の試料破砕具。
【請求項5】
試料は、液体窒素浴で凍結して凍結真空乾燥したものを用いる請求項1〜4いずれか一項に記載の試料破砕具。
【請求項6】
破砕媒体は、表面を研磨したチタン製である請求項1〜5いずれか一項に記載の試料破砕具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−90292(P2009−90292A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−21817(P2009−21817)
【出願日】平成21年2月2日(2009.2.2)
【分割の表示】特願2005−319680(P2005−319680)の分割
【原出願日】平成12年4月6日(2000.4.6)
【出願人】(592054661)安井器械株式会社 (7)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月2日(2009.2.2)
【分割の表示】特願2005−319680(P2005−319680)の分割
【原出願日】平成12年4月6日(2000.4.6)
【出願人】(592054661)安井器械株式会社 (7)
【Fターム(参考)】
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